JP2016530248A - ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製する方法 - Google Patents

ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製する方法に関する。一態様では、本発明は、式(I)の化合物を調製する方法に関し、式中、nは0または1であり;mは0または1であり;YはOまたはSであり;RはH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換の第一級または第二級アミノ、および置換または非置換アジドから選択され;R〜Rは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、および置換または非置換アリールから選択され;かつXは、置換または非置換カルボン酸の陰イオン、ハロゲン化物、置換または非置換スルホン酸塩、置換または非置換リン酸塩、置換または非置換硫酸塩、置換または非置換炭酸塩、および置換または非置換カルバミン酸塩から選択される陰イオンである。
【選択図】なし
【化1】

Description

本発明は、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製する方法に関する。
ニコチン酸リボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチドおよびニコチン酸モノヌクレオチドを含むニコチンアミドリボシドおよびその誘導体は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の代謝産物である。図1にβ−アノマー型のニコチンアミドリボシド、ニコチン酸リボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチドおよびニコチン酸モノヌクレオチドを対イオンなしで示す。ニコチンアミドリボシドはNAD前駆体として、酸化的代謝を増進させ、高脂肪食餌性肥満を防ぐことがマウスで示されたことから、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体への関心が大いに高まっている。ニコチンアミドリボシドは天然に存在する化合物であるため、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体は、副作用を引き起こさずに健康面の利益をもたらし得る天然の栄養補給剤として大きな可能性を秘めている。ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を栄養補給剤または別の形で商業的に利用する際の制約の1つとして、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製するための既知の合成プロトコルには短所がいくつかあるため、それらを商業的または産業的利用のためにスケールアップするのには適さないということがある。
国際公開第2007/061798号にはニコチンアミドリボシドおよびその誘導体の調製方法が記載されている。しかし、その開示されている方法には短所が多数みられる。例えば、開示されている方法では、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸塩(TMSOTf)を触媒として用いており、その結果、調製される化合物は必然的にそのトリフラート(OTf)塩の形態になる。トリフラート塩形態のニコチンアミドリボシド、またはその誘導体にはそれに付随する毒性があるため、栄養補給剤として使用するのには適さない。したがって、開示されている方法によって作製される化合物は、調製されたものをそのまま使用するのには適さず、例えば、開示されているように逆相液体クロマトグラフィーを用いて、トリフラート陰イオンを、薬学的に許容されしたがって商業化に適した陰イオンに交換する追加的な段階が必要である。ほかにも、ニコチンアミドリボシドは、特に開示されている方法に用いられるクロマトグラフィー条件下では化学的に不安定である。そのため、用いられるクロマトグラフィー条件は最適な純度に満たないバッチを生じ、かつバッチ内では生成する副生成物の点で大きなばらつきが生じ得ると考えられている。また別の短所は、ニコチンアミドリボシド合成の最終段階で生じる分解を最小限に抑えるために反応温度の慎重な管理が必要であるが、開示されている方法は発熱を伴い、したがって特に大規模な生産体制の場合に、微小環境の温度変動が起こりやすいことである。
Tanimoriら(S.Tanimori,T.OhtaおよびKirihata,Bioorganic & Medical Chemistry Letters,2002,12,1135−1137)およびFranchettiら(P.Franchetti,M.Pasqualini,R.Petrelli,M.Ricciutelli,P.VitaおよびL.Cappellacci,Bioorganic & Medical Chemistry Letters,2004,14,4655−4658)もまたニコチンアミドリボシドの調製方法について記載している。しかし、これらの方法にも、TMSOTfを触媒として用いることによってトリフラート塩の調製物が必然的に生じるという短所がある。
以上をまとめると、開示されている方法には、商業的または産業的利用のためのスケールアップを妨げる障害が存在し、そのため、その方法および生じる化合物の商業上の機会が大いに制約されるという短所がある。
したがって、本発明の目的は先行技術の短所を回避または軽減することである。
本発明の目的はまた、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製するのに有用で効率的な新規な方法を提供することである。
本発明の目的はまた、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体の調製方法であって、調製される化合物に最適な対イオンを導入するために用いられ、それにより栄養補給剤または別のものとして使用するのに適した化合物を作製し得る方法を提供することである。
本発明では、式(I)
Figure 2016530248
の化合物を調製する方法であって、式中、
nが0または1であり;
mが0または1であり;
YがOまたはSであり;
がH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換の第一級または第二級アミノ、および置換または非置換アジドから選択され;
〜Rが、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、および置換または非置換アリールから選択され;かつ
が、置換または非置換カルボン酸の陰イオン、ハロゲン化物、置換または非置換スルホン塩、置換または非置換リン酸塩、置換または非置換硫酸塩、置換または非置換炭酸塩、および置換または非置換カルバミン酸塩から選択される陰イオンであり;
水溶液および炭素含有触媒の存在下で、
式(II)
Figure 2016530248
の化合物であって、式中、
n、m、YおよびR〜Rが上で定義される通りである
化合物を、
式Zの化合物であって、式中、
が上で定義される通りであり、
がN含有陽イオンである
化合物と
反応させて、式(I)の化合物を形成させることを含む、方法が提供される。
任意選択で、Zは、置換または非置換アンモニウム、置換または非置換ピリジニウム、置換または非置換ピロリジニウム、置換または非置換イミダゾリウムおよび置換または非置換トリアゾリウムから選択される。
任意選択で、Zは、式NHRIIIIIの置換または非置換アンモニウムであり、式中、R、RIIおよびRIIIは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、および置換または非置換アリールから選択される。
任意選択で、Zは、式NH の非置換アンモニウムである。
任意選択で、Xは、置換または非置換モノカルボン酸の陰イオンおよび置換または非置換ジカルボン酸の陰イオンから選択される置換または非置換カルボン酸の陰イオンである。
任意選択で、Xは、置換モノカルボン酸の陰イオンであり、さらに任意選択で、置換プロパン酸の陰イオンまたは置換酢酸の陰イオンである。任意選択で、Xは、置換プロパン酸の陰イオンであり、さらに任意選択で、ヒドロキシプロパン酸の陰イオンであり、さらに任意選択で、乳酸である、2−ヒドロキシプロパン酸の陰イオンであり、乳酸の陰イオンは乳酸塩である。任意選択で、Xは、置換酢酸塩である、置換酢酸の陰イオンであり、さらに任意選択で、トリクロロ酢酸塩、トリブロモ酢酸塩およびトリフルオロ酢酸塩から選択されるトリハロ酢酸塩である。さらに任意選択で、トリハロ酢酸塩はトリフルオロ酢酸塩である。
任意選択で、Xは、それぞれギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩および酪酸塩である、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される非置換モノカルボン酸の陰イオンである。
任意選択で、Xは、置換もしくは非置換アミノ−モノカルボン酸の陰イオンまたは置換もしくは非置換アミノ−ジカルボン酸の陰イオンである。さらに任意選択で、Xは、それぞれグルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩である、グルタミン酸およびアスパラギン酸から任意に選択されるアミノ−ジカルボン酸の陰イオンである。
任意選択で、Xは、アスコルビン酸塩である、アスコルビン酸の陰イオンである。
任意選択で、Xは、塩化物、臭化物、フッ化物およびヨウ化物から選択されるハロゲン化物であり、さらに任意選択で、塩化物または臭化物である。
任意選択で、Xは置換または非置換スルホン酸塩である。さらに任意選択で、Xは、トリフルオロメタンスルホン酸塩,トリブロモメタンスルホン酸塩およびトリクロロメタンスルホン酸塩から選択されるトリハロメタンスルホン酸塩である。さらに任意選択で、トリハロメタンスルホン酸塩はトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
任意選択で、Xは置換または非置換炭酸塩であり、さらに任意選択で、炭酸水素塩である。
任意選択で、Xは、塩化物、酢酸塩、ギ酸、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩および乳酸塩から選択される。さらに任意選択で、Xは、塩化物、酢酸塩、ギ酸およびトリフルオロ酢酸塩から選択される。
任意選択で、式Zの化合物は、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスパラギン酸アンモニウム、グルタミン酸アンモニウムおよび乳酸アンモニウムから選択される。さらに任意選択で、式Zの化合物は、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムおよびトリフルオロ酢酸アンモニウムから選択される。
任意選択で、式(II)の化合物と炭素含有触媒は、それぞれ約10:1〜約1:10、任意選択で約5:1〜約1:5、さらに任意選択で約4:1〜約1:4、さらに任意選択で約1:1または1:2または1:3または1:4のモル比で存在する。
適切な炭素含有触媒としては、特に限定されないが、活性炭または黒鉛が挙げられる。
本明細書で使用される「活性炭」という用語は、高度に多孔性であるように加工することによって表面積を増大させた炭素含有物質を意味すると意図する。「活性炭(activated carbon)」という用語は、「活性炭(activated charcoal)」という用語と同義であると意図する。活性炭は、粉末および/または繊維および/または顆粒および/またはペレットの形態であり得る。任意選択で、活性炭は金属の担体としての役割を果たし得る。適切な金属としては、特に限定されないが、遷移金属が挙げられる。適切な遷移金属としては、特に限定されないが、任意選択でルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金、またはその組合せから選択される白金族金属が挙げられる。
任意選択で、水溶液は実質的に水からなる。
任意選択で、水溶液は水に加えて有機溶媒を含む。
適切な有機溶媒としては、特に限定されないが、置換または非置換エーテル、置換または非置換エステル、置換または非置換ケトン、置換または非置換の脂肪族または芳香族炭化水素、およびその組合せが挙げられる。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、およびテトラヒドロピラン、またはその組合せから選択されるエーテルを含む。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチルおよび酢酸n−ブチル、またはその組合せから選択されるエステルを含む。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、メチルイソブチルケトンおよびメチルイソプロピルケトン、またはその組合せから選択されるケトンを含む。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタン、またはその組合せから選択される非置換脂肪族炭化水素溶媒を含む。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、置換脂肪族炭化水素溶媒を含み、任意選択でハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、さらに任意選択で、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタンおよびトリクロロエチレン、またはその組合せから選択される塩素化脂肪族炭化水素溶媒を含む。
有機溶媒が存在する場合、有機溶媒は任意選択で、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン、またはその組合せから選択される芳香族炭化水素溶媒を含む。
任意選択で、水溶液は、水と有機溶媒をそれぞれ約1:5〜約5:1、任意選択で約1:3〜約3:1、さらに任意選択で約1:2〜約2:1、さらに任意選択で約1:1の体積比で含む。
任意選択で、反応は、pH約6〜約8、任意選択でpH約6.5〜約7.5の範囲で実施される。
任意選択で、反応は、約10℃〜約40℃、任意選択で約15℃〜約35℃、さらに任意選択で約15℃〜約30℃、さらに任意選択で約15℃〜約20℃、さらに任意選択で約20℃〜約25℃の温度で、さらに任意選択で、約20℃または21℃または22℃または23℃または24℃または25℃の温度で実施される。
任意選択で、反応は、約1分〜約180分、任意選択で約2分〜約120分、さらに任意選択で約5分〜約120分、さらに任意選択で約10分〜約120分、さらに任意選択で約20分〜約120分、さらに任意選択で約30分〜約120分、さらに任意選択で約60分〜約120分、さらに任意選択で約60分〜約90分、さらに任意選択で約60分または70分または80分の時間の間実施される。
任意選択で、この方法は、調製した式(I)の化合物から炭素含有触媒を除去するろ過段階をさらに含む。ろ過段階に用いるのに適切なろ過手段としては、特に限定されないが、シリンジフィルターおよび/または紙フィルター、ならびに/あるいはフィルターとしての役割を果たすことができる任意の不活性で不溶性の物質、例えばアルミナおよび/またはシリカおよび/または珪藻土などが挙げられる。これ以外の任意の適切なろ過手段を用い得ることが理解されよう。
本明細書で使用される「置換(されている)」という用語は、通常の原子価を超えず、置き換えによって安定な化合物が生じることを条件として、任意の1つまたは複数の水素原子が任意の適切な置換基に置き換わっていることを意味すると意図する。適切な置換基としては、特に限定されないが、アルキル、アルキルアリール、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン化物、ヒドロキシル、カルボン酸塩、カルボニル(アルキルカルボニルおよびアリールカルボニルを含む)、リン酸塩、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシルアミノ、ジヒドロキシルアミノ、アルキルヒドロキシルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、チオール(アルキルチオール、アリールチオールおよびチオカルボン酸塩を含む)、硫酸塩、ニトロ、シアノおよびアジドが挙げられる。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子、任意選択で1〜10個の炭素原子、さらに任意選択で1〜8個の炭素原子、さらに任意選択で1〜6個の炭素原子、さらに任意選択で、1個または2個または3個または4個または5個の炭素原子を有する、置換または非置換、飽和または不飽和、任意選択で飽和、直鎖状、分岐状または環状の、脂肪族炭化水素を意味すると意図する。適切なアルキルとしては、特に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。任意選択で、YがOであり、nが1であり、mが1である場合、エチルが好ましい。
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間二重結合を有し、2〜12個の炭素原子、任意選択で2〜10個の炭素原子、さらに任意選択で2〜8個の炭素原子、さらに任意選択で2〜6個の炭素原子、さらに任意選択で、2個または3個または4個または5個の炭素原子を有する、置換または非置換、直鎖状、分岐状または環状の、脂肪族炭化水素を意味すると意図する。適切なアルケニル基としては、特に限定されないが、エテニル、プロペニルおよびブテニルが挙げられる。
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素間三重結合を有し、2〜12個の炭素原子、任意選択で2〜10個の炭素原子、さらに任意選択で2〜8個の炭素原子、さらに任意選択で2〜6個の炭素原子、さらに任意選択で、2個または3個または4個または5個の炭素原子を有する、置換または非置換で、直鎖状、分岐状または環状の、脂肪族炭化水素を意味すると意図する。適切なアルキニル基としては、特に限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニルなどが挙げられる。
本明細書で使用される「アリール」という用語は、置換、非置換、単環式または多環式の芳香族炭化水素を意味すると意図する。適切なアリールとしては、特に限定されないが、置換または非置換フェニル、および置換または非置換ヘテロアリールが挙げられる。
任意選択で、置換または非置換の第一級または第二級アミノは、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、置換または非置換ヒドロキシルアミノ、置換または非置換ジヒドロキシルアミノ、および置換または非置換アルキルヒドロキシルアミノから選択される。
任意選択で、置換または非置換アジドは、置換または非置換アルキルアジドおよび置換または非置換アリールアジドから選択される。
nが0でありmが0である場合、Rは、必要に応じてピリジン環またはピリジニウム環に直接結合していることが理解されよう。
任意選択で、式(I)の一実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、R〜RはそれぞれHであり、かつXは塩化物、酢酸塩、ギ酸塩およびトリフルオロ酢酸塩から選択される。
任意選択で、式(II)の一実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、かつR〜RはそれぞれHである。
任意選択で、式(II)化合物と式Zの化合物は、それぞれ約1:5〜約5:1、任意選択で約1:3〜約3:1、さらに任意選択で約1:2〜約2:1、さらに任意選択で約1:1のモル比で存在する。
任意選択で、この方法は、任意選択でマグネチックスターラーまたはメカニカルスターラーを用いて、さらに任意選択でオーバーヘッド式のメカニカルスターラーを用いて反応物を攪拌することを含む。
一実施形態では、式(I)の化合物の調製に使用する炭素含有触媒を活性炭カラム、例えば、Sigma Aldrich社が商標名NORIT(商標)もしくはDARCO(商標)で供給している活性炭材料、またはCarboChem社(W Lancaster Ave、アードモア、ペンシルバニア州19003、米国)製の活性炭材料などのような活性炭材料、あるいはThalesNano社(Graphisoft Park、Zahony u.7.H−1031 ブダペスト、ハンガリー)製のCatCart Packer(商標)カラムに入った炭素担持触媒の形態で準備し得る。この実施形態では、活性炭カラムを、特に限定されないが、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)もしくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システム、または上に詳細を記したThalesNano社から入手可能なThalesNano(商標)Hキューブシステムとこれに関連するフローリアクターなどのフローケミストリーシステムを含む、任意の適切な液体クロマトグラフィーシステムの一部として使用し得る。この場合、式(II)の化合物が340nmでのUVによって検出されなくなるまで反応物を連続的にカラムに再循環させる。
任意選択で、式(III)
Figure 2016530248
の化合物であって、式中、
n、m、YおよびR〜Rが上で定義される通りであり;
、RおよびRが、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してヒドロキシル保護基である
化合物を、
脱保護剤と
反応させて式(II)の化合物を形成させることによって、式(II)の化合物を調製する。
適切なR、RおよびR部分としては、特に限定されないが、エステル型保護基、エーテル型保護基、およびシリル型保護基が挙げられる。
本明細書で使用される「エステル型保護基」という用語は、ヒドロキシル保護の目的でエステル結合を形成する保護基を意味すると意図し、この保護基は置換されていても置換されていなくてもよい。適切なエステル型保護基としては、特に限定されないが、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ベンゾイル、およびトリハロアセチル、任意選択でトリフルオロアセチルまたはトリクロロアセチルが挙げられる。
本明細書で使用される「エーテル型保護基」という用語は、ヒドロキシル保護の目的でエーテル結合を形成する保護基を意味すると意図し、この保護基は置換されていても置換されていなくてもよい。適切なエーテル型保護基としては、特に限定されないが、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、メトキシメチルエーテルおよびアリルエーテルが挙げられる。
本明細書で使用される「シリル型保護基」という用語は、ヒドロキシル保護の目的でシリルオキシ結合を形成する保護基を指す。その具体例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルおよびテトライソプロピルジシリルである。
任意選択で、R、RおよびR部分は、置換および非置換アセチル、ならびに置換および非置換ベンゾイルから選択される。
任意選択で、R、RおよびRのうち少なくとも2つは、非置換アセチルまたは非置換ベンゾイルから選択される。
任意選択で、脱保護剤は酸または塩基である。脱保護はまた、芳香族エーテル保護基の接触水素化(Pd/C;H)によりおよびあらゆるシリルエーテルのフッ化物触媒化学反応(例えば、TBAFのTHF溶液)によって達成できる。任意選択で、R、RおよびRがそれぞれ非置換アセチルまたは非置換ベンゾイルを含む場合、脱保護剤は塩基であり、任意選択でNH、NaCOおよびNaOHから選択される。当業者には、他の任意の従来の脱保護剤を使用し得ることが理解されよう。
任意選択で、反応をプロトン性溶媒もしくは非プロトン性溶媒またはその組合せの存在下で実施する。
適切なプロトン性溶媒としては、特に限定されないが、水、置換もしくは非置換アルコール、またはその組合せが挙げられる。適切な置換アルコールとしては、置換または非置換フッ素化アルコールが挙げられる。適切な非置換アルコールとしては、メタノール、エタノールおよびプロパノール、任意選択でメタノールが挙げられる。
適切な非プロトン性有機溶媒としては、特に限定されないが、上で定義されるような、置換もしくは非置換エーテル、置換もしくは非置換エステル、置換もしくは非置換ケトン、置換もしくは非置換脂肪族炭化水素、およびその組合せが挙げられる。
任意選択で、反応物に機械的粉砕を、さらに任意選択でボールミルまたは遊星ボールミル粉砕機を用いる機械的粉砕を実施する。
任意選択で、式(III)の一実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、R〜RはそれぞれHであり、かつR〜Rはそれぞれアセチルである。
さらに任意選択で、式(III)の別の実施形態では、nは1であり、YはOであり、mは1であり、Rはエチルであり、R〜RはそれぞれHであり、かつR〜Rはそれぞれアセチルである。さらに任意選択で、式(III)の別の実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、R〜RはそれぞれHであり、かつR〜Rはそれぞれベンゾイルである。
任意選択で、式(IV)
Figure 2016530248
の化合物であって、式中、
n、m、Y、R〜RおよびXが上で定義される通りである
化合物を、
還元剤、水溶液および有機溶媒と
反応させて式(III)の化合物を形成させることによって、式(III)の化合物を調製する。
任意選択で、X−は、アスコルビン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、乳酸塩および酢酸塩から選択される。
適切な有機溶媒は、式(II)から式(I)の化合物を調製することに関して上に明記される通りである。
任意選択で、R、RおよびRのうち少なくとも2つが非置換アセチルを含む場合、有機溶媒はジクロロメタン、1,2−クロロエタン、酢酸n−ブチル、クロロホルムおよび酢酸エチル、またはその組合せから選択され、さらに任意選択で酢酸エチルである。
任意選択で、R、RおよびRのうち少なくとも2つが非置換ベンゾイルを含む場合、有機溶媒はトリクロロエチレン、四塩化炭素、ジイソプロピルエーテル、トルエン、メチルert−ブチルエーテル、ベンゼンおよびジエチルエーテル、またはその組合せから選択され、さらに任意選択でジエチルエーテルである。
任意選択で、還元剤は亜ジチオン酸ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムから選択される。
任意選択で、この方法は、還元剤、水溶液および有機溶媒を同時に添加すること;または還元剤、水溶液および有機溶媒を任意の順序で逐次添加すること;またはその組合せを含み得る。
任意選択で、水溶液は実質的に水からなる。
任意選択で、水溶液と有機溶媒は、水相と有機相とを含む二相溶液を形成することが理解されよう。
任意選択で、この方法は、
水相から有機相を分離する段階;および
有機溶媒から式(III)の化合物を抽出する段階
をさらに含む。
当業者であれば、ヒドロキシル保護基R、RおよびRは、還元型の式(III)の化合物がいったん調製されると水溶液(水相)および有機溶媒(有機相)によって形成される二相性反応媒体の有機相内に移動する程度に、親油性である必要があることを理解するであろう。
任意選択で、反応物に機械的粉砕を、さらに任意選択で、ボールミルまたは遊星ボールミル粉砕機を用いる機械的粉砕を実施する。
任意選択で、式(IV)の一実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、R〜RはそれぞれHであり、R〜Rはそれぞれアセチルであり、かつXOTfである。
さらに任意選択で、式(III)の別の実施形態では、nは1であり、YはOであり、mは1であり、Rはエチルであり、R〜RはそれぞれHであり、R〜Rはそれぞれアセチルであり、かつXOTfである。
さらに任意選択で、式(III)の別の実施形態では、nは0であり、mは1であり、RはNHであり、R〜RはそれぞれHであり、R〜Rはそれぞれベンゾイルであり、かつXOTfである。
本発明では、本明細書に開示される方法から誘導可能な化合物も提供される。
本発明では、式(I)
Figure 2016530248
の化合物であって、式中、
n、m、Y、R〜RおよびXが上で定義される通りである
化合物が提供される。
任意選択で、Xは、酢酸塩、ギ酸およびトリフルオロ酢酸塩から選択される。
任意選択で、式(I)の化合物は式(IA)
Figure 2016530248
を有し、すなわちβ−アノマーであり、式中、n、m、Y、R〜RおよびXは上で定義される通りである。
任意選択で、式(II)の化合物は式(IIA)
Figure 2016530248
を有し、すなわちβ−アノマーであり、式中、n、m、YおよびR〜Rは上で定義される通りである。
任意選択で、式(III)の化合物は式(IIIA)
Figure 2016530248
を有し、すなわちβ−アノマーであり、式中、n、m、YおよびR〜Rは上で定義される通りである。
任意選択で、式(IV)の化合物は式(IVA)
Figure 2016530248
を有し、すなわちβ−アノマーであり、式中、n、m、Y、R〜RおよびXは上で定義される通りである。
本発明の利点としては、特に限定されないが、以下の点が挙げられる:
(1)式(II)の化合物から式(I)の化合物を調製することは、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体に最適な対イオンを導入するのに効率的な方法を提供する。式(II)の化合物、例えば還元型NRHから出発して、所望の対イオンを導入し得る。さらに、トリフラート塩形態の式(IV)の化合物を用いることによってこの方法を開始したとしても、本発明の方法により、簡便かつ効率的な方法の間にトリフラート陰イオンを最適な対イオンに交換することが可能である。したがって、本開示の方法は、栄養補給剤または別のものとして使用可能な化合物の調製を都合よく可能にする。
(2)本発明は、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体を調製する立体選択的な方法を提供し、所望のβ−アノマーを生成する。これは、例えば、立体選択的ではなく望ましくないα−アノマーを大量に生成する、Tanimoriらとは対照的である。さらに、本発明の方法は有用で、効率的であり、かつ産業および商業化のためにスケールアップが容易であり、ならびに溶媒の使用、精製および反応時間を最小限に抑える。例えば、式(II)の化合物から式(I)の化合物を調製するための本発明の方法は、2時間未満で定量的収率をもたらして都合よく完了する。式(IV)の化合物から出発して式(I)の化合物を調製する方法もまた非常に効率的であり、非常に高い収率をもたらす。この方法は室温で都合よく実施し得る。
(3)本明細書に記載される方法は、ニコチンアミドリボシドだけでなく、TanimoriらまたはFranchettiらが開示していない全範囲の誘導体も調製できる。誘導体には、ニコチンアミドリボシドの誘導体だけでなく、還元型ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体も含まれる。さらに、本明細書には記載されていないが、当業者であれば、式(II)の化合物から出発して、ニコチンアミドリボシドおよびその誘導体のリン酸化親化合物、例えば、ニコチンアミドモノヌクレオチドおよびニコチン酸モノヌクレオチドを容易に入手できることが理解されよう。
(4)式(IV)の化合物から式(III)の化合物を調製するのに使用する保護基は、容易な抽出のために、それらが反応媒体の有機相内への式(III)の化合物の移動を容易にするのに十分脂溶性であるよう有利に選択される。
(5)本明細書に記載される方法は、式(I)の化合物が約6〜約8の中性のpH範囲で調製されることを可能にする反応物を都合よく用いる。例えば、式(II)の化合物から式(I)の化合物を調製する際に、この中性のpH範囲によって、酸に不安定な出発物質(式(II)の化合物)および塩基に不安定な最終生成物(式(I)の化合物)の両方を、反応中に安定であるようにできる。
(6)本発明者らは、驚くべきことに、N含有陽イオンをZ(プロトン供給源)として使用することにより、式(II)の化合物から式(I)の化合物の、定量的収率での、および、項目(5)で言及したように、中性のpH範囲での効率的な調製を都合よく可能にすることを発見した。理論に束縛されることを望むものではないが、プロトン供給源のZは、中性のpH範囲内で平衡状態でプロトン化した有機塩基の共役酸でなければならないことが提唱される。本発明者らは、プロトン供給源ZとしてN含有陽イオンを用いることによって、プロトン供給源のN原子が式(II)の化合物のジヒドロピリジンのN原子のpKaよりも大きいpKaを有することを提唱する。したがって、簡潔に言えば、この相対的なpKa値によって、ジヒドロピリジンのN原子が酸化される(本発明者らは、この酸化は炭素含有触媒によって促進されることを提唱する)まで、プロトン供給源Z(すなわち、N−H)のN原子がプロトンHを捉えている。ジヒドロピリジンのN原子が酸化されて初めてそれはプロトン供給源Zによってプロトン化される。本発明者らは、N原子を含むもの以外のプロトン供給源、例えば、P−Hを含むホスホニウム陽イオンまたはS−Hを含むスルホニウム陽イオンを用いた場合、そのようなプロトン供給源は反応媒体のpHを中性のpH範囲未満に低下させ、プロトン供給源はこのより低いpH範囲でそれらのプロトンを放出するということを提唱する。この変化によって酸化の前にジヒドロピリジンのN原子がプロトン化され、これによりジヒドロピリジンのC−N結合の望ましくない加水分解が生じることが提唱される。また、C−N結合の望ましくない切断の結果生じるこのジヒドロピリジンの不安定性は、弱酸(例えば、カルボン酸)または強酸(例えば、塩酸、リン酸または硫酸)を用いても生じることが提唱される。したがって、反応を所望する通りに進行させて式(II)の化合物から式(I)の化合物を形成させるpH範囲(中性)でプロトンを放出することが可能なのは、提唱されるようにN含有陽イオンのみであると提唱される。
これより、添付の非限定的な実施例および図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
β−アノマー型のニコチンアミドリボシド、ニコチン酸リボシド、ニコチンアミドモノヌクレオチドおよびニコチン酸モノヌクレオチドを対イオンなしで示す図である。 実施例1に記載されるように、式(IV)の化合物を用いて式(III)の化合物を調製し得ること;実施例2に記載されるように、式(III)の化合物を用いて式(II)の化合物を調製し得ること;および実施例3に記載されるように、式(II)の化合物を用いて式(I)の化合物を調製し得ることを、概略的に説明するスキームAを示す図であり、図中、n、m、Y、R〜RおよびXは上で定義される通りである。 実施例1(A)に記載されるように、トリアセチルニコチンアミドリボシド・トリフラート塩を用いてトリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシドを調製し得ること、実施例2に記載されるように、トリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシドを用いて1−(ベータ−D−リボフラノシル)−1,4−ジヒドロニコチンアミドを調製し得ること、ならびに実施例3(A)、3(E)および3(F)に記載されるように、1−(ベータ−D−リボフラノシル)−1,4−ジヒドロニコチンアミドを用いてニコチンアミドリボシド・塩化物塩を調製し得ることを、概略的に説明するスキームBを示す図である。上記の化合物すべてのβ−アノマーが示されている。スキームBは単に例示的なものであって、本発明がそれに限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解されよう。 β−アノマー型のトリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド(実施例1(A))、トリアセチルO−エチル−1,4−ジヒドロニコチン酸リボシド(実施例1(B))、トリベンゾイル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド(実施例1(C))、および1−(ベータ−D−リボフラノシル)−1,4−ジヒドロニコチンアミド(実施例2)を示す図である。 β−アノマー型のニコチンアミドリボシド・塩化物塩(実施例3(A)、3(E)および3(F))、ニコチンアミドリボシド・酢酸塩(実施例3(B))、ニコチンアミドリボシド・ギ酸塩(実施例3(C))、およびニコチンアミドリボシド・トリフルオロ酢酸塩(実施例3(D))を示す図である。
実施例1
本発明に従って、式(III)の化合物を以下の通りに調製した。以下の実施例に記載される反応媒体のpHは約6〜8の範囲内であった。
実施例1(A):還元型トリアセチルニコチンアミドリボシド、すなわち、式(III)の化合物であるトリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド(図4にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
還元:全溶媒を、使用前に超音波処理およびアルゴンバブリングにより脱気した。マグネチックスターラーを備えた清潔で乾燥した丸底フラスコに亜ジチオン酸ナトリウム(0.656g、3.76mmol、2当量)および炭酸水素ナトリウム(0.79g、9.40mmol、5当量)を加え、不活性雰囲気下に置いた。次いで、式(IV)の化合物、すなわちトリアセチルニコチンアミドリボシド・トリフラート(CFSO 、−OTfとしても知られる)塩(1g、1.88mmol、1当量)を最小量の水(10ml未満)に溶かし、反応容器に徐々に加えた。反応が安定した後、反応物がすべて溶けるまでさらに水を加え(10ml未満)、20分間攪拌した。次いで、水溶液を半量のジクロロメタン(DCM)で3回抽出した。DCM画分を収集し減圧下で濃縮して、トリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド誘導体(トリアセチル−NRH)を残存する出発物質(5%未満)とともに得た。水層を2回目の上記条件に供して収率を平均65%に増大させた。DCMの代わりに酢酸エチルも優れた代替抽出溶媒であり、75%の収率が得られた。
H−NMR(MeOD,400MHz)−δ7.15(s,1H,H−5),5.95(d,1H,J=7.21Hz,H−6),5.25(d,1H,J=2.84Hz)および5.17(d,1H,J=1.80Hz)(H−8およびH−7),4.96(d,1H,J=7.09Hz,H−4),4.87(ABX,1H,Jaa=8.18Hz,Jab=3.60Hz,H−9),4.26(d,2H,J=3.20Hz,H−10&H−10’)4.19(m,1H,J=3.00Hz,H−3),3.13(m,2H,J=1.18Hz,H−2),2.13(s,3H),2.11(s,3H),2.10(s,3H)(H−13,H−15,H−17)。13C−NMR(MeOD,125MHz)−δ172.80(C−11),170.40(C−12,C−14,C−16),137.90(C−5),125.20(C−4),105.12(C−6),95.24(C−3),83.49(C−9),71.18(C−8),70.26(C−7),61.55(C−10),22.16(C−2),21.52(C−13,C−15,C−17)。HMRS m/z:383.1445;計算質量:383.1454。
式(IV)の化合物、すなわちトリアセチルニコチンアミドリボシド・トリフラート(−OTf)塩を以下の通りに調製した。以下のVorbruggen反応を介してβ選択性を強制するため、ニコチンアミド(10g、81.89mmol、1当量)をHMDS(100ml)中130℃にて定量的収率でTMSCl(15.6ml、122.85mmol、1.5当量)を用いてシリル化した。5当量のTMSOTfの存在下で、リボーステトラアセタート(四酢酸リボシドとしても知られる)を、得られたシリル化ニコチンアミドと反応させた。反応物を、直径5mmの鋼製ボールベアリングを備えた1.5mlの鋼製容器中で、MM400ミキサーミルで25Hzにて0.5時間振盪させた。この時点で、形成されたトリアセチル化ニコチンアミドリボシド(式(IV)の化合物)を単離できた。トリアセチルニコチンアミドリボシドは、これと全く同じ方法により生成されるとは限定されず、例えば、国際PCT特許公開第2007/061798号またはT.Yang,N.Y.K.ChanおよびA.A.Sauve,Journal of Medical Chemistry,2007,50,6458−6461に記載されるように従来のVorbruggen反応を用いて生成し得ることが理解されよう。
H−NMR(MeOD,400MHz)−δ9.61(s,1H,芳香族),9.30(dt,1H,J=6.3,1.4Hz,芳香族),9.10(dt,1H,J=8.2,1.4Hz,芳香族),8.37(dd,1H,J=8.2,6.3Hz,芳香族),6.60(d,1H,J=3.9Hz,H−1(アノマー)),5.60(dd,1H,J=5.6,3.9Hz,H−2),5.46(t,1H,J=5.6Hz,H−3),4.81−4.84(m,1H,H−4),4.61(ABX,1H,Ja,a’= 13.1Hz,Ja,b=3.5Hz,H−5),4.51(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja,b=2.8Hz,H−5’),2.20(s,3H,OAc),2.17(s,3H,OAc),2.16(s,3H,OAc)。
13C−NMR(MeOD,125MHz)−δ172.1,171.6,171.2(3×=OCH),164.9(=ONH)147.0,144.3,142.3,136.2,129.6,(芳香族),121.6(q,J=320.2Hz,CF),99.4(C−1(アノマー)),84.4(C−4),77.6(C−2),70.7(C−3),63.5(C−5),20.7(OAc),20.3(OAc),20.2(OAc)。
19F−NMR(MeOD,376MHz)−δ−79.9(トリフラート対イオン)
実施例1(B):還元型トリアセチルニコチン酸エステルリボシド、すなわち、式(III)の化合物であるトリアセチルO−エチル−1,4−ジヒドロニコチン酸リボシド(図4にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
還元:式(IV)の化合物、すなわちトリアセチルO−エチルニコチン酸リボシド・トリフラート(−OTf)塩(2.30g、4.2mmol、1当量)を20mLのHOに溶かし、NaHCO(1.77g、21.0mmol、5当量)と亜ジチオン酸ナトリウム(1.47g、8.22mmol、2当量)を30mLのHOに溶かした溶液を加え、2時間攪拌した。次いで、得られた黄色の溶液を2×酢酸エチル(EtOAc、40mL)で洗浄し、有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して2,3,5−トリアセチルO−エチル−1,4−ジヒドロニコチン酸リボシド(黄色油)900mg(収率39%)を得、それ以上精製しなかった。H−NMRによる純度は80%であった。
H−NMR−δ7.27(1H,s,H−6),6.05(1H,dd,J=8.2,1.5Hz,H−7),5.26(1H,dd,J=5.8,2.8Hz,H−3),5.23(1H,dd,J=6.9,5.8Hz,H−2),5.08(1H,d,J=6.9Hz,H−1),4.91(1H,dt,J=8.3,3.5Hz,H−8),4.24−4.30(3H,m,H−4,H−5,H−5’),4.11(2H,q,J=7.2Hz,H−11),3.04−3.06(2H,m,H−9),2.16(3H,s,OAc),2.12(3H,s,OAc),2.09(3H,s,OAc),1.25(3H,t,J=7.2Hz,H−12)。
13C−NMR−δ172.2,171.5,171.3,169.8,(3×=O−CHおよび=O−OEt),139.9(C−6),126.3(C−7),106.4(C−8),101.5(C−10),94.2(C−1),80.4(C−4),72.3(C−2),72.1(C−3),64.8(C−5),61.0(C−11),23.4(C−9),20.7,20.5,20.3(3×C=O−),14.8(C−12)。
式(IV)の化合物、すなわちトリアセチルO−エチルニコチン酸リボシド・トリフラート(−OTf)塩を以下の通りに調製した。上の実施例1(A)に記載した一般的なボールミリングによるVorbruggen法を用いて、リボーステトラアセタート(四酢酸リボシドとしても知られる)をニコチン酸エチル(Sigma Aldrich社)と反応させた。反応物、すなわち1当量の四酢酸リボシド、1当量のTMSOTf、1当量のニコチン酸エチルを直径1.5cmの鋼製ボールベアリングを備えた1.5mlの鋼製容器中で、Retsch MM400ミキサーミルで25Hzにて30分間反応させた。粗反応混合物(一部の未反応のニコチン酸エチルおよび出発糖を10%未満含有する)をそれ以上精製せずに還元段階(上記)に用いた。トリアセチルO−エチルニコチン酸リボシド・トリフラート(−OTf)塩は、これと全く同じ方法により生成されるとは限定されず、例えば、国際PCT特許公開第2007/061798号またはT.Yang,N.Y.K.ChanおよびA.A.Sauve,Journal of Medical Chemistry,2007,50,6458−6461に記載されるように従来のVorbruggen反応を用いて生成し得ることが理解されよう。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.45(s,1H,芳香族),9.14(d,1H,J=6.1Hz,芳香族),9.02(d,1H,J=7.8Hz,芳香族),8.18(t,1H,J=6.7Hz,芳香族),6.51(d,1H,J=4.1Hz,H−1(アノマー)),5.47(t,1H,J=4.4Hz,H−2),5.36(t,1H,J=4.7Hz,H−3),4.81−4.84(m,1H,H−4),4.45−4.48(m,2H,H−5),4.36(q,2H,J=7.0Hz,C=OC CH),2.04(s,3H,OAc),2.02(s,3H,OAc),1.98(s,3H,OAc),1.25(t,3H,J=7.0Hz,C=OCH )。
19F−NMR(DO,376MHz)−δ−79.0(トリフラート対イオン)
実施例1(C):還元型トリベンゾイルニコチンアミドリボシド、すなわち、式(III)の化合物であるトリベンゾイル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド(図4にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
還元(最適化されていない):式(IV)の化合物、すなわちトリベンゾイルニコチンアミドリボシド・トリフラート(−OTf)塩を最小限のメタノールに溶かし、丸底フラスコに移し、この溶液に10mLのHOを加え、回転蒸発によりメタノールの大部分を除去した。出発物質を溶液から沈殿させ、固体が二相系に可溶化するまでジエチルエーテル(EtO)を20mL加えた。NaHCO(420mg、5mmol、5当量)と亜ジチオン酸ナトリウム(348mg、2mmol、2当量)を10mLのHOに溶かした溶液を加え、2時間攪拌した。相を分離し、エーテル層をMgSOで乾燥させ、濃縮してトリベンゾイル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシド(黄色固体)428mg(収率76%)を得、それ以上精製しなかった。H−NMRによる純度は80%であった。Biotage精製により純物質が得られる。
H−NMR−δ8.01−8.04(2H,m,OBz),7.81−7.86(4H,m,OBz),7.25−7.55(9H,m,OBz),7.13(1H,s,H−6),6.01(1H,dd,J=8.2,1.5Hz,H−7),5.68(1H,dd,J=6.2,3.5Hz,H−3),5.57(1H,dd,J=6.7,6.2Hz,H−2),5.29(1H,d,J=6.7Hz,H−1),4.61−4.68(2H,m,H−8,H−5),4.50−4.55(2H,m,H−4,H−5’),3.93−3.94(2H,m,H−9)。
13C−NMR−δ172.7,167.6,166.7,166.6(3×=O−C=ONH),138.1(C−6),134.9,134.8,134.6,130.9,130.8,130.7,130.3,130.0,129.8,129.7(3×OBz),125.7(C−7),105.9(C−8),94.9(C−1),80.3(C−4),72.9(C−2),72.7(C−3),65.4(C−5),23.6(C−9)。
式(IV)の化合物、すなわちトリベンゾイルニコチンアミドリボシド・トリフラート(−OTf)塩を以下の通りに調製した。上の実施例1(A)に記載した一般的なボールミリングによるVorbruggen法を用いて、リボーステトラアセタート(四酢酸リボシドとしても知られる)を、TMS−ニコチンアミド(トリメチルシリルN−トリメチルシリルピリジン−3−カルボキシミダート、Sigma−Aldrich社から入手可能)と反応させた。反応物、すなわち1当量の1−アセタート−トリベンゾアートリボシド、1当量のTMSOTfおよび1当量のTMS−ニコチンアミドを直径1.5cmの鋼製ボールベアリングを備えた1.5mlの鋼製容器中で、Retsch MM400ミキサーミルで25Hzにて30分間反応させた。1当量のDCE(ジクロロエチレン)を必要とし、粗反応混合物(一部の未反応のニコチンアミドおよび出発糖安息香酸を10%未満含有する)をそれ以上精製せずに還元段階(上記)に用いた。トリベンゾイルニコチンアミドリボシド・トリフラート(−OTf)塩は、これと全く同じ方法により生成されるとは限定されず、例えば、国際PCT特許公開第2007/061798号またはT.Yang,N.Y.K.ChanおよびA.A.Sauve,Journal of Medical Chemistry,2007,50,6458−6461に記載されるように従来のVorbruggen反応を用いて生成し得ることが理解されよう。
H−NMR(MeOD,400MHz)−δ9.59(s,1H,芳香族),9.31(d,1H,J=6.4Hz,芳香族),8.94(d,1H,J=8.1Hz,芳香族),8.15(dd,1H,J=8.1,6.4Hz,芳香族),7.90−7.94(m,6H,OBz),7.50−7.54(m,3H,OBz),7.31−7.38(m,6H,OBz),6.79(d,1H,J=3.9Hz,H−1(アノマー)),5.97(dd,1H,5.6,3.9Hz,H−2),5.87(t,1H,J=5.6Hz,H−3),5.13−5.16(m,1H,H−4),4.83−4.91(m,2H,H−5)。
19F−NMR(MeOD,376MHz)−δ−79.1(トリフラート対イオン)
実施例2
式(II)の化合物、すなわちNRH(1−(ベータ−D−リボフラノシル)−1,4−ジヒドロニコチンアミドとしても知られる還元型ニコチンアミドリボシド(図4にそのβ−アノマー型が示されている)を以下の通りに調製した。以下の実施例に記載される反応媒体のpHは約6〜8の範囲内であった。
メカノケミカル(MeOH、NaOH)処理を用いて、還元型トリアセチルニコチンアミドリボシド、すなわち、上の実施例1(A)で調製した式(III)の化合物であるトリアセチル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシドを脱保護してアセチル部分を除去し、NRHを定量的に得た。100mgの(III)を、NaOHを0.05g含有する0.5mLのMeOHに溶かした。化合物を直径1.5cmの鋼製ボールベアリングを備えた1.5mlの鋼製容器中で、Retsch MM400ミキサーミルで25Hzにて30分間反応させた。
1H−NMR(MeOD,400MHz)−δ7.18(s,1H,H−5),6.14(d,1H,J=8.28Hz,H−6),4.85(m,1H,H−3),4.76(d,1H,J=5.77Hz,H−4),4.04(m,2H,H−7およびH−8),3.93(m,1H,J=2.76,H−9),3.72(ABX,1H,Jaa=12.55Hz,Jab=3.51Hz,H−10),3.65(ABX,1H,Jaa=12.55Hz,Jab=4.02Hz,H−10’),3.10(q,2H,J=1.51Hz H−2)。13C−NMR(MeOD,125MHz)−δ172.88(C−11),137.83(C−5),125.29(C−4),105.19(C−6),95.00(C−3),83.54(C−9),71.10(C−8),70.20(C−7),61.61(C−10),22.09(C−2);HRMS m/z:257.1130;計算質量:257.1137。
上記の脱保護段階は、特に限定されないが、還元型トリアセチルニコチン酸エステルリボシド、すなわち、実施例1(B)で調製される2,3,5−トリアセチルO−エチル−1,4−ジヒドロニコチン酸リボシドおよび還元型トリベンゾイルニコチンアミドリボシド、すなわち、実施例1(C)で調製されるトリベンゾイル−1,4−ジヒドロニコチンアミドリボシドを含む、式(III)の他の任意の化合物の脱保護に用い得ることが理解されよう。脱保護段階はまた、特定の必要性に適するように修正してもよい。
実施例3
式(I)の化合物を本発明に従って以下の通りに調製した。以下の実施例に記載される反応媒体のpHは約6〜8の範囲内であった。
実施例3(A):ニコチンアミドリボシド・塩化物塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
式(II)の化合物、すなわちNRH(図2に示される還元型ニコチンアミドリボシド;50mg、0.20mmol、1当量)を5mLのHOに溶かし、次いで、1当量(すなわち、0.20mmol)の塩化アンモニウムを一度に加えた。次いで、活性炭(約10mg、すなわち、0.80mmol)を加え、混合物を室温で約1時間攪拌し、その後ろ過し、凍結乾燥させて、ニコチンアミドリボシドの塩化物塩を定量的に、すなわち、変換率が100%の純粋な生成物として得た。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(dt,1H,J=6.3,1.4Hz,芳香族),8.83(dt,1H,J=8.2,1.4Hz,芳香族),8.13(dd,1H,J=8.2,6.3Hz,芳香族),6.13(d,1H,J=4.3Hz,H−1(アノマー)),4.37(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.31−4.34(m,1H,H−4),4.21(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.90(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja,b=3.5Hz,H−5),3.75(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=2.8Hz,H−5’)。
NRHは、実施例2で得られたものであってもよく、または例えば、Diverchim社(100、rue Louis Blanc、60765 Montataire Cedex、フランス)から純品またはアノマーの混合物として購入されるもの−(CAS登録番号:19132−12−8)であってもよいことが理解されよう。
実施例3(B):ニコチンアミドリボシド・酢酸塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
1当量(すなわち、0.20mmol)の酢酸アンモニウムを加えたことを除き、実施例3(A)に記載されている方法を実施した。ニコチンアミドリボシドの酢酸塩が定量的に得られた。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(d,1H,J=6.3Hz,芳香族),8.83(d,1H,J=8.2Hz,芳香族),8.12(m,1H,芳香族),6.09(d,1H,J=4.4Hz,H−1(アノマー)),4.36(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.32−4.35(m,1H,H−4),4.21(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.91(ABX,1H,Ja,a’=13.1Hz,Ja,b=2.8Hz,H−5),3.75(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=3.5Hz,H−5’),1.79(s,3H,OAc)。
実施例3(C):ニコチンアミドリボシド・ギ酸塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
1当量(すなわち、0.20mmol)のギ酸アンモニウム(メタン酸塩)を加えたことを除き、実施例3(A)に記載されている方法を実施した。ニコチンアミドリボシドのギ酸塩が定量的に得られた。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(d,1H,J=6.3Hz,芳香族),8.83(d,1H,J=8.2Hz,芳香族),8.29(s,1H,ギ酸),8.12(m,1H,芳香族),6.09(d,1H,J=4.4Hz,H−1(アノマー)),4.36(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.31−4.34(m,1H,H−4),4.21(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.91(ABX,1H,Ja,a’=13.1Hz,Ja,b=3.5Hz,H−5),3.79(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=2.8Hz,H−5’)。
実施例3(D):ニコチンアミドリボシド・トリフルオロ酢酸塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
1当量(すなわち、0.20mmol)のトリフルオロ酢酸アンモニウムを加えたことを除き、実施例3(A)に記載されている方法を実施した。ニコチンアミドリボシドのトリフルオロ酢酸塩が定量的に得られた。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(d,1H,J=6.3Hz,芳香族),8.83(d,1H,J=8.2,芳香族),8.13(dd,1H,J=8.2,6.3Hz,芳香族),6.13(d,1H,J=4.3Hz,H−1(アノマー)),4.35(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.31−4.34(m,1H,H−4),4.20(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.89(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja,b=3.6Hz,H−5),3.74(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=2.9Hz,H−5’)。19F−NMR(DO,376MHz)−δ−75.7(C COO)。
実施例3(E):ニコチンアミドリボシド・塩化物塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
実施例3(A)に記載されている方法の代替法を以下の通りに実施した。NRH(図4に示される還元型ニコチンアミドリボシド;50mg、0.20mmol、1当量)を5mLのHO:EtOAc(1:1)に溶かし、次いで、1当量(すなわち、0.20mmol)の塩化アンモニウムを一度に加えた。1時間後のワークアップの時点で酸化は全く起こっておらず、出発物質が完全に回収された。回収したNRHおよび塩化アンモニウムを活性炭(約10mg、すなわち、0.8mmol)を添加した同じ溶媒系に再懸濁させ、室温で1時間攪拌した。それに続くろ過および凍結乾燥によりニコチンアミドリボシドの塩化物塩が定量的収率で得られた。したがって、この方法には炭素含有触媒、例えば活性炭が不可欠であるという結論が導かれた。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(dt,1H,J=6.3,1.4Hz,芳香族),8.83(dt,1H,J=8.2,1.4Hz,芳香族),8.13(dd,1H,J=8.2,6.3Hz,芳香族),6.13(d,1H,J=4.3Hz,H−1(アノマー)),4.37(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.31−4.34(m,1H,H−4),4.21(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.90(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja,b=3.5Hz,H−5),3.75(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=2.8Hz,H−5’)。
実施例3(F):ニコチンアミドリボシド・塩化物塩(図5にそのβ−アノマー型が示されている)の調製。
NRH(図4に示される還元型ニコチンアミドリボシド;50mg、0.20mmol、1当量)をHO:EtOAc(1:1)の代わりに5mLのHO:THF(1:1)に溶かしたことを除き、実施例3(E)に記載されている方法を実施し、次いで、1当量(すなわち、0.20mmol)の塩化アンモニウムを一度に加えた。1時間後のワークアップの時点で酸化は全く起こっておらず、出発物質が完全に回収された。回収したNRHおよび塩化アンモニウムを活性炭(約10mg、すなわち、0.8mmol)を添加した同じ溶媒系に再懸濁させ、室温で1時間攪拌した。それに続くろ過および凍結乾燥によりニコチンアミドリボシドの塩化物塩が定量的収率で得られた。したがって、この方法には炭素含有触媒、例えば活性炭が不可欠であるという結論が導かれた。
H−NMR(DO,400MHz)−δ9.46(s,1H,芳香族),9.12(dt,1H,J=6.3,1.4Hz,芳香族),8.83(dt,1H,J=8.2,1.4Hz,芳香族),8.13(dd,1H,J=8.2,6.3Hz,芳香族),6.13(d,1H,J=4.3Hz,H−1(アノマー)),4.37(t,1H,J=4.7Hz,H−2),4.31−4.34(m,1H,H−4),4.21(t,1H,J=4.7Hz,H−3),3.90(ABX,1H,Ja,a’= 13.0Hz,Ja,b=3.5Hz,H−5),3.75(ABX,1H,Ja,a’=13.0Hz,Ja’,b=2.8Hz,H−5’)。

Claims (56)

  1. 式(I)
    Figure 2016530248
    の化合物を調製する方法であって、式中、
    nが0または1であり;
    mが0または1であり;
    YがOまたはSであり;
    がH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換の第一級または第二級アミノ、および置換または非置換アジドから選択され;
    〜Rが、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、および置換または非置換アリールから選択され;かつ
    が、置換または非置換カルボン酸の陰イオン、ハロゲン化物、置換または非置換スルホン酸塩、置換または非置換リン酸塩、置換または非置換硫酸塩、置換または非置換炭酸塩、および置換または非置換カルバミン酸塩から選択される陰イオンであり;
    水溶液および炭素含有触媒の存在下で、
    式(II)
    Figure 2016530248
    [式中、n、m、YおよびR〜Rは上で定義される通りである]
    の化合物を、
    式Z
    [式中、Xは上で定義される通りであり、かつZはN含有陽イオンである]
    の化合物と
    反応させて式(I)の化合物を形成させることを含む、方法。
  2. が、置換または非置換アンモニウム、置換または非置換ピリジニウム、置換または非置換ピロリジニウム、置換または非置換イミダゾリウムおよび置換または非置換トリアゾリウムから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. が、式NHRIIIIIの置換または非置換アンモニウムであり、式中、R、RIIおよびRIIIが、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してH、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、および置換または非置換アリールから選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. が、式NH の非置換アンモニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記水溶液が、水に加えて、有機溶媒を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記水溶液が、水と有機溶媒をそれぞれ約1:5〜約5:1、任意選択で約1:3〜約3:1、さらに任意選択で約1:2〜約2:1、さらに任意選択で約1:1の体積比で含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記有機溶媒が、置換もしくは非置換エーテル、置換もしくは非置換エステル、置換もしくは非置換ケトン、置換もしくは非置換の脂肪族もしくは芳香族炭化水素、またはその組合せから選択される、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、およびテトラヒドロピラン、またはその組合せからから選択されるエーテルを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記有機溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチルおよび酢酸n−ブチル、またはその組合せから選択されるエステルを含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記有機溶媒が、メチルイソブチルケトンおよびメチルイソプロピルケトン、またはその組合せから選択されるケトンを含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよびヘプタン、またはその組合せから選択される非置換脂肪族炭化水素溶媒を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記有機溶媒が、置換脂肪族炭化水素溶媒を含み、任意選択でハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、さらに任意選択でジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタンおよびトリクロロエチレン、またはその組合せから選択される塩素化脂肪族炭化水素溶媒を含む、請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン、またはその組合せから選択される芳香族炭化水素溶媒を含む、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 式(II)の化合物と前記式Zの化合物が、それぞれ約1:5〜約5:1、任意選択で約1:3〜約3:1、さらに任意選択で約1:2〜約2:1、さらに任意選択で約1:1のモル比で存在する、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 式(II)の化合物と前記炭素含有触媒が、それぞれ約10:1〜約1:10、任意選択で約5:1〜約1:5、さらに任意選択で約4:1〜約1:4、さらに任意選択で約1:1または1:2または1:3または1:4のモル比で存在する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記反応が、約6〜約8のpH範囲で、任意選択で約6.5〜約7.5のpH範囲で実施される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記反応が、約10℃〜約40℃の温度で、任意選択で約15℃〜約35℃、さらに任意選択で約15℃〜約30℃、さらに任意選択で約15℃〜約20℃、さらに任意選択で約20℃〜約25℃の温度で、さらに任意選択で約20℃または21℃または22℃または23℃または24℃または25℃の温度で実施される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記反応が、約1分〜約180分の時間の間、任意選択で約2分〜約120分、さらに任意選択で約5分〜約120分、さらに任意選択で約10分〜約120分、さらに任意選択で約20分〜約120分、さらに任意選択で約30分〜約120分、さらに任意選択で約60分〜約120分、さらに任意選択で約60分〜約90分、さらに任意選択で約60分または70分または80分の時間の間実施される、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. が、置換または非置換モノカルボン酸の陰イオンおよび置換または非置換ジカルボン酸の陰イオンから選択される置換または非置換カルボン酸の陰イオンである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. が、置換モノカルボン酸の陰イオンであり、任意選択で置換プロパン酸の陰イオンまたは置換酢酸の陰イオンである、請求項19に記載の方法。
  21. が、置換プロパン酸の陰イオンであり、任意選択でヒドロキシプロパン酸の陰イオンであり、さらに任意選択で乳酸塩である、2−ヒドロキシプロパン酸の陰イオンである、請求項20に記載の方法。
  22. が、置換酢酸塩である、置換酢酸の陰イオンであり、任意選択でトリクロロ酢酸塩、トリブロモ酢酸塩およびトリフルオロ酢酸塩から選択されるトリハロ酢酸塩であり、さらに任意選択でトリフルオロ酢酸塩である、請求項20に記載の方法。
  23. が、それぞれギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩および酪酸塩である、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸から選択される非置換モノカルボン酸の陰イオンである、請求項19に記載の方法。
  24. が、置換もしくは非置換アミノ−モノカルボン酸の陰イオンまたは置換もしくは非置換アミノ−ジカルボン酸の陰イオンであり、任意選択で、Xが、アミノ−ジカルボン酸の陰イオンであり、さらに任意選択でそれぞれグルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩である、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される、請求項19に記載の方法。
  25. が、アスコルビン酸塩である、アスコルビン酸の陰イオンである、請求項19に記載の方法。
  26. が、塩化物、臭化物、フッ化物およびヨウ化物から選択されるハロゲン化物であり、任意選択で塩化物または臭化物である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  27. が、塩化物、酢酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩および乳酸塩から選択され、任意選択で塩化物、酢酸塩、ギ酸塩およびトリフルオロ酢酸塩から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記式Zの化合物が、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスパラギン酸アンモニウム、グルタミン酸アンモニウムおよび乳酸アンモニウムから選択され、任意選択で塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムおよびトリフルオロ酢酸アンモニウムから選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  29. 式(I)の化合物から炭素含有触媒を除去するろ過段階をさらに含む、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 式(I)の化合物において、nが0であり、mが1であり、RがNHであり、R〜RがそれぞれHであり、かつXが塩化物、酢酸塩、ギ酸塩およびトリフルオロ酢酸塩から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  31. 式(III)
    Figure 2016530248
    [式中、n、m、YおよびR〜Rは上で定義される通りであり、かつR、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立してヒドロキシル保護基である]
    の化合物を、
    脱保護剤と
    反応させて式(II)の化合物を形成させることによって、式(II)の化合物を調製する、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 、RおよびRが、それぞれ独立してエステル型保護基、エーテル型保護基、またはシリル型保護基である、請求項31に記載の方法。
  33. エステル型保護基が、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ベンゾイル、およびトリハロアセチルから選択される保護基であり、任意選択でトリフルオロアセチルまたはトリクロロアセチルである、請求項32に記載の方法。
  34. エーテル型保護基が、ベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシメチルおよびアリルエーテルから選択される保護基である、請求項32に記載の方法。
  35. シリル型保護基が、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルおよびテトライソプロピルジシリルから選択される保護基である、請求項32に記載の方法。
  36. 、RおよびR部分が、置換および非置換アセチル、ならびに置換および非置換ベンゾイルから選択される。請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
  37. 、RおよびRのうち少なくとも2つが、非置換アセチルまたは非置換ベンゾイルから選択される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記脱保護剤が、酸または塩基である、請求項31〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 、RおよびRが、それぞれ非置換アセチルまたは非置換ベンゾイルを含み、かつ前記脱保護剤が、塩基であり、任意選択でNH、NaCOおよびNaOHから選択される、請求項37に記載の方法。
  40. 前記反応が、プロトン性溶媒もしくは非プロトン性溶媒またはその組合せの存在下で実施される、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記反応が、水、置換もしくは非置換アルコール、またはその組合せから選択されるプロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項41に記載の方法。
  42. 前記反応が、メタノールの存在下で実施される、請求項42に記載の方法。
  43. 反応物が、機械的粉砕に供され、任意選択でボールミルまたは遊星ボールミル粉砕機を用いる、請求項31〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 式(III)の化合物において、nが0であり、mが1であり、RがNHであり、R〜RがそれぞれHであり、かつR〜Rがそれぞれアセチルである、請求項31〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 式(III)の化合物において、nが1であり、YがOであり、mが1であり、Rがエチルであり、R〜RがそれぞれHであり、かつR〜Rがそれぞれアセチルである、請求項31〜43のいずれか1項に記載の方法。
  46. 式(III)の化合物において、nが0であり、mが1であり、RがNHであり、R〜RがそれぞれHであり、かつR〜Rがそれぞれベンゾイルである、請求項31〜43のいずれか1項に記載の方法。
  47. 式(IV)
    Figure 2016530248
    [式中、n、m、Y、R〜RおよびXは上で定義される通りである]
    の化合物を、
    還元剤、水溶液、および有機溶媒と
    反応させて式(III)の化合物を形成させることによって、式(III)の化合物を調製する、請求項31〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記有機溶媒が、請求項7〜13のいずれか1項で定められる通りである、請求項47に記載の方法。
  49. 、RおよびRのうち少なくとも2つが非置換アセチルを含む場合、前記有機溶媒が、ジクロロメタン、1,2−クロロエタン、酢酸n−ブチル、クロロホルムおよび酢酸エチル、またはその組合せから選択され、さらに任意選択で酢酸エチルである、請求項47または48に記載の方法。
  50. 、RおよびRのうち少なくとも2つが非置換ベンゾイルを含む場合、前記有機溶媒が、トリクロロエチレン、四塩化炭素、ジイソプロピルエーテル、トルエン、メチルtert−ブチルエーテル、ベンゼンおよびジエチルエーテル、またはその組合せから選択され、さらに任意選択でジエチルエーテルである、請求項47または48に記載の方法。
  51. 前記還元剤が、亜ジチオン酸ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムから選択される、請求項47〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 水相から有機相を分離する段階と、
    前記有機溶媒から式(III)の化合物を抽出する段階と
    をさらに含む、請求項47〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記反応物が、機械的粉砕に供され、任意選択でボールミルまたは遊星ボールミル粉砕機を用いる、請求項47〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 式(IV)の化合物において、nが0であり、mが1であり、RがNHであり、R〜RがそれぞれHであり、R〜Rがそれぞれアセチルであり、かつXOTfである、請求項47〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. 式(IV)の化合物において、nが1であり、YがOであり、mが1であり、Rがエチルであり、R〜RがそれぞれHであり、R〜Rがそれぞれアセチルであり、かつXOTfである、請求項47〜53のいずれか1項に記載の方法。
  56. 式(IV)の化合物において、nが0であり、mが1であり、RがNHであり、R〜RがそれぞれHであり、かつR〜Rがそれぞれベンゾイルであり、かつXOTfである、請求項47〜53のいずれか1項に記載の方法。
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