JP6738132B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、左右のフロントサイドフレームの前端部にバンパビームが架け渡される車体前部構造に関する。
車体前部構造は、一般に左右のフロントサイドフレームおよびバンパビーム間に衝撃吸収部材(以下、エクステンションという)が介在されている。バンパビームに車体前方から軽衝突による衝撃荷重が入力した場合に、入力した衝撃荷重でエクステンションを潰すことにより衝撃荷重を吸収することが可能である。
ところで、車体前部構造のなかには、エンジンルームの車体前後方向の長さを短縮するために、エクステンションを車幅方向外側に広げて衝撃荷重の吸収量を大きく確保するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この車体前部構造は、エクステンションの前端部にバンパビームが車体前方からボルトで締結されている。このため、締結用のボルト、ナットなどの部材を必要とし、さらに、ボルトを締め付ける作業が必要になり、そのことがコストを抑える妨げになっている。
この対策として、エクステンションの前端部(具体的には、上辺、下辺)にバンパビームをミグ溶接(すなわち、MIG溶接)することが考えられる。しかし、バンパビームをミグ溶接した状態において、バンパビームの一端部にスモールオーバーラップ衝突(微小ラップ衝突)による衝撃荷重が入力した場合、エクステンションの前端部からバンパビームの他端部を引き剥がす方向へ移動させる荷重(反力)が生じる。
換言すれば、バンパビームの一端部を軸にしてバンパビームの他端部を車体前方へ向けて移動させようとする曲げモーメントが発生する。
ここで、スモールオーバーラップ衝突とは、車幅の1/4(25%)の領域に相手車両や立木、電柱などの障害物が衝突することをいう。
このように、バンパビームの他端部を車体前方へ向けて移動させようとする曲げモーメントが発生することにより、エクステンションの前端部およびバンパビームの他端部のミグ溶接部(特に、外端部)に亀裂が発生する虞がある。
外端部に亀裂が発生することにより、ミグ溶接部の全域に亀裂が発生してしまい、バンパビームの左端部がエクステンションの前端部から引き剥がされてしまう虞がある。
特開2010−83448号公報
本発明は、コストを抑えることができ、さらに、衝突によるバンパビームの剥離を防ぐことができる車体前部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、左右のフロントサイドフレームの前端部にエクステンションが設けられ、左右のエクステンションにバンパビームが架け渡され、前記バンパビームに車体前方から入力する衝撃荷重を前記エクステンションで吸収可能な車体前部構造において、前記バンパビームは、車幅方向に延びるビーム本体部と、該ビーム本体部の端部から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、前記エクステンションの外側壁に溶接されるビーム延長部と、を備え、前記ビーム延長部は、前記外側壁に上下方向へ連続溶接される車体前部構造を提供する。
このように、車幅方向に延びるビーム本体部の端部からビーム延長部を車幅方向外側かつ車体後方に向け延ばし、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に溶接した。これにより、従来必要としたボルト、ナットを用いることなく、バンパビームをエクステンションに取り付けることができ、コストを抑えることができる。
ここで、バンパビームの一方の端部へのスモールオーバーラップ衝突により、バンパビームの他方の端部を車体前方へ向けて移動させようとする曲げモーメントがバンパビームに発生する。
そこで、請求項1において、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に溶接した。よって、バンパビームに発生する曲げモーメントで、バンパビームの他方の端部を車体前方へ向けて移動させようとする際に、ビーム延長部がエクステンションの外側壁に押し付けられる方向に引っ張られる。
ビーム延長部が外側壁に押し付けられることにより、ビーム延長部およびエクステンションの外側壁の溶接部に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。これにより、エクステンションの外側壁からビーム延長部が引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
また、バンパビームの一方の端部へのスモールオーバーラップ衝突の際に、ビーム延長部がエクステンションの外側壁に押し付けられる方向に引っ張られる。よって、エクステンションの外側壁に車幅方向内側に曲げる荷重が入力する。これにより、エクステンションを外側壁側から車幅方向内側に変形させることができ、衝撃荷重を一層良好に吸収することができる。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記ビーム延長部は、前記外側壁に上下方向へ連続溶接される。
ここで、バンパビームの一方の端部へのスモールオーバーラップ衝突により、曲げモーメントがバンパビームに発生する。すなわち、エクステンションの外側壁に沿って、バンパビームの他方の端部を車体前方へ移動させる荷重が作用する。
そこで、請求項において、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に連続溶接し、連続溶接を上下方向へ延ばした。よって、バンパビームの他方の端部を車体前方へ移動させる荷重が、連続溶接した溶接部に直交するように作用し、溶接部に分散される。これにより、バンパビームの他方の端部を車体前方へ移動させる荷重を溶接部で支えることができ、エクステンションの外側壁からビーム延長部が引き離されることを防止できる。
また、ビーム延長部をエクステンションの外側壁に連続溶接するだけで、ビーム延長部の剥離を防止できる。これにより、構成の簡素化を図ることができ、コストを抑えることができる。
請求項2に係る発明では、好ましくは、前記ビーム本体部は、前記エクステンションの前端部に溶接される。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記ビーム延長部は、前記ビーム本体部の前壁から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、前記ビーム延長部と前記エクステンションとの間に空間が形成される。
ここで、バンパビームは、通常、エクステンションの外側壁部まで延びている。このため、バンパビームの全長が長くなり、そのことがバンパビームの重量を抑える妨げになっている。
そこで、請求項において、ビーム延長部をビーム本体部の前壁から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出した。さらに、ビーム延長部とエクステンションとの間に空間を形成した。
よって、ビーム本体部の端部を、エクステンションの外側壁より車幅方向内側に配置できる。これにより、ビーム本体部の全長を短くでき、バンパビームの軽量化を図ることができる。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記フロントサイドフレームの前端部および前記エクステンション間に介在される取付部材を備え、該取付部材は、前記エクステンションの内側壁の後端部に接合される内側支持部を有する。
このように、取付部材の内側支持部をエクステンションの内側壁の後端部に接合した。よって、スモールオーバーラップ衝突によりビーム延長部がエクステンションの外側壁に押し付けられる方向に引っ張られた状態において、取付部材の内側支持部でエクステンションの内側壁の後端部が支えられる。
これにより、エクステンションの外側壁に車幅方向内側に曲げる荷重が入力した状態において、エクステンションを外側壁側から車幅方向内側に一層良好に変形させて衝撃荷重の吸収量を増すことができる。
また、取付部材の内側支持部がエクステンションの内側壁の後端部に接合されている。よって、バンパビームの端部に衝撃荷重が車体後方かつ車幅方向内側に向けて斜めに入力した場合に、入力した荷重を取付部材の内側支持部で支えることができる。
入力した荷重を内側支持部で支えることにより、エクステンションの倒れを防ぐことができる。これにより、入力した荷重でエクステンションを良好に潰して、エクステンションで入力した荷重を良好に吸収できる。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記取付部材は、前記エクステンションの外側壁の後端部に接合される外側支持部を有する。
このように、取付部材の外側支持部をエクステンションの外側壁の後端部に接合した。よって、バンパビームの端部に衝撃荷重が車体後方かつ車幅方向外側に向けて斜めに入力した場合に、入力した荷重を取付部材の外側支持部で支えることができる。
入力した荷重を外側支持部で支えることにより、エクステンションの倒れを防ぐことができる。これにより、入力した荷重でエクステンションを良好に潰して、エクステンションで入力した荷重を良好に吸収できる。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記ビーム本体部から車体前方に向けて突出し、車体前方から入力する衝撃荷重を吸収可能なセーフティプレートを備え、該セーフティプレートは、断面略U字状に形成され、一対の開口端が前記ビーム本体部に接合される。
ここで、ビーム本体部は、歩行者の膝関節と略同じ高さに位置する。
そこで、請求項において、ビーム本体部からセーフティプレートを車体前方に向けて突出させ、車体前方から入力する衝撃荷重をセーフティプレートで吸収するようにした。よって、歩行者の脚部(特に、膝関節)がセーフティプレートに当接した場合に、入力した衝撃荷重でセーフティプレートを潰すことができる。
これにより、入力した衝撃荷重をセーフティプレートで吸収して歩行者の脚部を保護できる。
請求項に係る発明では、好ましくは、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側にロアメンバを備え、該ロアメンバに前記取付部材が接合される。
このように、フロントサイドフレームの車幅方向外側にロアメンバを備え、ロアメンバに取付部材を接合させた。このロアメンバに取付部材を介してエクステンションが連結される。よって、バンパビームの一方の端部へのスモールオーバーラップ衝突の際に、ビーム延長部でエクステンションを車幅方向内側に変形させ、かつ、エクステンションでロアメンバを車幅方向内側に変形させることができる。
これにより、スモールオーバーラップ衝突の際に入力する衝撃荷重の吸収量を増すことができる。
本発明によれば、部品点数(具体的には、締結部材)を減らしてコストを抑えることができ、さらに、バンパビームが衝突によりエクステンションから引き剥がされることを防ぐことができる。
本発明に係る実施例1の車体前部構造を示す斜視図である。 図1の要部を示す平面図である。 図1の左側前部を示す斜視図である。 図3の左側前部を示す平面図である。 図3の左側前部を示す分解斜視図である。 図3の6部拡大図である。 図6のバンパビームの左端部を示す平面図である。 実施例1の車体前部構造のスモールオーバーラップ衝突によるビーム延長部の剥離を防止する例を説明する図である。 実施例1の車体前部構造でスモールオーバーラップ衝突による衝撃荷重を吸収する例を説明する図である。 実施例1の車体前部構造で車幅方向内側へ斜めに入力した衝撃荷重を吸収する例を説明する図である。 実施例1の車体前部構造で車幅方向外側へ斜めに入力した衝撃荷重を吸収する例を説明する図である。 本発明に係る実施例2の車体前部構造を示す斜視図である。 実施例2の車体前部構造のスモールオーバーラップ衝突によるビーム延長部の剥離を防止する例を説明する図である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
実施例1に係る車体前部構造10について説明する。
図1に示すように、車体前部構造10は、車体11の左右側に設けられた左フロントサイドフレーム12および右フロントサイドフレーム12と、左右のフロントサイドフレーム12間に設けられたフロントバルクヘッド13と、フロントバルクヘッド13に取り付けられる冷却手段14とを備える。
また、車体前部構造10は、左フロントサイドフレーム12の車幅方向外側に設けられた左ロアメンバ15と、右フロントサイドフレーム12の車幅方向外側に設けられた右ロアメンバ15と、左フロントサイドフレーム12の前端部12aおよび左ロアメンバ15の前端部16aに設けられた左取付部材17と、右フロントサイドフレーム12の前端部12a(図2参照)および右ロアメンバ15の前端部16aに設けられた右取付部材17とを備える。
さらに、車体前部構造10は、左取付部材17に設けられる左エクステンション18と、右取付部材17に設けられる右エクステンション18と、左エクステンション18および右エクステンション18に設けられたバンパビーム19と、バンパビーム19に設けられた複数のセーフティプレート21とを備える。
車体前部構造10は略左右対称の部材であり、以下、左右側の各構成部に同じ符号を付し、左側の各構成部ついて詳しく説明して右側の各構成部の説明を省略する。
左フロントサイドフレーム12は、車体11の前左側部において車体前後方向に延出され、略矩形枠状に形成される車体骨格部材である。左フロントサイドフレーム12の前端部12aおよび左ロアメンバ15の前端部15aが左ブラケット23(図2参照)で連結される。
左フロントサイドフレーム12の車幅方向外側に左ロアメンバ15が設けられる。左ロアメンバ15の後端部15aから左アッパメンバ16が左フロントピラー25まで延びる。すなわち、左ロアメンバ15および左アッパメンバ16が、平面視において左フロントサイドフレーム12に沿って車体前後方向に延びるように連結される。
左ロアメンバ15および左アッパメンバ16は、略矩形枠状に形成される車体骨格部材である。
図2、図3に示すように、左フロントサイドフレーム12の前端部12aおよび左ロアメンバ15の前端部15aに左取付部材17が設けられている。左取付部材17は、車体後方側に設けられる第1取付部材27と、第1取付部材27に設けられる第2取付部材28とを備える。
第1取付部材27は、左フロントサイドフレーム12の前端部12aおよび左ロアメンバ15の前端部15aに設けられ、正面視略矩形状に形成された板状の部材である。すなわち、第1取付部材27の内端部27aが左フロントサイドフレーム12の前端部12aに接合される。また、第1取付部材27の外端部27bが左ロアメンバ15の前端部15aに接合される。
第2取付部材28は、第1取付部材27に車体前方から設けられる。すなわち、第2取付部材28は、正面視略矩形状に形成された板状のベース31と、ベース31の内端から車体前方に張り出される内側支持部32と、ベース31の外端から車体前方に張り出される外側支持部33とを有する。
図4に示すように、ベース31は、左フロントサイドフレーム12の前端部12aおよび左ブラケット23に第1取付部材27を介して車体前方側から連結される。また、ベース31に左エクステンション18の後端部18a(具体的には、後端部18aの上辺、下辺)が溶接で接合される。
よって、ベース31および第1取付部材27が左フロントサイドフレーム12の前端部12aと左エクステンション18との間に介在される。換言すれば、左エクステンション18の後端部18aの内半部18bが左フロントサイドフレーム12の前端部12aにベース31および第1取付部材27を介して設けられる。
ベース31の内端から車体前方に内側支持部32が張り出される。この内側支持部32の先端32aが左エクステンション18の内側壁37の後端部37aに接合される。
また、ベース31の外端から車体前方に外側支持部33が張り出される。この外側支持部33の先端33aが左エクステンション18の外側壁38の後端部38aに接合される。
図3、図4に示すように、左エクステンション18は、車体前方から入力した衝撃荷重を吸収する衝撃吸収部材である。すなわち、左エクステンション18は、上部35、下部36、内側壁37、外側壁38で断面略矩形状に形成され、内部39に車体前後方向に延びるリブ41が形成される。
左エクステンション18の内側壁37が左フロントサイドフレーム12の内壁12bと略面一に形成される。また、左エクステンション18の外側壁38が左ロアメンバ15の内壁15bまで車幅方向外側に広げられる。
左エクステンション18が車幅方向外側に広げられることにより、左エクステンション18の車幅方向の幅寸法が大きく確保される。これにより、左エクステンション18の衝撃荷重の吸収量が充分に確保される。
図2に戻って、左エクステンション18の前端部18cおよび右エクステンション18の前端部18c間にバンパビーム19が車幅方向に架け渡される。
この状態において、軽衝突によりバンパビーム19に車体前方から衝撃荷重F1が入力した場合、入力した衝撃荷重F1で左エクステンション18を潰し、左エクステンション18で衝撃荷重F1を吸収できる。
バンパビーム19は、左エクステンション18および右エクステンション18に架け渡されるビーム本体部43と、ビーム本体部43の左端部(端部)43aから延出される左ビーム延長部(ビーム延長部)44と、ビーム本体部43の右端部(端部)43bから延出される右ビーム延長部(ビーム延長部)44とを備える。
ビーム本体部43は、左エクステンション18および右エクステンション18に車体前方から溶接されることにより車幅方向に延出される。この状態において、ビーム本体部43の左端部43aが左エクステンション18の外側壁38より距離L1だけ車幅方向内側に配置される。同様に、ビーム本体部43の右端部43bが右エクステンション18の外側壁38より距離L1だけ車幅方向内側に配置される。
図5に示すように、ビーム本体部43は、ビーム前壁(前壁)46、ビーム後壁47、ビーム上部48、ビーム下部49で断面略矩形状に形成される。ビーム後壁47の左端部47aが、左エクステンション18の上部35の前辺35aと、左エクステンション18の下部36の前辺36aにミグ溶接で接合される。
図6、図7に示すように、ビーム本体部43の左端部43a(具体的には、ビーム前壁46の左端部46a)に左ビーム延長部44が一体に形成される。左ビーム延長部44は、ビーム前壁46の左端部43aから車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出される。
すなわち、左ビーム延長部44は、ビーム前壁46の左端部43aから車幅方向外側かつ車体後方に向けて湾曲状に延びる(折り曲げられる)湾曲部51と、湾曲部51から車幅方向外側かつ車体後方に向けて直線状に延びる傾斜部52とを有する。
傾斜部52の後端部52aが、左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに車幅方向外側から当接される。この状態において、傾斜部52の後端部52aが、左エクステンション18の外側壁38の前端部38aにミグ溶接により上下方向へ連続溶接される。
前端部38aに後端部52aが連続溶接されることにより溶接部53が形成される。溶接部53は、溶接長さL2となるように上下方向へ延びる。
ここで、ビーム本体部43の左端部43aが左エクステンション18の外側壁38より距離L1だけ車幅方向内側に配置されている。よって、左ビーム延長部44と左エクステンション18との間にビーム空間(空間)54が形成される。
同様に、右ビーム延長部44と右エクステンション18との間にビーム空間(空間)54が形成される(図2参照)。
これにより、ビーム本体部43の全長を短くでき、バンパビーム19の軽量化を図ることができる。
また、ビーム後壁47の左端部47aが、左エクステンション18の上部35の前辺35aと、左エクステンション18の下部36の前辺36a(図5参照)にミグ溶接で接合される。さらに、左ビーム延長部44の傾斜部52の後端部52aが、左エクステンション18の外側壁38の前端部38aにミグ溶接で接合される。
これにより、従来必要としたボルト、ナットを用いることなく、バンパビーム19を左エクステンション18に取り付けることができ、コストを抑えることができる。
図2、図5に戻って、ビーム本体部43のビーム前壁46から複数のセーフティプレート21(具体的には、3個のセーフティプレート)が車体前方に向けて突出される。セーフティプレート21は、車体前方から入力した衝撃荷重を吸収する部材である。具体的には、セーフティプレート21は、側面視略U字状に形成され、一対の開口端21a,21bがビーム前壁46に溶接により接合される(図3も参照)。
図3に示すように、車体前方から入力する衝撃荷重F2でセーフティプレート21を潰し、セーフティプレート21で衝撃荷重F2を吸収できる。ここで、ビーム本体部43は、歩行者の膝関節と略同じ高さに位置する。
よって、ビーム本体部43のビーム前壁46にセーフティプレート21を設けることにより、セーフティプレート21に歩行者の脚部(特に、膝関節)を当接させることができる。脚部がセーフティプレート21に当接することにより、入力した衝撃荷重F2でセーフティプレートを潰すことができる。
これにより、入力した衝撃荷重F2をセーフティプレート21で吸収して歩行者の脚部を保護できる。
つぎに、スモールオーバーラップ衝突によりバンパビーム19の右端部に衝撃荷重F3が入力した際に、左ビーム延長部44の剥離を防止して衝撃荷重F3を吸収する例を図8、図9に基づいて説明する。
図8(a)に示すように、車体11の前右側部に相手車両や立木、電柱といった障害物が衝突するスモールオーバーラップ衝突が生じる。スモールオーバーラップ衝突により、セーフティプレート21の右端部21c、ビーム本体部43の右端部(一方の端部)43bに衝撃荷重F3が車体前方から入力する。
セーフティプレート21の右端部21cが衝撃荷重F3で潰され、衝撃荷重F3がビーム本体部43の右端部43bを経て右エクステンション18の前端部18cに入力する。右エクステンション18、右フロントサイドフレーム12および右ロアメンバ15などが潰され、衝撃荷重F3が吸収される。
ビーム本体部43の右端部43bに衝撃荷重F3が入力することにより、ビーム本体部43の左端部(他方の端部)43aを車体前方内側へ引っ張る曲げモーメントM1が発生する。
図8(b)に示すように、左ビーム延長部44の傾斜部52の後端部52aが、左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに車幅方向外側からミグ溶接で上下方向へ延びるように連続溶接されている。
この状態において、ビーム本体部43の左端部43aを曲げモーメントM1で車体前方内側へ向けて移動させようとする際に、左ビーム延長部44(具体的には、傾斜部52)が左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに押し付けられる方向に引っ張られる。
傾斜部52の後端部52aが外側壁38の前端部38aに押し付けられることにより、傾斜部52の後端部52aおよび外側壁38の前端部38aの溶接部53に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。
さらに、溶接部53が上下方向へ延びるように連続溶接されている。よって、ビーム本体部43の左端部43aを車体前方内側へ移動させる荷重が、連続溶接した溶接部53に直交するように作用して溶接部53の全域に分散される。
これにより、ビーム本体部43の左端部43aを車体前方へ移動させる荷重を溶接部53で支えることができる。
このように、傾斜部52の後端部52aが外側壁38の前端部38aに押し付けられ、さらに、溶接部5の全域に荷重が分散される。
これにより、傾斜部52の後端部52aを外側壁38の前端部38aに連続溶接するだけで、外側壁38の前端部38aから傾斜部52の後端部52aが引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
図9に示すように、左ビーム延長部44(具体的には、傾斜部52)の後端部52aが曲げモーメントM1でエクステンション18の外側壁38に押し付けられる方向に引っ張られる。よって、左エクステンション18の外側壁38に車幅方向内側に曲げる荷重F4が矢印の如く作用する。
これにより、左エクステンション18を外側壁38側から車幅方向内側に矢印Aの如く変形させて、衝撃荷重F3(図8(a)参照)を吸収できる。このように、左エクステンション18を変形させることにより、スモールオーバーラップ衝突で入力した衝撃荷重F3を一層良好に吸収できる。
さらに、左ロアメンバ15の前端部15aに左取付部材17(具体的には、第1取付部材27および第2取付部材28)を介してエクステンション18が連結されている。よって、スモールオーバーラップ衝突により左ビーム延長部44で左エクステンション18を車幅方向内側に変形させる際に、左エクステンション18で左ロアメンバ15を車幅方向内側に矢印Bの如く変形させることができる。
これにより、スモールオーバーラップ衝突の際に入力する衝撃荷重F3(図8(a)参照)の吸収量を増すことができる。
ここで、第2取付部材28の内側支持部32が左エクステンション18の内側壁37の後端部37aに接合されている。よって、スモールオーバーラップ衝突により左エクステンション18を矢印Aの如く変形させる際に、第2取付部材28の内側支持部32で左エクステンション18の内側壁37の後端部37aが支えられる。
これにより、左エクステンション18を矢印Aの如く変形させる際に、左エクステンション18を車幅方向内側に一層良好に変形させて衝撃荷重F3(図8(a)参照)の吸収量を増すことができる。
ついで、バンパビーム19の左端部に衝撃荷重F5が車体後方かつ車幅方向内側に向けて斜めに入力した場合に、入力した衝撃荷重F5を吸収する例を図10に基づいて説明する。
図10に示すように、バンパビーム19(具体的には、ビーム本体部43)の左端部43aに衝撃荷重F5が車体後方かつ車幅方向内側に向けて斜めに入力する。
ここで、第2取付部材28の内側支持部32が左エクステンション18の内側壁37の後端部37aに接合されている。よって、入力した衝撃荷重F5を第2取付部材28の内側支持部32で支えることができる。
入力した衝撃荷重F5を内側支持部32で支えることにより、左エクステンション18が衝撃荷重F5で倒れることを防止できる。これにより、入力した衝撃荷重F5で左エクステンション18を良好に潰して、入力した衝撃荷重F5を左エクステンション18で吸収できる。
つぎに、バンパビーム19の左端部 に衝撃荷重 が車体後方かつ車幅方向外側に向けて斜めに入力した場合に、入力した衝撃荷重F6を吸収する例を図11に基づいて説明する。
図11に示すように、バンパビーム19(具体的には、ビーム本体部43)の左端部43aに衝撃荷重F6が車体後方かつ車幅方向外側に向けて斜めに入力する。
ここで、第2取付部材28の外側支持部33が左エクステンション18の外側壁38の後端部38aに接合されている。よって、入力した衝撃荷重F6を第2取付部材28の外側支持部33で支えることができる。
入力した衝撃荷重F6を外側支持部33で支えることにより、左エクステンション18が衝撃荷重F6で倒れることを防止できる。これにより、入力した衝撃荷重F6で左エクステンション18を良好に潰して、入力した衝撃荷重F6を左エクステンション18で吸収できる。
つぎに、実施例2のバンパビーム72を図12に基づいて説明する。なお、実施例2のバンパビーム72において実施例1の各構成部材と同一・類似部材については実施例1と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
なお、図12においては、バンパビーム72の構成の理解を容易にするためにセーフティプレート21を除去した状態を示す。
実施例2に係る車体前部構造70について説明する。
図12(a)、図12(b)に示すように、車体前部構造70は、実施例1のバンパビーム19を分割形のバンパビーム72に代えたもので、その他の構成は実施例1の車体前部構造10と略同様である。
実施例2のバンパビーム72は、ビーム本体部73、左ビーム延長部74および右ビーム延長部74(図13(a)参照)がそれぞれ個別の部材で形成されたもので、その他の構成は実施例1のバンパビーム19と略同様である。
左ビーム延長部74および右ビーム延長部74は左右対称の部材である。そこで、各ビーム延長部74に同じ符号を付して、左ビーム延長部74について詳しく説明し、右ビーム延長部74の説明を省略する。
ビーム本体部73は、実施例1のビーム本体部43と略同様に断面略矩形状に形成される。このビーム本体部73は、車体前方に臨むビーム前壁76を有する。
左ビーム延長部74は、ビーム前壁76の左端部76aに溶接される前端部81と、前端部81から左エクステンション18の外側壁38に向けて傾斜状に延びる傾斜部82と、傾斜部82から車体後方に向けて延びて外側壁38に溶接される後端部83とを有する。
左ビーム延長部74の前端部81は、ビーム前壁76の左端部76aに車体前方側から当接され、左端部76aに前端81aが上下方向へミグ溶接で連続溶接される。左端部76aに前端81aが連続溶接されることにより溶接部85が形成される。溶接部85は、溶接長さL3となるように上下方向へ延びる。
左ビーム延長部74の傾斜部82は、左ビーム延長部74の前端部81から左エクステンション18の外側壁38の前端部38aまで車幅方向外側かつ車体後方に向けて直線状に延出される。
左ビーム延長部74の後端部83は、傾斜部82の後端82aから車体後方に延びて左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに車幅方向外側から当接される。この状態において、後端部83の後端83aが外側壁38の前端部38aに上下方向へミグ溶接で連続溶接される。
前端部38aに後端83aが連続溶接されることにより溶接部86が形成される。溶接部86は、溶接長さL4となるように上下方向へ延びる。
ここで、ビーム本体部73の左端部73aが左エクステンション18の外側壁38より距離L5だけ車幅方向内側に配置されている。よって、左ビーム延長部74と左エクステンション18との間にビーム空間(空間)88が形成される。
これにより、ビーム本体部73の全長を短くでき、バンパビーム72の軽量化を図ることができる。
さらに、実施例2のバンパビーム72によれば、ビーム本体部73と左ビーム延長部74とをそれぞれ別部材で形成することにより各部材の形状の簡略化が図れ、バンパビーム72のコストを抑えることができる。
加えて、ビーム本体部73と左ビーム延長部74とをそれぞれ別部材で形成することにより、ビーム本体部73、左ビーム延長部74の形状や材質などを決める際に設計の自由度を高めることができる。
つぎに、スモールオーバーラップ衝突によりバンパビーム72の右端部に衝撃荷重F7が入力した際に、左ビーム延長部74の剥離を防止して衝撃荷重F7を吸収する例を図13に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、ビーム本体部73の右端部(端部)73bにスモールオーバーラップ衝突による衝撃荷重F7が入力する。衝撃荷重F7によりセーフティプレート21の右端部21cや右エクステンション18などが潰され、衝撃荷重F7が吸収される。
ビーム本体部73の右端部73bに衝撃荷重F7が入力することにより、ビーム本体部73の左端部(端部)73aを車体前方内側に引っ張る曲げモーメントM2が発生する。
図13(b)に示すように、左ビーム延長部74(具体的には、後端部83)の後端83aが、左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに車幅方向外側からミグ溶接で上下方向へ延びるように連続溶接されている。
よって、ビーム本体部73の左端部73aを曲げモーメントM2で車体前方内側へ向けて移動させようとする際に、後端部83の後端83aが左エクステンション18の外側壁38の前端部38aに押し付けられる方向に引っ張られる。
後端部83が外側壁38の前端部38aに押し付けられることにより、後端部83の後端83aおよび外側壁38の前端部38aの溶接部86に亀裂が発生することを抑え、あるいは、亀裂の発生を小さく抑えることができる。
さらに、溶接部86が上下方向へ延びるように連続溶接されている。よって、ビーム本体部73の左端部73aを車体前方内側へ移動させる荷重が、連続溶接した溶接部86に直交するように作用して溶接部86の全域に分散される。
すなわち、ビーム本体部73の左端部73aを車体前方へ移動させる荷重を溶接部86で支えることができる。
このように、左ビーム延長部74(具体的には、後端部83)の後端83aが外側壁38の前端部38aに押し付けられ、さらに、溶接部86の全域に荷重が分散される。これにより、外側壁38の前端部38aから後端部83の後端83aが引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
同様に、ビーム前壁76の左端部76aから左ビーム延長部74(具体的には、前端部81)の前端81aが引き離される(すなわち、剥離される)ことを防止できる。
さらに、左ビーム延長部74(具体的には、後端部83)の後端83aを外側壁38の前端部38aに連続溶接するだけで、左ビーム延長部74の後端部83が剥離することを防止できる。
同様に、左ビーム延長部74(具体的には、前端部81)の前端81aをビーム前壁76の左端部76aに連続溶接するだけで、左ビーム延長部74の前端部81が剥離することを防止できる。
また、左ビーム延長部74の後端部83が曲げモーメントM2でエクステンション18の外側壁38に押し付けられる方向に引っ張られる。よって、左エクステンション18の外側壁38に車幅方向内側に曲げる荷重F8が矢印の如く作用する。
これにより、左エクステンション18を外側壁38側から車幅方向内側に変形させて、衝撃荷重F7(図13(a)参照)を吸収できる。このように、左エクステンション18を変形させることにより、スモールオーバーラップ衝突で入力した衝撃荷重F7を一層良好に吸収できる。
なお、本発明に係る車体前部構造は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例1および前記実施例2では、車体11の前右側部にスモールオーバーラップ衝突が生じた例について説明したが、これに限らないで、車体11の前左側部へのスモールオーバーラップ衝突に本発明を適用することも可能である。
また、前記実施例1および前記実施例2では、本発明をスモールオーバーラップ衝突に適用した例について説明したが、これに限らないで、本発明をオフセット衝突などの他の衝突に適用することも可能である。
さらに、前記実施例1および前記実施例2では、ビーム本体部43に複数のセーフティプレート21を設けた例について説明したが、これに限定するものではない。例えば、セーフティプレート21の全長をビーム本体部43の全長に合わせて、単体のセーフティプレート21をビーム本体部43に設けることも可能である。
また、前記実施例1および前記実施例2で示した車体前部構造、左右のフロントサイドフレーム、左右のロアメンバ、左右の取付部材、左右のエクステンション、バンパビーム、セーフティプレート、第1取付部材、第2取付部材、内側支持部、外側支持部、ビーム本体部および左右のビーム延長部などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明は、左右のフロントサイドフレームの前端部にバンパビームがエクステンションを介して架け渡される車体前部構造を備えた自動車への適用に好適である。
10,70 車体前部構造
12 左右のフロントサイドフレーム
12a 左右のフロントサイドフレームの前端部
15 左右のロアメンバ
17 左右の取付部材
18 左右のエクステンション
19,72 バンパビーム
21 セーフティプレート
21a,21b 一対の開口端
27 第1取付部材
28 第2取付部材
32 内側支持部
33 外側支持部
37 左エクステンションの内側壁
37a 内側壁の後端部
38 左エクステンションの外側壁
38a 外側壁の後端部
43,73 ビーム本体部
43a,73a ビーム本体部の左端部(端部)
43b,73b ビーム本体部の右端部(端部)
44,74 左右のビーム延長部
46,76 ビーム本体部のビーム前壁(前壁)
54,88 ビーム空間(空間)
F1〜F8 衝撃荷重

Claims (7)

  1. 左右のフロントサイドフレームの前端部にエクステンションが設けられ、左右のエクステンションにバンパビームが架け渡され、前記バンパビームに車体前方から入力する衝撃荷重を前記エクステンションで吸収可能な車体前部構造において、
    前記バンパビームは、
    車幅方向に延びるビーム本体部と、
    該ビーム本体部の端部から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、前記エクステンションの外側壁に溶接されるビーム延長部と、
    を備え、
    前記ビーム延長部は、
    前記外側壁に上下方向へ連続溶接されることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記ビーム本体部は、
    前記エクステンションの前端部に溶接される請求項記載の車体前部構造。
  3. 前記ビーム延長部は、
    前記ビーム本体部の前壁から車幅方向外側かつ車体後方に向けて延出され、
    前記ビーム延長部と前記エクステンションとの間に空間が形成される請求項1記載の車体前部構造。
  4. 前記フロントサイドフレームの前端部および前記エクステンション間に介在される取付部材を備え、
    該取付部材は、
    前記エクステンションの内側壁の後端部に接合される内側支持部を有する請求項1からのいずれか1項記載の車体前部構造。
  5. 前記取付部材は、
    前記エクステンションの外側壁の後端部に接合される外側支持部を有する請求項記載の車体前部構造。
  6. 前記ビーム本体部から車体前方に向けて突出し、車体前方から入力する衝撃荷重を吸収可能なセーフティプレートを備え、
    該セーフティプレートは、
    断面略U字状に形成され、一対の開口端が前記ビーム本体部に接合される請求項1からのいずれか1項記載の車体前部構造。
  7. 前記フロントサイドフレームの車幅方向外側にロアメンバを備え、
    該ロアメンバに前記取付部材が接合される請求項または記載の車体前部構造。
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