JP2014193943A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コート剤およびそれを硬化して得られる層を含むフィルム、シートおよび成形品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、コート剤およびそれを硬化して得られる層を含むフィルム、シートおよび成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をフィルム、シート、成型品の表面に塗布して硬化させることで、表面の滑り感が向上し、また爪や布、スチールウールに対する耐擦傷性が良好であるフィルム、シート、成型品を与えること。
【解決手段】 少なくともアクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
アクリル系共重合体(α)が、共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が特定の値であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、本発明は、新規組成物であって優れたすべり性、耐傷つき性、対溶剤性を有する硬化物を得ることができうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、易滑性コート剤およびそれを硬化して得られる層を含むフィルム、シートおよび成形品に関する。
プラスチック製品、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS、MS樹脂、AS樹脂などのスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロース等の樹脂基材は、その軽量性、易加工性、耐衝撃性などが特に優れているので、容器、インストルメントパネル、包装材、各種ハウジング材、光デイスク基板、プラスチックレンズ、液晶デイスプレイやプラズマデイスプレイなどの表示機器の基材等、種々の用途に用いられている。
しかしながら、これらプラスチック製品は表面硬度が低いため傷つきやすく、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートのような透明な樹脂においては、その樹脂が持つ本来の透明性あるいは外観が著しく損なわれるという欠点があり、耐摩耗性を必要とする分野でのプラスチック製品の使用を困難なものとしている。このため、これらプラスチック製品の表面に耐摩耗性を付与する活性エネルギー線硬化性ハードコート材料(被覆材)が求められている。
また、近年、TVやタッチパネルといった映像表示装置にハードコートを被覆した透明樹脂フィルムが多く使用されている。しかしながら、特にタッチパネルにおいては静電容量式の普及により、指を滑らす動き(フリップ)が操作上、頻繁に行われるようになっており、指による滑り感や爪や付着した指紋をティッシュや布で拭き取る際の傷付き(耐擦傷性)が課題とされており、従来のハードコートに比べ、滑り感と耐擦傷性のさらなる向上が求められている。
このような問題点の解決を目指し、表面の摩擦係数を低下させて滑り性を付与を付与する試みは数多くなされている。
例えば、特許文献1だと、ポリシロキサン構造やパーフルオロアルキル基とアクリロイル基を供に有し、硬度と耐傷性、耐汚染性を出す発明である。
また、特許文献2では、特定の構造を有するポリシロキサン含有化合物を無溶剤系のハードコートに添加している。
さらに、特許文献3では、側鎖にポリシロキサン構造と(メタ)アクリロイル基を有するアクリル共重合体を活性エネルギー線あるいは熱硬化性化合物に添加している。
特開2010−33693号公報 特開2007−046049号公報 特開2007−191703
しかし、引用文献1の発明では、摩擦係数の低下が十分ではなく、滑り感、耐擦傷性がタッチパネルにおいて要求されている性能を満足するに至っていない。
また、引用文献2の発明では、焦点は防汚性であり、また用途も情報記録媒体に限定されており、また例え溶剤系ハードコートに該技術を転用したとしてもポリシロキサン含有化合物中の架橋基量が少ないために、前述と同様タッチパネルにおいて要求されている性能、中でも耐擦傷性の要求を満足するとは考えにくい。
さらに、特許文献3の発明では、貯蔵安定性・作業性に優れ、耐候性、耐酸性、耐溶剤性、撥水性、非粘着性などに優れ、これらの効果を持続して得ることができるものであるが、硬度や耐擦傷性、さらには滑り性については特に言及されておらず、また、特許文献3に記載されている好ましい組成ではタッチパネルやディスプレイにおいて要求されている硬度や耐擦傷性、滑り性の全ての特性を満たすことができない。
そこで、本発明の解決すべき課題は、これら従来技術に比べ、活性エネルギー線の照射により、硬化した塗膜において、表面の滑り性とその耐久性を大幅に向上させ、特に、卓越した硬度・耐摩耗性、透明性を併せて実現しうるような、活性エネルギー線硬化性の易滑性付与剤及びそれを用いた易滑性物品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、
シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が特定の値であることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明は以下に示すとおりである。
即ち本発明は、以下のとおりである。
(1)少なくともアクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、
シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が250000以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
共重合体(β):構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体
化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
Figure 2014193943
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、RおよびRはそれぞれメチル基又はフェニル基、nは10〜100の整数を表し、RおよびRは、相互に同一でも異なっていてもよい。また、Rは炭素数1〜12のアルキル基
を表す。)
(2)シリコーンモノマー(A)の数平均分子量が3,000〜20,000である(1)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(3)アクリル共重合体が共重合可能なモノマー(C)として、炭素数4〜22の直鎖または分岐型アルキル(メタ)アクリレートから少なくとも一つ選ばれる(メタ)アクリレートを含む(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(4)分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)が(メタ)アクリル酸である(1)〜(3)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(5)前記アクリル系共重合体を0.05重量%〜10重量%含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(6)活性エネルギー線硬化性化合物が、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含むコート剤。
(8)(7)に記載のコート剤を硬化して得られる層を含むフィルム、シート、または成型品。
(9)(8)に記載のフィルム、シート、または成型品が透明である光学用フィルム、シートまたは成型品。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、被膜形成時の溶剤乾燥工程において、光硬化性化合物中で表面自由エネルギーの低いアクリル系共重合体が表面に偏在、続く活性エネルギー線の照射により、重合、硬化し、硬化被膜を形成する。
本願のアクリル系共重合体は高分子量のポリシロキサン構造を含有しているため、被膜表面に良好な易滑性を与え、また前記アクリル系共重合体は活性エネルギー線硬化性架橋基を多く含有しているため、表面性能の耐久性(溶剤での拭き取り後、耐スチールウール擦傷性(SW性)擦傷試験後の表面易滑性の低下が少ない)が高い。さらに、ポリシロキサン構造に他のアクリルモノマーが共重合されていることで、被膜を形成する他成分(溶剤、光硬化性化合物)との相溶性が良好である。
この結果、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をフィルム、シート、成型品の表面に塗布して硬化させることで、表面の滑り感が向上し、また爪や布、スチールウールに対する耐擦傷性が良好であるフィルム、シート、成型品を与えることが可能である。さらに、透明性にも優れるため、光学用途の部材への使用も可能である。
このことから、本発明はタッチパネルや液晶テレビのような光学ディスプレイ用透明物品)、自動車関連部品(ランプ関連、ウィンドウ関連等の物品(リアウィンドウ、サイドウィンドウ、天窓等))、生活関連物品(各種電気機器の筐体、化粧板、家具等)等幅広い物品の表面保護に好適に使用することが可能であり、様々な物品のハードコート材として用いることができる。
以下において、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基とメタクリロイル基との総称である。(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートについても同様である。
また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[I] 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、以下のとおりである。
すなわち、少なくともアクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、
シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が250000以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
共重合体(β):構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体
化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
Figure 2014193943
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、RおよびRはそれぞれメチル基又はフェニル基、nは10〜100の整数を表し、RおよびRは、相互に同一でも異なっていてもよい。また、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
本願発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記アクリル系共重合体を0.05重量%以上含有することが好ましく、硬化膜において表面易滑性が十分に発現し、滑り性と耐スチールウール擦傷性が良好である点から、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上が特に好ましい。また、10重量%以下含有することが好ましく、前記アクリル系共重合体と反応する光硬化性化合物との相溶性が確保され硬化膜の透明性が良好であることと、前記光硬化性化合物よりも比較的軟らかい前記アクリル系共重合体が表面に偏在し過ぎず、硬度、耐擦傷性が確保できる点から、9重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることが特に好ましい。
アクリル系共重合体と、前記活性エネルギー線硬化性化合物について説明する。
<アクリル系共重合体(α)>
本発明のアクリル系共重合体(α)は、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、
シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が250000以上であることを特徴とする。
[共重合体(β)]
本発明の共重合体(β)は、構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体である。
(構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A))
本発明のシリコーンモノマー(A)としては、以下の構造式(I)で表される化合物である。
Figure 2014193943
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、RおよびRはそれぞれメチル基又はフェニル基、nは10〜100の整数を表し、RおよびRは、相互に同一でも異なっていてもよい。また、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
は水素原子又はメチル基であることを特徴としており、共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、硬化膜表面の硬度が高くなる点から、メチル基であることが好ましい。
は炭素数1以上のアルキレン基であることを特徴としており、原料の入手および製造(反応)が比較的容易である点から、2以上が好ましく、3以上が特に好ましい。また、12以下のアルキレン基であることを特徴としており、10以下が好ましく、8以下が好ましい。
およびRはそれぞれメチル基又はフェニル基であることを特徴としており、原料の入手および製造(反応)が比較的容易である点から、メチル基であることが好ましい。また、nは10以上の整数であることを特徴としており、硬化膜において表面易滑性が十分に発現し、滑り性が良好である点から、25以上が好ましく、50以上が特に好ましい。また、100以下の整数であることを特徴としており、原料および前記アクリル系共重合体の溶媒への溶解性および前記光硬化性化合物との相溶性が良好である点から、90以下が好ましく、80以下が特に好ましい。
は炭素数1以上のアルキル基であることを特徴としており、原料の入手および製造(反応)が比較的容易である点から、2以上が好ましく、3以上が特に好ましい。また、12以下のアルキル基であることを特徴としており、10以下が好ましく、8以下が好ましい。
具体的な構造としては、本願の効果が得られるものであれば特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンを持つものが好ましく、例えば片末端にメタクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン(例えばJNC社製「サイラプレーンFM0711」、「サイラプレーンFM0721」、「サイラプレーンFM0725」)を他のラジカル重合性モノマーとラジカル重合した際に生起する構造が挙げられる。これらの化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。なお、本願におけるシリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)とは、(A)を二種以上用いたときに最も数平均分子量が高いものの数平均分子量(g/mol)を意味する。
シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)としては、特に限定されないが、通常1,000以上であり、硬化膜における表面滑り性が良好である(摩擦係数が低い)ことから、2,000以上が好ましく、3,000以上がさらに好ましい。また、通常50,000以下であり、溶媒や活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性が良好であることから、20,000以下が好ましく、10,000以下がさらに好ましい。特に4,000以上、7,000以下であると防汚性が特
異的に良好となるため特に好ましい。
(エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B))
本発明のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを;3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等の脂環構造に直接エポキシ基が結合している(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中では、入手の容易さ、後述する分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(γ)による変性のしやすさから、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が特に好ましい。 これらの化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)としては、特に限定されないが、通常1重量%以上であり、硬化膜の表面滑り性の耐久性が良好であることから、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上が特に好ましい。また、前記アクリル系共重合体の溶媒への溶解性が良好であり、共重合体(β)のエポキシ−酸反応時にゲル化が生起しづらい点から、通常99.9重量%以下であるが、90重量%以下であることが好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下が特に好ましい。
(その他共重合可能なモノマー(C))
本発明に用いる「その他共重合可能なモノマー(C)」としては、本願の効果が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくはエポキシ基との反応性が低く、生成ポリマーの安定性を低下させないモノマー、または骨格が剛直で、硬度を下げないモノマー由来の構造である。前記モノマーの例としては、炭素数1〜22の直鎖状または分岐状のアルキルを有する(メタ)アクリレート、スチレン、またはスチレンの低級アルキル基(例えば、炭素数1〜4のアルキル基)若しくは低級アルケニル基(例えば、炭素数2〜4のアルケニル基)の置換誘導体、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数5〜20の(ポリ)シクロアルキル側鎖を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類などを挙げることができ、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
例えば、次に挙げられる化合物が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそのカチオン化剤による変性体、シアノエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、(メタ)アクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルプロピルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリメトキシシラン、及び3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−トリフルオロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、及びシアノ化ビニリデン等のアクリロニトリル化合物、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、及びN,N−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物が挙げられる。
これらの中では、共重合体のTgが高くなり、硬化膜表面の硬度が高くなる点、硬化表面の硬度が高くなる点から、炭素数1〜22の直鎖状または分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、つまりメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリルメタクリレートが好ましく、共重合体のTgが高くなり、硬化膜表面の硬度が高くなる点から、メチル(メタ)アクリレート、共重合体の溶媒への溶解性が良好になる点から2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートまたはステアリルメタクリレートを用いた構造が特に好ましい。これらの構造は一種を単独で含有してもよく、二種以上が含有していてもよい。
また、その他共重合可能なモノマー(C)は、共重合体の溶媒への溶解性が良好になる点から、アクリル系共重合体中のモル比が1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましく、30重量%以上が最も好ましい。また、硬化後塗膜の滑り性、耐SW性と前記アクリル系共重合体の溶解性が良好である点から、99重量%以下であることが好ましく、95重量%以下がより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、80重量%以下が特に好ましく、70重量%以下が最も好ましい。
本発明においては、シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が250,000以上であることを特徴とする。ここで、シリコーンモノマー(A)の数平均分子量は大きいほど硬化膜の滑り性が良好になり、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの共重合(β)中の重量比(%)が
大きいほど硬化膜における共重合体(α)の脱落が抑制され滑り性の耐久性が良好になることから、250,000以上が好ましく、270,000以上がさらに好ましく、300,000以上が特に好ましい。また、シリコーンモノマー(A)の数平均分子量が小さく、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートの共重合体(β)中の重量比(%)が小さいほど、合成時の酸−エポキシ反応におけるゲル化が抑制されることから、1,000,000以下が好ましく、900,000以下がさらに好ましく、700,000以下が特に好ましい。
なお、シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値を調整するためには、シリコーンモノマー(A)の数平均分子量(g/mol)を選択したり、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を選択することで、調整できる。
[化合物(γ)]
本発明の化合物(γ)は、分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸の他、水酸基含有多官能アクリレートと酸無水物との反応物が挙げられ、その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
前記アクリル系共重合体(α)と活性エネルギー線硬化性化合物の成分の合計量(総重量)を100重量部としたとき、アクリル共重合体(α)の重量比率は、通常0.1重量%以上であるが、アクリル共重合体(α)の重量比率が大きくなると硬化膜表面の滑り性が良好となるため、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上である。また、通常10重量%以下であるが、アクリル共重合体(α)の重量比率が小さくなると表面近傍に偏在する共重合体(α)の量が少なくなるため、表面硬度が高くなり耐擦傷性が良好となるため、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは2.5重量%以下である。前記アクリル共重合体(α)の重量比率は、所望の物性を満足するのであれば特に限定されず、アクリル系共重合体(α)の構造、特にシリコーンモノマー(A)の分子量、含有量により適宜調整できる。
<アクリル系共重合体と反応する活性エネルギー線硬化性化合物>
本願発明の光硬化性化合物は、本願発明のアクリル系共重合体以外の化合物である。また分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であることが好ましい。また、硬化膜の硬度・耐擦傷性が良好であり、また硬化時の反応性も高い点から、前記光硬化性化合物中の(メタ)アクリロイル基の官能基数は、3個以上が好ましく、4個以上が特に好ましい。また、硬化前の樹脂粘度が塗工するのに適する点から、9個以下が好ましく、6個以下が特に好ましい。
具体的には、多官能(メタ)アクリレート、及びそのウレタン変性体、エステル変性体
、並びにカーボネート変性体、から選ばれる一以上からなる多官能(メタ)アクリレート誘導体である。より具体的には、以下のようなものを例示できるが、本願発明の樹脂組成物を得ることができるものであればこれらに限定されるものではない。
例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、無水コハク酸へのペンタエリスリトールトリアクリレート付加物、無水コハク酸へのジペンタエリスリトールペンタアクリレート付加物などの多官能アクリレート類;側鎖又は側鎖と末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルオリゴマー(具体的には、東亞合成社製のM8030、M7100など)などのポリエステル(メタ)アクリレート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体とポリテトラメチレングリコール(PTMG)とヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の反応物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアネート体とPTMG反応物へのペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物などの多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ポリカーボネートジオールを用いたオリゴエステルとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応物などのカーボネート結合を有するポリエステル(メタ)アクリレート類;IPDIとポリカーボネートジオールの反応物と、HEAの反応物などのカーボネート結合を有するポリウレタン(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAのアクリル酸付加物(具体的には、新中村化学社製のEA−1025)などのポリエポキシ(メタ)アクリレート類;トリエトキシイソシアヌル酸ジアクリレート、トリエトキシイソシアヌル酸トリアクリレート(具体的には、東亞合成社製のアロニックスM315、M313)などのイソシアヌレート環を有するトリエトキシ(メタ)アクリレート類;及びこれらのアルキレンオキサイド変性物;ポリカプロラクトン変性物;などがある。また、これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、粘度と硬化性、得られる硬化膜表面の硬度などから、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、及びジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのアルキレンオキサイド変性体、カプロラクトン変性体、などが特に好ましい。
<光重合開始剤>
本発明のハードコート用樹脂組成物に含まれる光重合開始剤としては、公知のものを広く採用できるが、好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン(α−ヒドロキシフェニルケトン)系、α−アミノアセトフェノン系、ベンジルケタール系などのアルキルフェノン型化合物;アシルホスフィンオキシド型化合物;オキシムエステル化合物;オキシフェニル酢酸エステル類;ベンゾインエ−テル類;芳香族ケトン類(ベンゾフェノン類);ケトン/アミン化合物;ベンゾイルギ酸およびそのエステル誘導体等である。
具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチルが好ましい。これらの光重合開始剤は
2種以上を適宜に併用することもできる。
中でも、硬化性の低下を最小限に抑えることが可能であり、入手が容易であって、着色等を起こしにくいことから、光重合開始剤の少なくとも一部として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ヒドロキシフェニルケトン類を用いることが好ましい。
また、特に硬化性が良好なハードコート用樹脂組成物を得るためには、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、などのα−アミノフェニルケトン類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、などのベンゾフェノン類;ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸、ベンゾイルギ酸エチル、などのベンゾイルギ酸(エステル)類;CGI242(チバ製)、OXE01(チバ製)、などのオキシムエステル類が好ましい。更に、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾフェノン、ベンゾイルギ酸メチルなどを用いることがより好ましく、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾイルギ酸メチルが特に好ましい。
前記アクリル系共重合体と反応する光硬化性化合物の成分の合計量(総重量)を100重量部としたとき、光重合開始剤は2〜6.5重量部であり、好ましくは2.5重量部以上、5.5重量部以下である。2重量部未満では得られるハードコート用樹脂組成物の硬化性に劣り、6.5重量部以上では硬化膜の物性が低下したりする可能性がある。
なお、本発明のハードコート用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化膜を得る際、活性エネルギー線として紫外線や軟エックス線などを用いる場合には、を本発明の組成物中に上記のような光重合開始剤を含むことが好ましいが、比較的エネルギーが高い電子線や硬エックス線などを用いる場合には光重合開始剤を含んでいなくてもよい。
<本願発明が効果を奏する理由>
本願発明が効果を奏する理由としては、以下のように推察される。
すなわち、本願発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成において、アクリル系共重合体(α)はその表面自由エネルギーの低さから、塗膜生成の際、塗膜に硬度を与える光硬化性化合物中で表面近傍に偏在し、塗膜表面に易滑性を付与する。このアクリル系共重合体において、シリコーンモノマー(A)はポリシロキサン構造の効果で共重合体が硬化膜表面の摩擦係数を低下するのを可能にし、結果、効果膜の硬度、耐(スチールウール)擦傷性を向上させる。またエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)に由来する前駆共重合体(β)の側鎖エポキシ基に酸−エポキシ反応で(メタ)アクリロイル基を付加した構造単位は前記光硬化性化合物とアクリル共重合体(α)を活性エネルギー線照射によって共有結合でつなぐ役割を担っており、前記アクリル系共重合体(α)が硬化膜表面近傍に偏在した際、相分離による白化やブリードアウトを抑制し、さらに耐(スチールウール)擦傷性においても、共重合体の離脱を防ぐ効果を発現する。一方、耐擦傷性は前記の塗膜表面の滑り性の向上と共重合体(α)の離脱の抑制の両方の効果を高めることで良好となる。また、シリコンモノマー(A)が高分子量体であると滑り性が良好となるため、共重合体(α)の離脱を抑制する役割を担う側鎖(メタ)アクリロイル基が比較的少量でも十分な効果を発現することができ、対して分子量が低いと、十分な耐擦傷性を発現するためには共重合体(α)の離脱をより抑制する必要があり、側鎖(メタ)アクリロイル基の比率を高くしなければならない。以上をふまえると、シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β
)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が高いほど、耐(スチールウール)擦傷性が良好となり、その乗じた値が250,000以上であるとタッチパネルやディスプレイにおいて要求されている硬度、耐擦傷性、滑り性、透明性を全て満たすことが可能となる。
<無機粒子>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、無機粒子を含有することができる。前記無機粒子と架橋密度の高い(メタ)アクリロイル共重合体とを含有させることで、より高い硬度を有するハードコートを形成し得る硬化性組成物を提供できる。
無機粒子の平均一次粒子径は1nm〜200nmであることが好ましく、硬化膜の透明性が良好である点から150nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることがより好ましい。下限値は特段限定されないが、通常1nm以上が好ましく、原料の入手が容易である点から、さらに好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。
一方、上記範囲の無機粒子の運動は、重力による沈降よりも熱拡散が支配するため、ハードコート液中に安定に粒子を分散可能となり、さらにハードコート膜を形成した際に効果的に表面に無機粒子を存在させることができる。また、無機粒子の平均一次粒子径が小さいほど、光学特性が良好になる傾向がある。
本発明における無機粒子の平均一次粒子径は、TEMなどの電子顕微鏡により観察される粒子の大きさを平均した径をいう。
無機粒子の例としては、シリカ(オルガノシリカゾルを含む)、アルミナ、チタニア、ゼオライト、雲母、合成雲母、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、スメクタイト、合成スメクタイト、バーミキュライト、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモンなどが挙げられ、これらの無機粒子は1種のみ含有させることでもよく、2種以上を組み合わせてもよい。中でもシリカ(オルガノシリカゾルを含む)は原料の入手が容易であること、粒子表面の修飾が容易であり、分散安定性を確保しやすい点から好適に使用される。
シリカを水に分散させたコロイド状シリカは、表面修飾されたコロイド状シリカであることが、塗膜の透明性、積層体の耐候性、及び積層体の観点から好ましい。
コロイド状シリカの修飾には、加水分解性ケイ素基を有する化合物又は水酸基が結合したケイ素基を有する化合物を用いることができる。これらの化合物は、それぞれ、一種でも二種以上でもよい。加水分解性ケイ素基を有する化合物では、加水分解によりシラノール基が生成し、それらのシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在するシラノール基と反応して結合することにより表面修飾コロイド状シリカが生成する。
前記ケイ素基含有化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルオリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
または、メルカプト基を有するシランに、多官能(メタ)アクリレートまたは高分子量(メタ)アクリレートを付加した誘導体、イソシアネート基を有するシランに水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートを付加した誘導体などの変性したケイ素基含有化合物を用いても良い。
コロイド状シリカの表面修飾は、コロイド状シリカと加水分解性ケイ素基を含有する化合物、触媒、水を20〜100℃にて1〜40時間反応させることにより行うことができる。
前記表面修飾反応に使用する触媒としては、例えば、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の有機酸;アルカリ;アセチルアセトンアルミニウム、アルミニウム2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドエチルアセトアセテート、ホウ酸ブトキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテートが挙げられる。これらの触媒の使用量は、コロイド状シリカと加水分解性ケイ素基含有化合物の合計量100質量部に対して0.0001〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。また、前記表面修飾反応における水の量は、加水分解性ケイ素基に対して0.5〜100当量であることが好ましく、1〜30当量であることがより好ましい。
また、前記コロイド状シリカは、酸性又は塩基性のコロイド状シリカのうち、酸性のコロイド状シリカであることが好ましい。
本発明に用いられる無機粒子は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対し、5重量部以上含有させることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、20重量部以上であることが更に好ましい。また、70重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましく、40重量部以下であることが更に好ましい。
<調製方法>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の調製方法は特段限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル共重合体と多官能(メタ)アクリレートを、必要に応じて、溶媒、重合開始剤、添加剤などと併せて混合することにより調製することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の調製で用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、(メタ)アクリロイル共重合体、多官能(メタ)アクリレート、塗布の下地となる基材の材質、および組成物の塗布方法などを考慮して適宜選択される。用いることができる溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられ
る。
これらの溶媒を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。これらの溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒およびケトン系溶媒が好ましく使用される。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。このような添加剤として、レベリング剤、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の添加剤が挙げられる。
前記レベリング剤としては、例えば、またはパーフルオロアルキル基あるいはパーフルオロアルキレン骨格を含有する化合物、ポリジメチルシロキサン構造を含有する化合物などが挙げられる。前記活性エネルギー線硬化性組成物における前記レベリング剤の含有量は、透明性、塗布外観、密着性、硬度の観点から0〜5質量部であることが好ましく、0〜2質量部であることがより好ましく、0〜1質量部であることがさらに好ましい。
<ハードコートフィルム>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材の上などに塗布し、フィルム状に硬化させることで、本発明のハードコートフィルムが得られる。また、基材として他の樹脂フィルム上に本発明の組成物を塗布し、硬化させることにより、ハードコートフィルムを成形することで、ハードコート層を有するフィルム積層体が得られる。
プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、またはメタクリル酸メチル(MMA)共重合体(例えばメタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(MS樹脂))、ポリカーボネート、特殊ポリカーボネート(例えば、帝人製「ピュアエース」)、トリアセチルセルロース、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、変性ポリオレフィン樹脂、水素化ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系透明樹脂(例えばJSR製「ア−トン」、日本ゼオン製「ゼオノア」など)等が挙げられる。
その他の透明基材として、例えば、熱硬化性や光硬化性の透明樹脂(例えば、透明エポキシ樹脂、透明ウレタン樹脂、熱硬化性のアクリル系樹脂、光硬化性のアクリル系樹脂、熱硬化性の各種有機無機ハイブリッド樹脂、光硬化性の各種有機無機ハイブリッド樹脂などの硬化物)を使用し、その上に塗布しても用いることができる。
これらのうち、光学物品用途で使用する場合、すなわち、透明基材として、光学用透明フィルム、光学用シート、光学用板状物を用いる場合、基材が、コーティング、溶融押し出し成形、ソルベントキャスト法のいずれかで形成された透明樹脂成形物であることが望ましい。
またこのような基材が光または熱で硬化可能な官能基を含む場合、該基材を活性エネルギー線照射または加熱により硬化させると、より好ましい場合がある。また、これらの基材は、成形品(物品)の形のものであっても良いし、基材と塗布面との間に他の層を介していてもよい。
本発明の易滑性コート剤の基材への塗布方法としては、特に限定されないが、スピンコート、デイップコート、フローコート、スプレーコート、バーコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート、エアナイフコート等を好ましく挙げることができる。
上記基材に上記塗布方法で塗膜を形成した後、加熱乾燥により揮発成分を除去し、次いで活性エネルギー線を塗膜に照射するなどの手段により、硬化膜が得られる。
このようにして得られる硬化膜の厚さは、特に定めるものではなく、例えば、5μm以
上であってもよいし、2μm以下であってもよい。本発明の易滑性コート剤は、薄膜化/厚膜化の両方が可能な点で極めて有用である。塗膜の厚さは特に好ましくは0.01〜50μm、硬度や易滑性を重視する場合は2〜20μmであることが特に好ましく、透明性を重視し、表面保護性などを比較的重視しない場合は0.04〜2μmであることが特に
好ましい。
硬化膜を得る際に活性エネルギー線を用いる場合、その照射法としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、または通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線、等の活性エネルギー線(エレクトロンビーム、EB)が挙げられる。このような活性エネルギー線で硬化した硬化膜は生産性・物性のバランスに優れ、特に好ましい。
ヘイズは、JIS K7136に準拠して、下記式より算出することができる。
H(%)=(Td/Tt)×100
H:ヘイズ(曇価)(%)
Td:拡散透光率(%)
Tt:全光線透過率(%)
なお、ヘイズの測定は、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
<ロール状フィルム積層体>
本発明のフィルム積層体は、基材フィルム上に本発明ハードコートを形成し、ロール状に巻き付けていくことにより製造される。
<表示装置>
本発明は、さらに、本発明の積層体フィルムと、光源とを含む表示装置に関する。この場合、積層体フィルムに含まれる基材は透光性基材であることが望ましい。また、光源は、基材の背面、すなわち基材の微細凹凸層とは反対側の面に配置され、そこから基材に向けて光を照射することが好ましい。
透光性基材としては、上記基材のなかでも、透光性のプラスチックフィルムおよびプラスチック板が好ましく、また必要に応じて、ガラスなどを使用してもよい。透光性プラスチックフィルムとしては、特に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルムが好ましく、透光性プラスチック板としては、特に、アクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルサルホン板、ポリウレタン板、ポリエステル板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板が好ましい。透光性基材として、PETフィルムを使用するのが強度などの点から好ましい。なお、透光性基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25〜1000μm程で用いられる。
上記フィルム積層体と組み合わせることのできる光源としては、光を発することのできるものであれば特に限定はないが、例えば、光源としては、発光ダイオード、冷陰極管、熱陰極管、ELなどが挙げられる。本発明の表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上
フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。また、光源として、液晶モジュール、バックライトユニットなどを使用してもよい。
光透過性部材として、各種の光透過性板、光透過性フィルムなどを使用することができる。光透過性板として、例えば強化ガラス、アクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルサルホン板、ポリウレタン板、ポリエステル板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板などが挙げられる。光透過性フィルムとして、例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム・BR>Aポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルムなどが挙げられる。光透過性部材として、アクリル板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、強化ガラスを用いるのがより好ましい。なお、光透過性部材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25〜1000μm程で用いられる。
液晶モジュールとする場合には、上記光源を含み、さらに、その上に偏光板/液晶セル/偏光板がこの順に配置された構成を有するものである。液晶セルは、一般に液晶表示装置に用いられているものならば特に制限されない。例えば、TN(Twisted Ne
matic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Ali
gnment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどを挙げることができる。
本発明の表示装置は、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオードディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネセンスディスプレイ)、VFD(蛍光ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)などといった、フラットパネルディスプレイに適用することができる。また、本発明の表示装置の作製に使用することのできる本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、これらの表示装置の屋外での使用が可能となる。例えば、広告などの情報掲示を目的としたパネルディスプレイとして屋外または半屋外に設置することが可能となる。
また、本発明の表示装置の屋外または半屋外での用途としては、タッチパネルが挙げられ、これは、画面上の表示を押さえることによって機器を操作する機構を有し、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(スマートホン、タブレット端末、PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館およびデパートなどの施設に設置される案内表示装置、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置などにおいて有用である。特に、指で触れた際の滑り感(指滑り性)が良好であるため、スマートホン、タブレット端末に特に好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において「部」とあるの
は「重量部」を意味する。
下記の実施例等で得られた配合液、及び該配合液から得られた硬化膜の物性は下記の方法により評価した。
(1)ヘイズ:JIS K−7136に従ってヘイズメーター(村上色彩技術研究所製「HAZE METER HM−65W」)にてヘイズ値を測定した。
(2)滑り性:静動摩擦計(協和界面科学社製「Triboster TS−500」)にて、面接触角(1×1cm四方)型の圧子に未処理PETを貼付し、硬化膜と未処理PETとの動摩擦係数μkを測定、以下の通り評価した。なお、△以上を合格とした。◎: 0.06以下
○: 0.07〜0.08
△: 0.09〜0.10
×: 0.11以上
(3)耐スチールウール摩耗性:#0000のスチールウール、加重160g/cmにて硬化膜表面を200往復擦り、試験後の硬化膜の傷付きの程度を以下の通り評価した。なお、△以上を合格とした。
◎: 傷0〜10本
○: 傷10〜30本
△: 傷30〜100本
×: 傷無数〜白化
(4)マジック拭き取り性:黒マジック(ゼブラ社製「マッキーケア黒」)にて1×1cmの範囲を黒く塗り、10秒静置後、表面を不織布(クラレ社製「KURAFLEX CLEAN WIPER」)で拭き取るという操作を繰り返し、拭き取り不可能(書き込んだマジックが黒く残る)となるまでの前記操作の回数を以下の通り評価した。なお、△以上を合格とした。
◎: 5回以上
○: 2〜4回
△: 1回
×: 0回
総合評価:
上記測定の結果、すべて△以上で合格。1つでも×があれば、不合格とした。
<合成例1>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)5重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)25重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さら
に、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK98.2重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F1)の溶液を得た。反応液の組成は(F1)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例2>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)40重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さ
らに、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F2)の溶液を得た。反応液の組成は(F2)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例3>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0721」)10重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)20重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さら
に、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK98.2重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F3)の溶液を得た。反応液の組成は(F3)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例4>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0721」)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)60重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)10重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さら
に、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK98.2重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.6重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)31重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F4)の溶液を得た。反応液の組成は(F4)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例5>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)10重量部、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0721」)10重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)40重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加し
た後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F5)の溶液を得た。反応液の組成は(F5)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例6>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)10重量部、数平均分子量1,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0711」)10重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)40重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加し
た後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F6)の溶液を得た。反応液の組成は(F6)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例7>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0721」)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)45重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)25重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さら
に、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇
温し、30分間撹拌した後、MIBK83.5重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.5重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)23.2重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F7)の溶液を得た。反応液の組成は(F7)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例8>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量5,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0721」)5重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)55重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに
、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F8)の溶液を得た。反応液の組成は(F8)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例9>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)30重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)40重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで
昇温し、3時間撹拌した後、さらに、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F9)の溶液を得た。反応液の組成は(F9)/MIBK=35/65(重量比)であった。
<合成例10>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量10,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0725」)30重量部、シクロヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルCH」)60重量部、N,N―ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルDM」)10重量部、メチルエチルケトン(MEK)200重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.08重量部を添加した後、系内を60℃まで昇温し、4時間撹拌した後、さらに、V−65を0.04重量部添加して60℃で2時間撹拌した。系内を80℃まで昇温し、2時間撹拌した後、ジエチル硫酸(和光純薬工業製)9.8重量部、MEK4重量部を加え、系内を70℃
にて8時間撹拌し、共重合体(F10)の溶液を得た。反応液の組成は(F10)/MEK=35/65(重量比)であった。
<合成例11>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量1,000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC社製「サイラプレーンFM−0711」)20重量部、グリシジルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルG」)30重量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルM」)40重量部、ステアリルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルS」)10重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)150重量部を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)0.06重量部、1-ドデカンチオール(和光純薬社製)0.09重量部を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さら
に、V−65を0.06重量部添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK68.8重量部を加え、再度系内を100℃まで昇温する。p−メトキシフェノール(和光純薬工業社製)0.05重量部とトリフェニルホスフィン(和光純薬工業社製)2.3重量部を添加した後、アクリル酸(三菱化学社製)15.5重量部を加え、110℃まで昇温し6時間撹拌し、共重合体(F11)の溶液を得た。反応液の組成は(F11)/MIBK=35/65(重量比)であった。
(F1)〜(F8)の構造単位(A)、(B)、(C)の含有比率(重量比)および(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と(B)の重量比(%)を乗じた値((A)のMn×(B)の重量比)を表1に示した。
Figure 2014193943
<実施例1〜8、比較例1〜3>
合成例1〜11で得られた共重合体(F1)〜(F11)の溶液、及び硬化性モノマーを固形分比で表2に示した組成になるように配合し、さらに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製「Irgacure184」)を2.5重量部添加した後、メチルエチルケトンで固形分が40%になるように希釈し、配合とした。
得られた配合液を厚さ188μmのPETフィルム(三菱樹脂社製「O300E188」)上に乾燥後の塗膜が10μmとなるようにバーコーターにて塗布し、80℃で2分間加熱して塗膜を乾燥させた。次いで、出力120W/cmの高圧水銀灯を使用し、光源下15cmの位置で、上記の各塗膜に積算で500mJ/cmの紫外線を照射し、硬化膜を得た。
各硬化膜につき、上記(1)〜(3)の測定を行い、結果を表2に示した。
Figure 2014193943
実施例および比較例を対比すると、比較例1〜5および8〜10は、シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が本願の実施例よりも低いため、滑り性と耐SW性の両方は満足に向上しなかった。
比較例4は耐SW性が良好であるが、動摩擦係数が高く、滑り性が満足に向上していない。
比較例6は、シリコーンモノマーを有さないため、滑り性、耐SW性、マジック拭き取り性のすべての結果が満足に向上していない。
比較例7は、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)を有しないため、耐SW
性が満足に向上していない。
比較例8〜10はシリコーンモノマー(A)の分子量が小さいため、動摩擦係数が高く、滑り性が満足に向上していない。

Claims (9)

  1. 少なくともアクリル系共重合体と活性エネルギー線硬化性化合物とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
    アクリル系共重合体(α)が、以下の共重合体(β)に化合物(γ)を付加して得られたものであり、
    シリコーンモノマー(A)のうち、最も数平均分子量が高い化合物の数平均分子量(g/mol)と、共重合体(β)中でのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の重量比(%)を乗じた値が250000以上であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    共重合体(β):構造式(I)で表されるシリコーンモノマー(A)、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)およびその他共重合可能なモノマー(C)の共重合体
    化合物(γ):分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
    Figure 2014193943
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数1〜12のアルキレン基、RおよびRはそれぞれメチル基又はフェニル基、nは10〜100の整数を表し、RおよびRは、相互に同一でも異なっていてもよい。また、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
  2. シリコーンモノマー(A)の数平均分子量が3,000〜20,000である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. アクリル共重合体が共重合可能なモノマー(C)として、炭素数4〜22の直鎖または分岐型アルキル(メタ)アクリレートから少なくとも一つ選ばれる(メタ)アクリレートを含む請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 分子内にカルボキシル基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(γ)が(メタ)アクリル酸である請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記アクリル系共重合体(α)を0.05重量%〜10重量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. 活性エネルギー線硬化性化合物が、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含むコート剤。
  8. 請求項7に記載のコート剤を硬化して得られる層を含むフィルム、シート、または成型品。
  9. 請求項8に記載のフィルム、シート、または成型品が透明である光学用フィルム、シー
    トまたは成型品。
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