JP2017003984A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜硬度、タック性、アルカリ現像性、感光性、解像性及び断面形状等の基本諸特性を損なうことなく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性に優れた硬化物を得ることができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、特に回路基板の絶縁被膜として有用な感光性樹脂組成物及び感光性樹脂組成物を光硬化して得られた皮膜を有するプリント配線板に関する。
プリント配線板は、基板の上に導体回路のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止すると共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、近年、プリント配線基板の配線密度の細密化にともないソルダーレジスト膜として塗布される感光性樹脂組成物も高解像性、高精度化が要求され、スクリーン印刷法から、位置精度、導体エッジ部の被覆性に優れる写真現像法が広く採用されている。写真現像法にてソルダーレジスト膜を形成する場合は、例えば、プリント配線板上に感光性樹脂組成物である液状組成物を静電スプレー塗装機にて全面塗布し、加熱して塗膜中の溶媒を揮発させた後、塗膜を露光し、未露光部分をアルカリ溶液にて除去し、現像することが行われている。
スプレー塗布された硬化塗膜は、例えば、エッジカバーリング性に優れ、ユズ肌、熱履歴による黄変を抑えることが要求される場合がある。そこで、スプレー塗装用の感光性樹脂組成物として、カルボキシル基含有感光性樹脂と、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末及び/または金属酸化物粉末と、光重合開始剤と、希釈剤と、エポキシ化合物と、酸化チタンとを含有する感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
一方で、例えば、プリント配線板が車両等に搭載された内燃機関やバッテリー等の近傍に設置される場合には、硬化塗膜には、熱衝撃耐性、すなわち、硬化塗膜が、低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されても、クラックが発生することを防止できる特性が要求される場合がある。
特開2011−133670号公報
上記事情に鑑み、本発明の目的は、塗膜硬度、タック性、アルカリ現像性、感光性、解像性及び断面形状等の基本諸特性を損なうことなく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性に優れた硬化物を得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の態様は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量が、240〜300g/eqであることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、前記(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、15〜75質量部含まれることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物を塗布したことを特徴とするプリント配線板である。
本発明の態様によれば、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂を含むことにより、塗膜硬度、タック性、アルカリ現像性、感光性、解像性及び断面形状等の基本諸特性を損なうことなく、弾性が向上して熱衝撃耐性とはんだ耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
本発明の態様によれば、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量が、240〜300g/eqであることにより、熱衝撃耐性により優れ、また、はんだ耐熱性のより向上した硬化物を得ることができる。
本発明の態様によれば、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、15〜75質量部含まれることにより、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性のより向上した硬化物を得ることができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、以下に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、を含有することを特徴とする。上記成分は以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂は、特に限定されず、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、1000以下が好ましく、100〜500が特に好ましい。多官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤中で加熱することにより反応させることができる。
多塩基酸又は多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応により生成した水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル基を導入するためのものである。多塩基酸又はその無水物は特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としてはこれらの無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
本発明においては、上記した多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、必要に応じて、上記した多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更に導入し、感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂としてもよい。
この感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂は、前記グリシジル化合物の反応によって、ラジカル重合性不飽和基が、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性が高く、優れた感光特性を有することができる。1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gが好ましく、硬化物の耐湿性と電気特性の低下防止の点から150mgKOH/gが特に好ましい。
また、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から3000が好ましく、5000が特に好ましい。一方、質量平均分子量の上限値は、円滑なアルカリ現像性の点から200000が好ましく、50000が特に好ましい。
(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂
フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂は、キシレン構造とエポキシ基を有する樹脂であって、前記キシレン構造が、フェノールまたはその誘導体で変性された樹脂である。フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノールまたはその誘導体で変性されたキシレン構造が、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂構造をフェノールまたはその誘導体で変性した構造である、エポキシ樹脂を挙げることができる。
該エポキシ樹脂として、例えば、キシレンとフェノールまたはその誘導体とホルムアルデヒドとを反応させて得られた樹脂に、エピクロロヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化した分子構造を導入することで得られるエポキシ樹脂、キシレンとホルムアルデヒドとを反応させて得られたキシレン樹脂に、フェノールまたはその誘導体とホルムアルデヒドとを添加して反応させ、該反応生成物にさらにエピクロロヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化した分子構造を導入することで得られるエポキシ樹脂等を挙げることができる。
フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂の具体例としては、下記一般式(I)
Figure 2017003984
(式中、lは1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、mは1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、nは1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数を示す。)で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(I)で表される化合物としては、例えば、YX7700(三菱化学(株)製)を挙げることができる。
フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、より優れた硬化性の点から240g/eqが好ましく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性の点から260g/eqが特に好ましい。一方で、その上限値は、塗膜硬度の点から300g/eqが好ましく、アルカリ現像性の点から280g/eqが特に好ましい。
フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、その下限値は、タック性の点から1300が好ましく、熱衝撃耐性の点から1600が特に好ましい。一方で、その上限値は、塗膜硬度の点から2500が好ましく、硬化性の点から2200が特に好ましい。
フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば、その下限値は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性のより向上した硬化物を得る点から15質量部が好ましく、熱衝撃耐性をさらに向上させる点から30質量部がより好ましく、35質量部が特に好ましい。一方で、その上限値は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性のより向上した硬化物を得る点から75質量部が好ましく、熱衝撃耐性をさらに向上させる点から50質量部がより好ましく、45質量部が特に好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5〜30質量部が好ましく、7〜20質量部が特に好ましい。
(D)反応性希釈剤
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する硬化物を得るために使用する。
反応性希釈剤は、上記化合物であれば特に限定されず、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチルメタクリレート、ジエチレングルコールモノメタクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリルレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
反応性希釈剤の含有量は特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2.0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した成分(A)〜成分(D)の他に、必要に応じて、種々の成分、例えば、フィラー、顔料、各種添加剤、溶剤などを含有させることができる。
フィラーは、感光性樹脂組成物の塗膜の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、タルク、硫酸バリウム、疎水性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、マイカ等を挙げることができる。フィラーの含有量は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、20〜50質量部が特に好ましい。
顔料は、特に限定されず、例えば、白色着色剤である酸化チタンや、白色以外の着色剤として、緑色着色剤であるフタロシアニングリーン及び青色着色剤であるフタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アントラキノン系、並びにアゾ系等の有機顔料や、黒色着色剤であるカーボンブラック等の無機顔料を挙げることができる。顔料の含有量は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、0.3〜2.0質量部が好ましく、0.5〜1.5質量部が特に好ましい。
各種添加剤には、例えば、シリコーン系、炭化水素系及びアクリル系等の消泡剤、シラン系、チタネート系及びアルミナ系等のカップリング剤、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の潜在性硬化剤、アセチルアセナートZn及びアセチルアセナートCr等のアセチルアセトンの金属塩、エナミン、オクチル酸錫、第4級スルホニウム塩、トリフェニルホスフィン、イミダゾール類、イミダゾリウム塩類並びにトリエタノールアミンボレート等の熱硬化促進剤、ポリカルボン酸アマイド等のチキソ剤などを挙げることができる。
溶剤は、感光性樹脂組成物の乾燥性を調節するためのものである。溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類等を挙げることができる。
上記した本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて三本ロールにより混合分散させて製造することができる。また、必要に応じて、前記混合分散前に、攪拌機にて予備混合してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例を説明する。使用方法は特に限定されないが、ここでは、本発明の感光性樹脂組成物を、プリント配線板にスプレーにて塗工して、ソルダーレジスト膜等の絶縁被膜を形成する方法を例にして説明する。
プリント配線板に、所望の厚さ、例えば5〜100μmの厚さで、上記のように製造した本発明の感光性樹脂組成物をスプレーにて塗布する。スプレー塗工の手段としては、適宜選択可能であるが、例えば、静電スプレー塗装機、エアースプレー塗装機、エアレススプレー塗装機等を挙げることができる。スプレー塗工後、必要に応じて、熱風炉または遠赤外線炉等の加熱炉でスプレー塗工した感光性樹脂組成物を予備乾燥し、感光性樹脂組成物から溶剤を揮発させて塗膜の表面をタックフリーの状態にする。予備乾燥の温度は60〜80℃、予備乾燥の時間は15〜60分が、それぞれ、好ましい。その後、塗工した感光性樹脂組成物上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線を照射させる。そして、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、例えば、スプレー法、シャワー法等が用いられ、希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を使用することができる。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等の加熱炉で20〜80分間ポストキュアを行うことにより、プリント配線板上に目的とするパターンを有する絶縁被膜を形成させることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜6、比較例1にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を以下のように塗工して試験片を作製した。下記表1中の数字は質量部を示す。また、下記表1中の配合の空欄部は、配合なしを意味する。
Figure 2017003984
なお、表1中の各成分についての詳細は以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルビトールアセテート250質量部に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、ESCN−220、エポキシ当量220)220質量部及びアクリル酸72質量部を溶解し、還流下に反応させて、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。次いで、得られたクレゾールノボラック型エポキシアクリレートに、テトラヒドロ無水フタル酸78質量部を加え、酸価が理論値になるまで還流下で反応させ、固形分66質量%のカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(A−1)を得た。
カルビトールアセテート250質量部に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製、ESCN−220、エポキシ当量220)220質量部及びアクリル酸72質量部を溶解し、還流下に反応させて、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。次いで、得られたクレゾールノボラック型エポキシアクリレートに、ヘキサヒドロ無水フタル酸138.6質量部を加え、酸価が理論値になるまで還流下で反応させた後、グリシジルメタクリレート56.8質量部を加え、さらに反応させて、固形分66質量%のカルボキシル基含有感光性樹脂の合成樹脂(A−2)を得た。
(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂
・YX7700:三菱化学(株)製。
(C)光重合開始剤
・イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュアOXE−02:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製。
・KAYACURE JETX:日本化薬(株)製。
(D)反応性希釈剤
・EBECRYL8402:ダイセル・オルネクス社製。
フィラー
・硫酸バリウムB−34:堺化学工業(株)製。
・LMS200:富士タルク(株)製。
・レオロシールDM−20S:トクヤマ(株)製。
顔料
・ファーストゲングリーン:DIC社製。
添加剤
・粉末メラミン:日産化学工業(株)製。
・アンテージMB:川口化学工業(株)製。
・DICY−7:ジャパンエポキシレジン社製。
溶剤
・EDGAC:三洋化成品(株)製。
成分(B)以外のエポキシ樹脂
・YX4000:三菱化学(株)製。
試験片作製工程
基板:プリント配線基板(ガラスエポキシ基板「FR−4」、板厚1.6mm、導体(Cu箔)厚50μm)
基板表面処理:バフ研磨
塗工:スプレー塗工
塗装条件:吐出量(110cc/min)、コンベアー速度(2.3m/min)、ディスク回転数(30000rpm)、印加電圧(−35KV)
DRY膜厚:35〜40μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上300mJ/cm(オーク社製「HMW−680GW」)
アルカリ現像:1質量%Na2CO3、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア:150℃、60分
評価項目は以下の通りである。
(1)熱衝撃耐性試験
上記試験片作製工程にて作製した試験片100枚について、熱衝撃試験機(日立アプライアンス(株)製、日立ヒートショック試験装置「ES−76LMS」)にて、−65℃/30分〜125℃/30分を1サイクルとして1000サイクルの試験を行った。その後、顕微鏡(×200)にてプリント配線基板の塗膜を観察して、塗膜のクラック発生率を以下の基準にて評価した。塗膜の観察位置は、露出したCu箔(2.0mm角パット)の周りを囲むように正方形状(2.4mm角)にアルカリ現像された塗膜の各角部とした。
◎:クラック発生率が10%以下
○:クラック発生率が11〜30%
△:クラック発生率が31〜50%
×:クラック発生率が50%以上
(2)塗膜硬度
上記試験片作製工程にて作製した試験片の、Cu箔上の塗膜について、任意の硬度の鉛筆を用いて角度45度、荷重1Kg条件で引っ掻き試験を行った。試験後、目視にてプリント配線基板の塗膜を観察して、Cu箔表面が暴露しない最大の塗膜硬度を以下の基準にて評価した。
◎:4H以上
○:2H〜3H
×:H以下
(3)はんだ耐熱性
上記試験片作製工程にて作製した試験片の塗膜上に、フラックス((株)タムラ製作所製、「ULF−210R」)を塗布後、25℃にて乾燥した。その後、塗布面を下側に向け、260〜262℃のはんだ槽に試験片を浸せきし、10秒間加熱した。その後、はんだ槽から試験片を取り出し、常温まで冷却した。冷却後、IPAでフラックス残渣をふき取って、セロハン粘着テープによるピーリング試験(剥離試験)を繰り返した後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準にて評価した。
◎:3サイクル繰り返し後も塗膜に変化が認められない
○:2〜3サイクル繰り返し後に塗膜に変化が認められる
×:1サイクルにて塗膜に変化が認められる
(4)タック性
上記試験片作製工程における予備乾燥後に、Cu箔上の塗膜を指触し、塗膜の状態を目視により観察し、以下の基準にて評価した。
◎:塗膜に指紋痕は残るものの、塗膜にべたつきはない
○:塗膜に指紋痕が残り、塗膜に若干のべたつきがあるが、指に塗膜が付着しない
×:塗膜にべたつきがあり、指に塗膜が付着する
(5)アルカリ現像性
上記試験片作製工程にて使用したプリント配線基板に、上記のように調製した感光性樹脂組成物をスプレー塗工法にて塗布後、80℃にて、40、50、60分間、予備乾燥した。その後、予備乾燥炉から試験片を取り出し、上記試験片作製工程のアルカリ現像条件にて現像を行い、現像後の塗膜の除去状態を目視により観察し、以下の基準にて評価した。
○:予備乾燥時間60分でも完全に塗膜が除去されている
△:予備乾燥時間40分で完全に塗膜が除去されているが、50分間または60分間で若干塗膜が残っている
×:予備乾燥時間40分で塗膜が残っている
(6)感光性
上記試験片作製工程と同様にして予備乾燥工程まで行ったプリント配線基板に対し、透明マイラーフィルムを通し、メインピ−クが365nmの波長の紫外線の照射光量を(株)オ−ク製作所社製の積算光量計を用い300mJ/cm照射したものをテストピ−スとした。このテストピースに対し、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cm のスプレー圧で60秒間現像を行った後の塗膜表面を、以下の基準で評価した。
◎:塗膜表面が光沢している
○:塗膜表面が若干失沢している
△:塗膜表面が失沢している
×:塗膜表面が失沢し、亀裂が発生している
(7)解像性
硬化塗膜の厚みが40μmである以外は上記試験片作製工程に準じて作製した、ライン幅30〜120μmで設計の硬化塗膜を有する試験片について、プリント配線基板上に残存した最も細いライン幅の硬化塗膜を目視にて観察し、解像性として評価した。前記ラインは、上記試験片作製工程の露光・現像と同じ方法により形成した。
(8)断面形状
上記試験片作製工程に準じて作製した、幅100μmの硬化塗膜を形成したプリント配線基板について、該基板を切断して切断面を封止樹脂(エポキシ樹脂)にて封止した。次に、封止した断面を研磨後、硬化塗膜の断面について、金属顕微鏡または走査型電子顕微鏡にて、表面側端部の幅(x)と底部側(深部側)端部の幅(y)を測定し、yがxより片側10μm未満狭い断面形状を「◎」、yがxより片側10μm以上15μm未満狭い断面形状を「○」、yがxより片側15μm以上狭い断面形状を「×」と評価した。
上記評価の結果を下記表2に示す。
Figure 2017003984
上記表2に示すように、フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂を配合した実施例1〜6では、塗膜硬度、タック性、アルカリ現像性、感光性、解像性及び断面形状を損なうことなく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性に優れた硬化物を得ることができた。また、実施例1と実施例2、3との対比から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対してフェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が約42質量部含まれる実施例1は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対してフェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が約21質量部含まれる実施例2、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対してフェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が約63質量部含まれる実施例3と比較して、熱衝撃耐性がさらに向上した。
また、実施例1と実施例5、実施例4と実施例6の対比から、さらにグリシジルメタクリレートを付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2樹脂)を配合することで、感光性と解像性がより向上した。また、実施例3と実施例4、実施例5と実施例6の対比から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して光重合開始剤が約9.9質量部と顔料が約0.7質量部含まれる実施例4、6は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して光重合開始剤が約12.9質量部と顔料が約1.0含まれる実施例3、5と比較して、解像性と断面形状がより向上した。
一方で、フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂に代えて、ビフェニル型エポキシ樹脂を使用した比較例1では、実施例1〜6よりも熱衝撃耐性が低下し、はんだ耐熱性も得られなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、塗膜硬度、タック性、アルカリ現像性、感光性、解像性及び断面形状等の基本諸特性を損なうことなく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性に優れた硬化物を得ることができるので、例えば、プリント配線板の分野、特に、車載されるプリント配線板の分野で利用価値が高い。

Claims (4)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂と、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量が、240〜300g/eqであることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(B)フェノール変性キシレン樹脂構造を有するエポキシ樹脂が、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、15〜75質量部含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布したことを特徴とするプリント配線板。
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