JP6944073B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、特に、プリント配線板等の回路基板の絶縁被覆として有用な感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂組成物を光硬化して得られた被覆を有するプリント配線板に関する。
プリント配線板等の回路基板は、基板上に導体回路のパターンを形成し、回路パターンのはんだ付けランドに電子部品をはんだ付けにより搭載するために使用され、はんだ付けランドを除く回路部分は絶縁保護膜であるソルダーレジスト膜で被覆される。これにより、プリント配線板等の回路基板に電子部品をはんだ付けする際に、はんだが不必要な部分に付着するのを防止するとともに、導体回路が空気に直接曝されて酸化や湿度により腐食されるのを防止する。
また、プリント配線板等の回路基板は、配線密度の細密化にともない、絶縁保護膜(ソルダーレジスト膜)として塗布される感光性樹脂組成物に高解像性が要求されている。また、近年、プリント配線板等の回路基板の設置環境はますます厳しくなってきており、熱履歴や熱負荷による絶縁保護膜の劣化防止も要求されている。
そこで、熱履歴や熱負荷による絶縁保護膜の劣化を抑えるために、カルボキシル基含有感光性樹脂と、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末及び/または金属酸化物粉末と、光重合開始剤と、希釈剤と、エポキシ化合物と、酸化チタンとを含有する感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。特許文献1の感光性樹脂組成物では、熱履歴による絶縁保護膜の変色を防止することが主眼となっている。
一方で、プリント配線板等の回路基板の絶縁保護膜には、熱履歴や熱負荷による絶縁保護膜の劣化防止として、熱衝撃耐性、すなわち、絶縁保護膜が、低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されても、絶縁保護膜にクラックが発生することを防止する特性のさらなる改善が要求される場合がある。しかし、特許文献1では、熱履歴や熱負荷による絶縁保護膜の劣化防止として、熱衝撃耐性が十分ではないという問題があった。
特開2011−133670号公報
上記事情に鑑み、本発明は、はんだ耐熱性、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、熱衝撃耐性に優れた光硬化物を形成することができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1](A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)エラストマーと、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有し、
前記(B)エラストマーが、(b)テレケリックポリマーを含有する感光性樹脂組成物。
[2]前記(b)テレケリックポリマーの数平均分子量(Mn)が、5000以上40000以下である[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記(b)テレケリックポリマーが、23℃で液状である[1]または[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記(b)テレケリックポリマーが、反応性官能基として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する、2官能のテレケリックポリマーである[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記(b)テレケリックポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(b)テレケリックポリマーを5.0質量部以上50質量部以下含有する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(b)テレケリックポリマーを17質量部以上30質量部以下含有する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記(b)テレケリックポリマーの23℃における粘度が、300Pa・s以上350Pa・s以下である[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[9]前記(E)エポキシ化合物が、ハイドロキノン型エポキシ樹脂またはチオエーテル型エポキシ樹脂を含む[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[10]前記ハイドロキノン型エポキシ樹脂が、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−フェニレンビス(オキシメチルオキシラン)である[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11]前記チオエーテル型エポキシ樹脂が、2,2'−ジメチル−4,4'−ジグリシジルオキシ−5,5'−ジ−ターシャリー−ブチルジフェニルスルフィドである[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[12]プリント配線板のソルダーレジスト用である[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
[13][1]乃至[12]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物の光硬化物。
[14][1]乃至[12]のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を塗布したプリント配線板。
上記態様における数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により測定した分子量を意味する。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(B)エラストマーとして(b)テレケリックポリマーを含有することにより、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、優れたはんだ耐熱性を得つつ、熱衝撃耐性に優れた光硬化物を形成することができる。より具体的には、(B)エラストマーとして(b)テレケリックポリマーを含有することにより、感光性樹脂組成物の光硬化物の弾性を適度に低減できることから、前記光硬化物が低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されても、前記光硬化物への熱応力を低減でき、結果として、前記光硬化物にクラックが発生することを防止できる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(b)テレケリックポリマーの数平均分子量(Mn)が5000以上40000以下であることにより、熱衝撃耐性がより確実に向上した光硬化物を形成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(b)テレケリックポリマーが、反応性官能基として両末端に(メタ)アクリロイル基を有する2官能のテレケリックポリマーであることにより、熱衝撃耐性がより確実に向上した光硬化物を形成することができる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(b)テレケリックポリマーの主鎖が(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造であることにより、感光性樹脂組成物の光硬化物の弾性をより確実に適度に低減できるので、光硬化物が低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されても、クラックが発生することをより確実に防止できる。
本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(b)テレケリックポリマーを5.0質量部以上50質量部以下含有することにより、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、優れたはんだ耐熱性を得つつ、熱衝撃耐性が確実に向上した光硬化物を形成することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物の態様によれば、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(b)テレケリックポリマーを17質量部以上30質量部以下含有することにより、熱衝撃耐性がさらに向上した光硬化物を形成することができる。
(b)テレケリックポリマーの23℃における粘度が300Pa・s以上350Pa・s以下であることにより、熱衝撃耐性がさらに向上した光硬化物を形成することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、以下に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)エラストマーと、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有し、前記(B)エラストマーが、(b)テレケリックポリマーを含有する。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂の化学構造は、特に限定されず、例えば、遊離のカルボキシル基を含有し、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、該樹脂に生成した水酸基に多塩基酸及び/または多塩基酸無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
多官能エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、化学構造は特に限定されない。多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、その上限値は、2000が好ましく、1500がより好ましく、1000がさらに好ましく、500が特に好ましい。一方で、エポキシ当量の下限値は、100が好ましく、200が特に好ましい。多官能エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらのエポキシ樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したエポキシ樹脂を使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、チグリン酸、アンゲリカ酸等を挙げることができる。これらのうち、入手容易性の点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が、多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と反応することで、エポキシ樹脂に感光性の不飽和二重結合が導入されて、エポキシ樹脂に感光性が付与される。
多官能エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は、特に限定されず、例えば、多官能エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤(例えば、不活性な有機溶剤)中で加熱する方法が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応によってラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂に生成した水酸基に、多塩基酸及び/または多塩基酸無水物が反応することで、感光性の不飽和二重結合が導入された樹脂に、さらに遊離のカルボキシル基が導入される。感光性の不飽和二重結合が導入された樹脂に遊離のカルボキシル基が導入されることで、樹脂にアルカリ現像性が付与される。多塩基酸、多塩基酸無水物は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用することができる。多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、フタル酸誘導体(例えば、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。また、多塩基酸無水物としては、上記した多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂と多塩基酸及び/または多塩基酸無水物との反応方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂と多塩基酸及び/または多塩基酸無水物とを適当な希釈剤(例えば、不活性な有機溶剤)中で加熱する方法が挙げられる。
上記した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、必要に応じて、上記多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、さらに、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物(例えば、グリシジル化合物)を反応させて、樹脂の側鎖にラジカル重合性不飽和基をさらに導入することで、感光性をさらに向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂を使用してもよい。
感光性をさらに向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂は、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂へのグリシジル化合物の付加反応によって、ラジカル重合性不飽和基が多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性、すなわち、光硬化性がより向上し、より優れた感光特性を発揮する。グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像性を得る点から、30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部(光硬化部)の溶解を防止する点から、200mgKOH/gが好ましく、光硬化物の耐湿性と絶縁信頼性の低下を確実に防止する点から、150mgKOH/gが特に好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、その下限値は、光硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から、6000が好ましく、7000がより好ましく、8000が特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量(Mw)の上限値は、アルカリ現像性の低下を確実に防止する点から、200000が好ましく、100000がより好ましく、50000が特に好ましい。なお、質量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)測定により測定した分子量を意味する。
カルボキシル基含有感光性樹脂は、上記した例示のように、上記各出発物質を用いて上記反応にて合成してもよく、上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂を使用してもよい。上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂としては、例えば、「リポキシSP−4621」(昭和電工株式会社)、「KAYARAD ZAR−2000」、「KAYARAD ZFR−1122」、「KAYARAD FLX−2089」、「KAYARAD ZCR−1569H」(以上、日本化薬株式会社)、「サイクロマーP(ACA)Z−250」(ダイセル株式会社)等を挙げることができる。また、これらのカルボキシル基含有感光性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)エラストマー
本発明の感光性樹脂組成物では、(B)エラストマーとして(b)テレケリックポリマーを含有することにより、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、優れたはんだ耐熱性を得つつ、熱衝撃耐性に優れた光硬化物を形成することができる。(B)エラストマーとして(b)テレケリックポリマーを含有することにより、例えば、エラストマーとしてジブロック共重合体やトリブロック共重合体等のブロック共重合体を使用する場合と比較して、感光性樹脂組成物の光硬化物の弾性を適度に低減できることから、前記光硬化物が低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されても、前記光硬化物への熱応力をより確実に低減できる。従って、熱衝撃サイクルの環境下でも、前記光硬化物にクラックが発生することをより確実に防止できる。また、(b)テレケリックポリマーは、感光性樹脂組成物の樹脂成分と反応可能であることから、優れたはんだ耐熱性を得ることができる。上記から、本発明の感光性樹脂組成物では、光硬化物に熱衝撃耐性やはんだ耐熱性を付与するためにブロック共重合体を配合する必要はない。
(b)テレケリックポリマー
テレケリックポリマーには、例えば、[a]−[b]−[a]構造のテレケリックポリマーを挙げることができる。[a]は反応性官能基である末端の部位、[b]は柔軟性構造を有する主鎖の部位である。[a]−[b]−[a]構造のテレケリックポリマーは、両末端に反応性官能基を有する2官能のテレケリックポリマーである。
[a]を構成する反応性官能基としては、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、熱衝撃耐性がより確実に向上した光硬化物を形成できる点から、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」ということがある。)が特に好ましい。
主鎖の部位である[b]の構造としては、例えば、感光性樹脂組成物の光硬化物の弾性をより確実に適度に低減することで、光硬化物が低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝されてもクラックが発生することをより確実に防止できる点から、(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造が好ましい。
[b]の構造である(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造としては、例えば、下記式(1)
(CH−C(COOR)R (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Rは、水素原子またはメチル基、nは1〜300の整数である。)で表される(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造が挙げられる。
テレケリックポリマーの数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、熱衝撃耐性をより確実に向上させる点から、5000以上40000以下が好ましい。5000以上40000以下の数平均分子量(Mn)は、例えば、(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルを有機ハロゲン化合物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として重合させるリビングラジカル重合によって得ることができる。すなわち、上記テレケリックポリマーは、リビングラジカル重合で形成された主鎖を有している。
また、テレケリックポリマーとしては、常温(23℃)で液状であるポリマーが挙げられる。上記した、[a]が(メタ)アクリロイル基であり、[b]の構造が上記式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造であるテレケリックポリマーは、常温(23℃)で液状である。テレケリックポリマーが常温(23℃)で液状であることにより、感光性樹脂組成物中におけるテレケリックポリマーの分散性を均一化することができる。
また、テレケリックポリマーの23℃における粘度は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂との相溶性の点から、50Pa・s以上650Pa・s以下が好ましく、200Pa・s以上550Pa・s以下がより好ましく、熱衝撃耐性がさらに向上した光硬化物を形成できる点から、300Pa・s以上350Pa・s以下が特に好ましい。
テレケリックポリマーの含有量は、特に限定されないが、その下限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、優れたはんだ耐熱性を得つつ、熱衝撃耐性が確実に向上した光硬化物を形成できる点から、5.0質量部が好ましく、8.0質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましく、熱衝撃耐性がさらに向上する点から17質量部が特に好ましい。一方で、テレケリックポリマーの含有量の上限値は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、はんだ耐熱性の低下を確実に防止する点から、50質量部が好ましく、熱衝撃耐性と塗膜外観をより向上させる点から、30質量部がより好ましく、塗膜のタック性が向上する点から、24質量部がさらに好ましく、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性をバランスよく向上させる点から、20質量部が特に好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−(2−エチルヘキシル)−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、(Z) −(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)(4−((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ) −2−メチルフェニル)メタノン O−アセチルオキシム等のオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。また、オキシムエステル系光重合開始剤以外の光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0質量部以上30質量部以下が好ましく、7.0質量部以上20質量部以下が特に好ましい。
(D)反応性希釈剤
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、耐酸性、耐アルカリ性などを有す光硬化物を得るために配合する。
反応性希釈剤としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレートモノマー、2官能の(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー等を挙げることができる。具体例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチルメタクリレート、ジエチレングルコールモノメタクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリルレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのうち、熱衝撃耐性とはんだ耐熱性をより確実に向上させることにも寄与する点から、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレートが好ましい。
反応性希釈剤の含有量は特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、2.0質量部以上200質量部が好ましく、10質量部以上50質量部以下が特に好ましい。
(E)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、光硬化物の架橋密度を上げて十分な強度の光硬化物を得るためのものである。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールSにエピクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノールF型エポキシ樹脂やビスフェノールS型エポキシ樹脂、シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等)、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、チオエーテル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、塗膜のタック性がさらに向上する点で、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、チオエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ化合物の含有量は、特に限定されず、例えば、硬化後に十分な強度の塗膜を得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上70質量部以下が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した成分(A)〜成分(E)の他に、必要に応じて、種々の成分、例えば、フィラー、シリカ、着色剤、各種添加剤、非反応性希釈剤などを含有させることができる。
フィラーは、感光性樹脂組成物の光硬化膜の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、マイカ等を挙げることができる。また、シリカは、主に、感光性樹脂組成物の光硬化膜の線膨張係数の低減のために配合する。シリカには、例えば、天然物由来の結晶性シリカまたは非結晶性シリカが挙げられ、このうち、感光性樹脂組成物のチクソトロピー性を付与する点で、例えば、燃焼加水分解によって製造されたナノサイズのヒュームドシリカが好ましく、また、このうち、疎水性ヒュームドシリカが特に好ましい。
着色剤としては、顔料、色素等、特に限定されず、また、白色着色剤、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、黒色着色剤、橙色着色剤等、所望の色彩に応じて、いずれの着色剤も使用可能である。上記着色剤には、例えば、白色着色剤である酸化チタン、黒色着色剤であるアセチレンブラック、カーボンブラック等の無機系着色剤や、緑色着色剤であるフタロシアニングリーンやリオノールグリーン及び青色着色剤であるフタロシアニンブルーやリオノールブルー等のフタロシアニン系、橙色着色剤であるクロモフタルオレンジ等のジケトピロロピロール系等の有機系着色剤などを挙げることができる。
添加剤には、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等の消泡剤、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の潜在性硬化剤、アセチルアセナートZn及びアセチルアセナートCr等のアセチルアセトンの金属塩、エナミン、オクチル酸錫、第4級スルホニウム塩、トリフェニルホスフィン、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、イミダゾリウム塩類並びにトリエタノールアミンボレート等の熱硬化促進剤、ポリカルボン酸アマイド等のチキソ剤、分散剤などを挙げることができる。
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の乾燥性、塗工性を調節するためのものである。非反応性希釈剤には、例えば、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、石油ナフサ等を挙げることができる。
上記した本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温(例えば、例えば、10℃〜30℃)にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ニーダー等の混合、混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー、トリミックス等の攪拌、混合手段により、混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、予備混練または予備混合を実施してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例を説明する。ここでは、本発明の感光性樹脂組成物を、プリント配線板上に塗工して、ソルダーレジスト膜等の絶縁被膜をプリント配線板に形成する方法を例にして説明する。
プリント配線板に、所望の厚さ、例えば5〜100μmの厚さで、上記のように製造した本発明の感光性樹脂組成物を塗布する。塗工の手段としては、公知の手段をいずれも使用でき、適宜選択可能である。塗工手段としては、例えば、スクリーン印刷、バーコータ、スプレー塗工、アプリケータ、ブレードコータ、ナイフコータ、ロールコータ、グラビアコータ等を挙げることができる。感光性樹脂組成物の塗工後、必要に応じて、感光性樹脂組成物を加熱装置(例えば、熱風炉、遠赤外線炉等)で予備乾燥し、感光性樹脂組成物から非反応性希釈剤を揮発させて、塗膜の表面をタックフリーの状態にする。予備乾燥の条件としては、例えば、乾燥温度60℃〜90℃、乾燥時間15分〜60分が挙げられる。予備乾燥の後、塗布した感光性樹脂組成物上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、ネガフィルムの上から紫外線(例えば、波長300〜400nmの範囲)を照射させて感光性樹脂組成物の塗膜を光硬化させる。次に、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像される。現像方法には、例えば、スプレー法、シャワー法等が用いられ、希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を使用することができる。次に、前記現像後の塗膜を、加熱装置(例えば、熱風循環式の乾燥機等)で、130℃〜170℃で20分〜80分、熱硬化処理(ポストキュア)を行うことにより、プリント配線板上に目的とするパターンを有する絶縁被膜(ソルダーレジスト膜)を形成させることができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1〜8、比較例1〜2
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温にて混合分散させて、実施例1〜8、比較例1〜2にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。そして、調製した感光性樹脂組成物を以下のように塗工して試験サンプルを作製した。下記表1中の配合量の数字は、特に断りの無い限り質量部を示す。また、下記表1中の空欄は配合なしを意味する。
なお、下記表1中の各成分についての詳細は以下の通りである。
・リポキシSP−4621:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸を反応させて、エポキシアクリレートを得、生成した水酸基に多塩基酸を反応させて得られる構造である、多塩基酸変性エポキシアクリレート。固形分65質量%、昭和電工株式会社。
(B)エラストマー
・XMAP RC100C:[a]−[b]−[a]構造のテレケリックポリマー(式中、[a]はアクリロイル基、[b]は(CH−CH(COOR)))、数平均分子量(Mn)5000以上40000以下、23℃で液状、23℃における粘度160Pa・s、株式会社カネカ。
・XMAP RC120C:[a]−[b]−[a]構造のテレケリックポリマー(式中、[a]はアクリロイル基、[b]は(CH−CH(COOR)))、数平均分子量(Mn)5000以上40000以下、23℃で液状、23℃における粘度330Pa・s、株式会社カネカ。
・XMAP RC200C:[a]−[b]−[a]構造のテレケリックポリマー(式中、[a]はアクリロイル基、[b]は(CH−CH(COOR)))、数平均分子量(Mn)5000以上40000以下、23℃で液状、23℃における粘度530Pa・s、株式会社カネカ。
(C)光重合開始剤
・Ominrad 369:IGM Resins B.V.社。
・SPEEDCURE TPO:日本シイベルヘグナー社。
・KAYACURE DETX:日本化薬株式会社。
(D)反応性希釈剤
・KAYARAD DPCA−60:日本化薬株式会社。
・DPHA:東亞合成株式会社。
(E)エポキシ化合物
・EPICRON N−695:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC社。
・jER871:グリシジルエステル型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社。
・YX−4000HK:ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社。
・YDC−1312:ハイドロキノン型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社。
・YSLV−120TE:チオエーテル型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社。
フィラー
・硫酸バリウムB−34:堺化学工業株式会社。
・FH105:富士タルク株式会社。
シリカ
・AEROSIL♯2000:日本アエロジル株式会社。
着色剤
・LIONOL GREEN JZF−8623:トーヨーカラー株式会社
添加剤
・メラミン:日産化学工業株式会社。
・DICY−7:ジャパンエポキシレジン社。
・アンテージMB:川口化学工業株式会社。
・2MBO:トスコ社。
・Disperbyk−103:分散剤、ビックケミージャパン社。
・BYK−405:ビックケミージャパン社。
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品株式会社。
ブロック共重合体
・Nanostrength M52N:[N,N−ジメチルアクリルアミドが共重合したポリメチルメタクリレート]−[ポリブチルアクリレート]−[N,N−ジメチルアクリルアミドが共重合したポリメチルメタクリレート]の構造のトリブロック共重合体、アルケマ社。
・LA1114:[ポリメチルメタクリレート]−[ポリブチルアクリレート]の構造のジブロック共重合体、株式会社クラレ。
試験サンプル作製工程
基板:プリント配線基板(ガラスエポキシ基板「FR−4」、板厚1.6mm、導体(Cu箔)厚50μm)
基板表面処理:バフ研磨
塗工:スクリーン印刷
DRY膜厚:20〜25μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:感光性樹脂組成物上300mJ/cm(日立ビアメカニクス株式会社「HMW−680GW」)
アルカリ現像:1質量%Na2CO3、液温30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア:150℃、60分
評価・測定項目は以下の通りである。
(1)熱衝撃耐性
上記試験サンプル作製工程にて作製した試験サンプル100枚について、熱衝撃試験機(日立アプライアンス株式会社、日立ヒートショック試験装置「ES−76LMS」)にて、−40℃/15分〜160℃/15分を1サイクルとして1000サイクルの試験を行った。その後、顕微鏡(×200)にてプリント配線基板の塗膜を観察して、塗膜のクラック発生率を以下の基準にて評価した。塗膜の観察位置は、露出したCu箔(2.0mm角パット)の周りを囲むように正方形状(2.4mm角)にアルカリ現像された塗膜の各角部とした。また、○評価以上を合格とした。
◎:クラック発生率が10%以下
○:クラック発生率が11〜30%
△:クラック発生率が31〜50%
×:クラック発生率が50%以上
(2)はんだ耐熱性
上記試験サンプル作製工程にて作製した試験サンプルの硬化塗膜を、JIS C−6481の試験方法に準拠して、260℃のはんだ槽に30秒間浸せき後、セロハン粘着テープによるピーリング試験(剥離試験)を1サイクルとし、これを1〜3回繰り返した後の塗膜状態を目視により観察し、以下の基準にて評価した。また、○評価以上を合格とした。
◎:3サイクル繰り返し後も塗膜に変化が認められない
○:3サイクル繰り返し後に塗膜に変化が認められる
△:2サイクル繰り返し後に塗膜に変化が認められる
×:1サイクルにて塗膜に変化が認められる
(3)アルカリ現像性
上記試験サンプル作製工程の予備乾燥後の塗膜を、0.2MPaのスプレー圧にて現像(30℃、1質量%の炭酸ナトリウム現像液を使用)するのに必要な時間をブレークポイントとし、該時間を測定し、以下の基準にて評価した。また、○評価を合格とした。
○:ブレークポイント30秒未満
△:ブレークポイント30秒以上60秒未満
×:ブレークポイント60秒以上
(4)タック性
上記試験サンプル作製工程の予備乾燥後の塗膜にネガフィルムを接触させ、露光した際の張り付き性を評価した。
◎:ネガフィルムへの張り付きなし
○:ネガフィルムへ若干張り付くが、塗膜に張り付き跡なし
△:ネガフィルムへ若干張り付くが、塗膜に張り付き跡が残存
×:ネガフィルム引き剥がし後、ネガフィルムに塗膜が付着
(4)塗膜外観
上記試験サンプル作製工程にて作製した試験サンプルの塗膜状態を目視により観察し、以下の基準に従って評価した。また、○評価を合格とした。
○:塗膜に異常なし
△:塗膜に若干白化あり
×:塗膜表面が失沢
実施例1〜8、比較例1〜2の評価結果を下記表1に示す。
Figure 0006944073
上記表1に示すように、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)エラストマーと、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有し、(B)エラストマーが、(b)テレケリックポリマーである実施例1〜8では、はんだ耐熱性、アルカリ現像性及び塗膜外観に優れ、また、熱衝撃耐性にも優れた光硬化塗膜を形成することができた。また、実施例1〜8では、予備乾燥後の塗膜について、タック性に優れていた。特に、テレケリックポリマーとして23℃における粘度330Pa・sである「XMAP RC120C」を使用した実施例2では、熱衝撃耐性がさらに向上した。また、実施例1、4、5、6から、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(b)テレケリックポリマーを約20質量部〜25質量部含むと、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して(b)テレケリックポリマーを約15質量部以下含む場合と比較して、熱衝撃耐性がさらに向上した。また、実施例5、7、8から、(E)エポキシ化合物としてハイドロキノン型エポキシ樹脂またはチオエーテル型エポキシ樹脂を含むと、タック性がさらに向上した。
一方で、テレケリックポリマーもブロック共重合体も配合しなかった比較例1では、熱衝撃耐性が得られなかった。また、テレケリックポリマーに代えてブロック共重合体を配合した比較例2では、熱衝撃耐性が△と、十分には向上せず、また、アルカリ現像性及び塗膜外観が△と、十分には得られなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、はんだ耐熱性、アルカリ現像性、塗膜外観等の基本諸特性を損なうことなく、熱衝撃耐性に優れた光硬化物を形成することができるので、例えば、低温雰囲気と高温雰囲気に繰り返し曝される環境に使用されるプリント配線板の分野で利用価値が高い。

Claims (14)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)エラストマーと、(C)光重合開始剤と、(D)反応性希釈剤と、(E)エポキシ化合物と、を含有し、
    前記(B)エラストマーが、(b)テレケリックポリマーを含有し、前記(b)テレケリックポリマーが、反応性官能基として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する、2官能のテレケリックポリマーである感光性樹脂組成物。
  2. 前記(b)テレケリックポリマーの数平均分子量(Mn)が、5000以上40000以下である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(b)テレケリックポリマーが、23℃で液状である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(b)テレケリックポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル酸及び/または(メタ)アクリル酸エステルの重合体の構造である請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(b)テレケリックポリマーを5.0質量部以上50質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(b)テレケリックポリマーを17質量部以上30質量部以下含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(b)テレケリックポリマーを17質量部以上24質量部以下含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(b)テレケリックポリマーの23℃における粘度が、300Pa・s以上350Pa・s以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(E)エポキシ化合物が、ハイドロキノン型エポキシ樹脂またはチオエーテル型エポキシ樹脂を含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記ハイドロキノン型エポキシ樹脂が、2,5−ジ−ターシャリー−ブチル−1,4−フェニレンビス(オキシメチルオキシラン)である請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記チオエーテル型エポキシ樹脂が、2,2'−ジメチル−4,4'−ジグリシジルオキシ−5,5'−ジ−ターシャリー−ブチルジフェニルスルフィドである請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
  12. プリント配線板のソルダーレジスト用である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の光硬化物。
  14. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布したプリント配線板。
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