JP2017039371A - 車体前部構造 - Google Patents
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Abstract
Description
この車体前部構造は、エクステンションの前端部にバンパビームが車体前方からボルトで締結されている。このため、締結用のボルト、ナットなどの部材を必要とし、さらに、ボルトを締め付ける作業が必要になり、そのことがコストを抑える妨げになっている。
ここで、スモールオーバーラップ衝突とは、車幅の1/4(25%)の領域に相手車両や立木、電柱などの障害物が衝突することをいう。
外端部に亀裂が発生することにより、ミグ溶接部の全域に亀裂が発生してしまい、バンパビームの左端部がエクステンションの前端部から引き剥がされてしまう虞がある。
そこで、請求項1において、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に溶接した。よって、バンパビームに発生する曲げモーメントで、バンパビームの他方の端部を車体前方へ向けて移動させようとする際に、ビーム延長部がエクステンションの外側壁に押し付けられる方向に引っ張られる。
ビーム延長部が外側壁に押し付けられることにより、ビーム延長部およびエクステンションの外側壁の溶接部に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。これにより、エクステンションの外側壁からビーム延長部が引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
そこで、請求項2において、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に連続溶接し、連続溶接を上下方向へ延ばした。よって、バンパビームの他方の端部を車体前方へ移動させる荷重が、連続溶接した溶接部に直交するように作用し、溶接部に分散される。これにより、バンパビームの他方の端部を車体前方へ移動させる荷重を溶接部で支えることができ、エクステンションの外側壁からビーム延長部が引き離されることを防止できる。
そこで、請求項3において、ビーム延長部をビーム本体部の前壁から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出した。さらに、ビーム延長部とエクステンションとの間に空間を形成した。
よって、ビーム本体部の端部を、エクステンションの外側壁より車幅方向内側に配置できる。これにより、ビーム本体部の全長を短くでき、バンパビームの軽量化を図ることができる。
これにより、エクステンションの外側壁に車幅方向内側に曲げる荷重が入力した状態において、エクステンションを外側壁側から車幅方向内側に一層良好に変形させて衝撃荷重の吸収量を増すことができる。
入力した荷重を内側支持部で支えることにより、エクステンションの倒れを防ぐことができる。これにより、入力した荷重でエクステンションを良好に潰して、エクステンションで入力した荷重を良好に吸収できる。
入力した荷重を外側支持部で支えることにより、エクステンションの倒れを防ぐことができる。これにより、入力した荷重でエクステンションを良好に潰して、エクステンションで入力した荷重を良好に吸収できる。
そこで、請求項6において、ビーム本体部からセーフティプレートを車体前方に向けて突出させ、車体前方から入力する衝撃荷重をセーフティプレートで吸収するようにした。よって、歩行者の脚部(特に、膝関節)がセーフティプレートに当接した場合に、入力した衝撃荷重でセーフティプレートを潰すことができる。
これにより、入力した衝撃荷重をセーフティプレートで吸収して歩行者の脚部を保護できる。
これにより、スモールオーバーラップ衝突の際に入力する衝撃荷重の吸収量を増すことができる。
図1に示すように、車体前部構造10は、車体11の左右側に設けられた左フロントサイドフレーム12および右フロントサイドフレーム12と、左右のフロントサイドフレーム12間に設けられたフロントバルクヘッド13と、フロントバルクヘッド13に取り付けられる冷却手段14とを備える。
左ロアメンバ15および左アッパメンバ16は、略矩形枠状に形成される車体骨格部材である。
よって、ベース31および第1取付部材27が左フロントサイドフレーム12の前端部12aと左エクステンション18との間に介在される。換言すれば、左エクステンション18の後端部18aの内半部18bが左フロントサイドフレーム12の前端部12aにベース31および第1取付部材27を介して設けられる。
また、ベース31の外端から車体前方に外側支持部33が張り出される。この外側支持部33の先端33aが左エクステンション18の外側壁38の後端部38aに接合される。
左エクステンション18が車幅方向外側に広げられることにより、左エクステンション18の車幅方向の幅寸法が大きく確保される。これにより、左エクステンション18の衝撃荷重の吸収量が充分に確保される。
この状態において、軽衝突によりバンパビーム19に車体前方から衝撃荷重F1が入力した場合、入力した衝撃荷重F1で左エクステンション18を潰し、左エクステンション18で衝撃荷重F1を吸収できる。
すなわち、左ビーム延長部44は、ビーム前壁46の左端部43aから車幅方向外側かつ車体後方に向けて湾曲状に延びる(折り曲げられる)湾曲部51と、湾曲部51から車幅方向外側かつ車体後方に向けて直線状に延びる傾斜部52とを有する。
前端部38aに後端部52aが連続溶接されることにより溶接部53が形成される。溶接部53は、溶接長さL2となるように上下方向へ延びる。
同様に、右ビーム延長部44と右エクステンション18との間にビーム空間(空間)54が形成される(図2参照)。
これにより、ビーム本体部43の全長を短くでき、バンパビーム19の軽量化を図ることができる。
これにより、従来必要としたボルト、ナットを用いることなく、バンパビーム19を左エクステンション18に取り付けることができ、コストを抑えることができる。
よって、ビーム本体部43のビーム前壁46にセーフティプレート21を設けることにより、セーフティプレート21に歩行者の脚部(特に、膝関節)を当接させることができる。脚部がセーフティプレート21に当接することにより、入力した衝撃荷重F2でセーフティプレートを潰すことができる。
これにより、入力した衝撃荷重F2をセーフティプレート21で吸収して歩行者の脚部を保護できる。
図8(a)に示すように、車体11の前右側部に相手車両や立木、電柱といった障害物が衝突するスモールオーバーラップ衝突が生じる。スモールオーバーラップ衝突により、セーフティプレート21の右端部21c、ビーム本体部43の右端部(一方の端部)43bに衝撃荷重F3が車体前方から入力する。
ビーム本体部43の右端部43bに衝撃荷重F3が入力することにより、ビーム本体部43の左端部(他方の端部)43aを車体前方内側へ引っ張る曲げモーメントM1が発生する。
この状態において、ビーム本体部43の左端部43aを曲げモーメントM1で車体前方内側へ向けて移動させようとする際に、左ビーム延長部44(具体的には、傾斜部52)が左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに押し付けられる方向に引っ張られる。
傾斜部52の後端部52aが外側壁38の前端部38aに押し付けられることにより、傾斜部52の後端部52aおよび外側壁38の前端部38aの溶接部53に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。
これにより、ビーム本体部43の左端部43aを車体前方へ移動させる荷重を溶接部53で支えることができる。
これにより、傾斜部52の後端部52aを外側壁38の前端部38aに連続溶接するだけで、外側壁38の前端部38aから傾斜部52の後端部52aが引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
これにより、左エクステンション18を外側壁38側から車幅方向内側に矢印Aの如く変形させて、衝撃荷重F3(図8(a)参照)を吸収できる。このように、左エクステンション18を変形させることにより、スモールオーバーラップ衝突で入力した衝撃荷重F3を一層良好に吸収できる。
これにより、スモールオーバーラップ衝突の際に入力する衝撃荷重F3(図8(a)参照)の吸収量を増すことができる。
これにより、左エクステンション18を矢印Aの如く変形させる際に、左エクステンション18を車幅方向内側に一層良好に変形させて衝撃荷重F3(図8(a)参照)の吸収量を増すことができる。
図10に示すように、バンパビーム19(具体的には、ビーム本体部43)の左端部43aに衝撃荷重F5が車体後方かつ車幅方向内側に向けて斜めに入力する。
入力した衝撃荷重F5を内側支持部32で支えることにより、左エクステンション18が衝撃荷重F5で倒れることを防止できる。これにより、入力した衝撃荷重F5で左エクステンション18を良好に潰して、入力した衝撃荷重F5を左エクステンション18で吸収できる。
図11に示すように、バンパビーム19(具体的には、ビーム本体部43)の左端部43aに衝撃荷重F6が車体後方かつ車幅方向外側に向けて斜めに入力する。
入力した衝撃荷重F6を外側支持部33で支えることにより、左エクステンション18が衝撃荷重F6で倒れることを防止できる。これにより、入力した衝撃荷重F6で左エクステンション18を良好に潰して、入力した衝撃荷重F6を左エクステンション18で吸収できる。
なお、図12においては、バンパビーム72の構成の理解を容易にするためにセーフティプレート21を除去した状態を示す。
図12(a)、図12(b)に示すように、車体前部構造70は、実施例1のバンパビーム19を分割形のバンパビーム72に代えたもので、その他の構成は実施例1の車体前部構造10と略同様である。
実施例2のバンパビーム72は、ビーム本体部73、左ビーム延長部74および右ビーム延長部74(図13(a)参照)がそれぞれ個別の部材で形成されたもので、その他の構成は実施例1のバンパビーム19と略同様である。
左ビーム延長部74は、ビーム前壁76の左端部76aに溶接される前端部81と、前端部81から左エクステンション18の外側壁38に向けて傾斜状に延びる傾斜部82と、傾斜部82から車体後方に向けて延びて外側壁38に溶接される後端部83とを有する。
前端部38aに後端83aが連続溶接されることにより溶接部86が形成される。溶接部86は、溶接長さL4となるように上下方向へ延びる。
これにより、ビーム本体部73の全長を短くでき、バンパビーム72の軽量化を図ることができる。
加えて、ビーム本体部73と左ビーム延長部74とをそれぞれ別部材で形成することにより、ビーム本体部73、左ビーム延長部74の形状や材質などを決める際に設計の自由度を高めることができる。
図13(a)に示すように、ビーム本体部73の右端部(端部)73bにスモールオーバーラップ衝突による衝撃荷重F7が入力する。衝撃荷重F7によりセーフティプレート21の右端部21cや右エクステンション18などが潰され、衝撃荷重F7が吸収される。
ビーム本体部73の右端部73bに衝撃荷重F7が入力することにより、ビーム本体部73の左端部(端部)73aを車体前方内側に引っ張る曲げモーメントM2が発生する。
よって、ビーム本体部73の左端部73aを曲げモーメントM2で車体前方内側へ向けて移動させようとする際に、後端部83の後端83aが左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに押し付けられる方向に引っ張られる。
後端部83が外側壁38の前端部38aに押し付けられることにより、後端部83の後端83aおよび外側壁38の前端部38aの溶接部86に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。
すなわち、ビーム本体部73の左端部73aを車体前方へ移動させる荷重を溶接部86で支えることができる。
同様に、ビーム前壁76の左端部76aから左ビーム延長部74(具体的には、前端部81)の前端81aが引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
同様に、左ビーム延長部74(具体的には、前端部81)の前端81aをビーム前壁76の左端部76aに連続溶接するだけで、左ビーム延長部74の前端部81が剥離することを防止できる。
これにより、左エクステンション18を外側壁38側から車幅方向内側に変形させて、衝撃荷重F7(図13(a)参照)を吸収できる。このように、左エクステンション18を変形させることにより、スモールオーバーラップ衝突で入力した衝撃荷重F7を一層良好に吸収できる。
例えば、前記実施例1および前記実施例2では、車体11の前右側部にスモールオーバーラップ衝突が生じた例について説明したが、これに限らないで、車体11の前左側部へのスモールオーバーラップ衝突に本発明を適用することも可能である。
12 左右のフロントサイドフレーム
12a 左右のフロントサイドフレームの前端部
15 左右のロアメンバ
17 左右の取付部材
18 左右のエクステンション
19,72 バンパビーム
21 セーフティプレート
21a,21b 一対の開口端
27 第1取付部材
28 第2取付部材
32 内側支持部
33 外側支持部
37 左エクステンションの内側壁
37a 内側壁の後端部
38 左エクステンションの外側壁
38a 外側壁の後端部
43,73 ビーム本体部
43a,73a ビーム本体部の左端部(端部)
43b,73b ビーム本体部の右端部(端部)
44,74 左右のビーム延長部
46,76 ビーム本体部のビーム前壁(前壁)
54,88 ビーム空間(空間)
F1〜F8 衝撃荷重
Claims (7)
- 左右のフロントサイドフレームの前端部にエクステンションが設けられ、左右のエクステンションにバンパビームが架け渡され、前記バンパビームに車体前方から入力する衝撃荷重を前記エクステンションで吸収可能な車体前部構造において、
前記バンパビームは、
車幅方向に延び、前記エクステンションに車体前方から溶接されるビーム本体部と、
該ビーム本体部の端部から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、前記エクステンションの外側壁に溶接されるビーム延長部と、
を備えることを特徴とする車体前部構造。 - 前記ビーム延長部は、
前記外側壁に上下方向へ連続溶接される請求項1記載の車体前部構造。 - 前記ビーム延長部は、
前記ビーム本体部の前壁から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、
前記ビーム延長部と前記エクステンションとの間に空間が形成される請求項1または請求項2記載の車体前部構造。 - 前記フロントサイドフレームの前端部および前記エクステンション間に介在される取付部材を備え、
該取付部材は、
前記エクステンションの内側壁の後端部に接合される内側支持部を有する請求項1〜3のいずれか1項記載の車体前部構造。 - 前記取付部材は、
前記エクステンションの外側壁の後端部に接合される外側支持部を有する請求項4記載の車体前部構造。 - 前記ビーム本体部から車体前方に向けて突出し、車体前方から入力する衝撃荷重を吸収可能なセーフティプレートを備え、
該セーフティプレートは、
断面略U字状に形成され、一対の開口端が前記ビーム本体部に接合される請求項1〜5のいずれか1項記載の車体前部構造。 - 前記フロントサイドフレームの車幅方向外側にロアメンバを備え、
該ロアメンバに前記取付部材が接合される請求項4または請求項5記載の車体前部構造。
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吉田基之,春山繁之,上西研: ""オフセット衝突時における自動車フロントユニットの衝撃吸収特性に関する研究"", M&M材料力学カンファレンス, JPN6018042837, September 2008 (2008-09-01), JP, ISSN: 0004175310 * |
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