WO2016038987A1

WO2016038987A1 - 車体前部構造

Info

Publication number: WO2016038987A1
Application number: PCT/JP2015/068742
Authority: WO
Inventors: 隆行関矢
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2014-09-12
Filing date: 2015-06-29
Publication date: 2016-03-17
Also published as: US20170253272A1; US10017208B2; CN106687361B; CN106687361A

Abstract

この車体前部構造は、車両前後方向に亘って延在する左右のフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に亘って延在する左右のアッパーメンバと、フロントサイドフレームの車両前後方向の前端部とアッパーメンバの車両前後方向の前端部との間に亘って延在する接続フレームと、を備え、接続フレームは、フロントサイドフレームの車幅方向外側壁面から車幅方向外側に傾斜して車両前方に延出する斜め補強部材と、斜め補強部材の車幅方向外側である傾斜面とアッパーメンバの車幅方向内側壁面との間に亘って延在し、閉断面を有する箱型補強部と、を備える。

Description

車体前部構造

　本発明は、車体前部構造に関する。
　本願は、２０１４年９月１２日に出願された日本国特願２０１４－１８６３８９号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、車両前後方向に延在するフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側で車両前後方向に延在するアッパーメンバと、フロントサイドフレーム及びアッパーメンバの前端部同士を連結する接続フレームと、を備える車体前部構造が知られている（例えば、特許文献１参照）。
　特許文献１記載の構造は、対向車等の衝突物がフロントサイドフレームよりも車幅方向の外側の位置で衝突するナローオフセット衝突の際に、アッパーメンバと共にフロントサイドフレームにも衝突荷重を伝達するために、接続フレームの前端から後方へ向かうにつれてフロントサイドフレーム側に位置するように傾斜するテーパ部が形成されている。

日本国特開２０１３－１９３５７１号公報

　上記の技術では、前方からの荷重に耐えるようにフロントサイドフレームとアッパーメンバとの間を接続するために、フロントサイドフレームの前端から一定距離後方であるフロントサイドフレームの側面に斜め接続部材（テーパ部）の一端を接続し、斜め接続部材の他端はアッパーメンバの前端に接続する必要がある。
　しかし、この構造を一つの斜め接続部材で実現しようとすると、斜め接続部材が大型化してウェイトの面で不利になる。また、斜め接続部材を含む接続フレームの大型化により、特にＳＵＶ（Sport Utility Vehicle）のようなエンジンルーム長の短い車両においては、接続フレーム後方のスペースが狭くなる。よって、接続フレーム後方にレゾネータ等の車載部品を搭載するスペースを確保することが困難になる。

　本発明の態様は、フロントサイドフレーム及びアッパーメンバの前端部同士を連結する接続フレームを備える車体前部構造であって、アッパーメンバに入力された衝突荷重をフロントサイドフレームにより多く伝達可能とし、かつ接続フレーム後方のスペースを確保する。

　上記課題の解決手段として、本発明は以下の態様を採用した。
（１）本発明の一態様に係る車体前部構造は、車両前後方向に亘って延在する左右のフロントサイドフレームと、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に亘って延在する左右のアッパーメンバと、前記フロントサイドフレームの前端部と前記アッパーメンバの前端部との間に亘って延在する接続フレームと、を備える車体前部構造であって、前記接続フレームは、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側壁面から車幅方向外側に傾斜して前方に延出する斜め補強部材と、前記斜め補強部材の車幅方向外側である傾斜面と前記アッパーメンバの車幅方向内側壁面との間に亘って延在し、閉断面を有する箱型補強部と、を備える。

　（２）上記（１）の態様において前記車体前部構造は、前記フロントサイドフレームの前端部に接続されるフロントバンパー部材を備え、前記接続フレームは、前記フロントサイドフレームの前端部と前記アッパーメンバの前端部との間に亘って延在する前部補強部材を備え、前記前部補強部材は、前記箱型補強部の車幅方向に沿って設けられた前部壁面を構成し、前記斜め補強部材は、前記斜め補強部材の前端部から車幅方向内側に向かって曲り、前記前部補強部材に接合されるフランジを備えるようにしても良い。

　（３）上記（１）または（２）の態様において前記車体前部構造は、前記箱型補強部の車幅方向に沿って設けられた後部壁面を構成する後部補強部材を備え、前記後部補強部材は、水平方向に延びる後部ビード形状を備え、前記斜め補強部材は、水平方向に延びる斜めビード形状を備え、前記後部ビード形状と前記斜めビード形状とは、前記後部補強部材と前記斜め補強部材との接続部分において互いに連なるように配置されるようにしても良い。

　（４）上記（１）～（３）のいずれか一項の態様において前記車体前部構造は、前記フロントサイドフレームの車幅方向の外側部と前記アッパーメンバの車幅方向の内側部との間に亘って延在する上部補強部材を備え、前記上部補強部材は、前記箱型補強部の上部壁面を構成し、前記上部補強部材の前記内側部と前記フロントサイドフレームの前記外側部とがボルトにより締結されようにしても良い。

　上記（１）に記載した発明の態様によれば、ナローオフセット衝突時にアッパーメンバの前端部に荷重入力があると、接続フレームが後方へ倒れるように折れ曲がりつつフロントサイドフレームに荷重を伝達し、フロントサイドフレームが衝突荷重を吸収する。これにより、斜め補強部材及び箱型補強部により接続フレームが強度を有し、変形を最大限抑制してフロントサイドフレームへ荷重を多く伝達する。よって、車体前部の衝撃吸収性能を高めることができる。また、フロントサイドフレームの側面からアッパーメンバの前端に渡る斜め接続部材を用いる場合と比べて、接続フレーム後方のスペースを部品配置スペースとして有効活用でき、車載部品のレイアウト自由度を向上させることができる。

　上記（２）に記載した発明の態様によれば、斜め補強部材の前端部のフランジをフロントサイドフレームの前端部、すなわち前突時に入力を受けるフロントバンパー部材の接続場所である車幅方向内側に向けて曲げて接合する。これにより、オフセット気味にフロントバンパー部材から入力される荷重の支持にフランジが寄与する。よって、斜め補強部材を介してフロントサイドフレームに効率よく荷重を伝達することができる。

　上記（３）に記載した発明の態様によれば、斜め補強部材と後部補強部材とにそれぞれ互いに対応した水平方向のビード形状を備えるため、斜め補強部材及び後部補強部材自体の強度が増す。また、前突により前方から荷重が掛かった際に、斜め補強部材の延在方向である圧縮荷重、及び接続フレームのアッパーメンバ側が車幅方向内側後方に倒れ込む方向への荷重の両方に対して、斜め補強部材が座屈し難く、かつ後部補強部材が斜め補強部材との接続部分で折れ難くなる。よって接続フレームの変形を最大限抑制することができる。

　上記（４）に記載した発明の態様によれば、接続フレームの後方への倒れ込みが起こる起点であるフロントサイドフレームと接続フレームとの接続部分を、一般的に溶接より固定強度が高いボルト締結により結合する。これにより、上部補強部材がフロントサイドフレームから剥がれ難くなる。よって、後方への倒れ込み荷重を含む前突荷重に対して接続フレームに十分な強度を持たせることができる。

本発明の一実施形態の車両の車体の左側面図である。上記車体の前部左側を左上前方から見た斜視図である。上記車体の前部左側を左下後方から見た斜視図である。上記車体前部左側に設けられた接続フレームの上部補強部材を除去した状態の上面図である。上記車体前部左側に設けられた接続フレームの上下方向中間点を通る水平面における断面図である。上記車体前部左側の下面図である。上記車体前部左側の接続フレームを一部分解した状態を左上前方から見た斜視図である。上記接続フレームの斜め補強部材を右上後方から見た斜視図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一である。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印ＦＲ、車両左方を示す矢印ＬＨ、車両上方を示す矢印ＵＰが示されている。

　図１に本実施形態の車両１の車体１Ａを示す。車両１の前側にはエンジンルーム３が配置される。乗員室２とエンジンルーム３との間は、不図示の前部隔壁によって仕切られる。乗員室２の後方には、乗員室２と連通する車室４が形成される。

　乗員室２の左右両側の側部下方には、車両前後方向に沿う骨格部材であるサイドシル５がそれぞれ配置される。左右のサイドシル５の間には、車体の左右方向中央で前後方向に延びる不図示のフロアトンネルと、車幅方向（車両左右方向）に延出して左右のサイドシル５及びフロアトンネルを連結する不図示の複数のクロスメンバと、が配置される。
　左右のサイドシル５の前方には、サイドシル５に対して上方かつ車幅方向内側に変位して車両前後方向に延在する左右のフロントサイドフレーム６が連なる。
　左右のサイドシル５の後方には、サイドシル５に対して上方かつ車幅方向内側に変位して車両前後方向に延在する左右のリアサイドフレーム７が連なる。乗員室２の前側には左右のフロントピラー８が起立し、乗員室２の後側には左右のリアピラー９が起立する。フロントピラー８及びリアピラー９の間にはセンターピラー１０が配置される。

　以下、図２～図８に示す車体前部左側を参照して説明を行うが、車体前部は左右対称の構成とする。
　図２に示すように、車体前部には、車両前後方向に亘って延在する左右のフロントサイドフレーム６と、左右のフロントサイドフレーム６の車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に亘って延在する左右のアッパーメンバ１１と、車体左右両側でフロントサイドフレーム６の前端部６ａとアッパーメンバ１１の前端部１１ａとの間に亘って延在する左右の接続フレーム２０と、を備える。

　フロントサイドフレーム６は、矩形状の閉断面を有して車両前後方向に延びる中空のフレーム部材である。フロントサイドフレーム６は、例えば車両前後方向に延びるアウター部材及びインナー部材を一体に接合して形成される。フロントサイドフレーム６の車両前後方向の途中には、適宜折れ点が形成される。フロントサイドフレーム６は、車体前部が対向車等に衝突した際に、衝突荷重を受けて屈曲しつつ衝突エネルギ（衝突荷重）を吸収する。

　フロントサイドフレーム６の車幅方向内側には、ラジエータ等を支持するフロントバルクヘッド１２の外側部が支持される。フロントバルクヘッド１２の外側部上側とアッパーメンバ１１の前部との間には、フロントバルクヘッドサイド１３が渡設される。フロントサイドフレーム６の前端６ｂには、フロントバンパービーム１４がバンパービームエクステンション１５を介して支持される。

　アッパーメンバ１１は、矩形状の閉断面を有して車両前後方向に延びる中空のフレーム部材であり、例えば車両前後方向に延びるアウター部材及びインナー部材を一体に溶接結合して形成される。アッパーメンバ１１は、フロントサイドフレーム６の前端部６ａの車幅方向外側に前端部１１ａを配置し、この前端部１１ａから斜め上後方に延びた後に湾曲して後方に延び、フロントピラー８の下端部に連なる。アッパーメンバ１１の前端１１ｂはフロントサイドフレーム６の前端６ｂよりも僅かに後方かつ上方に位置する。なお、フロントサイドフレーム６の前端部６ａ及びアッパーメンバ１１の前端部１１ａとは、前端６ｂと１１ｂとの間に亘る部材（接続フレーム２０）を取り付ける程度の範囲を含む。

　以下、図３～図５、図８を参照して説明する。接続フレーム２０は、傾斜壁２１を有する斜め補強部材２３を備える。傾斜壁２１は、フロントサイドフレーム６の車幅方向外側の外側壁面６ｃから車幅方向外側に傾斜して前方に延出している。傾斜壁２１には、略水平に延びる斜め補強ビード２４が上下に複数形成される。斜め補強部材２３は、傾斜壁２１の下端縁から車幅方向内側に起立する上面視三角形状の傾斜下壁２２を有する。

　傾斜下壁２２の車幅方向内側の内側縁からは、下方に向けて下接合フランジ２２ａが起立する。傾斜壁２１の後端縁からは、後方に向けて後接合フランジ２１ａが起立する。下接合フランジ２２ａ及び後接合フランジ２１ａは、フロントサイドフレーム６の前端部６ａの外側壁面６ｃに溶接により接合される。
　傾斜下壁２２の前端縁からは、上方に向けて前接合フランジ２２ｂが起立する。前接合フランジ２２ｂは、接続フレーム２０の前壁３１の内側部３１ａの後面（裏面）に溶接により接合される。

　傾斜壁２１の前端縁からは、車幅方向内側に向けて内向き前接合フランジ２１ｂが起立する。内向き前フランジは、接続フレーム２０の前壁３１の傾斜部３１ｃの後面（裏面）に溶接により接合される。
　傾斜壁２１の上端縁からは、車幅方向外側に向けて上接合フランジ２１ｃが起立する。上接合フランジ２１ｃの内側部２１ｃ１は、フロントサイドフレーム６の前端部６ａの上面外側で略水平に延びるフレーム接合フランジ６ｄの下面に溶接により接合される。上接合フランジ２１ｃの外側部２１ｃ２は、接続フレーム２０の上壁３６の下面に溶接により接合される。

　以下、図２～図７を参照して説明する。接続フレーム２０は、フロントサイドフレーム６の前端部６ａに車幅方向外側から接続される内側部の前後幅が比較的大きく、アッパーメンバ１１の前端部１１ａに車幅方向内側から接続される外側部の前後幅が比較的小さくなるよう形成される。
　すなわち、接続フレーム２０の形状は、フロントサイドフレーム６と接する一辺が、アッパーメンバ１１と接する一辺よりも長くなるよう形成される。
　接続フレーム２０は、前壁３１及び下壁３２を形成する前下補強部材３３と、後壁３４を形成する後部補強部材３５と、上壁３６を形成する上部補強部材３７と、を備える。

　前壁３１は、フロントサイドフレーム６の前端６ｂの外側縁から車幅方向外側に延びる。前壁３１は、フロントサイドフレーム６側から順に、車幅方向に沿う内側部３１ａと、内側部３１ａよりも後方に変位して車幅方向に沿う外側部３１ｂと、内側部３１ａ及び外側部３１ｂ間で車幅方向外側ほど後方に位置するように傾斜する傾斜部３１ｃと、を有する。前壁３１の外側部３１ｂは、アッパーメンバ１１の前端１１ｂと重なるように延び、アッパーメンバ１１の前端１１ｂに溶接により接合される。前壁３１の上部は、上壁３６よりも上方に延出し、上部補強部材３７の前部を接合する前壁上接合フランジ３１ｄを形成する。

　下壁３２は、フロントサイドフレーム６の前端部６ａの外側縁から車幅方向外側に延びる。下壁３２は、フロントサイドフレーム６側から順に、略水平に配置される内側部３２ａと、内側部３２ａよりも上方に変位して略水平に配置される外側部３２ｂと、内側部３２ａ及び外側部３２ｂ間で車幅方向外側ほど上方に位置するように傾斜する傾斜部３２ｃと、を有する。下壁３２の外側部３２ｂは、アッパーメンバ１１の前端部１１ａの下面と重なるように延び、アッパーメンバ１１の前端部１１ａの下面に溶接により接合される。
　下壁３２の内側部３２ａ及び傾斜部３２ｃの一部は、斜め補強部材２３の傾斜下壁２２の下面に溶接により接合される。

　後壁３４は、アッパーメンバ１１の前端部１１ａの内側壁面１１ｃと斜め補強部材２３の傾斜壁２１の中間部との間で車幅方向に沿って延びる。後壁３４の外側部の上部は、上壁３６よりも上方に延出し、上部補強部材３７の後部を接合する後壁上接合フランジ３４ａを形成する。後壁３４の下縁部は、下壁３２に沿うように形成される。後壁３４の下縁部からは、前方に向けて後壁下接合フランジ３４ｂが起立する。後壁下接合フランジ３４ｂは、下壁３２の下面に溶接により接合される。後壁３４の内側縁からは、傾斜壁２１に沿う後壁内接合フランジ３４ｃが起立する。後壁内接合フランジ３４ｃは、傾斜壁２１の車幅方向外側の傾斜面２１ｄに溶接により接合される。後壁３４の外側縁からは、アッパーメンバ１１の内側壁面１１ｃに沿う後壁外接合フランジ３４ｄが起立する。後壁外接合フランジ３４ｄは、アッパーメンバ１１の内側壁面１１ｃに溶接により接合される。後壁３４には、略水平に延びる後補強ビード３８が上下に複数形成される。各後補強ビード３８は、斜め補強部材２３の傾斜壁２１の各斜め補強ビード２４とそれぞれ同一高さに形成される。各後補強ビード３８と各斜め補強ビード２４とは、互いに連なるように配置される。

　上壁３６は、車幅左右方向ではフロントサイドフレーム６の前端部６ａの外側縁とアッパーメンバ１１の前端部１１ａの内側縁との間に設けられ、前後方向では前壁３１の上縁部と、後壁３４の上縁部及び傾斜壁２１の上縁部の後側と、の間に設けられる。すなわち、上壁３６は、上壁３６の前側が前壁３１の上縁部と接し、上壁３６の後側が後壁３４の上縁部と、傾斜壁２１の上縁部と、の双方に接するように設けられる。

　上壁３６の前縁からは、上方に向けて上壁前接合フランジ３６ａが起立する。上壁前接合フランジ３６ａには、前壁上接合フランジ３１ｄが溶接により接合される。上壁３６の外側縁からは、上方に向けて上壁外接合フランジ３６ｂが起立する。上壁外接合フランジ３６ｂは、アッパーメンバ１１の前端部１１ａの内側壁面１１ｃに溶接により接合される。上壁３６の後縁の外側からは、上方に向けて上壁後接合フランジ３６ｃが起立する。上壁後接合フランジ３６ｃには、後壁上接合フランジ３４ａが溶接により接合される。上壁３６の内側部は、フロントサイドフレーム６のフレーム接合フランジ６ｄと重なるように車幅方向内側に延び、フレーム接合フランジ６ｄの下面に複数のボルトＢ１を用いた締結により結合される。

　接続フレーム２０は、フロントサイドフレーム６側に、前後幅が比較的大きく斜め補強部材２３を含めて上面視で三角形状の中空の内側閉断面構造部４１を形成する。接続フレーム２０は、内側閉断面構造部４１よりもアッパーメンバ１１側（換言すれば、斜め補強部材２３の車幅方向外側の傾斜面２１ｄとアッパーメンバ１１の車幅方向内側の内側壁面１１ｃとの間）に、前後幅が比較的小さく矩形状の断面をなして車幅方向に延びる中空の外側閉断面構造部４２を形成する。これら互いに連なる両閉断面構造部４１，４２により、接続フレーム２０の強度が増し、ナローオフセット衝突時にアッパーメンバ１１の前端部１１ａに入力があった際にも、フロントサイドフレーム６への荷重伝達量が多くなる。

　すなわち、接続フレーム２０が開放断面構造を有する場合、接続フレーム２０が後方へ倒れるように変形し易く、フロントサイドフレーム６への荷重伝達量が少なくなる。これに対し、本実施形態の接続フレーム２０は、アッパーメンバ１１側の入力をフロントサイドフレーム６へ直線状に伝達する突っ張り状の斜め補強部材２３を有するとともに、接続フレーム２０の後方への倒れ変形の基端側に前後幅の大きい内側閉断面構造部４１を配置し、かつその外側にも閉断面のボックス構造（箱型補強部、外側閉断面構造部４２）を連ねている。これにより、接続フレーム２０の倒れ変形の抑制を図り、フロントサイドフレーム６への荷重伝達を多くする。一方で、外側閉断面構造部４２は、内側閉断面構造部４１よりも前後幅を抑えることにより後方スペースを確保する。

　以上説明したように、上記実施形態における車体前部構造は、フロントサイドフレーム６及びアッパーメンバ１１の前端部６ａ，１１ａ間に亘る接続フレーム２０が、フロントサイドフレーム６の車幅方向外側の外側壁面６ｃから車幅方向外側に傾斜して前方に延出する斜め補強部材２３と、斜め補強部材２３の車幅方向外側の傾斜面２１ｄとアッパーメンバ１１の車幅方向内側の内側壁面１１ｃとの間に亘って矩形の閉断面を有して延在する外側閉断面構造部４２と、を備える。
　この構成では、ナローオフセット衝突時にアッパーメンバ１１の前端部１１ａに荷重入力があっても、斜め補強部材２３及び外側閉断面構造部４２により接続フレーム２０が強度を有するため、接続フレーム２０の変形が最大限抑制される。そのため、この接続フレーム２０が後方へ倒れるように折れ曲がりつつフロントサイドフレーム６に荷重をしっかり伝達するので、フロントサイドフレーム６での衝突荷重の吸収量が増加し、車体前部の衝撃吸収性能を高めることができる。また、フロントサイドフレーム６の側面からアッパーメンバ１１の前端に渡る斜め接続部材を用いる場合と比べて、接続フレーム２０の後方のスペースを部品配置スペースとして有効活用でき、車載部品のレイアウト自由度を向上させることができる。

　上記実施形態における車体前部構造は、前記フロントサイドフレーム６の前端部６ａに接続されるフロントバンパービーム１４を備え、前記接続フレーム２０は、前記フロントサイドフレーム６の前端部６ａと前記アッパーメンバ１１の前端部１１ａとの間に亘って延在する前下補強部材３３を備え、前記前下補強部材３３は、前記外側閉断面構造部４２の前壁３１を構成し、前記斜め補強部材２３は、前記斜め補強部材２３の前端部から内側に向かって曲り、前下補強部材３３に接合される内向き前接合フランジ２１ｂを備える。
　この構成では、斜め補強部材２３の前端部の内向き前接合フランジ２１ｂをフロントサイドフレーム６の前端部６ａ、すなわち前突時に入力を受けるフロントバンパービーム１４の接続場所である内側に向けて曲げて接合する。そのため、オフセット気味にフロントバンパービーム１４から入力される荷重の支持に内向き前接合フランジ２１ｂが寄与し、斜め補強部材２３を介してフロントサイドフレーム６に効率よく荷重を伝達することができる。

　上記実施形態における車体前部構造は、前記外側閉断面構造部４２の後壁３４を構成する後部補強部材３５を備え、前記後部補強部材３５は、水平方向に延びる後補強ビード３８を備える。前記斜め補強部材２３は、水平方向に延びる斜め補強ビード２４を備え、前記後補強ビード３８と前記斜め補強ビード２４とは、前記後部補強部材３５と前記斜め補強部材２３との接続部分において互いに連なるように配置される。
　この構成では、斜め補強部材２３と後部補強部材３５とがそれぞれ互いに対応した水平方向のビード形状を備える。そのため斜め補強部材２３及び後部補強部材３５自体の強度が増すと共に、前突により前方から荷重が掛かった際に、斜め補強部材２３の延在方向である圧縮荷重、及び接続フレーム２０のアッパーメンバ１１側が内側後方に倒れ込む方向への荷重の両方に対して、斜め補強部材２３が座屈し難く、かつ後部補強部材３５が斜め補強部材２３との接続部分で折れ難くなる。よって、接続フレーム２０の変形を最大限抑制することができる。

　上記実施形態における車体前部構造は、前記フロントサイドフレーム６の外側部と前記アッパーメンバ１１の内側部との間に亘って延在する上部補強部材３７を備え、前記上部補強部材３７は、前記外側閉断面構造部４２の上壁３６を構成し、前記上部補強部材３７の内側部と前記フロントサイドフレーム６の外側部とがボルトＢ１により締結される。
　この構成では、接続フレーム２０の後方への倒れ込みが起こる起点であるフロントサイドフレーム６と接続フレーム２０との接続部分が、一般的に溶接より固定強度が高いボルト締結により結合される。そのため、上部補強部材３７がフロントサイドフレーム６から剥がれ難くなり、後方への倒れ込み荷重を含む前突荷重に対して接続フレーム２０に十分な強度を持たせることができる。

　なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、接続フレーム２０の分割構造や接合方法等は適宜変更してもよい。
　そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

　１　車両
　１Ａ　車体
　６　フロントサイドフレーム
　６ａ　前端部
　６ｃ　外側壁面
　１１　アッパーメンバ
　１１ａ　前端部
　１１ｃ　内側壁面
　１４　フロントバンパービーム（フロントバンパー部材）
　２０　接続フレーム
　２１ｂ　内向き前接合フランジ（フランジ）
　２１ｄ　傾斜面
　２３　斜め補強部材
　２４　斜め補強ビード（斜めビード形状）
　３１　前壁（前部壁面）
　３３　前下補強部材（前部補強部材）
　３４　後壁（後部壁面）
　３５　後部補強部材
　３６　上壁（上部壁面）
　３７　上部補強部材
　３８　後補強ビード（後部ビード形状）
　４２　外側閉断面構造部（箱型補強部）
　Ｂ１　ボルト

Claims

　車両前後方向に亘って延在する左右のフロントサイドフレームと、
　前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に設けられ、車両前後方向に亘って延在する左右のアッパーメンバと、
　前記フロントサイドフレームの前端部と前記アッパーメンバの前端部との間に亘って延在する接続フレームと、を備える車体前部構造であって、
　前記接続フレームは、
　前記フロントサイドフレームの車幅方向外側壁面から車幅方向外側に傾斜して前方に延出する斜め補強部材と、
　前記斜め補強部材の車幅方向外側である傾斜面と前記アッパーメンバの車幅方向内側壁面との間に亘って延在し、閉断面を有する箱型補強部と、を備える車体前部構造。
　請求項１に記載の車体前部構造であって、
前記フロントサイドフレームの前端部に接続されるフロントバンパー部材を備え、
　前記接続フレームは、前記フロントサイドフレームの前端部と前記アッパーメンバの前端部との間に亘って延在する前部補強部材を備え、
　前記前部補強部材は、前記箱型補強部の車幅方向に沿って設けられた前部壁面を構成し、
　前記斜め補強部材は、前記斜め補強部材の前端部から車幅方向内側に向かって曲り、前記前部補強部材に接合されるフランジを備える車体前部構造。
　請求項１に記載の車体前部構造であって、
　前記箱型補強部の車幅方向に沿って設けられた後部壁面を構成する後部補強部材を備え、
　前記後部補強部材は、水平方向に延びる後部ビード形状を備え、　前記斜め補強部材は、水平方向に延びる斜めビード形状を備え、
　前記後部ビード形状と前記斜めビード形状とは、前記後部補強部材と前記斜め補強部材との接続部分において連なるように配置される車体前部構造。
　請求項２に記載の車体前部構造であって、
　前記箱型補強部の車幅方向に沿って設けられた後部壁面を構成する後部補強部材を備え、
　前記後部補強部材は、水平方向に延びる後部ビード形状を備え、
　前記斜め補強部材は、水平方向に延びる斜めビード形状を備え、
　前記後部ビード形状と前記斜めビード形状とは、前記後部補強部材と前記斜め補強部材との接続部分において連なるように配置される車体前部構造。
　請求項１から４の何れか一項に記載の車体前部構造であって、
　前記フロントサイドフレームの車幅方向の外側部と前記アッパーメンバの車幅方向の内側部との間に亘って延在する上部補強部材を備え、
　前記上部補強部材は、前記箱型補強部の上部壁面を構成し、
　前記上部補強部材の前記内側部と前記フロントサイドフレームの前記外側部とがボルトにより締結される車体前部構造。