JP2016507555A - 血小板非減少性かつ赤血球非減少性cd47抗体及びその使用方法 - Google Patents

血小板非減少性かつ赤血球非減少性cd47抗体及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 CD47、特にヒトCD47を認識し及びこれに結合するモノクローナル抗体を提供すること。【解決手段】 CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントであって、当該抗体が、投与後に有意なレベルの赤血球減少、貧血、または赤血球減少及び貧血の両方を引き起こさないことを特徴とする、CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントにより解決される。【選択図】図13

Description

関連する出願
本出願は、2013年2月6日に出願された米国一部継続出願番号13/761,087及び、2013年2月6日に出願されたPCT一部継続出願番号PCT/US2013/024995であり、これら両出願は、2012年2月6日に出願された米国仮出願番号61/595,216及び2012年6月14日に出願された米国仮出願番号61/659,752の利益および優先権を主張する。この出願はまた、2013年4月23日に出願された米国仮出願番号61/815,219の利益および優先権を主張する。これらの出願のそれぞれの内容が、全体で本願に引用により組み込まれる。
この発明は、一般的に、CD47を認識するモノクローナル抗体に関連し、より特別には、有意な(significant)レベルのヒト赤血球の赤血球凝集(hemagglutination)、赤血球減少、貧血、および/または血小板減少を引き起こさないCD47抗体に関連し、これらの抗体を発生させる方法、及び、これらのモノクローナル抗体を治療として使用する方法に関連する。
インテグリン関連タンパク質(IAP)、卵巣癌抗原OA3、Rh関連抗原及びMER6としても知られるCD47は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する複数回膜貫通レセプター(multi-spanning transmembrane receptor)である。CD47の発現及び/又は活性は、多くの疾病及び疾患に関連している。それ故、CD47をターゲットにした治療に関する必要性が存在する。また、血小板におけるCD47の発現に起因して、対象に投与された時、有意なレベルの血小板減少、赤血球凝集、赤血球減少、および/または貧血を引き起こさないCD47−ターゲット治療(例えば、抗体)に関する必要性も存在する。
[発明の概要]
本発明は、CD47、特にヒトCD47を認識し及びこれに結合するモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、CD47発現、活性及び/又はシグナリングを例えばブロック、阻害、減少、拮抗(ないしアンタゴナイズ、antagonizing)、中和、又はその他干渉するという調節(modulate)することを可能にし、そしてこれらの抗体は、本願において、赤血球(erythrocyte)とも称されるヒト赤血球(human red blood cells)の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない。しかしながら、本発明の抗体の細胞表面上のCD47に結合し、及び細胞のクランピング現象(cellular clumping phenomenon)を引き起こさない能力は、赤血球に限定されない。本発明の抗体は、CD47陽性細胞のクランピングを促進することがない仕方でCD47に一意的に(uniquely)結合する。加えて又は代わりに、本発明の抗体は投与時に有意な血小板の減少を引き起こさない。本発明の抗体及びその誘導体は、例えば、CD47及びSIRPα(シグナル制御タンパク質α、signal-regulatory-protein α)の間の相互作用をブロック、阻害、減少、拮抗、中和又はその他干渉するという調節ができ、そしてこれらの抗体は、ヒト赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない。本願で提供される抗体は、「CD47抗体」として総合的に(collectively)称される。本発明のCD47抗体はヒト赤血球の赤血球凝集を引き起こす、従来の(existing)CD47抗体を超える重要な改良である(例えば、Kikuchi Y, Uno S, Yoshimura Y et al. A bivalent single-chain Fv fragment against CD47 induces apoptosis for leukemic cells. Biochem Biophys Res Commun 2004; 315: 912-8を参照)。例えば、本発明のCD47抗体は、以下に詳細に記載されるように、従来のCD47抗体であるB6H12、BRC126、及びCC2C6(これらのそれぞれは、SIRPαをブロックするが、RBCの赤血球凝集を引き起こす)を超える重要な改良である。例えば、本発明のCD47抗体は、マウスおよび/またはカニクイザルに投与された時、赤血球喪失および貧血を引き起こす親和性増強型SIRPα―Fc融合タンパク質(affinity-evolved SIRPalpha-Fc fusion protein)を超える重要な改良である(Weiskopf et al. Engineered SIRPa Variants as Immunotherapeutic Adjuvants to Anticancer Antibodies. Science 2013; 341:88を参照)。本願発明の完全(full)IgG CD47抗体(例えば、表1に提示されるものを含む2A1及びそのヒト化誘導体)は、有意のレベルで細胞を凝集させない。例えば、本発明のCD47抗体は、赤血球(RBCs)を赤血球凝集させない。SIRPαをブロックし、そして、有意のレベルの凝集および/または血小板減少を引き起こさない完全IgG形式のCD47抗体が本願に記載される。加えて、本発明のCD47抗体は、有意なレベルのRBC減少および/または貧血を引き起こさない。
本発明のCD47抗体は、非限定的な例として、有効な抗腫瘍活性と並び、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさずに、CD47及びそのリガンドであるSIRPαの間の相互作用を有効にブロックするというような多くの望ましい特徴を示す。例えば、本発明のCD47抗体は、本願に記載されるCD47抗体の不在下でのCD47及びSIRPαの間の相互作用のレベルと比較して、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、又は、少なくとも99%のCD47及びSIRPαの間の相互作用をブロックする。
本発明のCD47抗体は、細胞の有意のレベルの凝集を引き起こさず、例えば、本発明のCD47抗体は、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない。いくつかのケースにおいて、細胞の有意のレベルの凝集は、従来のCD47抗体の存在下における凝集のレベルを対照とする。1つの側面(ないし視点)において、本発明のCD47抗体の存在下における凝集のレベルは、従来のCD47抗体の存在下における凝集のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は、少なくとも99%だけ減少する。いくつかの実施形態において、仮に本発明のCD47抗体の存在下における凝集のレベルが、従来のCD47抗体の存在下における凝集のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は、少なくとも99%だけ減少する場合に、本発明のCD47抗体は有意のレベルの凝集を引き起こさない。他の実施形態において、仮に本発明のCD47抗体の存在下における凝集のレベルが、CD47抗体である1B4(これは、それぞれSEQ ID番号(ないし配列番号)80及びSEQ ID番号81で提示される可変重鎖及び可変軽鎖配列を含む)の存在下における凝集のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は、少なくとも99%だけ減少する場合に、本発明のCD47抗体は有意のレベルの凝集を引き起こさない。好ましくは、本発明のCD47抗体は、10pM及び10μMの間の抗体濃度、例えば、50pM、100pM、1nM、10nM、50nM、100nM、1μM、又は5μMの抗体濃度で細胞の有意のレベルの凝集を引き起こさない。
いくつかの実施形態において、RBC減少のレベルは、治療(例えば本発明の抗体)の実施(administration)の後に対象のRBC数(ないしRBCカウント、RBC count)を測定することにより決定される。いくつかの実施形態において、本発明のCD47抗体は、本発明の抗体の投与の後の対象のRBC数が正常(健康な対象)の範囲内であるならば有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。例えば、正常の、健康な男性のRBC数は、血液サンプルのマイクロリッター当たり約470万から約610万細胞である。例えば、正常の、健康な女性のRBC数は、血液サンプルのマイクロリッター当たり420万から約540万細胞である。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の投与後(5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日間、4日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、またはそれ以上)の対象のRBC数が投与前のRBC数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%または、99.5%である場合に、本発明のCD47抗体は有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。加えて又は代わりに、本発明の抗体の投与後(5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日間、4日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、またはそれ以上)の対象のRBC数が、プラセボ処置(例えばビヒクル)の実施の後の対象のRBC数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%または、99.5%である場合に、本発明のCD47抗体は、有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。RBC数は、当該技術分野における標準の方法により決定される。好ましくは、本発明のCD47抗体は、10pM及び10μMの間の抗体濃度で(例えば、50pM、100pM、1nM、10nM、50nM、100nM、1μM、又は5μMの抗体濃度で)有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。いくつかの実施形態において、本発明のCD47抗体は、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、またはそれ以上の用量(dose)で投与された場合、有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。
本発明のCD47抗体は、有意なレベルの血小板減少を引き起こさない。例えば、本発明の抗体の投与は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の残存血小板パーセンテージを導く。好ましくは、本発明のCD47抗体は、10pM及び10μMの間の抗体濃度で(例えば、50pM、100pM、1nM、10nM、50nM、100nM、1μM、又は5μMの抗体濃度で)有意なレベルの血小板減少を引き起こさない。
また、本発明のCD47抗体は、Fcγレセプター(FcγR)に低い結合親和性を有する抗体を含むがこれに限定されない。例えば、抗体の定常領域は、IgG1(野生型または変異型)、IgG4(野生型または変異型、例えばIgG4P)のようなサブクラスの抗体の定常領域よりも、FcγRに低い結合親和性を有する。
本発明の抗体はまた、その技術分野で知られる抗体と比較して、腫瘍モデルにおいて、より有意に有効である。例えば、本発明のCD47抗体の存在下における、マクロファージの腫瘍細胞を貪食(phagocytose)する能力は、従来のCD47抗体の存在下でのマクロファージの腫瘍細胞を貪食する能力と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも99%だけ増加する。
当業者は、過度の実験をせずに、例えば、RBCの赤血球凝集のレベルのような、凝集のレベルを定量することが可能であると認識するだろう。例えば、当業者は、下記の実施例に記載されるように、本発明のCD47抗体の存在下で赤血球凝集アッセイを行った後に、RBCドット(dot)の領域を測定することにより、赤血球凝集のレベルが確認されることを認識するだろう。いくつかのケースにおいて、本発明のCD47抗体の存在下のRBCドットの領域は、CD47抗体の不在下、すなわち赤血球凝集がゼロである場合の、RBCドットの領域と比較される。このようにして、赤血球凝集は、基線対照(baseline control)に対して、定量化される。より大きいRBCドット領域は、赤血球凝集のより高いレベルに対応する。あるいは、RBCドットの密度測定はまた、赤血球凝集の定量に利用されても良い。
当業者は、過度の実験をせずに、RBC減少のレベルを定量することが可能であると認識するだろう。例えば、当業者は、例えば、細胞カウンター又はヘマサイトメーターを使用することにより、例えば、RBC数(ないしRBCカウント、RBC count)(即ち、血液のサンプル中のRBCの総数)を計測することによりRBC減少のレベルが確認されることを認識するだろう。当業者は、血液のサンプル中のRBCは、カウントする前に、例えば遠心分離を使用して全血を分画することにより任意に分離されることができることを認識するだろう。場合によって、本発明のCD47抗体の存在下におけるRBC数は、CD47抗体の非存在下における(即ちRBC減少がない場合における)RBC数と比較される。この態様において、RBC減少のレベルは、基線対照に対して正規化(normalized)される。
本願に記載されるCD47抗体は、癌の兆候又は他の腫瘍性状態(neoplastic condition)を治療し、その進行を遅らせ、その再発を防止し、又は緩和するのに有用である。例えば、本願に記載されるCD47抗体は、血液悪性疾患及び/又は腫瘍、例えば、血液悪性疾患及び/又は腫瘍を治療するのに有用である。例えば、本願に記載されるCD47抗体は、CD47+(陽性)腫瘍を治療するのに有用である。非限定的な例として、本願に記載されるCD47抗体は、非ホジキンスリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、乳癌、卵巣癌、頭部及び首部の癌、膀胱癌、メラノーマ、結腸直腸癌(colorectal cancer)、膵臓癌、肺癌、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経膠腫、グリア芽腫、等の治療に有用である。固形腫瘍は、例えば、乳腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭部及び首部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝腫瘍、及び腎腫瘍を含む。
本願に使用される場合、「血液癌(hematological cancer)」は、血液の癌を意味し、白血病、リンパ腫及び骨髄腫などを含む。「白血病」は、感染と戦うことに効果が無いとても多くの白血球が作られ、その結果、血小板及び赤血球のような血液を作り上げる他のパーツを押しのける(crowding out)血液の癌を意味する。白血病のケースは、急性又は慢性とに分類されることが分かっている。白血病のある形態は、非限定的な例として、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性疾患/腫瘍(MPDS);及び骨髄異形成症候群を含む。「リンパ腫」は、ホジキンスリンパ腫、非活動的(indolent)及び活動的(aggressive)非ホジキンスリンパ腫、バーキットリンパ腫(Burkitt's lymphoma)、及び濾胞性リンパ腫(小細胞及び大細胞)などを意味し得る。骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)、巨細胞骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はベンス‐ジョーンス骨髄腫(Bence-Jones myeloma)を意味し得る。
例示的な本発明のモノクローナル抗体は、例えば、本願に記載される抗体を含む。例示的な抗体は、SEQ ID番号(配列番号):5−30から選択される可変重鎖及び、SEQ ID番号:31−47から選択される可変軽鎖を有する抗体を含む。抗体はまた、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上、SEQ ID番号:5−30のうち少なくとも1つに規定される配列と同一(identical)である可変重鎖及び、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上、SEQ ID番号:31−47のうち少なくとも1つに規定される配列と同一である可変軽鎖を有する抗体を含む。好ましくは、抗体は、ヒトCD47を認識し及びこれに結合し、そして、ヒト赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない。これらの抗体は、本願においてCD47抗体としてそれぞれ言及される。CD47抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体、並びに、ヒト化モノクローナル抗体及びキメラ抗体を含む。これらの抗体は、ヒトCD47に関する特異性を表し、そして、これらは、有意のレベルの赤血球の赤血球凝集、赤血球減少、貧血、及び/又は血小板減少を引き起こさずに、CD47発現、活性及び/又はシグナリングを例えば、ブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉するような調節を表している。
本願で提供されるCD47抗体は、例えば、CD47発現を阻害し(例えば、CD47の細胞表面発現を阻害する)、CD47活性及び/又はシグナリングを阻害することにより、又は、CD47及びSIRPαの間の相互作用と干渉することにより阻害活性を示す。本願で提供される抗体は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合し又はその他それと相互作用する際に、完全に又は部分的にCD47発現又は活性を減少させ又はその他調節する。抗体とヒトCD47ポリペプチド及び/又はペプチドの間の相互作用に際し、CD47の生物学的な機能の減少又は調節は完全であり、十分であり、又は部分的である。本願に記載される抗体との相互作用(例えば結合)の不在下でのCD47発現又は活性のレベルと比較して、少なくとも95%だけ、例えば、96%、97%、98%、99%又は100%だけ、抗体存在下でCD47発現又は活性のレベルが減少する場合、抗体はCD47発現又は活性を完全に阻害すると考えられる。本願に記載されるCD47抗体との結合の不在下でのCD47発現又は活性のレベルと比較して、少なくとも50%だけ、例えば、55%、60%、75%、80%、85%又は90%、CD47抗体の存在下でのCD47発現又は活性のレベルが減少する場合、CD47抗体はCD47発現又は活性を十分に阻害すると考えられる。本願に記載される抗体との相互作用(例えば結合)の不在下でのCD47発現又は活性のレベルと比較して、95%未満だけ、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%又は90%、抗体の存在下でのCD47発現又は活性のレベルが減少する場合、抗体はCD47発現又は活性を部分的に阻害すると考えられる。
本発明の抗体はまた、CD47に特異的に結合するモノクローナル抗体を含み、抗体は有意のレベルの凝集(例えば赤血球の赤血球凝集(「RBCの赤血球凝集」))を引き起こさない。本発明の抗体は、CD47陽性細胞のクランピングを促進することがない仕方で一意的にCD47に結合する。しかしながら、本発明の抗体の細胞表面でのCD47に結合する能力、及び細胞のクランピング現象(cellular clumping phenomenon)を引き起こさない能力は、赤血球に限定されるものではない。加えて又は代わりに、本発明の抗体は、有意なレベルの血小板減少、RBC減少、および/または貧血を引き起こさない。
本発明に係る医薬的な組成物は、本発明の抗体及び担体を含むことができる。これらの医薬的な組成物は、例えば検査キットのようなキットに含まれることができる。
本発明は、CD47に結合するモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントを提供し、抗体は投与後の細胞の有意のレベルの凝集を引き起こさない(例えば抗体は投与後に赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない)。加えて又は代わりに、抗体またはそのフラグメントは、有意なレベルの血小板減少を引き起こさない。いくつかの実施形態において、抗体はキメラ、ヒト化、又は完全ヒト[抗体]である。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトCD47に結合する。いくつかの実施形態において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、CD47が、SIRPαと相互作用するのを妨げる。抗体の存在下におけるCD47/SIRPα相互作用のレベルが、抗体との相互作用、例えば抗体との結合、の不在下のCD47/SIRPα相互作用のレベルと比較して、少なくとも95%だけ、例えば、96%、97%、98%、99%又は100%だけ減少する場合に、抗体は、CD47及びSIRPαの相互作用を完全に阻害すると考えられる。抗体の存在下におけるCD47/SIRPα相互作用のレベルが、抗体との相互作用、例えば抗体との結合、の不在下のCD47/SIRPα相互作用のレベルと比較して、95%未満だけ、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%又は90%、減少する場合に、抗体は、CD47/SIRPα相互作用を部分的に阻害すると考えられる。
対象における癌を治療し又は防止するのに十分な抗体の量は、例えば、CD47シグナリングを減少させるのに十分な量である(例えば、Yamauchi et al., 2013 Blood, Jan 4. [印刷物に先駆けた電子版]; Soto-Pantoja et al., 2013 Expert Opin Ther Targets, 17: 89-103; Irandoust et al., 2013 PLoS One, 電子版 Jan 8; Chao et al., 2012 Curr Opin Immunol, 24 :225-32; Theocharides et al., 2012 J Exp Med, 209(10): 1883-99; Csanyi et al., 2012 Arterioscler Thromb Vasc Biol, 32: 2966-73; Maxhimer et al., 2009 Sci Transl Med, 1: 3ra7; Sarfati et al., 2008 Curr Drug Targets, 9: 842-850; Miyashita et al., 2004 Mol Biol Cell, 15: 3950-3963; E.J. Brown and W.A. Frazier, 2001 Trends Cell Biol, 11: 130-135; Oldenborg et al., 2001 J Exp Med, 193: 855-862; Blazar et al., 2001 J Exp Med, 194: 541-549; Oldenborg et al., 2000 Science, 288: 2051-2054;及び Gao et al., 1996 J Biol Chem, 271: 21-24を参照)。例えば、対象における癌を治療し又は防止するのに十分な抗体の量は、CD47/SIRPαシグナリング軸(signaling axis)におけるCD47/SIRPα相互作用によって発生するマクロファージにおける食作用阻害シグナル(phagocytic inhibitory signal)を減少させるのに十分な量である、すなわち本発明の抗体は、CD47発現細胞のマクロファージ媒介食作用を促進させる。本願で使用される場合、用語「減少させる」は、本発明の抗体の存在下での減少したCD47シグナリングを意味する。本発明のCD47抗体の存在下でのCD47シグナリングのレベルが、CD47シグナリングのコントロールレベル(すなわち、抗体の不在下でのCD47シグナリングのレベル)より、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%以上又は100%低い場合に、CD47媒介シグナリングは減少する。非限定的な例として、下流の遺伝子活性の測定、及び/又はCD47活性に反応するルシフェラーゼレポーターアッセイのような、様々な標準的な技術のうち任意のものを使用してCD47シグナリングのレベルは測定される。当業者は、CD47シグナリングのレベルが、例えば、市販され利用できるキットを含む様々なアッセイを使用して測定され得ることを認識するだろう。
いくつかの実施形態において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、IgGアイソタイプである。いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG1アイソタイプである。
Figure 2016507555
いくつかの実施形態において、ヒトIgG1定常領域は、抗体のグリコシル化を妨げるようにアミノ酸Asn297(四角で囲まれたもの、Kabatナンバリング)において修飾される(modified)(例えば、Asn297Ala(N297A))。いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、Fcレセプターの相互作用を変化させるようにアミノ酸Leu235(Kabatナンバリング)において修飾される(例えば、Leu235Glu(L235E)又はLeu235Ala(L235A))。いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、Fcレセプターの相互作用を変化させるようにアミノ酸Leu234(Kabatナンバリング)において修飾される(例えば、Leu234Ala(L234A))。いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、アミノ酸234及び235の両方において変化させられる(例えば、Leu234Ala及びLeu235Ala(L234A/L235A)(Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological InterestのEUインデックス))。
いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG2アイソタイプである。
Figure 2016507555
いくつかの実施形態において、ヒトIgG2定常領域は、抗体のグリコシル化を妨げるように、アミノ酸Asn297(四角で囲まれたもの、Kabatナンバリング)において修飾される(例えば、Asn297Ala(N297A))。
いくつかの実施形態において、抗体の定常領域は、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG3アイソタイプである。
Figure 2016507555
いくつかの実施形態において、ヒトIgG3定常領域は、抗体のグリコシル化を妨げるようにアミノ酸Asn297(四角で囲まれたもの、Kabatナンバリング)において修飾される(例えば、Asn297Ala(N297A))。いくつかの実施形態において、ヒトIgG3定常領域は、半減期の延ばすように、アミノ酸435において修飾される(例えば、Arg435His(R435H)(Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological InterestのEUインデックス))。
いつかの実施形態において、抗体の定常領域は、以下のアミノ酸配列を有するヒトIgG4アイソタイプである。
Figure 2016507555
いくつかの実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、鎖交換(strand exchange)を妨げ、又は減少させるようにヒンジ領域内で修飾される(例えば、Ser228Pro(S228P))。他の実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、Fcレセプター相互作用を変化させるように、アミノ酸235において修飾される(例えば、Leu235Glu(L235E))。いくつかの実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、ヒンジ内で、及びアミノ酸235において修飾される(例えば、Ser228Pro及びLeu235Glu(S228P/L235E))。いくつかの実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、抗体のグリコシル化を妨げるように、アミノ酸Asn297(Kabatナンバリング)において修飾される(例えば、Asn297Ala(N297A))。本発明のいくつかの実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、Ser228、Leu235、およびAsn297のアミノ酸位置において修飾される(例えば、S228P/L235E/N297A)(Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological InterestのEUインデックス)。本発明の他の実施形態において、抗体は、ヒトIgG4サブクラスであり、そしてグリコシル化を欠いている。これらの実施形態において、グリコシル化は297の位置(Kabatナンバリング)での変異により取り除かれ得る、例えば、N297A。他の実施形態において、グリコシル化は、翻訳後グリコシル化に関する能力を欠く宿主細胞における抗体の製造によって取り除かれ得、これは例えば、細菌又は酵母由来のシステム又は改変された(modified)哺乳類細胞発現システムである。
いくつかの実施形態において、ヒトIgG定常領域は、FcRn結合を増進させるように修飾される。FcRnへの結合を増進させるFc変異の例は、Met252Tyr、Ser254Thr、Thr256Glu(それぞれ、M252Y、S254T、T256E)である(Kabatナンバリング、Dall’Acqua et al 2006, J. Biol Chem Vol 281(33) 23514-23524)、または、Met428Leu及びAsn434Ser(M428L、N434S)(Zalevsky et al 2010 Nature Biotech, Vol 28(2) 157-159)である。(Kabat et al 1991 Sequences of Proteins of Immunological InterestのEUインデックス)。
いくつかの実施形態において、ヒトIgG定常領域は、抗体依存細胞性細胞毒性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞毒性(CDC)を変化させるように修飾される、例えば、アミノ酸修飾は、Natsume et al., 2008 Cancer Res, 68(10): 3863-72; Idusogie et al., 2001 J Immunol, 166(4): 2571-5; Moore et al., 2010 mAbs, 2(2): 181-189; Lazar et al., 2006 PNAS, 103(11): 4005-4010, Shields et al., 2001 JBC, 276( 9): 6591-6604; Stavenhagen et al., 2007 Cancer Res, 67(18): 8882-8890; Stavenhagen et al., 2008 Advan. Enzyme Regul., 48: 152-164; Alegre et al, 1992 J Immunol, 148: 3461-3468;に記載され、Kaneko and Niwa, 2011 Biodrugs, 25(1):1-11で論評される。
いくつかの実施形態において、ヒトIgG定常領域は、ヘテロ二量化を誘導するように修飾される。例えば、CH3ドメイン内のThr366にアミノ酸修飾を有することは、[この部位が]より嵩張った(bulky)アミノ酸(例えば、Try(T366W))で置換されている場合、Thr366、Leu368、及び、Tyr407の位置で嵩張りがより小さいアミノ酸(例えば、それぞれSer、Ala、及びVal)へのアミノ酸修飾を有する第二のCH3ドメインと好ましく対になることを可能にする(T366S/L368A/Y407V)。CH3修飾を介するヘテロ二量化は、例えば、反対のCH3ドメイン上のSer354のCysへの変更(S354C)、及びY349のCysへの変更(Y349C)によるジスルフィド結合の導入によりさらに安定化されることができる(Carter, 2001 Journal of Immunological Methods, 248: 7-15で論評される)。
本発明の他の実施形態において、抗体は、グリコシル化を欠くが、アミノ酸Asn297(Kabatナンバリング)は修飾されない。これらの実施形態において、グリコシル化は、翻訳後グリコシル化能力を欠く宿主細胞内での抗体の製造によって取り除かれ得、これは例えば、細菌又は酵母由来のシステム又は改変された(modified)哺乳類細胞発現システムである。
本発明はまた、CD47に結合する1以上のモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントをふくむ医薬的な組成物であり、抗体が投与後に赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさないものを提供する。
赤血球凝集(hemagglutination)は、同型の相互作用(homotypic interaction)の例であり、2つのCD47発現細胞において、二価のCD47結合物(binding entity)で処置された場合に、凝集又はクランプが引き起こされる。本発明の抗体の、細胞表面でのCD47に結合する能力、及び細胞クランプ現象を引き起こさない能力は、赤血球に限定されるものではない。本発明の抗体は、CD47陽性細胞系(例えば、Daudi細胞)のクランピングを促進することがない仕方でCD47に一意的に結合すると観察されている。
いくつかのケースにおいて、抗体は、SEQ ID番号:5−30から成る群より選択される可変重(VH)鎖領域を含む。抗体は、SEQ ID番号:31−47から成る群より選択される可変軽(VL)鎖領域を任意に含む。いくつかのケースにおいて、抗体は、SEQ ID番号:5−30から成る群より選択されるVH鎖領域及び、SEQ ID番号:31−47から成る群より選択されるVL鎖領域を含む。本発明の抗体はまた、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上、SEQ ID番号:5−30の内の少なくとも1つに規定される配列と同一である可変重鎖及び、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上、SEQ ID番号:31−47の内の少なくとも1つに規定される配列と同一である可変軽鎖を有する抗体を含む。他の側面において、抗体は、SEQ ID番号:31−39、42、43、44、及び47の内の任意の1つで提示されるVL領域と対になるSEQ ID番号:5、7、8、11、15−17、20−22、及び27−30の内の任意の1つで提示されるVH領域を含む。また別の実施形態において、抗体は、SEQ ID番号:31、32、35、40、41、42、43、44及び47の内の任意の1つで提示されるVL領域と対になるSEQ ID番号:5、7、8、11、12、15−17、20−22、及び27−30の内の任意の1つで提示されるVH領域を含む。更に別の側面において、抗体は、表1に挙げられる組み合わせから選択されるVH鎖領域及びVL鎖領域の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、CD47抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、SEQ ID番号:50、SEQ ID番号:57、SEQ ID番号:58、SEQ ID番号:59、SEQ ID番号:60、SEQ ID番号:61、SEQ ID番号:62、SEQ ID番号:63、SEQ ID番号:64、SEQ ID番号:65、又はSEQ ID番号:66に規定されるVH相補性決定領域1(CDR1)配列、SEQ ID番号:51、SEQ ID番号:72、SEQ ID番号:73、SEQ ID番号:74、SEQ ID番号:75、又はSEQ ID番号:76に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52又は、SEQ ID番号:77に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53、SEQ ID番号:67、又はSEQ ID番号:68に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:54、SEQ ID番号:69、SEQ ID番号:70、又はSEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列及びSEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含む。例えば、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:51に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:54に規定されるVL CDR2配列、及び、SEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含む。他の実施例において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:72に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列、及び、SEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含む。
1つの実施形態において、頭部が側面へ配向するように(in a head to side orientation)本発明の抗体がCD47に結合し、この配向状態ではCD47発現細胞の膜の近くに重鎖が位置され、軽鎖がCD47上のSIRPα結合部位を塞ぐ。他の実施形態において、頭部が側面へ配向するように本発明の抗体がCD47に結合し、この配向状態ではCD47発現細胞の膜の近くに軽鎖が位置され、重鎖がCD47上のSIRPα結合部位を塞ぐ。
SEQ ID番号:147(すなわち、シグナル配列(アミノ酸1−18)を除いたSEQ ID番号:48)に従って番号付けされた場合、CD47抗体は、CD47の1−116のアミノ酸残基の内の任意の1つを含むエピトープに結合する。例えば、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、CD47のアミノ酸残基Q31、N32、T33、T34、E35、V36、Y37、V38、K39、W40、K41、F42、K43、G44、R45、D46、I47、Y48、T49、F50、D51、G52、A53、L54、N55、K56、S57、T58、V59、P60、T61、D62、F63、S64、S65、A66、K67、I68、E69、V70、S71、Q72、L73、L74、K75、G76、D77、A78、S79、L80、K81、M82、D83、K84、S85、D86、A87、V88、S89、H90、T91、G92、N93、Y94、T95、C96、E97、V98、T99、E100、L101、T102、R103、E104、G105、E106、T107、I108、I109、及びE110の1つ以上を含むエピトープに結合する。
いくつかのケースにおいて、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、CD47のアミノ酸残基Y37、V38、K39、W40、K41、F42、K43、G44、R45、D46、I47、Y48、T49、F50、及びD51の内の1つ以上を含む不連続なエピトープに結合する。例えば、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、CD47のアミノ酸残基Y37、K39、K41、K43、G44、R45、D46、D51、H90、N93、E97、T99、E104、又はE106を含む不連続なエピトープに結合する。例えば、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、少なくともCD47のKGRD(SEQ ID番号:56)ループ(残基43−46)の残基を含む不連続なエピトープに結合する。例えば、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、少なくともCD47のY37、K39、K41、KGRD(SEQ ID番号:56)ループ(残基43−46)、D51、H90、N93、E97、T99、E104、及びE106の残基を含む不連続なエピトープに結合する。例えば、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、本発明の抗体は、CD47のY37、K39、K41、KGRD(SEQ ID番号:56)ループ(残基43−46)、D51、H90、N93、E97、T99、E104、及びE106の残基を含む不連続なエピトープに結合する。
本願に記載されるCD47抗体のVH領域は、CD47のKGRD(SEQ ID番号:56)ループへの結合に基本的(primarily)に関与する。従って、本発明の抗体が結合する特有の(unique)エピトープは、CD47の側面にある。当該技術分野で知られる従来のCD47抗体とは反対に、膜近傍位置(membrane proximal position)における本願に記載されるCD47抗体のVHドメインの配向(orientation)は、抗体が隣接した細胞上のCD47分子に橋絡することができないように抗体を拘束(constrain)することにより(例えば赤血球の赤血球凝集のような)細胞クランピングを妨げるというこれらの抗体の決定的(critical)な特徴である。加えて、本願に記載されるCD47抗体のVKドメインは、Y37、T102、及びE104のような、SIRPα結合に関与する、頂点の残基(apical residues)と相互作用するので、CD47に結合するSIRPαを物理的に締め出すのは基本的にVKドメインである。
CD47がSIRPαと相互作用するのを妨げるための本願に記載されるCD47抗体と競合する単離された抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントもまた提供される。
本発明は、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、CD47のアミノ酸残基Y37、K39、K41、K43、G44、R45、D46、D51、H90、N93、E97、T99、E104、及びE106を含むポリペプチドを提供する。SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、CD47のアミノ酸残基1−116の内の任意の1つを含むポリペプチドもまた提供される。例えば、ポリペプチドは、SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、CD47のQ31、N32、T33、T34、E35、V36、Y37、V38、K39、W40、K41、F42、K43、G44、R45、D46、I47、Y48、T49、F50、D51、G52、A53、L54、N55、K56、S57、T58、V59、P60、T61、D62、F63、S64、S65、A66、K67、I68、E69、V70、S71、Q72、L73、L74、K75、G76、D77、A78、S79、L80、K81、M82、D83、K84、S85、D86、A87、V88、S89、H90、T91、G92、N93、Y94、T95、C96、E97、V98、T99、E100、L101、T102、R103、E104、G105、E106、T107、I108、I109、及びE110の1つ以上のアミノ酸残基を含む。抗原(例えば、CD47抗体と結合する抗原)として、このポリペプチドを使用する方法もまた提供される。
本願発明は、投与を必要とする対象に、CD47に結合する1つ以上のモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントを投与することにより癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和する方法を提供し、抗体は、投与後に有意のレベルの赤血球の赤血球凝集、赤血球減少、貧血、および/または血小板減少を引き起こさない。抗体は、対象における癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、抗体はキメラ、ヒト化、又は完全ヒト[抗体]である。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトCD47に結合する。いくつかの実施形態において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、CD47がSIRPαと相互作用することを妨げる。いくつかの実施形態において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、及びIgG4アイソタイプから成る群より選択されるIgGアイソタイプである。いくつかの実施形態において、抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントは、IgG4P及びIgG4PEから選択されるIgGアイソタイプである。
いくつかの実施形態において、本願に記載されるCD47抗体は、1つ以上の追加の薬剤又は追加の薬剤の組み合わせと共に使用される。適切な追加の薬剤は、意図される用途、例えば癌、のための現在の医薬的な及び/又は外科的治療を含む。例えば、CD47抗体は、1つ以上の追加の化学療法剤又は抗腫瘍剤と共に使用され得る。代わりに、追加的な化学療法剤は、放射線療法である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、細胞死誘導剤である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、例えば、ホスファチヂルセリン(PS)の細胞表面露出をもたらす、細胞膜を非対称に横断するリン脂質の喪失を誘導する。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、小胞体(ER)ストレスを誘導する。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、プロテアソーム阻害剤である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、細胞表面へのERタンパク質の転移(translocation)を誘導する。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、カルレチキュリンの転移及び細胞表面露出を誘導する。
いくつかの実施形態において、CD47抗体及び追加的な薬剤は、単一の治療的な組成物に調製され、及びCD47抗体及び追加的な薬剤は、同時に投与される。あるいは、CD47抗体及び追加的な薬剤はお互いに分離され、例えば、そのそれぞれは別個の治療的な組成物に調製され、及び、CD47抗体及び追加的な薬剤は同時に投与され、又はCD47抗体及び追加的な薬剤は、治療レジメンの間の異なった時間に投与される。例えば、CD47抗体は追加的な薬剤の投与の前に投与され、CD47抗体は追加的な薬剤の投与の後に投与され、又は、CD47抗体及び追加的な薬剤は交互の形(alternating fashion)で投与される。本願に記載される場合、CD47抗体及び追加的な薬剤は単回投与で又は反復投与で投与される。
当業者は、本発明の抗体が様々な用途を有することを認識するだろう。例えば、本発明の抗体は、療法剤として、診断キットの薬剤として又は診断ツールとして、又は、治療的な試薬を発生させるための競合アッセイ(competition assay)の試薬として使用される。
本願で参照される特許文献及び科学的な文献は、当業者に利用可能な知識を構築する。本願で引用される全ての米国特許、公開された又は非公開の米国特許出願は、引用により組み込まれる。本願で引用される全ての公開された外国特許及び特許出願は引用により本願に組み込まれる。本願で引用されるアクセッション番号で示されたGenbank及びNCBI寄託(submission)は、引用により本願に組み込まれる。本願で引用される全ての公開された他の文献、文書、原稿及び科学的な文献は、引用により本願に組み込まれる。
この開示は、好ましい実施形態に関連して特に表され及び記載されているが、形式及び詳細における様々な変更が、添付の請求項により包含される開示の要旨を逸脱することなく本願においてなされ得ることが当業者により理解されるだろう。
図1Aは、フローサイトメトリーによって評価した、ハイブリドーマ上清内の抗体によるDaudi細胞のCD47の結合を示すグラフである。 図1Bは、ELISAによって測定した、ハイブリドーマ上清内のいくつかのCD47抗体の、組み換えヒトSIRPαの組み換えヒトCD47への結合をブロックする能力を示すグラフである。
図2Aは、フローサイトメトリーによって解析した、ラージ(Raji)細胞(バーキットリンパ腫由来のリンパ芽球細胞の培養系統)に対する精製ネズミCD47抗体の結合を示す一連のグラフである。 図2Bは、フローサイトメトリーによって解析したCCRF−CEM細胞、CD47ポジティブなヒトT細胞リンパ芽球様細胞系統を示す一連のグラフである。図2A及び2Bの実験は、本発明のネズミ抗体の結合と、商業的に入手可能なCD47抗体、B6H12及び2D3とを比較する。
図3Aは、組み換えヒトタンパク質を用いたELISAを使用した、CD47抗体のSIRPα結合をブロックするキャパシティを示す一連のグラフである。 図3Bは、CCRF−CEM細胞及び組み換えヒトSIRPαタンパク質を使用したフローサイトメトリーによる、CD47抗体のSIRPα結合をブロックするキャパシティを示す一連のグラフである。
図4は、CD47抗体によるRBCの赤血球凝集を示す一連の写真、グラフ及び表である。RBCの赤血球凝集はウェル内にぼんやりしたものの出現によって証明され、その一方で非凝集化RBCはドット状(punctate)として表れる。
図4Aは、テストした全ての濃度において2A1抗体が赤血球凝集を全く引き起こさないことを示す。赤血球凝集インデックスがグラフ中に表される。 図4Bは、多くのCD47抗体の中で2A1が、RBC凝集を引き起こさないという点でまれ(レア)であることを示す。ヒトキメラ型バージョンの2A1(2A1−xi)による凝集活性が欠落していることも示される。 図4Cは、CD47モノクローナル抗体2D3(SIRPαをブロックしない)が赤血球凝集を引き起こさないことを示す。 図4Dは、高濃度範囲のCD47抗体での赤血球凝集アッセイを示し、プロゾーン効果を実証する。赤血球凝集インデックスがグラフ中に表わされる。 図4Eは、CD47抗体1B4による赤血球凝集がより狭い濃度範囲で行われることを示すが、この効果は2A1結合には存在しない。 図4Fは、2A1、キメラ型2A1(2A1−xi)及びヒト化変異体が赤血球凝集を引き起こさないことを示す。ほとんどの実験において、9E4抗体及び市販のB6H12抗体を赤血球凝集のポジティブコントロールとして使用した。図4A〜Fのアッセイで使用した他の商業的に入手可能な抗体は、SIRPαブロッキング抗体、BRC126及びCC2C6、及び非SIRPαブロッキング抗体2D3であった。
図5は、フローサイトメトリーによって評価したカニクイザル(cyno)B細胞及びラージに対して結合する2A1及びB6H12を示すグラフである。2A1は、B6H12のように、ヒト及びcynoCD47に対して同等の親和性で結合するが、B6H12は、ヒト及びcynoCD47の両方に対して2A1に比べてより低い親和性を有した。
図6は、フローサイトメトリーによって評価した、2A1、2A1−xi及びB6H12のラージ細胞に対する結合を示すグラフである。重要なことに、グラフは、重鎖可変領域(VH)配列及び軽鎖可変領域(VL)配列が、2A1のキメラ型バージョンに正確に反映(elucidated)されたことを示す。
図7Aは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。図7A〜Jにおいて、2A1−xiは、ほとんどのグラフの内部コントロールとして使用した。重鎖及び軽鎖の多数の組み合わせを実施例8に記載したようにテストした。 図7Bは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Cは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Dは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Eは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Fは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Gは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Hは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Iは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。 図7Jは、2A1のヒト化変異体のラージ細胞に対する結合を示す。
図8Aは、Superdex200カラムを用いたAKTA FLPCを使用した分子篩クロマトグラフィからの追跡のイメージである。AB6.12抗体のIgG1、IgG4P、及びIgG4PE変異体が示される。3つの変異体全てが、97%超でモノマーである。 図8Bは、還元状態(R)及び非還元状態(NR)の多数の2A1のヒト化変異体をSDS−PAGEして、クーマシーブルー染色したゲルの写真である。
図9は、ヒト単球由来のマクロファージ(MDM)によるヒト腫瘍細胞系統の食作用を促進するCD47抗体の能力を示す一連のグラフである。
図9Aは、食作用インデックスを示すグラフであり、ここで使用した抗体は、市販の抗体B6H12、ネズミ2A1抗体、ヒト化変異体AB2.05抗体、及び非ブロッキング性の市販の抗体2D3である。 図9Bは、食作用インデックスを示すグラフであり、ここで使用した抗体は、市販の抗体B6H12、ヒト化抗体AB2.05(ヒトIgG1)、及び、ヒト化抗体AB6.12のIgG1、IgG4P、IgG4PE変異体である。これらの実験においてCCRF−CEM細胞をCD47ターゲット細胞系統として使用した。
図10は、ラージの腫瘍モデルにおけるCD47抗体の抗腫瘍効果を示す一連のグラフである。
図10Aは、ネズミ抗体9E4、1B4、2A1、及び市販の抗体B6H12の効果を示すグラフである。 図10Bは、ネズミ2A1抗体と共に、ヒト化抗体AB6.12のIgG1、IgG4P、及びIgG4PEアイソタイプの効果を示すグラフである。両方のモデルにおいて、1週間あたりに3回、200μgずつ抗体でマウスを処置した。
図11Aは、CD47−IgVとSIRPα−IgVドメインの共結晶複合体(co-crystal complex、タンパク質データバンク(PDB)引用番号2JJS)のグラフィック表現である。 図11Bは、CD47−IgVとSIRPα−IgVドメインとB6H12の共結晶複合体のグラフィック表現である。 図11Cは、CD47−IgVとSIRPα−IgVドメインと2A1の共結晶複合体のグラフィック表現である。2A1及びB6H12は、CD47に対し非常に異なる配向(複数)でかつ別個のエピトープ(複数)で結合し、両者はSIRPα結合部位と重複する。2A1抗体は頭部が側面へ配向するように(in a head to side orientation)、CD47タンパク質に対し結合する。
図12は、IgG1、IgG4P(ヒンジが安定化されている:S228P)、およびIgG4PE(ヒンジが安定化されている:S228P、及び更には、FcγR結合減少変異(reduced FcgammaR binding mutant):L235E)アイソタイプのCD47抗体の単一のドーズ(ビヒクル、10、30、又は100mg/kg)[の投与]の後のカニクイザルの血液における血小板レベルを描写したグラフのシリーズである。左の欄におけるグラフ(A,C、E、およびG)は経時的な全血における平均血小板数を示す。右の欄におけるグラフ(B、D、F、およびH)は、各サルにおけるプレドーズ(ないし、pre-dose、注入前4日間)血小板数に正規化された、経時的残存血小板数の平均パーセントを示す。
図13は、抗体処置されたカニクイザルからの平均RBC数のグラフであり、ビヒクル処置サルの平均RBC数に正規化されている。抗体処置サルは、本願発明のAB06.12−IgG4P抗体またはAB06.12−IgG4PE抗体を様々な用量(ないし、ドーズ)で投与された。
本発明は、ヒトCD47を含むCD47に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。これらの抗体は、本願においてCD47抗体と集合的に称される。
標的細胞除去に関する抗体の初期Fc依存性機能は、Fc領域にC1qを結合させることによって開始される補体依存性細胞毒性(CDC)であり;Fcγレセプター(FcgammaRs)(免疫エフェクター細胞(例えば、NK細胞及び好中球)の初期FcγRIIIa)とFc領域との相互作用によって媒介される抗体依存性細胞毒性(ADCC)であり;および、FcγRIを介するオプシン化標的細胞(opsinized target cell)の認識を介したマクロファージにより行われる抗体依存性細胞性ファゴサイトシス(ADCP)である。抗体サブクラスはFc依存性エフェクター活性を媒介する能力について違いを有する。ヒトにおいては、IgG1サブクラスおよびIgG3サブクラスは、C1qに結合することに起因してCDCに関する高い潜在能力を有する。加えて、IgG1サブクラスは、FcγRに関する最も高い親和性を有し、ADCCおよびFc依存性ADCPに関してそれ故最も有力である。IgG4サブクラスは、C1q結合能力を欠いており、そして、大きく減少したFcγR結合親和性を有し、それ故、著しく減少したエフェクター機能を有する。
免疫グロブリンスーパーファミリーに属する複数回膜貫通レセプターであるCD47は、マクロファージのSIRPα(シグナル制御タンパク質α)と相互作用し、その結果食作用を抑制する。この経路を取り入れた(co-opt)癌細胞は、食作用を回避する。以下に詳細に記載するように、これは、腫瘍免疫回避の新しいメカニズムであり、そして、治療的にCD47をターゲットにすることは、多くの癌において、広範囲な応用を有する。
CD47の発現は、非ホジキンスリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、卵巣癌、神経膠腫、グリア芽腫などを含む多くの異なった悪性腫瘍において、悪い臨床結果と関連する。加えて、CD47は、白血病、固形腫瘍の両方において、癌幹細胞マーカーとして同定されている(Jaiswal et al., 2009 Cell, 138(2): 271-85; Chan et al., 2009 Proc Natl Acad Sci USA, 106(33): 14016-21; Chan et al., 2010 Curr Opin Urol, 20(5): 393-7; Majeti R et al., 2011 Oncogene, 30(9): 1009-19)。
CD47をブロックする抗体は、多重インビボ腫瘍モデルにおいて、抗腫瘍活性を示している。更には、これらの抗体は、腫瘍モデルにおいてリツキサン(登録商標)及びハーセプチン(登録商標)を含む他の治療的な抗体と相乗作用をすることが示されている。CD47のSIRPαとの相互作用をブロックすることは、マクロファージによるCD47発現細胞の食作用を促進させることができる(Chao et al., 2012 Curr Opin Immunol, 24(2): 225-32に総説される)。CD47を欠損しているマウスは放射線療法に著しく耐性であり、放射線療法と組み合わせてCD47をターゲットとする役割(role)を示唆する(Isenberg et al., 2008 Am J Pathol, 173(4): 1100-1112; Maxhimer et al., 2009 Sci Transl Med, 1(3): 3ra7)。更には、これらマウスにおける同系の腫瘍モデルは、野生型マウスと比較して減少した骨への転移を示す(Uluckan et al., 2009 Cancer Res, 69(7): 3196-204)。
多くのCD47抗体は、赤血球減少及び貧血並びにヒト赤血球の赤血球凝集を引き起こすことが報告されていることは重要である。赤血球凝集は、同型の相互作用(homotypic interaction)の例であり、2つのCD47発現細胞が、二価のCD47結合体(binding entity)で処置された場合に、凝集又はクランプをもたらす。例えば、完全IgG又はF(ab‘)としてのCD47抗体、MABLは、赤血球の赤血球凝集を引き起こすことが報告されており、そして、MABLがscFvまたは二価のscFvに変換された場合にのみ、この効果は軽減した。(例えば、Uno S, Kinoshita Y, Azuma Y et al. Antitumor activity of a monoclonal antibody against CD47 in xenograft models of human leukemia. Oncol Rep 2007; 17: 1189-94; Kikuchi Y, Uno S, Yoshimura Y et al. A bivalent single-chain Fv fragment against CD47 induces apoptosis for leukemic cells. Biochem Biophys Res Commun 2004; 315: 912-8を参照。)B6H12、BRC126、及びCC2C6を含む他の既知のCD47抗体もまた、以下に詳細に記載するように、RBCの赤血球凝集を引き起こす。
加えて、CD47抗体及びCD47拮抗SIRPα−Fc融合タンパク質は、マウス及び/又はカニクイザルに投与されると赤血球減少及び貧血を引き起こすと報告されている(Weiskopf et al. Engineered SIRPa Variants as Immunotherapeutic Adjuvants to Anticancer Antibodies. Science 2013; 341:88参照)。貧血は、血液が、組織に酸素を運ぶための十分な量の赤血球またはヘモグロビンを欠いている状態である。貧血は、その技術分野で一般的に知られる多くの方法により診断され得る。例えば、貧血は、赤血球の数、サイズ、体積、およびヘモグロビン含有量を決定する完全な血液数(CBC)を決定することにより診断される。貧血はまた、身体の総鉄貯蓄のインジケーターである、血液鉄レベルおよび/または血清フェリチンレベルを測定することにより診断される。加えて、貧血は、ビタミンB12および葉酸、網状赤血球数、およびビリルビンのレベルを測定することによって診断される。
従って、細胞の凝集、RBC減少、および貧血は、従来の完全IgG抗体及び/又はSIRPα−Fc融合タンパク質によるCD47を治療的に標的にすることの主要な限界(limitation)を示す。
更には、CD47抗体の重要な特徴は、マクロファージによるCD47発現細胞の食作用を促進するためCD47及びSIRPαの相互作用をブロックする能力である。多くの従来のCD47抗体はSIRPαをブロックする;しかしながら、本願に記載される発明前は、SIRPαをブロックした従来の抗体は、上記のように、望まれない赤血球凝集の副作用を引き起こした。2D3のような他の従来の抗体は、赤血球凝集を引き起こさず;しかしながら、これらの抗体はまた、SIRPαをブロックせず、それらは食作用の促進に関して無効である。従って、本願に記載される発明前は、細胞クランプを引き起こさないでSIRPαをブロックしたCD47抗体を同定することが差し迫って必要とされていた。
本発明のCD47抗体は、赤血球凝集という望まれない効果を回避し、その結果、CD47を治療的にターゲットとする有効性を増加させ、かつ、CD47のSIRPαとの相互作用をブロックする能力を維持し、その結果、CD47発現細胞の食作用を促進させる。特に、本発明の完全IgG CD47抗体(例えば、表1で提示されるものを含む2A1及びそのヒト化誘導体)は有意(significant)のレベルで細胞を凝集させない。例えば、本発明のCD47抗体は、有意のレベルでRBCを赤血球凝集させない。本願に記載されるものは、SIRPαをブロックする完全IgG形式での初めてのCD47抗体であり、有意のレベルの赤血球凝集および/またはRBC減少を引き起こさないものである。まとめると、本発明の抗体(例えば、2A1抗体及びそのヒト化誘導体)は、SIRPαをブロックする能力に関して従来のCD47抗体の間ではユニーク(unique)であり、有意のレベルの赤血球凝集および/またはRBC減少を引き起こさない。
本発明のCD47抗体は、非限定的な例として、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさずに又はその他赤血球の赤血球凝集を調節する(modulate)こと無しに、CD47とそのリガンドであるSIRPαの間の相互作用の有効な(potent)ブロック並びに有効な抗腫瘍活性というような多数の望まれる特徴を示す。例えば、本発明のCD47抗体は、本願に記載されるCD47抗体の不在下におけるCD47とSIRPαの間の相互作用のレベルと比較して、CD47とSIRPαの間の相互作用の少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、又は少なくとも99%をブロックする。本発明のCD47抗体は、有意のレベルの細胞の凝集を引き起こさない、例えば、本発明のCD47抗体は、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない。例えば、本発明のCD47抗体の存在下での凝集のレベルは、従来のCD47抗体の存在下における凝集のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%だけ減少する。いくつかの実施形態において、仮に本発明のCD47抗体の存在下における凝集のレベルが、CD47抗体である1B4(SEQ ID番号80及びSEQ ID番号81のそれぞれにおいて提示される可変重鎖及び可変軽鎖配列を含む)存在下における凝集のレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は、少なくとも99%だけ減少する場合に、本願発明のCD47抗体は、有意のレベルの凝集を引き起こさない。本発明のCD47抗体は、有意なレベルのRBC減少を引き起こさない。例えば、本発明の抗体の投与後(5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日間、4日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、またはそれ以上)の対象におけるRBC数は、投与前のRBC数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%である。代わりに又は加えて、本発明の抗体の投与後(5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日間、4日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、またはそれ以上)の対象におけるRBC数は、プラセボ処置(例えば、ビヒクル)の実施後の対象のRBC数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%である。RBC数は、その技術分野における標準方法により決定される。本発明の抗体はまた、その技術分野で知られる抗体と比較して、腫瘍モデルにおいて著しくより有効である。例えば、本発明のCD47抗体の存在下において、腫瘍細胞を貪食するマクロファージの能力は、従来のCD47抗体の存在下での腫瘍細胞を貪食するマクロファージの能力と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも99%だけ増加する。
当業者は、過度の実験をせずに、例えば、RBCの赤血球凝集のレベルのような、凝集のレベルを定量することが可能であると認識するだろう。例えば、当業者は、下記の実施例に記載されるように、本発明のCD47抗体の存在下で赤血球凝集アッセイを行った後に、RBCドットの領域を測定することにより、赤血球凝集のレベルが確認されることを認識するだろう。いくつかのケースにおいて、本発明のCD47抗体の存在下でのRBCドットの領域は、CD47抗体の不在下、すなわち赤血球凝集がゼロである場合の、RBCドットの領域と比較される。このように、赤血球凝集は、基線対照に対して、定量化される。より大きいRBCドット領域は、赤血球凝集のより高いレベルに対応する。あるいは、RBCドットの密度測定はまた、赤血球凝集の定量に利用することができる。
加えて、本発明のCD47抗体のような抗体は、投与の際の(例えば、Fc−依存的な態様において)血小板減少の一因となりうる。例えば、CD47に結合するIgGIサブクラスの抗体でのカニクイザルの処置は、複数の用量において、有意な血小板の減少をもたらし得る。例えば、実施例12及び図12C−Dを参照。血小板減少の欠点は、激しい時には、致死的な出血をもたらし得ることである。本発明は、FcγR結合を減少させるための抗体の変異が、低いレベルの血小板減少が高用量においてさえ(例えば、100mg/kg)、検出されないという結果をもたらすという驚くべき発見に一部基づく。例えば、実施例12及び図12G−Hを参照する。従って、著しく減少したFcγR結合およびエフェクター機能を有するCD47結合抗体は、血小板減少をもたらさない。
血小板数は、その技術分野における技術の1つとして一般的に知られる所定の方法を使用して測定され得る。経時的な残存血小板パーセンテージは、治療の実施の前(例えば、1時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日、4日、5日、6日、又はそれ以上)のいくつかの時点の血小板数に正規化された本発明(例えばCD47抗体)の治療の実施後の所定の時点で残存する血小板数として計算され得る。著しい血小板減少は、100%未満(例えば、95%、90%、85%、80%、75%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満)の投与後の残存血小板パーセンテージとして定義され得る。本発明(例えば、抗体)の治療は、有意でないレベルの血小板減少を誘導する(例えば、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の投与後の残存血小板パーセンテージ)。本発明のCD47抗体は、ヒトCD47に結合し、そしてそれのSIRPαとの相互作用をブロックする(図1B、3、及び7J)。これらの抗体は、ヒト赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさない(図4)。また、これらの抗体は有意なレベルの血小板減少を引き起こさない特性を有し得る(例えば、実施例12および図12)。これらの抗体は、マクロファージによる腫瘍細胞の食作用を促進させることができる(図9)。更には、CD47抗体は、ヒトリンパ腫のマウスモデルにおいて、有効な抗腫瘍活性を表す(図10)。従って、本発明のCD47抗体は、CD47を治療的にターゲットとすることに関する主要な限定要因を回避する。その結果、本発明のCD47抗体は、多数の癌の治療において、非常に重要な位置にある。
ヒトCD47に特異的に結合する本発明の抗体は、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさず、又はその他赤血球の赤血球凝集を調節することなく、ヒトCD47とヒトSIRPαの間の相互作用をブロック、阻害、破壊、又はその他調節する。
本発明の抗体は、1μM以下(1μM≧)、例えば、100nM以下(100nM≧)、好ましくは、10nM以下(10nM≧)、及びさらに好ましくは1nM以下(1nM≧)の平衡結合定数(K)でCD47エピトープに結合する。例えば、本願で提供されるCD47抗体は、およそ、1nM以下(1nM≧)から約1pMの間の範囲のKを示す。
本発明のCD47抗体は、広く分布するCD47の機能的な活性を調節、ブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉するのに役立つ。CD47の機能的な活性は、例えば、SIRPαとの相互作用を介するシグナリング、細胞外マトリクスへの細胞接着の際の細胞内カルシウム濃度を調節(例えば増加)させること、トロンボスポンジン(thrombospondin)のC末端細胞結合ドメインと相互作用すること、フィブリノーゲンと相互作用すること、及び様々なインテグリンと相互作用することを含む。例えば、CD47抗体は、CD47のSIRPαへの結合を部分的に又は完全に調節、ブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉することにより、CD47の機能的な活性を完全に又は部分的に阻害する。
CD47抗体の存在下でのCD47の機能的な活性のレベルが、本願に記載されるCD47抗体との結合の不在下でのCD47の機能的な活性のレベルと比較して、少なくとも95%だけ、例えば、96%、97%、98%、99%又は100%だけ減少する場合、CD47抗体はCD47の機能的な活性を完全に調節、ブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉すると考えられる。CD47抗体の存在下でのCD47活性のレベルが、本願に記載されるCD47抗体との結合の不在下でのCD47活性のレベルと比較して、少なくとも50%だけ、例えば、55%、60%、75%、80%、85%又は90%減少する場合、CD47抗体はCD47の機能的な活性を十分にブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉すると考えられる。CD47抗体の存在下でのCD47活性のレベルが、本願に記載されるCD47抗体との結合の不在下でのCD47活性のレベルと比較して、95%未満だけ、例えば、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%又は90%減少する場合に、CD47抗体は、CD47の機能的な活性を部分的に調節、ブロック、阻害、減少、拮抗、中和、又はその他干渉すると考えられる。
[定義]
格別に定義されない限り、本発明に関連して使用される科学的及び技術的な用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するべきである。更には、格別に文脈により要求されない限り、単数の用語は複数の場合を含むものとし、そして複数の用語は単数の場合を含むものとする。一般的に、本願に記載される細胞及び組織培養、分子生物学及び、タンパク質及びオリゴ又はポリヌクレオチド化学及び、ハイブリダイゼーションと関連して利用される用語(ないし命名法、nomenclatures)、及びそれらの技術は、その技術分野で良く知られ、そして一般的に使用される。標準的な技術は、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に関して使用される。酵素学的な反応及び精製技術は、製造者の仕様書に従って行われ、又はその技術分野で一般的に行われるように、又は本願に記載されるように行われる。前述の技術及び手順は、その技術分野で良く知られる従来の方法に従って一般的に行われ、そして、本明細書を通して引用されそして議論される、様々な一般的なそしてより専門的な参考文献に記載されるように通常行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第二版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照する。本願に記載される分析化学、有機合成化学、並びに医薬の及び医薬的な化学に関連して利用される用語(ないし命名法)、及びそれらの研究室手順と技術は、その技術分野で良く知られ、及び一般的に使用されるものである。標準的な技術は、化学的な合成、化学的な分析、医薬的な調製、製剤化、及び輸送、及び患者の治療に関して使用される。
本開示に従って利用される場合、次の用語は、格別に指示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
本願で使用される場合、用語CD47、インテグリン関連タンパク質(IAP)、卵巣癌抗原OA3、Rh関連抗原及びMER6は、同義的であり、そして、区別しないで用いられて良い。
用語赤血球(red blood cell)(1又は複数)及び、赤血球(erythrocyte)(1又は複数)は同義的であり、本願において、区別しないで用いられる。
用語凝集(agglutination)は、細胞クランピングを意味するが、用語赤血球凝集(hemagglutination)は、細胞の特別なサブセット(すなわち、赤血球)のクランピングを意味する。従って、赤血球凝集は、凝集の1つのタイプである。
本願で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分を意味し、すなわち、抗原に特異的に結合する([抗原と]免疫反応する)抗原結合部位を含む分子である。「特異的に結合する」又は「と免疫反応する」、又は「に向けられる」により、抗体が、所望の抗原の1つ以上の抗原決定基と反応し、そして他のポリペプチドと反応しないか又はかなり低い親和性(K>10−6)で結合することが意味される。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、dAb(ドメイン抗体)、単鎖抗体、Fab、Fab‘及びF(ab’)フラグメント、F、scFv、及びFab発現ライブラリを含み、これらに限定されない。
基本的な抗体構造ユニットは、四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの相同対(identical pair)から成り、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50−70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に基本的に関与する(primarily responsible)約100から110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に基本的に関与する定常領域を規定する。一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのクラスのいずれかに関連し、分子に存在する重鎖の性質(nature)によりお互いに異なる。あるクラスは、同様に、IgG、IgGなどのサブクラス(アイソタイプとしても知られる)を有する。更には、ヒトにおいて、軽鎖は、カッパ鎖又はラムダ鎖であって良い。
本願で用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」(MAb)又は「モノクローナル抗体組成物」は、特有の軽鎖遺伝子産物及び特有の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子のただ1つの分子種(molecular species)を含む抗体分子の集団を意味する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDRs)は、集団の全ての分子において同一である。MAbは、抗原の特別なエピトープに対する特有の結合親和性によって特徴付けられる、抗原の特別なエピトープとの免疫反応が可能である抗原結合部位を含む。
一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのクラスのいずれかに関連し、分子に存在する重鎖の性質によりお互いに異なる。あるクラスは、同様に、IgG、IgGなどのサブクラスを有する。更には、ヒトにおいて、軽鎖は、カッパ鎖又はラムダ鎖であって良い。
用語「抗原結合部位」又は「結合部分」は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の一部分を意味する。抗原結合部位は、重(「H」)鎖及び軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基により形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の高度に多肢的(divergent)な3つのストレッチ(stretch)は、「超可変領域」と称され、「フレームワーク領域(framework regions)」又は「FRs」として知られる、より保存された近傍ストレッチの間に置かれる。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンにおける超可変領域の間に自然(naturally)に見出され、及びそれらに隣接するアミノ酸配列を意味する。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域及び重鎖の3つの超可変領域は、3次元空間においてお互いに関連して配置され、抗原結合表面を形成する。抗原に結合する(antigen-binding)表面は、被結合(bound)抗原の3次元表面に相補的であり、そして重鎖及び軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は「相補性決定領域」又は「CDRs」と称される。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、免疫学的に重要なタンパク質のKabat配列の定義に従う(National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987及び1991))、又はChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)、Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)。
本願で使用される場合、用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はそのフラグメント、又はT細胞レセプターに特異的に結合できる任意のタンパク質決定基(protein determinant)を含む。用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT細胞レセプターに特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープの決定基は通常、アミノ酸又は糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面グルーピング(chemically active surface groupings)からなり、そして通常、特異的な電荷特性だけでなく、特異的な3次元構造特性を有する。かい離定数が1μM以下(1μM≧)、例えば、100nM以下(100nM≧)、好ましくは10nM以下(10nM≧)及びより好ましくは1nM以下(1nM≧)である場合に、抗体は抗原に特異的に結合すると言われる。
本願で使用される場合、用語「免疫学的な結合」及び「免疫学的な結合特性」は、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリンが特異的である抗原の間に生じるタイプの非共有的な相互作用を意味する。免疫学的な結合相互作用の強度ないし親和性は、相互作用のかい離定数(K)によって表現され得、より小さいKは、より大きな親和性を表す。選択されるポリペプチドの免疫学的な結合特性は、その技術分野で良く知られる方法を使用して定量され得る。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体形成及びかい離の速度(ないし比率、rate)を測定する必要があり、これら速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、及び、双方向への速度に等しく影響する幾何学的なパラメータに依存する。従って、「オンの速度定数」(kon)及び「オフの速度定数」(koff)の両方は、結合(ないし会合、association)及びかい離の濃度及び現実の速度の計算により決定することができる。(Nature 361:186-87 (1993)参照)。koff/konの割合は、親和性に関係しない全てのパラメータの除外(cancellation)を可能にし、そしてかい離定数Kに等しい。(一般的に、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照)。放射性リガンド結合アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、フローサイトメトリー結合アッセイ、又は当業者に知られる類似のアッセイのようなアッセイにより測定された場合、平衡結合定数(K)が、1μM以下(1μM≧)であり、好ましくは、100nM以下(100nM≧)であり、さらに好ましくは10nM以下(10nM≧)であり、もっとも好ましくは100pM以下(100pM≧)から約1pMである場合に、本発明の抗体は、CD47に特異的に結合すると言われる。
本願で使用される場合、用語「単離されたポリヌクレオチド」は、ゲノム、cDNA、又は合成起点又はいくつかのそれらの組み合わせのポリヌクレオチドを意味するべきであり、その起源に由来して、「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)天然において「単離されたポリヌクレオチド」が見出されるポリヌクレオチドの全て又は部分と結合(associated)せず、(2)天然においてそれと連結(link)しないポリヌクレオチドに機能可能に(operably)連結し、又は、(3)より長い配列の部分として天然において生じない。
本願において言及される用語「単離されたタンパク質」は、cDNA、組み換えRNA、又は合成起点又はいくつかのそれらの組み合わせのタンパク質を意味し、その起源(origin)に由来して又は、由来(derivation)のソースにより、「単離されたタンパク質」は、(1)天然に見られるタンパク質と結合しない、(2)同一のソースからの他のタンパク質を含んでいない(例えば、海洋タンパク質を含んでいない)、(3)異なる種からの細胞により発現される、又は、(4)天然に生じない。
用語「ポリペプチド」は、天然のタンパク質フラグメント、又はポリペプチド配列のアナログを意味するように属を示す(generic)用語として本願で使用される。従って、天然のタンパク質フラグメント、及びアナログは、ポリペプチド属(polypeptide genus)の種(species)である。
本願で使用され、対象に適用される場合、用語「天然に生じる」は、対象が天然に見出され得るという現実を意味する。例えば、天然のソースから単離され得る生命体(ウイルスを含む)に存在し、そして研究室で又は格別に、ヒトにより意図的に修飾(modify)されるポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、天然に生じるものである。
本願に用いられる場合、用語「機能可能に(operably)連結する」は、意図される仕方で組成物が機能できるような関係でのそのように記載される組成物の位置を意味する。「機能可能に」コーディング配列に[連結する]制御配列は、制御配列と適合する(compatible with)条件下でコーディング配列の発現が達成されるように結合される。
本願で使用される場合、用語「制御配列(control sequence)」は、それらが結合される、コーディング配列の発現及びプロセシングをもたらすのに必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。その様な制御配列の特質は、原核生物の宿主生命体に依存して異なり、その様な制御配列は、一般的にプロモータ、リボソーム結合部位及び真核生物の転写終結配列を含み、一般的に、その様な制御配列は、プロモータ、及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、少なくとも、その存在が発現及びプロセシングに必須である全ての要素を含むことを意図し、そしてまた、その存在が有利である追加の要素、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列(fusion partner sequence)を含むことができる。用語「ポリヌクレオチド」は、本願で言及される場合、少なくとも10塩基長のヌクレオチドの重合ホウ素(polymeric boron)、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドのいずれか、又は、ヌクレオチドのどちらかのタイプの修飾された形態を意味する。この用語は、DNAの一本鎖及び二本鎖の形態を含む。
本願において言及される用語「オリゴヌクレオチド」は、天然に生じるヌクレオチド及び、天然に生じ及び非天然に生じるオリゴヌクレオチド連結によってお互いに連結される、修飾されたヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、一般的に200塩基以下の長さを含むポリヌクレオチドサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、長さ10から60塩基であり、もっとも好ましくは、長さ12、13、14、15、16、17、18、19、又は20から40塩基である。オリゴヌクレオチドは、多くの場合、例えばプローブでは一本鎖であるが、例えば、遺伝子変異体の構築における使用では、オリゴヌクレオチドは二本鎖であってよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、センス又はアンチセンスのどちらかのオリゴヌクレオチドである。
本願で言及される用語「天然に生じるヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む。本願で言及される用語「修飾されたヌクレオチド」は、修飾された又は置換された糖類などを有するヌクレオチド含む。本願において言及される用語「オリゴヌクレオチド連結」は、フォスフォロチオアート、フォスフォロジチオアート、フォスフォロセレロアート(phosphoroselerloate)、フォスフォロジセレノアート(phosphorodiselenoate)、フォスフォロアニロチオアート(phosphoroanilothioate)、フォスホラニラダート(phoshoraniladate)、フォスフォロニミダート(phosphoronmidate)等のようなオリゴヌクレオチド連結を含む。例えば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081 (1986); Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984), Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988), Zon et al. Anti Cancer Drug Design 6:539 (1991); Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991)); Stec et al. 米国特許番号 5,151,510; Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543 (1990)を参照する。オリゴヌクレオチドは、所望すれば検出のためのラベルを含むことができる。
本願において言及される用語「選択的にハイブリダイズする(selectively hybridize)」は、検出可能にかつ特異的に結合することを意味する。本発明に関連するポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びそれらのフラグメントは、ハイブリダイゼーション及び、非特異的な核酸への検出可能な結合のかなりの量を最小化する洗浄条件下で核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェンシーな条件(high stringency conditions)は、その技術分野において知られ、そして本願で検討されるような選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために使用され得る。一般的に、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び本発明のフラグメント及び目的の核酸配列の間の核酸配列ホモロジーは、少なくとも80%であろうし、より典型的には、少なくとも85%、90%、95%、99%、及び100%の好ましく増加したホモロジーを有するだろう。2つのアミノ酸配列は、それらの配列の間で部分的な又は完全な一致がある場合に、相同(homologous)である。例えば、85%のホモロジーは、2つの配列が最大のマッチング(matching)で整列した場合に85%のアミノ酸が同一であることを意味する。(マッチしている2つの配列のどちらかにおける)ギャップは、5以下のマッチングギャップ(matching gap)長を最小とするようになるのが好ましく、2以下にすることがより好ましい。2つのタンパク質配列(又は、少なくとも30アミノ酸の長さのそれら由来のポリペプチド配列)が、変異データマトリクス及び6以上のギャップペナルティを使用するALIGNプログラムを使用して、(標準偏差ユニットにおいて)5より大きい整列スコアを有している場合、代わりに及び好ましくは、この用語が本願で使用される場合においては、2つのタンパク質配列(又は、少なくとも30アミノ酸の長さのそれら由来のポリペプチド配列)は相同である。Dayhoff, M.O., in Atlas of Protein Sequence and Structure, pp. 101-110 (5巻, National Biomedical Research Foundation (1972)) 及びこの巻の追補2、pp. 1−10を参照する。ALIGNプログラムを使用して最適に整列させたとき、2つの配列又はその部分のアミノ酸が50%以上同一である場合に、2つの配列又はその部分はより好ましく相同である。用語「に対応する(ないしに相当する、corresponds to)」は、本願において、ポリヌクレオチド配列が参照ポリヌクレオチド配列の全て又は一部分に相同(すなわち、同一であり、厳密に進化的に関連しない)であるという意味で使用され、又は、ポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であるという意味で使用される。対照的に、用語「と相補的である」は、本願において、相補的な配列が、参照ポリヌクレオチド配列の全て又は一部分に相同であるという意味で使用される。例示のために、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」と対応し、そして、参照配列「GTATA」と相補的である。
次の用語は、2つ以上のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の間の配列関連性を記載するのに用いられる:「参照配列」、「比較ウィンドウ(comparison window)」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」、及び「実質的な同一性」。「参照配列」は、配列比較のための基礎として用いられる定義された配列であり、参照配列は、例えば、全長の(full-length)cDNAのセグメント又は、配列リストにある遺伝子配列のセグメントのようなより大きな配列のサブセットであり得又は、完全なcDNA又は遺伝子配列を含むことができる。一般的に、参照配列は、少なくとも18ヌクレオチド又は6アミノ酸の長さであり、しばしば、少なくとも24ヌクレオチド又は8アミノ酸の長さであり、そして多くの場合、少なくとも48ヌクレオチド又は16アミノ酸の長さである。2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列は、それぞれ、(1)2つの分子の間で類似である配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の一部分)を含んで良く、そして、(2)2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の間で相違する(divergent)配列を更に含んで良く、2つ(又はそれ以上)の分子の間の配列比較は、典型的には、「比較ウィンドウ」にわたって2つの分子の配列を比較することにより行われ、そして配列類似性の局所領域(local region)を同定及び比較する。本願で使用される場合「比較ウィンドウ」は、少なくとも18の隣接したヌクレオチド位置又は6アミノ酸の概念セグメント(conceptual segment)を意味し、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、少なくとも18の隣接したヌクレオチド又は6アミノ酸配列の参照配列と比較することができ、そして、比較ウィンドウのポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメント(ないし整列、alignment)のための参照配列(これは、付加又は削除を含まない)と比較して20パーセント以下の付加、削除、置換など(すなわちギャップ)を含み得る。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所ホモロジーアルゴリズムにより、Needleman and Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:2444 (1988)の類似法に関する検索により、これらアルゴリズムのコンピュータ化された実施(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, (Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.)におけるGAP、 BESTFIT、 FASTA、及び TFASTA、Geneworks、又はMacVector software packages)により、又は、検査により行われて良く、そして、様々な方法により生じたもっともよいアラインメント(すなわち、比較ウィンドウにわたり、ホモロジーの最も高いパーセンテージをもたらす)が選択される。
用語「配列同一性」は、比較ウィンドウにわたって2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列が(すなわち、ヌクレオチドとヌクレオチド又は残基と残基基準で)同一であることを意味する。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較し、両方の配列において、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、UまたはI)又は残基が生ずる位置の数を決定し、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数(すなわちウィンドウの大きさ)で割り、そして結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。本願で使用される場合、用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の特徴を示し、ポリヌクレオチド又はアミノ酸は、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウィンドウにわたって、頻繁には少なくとも24−48ヌクレオチド(8−16アミノ酸)位置のウィンドウにわたって、参照配列と比較した場合、少なくとも85パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも90から95パーセントの配列同一性、より通常には、少なくとも99パーセント配列同一性を有する配列を含み、配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウにわたって、参照配列を、参照配列の総計20パーセント以下の欠損又は付加を含み得る配列と比較することにより計算される。参照配列は、より大きな配列のサブセットであり得る。
本願で使用される場合、20の従来型のアミノ酸及びその省略表記は、従来型の用途に従う。Immunology - A Synthesis (第二版、 E.S. Golub and D.R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland7 Mass. (1991))を参照する。20の従来型のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α−、α−2基置換のアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸及び他の非従来型のアミノ酸のような非天然のアミノ酸はまた、本発明のポリペプチドに適切な要素であり得る。非従来型アミノ酸の例は、4ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−フォスフォセリン、N−アセチルセリン、N−フォルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、及び他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)を含む。本願で使用されるポリペプチド表記において、標準の用途及び慣習に従って、左側方向はアミノ末端方向であり、そして右側方向は、カルボキシ末端方向である。
同様に、格別に特定されない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり、二重鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5’方向と称される。新生RNA転写産物の5’から3’付加の方向は転写方向と称され、RNA転写産物の5’から5’末端であり、RNAと同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写産物の3’から3’末端であり、RNAと同一の配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
ポリペプチドに適用される場合、用語「実質的な同一性」は、既定のギャップウェイト(gap weights)を使用するプログラムGAP又はBESTFITによるなどして最適に整列させた場合、2つのペプチド配列は、少なくとも80パーセント配列同一性、好ましくは、少なくとも90パーセント配列同一性、より好ましくは、少なくとも95パーセント配列同一性、及びもっとも好ましくは、少なくとも99パーセント配列同一性を共有することを意味する。
好ましくは、同一でない残基位置は、保存的なアミノ酸置換により異なる。
保存的なアミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基の互換性に関連する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンである;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びトレオニンである;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンである;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群はフェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンである;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リシン、アルギニン、及びヒスチジンである;及び、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的なアミノ酸置換群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン バリン、グルタミン[酸]−アスパラギン[酸]、及びアスパラギン−グルタミンである。
本願で議論される場合、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列におけるわずかなバリエーションは、本願発明により包含されることが検討され、アミノ酸配列におけるバリエーションが、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、及びもっとも好ましくは99%を維持することを提供する。特に、保存的なアミノ酸置換が考えられる。保存的な置換は、アミノ酸の側鎖に関するアミノ酸ファミリー内で行われるものである。遺伝学的にコードされるアミノ酸は、一般的に、(1)酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性アミノ酸である、リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性アミノ酸であるアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、及び(4)非荷電極性アミノ酸であるグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンのファミリーに分けられる。親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、セリン、及びトレオニンを含む。疎水性アミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン及びバリンを含む。アミノ酸の他のファミリーは、(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリン及びスレオニン;(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギン及びグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;及び(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンを含む。例えば、ロイシンのイソロイシン又はバリンでの分離した置換、アスパラギン酸のグルタミン酸での[分離した置換]、スレオニンのセリンでの[分離した置換]、又は、アミノ酸の構造的に関連するアミノ酸での類似の置換は、特に、置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を含まない場合、結果の分子の結合又は性質における主要な効果を有さないだろうことを期待することが妥当である。アミノ酸変更が機能的なペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の特異的な活性をアッセイすることにより容易く決定され得る。アッセイは、本願に詳細に記載される。抗体又は免疫グロブリン分子のフラグメント又はアナログは、当業者により容易く調製され得る。好ましいフラグメント又はアナログのアミノ末端及びカルボキシ末端は、機能的なドメインの隣接の境界に生じる。構造的な及び機能的なドメインは、公開の又は自己の(proprietary)配列データベースとヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データの比較により同定され得る。好ましくは、コンピュータ化された比較法が、既知の構造及び/又は機能を有する他のタンパク質で生じる配列モチーフ又は予想されるタンパク質コンフォメーション(conformation)ドメインを同定するのに使用される。既知の3次元構造に折りたたまれるタンパク質配列を同定する方法が知られている。Bowie et al. Science 253:164 (1991)。従って、前述の実施例は、当業者が、本発明に一致する構造的な及び機能的なドメインを定義するのに使用され得る配列モチーフ及び構造的なコンフォメーションを認識できることを表す。
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解への感受性を減少させる、(2)酸化への感受性を減少させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、及び、(5)そのようなアナログの他の物理化学的な又は機能的な性質を授与する又は修飾(modify)するものである。アナログは、天然に生ずるペプチド配列以外の配列の様々な突然変異タンパク質(mutein)を含むことができる。例えば、単一の又は多重の(multiple)アミノ酸置換(好ましくは保存的なアミノ酸置換)は、(好ましくは、分子間接触を形成するドメイン(1または複数)の外側のポリペプチドの部分において)天然に生じる配列において行われ得る。保存的なアミノ酸置換は、親である配列の構造的な特徴を実質的に変化させるべきではない(例えば、アミノ酸置換は、親の配列において生ずるヘリックスを壊す傾向であるべきではなく、又は、親の配列を特徴付ける二次構造の他のタイプを破壊する傾向であるべきではない)。技術分野で認識されるポリペプチドの二次構造または三次構造の例は、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984)); Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991));及びThornton et al. Nature 354:105 (1991)に記載される。
本願で使用される場合、用語「ポリペプチドフラグメント」は、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端欠損を有するポリペプチドを意味するが、残余のアミノ酸配列は、例えば、全長cDNA配列から推定される天然に生ずる配列における対応する位置と同一である。フラグメントは典型的には、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長であり、好ましくは、少なくとも14アミノ酸長、さらに好ましくは少なくとも20アミノ酸長、通常は、少なくとも50アミノ酸長であり、そしてさらに好ましくは少なくとも70アミノ酸長である。本願で使用される場合、用語「アナログ」は、推定されるアミノ酸配列の一部分に実質的な同一性を有する、そして適切な結合条件下でCD47に特異的な結合を有する少なくとも25アミノ酸のセグメントからなるポリペプチドを意味する。典型的に、ポリペプチドアナログは、天然に生じる配列に対する保存的なアミノ酸置換(又は付加若しくは削除)を含む。アナログは典型的に、少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長又はそれ以上、であり、そして、多くの場合、全長の天然に生じるポリペプチドと同じくらいの長さであり得る。
ペプチドアナログは、鋳型ペプチドの性質と類似した性質を有する非ペプチド薬として製薬業界において一般的に使用される。非ペプチド組成物のこれらのタイプは、「ペプチド−模倣剤(peptide mimetics)」又は「ペプチド模倣剤(peptidomimetics)」と称される。Fauchere, J. Adv. Drug Res. 15:29 (1986), Veber and Freidinger TINS p.392 (1985);及び Evans et al. J. Med. Chem. 30:1229 (1987)。そのような化合物は、通常、コンピュータ化された分子モデリングを用いて開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似のペプチド模倣剤は、同等の治療的な効果又は予防効果を生じさせるために使用され得る。一般的に、ペプチド模倣剤は、ヒト抗体のようなパラダイム(paradigm)ポリペプチド(すなわち、生化学的な性質又は薬理学的な活性を有するポリペプチド)に構造的に類似し、その技術分野で良く知られた方法により−−CHNH−−、−−CHS−、−−CH−CH−−、−−CH=CH−−(シス及びトランス)、−−COCH−−、CH(OH)CH−−、及び−CHSO−−から成る群より選択される連結により任意に置換された1つ以上のペプチド連結を有する。コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の、同じタイプのD−アミノ酸での体系的な置換(例えば、L−リシンの代わりのD−リシン)は、より安定なペプチドを生じさせるのに使用され得る。加えて、コンセンサス配列又は実質的に同一であるコンセンサス配列バリエーションを含む拘束された(constrained)ペプチドは、例えば、ペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内在システイン残基を付加することによって、その技術分野で知られた方法によって生じ得る(Rizo and Gierasch Ann. Rev. Biochem. 61:387 (1992))。
用語「剤」は、化合物、化合物の混合物、生物学的なマクロ分子、又は生物学的な材料から作られる抽出物を意味して本願で使用される。
本願で用いられる場合、用語「ラベル」又は「ラベルされた」は、例えば、放射線ラベルされたアミノ酸の取り込み又は、印のあるアビジン(例えば、蛍光マーカー又は光学的な方法もしくは熱量測定法により検出され得る酵素学的な活性を含むストレプトアビジン)により検出され得るビオチニルモイエティ(biotinyl moieties)のポリペプチドへの取り付けによる検出可能なマーカーの取り込みを意味する。ある状況において、ラベル又はマーカーはまた治療的であり得る。ポリペプチド及びグリコタンパク質をラベルする様々な方法が、その技術分野で知られ、そして使用され得る。ポリペプチドに関するラベルの例は、次のものを制限せずに含む:放射線同位体又は放射線核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光ラベル(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体(lanthanide phosphors))、酵素ラベル(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、p−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ)、化学発光、ビオチニル群(biotinyl groups)、二次レポーターにより認識される予め決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に関する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態において、ラベルは、様々な長さのスペーサー腕(spacer arm)により取り付けられ、潜在的な立体障害を減少させる。本願で使用される場合、用語「医薬的な薬剤(agent)又は薬剤(drug)」は、患者に適切に投与される場合、所望の治療的な効果を誘導することができる化合物又は組成物を意味する。
用語「抗腫瘍剤(antineoplastic agent)」は、本願で用いられる場合、ヒトにおける腫瘍、(例えば癌腫、肉腫、リンパ腫、又は白血病のような)特に悪性(癌の)病変の発達ないし進行を阻害する機能的な性質を有する薬剤を意味する。転移の阻害はしばしば、抗腫瘍剤の性質である。
本願における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))により例示されるように、その技術分野の従来型の用途に従って用いられる。
本願で使用される場合、「十分に(ないし実質的に、substantially)純粋」は、目的の種が[組成物において]優勢な種である(すなわち、モル基準(molar basis)で、組成物中において他の個々の種よりも、豊富である)、そして好ましくは、十分に精製されたフラクションが組成物であることを意味し、目的の種は、[組成物における]全てのマクロ分子種の(モル基準で)少なくとも約50パーセントを含む。
一般的に、十分に純粋な組成物は、組成物中にある全てのマクロ分子種の約80パーセントを上回り、より好ましくは約85%、90%、95%、及び99%を上回って含むだろう。もっとも好ましくは、目的の種は、本質的な等質性(homogeneity)(混入種が、従来型の検出方法により組成物中に検出されない)を有するように精製され、組成物は、本質的に、単一のマクロ分子種からなる。
CD47抗体
本発明のモノクローナル抗体は、CD47に結合し、CD47へのSIRPαの結合を阻害し、CD47−SIRPα媒介シグナリングを減少させ、食作用を促進し、及び、腫瘍成長及び/又は転移を阻害する能力を有する。例えば、実施例において本願に記載される細胞アッセイを用いて阻害は決定される。
本発明の例示的な抗体は、2A1抗体、2A1のキメラ版、及び2A1のヒト化変異体を含む。本発明の例示的な抗体は、SEQ ID番号:5−30から選択される可変重(VH)鎖を有し、及びSEQ ID番号:31−47から選択される可変軽(VL)鎖を有する抗体を含む。特に、例示的な抗体は、表1で提示されるものを含む。
表1
Figure 2016507555
本願に記載されるCD47抗体と同じエピトープに結合する抗体も本発明に含まれる。例えば、本発明の抗体は、ヒトCD47の1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに特異的に結合する(例えば、GenBankアクセッション番号Q08722.1を参照)。
例示的なヒトCD47のアミノ酸配列は、以下に提示される(GenBankアクセッション番号Q08722.1 (GI:1171879)、引用により本願に組み込まれる)。シグナル配列(アミノ酸1−18)には下線が引かれている。
Figure 2016507555
明確にするために、シグナル配列を除いた例示的なヒトCD47アミノ酸配列が以下に提示される。
Figure 2016507555
例示的なヒトCD47−IgVドメインのアミノ酸配列が以下に提示される。
Figure 2016507555
本発明の例示的なモノクローナル抗体は、例えば、以下の配列に表される可変重鎖領域(VH)及び/又は可変軽(VL)鎖領域を有するヒト化抗体を含む。
CD47抗体の可変重(VH)鎖領域は以下に提示される。CD47抗体のVH鎖の相補性決定領域(CDRs)は以下にハイライトされる。いくつかの実施形態において、VH CDR1アミノ酸配列は、GFNIKDYYLH(SEQ ID番号:50)、GYTFTYYYLH(SEQ ID番号:57)、GFTFTYYYLH(SEQ ID番号:58)、GYNFTYYYLH(SEQ ID番号:59)、GYTITYYYLH(SEQ ID番号:60)、GYTFKYYYLH(SEQ ID番号:61)、GYTFTDYYLH(SEQ ID番号:62)、GFTFTDYYLH(SEQ ID番号:63)、GFTITDYYLH(SEQ ID番号:64)、GYTFKDYYLH(SEQ ID番号:65)、又はGFTFKDYYLH(SEQ ID番号:66)である。いくつかの実施形態において、VH CDR2のアミノ酸配列は、WIDPDNGDTE(SEQ ID番号:51)、WIDPDQGDTE(SEQ ID番号:72)、WIDPDYGDTE(SEQ ID番号:73)、WIDPDSGDTE(SEQ ID番号:74)、WIDPDNADTE(SEQ ID番号:75)、又はWIDPDNTDTE(SEQ ID番号:76)である。いくつかの実施形態において、VH CDR3のアミノ酸配列は、NAAYGSSSYPMDY(SEQ ID番号:52)又は、NAAYGSSPYPMDY(SEQ ID番号:77)である。
Figure 2016507555


Figure 2016507555
CD47抗体の可変軽(VL)鎖領域は以下に提示される。CD47抗体のVL鎖のCDRは、以下にハイライトされる。いくつかの実施形態において、VL CDR1のアミノ酸配列は、KASQDIHRYLS(SEQ ID番号:53)、RASQDIHRYLA(SEQ ID番号:67)、又はRARQGIHRYLS(SEQ ID番号:68)である。いくつかの実施形態において、VL CDR2のアミノ酸配列は、RANRLVD(SEQ ID番号:54)、RANRLQS(SEQ ID番号:69)、RANRRAT(SEQ ID番号:70)、又はRANRLVS(SEQ ID番号:71)である。いくつかの実施形態において、VL CDR3のアミノ酸配列は、LQYDEFPYT(SEQ ID番号:55)である。
Figure 2016507555


Figure 2016507555
いくつかのケースにおいて、本願に記載されるCD47抗体は、SEQ ID番号:5−30から選択される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:31−47から選択される可変軽鎖領域を含む。例示的なCD47抗体は、SEQ ID番号:5に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:31に規定される可変軽鎖領域;SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域;SEQ ID番号:11に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:42に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:5に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:32に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:33に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:34に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:36に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:37に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:38に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:29に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:30に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:43に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:11に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:43に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:11に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:47に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:15に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:43に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:15に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:44に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:11に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:44に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:22に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:7に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:39に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:8に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:39に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:16に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:20に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:21に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:17に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、SEQ ID番号:28に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域、又はSEQ ID番号:27に規定される可変重鎖領域及びSEQ ID番号:35に規定される可変軽鎖領域を含む。
本願に記載されるCD47抗体は、SEQ ID番号:31−47で提示されるVL領域の内の任意の1つと対を形成するSEQ ID番号:5−30で提示されるVH領域の内の任意の1つを含む。特に、本願に記載されるCD47抗体はSEQ ID番号:31−39、42、43、44、及び47で提示されるVL領域の内の任意の1つと対を形成するSEQ ID番号:5、7、8、11、15−17、20−22、及び27−30で提示されるVH領域の内の任意の1つを含む。
本願に記載されるCD47抗体は、SEQ ID番号:50、SEQ ID番号:57、SEQ ID番号:58、SEQ ID番号:59、SEQ ID番号:60、SEQ ID番号:61、SEQ ID番号:62、SEQ ID番号:63、SEQ ID番号:64、SEQ ID番号:65、及びSEQ ID番号:66で提示されるVH CDR1領域の内の任意の1つ、SEQ ID番号:51、SEQ ID番号:72、SEQ ID番号:73、SEQ ID番号:74、SEQ ID番号:75、及びSEQ ID番号:76で提示されるVH CDR2領域の内の任意の1つ、SEQ ID番号:52及びSEQ ID番号:77で提示されるVH CDR3領域の内の任意の1つ、SEQ ID番号:53、SEQ ID番号:67、及びSEQ ID番号:68で提示されるVL CDR1領域の内の任意の1つ、SEQ ID番号:54、SEQ ID番号:69、SEQ ID番号:70、及びSEQ ID番号:71で提示されるVL CDR2領域の内の任意の1つ、及び、SEQ ID番号:55で提示されるVL CDR3領域を含む。
当業者は、過度の実験を行うことなく、モノクローナル抗体が、本願発明のモノクローナル抗体がCD47に結合するのを妨げるかどうかを確認することによって、モノクローナル抗体が、本発明のモノクローナル抗体(例えば、2A1抗体、又はSEQ ID番号:5−31から選択される可変重鎖及びSEQ ID番号:31−47から選択される可変軽鎖を有する抗体)と同一の特異性を持つかどうかを決定することが可能であることを認識するだろう。本発明のモノクローナル抗体による結合の減少によって表されるように、テストされるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と競合する場合、2つのモノクローナル抗体は、同一の又は密接に関連するエピトープに結合する。
モノクローナル抗体が、本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかどうかを決定するための代わりの方法は、本発明のモノクローナル抗体を可溶性CD47タンパク質と共に前インキュベート(pre-incubate)し(本発明のモノクローナル抗体は、可溶性CD47タンパク質と正常に反応する)、そして、テストされるモノクローナル抗体がCD47への結合の能力に関して阻害されるかどうかの決定に、テストされるモノクローナル抗体を供することである。テストされるモノクローナル抗体が阻害される場合には、おそらく、本発明のモノクローナル抗体と同一又は機能的に同等のエピトープ特異性を有する。
本発明の抗体
本発明のモノクローナル抗体のスクリーニングは、例えば、CD47媒介性シグナリング及び/又はCD47/SIRPα媒介性シグナリングを測定すること、及び、テストモノクローナル抗体がCD47媒介性シグナリング及び/又はCD47/SIRPα媒介性シグナリングを、調節、ブロック、阻害、減少、拮抗(アンタゴナイズ)、中和又はその他干渉できるか否かを決定することによっても実行され得る。これらのアッセイは、競合的結合アッセイを含むことができる。さらに、これらのアッセイは、生物学的読出情報(biologic readout)、例えば、実施例9(図9)に記載されるように、マクロファージによるCD47発現細胞の食作用(ファゴサイトーシス)を促進する能力、を測定することができる。
CD47、又は、その誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログ又はオーソログに対するモノクローナル抗体を生成するために、本発明の技術分野において知られる種々の手法が使用され得る(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow E, and Lane D, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照、該文献は引用によって本願に組み込まれる)。完全なヒト型抗体は抗体分子であり、軽鎖及び重鎖の両方の全体配列(CDRsを含む)はヒト遺伝子に由来する。そのような抗体は、本願において「ヒト抗体」又は「完全ヒト抗体」と命名される。ヒトモノクローナル抗体は、例えば、以下に提供される実施例に記載した手法を使用して調製される。ヒトモノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体を生成するためのトリオーマ技法;ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor, et al., 1983 Immunol Today 4: 72を参照);及びEBVハイブリドーマ技法を使用することによっても調製され得る(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)。ヒトモノクローナル抗体が利用され得るし、ヒトハイブリドーマを使用することによって(Cote, et al., 1983. Proc Natl Acad Sci USA 80: 2026-2030を参照)、又はインビトロにおいてヒトB細胞をエプスタイン・バーウイルスで形質転換することによって生成され得る(Cole, et al., 1985 In: MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)。
抗体は、タンパク質A又はタンパク質Gを使用するアフィニティークロマトグラフィなどを使用してよく知られた技術によって精製され、先ず免疫血清のIgG分画が提供される。その後に、又はその代わりに、探索される免疫グロブリンのターゲット又はそのエピトープである特異的な抗原をカラムに固定して、免疫アフィニティークロマトグラフィによって免疫特異的抗体が精製され得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D. Wilkinson(The Scientist, The Scientist, Inc., Philadelphia PAによって出版された, Vol. 14, No. 8 (2000年4月17日), pp. 25-28)によって議論される。
本発明のCD47抗体はモノクローナル抗体である。CD47媒介性細胞シグナリング及び/又はCD47/SIRPα媒介性細胞シグナリングを調節、ブロック、阻害、減少、拮抗(アンタゴナイズ)、中和又はその他干渉するモノクローナル抗体は、例えば、メンブレン結合型CD47及び/又は可溶型CD47(例えば、ヒトのCD47又はその免疫原性のフラグメント、誘導体又は変異体など)で動物を免疫化することによって生成される。あるいは、CD47を発現して形質導入された細胞の表面に出現させる(ないし所望の機能をもたせる:associated)ようなCD47をコードする核酸分子を含むベクターが形質導入された細胞で動物は免疫化される。あるいは、抗体は、CD47に結合する抗体又はCD47に結合するための抗原結合ドメイン配列を含むライブラリをスクリーニングすることによって取得される。このライブラリは、例えば、バクテリオファージにおいて、集合した(assembled)ファージ粒子の表面上に発現するバクテリオファージコートタンパク質に対するタンパク質融合物又はペプチド融合物として、そしてファージ粒子内に含まれるコードDNA配列(すなわち、「ファージディスプレイライブラリ」)として調製される。骨髄腫/B細胞の融合に由来するハイブリドーマは、次にCD47への反応性に関してスクリーニングされる。
モノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)などに記載されるようなハイブリドーマ技法を使用して調製される。ハイブリドーマ技法において、マウス、ハムスター、又は他の適切な宿主動物は、典型的には免疫剤で免疫化されて、免疫剤に対して特異的に結合するであろう抗体を産生するか、又は該抗体を産生することが可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫化され得る。
免疫剤は、典型的にはタンパク質抗原、そのフラグメント又はその融合タンパク質を含むだろう。一般的には、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血液リンパ球が使用されるか、ヒト以外の哺乳類のソースが望まれる場合には脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用されるかのいずれかである。次に、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用してリンパ球を不死化細胞系統と融合させ、ハイブリドーマ細胞が生成される(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103)。不死化細胞系統は、通常、形質転換哺乳類細胞であり、特にげっ歯類、ウシ及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウス骨髄腫細胞系統が採用される。ハイブリドーマ細胞は、適切な培養液(好ましくは融合していない不死化細胞の成長又は生存を阻害する1以上の物質を含む)において培養され得る。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠損している場合には、ハイブリドーマのための培養液は典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む(「HAT培地」)だろう(これらの物質はHGPRT欠損細胞の成長を阻害する)。
好ましい不死化細胞系統は、効率的に融合し、選択した抗体産生細胞による抗体の安定で高レベルの発現を支持し、かつHAT培地などの培地に対して感受性である。より好ましい不死化細胞系統はネズミ骨髄腫系統であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, California and the American Type Culture Collection, Manassas, Virginiaから取得され得る。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系統も、モノクローナル抗体の産生に関する記載がある(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63を参照)。
ハイブリドーマ細胞を培養する培養液は、次いで抗原に対するモノクローナル抗体の存在に関してアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性が免疫沈降アッセイ又はインビトロ結合アッセイ(放射免疫アッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など)によって決定される。そのような技術及びアッセイは、本発明の技術分野において知られている。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャチャード解析によって決定され得る。さらに、モノクローナル抗体の治療上の適用において、ターゲット抗原に関する高度な特異性及び高い結合親和性を有する抗体を同定することは重要である。
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後に、クローンは限界希釈法によってサブクローニングされ、標準的方法によって成長させられる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103を参照)。この目的のための適切な培養液は、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地及びRPMI−1640培地を含む。あるいは、ハイブリドーマ細胞を哺乳類の腹水(ascites)としてインビボで成長させられ得る。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、タンパク質A−セファロース、ヒドロキシルアパタイクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィなどの従来の免疫グロブリン精製法によって培養液又は腹水流動体から単離又は精製され得る。
モノクローナル抗体は、米国特許番号4,816,567号に記載される方法などの組み換えDNA法によって作製され得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手法を使用して(例えば、ネズミ抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離及びシーケンスされ得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましいソース(入手元)としての役割を果たす。一度単離されると、DNAは発現ベクターに入れることができ、次に発現ベクターをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞、サルCOS細胞、PER.C6(登録商標)、NS0細胞、SP2/0、YB2/0、又は他に免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞に形質導入して、組み換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成物が得られる。相同性のネズミの配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖の定常ドメインのコード配列で置換すること(米国特許番号4,816,567号;Morrison, Nature 368, 812-13 (1994)を参照)、又は全部又は一部の非免疫グロブリンポリペプチドに関するコード配列を免疫グロブリンコード配列に共有結合させることによってDNAを改変することもできる。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに置換され得るし、又は本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換され得、キメラ型二価抗体が作製され得る。
ヒト抗体及び抗体のヒト化
本発明のモノクローナル抗体は、完全ヒト型抗体又はヒト化抗体を含む。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトの免疫応答を発生させないため、ヒトへの投与に適する。
CD47抗体は、例えば、以下に提供される実施例に記載した手法を使用して生成される。例えば、本発明のCD47抗体は、マウスにおける改変RIMMS(Repetitive Immunization Multiple Sites)免疫手法、及びその後のハイブリドーマ生成を使用して同定される。
他の代わりの方法において、CD47抗体は、例えば、ヒト配列のみを含む抗体を使用するファージ−ディスプレイ法を使用して開発される。そのようなアプローチは、例えばWO92/01047号及び米国特許6,521,404号に記載されているように、本発明の技術分野において周知である(これらの文献は引用によって本願に組み込まれる)。このアプローチにおいて、軽鎖及び重鎖のランダムなペアを保有(carry)するファージのコンビナトリアルライブラリが、CD47又はそのフラグメントの天然又は組み換えソースを使用してスクリーニングされる。他のアプローチでは、CD47抗体は、その少なくとも1つのステップがヒトCD47タンパク質でトランスジェニック非ヒト動物を免疫化することを含むプロセスによって生成することができる。このアプローチにおいて、この異種性(xenogenic)非ヒト動物の内来性(endogenous)重鎖及び/又はカッパ(κ)軽鎖遺伝子座(loci)のいくつかは無能にされており、抗原に対する応答において、免疫グロブリンをコードする遺伝子の生成に必要な再アレンジを実行することができない。更に、少なくとも1つのヒト重鎖ローカス(遺伝子座)及び少なくとも1つのヒト軽鎖ローカス(遺伝子座)が、動物に安定的に形質導入されている。従って、投与された抗原に対する応答において、ヒト遺伝子座の再アレンジによって抗原に対して免疫特異的なヒト可変領域をコードする遺伝子が提供される。従って、免疫化の際に、ゼノマウスは完全ヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産出(産生)する。
異種性非ヒト動物の産生のための多種多様な技術は本発明の技術分野において周知である。例えば、米国特許6,075,181号及び6,150,584号を参照(これらの文献の全体が引用によって本願に組み込まれる)。この一般的な手法は、1994年に公開された第1のゼノマウス(商標)ストレインの産生に関連して実証された。Green et al. Nature Genetics 7:13-21 (1994)も参照(この文献の全体が引用によって本願に組み込まれる)。更に、米国特許6,162,963号;6,150,584号;6,114,598号;6,075,181号;及び5,939,598号及び日本特許3068180B2号、3068506B2号、及び3068507B2号及びヨーロッパ特許EP0463151B1号及び国際特許出願WO94/02602号、WO96/34096号、WO98/24893号、WO00/76310号及び関連ファミリーのメンバーも参照。
代わりのアプローチにおいては、異種性のIgローカスが該Igローカス由来の断片(個々の遺伝子)を含むことによって模倣される「ミニローカス」アプローチが利用されている。従って、1つ以上のVH遺伝子、1以上のD遺伝子、1以上のJ遺伝子、mu定常領域、及び第2の定常領域(好ましくはガンマ定常領域)が、動物へ挿入するための構築物に挿入形成される。例えば、米国特許5,545,806号;5,545,807号;5,591,669号;5,612,205号;5,625,825号;5,625,126号;5,633,425号;5,643,763号;5,661,016号;5,721,367号;5,770,429号;5,789,215号;5,789,650号;5,814,318号;5,877,397号;5,874,299号;6,023,010号;及び6,255,458号;及びヨーロッパ特許0546073B1号;及び国際特許出願WO92/03918号、WO92/22645号、WO92/22647号、WO92/22670号、WO93/12227号、WO94/00569号、WO94/25585号、WO96/14436号、WO97/13852号、及びWO98/24884号及び関連ファミリーのメンバーを参照。
マイクロセル融合体を介して大きい染色体の断片又は染色体全体が導入されているマウスからのヒト抗体の産生も実証されている。ヨーロッパ特許出願773288及び843961を参照。
ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答は、産業をキメラ型あるいはその他ヒト化抗体を調製することに導いている。キメラ型抗体はヒト定常領域及び免疫可変領域を有するが、特に抗体の慢性的利用又はマルチドーズ利用において、ある程度のヒト抗キメラ型抗体(HACA)応答が観察されるであろうことが予想される。従って、HAMA又はHACA応答に対する懸念(concerns)及び/又は影響を無にする、あるいは軽減するために、CD47に対する完全ヒト型抗体を提供することが望まれている。
減少した免疫原性を有する抗体の産生は、ヒト化、キメラ化及び適切なライブラリを使用するディスプレイ法を介しても達成される。ネズミ抗体又は他の種由来の抗体を本発明の技術分野において周知の技術を使用してヒト化又はプリマタイズ(primatized)することができることが分かるだろう。例えば、Winter and Harris Immunol Today 14:43 46 (1993)及びWright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992)を参照。目的の抗体は、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン及び/又はフレームワークドメインを対応するヒト配列で置換する組み換えDNA法によって遺伝子工学的に作り出すことができる(WO92102190号及び米国特許5,530,101号;5,585,089号;5,693,761号;5,693,792号;5,714,350号;及び5,777,085号を参照)。更に、キメラ型免疫グロブリン遺伝子の構築のためにIgのcDNAを使用することも本発明の技術分野において知られている(Liu et al. P.N.A.S. 84:3439 (1987) and J. Immunol. 139:3521 (1987))。mRNAは、抗体を産生するハイブリドーマ又は他の細胞から単離されて、cDNAを生成することに使用される。目的のcDNAは、特異的なプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することができる(米国特許4,683,195号及び4,683,202号)。あるいは、目的の配列を単離するためにライブラリが作成され、スクリーニングされる。次に、抗体の可変領域をコードするDNA配列が、ヒト定常領域配列に融合される。ヒト定常領域の遺伝子の配列は、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of immunological Interest, N.I.H. publication no. 91-3242において見つけることができる。ヒトC領域の遺伝子は、既知のクローンから容易に利用可能である。アイソタイプの選択は、補体結合反応又は抗体依存的細胞毒性における活性のような所望のエフェクタの機能によってガイドされるだろう。好ましいアイソタイプはIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4である。ヒト軽鎖定常領域であるカッパ(κ)又はラムダ(λ)は何れも使用することができる。次に、キメラ型ヒト化抗体を従来の方法によって発現する。
Fv、F(ab’)及びFabのような抗体フラグメントは、例えば、プロテアーゼ又は化学的切断による無処置のタンパク質の切断によって調製することができる。あるいは、トランケーション型(切断型:truncated)遺伝子が設計される。例えば、F(ab’)フラグメントの一部分をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメイン及びヒンジ領域をコードするDNA配列を含み、その後に、トランケーション型分子を産生するために、翻訳停止コドンが続くだろう。
H鎖及びL鎖のJ領域のコンセンサス配列を使用してプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを設計し、これにより、その後のV領域セグメントとヒトC領域セグメントとの連結に有用な制限サイトを該J領域へ導入することができる。C領域のcDNAは、ヒト配列における類似の(アナログな)位置に制限サイトを配置する部位特異的突然変異誘発によって改変することができる。
発現ベクターは、プラスミド、レトロウィルス、YAC、EBV由来のエピソーム等を含む。好都合なベクターは、機能的に完全なヒトCH又はCL免疫グロブリン配列をコードすると共に、VH又はVL配列のいずれかを容易に挿入かつ発現できるように遺伝子工学的に作成された適切な制限サイトを有するベクターである。そのようなベクターでは、スプライシングは、通常、挿入されたJ領域内のスプライスドナー(供与)サイト(部位)とヒトC領域の前方のスプライスアクセプター(受容)サイト(部位)との間において生じ、更に、ヒトCHエクソン内で生じるスプライス領域においても生じる。ポリアデニル化及び転写の終了は、コード領域の下流における天然の染色体サイトで生じる。結果として生じるキメラ型抗体は、例えばSV−40初期(early)プロモーター(Okayama et al., Mol. Cell. Bio. 3:280 (1983))、ラウス肉腫ウイルスLTR(Gorman et al. P.N.A.S. 79:6777 (1982))及びモロニーネズミ白血病ウイルスLTR(Grosschedl et al. Cell 41:885 (1985))等のレトロウィルスLTRを含む任意の強力なプロモーターに結合することができる。以下で分かるように、天然のIgプロモーター及び同様のものも使用することができる。
更に、ヒト抗体又は他の種由来の抗体は、ファージディスプレイ、レトロウィルスディスプレイ、リボソームディスプレイ及びその他の技術(これらに限定されない)を含むディスプレイ型技術を介して、本発明の技術分野において良く知られた技術を使用して生成することができ、結果として生じる分子は親和性成熟のような追加の成熟化に供することができる(そのような技術は当該技術分野において良く知られている)。Wright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992), Hanes and Pluckthun PNAS USA 94:4937-4942 (1997) (リボソームディスプレイ), Parmley and Smith Gene 73:305-318 (1988) (ファージディスプレイ), Scott, TIBS, vol. 17:241-245 (1992), Cwirla et al. PNAS USA 87:6378-6382 (1990), Russel et al. Nucl. Acids Research 21:1081-1085 (1993), Hoganboom et al. Immunol. Reviews 130:43-68 (1992), Chiswell and McCafferty TIBTECH; 10:80-8A (1992),及び米国特許5,733,743号。ディスプレイ技術をヒトでない抗体を生成するために利用する場合には、そのような抗体を上述のようにヒト化することができる。
これらの技術を使用して、CD47発現細胞、可溶性の形状のCD47、それらのエピトープ又はペプチド及びそれらに対する発現ライブラリ(例えば、米国特許5,703,057号参照)に対する抗体を生成することができ、その後に本願に記載の活性について上述のようにスクリーニングすることができる。
本発明のCD47抗体は、上記の1本鎖抗体をコードするDNAセグメントを含むベクターによって発現することができる。
これらは、ベクター、リポソーム、裸のDNA、アジュバント支援型DNA、遺伝子銃、カテーテルなどを含むことができる。ベクターは、ターゲッティングモイエティ(部分)(例えば、細胞表面受容体に対するリガンド)及び核酸結合モイエティ(例えばポリリシン)を有するWO93/64701などに記載したような化学コンジュゲート、ウィルスベクター(例えば DNA又はRNAウィルスベクター)、ターゲットモイエティ(例えば、ターゲット細胞に特異的な抗体)及び核酸結合モイエティ(例えば、プロタミン)を含む融合タンパク質であるPCT/US95/02140(WO95/22618)に記載したような融合タンパク質、プラスミド、ファージなどである。ベクターは、染色体、非染色体又は合成のものであり得る。
好ましいベクターは、ウィルスベクター、融合タンパク質及び化学コンジュゲートを含む。レトロウィルスベクターは、モロニーネズミの白血病ウィルスを含む。DNAウィルスベクターが好ましい。これらのベクターは、オルソポックス又はアビポックスベクターのようなポックス(pox)ベクター、単純ヘルペスウィルスI型(HSV)ベクターのようなヘルペスウイルスベクター(Geller, A. I. et al., J. Neurochem, 64:487 (1995); Lim, F., et al., in DNA Cloning: Mammalian Systems, D. Glover, Ed. (Oxford Univ. Press, Oxford England) (1995); Geller, A. I. et al., Proc Natl. Acad. Sci.: U.S.A. 90:7603 (1993); Geller, A. I., et al., Proc Natl. Acad. Sci USA 87:1149 (1990)参照)、アデノウィルスベクター (LeGal LaSalle et al., Science, 259:988 (1993); Davidson, et al., Nat. Genet 3:219 (1993); Yang, et al., J. Virol. 69:2004 (1995) 参照)及びアデノ随伴ウイルスベクター(Kaplitt, M. G., et al., Nat. Genet. 8:148 (1994)参照)を含む。
ポックスウィルスベクターは、遺伝子を細胞質へ導入する。アビポックスウィルスベクターは、短期間のみ核酸を発現する。アデノウィルスベクター、アデノ随伴ウィルスベクター及び単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターは、神経細胞へ核酸を導入することに好ましい。アデノウィルスベクターは、アデノ随伴ウィルス(約4ヶ月間)よりも短期間で発現(約2ヶ月間)し、これは、HSVベクターよりも短い。選択される特定のベクターは、ターゲット細胞及び処置される状態に依存するだろう。導入は標準的技術、例えば、感染、トランスフェクション、トランスダクション又はトランスフォーメーション、によって実行することができる。遺伝子転写のモードの例は、例えば、裸のDNA、CaPO沈殿、DEAEデキストラン、電気穿孔処理、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、及びウィルスベクターを含む。
ベクターは、いずれかの所望のターゲット細胞を本質的にターゲットするように採用することができる。例えば、三次元的定位置注射(stereotaxic injection)を使用して、ベクター(例えばアデノウィルス、HSV)を所望の位置に指向させることができる。更に、粒子は、SynchroMed注入システムのようなミニポンプ注入システムを使用する脳室内(icv)注入によって送達することができる。バルクフロー(対流(convection)と称される)に基づく方法も、大きい分子を脳の拡張領域(extended areas)へ送達する際に有効であることが既に証明されており、ターゲット細胞へのベクターの送達に有用であり得る。(Bobo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:2076-2080 (1994); Morrison et al., Am. J. Physiol. 266:292-305 (1994)参照)。使用することが可能な他の方法は、カテーテル、静脈内、非経口、腹腔内及び皮下注射、及び経口又は他の既知の投与経路を含む。
これらのベクターは、多種多様な仕方で使用することができる多量の抗体の発現に使用することができる。例えば、サンプル中のCD47の存在を検出することに使用することができる。抗体は、CD47−及び/又はCD47/SIRPα相互作用及びCD47/SIRPα媒介性シグナリングに結合して破壊を試みることにも使用することができる。
本発明の抗原タンパク質に特異的な1本鎖抗体の生成のために技術を適合化することができる(例えば、米国特許4,946,778号参照)。更に、タンパク質、誘導体、フラグメント、アナログ又はそれらのホモログに対し所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの急速でかつ有効な同定を可能にするよう、Fab発現ライブラリの構築のために方法を適合化することができる(例えば、Huse, et al., 1989 Science 246: 1275-1281参照)。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントは、本発明の技術分野において知られた技術によって生成することができ、(i)抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab’)フラグメント;(ii)F(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成されるFabフラグメント;(iii)パパイン及び還元剤を用いた抗体分子の処理によって生成されるFabフラグメント及び(iv)Fvフラグメントを含むが、それらに限定されない。
本発明は、Fv、Fab、Fab’及びF(ab’)CD47フラグメント、1本鎖CD47抗体、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ又はVHH)、二重特異性CD47抗体、及びヘテロコンジュゲートCD47抗体も含む。
二重特異性の抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する抗体である。本発明の場合には、結合特異性の1つはCD47に対するものである。第2の結合ターゲットは、いずれかの他の抗原であり、有利には、細胞表面タンパク質又は受容体又は受容体サブユニットである。
二重特異性の抗体を生成する方法は、本発明の技術分野において知られている。伝統的には、二重特異性の抗体の組み換え生成は、免疫グロブリン重鎖/軽鎖の2つのペアの共発現に基づいており、2つの重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello, Nature, 305:537-539 (1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖はランダムに取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、そのうち1つのみが正しい二重特異性の構造を有する。正しい分子の精製は、通常、アフィニティークロマトグラフィステップによって達成される。類似の手法は1993年5月13日に公開されたWO93/08829及びTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991) に開示されている。
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体抗原組み合わせサイト)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合されることができる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも部分を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも1つの融合に存在する軽鎖結合に必要なサイトを含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物(複数)、及び所望するならば免疫グロブリン軽鎖、をコードするDNA(複数)は、別々の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生命体へ共形質導入される。二重特異性の抗体の生成の更なる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載した他のアプローチに従って、1つのペアの抗体分子間のインターフェイス(境界)は、組み換え細胞培養液から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大にするように遺伝子操作することができる。好ましいインターフェイスは、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部分を含む。この方法において、第1の抗体分子のインターフェイス由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置換される。大きいアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)で置換することによって、大きい側鎖(単数又は複数)と同一の又は類似のサイズの代償的な「空洞」が第2の抗体分子のインターフェイスに形成される。このことは、ホモ二量体のような他の不所望の最終生産物を上回るようにヘテロ二量体の産出量を増加させるメカニズムを提供する。
二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製することができる。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は1つの手順(方法)を記載しているが、ここでは無処置の抗体がタンパク分解的に開裂されて、F(ab’)フラグメントを生成する。これらのフラグメントは、ジチオール錯体化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元されて、近隣のジチオールを安定化し、分子間のジスルフィド形成を防止する。次に、生成されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab’−TNB誘導体の1つは、次に、メルカプトエチルアミンを用いた還元によってFab’−チオールへ再転換され、そして等モーラー量の他のFab’−TNB誘導体と混合されて二重特異性抗体を生成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化(不動態化:immobilization)のための剤として使用することができる。
更に、Fab’フラグメントは、大腸菌から直接的に回収することができ、化学的にカップル化されて二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175:217-225 (1992)は、完全なヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子の生成を開示する。各Fab’フラグメントは大腸菌から別々に分泌され、そしてインビトロの指定的ないし指向された(directed)化学カップリングに供されて、二重特異性抗体を形成した。そのように生成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞及び正常ヒトT細胞に結合することができ、そして、ヒト胸部腫瘍ターゲットに対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活動を引き起こすことができた。
組み換え細胞培養液から直接的に二重特異性抗体フラグメントを作製及び単離するための種々の技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生成された。Kostelny et al., J. Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域において還元されてモノマーを形成し、次に、再び酸化されて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の生成にも利用することができる。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に記載されている「ダイアボディ(diabody:二重特異性抗体)」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作製するための代替的メカニズムを提供した。フラグメントは、同一の鎖の2つのドメインの間のペアリングを可能にするには短か過ぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(V)に連結される重鎖可変ドメイン(V)を含む。従って、1つのフラグメントのV及びVドメインは、他のフラグメントの相補的なV及びVドメインに強制的にペアにされ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。1本鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体フラグメントを作製する他の手法も報告されている。Gruber et al., J. Immunol. 152:5368 (1994)参照。
2つを上回る結合価を有する抗体が考えられる。例えば、三重特異性抗体が調製することができる。Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)。
二重特異性の抗体の例は、2つの異なるエピトープ(そのうちの少なくとも一方は本発明のタンパク質抗原を起源とする)に結合することができる。あるいは、免疫グロブリン分子の抗抗原性(anti-antigenic)アームは、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞の防御メカニズムに焦点を当てるように、T細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28、又はB7)又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgGに対するFc受容体(FcγR)のような白血球上のトリガー分子に対して結合するアームと組み合わせられることができる。二重特異性の抗体も、細胞毒性の薬剤を特定の抗原を発現する細胞に対して指向させるために使用することができる。これらの抗体は、抗原結合性アーム及びEOTUBE、DPTA、DOTA又はTETAのような細胞毒性剤又は放射性核種キレート剤に結合するアームを有する。目的の他の二重特異性の抗体は、本願に記載のタンパク質抗原に結合し、更に、組織因子(TF)に結合する。
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲート抗体は、共有結合した2つの抗体を含む。そのような抗体は、例えば、不所望の細胞を免疫システム細胞のターゲットにするために(米国特許4,676,980号参照)及びHIV感染の処置のために(WO91/00360号;WO92/200373号;EP03089号参照)提案されている。抗体は、クロスリンキング剤に関連するものを含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製され得ることが考慮される。例えば、イムノトキシンは、ジスルフィド交換反応を使用して又はチオエーテル結合を形成することによって構築することができる。この目的のための適切な試薬の例は、イミノチオレート及びメチル−4−メルカプトブチルイミデート及び例えば米国特許4,676,980号に開示されたものを含む。
本発明の抗体をエフェクター機能に関して、例えば、異常なCD47シグナリングと関連した病気及び疾患の処置における抗体の有効性を増強するように改変することが望まれ得る。例えば、システイン残基(単数又は複数)はFc領域に導入されることができ、それによってこの領域における鎖間のジスルフィド結合形成を可能にする。そのように生成されるホモ二量体抗体は、改善された内部移行能力及び/又は増加した補体媒性型細胞致死性及び抗体依存性細胞毒性(ADCC)を有することができる(Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992) 及び Shopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992) 参照)。あるいは、2重のFc領域を有し、それによって増強された補体溶解能力及びADCC能力を有する抗体を遺伝子工学的に作り出すことができる(Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989))。
本発明は、トキシン(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素的に活性なトキシン、又はそのフラグメント)又は放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)のような細胞毒性の薬剤にコンジュゲートされた抗体を含む免疫コンジュゲートにも関連する。
使用可能な酵素的に活性なトキシン及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリアトキシンの非結合性活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(シュードモナスエルジノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII及びPAP−S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含む。多種多様な放射性核種は、放射性物質コンジュゲート抗体の生成に利用することができる。例は、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
抗体と細胞毒性剤のコンジュゲートは、多種多様な二重機能タンパク質−カップリング剤(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオレーン(IT)、イミドエステルの二重機能誘導体(ジメチルアジピミダートHCLなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベラートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トリエン(tolyene)2,6-ジイソシアネートなど)、及び二重活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)など)を使用して作製される。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al., Science 238: 1098 (1987) に記載されるように調製することができる。炭素14標識化1−イソチオシアナートベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体へのラジオヌクレオチドのコンジュゲーションのためのキレート剤の例である(WO94/11026参照)。
当業者であれは、多種多様な潜在的(possible)モイエティが本発明の結果として生じた抗体へカップル化され得ることを認識するだろう。(例えば、“Conjugate Vaccines”, Contributions to Microbiology and Immunology, J. M. Cruse and R. E. Lewis, Jr (eds), Carger Press, New York, (1989) 参照、該文献の全内容は引用によって本願に組み込まれる)。
カップリングは、抗体及び他のモイエティがそれらのそれぞれの活性を保持する限り、これらの2つの分子を結合するいずれかの化学反応によって達成され得る。この連結は、多くの化学的メカニズム(例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合及び錯体形成)を含むことができる。しかしながら、好ましい結合は、共有結合である。共有結合は、存在する側鎖の直接的な凝縮又は外部の架橋分子の組み込みの何れかによって達成することができる。多くの二価の又は多価の連結剤は、本発明の抗体のようなタンパク質分子と他の分子をカップリングすることにおいて有用である。例えば、代表的なカップリング剤は、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアナート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン及びヘキサメチレンジアミンのような有機化合物を含むことができる。このリストは、本発明の技術分野において知られた種々のクラスのカップリング剤を網羅的に示すことは意図されておらず、むしろより一般的なカップリング剤を例示している(Killen and Lindstrom, Jour. Immun. 133:1335-2549 (1984); Jansen et al., Immunological Reviews 62:185-216 (1982); 及び Vitetta et al., Science 238:1098 (1987) 参照)。
好ましいリンカーは、文献に記載されている。(例えば、MBS(M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用を記載するRamakrishnan, S. et al., Cancer Res. 44:201-208 (1984) 参照)。更に、オリゴペプチドリンカーによって抗体にカップル化されるハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用を記載する米国特許5,030,719号も参照。特に好ましいリンカーは、(i)EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミドヒドロクロリド;(ii)SMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル−ジチオ)−トルエン(Pierce Chem. Co., Cat (21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co. Cat. #2165-G);(iv)スルホ−LC−SPDP(スルホスクシンイミジル6[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co. Cat. #2165-G);及び(v)EDCに対してコンジュゲートされるスルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホ−スクシンイミド:Pierce Chem. Co., Cat. #24510)を含む。
上記のリンカーは、異なる性質(attributes)を有する構成要素を含み、従って、異なる生理化学的特性を有するコンジュゲートをもたらす。例えば、アルキルカルボキシラートのスルホ−NHSエステルは、芳香族カルボキシラートのスルホ−NHSエステルより安定である。リンカーを含むNHS−エステルは、スルホ−NHSエステルよりも低可溶性である。更に、リンカーSMPTは、立体障害性ジスルフィド結合を含み、増加した安定性を有するコンジュゲートを形成することができる。ジスルフィド結合はインビトロで開裂されるので、ジスルフィド結合は、一般的に、他の結合よりも不安定であり、そのため、取得可能なコンジュゲートは少ない。スルホ−NHS、特に、カルボジイミドカップリングの安定性を増強することができる。スルホ−NHSと組み合せて使用した場合には、カルボジイミドカップリング(EDCなど)は、カルボジイミドカップリング反応単独よりも加水分解に対してより抵抗性のエステルを形成する。
本願に開示された抗体は、免疫リポソームとしても製剤化することもできる。抗体を含むリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許4,485,045号及び4,544,545号に記載されたような本発明の技術分野において知られた方法によって調製される。延長された循環時間を有するリポソームは、米国特許5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG−誘導体化フォスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物で逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームは、定義されたポア(pore)サイズのフィルターを介して押し出されて、所望の直径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’フラグメントは、Martin et al., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982) に記載されるように、ジスルフィドインターチェンジ反応を介してリポソームに対してコンジュゲートされることができる。
CD47に対する抗体の使用
本発明に応じた治療物質(entities)の投与は、改善された転写、送達、耐性等を提供するために、適切な担体、賦形剤、及び製剤へ組み込まれる他の薬剤と一緒に投与されることが理解されるであろう。多数の適切な製剤を、全ての薬剤師に知られている処方書:Remington’s Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975)), 特にその中のBlaug, Seymourによる第87章に見出すことができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性の)を含む小胞(Lipofectin(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油及び油中水エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカーボワックスを含む半固体混合物を含む。製剤中の活性成分が製剤によって失活せずかつ製剤が生理学的に適合的かつ投与経路によって許容可能であれば、上述の混合物のいずれも本発明に応じた処置及び治療に適切であり得る。更に、Baldrick P. “Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. “Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.” Int. J. Pharm. 203(1-2):1-60 (2000), Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J Pharm Sci. 89(8):967-78 (2000), Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998) 及び薬剤師に良く知られている製剤、賦形剤及び担体に関連した更なる情報に関するこれらの文献中の引用文献も参照。
1つの実施形態において、本発明の抗体(本発明のモノクローナル抗体を含む)は、療法剤として使用され得る。そのような剤は、一般的に、対象(被検対象)における異常な(aberrant)CD47発現、活性及び/又はシグナリングと関連した病気又は病態の診断、予知、モニタリング、処置、緩和、及び/又は防止に採用されるだろう。治療レジメンは、対象、例えば、異常なCD47発現、活性及び/又はシグナリングと関連した病気又は疾患(例えば、癌又は他の腫瘍性の疾患)を患う(又は発症するリスクがある)ヒト患者を標準的方法を使用して同定することによって実行される。抗体の調製は、好ましくはそのターゲット抗原に対する高い特異性及び高い親和性を有するものが対象に投与され、一般的に、そのターゲットとの結合に起因する効果を有するだろう。当該抗体の投与は、ターゲット(例えば、CD47)の発現、活性及び/又はシグナリング機能を抑制又は阻害(ないし阻止)又は干渉し得る。当該抗体の投与は、ターゲット(例えば、CD47)と、それが自然に結合する内来性リガンド(例えば、SIRPα)との結合を抑制又は阻害又は干渉し得る。例えば、当該抗体は、ターゲットに結合し、そしてCD47の発現、活性及び/又はシグナリングを調節、ブロック(阻止)、阻害、減少、拮抗(アンタゴナイズ)、中和、又は干渉する。
異常なCD47発現、活性及び/又はシグナリングに関連した病気又は疾患は、血液性の癌及び/又は固形腫瘍を含むがそれらの例に限定されない。血液性の癌は、例えば、白血病、リンパ腫及び骨髄腫を含む。ある形態の白血病は、急性リンパ球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性疾患/腫瘍(MPDS);及び骨髄形成異常症候群を含むがそれらの例に限定されない。ある形態のリンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非活動的(indolent)及び活動的(aggressive)の両方の非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び濾胞性リンパ腫(小細胞及び大細胞)を含むがそれらの例に限定されない。ある形態の骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)、大細胞骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はベンス・ジョーンズ骨髄腫を含むがそれらの例に限定されない。固形腫瘍は、例えば、胸部腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、直腸・結腸腫瘍、肺腫瘍、頭及び頚部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、及び腎臓腫瘍を含む。
癌及び他の腫瘍性の疾患と関連した症状は、例えば、炎症、発熱、一般的な倦怠感、発熱、痛み、(これは)炎症を起こした領域にしばしば局在化される、食欲低下、体重減少、浮腫、頭痛、疲労、発疹、貧血症、筋力低下、筋肉疲労及び例えば、腹痛、下痢又は便秘のような腹部の症状を含む。
本発明の抗体の治療有効量は、一般的に、治療目的を達成するために必要な量に関連する。上記のように、これは、抗体とそのターゲット抗原の間の、場合によってはターゲットの機能に干渉する結合相互作用であり得る。投与に必要量は、更に、その特異的な抗原に対する抗体の結合親和性に依存し、投与された抗体が当該抗体が投与されたフリー体積の他対象(the free volume other subject)から枯渇する速度(rate)にも依存するだろう。本発明の抗体又は抗体フラグメントの治療有効投与量の通常範囲は、約0.1mg/kg体重から約100mg/kg体重であり得るが、この例に限定されない。幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg又はそれ以上の用量で被検体に投与される。通常投与頻度は、1日2回から1週間に1回の範囲であり得る。
処置の有効性は、特定の炎症性関連性疾患の診断又は処置のための任意の既知の方法と関連して決定される。炎症性関連疾患の1以上の症状の緩和は、抗体が臨床上の利益をもたらすことを示す。
所望の特異性を有する抗体のスクリーニング方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び他の本発明の技術分野において既知の免疫媒介性の技術を含むがそれらに限定されない。
他の実施形態において、CD47に対する抗体は、(例えば、適切な生理学的なサンプル内のCD47のレベル及び/又はCD47及びSIRPαの両方のレベルの測定における使用、診断方法における使用、タンパク質イメージングにおける使用等のために)CD47の局在化及び/又は定量に関連する本発明の技術分野における既知の方法において使用され得る。所与の実施形態において、抗体由来の抗原結合ドメインを含むCD47特異的抗体又はその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログは、薬学的に活性な化合物(以降では「療法剤(Therapeutics)」と称する)として利用される。
他の実施形態において、CD47特異的抗体は、免疫親和性、クロマトグラフィ又は免疫沈降法のような標準的技術によってCD47ポリペプチドの単離のために使用することができる。CD47タンパク質に対する抗体(又はそのフラグメント)は、例えば、所与の処置レジメンの効果を決定するための臨床上のテスト手順の一部分として、組織内のタンパク質レベルをモニタするために診断上使用することができる。検出は、抗体と検出可能な物質とをカップリング(すなわち、物理的に連結:link)することによって促進することができる。検出可能な物質の例は、種々の酵素、補因子基(prosthetic groups)、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、及び放射性物質を含む。適切な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼを含み;適切な補因子基複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンを含み;適切な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド又はフィコエリトリンを含み;発光物質の例は、ルミノールを含み;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンを含み;適切な放射性物質の例は、125I、131I、35S又はHを含む。
更なる他の実施形態において、本発明の抗体は、サンプル中のCD47及び/又はCD47とSIRPαタンパク質(又はそのタンパク質フラグメント)の両方の存在を検出するための剤として使用することができる。いくつかの実施形態において、抗体は検出可能なラベル(標識)を含む。抗体は、ポリクローナルであるか、又はより好ましくは、モノクローナルである。無傷の(完全な:intact)抗体、又はそのフラグメント(例えば、Fab、scFv、又はF(ab’))が使用される。プローブ又は抗体に関する、用語「標識化(ラベルされる:labeled)」は、検出可能な物質とプローブ又は抗体とをカップリング(すなわち、物理的に連結)することによるプローブ又は抗体の直接的なラベリング、及び、直接的に標識されている他の試薬との反応によるプローブ又は抗体の間接的なラベリングを含むことが意図されている。間接的なラベリングの例は、蛍光標識化二次抗体を使用した一次抗体の検出、及び、蛍光標識化ストレプトアビジンで検出できるようビオチンによるDNAプローブの末端ラベリングを含む。用語「生物サンプル」は、対象(被検対象)から単離された組織、細胞及び生物学的流動体、及び、対象内に存在する組織、細胞及び流動体を含むことが意図されている。従って、用語「生物サンプル」の使用には、血液、及び血清、血漿又はリンパを含む血液の分画又は構成要素が含まれる。すなわち、本発明の検出方法は、インビトロ及びインビボの生物サンプル内の解析対象物であるmRNA、タンパク質又はゲノムDNAの検出に使用することができる。例えば、解析対象物mRNAの検出のためのインビトロ技術は、ノーザンハイブリダイズゼーション及びインサイチュハイブリダイズゼーションを含む。解析対象物タンパク質の検出のためのインビトロ技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降法及び免疫蛍光法を含む。解析対象物ゲノムDNAの検出のためのインビトロ技術は、サザンハイブリダイズゼーションを含む。免疫アッセイを実行するための手順(方法)は、例えば、“ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology”, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995; “Immunoassay”, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996; 及び“Practice and Theory of Enzyme Immunoassays”, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985 に記載されている。更に、解析対象物タンパク質の検出ためのインビボ技術は、標識化抗解析対象タンパク質抗体を対象に導入することを含む。例えば、抗体は、対象内でのその存在及び位置が標準的なイメージング技術によって検出することができる放射性マーカーで標識することができる。
CD47抗体の治療上の投与及び製剤
本発明の抗体(本願において「活性化合物」とも称される)、及びその誘導体、フラグメント、アナログ及びホモログは、投与に適する医薬組成物へ組み込むことができる。そのような組成物の調製に関する原則及び考察並びに構成要素の選択のガイダンスは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences: The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa.: 1995; Drug Absorption Enhancement: Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994 及び Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New York において提供されている。
そのような組成物は、典型的には、抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む。抗体フラグメントが使用される場合には、ターゲットタンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害性フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づき、ターゲットタンパク質配列に結合する能力を保持するペプチド分子を設計することができる。そのようなペプチドは、化学的に合成すること及び/又は組み換えDNA技術によって生成することが可能である(例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993) 参照)。
本願において使用する場合、用語「医薬的に許容可能な担体」は、医薬投与に適合可能な、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤等を含むことが意図されている。適切な担体は、本発明の分野における標準的な参考書(教科書)であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている(この文献は引用によって本願に組み込まれる)。そのような担体又は希釈液の好ましい例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンを含むがこれらに限定されない。リポソーム、及び不揮発性油のような非水性ビヒクルも使用され得る。医薬的活性物質のためのそのような媒体及び剤の使用は、本発明の技術分野において良く知られている。従来の媒体又は剤が活性化合物と不適合である場合を除き、組成物におけるその使用が考慮される。
インビボの投与に使用されるべき製剤は無菌状態でなければならない。これは無菌濾過メンブレンを介した濾過によって容易に達成される。
本発明の医薬組成物は、その意図した投与経路に適合的であるように製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、真皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮的(すなわち、局所的)、経粘膜、及び直腸内投与を含む。非経口、真皮内又は皮下の適用のために使用される溶液又は懸濁液は以下の構成要素を含むことができる:注射用の水、生理食塩水、不揮発性オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒のような無菌希釈液;ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のようなキレート剤;アセタート、クエン酸又はホスファートのようなバッファ、及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような浸透圧の調節剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムのような酸又は塩基で調節することができる。非経口の調製物は、アンプル、使い捨て可能なシリンジ又はガラス又はプラスチック製の複数回投与バイアルに封入することができる。
注射使用に適する医薬組成物は、無菌注射溶液又は分散剤のその場(現場)での調製のための無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散剤及び無菌粉末を含む。静脈内投与のために、適切な担体は、生理食塩水、静菌水(bacteriostatic water)、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は無菌状態でなければならず、かつ、容易に注入可能な程度に流動性であるべきである。組成物は、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、かつ、細菌及び真菌のような微生物の異物混入(コンタミネーション)作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散剤の場合では必要とされる粒子サイズの維持によって、及び、界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール(manitol)、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、アルミニウムモノステアラート及びゼラチンを組成物に含ませることによってもたらすことができる。
無菌注射溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、上に列挙した成分の1つ又はそれらの組み合わせと混合することによって調製することができ、必要に応じ、その後に濾過滅菌処理する。分散剤は、一般的に、基本的な分散媒と上に列挙したものからの必要とされる他の成分を含む無菌ビヒクルに活性化合物を入れることによって調製される。無菌注射液の調製のための無菌粉末の場合には、調製方法は、予め無菌濾過したその溶液から、有効成分といずれかの追加の所望の成分の粉末をもたらす減圧乾燥及び凍結乾燥である。
経口組成物は、一般的に、不活性成分希釈液又は可食担体を含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入することもできるし、圧縮して錠剤にすることもできる。経口の治療上の投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤と混合すること及び錠剤、トローチ、又はカプセルの形状で使用することができる。経口の組成物は、口腔洗浄剤としての使用のために流動性担体を使用して調製することもできるが、この場合、流動性担体中の化合物は、経口的に投与され、洗口され(swished)、そして吐き出されるか又は飲み込まれる。医薬的に適合可能な結合剤及び/又はアジュバント材料(物質)は、組成物の一部分として含まれることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は、以下の成分のいずれか又は類似の性質の化合物を含むことができる:微結晶性セルロース、トラガントガム又はゼラチンのような結合剤;デンプン又はラクトースのような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)又はコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロート(Sterotes)のような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑剤(glidant);スクロース又はサッカリンのような甘味料;又はペパーミント、サルチル酸メチル又はオレンジフレーバーのような香味料。
吸入による投与のために、化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のようなガス)を含む被加圧容器若しくはディスペンサー、又は噴霧器からエアロゾルスプレーの形状で送達される。
全身性の投与は、経粘膜的又は経皮的手段によるものでも可能である。経粘膜的又は経皮的な投与のために、浸透されるべきバリアに適する浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、一般的に、本発明の技術分野において知られており、例えば、経粘膜的な投与のための、洗浄剤(界面活性剤)、胆汁塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜的な投与は、鼻用スプレー又は座薬の使用を介して達成さすることができる。経皮投与のために、活性化合物は、本発明の技術分野において一般的に知られているような、軟膏、膏薬(salves)、ゲル、又はクリームへ製剤化される。
化合物は、直腸内送達のために、座薬(例えば、ココアバター及び他のグリセリドのような従来の座薬ベースと一緒に)又は保留(retention)浣腸剤として調製することもできる。
1つの実施形態において、活性化合物は、徐放性/放出制御性製剤のような、化合物が身体から急速に排出されることを防ぐ担体(インプラントやマイクロカプセル化送達システムを含む)と一緒に調製される。エチレンビニルアセタート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸のような生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。
例えば、活性成分は、例えば、コアセルベーション技術によって又は界面重合法によって調製されるマイクロカプセルに、例えば、それぞれコロイド型薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノパーティクル、及びナノカプセル)における又はマクロエマルジョンにおける、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリル酸)マイクロカプセル、に封入することができる。
徐放性調製物を調整することができる。徐放性調製物の適切な例は、抗体を含む固形疎水性ポリマーの半透過性のマトリックスを含むが、このマトリックスは成形物、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形状である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリル酸)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセタート、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドから構成される注射可能なミクロスフェア)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン−酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸のようなポリマーは100日間を上回る分子の放出を可能にするのに対し、あるヒドロゲルは、より短い期間でタンパク質を放出する。
上記の材料は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム性懸濁液(ウイルス性抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞を標的にするリポソームを含む)は医薬的に許容可能な担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許4,522,811号に記載されているような、当業者に知られている方法に従って調製することができる。
投与容易性及び投与量均一性のための投与ユニット形状で経口又は非経口の組成物を製剤化することは、特に有利である。本願において使用する「投与ユニット形状」とは、処置されるべき対象のための投与単位として適する物理的に分離したユニットを意味する。各ユニットは、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与ユニット形状の詳細は、活性化合物のユニークな特徴、達成されるべき特定の治療効果、及び、各人の処置のためのそのような活性化合物を混合する技術分野に固有の限定によって規定され、かつ、それらに直接的に依存する。
医薬組成物は、投与指示書と一緒に容器、パック又はディスペンサーに含まれることができる。
製剤は、特定の症状を処置するために必要性に応じ2以上の活性化合物、好ましくは互いに対し悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するもの、を含むこともできる。その代わりに、又は追加的に、組成物は、例えば、細胞毒性剤、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害性剤のようなその機能を増強する剤を含むことができる。そのような分子は、意図した目的に有効な量での組み合わせで適切に存在する。
1つの実施形態において、活性化合物は、組み合わせ療法で投与される、すなわち、種々の形態の癌、自己免疫疾患及び炎症性疾患のような病理学的な状態又は疾患の処置に有用な他の剤、例えば療法剤、と組み合わせられる。この文脈において用語「組み合わせ」とは、複数の剤が、実質的に同時期に、同時に又は順次的に、施されることを意味する。順次的に施される場合、第2化合物の投与の開始(オンセット)時に、2つの化合物のうちの第1化合物は、好ましくは、処置部位において依然として有効濃度で検出可能である。
例えば、組み合わせ療法は、以下により詳細に記載するような、1以上の追加の療法剤、例えば、1以上のサイトカイン及び増殖因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症性剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤、及び/又は細胞毒性又は細胞分裂抑制剤、と一緒に共製剤化及び/又は共投与される、本発明の1以上の抗体を含むことができる。そのような組み合わせ療法は、より低い投与量の投与される療法剤を有利に利用することが可能であり、そのため、種々の単独療法と関連する可能性がある毒性又は合併症を回避することが可能である。
本発明の抗体と組み合わせて使用される好ましい療法剤は、炎症性の応答の異なるステージで干渉する剤である。1つの実施形態において、本願に記載の1以上の抗体は、他のサイトカイン又は増殖因子アンタゴニスト(例えば、可溶性受容体、ペプチド阻害剤、小分子、リガンド融合物);又は他のターゲットに結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(例えば、他のサイトカイン又は増殖因子、それらの受容体、又は他の細胞表面分子に結合する抗体);及び抗炎症性サイトカイン又はそのアゴニスト、のような1以上の追加の剤と一緒に共製剤化及び/又は共投与してもよい。
他の実施形態において、本発明の抗体は、自己免疫疾患、炎症性疾患などに対するワクチンアジュバントとして使用される。これらのタイプの疾患の処置のためのアジュバントの組み合わせは、ターゲットされた自己抗原、すなわち、自己免疫に関与する自己抗原(例えば、ミエリン塩基性タンパク質);炎症性自己抗原(例えば、アミロイドペプチドタンパク質)又は移植抗原(例えば、同種抗原)に由来する多種多様な抗原との組み合わせでの使用に適する。抗原は、タンパク質に由来するペプチド又はポリペプチド、及び、サッカライド、タンパク質、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド、自己抗原、アミロイドペプチドタンパク質、移植抗原、アレルゲン又は他のマクロ分子構成要素のいずれかのフラグメント、を含んでもよい。いくつかの例において、2以上の抗原は抗原性組成物に含まれる。
他の療法剤の設計及び生成
本発明に従って、及び、CD47に関して本願において生成されかつ特徴付けられた抗体の活性に基づいて、抗体モイエティを越えた他の治療上のモダリティの設計が促進される。そのようなモダリティは、二重特異性抗体のような先進的(advanced)抗体療法剤、イムノトキシン、及び放射標識療法剤、ペプチド療法剤、遺伝子治療、特に細胞内抗体、アンチセンス療法剤及び小分子の生成を含むがそれらに限定されない。
例えば、二重特異性抗体に関して、以下のものを含む二重特異性の抗体を生成することができる:(i)2つの抗体:一方はCD47に対する特異性を有し、他方は第2の分子に対する特異性を有し、これらは一緒にコンジュゲートされている、(ii)CD47に対して特異的な第1の鎖と第2の分子に対して特異的な第2の鎖とを有する単一の抗体、又は(iii)CD47及び第2の分子に対して特異性を有する1本鎖抗体。そのような二重特異性の抗体は周知の技術を使用して生成される。例えば、(i)及び(ii)に関しては、例えば、Fanger et al. Immunol Methods 4:72-81 (1994) 及びWright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992) を参照。(iii)に関しては、例えば、Traunecker et al. Int. J. Cancer (Suppl.) 7:51-52 (1992) を参照。
イムノトキシンに関しては、抗体は、本発明の技術分野において良く知られた技術を利用して、イムノトキシンとして作用するよう改変することができる。例えば、Vitetta Immunol Today 14:252 (1993) を参照。更に、米国特許5,194,594も参照。放射標識抗体の調製に関しては、そのような改変抗体も、本発明の技術分野において良く知られた技術を利用して容易に調製することができる。例えば、Junghans et al. in Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655-686 (2d edition, Chafner and Longo, eds., Lippincott Raven (1996)) を参照。更に、米国特許4,681,581号、4,735,210号、5,101,827号、5,102,990号(RE35,500)、5,648,471号、及び5,697,902号も参照。イムノトキシン及び放射標識分子の各々は、CD47を発現する細胞を殺す傾向があるだろう。
治療ペプチドの生成に関しては、CD47及びそれに対する抗体(本発明の抗体等)に関連した構造情報の利用又はペプチドライブラリのスクリーニングを介して、治療ペプチドは、CD47に対して指向するように(directed)生成されることができる。ペプチド療法剤の設計及びスクリーニングは、Houghten et al. Biotechniques 13:412-421 (1992), Houghten PNAS USA 82:5131-5135 (1985), Pinalla et al. Biotechniques 13:901-905 (1992), Blake and Litzi-Davis BioConjugate Chem. 3:510-513 (1992) に関連して議論されている。イムノトキシン及び放射標識分子も、抗体に関して上に議論したようにペプチドモイエティに関連して、それも類似の方法で、調製することができる。CD47分子(又はある形状(スプライスバリアントなど)又はその他の(alternate)形状)は、病気のプロセスにおいて機能的に活性であると仮定すれば、従来の技術によって、それに対する遺伝子及びアンチセンス療法剤を設計することもできよう。そのようなモダリティは、CD47の機能を調節するために利用することができる。これに関し、本発明の抗体は、それに関連した機能アッセイの設計及び使用を容易にする。アンチセンス療法剤に関する設計及び手法は、国際特許出願WO94/29444において詳細に議論されている。遺伝子治療に関する設計及び手法は良く知られている。しかしながら、特に、細胞内抗体に関連する遺伝子治療技術の使用は、特に有利であることが証明できるであろう。例えば、Chen et al. Human Gene Therapy 5:595-601 (1994) 及び Marasco Gene Therapy 4:11-15 (1997) を参照。遺伝子療法剤の一般的な設計及び遺伝子療法剤に関する考察も、国際特許出願WO97/38137において議論されている。
CD47分子の構造、及び、SIRPα及び/又は本発明の抗体のような本発明に応じた他の分子との該CD47分子の相互作用、から収集した知見等は、更なる治療モダリティを合理的に設計することに利用することができる。この点に関し、X線結晶学、コンピュータ支援型(又はアシスト型)分子モデリング(CAMM)、構造−活性の量的又は質的関係(QSAR)のような合理的な薬剤設計技術及び類似技術は、薬剤発見の試みに焦点をあてることに利用することができる。合理的な設計は、IL−6Rcの活性を改変又は調節することに使用可能な分子又はその特異的な形状と相互作用可能なタンパク質又は合成構造の予測を可能にする。そのような構造は、生物学的システムにおいて化学に合成されること又は発現されることができる。このアプローチは、Capsey et al. Genetically Engineered Human Therapeutic Drugs (Stockton Press, NY (1988)) において総論(レビュー)されている。更に、コンビナトリアルライブラリは、設計及び合成されることができ、及び、高スループットスクリーニング試行(efforts)のようなスクリーニングプログラムにおいて使用されることができる。
スクリーニング方法
本発明は、調節因子、すなわち、CD47とSIRPαの結合を調節又は干渉する候補ないしテスト化合物ないし剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、小分子又は他の薬剤)、又は、CD47及び/又はCD47−SIRPαのシグナリング機能を調節又は干渉する候補ないしテスト化合物ないし剤を同定する方法(本願において「スクリーニングアッセイ」とも称される)を提供する。異常なCD47及び/又はCD47−SIRPαの発現、活性及び/又はシグナリングに関連した疾患を処置することに有用な化合物を同定する方法も提供される。スクリーニング方法は、既知のないし本発明の技術分野において使用されているもの、又は本願に記載のものを含むことができる。例えば、CD47は、マイクロタイタープレートに固定され、SIRPαの存在下で候補ないしテスト化合物(例えば、CD47抗体)と一緒にインキュベートすることができる。その後に、結合したSIRPαは二次抗体を使用して検出することができ、また、吸光度はプレートリーダーで検出することができる。
マクロファージによる腫瘍細胞の食作用を促進することが可能な化合物を同定する方法も提供される。これらの方法は、既知のないし本発明の技術分野において使用されているもの、又は本願に記載のものを含むことができる。例えば、マクロファージは、候補化合物(例えば、CD47抗体)の存在下で、標識腫瘍細胞と一緒にインキュベートされる。所定の期間の経過後に、マクロファージは、腫瘍標識の内部移行について観察することにより、その食作用を同定することができる。これらの方法(例えば、SIRPαブロッキングアッセイ及び食作用アッセイ)に関する更なる詳細は、実施例において提供される。
本発明は、本願に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定された化合物も含む。
1つの実施形態において、本発明は、CD47のシグナリング機能を調節する候補ないしテスト化合物をスクリーニングするアッセイを提供する。本発明のテスト化合物は、本発明の技術分野において知られたコンビナトリアルライブラリ法(生物学的ライブラリ;空間的にアドレス可能な平行な固相又は液相ライブラリ;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリ法;「1ビーズ1化合物」ライブラリ法;及びアフィニティークロマトグラフィセレクションを使用する合成ライブラリ法を含む)における多数のアプローチのいずれかを使用して取得することができる。生物学的ライブラリによるアプローチはペプチドライブラリに限定されるのに対し、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマー又は小分子ライブラリへ適用可能である(例えば、Lam, 1997. Anticancer Drug Design 12: 145 参照)。
本願において使用する「小分子(small molecule)」は、約5kD未満、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物を意味することが意図されている。小分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質、他の有機分子又は無機分子であり得る。化学混合物及び/又は生物混合物(真菌、細菌、又は藻類抽出物等)のライブラリは本発明の技術分野において知られており、本発明のいずれかのアッセイを用いてスクリーニングすることができる。
分子ライブラリの合成方法の例は、この技術分野において、例えば、DeWitt, et al., 1993. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 6909; Erb, et al., 1994. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91: 11422; Zuckermann, et al., 1994. J. Med. Chem. 37: 2678; Cho, et al., 1993. Science 261: 1303; Carrell, et al., 1994. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059; Carell, et al., 1994. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061 及びGallop, et al., 1994. J. Med. Chem. 37: 1233 において見出すことができる。
化合物のライブラリは、溶液中(例えば、Houghten, 1992. Biotechniques 13: 412-421参照)、ビーズ上(Lam, 1991. Nature 354: 82-84参照)、チップ上(Fodor, 1993. Nature 364: 555-556参照)、細菌(米国特許5,223,409号参照)、胞子(米国特許5,233,409号参照)、プラスミド(Cull, et al., 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-1869参照)又はファージ上(Scott and Smith, 1990. Science 249: 386-390; Devlin, 1990. Science 249: 404-406; Cwirla, et al., 1990. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 6378-6382; Felici, 1991. J. Mol. Biol. 222: 301-310;及び米国特許5,233,409号参照)において提供され得る。
1つの実施形態において、候補化合物は、抗体抗原複合体に導入され、そして候補化合物が抗体抗原複合体を破壊(ないし分解:disrupt)するか否かが決定される(ここでは、この複合体の破壊(分解)は、候補化合物がCD47のシグナリング機能及び/又はCD47とSIRPαの間の相互作用を調節することを示す)。他の実施形態において、本発明の可溶性CD47及び/又はCD47とSIRPαタンパク質の両方が提供され、そして、少なくとも1つの中和モノクローナル抗体に暴露される。抗体抗原複合体の形成が検出され、そして、1以上の候補化合物が複合体に導入される。1以上の候補化合物の導入後に抗体抗原複合体が破壊(分解)される場合、該候補化合物は、異常なCD47及び/又はCD47−SIRPαシグナリングと関連する疾患を処置することに有用である。
抗体抗原複合体を干渉又は破壊(分解)するテスト化合物の能力の決定は、例えば、テスト化合物と抗原又はその生物学的活性部分との結合が複合体中の標識化合物を検出することによって決定できるように、テスト化合物と放射線同位体又は酵素標識とをカップリングすることによって達成することができる。例えば、テスト化合物は、直接的であれ間接的であれ、125I、35S、14C又はHで標識することができるが、これらの放射線同位体は電磁波放出の直接的なカウント又はシンチレーションカウントによって検出することができる。あるいは、テスト化合物は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又はルシフェラーゼで酵素的に標識することができるが、これらの酵素標識は適切な基質から生成物への転換の決定によって検出することができる。
1つの実施形態において、アッセイは、抗体抗原複合体とテスト化合物とを接触させること、及び、抗原と相互作用する又は存在する抗体抗原複合体を破壊(分解)するテスト化合物の能力を決定することを含む。この実施形態において、抗原と相互作用する及び/又抗体抗原複合体を破壊(分解)するテスト化合物の能力の決定は、抗体と比較した場合の、抗原又はその生物学的活性部分に対して優先的に結合するテスト化合物の能力を決定することを含む。
他の実施形態において、アッセイは、抗体抗原複合体とテスト化合物とを接触させること、及び、抗体抗原複合体を調節するテスト化合物の能力を決定することを含む。抗体抗原複合体を調節するテスト化合物の能力の決定は、例えば、テスト化合物の存在下で、抗体に結合する又は抗体と相互作用する抗原の能力を決定することによって達成することができる。
当業者であれば、本願に開示されたいずれかのスクリーニング方法において、抗体は、CD47の活性及び/又はシグナリングを調節又は干渉する中和抗体であり得ることを認識するだろう。
本願に開示されるスクリーニング方法は、細胞ベースのアッセイ又は無細胞アッセイとして実行してもよい。本発明の無細胞アッセイは、可溶性形状又はメンブレン結合形状の何れかのCD47及びそのフラグメントを使用することができる。メンブレン結合形状のCD47を含む無細胞アッセイの場合、メンブレン結合形状のタンパク質が溶液中で維持されるよう、可溶化剤を利用することが望ましいであろう。そのような可溶化剤の例は、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアミニオール(dimethylamminiol)−1−プロパンスルホナート(CHAPS)、又は3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアミニオール−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート(CHAPSO)のような非イオン性界面活性剤を含む。
2以上の実施形態において、抗体又は抗原の何れかを固定することにより、候補化合物の導入の後、その一方又は両方の非複合体型からの複合体型の分離を促進すること、及び、アッセイを自動化することが望ましいであろう。候補化合物の存在下及び不在下での抗体抗原複合体の観察は、反応物を容れることに適した任意の容器中で達成することができる。そのような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管及びマイクロ遠心分離チューブを含む。1つの実施形態において、これらのタンパク質の一方又は両方がマトリックスに結合することを可能にするドメインを加える融合タンパク質を提供することができる。例えば、GST−抗体融合タンパク質又はGST−抗原融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)又はグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着させられ、次にテスト化合物と組み合わせられ、そして混合物は複合体形成が行われる条件下で(例えば、塩及びpHについての生理的状態で)インキュベートされることができる。インキュベーションに続いて、ビーズ又はマイクロタイタープレートのウェルを洗浄して未結合性の構成要素を除去し、ビーズの場合はマトリックスは固定化され、複合体は直接的又は間接的に決定される。あるいは、複合体をマトリックスから分離することも可能であるが、抗体抗原複合体形成のレベルは標準的技術を使用して決定することができる。
マトリックスにタンパク質を固定化するための他の技術は、本発明のスクリーニングアッセイにおいても使用することができる。例えば、抗体(例えば、2A1抗体、又はSEQ ID番号5〜30から選択される重鎖可変領域及びSEQ ID番号31〜47から選択される軽鎖可変領域を有する抗体)又は抗原(例えば、CD47タンパク質)の何れかは、ビオチンとストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用して固定化することができる。ビオチン標識化抗体又は抗原分子は、本発明の技術分野における周知技術(例えば、ビオチン標識化キット、Pierce Chemicals, Rockford, Ill)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製することができ、ストレプトアビジンでコーティングされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化することができる。あるいは、目的の抗体又は抗原とは反応性であるが目的の抗体抗原複合体の形成に干渉しない他の抗体はプレートのウェルに誘導体化することができ、未結合の抗体又は抗原は抗体コンジュゲーションによってウェルにトラップすることができる。そのような複合体を検出する方法は、GST固定化複合体について上述したものに加えて、抗体又は抗原と反応性のそのような他の抗体を使用する複合体の免疫検出を含む。
本発明は、更に、上述のいずれかのスクリーニングアッセイによって同定される新規な剤及び本願に記載の処置のためのその使用に関する。
診断用及び予防用の製剤
本発明のCD47MAbは、診断用及び予防用の製剤に使用される。1つの実施形態において、本発明のCD47MAbは、例えば、癌又は他の腫瘍状態(これらに限定されない)のような上述の病気の1以上の発症のリスクを有する患者に投与される。上述の癌又は他の腫瘍状態の1以上についての患者又は器官の徴候は、遺伝子型、血清又は生化学マーカーを使用して決定することができる。
本発明の他の実施形態において、CD47抗体は、例えば、癌又は他の腫瘍状態(これらに限定されない)のような上述の病気の1以上に関連する臨床上の徴候で診断されたヒト個人に対して投与される。診断の際に、CD47抗体は、上述の病気の1以上に関連する臨床上の徴候の効果(作用)を軽減又は反転する(元に戻す)ために投与される。
本発明の抗体は、患者のサンプルにおけるCD47及び/又はSIRPの検出にも有用であり、従って診断剤としても有用である。例えば、本発明のCD47抗体は、患者のサンプルにおけるCD47及び/又はSIRPαレベルを検出するために、インビトロアッセイ、例えば、ELISAにおいて使用される。
1つの実施形態において、本発明のCD47抗体は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル(単数又は複数))に固定化される。固定化された抗体は、テストサンプル中に存在し得るCD47及び/又はSIRPαのいずれかのためのキャプチャー抗体としての役割を果たす。固定化された抗体を患者サンプルに接触させる前に、固体支持体は、解析対象物の非特異的な吸着を阻止するために、乳たんぱく質又はアルブミンのようなブロッキング剤でリンス及び処置される。
その後、ウェルは、抗原を含むことが疑われるテストサンプルで又は標準の量の抗原を含む溶液で処置される。そのようなサンプルは、例えば、病気の診断が下りると考えられる循環抗原のレベルを有することが疑われる対象(被検対象)からの血清サンプルである。テストサンプル又は標準(サンプル)をリンスして除去した後に、固体支持体は検出可能に標識された二次抗体で処置される。標識二次抗体は、検出抗体としての役割を果たす。検出可能な標識のレベルが測定され、テストサンプル中のCD47及び/又はSIRPα濃度は、標準サンプルから得られた標準曲線との対比によって決定される。
インビトロ診断アッセイにおいて本発明のCD47抗体を使用して得られた結果に基づき、対象(被検者)における病気(例えば、虚血、自己免疫性又は炎症性疾患に関連する臨床上の徴候)のステージをCD47及び/又はSIRPαの発現レベルに基づいて評価できることが分かるであろう。所与の病気について、血液のサンプルは、病気の進行における種々のステージ及び/又は病気の治療処置における種々のポイントにあるものとして診断される対象から取得される。進行又は治療の各ステージについての統計的に有意な結果を提供するサンプルの個体群を使用して、各ステージについての特徴でると考えられ得る抗原の濃度の範囲が示される。
本願において引用される刊行物及び特許文献は、そのような刊行物又は文献の各々が引用を以って本願に組み込まれていることが具体的かつ個別的に示されているかの如くに、そのすべてが引用を以って本願に組み込まれているものとする。刊行物及び特許文献の引用は、何れも適切な先行技術であることの自認を意図するものではなく、それらの内容又は日付に関する如何なる自認を構成するものでもない。本発明については文書で説明したが、本発明は多種多様な実施形態で実施可能であること及び上記の説明及び下記の実施例は説明のためのものに過ぎず、後掲の請求の範囲を限定するものではないことは、当業者であれば認識するだろう。
以下の実施例(実行した実験及び達成された結果を含む)は説明のためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
実施例1:CD47抗体の生成及び選択
CD47抗体は、マウスをCD47−IgV(免疫グロビン様可変型)を示す組み換えタンパク質で免疫化し、複数のサイトで改変急速免疫化法を実行することによって生成した(Kilpatrick et al. (1997) Rapid development of affinity matured monoclonal antibodies using RIMMS. Hybridoma 16, 381-389)。更に、免疫化群のマウスの半数に対し、抗マウスGITRアゴニスト抗体、DTA−1の単回注射を行った。免疫化スケジュール後、全てのマウス(DTA−1処置及び未処置)からリンパ節を収集してバラバラにし、それによってB細胞の単離及びその後のマウス骨髄腫細胞系統への融合ができるようにした。ハイブリドーマ上清に対しては、ELISAとDaudi(ATCC#CCL−213)細胞のフローサイトメトリーとによって、CD47への結合についてスクリーニングを行った(図1A)。ハイブリドーマ上清に対しては、更に、CD47−SIRPα相互作用をブロックする能力について解析した(図1B)。組み換えCD47をMedisorp(NUNC)マイクロタイタープレートに固定し、その後、ヒトIgGのFcドメインに融合した組み換えヒトSIRPα−ECDの存在下でハイブリドーマ上清と一緒にインキュベートした。結合したSIRPαは、HRPコンジュゲート型抗ヒトIgG Fc特異的二次抗体(Jackson Immuno Research)を用いて検出し、650nmでの吸光度はプレートリーダーで検出した。
実施例2:CD47抗体の特徴付け
本発明のネズミCD47抗体の例を図2に示す。SIRPαブロッキングCD47抗体の親和性ランキングは、ラージ細胞(ATCC#CCL−86)(図2A)及びCCRF−CEM細胞(ATCC#CCL−119)(図2B)のフローサイトメトリーによって実行した。結合したCD47抗体は、FITCコンジュゲート型抗マウスIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて検出した。ポジティブコントロールとして、当業界で既知のCD47抗体であるB6H12を含めた(例えば、米国特許5,057,604号参照)。図2Bにおいて、B6H12及び2D3(商業的に入手可能な非SIRPαブロッキング抗体)の両方と、本願において生成した抗体との比較を行った。本発明の抗体は、B6H12及び2D3抗体と比較して、内来性(細胞表面)形状のCD47に対するより高い親和性を示す。
実施例3:CD47抗体のSIRPαブロッキング活性
CD47抗体によるSIRPαブロッキングの力価はELISAで測定した。この場合、組み換えHisタグ−CD47IgVはMedisorpマイクロタイタープレートに固定化した。ヒトIgGのFcドメインに融合した組み換えSIRPαの結合については、漸増するCD47抗体の存在下でモニタした。結合したSIRPαは、HRPコンジュゲート型抗ヒトIgG(Fc特異的)二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて測定した。本発明の抗体は、B6H12抗体と比較して、SIRPαブロッキングの増強された力価を示す。図3Aは、ELISAベースのSIRPαブロッキングアッセイの代表的なデータを示す。
CD47抗体に対しては、組み換えSIRPαの細胞表面CD47に対する結合をブロックするそれらの能力について、フローサイトメトリーで解析した。CCRF−CEM(ATCC#CCL−119)細胞はアッセイではCD47のソースとして使用し、ヒトIgGのFcドメインに融合した組み換えSIRPαの結合は漸増するCD47抗体の存在下でモニタした。結合したSIRPαは、APCコンジュゲート型抗ヒトIgG(Fc特異的)二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて測定した(図3B)。B6H12及び商業的に入手可能な非SIRPαブロッキングCD47抗体2D3はそれぞれポジティブコントロール及びネガティブコントロールとして使用した。
実施例4:CD47抗体媒介性ホモタイプ相互作用
SIRPαブロッキングCD47抗体に対し、CD47ポジティブ細胞間のホモタイプ相互作用として知られている細胞クラスタリングを誘導するそれらの能力について解析を行った。Daudi及びラージ細胞は、CD47発現細胞系統の候補として使用した。検査した抗体中、本発明の2A1抗体は、CD47発現細胞のホモタイプ相互作用を引き起こさない唯一のSIRPαブロッキング抗体であった。
実施例5:CD47抗体の赤血球凝集活性
ホモタイプ相互作用の一例は、RBCの凝集によって表わされる赤血球凝集である。CD47抗体に対し、ヒトRBCの沈降(settling)を防止する抗体の能力によって観察されるRBC凝集についてスクリーニングを行った。予想されなかったことに、2A1抗体は、赤血球凝集を引き起こすことができないが、その一方で高い親和性とSIRPαをブロックする能力を有するという点で、他のCD47抗体の中でユニークであることが分かった。減少した赤血球凝集を示した他の抗体は、SIRPαのCD47への結合をブロックしなかった。
CD47抗体の赤血球凝集キャパシティを評価するために、ヒトRBCをPBSで10%に希釈し、丸底96ウェルプレートでCD47抗体の力価測定(titration)をしつつ37℃で2〜6時間インキュベートした。赤血球凝集の証拠は、赤血球非凝集型RBCの強い赤いドット(a punctuate red dot)に比べてぼんやりと現れる、非沈降RBCの存在によって示される。予想されなかったことに、図4Aに示すように、本発明のCD47抗体、特に本願において2A1と称される抗体は、赤血球凝集活性を示さなかった。グラフは赤血球凝集アッセイの定量を示すが、表示値「赤血球凝集インデックス」は、抗体不存在下でのRBCペレットの面積に対して正規化された、抗体存在下でのRBCペレットの面積の定量化によって決定した。
ネズミ9E4抗体は、テストした全ての濃度で最も強い(profound)赤血球凝集を引き起こした。従って、9E4抗体は、CD47に結合するとともに、CD47とSIRPαの相互作用をブロックする。しかしながら、9E4抗体は、強い赤血球凝集を引き起こす。
9E4抗体のVH鎖領域は以下に提示される。
EVQLRQSGPELVKPGASVKISCKASGYSFTDYYMYWVKQSRVRSLAWIGRINPYTGATGYDQNFKDKASLIVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARGRNRYDGWFAYWGQGTLVTV(SEQ ID番号78)
9E4抗体のVL鎖領域は以下に提示される。
EIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISNYLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLDQEDIATYFCQQGNALPPTFGGGTNLEIK(SEQ ID番号79)
コントロール抗体B6H12は、SIRPαブロッキングCD47抗体に関して予測される赤血球凝集を引き起こした。
2A1抗体の赤血球非凝集活性のユニークさを検査するために、多数の他のCD47抗体に対し、RBC赤血球凝集アッセイでスクリーニングを行った(図4B)。このアッセイでは、ネズミ2A1の重鎖可変領域、アミノ酸106が改変された(すなわち、M106I)ネズミ2A1の軽鎖可変領域、及びヒトIgG1及びヒトIgカッパの定常領域からなる、キメラ型バージョンの2A1抗体(2A1−xi)が含まれていた。2A1抗体及び2A1−xi抗体のVH及びVL領域の配列は表1において提示される。抗体は、12.5、25、50、及び100nMでテストした。予想されなかったことに、2A1は、図4Bにおいて検査したCD47抗体の中では稀有な存在である。すなわち、2A1は、赤血球凝集活性が無いか又は低減した図4Bにおける唯一の抗体であった。図4Eは、2A1、キメラ型2A1(2A1−xi)、及びヒト化変異体が赤血球凝集を引き起こさないことを示す。
図4Cは、RBC赤血球凝集アッセイにおいて追加のCD47抗体をスクリーニングした結果を示す。図4Cに示すように、SIRPαをブロックしない商業的に入手可能なCD47モノクローナル抗体2D3は赤血球凝集を引き起こさなかった。他方、SIRPαをブロックする商業的に入手可能な他のCD47抗体(例えば、CC2C6、BRC126、及びB6H12)は赤血球凝集を引き起こした(図4C)。従って、本願に記載した発明以前においては、SIRPαをブロックした既存の抗体は赤血球凝集を引き起こしたのに対し、2D3のようなSIRPαをブロックしなかった既存の抗体は赤血球凝集を引き起こさなかった。これを総合すれば、本発明の抗体(例えば、2A1抗体及びそのヒト化誘導体)は、既存のCD47抗体の中では、SIRPαをブロックするが赤血球凝集を引き起こさないというそれらの能力においてユニークである。
高濃度範囲の選択したCD47抗体に対し、赤血球凝集アッセイで再テストを行った(図4D)。このアッセイにより、B6H12及び9E4による赤血球凝集のプロゾーン効果が示されたが、この場合、赤血球凝集はテストした濃度範囲の高い端部及び低い端部で低減した。赤血球凝集インデックスのグラフ表示もプロゾーン効果を際だって示している。プロゾーン効果は、図4C及び図4Eでも明らかであった。重要なことに、マウス2A1及びキメラ型2A1のCD47抗体は、全ての濃度で赤血球凝集活性を示さなかった。
図4Eにおいて示すように、ネズミの1B4抗体は、狭い範囲での赤血球凝集を示した。
1B4抗体のVH鎖領域は以下に提示される。
QIQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYTFTDYYIHWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNERFKGKATLTVATSSSTAYMQLSSLTSEDTAVYFCARREEDYFDYWGQGTLVTV(SEQ ID番号80)
1B4抗体のVL鎖領域は以下に提示される。
DIVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLLYSSNQKNYLTWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYSYPLTFGAGTKLEIK(SEQ ID番号81)
ネズミ2A1に由来するヒト化抗体の赤血球凝集キャパシティは上記のようにテストした。重要なことに、多数のヒトIgGアイソタイプ(IgG1、IgG4−S228P及びIgG4−S228P/L235E)のうちの代表的なヒト化抗体AB6.12はRBC赤血球凝集を引き起こさなかった。2A1及び2A1−xiは赤血球非凝集性抗体のためのコントロールとして含まれていた(使用した)のに対し、B6H12及び9E4は赤血球凝集のためのポジティブコントロールとして含まれていた(使用した)(図4F)。
実施例6:カニクイザルCD47への結合
カニクイザル(cyno)CD47に結合するネズミ2A1の能力を評価した。B6H12抗体は、カニクイザルCD47と交差反応性であることが既に報告されており、アッセイではカニクイザルCD47の存在に関するポジティブコントロールとして使用した。カニクイザルCD47への2A1の結合を測定する実験は、カニクイザルB細胞及びヒト細胞のCD47への2A1の結合を比較するように設計された。この場合、ラージ細胞系統はヒトのCD47ポジティブ細胞として使用した。カニクイザル末梢血単核細胞(PBMCs)をficoll-paque勾配遠心分離によってカニクイザル全血から単離した。カニクイザル及びヒトB細胞(ラージ)を10μg/mLのヒトCD20抗体オファツムマブ(Arzerra)で標識し、ネズミCD47抗体2A1又はB6H12の希釈シリーズと反応させた。ヒトCD20抗体で標識したB細胞は、DyLite649にコンジュゲートしたポリクローナル抗ヒト抗体で検出した。他方、CD47ネズミ抗体は、DyLite488にコンジュゲートしたポリクローナル抗マウス抗体で検出した。細胞はフローサイトメトリーによって解析した。先ず、FSC及びSSCによって生細胞をゲートオンし、次に、FL4ポジティブ(CD20ポジティブ)な細胞をゲートオンし、最後に、FL1(CD47ポジティブ)の中央値を測定した。データは、各濃度におけるシグナルを各細胞集団に対する各抗体の最大シグナルで除算することによって正規化した。図5に示す正規化した結果は、2A1はカニクイザルCD47と交差反応し、ヒトCD47と比較して同等の親和性を有することを示す。上記の結果と整合して、B6H12は、本発明の抗体と比較すると、ラージ及びカニクイザルB細胞の両方の細胞表面CD47に対しより低い親和性を有した。
実施例7:キメラ型抗体の生成
ネズミ2A1抗体の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)の配列を同定するために、リボ核酸(RNA)をハイブリドーマから単離し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)(Phusion RT-PCR Kit Thermo Scientific)において利用して、ファーストストランドcDNAを生成した。VH及びVLの両方のネズミ抗体リーダ配列の完全レパートリーをカバーする変性プライマーセットをPCRにおいて使用した。ここでは、ファーストストランドcDNAは、鋳型としての役割を果たした。
フォワードプライマー(ネズミIgGリーダ)は以下に提示される。
Figure 2016507555
リバースプライマー(ネズミIgG定常領域)は以下に提示される。
Figure 2016507555
フォワードプライマー(ネズミIgカッパ(κ)リーダ)は以下に提示される。
Figure 2016507555
リバースプライマー(ネズミIgカッパ(κ)定常領域)は以下に提示される。
Figure 2016507555
次に、増幅したVH及びVLを、適切な抗体分泌配列ならびにヒトIgG1及びIgカッパ(κ)定常領域をそれぞれ含むベクター(複数)にインフレーム(in-frame)でクローン化して、ネズミ:ヒトキメラ型DNA構築物を生成した。これらの構築物を、293Freestyle細胞(Life Technologies)に同時形質導入し、そして結果として生じた抗体をプロテイン−Aクロマトグラフィによって細胞培養上清から精製した。正しいVH及びVL配列が同定されていることを決定するために、キメラ型2A1(2A1−xiと称される)は、ラージ細胞のフローサイトメトリーによるCD47結合アッセイにおいてネズミ親2A1抗体と比較した(図6)。このアッセイでは、ポジティブコントロールとしてB6H12も含まれていた。結合した2A1−xiは、FITC−コンジュゲート型抗ヒトIgG二次抗体を使用して検出した。結合した2A1及びB6H12は、FITC−コンジュゲート型抗マウスIgG二次抗体を使用して検出した。見かけの親和性は、種々の抗体濃度における蛍光強度の中央値の非線形モデル(non-linear fit)(Prism Graphpad Software)によって決定した(表2)。2A1−xi抗体は、ネズミ2A1抗体と同等の細胞表面CD47に対する結合親和性を有しているが、このことは、VH及びVL配列が適切に同定されたことを実証している。
表2
Figure 2016507555
実施例8:抗体のヒト化
ネズミ2A1 CD47抗体をヒト化することにより、ヒト患者に投与されたときの免疫原性のポテンシャル(潜在的可能性)を低減した。2A1のVH及びVL領域の配列を、IMGTデータバンク内のヒト抗体配列と比較した。その後、タンパク質データバンク(PDB)内で最も密接に関連したヒト化抗体及びヒト抗体の既知の構造を使用して2A1のVH領域及びVL領域の構造モデルを作成した。2A1抗体の重鎖及び軽鎖の両方の3つの相補性決定領域(CDR)を固定し、ネズミのフレームワーク(複数)をCDRの適切な向き(配向)を維持している可能性が最も高い多数のヒトフレームワークで置換した。ヒト化2A1変異体の各々に対応する構築物を遺伝子合成によって作製し、適切な分泌配列ならびにヒトIgG1及びIgカッパ(κ)定常領域を含むベクター(複数)にインフレームでクローン化した。ヒト化重鎖及び軽鎖の種々の組み合わせを293Freestyle細胞(Life Technologies)に同時形質導入し、結果として生じた抗体をプロテイン−Aクロマトグラフィによって細胞培養上清から精製した。
ヒト化抗体は、フローサイトメトリーによって、ラージ細胞に結合するそれらの能力に関してテストした(図7)。2A1−xi抗体は、結合親和性のベンチマークを設定するために、これらのアッセイのほとんどにおいてコントロールとして使用した。ヒト化抗体を更に最適化することにより、発現を増強し、異性化及び脱アミド化の可能性のあるサイトを含む問題があるサイトを減少した。ネズミ2A1抗体由来の最適化ヒト化抗体の一例をAB6.12抗体と称するが、これは、2A1−xi抗体と非常に類似の結合親和性を示す(図7H;表3)。見かけの親和性は、種々の抗体濃度における蛍光強度の中央値の非線形モデル(Prism Graphpad Software)によって決定した。
表3
Figure 2016507555
次いで、AB6.12抗体を、重鎖の定常ドメインを置換することによって、IgG1から他のヒトIgGアイソタイプに変換した。図7Iに示すように、IgGアイソタイプを、ヒンジ安定化バージョンのIgG4(IgG4P:S228P)及びヒンジ安定型IgG4のFc受容体結合性低下型変異体(IgG4PE:S228P/L235E)に変更しても、細胞表面CD47に対するヒト化抗体の結合親和性は変化しなかった(図7I;表4)。見かけの親和性は、種々の抗体濃度における蛍光強度の中央値の非線形モデル(Prism Graphpad Software)によって決定した。
表4
Figure 2016507555
ヒト化プロセス全体に渡って、CD47抗体をテストして、SIRPαブロッキング機能は無傷であることを確証した。図7Jに示すように、ヒト化抗体AB6.12の複数のIgGアイソタイプはSIRPα:CD47相互作用をブロックした。なお、この場合、実施例3において記載したフローサイトメトリーベースの方法を使用した。例示的CD47抗体及びそれらの対応するVH領域及びVL領域は表1に提示されたものを含む。
ヒト化プロセスを通じて、いくつかの実施形態において、VHのCDR3(SEQ ID番号52又はSEQ ID番号77)の開始位置におけるアミノ酸配列モチーフ「NA」は本願に記載のCD47抗体の結合性に重要であることが決定された。いくつかの実施形態において、VHのCDR3(SEQ ID番号52又はSEQ ID番号77)の開始位置におけるアミノ酸残基「NA」が存在しない場合、本発明のCD47抗体は、それらのターゲットに結合しないか、又は、アミノ酸残基「NA」が存在する場合のものよりも低い親和性でそれらのターゲットに結合する。例えば、「NA」モチーフがより限界構造性の(canonical)モチーフ「AR」又は「AT」に変化されたとき、結合は大幅に(即ち10倍より大きく)減少した。他の実施形態において、VHのCDR3(SEQ ID番号52又はSEQ ID番号77)の開始位置におけるアミノ酸残基「NA」が存在しない場合、本発明のCD47抗体は、アミノ酸残基「NA」が存在する場合の結合と比べて同等の親和性でそれらのターゲットに対して結合する。
本発明のCD47抗体の配列におけるアミノ酸置換により実質的に同一の機能を有する抗体、例えば、SIRPαをブロックするが、有意のレベルの赤血球凝集及び/又は血小板減少を引き起こさない能力を有するCD47抗体が得られるか否かについては、過度の実験を要することなく、決定できることは、当業者であれば認識しているであろう。
superdex200カラムを用いたAKTA FLPCを使用した分子篩クロマトグラフィによる追跡のイメージ(画像)を図8Aに示す。AB6.12抗体のIgG1、IgG4P、及びIgGPE変異体が示されている。3つの変異体全てが98%超でモノマーであった。図8Bは、分解状態(reducing condition)(R)及び非分解状態(NR)の多数の2A1のヒト化変異体のクーマシーブルー染色したSDS−PAGEゲルの写真である。
実施例9:CD47抗体は腫瘍細胞系統の食作用を促進する
CD47は、腫瘍細胞でアップレギュレートされる細胞表面受容体であり、またその天然のリガンドSIRPαとの相互作用を介して免疫回避に寄与すると考えられる。CD47とマクロファージのSIRPαとのライゲーションにより、食細胞活性は減少する。以下に詳細に記載するように、2A1抗体及びそのバリエーションのCD47結合及びSIRPαブロッキング活性がヒトマクロファージの存在下での腫瘍細胞食作用を促進するか否かについて確認した。
PBMCはヒト血液から単離した。単球はAIM−V培地(Life Technologies)中で7日間インキュベートすることによってマクロファージへ分化させた。これらの単球由来のマクロファージ(MDM)は接着性になるため、他の細胞は洗浄で除去することができる。MDMを掻き集めて、12ウェル皿に再び蒔き、24時間接着させた。ヒト腫瘍細胞系統CCRF−CEMは、そのCD47発現は大きいので、ターゲット細胞タイプとして選択した。CCRF−CEM細胞は、37℃、15分間、0.3μMのCFSEで標識し、次に、洗浄し、4:1(食細胞あたりの腫瘍細胞)の割合でMDMに加え、そして、CD47抗体を種々の濃度で加えた。3時間にわたり、ターゲット細胞の食作用をさせた。その後、非貪食ターゲット細胞はPBSで洗浄除去した。残りの食細胞を掻き取り、DyLite649(Biolegend)にコンジュゲートしたマクロファージマーカーCD14に対する抗体を用いて染色し、そしてフローサイトメトリーによって解析した。食作用は、FL4ポジティブ(CD14+)な生細胞をゲートオンし、次にFL1(CFSE+)ポジティブな細胞のパーセントを評価することによって測定した。
図9は、CD47抗体2A1及びそのヒト化変異体が、MDMによる腫瘍細胞の食作用を投与量依存的に増加したことを示す。抗体2A1及びヒト化変異体AB2.05は、66.7pMで腫瘍細胞の食作用を誘導するそれらの能力においてユニークであった。他方、B6H12はその濃度では活性を有さなかった(図9A)。図9Bは、2A1並びにヒト化変異体AB2.05、AB6.12−IgG1、AB6.12−IgG4P及びAB6.12−IgG4PEは全て0.3μg/mL又は2nMで最大の食作用を誘導するのに対し、B6H12はより高い濃度を必要とする様子を示す。このデータは、CD47抗体、2A1(及びそれに由来するヒト化変異体)がCD47ポジティブ腫瘍細胞のマクロファージ媒介性食作用を誘導することを実証する。この実施例において、CCFR−CEM細胞は、CD47ポジティブターゲット細胞として用いた。
実施例10:CD47抗体の抗腫瘍活性
ネズミCD47抗体の抗腫瘍活性をラージリンパ腫モデルで評価した。ラージ細胞をNOD/SCIDマウスの皮下に移植し、5つの群に無作為にグループ分けした(各群あたり10匹のマウス、0日目)。群1:ビヒクル(バッファのみ);群2:B6H12(ポジティブコントロール);群3:1B4;群4:2A1;及び群5:9E4。腫瘍が触知可能になった時(50mm、13日目)、各抗体又はビヒクル(バッファのみ)での処置を開始し、それらの腫瘍の体積が〜1500mmに到達した時、マウスを安楽死させた。腫瘍の体積は1週間あたりに3回測定した。抗体は3週間にわたって、1週間あたりに3回、200μgずつ静脈内に(IV)に投与した(マウスあたりに合計9回の投与)。処置は13日目に開始し、32日目に終了した。
図10Aに示すように、本発明のCD47抗体、特に2A1抗体は、この動物のリンパ腫モデルにおいて抗腫瘍活性を示した。腫瘍の体積が1500mmに到達するまでに、群1(ビヒクルのみ)は〜25日間を必要とし;群2(B6H12.2)は〜45日間を必要とし;群3(1B4)は〜37日間を必要とし;群4(2A1)は〜85日間を必要とし;群5(9E4)は〜40日間を必要とした。これらのデータは、抗体2A1が、テストした全てのCD47結合抗体(CD47に結合し、CD47のSIRPαとの相互作用をブロックし、ヒトの癌のマウスモデルにおける腫瘍形成を抑制することが知られているB6H12を含む)よりも顕著に強力であったことを示す。予想されなかったことに、これらのCD47抗体の腫瘍抑制活性は、公開されているデータに基づいて予想されるCD47に結合するそれらの力価又はCD47のSIRPαとの相互作用をブロックするそれらの力価と相関しなかった。
実施例2及び3に記載したように、2A1、1B4及び9E4は、CD47に対する類似の親和性と、CD47とSIRPαとの相互作用のブロックに関して類似の力価を有した。更に、この研究においてを使用した全ての抗体は同一のマウスIgG1ドメイン(複数)からなるので、2A1の増強された効果については、記載した抗体のFcドメインにおける相違によって説明することができない。従って、特有の組成に加え、2A1抗体は、CD47発現細胞(例えば、赤血球)の間のホモタイプ相互作用の誘導の不能性及びCD47への結合の増強又はCD47とSIRPαとの相互作用をブロックする能力の増強によっては説明できない増強された腫瘍抑制活性を含む、予想されずかつユニークな特徴を有する。
ヒト化2A1抗体がそれらの抗腫瘍活性を維持していたことを確認するために、類似のラージ腫瘍研究を実行した。研究デザインは上述のものと同様であった。ラージ細胞をNOD/SCIDマウスに皮下移植し、5つの群に無作為にグループ分けした(群あたり10匹のマウス、0日目)。この研究において、抗体は3週間にわたって1週間あたり3回、200μgずつ腹腔内(IP)に投与し(マウスあたり合計9回の投与)、腫瘍体積は1週間あたり3回測定した。しかしながら、この研究に関しては、マウスIgG12A1抗体(群2)をヒト化誘導体AB6.12と比較した。この研究に関しては、AB6.12をヒトIgG1(群3)、ヒトIgG4P(群4)及びヒトIgG4PE(群4)に(実施例8に記載したように)構築した。従って、この実験は、その腫瘍抑制活性と、多くの抗体の抗腫瘍活性に寄与する当業界において既知のFcドメインエフェクター機能の潜在的役割とに対する2A1ヒト化の影響を検討する(に取り組む)ように設計された。ヒトIgG1がヒトIgG4Pと比較してより顕著なエフェクター機能を有することは、良く報告されている。IgG4PEは、エフェクター機能を更に減少するように開発された。図10Bに見出すことができるように、2A1のヒト化は2A1の抗腫瘍活性を低減しなかったが、実際には、それを増強したかもしれない。AB6.12−hIgG1、AB6.12−hIgG4P、及びAB6.12−hIgG4PEは、全て、マウス2A1(2A1mIgG)よりも顕著により大きく見える類似の抗腫瘍活性を示した。2A1mIgG1、AB6.12−hIgG1、AB6.12−hIgG4P及びAB6.12−hIgG4PEは類似のCD47結合活性及びSIRPαブロッキング活性を有するので、この結果は予想されないものである。更に、AB6.12−hIgG1、AB6.12−hIgG4P及びAB6.12−hIgG4PEは類似の抗腫瘍活性を有するので、エフェクター機能はヒト化2A1抗体AB6.12の効果において役割を果たすように見える。
実施例11:CD47抗体とCD47の共結晶化
CD47は、6つのサイトにおいて高度にグリコシル化された単一の細胞外IgV(免疫グロビン様可変型)ドメインを有する5回膜貫通型タンパク質である。CD47−IgVドメインの構造は、SIRPαのIgVドメイン(その天然のリガンド)との複合体(complex)において解明されている(タンパク質データバンク(PDB)引用番号2JJS;Hatherley et al., 2008 Mol Cell, 25;31(2): 266-77(図11A))。この構造は、CD47のN末端のピログルタミン酸を含む頂端エピトープ(apical epitope)上のCD47−IgVに結合するSIRPα−IgVを示す。この構造は、両方の細胞表面膜貫通型タンパク質が頭部−頭部配向(頭部同士が向かい合う配向)で隣接する細胞と有効に(productively)相互作用することができる様子を十分に説明する。B6H12のFabとの複合体におけるCD47−IgVのX線結晶学的構造を図11Bに示す。明瞭化のために、Fabの定常領域(CH1及びCL)は図では省略し、FV(VH及びVL)のみが示されている。これにより、細胞膜から非常に離れた面にこの抗体を位置付ける頂端結合部位が明らかとなった(図11B)。B6H12によるSIRPαブロッキングのメカニズムはこの構造から明らかである。配向を示す目的で、細胞膜の相対位置は図11に破線(dashed line)で示されている。
本発明の抗体のターゲットエピトープを決定するために、CD47−IgVドメインと2A1−xi(ヒトCH1及びCLドメインを有するキメラ型抗体)のFabの共複合体(co-complex)のX線結晶構造を決定した(図11C)。明瞭化のために、Fabの定常領域(CH1及びCL)は図示を省略し、FV(VH及びVL)のみが示されている。先に決定したCD47が頭部−頭部配向でSIRPαに結合する構造(図11A)やB6H12抗体が(細胞)膜から離れた頂端部に位置付けられる構造(図11B)とは異なり、CD47と複合体をなす2A1の構造から、この抗体が(細胞)膜の近くにおいて予期されずかつユニークな頭部−側面配向(頭部と側面とが向き合う配向、head to side orientation)でCD47に結合することが判明した(図11C)。CD47上の2A1エピトープは不連続であり、SEQ ID番号147(すなわち、シグナル配列(アミノ酸1〜18)を除いたSEQ ID番号48)に従って番号付けした場合に、CD47の残基Y37、K39、K41、KGRD(SEQ ID番号56)ループ(残基43〜46)、D51、H90、N93、E97、T99、E104、及びE106を含む。CD47に結合した2A1の構造からは、VHはCD47のKGRD(SEQ ID番号56)ループへの結合に一次的に関与するのに対し、VKドメインはY37、T102、及びE104を含む頂端部残基(これらはSIRPα結合に関与する)と相互作用することも明らかになる。従って、CD47とSIRPαとの結合を物理的に阻止するものは、一次的には、VKドメインである。これらの構造研究は、2A1が結合するユニークなエピトープはCD47の側面に存在することを示唆する。当業界で既知のCD47抗体とは対照的に、膜近傍位置における2A1VH領域の配向は、隣接する細胞のCD47分子に架橋できないようにこの抗体を拘束することによって有意のレベルの赤血球凝集を阻止するというこの抗体の決定的な特徴である。
実施例12:アイソタイプ及びアイソタイプ変異の血小板減少に対する効果
ターゲット(標的)細胞排除(除去)のための抗体(例えばCD47抗体)の一次的なFc依存性機能は、C1qのFc領域への結合によって引き起こされる補体依存性細胞傷害(CDC);免疫エフェクタ細胞(例えばNK細胞や好中球)のFcγ受容体(FcγR)である一次FcγRIIIaとFc領域との相互作用によって媒介される抗体依存性細胞傷害(ADCC);及びFcγRIを介したオプシン化(opsinized)標的細胞の認識によりマクロファージによって実行される抗体依存性細胞貪食(ADCP)である。抗体サブクラス(複数)は、Fc依存性エフェクタ活性を媒介するそれらの能力において相違を有する。ヒトの場合、IgG1サブクラス及びIgG3サブクラスは、C1q結合のために、CDCに対し大きな力価を有する。更に、IgG1サブクラスは、FcγRに対する最も大きな親和性を有し、そのため、ADCC及びFc依存性ADCPについて最も有望である。IgG4サブクラスは、C1q結合能を欠いており、そのFcγR結合親和性は大きく低下されているため、そのエフェクタ機能は著しく低下されている。
CD47に結合する抗体の血小板減少に対する効果について試験した。CD47に結合するIgG1サブクラスの抗体の単回投与によりカニクイザルを処置した結果、試験したすべての投与(10、30、100mg/kg)において血小板は著しく減少した(図12C−D)のに対し、ビヒクルを投与した場合、血小板の著しい減少は見られなかった(図12A−B)。従って、CD47に結合するIgG1サブクラスの抗体は、Fcに依存する態様で、血小板を減少することができる。
異なるサブクラスの抗体も血小板減少を引き起こすか否かを決定するために、IgG4サブクラスのCD47抗体を用いて実験を繰り返した。CD47に結合する抗体のIgG4サブクラス(IgG4P、これは該抗体のヒンジ領域を安定化する変異S228Pを有する)も、試験したすべての濃度で血小板を減少したが、IgG1サブクラスバージョンと比べるとその程度は小さかった(図12E−F)。次に、抗CD47抗体のIgG4サブクラスの変異体(IgG4PE、これはFcγR結合を減少するS228P変異及びL235E変異を有する)について血小板減少を試験した(図12G−H)。驚いたことに、IgG4PE抗体は、投与量が非常に大きい(100mg/kg)場合であっても、血小板を減少しなかった。従って、FcγR結合及びエフェクタ機能が著しく低減されたCD47結合抗体は血小板を減少しない(即ち、血小板非減少性、non-platelet-depletingである)。
実施例13:CD47抗体の赤血球(RBC)減少活性
ヴァイスコップら(Weiskopf et al)は、マウスCD47に結合するCD47抗体又は親和性増強型(evolved)SIRPα−Fc融合タンパク質をマウス及び/又はカニクイザルに投与すると、赤血球喪失(loss)及び貧血が観察されることを見出した(Weiskopf et al. Engineered SIRPa Variants as Immunotherapeutic Adjuvants to Anticancer Antibodies; Science 2013; 341:88 参照)。本発明の発明前において、SIRPαをブロックしかつFcドメインを含む既知のすべてのCD47結合分子(例えばCD47抗体、組み換えSIRPα−Fc融合タンパク質)もRBC減少(ないし欠乏、depletion)を引き起こした。
本発明のSIRPαブロッキング赤血球非凝集性CD47抗体のインビボでの赤血球減少に対する効果を決定するために実験を行った。驚いたことに、本発明の赤血球非凝集性CD47抗体は、投与後に、有意な赤血球減少を引き起こさない(即ち、赤血球非減少性、non-red blood cell depletingである)。特別に、カニクイザルには、AB06.12抗体のIgG4−P及びIgG4−PE変異体を10、30及び100mg/kgの用量で経静脈内投与した。各抗体に対し投与群当たり3匹のカニクイザルを使用した。赤血球数を経時的にモニタし、ビヒクル処置したカニクイザルのものと比較した。図13は、ビヒクル処置カニクイザルの平均RBC数に正規化された、抗体処置カニクイザルの平均RBC数を示す。抗体処置カニクイザルの場合、ビヒクル処置カニクイザルの場合と比べて、有意なRBC減少は観察されなかった。これは、赤血球非凝集性CD47は高用量でかつ被検体に貧血を引き起こすことなく投与できることを示している。
[好ましい実施形態]
本発明は以下の好ましい実施形態も有する。
[形態1]
CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントであって、当該抗体が、投与後に有意なレベルの赤血球減少、貧血、または赤血球減少及び貧血の両方を引き起こさないことを特徴とする、CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが好ましい。
[形態2]
当該抗体が、投与後に有意なレベルの血小板減少を引き起こさないことが好ましい。
[形態3]
当該抗体が、投与後に有意なレベルの細胞の凝集を引き起こさないことが好ましい。
[形態4]
当該抗体はキメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体であることが好ましい。
[形態5]
当該CD47がヒトのCD47であることが好ましい。
[形態6]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47がシグナル制御タンパク質α(SIRPα)と相互作用することを妨げることが好ましい。
[形態7]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47発現細胞のマクロファージ媒介食作用を促進することが好ましい。
[形態8]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、及びIgG4アイソタイプからなる群から選択されるIgGアイソタイプであることが好ましい。
[形態9]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:5−30からなる群から選択される可変重(VH)鎖領域を含むことが好ましい。
[形態10]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:31−47からなる群から選択される可変軽(VL)鎖領域を含むことが好ましい。
[形態11]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:5−30の内の任意の1つで提示されるVH領域及び、SEQ ID番号:31−47の内の任意の1つで提示されるVL領域を含むことが好ましい。
[形態12]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:31、32、35、40、41、42、43、44、及び47の内の任意の1つで提示されるVL領域と対になるSEQ ID番号:5、7、8、11、12、15−17、20−22及び27−30の内の任意の1つで提示されるVH領域を含むことが好ましい。
[形態13]
当該抗体が、表1に列挙される組み合わせから選択されるVH鎖領域及びVL鎖領域の組み合わせを含むことが好ましい。
[形態14]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、
SEQ ID番号:50、SEQ ID番号:57、SEQ ID番号:58、SEQ ID番号:59、SEQ ID番号:60、SEQ ID番号:61、SEQ ID番号:62、SEQ ID番号:63、SEQ ID番号:64、SEQ ID番号:65、又はSEQ ID番号:66に規定されるVH相補性決定領域1(CDR1)配列、
SEQ ID番号:51、SEQ ID番号:72、SEQ ID番号:73、SEQ ID番号:74、SEQ ID番号:75、又はSEQ ID番号:76に規定されるVH CDR2配列、
SEQ ID番号:52又は、SEQ ID番号:77に規定されるVH CDR3配列、
SEQ ID番号:53、SEQ ID番号:67、又はSEQ ID番号:68に規定されるVL CDR1配列、
SEQ ID番号:54、SEQ ID番号:69、SEQ ID番号:70、又はSEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列、及び
SEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列、
を含むことが好ましい。
[形態15]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:51に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:54に規定されるVL CDR2配列、及びSEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含むことが好ましい。
[形態16]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:72に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列、及びSEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含むことが好ましい。
[形態17]
頭部が側面へ配向(head to side orientation)するように当該抗体はCD47に結合し、当該抗体のVH鎖は、CD47発現細胞の膜の近くに位置し、そして当該抗体のVL鎖は、CD47上のSIRPα結合部位を塞ぐことが好ましい。
[形態18]
頭部が側面へ配向するように当該抗体はCD47に結合し、当該抗体のVL鎖は、CD47発現細胞の膜の近くに位置し、そして当該抗体のVH鎖は、CD47上のSIRPα結合部位を塞ぐことが好ましい。
[形態19]
当該抗体がCD47上の不連続なエピトープに結合することが好ましい。
[形態20]
当該抗体がSEQ ID番号:56を含むCD47ループに結合することが好ましい。
[形態21]
SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、当該不連続なエピトープが、CD47のアミノ酸残基Y37、K39、K41、K43、G44、R45、D46、D51、H90、N93、E97、T99、E104、又はE106を含むことが好ましい。
[形態22]
当該抗体が、投与後に、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさないことが好ましい。
[形態23]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG4P及びIgG4PEから選択されるIgGアイソタイプであることが好ましい。
[形態24]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメント及び担体を含む医薬的な組成物が好ましい。
[形態25]
癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和する方法であって、当該方法は、当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントを、それが必要な対象に、当該対象において癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和するのに十分な量で投与することを含む方法が好ましい。
[形態26]
当該対象がヒトである方法が好ましい。
[形態27]
当該抗体が、キメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体である方法が好ましい。
[形態28]
当該CD47がヒトのCD47である方法が好ましい。
[形態29]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47がSIRPαと相互作用することを妨げる方法が好ましい。
[形態30]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、及びIgG4アイソタイプからなる群から選択されるIgGアイソタイプである方法が好ましい。
[形態31]
当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG4P及びIgG4PEから選択されるIgGアイソタイプである方法が好ましい。
[形態32]
化学療法を行うことを更に含む方法が好ましい。
[形態33]
前記化学療法が、放射線療法である方法が好ましい。
[形態34]
当該抗体が、対象に、少なくとも10mg/kgの用量で投与される方法が好ましい。
[形態35]
当該抗体が、対象に、少なくとも30mg/kgの用量で投与される方法が好ましい。
本発明は、ヒトCD47を含むCD47に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。これらの抗体は、本願においてCD47抗体と集合的に称される。

Claims (35)

  1. CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントであって、当該抗体が、投与後に有意なレベルの赤血球減少、貧血、または赤血球減少及び貧血の両方を引き起こさないことを特徴とする、CD47に結合する単離されたモノクローナル抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメント。
  2. 当該抗体が、投与後に有意なレベルの血小板減少を引き起こさないことを特徴とする請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体。
  3. 当該抗体が、投与後に有意なレベルの細胞の凝集を引き起こさないことを特徴とする請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体。
  4. 当該抗体はキメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体であることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  5. 当該CD47がヒトのCD47であることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  6. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47がシグナル制御タンパク質α(SIRPα)と相互作用することを妨げることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  7. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47発現細胞のマクロファージ媒介食作用を促進することを特徴とする請求項6に記載の抗体。
  8. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、及びIgG4アイソタイプからなる群から選択されるIgGアイソタイプであることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  9. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:5−30からなる群から選択される可変重(VH)鎖領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  10. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:31−47からなる群から選択される可変軽(VL)鎖領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  11. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:5−30の内の任意の1つで提示されるVH領域及び、SEQ ID番号:31−47の内の任意の1つで提示されるVL領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  12. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:31、32、35、40、41、42、43、44、及び47の内の任意の1つで提示されるVL領域と対になるSEQ ID番号:5、7、8、11、12、15−17、20−22及び27−30の内の任意の1つで提示されるVH領域を含むことを特徴とする請求項11に記載の抗体。
  13. 当該抗体が、表1に列挙される組み合わせから選択されるVH鎖領域及びVL鎖領域の組み合わせを含むことを特徴とする請求項11に記載の抗体。
  14. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、
    SEQ ID番号:50、SEQ ID番号:57、SEQ ID番号:58、SEQ ID番号:59、SEQ ID番号:60、SEQ ID番号:61、SEQ ID番号:62、SEQ ID番号:63、SEQ ID番号:64、SEQ ID番号:65、又はSEQ ID番号:66に規定されるVH相補性決定領域1(CDR1)配列、
    SEQ ID番号:51、SEQ ID番号:72、SEQ ID番号:73、SEQ ID番号:74、SEQ ID番号:75、又はSEQ ID番号:76に規定されるVH CDR2配列、
    SEQ ID番号:52又は、SEQ ID番号:77に規定されるVH CDR3配列、
    SEQ ID番号:53、SEQ ID番号:67、又はSEQ ID番号:68に規定されるVL CDR1配列、
    SEQ ID番号:54、SEQ ID番号:69、SEQ ID番号:70、又はSEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列、及び
    SEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  15. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:51に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:54に規定されるVL CDR2配列、及びSEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含むことを特徴とする請求項14に記載の抗体。
  16. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、SEQ ID番号:50に規定されるVH CDR1配列、SEQ ID番号:72に規定されるVH CDR2配列、SEQ ID番号:52に規定されるVH CDR3配列、SEQ ID番号:53に規定されるVL CDR1配列、SEQ ID番号:71に規定されるVL CDR2配列、及びSEQ ID番号:55に規定されるVL CDR3配列を含むことを特徴とする請求項14に記載の抗体。
  17. 頭部が側面へ配向(head to side orientation)するように当該抗体はCD47に結合し、当該抗体のVH鎖は、CD47発現細胞の膜の近くに位置し、そして当該抗体のVL鎖は、CD47上のSIRPα結合部位を塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  18. 頭部が側面へ配向するように当該抗体はCD47に結合し、当該抗体のVL鎖は、CD47発現細胞の膜の近くに位置し、そして当該抗体のVH鎖は、CD47上のSIRPα結合部位を塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  19. 当該抗体がCD47上の不連続なエピトープに結合することを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  20. 当該抗体がSEQ ID番号:56を含むCD47ループに結合することを特徴とする請求項19に記載の抗体。
  21. SEQ ID番号:147に従って番号付けされた場合、当該不連続なエピトープが、CD47のアミノ酸残基Y37、K39、K41、K43、G44、R45、D46、D51、H90、N93、E97、T99、E104、又はE106を含むことを特徴とする請求項19に記載の抗体。
  22. 当該抗体が、投与後に、赤血球の有意のレベルの赤血球凝集を引き起こさないことを特徴とする請求項3に記載の抗体。
  23. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG4P及びIgG4PEから選択されるIgGアイソタイプであることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  24. 請求項1に記載の抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメント及び担体を含む医薬的な組成物。
  25. 癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和する方法であって、当該方法は、請求項1に記載の抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントを、それが必要な対象に、当該対象において癌の兆候又は他の腫瘍性状態を緩和するのに十分な量で投与することを含む方法。
  26. 当該対象がヒトであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 当該抗体が、キメラ、ヒト化、又は完全ヒト抗体であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  28. 当該CD47がヒトのCD47であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  29. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、CD47がSIRPαと相互作用することを妨げることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  30. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、及びIgG4アイソタイプからなる群から選択されるIgGアイソタイプであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  31. 当該抗体又は免疫学的に活性なそのフラグメントが、IgG4P及びIgG4PEから選択されるIgGアイソタイプであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  32. 化学療法を行うことを更に含む請求項25に記載の方法。
  33. 前記化学療法が、放射線療法であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 当該抗体が、対象に、少なくとも10mg/kgの用量で投与されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  35. 当該抗体が、対象に、少なくとも30mg/kgの用量で投与されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
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