JP2023143995A - 硬化物 - Google Patents

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Nobuaki Sasaki
純 伊藤
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健太郎 内野
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Abstract

【課題】ぎらつきのない、艶消し性に優れた表面が得られ、建築建材、ディスプレイ関連、加飾フィルム等の表面の視認性、意匠性等を向上する。【解決手段】表面に算術平均粗さRaが0.01μm以上のしわ状構造を有する硬化物。【選択図】なし

Description

本発明は、艶消し性、光拡散性に優れ、ぎらつきを抑制できるしわ状の表面構造を有する硬化物に関する。
壁紙等の建築建材、ディスプレイ関連、加飾フィルム等の用途に、艶消し性、光拡散性、凹凸感等を付与し、視認性、意匠性等を向上するために、基材の表面に微細な凹凸を付与することが行われている。
たとえば、特許文献1には、建材用化粧シートや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パソコンなどのOA製品の各種部品や包装容器などを成型により製造する際の転写箔用フィルムとして、ヘアーライン加工やサンドブラスト加工、梨地加工等により凹凸形状を設ける方法が開示されている。
また特許文献2には、液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いられる光拡散フィルムの表面凹凸の形成方法として、樹脂バインダーにアクリル系粒子を分散させる方法が開示されている。
特開2004-231727号公報 特開平7-218705号公報
しかし特許文献1記載の、ヘアーライン加工や梨地加工では十分な艶消し効果得られず、また、サンドブラスト加工では、フィルム中に残った砂が品質上の問題となることがある。
また特許文献2に記載の方法では、アクリル系粒子が使用中に脱落することで、ディスプレイの視認性に支障をきたすことがある。
本発明はこれらの問題を解決することを目的とする。
本発明の要旨は、表面に、しわ状構造を有する硬化物であって、前記硬化物の表面の算術平均粗さRaが0.01μm以上である硬化物にある。
本発明の硬化物は、ぎらつきが抑制され、艶消し性に優れた表面が得られ、建築建材、ディスプレイ関連、加飾フィルム等の表面の視認性、意匠性等を向上することができる。
しわ状構造の例
本発明の硬化物は表面にしわ状構造を有する。本発明において、しわ状構造とは、一般にリンクル構造として知られている、表面層が座屈して得られる波上の凹凸構造であり、たとえば図1に示すような迷路状の構造をいう。
本発明における、前記硬化物の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上である。
前記算術平均粗さRaが0.01μm以下では、艶消し性が不十分となる。
前記算術平均粗さRaは、硬化物の耐擦傷性と艶消し性を両立させる観点から、0.05μm以上、2μm以下が好ましい。
また本発明における前記しわ状構造の凹凸の傾斜角θaは硬化物の耐擦傷性と艶消し性を両立させる観点から0.5°以上20°以下が好ましく、より好ましくは5°以上17°以下、さらに好ましくは7°以上15°以下である。
前記傾斜角θaは、本発明の硬化物の耐擦傷性の点から低い方が好ましく、艶消し性の点から高いほうが好ましい。
さらに本発明の硬化物の凹凸周期(粗さ曲線要素の平均長さ)Rsmは0.5μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上20μm以下、さらに好ましくは3μm以上15μm以下である。前記Rsmが30μmを超えると、本発明の硬化物を防眩性フィルムとして用いた場合に表面のぎらつきが問題となり、0.5μmより低いと十分な艶消し性が得られない。
また本発明における前記しわ状構造の最大高さRzは硬化物の耐擦傷性と艶消し性を両立させる観点から、0.02μm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以上4μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。
前記Rzは、本発明の硬化物の耐擦傷性の点から低い方が好ましく、艶消し性の点から高いほうが好ましい。
本発明における前記しわ状構造の算術平均粗さRa、平均長さRsm、最大高さRz、傾斜角θaは、JIS B 0601-2001に準拠し、光干渉法にて測定した値である。
なお、測定は、表面形状計測システム(株式会社日立ハイテクノロジーズ「VertScan」(登録商標)R5500)を用いて、硬化物表面において、縦237.65μm、横178.25μmの四角形の領域の測定を行い、補完およびベースライン補正を行い、データを読み取った。なお、測定時における対物レンズの倍率は20倍に設定した。
また本発明のしわ状構造を有する硬化物の60°光沢度は艶消し性と透明性を両立させる観点から1以上90以下であり、より好ましくは3以上70以下、さらに好ましくは5以上50以下である。
さらに、本発明のしわ状構造を有する硬化物を防眩性フィルム等の透明性を必要とする用途に用いる場合、ヘイズ15%以上、全光線透過率85%以上であることが好ましい。
前記ヘイズは硬化物の透明性と艶消し性を両立させる観点から15%以上95%以下が好ましく、より好ましくは20%以上93%以下、さらに好ましくは50%以上90%以下である。前記ヘイズは艶消し性の点から高いほうが好ましく、透明性の点から低い方が好ましい。
また、前記全光線透過率は硬化物の透明性と艶消し性を両立させる観点から、85%以上99%以下が好ましく、好ましくは87%以上97%以下、さらに好ましくは89%以上95%以下である。前記全光線透過率は、透明性の点から高いほうが好ましく、艶消し性の点から低い方が好ましい。
なお前記ヘイズ及び全光線透過率は、JIS Z8722(透過物体の照射及び受光の幾何条件)及びJIS K7361-1(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)JIS K7136(プラスチック-透明材料のヘ-ズの求め方)に準拠し、日本電色工業株式会社製SH7000を用いたときの波長550nmにおける測定値である。
さらに、本発明の硬化物の断面構造は、厚み方向に架橋密度の異なる2層以上の構造を有している。
表面側の層の厚さを300nm以下とし、且つ、他の層の合計が、300nmより大きいものとすることで良好な透明性を確保しつつ、表面にしわ状の凹凸構造を発現することができる。
前記断面構造は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の位相モード、ナノ赤外分光光度計、顕微ラマン分光等で確認できる。TEMでの観察は、硬化物の表層を接着剤(ヘンケルジャパン株式会社製ロックタイト)で固定後、ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの垂直断面の切片を作製し、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製TEM H7600型)を用いて行った。
前記断面構造における、厚み方向に架橋密度の異なる2層は、硬化膜の最表面の層に紫外線活性基を有する重合体Aが配置され、最表面から2番目の層に多官能(メタ)アクリレートBが配置されることで形成される。このため、厚み方向に架橋密度の異なる2層はいずれも有機物である。
次に、本発明の硬化物の製造方法の一例を示す。
本発明の硬化物のしわ状構造は、硬化性重合体組成物が硬化する際に塗膜の表面が先に硬化し硬化被膜を形成し、その後、塗膜の内部が硬化する際の収縮応力により、表面の硬化被膜が収縮し発現すると考えられる。
本発明の硬化物のしわ状構造は、活性エネルギー線の照射強度を強化し硬化性組成物の硬化時間を短くすることで、より小さいしわ状構造を得ることができ、活性エネルギー線の照射強度を低下し硬化性組成物の硬化時間を長くすることでより大きいしわ状構造を得ることができる。
さらに、本発明の硬化物のしわ状構造は、硬化性組成物の溶剤を除いた粘度を高くし流動性を低下させることで、より小さいしわ状構造を得ることができ、硬化性組成物の溶剤を除いた粘度を低く流動性を向上させることでより大きいしわ状構造を得ることができる。
本発明の硬化物は、たとえば、紫外線活性基を有する重合体A、多官能(メタ)アクリレートB及び有機溶媒Cを含む硬化性重合体組成物を、基材に塗布した後、熱風乾燥により溶剤を留去し、活性エネルギー線を照射することで得られる。
前記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、紫外線等が挙げられる。汎用性の観点から、活性エネルギー線としては紫外線が好ましい。
紫外線の発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、マグネトロンを利用した無電極UVランプ、LED等が挙げられる。
前記硬化性重合体組成物を硬化させる際の雰囲気としては、空気、窒素、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。実用性及び経済性の観点から、空気もしくは窒素が好ましい。活性エネルギー線として紫外線を使用する場合の好ましい硬化条件としては、例えば、高圧水銀灯を用いて波長340~380nmの積算光量が10以上3000mJ/cm以下となるように照射することが好ましい。
前記重合体Aは紫外線活性基を有する。本発明における紫外線活性基とは、活性エネルギー線の照射により、多官能アクリレートと重合体A自身を架橋させることができる官能基である。中でも紫外線等の活性エネルギー線の照射により分子内開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動反応等によってラジカルを発生するものが好ましい。
本発明では、発生したラジカルが多官能(メタ)アクリレートBと反応し架橋構造を形成できる。
前記紫外線活性基としては、通常、光開始剤に含まれるベンゾフェノン基、アセトフェノン基、ベンゾイン基、α-ヒドロキシケトン基、α-アミノケトン基、α-ジケトン基、α-ジケトンジアルキルアセタール基、アントラキノン基、チオキサントン基、ホスフィンオキシド基、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)基等が挙げられ、本発明の硬化性重合体組成物の硬化時に酸素阻害を受けにくく、表面硬化性が良好となる点でベンゾフェノン基、アセトフェノン基が好ましい。
前記重合体Aは、前記紫外線活性基を有する単量体を含む単量体混合物を共重合することで得られる。
前記紫外線活性基を有する単量体としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、α-ヒドロキシケトン類、α-アミノケトン類、α-ジケトン類、α-ジケトンジアルキルアセタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、ホスフィンオキシド類に不飽和二重結合が付与された化合物が挙げられる。
また、前記重合体Aが、紫外線活性基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含むことで、本発明の硬化性重合体組成物を基材に塗布し硬化する際に、塗膜表面側の前記重合体Aの濃度が高くなり、硬化物の表面にしわ状の凹凸構造を発現しやすくなる。
前記重合体Aは、単量体として前記紫外線活性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体混合物を共重合することで得られる。
前記紫外線活性基としてベンゾフェノン基を有する単量体としては、MCCユニテック株式会社の4-メタクリロイルオキシベンゾフェノンや、ALLNEX社のEBECRYL P36やEBECRYL P37などが挙げられる。
また、前記紫外線活性基を有する単量体は、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアナートに1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンを付加させる方法や、(メタ)アクリル酸無水物や(メタ)アクリル酸クロリドに1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンを付加させる方法などによって調製することができる。
前記重合体Aは、紫外線活性基を有する単量体と紫外線活性基を有さない単量体を、溶液重合法、懸濁重合法などの一般的な重合法によって(共)重合することで製造することができる。操作が簡便で生産性が高い点で溶液重合法が好ましい。
また、前記重合体Aは、紫外線活性基を有さない炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含むことが好ましい。
前記紫外線活性基を有さない炭素数4以上のアルキル基を有さない(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含むことで、本発明の硬化性重合体組成物を基材に塗布し硬化する際に、硬化物の表面の前記重合体Aの濃度が高くなり、しわ状の凹凸構造を発現しやすくなる。
前記繰り返し単位の前記重合体A100質量部中の含有量は、1質量部以上90質量部以下であることが好ましく、5質量部以上80質量部以下がより好ましく、10質量部以上60質量部以下がさらに好ましい。
前記紫外線活性基を有さない炭素数4以上のアルキル基を有する単量体としては、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなど挙げられる。これらの中でも、硬化物表面の前記重合体Aの濃度が高くなり、しわ状の凹凸構造を発現させる点で、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、前記重合体Aは、硬化物表面からの硬化を行う点で水酸基、メルカプト基、アミノ基、アミド基等の水素供与性官能基を有する単量体由来の繰り返し単位を含むことが好ましい。
前記繰り返し単位の前記重合体A100質量部中の含有量は、1質量部以上40質量部以下が好ましく、2質量部以上35質量部以下がより好ましく、5質量部以上25質量部以下がさらに好ましい。
前記水素供与性官能基を有する単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルアセトアミドなどのアミノ基もしくはアミド基を有する単量体などが挙げられる。これらの中でも、紫外線活性基との併用において硬化促進効果に優れる点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートや、(N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、前記重合体Aは、前記以外のその他の繰り返し単位を含んでいてもよく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、フェニルジオキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルフォリン(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等の単量体由来の構成単位を含んでいても良い。
前記硬化性重合体組成物中の紫外線活性基を有する重合体Aの濃度は、硬化性重合体組成物の硬化性、生産性を確保することと、しわ状の凹凸構造を良好に形成する観点から0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下が好ましい。
さらに前記重合体Aの重量平均分子量は1000以上500000以下が好ましい。硬化性重合体組成物を基材に塗布し硬化する際に、塗膜表面側の前記重合体Aの濃度が高くなり、硬化物の表面にしわ状の凹凸構造を発現しやすくなる点で、2000以上100000以下がより好ましく、3000以上50000以下がさらに好ましい。
本発明において重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算による値である。
前記重量平均分子量は以下測定条件によって測定することができる。
(GPC測定条件)
カラム:「TSK-gel superHZM-M」、「TSK-gel HZM-M」、「TSK-gel HZ2000」
溶離液:THF
流量:0.35mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
検出器:UV-8020
熱風乾燥時に紫外線活性基を有する重合体Aを気層界面に濃縮させ、活性エネルギー線照射時に表面にしわ状の凹凸構造を発現させやすくなる点で前記重合体Aのガラス転移温度は-30℃以上130℃以下が好ましく、0℃以上110℃以下がより好ましく、25℃以上100℃以下がより好ましい。
本発明においてガラス転移温度は以下のFoxの式による共重合体のガラス転移温度Tg(℃)の関係式で計算した値である。
1/(273+Tg)=Σ{Wi/(273+Tgi)}
Wi:単量体iの質量分率
Tgi:単量体iの単独重合体のTg(℃)
尚、単独重合体のガラス転移温度は、「ポリマーハンドブック 第4版 John Wiley & Sons著」に記載の数値を用いた値である。
前記硬化性重合体組成物中の重合体Aの含有量は、硬化物の表面への凹凸形状の付与及び紫外線硬化性を良好とする点で硬化性重合体組成物100質量部中に0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、0.7質量部以上10.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上7.0質量部以下がさらに好ましい。
前記多官能(メタ)アクリレートBは、一分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有する化合物である。多官能(メタ)アクリレートBは、得られる硬化物の硬度や硬化性重合体組成物の硬化性を高める作用がある。
前記多官能(メタ)アクリレートBとしては1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、グリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。また、上記化合物のアルキル変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートや、上記以外の脂肪族ポリオールの(メタ)アクリレート、さらに、デンドリマーまたはハイパーブランチポリマーと称される、アクリレート基を末端に有する樹枝状脂肪族化合物が挙げられる。アクリレート基を末端に有する樹枝状脂肪族化合物は市販品としてビスコートV#1000、V#5020、STAR-501(何れも大阪有機化学工業社製)などが挙げられる。前記の多官能アクリレート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多官能(メタ)アクリレートBのなかでも得られる硬化物の硬度や硬化性重合体組成物の硬化性が高くなる点でジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ビスコートV#1000、V#5020、STAR-501などが好ましい。
また、硬化性重合体組成物の硬化性が良好となる点から、前記多官能(メタ)アクリレートBの含有量は、硬化性重合体組成物100質量部に対し80.0質量部以上99.5質量部以下が好ましく、90.0質量部以上99.3質量部以下がより好ましく、93.0質量部以上99.0質量部以下がさらに好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は紫外線活性基を有する重合体Aと有機溶媒Cを除いた成分の粘度が、25℃の条件下にてE型粘度計で測定したときに、3.0mPa・s以上30000mPa・s以下となるよう調整するのが好ましい。より好ましくは5.0mPa・s以上20000mPa・s以下であり、さらに好ましくは、10mPa・s以上6500mPa・s以下である。
粘度の好適な範囲は、活性エネルギー線を照射する際の雰囲気の温度にも依るが、前記粘度を、30000mPa・s以下とすることにより、前記硬化物の表面の算術平均粗さRaを0.01μm以上とすることができる。
さらに本発明では前記有機溶媒Cを含むことにより、本発明の硬化性重合体組成物を基材に塗布する際の作業性が向上する。
前記有機溶媒Cとしてはトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒のうち、塗布における作業性が向上する点でエステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。
また前記有機溶媒Cの含有量は、硬化性重合体組成物100質量部に対し塗布操作における操作性が向上する点で、10質量部以上1900質量部以下が好ましく、40質量部以上400質量部以下がより好ましい。
さらに、前記硬化性重合体組成物は有機溶媒、重合開始剤、レべリング剤、無機粒子、その他の成分を含んでいてもよい。
前記硬化性重合体組成物は、紫外線の照射によりラジカルを発生する紫外線活性基を有する重合体Aにより十分な光硬化性を有するが、硬化性を促進する目的で重量平均分子量1000以下の光重合開始剤を添加することができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ピバロインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1-ジクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられる。
前記光重合開始剤は、重合体Aより優先して硬化をしない程度に添加するのが良い。重合体組成物100質量部に対する前記光重合開始剤の添加量は、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。
前記硬化性重合体組成物は、粘度の調整や活性エネルギー線による硬化速度の調整のため、一分子中に1つの不飽和二重結合を有する単官能(メタ)アクリレートを添加することができる。
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ポリウレタンモノ(メタ)アクリレート、ポリエポキシモノ(メタ)アクリレート、ポリエステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記硬化性重合体組成物は、硬化物外観を向上させるため、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。また、レベリング剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記硬化性重合体組成物は、艶消し性をさらに向上させる場合には、平均一次粒子径が0.01μm以上10μm以下の有機もしくは無機粒子を硬化性重合体組成物に添加させることでより高い艶消し性を有する硬化物を得ることができる。前記有機粒子および前記無機粒子は2種以上を用いても良い。
また、前記無機粒子は(メタ)アクリロイル基などの反応性基を有するシランカップリング剤で表面修飾した粒子でも良い。表面修飾した粒子は、例えば、重合体と無機粒子とを酸や塩基、アセチルアセトンアルミニウム等のシランカップリング反応触媒の存在下に25℃~120℃で1時間~24時間程度反応させる方法が挙げられる。
前記硬化性重合体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、チオール基を含有する化合物などの重合促進剤、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加しても良い。
本発明の硬化物は、前記硬化性重合体組成物を基材に塗布した後、得られた硬化物を乾燥し、紫外線を照射し得られる。
前記基材としては各種重合体フィルム及び重合体板、重合体成形体等を使用することができる。重合体フィルムとして、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系重合体フィルム、ポリウレタン系重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。また、重合体板及び重合体成形体として、例えばアクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルスルホン板、ポリウレタン板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板等が挙げられる。また、必要に応じてガラス等を使用することもできる。なお、基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25μm~1,0000μm程度のものが用いられる。
塗布の方法は特段限定されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート等の方法により塗布することができる。
硬化性重合体組成物の乾燥は、硬化性重合体組成物を硬化させる前に予め加熱乾燥させることが好ましい。塗布された塗膜を硬化させる前に加熱乾燥する場合は、30℃以上200℃以下が好ましく、40℃以上150℃以下がより好ましい。また、乾燥時間は、0.01分以上30分以下が好ましく、0.1分以上10分以下がより好ましい。予め加熱乾燥させることにより、塗膜中の溶媒を効果的に除去することが可能であり、本発明の硬化性重合体組成物を基材に塗布し硬化する際に、塗膜表面側の前記重合体Aの濃度が高くなり、硬化物の表面にしわ状の凹凸構造を発現しやすくなる。
紫外線の照射は、生産性の点から積算光量が100mJ/cm以上3000mJ/cm以下となるよう照射することが好ましい。光源としては、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、あるいは走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等高圧水銀灯、超高圧水銀灯等、低圧水銀灯などを用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、評価は以下の方法によって行った。
<評価方法>
<評価サンプル>
硬化性重合体組成物の塗布液を、厚さ100μmのPETフィルム(三菱ケミカル(株)製、O321E100)に#7のバーコーターで塗布し、得られた塗膜を100℃に加熱した熱風乾燥機で60秒間乾燥を行うことで溶剤を揮発させた。次いで、アイグラフィックス株式会社製のUVコンベアを用いて、高圧水銀灯により空気下で塗膜の硬化を行ったものを評価サンプルとした。
紫外線による硬化は、波長300~390nmの積算光量が、岩崎電気株式会社製の照度計(アイ紫外線積算照度計 UVPF―A1、PD-365)で測定した際に、250mJ/cm(250mW/J/cm)となるように調整し、約1秒の照射を2回(500mJ/cm)行った。
<ヘイズ、全光線透過率>
ヘイズおよび全光線透過率は、JIS Z8722Z(透過物体の照射及び受光の幾何条件)及びJIS K7361-1(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)JIS K7136(プラスチック-透明材料のヘ-ズの求め方)に準拠し、日本電色工業製SH7000を用いて波長550nmにおける値を測定した。
<光沢度>
JIS Z 8741に準拠し、日本電色工業社製グロスメーターVG2000を用いて、60°鏡面光沢度(60°グロス)の測定を行った。
<表面形状>
前記粗さ曲線要素の平均長さRsm、最大高さRz、算術平均粗さRa、傾斜角θaは表面形状計測システム(株式会社日立ハイテクノロジーズ「VertScan」(登録商標)R5500)を用いて、硬化物表面において、237.縦237.65μm、横178.25μmの四角形の領域における表面の凹凸形状を光干渉法にて測定し、補完およびベースライン補正を行い、データを読み取った。なお、測定時における対物レンズの倍率は20倍に設定した。
<硬化膜の垂直断面構造>
硬化物の表層を接着剤(ヘンケルジャパン株式会社製ロックタイト)で固定後、ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの垂直断面の切片を作製した。作製した切片を透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製TEM H7600型)を用いて観察した。
<艶消し性>
蛍光灯を灯した室内で、蛍光灯と評価サンプルの距離を2.5mに設定して評価サンプルの表面への蛍光灯の映り込みを目視で評価した。
○:蛍光灯の反射像は、強くぼやけており、蛍光灯の輪郭が確認できない。
△:蛍光灯の反射像は、ぼやけているが、うっすらと輪郭を確認することができる。
×:蛍光灯の反射像は、鮮明ではっきりと輪郭を確認することができる。
<硬化性>
硬化性重合体組成物を、厚さ100μmのPETフィルム(三菱ケミカル(株)製、O321E100)に#7のバーコーターで塗布し、得られた塗膜を100℃に加熱した熱風乾燥機で60秒間乾燥を行った。乾燥後に、高圧水銀灯を用いて空気下、波長300~390nmの積算光量が、岩崎電気株式会社製の照度計(アイ紫外線積算照度計 UVPF―A1、PD-365)で測定した際に、250mJ/cm(250mW/J/cm)となるように調整し紫外線照射を行った。硬化物表面のタック(粘着性)が無くなるまでの照射回数を測定することで、硬化性重合体組成物の硬化性を評価した。
○:照射回数1回(250mJ/cm)で硬化膜表面のタック性が無くなる
△:照射回数2回(500mJ/cm)で硬化膜表面のタック性が無くなる
×:照射回数3回(750mJ/cm)でも硬化膜表面のタック性は無くならない。
<紫外線活性基を有する重合体A-1>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、メチルイソブチルケトン(MIBK)78.0部を入れて撹拌した。次いで、フラスコ内を窒素置換し65℃に昇温してメチルメタクリレート(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルM)30.0部、ステアリルメタクリレート(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリルエステルS)20.0部、4―メタクリロイルオキシベンゾフェノン(MCCユニテック(株)製)50.0部、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名:KBM-803)3.0部、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名:V-65)1.0部、MIBK78.0部の混合溶液を2時間かけて滴下した。さらに2時間後、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名:V-65)0.5部、MIBK0.6部の混合液を投入し、5時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却することで紫外線活性基を有する重合体A-1を重合した。前記A-1の固形分は40%であり、重量平均分子量(Mw)は10,700であった。また、ガラス転移温度は95℃であった。
<紫外線活性基を有する重合体A-2>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えたフラスコ中に、メチルイソブチルケトン(MIBK)78.0部を入れて撹拌した。次いで、フラスコ内を窒素置換し65℃に昇温して2-エチルヘキシルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名:アクリエステルEH)30.0部、ステアリルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名:アクリルエステルS)10.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名:アクリエステルDM)10.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名:アクリルエステルHO)10.0部、4―メタクリロイルオキシベンゾフェノン(MCCユニテック株式会社製)40.0部、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-803)3.0部、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65)1.0部、MIBK78.0部の混合溶液を2時間かけて滴下した。さらに2時間後、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、商品名:V-65)0.5部、MIBK0.6部の混合液を投入し、5時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却することで紫外線活性基を有する重合体A-2を重合した。前記A-2の固形分は40%であり、重量平均分子量(Mw)は5,700であった。また、ガラス転移温度は46℃であった。
<実施例1>
撹拌子を備えたフラスコ中に、紫外線活性基を有する重合体AとしてA-1を固形分として2.5質量部、多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)(E型粘度計で測定した粘度6850mPa・s)を固形分として90.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)(E型粘度計で測定した粘度500mPa・s)を固形分として10.0質量部、有機溶剤Cとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)105.6質量部、メチルエチルケトン(MEK)45.3質量部を添加した後に均一になるまで撹拌を行い、硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<実施例2>
多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として80.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)を固形分として20.0質量部とした以外は実施例1と同様に硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<実施例3>
多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として70.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)を固形分として30.0質量部とした以外は実施例1と同様に硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<実施例4>
多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として60.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)を固形分として40.0質量部とした以外は実施例1と同様に硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<実施例5>
多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として80.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)を固形分として20.0質量部とした以外は実施例5と同様に硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<実施例6>
多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として60.0質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製 商品名:V#300)を固形分として40.0質量部とした以外は実施例5と同様に硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す
<比較例1>
撹拌子を備えたフラスコ中に、紫外線活性基を有する重合体AとしてA-1を固形分として2.5質量部、多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)(E型粘度計で測定した粘度6850mPa・s)を固形分として100.0質量部、有機溶剤Cとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGM)105.6質量部、メチルエチルケトン(以下、MEK)45.3質量部添加した後に均一になるまで撹拌を行い、硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
<比較例2>
撹拌子を備えたフラスコ中に、紫外線活性基を有さない重合体として三菱ケミカル株式会社製 ダイヤナールBR80を固形分として10.0質量部、アクリル系微粒子として綜研化学株式会社製MX-300を固形分として10.0質量部、多官能のアクリレートBとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)を固形分として80.0質量部、光開始剤としてIGM Resins社製 Omnirad127を固形分として3.0質量部、有機溶剤Cとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGM)173.3質量部、メチルエチルケトン(以下、MEK)60.0質量部添加した後に均一になるまで撹拌を行い、硬化性重合体組成物の塗布液を調製した。得られた塗布液の硬化物の評価結果を表1に示す。
比較例1では、多官能(メタ)アクリレートBの粘度が高いため、硬化物の表面の算術平均粗さRaが小さくなり、艶消し性が得られなかった。
比較例2では、しわ状の構造が得られず、艶消し性が得られず、ぎらつきの抑制が不十分であった。

Claims (7)

  1. 表面に、しわ状構造を有する硬化物であって、
    前記硬化物の表面の算術平均粗さRaが0.01μm以上である硬化物。
  2. 前記しわ状構造の凹凸の傾斜角θaが0.5°以上20°以下である請求項1に記載の硬化物。
  3. 前記しわ状構造の凹凸間周期Rsmが5μm以上20μm以下である請求項1又は請求項2に記載の硬化物。
  4. 前記しわ状構造を有する硬化物の60°光沢度が1以上90以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の硬化物。
  5. 硬化物が厚み方向に架橋密度の異なる2層以上の構造を有し、
    表面側の層の厚さが300nm以下であり、
    他の層の合計が、300nmより大きい請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬化物。
  6. 表面側の層と他の層がいずれも有機物である請求項5に記載の硬化物。
  7. 基材の表面に請求項1から請求項6のいずか1項に記載の硬化物が積層された積層体。
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