JP2016538344A - 癌処置としてのstingアゴニストの使用 - Google Patents

癌処置としてのstingアゴニストの使用 Download PDF

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Abstract

インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの腫瘍内投与による癌治療のための方法及び組成物が開示される。いくつかの実施形態では、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの有効量を対象者に投与することを含む、当該対象者における癌治療のための方法に関する組成物及び方法が提供され、ここで、当該STINGアゴニストは、腫瘍内に投与される。【選択図】図8

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年11月19日出願の米国仮特許出願第61/906,330号の優先権の利益を主張するものであり、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
I.発明の分野
本発明は、一般に生物学、化学、及び医薬の分野に関する。より具体的には、腫瘍学及び癌処置に関する方法及び組成物に関する。
II.関連技術の説明
1980年代に、フラボン酢酸が、いくつかの腫瘍マウスモデルにおいて、抗腫瘍効果を有し、腫瘍内において出血壊死を起こすことが示された。腫瘍血管内でのその効果から、血管破壊剤(Vascular Disrupting Agent)と呼ばれた。血管内での効果に加え、フラボン酢酸は、いくつかの先天性サイトカインの産生を増加させた。
より強力な化合物を得るために、本薬剤の構造は、改変され、その中で最も強力な誘導体は、DMXAAであり、壊死及びサイトカイン放出の誘導において、16倍の効力を示した。マウスモデルや前臨床試験での有望な結果により、腫瘍処置のためにDMXAAを使用した臨床試験がいくつか実施されたが、すべて失敗した。
したがって、癌及び腫瘍を処置するDMXAAといった血管破壊剤を使用する有効な様式を特定する必要性が依然として存在する。
いくつかの実施形態では、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの有効量を対象者に投与することを含む、当該対象者における癌治療のための方法に関する組成物及び方法が提供され、ここで、当該STINGアゴニストは、腫瘍内に投与される。
当該STINGアゴニストは、何らかの適したアゴニストであってもよい。いくつかの実施形態では、当該STINGアゴニストは、核酸、タンパク質、ペプチド、または小分子である。いくつかの実施形態では、当該小分子は、環状ジヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、当該STINGアゴニストは、下記式の化合物である。
いくつかの実施形態では、当該小分子は、改変された環状ジヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、当該改変環状ジヌクレオチドは、天然に存在しなくてもよく、化学的に合成されてもよい。いくつかの実施形態では、当該改変環状ジヌクレオチドは、下記式(A)の化合物である。
いくつかの実施形態では、R及びRは、それぞれが独立に9−プリン、9−アデニン、9−グアニン、9−ヒポキサンチン、9−キサンチン、9−尿酸、または9−イソグアニンであってよく、それらの構造は以下に示されるとおりである。
及びRは、同一であっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、当該化合物は、主にRp,RpもしくはRp,Spの立体異性体、またはそのプロドラッグもしくは医薬的に許容可能なその塩の形態で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、当該化合物は、主にRp,Rp立体異性体の形態で提供されてもよい。具体的ないくつかの実施形態では、当該化合物は、下記式(B)の化合物または主にそのRp,Rp立体異性体の形態であってもよい。
いくつかの実施形態では、当該化合物は、ジチオ−(R,R)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]](2’−5’、3’−5’混合ホスホジエステル結合(ML)RR−S2 c−di−AMPもしくはML RR−S2 CDAとも呼ばれる))(上式(B)に示すとおり)、ML RR−S2−c−di−GMP(ML−CDG)、ML RR−S2 cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物であってもよい。
本明細書中で開示される化合物は、1つまたは複数の既知のヒトSTING対立遺伝子を活性化し得るため、天然の環式ジヌクレオチド(CDN)または他の改変されたCDNを超えるいくつかの利点を有する。さらなる実施形態は、対象者の癌を治療するために提供されてもよく、本明細書中で説明されるように、化合物の有効量を当該対象者に投与することを含む。そのような化合物は、STINGアゴニストとして使用されてもよい。
そのような化合物の調製方法をさらに提供することができる。当該調製方法は、少なくともスルホン化反応、及び/またはRS−及びRS−ジアステレオマーの分離を含んでいてもよい。
さらなる実施形態では、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの有効量を対象者に投与することを含む、当該対象者における癌治療のための方法に関する組成物及び方法が提供され、ここで、当該STINGアゴニストは、腫瘍内に投与される。
「処置(treatment)」または「治療(treating)」には、(1)病気の病態もしくは症候を経験もしくは示している対象者または患者の当該病気の抑制(例えば、病態及び/もしくは症状のさらなる進行の阻止)、(2)病気の病態もしくは症候を経験もしくは示している対象者または患者の当該病気の回復(例えば、病態及び/もしくは症状の好転)、ならびに/あるいは(3)病気の病態もしくは症候を経験もしくは示している対象者または患者の当該病気における何らかの測定可能な軽減効果が含まれる。いくつかの実施形態では、癌の治療は、腫瘍のサイズの縮小化、または腫瘍の成長抑制としてさらに定義される。具体的ないくつかの実施形態では、当該対象者はヒトである。
いくつかの実施形態では、本明細書中で説明される組成物または化合物は、それらを必要とする対象者へ、医薬的に許容可能な担体、アジュバント、及び媒体を含む製剤で、様々な非経口及び経口経路により投与してもよい。投与経路は、限定はされないが、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、くも膜下、及び硬膜外投与の内の1つまたは複数を含む、腫瘍内または非経口経路であってよい。
用量は、必要に応じて、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、もしくは24時間毎(もしくは、その中で導き出せる何らかの範囲)または1日あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは回(またはその中で導き出せる何らかの範囲)投与されてもよい。用量が最初に投与されるのは、感染の徴候を患者が示す、もしくは感じる前もしくは後、または臨床医が、当該患者が感染していると診断した後であってもよい。いくつかの実施形態では、当該患者が感染の徴候もしくは症状を経験もしくは示してから、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)後または1、2、3、4、もしくは5日(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)後にレジメンの最初の用量が当該患者へ投与される。当該患者は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはより長い日数(またはその中で導き出せる何らかの範囲)、あるいは感染の症状が消失または軽減されるまで、あるいは感染の症状が消失もしくは軽減された後6、12、18、もしくは24時間、または1、2、3、4、もしくは5日間処置されてもよい。
当該組成物は、1回または複数回投与されてもよい。いくつかの実施形態では、当該組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回またはこれらより多い回数投与される。特定の実施形態では、当該STINGアゴニストは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回またはこれらより多い回数投与される。
方法は、付加的な癌治療と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、当該異なる癌治療には、手術、放射線療法、化学療法、毒素療法、免疫療法、寒冷療法、または遺伝子療法が含まれる。いくつかの実施形態では、当該癌は、化学療法抵抗性または放射線抵抗性の癌である。組み合わせ治療は、双方の薬剤を含む1つの医薬組成物の使用、または二つの別々の組成物の同時投与によって達成されてもよく、1つの組成物には、当該STINGアゴニストが含まれ、及びもう一方の組成物には、第二の1つまたは複数の薬剤が含まれる。
二つの当該治療は、どちらを先に実施してもよく、数分から数週間の間隔でもう一方の処置の先または後に実施してもよい。もう一方の薬剤が別々に適用される実施形態では、当該患者において当該薬剤が有利な組み合わせ効果を依然として発揮できるよう、一般に、それぞれの投与期間の間で長期間経過しないことを確実にすることになる。そのような例では、双方の様式をお互いの約12〜24時間以内、さらに、より好ましくは、お互いの約6〜12時間以内に実施してもよいことが企図される。場合によっては、処置期間を大幅に延長することが望ましいかもしれないが、その場合は、それぞれの処置実施の間を数日間(2、3、4、5、6または7日)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週)あける。いくつかの実施形態では、当該STINGアゴニストは、当該異なる癌治療の実施より先に投与される。いくつかの実施形態では、当該別個の癌処置は、当該STINGアゴニストの投与より先に実施される。
当該癌は、どのような適した癌であってもよく、限定はされないが、メラノーマ、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍、食道癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、移行上皮癌、神経芽細胞腫、形質細胞腫瘍、ウィルムス腫瘍、または肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)が含まれる。いくつかの実施形態では、当該癌はメラノーマである。いくつかの実施形態では、当該癌は、化学療法または放射線抵抗性の癌である。
「有効量」または「治療上有効量」または「医薬的有効量」は、病気の治療のために対象者または患者に投与した際、当該病気のためのそういった処置をもたらすのに十分な量を意味する。いくつかの実施形態では、当該対象者に、少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100mg/kg(またはその中で導き出せる何らかの範囲)の当該アゴニストが投与される。
本明細書中で使用される、「水素」は−Hを意味し、「ヒドロキシ」は−OHを意味し、「オキソ」は=Oを意味し、「ハロ」は独立に−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味し、「アミノ」は−NH(例えば、アルキルアミノといったアミノという用語を含む基の定義は以下参照)を意味し、「ヒドロキシアミノ」は−NHOHを意味し、「ニトロ」は−NOを意味し、「イミノ」は=NH(例えば、アルキルアミノといったイミノという用語を含む基の定義は以下参照)を意味し、「シアノ」は−CNを意味し、「アジド」は−Nを意味し、「メルカプト」は−SHを意味し、「チオ」は=Sを意味し、「スルホンアミド」は−NHS(O)−(例えば、アルキルスルホンアミドといったスルホンアミドという用語を含む基の定義については以下参照)を意味し、「スルホニル」は−S(O)−(例えば、アルキルスルホニルといったスルホニルという用語を含む基の定義については以下参照)を意味し、及び「シリル」は−SiH(例えば、アルキルシリルといったシリルという用語を含む基の定義については以下参照)を意味する。
以下の基は、次の括弧付きの添え字によりさらに次のように定義される。「(Cn)」は、その基に存在する炭素原子の正確な数(n)を定義し、「(C≦n)」は、その基に存在し得る最大炭素原子数(n)を定義し、(Cn−n’)は、その基に属する炭素原子の最小数(n)及び最大数(n’)の両方を定義する。例えば、「アルコキシ(C≦10)」は、1〜10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、またはその中で導き出せる何らかの範囲(例えば、3〜10の炭素原子))の炭素原子を有するアルコキシ基を表す。同様に、「アルキル(C2−10)」は、2〜10の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、またはその中で導き出せる何らかの範囲(例えば、3〜10の炭素原子))を有するアルキル基を表す。
用語「アルキル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点として飽和炭素原子を有する非芳香族の一価の基を意味し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素−炭素二重結合または三重結合を有さず、炭素及び水素以外の原子を有さない。−CH(Me)、−CHCH(Et)、−CHCHCH(n−Pr)、−CH(CH(イソ−Pr))、−CH(CH(シクロプロピル)、−CHCHCHCH(n−Bu)、−CH(CH)CHCH(sec−ブチル))、−CHCH(CH(イソブチル)、−C(CH(tert−ブチル)、−CHC(CH(ネオペンチル)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘキシルメチルといった基は、アルキル基の非限定例である。用語「置換アルキル」は、結合点として飽和炭素原子を有する非芳香族の一価の基を意味し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素−炭素二重結合または三重結合は有さず、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。次の基は、置換アルキル基の非限定例である。−CHOH、−CHCl、−CHBr、−CHSH、−CF、−CHCN、−CHC(O)H、−CHC(O)OH、−CHC(O)OCH、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHCH、−CHC(O)CH、−CHOCH、−CHOCHCF、−CHOC(O)CH、−CHNH、−CHNHCH、−CHN(CH、−CHCHCl、−CHCHOH、−CHCF、−CHCHOC(O)CH、−CHCHNHCOC(CH、及び−CHSi(CH
用語「アルカンジイル」が「置換」修飾語句無しで使用される場合は、非芳香族の二価の基を意味し、当該アルカンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として1つまたは2つの飽和炭素原子を有しており、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素−炭素二重結合または三重結合を有さず、炭素及び水素以外の原子を有さない。−CH−(メチレン)、−CHCH−、−CHC(CHCH−、−CHCHCH−、及び
といった基は、アルカンジイル基の非限定例である。用語「置換アルカンジイル」は、非芳香族の一価の基を意味し、当該アルカンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として1つまたは2つの飽和炭素原子を有しており、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、炭素−炭素二重結合または三重結合を有さず、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。次の基は、置換アルカンジイル基の非限定例である。−CH(F)−、−CF−、−CH(Cl)−、−CH(OH)−、−CH(OCH)−、及び−CHCH(Cl)−。
用語「アルケニル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点として非芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するが、炭素−炭素三重結合は有さず、炭素及び水素以外の原子を有さない。アルケニル基の非限定例には、−CH=CH(ビニル)、−CH=CHCH、−CH=CHCHCH、−CHCH=CH(アリル)、−CHCH=CHCH、及び−CH=CH−Cが含まれる。用語「置換アルケニル」は、結合点として非芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するが、炭素−炭素三重結合は有さず、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P及びSからなる群より独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。−CH=CHF、−CH=CHCl、及び−CH=CHBrといった基は、置換アルケニル基の非限定例である。
用語「アルケンジイル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、非芳香族の二価の基を意味し、当該アルケンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として2つの炭素原子を有し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するが、炭素−炭素三重結合は有さず、炭素及び水素以外の原子を有さない。−CH=CH−、−CH=C(CH)CH−、−CH=CHCH−、及び
といった基は、アルケンジイル基の非限定例である。用語「置換アルケンジイル」は、非芳香族の二価の基を意味し、当該アルケンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として2つの炭素原子を有し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1つの非芳香族炭素−炭素二重結合を有するが、炭素−炭素三重結合は有さず、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。次の基は、置換アルケンジイル基の非限定例である。−CF=CH−、−C(OH)=CH−、及び−CHCH=C(Cl)−。
用語「アルキニル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点として非芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、炭素及び水素以外の原子は有さない。−C≡CH、−C≡CCH、−C≡CC、及び−CHC≡CCHといった基は、アルキニル基の非限定例である。用語「置換アルキニル」は、結合点として非芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、直鎖または分岐、シクロ、環式、または非環式構造を有し、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。−C≡CSi(CHといった基は、置換アルキニル基の非限定例である。
用語「アルキンジイル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、非芳香族の二価の基を意味し、当該アルキンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として2つの炭素原子を有し、直鎖または分岐、シクロ、環式、または非環式構造を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重を有し、炭素及び水素以外の原子は有さない。−C≡C−、−C≡CCH−、及び−C≡CCH(CH)−といった基は、アルキンジイル基の非限定例である。用語「置換アルキンジイル」は、非芳香族の二価の基を意味し、当該アルキンジイル基は、2つのσ結合で結合し、結合点として2つの炭素原子を有し、直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。−C≡CCFH−及び−C≡CHCH(Cl)−といった基は、置換アルキンジイル基の非限定例である。
用語「アリール」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点として芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、当該炭素原子は、6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該一価の基には、炭素または水素以外の原子は存在しない。アリール基の非限定例には、フェニル(Ph)、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、−CCHCH(エチルフェニル)、−CCHCHCH(プロピルフェニル)、−CCH(CH、−CCH(CH、−C(CH)CHCH(メチルエチルフェニル)、−CCH=CH(ビニルフェニル)、−CCH=CHCH、−CC≡CH、−CC≡CCH、ナフチル、及びビフェニル由来の一価の基が含まれる。用語「置換アリール」は、結合点として芳香族炭素原子を有する一価の基を意味し、当該炭素原子は6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該一価の基はさらにN、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。置換アリール基の非限定例には、−CF、−CCl、−CBr、−CI、−COH、−COCH、−COCHCH、−COC(O)CH、−CNH、−CNHCH、−CN(CH、−CCHOH、−CCHOC(O)CH、−CCHNH、−CCF、−CCN、−CCHO、−CCHO、−CC(O)CH、−CC(O)C、−CCOH、−CCOCH、−CCONH、−CCONHCH、及び−CCON(CHが含まれる。
用語「アレンジイル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、二価の基を意味し、当該アレンジイル基は、2つのσ結合で結合しており、結合点として2つの芳香族炭素原子を有し、当該炭素原子は、1つまたは複数の6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該一価の基には、炭素または水素以外の原子は存在しない。アレンジイル基の非限定例には、
が含まれる。
用語「置換アレンジイル」は、二価の基を意味し、当該アレンジイル基は、2つのσ結合で結合しており、結合点として二つの芳香族炭素原子を有し、当該炭素原子は、1つまたは複数の6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該二価の基はさらにN、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。
用語「アラルキル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、一価の基である−アルカンジイル−アリールを意味し、用語アルカンジイル及びアリールはそれぞれが先に示した定義と同様に使用される。アラルキルの非限定例は、フェニルメチル(ベンジル、Bn)、1−フェニル−エチル、2−フェニル−エチル、インデニル、及び2,3−ジヒドロ−インデニルであり、ただし、インデニル、及び2,3−ジヒドロ−インデニルは、それぞれの場合において結合点が飽和炭素原子の内の1つである場合に限り、アラルキルの例である。用語「アラルキル」が、「置換」修飾語句と共に使用される場合は、当該アルカンジイル及び当該アリールのいずれか1つまたは両方が置換されている。置換アラルキルの非限定例は、(3−クロロフェニル)−メチル、2−オキソ−2−フェニル−エチル(フェニルカルボニルメチル)、2−クロロ−2−フェニル−エチル、クロマニルであり、当該結合点が当該飽和炭素原子の内の1つである。また、テトラヒドロキノリニルも置換アラルキルの非限定例であり、結合点が飽和原子の内の1つである。
用語「ヘテロアリール」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点として芳香族炭素原子または窒素原子を有する一価の基を意味し、当該炭素原子または窒素原子は芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子の少なくとも1つが窒素、酸素または硫黄であり、当該一価の基には、炭素、水素、芳香族窒素、芳香族酸素及び芳香族硫黄以外の原子は存在しない。アリール基の非限定例には、アクリジニル、フラニル、イミダゾイミダゾリル、イミダゾピラゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、インドリル、インダゾリニル、メチルピリジル、オキサゾリル、フェニルイミダゾリル、ピリジル、ピロリル、ピリミジル、ピラジニル、キノリル、キナゾリル、キノキサリニル、テトラヒドロキノリニル、チエニル、トリアジニル、ピロロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピロロピラジニル、ピロロトリアジニル、ピロロイミダゾリル、クロメニル(結合点が芳香族原子の内の1つ)、及びクロマニル(結合点が芳香族原子の内の1つ)が含まれる。用語「置換ヘテロアリール」は、結合点として芳香族炭素原子または窒素原子を有する一価の基を意味し、当該炭素原子または窒素原子は、芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子の少なくとも1つが窒素、酸素、または硫黄であり、当該一価の基はさらに、非芳香族窒素、非芳香族酸素、非芳香族硫黄、F、Cl、Br、I、Si、及びPからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。
用語「ヘテロアレンジイル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、二価の基を意味し、当該ヘテロアレンジイル基は、2つのσ結合で結合しており、結合点として芳香族炭素原子または窒素原子を有し、結合点として当該炭素原子または窒素原子2つの芳香族原子、当該炭素原子は、1つまたは複数の6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該一価の基には、炭素及び水素以外の原子は存在しない。ヘテロアレンジイル基の非限定例には、
が含まれる。用語「置換ヘテロアレンジイル」は二価の基を意味し、当該ヘテロアレンジイル基は、2つのσ結合で結合しており、結合点として2つの芳香族炭素原子を有し、当該炭素原子は1つまたは複数の6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該二価の基はさらに、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。
用語「ヘテロアラルキル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、一価の基である−アルカンジイル−ヘテロアリールを意味し、当該用語アルカンジイル及びヘテロアリールは、それぞれが先に示した定義と同様に使用される。アラルキルの非限定例は、ピリジルメチル及びチエニルメチルである。用語「ヘテロアラルキル」が、「置換」修飾語句と共に使用される場合は、当該アルカンジイル及び当該ヘテロアリールのいずれかまたは両方が置換されている。
用語「アシル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点としてカルボニル基の炭素原子を有する一価の基を意味し、さらに直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、さらに炭素または水素以外の他の原子は、カルボニル基の酸素原子以外には有さない。−CHO、−C(O)CH、−C(O)CHCH、−C(O)CHCHCH、−C(O)CH(CH、−C(O)CH(CH、−C(O)C、−C(O)CCH、−C(O)CCHCH、−COC(CH、及び−C(O)CHといった基は、アシル基の非限定例である。したがって、用語「アシル」には、限定はされないが、「アルキルカルボニル」及び「アリールカルボニル」基と表現されることがある基を含む。用語「置換アシル」は、結合点としてカルボニル基の炭素原子を有する一価の基を意味し、さらに直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、さらに当該カルボニル基の酸素に加えて、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。−C(O)CHCF、−COH(カルボキシル)、−COCH(メチルカルボキシル)、−COCHCH、−COCHCHCH、−CO、−COCH(CH、−COCH(CH、−C(O)NH(カルバモイル)、−C(O)NHCH、−C(O)NHCHCH、−CONHCH(CH、−CONHCH(CH、−CON(CH、−CONHCHCF、−CO−ピリジル、−CO−イミダゾイル、及び−C(O)Nといった基は、置換アシル基の非限定例である。用語「置換アシル」には、限定はされないが、「ヘテロアリールカルボニル」基が含まれる。
用語「アルキリデン」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、二価の基である=CRR’を意味し、当該アルキリデン基は、一つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、R及びR’は独立に水素、アルキルであるか、またはR及びR’は、一緒になってアルカンジイルを表す。アルキリデン基の非限定例には、=CH、=CH(CHCH)、及び=C(CHが含まれる。用語「置換アルキリデン」は、基である=CRR’を意味し、当該アルキリデン基は、1つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、R及びR’は独立に水素、アルキル、置換アルキルであるか、またはR及びR’は一緒になって置換アルカンジイルを表す。但し、R及びR’のいずれかは置換アルキルであるか、またはR及びR’は一緒になって置換アルカンジイルを表すことを条件とする。
用語「アルコキシ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−ORを意味し、Rはアルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。アルコキシ基の非限定例には、−OCH、−OCHCH、−OCHCHCH、−OCH(CH、−OCH(CH、−O−シクロペンチル、及び−O−シクロヘキシルが含まれる。用語「置換アルコキシ」は、基である−ORを意味し、Rは置換アルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。例えば、−OCHCFは置換アルコキシ基である。
同様に、用語「アルケニルオキシ」、「アルキニルオキシ)」、「アリールオキシ」、「アラルコキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「ヘテロアラルコキシ」、及び「アシルオキシ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−ORで定義される基を意味し、Rはそれぞれ、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアシルであり、これらの用語は先に定義したとおりである。用語、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、及びアシルオキシのいずれかが「置換」により修飾される場合、基である−ORを意味し、Rはそれぞれ置換アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアシルである。
用語「アルキルアミノ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−NHRを意味し、Rはアルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。アルキルアミノ基の非限定例には、−NHCH、−NHCHCH、−NHCHCHCH、−NHCH(CH、−NHCH(CH、−NHCHCHCHCH、−NHCH(CH)CHCH、−NHCHCH(CH、−NHC(CH、−NH−シクロペンチル、及び−NH−シクロヘキシルが含まれる。用語「置換アルキルアミノ」は、基である−NHRを意味し、Rは置換アルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。例えば、−NHCHCFは置換アルキルアミノ基である。
用語「ジアルキルアミノ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−NRR’を意味し、R及びR’は同じか、もしくは異なるアルキル基になり得、またはR及びR’は一緒になって2つ以上の飽和炭素原子を有するアルカンジイルを表すことができ、それらの少なくとも2が当該窒素原子に結合している。ジアルキルアミノ基の非限定例には、−NHC(CH、−N(CH)CHCH、−N(CHCH、N−ピロリジニル、及びN−ピペリジニルが含まれる。用語「置換ジアルキルアミノ」は、基である−NRR’を意味し、R及びR’は同じか、もしくは異なった置換アルキル基になり得、RもしくはR’の1つはアルキルかつもう一方は置換アルキルであるか、またはR及びR’は一緒になって2つ以上の飽和炭素原子を有する置換アルカンジイルを表すことができ、それらの少なくとも2つ以上が当該窒素原子に結合している。
用語「アルコキシアミノ」、「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」、「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」、「ヘテロアリールアミノ」、「ヘテロアラルキルアミノ」、及び「アルキルスルホニルアミノ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−NHRとして定義される基を意味し、Rは、それぞれアルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアルキルスルホニルであり、これらの用語は、先に定義したとおりである。アリールアミノ基の非限定例は、−NHCである。用語、アルコキシアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキルアミノ及びアルキルスルホニルアミノのいずれかが「置換」によって修飾される場合、基である−NHRを意味し、Rは、それぞれ置換アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアルキルスルホニルである。
用語「アミド」(アシルアミノ)が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−NHRを意味し、Rはアシルであり、当該用語は先に定義したとおりである。アシルアミノ基の非限定例は、−NHC(O)CHである。用語、アミドが「置換」修飾語句と共に使用された場合は、−NHRで定義される基を意味し、Rは置換アシルであり、当該用語は先に定義したとおりである。基、−NHC(O)OCH及び−NHC(O)NHCHは、置換アミド基の非限定例である。
用語「アルキルイミノ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である=NRを意味し、当該アルキルイミノ基は、1つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、Rはアルキルであり、当該用語は、先に定義したとおりである。アルキルイミノ基の非限定例には、=NCH、=NCHCH及び=N−シクロヘキシルが含まれる。用語「置換アルキルイミノ」は基である=NRを意味し、当該アルキルイミノ基は1つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、Rは置換アルキルであり、当該用語は、先に定義したとおりである。例えば、=NCHCFは、アルキルイミノ基の非限定例である。
同様に、用語「アルケニルイミノ」、「アルキニルイミノ」、「アリールイミノ」、「アラルキルイミノ」、「ヘテロアリールイミノ」、「ヘテロアラルキルイミノ」、及び「アシルイミノ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、=NRで定義される基を意味し、当該アルキルイミノ基は、1つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、Rはそれぞれアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアシルであり、これらの用語は先に定義したとおりである。用語、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アリールイミノ、アラルキルイミノ、及びアシルイミノのいずれかが、「置換」により修飾される場合、基である=NRを意味し、当該アルキルイミノ基は、1つのσ結合及び1つのπ結合で結合しており、Rはそれぞれ置換アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル及びアシルである。
用語「アルキルチオ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−SRを意味し、Rはアルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。アルキルチオ基の非限定例には、−SCH、−SCHCH、−SCHCHCH、−SCH(CH、−SCH(CH、−S−シクロペンチル、及び−S−シクロヘキシルが含まれる。用語「置換アルキルチオ」は、基である−SRを意味し、Rは置換アルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。例えば、−SCHCFは、置換アルキルチオ基である。
同様に、用語「アルケニルチオ」、「アルキニルチオ」、「アリールチオ」、「アラルキルチオ」、「ヘテロアリールチオ」、「ヘテロアラルキルチオ」及び「アシルチオ」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−SRで定義される基を意味し、Rはそれぞれアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアシルであり、これらの用語は先に定義したとおりである。用語、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロアラルキルチオ、及びアシルチオのいずれかが「置換」により修飾される場合、基である−SRを意味し、Rはそれぞれ置換アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、及びアシルである。
用語「チオアシル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、結合点としてチオカルボニル基の炭素原子を有する一価の基を意味し、さらに直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、さらに炭素または水素以外の原子は、カルボニル基の硫黄原子を除いて、有さない。−CHS、−C(S)CH、−C(S)CHCH、−C(S)CHCHCH、−C(S)CH(CH、−C(S)CH(CH、−C(S)C、−C(S)CCH、−C(S)CCHCH、−C(S)C(CH、及び−C(S)CHといった基は、チオアシル基の非限定例である。したがって、用語「チオアシル」には、限定はされないが、「アルキルチオカルボニル」及び「アリールチオカルボニル」基と表現されることがある基が含まれる。用語「置換チオアシル」は、結合点として炭素原子を有するラジカルを意味し、当該炭素原子はチオカルボニル基の一部であり、さらに直鎖または分岐、シクロ、環式または非環式構造を有し、さらにカルボニル基の硫黄原子に加えて、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。−C(S)CHCF、−C(S)OH、−C(S)OCH、−C(S)OCHCH、−C(S)OCHCHCH、−C(S)OC、−C(S)OCH(CH、−C(S)OCH(CH、−C(S)NH、及び−C(S)NHCHは、置換チオアシル基の非限定例である。用語「置換チオアシル」には、限定はされないが、「ヘテロアリールチオカルボニル」基が含まれる。
用語「アルキルスルホニル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−S(O)Rを意味し、Rはアルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。アルキルスルホニル基の非限定例には、−S(O)CH、−S(O)CHCH、−S(O)CHCHCH、−S(O)CH(CH、−S(O)CH(CH、−S(O)−シクロペンチル、及び−S(O)−シクロヘキシルが含まれる。用語「置換アルキルスルホニル」は、基である−S(O)Rを意味し、Rは置換アルキルであり、当該用語は先に定義したとおりである。例えば、−S(O)CHCFは置換アルキルスルホニル基である。
同様に、用語「アルケニルスルホニル」、「アルキニルスルホニル」、「アリールスルホニル」、「アラルキルスルホニル」、「ヘテロアリールスルホニル」、及び「ヘテロアラルキルスルホニル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−S(O)Rで定義される基を意味し、Rはそれぞれアルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルであり、これらの用語は先に定義したとおりである。用語、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、及びヘテロアラルキルスルホニルのいずれかが「置換」により修飾される場合、基である−S(O)Rを意味し、Rはそれぞれ置換アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルである。
用語「アルキルアンモニウム」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−NH、−NHRR’、または−NRR’R’’で定義される基を意味し、R、R’及びR’’は同じか、もしくは異なるアルキル基であり、またはR、R’及びR’’の内の2つのどのような組み合わせも一緒になってアルカンジイルを表すことができる。アルキルアンモニウムカチオン基の非限定例には、−NH(CH、−NH(CHCH)+、−NH(CHCHCH)+、−NH(CH 、−NH(CHCH 、−NH(CHCHCH 、−N(CH 、−N(CH)(CHCH 、−N(CH(CHCH、−NHC(CH 、−NH(シクロペンチル) 、及び−NH(シクロヘキシル)が含まれる。用語「置換アルキルアンモニウム」は、−NH、−NHRR’、または−NRR’R’’を意味し、R、R’及びR’’の少なくとも1つは置換アルキルであるか、またはR、R’及びR’’の内の2つは一緒になって置換アルカンジイルを表すことができる。R、R’及びR’’の1つ以上が置換アルキルである場合、同じであっても異なっていてもよい。置換アルキルまたは置換アルカンジイルのいずれでもないR、R’及びR’’のいずれかは、同一、もしくは異なるアルキルでもよく、または一緒になって複数の炭素原子を有するアルカンジイルを表すことができ、それらの少なくとも2つは、当該式で示した窒素原子に結合している。
用語「アルキルスホニウム」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、基である−SRR’を意味し、R及びR’は同一もしくは異なるアルキル基であってよく、またはR及びR’は一緒になってアルカンジイルを表すことができる。アルキルスルホニウム基の非限定例には、−SH(CH、−SH(CHCH、−SH(CHCHCH、−S(CH 、−S(CHCH 、−S(CHCHCH 、−SH(シクロペンチル)、及び−SH(シクロヘキシル)が含まれる。用語「置換アルキルスルホニウム」は、基である−SRR’を意味し、R及びR’は同一もしくは異なる置換アルキル基であってよく、RもしくはR’のいずれかはアルキルであり、かつもう一方は置換アルキルであるか、またはR及びR’は一緒になって置換アルカンジイルを表すことができる。例えば、−SH(CHCFは置換アルキルスルホニウム基である。
用語「アルキルシリル」が、「置換」修飾語句無しで使用される場合は、−SiHR、−SiHRR’、または−SiRR’R’’として定義される一価の基を意味し、R、R’、及びR’’は、同一もしくは異なるアルキル基であってよく、またはR、R’、及びR’’の内の2つのどのような組み合わせも一緒になってアルカンジイルを表すことができる。−SiHCH、−SiH(CH、−Si(CH及び−Si(CHC(CHといった基は、非置換アルキルシリル基の非限定例である。用語「置換アルキルシリル」は、−SiHR、−SiHRR’、または−SiRR’R’’を意味し、R、R’、及びR’’の少なくとも1つが置換アルキルであるか、またはR、R’、及びR’’の内の2つは一緒になって置換アルカンジイルを表すことができる。R、R’、及びR’’の内の1つ以上が置換アルキルである場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。置換アルキルでも置換アルカンジイルでもないR、R’、及びR’’のいずれかは、同一、もしくは異なるアルキルでもよく、または一緒になって複数の飽和炭素原子を有するアルカンジイルを表すことができ、それらの少なくとも2つがシリコン原子に結合している。
さらに、本発明の実施形態の化合物を構成している原子には、そのような原子のすべての同位体形態も含まれることが意図される。本明細書で使用される同位体には、同一の原子番号を有するが異なる質量数を有する原子が含まれる。限定はされないが、一般的な例として、水素の同位体には、トリチウム及び重水素が含まれ、炭素の同位体には、13C及び14Cが含まれる。同様に、本明細書の化合物の1つまたは複数の炭素原子は、シリコン原子に置き換えられてもよいことが企図される。さらに、本明細書のいずれかの化合物において説明されるいずれかの酸素原子も硫黄またはセレン原子と置き換えてもよいことが企図される。
破線の結合で表される式を有する化合物には、任意選択で、1つも二重結合を有さないか、1つまたは複数の二重結合を有する式が含まれることが意図される。したがって、例えば、構造
が含まれる。
当業者であれば理解されるように、そのような環の1つの原子が、1つより多くの二重結合の一部を形成することはない。
本願で示される構造の原子における何らかの未定義の結合価は、非明示的に当該原子に結合している水素原子を表す。
結合していない「R」基と共に示される環構造は、当該環上のいずれの非明示的な水素原子も当該R基で置換可能であることを示す。二価R基(例えば、オキソ、イミノ、チオ、アルキリデン等)の場合は、当該環の1つの原子に結合している非明示的な水素原子のいずれの組み合わせも当該R基で置き換え可能である。本概念の例を以下に示す。
を表す。
本明細書で使用のとおり、「キラル補助」は、反応の立体選択性に影響を及ぼすことができる除去可能なキラル基を意味する。当業者であればそのような化合物を把握しており、多くが市販されている。
単語「a」または「an」の使用が、特許請求の範囲及び/または本明細書で用語「含む(comprising)」と共に使用される場合、「1つ」を意味する場合があるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは複数」の意味とも一致する。
本願をとおして、用語「約」は、値には、当該値を決定するために使用する装置、方法の誤差の固有変動、または当該試験対象者間に存在する変動が含まれることを示すために使用される。
用語「含む(comprise)」、「有する(have)」及び「含む(include)」は、非限定の連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」といった、これらの動詞の1つまたは複数の何らかの型または時制も同様に非限定である。例えば、1つまたは複数の手順を、「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」何らかの方法には、それら1つまたは複数の手順のみが含まれることに限定されず、他の記載されていない手順も含まれる。
用語「有効な」は、当該用語が本明細書及び/または特許請求の範囲で使用される場合、望ましい、予想される、または意図される結果を達成するために妥当であることを意味する。
用語「水和物」が化合物に対する修飾語句として使用される場合、当該化合物の固体形態でみられるように、当該化合物が、それぞれの化合物に関連する1つ未満(例えば、半水和物)、1つ(例えば、一水和物)、または1つより多くの(例えば、二水和物)水分子を有することを意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「IC50」は、得られる最大の応答の50%となる阻害用量を意味する。
第一化合物の「異性体」は、それぞれの分子が、第一化合物と同一の構成原子を含む別の化合物であるが、三次元におけるそれら原子の立体配置が異なる。
本明細書で使用される際、用語「患者」または「対象者」は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそれらのトランスジェニック種といった、生きている哺乳動物を意味する。いくつかのある実施形態では、当該患者または対象者は、霊長類である。ヒトの対象者の非限定例は、成人、未成年、乳幼児、及び胎児である。
「医薬的に許容可能な」は、一般に安全、非毒性であり、生物学的にもそれ以外にも望ましくないものではない医薬組成物を調製することにおいて有用であることを意味し、ヒト医薬用途に加えて、獣医学的用途でも許容可能なことを含む。
「医薬的に許容可能な塩」は、先に定義したように、医薬的に許容され、望ましい医薬活性を有する化合物の塩を意味する。そのような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸、または1,2-エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、3−フェニルプロピオン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、酢酸、脂肪族モノもしくはジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、第三級ブチル酢酸、トリメチル酢酸などといった有機酸で形成される酸付加塩が含まれる。医薬的に許容可能な塩には、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応可能な場合に形成され得る塩基付加塩も含まれる。許容可能な無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが含まれる。許容可能な有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどが含まれる。当該塩が、全体として、医薬的に許容可能である限り、説明される実施形態の何らかの塩の一部を形成する具体的なアニオンまたはカチオンも重大な意味をもたないことを留意されるべきである。医薬的に許容可能な塩及びそれらの調製法及び使用のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,and Use(P.H.Stahl & C.G.Wermuth eds.,Verlag Helvetica Chimica Acta,2002)に示されている。
本明細書で使用の「主に単一な光学異性体」は、化合物が1つの光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)を少なくとも約85%含有することを意味する。例えば、ある実施形態では、化合物は、1つの光学異性体を少なくとも約90%含有していてもよい。ある実施形態では、化合物は、1つの光学異性体を少なくとも約95%含有していてもよい。ある実施形態では、化合物は、1つの光学異性体を少なくとも約99%含有していてもよい。同様に、語句「実質的に他の光学異性体を含有しない」は、当該化合物が別の光学異性体を最大で約15%含有することを意味する。例えば、ある実施形態では、化合物は、別の光学異性体を最大で約10%含有していてもよい。ある実施形態では、化合物は、別の光学異性体を最大で約5%含有していてもよい。ある実施形態では、化合物は、別の光学異性体を最大で約1%含有していてもよい。
「予防(prevention)」または「予防(preventing)」には、(1)病気に対して危険及び/もしくは罹りやすい状態にある可能性があるが、当該病気の病態もしくは症候のいずれかもしくはすべてを未だ経験または示していない対象者または患者の当該病気の発症を抑制すること、ならびに/あるいは(2)病気に対して危険及び/もしくは罹りやすい状態にある可能性があるが、当該病気の病態もしくは症候のいずれかもしくはすべてを未だ経験または示していない対象者または患者の当該病気の発症を遅延させることが含まれる。
「プロドラッグ」は、生体内で本明細書記載の実施形態の阻害剤へ代謝的に変換可能な化合物を意味する。当該プロドラッグ自体も、所与の標的タンパク質に対して活性を有しても、いなくてもよい。例えば、ヒドロキシ基を有する化合物は、加水分解によりヒドロキシ化合物へと生体内で変換されるエステルとして投与されてもよい。生体内においてヒドロキシ化合物へと変換され得る適したエステルには、アセテート、シトレート、ラクテート、ホスフェート、タートレート、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、スクシネート、フマレート、マレート、メチレン−ビス−β−ヒドロキシナフトエート、ゲンチセート(gentisate)、イセチオネート、ジ−p−トルオイルタートレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、キネート(quinate)、アミノ酸のエステルなどが含まれる。同様に、アミン基を有する化合物が、生体内で加水分解によりアミン化合物へ変換されるアミドとして投与されてもよい。
用語「飽和」が原子に関して使用される場合、当該原子が他の原子と単結合のみによって結合していることを意味する。
「立体異性体」または「光学異性体」は、所与の化合物の異性体であり、同一の原子が同一の他の原子と結合しているが、それらの原子の三次元における立体配置が異なる。「エナンチオマー」は、所与の化合物の立体異性体であり、左手と右手のようにお互いに鏡像である立体異性体である。「ジアステレオマー」は、所与の化合物の立体異性体であるが、エナンチオマーではない立体異性体である。
「生体内で水素へ変換可能な置換基」は、限定はされないが、加水分解及び水素化分解を含む酵素学的または化学的手段により水素原子へと変換可能な任意の基を意味する。例には、アシル基、オキシカルボニル基を有する基、アミノ酸残基、ペプチド残基、o−ニトロフェニルスルフェニル、トリメチルシリル、テトラヒドロピラニル、ジフェニルホスフィニルなどといった加水分解性基が含まれる。アシル基の例には、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチルなどが含まれる。オキシカルボニル基を有する基の例には、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(−C(O)OC(CH)、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、β−(p−トルエンスルホニル)エトキシカルボニルなどが含まれる。適したアミノ酸残基には、限定はされないが、Gly(グリシン)、Ala(アラニン)、Arg(アルギニン)、Asn(アスパラギン)、Asp(アスパラギン酸)、Cys(システイン)、Glu(グルタミン酸)、His(ヒスチジン)、Ile(イソロイシン)、Leu(ロイシン)、Lys(リシン)、Met(メチオニン)、Phe(フェニルアラニン)、Pro(プロリン)、Ser(セリン)、Thr(スレオニン)、Trp(トリプトファン)、Tyr(チロシン)、Val(バリン)、Nva(ノルバリン)、HSE(ホモセリン)、4−Hyp(4-ヒドロキシプロリン)、5−Hyl(5−ヒドロキシリジン)、Orn(オルニチン)及びβ−Alaの残基が含まれる。適したアミノ酸残基の例には、保護基で保護されたアミノ酸残基も含まれる。適した保護基の例には、アシル基(ホルミル及びアセチルなど)、アリールメチルオキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル及びp−ニトロベンジルオキシカルボニルなど)、tert−ブトキシカルボニル基(−C(O)OC(CH)などを含む、ペプチド合成において典型的に使用される保護基が含まれる。適したペプチド残基の例には、2〜5個のアミノ酸残基、及びさらに任意選択で複数のアミノ酸残基を有するペプチド残基が含まれる。これらのアミノ酸またはペプチドの残基は、D体、L体、またそれらの混合物の立体化学的配置で存在していてもよい。さらに、当該アミノ酸またはペプチド残基は、不斉炭素原子を有していてもよい。不斉炭素原子を有する適したアミノ酸残基の例には、Ala、Leu、Phe、Trp、Nva、Val、Met、Ser、Lys、Thr、及びTyrの残基が含まれる。不斉炭素原子を有するペプチド残基には、不斉炭素原子を有する1つまたは複数の構成アミノ酸残基を有するペプチド残基が含まれる。適したアミノ酸保護基の例には、アシル基(ホルミル及びアセチルなど)、アリールメチルオキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル及びp−ニトロベンジルオキシカルボニルなど)、tert−ブトキシカルボニル基(−C(O)OC(CH)などを含む、ペプチド合成において典型的に使用される保護基が含まれる。「生体内で水素へ変換可能な」置換基の他の例には、還元的に脱離できる水素化分解可能な基が含まれる。適した還元的に脱離できる水素化分解可能な基の例には、限定はされないが、アリールスルホニル基(o−トルエンスルホニルなど)、フェニルまたはベンジルオキシで置換されたメチル基(ベンジル、トリチル、及びベンジルオキシメチルなど)、アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル及びo−メトキシ−ベンジルオキシカルボニル)、及びハロエトキシカルボニ基(β,β,β−トリクロロエトキシカルボニル及びβ−ヨードエトキシカルボニル)が含まれる。
本明細書で使用される際、用語「水溶性」は、当該化合物が少なくとも0.010モル/リットル程度水に溶解する、または先行文献により可溶性であると分類されることを意味する。
本願をとおして、用語「約」は、値が測定または定量方法の固有の誤差変動を含むことを示す。
単語「a」または「an」の使用が、用語「含む(comprising)」と共に使用される場合、「1つ」を意味する場合があるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは複数」の意味とも一致する。
用語「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」といった含む(comprising)の何らかの型)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」及び「有する(has)」といった有する(having)の何らかの型)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」及び「含む(include)」といった含む(including)の何らかの型)、または「含む(containing)」(ならびに「含む(contains)」及び「含む(contain)」といった含む(containing)の何らかの型)は、包括的または非限定的であり、付加的、記載されていない要素または方法の手順を排除しない。
当該組成物及び方法は、自体の使用のために、本明細書にわたって開示される成分または手順のいずれか「を含む(comprise)」、「から実質的になる」、または「からなる」ことができる。開示される成分または手順のいずれか「から実質的になる」組成物及び方法は、当該特許請求の範囲を、当該請求発明の基礎及び新規の性質に実質的に影響しない特定の材料または手順に限定する。
本明細書で論じられるいずれかの実施形態は、本発明のいずれかの方法または組成物に関して実施され得ることが企図され、逆もまた同様である。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、次の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、本詳細説明により、本発明の趣旨及び範囲に入る様々な改変及び修正が当業者に明らかになるであろうから、当該詳細説明及び特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すが、説明のためだけに与えられるものであることを留意されるべきである。特定の化合物が、1つの特定の一般式に帰するということだけで、それが別の一般式に属することができないことは意味しないことに留意されたい。
STING及びIRF3は、生体内におけるCD8T細胞プライミングのために必要である。(a)CFSE標識した2C T細胞を、WT(n=6)またはMyD88−/−(n=6)マウスに移植し、B16.SIYメラノーマ細胞を1日後に接種した。6日後、マウスを屠殺し、脾細胞を抗CD8及びクロノタイプmAb 1B2で染色し、CFSE希釈についてフローサイトメトリーで分析した。(b)Trif−/−(n=5)、(c)TLR4−/−(n=4)、(d)TLR9−/−(n=5)、(e)P2X7R−/−(n=5)、(f)MAVS−/−(n=5)、(g)STING−/−(n=5)または(h)IRF3−/−(n=5)マウスに10個のB16.SIYメラノーマ細胞を接種した。7日後、脾細胞のSIY特異的IFN−γ産生CD8T細胞頻度をELISPOTアッセイにより分析した。WTマウスは対照として使用した。P<0.05、***P<0.001(スチューデントt検定)。データは、平均±SEMを意味し、2回(b〜f)または3回(a)の独立した実験の代表である。 腫瘍由来のDNAは、STING及びIRF3依存経路によるIFN−βの産生を誘導する。(a)培養したB16メラノーマ腫瘍細胞を(方法)に示すように処理し、BM−DCと共に18時間インキュベートした。分泌されたIFN−βの量はELISAで測定した。(b)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DC細胞を、図中に示す時点で1μg/mlの腫瘍由来のDNAで刺激した。全細胞抽出物は、pTBK1、全TBK1、pIRF3、及び全IRF3に対する抗体と共にインキュベートした。画像は、Odyssey Scan(Licor)を使用して取得し、Image Studio(Licor)を使用して解析した。(c、d)STING−/−またはIRF3−/−マウスによって生成されたBM−DCを、Lipofectamineを使用して腫瘍DNAで刺激した。IFN−βの量は、ELISAにより測定した。WTマウス由来のBM−DCは、対照として使用した。(e、f)IFN−βレポーター細胞は、STINGまたはIRF3特異的siRNAでトランスフェクトし、その後、腫瘍DNAで刺激した。レポーター活性は、方法で説明されるとおりに評価した(e、f)。**P<0.01、***P<0.001(スチューデントt検定)。データは、平均±SEMを意味し、2回(a)または3回(b〜f)の独立した実験の代表である。 STING−/−マウスでは、免疫原性腫瘍の拒絶が損なわれ、抗腫瘍T細胞の蓄積がみられない。(a)WTまたはSTING−/−マウス(129バックグラウンド)に10個のB16.SIYメラノーマ細胞を接種した。腫瘍細胞の成長は、図中に示す日に測定した。(b)7日後、脾臓を摘出し、SIY特異的ペンタマー特異的CD8T細胞頻度をフローサイトメトリー分析により測定した。(c)1969腫瘍細胞をWTまたはSTING−/−マウスへ接種し、図中に示す日に腫瘍細胞の成長を記録した。(d、e)CFSE標識した2C T細胞をWTまたはSTING−/−マウスに移植し、1日後にB16.SIYメラノーマ細胞をレシピエントマウスへ接種した。6日目にマウスを屠殺し、脾臓及び腫瘍灌流リンパ節を摘出した。細胞は抗CD8及びクロノタイプmAb 1B2で染色し、CFSE希釈についてフローサイトメトリーで分析した。P<0.05、**P<0.01、***P<0.001(スチューデントt検定)。データは、平均±SEM(n=5)を意味し、2回の独立した実験の代表である。 腫瘍DNAによる刺激は、樹状細胞活性化を示す幅広い遺伝子スペクトラムを誘導する。(a)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを腫瘍DNAで7時間刺激し、RNAを単離した。単離したRNAは方法で説明されているAffymetrix GeneChip分析によって分析した。(b〜d)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを腫瘍DNAで刺激し、図中に示すサイトカインをELISAで測定した。P<0.05、**P<0.01(スチューデントt検定)。データは、平均±SEMを意味し、3回の独立した実験の代表である。 生体内において腫瘍浸潤宿主APCは、腫瘍由来のDNAを取り込む。(a、d)B16.SIY腫瘍細胞をDRAQ5で15分間染色した。腫瘍細胞を十分洗浄した後、それをマウスの皮下に接種した。翌日、マウスを屠殺し、腫瘍隆起部を回収した。単離した腫瘍細胞の単一細胞懸濁液を染色し、方法で説明されるImagestreamを使用して単一細胞画像を取得した。取得した画像は、IDEASソフトウェアを使用して解析した。(b)B16.SIY腫瘍細胞を、一晩Edu存在下での腫瘍細胞の培養によりEduで標識化した。標識した腫瘍細胞を洗浄した後、腫瘍細胞をマウスへ接種した。翌日、腫瘍隆起部を回収し、方法で説明されるClick−iT Eduイメージングキット(Invitrogen)を使用してEduを検出した。得られた画像は、先に説明したとおり分析した。非標識腫瘍細胞は陰性対照として使用した。(c)ヒトメラノーマ624腫瘍細胞をマウスの皮下に接種した。翌日、腫瘍隆起部を回収し、ヒト抗HLA、マウス抗CD45、及び抗CD11c抗体で染色した。DAPI染色によって生存細胞をゲート後に、CD45及びCD11c陽性細胞をセルソーティングにより回収し、DNAを単離した。方法で説明されるように、ゲノム(g)またはミトコンドリア(m)配列用のマウス(M)またはヒト(H)特異的プライマーを使用してPCRを実施した。(d)(c)で説明したソートした細胞は、段階希釈(10細胞/サンプル)し、REPLI−g(登録商標)Single Cell Kit(Qiagen)を使用して全ゲノム増幅を実施し、(c)で説明したとおり、PCRを実施した。***P<0.001(スチューデントt検定)。データは、平均±SEMを意味し、少なくとも3回の独立した実験の代表である。 腫瘍浸潤宿主APCは、STING依存的にIFN−βを産生する。 (a)B16.SIY腫瘍細胞をマウスの皮下に接種した。翌日、腫瘍突起部を回収し、懸濁細胞を固定、透過処理し、図中に示す抗体で染色した。Imagestreamで得られた画像は、IDEASソフトウェアを使用して解析した。(b)B16.SIY腫瘍細胞をWTまたはSTING−/−マウスへ接種した。翌日、腫瘍細胞、リンパ節、及び脾臓を先のように単離し、抗マウスCD45抗体(b)及びCD11b及びCD11c(c)抗体で染色した。染色細胞はセルソーティングで回収した。全RNAを単離し、cDNAを合成した。IFN−βの転写産物の発現はq−PCRを使用して測定した。リンパ節または脾臓由来のCD11bまたはCD11c陽性細胞は、対照として使用した。P<0.05、**P<0.01(スチューデントt検定)。データは、平均±SEMを意味し、3回の独立した実験の代表である。 TLR4−/−及びTLR9−/−マウスにおける抗原特異的CD8T細胞応答は、WTマウスと同等である。B16.SIYメラノーマ細胞をWTまたはTLR4−/−(a)またはTLR9−/−(b)マウスへ注入した。一週間後、マウスの脾臓を単離し、方法で説明されるように、SIYペプチド特異的ペンタマー染色を実施した。データは、平均±SEMを意味し、2回の独立した実験の代表である。 腫瘍由来のDNAは、マウスマクロファージ細胞におけるIFN−βの産生を誘導する。不死化マクロファージ細胞株を腫瘍由来のDNA+Lipofectamine、生存腫瘍細胞、またはB16腫瘍細胞の培養上清のいずれかで刺激し、産生されたIFN−βの量をELISAで測定した。 正常脾細胞由来のDNAは、腫瘍由来のDNAと同等のIFN−β産生を誘導した。WT B6マウスの脾臓またはB16メラノーマ腫瘍細胞由来のDNAは、DNA単離キット(Qiagen)を使用して単離した。BMDCは、図中に示す濃度のDNAで刺激し、IFN−β産生は、細胞培養上清を使用してELISAで測定した。データは、平均±SEMを意味し、3回の独立した実験の代表である。 腫瘍由来のDNAによる刺激は、WT BMDCにおけるTBK1及びIRF3のリン酸化を誘導するが、STING−/− BMDCでは誘導しない。BMDCは、図中に示す時間、腫瘍由来のDNA(1μ/ml)またはLPS(20ng/ml)のいずかで刺激した。全細胞抽出物は、pTBK1、全TBK1、pIRF3及び全IRF3に対する抗体と共にインキュベートした。画像は、Odyssey Scan(Licor)を使用して取得し、Image Studio(Licor)で分析した。 DNA刺激は、実質的なNF−κb活性化を誘導しないようである。WTマウス由来のBM−DC細胞は、1μg/mlの腫瘍由来のDNA、20ng/mlのLPSで異なる時点で刺激した。全細胞抽出物は、pIKKβ、全IKKβ、pIkBα及び全IkBαに対する抗体で分析した。データは、3回の独立した実験の代表である。 cGASノックダウンは、DNA刺激したマウスマクロファージ細胞からのIFN−β産生を減少させる。マウスマクロファージ細胞は、対照またはcGAS特異的siRNAで処理した。36時間後、腫瘍DNA刺激無しでsiRNA処理した細胞は、RNAの単離及びqRT−PCRによる遺伝子発現の確認に使用した(a)。siRNA処理した細胞の別セットは、腫瘍DNAで刺激し、細胞培養上清中のIFN−β産生をELISAで測定した(b)。データは、平均±SEMを意味し、3回の独立した実験の代表である。 B16メラノーマ腫瘍の成長は、WTマウスと比較して、STING−/−(a)またはIRF3−/−マウス(b)においてより促進されたが、Trif−/−マウス(c)では促進されなかった。B16.SIY腫瘍細胞(10個の細胞/マウス)を図中に示すマウスの皮下に注入し、腫瘍の成長を図中に示す日に測定した。データは、平均±SEMを意味し、2回の独立した実験の代表である。 STING−/−マウスは、皮膚移植片を野生型レシピエントと類似した動態で拒絶する。雄性STING−/−マウス由来の皮膚を雌性STING−/−レシピエント(n=6)に移植した。野生型雄性マウスのものを雌の皮膚に移植し、陽性対照として使用した(n=3)。生存している移植片の割合(パーセント)を期間にわたって評価した。 1969腫瘍細胞のDNAは、生体内で宿主APCへ移行可能である。1969腫瘍細胞をEduで標識化し、マウスに注入した。1日後、腫瘍浸潤免疫細胞を含む腫瘍細胞を単離し、方法で説明されるように細胞表面マーカー及びEduについて染色した。画像はAmnis ImageStreamシステムで取得し、データはIDEASソフトウェアで解析した。データは、2回の独立した実験の画像の1つの代表的なセットを示す。 ソートされたマウスCD45CD11c細胞においてヒトゲノムDNA配列は検出されない。ヒトメラノーマ624細胞をマウスの皮下に注入した。翌日、腫瘍突起部を単離し、単一細胞懸濁液を調製した。DAPI、抗ヒトHLA(Alexa fluor 488)、抗マウスCD45(PE)及び抗マウスCD11c(Percp−Cy5.5)抗体で染色後、抗ヒトHLA抗マウスCD45CD11c生存細胞をセルソーティングによって精製した。ソートした細胞からDNAを単離し、図に示すヒトゲノムDNA(STING、AIM−2、及びATG14)及びミトコンドリアDNA(ATP6)に特異的なプライマーセットを使用してPCRを実施した。PCR産物は、1.5%アガロースゲル中で電気泳動させ、EtBrで可視化した。 ミトコンドリアDNAは、I型IFNの産生を誘導する。ゲノムDNAをB16メラノーマ細胞からBlood & Cell Culture DNA Midi Kit(Qiagen)を使用して単離した。ミトコンドリアDNAは、B16メラノーマ細胞のミトコンドリアからQproteome(商標)Mitochondria Isolation Kit(Qiagen)を使用して単離した。(a)THP−1 ISGレポーター細胞(Invivogen)は、図中に示す量のゲノムまたはミトコンドリアDNAをLipofectamine(0.5μl/ウェル)と組み合わせて刺激した。一晩インキュベートした後、上清を回収し、QUANTI−blue基質(Invivogen)を添加した。I型インターフェロンの産生量は、プレートリーダーで吸光度を読むことにより測定した。(b)BMDCは、図中に示すDNA量で刺激し、マウスIFN−βのELISAでIFN−βを測定した。データは、平均±SEMを意味し、3〜4回の独立した実験の代表である。 腫瘍浸潤宿主APCは、生体内においてTBK1のリン酸化を示す。B16メラノーマ細胞をマウスに注入した。1日後、腫瘍浸潤宿主免疫細胞を含む腫瘍細胞を単離し、方法で説明されるように染色した。画像は、Amnis ImageStreamシステムを使用して取得し、データはIDEASソフトウェアで解析した。データは、2回の独立した実験の1つの代表の画像を示す。 腫瘍浸潤宿主APCは、生体内において、腫瘍注入後1週間でIRF3のリン酸化を示す。B16メラノーマ細胞をマウスに注入した。1週間後に、腫瘍浸潤宿主免疫細胞を含む腫瘍細胞を単離し、方法で説明されるように染色した。画像は、Amnis ImageStreamシステムを使用して取得し、データはIDEASソフトウェアで解析した。データは、2回の独立した実験の1つの代表の画像を示す。 DMXAAは、STING経路を活性化し、I型IFN産生を引き起こす。 DMXAAによるBM−DCにおけるサイトカインの誘導は、STING依存的である。 DMXAAによるBM−DCにおける同時刺激リガンドの誘導は、STING依存的である。 腫瘍内DMXAAは、WTマウスにおけるB16.SIY腫瘍の拒絶を引き起こす。 DMXAAは、腫瘍発現SIY抗原に対する強力なCD8T細胞応答を引き起こす。 DMXAAは、動物を第二の腫瘍再負荷から保護する。 DMXAAは、STING−/−及びRAG−/−マウスにおける腫瘍の成長を制御できない。 DMXAAは、WTマウスにおけるB16.SIY腫瘍拒絶を引き起こす。 DMXAAは、SIY抗原に対する強力な免疫応答を引き起こす。 DMXAAは、STING経路を活性化し、APCの活性化を促進する。(a)STING−HAタグを発現するよう形質導入されたSTING−/−マウス骨髄由来マクロファージ(BMM)を50μg/mlのDMXAAで1時間刺激し、HAタグに対して特異的な抗体、CD11b、及びDAPIで染色した。単一細胞画像をImageStreamで取得し、データは、IDEASソフトウェア(Amnis、Millipore)で解析した。グラフ中のデータは、3回の独立した実験から得られた凝集を有する細胞の平均割合を示す。(b)WTまたはSTING−/−BMMを、50μg/mlのDMXAAで、図中に示す時間刺激した。pTBK1、全TBK1、pIRF3、全IRF3、STING、及びGAPDHの量は、ウエスタンブロットによって測定した。(c)WTまたはSTING−/−BMMを、50μg/mlのDMXAAで12時間刺激した。分泌されたIFN−βは、ELISAにより測定した。(d)WTまたはSTING−/−マウスの骨髄由来DC(BM−DC)を、図中に示す時間25μg/mlのDMXAAで刺激した。pTBK1、全TBK1、pIRF3、全IRF3及びGAPDHの量はウエスタンブロットで測定した。(e)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを、50μg/mlのDMXAAで12時間刺激した。上清のIFN−β量はELISAで測定した。(f〜g)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを25μg/mlのDMXAAで4時間刺激した。先天性サイトカインの発現は、q−RT−PCRで測定した(f)。細胞膜上の共刺激性分子の発現は、CD11c、CD40、CD86、及びMHCクラスIIに対する特異的抗体による染色で測定した(g)。細胞は、LSRII−Blue Cytometerにて取得し、FlowJoソフトウェア(Treestar)で解析した。 DMXAA応答性腫瘍拒絶は、STING依存的である。(a)WT C57BL/6マウスの左側腹部に10個のB16.SIY細胞を接種した(n=5)。腫瘍の体積が100〜200mmであるときに、それらへ500μgのDMXAAまたは生理食塩水を単回IT投与した。腫瘍体積は図中に示す時点で測定した。(b〜c)WT C57BL/6マウスは(a)と同様に処置し、5日後に脾細胞を回収し、培養液または可溶性SIYペプチド存在下で16時間、試験管内で再度刺激した。腫瘍特異的IFN−γ産生細胞の頻度は、ELISPOTで評価し(b)、SIY特異的CD8T細胞の割合は、TCRβ、CD4、CD8及びSIYペンタマーに対する特異的抗体で脾細胞を染色することにより評価した(c)。細胞は、LSRII−Blueサイトメーターにおいて取得し、FlowJoソフトウェアで解析した。結果は、平均±s.e.m.で示されている。**P<0.01、***P<0.001(c)。(d)B16.SIY腫瘍を拒絶したWTマウスの反対側の側腹部に、10個のB16.SIYを再負荷した。未処置マウスを対照として使用した。腫瘍のサイズは、図中に示す時点で測定した。(e)WTマウスの左及び右側腹部に10個のB16.SIY細胞を接種した(n=5)。腫瘍の体積が100〜200mmであるときに、500μgのDMXAAまたは生理食塩水を右側腹部のみにIT注入し、腫瘍体積を図中に示す時点で測定した。データは、少なくとも3回の独立した実験、または対側性の腫瘍モデルでは2回の独立した実験の代表である。結果は、平均腫瘍体積±s.e.m.として示されている。P<0.5、**P<0.01、***P<0.001。 生体内におけるDMXAAの治療効果の大部分には、獲得免疫応答が必要である。(a)WT及びSTING−/−C57BL/6マウスの左側腹部に10個のB16.SIY細胞を接種した(n=5)。腫瘍体積が100〜200mmであるときに、それらへ500μgのDMXAAまたは生理食塩水を単回IT投与した。腫瘍サイズは図中に示す異なる時点で測定した。(b〜c)WT及びSTING−/−C57BL/6マウスは、(a)と同様に処置し、5日後に脾細胞を回収し、培養液または可溶性SIYペプチド存在下で16時間、試験管内で再度刺激した。腫瘍特異的IFN−γ産生細胞の頻度は、ELISPOTで評価し(b)、特異的SIYCD8T細胞の割合は、TCRβ、CD4、CD8及びSIYペンタマーに対する特異的抗体で脾細胞を染色することにより評価した(c)。細胞は、LSRII−Blueサイトメーターにおいて取得し、FlowJoソフトウェアで解析した。結果は、平均±s.e.m.で示されている。P<0.5、**P<0.01。WT及びRAG−/−C57BL/6マウス(d)またはWT及びTCRα−/−マウス(e)の左側腹部に10個のB16.SIY細胞を接種した(n=5)。腫瘍体積が100〜200mmであるときに、それらへ500μgのDMXAAまたは生理食塩水を単回IT投与した。腫瘍の体積は図中に示す時点で測定した。(f)250μgの抗CD8抗体(クローン2.43)を毎週1回注入することでWTC57BL/6マウスのCD8T細胞を欠乏させた。アイソタイプであるIgG2bを対照として使用した。抗CD8またはIgG2bアイソタイプ対照の最初の注入から2日後に、マウスの左側腹部に10個のB16.SIY細胞を負荷した(n=5)。7日後に、腫瘍が100〜200mmであるときに、それらへ500μgのDMXAAまたは生理食塩水を単回IT投与した。腫瘍体積は、異なる時点で測定した。データは、少なくとも2回の独立した実験の代表である。結果は平均腫瘍体積±s.e.m.として示されている。P<0.5、**P<0.01、***P<0.001。 改変CDNは、すべてのヒトSTING対立遺伝子を通じて、STING及びシグナルを強力に活性化する。(a)hSTINGのドメイン構造をアミノ酸変異位置と共に示す(下部)。左側の列に示されるhSTINGアイソフォームの対立遺伝子頻度は、以前に説明したように1000ゲノムプロジェクトのデータベースから得られたものである35。図中に示す全長STING−HAタンパク質を安定発現しているHEK293T細胞由来の全細胞可溶化液は、抗HA抗体を使用してウエスタンブロットで分析した。(b)図中に示すSTING対立遺伝子を安定発現しているHEK293T細胞に、IFN−β−ルシフェラーゼレポーターコンストラクトをトランスフェクトした。24時間後、ルシフェラーゼ遺伝子レポーター活性を測定する前に、細胞を100μg/mlのDMXAAで6時間刺激した。(c)図中に示すSTING対立遺伝子を発現しているHEK293T細胞は、(b)と同様に処理し、図中に示すCDN化合物(10μM)で6時間刺激し、IFN−β−レポーター活性を評価した。(d)C57BL/6またはSTING−/−マウスから単離したBMMに5μMのCDNを添加した。6時間インキュベートした後、リアルタイムqRT−PCRで誘導されたIFN−βの発現を評価し、刺激していないC57BL/6 BMMと比較することで、相対的に正規化された発現量を決定した。(e)図中に示すSTING対立遺伝子を有するドナー由来のヒトPBMCを10μMの図中に示すCDNまたは100μg/mlのDMXAAで刺激した。6時間の刺激後に、IFN−βの倍率誘導をqRT−PCRで測定し、未処理の対照と比較することで、相対的に正規化された発現量を決定した。 合成によるCDN改変は、確立されたB16腫瘍における抗腫瘍効果を有意に改善する。5×10個のB16.F10細胞をWT C57BL/6マウスの左側腹部に接種した(n=8)。腫瘍の体積が100mmであるときに、それらに、25μgのML−CDA、ML−CDG、ML RR−S2 CDG、もしくはML RR−S2 CDAを3回IT投与(a)、DMXAA(150μg)、ML RR−S2 CDG(25μg)、もしくはML RR−S2 CDA(50μg)を3回IT投与(b)、またはML−cGAMP(50μg)、ML RR−S2 cGAMP(50μg)、ML RR−S2 CDG(25μg)、もしくはML RR−S2 CDA(50μg)を3回IT投与(c)した。対照群は、HBSS媒体で処置した。(d)WT C57BL/6マウスまたはSTING−/−マウスは、CDN ML RR−S2 CDA(50μg)、マウスB型CpG ODN 1668(50μg)、またはHBSS媒体対照で3回IT投与処置した。(e)WT C57BL/6マウスは、ML RR−S2 CDA(50μg)または50μgの次に示すTLRアゴニストで3回IT投与処置した:TLR3(及びRIG−I)アゴニスト、ポリI:C;TLR4アゴニスト、グルコプラノシルリピドA(GLA);TLR7/8アゴニスト、レシキモド(R848);TLR9アゴニストCpG 1668。化合物は、図中に矢印で示す日に投与し、週に2回、腫瘍の測定を実施した。データは、少なくとも2回の独立した実験の代表である。結果は、平均腫瘍体積±s.e.m.として示されている。P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。 ML RR−S2 CDAは、免疫媒介性の腫瘍拒絶を促進する。(a)WT BALB/cマウスの左側腹部に10個のCT26結腸癌細胞を接種した。腫瘍の体積が100mmであるときに、それにML RR−S2 CDA(50μg)またはHBSS媒体対照(左グラフ)を3回IT投与した。最初の腫瘍移植後から55日目に反対側の側腹部に10個の腫瘍細胞を再度移植した。未処置マウスを対照として使用した(右グラフ)(n=8)。(b)WT BALB/cマウスの左側腹部に10個のCT26結腸癌細胞を接種し、11、14、及び18日目にML RR−S2 CDGまたはML RR−S2 CDA(それぞれ25μg)、またはHBSS媒体対照のIT注入処置を実施した(n=4)。CT26移植後21日間、PBMCはAH1(gp70423−431)で刺激し、IFN−γ ELISPOTアッセイで評価した。(c)WT BALB/cマウスの両側腹部に10個のCT26腫瘍細胞を移植した。図中に示す日に、マウスの片方の側腹部のみ、ML RR−S2 CDA(50μg)、またはHBSS媒体対照で処置した(n=8)。(d)0日目にWT C57BL/6の右側腹部に5×10個のB16.F10メラノーマ細胞を接種し、7日目に10個の細胞をIV移植した。未処置のマウスには対照として細胞IV移植のみ実施した。側腹部の腫瘍は、図中で示す日にML RR−S2 CDA(50μg)、DMXAA(150μg)、またはHBSS対照で処置した(n=8)。28日目に、肺を回収し、肺腫瘍結節を数えた。ヒストグラムは、ML RR−S2 CDA、DMXAA、またはHBSS対照処置されたマウスの全肺癌結節数を示し、IVのみで腫瘍移植された未処置マウスと比較したものである。画像は、ML RR−S2 CDA及びHBSS対照処置されたマウスを示す。データは、少なくとも2回の独立した実験の代表である。結果は、平均±s.e.m.として示されている。**P<0.01、***P<0.001。 生体内におけるDMXAA用量応答。(a)WT C57BL/6マウスの左側腹部に10個のB16.SIY細胞を接種した(n=5)。腫瘍体積が100〜200mmであるときに、それらへ625、500、300、または150μgのDMXAA、または生理食塩水を単回IT投与した。異なる時点で腫瘍体積を測定した。結果は、平均腫瘍体積±s.e.m.として示されている。(b)WT C57BL/6マウスは、(a)と同様に処置し、DMXAA処置の5日後に、脾細胞を回収し、試験管内で培養液または可溶性SIYペプチド存在下で16時間再刺激した。腫瘍特異的IFN−γ産生細胞の頻度をELISPOTで評価した。(c)SIY特異的CD8+T細胞の割合は、TCRβ、CD4、CD8、及びSIYテトラマーに対する特異的抗体を使用して脾細胞を染色することにより評価した。細胞をLSRII−Blueサイトメーターで取得し、FlowJoソフトウェアで解析した。データは、少なくとも2回の独立した実験を示す。 異なるマウス腫瘍モデルにおけるDMXAAの治療効果。WTマウスに10個のB16.F10を接種(a)、TRAMP−C2をC57BL/6マウスへ(b)、4T−1をBALB/Cマウスへ(c)、及びAg104LをC3Hマウスへ(d)。腫瘍体積が100〜200mmであるときに、それらへ500μgのDMXAAまたは生理食塩水を単回IT投与した。腫瘍体積は、異なる時点で測定した。結果は、平均腫瘍体積±s.e.m.で示されている。データは少なくとも二つの独立した実験を示す。 抗CD8で処置されたマウス血液中におけるCD8+T細胞の頻度。図中に矢印で示すように250μgの抗CD8抗体(クローン2.43)を毎週1回注入することにより、WT C57BL/6マウスのCD8を欠乏させた。アイソタイプIgG2bを対照として使用した。グラフは、0、2、9、及び13日目における血液中のTCRβ+細胞からゲートされたCD8+細胞の割合を示す。 環状ジヌクレオチドの構造。(a)(上パネル)ML−RR−CDAを95%以上まで精製した際のHPLCクロマトグラムであり、C−18カラムを使用し、10mMのトリエチルアンモニウムアセタートを含む2%〜20%のアセトニトリルによる勾配を実施したものであり、12.4分の保持時間を示している。(下パネル)合成したML RR−S2 CDAの二次元1H−31P Heteronuclear Multiple Bond Correlation(HMBC)である。二次元1H−31P HMBCにより、リン原子核であるP−1が5’リボースのメチレンプロトン(H−5B)に加えて、2’−リボースのプロトン(H−2A)とも相関していることが明らかとなった。もう一方のリン原子核であるP−2は、もう一方のアデノシンの3’リボースのプロトン(H−3B)及びもう一方のアデノシンの5’リボースのメチレンプロトン(H−5A)と相関している。1H−1H COSY及び2D−HMBCの結果を組み合わせることで、ホスホジエステル結合の位置化学は、示されている構造に一致する2’,5’−3’,5’であるという直接的な証拠が得られた。(b)(上パネル)ML RR−S2 CDAのX線結晶構造(スティックモデル)であり、R,Rジアステレオマーの立体配置及び2’−5’−3’−5’ホスホジエステル結合の位置化学を確認するものである。配色は次のとおり。炭素(白)、窒素(青)、酸素(赤)、硫黄(黄)。(下パネル)ML RR−S2 CDAの静電ポテンシャル面を青(正)、黄(中性)、及び赤(負)で示した。 CDNによる炎症誘発性サイトカインの誘導は、STING依存である。C57BL/6またはSTING−/+マウスから単離したBMMへ5μMのCDNを添加した。6時間インキュベートした後、炎症誘発性サイトカインであるCCL2/MCP−1、TNF−α、及びIL−6の誘導された発現量をリアルタイム定量的RT−PCRで評価し、刺激していない参照遺伝子であるC57BL/6 BMM及びGUSB及びPGK1と比較することで、相対的に正規化された発現量を決定した。 環状ジヌクレオチドによるSTING経路の活性化。(a)STING−HAを発現しているSTING−/−マクロファージを50mg/mlのDMXAAまたは50μMのML RRS2 CDAで1時間刺激し、その後、HAタグに対して特異的な抗体、CD11b、及びDAPIで染色した。単一細胞画像をImageStreamで取得し、データはIDEASソフトウェア(Amnis、Millipore)で解析した。(b)図中に示す時間、WTマクロファージを50μg/mlのDMXAAまたは50μMのML RR−S2 CDAで刺激した。pTBK1、全TBK1、pIRF3、全IRF3、STING及びGAPDHの量はウエスタンブロットで測定した。(c)WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを、10μMの図中に示すCDN、1μg/mlのLPSまたは100μg/mlのDMXAAを使用して培養液中で刺激した。24時間後に、CD11c+DCゲートで、MHCクラスIIまたはCD86の発現量をFACSで測定した。 リードCDN分子は、4T−1マウスモデルにおける免疫媒介性腫瘍拒絶を促進する。WT BALB/cマウスの左側腹部に10個の4T−1細胞を接種した。腫瘍細胞が100mmであるときに、それらへML RR−S2 CDA(50μg)またはHBSS媒体対照を3回IT投与した。最初の腫瘍移植から55日目に、マウスの反対側の側腹部に腫瘍細胞(それぞれ1×10個)を再移植した。未処置対照マウスにも同時に移植した(右グラフ)(n=8)。(b)WT BALB/cマウスの両側腹部に、1×10個の4T−1腫瘍細胞を移植した。図中に示す日に、マウスの片方の側腹部のみ、ML RR−S2 CDA(50μg)またはHBSS媒体対照で処置した(n=8)。データは、少なくとも独立した2回の実験の代表である。結果は、平均±s.e.m.で示されている。**P<0.01。
発明者らは、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストである、キサンテノン誘導体DMXAAが、APCにおけるSTING経路の強力な活性化を引き起こすことをつきとめた。STING経路の活性化は、IFN−βに加え、IL−6、TNF−α及びIL−12の高産生、ならびにDCによるCD40及びCD86のアップレギュレーションにつながる。同様に、DMXAAの単回腫瘍内投与は、マウスにおいて、確立された腫瘍の拒絶を促進する。
完全な腫瘍の拒絶は、宿主STING及び獲得T細胞応答に依存しており、DMXAAでの腫瘍の処置は、T細胞免疫応答を強力に亢進し、免疫記憶を生成することも発見された。試験は、マウスモデル及びヒト分子の使用の両方で実施された。
A.STING経路
STING経路は、細胞基質DNAの検出に関連する経路である。インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)は、膜貫通型タンパク質173(TMEM173)及びMPYS/MITA/ERISとしても知られており、ヒトにおいてはTMEM173遺伝子にコードされているタンパク質である。STINGは、自然免疫において重要な役割を担う。ウイルス、マイコバクテリア及び細胞内寄生虫といった細胞内病原体に細胞が感染するとSTINGは、I型インターフェロン産生を誘導する。STINGにより媒介されるI型インターフェロンは、オートクリン及びパラクライン様式で感染細胞及び近傍の細胞を局所感染から保護する。
STINGは、TMEM173遺伝子によってコードされる。それは、直接的な細胞基質DNAセンサー(CDS)、及び様々な分子メカニズムを介するI型インターフェロンシグナル伝達におけるアダプタータンパク質の両方としてはたらく。それは、細胞内病原体に対する抗ウイルス応答及び自然免疫応答を担っている下流の転写制御因子であるSTAT6及びIRF3を、TBK1を介して活性化することが示されている。
STINGは小胞体内に存在するが、細胞基質にDNAが存在すると、センサーであるcGASが当該DNAに結合し、環状ジヌクレオチドを形成する。このジヌクレオチドは、STINGに結合し、その凝集及びゴルジを介するERから核周囲部への転座を促進する。そこで、STINGはTBK1と複合体を形成し、そのリン酸化を促進する。一旦TBK1がリン酸化されると、転写因子であるIRF3をリン酸化することで、IRF3は二量体化して核へと転座し、そこでI型IFN及び他の自然免疫遺伝子の転写を活性化する。
B.STINGアゴニスト
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、この経路を直接的に活性化するアゴニストであり、限定はされないが、以下に詳細に説明されるDMXAAまたは環状ジヌクレオチドまたはそのいずれかの誘導体である。
1.DMXAA
いくつかの腫瘍マウスモデルにおいて、フラボン酢酸が抗腫瘍効果を有し、腫瘍内において出血性壊死を起こすことが以前に示された。腫瘍の血管におけるその効果により、血管破壊剤(Vascular Disrupting Agent)として説明された。しかしながら、血管での効果以外に、いくつかの先天性サイトカイン産生の増加も起こした。
VadimezanまたはASA404(DMXAAとも呼ばれる)は、癌性の腫瘍への血液供給を攻撃し、腫瘍退縮を起こす腫瘍血管破壊剤(腫瘍VDA)である。このフラボン酢酸誘導体[5,6−ジメチルXAA(キサンテノン−4−酢酸)]は、血管破壊活性を示し、前臨床動物モデルにおいて出血性壊死及び腫瘍退縮を誘導した。免疫媒介及び非免疫媒介効果の両方が当該腫瘍退縮に貢献した。
DMXAAは次の構造を有する。
2.環状ジヌクレオチドまたはその誘導体
STINGシグナル伝達経路は、環状ジヌクレオチド(CDN)により活性化される。環状ジヌクレオチド(CDN)は、細菌によって産生される場合があり、または細胞基質DNAのセンシングに応答した抗原提示細胞によって産生される場合もある。未改変のCDNは、I型インターフェロン及び他の同時制御遺伝子を誘導し、続いて特異的免疫応答の発達を促進することが示されている。
特定の実施形態では、当該環状ジヌクレオチドには、次の式の化合物のような、改変された環状ジヌクレオチドが含まれていてもよい。
当該化合物は、天然に存在しなくてもよく、または化学的に合成されてもよい。さらなる実施形態では、以下に示すように、R1及びR2は、独立に9−プリン、9−アデニン、9−グワニン、9−ヒポキサンチン、9−キサンチン、9−尿酸、または9−イソグアニンであってよい。
いくつかの実施形態では、当該化合物は、主にRp,RpまたはRp,Sp立体異性体、またはそのプロドラッグまたは医薬的に許容可能なその塩の形態で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、当該化合物は、主にRp,Rp立体異性体の形態で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、当該化合物は、次式の化合物またはその主にRp,Rp立体異性体の形態であってもよい。
いくつかの実施形態では、当該化合物は、ジチオ−(R,R)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]](2’−5’、3’−5’混合ホスホジエステル結合(ML)RR−S2 c−di−AMPもしくはML RR−S2 CDAとも呼ばれる))、ML RR−S2−c−di−GMP(ML−CDG)、ML RR−S2 cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物であってもよい。
C.医薬組成物及び方法
いくつかの実施形態では、医薬組成物が、対象者に投与される。異なる態様では、対象者に有効量の組成物を投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、阻害剤を含む組成物が、癌を処置または腫瘍のサイズを縮小させるために当該対象者または患者に対して投与されてもよい。さらに、そのような化合物は、他の癌治療と組み合わせて投与されてもよい。
組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内経路を介する注入のための製剤化といった、非経口的投与のための製剤化がなされてもよい。典型的には、そのような組成物は、注射剤として調製されてもよく、液状溶液または懸濁液のいずれとしてでもよい。注入前に液体を加えて溶液または懸濁液を調製するための使用に適した固形形態として調製されてもよい。当該調製物は、乳化していてもよい。そのような製剤の調製方法は、本開示により、当業者の知るところとなるであろう。
注入使用に適した当該医薬形態には、滅菌水溶液または分散液と、ゴマ油、ピーナッツ油、または水溶性プロピレングリコールを含む製剤と、滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用滅菌粉末とが含まれていてもよい。すべての場合において、当該形態は、滅菌されていなくてはならず、容易に注入できる程度に流動的でなくてはならない。同様に、製造及び貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌や真菌といった微生物の汚染活動に対処して保存されなくてはならない。
当該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン、グリコール、及び脂質ポリエチレングリコールなど)、適したその混合物、及び野菜油を含む溶液または分散媒体であってもよい。例えば、レシチンといったものをコーティングしたり、分散液の場合は、必要な粒子径を維持したり、界面活性剤を使用したりすることで、適した流動性は、維持することができる。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどといった様々な抗細菌及び抗真菌剤を使用することによって、微生物活動は阻止できる。多くの場合、例えば、糖または塩化ナトリウムといった等張剤を含むことが好ましい。例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンといった吸収遅延剤の組成物を使用することで、注射用組成物の吸収を延長させることが可能になる。
注射用滅菌溶液は、必要に応じて先に列挙した様々な他の成分を含む適切な溶媒に必要量の活性剤を加えて調製され、その後、ろ過滅菌される。一般に分散液は、基礎的な分散媒体及び先に列挙した成分から必要となる他の成分を含む滅菌媒体へ様々な滅菌活性成分を加えることで調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、活性成分の粉末に加えて、事前にろ過滅菌されたその溶液由来の何らかの付加的な望ましい成分を与える減圧乾燥及び凍結乾燥技術が調製方法として好ましい。
本明細書の用語「医薬的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰毒性、刺激、アレルギー反応、もしくは妥当な利点/危険の比率に応じた他の問題となる合併症無しで、ヒト及び動物の組織に接触する上で適した化合物、材料、組成物、及び/または投与量形態を意味する。用語「医薬的に許容可能な担体」は、化学的薬剤の運搬や移送に関する液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、またはカプセル化材料といった、医薬的に許容可能な材料、組成物、または媒体を意味する。
本明細書の用語「医薬的に許容可能な塩」は、開示化合物の誘導体を意味し、当該親化合物は、存在する酸または塩基部分をその塩の形態へと変換することで改変される。医薬的に許容可能な塩の例には、限定はされないが、アミンといった塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸といった酸性残基のアルカリまたは有機塩、及び同様のものが含まれる。医薬的に許容可能な塩には、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩が含まれる。当該医薬的に許容可能な塩は、塩基または酸性部分を有する親化合物から、通常の化学的な方法で合成することができる。
当該対象者の状態に基づき、投与量を幾分か変更する必要も生じるであろう。投与の責任者が、何らかの事象において、個々の対象者向けの適切な投与量を決定するであろう。治療用または予防用組成物の有効量は、意図される目的に基づき決定される。用語「単位用量」または「投与量」は、対象者において使用するために適した物理的に別々の単位を意味し、それぞれの単位には、その投与、すなわち適した経路及びレジメン、に関して、先に説明した望ましい応答を与えるために計算された所定量の当該組成物が含まれる。当該投与量は、所望の効果に基づき、処置の回数及び単位用量の両方に従って、投与されることになる。当該組成物の詳細な量は、実施者の判断にも基づくものであり、それぞれの個人に特有である。用量に影響する要因には、当該対象者の身体的及び臨床的状態、投与経路、意図される処置の目標(治癒に対する症状の緩和)、及び効力、ならびに特定の組成物の安定性及び毒性が含まれる。
製剤に関して、溶液は、投与量の製剤と適合する様式で、治療または予防的に有効となる量で投与されるであろう。当該製剤は、先に説明した注射用溶液の種類といった、様々な投与量形態で容易に投与される。
典型的には、ヒトの成人(体重約70キログラム)向けに、約0.1mg〜約3000mg(この範囲の間に入るすべての値及び範囲を含む)、約5mg〜約1000mg(この範囲の間に入るすべての値及び範囲を含む)、または約10〜100mg(この範囲の間に入るすべての値及び範囲を含む)の化合物が投与される。これらの投与量範囲は、例示のみが目的であり、当業者が知る要因に基づき、投与は調製可能であると理解される。
ある実施形態では、対象者は約、少なくとも約、または最大で約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)またはマイクログラム(mcg)またはμg/kgまたはマイクログラム/kg/分またはmg/kg/分またはマイクログラム/kg/時またはmg/kg/時、またはその中で導き出せる何らかの範囲で投与される。特定の実施形態では、阻害剤であるイピリムマブが50mg/10mL(5mg/mL)で投与される。特定の実施形態では、阻害剤であるイピリムマブが200mg/40mL(5mg/mL)で投与される。
用量は、必要に応じて、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、もしくは24時間毎(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)または1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは回(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)投与されてもよい。用量の最初の投与は、感染の徴候を患者が示すもしくは感じる前もしくは後、または臨床医が、当該患者が感染していると診断した後であってもよい。いくつかの実施形態では、当該患者が感染の徴候または症状を経験または示してから、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)後または1、2、3、4、もしくは5日(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)後にレジメンの最初の用量が当該患者に投与される。当該患者は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日、もしくはそれを超える日数(もしくはその中で導き出せる何らかの範囲)、あるいは感染の症状が消失もしくは軽減されるまで、あるいは感染の症状が消失もしくは軽減してから6、12、18、もしくは24時間、または1、2、3、4、もしくは5日間処置されてもよい。特定のいくつかの実施形態では、阻害剤であるイピリムマブが3週間毎に投与される。
本明細書記載の「腫瘍」は、悪性または良性を問わず、すべての腫瘍性の細胞の成長及び増殖、ならびに前癌性及び癌性細胞、及び組織を意味する。用語「癌(cancer)」、「癌性の」、「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」、及び「腫瘍」は、本明細書では相互に排他的ではない。
処置可能な癌には、限定はされないが、メラノーマ、癌(Carcinoma)、リンパ種、芽腫、肉腫、及び白血病またはリンパ性悪性疾患が含まれる。そのような癌のより具体的な例には、乳癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、腎臓または腎癌、及び明細胞癌と、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌を含む肺癌と、扁平上皮癌(squamous cell cancer)(例えば、扁平上皮癌(epithelial squamous cell cancer))、子宮頸癌、卵巣癌、前立腺癌、前立腺腫瘍、肝癌(liver cancer)、膀胱癌、腹膜癌、及び肝細胞癌と、消化器癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)と、消化管間質腫瘍、脾癌、頭部及び頭頸部癌、膠芽腫、網膜芽細胞腫、星細胞腫、莢膜細胞腫、卵巣男性胚腫、及び肝細胞腫(hepatoma)と、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、及び急性血液悪性腫瘍を含む血液悪性腫瘍と、子宮内膜または子宮癌、子宮内膜症、子宮内膜間質肉腫、繊維肉腫、絨毛癌、唾液腺癌、外陰部癌、甲状腺癌(thyroid cancer)、食道癌、肝癌(hepatic carcinoma)、肛門癌、陰茎癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、カポジ肉腫、マスト細胞肉腫、卵巣肉腫、子宮肉腫、メラノーマ、悪性中皮腫、皮膚癌、シュワン細胞腫、乏突起神経膠腫、神経芽細胞腫、神経外胚葉性腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、ユーイング肉腫、末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍、尿路癌、甲状腺癌(thyroid carcinomas)、腎芽細胞腫、ならびに母斑症に関連した血管増殖、(脳腫瘍関連といった)浮腫、及びメイグス症候群に関連する異常血管増殖とが、含まれる。場合によっては、当該癌は、メラノーマである。処置が可能な癌性の状態には、転移性癌が含まれる。本明細書で使用される「処置」は、処置される個人または細胞の自然経過を変更しようとする臨床的介入であり、予防または臨床病理経過の間のどちらにおいて実施されてもよい。処置の望ましい効果には、病気の発生または再発の阻止、症状の緩和、何らかの直接的または非直接的な病気の病理学的結果の軽減、病気の進行率の軽減、病態の寛解または緩和、ならびに予後の寛解または好転が含まれる。いくつかの実施形態では、当該組成物は、病気または疾患発生を遅延させるために使用される。非制限例では、当該組成物は、腫瘍の成長率または癌の転移リスクを軽減するために使用されてもよい。
本明細書で使用される「処置」は、処置される個人または細胞の自然経過を変更しようとする臨床的介入であり、予防または臨床病理経過の間のどちらにおいて実施されてもよい。処置の望ましい効果には、病気の発生または再発の阻止、症状の緩和、何らかの直接的または非直接的な病気の病理学的結果の軽減、病気の進行率の軽減、病態の寛解または緩和、ならびに予後の寛解または好転が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、病気または疾患発生を遅延させるために使用される。非制限例では、当該組成物は、腫瘍の成長率または癌の転移リスクを軽減するために使用されてもよい。
本明細書で開示される組成物は、治療において単独または他の組成物と組み合わせて使用されてもよい。例えば、組成物は、化学療法の薬剤(化学療法の薬剤の混合組成物を含む)、他の細胞毒性薬、抗血管新生薬、サイトカイン、血栓剤、及び/または成長阻害剤と同時投与されてもよい。先に説明したそのような組み合わせ療法には、組み合わせ投与(同一または別々の製剤に複数の薬剤が含まれている場合)、及び別々の投与が含まれ、いずれの場合においても、当該抗体の投与は、1つまたは複数の当該補助療法の実施の前及び/または後であってもよい。
組み合わせ療法は、両方の薬剤を含む医薬組成物の単回投与での使用、または二つの異なる組成物の同時投与によって達成されてもよく、一つの組成物は当該抗体を含み、残りの組成物には、第二の薬剤が含まれる。
二つの当該治療は、どちらを先に実施してもよく、数分から数週間の間隔でもう一方の処置の先または後に実施してもよい。もう一方の薬剤が別々に適用される実施形態では、当該患者において当該薬剤が有利に組み合わせ効果を依然として発揮できるよう、1つが、一般に、それぞれの投与期間の間で長期間経過しないことを確実にすることになる。そのような例では、1つが、双方の様式をお互いに約12〜24時間以内、さらに、より好ましくは、お互いに約6〜12時間以内に実施してもよいことが企図される。場合によっては、治療期間を大幅に延長することが望ましいかもしれないが、その場合は、それぞれの治療の実施間の数日間(2、3、4、5、6または7日)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週)あける。
当該組成物は、本明細書で説明される病気または疾患のいずれかといった血管増殖に関係する病気または疾患の処置のために、放射線療法、外科療法、免疫療法(具体的には放射免疫療法)、遺伝子療法、または当業者に知られる何らかの他の治療と組み合わせて投与されてもよい。
次の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために記載される。次の実施例中で開示される技術によって、発明者によって発見された技術が、本発明の実施にあたり、よく機能するよう説明され、したがって、その実施のための好ましい形態を構成するものである考えられることを当業者においては認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を踏まえて、本開示の範囲で、開示される特定の実施例において多くの変更が可能であると共に、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、依然として同様または類似の結果を得られることを認識されるべきである。
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、開示の発明が属する分野で当業者により一般的に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書で引用される出版物及び材料は、参照により具体的に組み込まれる。
当業者は、所定の実験方法を採用するだけで、本発明の具体的な実施例と同等の多くのものを認識または明らかにすることができるであろう。そのような同等のものも特許請求の範囲により含まれることが意図される。
実施例1
材料及び方法
マウス及び細胞
C57BL/6、129、MyD88−/−、Trif−/−、P2X7R−/−、IPS−1−/−、TLR4−/−、TLR9−/−、Tmem173−/−(STING欠損)、Irf3−/−、及び2C TCR Tgマウスを使用した。C57BL6由来メラノーマ細胞株B16.F10.SIY(以後B16.SIYと記載)を使用した(Fuertes,et al.2011)。すべての細胞は、熱非働化FCSを10%含む完全DMEM培地で培養した。I型インターフェロンレポーター活性の測定のために、InvivoGenからB16−Blue(商標)IFN−α/βレポーター細胞を購入し、製造者の指示書に従い維持管理した。
2C CD8T細胞精製、CFSE染色及び養子移入
2C TCR Tg CD8T細胞は、磁気ビーズを使用して2C/RAG2−/−マウスの脾臓及びリンパ節より単離した。T細胞に2.5mMのCFSEを負荷し、WTまたは指定の遺伝子を標的とするマウスへ移植した(4×10個の細胞/マウス)。1日後、レシピエントマウスに10個のB16.SIY細胞を接種し、5日後にレシピエントマウス由来の脾細胞を、抗マウスCD8α−APC、及びビオチン標識抗2C−TCR(1B2)を使用して染色後に、CFSE希釈を評価するためにSA−PEを用いてフローサイトメトリーで分析した。
IFN−γ ELISPOT及びペンタマー染色
脾細胞を10個の細胞/ウェルでプレートに蒔き、SIYペプチド(80nM)または陽性対照としてイオノマイシン(0.5μM)を含むPMA(50ng/ml)で一晩刺激した。BDマウスIFN−γキットを使用してスポットを発生させ、スポット数をImmunospot Series 3 Analyzerを使用して測定し、ImmunoSpotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)を使用して解析した。ペンタマー染色のために、細胞は、SIYRYYGL(SIY)ペプチドに複合体化しているマウスH−2KからなるPE−MHCクラスIペンタマー(Proimmune)、抗CD8−APC(53−6.7)、抗CD19−PerCp−Cy5.5(6D5)、及び抗CD4−PerCP−Cy5.5(RM4−5)を使用して標識化した。染色した細胞は、FACScantoまたはLSRIIサイトメーターを使用して、FACSDivaソフトウェア(BD)で分析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)で実施した。
試験管内での潜在的IFN−β誘導のためのB16メラノーマ抽出物の調製
B16メラノーマ由来の抽出物を得るために、培養腫瘍細胞をスタウロスポリン(0.5μM)で4時間処理、または照射(15,000ラド)、または熱死滅のために55℃で1時間インキュベート、またはシリンジもしくは針を10回通過させる物理的死滅処理、または液体窒素及び37℃の水浴を使用して凍結/解凍サイクル処理を3回実施した。腫瘍由来のゲノムDNAを単離するために、B16腫瘍細胞をDMEMで洗浄し、DNAをBlood & Cell Culture DNA Midi Kit(Qiagen)を使用して単離した。ミトコンドリアDNAを単離するために、B10メラノーマ細胞からQproteome(商標) Mitochondria Isolationキット(Qiagen)を使用してミトコンドリアを単離し、ミトコンドリアDNAをQIAprep(登録商標)Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して単離した。DNAの濃度/純度は、NanoDrop1000(Thermo Scientific)で決定した。それぞれの細胞抽出物は、BM−DCへ添加し、37℃で18時間インキュベートし、ELISAでIFN−β量を測定した。
試験菅内でのIFN−β測定
IFN−βレポーター細胞株を、96ウェルプレートで培養し、Lipofectamine(商標)2000(0.75μl/ウェル)(Invitrogen)を含む腫瘍由来のDNA(20ng/ウェル)で18時間刺激した。骨髄由来樹状細胞(BMDC)は、骨髄細胞をrmGM−CSF(20ng/ml、BioLegend)の存在下で9日培養して生成させた後、腫瘍由来のDNA(20ng/ウェル)で7時間刺激した。インキュベーション後、上清を回収し、IFN−βをELISA(PBL Interferon Source)で、レポーター細胞株の場合は、基質(QUANTI−Blue、InvivoGen)を添加して測定した。
ウエスタンブロット及びSiRNA媒介性インターフェロン
WTまたはSTINGノックアウトBM−DCを1μg/mlの腫瘍由来のDNAで1、3または6時間刺激した。タンパク質は、プロテアーゼ阻害剤(Thermo scientific)及びホスファターゼ阻害剤(Sigma)を含むTriton−X緩衝液(150mM塩化ナトリウム、50mM Tris、1%Triton−X、pH8.0)を使用して抽出した。30μgのタンパク質を10%SDS−PAGEゲル中で電気泳動し、Immobilon−FL膜(Millipore)上へ転写した。ブロットは、リン酸化TBK1(Ser172)、リン酸化IRF3(Ser396)、全TBK1、及び全IRF3に特異的な抗体と共にインキュベートした(抗全IRF3抗体のみInvitrogenより、残りのすべての抗体はCellSignalingより入手)。抗ウサギIRDye680RD標識二次抗体をOdyssey Scan(Licor)でのバンドの可視化のために使用し、それぞれのバンドの濃度測定は、Li−corソフトウェアを使用して計算し、実施した。
STING及びIRF3用のsiRNAは、Invitrogenから購入した(Silencer(登録商標)Select siRNA)。IFN−βレポーター細胞は、96ウェルプレートでウェルあたり5×10個の細胞の密度で培養した後、マウスIRF−3(センス鎖:5’−GGAAAGAAGUGUUGCGGUUtt−3’[配列番号1])、マウスSTING(センス鎖:5’-GGAUCCGAAUGUUCAAUCAtt-3’[配列番号2])を標的とするsiRNAでLipofectamineの存在下でトランスフェクトした。siRNAトランスフェクションは、24時間実施し、インキュベーション後に全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。cDNAは、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(applied biosystems(商標))を使用して合成し、それぞれの遺伝子のノックダウンを以下の特異的プライマー/プローブを使用して定量的RT−PCRで測定した。マウスSTING(フォワード 5’−AACACCGGTCTAGGAAGCAG−3’(配列番号3)、リバース 5’−CATATTTGGAGCGGTGACCT−3’(配列番号4)及びプローブ 5’−CATCCAGC−3’)(配列番号5)、マウスIRF−3(フォワード 5’−CAAGAGGCTTGTGATGGTCA−3’(配列番号6)、リバース 5’−GCAAGTCCACGGTTTTCAGT−3’(配列番号7)及びプローブ 5’−AGGAGCTG−3’(配列番号8))。siRNAをトランスフェクトした細胞は、腫瘍由来のDNAで刺激し、IFN−β量は、先に説明したように測定した。WTマクロファージは、ウェルあたり5×10個の細胞の密度で、96ウェルプレートで培養し、マウスcGASを標的とする10nMのsiRNA(センス鎖:5’−GAUUUCUGCUCCUAAUGAAtt−3’(配列番号9)、アンチセンス鎖:3’−UUCAUUAGGAGCAGAAAUCtt−5’(配列番号10))、またはLipofectamine RNAiMAXと複合体化したスクランブルsiRNAでトランスフェクトした。siRNAトランスフェクションは、48時間実施し、全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。cDNAは、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(applied biosystems(商標))を使用して合成し、cGASのノックダウンは、特異的プライマー/プローブセット(マウスcGAS――フォワード:5’− GAA TCT TCC GGA GCA AAA TG−3’(配列番号11)、リバース:3’−GGC AGT TTT CAC ATG GTA GGA−5’ (配列番号12)及びプローブ:5’−CATCCAGC−3’(配列番号13))を使用して定量RT−PCRにより測定した。siRNAをトランスフェクトした細胞は、ウェルあたり20または200ngの腫瘍細胞由来DNAで刺激した。12時間後、上清を回収し、IFN−β量をELISA(PBL Interferon Source)で評価した。IFN−βの転写産物アッセイのために、それぞれの腫瘍細胞を、マウスへ注入し、CD45細胞をセルソーティングで回収した。Q−PCR分析は、先に説明したとおり実施した。
樹状細胞のサイトカイン及びマイクロアレイ分析
BMDCは、先に説明したとおり、WTまたはSTING−/−マウスから生成させた。腫瘍細胞由来のDNAで7時間刺激後、上清を回収し、IL−6、IL−12p40、及びTNF−αの量をELISA(eBioscience)で測定した。腫瘍由来のDNAで刺激したBMDCは溶解し、全RNAをRNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。単離したRNAは、Affymetrix GeneChip分析を実施するためにシカゴ大学のFunctional Genomics Facilityへ提出した。RNAの完全性(integrity)はAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)で評価し、RNAの濃度/純度は、NanoDrop 1000(Thermo Scientific)で決定した。マイクロアレイ分析に使用した全てのRNAサンプルは、RNA Integrity Numberは8.0より大きく、OD260/280及びOD260/230比は1.8より大きかった。アレイ(Affymetrix Mouse Genome 430 2.0_ は、Affymetrix Gene Chip Scanner 3000 7G及びCELでスキャンした。強度ファイルは、Gene Chip Operating Software v.1.4(MicroArray Suite 5.0)により得た。マイクロアレイデータの解析には、dChipソフトウェアを使用した。dChipソフトウェアを使用し、「存在せず(absent)」と点数付けされるか、またはシグナル強度が100未満の遺伝子は、最初に除いた。遺伝子発現量の倍率変化は、WTまたはSTING−/−腫瘍由来のDNAをトランスフェクトしたBMDCの遺伝子シグナル強度値を培地処理したWT BMDCのそれで除算することで計算した。
皮膚移植
皮膚移植は、以前に説明したとおり実施した(Molinero,et al.,2008)。簡潔には、ドナー側腹部の全層皮膚片(0.5〜1cm)は、レシピエントの側腹部上に調製した移植母床へ配置した。移植片の完全壊死を拒絶時点であると定義した。
IFN−βのPCR及び定量的RT−PCR分析
ヒトメラノーマ624腫瘍細胞をDRAQ5(Cell Signaling)で染色し、マウスの皮下へ接種した。一晩の後、腫瘍細胞を単離し、単一細胞懸濁液を調製した。抗マウスCD45−PE(30−F11)の後に、CD11c−Percp−Cy5.5(N418)及び抗ヒトHLA−A、B、C−AF 488(W6/32)を染色に使用した。DAPI染色により、生存細胞をゲートした後、CD45−PE及びCD11c−PerCP−Cy55陽性細胞を、シカゴ大学のFlow Cytometry Core Facilityにおいて、FACSAriaIII(BD)を使用してセルソーティングにより回収した。全DNAを、All Prep(登録商標)DNA/RNA Micro Kit(Qiagen)で単離し、DNA濃度はND−100分光光度計(Nanodrop)で測定した。PCRプライマーは、Primer−BLASTプログラム(NCBI)でデザインした。PCR反応混合液は、Maxima Hot Start PCR Master Mix(Thermo scientific)を使用して調製し、PTC−200 Peltier Thermal Cycler (MJ Research)を使用して実施した。PCR産物は、1.5%アガロースゲルで泳動させ、EtBrで可視化した。ゲル画像は、紫外トランスイルミネーター(Kodak)を使用して取得した。IFN−βのRT−PCR解析のためにB16.SIYメラノーマ細胞をマウスへ接種した(群あたり5匹のマウス)。単一細胞懸濁液は、先に説明したとおり調製し、抗マウスCD45−PE(30−F11)、抗マウスCD11b−PacBlue(M1/70)、及び抗マウスCD11c−PEcy7(N418)抗体で染色した。染色した細胞は、FACSAria III(BD)を使用してセルソーティングにより回収した。全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。cDNAはHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(applied biosystems(商標))を使用して合成した。Q−PCR反応は、TagMan Gene Expression Master Mix(A&B)及び7300 Real Time PCRシステム(A&B)を使用して実施した。
ImageStream分析
回収した細胞は、コラゲナーゼ(50単位/ml、Worthington Biochemical Corporation)と共に37℃で2時間インキュベートした。腫瘍由来細胞の単一懸濁液は、シリンジプランジャー及び細胞ストレーナーを使用して、均質化することで調製した。抗体染色の後、単一細胞画像は、ImageStreamMark II(Amnis)で取得した。収集データは、IDEAS5.0ソフトウェア(Amnis)で解析した。1回染色の対照細胞を、補正のために使用した。単一細胞はエリアとアスペクト比で、フォーカスされた細胞は、Gradient RMSの特性で細胞をゲートした。DRAQ5取り込みアッセイのために、B16メラノーマ細胞をDRAQ5(5μM)と共に15分間インキュベートした。PBSで十分洗浄した後、染色した腫瘍細胞をマウスの皮下に接種した。翌日、腫瘍の突起部を回収して、腫瘍由来の細胞を単離し、先に説明したとおり単一細胞懸濁液を調製した。細胞は、LIVE/DEAD Fixable Dead cell stain Kits(Invitrogen)、抗マウスCD45−PECy5(30−F11)、及びCD11c−PECy7(N418)で染色した後、ImageStreamMarkII(Amnis)で解析した。EDuの実験のために、B16メラノーマまたは1969肉腫細胞をEdu(10μM)と共に一夜完全DMEM培地でインキュベートした。十分洗浄した後、腫瘍細胞は、DRAQ5または、CellTracker(商標)Green CMFDA(Invitrogen)で染色し、マウスへ接種した。翌日、腫瘍隆起部を回収し、先に説明したとおり、単一細胞懸濁液を調製し、抗マウスCD45−PECy5及びCD11c−PECy7で染色した。Edu検出(Alexa Fluor 555またはAlexa Fluor 647のいずれか)は、Click−iT(登録商標)EdU Imaging Kits(Invitrogen)を使用して実施した。非標識腫瘍細胞は、同様の染色手順をとおして、陰性対照として使用した。pIRF3染色のために、腫瘍単一細胞懸濁液は、LIVE/DEAD Fixable Dead cell stain、抗マウスCD45−PECy5、CD11c−PECy7で染色し、Foxp3 Fixation/Permeabilizationキット(eBioscience)で透過処理した。Normal Mouse Serumでブロッキングした後、細胞は、pIRF3抗体(Cell Signaling、 カタログ番号4947)で染色し、その後に抗ウサギIgG−PE二次抗体(Invitrogen)で染色した。核染色のために、染色細胞は、NucBlue(商標)Fixed Cell Stain(Invitrogen)と共に5分間インキュベートした。pTBK1染色は、pTBK1特異的抗体(cell signaling、カタログ番号5483)を使用した以外は、先と同様の手順を使用した
統計解析
スチューデントt検定を統計解析に使用した。P値が0.05未満を統計的に有意であるとした。
実施例2
生体内における腫瘍に対する自発的T細胞活性化には、STING及びIRF3が必要である
発明者らは、宿主において、自然免疫センシング経路が腫瘍由来因子を検出し、I型IFN産生を誘導し、及び腫瘍抗原特異的CD8T細胞のクロスプライミングを導出する可能性のある実用モデルを追及した(Fuertes,et al.,2011、Diamond,et al.,2011)。自然抗腫瘍T細胞応答のための宿主必要要件の解明を始めるため、特定経路の遺伝子標的欠損マウスを利用した。宿主Toll様受容体(TLR)経路が自発的CD8T細胞プライミングに必要であるか確定するために、発明者らは、MyD88−/−またはTRIF−/−マウスを利用した。MyD88は、T細胞固有的に機能し得るので(Zhou,et al.,2009)、発明者らは、野生型CFSE標識2C TCR Tg T細胞(モデル抗原SIYに特異的)のWTまたはMyD88−/−マウスへの養子移入を実施し、B16.SIY腫瘍で負荷した(Zhou,et al.,2005)。MyD88−/−において、T細胞増殖及び分裂細胞の蓄積は損なわれていなかった(図1a)。同様に、TRIF−/−マウスにおいて、腫瘍由来SIYに対する内因性CD8T細胞のプライミングに変化はなかった(図1b)。これは、生体内において抗腫瘍CD8T細胞の自発的プライミングには、TLRシステムが必須ではないことを示唆している。(Stetson,et al.,2006;Ishii,et al.,2006)発明者らは、TLR4またはTLR9を特異的に欠損しているマウスにおけるCD8T細胞応答も調べたが、IFN−γ、ELISPOT(図1c、d)またはSIYペプチド/Kペンタマー染色のいずれを使用した場合でも、欠損は観察されなかった(図7)。死滅中の腫瘍細胞はATPを放出する可能性があり、放出ATPは、APC上のP2X7Rによって感知され得ることが示されたように(Ghiringhelli,et al.,2009)、自然免疫センシングメカニズムの第二の候補は、細胞外ATPを介するものである。しかしながら、発明者らは、P2X7R-/-マウスにおいて、腫瘍関連抗原に対するCD8T細胞の自発的プライミングが損なわれていないことを発見した(図1e)。発明者らは、定義されたRNAセンシング経路の役割もMAVS-/-マウスを使用して調べた。MAVS-/-マウスは、RIG−I及びMDA5依存性の自然免疫活性化のための重要なアダプター分子を欠損している。しかしながら、MAVS-/-マウスにおいてCD8T細胞プライミングの欠損は観察されなかった(図1f)。
したがって、発明者らは、I型IFN産生をもたらし得る、自然免疫センシングの残りの定義経路に注目した。それは、STING経路を介する細胞基質DNAセンシングである。最近の病原体センシングの研究により、小胞体に存在するSTINGと呼ばれるタンパク質が関わる経路が同定された。STINGは、IRF3の活性化及びIFN−βの転写をもたらす(Ishikawa,et al.,2009)。STINGは、DNA認識経路でアダプター分子として機能することが示され、最近のデータによって、これは、酵素cGASを介して代謝されたDNAから生成し得る環状ジヌクレオチドの結合を介して間接的に起きることが示されている(Wu,et al.,2013、Abe,et al.,2013、Burdette,et al.,2011)。発明者らは、STING−/−及びIRF3−/−マウスの両方を使用して、生体内において、腫瘍関連抗原に対するCD8T細胞応答が実質的に消失することを観察した(図1g、h)。これらのデータは、宿主細胞においてSTING及びIRF3が腫瘍に対する自発的なCD8T細胞のプライミング応答に必要であることを示している。
実施例3
腫瘍由来のDNAは、STING及びIRF−3依存経路によるIFN−B産生を誘導する
発明者らは、どのような調製物がDCsからIFN−βを誘導し得る可能性があるのか確定するために、B16腫瘍細胞抽出物及び様々な手法を使用して死滅させた腫瘍細胞の分画をスクリーニングする試験管内システムに注目した。物理的破壊を含む様々な方法で死滅させた腫瘍細胞、またはB16の培養に使用した培地の培養上清は、骨髄由来DCによるIFN−β産生を誘導しなかった(図2a)。細胞内のウイルス、細菌、及び熱帯熱マラリア原虫を検出でき、I型INF産生を起し得る細胞基質DNAセンシング経路を特徴づけている最近の研究に基づき(Unterholzner,et al.,2010、Takaoka,et al.,2007 Sharma,et al.,2011、Henry,et al.,2007)、発明者らは、腫瘍由来のDNAが同様にはたらくか調べた。実際、Lipofectamineと組み合わせたB16メラノーマ由来の全DNAは、DCによるINF−β産生を誘発した(図2a)。Lipofectamineの添加が必要であったことは、DNAが細胞基質へ入る必要があったことを示している。腫瘍由来のDNAの調製物をDNAse Iで処理すると、この刺激効果が消失したことは、この調製物中のDNAが機能本体であるという主張を支持している(データは示されていない)。対照的に、腫瘍由来のRNAは、最小限度の刺激性であった(データは示されていない)。不死化マクロファージ細胞においても、Lipofectamineと組み合わせた腫瘍由来のDNAは、IFN−βの生産を誘導した(図8)。腫瘍由来のDNAに加えて、脾細胞から単離された正常細胞由来のDNAも試験管内において、Lipofectamineと組み合わせたときにマウスのBMDCにおいて、IFN−βの産生を誘導(図9)したことは、形質転換細胞由来のDNAには、その刺激性を増強するような特有の性質は無いようであることを示している。むしろ、生体内で癌が確立されていく上で、宿主APCへのDNAの移行を有利にする腫瘍細胞の状況に特徴がいくつか存在するに違いない。
STING経路の活性化を評価するために、発明者らは、WTまたはSTING-/-マウスの骨髄由来DCを腫瘍由来のDNAで刺激した後、TBK1及びIRF−3のリン酸化を評価するために、ウエスタンブロット分析を実施した。発明者らは、実際に、WTマウス由来のDCにおいてTBK1及びIRF3のリン酸化が増加することを観察した。このことは、STING−/−マウス由来のDCでは見られなかったことである。それぞれのタンパク質量は、負荷対照であるGAPDHで正規化し、全タンパク質量に対するリン酸化の比率を定量した(pTBK1/TBK1:WT(2.076)対STING−/−(0.705)、pIRF3/IRF3:WT(0.308)対STING−/−(0.009)、p<0.051、p<0.0001)(図2b)。LPS刺激時のTBK1及びIRF3のリン酸化は、STING−/−のDCで保たれていたが(図10)、このTBK1及びIRF3のリン酸化量は、発明者らがLPS刺激で観察したものと同等であった。並行して、発明者らは、NFκB経路の活性化の指標として、DNA刺激後にIKKβ及びIκBαのリン酸化を測定した。しかしながら、LPS刺激と比較して、観察されたIKKβ及びIKBαのリン酸化誘導は、最小限度にすぎず(図11)、これは、NFκB経路の活性化は、腫瘍由来のDNAによって誘導されるAPC活性化経路の主要な構成要素ではないことを示している。
STING経路が腫瘍由来のDNAによるDCの活性化に必要であるかを確認するために、発明者らは、WT、STING−/−、またはIRF3−/−マウスの骨髄由来DCをB16由来DNAで刺激し、IFN−βの産生を測定した。実際、IFN−β産生は、STING−/−またはIRF3−/− DCにおいて著しく鈍った(図2c、d)。確認手法として、発明者らは、IFN−β誘導性のISG54プロモーターにより促進されるSecreted Embryonic Alkaline Phosphatase(SEAP)酵素を発現しているレポーター細胞株を利用した。この系において、STINGまたはIRF3に特異的なsiRNAは、腫瘍由来のDNAによる刺激後のIFN−β誘導性ISG54プロモーター活性の大幅な阻害をもたらした(図2e、f)。これらのデータは、腫瘍由来のDNAが、試験管内でAPCへ取り込まれた際、STING及びIRF3に依存するメカニズムを介してIFN−βの産生を誘導し得ることを示している。
最近のデータは、STINGの最終的な直接のリガンドは、環状ジヌクレオチドであることを示しており、環状ジヌクレオチドは、DNAが、酵素であるcGASによる代謝を受けることにより生成する(Wu,et al.,2013、Sun,et al.,2013)。腫瘍由来のDNAによるSTING経路の活性化もこのメカニズムを介して起きているのかを評価するために、発明者らは、試験管内でのマクロファージにおけるcGASのsiRNAによるノックダウンを利用した。実際、cGASレベルが減少した際、腫瘍DNA刺激応答のIFN−βの産生は顕著に減少することが観察された(図12)。このことは、APCの細胞基質へ取り込まれた腫瘍DNAがSTING経路をcGAS依存的に活性化したことを示している。
実施例4
STING−/−マウスは、腫瘍の制御が損なわれており、T細胞の増殖を維持できないことを示す
腫瘍の成長制御での宿主STING経路の効果を確定するために、発明者らは、いくつかのモデルシステムを利用した。第一に、B16メラノーマは、免疫欠損RAG−/−マウスと比べて免疫能力のあるC57BL/6マウスにおいてより遅く成長した。このことは、部分的な腫瘍制御を媒介する宿主免疫に適度な効果が存在することを示す。したがって、発明者らは、同系の野生型、STING−/−、及びIRF3−/−マウスにおける腫瘍の成長率を測定した。予測どおり、腫瘍の成長は、STING−/−、及びIRF3−/−マウスにおいてより急速であった。対照的に、Trif−/−マウスにおいては腫瘍の成長は変化しておらず、抗腫瘍T細胞の自発的なプライミングにおいてTLR経路が明確な必要性を欠いていることと一致している(図13)。発明者らは、免疫原性腫瘍が正常かつ自発的に完全拒絶される条件も探索した。1つの手法として、腫瘍特異的抗原に加え、僅かな組織適合性抗原の違いによっても腫瘍拒絶が可能でありそうな、129遺伝子バックグラウンドのWTまたはSTING−/−マウスへB16.SIY腫瘍を移植した。WTマウスにおける拒絶とは対照的に、宿主STINGが欠損している場合、腫瘍は進行的に成長した(図3a)。この系においてSIYペプチド特異的CD8T細胞応答もSTING−/−マウスにおいて有意に減少した(図3b)。完全に同系の系を利用するために、発明者らは、1969と呼ばれる免疫原性腫瘍を利用した。この腫瘍は、C57BL/6バックグラウンドの免疫欠損マウスをメチルコラントレンで処理することによって誘発された腫瘍である。この腫瘍も野生型マウスで拒絶されたが、STING−/−マウスでは拒絶されなかった(図3c)。まとめると、これらのデータは、内因性T細胞プライミングのような、免疫媒介性の腫瘍制御には、宿主のSTING経路が必要であることを示している。
発明者らは、STING−/−マウスが、もっぱら細胞基質DNAセンシングでの影響を介することに基づく、予想されるより、さらに包括的な免疫欠損を示す可能性を懸念した。このために、発明者らは、組織適合性抗原の僅かな違いにおける皮膚移植片拒絶を調べた。皮膚を、雄性マウスSTING−/−ドナーから雌性マウスSTING−/−レシピエントへ移植したところ、拒絶率は、野生型ドナー及びレシピエントの組み合わせでみられたものと同等であった(図14)。これらのデータは、組織に基づくすべてのT細胞の拒絶過程がSTING−/−マウスで欠損しているわけではないことを示し、腫瘍細胞の状況が、宿主T細胞プライミングをSTING経路依存にするという、特有の性質を有していることを立証する。
生体内において、宿主STINGのどんな欠損によるメカニズムが抗腫瘍T細胞応答の障害をもたらすのかをより詳細に評価するために、発明者らは、CFSE−標識2C TCR Tg T細胞をWT及びSTING−/−マウスへ養子性に移植し、B16.SIY負荷の後、CFSE希釈によってT細胞の増殖を測定した。興味深いことに、脾臓及びリンパ節で、両レシピエントにおいて同様の数の細胞分裂が観察されたが、CFSE希釈2C細胞は、STING−/−マウスにおいて蓄積しなかった(図3d)。これは、非生産的なT細胞活性化をもたらす不十分なT細胞同時刺激の他の障害モデルでみられたパターンであり、STING経路は、IFN−β産生だけでなく、さらに他のT細胞同時刺激因子の発現にも必要である可能性を示している(Abe,et al.,2013、Hoebe,et al.,2003)。DNAの潜在的な幅広いDC活性特性を評価するために、DCを、WTまたはSTING−/−マウスから生成させ、腫瘍由来のDNAで刺激し、遺伝子発現プロファイリングを実施した。実際、腫瘍由来のDNAは、サイトカイン(例えば、IL−12)、ケモカイン(例えば、CXCL9)、及び同時刺激分子(例えば、CD40、図4a)を含むT細胞活性化のための複数の重要な補助因子をコードする広範囲の遺伝子の発現を誘導した。これらは、WTにおいて誘導されたが、STING−/−DCでは誘導されなかった。ELISAにより腫瘍DNAによるIL−6、TNF−α、及びIL−12のSTING依存的誘導が確認された(図4b〜d)。これらの因子のDNAによる誘導は、MyD88及びTrifノックアウトマウスの骨髄由来DCにおいて変化がなかった。このことは、このDC活性化のメカニズムが、TLRに依存しないことを示している(データは示されていない)。発明者らは、これらの遺伝子のいくつかの誘導は、STING経路を介して直接的に誘導されるのではなく、むしろ分泌される誘導されたI型IFNに応答して誘導される可能性があると考えた。
実施例5
腫瘍由来DNAは、生体内で宿主APCへ移行する
DNAが、生体内においてSTING経路の関与を開始する関連のある腫瘍由来材料であるのであれば、腫瘍の微小環境で宿主APC内において腫瘍由来のDNAを検出することが可能なはずである。この可能性を3つの相補的な手法を使用して調べた。第一の手法として、発明者らは、DNAにインターカレートするDRAQ5色素を使用して試験管内で腫瘍細胞を染色し、その後、その腫瘍細胞を生体内に移植した。細胞分裂の結果、当該色素が希釈されることを回避するために、発明者らは腫瘍注入から1日後に宿主の炎症性細胞を分析した。早期腫瘍隆起部を回収し、崩壊させ単一細胞懸濁液とした後、サイトメトリーで分析した。融合ヘテロカリオンまたは細胞凝集物ではなく、宿主骨髄性細胞に焦点をあてた分析を確実にするために、Amnis ImageStream装置を使用した単一細胞分析を利用した。宿主DCは、CD11c及びCD45の染色に基づき分析した。実際、拡散性染色パターンにおいてCD45CD11c細胞の約60%が腫瘍由来のDRAQ5による染色で陽性を示した(図5a)。同一の単一細胞懸濁液において、腫瘍細胞は、CD45及びCD11c染色には陰性であったが、DRAQ5には陽性であった。このDRAQ5染色は、正常脾細胞においてはみられず、腫瘍注入マウスから得られた脾細胞の小集団のみで観察された(図5a)。試験管内でのトランスウェルシステムを使用し、発明者らは、DRAQ5の移行が膜で区切られた非標識細胞において検出されないことを発見した。このことは、DCでの検出は、腫瘍細胞からDRAQ5色素が漏出した結果ではないことを立証するものであった(データは示されていない)。
第二の手法として、発明者らは、マウスへの注入前にヌクレオチドアナログであるEdUで腫瘍細胞を標識し、EdU染色の単一細胞分析のためにImageStreamを利用した。非標識腫瘍細胞を陰性対照として使用した。DRAQ5と同様に、発明者は、腫瘍浸潤CD45CD11c細胞の大集団がEdUで染色されることを観察した(図5b)。発明者らは、1969腫瘍細胞系を使用して、腫瘍由来DNAが宿主APCへ移行することを観察した。このことは、この現象はB16メラノーマ特有ではないことを立証している(図15)。DRAQ5染色と比較し、宿主APCにおけるEdU陽性細胞の割合は、DRAQ5陽性細胞のそれより一貫して低かった。この違いは、このストラテジーでは、腫瘍DNAの1つのサブセットのみがEdUを取り込むからかもしれない。
第三の手法として、発明者らは、宿主DCに腫瘍由来のDNAが存在するかを調べるために、種特異的PCRが利用可能なヒト異種移植片モデルを利用した。この手法により、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAのどちらが優位に検出されたかを評価可能であった。ヒトメラノーマ細胞株624を皮下に移植し、フローサイトメトリーソーティングの1日後に腫瘍浸潤CD45細胞を単離した。高純度を確実にするため、ヒトHLA細胞に対して陰性ソーティング、マウスCD45及びCD11cを発現している細胞に対して陽性ソーティングを実施した。10,000のソートされた細胞の再分析から、検出可能なヒトメラノーマ細胞は無かったことが明らかになった(データは示されていない)。ヒトミトコンドリアDNA(ATPシンターゼ6)及びゲノムDNA(TMEM173)に特異的なプライマー、同様に対照としてマウスの配列に特異的なプライマー(ifi204及びATPシンターゼ6)も使用して、PCRを実施した。この方法を使用し、発明者らは、ソートしたマウスAPCにおいてヒトミトコンドリアDNA配列を実際に検出した(図5c)。しかしながら、この手法を使用して、ゲノムDNAは検出されなかった。発明者らは、同様に、こうした高度に精製した宿主APCにおいて、2つの他のヒトゲノムDNA配列(AIM2及びATG14、図16)の存在をPCRで検出できなかった。10,000の宿主APC中に混入した1つの腫瘍細胞が検出されるという、万が一の可能性のため、発明者らは、ソートしたAPCの希釈をPCRのウェルあたり10細胞にまで絞ることで、このアッセイをより厳密なものとした。この手法を使用しても、ミトコンドリアDNAがすべてのサンプルで検出された(図5d)。このことは、それが宿主APC内に実際に存在しており、ヒトの腫瘍細胞の混入によるものではないことを立証している。一方、ゲノムDNAは検出されなかったが、発明者らは、その移行を完全に否定できない。なぜなら、宿主APCにおいて、部分分解が起きる可能性があるからである。ミトコンドリアDNAが、それ自体でI型IFN産生を誘導可能かどうか評価するために、発明者らは、B16メラノーマ細胞からミトコンドリア及びゲノムDNAを別々に精製し、THP−1 ISGレポーター細胞及びBMDCに導入したときにそれらの両方がI型インターフェロン産生を刺激することを発見した(図17)。総合すると、これらのデータは、腫瘍由来のDNAは、少なくともミトコンドリア源由来のものは、生体内における腫瘍移植後早期に、宿主APCにおいて検出可能であり、STING経路の活性化に十分であろうということを示している。
実施例6
腫瘍浸潤宿主APC細胞は、生体内において、STING依存的メカニズムを介してIFN−βを産生する
宿主DCへのDNA移行は、生体内において迅速に起きるようであるので、発明者らは、こうした宿主APCが同じ時間枠内でSTING経路を活性化し、IFN−βを産生し得るか調査した。このために、B16メラノーマ細胞を皮下に移植し、1日後に腫瘍浸潤CD45細胞のリン酸−IRF3誘導をImageStreamで分析した。図6aに示すように、これは、早期時点に合わせたスナップショットであるにもかかわらず、約10%の腫瘍浸潤CD45細胞が、核へ転座したと思われるpIRF3染色を示した。対照として、同一の単一細胞懸濁液において、腫瘍細胞は、CD45、CD11c、及びpIRF3染色が陰性であった。脾臓のCD45細胞もpIRF3の最小限の染色を示した(図6a)。並行して、上流のキナーゼTBK1の活性化もリン酸化の状態により同様に評価した。pIRF3と類似して、腫瘍微小環境由来のCD11c細胞のサブセットにおいてpTBK1が生体外で検出された(図18)。発明者らは、もしかすると、調べている早期時点は、触知可能な腫瘍における安定した腫瘍微小環境の状況を反映していないのではないかと懸念した。したがって、発明者らは、7日間確立されたB16メラノーマにおいて、CD11c細胞のpIRF3染色を調べた。早期時点と類似して、CD11c細胞のpIRF3染色が、こうしたより大きく確立された腫瘍においても観察された(図19)。
IFN−βが早期腫瘍浸潤APCにより産生されるかどうか評価するために、発明者らは、B16.SIYメラノーマの注入後にフローサイトメトリーでのソーティングにより、腫瘍浸潤CD45細胞をWTまたはSTING−/−マウスから単離し、qRT−PCRを実施した。WTマウス由来のCD45細胞においては、IFN−β転写の有意な誘導が観察されたが、STING−/−マウス由来のものにおいては、確認されなかった(図6b)。IFN−βを産生した亜集団をフローサイトメトリーでのソーティングによってさらに追及して調べたところ、CD11cのみが陽性またはCD11c/CD11bの両方が陽性の細胞は、IFN−β産生の主要源であるようだったが、一方、CD11bのみ陽性の細胞は、主要な産生者ではなかった(図6c)。これらのデータを合わせると、腫瘍の自然免疫センシングは、TBK1及びIRF3のリン酸化を誘導することができ、生体内において、腫瘍微小環境で宿主DCによるSTING依存経路を介したIFN−βの産生をもたらすことが示されている。
実施例7
DMXAAは、核周辺部位でのSTING凝集を促進する
この第一の実験では、発明者らは、STINGの活性化について研究するため、単一細胞の分析が可能になる、ImageStream、サイトメーター、及び顕微鏡を使用した。発明者らは、核外の分散パターンを確認した。DMXAA添加後わずか15分後に、STINGは各周辺部位で凝集した。発明者らは、ImageStreamのソフトウェアを使用してSTINGの活性化を定量することができ、約70%の細胞がこうした凝集を示すのにわずか15分しか要しなかった。
DMXAAは、STING経路を活性化し、I型IFN産生を引き起こす
発明者らは、TBK1及びIRF3のリン酸化ならびにWT及びSTINGマクロファージにおけるIFN−βの産生を評価することにより、STING凝集経路の下流も調べた。発明者らは、WT細胞においてTBK1及びIRF3の迅速かつ強力なリン酸化を観察したが、STING欠損細胞では観察しなかった。これは、WTマクロファージのみにおいて、IFN−βの高産生をもたらすということである。産生されたIFN−β量は、環状ジヌクレオチドでの刺激後の産生量と同等であり、DNA刺激により産生された量より多かった。WTまたはSTINGノックアウトマウス由来のBM−DCを使用して、発明者らは、当該経路の同様の強力な活性化及びIFN−βの高産生を観察した。図20参照。
DMXAAによるBM−DCにおけるサイトカインの誘導はSTING依存である
WT APCにより、DMXAA添加後にSTING経路が強く活性化されることが示されたので、発明者らは、こうした細胞が活性化されたかどうか確認が必要であると考えた。IFN−β以外に、BM−DCは、TNFa、IL6、IL1、IL10、及びIL12といった他のサイトカインもSTING依存的にアップレギュレートした。図21参照。
DMXAAによるBM−DCでの同時刺激リガンドの誘導は、STING依存である
さらに、WT DCは、CD40及びC86といった活性化マーカーもSTING依存的にアップレギュレートした。STING欠損細胞は機能性を示すために、LPSで刺激した。この場合、WT細胞との違いはなかった。図22参照。
腫瘍内DMXAAは、WTマウスにおけるB16.SIY腫瘍の拒絶を引き起こす
DMXAAがメラノーマのマウスモデルにおいて、強力な免疫応答を起こすかどうか確定するために、発明者らは、SIYペプチドを過剰発現しているB16メラノーマ細胞株をB6マウスの側腹部へ注入した。1週間後、腫瘍が体積で約100〜200mmであるときに、発明者らは、これらのマウスにDMXAAまたは生理食塩水を腫瘍内への単回投与処置をし、腫瘍の成長を測定した。DMXAA処置されたマウスの大部分(80〜90%)が腫瘍を拒絶した。図23参照。同様の結果がヒト分子を使用した試験においても得られた。
DMXAAは、腫瘍発現SIY抗原に対する強力なCD8T細胞応答を引き起こす
発明者らは、DMXAA注入後1週間にSIY抗原に対する特異的応答も測定した。SIY刺激でIFN−gを産生する特異的T細胞の数をIFN−g ElISPOTを使用して測定し、DMXAA処置された動物において10倍の増加が観察された。さらに、SIYのペンタマー染色を使用して、発明者らは、DMXAA処置した動物の脾臓及び腫瘍内において、CD8+SIY特異的T細胞の量が増加していることを観察した。図24参照。
DMXAAは、二回目の腫瘍再負荷に対して動物を保護する
腫瘍を拒絶したDMXAA群のすべての動物の内、その大部分が、同様の腫瘍細胞株で再負荷された場合、全く腫瘍を形成しなかった。このことは、それらが、免疫記憶を生成していたことを暗示している。図25参照。
STING−/−及びRAG−/−マウスでのDMXAAによる腫瘍成長制御の欠如
最終的に、発明者らは、STINGノックアウトまたはRAGノックアウト動物でDMXAAがいくらか効果を有しているかどうか問うた。発明者らが予想したとおり、DMXAAはSTING欠損動物において全く効果を有さず、DMXAAは、RAGノックアウトマウスでは部分的効果を有していた。これは、DMXAAの治療効果において、T細胞活性化以外の別のメカニズムが関係していることを示している。図26参照。
DMXAAは、WTマウスにおいてB16.SIY腫瘍の拒絶を引き起こす
図27参照。
DMXAAは、SIY抗原に対する強力な免疫応答を引き起こす
DMXAA注入の1週間後に、発明者らは、IFN−g ELISPOTにより、及び脾臓及び腫瘍内のCD8 SIY陽性細胞の評価により、SIYに対する内因性T細胞応答を測定した。T細胞応答は、DMXAA処置した動物において高度に増加した。図28参照。
実施例8
マウス腫瘍モデルにおいて癌免疫治療ストラテジーとしてAduroから環状ジヌクレオチドを研究するための簡単な提唱
動物腫瘍モデル及び生体内注入
8〜10週齢のB6WTマウス(Jacksonより)の右側腹部皮下に1×10個のB16.SIY.dsRed細胞を含む100μLのPBSを注入する。注入の1週間後、腫瘍をノギスで測定し、式[長さ×(幅)2]/2を使用し、体積を計算する。腫瘍のサイズが約100〜200mmであるときに、7.5%の炭酸水素ナトリウムで再懸濁したDMXAAを、体重gあたり25マイクログラムで、マウスの腫瘍内へ単回投与処置する。対照動物には、7.5%の炭酸水素ナトリウム(生理食塩水)を単回注入処置する。比較として、Aduroから環状ジヌクレオチド化合物がマウスの平行セットにおける腫瘍へ注入されることになるであろう。腫瘍の体積は、先に説明したように当該式を使用して週に2回測定される。
DMXAA腫瘍内注入のためのDMXAAストックの調製
DMXAA(Vadimezan)は、Selleckchemから粉末形態で購入する。届いてから、DMXAAは、7.5%の炭酸水素ナトリウムで再懸濁し、最終濃度を6.25mg/mlとし、−20℃で遮光して保存する。
SIY抗原に対する免疫応答の測定
DMXAAまたは生理食塩水でマウスを処置し7日後に、動物をCO2で屠殺し、脾細胞によるIFN−γの産生を分析するために、脾臓を摘出する。BDより入手したマウスIFN−γ酵素免疫スポットアッセイ(ELISPOT)を製造者のプロトコルに沿って使用する。簡潔には、10個の細胞/ウェルで脾細胞を播き、陽性対照としてSIYペプチド(160nM)、PMA(50ng/ml)、及びイオノマイシン(0.5μM)、または陰性対照として培地(10%熱非働化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−アルギニン、L−グルタミン、葉酸、及びL−アスパラギンを含むDMEM)で一晩刺激する。IFN−γのスポットは、ビオチン化抗体及びアビジン−ペルオキシダーゼを使用して検出し、AEC基質(BD Bioscience)を使用して形成する。プレートは、Immunospot Series 3 Analyzerで読み、ImmunoSpotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)で解析する。
脾細胞及び腫瘍浸潤物のテトラマー染色
DMXAAまたは環状ジヌクレオチドでマウスを処置し、7日後に、脾細胞及び腫瘍浸潤物をSIY/Kbペンタマー染色により検出したSIY特異的CD8+T細胞を分析する。5×10個の細胞/サンプルを、SIYRYYGL(SIY)ペプチドまたは陰性対照としてSIINFEKL(OVA)ペプチドと複合体化しているマウスH−2KbからなるPE−MHCクラスIテトラマー(Beckman CoulterまたはProimmune)、抗体TCRβ−AF700(クローンH57−597)、抗体CD8−PO(クローン5H10)、抗CD4−PB(クローンRM4−5)、抗CD62L−PE_Cy7(クローンMEL−14)、抗CD44−APC(クローンIM7)ならびにFixable Viability dye eFluor780(eBioScience)で標識する。FACSCantoまたはLSR IIサイトメーターを使用してFACSDivaソフトウェア(BD)でFACS分析を実施する。データ分析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して実施する。
実施例9
腫瘍微小環境におけるSTINGの直接活性化は、強力かつ全身性の腫瘍退縮と免疫をもたらす。
結果
DMXAAは、試験管内にてSTING経路を刺激する
発明者らは、第一にDMXAAがSTING経路の機能性アゴニストであるかどうか、試験管内でマウスのマクロファージを使用して評価した。STING凝集は、mSTING−HAを発現しているSTING−/−マクロファージを使用して評価した。対照マクロファージは、細胞基質において、STINGの散在性パターンを示したが、DMXAAと共に1時間インキュベートした後は、約60%の細胞が、核周辺部位においてSTINGの凝集を示した(図29a)。TBK1及びIRF3の下流リン酸化が観察され、これはSTING−/−細胞においては消失していた(図29b)(Conlon,et al.,2013)。これは、STINGの見かけの分子量の増加と相関しており、そのリン酸化によるものであると報告されている(Konno,et al.,2013)。mSTING−HAで再構築されたSTING−/−マクロファージでは、TBK1及びIRF3のリン酸化が回復していることが示された。DMXAAに応答して、野生型(WT)からIFN−β分泌が検出されたが、STING−/−マクロファージからは検出されなかった(図29c)。骨髄由来DC(BM−DC)において、WT対STING−/−マウスで同様の結果が観察された(図29d〜e)。発明者らは、こうした細胞を様々なサイトカインの発現を調べるためにも使用した。DMXAAによる刺激後、IFN−β、TNF−α、IL−1β、IL−6及びIL12p35がWT細胞では誘導されたが、STING−/−BM−DCでは誘導されなかった(図29f)。発明者らは、DMXAAまたはLPSで刺激したBM−DCにおける同時刺激分子の誘導も比較した。LPSは、WT及びSTING欠損DCの両方でCD40、CD86、及びMHCクラスIIを誘導した一方、DMXAAによる誘導は、WT細胞のみで観察された(図29g)。まとめると、これらのデータは、DMXAAは、mSTINGの強力なアゴニストであり、IFN−β及び他の先天性サイトカインの産生とDCの活性化をもたらすことを示している。
DMXAAは、生体内において強力な抗腫瘍免疫を誘導する
STINGの刺激が生体内において抗腫瘍免疫を増強するか評価するために、発明者らは、腫瘍抗原を取り込んでいるAPCに活性化を集中させるため、投与において腫瘍内(IT)経路を選択した。抗原特異的免疫応答を評価するために、発明者は、モデル抗原であるSIYRYYGLを発現するよう形質導入されたB16メラノーマ細胞株を利用した(B16.SIY)(Blank,et al.,2004)。B16.SIY腫瘍細胞をマウスの側腹部へ接種し、7日目にDMXAAをIT注入した。150〜625μgの範囲の1回用量を調べたのち、DMXAAの500μg用量を選択した。最も高用量である625μgでは、容認不可能な毒性を示している(図35)。選択された用量によって、すべての動物で強力な腫瘍退縮及び大部分のマウスで完全な腫瘍の拒絶が誘導された(図30a)。処置後5日の脾細胞の分析により、SIY特異的IFN−γ生産T細胞頻度の顕著な増加(図30b)、及びSIY/Kペンタマー染色によって検出されたSIY特異的CD8T細胞頻度の増加が示された(図30c)。
免疫記憶が誘導されたかを確定するために、B16.SIYを拒絶したマウスに最初の接種から60日後に同一の腫瘍細胞を再負荷した。再負荷した動物のいずれも腫瘍を生成しなかった(図30d)。次に発明者らは、DMXAA投与後に誘導された抗腫瘍免疫応答が、非注入による第二の腫瘍を拒絶するのに十分強力であり得るかを調べた。B16.SIY細胞をマウスの両側腹部へ注入したが、片側の腫瘍のみDMXAAで処置した。腫瘍の退縮が両部位で観察された(図30e)。このことは、DMXAAのIT投与は、離れた腫瘍にも治療効果を有し得ることを示している。この効果は、当該薬剤が全身に広がったことによる二次的なものではなさそうだ。なぜなら、DMXAAを腹腔内(IP)投与で意図的に全身投与した際は、治療効果は低かったためである(データは示されていない)。
DMXAAのIT投与によりもたらされる強力な抗腫瘍活性が幅広く適用できるかどうかを評価するために、発明者らは、さらに同系の腫瘍モデルを試験した。DMXAAでの処置は、C57BL/6マウスにけるB16.F10(SIYの発現無し)及びTRAMP−C2腫瘍、BALB/cマウスにおける4T−1腫瘍、ならびにC3HマウスにおけるAg104L腫瘍の成長を有意に減少させた。このことは、DMXAAの治療効果が、特定の腫瘍組織学またはマウスの遺伝的背景に制限されないことを示している(図36)。
生体内におけるDMXAAの作用メカニズム
DMXAAの治療効果がSTING依存であるかどうかを試験するために、B16.SIY腫瘍を有するSTING−/−マウスを使用した。宿主STINGが欠損している場合、DMXAAに応答して腫瘍成長は低下しないことが観察され(図31a)、SIY特異的T細胞の頻度は顕著に減少した(図31b、c)。適応免疫応答が腫瘍制御に必要であるかどうかを確定するために、B16.SIY細胞を、成熟T及びB細胞を欠いているRAG2−/−マウスへ接種した。腫瘍の部分的な制御は存在していたものの、DMXAA処置による治療効果の大部分は、RAG2−/−宿主において失われた(図31d)。同様の治療効果の消失が、TCRα−/−(図31e)及びCD8T細胞を欠乏させたマウス(図31f及び図37)で観察された。これらの結果は、DMXAAの治療効果の主要な構成要素がCD8T細胞によって媒介されていることを示している。
新規合成ヒトSTING活性化分子の同定
STING経路が、有意な治療効果につながる腫瘍抗原特異的CD8細胞プライミングを促進するために利用されている可能性が示されたので、発明者らは、hSTINGを強力に活性化し得る化合物の同定を目指し、したがって、臨床への応用を目指した。環状ジヌクレオチド(CDN)は、運動性及びバイオフィルムの形成を含む多様なプロセスを制御するバクテリアによって合成される小分子セカンドメッセンジャーとして研究されてきた。組み換えタンパク質抗原の免疫原性は、CDNをアジュバントして使用することで増大させることができ、CDNに対しワクチン開発への潜在的な応用を与えている。発明者らは、すべての既知の多型STING分子をはたかせる能力に加えて、ヒトの細胞において活性の上昇を伴う新規の合成CDN化合物の開発を目指した。hSTINGの対立遺伝子/CDN依存性シグナリングの関連性を説明している最近の結果と共に、CDN−STING結晶構造が利用可能であったので、活性上昇を伴うCDN化合物をデザインするための構造を基盤とした研究は容易であった。発明者らは、プリンヌクレオチド塩基、リン酸架橋結合構造、及びリン酸架橋部の非架橋酸素原子の硫黄原子による置換という、これらにおける変更を実施した化合物を合成した。天然のCDN分子は、宿主細胞または全身性の循環に存在するホスホジエステラーゼによる分解に感受性を有する。発明者らは、R,R(R,S)ジチオ置換ジアステレオマーまたは非改変CDNと比較し、R,R(R,R)ジチオ置換ジアステレオマーCDNがヘビ毒のホスホジエステラーゼでの消化に抵抗性を有すると共に、ヒトTHP−1細胞においてIFN−βの高発現を誘導することを発見した。
STINGに対するそれらの親和性を増加させるため、cGASにより産生される内因性ヒトCDNにみられるように、「混合結合(mixed linkage)」(ML)と名付けた2’−5’及び3’−5’結合の両方を有するリン酸架橋配置でもCDNを合成した。文献の調製法の改変によるジチオ混合結合CDNの合成で、R,R及びR,Sジチオジアステレオマーを得て、シリカゲル及びC18逆相分取HPLCクロマトグラフィーの組みあわせにより精製、分離し、図38A、上パネルにML RR−S2 CDAで示されるように、95%以上の純度でCDNを得た。H NMR(データは示されていない)及び31P NMR(図38Aのy軸、下パネル)の両スペクトルは、ML RR−S2 CDAと一致していた。ホスホジエステル結合の位置化学の直接的な証拠は、H−31P HMBC(異核多結合相関分光法)二次元NMR(図38A、下パネル)と組み合わせたH−H COSY(図38A(下パネル)のx軸に示されるリボースプロトンの帰属のための相関分光法)によって得られた。ML RR−S2 CDAの三次元X線結晶構造により、2’−5’及び3’−5’結合ホスホジエステル結合及びジチオ[R,R]ジアステレオマー配置の存在を確認した(図38B)。
新規合成CDNは、すべての既知のヒトSTING対立遺伝子を活性化する
hSTING遺伝子における単一ヌクレオチド多型は、細菌由来の標準CDNに対する応答性に影響を与えることが示されている(Diner,et al.,2013、Gao,et al.,2013)。hSTINGの5つのハプロタイプが同定されており(WT、REF、HAQ、AQ及びQ対立遺伝子)、アミノ酸位置71、230、232、及び293で変異している(図32A、左)(Jin,et al.,2011、Yi,et al.,2013)。当該5つのhSTING変異体の合成CDNに対する応答性を試験するために、発明者らは、全長hSTING変異体のそれぞれを発現している安定HEK293T細胞株を作成した(内因性STING欠損)。同様のレベルのSTINGタンパク質がそれぞれの細胞株で発現された(図32A、右)。予想どおり、DMXAAは、mSTINGを強力に活性化したが、5つのhSTING対立遺伝子のいずれも活性化しなかった(図32B)。hSTINGREFを発現している細胞は、細菌のCDN化合物cGAMP、CDA、及びCDGによる刺激への応答は不十分であったが、内因的に生成されたcGAS産物であるML−cGAMPには、応答性であった(Diner,et al.,2013)(図32C)。興味深いことに、hSTING対立遺伝子も細菌のCDNに応答しなかった。mSTINGを発現している細胞は、試験したCDNのすべてに応答した。空のベクターを形質導入された細胞、または非機能性変異体(I199N)STINGタンパク質(Goldenticket)(Sauer,et al.,2011)を発現している細胞は、いずれの化合物にも応答しなかった(データは示されていない)。対照的に、天然のリガンドであるML−cGAMP、及びジチオ混合結合CDN誘導体(ML RR−CDA、ML RR−S2 CDG、及びML RR−S2 cGAMP)は、不応性のhSTINGREF及びhSTING対立遺伝子を含めて、5つすべてのhSTING対立遺伝子を強力に活性化した(図32C)。
CDN誘導体は、マウス及びヒト免疫細胞においてSTING依存シグナリングを強力に誘導する
CDNが下流のSTINGシグナリングを活性化するかを確定するために、発明者らは、IFN−β及びその他のサイトカインの誘導をWT C57BL/6及びSTING−/−(Goldenticket)マウスから単離したマウス骨髄マクロファージ(BMM)で評価した。内因性ML−cGAMPならびにTLR3及びTLR4アゴニストであるポリI:C及びLPS(それぞれ)と比較して、合成ジチオ混合結合CDN(ML RR−S2 CDA及びML RR−S2 CDG)は、モル当量相当で最も高い炎症促進性サイトカインの発現を誘導した(図32D)。当該改変CDNは、STING−/−BMMでのシグナリングを誘導しなかったが、一方で、予想どおり、TLRアゴニストは依然として活性を有していた。TNF−α、IL−6、及びMCP−1の誘導を測定したときに同様の結果が示された(図39)。プライマリーヒト細胞におけるSTINGシグナリングの活性化を調べるために、発明者らは、異なるSTING対立遺伝子を有するヒトドナー団由来のPBMCを刺激し、IFN−βの誘導を測定した。DMXAAとは対照的に、ジチオ改変混合結合CDNは、複数のヒトドナーにわたって、IFN−β発現を誘導した(図32E)。ML RR−S2 CDAは、マウスBMMにおいてSTINGの凝集を誘導し、TBK1及びIRF3のリン酸化も誘導することが明らかとなった(図40A〜40B)。試験した改変CDNのすべてがMHCクラスI及び同時刺激マーカーの発現をSTING依存的に増強した(図40C)。したがって、ML RR−S2 CDNは、ヒトSTING経路の活性化できる、実行可能な臨床上の候補である。
合成CDN誘導体の腫瘍内送達は、確立されたB16メラノーマにおいて、顕著な抗腫瘍効果をもたらす
改変ジチオML CDN化合物が抗腫瘍活性も有しているか評価するために、確立されたB16.F10腫瘍(SIY発現無し)を有するマウスを1週間にわたってCDN誘導体で3回IT注入処置した。ML c−di−AMP(ML−CDA)及びML c−di−GMP(ML−CDG)での処置は、腫瘍成長に対して中程度の効果を有していた一方、R,Rジチオ誘導体は、顕著に腫瘍の成長を抑制し(図33A)、DMXAA(図33B)及び内因性ML−cGAMP(図33C)と比べて優位により強力であった。しかしながら、ML RR−S2 CDGは、反応源性であり、マウスによっては、処置した腫瘍に開いた傷ができ、治癒しなかった。より低用量レベルのML RR−S2 CDGは、効果的ではなかった。このことは、この分子が狭い治療インデックスを有していることを示している。対照的にML RR−S2 CDAでは、注入部位の反応源性は観察されず、マウスによっては、処置した腫瘍細胞の完全根絶後に、再成長した毛皮上に白斑ができた(データは示されていない)。
CDN誘導抗腫瘍効果がSTING依存的であるかを確定するために、発明者らは、B16腫瘍を有するWT(C57BL/6)及びSTING−/−マウスにおける活性を比較した。CDNの治療効果はSTING−/−マウスにおいて完全に消失した(図33D)。ML RR−S2 CDAは、CpGに基づくTLR9アゴニスト(Kawarada,et al.,2001)と比較して、また、同一用量でIT投与された複数の他のTLRアゴニストと比較しても、B16腫瘍を有するマウスにおいて有意な効力の増加を示した(図33E)。
ML RR−S2 CDAは、複数の腫瘍型において持続性の免疫媒介腫瘍拒絶を誘導する
異なる遺伝背景をテストするために、確立されたCT26結腸または4T1乳腺癌を有するBALB/cマウスをML RR−S2 CDAで処置した。処置したすべての動物が、有意かつ耐久性のある腫瘍退縮を示した。最初の腫瘍から治癒したマウスは、両腫瘍モデルにおいて、再負荷に対して完全に拒絶性を有しており(図34A及び図41A)、内因性CT26拒絶抗原AH1に対する免疫応答にも改善がみられた(Slansky,et al.,2000)(図34B)。両側にCT26または4T1腫瘍を有するBALB/cマウスにおける片側の腫瘍へのML RR−S2 CDAのIT注入も、反対側の処置していない細胞の有意な退縮を示した(図34C及び図41B)。発明者らは、C57BL/6マウスにもB16メラノーマを接種し、7日後に静脈内にB16メラノーマ細胞を注入した。2週間確立された側腹部の腫瘍をML RR−S2 CDA、DMXAA、またはHBSS対照で処置し、3週間後に肺転移を数えた。側副腫瘍をML RR−S2 CDAで処置されたマウスは、離れた肺転移の成長に対して、DMXAAと比べて、より有意な阻害を示した(図34D)。まとめると、これらの結果は、ML RR−S2 CDAのIT注入が複数の腫瘍型を根絶し、遠位の未処置病巣の成長を有意に抑制する、有効な全身性のCD8T細胞免疫応答を刺激することを示している。
方法
細胞及び細胞単離
試験管内の実験に使用した細胞は、C57BL/6由来メラノーマ細胞株B16.F10及びB16.F10.SIY(以後B16.SIYと記載)、乳癌OT−1及び4T1細胞株、前立腺癌TRAMP−C2細胞株、結腸癌CT26細胞株であり、すべて元はATCCから購入したものである。線維肉腫Ag104L細胞株は、シカゴ大学のHans Schreiber博士より供与された。すべての細胞は、10%熱非働化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−アルギニン、L−グルタミン、葉酸、及びL−アスパラギンを含むDMEM中で、7.5%CO雰囲気下、37℃で維持管理した。
不死化WT及びSTING−/−マクロファージは、Robenson et al.(Roberson,et al.,1988)の説明に従って得た。WTマクロファージは、K Fitzgerald博士(マサチューセッツ大学)より供与された。非不死化マクロファージは、WT(C57BL/6)またはSTING−/−マウスの骨髄から取得し、BMM培地(5%CSF、5%FBS、1XL−グルタミン、1Xペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI培地)で使用前に7日培養した。WT及びSTING−/−マウスの骨髄由来樹状細胞(BMDC)は、脛骨及び大腿骨由来の細胞をrmGM−CSF(20ng/ml、BioLegend)存在下で9日間培養することで作成した。インキュベーション後、特異的抗体を使用した細胞の表現系は、細胞の90%超がCD11c、CD11bまたはCD11b、ならびにCD8、CD4及びCD19であることを確認した。ヒトPBMCは、Ficoll−Paque Plus(GE Healthcare)を使用した密度勾配遠心により単離した。
STING−/−マクロファージにおけるHA−STINGの安定過剰発現のために、全長mSTINGをコードする配列をpUNOI−mSTINGプラスミド(Invivogen)から増幅し、空のpMX−IRES−GFPベクターへクローン化した。安定HEK 293T STING発現細胞株は、IRESの上流にGFPと共にクローン化されたSTINGのcDNAをフレーム内に含むMSCV2.2レトロウイルスプラスミドで作成した。hSTING(REF)−HA、hSTING(WT)−HA、hSTING(HAQ)−HA、hSTING(Q)−HA及びmSTING(WT)−HAのレトロウイルスプラスミドは、カリフォルニア大学バークレー校のVance Laboratoryより供与された。hSTIGN(AQ)−HAは、QuickChange Site−Directed Mutagenesisキット(Stratagene)を使用してhSTING(Q)−HAから得た。レトロウイルスベクターは、広宿主性のPhoenixパッケージング細胞株へLipofectamine(Invitrogen)を使用してトランスフェクトした。2日後にウイルス上清を回収し、STING−/−マクロファージまたはHEK297細胞の形質導入に使用した。GFP細胞は、ACSAria(BD)またはMoFlowセルソーターにおいてソートした。
STING凝集体のImageStream分析
STING−HAタグを過剰発現しているSTING−/−マクロファージを7.5%のNaHCOで再懸濁した50μg/mlのDMXAA、HBSSで再懸濁した50μMのML RR−S2 CDA、または対照として媒体のみで1時間刺激した。インキュベーション後に、細胞を抗CD11b−APC(M1/70、BioLegend)、ウサギ抗HAタグ(C29F4、Cel Signaling)及び抗ウサギIgG−PE(Invitrogen)、ならびにDAPI(Invitrogen)で細胞を染色した。単一細胞画像は、ImageStreamxMark II(Amnis)で取得し、データは、IDEASソフトウェアを使用して解析した。
ウエスタンブロット分析
WT、STING−/−マクロファージ、ならびにSTING−HAまたは空のベクターを発現しているSTING−/−マクロファージを50μg/mlのDMXAAで0、15、60または180分刺激した。WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCは、25μg/mlのDMXAAで刺激し、その際、当該刺激時間条件は、マクロファージ刺激時と同一である。タンパク質は、プロテアーゼ阻害剤(Thermo scientific)及びホスファターゼ阻害剤(Sigma)を含むTriton−X緩衝液(150mMの塩化ナトリウム、50mMのTris、1%のTriton−X、pH8.0)で抽出した。30μgのタンパク質を、10%SDS−PAGEゲル中で電気泳動し、Immobilon−FL膜(Millipore)上へ転写した。ブロットは、リン酸化TBK1(Ser172)、リン酸化IRF3(Ser396)、全TBK1、STINGならびにGAPDH(Cell Signaling)または全IRF3(Invitrogen)特異的抗体と共にインキュベートした。STINGを安定発現しているHEK293T株由来のタンパク質は、M−PER(Thermo Scientific)を使用して抽出した。6μgのタンパク質を4−12%MES NuPAGEゲル(Life Technologies)へ負荷し、ニトロセルロースへ転写した後、抗HA抗体(Santa Cruz)で探索した。抗ウサギIRDye 680RD標識二次抗体をOdyssey Imagingシステム(LI−COR)でのバンドの可視化に使用した。
マウスIFN−βELISA
WTまたはSTING−/−マクロファージ、及びWTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを50μg/mlのDMXAAで刺激した。条件培地を4時間後に回収した。IFN−β濃度は、VeriKine(商標) Mouse Interferon Beta ELISA Kit(PBL interferon source)を使用して評価した。
サイトカインの定量的RT−PCR分析
WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを25μg/mlのDMXAAまたは100ng/mlのLPSで4時間刺激した。全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離し、Deoxyribonuclease I、Amplification Grade(Invitrogen)と共にインキュベートした。cDNAは、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystem)を使用して合成し、7300 Real Time PCRシステム(Applied Biosystem)を使用して、マウスINF−β、TNF−α、IL−6、及びIL−12p40に特異的なプライマー/プローブによるリアルタイムqRT−PCRで、サイトカインの発現を測定した。結果は、18sを内因性対照として使用し、2−ΔCtとして示した。
WT BMMは、HBSS中で5μMのCDNで、Effectene(Qiagen)遺伝子導入試薬(キットプロトコルあたり)を添加して刺激した。ヒトPBMCは、10μMのそれぞれのCDNまたは100μg/mlのDMXAAを使用して通常RPMI培地中で刺激した。6時間のインキュベーションの後、細胞を回収し、PrimePCR RNA精製及びcDNA分析システムを使用し、リアルタイムqRT−PCRでIFN−β1、MCP−1、TNFα、及びIL−6の遺伝子発現を評価し、CFX96 gene cycler(BioRad)にかけた。相対的に正規化された発現量は、参照遺伝子であるGapdh及びYwhazを使用して、誘導された標的遺伝子発現量を非刺激対照と比較することにより決定した。係数変数(CV)が0.5未満かつM値が1未満であると確認された遺伝子は、したがって、さまざまな処置条件で変化がなかった。
フローサイトメトリーによる活性化マーカーの発現
WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを25μg/mlのDMXAAまたは100ngのLPSで12時間、または50μMのそれぞれのCDNで24時間刺激した。刺激後、細胞を抗CD16/32モノクローナル抗体(93)で15分間事前にインキュベートして潜在的な非特異的結合をブロックし、次に以下の特異的抗体を使用した。抗CD11c−Pe−Cy7またはAPC(N418)、抗CD11b−PerCP−Cy5.5(M1/70)、抗CD40−PE(3/23)、抗CD80−APC(16−10A1)、抗CD86−FITCまたはPE(GL1)ならびに抗IA/IE−PBまたはFITC(M5/114.15.2)。染色した細胞は、LSR IIサイトメーターを使用して、FACSDivaソフトウェア(BD)またはFACSVerseを使用してFACsuiteソフトウェアで解析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)で実施した。
マウス
C57BL/6、BALB/c、C3H/He及びTCRα−/−マウスは、Jackson and Charles Riverより入手した。RAG2−/−マウスはTaconicより入手した。Tmem173−/−(STING欠損)マウスは、G.Barber博士(マイアミ大学)より供与され、STING−/−(goldenticket)マウスは、Jacksonから購入した。
生体内での腫瘍実験
10個のB16−SIY腫瘍細胞、5×10個のB16.F10腫瘍細胞、10の4T1及びCT26、または10個の他の腫瘍細胞を含む100μlのDPBSまたはHBSSをマウスの右側腹部の皮下に注入した。腫瘍移植後、マウスは処置群へと無作為化した。腫瘍が体積で100〜200mm(5〜7mm幅)であるときに、7.5%のNaHCOに再懸濁したDMXAA、またはHBSSもしくは媒体対照中で調製されたCDNを1回もしくは3回投与のいずれかでIT注入した。腫瘍の測定は、ノギスを使用して週に2回実施し、腫瘍体積は、式:V=(長さ×幅)/2を使用し、計算した。実施例によっては、腫瘍が無い生き残りに、最初の腫瘍の注入から数週間後に反対側の側腹部に腫瘍細胞を再負荷した。未処置のマウスを対照として使用した。対側性の実施例では、マウスの両側腹部へ移植し、片方の腫瘍のみ処置した。B16メラノーマの肺転移の実施例では、0日目にマウスの側腹部に、5×10個の細胞のB16.F10を移植し、7日目に静脈内に1×10個の細胞を静脈内に注入した。肺は28日目に回収した。化合物の投与、腫瘍の測定、及び肺腫瘍のカウントは、盲検方式で実施した。
CD8+T細胞欠乏
CD8+T細胞の欠乏のために、マウスCD8(43.2)に対するラットのモノクローナル抗体またはアイソタイプ対照であるIgG2b(BioXcell)を、マウスあたり250μgの用量でマウスへ毎週IP投与した。異なる抗CD8のクローン(53−6.7、Biolegend)を使用したフローサイトメトリーで評価したように、この投与レジメンは、末梢血でCD8+T細胞の約99%欠乏をもたらした、
IFN−γELISPOT及びSIYペンタマー染色
脾細胞は、DMXAAの最初のIT注入から5日後に分析した。ELISPOTのために、脾細胞をウェルあたり10個でプレートに播き、SIYペプチド(160nM)もしくはAH1(1μM)、陽性対照としてイオノマイシン(0.5μM)を添加したPMA(50ng/ml)、または陰性対照として培地で一晩刺激した。スポットは、製造者の指示書に従ってBDマウスIFN−γキットを使用して生成させ、スポットの数をImmunospot Series 3 Analyzerを使用して測定し、Immunospotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)を使用して解析した。SIYペンタマー染色のために、脾細胞を抗CD16/32モノクローナル抗体(93)で15分間事前にインキュベートしてして潜在的な非特異的結合をブロックし、SIYRYYGL(SIY)ペプチドと複合体化したマウスH−2KからなるPE−MHCクラスIペンタマー(Proimmune)、抗TCRβ−AF700(H57−597)、抗体CD8−Pacific Blue(53−6.7)、抗CD4−Pacific Orange(RM4−5)(すべての抗体はBioLegendより入手)及びFixable Viability Dye eFluor450(eBioscience)を使用して標識した。染色細胞は、LSR IIサイトメーターを使用してFACSDivaソフトウェア(BD)で解析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して実施した。
天然の環状ジヌクレオチドSTINGリガンド及び合成誘導体分子の調製
改変したCDN誘導体分子は、以前に説明されている(Gaffney,et al.,2010)、Gaffneyの「ワンポット(one−pot)」調製方法の変法に従って合成した。CDN分子の合成には、ホスホラミダイト鎖状カップリング及びH−ホスホネート環化反応を利用した。ジチオCDNの合成は、分子間リン酸架橋の非架橋酸素原子を硫黄原子で置換する硫黄化反応によって実現した。例えば、ML RR−S2 CDAとして図38Bに示されている、ジチオ−(Rp,Rp)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]]の5ミリモルスケールでの合成は、5’−O−DMTr−3’−O−TBDMS−アデノシン(N−Bz)−2’−CEP及び5’−O−DMTr−2’−O−TBDMS−アデノシン(N−Bz)−3’−CEPのH−ホスホネートで実施した。直鎖二量体の形成で生成したリンIII中間体(ホスファイトトリエステル段階)及び環状ジヌクレオチド(H−ホスホネートジエステル段階)は、それぞれ3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチオアゾール−5−チオン(DDTT)及び3−H−1,2−ベンゾジチオール−3−オンで処理した。2回目の硫黄化後の粗反応液は、シリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、完全保護されたML S2 CDAのRR及びRS−ジアステレオマー混合物を得た。メタノール及び濃縮アンモニア水を使用したベンゾイル及びシアノエチルの脱保護により、ビス−TBS−ML−S2 CDAをRR及びRS−ジアステレオマーの混合物として取得し、C−18分取HPLCにより分離した。精製されたビス−TBS−ML RR−S2 CDAは、TEA−3HFで脱保護し、1Mの重炭酸トリエチルアンモニウムで中和してC18 SepPakで脱塩し、ML RR−S2 CDAをビス−トリエチルアンモニウム塩として95%を超える純度で得た。もう一つの方法として、TEA基をナトリウムまたはアンモニウムカウンターイオンのいずれかでイオン交換により交換し、凍結乾燥してから、10mMのTris pH7/1mMのEDTA緩衝液へ5mg/mL近くとなるよう再懸濁し、0.2ミクロンフィルターを通過させてろ過滅菌することで、最終産物を、分析HPLCで決定されたとおり(図38A)、95%以上の純度で得た。高分解能フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICR)により、予想組成式を以下のとおり確認した。[M−H]20231010での算出値689.0521、測定値689.0514。H NMR(データは示されていない)及び31P NMR(図38Aのy軸)の両スペクトルは、ML RR−S2 CDAと一致していた。ホスホジエステル結合の位置化学の直接的な証拠は、H−32P HMBC(異核多結合相関分光法)実験と、リボースプロトン(図38Aのx軸に示されている)の帰属のための1H−1H COSY(相関NMR分光法)との組み合わせにより得られた。実施例において使用前には、すべての合成調製物は、LALアッセイによりエンドトキシンが存在しない(<1EU/mg)ことを確認した。
ヒトSTING配列
ゲノムDNAは、10のPBMCからQuick Extract DNA Extraction Solution(Epicentre)を使用して単離し、hSTINGのエクソン3、6、及び7の領域を増幅するために使用した。増幅及びシークエンスのためのプライマーを表1に収載する。
ルシフェラーゼアッセイ
10個ののHEK293T細胞を96ウェルプレートに播き、ヒトIFN−βホタルレポータープラスミド46及び基準化のためのTK−Renillaルシフェラーゼレポーターを一過性にトランスフェクトした(Lipofectamine 2000)。翌日、均一な取り込みを保つため、ジギトニン透過処理(50mM HEPES、100mM KCL、3mM MgCl2、0.1mM DTT、85mM スクロース、0.2% BSA、1mM ATP、0.1mM GTP、10ug/mlジギトニン)を使用して、細胞を10μMのそれぞれのCDNまたは100μg/mlのDMXAAで刺激した。20分後、刺激に使用した混合液を除き、通常培地を添加した。全部で6時間後に、細胞の可溶化液を調製し、Dual Luciferase Assay System(Promega)を使用し、Spectramax M3ルミノメーターでレポーター遺伝子活性を測定した。
ML RR−S2 CDA結晶構造及び静電ポテンシャル面
X線構造は、カリフォルニア大学バークレー校のCollege of Chemistry X−ray Crystallography Facility(Antonio DiPasquale,PhD)で決定された。X線品質の結晶は、飽和ウェットエタノール溶液から成長させた後、アセトンの緩慢蒸気拡散を実施し、その後ヘキサンの緩慢蒸気拡散を実施し、結晶材料を析出させた。サイズ0.050×0.040×0.010mmの無色のプレートをParatoneオイルと共にCryoloopにマウントした。データは、100(2)Kで、ファイ及びオメガスキャンを使用して窒素ガスストリームにおいて収集した。結晶対検出器の距離は、60mmであり、1.0°の走査幅を使用し、露光時間はフレームあたり10秒であった。データ収集は、θで67.000°までで100%完了した。全部で113285反射を収集し、指数、−19<=h<=19、−24<=k<=24、−26<=l<=29をカバーしている。14929の反射は、0.0445のRintで非対称であった。指数及び単位格子の精密化は、基本、斜方格子を示した。空間群は、P 21 21 21(No.19)であった。データは、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを使用して統合し、SADABSソフトウェアプログラムを使用して調整した。反復法(SHELXT)による解は、完全な重原子位相モデルを与え、提唱モデルと一致した。すべての非水素原子は、full−matrix least squares(SHELXT−2014)を使用し、異方性精密化を実施した。すべての非水素原子は、ライディングモデルを使用して配置した。それらの位置は、SHELXT−2014において適切なHFIXコマンドを使用し、それらの親原子に対して固定した。絶対的な立体化学は、すべてのキラル中心で明確にRであると決定した。X線回折実験より得た座標から開始するB3LYP/6−31G(d)レベルの理論を使用し、ジアニオンモノマーの構造を最適化するためにGaussian09(RevisionA.02)を使用した。最適化において定常点がみつかると、最適化構造の静電ポテンシャル面が計算された。
統計解析
Studentの対応t検定を両側p値の計算に使用し、Prism6ソフトウェアを使用し、2つの処置群における差異の統計的有意性を推定した。統計的に有意なp値は、図及び説明文においてアスタリスクで標識した。
本明細書で開示及び請求される方法及び装置のすべては、本開示を踏まえて、過度の実験を伴うことなく、作成及び実施することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されている一方で、当業者には、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、当該方法及び装置、ならびに本明細書で説明される方法の手順または手順の順序において、変更を加え得ることが明らかとなるであろう。より具体的には、化学的にも生理的にも両方に関係する一定の薬剤が、同一または類似の結果を達成しつつ、本明細書で説明される薬剤に置き換わり得ることが明らとなるであろう。当業者に明らかなすべてのそのような類似した置き換え及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨、範囲、及び概念の範囲内であるとみなされる。
参考文献
次の参考文献は、例示的な手順上の、またはその他の詳細補足を本明細書記載事項に対して与える限りにおいて、参照により具体的に本明細書に組み込まれる。
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Claims (32)

  1. インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの有効量を対象者へ投与することを含む、前記対象者における癌の治療方法であって、前記STINGアゴニストが腫瘍内投与される治療方法。
  2. 前記STINGアゴニストが核酸、タンパク質、ペプチド、または小分子である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記STINGアゴニストが小分子である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記小分子が環状ジヌクレオチドである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記STINGアゴニストが下記式の化合物である、請求項3に記載の方法。
  6. 癌治療が、腫瘍のサイズ縮小化または腫瘍の成長抑制としてさらに定義される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記STINGアゴニストが前記対象者へ少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10回投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記対象者が、異なる癌治療をさらに施される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記STINGアゴニストが投与され、その後に前記異なる癌治療が施される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの3日以内に施される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの24時間以内に施される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの3時間以内に施される、請求項9に記載の方法。
  13. 前記異なる癌治療が施され、その後に前記STINGアゴニストが投与される、請求項8に記載の方法。
  14. 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の3日以内に投与される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の24時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
  16. 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の3時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
  17. 前記異なる癌治療が、手術、放射線療法、化学療法、毒素療法、免疫療法、寒冷療法、または遺伝子療法を含む、請求項8〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記癌がメラノーマ、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍、食道癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、移行上皮癌、神経芽細胞腫、形質細胞腫瘍、ウィルムス腫瘍、または肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)である、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記癌がメラノーマである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記癌が化学療法または放射線抵抗性の癌である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記対象者が少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、もしくは300μg/kgまたはmg/kgで前記アゴニストを投与される、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記STINGアゴニストが天然に存在しない環状ジヌクレオチドである、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記STINGアゴニストが下記式の化合物:
    であって、式中、R1及びR2がそれぞれ独立に9−プリン、9−アデニン、9−グアニン、9−ヒポキサンチン、9−キサンチン、9−尿酸、もしくは9−イソグアニンのいずれか1つである、化合物、またはそのプロドラッグもしくは医薬的に許容可能なその塩である、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記化合物が主にRp,RpまたはRp,Spジアステレオマーの形態である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記STINGアゴニストがジチオ−(R,R)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]](2’−5’、3’−5’混合ジホスホジエステル結合(ML)RR−S2 c−di−AMPもしくはML RR−S2 CDAとも呼ばれる))、ML RR−S2−c−di−GMP(ML−CDG)、ML RR−S2 cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記STINGアゴニストがML RR−S2 CDAである、請求項23に記載の方法。
  27. 天然に存在しない下記式の化合物:
  28. 前記化合物がRp,Rpジアステレオマーの形態である、請求項27に記載の化合物。
  29. 前記化合物がRp,Spジアステレオマーの形態である、請求項27に記載の化合物。
  30. 前記化合物がML RR−S2 CDA、ML RR−S2−CDG、ML RR−S2−cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物である、請求項27に記載の化合物。
  31. 前記化合物がML RR−S2 CDAである、請求項28に記載の化合物。
  32. 請求項27〜31のいずれかによる化合物の有効量を対象者に投与することを含む、前記対象者における癌の治療方法。
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