JP6098225B2 - 積層体およびロール状積層体 - Google Patents
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Description
しかしながら、このようにハードコーティング後のPETフィルムをロール状に巻回することで、ハードコーティング面同士やハードコーティング面と他のフィルム面が接触することとなり、この接触により予期せずブロッキングが生じる場合がある。
また、樹脂及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド単位を含む特定の不飽和二重結合基含有モノマーを組成物中に含有させることにより、組成物に含有される樹脂を塗布後に相分離により析出させ、表面に凹凸を形成することでブロッキングを防ぐ方法が開示されている(特許文献2参照)。
また、後述する本願発明の特徴の一つであるSP値に着目した発明としては、特許文献3が開示する発明がある。特許文献3には、低SP値のポリマーをハードコート層の表面に偏析することで、オレフィンなどとの親和性(接着性)を向上する方法が記載されている(特許文献3参照)。
一方、上記特許文献2に開示の技術では、炭素数2〜4のアルキレンオキシド単位を含む特定の不飽和二重結合基含有モノマーのSP値に対して、別に含有させる樹脂のSP値を低く設定することで塗布後に樹脂を相分離により析出させている。しかしながら本発明者らが検討したところ、上記特許文献2に開示の技術では不飽和二重結合基含有モノマーにアルキレンオキシド単位を含むため、硬化させた際のハードコート層の硬度が低く、アンチブロッキング性と耐擦傷性が低くなる傾向があることが判明した。
さらに、特許文献3に開示の技術は、アンダーコート層に関する技術であり、アンチブロッキング性に関する記載はされていない。また、実際に特許文献3に記載の発明では、相分離成分が非架橋性であるため、凸部の硬度不足につながりアンチブロッキング性は不十分であることが判明した。
ッキング性能を有し、且つ高い硬度を有するハードコート層を形成し得る硬化性組成物を提供することを課題とする。
(1)少なくとも樹脂層の上に、ハードコート層を有する積層体であって、
ハードコート層に、水素結合性基の当量が1.25mmol/g以上(メタ)アクリロイル共重合体および多官能(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を含み、
直径100nm以上の粒子の含有量が1%以下であり、
ハードコート層の厚みが1〜10μmであり、
表面粗さRaが5nm以上であることを特徴とする積層体。
(2)ハードコート層のヘイズ値が3%以下であることを特徴とする(1)に記載の積層体。
(3)活性エネルギー線硬化性組成物が、側鎖に水素結合性基と不飽和二重結合を有する
(メタ)アクリロイル共重合体と、一分子中に二つ以上の不飽和二重結合基を有する多官
能(メタ)アクリレートとを含有し、
該(メタ)アクリロイル共重合体のSP値が、該多官能(メタ)アクリレートのSP値より高いことを特徴とする(1)または(2)に記載の積層体。
(4)活性エネルギー線硬化性組成物が、平均一次粒子径100nm未満の無機粒子を含有する該活性エネルギー線硬化性組成物である(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)活性エネルギー線硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対し、前記(メタ)アクリロイル共重合体を1〜20重量部含み、前記多官能(メタ)アクリレートを75〜98.5重量部含み、前記無機粒子を0.5〜5重量部含む(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)前記(メタ)アクリロイル共重合体は、重量平均分子量が1000以上100,000以下である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の積層体。
(7)前記(メタ)アクリロイル共重合体の有する水素結合性基が水酸基である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の積層体。
(8)前記多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の積層体。
(9)(1)〜(8)のいずれか1項に記載の積層体をロール状に巻回してなるロール状フィルム積層体。
より具体的には、以下のとおりである。
少なくとも樹脂層の上に、ハードコート層を有する積層体であって、
ハードコート層に、水素結合性基の当量が1.25mmol/g以上の(メタ)アクリロイル共重合体および多官能(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を含み、
直径100nm以上の粒子の含有量が1%以下であり、
ハードコート層の厚みが1〜10μmであり、
表面粗さRaが5nm以上であることを特徴とする積層体。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
官能(メタ)アクリレートと、を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、該(メタ)アクリロイル共重合体のSP値が、該多官能(メタ)アクリレートのSP値より高いことが、アンチブロッキング性が向上するため、好ましい。
本発明に用いられる(メタ)アクリロイル共重合体は、側鎖に水素結合性基と不飽和二重結合を有する。水素結合性基とは、他の官能基に存在する元素と水素結合し得る元素を含む官能基を意味し、具体的には水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、リン酸基などが挙げられるが、不飽和二重結合含有モノマーおよびオリゴマーへの付加反応が起きないことと、相溶性が良好であるため、好ましくは水酸基である。また、水素結合性基の量は特段限定されないが、1.25mmol/g以上であることが、相分離の発現を促進するため、好ましい。より好ましくは、2.50mmol/g以上、さらに好ましくは、3.00mmol/g以上、特に好ましくは3.50mmol/g以上である。また、9.0mmol/g以下であることが、活性エネルギー線硬化性組成物の塗液状態での均一性を確保するにあたり、好ましい。より好ましくは、8.50mmol/g以下、さらに好ましくは、8.00mmol/g以下、特に好ましくは7.00mmol/g以下である。本発明において、(メタ)アクリロイル共重合体が水素結合性基を有することで、(メタ)アクリロイル共重合体のSP値を多官能(メタ)アクリレートより高くすることが容易となり好ましい。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるい
はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物では、これらの(メタ)アクリロイル共重合体を1種単独で含んでいてもよく、また2種以上を含んでいてもよい。
本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートは、一分子中に二つ以上の不飽和二重結合基を有する多官能(メタ)アクリレートである。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物である、一分子中に二つ以上の不飽和二重結合基を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートのうち好ましくは、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートであり、具体的には、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ナノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に用いられる多官能(メタ)アクリレートは、エチレンオキシド(EO)単位を分子中に含むモノマーを実質的に含有しないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。エチレンオキシド(EO)単位を分子中に含むモノマーを含有しないことで、ハードコートとした際の十分な硬度を確保できる。なお、ここでいう実質的とは多官能(メタ)アクリレート全体100重量部に対し3重量部未満であることをいう。
また、本発明に用いられる(メタ)アクリロイル共重合体のSP値は14.0以上であることが好ましく、16.0以上であることがより好ましく、20.0以下であることが好ましく、18.0以下であることがより好ましい。
SP値とは、Solubility Parameter(溶解性パラメーター)の略
であり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
例えば、SP値は次の方法によって実測することができる[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)]。
なお、(メタ)アクリロイル共重合体のSP値を多官能(メタ)アクリレートのSP値以上とするためには、例えば(メタ)アクリロイル共重合体の側鎖に極性が高い基を多く含むように設計すればよく、例えば(メタ)アクリル酸の付加によりオキシラン骨格を持つモノマーを開環することで共重合体を調製する方法などが挙げられる。その他多官能(メタ)アクリレートのSP値が低くなるように設計すればよく、例えば脂環骨格を有する二官能以上のアクリレートを添加する方法などが挙げられる。
れぞれ、互いに反応する官能基を有しているのが好ましい。このような官能基を互いに反応させることによって、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる層の耐性を高めることができる。このような官能基の組合せとして、例えば、活性水素を有する官能基(水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基など)とエポキシ基、活性水素を有する官能基とイソシアネート基、エチレン性不飽和基とエチレン性不飽和基(エチレン性不飽和基の重合が生じる)、シラノール基とシラノール基(シラノール基の縮重合が生じる)、シラノール基とエポキシ基、活性水素を有する官能基と活性水素を有する官能基、活性メチレンとアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基などが挙げられる。
本願発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、直径100nm以上の粒子の含有量が1重量%以下であることを特徴としている。ヘイズの上昇防止ならびに二次凝集した粒子が目視されることを防止する観点から、10重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子を含有することが好ましい。平均一次粒子径が1μm以下である無機粒子と極性の高い(メタ)アクリロイル共重合体とを含有させることで、高い硬度を維持したまま良好なアンチブロッキング性を有するハードコートを形成し得る硬化性組成物を提供できる。
本発明においては、極性の高い(メタ)アクリロイル共重合体を多官能(メタ)アクリレートとともに含有させることで共重合体を相分離させることができることに加え、無機粒子を併せて加えることで、硬化させた際に、相分離した共重合体とともに無機粒子も表面付近に存在することとなる。そして、この共重合体及び無機粒子の存在により本発明の硬化性組成物はハードコート層とした際に表面に適度な凹凸を形成し、優れたアンチブロッキング性を有することから、無機粒子を含有することが好ましい。
本発明における無機粒子の平均一次粒子径は、例えば、TEMなどの電子顕微鏡により
観察される粒子の大きさを平均した径をいう。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギーにより硬化させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、硬化性組成物100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下加えることができる。
重合開始剤としては、光重合開始剤であればよく、例えば、2−ヒドロキシ−2メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタンノン−1などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。このような添加剤として、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の添加剤が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材の上などに塗布し、フィルム状に硬化させることで、本発明のハードコートフィルムが得られる。また、基材として他の樹脂フィ
ルム上に本発明の組成物を塗布し、硬化させることにより、ハードコートフィルムを成形することで、ハードコート層を有するフィルム積層体が得られる。本発明の積層体は、ハードコート層の厚みが1〜10μmであることを特徴としており、フィルムへの耐傷付性の付与とITOの結晶化工程における過熱処理にてPETフィルムからオリゴマーが析出さ
れること防ぐため、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、1.5μm以上が特に好ましい。また、加熱処理におけるハードコート熱収縮が引き起こすフィルムの反りを防止するため、10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
なお、Raを高くするためには、以下の方法が一例として挙げられる。
・ハードコート層の膜厚を厚くすること。
・SP値が低い多官能(メタ)アクリレートを用いたり、SP値が高い(メタ)アクリロイル共重合体を用いることで両者のSP値の差を大きくすること。
・活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル共重合体の含有量を増やすこと。
・活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の重合開始剤の含有量を減らすこと。
・硬化させる際のUV強度を下げること。
なお、上記表面粗さRaは、算術平均粗さ(Ra)を意味し、JIS B 0601−2001において規定されるパラメーターであり、例えば小坂研究所社製の高精度微細形状測定器、または(株)キーエンス製のカラー3Dレーザー顕微鏡などを用いて、JIS
B 0601−2001に準拠して測定することができる。
本発明の積層体は、ハードコート層のヘイズ値が3%以下であることが、良好な透明性を確保するにあたって必要であり、ヘイズ値としては、2.5%下がより好ましく、2%以下が特に好ましい。また、検出限界との関係から現実的には、0.01%以上が好ましく、0.1%以上が特に好ましい。
なお、ヘイズ値を低くするためには、以下の方法が一例として挙げられる。
・ハードコート層の膜厚を薄くすること。
・水酸基を含むSP値が高い多官能(メタ)アクリレートを用いたり、SP値が低い(メタ)アクリロイル共重合体を用いることで両者のSP値の差を小さくすること。
・活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の(メタ)アクリロイル共重合体の含有量を減らすこと。
・活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の重合開始剤の含有量を増やすこと。
・硬化させる際のUV強度を上げること。
リスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板などが挙げられる。なお、基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25〜1000μm程で用いられる。
好ましくは0.5〜1.5J/cm2の光を用いることができる。またこの照射光の波長
は特に限定されるものではないが、例えば360nm以下の波長を有する照射光などを用いることができる。例えば重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどを用いる場合は、照射光は310nm付近の波長を有する光を照射するのが好ましく、そしてさらに360nm付近の波長を有する光を照射するのがより好ましい。このような光は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯などを用いて得ることができる。このように光を照射することによって、相分離および硬化が生じることとなる。光を照射して相分離させることによって、硬化性組成物に含まれる溶媒の乾燥ムラに起因する表面形状のムラを回避でき、好ましい。
mJ/cm2以下となるよう照射することが好ましい。光源としては、高圧水銀灯、超高
圧水銀灯などを用いることができる。
以下が特に好ましい。
<塗布工程>
活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ188μmの透明な二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘイズ値 0.8%;三菱化学ポリエステル社製 商品名:ダイアホイルO321E)に、バーコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚が2〜3μmとなるように塗布し、80で1分間加熱乾燥する。
<硬化工程>
活性エネルギー線硬化性組成物の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを、出力密度120W/cmの高圧水銀灯を光源として、光源下15cmの位置で、アイグラフィック社製EYE UV METER UVPF−A1、PD365を使用して積算光量500mJ/cm2となるようにUVを照射して、硬化膜を得る。
上記表面粗さRaは、算術平均粗さ(Ra)を意味し、JIS B 0601−2001において規定されるパラメーターであり、例えば小坂研究所社製の高精度微細形状測定器、または(株)キーエンス製のカラー3Dレーザー顕微鏡などを用いて、JIS B 0601−2001に準拠して測定することができる。
Smは、例えば小坂研究所社製の高精度微細形状測定器、または(株)キーエンス製のカラー3Dレーザー顕微鏡などを用いて、JIS B0633に準拠して測定することができる。
全光線透過率(Tt(%))は、硬化物に対する入射光強度(T0)と硬化物を透過した全透過光強度(T1)とを測定し、下記式により算出される。
Tt(%)=(T1/T0)×100
なお、全光線透過率の測定は、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
H(%)=(Td/Tt)×100
H:ヘイズ(曇価)(%)
Td:拡散透光率(%)
Tt:全光線透過率(%)
なお、ヘイズの測定は、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
外部ヘイズおよび内部ヘイズの測定:
基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥・硬化して得たアンチブロッキング層のヘイズ(以下、ヘイズHAと記載する。)を測定し、そのアンチブロッキング層上に、アンチブロッキング層に用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成のうち、(メタ)アクリロイル共重合体を含まない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、(A’)と記載する。)を調製し、乾燥後2μm程度の塗膜厚みとなるようバーコーターで塗布し、80の電気オーブン中で1分間乾燥させる。その後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射量500mJ/cm2で照射して塗布層を硬化させる。このように、アンチブロッキング層上に表面凸凹の無い層を設けた塗膜を作成し、その塗膜のヘイズ(以下、ヘイズHTと記載する。)を測定する。同様に、上述のアンチブロッキング層と同じ厚みとなるように(A’)を塗布・乾燥・硬化した塗膜を形成しヘイズ(以下、ヘイズH1と記載する。)を測定する。さらに、表面凸凹の無い層と同じ厚みとなるように塗布・乾燥・硬化した塗膜を作成し、ヘイズ(以下、ヘイズH2と記載する。)を測定する。以下の式で算出される値をアンチブロッキング層を設けたときに発生する外部ヘイズとする。
外部ヘイズ=ヘイズHA−{ヘイズHT−(ヘイズH2−ヘイズH1)}
また、以下の式で算出される値を内部ヘイズとする。
内部ヘイズ=ヘイズHT−(ヘイズH2−ヘイズH1)
<ロール状フィルム積層体>
本発明のフィルム積層体は、巻回してロール状にした場合に、良好なアンチブロッキング性が発揮され、このような態様に好ましく適用される。
このようなロール状フィルム積層体は、基材フィルム上に本発明ハードコートを形成し、ロール状に巻き付けていくことにより製造される。
本発明は、さらに、本発明の積層体フィルムと、光源とを含む表示装置に関する。この場合、積層体フィルムに含まれる基材は透光性基材であることが望ましい。また、光源は、基材の背面、すなわち基材の微細凹凸層とは反対側の面に配置され、そこから基材に向けて光を照射することが好ましい。
熱陰極管、ELなどが挙げられる。本発明の表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。また、光源として、液晶モジュール、バックライトユニットなどを使用してもよい。
matic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Ali
gnment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セルなどを挙げることができる。
本願発明が効果を奏する理由としては、未だ明らかではないが、以下のとおり推察される。
すなわち、本願発明の積層体は、塗液の状態では、高SP値のアクリロイル共重合体と
低SP値のアクリルオリゴマーおよびアクリルモノマーがそれぞれ溶媒和しているため、均一系を保っているが、塗液の塗工と乾燥工程において溶媒は留去され、不均一系に変化する。
これによりサブミクロンオーダーの海島構造と微細な凹凸が乾燥塗膜に形成されることとなり、さらに活性エネルギー線により硬化処理を施すことによって、この微細凹凸は高い弾性率を獲得し、また熱力学的にも安定化されるため、フィルム同士のブロッキングを十分に防止可能となるものと推察される。
<合成例1:(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカ(AP1)>
(ステップ1)(メタ)アクリロイル共重合体Aの合成方法
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル157.3g、グリシジルメタクリレート98.0g、メチルメタクリレート1.0g、エチルアクリレート1.0g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.9g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを入れ、65℃で3時間反応させた。
次に、アクリル酸50.7g、及びトリフェニルホスフィン3.08gを添加して、110℃で6時間反応させることで、アクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量20,000でアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)4.47mmol/g、2級水酸基を4.47mmol/g含む(メタ)アクリロイル共重合体(A−1)を得た。なお、(メタ)アクリロイル共重合体(A−1)のSP値は17.8であった。
四つ口のフラスコに、合成例1で得た(メタ)アクリロイル共重合体(A−1)
3.75重量部に(C−1)コロイダルシリカ(日産化学製:MEK−ST(平均一次
粒子径10〜15nm))1.25重量部を投入し、シランカップリング反応の触媒とし
てアセチルアセトンアルミニウムを0.005重量部加え、70℃で4時間反応を行い、(メタ)アクリロイル共重合体(A−1)で表面修飾されたコロイダルシリカを調製した。
合成例1で得た(メタ)アクリロイル共重合体(A−1)をそのまま用いた。
<合成例3:(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカ(AP3)>
グリシジルメタクリレート79.0g、メチルメタクリレート20.0gとし、アクリル酸40.8gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
アクリル酸の代わりに、酢酸を42.2gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
<合成例5:(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカ(AP
5)>
アクリル酸の代わりに、乳酸を12.7g、アクリル酸40.5gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
アクリル酸の代わりに、乳酸を31.7g、アクリル酸25.3gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
<合成例7:(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカ(AP7)>
グリシジルメタクリレート69.0g、メチルメタクリレート30.0gとし、アクリル酸35.7gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
アクリル酸の代わりに、乳酸を63.3gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
<合成例9:(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカ(AP9)>
アクリル酸の代わりに、メタクリル酸を60.5gに変更した以外は実施例1と同様にして行った。
四つ口のフラスコに、(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを5重量部、次いで(O−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値12.1)95重量部に、添加剤としてアクリルポリマー(共栄社化学製:ポリフローNo.77)を1重量部配合したのち、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカルズ製:イルガキュア184)を5重量部加え、メチルエチルケトン157.5重量部加えることで、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−2)(メタ)アクリロイル共重合体に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例3>
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−3)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−4)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例5>
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−5)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(A
P−6)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例1>
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−7)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−8)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例3>
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを(AP−9)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを、平均一次粒子径1μm以下のアクリル微粒子(綜研化学株式会社製:ケミスノー8H3WT)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
<比較例5>
(AP−1)(メタ)アクリロイル共重合体で表面修飾されたコロイダルシリカを使用せず、(O−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値12.1)100重量部と変更した以外は、実施例1と同様に行った。
それぞれの実施例に用いた(メタ)アクリロイル共重合体の各種物性については、以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
濁度法に準拠する方法にて測定した。より具体的には、以下の条件である。
測定温度20℃で、アクリロイル共重合体を0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル)10gをピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解した。次に、この希釈溶液に50ml滴下ロートを用いて低SP貧溶媒(n−ヘキサン)を徐々に滴下し、樹脂溶液に濁りが生じた点を低SP貧溶媒の滴下量とした。また、別途、上記希釈溶液に高SP貧溶媒(イオン交換水)を徐々に滴下し、樹脂溶液に濁りが生じた点を高SP貧溶媒の滴下量とした。樹脂のSP値は、上記各貧溶媒の濁点に至るまでの滴下量から算出することができる。
<塗布工程>
活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ188μmの透明な二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘイズ値 0.8%;三菱化学ポリエステル社製 商品名:ダイアホイルO321E)に、バーコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚が2〜3μmとなるように塗布し、80℃で1分間加熱乾燥した。
活性エネルギー線硬化性組成物の塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを、出力密度120W/cmの高圧水銀灯を光源として、光源下15cmの位置で、アイグラフィック社製EYE UV METER UVPF−A1、PD365を使用して積算光量500mJ/cm2となるようにUVを照射して、硬化膜を得た。
得られた硬化膜に対し、評価試験を行った。その結果を表3に示す。なお、評価方法は以下のとおりである。
ミツトヨ製の接触式の膜厚測定装置を用いて膜厚を測定した。
<全光線透過率>
得られた硬化膜を23℃、相対湿度60%の恒温室に12時間放置した後、硬化膜の透明性をJIS K−7105に従い、ヘイズメーターにて評価した。
得られた硬化膜を23℃、相対湿度60%の恒温室に12時間放置した後、硬化膜の透明性をJIS K−7105に従ってヘイズ値(H%)で評価し、PETフィルムのヘイズ値(H%)を差し引くことで、硬化膜のヘイズ値(H%)を求め、以下の基準で評価を行った。
0.5未満:○
0.5〜1.0未満:△
1.0以上:×
得られた硬化膜に対し、JIS−K5600に従い鉛筆硬度を測定した。
<表面粗さRa>
得られた硬化膜を23、相対湿度60%の恒温室に12時間放置した後、硬化膜の表面
粗さRaをAFMにて測定した。なお、実施例3及び比較例1のみ測定を行った。
得られた硬化膜の表面に対して、ボンスター製スチールウール(#0000)を荷重500gで20往復させたときの傷を目視で観察し、以下の基準で耐摩耗性を評価した。この傷の入る本数が少ないほど、耐摩耗性に優れる。
傷の無いもの:◎
数本の傷が入るもの:○
無数の傷が入るもの:△
傷が酷くフィルムが白化するもの:×
硬化後の活性エネルギー線硬化性組成物によりコートされた基材を2枚用意し、23℃、相対湿度60%下で塗工面同士を重ね合わせ、指圧にて約1kgの荷重を負荷した後、塗工面同士が易滑性を有しているかを確認し、以下の基準で耐ブロッキング性の評価をした。
容易にずらすことができるもの:○
ずらすことは可能であるが音が鳴るもの:△
塗工面同士が密着して塗工面同士をずらすことが出来ない場合:×
<外部ヘイズの測定方法>
基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥・硬化して得たアンチブロッキング層のヘイズ(以下、ヘイズHAと記載する。)を測定し、そのアンチブロッキング層上に、アンチブロッキング層に用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の構成のうち、(メタ)アクリロイル共重合体を含まない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、(A’)と記載する。)を調製し、乾燥後2μm程度の塗膜厚みとなるようバーコーターで塗布し、80の電気オーブン中で1分間乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射量500mJ/cm2で照射して塗布層を硬化させた。このように、アンチブロッキング層上に表面凸凹の無い層を設けた塗膜を作成し、その塗膜のヘイズ(以下、ヘイズHTと記載する。)を測定した。同様に、上述のアンチブロッキング層と同じ厚みとなるように(A’)を塗布・乾燥・硬化した塗膜を形成しヘイズ(以下、ヘイズH1と記載する。)を測定した。さらに、表面凸凹の無い層と同じ厚みとなるように塗布・乾燥・硬化した塗膜を作成し、ヘイズ(以下、ヘイズH2と記載する。)を測定した。以下の式で算出される値をアンチブロッキング層を設けたときに発生する外部ヘイズとした。
外部ヘイズ=ヘイズHA−{ヘイズHT−(ヘイズH2−ヘイズH1)}
また、以下の式で算出される値を内部ヘイズとした。
内部ヘイズ=ヘイズHT−(ヘイズH2−ヘイズH1)
<表面粗さ(Ra)の測定方法>
光干渉型表面形状測定装置(Veeco社製 Wyko NT9100)を用いて、作製した塗膜の表面粗さを測定した。
Claims (9)
- 少なくとも樹脂層の上に、ハードコート層を有する積層体であって、
ハードコート層に、水素結合性基の当量が1.25mmol/g以上の(メタ)アクリロイル共重合体および多官能(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を含み、
活性エネルギー線硬化性組成物が、側鎖に水素結合性基と不飽和二重結合を有する (メタ)アクリロイル共重合体と、一分子中に二つ以上の不飽和二重結合基を有する多官能(
メタ)アクリレートとを含有し、
該(メタ)アクリロイル共重合体のSP値が、該多官能(メタ)アクリレートのSP値より1.0以上高く、
活性エネルギー線硬化性組成物の直径100nm以上の粒子の含有量が1重量%以下であり、
ハードコート層の厚みが1〜10μmであり、
ハードコート層の表面粗さRaが5nm以上、100nm以下である積層体。 - ハードコート層のヘイズ値が3%以下である請求項1に記載の積層体。
- 前記(メタ)アクリロイル共重合体のSP値が14.0以上20.0以下であり、多官能(メタ)アクリレートのSP値が8.0以上14.0以下である請求項1または2に記載の積層体。
- 活性エネルギー線硬化性組成物が、平均一次粒子径100nm未満の無機粒子を含有する該活性エネルギー線硬化性組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- 活性エネルギー線硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物100重量部に対し、前記(メタ)アクリロイル共重合体を1〜20重量部含み、前記多官能(メタ)アクリレートを75〜98.5重量部含み、前記無機粒子を0.5〜5重量部含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記(メタ)アクリロイル共重合体は、重量平均分子量が1000以上100,000以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記(メタ)アクリロイル共重合体の有する水素結合性基が水酸基である請求項1〜6
のいずれか1項に記載の積層体。 - 前記多官能(メタ)アクリレートは、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体をロール状に巻回してなるロール状フィルム積層体。
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