JP2017043735A - 活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、無機フィラーを添加する場合にはその含有量が低いと十分な表面保護機能が得られず、その反面、含有量が高いと塗膜の透明性が悪化するという問題がある。
すなわち、本発明は、無機酸化物(A)と、活性水素を有する反応性基(α)を少なくとも1個有する多官能(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物(D)の製造方法であって、多官能(メタ)アクリレート(B)中の反応性基(α)と無機酸化物(A)中の水酸基とが反応して化学結合しており、多官能(メタ)アクリレート(B)中、触媒(b)存在下で無機アルコキシド(a1)、金属無機酸塩(a2)および無機塩化物(a3)からなる群より選ばれる1種以上の無機酸化物前駆体(a)と水を反応させて無機酸化物(A)を製造することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法である。
そして、無機酸化物前駆体(a)を、無機アルコキシド(a1)、金属無機酸塩(a2)および無機塩化物(a3)からなる群より選ぶことにより、多官能(メタ)アクリレート(B)中の反応性基(α)と無機酸化物(A)中の水酸基とが反応して化学結合が生じる。
そして、本発明の無機酸化物前駆体(a)は、無機アルコキシド(a1)、金属無機酸塩(a2)および無機塩化物(a3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である。
これらのうち、硬度の観点から好ましいのは、ケイ素、アルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドである。
また、アルコキシド部分は特に限定されないが、メトキシド、エトキシド、1−プロポキシド、2−プロポキシド、n−ブトキシド、s−ブトキシド、t−ブトキシドなどが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの塩化物が挙げられ、具体的には、4塩化ケイ素、4塩化チタンおよび4塩化ジルコニウムである。
触媒(b)としては、無機酸または有機酸が好ましい。
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、もしくはフッ化水素酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸などの芳香族カルボン酸が挙げられる。
ヒドロキシ酸としては乳酸、リンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ酸が挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸が挙げられる。
これらの反応性基(α)のうち、水酸基、カルボキシル基、リン酸基が好ましく、水酸基がさらに好ましい
(B3)の製造に用いられるポリオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び紫外線吸収剤が挙げられる。
溶剤の使用量は、該組成物の全重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜5,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜1,000mPa・sである。
これらの溶剤のうちコーティング膜の平滑性および溶剤除去の効率の観点から好ましいのは沸点が70〜100℃のエステル、ケトンおよびアルコール、さらに好ましいのはメチルエチルケトン、酢酸エチル、i−プロパノールおよびこれらの混合物である。
塗工に際しては、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。
塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μmである。乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μmであり、耐摩耗性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
乾燥温度は、通常10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃である。
撹拌機、冷却管、吹込み管および温度計を備えた反応容器に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(B−1)[商品名:ネオマーDA−600、三洋化成工業(株)製]65部、水1.51部およびシリケートテトラ−n−エトキシド(a1−1)[商品名:TEOS、東京化成工業(株)製]35部を仕込み30分間攪拌した後、塩酸(b−1)2.36部を仕込み、65℃で2時間反応させた。その後、反応容器を減圧にし、空気を吹き込みながら、70℃で2時間トッピングし、無機酸化物(A−1)の(メタ)アクリレート(B−1)による溶液を得た。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(B−1)を、ペンタエリスリトールトリアクリレート(B−2)[商品名:ETERMER235、長興化学工業(株)製]65部に変える以外は製造例1と同様にして、無機酸化物(A−2)の(メタ)アクリレート(B−2)による溶液を得た。
シリケートテトラ−n−エトキシド(a1−1)をチタニウムテトラ−n−ブトキシド(a1−2)[商品名:B−1、日本曹達(株)製]35部に、(B−1)の部数を60部に、塩酸(b−1)の代わりに酢酸(b−2)1.00部、水の添加量を1.73部に変える以外は製造例1と同様にして、無機酸化物(A−3)の(メタ)アクリレート(B−1)による溶液を得た。
(a1−1)の部数を40部に、(B)として(B−1)と(B−2)の部数をそれぞれ30部に変える以外は製造例1と同様にして、無機酸化物(A−4)の(メタ)アクリレート(B−1およびB−2)による溶液を得た。
(B−1)を、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(B’−1)[商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学(株)製]65部に変える以外は製造例1と同様にして、無機酸化物(A’−1)の(メタ)アクリレート(B’−1)による溶液を得た。
(B−1)を、フェノキシエチルアクリレート(B’−2)[商品名:ライトアクリレートPO−A、共栄社化学(株)製]65部に変える以外は製造例1と同様にして、無機酸化物(A’−2)の(メタ)アクリレート(B’−2)による溶液を得た。
(a1−1):シリケートテトラ−n−エトキシド[商品名「TEOS」、東京化成工業(株)製]
(a1−2):チタニウムテトラ−n−ブトキシド[商品名:B−1、日本曹達(株)製]
(b−1):塩酸[佐々木化学薬品(株)製]
(b−2):酢酸[ナカライテスク(株)製]
(B−1):ジペンタエリスリトールペンタアクリレート[商品名:ネオマーDA−600、三洋化成工業(株)製、官能基数5個、水酸基1個]
(B−2):ペンタエリスリトールトリアクリレート[商品名:ETERMER235、長興化学(株)製、官能基数3個、水酸基1個]
(B’−1):ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート[商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学(株)製、官能基数2個、活性水素を含む官能基はなし]
(B’−2):フェノキシエチルアクリレート[商品名:ライトアクリレートPO−A、共栄社化学(株)製、官能基数1個]
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、製造例1で得られた無機酸化物(A−1)の(メタ)アクリレート(B−1)溶液を100部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(C−2)[商品名「イルガキュア907」、BASF社製]2.0部を加え、65℃で均一になるまで混合攪拌し、(D−1)を得た。
実施例1と同様にして、表2に示す部数(重量部)で均一混合させ、対応する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(D−2)〜(D−4)および(D’−1)〜(D’−4)を得た。
なお、比較例3と4は、本発明のような(B)中で(A)を製造するのではなく、市販の無機酸化物微粒子(A’−3)を、(C)と同時に(B)に配合した。
(A’−3):変性シリカ微粒子[商品名「コロイダルシリカMEK−ST」一次粒径10−15nm MEK40%溶液、日産化学工業(株)製]
(C−1):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[商品名「ルシリンTPO」、BASF(株)製]
(C−2):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン[商品名「イルガキュア907」、BASF(株)製]
(C−3):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF(株)製]
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(D−1)〜(D−4)および(D’−1)〜(D’−4)をそれぞれディスパーザーを用いてメチルエチルケトンで希釈し、不揮発分30%に調製する。
厚さ100μmのPETフィルム[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡績(株)製]基材の片面にバーコーターを用い、乾燥硬化後の膜厚が5μmになるように塗布し、60℃で3分間乾燥させた後、紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製。以下同じ。]により、紫外線を300mJ/cm2照射し、基材フィルム表面に硬化膜を有するフィルムを作成した。
得られたフィルムについて下記の方法で性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
JIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−gard
dual」BYK gardner(株)製]を用いてヘイズを測定した。
前記テストピースを、JIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。
JIS K−5400に準じ、鉛筆硬度を測定した。
一方、反応性基を有さない多官能アクリレートを使用している比較例1および単官能アクリレートのみを使用している比較例2は鉛筆硬度が劣る。また、市販の変性シリカ微粒子を(C)と同時に添加する製法であって、30部添加した比較例3は透明性が劣る。そこで、透明性を確保できる20部に減らして添加した比較例4では鉛筆硬度が不十分である。結果的に、本発明の方法で製造していない市販の変性シリカ微粒子では、透明性と鉛筆硬度を両立することができない。
Claims (7)
- 無機酸化物(A)と、活性水素を有する反応性基(α)を少なくとも1個有する多官能(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物(D)の製造方法であって、多官能(メタ)アクリレート(B)中の反応性基(α)と無機酸化物(A)中の水酸基とが反応して化学結合しており、多官能(メタ)アクリレート(B)中、触媒(b)存在下で無機アルコキシド(a1)、金属無機酸塩(a2)および無機塩化物(a3)からなる群より選ばれる1種以上の無機酸化物前駆体(a)と水を反応させて無機酸化物(A)を製造することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物(D)の製造方法。
- 反応性基(α)が水酸基またはカルボキシル基である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
- 無機アルコキシド(a1)が、ケイ素アルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、亜鉛アルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ガリウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシドおよびスズアルコキシドからなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
- 金属無機酸塩(a2)が、4硝酸チタン、オキシ硫酸チタン、オキシ硝酸ジルコニウムおよび硫酸ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
- 無機塩化物(a3)が、ケイ素、チタンまたはジルコニウムの塩化物である請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
- 無機酸化物(A)と多官能(メタ)アクリレート(B)の合計重量に基づいて、(A)の含有量が25〜80重量%であり、(B)の含有量が20〜75重量%であり、光重合開始剤(C)の含有量が0.1〜10重量%である請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
- 触媒(b)が無機酸または有機酸である請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法。
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