JP2016538344A - 癌処置としてのstingアゴニストの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2013年11月19日出願の米国仮特許出願第61/906,330号の優先権の利益を主張するものであり、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般に生物学、化学、及び医薬の分野に関する。より具体的には、腫瘍学及び癌処置に関する方法及び組成物に関する。
1980年代に、フラボン酢酸が、いくつかの腫瘍マウスモデルにおいて、抗腫瘍効果を有し、腫瘍内において出血壊死を起こすことが示された。腫瘍血管内でのその効果から、血管破壊剤(Vascular Disrupting Agent)と呼ばれた。血管内での効果に加え、フラボン酢酸は、いくつかの先天性サイトカインの産生を増加させた。
用語「置換アレンジイル」は、二価の基を意味し、当該アレンジイル基は、2つのσ結合で結合しており、結合点として二つの芳香族炭素原子を有し、当該炭素原子は、1つまたは複数の6員芳香族環構造の一部を形成しており、当該環原子はすべて炭素であり、当該二価の基はさらにN、O、F、Cl、Br、I、Si、P、及びSからなる群から独立に選択される原子を少なくとも1つ有する。
当業者であれば理解されるように、そのような環の1つの原子が、1つより多くの二重結合の一部を形成することはない。
STING経路は、細胞基質DNAの検出に関連する経路である。インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)は、膜貫通型タンパク質173(TMEM173)及びMPYS/MITA/ERISとしても知られており、ヒトにおいてはTMEM173遺伝子にコードされているタンパク質である。STINGは、自然免疫において重要な役割を担う。ウイルス、マイコバクテリア及び細胞内寄生虫といった細胞内病原体に細胞が感染するとSTINGは、I型インターフェロン産生を誘導する。STINGにより媒介されるI型インターフェロンは、オートクリン及びパラクライン様式で感染細胞及び近傍の細胞を局所感染から保護する。
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、この経路を直接的に活性化するアゴニストであり、限定はされないが、以下に詳細に説明されるDMXAAまたは環状ジヌクレオチドまたはそのいずれかの誘導体である。
いくつかの腫瘍マウスモデルにおいて、フラボン酢酸が抗腫瘍効果を有し、腫瘍内において出血性壊死を起こすことが以前に示された。腫瘍の血管におけるその効果により、血管破壊剤(Vascular Disrupting Agent)として説明された。しかしながら、血管での効果以外に、いくつかの先天性サイトカイン産生の増加も起こした。
STINGシグナル伝達経路は、環状ジヌクレオチド(CDN)により活性化される。環状ジヌクレオチド(CDN)は、細菌によって産生される場合があり、または細胞基質DNAのセンシングに応答した抗原提示細胞によって産生される場合もある。未改変のCDNは、I型インターフェロン及び他の同時制御遺伝子を誘導し、続いて特異的免疫応答の発達を促進することが示されている。
いくつかの実施形態では、医薬組成物が、対象者に投与される。異なる態様では、対象者に有効量の組成物を投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、阻害剤を含む組成物が、癌を処置または腫瘍のサイズを縮小させるために当該対象者または患者に対して投与されてもよい。さらに、そのような化合物は、他の癌治療と組み合わせて投与されてもよい。
材料及び方法
マウス及び細胞
C57BL/6、129、MyD88−/−、Trif−/−、P2X7R−/−、IPS−1−/−、TLR4−/−、TLR9−/−、Tmem173−/−(STING欠損)、Irf3−/−、及び2C TCR Tgマウスを使用した。C57BL6由来メラノーマ細胞株B16.F10.SIY(以後B16.SIYと記載)を使用した(Fuertes,et al.2011)。すべての細胞は、熱非働化FCSを10%含む完全DMEM培地で培養した。I型インターフェロンレポーター活性の測定のために、InvivoGenからB16−Blue(商標)IFN−α/βレポーター細胞を購入し、製造者の指示書に従い維持管理した。
2C TCR Tg CD8+T細胞は、磁気ビーズを使用して2C/RAG2−/−マウスの脾臓及びリンパ節より単離した。T細胞に2.5mMのCFSEを負荷し、WTまたは指定の遺伝子を標的とするマウスへ移植した(4×106個の細胞/マウス)。1日後、レシピエントマウスに106個のB16.SIY細胞を接種し、5日後にレシピエントマウス由来の脾細胞を、抗マウスCD8α−APC、及びビオチン標識抗2C−TCR(1B2)を使用して染色後に、CFSE希釈を評価するためにSA−PEを用いてフローサイトメトリーで分析した。
脾細胞を106個の細胞/ウェルでプレートに蒔き、SIYペプチド(80nM)または陽性対照としてイオノマイシン(0.5μM)を含むPMA(50ng/ml)で一晩刺激した。BDマウスIFN−γキットを使用してスポットを発生させ、スポット数をImmunospot Series 3 Analyzerを使用して測定し、ImmunoSpotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)を使用して解析した。ペンタマー染色のために、細胞は、SIYRYYGL(SIY)ペプチドに複合体化しているマウスH−2KbからなるPE−MHCクラスIペンタマー(Proimmune)、抗CD8−APC(53−6.7)、抗CD19−PerCp−Cy5.5(6D5)、及び抗CD4−PerCP−Cy5.5(RM4−5)を使用して標識化した。染色した細胞は、FACScantoまたはLSRIIサイトメーターを使用して、FACSDivaソフトウェア(BD)で分析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)で実施した。
B16メラノーマ由来の抽出物を得るために、培養腫瘍細胞をスタウロスポリン(0.5μM)で4時間処理、または照射(15,000ラド)、または熱死滅のために55℃で1時間インキュベート、またはシリンジもしくは針を10回通過させる物理的死滅処理、または液体窒素及び37℃の水浴を使用して凍結/解凍サイクル処理を3回実施した。腫瘍由来のゲノムDNAを単離するために、B16腫瘍細胞をDMEMで洗浄し、DNAをBlood & Cell Culture DNA Midi Kit(Qiagen)を使用して単離した。ミトコンドリアDNAを単離するために、B10メラノーマ細胞からQproteome(商標) Mitochondria Isolationキット(Qiagen)を使用してミトコンドリアを単離し、ミトコンドリアDNAをQIAprep(登録商標)Spin Miniprep Kit(Qiagen)を使用して単離した。DNAの濃度/純度は、NanoDrop1000(Thermo Scientific)で決定した。それぞれの細胞抽出物は、BM−DCへ添加し、37℃で18時間インキュベートし、ELISAでIFN−β量を測定した。
IFN−βレポーター細胞株を、96ウェルプレートで培養し、Lipofectamine(商標)2000(0.75μl/ウェル)(Invitrogen)を含む腫瘍由来のDNA(20ng/ウェル)で18時間刺激した。骨髄由来樹状細胞(BMDC)は、骨髄細胞をrmGM−CSF(20ng/ml、BioLegend)の存在下で9日培養して生成させた後、腫瘍由来のDNA(20ng/ウェル)で7時間刺激した。インキュベーション後、上清を回収し、IFN−βをELISA(PBL Interferon Source)で、レポーター細胞株の場合は、基質(QUANTI−Blue、InvivoGen)を添加して測定した。
WTまたはSTINGノックアウトBM−DCを1μg/mlの腫瘍由来のDNAで1、3または6時間刺激した。タンパク質は、プロテアーゼ阻害剤(Thermo scientific)及びホスファターゼ阻害剤(Sigma)を含むTriton−X緩衝液(150mM塩化ナトリウム、50mM Tris、1%Triton−X、pH8.0)を使用して抽出した。30μgのタンパク質を10%SDS−PAGEゲル中で電気泳動し、Immobilon−FL膜(Millipore)上へ転写した。ブロットは、リン酸化TBK1(Ser172)、リン酸化IRF3(Ser396)、全TBK1、及び全IRF3に特異的な抗体と共にインキュベートした(抗全IRF3抗体のみInvitrogenより、残りのすべての抗体はCellSignalingより入手)。抗ウサギIRDye680RD標識二次抗体をOdyssey Scan(Licor)でのバンドの可視化のために使用し、それぞれのバンドの濃度測定は、Li−corソフトウェアを使用して計算し、実施した。
BMDCは、先に説明したとおり、WTまたはSTING−/−マウスから生成させた。腫瘍細胞由来のDNAで7時間刺激後、上清を回収し、IL−6、IL−12p40、及びTNF−αの量をELISA(eBioscience)で測定した。腫瘍由来のDNAで刺激したBMDCは溶解し、全RNAをRNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。単離したRNAは、Affymetrix GeneChip分析を実施するためにシカゴ大学のFunctional Genomics Facilityへ提出した。RNAの完全性(integrity)はAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)で評価し、RNAの濃度/純度は、NanoDrop 1000(Thermo Scientific)で決定した。マイクロアレイ分析に使用した全てのRNAサンプルは、RNA Integrity Numberは8.0より大きく、OD260/280及びOD260/230比は1.8より大きかった。アレイ(Affymetrix Mouse Genome 430 2.0_ は、Affymetrix Gene Chip Scanner 3000 7G及びCELでスキャンした。強度ファイルは、Gene Chip Operating Software v.1.4(MicroArray Suite 5.0)により得た。マイクロアレイデータの解析には、dChipソフトウェアを使用した。dChipソフトウェアを使用し、「存在せず(absent)」と点数付けされるか、またはシグナル強度が100未満の遺伝子は、最初に除いた。遺伝子発現量の倍率変化は、WTまたはSTING−/−腫瘍由来のDNAをトランスフェクトしたBMDCの遺伝子シグナル強度値を培地処理したWT BMDCのそれで除算することで計算した。
皮膚移植は、以前に説明したとおり実施した(Molinero,et al.,2008)。簡潔には、ドナー側腹部の全層皮膚片(0.5〜1cm2)は、レシピエントの側腹部上に調製した移植母床へ配置した。移植片の完全壊死を拒絶時点であると定義した。
ヒトメラノーマ624腫瘍細胞をDRAQ5(Cell Signaling)で染色し、マウスの皮下へ接種した。一晩の後、腫瘍細胞を単離し、単一細胞懸濁液を調製した。抗マウスCD45−PE(30−F11)の後に、CD11c−Percp−Cy5.5(N418)及び抗ヒトHLA−A、B、C−AF 488(W6/32)を染色に使用した。DAPI染色により、生存細胞をゲートした後、CD45−PE及びCD11c−PerCP−Cy55陽性細胞を、シカゴ大学のFlow Cytometry Core Facilityにおいて、FACSAriaIII(BD)を使用してセルソーティングにより回収した。全DNAを、All Prep(登録商標)DNA/RNA Micro Kit(Qiagen)で単離し、DNA濃度はND−100分光光度計(Nanodrop)で測定した。PCRプライマーは、Primer−BLASTプログラム(NCBI)でデザインした。PCR反応混合液は、Maxima Hot Start PCR Master Mix(Thermo scientific)を使用して調製し、PTC−200 Peltier Thermal Cycler (MJ Research)を使用して実施した。PCR産物は、1.5%アガロースゲルで泳動させ、EtBrで可視化した。ゲル画像は、紫外トランスイルミネーター(Kodak)を使用して取得した。IFN−βのRT−PCR解析のためにB16.SIYメラノーマ細胞をマウスへ接種した(群あたり5匹のマウス)。単一細胞懸濁液は、先に説明したとおり調製し、抗マウスCD45−PE(30−F11)、抗マウスCD11b−PacBlue(M1/70)、及び抗マウスCD11c−PEcy7(N418)抗体で染色した。染色した細胞は、FACSAria III(BD)を使用してセルソーティングにより回収した。全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離した。cDNAはHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(applied biosystems(商標))を使用して合成した。Q−PCR反応は、TagMan Gene Expression Master Mix(A&B)及び7300 Real Time PCRシステム(A&B)を使用して実施した。
回収した細胞は、コラゲナーゼ(50単位/ml、Worthington Biochemical Corporation)と共に37℃で2時間インキュベートした。腫瘍由来細胞の単一懸濁液は、シリンジプランジャー及び細胞ストレーナーを使用して、均質化することで調製した。抗体染色の後、単一細胞画像は、ImageStreamxMark II(Amnis)で取得した。収集データは、IDEAS5.0ソフトウェア(Amnis)で解析した。1回染色の対照細胞を、補正のために使用した。単一細胞はエリアとアスペクト比で、フォーカスされた細胞は、Gradient RMSの特性で細胞をゲートした。DRAQ5取り込みアッセイのために、B16メラノーマ細胞をDRAQ5(5μM)と共に15分間インキュベートした。PBSで十分洗浄した後、染色した腫瘍細胞をマウスの皮下に接種した。翌日、腫瘍の突起部を回収して、腫瘍由来の細胞を単離し、先に説明したとおり単一細胞懸濁液を調製した。細胞は、LIVE/DEAD Fixable Dead cell stain Kits(Invitrogen)、抗マウスCD45−PECy5(30−F11)、及びCD11c−PECy7(N418)で染色した後、ImageStreamxMarkII(Amnis)で解析した。EDuの実験のために、B16メラノーマまたは1969肉腫細胞をEdu(10μM)と共に一夜完全DMEM培地でインキュベートした。十分洗浄した後、腫瘍細胞は、DRAQ5または、CellTracker(商標)Green CMFDA(Invitrogen)で染色し、マウスへ接種した。翌日、腫瘍隆起部を回収し、先に説明したとおり、単一細胞懸濁液を調製し、抗マウスCD45−PECy5及びCD11c−PECy7で染色した。Edu検出(Alexa Fluor 555またはAlexa Fluor 647のいずれか)は、Click−iT(登録商標)EdU Imaging Kits(Invitrogen)を使用して実施した。非標識腫瘍細胞は、同様の染色手順をとおして、陰性対照として使用した。pIRF3染色のために、腫瘍単一細胞懸濁液は、LIVE/DEAD Fixable Dead cell stain、抗マウスCD45−PECy5、CD11c−PECy7で染色し、Foxp3 Fixation/Permeabilizationキット(eBioscience)で透過処理した。Normal Mouse Serumでブロッキングした後、細胞は、pIRF3抗体(Cell Signaling、 カタログ番号4947)で染色し、その後に抗ウサギIgG−PE二次抗体(Invitrogen)で染色した。核染色のために、染色細胞は、NucBlue(商標)Fixed Cell Stain(Invitrogen)と共に5分間インキュベートした。pTBK1染色は、pTBK1特異的抗体(cell signaling、カタログ番号5483)を使用した以外は、先と同様の手順を使用した
スチューデントt検定を統計解析に使用した。P値が0.05未満を統計的に有意であるとした。
生体内における腫瘍に対する自発的T細胞活性化には、STING及びIRF3が必要である
発明者らは、宿主において、自然免疫センシング経路が腫瘍由来因子を検出し、I型IFN産生を誘導し、及び腫瘍抗原特異的CD8+T細胞のクロスプライミングを導出する可能性のある実用モデルを追及した(Fuertes,et al.,2011、Diamond,et al.,2011)。自然抗腫瘍T細胞応答のための宿主必要要件の解明を始めるため、特定経路の遺伝子標的欠損マウスを利用した。宿主Toll様受容体(TLR)経路が自発的CD8+T細胞プライミングに必要であるか確定するために、発明者らは、MyD88−/−またはTRIF−/−マウスを利用した。MyD88は、T細胞固有的に機能し得るので(Zhou,et al.,2009)、発明者らは、野生型CFSE標識2C TCR Tg T細胞(モデル抗原SIYに特異的)のWTまたはMyD88−/−マウスへの養子移入を実施し、B16.SIY腫瘍で負荷した(Zhou,et al.,2005)。MyD88−/−において、T細胞増殖及び分裂細胞の蓄積は損なわれていなかった(図1a)。同様に、TRIF−/−マウスにおいて、腫瘍由来SIYに対する内因性CD8+T細胞のプライミングに変化はなかった(図1b)。これは、生体内において抗腫瘍CD8+T細胞の自発的プライミングには、TLRシステムが必須ではないことを示唆している。(Stetson,et al.,2006;Ishii,et al.,2006)発明者らは、TLR4またはTLR9を特異的に欠損しているマウスにおけるCD8+T細胞応答も調べたが、IFN−γ、ELISPOT(図1c、d)またはSIYペプチド/Kbペンタマー染色のいずれを使用した場合でも、欠損は観察されなかった(図7)。死滅中の腫瘍細胞はATPを放出する可能性があり、放出ATPは、APC上のP2X7Rによって感知され得ることが示されたように(Ghiringhelli,et al.,2009)、自然免疫センシングメカニズムの第二の候補は、細胞外ATPを介するものである。しかしながら、発明者らは、P2X7R-/-マウスにおいて、腫瘍関連抗原に対するCD8+T細胞の自発的プライミングが損なわれていないことを発見した(図1e)。発明者らは、定義されたRNAセンシング経路の役割もMAVS-/-マウスを使用して調べた。MAVS-/-マウスは、RIG−I及びMDA5依存性の自然免疫活性化のための重要なアダプター分子を欠損している。しかしながら、MAVS-/-マウスにおいてCD8+T細胞プライミングの欠損は観察されなかった(図1f)。
腫瘍由来のDNAは、STING及びIRF−3依存経路によるIFN−B産生を誘導する
発明者らは、どのような調製物がDCsからIFN−βを誘導し得る可能性があるのか確定するために、B16腫瘍細胞抽出物及び様々な手法を使用して死滅させた腫瘍細胞の分画をスクリーニングする試験管内システムに注目した。物理的破壊を含む様々な方法で死滅させた腫瘍細胞、またはB16の培養に使用した培地の培養上清は、骨髄由来DCによるIFN−β産生を誘導しなかった(図2a)。細胞内のウイルス、細菌、及び熱帯熱マラリア原虫を検出でき、I型INF産生を起し得る細胞基質DNAセンシング経路を特徴づけている最近の研究に基づき(Unterholzner,et al.,2010、Takaoka,et al.,2007 Sharma,et al.,2011、Henry,et al.,2007)、発明者らは、腫瘍由来のDNAが同様にはたらくか調べた。実際、Lipofectamineと組み合わせたB16メラノーマ由来の全DNAは、DCによるINF−β産生を誘発した(図2a)。Lipofectamineの添加が必要であったことは、DNAが細胞基質へ入る必要があったことを示している。腫瘍由来のDNAの調製物をDNAse Iで処理すると、この刺激効果が消失したことは、この調製物中のDNAが機能本体であるという主張を支持している(データは示されていない)。対照的に、腫瘍由来のRNAは、最小限度の刺激性であった(データは示されていない)。不死化マクロファージ細胞においても、Lipofectamineと組み合わせた腫瘍由来のDNAは、IFN−βの生産を誘導した(図8)。腫瘍由来のDNAに加えて、脾細胞から単離された正常細胞由来のDNAも試験管内において、Lipofectamineと組み合わせたときにマウスのBMDCにおいて、IFN−βの産生を誘導(図9)したことは、形質転換細胞由来のDNAには、その刺激性を増強するような特有の性質は無いようであることを示している。むしろ、生体内で癌が確立されていく上で、宿主APCへのDNAの移行を有利にする腫瘍細胞の状況に特徴がいくつか存在するに違いない。
STING−/−マウスは、腫瘍の制御が損なわれており、T細胞の増殖を維持できないことを示す
腫瘍の成長制御での宿主STING経路の効果を確定するために、発明者らは、いくつかのモデルシステムを利用した。第一に、B16メラノーマは、免疫欠損RAG−/−マウスと比べて免疫能力のあるC57BL/6マウスにおいてより遅く成長した。このことは、部分的な腫瘍制御を媒介する宿主免疫に適度な効果が存在することを示す。したがって、発明者らは、同系の野生型、STING−/−、及びIRF3−/−マウスにおける腫瘍の成長率を測定した。予測どおり、腫瘍の成長は、STING−/−、及びIRF3−/−マウスにおいてより急速であった。対照的に、Trif−/−マウスにおいては腫瘍の成長は変化しておらず、抗腫瘍T細胞の自発的なプライミングにおいてTLR経路が明確な必要性を欠いていることと一致している(図13)。発明者らは、免疫原性腫瘍が正常かつ自発的に完全拒絶される条件も探索した。1つの手法として、腫瘍特異的抗原に加え、僅かな組織適合性抗原の違いによっても腫瘍拒絶が可能でありそうな、129遺伝子バックグラウンドのWTまたはSTING−/−マウスへB16.SIY腫瘍を移植した。WTマウスにおける拒絶とは対照的に、宿主STINGが欠損している場合、腫瘍は進行的に成長した(図3a)。この系においてSIYペプチド特異的CD8+T細胞応答もSTING−/−マウスにおいて有意に減少した(図3b)。完全に同系の系を利用するために、発明者らは、1969と呼ばれる免疫原性腫瘍を利用した。この腫瘍は、C57BL/6バックグラウンドの免疫欠損マウスをメチルコラントレンで処理することによって誘発された腫瘍である。この腫瘍も野生型マウスで拒絶されたが、STING−/−マウスでは拒絶されなかった(図3c)。まとめると、これらのデータは、内因性T細胞プライミングのような、免疫媒介性の腫瘍制御には、宿主のSTING経路が必要であることを示している。
腫瘍由来DNAは、生体内で宿主APCへ移行する
DNAが、生体内においてSTING経路の関与を開始する関連のある腫瘍由来材料であるのであれば、腫瘍の微小環境で宿主APC内において腫瘍由来のDNAを検出することが可能なはずである。この可能性を3つの相補的な手法を使用して調べた。第一の手法として、発明者らは、DNAにインターカレートするDRAQ5色素を使用して試験管内で腫瘍細胞を染色し、その後、その腫瘍細胞を生体内に移植した。細胞分裂の結果、当該色素が希釈されることを回避するために、発明者らは腫瘍注入から1日後に宿主の炎症性細胞を分析した。早期腫瘍隆起部を回収し、崩壊させ単一細胞懸濁液とした後、サイトメトリーで分析した。融合ヘテロカリオンまたは細胞凝集物ではなく、宿主骨髄性細胞に焦点をあてた分析を確実にするために、Amnis ImageStream装置を使用した単一細胞分析を利用した。宿主DCは、CD11c及びCD45の染色に基づき分析した。実際、拡散性染色パターンにおいてCD45+CD11c+細胞の約60%が腫瘍由来のDRAQ5による染色で陽性を示した(図5a)。同一の単一細胞懸濁液において、腫瘍細胞は、CD45及びCD11c染色には陰性であったが、DRAQ5には陽性であった。このDRAQ5染色は、正常脾細胞においてはみられず、腫瘍注入マウスから得られた脾細胞の小集団のみで観察された(図5a)。試験管内でのトランスウェルシステムを使用し、発明者らは、DRAQ5の移行が膜で区切られた非標識細胞において検出されないことを発見した。このことは、DCでの検出は、腫瘍細胞からDRAQ5色素が漏出した結果ではないことを立証するものであった(データは示されていない)。
腫瘍浸潤宿主APC細胞は、生体内において、STING依存的メカニズムを介してIFN−βを産生する
宿主DCへのDNA移行は、生体内において迅速に起きるようであるので、発明者らは、こうした宿主APCが同じ時間枠内でSTING経路を活性化し、IFN−βを産生し得るか調査した。このために、B16メラノーマ細胞を皮下に移植し、1日後に腫瘍浸潤CD45+細胞のリン酸−IRF3誘導をImageStreamで分析した。図6aに示すように、これは、早期時点に合わせたスナップショットであるにもかかわらず、約10%の腫瘍浸潤CD45+細胞が、核へ転座したと思われるpIRF3染色を示した。対照として、同一の単一細胞懸濁液において、腫瘍細胞は、CD45、CD11c、及びpIRF3染色が陰性であった。脾臓のCD45+細胞もpIRF3の最小限の染色を示した(図6a)。並行して、上流のキナーゼTBK1の活性化もリン酸化の状態により同様に評価した。pIRF3と類似して、腫瘍微小環境由来のCD11c+細胞のサブセットにおいてpTBK1が生体外で検出された(図18)。発明者らは、もしかすると、調べている早期時点は、触知可能な腫瘍における安定した腫瘍微小環境の状況を反映していないのではないかと懸念した。したがって、発明者らは、7日間確立されたB16メラノーマにおいて、CD11c+細胞のpIRF3染色を調べた。早期時点と類似して、CD11c+細胞のpIRF3染色が、こうしたより大きく確立された腫瘍においても観察された(図19)。
DMXAAは、核周辺部位でのSTING凝集を促進する
この第一の実験では、発明者らは、STINGの活性化について研究するため、単一細胞の分析が可能になる、ImageStream、サイトメーター、及び顕微鏡を使用した。発明者らは、核外の分散パターンを確認した。DMXAA添加後わずか15分後に、STINGは各周辺部位で凝集した。発明者らは、ImageStreamのソフトウェアを使用してSTINGの活性化を定量することができ、約70%の細胞がこうした凝集を示すのにわずか15分しか要しなかった。
発明者らは、TBK1及びIRF3のリン酸化ならびにWT及びSTINGマクロファージにおけるIFN−βの産生を評価することにより、STING凝集経路の下流も調べた。発明者らは、WT細胞においてTBK1及びIRF3の迅速かつ強力なリン酸化を観察したが、STING欠損細胞では観察しなかった。これは、WTマクロファージのみにおいて、IFN−βの高産生をもたらすということである。産生されたIFN−β量は、環状ジヌクレオチドでの刺激後の産生量と同等であり、DNA刺激により産生された量より多かった。WTまたはSTINGノックアウトマウス由来のBM−DCを使用して、発明者らは、当該経路の同様の強力な活性化及びIFN−βの高産生を観察した。図20参照。
WT APCにより、DMXAA添加後にSTING経路が強く活性化されることが示されたので、発明者らは、こうした細胞が活性化されたかどうか確認が必要であると考えた。IFN−β以外に、BM−DCは、TNFa、IL6、IL1、IL10、及びIL12といった他のサイトカインもSTING依存的にアップレギュレートした。図21参照。
さらに、WT DCは、CD40及びC86といった活性化マーカーもSTING依存的にアップレギュレートした。STING欠損細胞は機能性を示すために、LPSで刺激した。この場合、WT細胞との違いはなかった。図22参照。
DMXAAがメラノーマのマウスモデルにおいて、強力な免疫応答を起こすかどうか確定するために、発明者らは、SIYペプチドを過剰発現しているB16メラノーマ細胞株をB6マウスの側腹部へ注入した。1週間後、腫瘍が体積で約100〜200mm3であるときに、発明者らは、これらのマウスにDMXAAまたは生理食塩水を腫瘍内への単回投与処置をし、腫瘍の成長を測定した。DMXAA処置されたマウスの大部分(80〜90%)が腫瘍を拒絶した。図23参照。同様の結果がヒト分子を使用した試験においても得られた。
発明者らは、DMXAA注入後1週間にSIY抗原に対する特異的応答も測定した。SIY刺激でIFN−gを産生する特異的T細胞の数をIFN−g ElISPOTを使用して測定し、DMXAA処置された動物において10倍の増加が観察された。さらに、SIYのペンタマー染色を使用して、発明者らは、DMXAA処置した動物の脾臓及び腫瘍内において、CD8+SIY特異的T細胞の量が増加していることを観察した。図24参照。
腫瘍を拒絶したDMXAA群のすべての動物の内、その大部分が、同様の腫瘍細胞株で再負荷された場合、全く腫瘍を形成しなかった。このことは、それらが、免疫記憶を生成していたことを暗示している。図25参照。
最終的に、発明者らは、STINGノックアウトまたはRAGノックアウト動物でDMXAAがいくらか効果を有しているかどうか問うた。発明者らが予想したとおり、DMXAAはSTING欠損動物において全く効果を有さず、DMXAAは、RAGノックアウトマウスでは部分的効果を有していた。これは、DMXAAの治療効果において、T細胞活性化以外の別のメカニズムが関係していることを示している。図26参照。
図27参照。
DMXAA注入の1週間後に、発明者らは、IFN−g ELISPOTにより、及び脾臓及び腫瘍内のCD8 SIY陽性細胞の評価により、SIYに対する内因性T細胞応答を測定した。T細胞応答は、DMXAA処置した動物において高度に増加した。図28参照。
マウス腫瘍モデルにおいて癌免疫治療ストラテジーとしてAduroから環状ジヌクレオチドを研究するための簡単な提唱
動物腫瘍モデル及び生体内注入
8〜10週齢のB6WTマウス(Jacksonより)の右側腹部皮下に1×106個のB16.SIY.dsRed細胞を含む100μLのPBSを注入する。注入の1週間後、腫瘍をノギスで測定し、式[長さ×(幅)2]/2を使用し、体積を計算する。腫瘍のサイズが約100〜200mm3であるときに、7.5%の炭酸水素ナトリウムで再懸濁したDMXAAを、体重gあたり25マイクログラムで、マウスの腫瘍内へ単回投与処置する。対照動物には、7.5%の炭酸水素ナトリウム(生理食塩水)を単回注入処置する。比較として、Aduroから環状ジヌクレオチド化合物がマウスの平行セットにおける腫瘍へ注入されることになるであろう。腫瘍の体積は、先に説明したように当該式を使用して週に2回測定される。
DMXAA(Vadimezan)は、Selleckchemから粉末形態で購入する。届いてから、DMXAAは、7.5%の炭酸水素ナトリウムで再懸濁し、最終濃度を6.25mg/mlとし、−20℃で遮光して保存する。
DMXAAまたは生理食塩水でマウスを処置し7日後に、動物をCO2で屠殺し、脾細胞によるIFN−γの産生を分析するために、脾臓を摘出する。BDより入手したマウスIFN−γ酵素免疫スポットアッセイ(ELISPOT)を製造者のプロトコルに沿って使用する。簡潔には、106個の細胞/ウェルで脾細胞を播き、陽性対照としてSIYペプチド(160nM)、PMA(50ng/ml)、及びイオノマイシン(0.5μM)、または陰性対照として培地(10%熱非働化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−アルギニン、L−グルタミン、葉酸、及びL−アスパラギンを含むDMEM)で一晩刺激する。IFN−γのスポットは、ビオチン化抗体及びアビジン−ペルオキシダーゼを使用して検出し、AEC基質(BD Bioscience)を使用して形成する。プレートは、Immunospot Series 3 Analyzerで読み、ImmunoSpotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)で解析する。
DMXAAまたは環状ジヌクレオチドでマウスを処置し、7日後に、脾細胞及び腫瘍浸潤物をSIY/Kbペンタマー染色により検出したSIY特異的CD8+T細胞を分析する。5×106個の細胞/サンプルを、SIYRYYGL(SIY)ペプチドまたは陰性対照としてSIINFEKL(OVA)ペプチドと複合体化しているマウスH−2KbからなるPE−MHCクラスIテトラマー(Beckman CoulterまたはProimmune)、抗体TCRβ−AF700(クローンH57−597)、抗体CD8−PO(クローン5H10)、抗CD4−PB(クローンRM4−5)、抗CD62L−PE_Cy7(クローンMEL−14)、抗CD44−APC(クローンIM7)ならびにFixable Viability dye eFluor780(eBioScience)で標識する。FACSCantoまたはLSR IIサイトメーターを使用してFACSDivaソフトウェア(BD)でFACS分析を実施する。データ分析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して実施する。
腫瘍微小環境におけるSTINGの直接活性化は、強力かつ全身性の腫瘍退縮と免疫をもたらす。
結果
DMXAAは、試験管内にてSTING経路を刺激する
発明者らは、第一にDMXAAがSTING経路の機能性アゴニストであるかどうか、試験管内でマウスのマクロファージを使用して評価した。STING凝集は、mSTING−HAを発現しているSTING−/−マクロファージを使用して評価した。対照マクロファージは、細胞基質において、STINGの散在性パターンを示したが、DMXAAと共に1時間インキュベートした後は、約60%の細胞が、核周辺部位においてSTINGの凝集を示した(図29a)。TBK1及びIRF3の下流リン酸化が観察され、これはSTING−/−細胞においては消失していた(図29b)(Conlon,et al.,2013)。これは、STINGの見かけの分子量の増加と相関しており、そのリン酸化によるものであると報告されている(Konno,et al.,2013)。mSTING−HAで再構築されたSTING−/−マクロファージでは、TBK1及びIRF3のリン酸化が回復していることが示された。DMXAAに応答して、野生型(WT)からIFN−β分泌が検出されたが、STING−/−マクロファージからは検出されなかった(図29c)。骨髄由来DC(BM−DC)において、WT対STING−/−マウスで同様の結果が観察された(図29d〜e)。発明者らは、こうした細胞を様々なサイトカインの発現を調べるためにも使用した。DMXAAによる刺激後、IFN−β、TNF−α、IL−1β、IL−6及びIL12p35がWT細胞では誘導されたが、STING−/−BM−DCでは誘導されなかった(図29f)。発明者らは、DMXAAまたはLPSで刺激したBM−DCにおける同時刺激分子の誘導も比較した。LPSは、WT及びSTING欠損DCの両方でCD40、CD86、及びMHCクラスIIを誘導した一方、DMXAAによる誘導は、WT細胞のみで観察された(図29g)。まとめると、これらのデータは、DMXAAは、mSTINGの強力なアゴニストであり、IFN−β及び他の先天性サイトカインの産生とDCの活性化をもたらすことを示している。
STINGの刺激が生体内において抗腫瘍免疫を増強するか評価するために、発明者らは、腫瘍抗原を取り込んでいるAPCに活性化を集中させるため、投与において腫瘍内(IT)経路を選択した。抗原特異的免疫応答を評価するために、発明者は、モデル抗原であるSIYRYYGLを発現するよう形質導入されたB16メラノーマ細胞株を利用した(B16.SIY)(Blank,et al.,2004)。B16.SIY腫瘍細胞をマウスの側腹部へ接種し、7日目にDMXAAをIT注入した。150〜625μgの範囲の1回用量を調べたのち、DMXAAの500μg用量を選択した。最も高用量である625μgでは、容認不可能な毒性を示している(図35)。選択された用量によって、すべての動物で強力な腫瘍退縮及び大部分のマウスで完全な腫瘍の拒絶が誘導された(図30a)。処置後5日の脾細胞の分析により、SIY特異的IFN−γ生産T細胞頻度の顕著な増加(図30b)、及びSIY/Kbペンタマー染色によって検出されたSIY特異的CD8+T細胞頻度の増加が示された(図30c)。
DMXAAの治療効果がSTING依存であるかどうかを試験するために、B16.SIY腫瘍を有するSTING−/−マウスを使用した。宿主STINGが欠損している場合、DMXAAに応答して腫瘍成長は低下しないことが観察され(図31a)、SIY特異的T細胞の頻度は顕著に減少した(図31b、c)。適応免疫応答が腫瘍制御に必要であるかどうかを確定するために、B16.SIY細胞を、成熟T及びB細胞を欠いているRAG2−/−マウスへ接種した。腫瘍の部分的な制御は存在していたものの、DMXAA処置による治療効果の大部分は、RAG2−/−宿主において失われた(図31d)。同様の治療効果の消失が、TCRα−/−(図31e)及びCD8+T細胞を欠乏させたマウス(図31f及び図37)で観察された。これらの結果は、DMXAAの治療効果の主要な構成要素がCD8+T細胞によって媒介されていることを示している。
STING経路が、有意な治療効果につながる腫瘍抗原特異的CD8+細胞プライミングを促進するために利用されている可能性が示されたので、発明者らは、hSTINGを強力に活性化し得る化合物の同定を目指し、したがって、臨床への応用を目指した。環状ジヌクレオチド(CDN)は、運動性及びバイオフィルムの形成を含む多様なプロセスを制御するバクテリアによって合成される小分子セカンドメッセンジャーとして研究されてきた。組み換えタンパク質抗原の免疫原性は、CDNをアジュバントして使用することで増大させることができ、CDNに対しワクチン開発への潜在的な応用を与えている。発明者らは、すべての既知の多型STING分子をはたかせる能力に加えて、ヒトの細胞において活性の上昇を伴う新規の合成CDN化合物の開発を目指した。hSTINGの対立遺伝子/CDN依存性シグナリングの関連性を説明している最近の結果と共に、CDN−STING結晶構造が利用可能であったので、活性上昇を伴うCDN化合物をデザインするための構造を基盤とした研究は容易であった。発明者らは、プリンヌクレオチド塩基、リン酸架橋結合構造、及びリン酸架橋部の非架橋酸素原子の硫黄原子による置換という、これらにおける変更を実施した化合物を合成した。天然のCDN分子は、宿主細胞または全身性の循環に存在するホスホジエステラーゼによる分解に感受性を有する。発明者らは、Rp,Rs(R,S)ジチオ置換ジアステレオマーまたは非改変CDNと比較し、Rp,Rp(R,R)ジチオ置換ジアステレオマーCDNがヘビ毒のホスホジエステラーゼでの消化に抵抗性を有すると共に、ヒトTHP−1細胞においてIFN−βの高発現を誘導することを発見した。
hSTING遺伝子における単一ヌクレオチド多型は、細菌由来の標準CDNに対する応答性に影響を与えることが示されている(Diner,et al.,2013、Gao,et al.,2013)。hSTINGの5つのハプロタイプが同定されており(WT、REF、HAQ、AQ及びQ対立遺伝子)、アミノ酸位置71、230、232、及び293で変異している(図32A、左)(Jin,et al.,2011、Yi,et al.,2013)。当該5つのhSTING変異体の合成CDNに対する応答性を試験するために、発明者らは、全長hSTING変異体のそれぞれを発現している安定HEK293T細胞株を作成した(内因性STING欠損)。同様のレベルのSTINGタンパク質がそれぞれの細胞株で発現された(図32A、右)。予想どおり、DMXAAは、mSTINGを強力に活性化したが、5つのhSTING対立遺伝子のいずれも活性化しなかった(図32B)。hSTINGREFを発現している細胞は、細菌のCDN化合物cGAMP、CDA、及びCDGによる刺激への応答は不十分であったが、内因的に生成されたcGAS産物であるML−cGAMPには、応答性であった(Diner,et al.,2013)(図32C)。興味深いことに、hSTINGQ対立遺伝子も細菌のCDNに応答しなかった。mSTINGを発現している細胞は、試験したCDNのすべてに応答した。空のベクターを形質導入された細胞、または非機能性変異体(I199N)STINGタンパク質(Goldenticket)(Sauer,et al.,2011)を発現している細胞は、いずれの化合物にも応答しなかった(データは示されていない)。対照的に、天然のリガンドであるML−cGAMP、及びジチオ混合結合CDN誘導体(ML RR−CDA、ML RR−S2 CDG、及びML RR−S2 cGAMP)は、不応性のhSTINGREF及びhSTINGQ対立遺伝子を含めて、5つすべてのhSTING対立遺伝子を強力に活性化した(図32C)。
CDNが下流のSTINGシグナリングを活性化するかを確定するために、発明者らは、IFN−β及びその他のサイトカインの誘導をWT C57BL/6及びSTING−/−(Goldenticket)マウスから単離したマウス骨髄マクロファージ(BMM)で評価した。内因性ML−cGAMPならびにTLR3及びTLR4アゴニストであるポリI:C及びLPS(それぞれ)と比較して、合成ジチオ混合結合CDN(ML RR−S2 CDA及びML RR−S2 CDG)は、モル当量相当で最も高い炎症促進性サイトカインの発現を誘導した(図32D)。当該改変CDNは、STING−/−BMMでのシグナリングを誘導しなかったが、一方で、予想どおり、TLRアゴニストは依然として活性を有していた。TNF−α、IL−6、及びMCP−1の誘導を測定したときに同様の結果が示された(図39)。プライマリーヒト細胞におけるSTINGシグナリングの活性化を調べるために、発明者らは、異なるSTING対立遺伝子を有するヒトドナー団由来のPBMCを刺激し、IFN−βの誘導を測定した。DMXAAとは対照的に、ジチオ改変混合結合CDNは、複数のヒトドナーにわたって、IFN−β発現を誘導した(図32E)。ML RR−S2 CDAは、マウスBMMにおいてSTINGの凝集を誘導し、TBK1及びIRF3のリン酸化も誘導することが明らかとなった(図40A〜40B)。試験した改変CDNのすべてがMHCクラスI及び同時刺激マーカーの発現をSTING依存的に増強した(図40C)。したがって、ML RR−S2 CDNは、ヒトSTING経路の活性化できる、実行可能な臨床上の候補である。
改変ジチオML CDN化合物が抗腫瘍活性も有しているか評価するために、確立されたB16.F10腫瘍(SIY発現無し)を有するマウスを1週間にわたってCDN誘導体で3回IT注入処置した。ML c−di−AMP(ML−CDA)及びML c−di−GMP(ML−CDG)での処置は、腫瘍成長に対して中程度の効果を有していた一方、R,Rジチオ誘導体は、顕著に腫瘍の成長を抑制し(図33A)、DMXAA(図33B)及び内因性ML−cGAMP(図33C)と比べて優位により強力であった。しかしながら、ML RR−S2 CDGは、反応源性であり、マウスによっては、処置した腫瘍に開いた傷ができ、治癒しなかった。より低用量レベルのML RR−S2 CDGは、効果的ではなかった。このことは、この分子が狭い治療インデックスを有していることを示している。対照的にML RR−S2 CDAでは、注入部位の反応源性は観察されず、マウスによっては、処置した腫瘍細胞の完全根絶後に、再成長した毛皮上に白斑ができた(データは示されていない)。
異なる遺伝背景をテストするために、確立されたCT26結腸または4T1乳腺癌を有するBALB/cマウスをML RR−S2 CDAで処置した。処置したすべての動物が、有意かつ耐久性のある腫瘍退縮を示した。最初の腫瘍から治癒したマウスは、両腫瘍モデルにおいて、再負荷に対して完全に拒絶性を有しており(図34A及び図41A)、内因性CT26拒絶抗原AH1に対する免疫応答にも改善がみられた(Slansky,et al.,2000)(図34B)。両側にCT26または4T1腫瘍を有するBALB/cマウスにおける片側の腫瘍へのML RR−S2 CDAのIT注入も、反対側の処置していない細胞の有意な退縮を示した(図34C及び図41B)。発明者らは、C57BL/6マウスにもB16メラノーマを接種し、7日後に静脈内にB16メラノーマ細胞を注入した。2週間確立された側腹部の腫瘍をML RR−S2 CDA、DMXAA、またはHBSS対照で処置し、3週間後に肺転移を数えた。側副腫瘍をML RR−S2 CDAで処置されたマウスは、離れた肺転移の成長に対して、DMXAAと比べて、より有意な阻害を示した(図34D)。まとめると、これらの結果は、ML RR−S2 CDAのIT注入が複数の腫瘍型を根絶し、遠位の未処置病巣の成長を有意に抑制する、有効な全身性のCD8+T細胞免疫応答を刺激することを示している。
細胞及び細胞単離
試験管内の実験に使用した細胞は、C57BL/6由来メラノーマ細胞株B16.F10及びB16.F10.SIY(以後B16.SIYと記載)、乳癌OT−1及び4T1細胞株、前立腺癌TRAMP−C2細胞株、結腸癌CT26細胞株であり、すべて元はATCCから購入したものである。線維肉腫Ag104L細胞株は、シカゴ大学のHans Schreiber博士より供与された。すべての細胞は、10%熱非働化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシン、L−アルギニン、L−グルタミン、葉酸、及びL−アスパラギンを含むDMEM中で、7.5%CO2雰囲気下、37℃で維持管理した。
STING−HAタグを過剰発現しているSTING−/−マクロファージを7.5%のNaHCO3で再懸濁した50μg/mlのDMXAA、HBSSで再懸濁した50μMのML RR−S2 CDA、または対照として媒体のみで1時間刺激した。インキュベーション後に、細胞を抗CD11b−APC(M1/70、BioLegend)、ウサギ抗HAタグ(C29F4、Cel Signaling)及び抗ウサギIgG−PE(Invitrogen)、ならびにDAPI(Invitrogen)で細胞を染色した。単一細胞画像は、ImageStreamxMark II(Amnis)で取得し、データは、IDEASソフトウェアを使用して解析した。
WT、STING−/−マクロファージ、ならびにSTING−HAまたは空のベクターを発現しているSTING−/−マクロファージを50μg/mlのDMXAAで0、15、60または180分刺激した。WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCは、25μg/mlのDMXAAで刺激し、その際、当該刺激時間条件は、マクロファージ刺激時と同一である。タンパク質は、プロテアーゼ阻害剤(Thermo scientific)及びホスファターゼ阻害剤(Sigma)を含むTriton−X緩衝液(150mMの塩化ナトリウム、50mMのTris、1%のTriton−X、pH8.0)で抽出した。30μgのタンパク質を、10%SDS−PAGEゲル中で電気泳動し、Immobilon−FL膜(Millipore)上へ転写した。ブロットは、リン酸化TBK1(Ser172)、リン酸化IRF3(Ser396)、全TBK1、STINGならびにGAPDH(Cell Signaling)または全IRF3(Invitrogen)特異的抗体と共にインキュベートした。STINGを安定発現しているHEK293T株由来のタンパク質は、M−PER(Thermo Scientific)を使用して抽出した。6μgのタンパク質を4−12%MES NuPAGEゲル(Life Technologies)へ負荷し、ニトロセルロースへ転写した後、抗HA抗体(Santa Cruz)で探索した。抗ウサギIRDye 680RD標識二次抗体をOdyssey Imagingシステム(LI−COR)でのバンドの可視化に使用した。
WTまたはSTING−/−マクロファージ、及びWTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを50μg/mlのDMXAAで刺激した。条件培地を4時間後に回収した。IFN−β濃度は、VeriKine(商標) Mouse Interferon Beta ELISA Kit(PBL interferon source)を使用して評価した。
WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを25μg/mlのDMXAAまたは100ng/mlのLPSで4時間刺激した。全RNAは、RNeasy(登録商標)キット(Qiagen)を使用して単離し、Deoxyribonuclease I、Amplification Grade(Invitrogen)と共にインキュベートした。cDNAは、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystem)を使用して合成し、7300 Real Time PCRシステム(Applied Biosystem)を使用して、マウスINF−β、TNF−α、IL−6、及びIL−12p40に特異的なプライマー/プローブによるリアルタイムqRT−PCRで、サイトカインの発現を測定した。結果は、18sを内因性対照として使用し、2−ΔCtとして示した。
WTまたはSTING−/−マウス由来のBM−DCを25μg/mlのDMXAAまたは100ngのLPSで12時間、または50μMのそれぞれのCDNで24時間刺激した。刺激後、細胞を抗CD16/32モノクローナル抗体(93)で15分間事前にインキュベートして潜在的な非特異的結合をブロックし、次に以下の特異的抗体を使用した。抗CD11c−Pe−Cy7またはAPC(N418)、抗CD11b−PerCP−Cy5.5(M1/70)、抗CD40−PE(3/23)、抗CD80−APC(16−10A1)、抗CD86−FITCまたはPE(GL1)ならびに抗IA/IE−PBまたはFITC(M5/114.15.2)。染色した細胞は、LSR IIサイトメーターを使用して、FACSDivaソフトウェア(BD)またはFACSVerseを使用してFACsuiteソフトウェアで解析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)で実施した。
C57BL/6、BALB/c、C3H/He及びTCRα−/−マウスは、Jackson and Charles Riverより入手した。RAG2−/−マウスはTaconicより入手した。Tmem173−/−(STING欠損)マウスは、G.Barber博士(マイアミ大学)より供与され、STING−/−(goldenticket)マウスは、Jacksonから購入した。
106個のB16−SIY腫瘍細胞、5×104個のB16.F10腫瘍細胞、105の4T1及びCT26、または106個の他の腫瘍細胞を含む100μlのDPBSまたはHBSSをマウスの右側腹部の皮下に注入した。腫瘍移植後、マウスは処置群へと無作為化した。腫瘍が体積で100〜200mm3(5〜7mm幅)であるときに、7.5%のNaHCO3に再懸濁したDMXAA、またはHBSSもしくは媒体対照中で調製されたCDNを1回もしくは3回投与のいずれかでIT注入した。腫瘍の測定は、ノギスを使用して週に2回実施し、腫瘍体積は、式:V=(長さ×幅2)/2を使用し、計算した。実施例によっては、腫瘍が無い生き残りに、最初の腫瘍の注入から数週間後に反対側の側腹部に腫瘍細胞を再負荷した。未処置のマウスを対照として使用した。対側性の実施例では、マウスの両側腹部へ移植し、片方の腫瘍のみ処置した。B16メラノーマの肺転移の実施例では、0日目にマウスの側腹部に、5×104個の細胞のB16.F10を移植し、7日目に静脈内に1×105個の細胞を静脈内に注入した。肺は28日目に回収した。化合物の投与、腫瘍の測定、及び肺腫瘍のカウントは、盲検方式で実施した。
CD8+T細胞の欠乏のために、マウスCD8(43.2)に対するラットのモノクローナル抗体またはアイソタイプ対照であるIgG2b(BioXcell)を、マウスあたり250μgの用量でマウスへ毎週IP投与した。異なる抗CD8のクローン(53−6.7、Biolegend)を使用したフローサイトメトリーで評価したように、この投与レジメンは、末梢血でCD8+T細胞の約99%欠乏をもたらした、
脾細胞は、DMXAAの最初のIT注入から5日後に分析した。ELISPOTのために、脾細胞をウェルあたり106個でプレートに播き、SIYペプチド(160nM)もしくはAH1(1μM)、陽性対照としてイオノマイシン(0.5μM)を添加したPMA(50ng/ml)、または陰性対照として培地で一晩刺激した。スポットは、製造者の指示書に従ってBDマウスIFN−γキットを使用して生成させ、スポットの数をImmunospot Series 3 Analyzerを使用して測定し、Immunospotソフトウェア(Cellular Technology Ltd)を使用して解析した。SIYペンタマー染色のために、脾細胞を抗CD16/32モノクローナル抗体(93)で15分間事前にインキュベートしてして潜在的な非特異的結合をブロックし、SIYRYYGL(SIY)ペプチドと複合体化したマウスH−2KbからなるPE−MHCクラスIペンタマー(Proimmune)、抗TCRβ−AF700(H57−597)、抗体CD8−Pacific Blue(53−6.7)、抗CD4−Pacific Orange(RM4−5)(すべての抗体はBioLegendより入手)及びFixable Viability Dye eFluor450(eBioscience)を使用して標識した。染色細胞は、LSR IIサイトメーターを使用してFACSDivaソフトウェア(BD)で解析した。データ解析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して実施した。
改変したCDN誘導体分子は、以前に説明されている(Gaffney,et al.,2010)、Gaffneyの「ワンポット(one−pot)」調製方法の変法に従って合成した。CDN分子の合成には、ホスホラミダイト鎖状カップリング及びH−ホスホネート環化反応を利用した。ジチオCDNの合成は、分子間リン酸架橋の非架橋酸素原子を硫黄原子で置換する硫黄化反応によって実現した。例えば、ML RR−S2 CDAとして図38Bに示されている、ジチオ−(Rp,Rp)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]]の5ミリモルスケールでの合成は、5’−O−DMTr−3’−O−TBDMS−アデノシン(N−Bz)−2’−CEP及び5’−O−DMTr−2’−O−TBDMS−アデノシン(N−Bz)−3’−CEPのH−ホスホネートで実施した。直鎖二量体の形成で生成したリンIII中間体(ホスファイトトリエステル段階)及び環状ジヌクレオチド(H−ホスホネートジエステル段階)は、それぞれ3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチオアゾール−5−チオン(DDTT)及び3−H−1,2−ベンゾジチオール−3−オンで処理した。2回目の硫黄化後の粗反応液は、シリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、完全保護されたML S2 CDAのRR及びRS−ジアステレオマー混合物を得た。メタノール及び濃縮アンモニア水を使用したベンゾイル及びシアノエチルの脱保護により、ビス−TBS−ML−S2 CDAをRR及びRS−ジアステレオマーの混合物として取得し、C−18分取HPLCにより分離した。精製されたビス−TBS−ML RR−S2 CDAは、TEA−3HFで脱保護し、1Mの重炭酸トリエチルアンモニウムで中和してC18 SepPakで脱塩し、ML RR−S2 CDAをビス−トリエチルアンモニウム塩として95%を超える純度で得た。もう一つの方法として、TEA基をナトリウムまたはアンモニウムカウンターイオンのいずれかでイオン交換により交換し、凍結乾燥してから、10mMのTris pH7/1mMのEDTA緩衝液へ5mg/mL近くとなるよう再懸濁し、0.2ミクロンフィルターを通過させてろ過滅菌することで、最終産物を、分析HPLCで決定されたとおり(図38A)、95%以上の純度で得た。高分解能フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT−ICR)により、予想組成式を以下のとおり確認した。[M−H]− C20H23N10O10P2S2での算出値689.0521、測定値689.0514。1H NMR(データは示されていない)及び31P NMR(図38Aのy軸)の両スペクトルは、ML RR−S2 CDAと一致していた。ホスホジエステル結合の位置化学の直接的な証拠は、1H−32P HMBC(異核多結合相関分光法)実験と、リボースプロトン(図38Aのx軸に示されている)の帰属のための1H−1H COSY(相関NMR分光法)との組み合わせにより得られた。実施例において使用前には、すべての合成調製物は、LALアッセイによりエンドトキシンが存在しない(<1EU/mg)ことを確認した。
ゲノムDNAは、104のPBMCからQuick Extract DNA Extraction Solution(Epicentre)を使用して単離し、hSTINGのエクソン3、6、及び7の領域を増幅するために使用した。増幅及びシークエンスのためのプライマーを表1に収載する。
104個ののHEK293T細胞を96ウェルプレートに播き、ヒトIFN−βホタルレポータープラスミド46及び基準化のためのTK−Renillaルシフェラーゼレポーターを一過性にトランスフェクトした(Lipofectamine 2000)。翌日、均一な取り込みを保つため、ジギトニン透過処理(50mM HEPES、100mM KCL、3mM MgCl2、0.1mM DTT、85mM スクロース、0.2% BSA、1mM ATP、0.1mM GTP、10ug/mlジギトニン)を使用して、細胞を10μMのそれぞれのCDNまたは100μg/mlのDMXAAで刺激した。20分後、刺激に使用した混合液を除き、通常培地を添加した。全部で6時間後に、細胞の可溶化液を調製し、Dual Luciferase Assay System(Promega)を使用し、Spectramax M3ルミノメーターでレポーター遺伝子活性を測定した。
X線構造は、カリフォルニア大学バークレー校のCollege of Chemistry X−ray Crystallography Facility(Antonio DiPasquale,PhD)で決定された。X線品質の結晶は、飽和ウェットエタノール溶液から成長させた後、アセトンの緩慢蒸気拡散を実施し、その後ヘキサンの緩慢蒸気拡散を実施し、結晶材料を析出させた。サイズ0.050×0.040×0.010mmの無色のプレートをParatoneオイルと共にCryoloopにマウントした。データは、100(2)Kで、ファイ及びオメガスキャンを使用して窒素ガスストリームにおいて収集した。結晶対検出器の距離は、60mmであり、1.0°の走査幅を使用し、露光時間はフレームあたり10秒であった。データ収集は、θで67.000°までで100%完了した。全部で113285反射を収集し、指数、−19<=h<=19、−24<=k<=24、−26<=l<=29をカバーしている。14929の反射は、0.0445のRintで非対称であった。指数及び単位格子の精密化は、基本、斜方格子を示した。空間群は、P 21 21 21(No.19)であった。データは、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを使用して統合し、SADABSソフトウェアプログラムを使用して調整した。反復法(SHELXT)による解は、完全な重原子位相モデルを与え、提唱モデルと一致した。すべての非水素原子は、full−matrix least squares(SHELXT−2014)を使用し、異方性精密化を実施した。すべての非水素原子は、ライディングモデルを使用して配置した。それらの位置は、SHELXT−2014において適切なHFIXコマンドを使用し、それらの親原子に対して固定した。絶対的な立体化学は、すべてのキラル中心で明確にRであると決定した。X線回折実験より得た座標から開始するB3LYP/6−31G(d)レベルの理論を使用し、ジアニオンモノマーの構造を最適化するためにGaussian09(RevisionA.02)を使用した。最適化において定常点がみつかると、最適化構造の静電ポテンシャル面が計算された。
Studentの対応t検定を両側p値の計算に使用し、Prism6ソフトウェアを使用し、2つの処置群における差異の統計的有意性を推定した。統計的に有意なp値は、図及び説明文においてアスタリスクで標識した。
次の参考文献は、例示的な手順上の、またはその他の詳細補足を本明細書記載事項に対して与える限りにおいて、参照により具体的に本明細書に組み込まれる。
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Claims (32)
- インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)アゴニストの有効量を対象者へ投与することを含む、前記対象者における癌の治療方法であって、前記STINGアゴニストが腫瘍内投与される治療方法。
- 前記STINGアゴニストが核酸、タンパク質、ペプチド、または小分子である、請求項1に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが小分子である、請求項2に記載の方法。
- 前記小分子が環状ジヌクレオチドである、請求項3に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが下記式の化合物である、請求項3に記載の方法。
- 癌治療が、腫瘍のサイズ縮小化または腫瘍の成長抑制としてさらに定義される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが前記対象者へ少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10回投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記対象者が、異なる癌治療をさらに施される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが投与され、その後に前記異なる癌治療が施される、請求項8に記載の方法。
- 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの3日以内に施される、請求項9に記載の方法。
- 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの24時間以内に施される、請求項9に記載の方法。
- 前記異なる癌治療が前記STINGアゴニストの3時間以内に施される、請求項9に記載の方法。
- 前記異なる癌治療が施され、その後に前記STINGアゴニストが投与される、請求項8に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の3日以内に投与される、請求項13に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の24時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが前記異なる癌治療の3時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
- 前記異なる癌治療が、手術、放射線療法、化学療法、毒素療法、免疫療法、寒冷療法、または遺伝子療法を含む、請求項8〜16のいずれかに記載の方法。
- 前記癌がメラノーマ、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、結腸直腸腺癌、消化管間質腫瘍、食道癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌(hepatocellular cancer)、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、移行上皮癌、神経芽細胞腫、形質細胞腫瘍、ウィルムス腫瘍、または肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)である、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
- 前記癌がメラノーマである、請求項18に記載の方法。
- 前記癌が化学療法または放射線抵抗性の癌である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
- 前記対象者が少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、もしくは300μg/kgまたはmg/kgで前記アゴニストを投与される、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが天然に存在しない環状ジヌクレオチドである、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
- 前記STINGアゴニストが下記式の化合物:
- 前記化合物が主にRp,RpまたはRp,Spジアステレオマーの形態である、請求項23に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストがジチオ−(Rp,Rp)−[環状[A(2’,5’)pA(3’,5’)p]](2’−5’、3’−5’混合ジホスホジエステル結合(ML)RR−S2 c−di−AMPもしくはML RR−S2 CDAとも呼ばれる))、ML RR−S2−c−di−GMP(ML−CDG)、ML RR−S2 cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物である、請求項23に記載の方法。
- 前記STINGアゴニストがML RR−S2 CDAである、請求項23に記載の方法。
- 天然に存在しない下記式の化合物:
- 前記化合物がRp,Rpジアステレオマーの形態である、請求項27に記載の化合物。
- 前記化合物がRp,Spジアステレオマーの形態である、請求項27に記載の化合物。
- 前記化合物がML RR−S2 CDA、ML RR−S2−CDG、ML RR−S2−cGAMP、またはそれらのいずれかの混合物である、請求項27に記載の化合物。
- 前記化合物がML RR−S2 CDAである、請求項28に記載の化合物。
- 請求項27〜31のいずれかによる化合物の有効量を対象者に投与することを含む、前記対象者における癌の治療方法。
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