定義
別に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈から別のことが要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。概して、細胞及び組織培養、分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴ又はポリヌクレオチド化学に関して使用される命名法、並びにそれらの技術は、当技術分野で公知であり、一般に使用されている。
本明細書で使用されるとき、用語「CD47」、「インテグリン関連タンパク質(IAP)」、「卵巣癌抗原OA3」、「Rh関連抗原」及び「MERG」は、同意語であり、置き換え可能に使用され得る。
用語「抗CD47抗体」は、治療又は診断薬としての使用を目的とし、従って、典型的には、治療及び/又は診断薬として有用である上で必要な結合親和性を有する本開示の抗体を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子、すなわち抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を指す。~と、若しくは~に対して「特異的に結合する」又は「免疫反応する」とは、抗体が、所望の抗原の1つ又は複数の抗原決定基と反応するが、他のポリペプチドとは反応しないか、又ははるかに低い親和性(Kd>10-6)で結合することを意味する。抗体としては、限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、一本鎖Fv断片、及び単一アーム(one-armed)抗体が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、本開示の抗体化合物に適用される場合、例えば、任意の真核、原核、若しくはファージクローンをはじめとする単一コピー若しくはクローンから得られる抗体を指すものであり、それらを生成する方法ではない。本開示のmAbは、均一又はほぼ均一の集団に存在するのが好ましい。完全なmAbは、2つの重鎖と2つの軽鎖を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の1部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
本明細書に開示されるように、「抗体化合物」は、mAb及びその抗原結合断片を指す。本開示に従う類似の機能的特性を呈示する別の抗体化合物は、従来の方法により作製することができる。例えば、マウスをヒトCD47又はその断片で免疫し、得られた抗体を回収し、精製することができ、それらが本明細書に開示される抗体化合物と類似の、若しくは同じ結合及び機能的特性を有するか否かの決定は、以下の実施例3~16に開示される方法によって評価することができる。また、抗原結合断片も、従来の方法により調製することができる。抗体及び抗原結合断片を生成及び精製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、以下:Harlow and Lane (1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,第5~8章及び第15章に見出すことができる。
モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の1部分が、マウス抗体の対応する配列、特にマウスCDRと同一、又は相同的であるが、鎖の残りは、ヒト抗体の対応する配列と同一、又は相同的である抗体を包含する。本開示の他の実施形態は、モノクローナル抗体と類似若しくは同一の結合及び生物学的特性を呈示するこれらのモノクローナル抗体の抗原結合断片を含む。本開示の抗体は、κ又はλ軽鎖定常領域、及び重鎖IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgM定常領域を含んでよく、そうしたものとして、IgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のものがあり、これらは、場合によっては、Fc受容体機能を改変するための様々な突然変異を含む。
本明細書に開示されるマウスCDRを含有するモノクローナル抗体は、組換えDNA方法をはじめとする、当業者には周知の様々な方法の何れかによって調製することができる。
抗体改変及び改善のための最新の方法についての論評は、例えば、以下:P.Chames,Ed.,(2012)Antibody Engineering:Methods and Protocols,Second Edition(Methods in Molecular Biology,Book 907),Humana Press,ISBN-10:1617799734;C.R.Wood,Ed.,(2011)Antibody Drug Discovery(Molecular Medicine and Medicinal Chemistry,Book 4),Imperial College Press;R.Kontermann and S.Dubel,Eds.,(2010)Antibody Engineering Volumes 1 and 2(Springer Protocols),Second Edition;並びにW.Strohl and L.Strohl(2012)Therapeutic antibody engineering:Current and future advances driving the strongest growth area in the pharmaceutical industry,Woodhead Publishingに見出すことができる。
抗体及び抗原結合断片を生成及び精製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、以下:Harlow and Lane (1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York,第5~8章及び第15章に見出すことができる。
天然に存在する完全長抗体は、4つのポリペプチド鎖:ジスルフィド結合により互いに連結された2つの同じ重(H)鎖と2つの同じ軽(L)鎖を含む、「Y」型の免疫グロブリン(Ig)分子である。フラグメント抗原結合領域(FAB)と呼ばれる各鎖のアミノ酸末端部分は、主として、そこに含まれる相補性決定領域(CDR)を介した抗原認識を担う約100~110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域(「Fc」領域)を画定する。
CDRには、フレームワーク(「FR」)と呼ばれる、より保存された領域が散在する。多くのFRのアミノ酸配列が当技術分野で公知である。各軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)は、3つのCDRと4つのFRから構成され、次の順にアミノ末端からカルボキシ末端まで配列されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。軽鎖の3つのCDRは、「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と呼ばれ、重鎖の3つのCDRは、「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と呼ばれる。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基のほとんどを含有する。LCVR及びHCVR領域内のCDRアミノ酸残基の番号付け及び配置は、公知のKabatナンバーリング則(Kabat numbering convention)Kabat et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.NIH Publication No.91-3242に従う。
本明細書に記載するように、「抗原結合部位」は、「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」として定義することができ、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk,Mol.Biol.196:901-917,1987)により定義される通りの抗体可変ドメインの構造的に超可変領域を指す。6つのHVRがあり、そのうち、3つがVH(H1、H2、H3)に、3つがVL(L1、L2、L3)に存在する。本明細書では、延長されてH1を含むH-CDR1を除き、Kabatにより定義されるCDRを使用した。
ギリシャ文字α(アルファ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、γ(ガンマ)、及びμ(ミュー)と称される5つのタイプの哺乳類免疫グロブリン(Ig)重鎖があり、これらは、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgMとして抗体のクラス又はアイソタイプを定義する。IgG抗体は、サブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4にさらに区分され得る。
各重鎖タイプは、当技術分野で公知である配列を含み特定の定常領域を特徴とする。定常領域は、同じアイソタイプのあらゆる抗体で同一であるが、別のアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、及びδは、3つのタンデム免疫グロブリン(Ig)ドメインから構成される定常領域と、柔軟性追加のためのヒンジ領域とを含む。重鎖μ及びεは、4つのIgドメインから構成される定常領域を有する。
ヒンジ領域は、抗体のFc及びFab部分を連結させる柔軟なアミノ酸区間がある。この領域は、2つの重鎖を連結するジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基を含有する。
重鎖の可変領域は、別のB細胞により産生される抗体では異なるが、単一B細胞又はB細胞クローンにより産生されるあらゆる抗体については同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長さであり、単一Igドメインから構成される。
哺乳類の場合、軽鎖は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)として分類され、当技術分野において公知の特定の定常領域を特徴とする。軽鎖は、2つの連続的ドメイン:アミノ酸末端に1つの可変ドメインと、カルボキシ末端に1つの定常ドメインを有する。各抗体は、常に同一である2つの軽鎖を含み;哺乳類において、1抗体につき軽鎖κ又はλの1タイプしか存在しない。
抗体のクラスに応じて3つ又は4つの定常ドメインを提供する2つの重鎖から構成されるFc領域は、免疫細胞の活性をモジュレートする上で役割を果たす。特定のタンパク質に結合することにより、Fc領域は、各抗体が所与の抗原に対して適切な免疫応答を生み出すことを確実にする。Fc領域はまた、Fc受容体などの様々な細胞受容体、並びに補体タンパク質などの他の免疫分子にも結合する。これによって、Fc領域は、オプソニン化、細胞溶解、並びに肥満細胞、好塩基球及び好酸球の脱顆粒を媒介する。
本明細書で使用されるとき、用語「エピトープ」は、抗体又は抗体断片が結合するペプチド若しくはタンパク質に位置するアミノ酸の具体的な配列を指す。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面集団からなり、特定の三次元構造特徴、並びに特定の電荷特徴を備える。エピトープは、線状、すなわち、アミノ酸の単一配列への結合を含むか、又は立体配座、すなわち、抗原(線状配列では必ずしも連続的ではなくてもよい)の様々な領域内のアミノ酸の2つ以上の配列への結合を含むかのいずれであってもよい。
本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」、「特異的に結合する」、「特異的結合」、及び本発明の抗体化合物に適用される同等の用語は、特定の結合物質(抗体など)が、特定の結合物質及び標的分子種が混合されている他の分子種との結合に優先して、標的分子種に結合する能力を指す。特定の結合物質は、標的と特異的に結合することができるとき、標的分子種を特異的に認識すると言える。
本明細書で使用されるとき、用語「結合親和性」は、当該分子上の1部位における1つの分子と別の分子の結合の強度を指す。特定の分子が別の特定の分子と特異的に結合するか、又は会合する場合、これらの2つの分子は、互いに結合親和性を呈示すると言える。結合親和性は、1対の分子の会合定数及び解離定数に関するが、これらの定数を測定又は決定することは、本明細書に記載の方法には重要ではない。それよりも、記載される方法の分子同士の相互作用を説明するために本明細書で用いられる親和性は、一般に、実験的試験で観測される見かけ上の親和性(別に明示されない限り)であり、これを用いて、1つの分子(例えば、抗体又は他の特異的結合相手)が、2つの他の分子(例えば、ペプチドの2つのバージョン又は変異体)に結合する相対強度を比較することができる。結合親和性、会合定数、及び解離定数の概念は、公知である。
本明細書で使用されるとき、用語「配列同一性」は、配列マッチングを最大にするように、すなわち、ギャップと挿入を計算に入れて、配列をアラインメントしたときの2つ以上の配列の対応する位置における同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基のパーセンテージを意味する。同一性は、公知の方法によって容易に計算することができ、そうした方法として、限定されないが、以下のものが挙げられる:Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991;並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48:1073(1988)。同一性を決定する方法は、試験される配列同士の最大マッチを与えるように設計されている。さらに、同一性を決定する方法は、一般に入手可能なコンピュータプログラムにコード化されている。
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Watermanの局所相同性アルゴリズムにより、相同性アラインメントアルゴリズムにより、類似性の検索方法により、又はこれらアルゴリズムのコンピュータ用実装(GCG Wisconsin PackageのGAP、BESTFIT、PASTA、及びTFASTA、Accelrys,Inc.,San Diego,California,United States of Americaから入手可能)、又は肉眼検査により実施することができる。概要は、Altschul,S.F.et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)及びAltschul et al.Nucl.Acids Res.25:3389-3402(1997)を参照されたい。
配列同一性及び配列類似性の割合(%)を決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムであり、これは、(Altschul,S.,et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894;及びAltschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから一般に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させた場合にいくつかの正の数の閾値スコアTに一致するか、又はそれを満たすクエリー配列中の長さWの短いワードの同定によって高スコアリング配列対(HSP)を最初に同定するステップを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる。
これらの最初の隣接ワードヒットは、これらを含む、より長いHSPを見出すための検索開始のシード(seed)として作用する。次に、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、ワードヒットを各配列に沿って両方向に伸長する。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(1対のマッチする残基についての報酬スコア;常に;0)及びN(ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に;0)を用いて計算する。アミノ酸配列の場合には、スコアリング行列を用いて累積スコアを計算する。各方向へのワードヒットの伸長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアが、その達成された最大値から量Xだけ低下した場合、1つ又は複数の負のスコアの残基アラインメントの累積によって累積スコアが0以下になる場合、又は何れかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定付ける。BLASTNプログラムは(ヌクレオチド配列の場合)、デフォルトとして、ワード長(W):11、期待値(E):10、カットオフ:100、M=5、N=-4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W):3、期待値(E):10、及びBLOSUM62スコアリング行列を使用する。
同一性の割合(%)の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列同士の類似性の統計解析を行う。BLASTアルゴリズムによって得られる類似性の1つの尺度は、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これによって、2つのヌクレオチド同士又はアミノ酸配列同士のマッチが偶然に起こる確率の指標が得られる。例えば、試験核酸配列と基準核酸配列を比較した最小和確率が、一実施形態で約0.1未満、別の実施形態で約0.01未満、また別の実施形態で約0.001未満である場合、試験核酸配列は基準配列に類似するとみなされる。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト化(された)」、「ヒト化」などは、ヒトFR及び定常領域に、本明細書に開示されるマウスモノクローナル抗体CDRを移植することを指す。これらの用語には、以下に説明するように、様々な抗体特性を改善する目的で、例えば、Kashmiri et al.(2005)Methods 36(1):25-34及びHou et al.(2008)J.Biochem.144(1):115-120に開示される方法によりそれぞれマウスCDR、及びヒトFRに対して可能なさらなる修飾も含まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト化抗体」は、本明細書に開示される抗体化合物をはじめとする、本明細書に開示されるものと類似する開示に従う結合及び機能的特性を有し、且つFRと、非ヒト抗体由来の実質的にヒト又は完全にヒトの周囲CDRである定常領域とを有するmAb及び抗原結合断片を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「FR」又は「フレームワーク配列」は、FR1~4の何れか1つを指す。本開示により包含されるヒト化抗体及び抗原結合断片は、FR1~4の何れか1つ又は複数が、実質的又は完全にヒト由来である、すなわち、実質的又は完全にヒトのFR1~4の考えられる組合せの何れかが存在する、分子を含む。例えば、これは、FR1とFR2、FR1とFR3、FR1、FR2、及びFR3などが実質的又は完全にヒト由来である分子を含む。実質的にヒトのフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトのフレームワークは、本明細書に開示されるフレームワーク配列、又は既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
完全にヒトのフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と同じものである。ヒトFR生殖細胞系配列は、国際ImMunoGeneTics(IMGT)データベース及びMarie-Paule Lefranc and Gerard Lefranc,Academic Press,2001によるThe Immunoglobulin FactsBookから取得することができ、その内容は、全体として参照により本明細書に開示組み込む。
The Immunoglobulin Facts Bookは、ヒト抗体レパトアを作製するために使用されるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子の概要であり、203の遺伝子と459の対立遺伝子のエントリーを含み、総計837の配列が展示されている。個々のエントリーは、全て、少なくとも1つの機能性又はオープンリーディングフレーム対立遺伝子を有し、且つ3つの主要遺伝子座に位置する、ヒト免疫グロブリン定常遺伝子、並びに生殖細胞系可変、多様性、及びジョイニング遺伝子を含む。例えば、生殖細胞系軽鎖FRは、以下:IGKV3D-20、IGKV2-30、IGKV2-29、IGKV2-28、IGKV1-27、IGKV3-20、IGKV1-17、IGKV1-16、1-6、IGKV1-5、IGKV1-12、IGKV1D-16、IGKV2D-28、IGKV2D-29、IGKV3-11、IGKV1-9、IGKV1-39、IGKV1D-39及びIGKV1D-33並びにIGKJ1-5からなる群から選択することができ、また、生殖細胞系重鎖FRは、以下:IGHV1-2、IGHV1-18、IGHV1-46、IGHV1-69、IGHV2-5、IGHV2-26、IGHV2-70、IGHV1-3、IGHV1-8、IGHV3-9、IGHV3-11、IGHV3-15、IGHV3-20、IGHV3-66、IGHV3-72、IGHV3-74、IGHV4-31、IGHV3-21、IGHV3-23、IGHV3-30、IGHV3-48、IGHV4-39、IGHV4-59及びIGHV5-51並びにIGHJ1-6からなる群から選択することができる。
実質的にヒトのFRは、既知のヒト生殖細胞系FR配列と少なくとも80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトのフレームワークは、本明細書に開示されるフレームワーク配列、又は既知のヒト生殖細胞系フレームワーク配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。
本開示に含まれるCDRは、本明細書に具体的に開示されるものだけではなく、本明細書に開示されるCDR配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列も含む。或いは、本開示に含まれるCDRは、本明細書に具体的に開示されるものだけではなく、本明細書に開示されるCDR配列と比較して、対応する位置に1、2、3、4、又は5個のアミノ酸変更を有するCDR配列も含む。このような配列が同一、又はアミノ酸が修飾されたCDRは、好ましくは、インタクトな抗体によって認識される抗原に結合する。
ヒト化は、キメラ化によって始まり、これは、1980年代前半に開発された方法(Morrison,S.L.,M.J.Johnson,L.A.Herzenberg & V.T.Oi:Chimeric human antibody molecules:mouse antigen-binding domains with human constant region domains.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,81,6851-5(1984))であり、マウス抗体の可変(V)ドメインをヒト定常(C)ドメインと組み合わせて、約70%のヒト含有率を含む分子を作製することから構成される。
本開示は、いくつかの異なる方法を用いて作製することができるヒト化抗体を含み、こうした方法として、Almagro et al.Humanization of antibodies.Frontiers in Biosciences.(2008)Jan 1;13:1619-33に記載されているものがある。
一アプローチでは、親抗体化合物CDRは、親抗体化合物フレームワークと高い配列同一性を有するヒトフレームワークに移植される。新規フレームワークの配列同一性は、一般に、親抗体化合物中の対応するフレームワークの配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する。100アミノ酸残基未満を有するフレームワークの場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を変更することができる。この移植によって、親抗体のそれと比較して結合親和性の低下が起こり得る。その場合には、Queen et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2869により開示される具体的な基準に基づいて、いくつかの位置でフレームワークを親フレームワークに復帰突然変異させることができる。相同性及び復帰突然変異に基づいてヒト化変異体を作製する上で有用な方法を記載する別の参照文献としては、以下に記載されるものなどが挙げられる:Olimpieri et al.Bioinformatics.2015 Feb 1;31(3):434-435及び米国特許第4,816,397号明細書、同第5,225,539号明細書、及び同第5,693,761号明細書;及びWinter and co-workersの方法(Jones et al.(1986)Nature 321:522-525;Riechmann et al.(1988)Nature 332:323-327;並びにVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534-1536。
復帰突然変異のために考慮すべき残基の同定は、以下に記載するように実施することができる。アミノ酸が下記のカテゴリーに入るとき、使用されているヒト生殖細胞系配列のフレームワークアミノ酸(「アクセプターFR」)は、親抗体化合物のフレームワーク由来のフレームワークアミノ酸(「ドナーFR」)により置換される:
(a)アクセプターフレームワークのヒトFR内のアミノ酸が、その位置のヒトフレームワークでは稀であるが、ドナー免疫グロブリン内の対応するアミノ酸は、その位置のヒトフレームワークでは典型的である;
(b)アミノ酸の位置が、CDRの1つに隣接している;又は
(c)フレームワークアミノ酸の何れかの側鎖原子が、三次元免疫グロブリンモデル中のCDRアミノ酸の何れかの原子から約5~6オングストローム(中心間)以内にある。
アクセプターフレームワークのヒトFR内のアミノ酸の各々及びドナーフレームワーク内の対応するアミノ酸が、概して、その位置のヒトフレームワークでは稀であるとき、そのようなアミノ酸は、その位置のヒトフレームワークに典型的なアミノ酸により置換することができる。この復帰突然変異の基準によって親抗体化合物の活動を復帰させることが可能になる。
本明細書に開示される抗体化合物と類似の機能的特性を提示するヒト化抗体を作製する別のアプローチは、フレームワークを変更することなく、移植CDR内でアミノ酸をランダムに突然変異させるステップ、次に、親抗体化合物のそれと同等又はより優れた結合親和性及びその他の機能的特性について、得られた分子をスクリーニングするステップを含む。さらに、単一の突然変異を各CDR内の各アミノ酸位置に導入した後、結合親和性及びその他の機能的特性に対するそうした突然変異の作用を評価することもできる。改善された特性をもたらす単一突然変異を組み合わせて、相互の組合せの作用を評価することができる。
さらに、以上のアプローチの両方の組合せも可能である。CDR移植後、CDRにアミノ酸変更を導入する以外に、特定のFRを復帰突然変異させることができる。この方法は、Wu et al.(1999)J.Mol.Biol.294:151-162に記載されている。
本開示の教示を適用して、当業者は、例えば、部位指定突然変異誘発などの一般的技術を使用して、本明細書に開示されるCDR及びFR配列内のアミノ酸を置換することにより、この配列に由来する別の可変領域アミノ酸配列を作製することができる。最大全部の天然に存在するアミノ酸を特定の置換部位に導入することができる。本明細書に開示される方法を用いて、これらの追加可変領域アミノ酸配列をスクリーニングすることにより、表示されるインビボ機能を有する配列を同定することができる。このようにして、本開示に従ってヒト化抗体及びその抗原結合部分を作製するのに好適なさらなる配列を同定することができる。フレームワーク内のアミノ酸置換は、本明細書に開示される4つの軽鎖及び/又は重鎖FRの何れか1つ又は複数において1つ、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの位置に制限するのが好ましい。CDR内のアミノ酸置換は、3つの軽鎖及び/又は重鎖CDRの何れか1つ又は複数において1つ、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの位置に制限するのが好ましい。前述したこれらのFR及びCDR内の様々な変更の組合せも可能である。
上述のアミノ酸修飾を導入することにより作製した抗体化合物の機能的特性が、本明細書に開示される特定の分子により呈示されるものと一致することは、以下に開示する実施例の方法により確認することができる。
上に記載したように、患者にヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発する問題を回避するために、マウス抗体を遺伝子操作し、ヒト免疫グロブリン分子の可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)フレームワーク上に、相補性決定領域(CDR)を移植することによって、抗原結合部位の完全性に必須とみなされるこれらのマウスフレームワーク残基は維持しながら、そのマウス内容物をそのヒト対応部分に存在するアミノ酸残基で段階的に置換した。しかし、ヒト化抗体の異種CDRは、患者に抗イディオタイプ(抗Id)応答を引き起こし得る。
抗Id応答を最小限にするために、ヒトフレームワークに、抗体-リガンド相互作用に最も重要なCDR残基だけを移植する(「SDR移植」と呼ばれる)ことによって、異種抗体をヒト化する方法が開発されており、この方法では、CDRの必須特異性決定残基(SDR)だけがヒトフレームワークに移植される。この方法は、Kashmiri et al.(2005)Methods 36(1):25-34に記載されており、既知構造の抗原-抗体複合体の三次元構造のデータベースを用いた、又は抗体結合部位の突然変異分析によるSDRの同定を含む。より多くのCDR残基の保持を含むヒト化のための別のアプローチは、「短縮」CDR、すなわち、全てのSDRを含むCDR残基の区間の移植に基づくものである。Kashmiriらは、マウス抗体を投与された患者からの血清に対するヒト化抗体の反応性を評価する方法も開示している。
改善された免疫原性を有するヒト抗体変異体を構築する別の戦略は、Hou et al.(2008) J.Biochem.144(1):115-120に開示されている。これらの著者らは、コンピュータ支援相同性モデル化により構築された4C8の分子モデルを用いるCDR移植により、4C8からのヒト化抗体、すなわち、マウス抗ヒトCD34モノクローナル抗体を開発した。この分子モデルを用いて、上記の著者らは、抗原結合に潜在的に重要なFR残基を同定した。4C8のヒト化バージョンは、マウス抗体FRに対する相同性に基づいて選択されたヒト抗体フレームワークにこれらの重要なマウスFR残基を、マウスCDR残基と一緒に移植することによって作製された。得られたヒト化抗体は、本来のマウス抗体のそれと類似した抗原結合親和性及び特異性を有することが判明したが、これは、臨床的に常用されているマウス抗CD34抗体の代替物となり得ることを示唆している。
本開示の実施形態は、考慮されるmAbが、本明細書に開示される単一マウスmAb由来のCDRのセット、又は開示されるマウスmAbの2つ若しくは3つに由来する個別のCDRを含むCDRのセットを含有する軽鎖及び重鎖を含むことができるように、任意の組合せ形態で本明細書に開示されるCDRを含むヒト免疫系による認識を回避するように作製された抗体を包含する。こうしたmAbは、分子生物学の標準的技術により作製し、本明細書に記載されるアッセイを用いて、所望の活性についてスクリーニングすることができる。このようにして、本開示は、新たな、又は改善された治療活性を達成するために、開示されるマウスmAb由来のCDRの混合物を含む新規のmAbを作製する「ミックス及びマッチ(mix and match)」アプローチを提供する。
本明細書に開示される分子と「競合する」本開示により包含されるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、本開示の分子が結合する部位と同一であるか、又はそれとオーバーラップする部位でヒトCD47に結合するものである。競合するモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、例えば、抗体競合アッセイによって同定することができる。例えば、精製した、又は部分的に精製したヒトCD47細胞外ドメインのサンプルを固体支持体に結合することができる。次に、本開示の抗体化合物、又はその抗原結合断片並びにそのような開示抗体化合物と競合することができると思われるモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を添加する。2つの分子のうちの一方を標識する。標識化合物及び非標識化合物が結合して、CD47上の個別且つ独立の部位に結合すれば、標識化合物は、推定競合化合物が存在するか否かにかかわらず、同じレベルで結合するであろう。しかし、相互作用の部位が同一又はオーバーラップする場合には、非標識化合物は競合し、抗原に結合する標識化合物の量は低下するであろう。非標識化合物が過剰に存在する場合には、もしあるとしても、ごくわずかの標識化合物が結合するであろう。本開示の目的のために、競合モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、CD47に対する本発明の抗体化合物の結合を約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%低減するものである。こうした競合アッセイを実施する方法の詳細は当技術分野で公知であり、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, N.Yに見出すことができる。こうしたアッセイは、精製抗体を用いることによって、定量的にすることができる。標準曲線は、1つの抗体をそれ自体に対して力価測定することによって作成し、言い換えれば、同じ抗体を標識及び競合者の両方に使用する。非標識競合モノクローナル抗体又はその抗原結合断片が、プレートに対する標識分子の結合を阻害する能力を滴定する。結果をプロットして、所望の程度の結合阻害を達成するのに必要な濃度を比較する。
こうした競合アッセイで本開示の抗体化合物と競合するmAb又はその抗原結合断片が、本開示の抗体化合物と同じ若しくは類似の機能的特性を有するか否かは、これらの方法を、以下の実施例に記載する方法と組み合わせて、決定することができる。様々な実施形態では、本明細書に包含される治療方法に使用するための競合抗体は、本明細書に開示される抗体化合物のそれと比較して、約50%~約100%又は約125%、若しくはそれ以上の範囲の本明細書に記載するような生物学的活性を有する。一部の実施形態では、競合抗体は、以下に記載する実施例に開示の方法により決定される通り、本明細書に開示される抗体化合物のそれと比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は同一の生物学的活性を有する。
本組成物及び方法において有用なmAb若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、本明細書に記載されるアイソタイプのいずれであってもよい。さらに、これらのアイソタイプのいずれも、後述する通り、さらなるアミノ酸修飾を含んでもよい。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG1アイソタイプであってよい。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体半減期を改変することができる。抗体半減期は、大部分が、新生児Fc受容体とのFc依存性相互作用により調節される(Roopenian and Alikesh,2007)。モノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、半減期を延長することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:N434A、T307A/E380A/N434A(Petkova et al.,2006,Yeung et al.,2009);M252Y/S254T/T256E(Dall’Acqua et al.,2006);T250Q/M428L(Hinton et al.,2006);及びM428L/N434S(Zalevsky et al.,2010)が挙げられる。
半減期の延長とは反対に、例えば、高い抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)抗体に関連する有害事象の可能性を低減するために、短い半減期が所望されるいくつかの状況がある(Presta 2008)。本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、半減期を短縮する、及び/又は内在性IgGを低減することもでき、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:I253A(Petkova et al.,2006);P257I/N434H、D376V/N434H(Datta-Mannan et al.,2007);及びM252Y/S254T/T256E/H433K/N434F(Vaccaro et al.,2005)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大又は低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、C1q結合、及びFc受容体に対する結合の改変が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:S298A/E333A/K334(Shields et al.,2001);S239D/I332E及びS239D/A330L/I332E(Lazar et al.,2006);F234L/R292P/Y300L、F234L/R292P/Y300L/P393L、及びF243L/R292P/Y300L/V305I/P396L(Stevenhagen et al.,2007);G236A,G236A/S239D/I332E、及びG236A/S239D/A330L/I332E(Richards et al.,2008);K326A/E333A、K326A/E333S及びK326W/E333S(Idusogie et al.,2001);S267E及びS267E/L328F(Smith et al.,2012);H268F/S324T、S267E/H268F、S267E/S234T、及びS267E/H268F/S324T(Moore et al.,2010);S298G/T299A(Sazinsky et al.,2008);E382V/M428I(Jung et al.,2010)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾N297A及びN297Q(Bolt et al.,1993,Walker et al.,1989);L234A/L235A(Xu et al.,2000);K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D356E/L358M(Ghevaert et al.,2008);C226S/C229S/E233P/L234V/L235A(McEarchern et al.,2007);S267E/L328F (Chu et al.,2008)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG1定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:V234A/G237A(Cole et al.,1999);E233D、G237D、P238D、H268Q、H268D、P271G、V309L、A330S、A330R、P331S、H268Q/A330S/V309L/P331S、H268D/A330S/V309L/P331S、H268Q/A330R/V309L/P331S、H268D/A330R/V309L/P331S、E233D/A330R、E233D/A330S、E233D/P271G/A330R、E233D/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G、G237D/H268Q/P271G、G237D/P271G/A330R、G237D/P271G/A330S、E233D/H268D/P271G/A330R、E233D/H268Q/P271G/A330R、E233D/H268D/P271G/A330S、E233D/H268Q/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G/A330R、G237D/H268Q/P271G/A330R、G237D/H268D/P271G/A330S、G237D/H268Q/P271G/A330S、E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/A330R、P238D/E233D/A330S、P238D/E233D/P271G/A330R、P238D/E233D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G、P238D/G237D/H268Q/P271G、P238D/G237D/P271G/A330R、P238D/G237D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S(An et al.,2009,Mimoto,2013)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG2アイソタイプであってもよい。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大又は低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及びC1q結合、並びにFc受容体に対する結合の改変が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を増大することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:K326A/E333S(Idusogie et al.,2001)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:V234A/G237A(Cole et al.,1999);V234A、G237A、P238S、H268A、E233D、G237D、P238D、H268Q、H268D、P271G、V309L、A330S、A330R、P331S、P238S/H268A、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、H268Q/A330S/V309L/P331S、H268D/A330S/V309L/P331S、H268Q/A330R/V309L/P331S、H268D/A330R/V309L/P331S、E233D/A330R、E233D/A330S、E233D/P271G/A330R、E233D/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G、G237D/H268Q/P271G、G237D/P271G/A330R、G237D/P271G/A330S、E233D/H268D/P271G/A330R、E233D/H268Q/P271G/A330R、E233D/H268D/P271G/A330S、E233D/H268Q/P271G/A330S、G237D/H268D/P271G/A330R、G237D/H268Q/P271G/A330R、G237D/H268D/P271G/A330S、G237D/H268Q/P271G/A330S、E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/A330R、P238D/E233D/A330S、P238D/E233D/P271G/A330R、P238D/E233D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G、P238D/G237D/H268Q/P271G、P238D/G237D/P271G/A330R、P238D/G237D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/H268Q/P271G/A330S、P238D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/G237D/H268Q/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330R、P238D/E233D/G237D/H268D/P271G/A330S、P238D/E233D/G237D/H268Q/P271G/A330S(An et al.,2009,Mimoto,2013)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG2Fc領域を修飾して、アイソフォーム及び/又はアゴニスト活性を改変することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:C127S(CH1ドメイン)、C232S、C233S、C232S/C233S、C236S、及びC239S(White et al.,2015,Lightle et al.,2010)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG3アイソタイプであってもよい。
モノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG3定常領域であって、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片の前記ヒトIgG3定常領域を1つ又は複数のアミノ酸にて修飾して、抗体半減期、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、又はアポトーシス活性を増大することができる。
モノクローナル抗体、若しくはその抗原結合断片のヒトIgG3定常領域であって、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片の前記ヒトIgG3定常領域をアミノ酸R435Hにて修飾して、抗体半減期を延長することができる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体は、ヒトIgG4アイソタイプであってもよい。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG4定常領域を修飾して、抗体エフェクター機能を低減することができる。こうした抗体エフェクター機能として、限定されないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)が挙げられる。
本明細書に記載されるモノクローナル抗体、その抗原結合断片、又は競合抗体のヒトIgG4定常領域を修飾して、Fabアーム交換を防止する、及び/又は抗体エフェクター機能を低減することができ、そのようなものとして、限定されないが、アミノ酸修飾:F234A/L235A(Alegre et al.,1994);S228P,L235E及びS228P/L235E(Reddy et al.,2000)が挙げられる。
本開示は、相乗的組合せを記載し、改善された有効性をもたらすことができ、その効果は、腫瘍細胞総数;再発までの時間;他の臨床有効性;及び他の患者の健康状態の指標により測定され得る。或いは、有害な副作用、例えば、非標的組織、免疫状態、及び他の臨床指標に対する障害を低減しながら、単剤療法の有効性と同等である治療効果のための相乗的組合せ。本発明の相乗的組合せは、CD47機能を阻害又は阻止するようにターゲティングされる薬剤;及び化学療法薬又は抗癌剤である薬剤と組み合わせる。この組合せは、薬剤、より具体的には、抗CD47抗体と、化学療法薬、例えばアントラサイクリン、白金、タキソール、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、及びアルキル化剤からなる化学療法薬クラスとの1つ又は複数の組合せを用いて提供することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「併用療法」は、対象を2つ以上の治療レジメン(例えば、2種以上の治療薬)に対して同時に曝露する状況を指す。一部の実施形態では、2種以上の薬剤を同時に投与してもよいし:一部の実施形態では、こうした薬剤は、順序投与してもよく;一部の実施形態では、こうした薬剤は、重複投与レジメンで投与される。
本明細書で使用されるとき、用語「相乗的」又は「相乗効果」は、組み合わせた場合にそれらの個別の効果の和よりも大きい効果を生み出すような2種以上の治療レジメン(例えば、2種以上の治療薬)の相互作用を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「相加的」又は「相加効果」は、組み合わせて用いた場合にそれらの個別の効果の和と同じ総合効果を生み出すような2種以上の治療レジメン(例えば、2種以上の治療薬)の相互作用を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「腫瘍」は、悪性又は良性にかかわらず、あらゆる腫瘍細胞成長及び増殖、並びにあらゆる前癌及び癌性細胞と前癌及び癌性組織を指す。
用語「癌」、「癌性」、及び「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、互いに限定的ではない。
用語「癌」及び「癌性」は、典型的には異常細胞成長/増殖を特徴とする、哺乳類における生理学的状態を指すか、又は記述する。癌の例として、限定されないが、癌腫、リンパ腫(すなわち、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられる。こうした癌の具体的な例としては、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸の癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌(liver cancer)、乳癌、結腸癌、大腸癌、子宮内膜若しくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)、白血病及びその他のリンパ増殖性障害、並びに多様なタイプの頭部及び頚部癌が挙げられる。
用語「感受性癌」は、本明細書で使用されるとき、その細胞が、CD47を発現し、且つ本開示の抗体若しくはその抗原結合断片、又は競合抗体若しくはその抗原結合断片による治療に対して応答性である癌を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「治療すること」又は「治療する」又は「治療」とは、徴候、症状、障害、病状、若しくは疾患の進行又は重症度を遅延、阻止、停止、制御、停止、低減、若しくは逆転させることを意味するが、必ずしも全ての疾患関連の徴候、症状、病状、若しくは障害の排除を意味するわけではない。用語「治療する(こと)」などは、発症開始後の疾患又は病状の徴候若しくは症状を改善する治療介入を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「有効量」は、患者又は臓器に対する1若しくは複数用量の投与時に、所望される治療若しくは予防をもたらす本開示の抗体化合物の量又は用量を指す。
任意の特定の対象に対する正確な有効量は、その大きさ及び健康状態、その病状の性質及び程度、並びに投与するために選択された治療薬又は治療薬の組合せに応じて変動する。所与の患者の有効量は、常用の実験により決定され、これは、臨床医の判断で行われる。本開示の抗体化合物の治療有効量はまた、摘出された臓器又は患者に投与される1用量当たり約0.1mg/kg~約150mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、又は約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲の量を含み得る。公知の抗体系薬剤は、これに関してガイダンスを提供する。例えば、Herceptin(商標)は、21mg/ml溶液の静脈内注入により投与され、その場合、初期負荷投与が4mg/kg体重、毎週の維持投与が2mg/kg体重であり;Rituxan(商標)は、例えば、毎週375mg/m2で投与される。
任意の個別患者に対する治療有効量は、腫瘍退縮、循環腫瘍細胞、腫瘍幹細胞又は抗腫瘍応答に対する抗体化合物の作用をモニターすることによって、医療提供者が決定することができる。これらの方法で得られたデータの解析によって、療法中の治療レジメンの変更が可能になり、その結果、単独で若しくは互いに組み合わせて、又は別の治療薬と組み合わせて、或いはその両方で使用されるかにかかわらず、本開示の抗体化合物の最適量が投与され、しかも、同様に治療期間も決定することができる。このようにして、投薬/治療レジメンを療法の過程で変更することでき、その結果、満足な効果を示す、単独で若しくは組み合わせて使用される最も低い量の抗体化合物が投与され、しかも、そうした化合物の投与は、患者の治療に成功するのに必要な期間だけ継続される。公知の抗体系薬剤は、例えば、薬剤が、毎日、毎週、毎月などで投与されるべきかにかかわらず、投与頻度に関するガイダンスを提供している。頻度及び投与量は、症状の重症度に応じても変動し得る。
一部の実施形態では、本開示の抗体化合物は、ヒト及び動物医療における薬剤として使用することができ、限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、腹腔内、髄腔内、心室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)、局所、皮下、腫瘍内、鼻内、腸内、舌下、膣内、小胞内又は直腸経路を含む様々な経路により投与される。組成物はまた、腫瘍などの病変に直接投与することもできる。投薬治療は、単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールのいずれであってもよい。さらに、医薬組成物を投与するために、Hypoスプレーを使用してもよい。典型的には、治療組成物は、溶液又は懸濁液の何れかの形態で、注射液として調製することができる。また、注射前の液体ビヒクル中の溶液又は懸濁液に好適な固体形態を調製することもできる。獣医学適用には、ネコ及びイヌなどのコンパニオン/ペット動物;盲導犬若しくは介助犬、及びウマなどの使役動物;ウマ及びイヌなどの競技動物;霊長類、ライオン及びトラなどのネコ科動物、クマなどを含む動物園動物;並びに飼育されている他の有用な動物の治療が含まれる。
こうした医薬組成物は、当技術分野において公知の方法により調製することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21stEdition(2005),Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PAを参照されたい。また、医薬組成物は、本明細書に開示される1つ又は複数の抗体化合物、及び薬学的若しくは獣医学的に許容される、例えば、生理学的に許容される、担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。
本開示は、個別の機能プロフィールを有する抗CD47mAbを記載する。これらの抗体は、以下から選択される特性の異なる組合せを有する:これらの抗体は、以下から選択される特性の異なる組合せを有する:1)CD47の1種若しくは複数種のホモログと交差反応性を示す;2)CD47とそのリガンドSIRPα同士の相互作用を阻止する;3)ヒト腫瘍細胞の食作用を増大する;4)感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導する;5)ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導しない;6)ヒト赤血球(hRBC)に対して低い結合、若しくは最小結合を有さない;7)hRBCに対して低い結合を有する;8)hRBCに対して最小結合を有する;9)hRBCの低い凝集を起こす;10)hRBCの検出可能な凝集を引き起こさない;11)一酸化窒素(NO)経路のTSP1阻害を逆転させる;12)NO経路のTSP1阻害を逆転させない;13)ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こす;14)ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こさない;15)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こす;16)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こさない;17)ヒト腫瘍細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)放出の増大を引き起こす;18)ヒト腫瘍細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)放出の増大を引き起こさない;19)ヒト腫瘍細胞による高移動群ボックス1(HMGB1)放出の増大を引き起こす;20)ヒト腫瘍細胞による高移動群ボックス1(HMGB1)放出の増大を引き起こさない;21)ヒト腫瘍細胞によるI型インターフェロン放出の増大を引き起こす;22)ヒト腫瘍細胞によるI型インターフェロン放出の増大を引き起こさない;23)ヒト腫瘍細胞によるC-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)放出の増大を引き起こす;24)ヒト腫瘍細胞によるC-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)放出の増大を引き起こさない;25)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼA3(PDIA3)発現の増大を引き起こす;26)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼA3(PDIA3)発現の増大を引き起こさない;27)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質70(HSP70)発現の増大を引き起こす;28)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質70(HSP70)発現の増大を引き起こさない;29)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面熱ショックタンパク質90(HSP90)発現の増大を引き起こす;30)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質90(HSP90)発現の増大を引き起こさない;31)限定はされないが、内皮細胞、骨格筋細胞、上皮細胞、及び末梢血単核細胞(例えば、ヒト大動脈内皮細胞、ヒト骨格筋細胞、ヒト微小血管内皮細胞、ヒト尿細管上皮細胞、ヒト末梢血CD3+細胞、及びヒト末梢血単核細胞)を含む、正常ヒト細胞に対して低い結合を有する;32)限定はされないが、内皮細胞、骨格筋細胞、上皮細胞、及び末梢血単核細胞(例えば、ヒト大動脈内皮細胞、ヒト骨格筋細胞、ヒト微小血管内皮細胞、ヒト尿細管上皮細胞、ヒト末梢血CD3+細胞、及びヒト末梢血単核細胞)を含む、正常ヒト細胞に対して低い結合を有さない;33)生理的pHと比較して酸性pHのヒトCD47に対し、より高い親和性を有する;34)生理的pHと比較して酸性pHのヒトCD47に対し、より高い親和性を有さない;並びに35)ヒト腫瘍細胞によるアネキシンA1放出の増大を引き起こす。
本開示の抗CD47抗体及びその抗原結合断片は、従来技術の抗CD47抗体とは異なる特性の組合せを有する。これらの特性及び特徴について、これからさらに詳しく説明する。本明細書で使用されるとき、用語「ヒトCD47に結合する」は、例えば、固相ELISAアッセイ又はセルベースアッセイにおいて、50nMを超える見かけKdで結合することを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「見かけ結合親和性及び見かけKd」は、様々な抗体濃度で、結合データの非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)により決定される。
様々な種のCD47への結合
本開示の抗CD47抗体、及びその抗原結合断片は、ヒトCD47に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体は、1種又は複数種のCD47のホモログ、例えば、非ヒト霊長類由来のCD47ホモログと交差反応性を示す。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD47抗体、及びその抗原結合断片は、ヒトCD47、並びに非ヒト霊長類、マウス、ラット、及び/又はウサギ由来のCD47に結合する。他の種のホモログとの交差反応性は、治療用抗体の開発及び試験に特に有用となり得る。例えば、治療用抗体の前臨床毒性試験は、限定されないが、カニクイザル、ミドリザル、アカゲザル及びリスザルをはじめとする、非ヒト霊長類種で実施されることが多い。従って、これらの種のホモログとの交差反応性は、臨床候補としての抗体の開発にとって特に有用となり得る。
本明細書で使用されるとき、用語「CD47の1種又は複数種のホモログと交差反応する」とは、50nMを超える見かけKdで結合することを意味する。
CD47とSIRPα同士の相互作用の阻止及び食作用の促進
インテグリン関連タンパク質(IAP)としても知られるCD47は、細胞外N末端IgVドメイン、5膜通過貫膜ドメイン、及び代替的にスプライシングされている短いC末端細胞内テールから構成される50kDaの細胞表面受容体である。
2つのリガンドが、CD47:シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)及びトロンボスポンジン1(TSP1)に結合する。TSP1は、血漿中に存在し、血小板をはじめとする多くの細胞により合成される。SIRPαは、造血細胞上に発現され、こうした細胞として、マクロファージ及び樹状細胞がある。
食細胞上のSIRPαが標的細胞上のCD47に結合すると、この相互作用は、標的細胞の食作用を防止する。CD47とSIRPαの相互作用は、実際に「don’t eat me」シグナルを食細胞に送る(Oldenborg et al.Science 288:2051-2054,2000)。治療に際して、抗CD47mAbによりSIRPαとCD47の相互作用を阻止すれば、宿主の免疫系による癌細胞の取り込み及びクリアランスを促進することによって、有効な抗癌治療を提供することができる。従って、いくつかの抗CD47mAbの重要な機能的特性は、CD47とSIRPαの相互作用を阻止して、マクロファージによるCD47発現腫瘍細胞の食作用を達成する能力である。いくつかの抗CD47mAbが、CD47とSIRPαの相互作用を阻止することがわかっており、例えば、以下のものが挙げられる:B6H12(Seiffert et al.Blood 94:3633-3643,1999;Latour et al.J.Immunol.167:2547-2554,2001;Subramanian et al.Blood 107:2548-2556,2006;Liu et al.J Biol.Chem. 277:10028-10036,2002;Rebres et al et al.J.Cellular Physiol.205:182-193,2005)、BRIC126(Vernon-Wilson et al.Eur J Immunol.30:2130-2137,2000;Subramanian et al.Blood 107:2548-2556,2006)、CC2C6(Seiffert et al.Blood 94:3633-3643,1999)、及び1F7(Rebres et al.J.Cellular Physiol.205:182-193,2005)。また、B6H12及びBRIC126も、ヒト及びマウスマクロファージによるヒト腫瘍細胞の食作用を引き起こすことが明らかにされている(Willingham et al.Proc Natl Acad Sci USA 109(17):6662-6667,2012;Chao et al.Cell 142:699-713,2012;欧州特許第2 242 512 B1号明細書)。2D3などの他の既存の抗CD47mAbは、CD47とSIRPαの相互作用を阻止せず(Seiffert et al.Blood 94:3633-3643,1999;Latour et al.J.Immunol.167:2547-2554,2001;Rebres et al. J. Cellular Physiol.205:182-193,2005)、腫瘍細胞の食作用を引き起こさない(Willingham et al.Proc Natl Acad Sci USA 109(17):6662-6667,2012;Chao et al.Cell 142:699-713,2012;欧州特許第2 242 512 B1号明細書)。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止する」とは、非処置の細胞又は陰性抗体で処置した細胞の何れかと比較して、抗CD47mAbによる細胞上のCD47に対するSIRPα-FCの結合の50%超の低減を意味する。
本明細書に記載される開示の抗CD47mAbは、CD47とSIRPαの相互作用を阻止して、ヒト腫瘍細胞の食作用を増大する。
癌細胞の「食作用」は、マクロファージによるこうした細胞の貪食及び消化、並びにこれらの癌細胞の最終的な消化又は分解、並びにさらなるプロセシングに付すための消化又は分解細胞成分の細胞外、若しくは細胞内への放出を指す。CD47に対するSIRPαの結合を阻止する抗CD47モノクローナル抗体は、癌細胞のマクロファージ食作用を増大する。そうでなければ、癌細胞上のCD47に対するSIRPαの結合は、これらの細胞が、マクロファージ食作用を免れることを可能にするであろう。癌細胞は、生存能を有するか、又は生存癌細胞であり得る。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト腫瘍細胞の食作用を増大する」とは、非処置の細胞又は陰性抗体で処置した細胞の何れかと比較して、抗CD47mAbの存在下でヒトマクロファージによるヒト腫瘍細胞の食作用の2倍超の増大を意味する。
腫瘍細胞の細胞死の誘導
いくつかの可溶性抗CD47mAbは、腫瘍細胞上のCD47に結合すると細胞死プログラムを開始し、その結果、ミトコンドリア膜電位崩壊、ATP生成能力の喪失、ホスホファチジルセリンの細胞表面発現の増大(アネキシンVについての染色増加により検出される)及びカスパーゼの参加若しくはDNAの断片化なしでの細胞死を引き起こす。このような可溶性抗CD47mAbは、様々な固形及び血液癌を治療する可能性がある。いくつかの可溶性抗CD47mAbが、腫瘍細胞死を誘導することがわかっており、例えば、MABL-1,MABL-2及びその断片(米国特許第8,101,719号明細書;Uno et al.Oncol Rep.17:1189-94,2007;Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004),Ad22(Pettersen et al.J.Immunol.162:7031-7040,1999;Lamy et al.J.Biol.Chem.278:23915-23921,2003)、並びに1F7(Manna et al.J.Immunol.170:3544-3553,2003;Manna et al.Cancer Research,64:1026-1036,2004)が挙げられる。MABL-1、MABL-2及びそれらの断片、Ad22及び1F7の以前の分析では、関連する手法を用いて、これらの抗CD47mAbにより誘導されたアポトーシス及び細胞死を決定した。MABL scFV-15二量体がCD47陽性細胞のアポトーシスを誘導したことを実証するために、フローサイトメトリーにより、アネキシンV及びヨウ化プロピジウム(PI)染色が、いずれも早期(アネキシンV+、PI-)及び後期(アネキシンV+、PI+)に評価された(Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004)。Ad22が、アポトーシス(アネキシンV+、PI-)及び死滅(アネキシンV+、PI+)細胞双方の増加を誘導したことを証明するために、同様の手法が使用された(Pettersen et al.J.Immuno.162:7031-7040,1999)。1F7によるアポトーシスの誘導は、フローサイトメトリーによりアネキシンV+細胞を分析することによって評価された(Manna et al.J.Immunol.170:3544-3553,2003;Manna et al.Cancer Research,64:1026-1036,2004)。本明細書に記載される本開示の抗CD47mAbのいくつかは、ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導する。
アポトーシスの間、原形質膜の外葉に対するホスファチジルセリン曝露が広く観察されるため、これが、アポトーシス細胞死を検出するためのアネキシンV結合アッセイの根拠である。一部の系では、ホスファチジルセリン曝露及びアネキシンV陽性は、可逆性である;即ち、一部のアネキシンV+細胞は生存可能であり、増殖を再開して、リン脂質対称を再構築し得ることに留意すべきである(Hammill et al.Exp.Cell Res.251:16-21,1999)。7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)は、DNAとの結合時にスペクトルシフトを被る蛍光インターカレータである。生存細胞は、7-AADを排除するインタクトな膜を有するが、死滅又はアポトーシス細胞は、7-AADを排除しない。
用語「細胞死を誘導する(こと)」又は「殺傷する」などは、本明細書では置き換え可能に使用される。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導する」は、抗CD47mAbによる処置に応答して、増大したアネキシンVの結合(カルシウムの存在下で)及び増大した7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)又はヨウ化プロピジウム取り込みを指す。これらの特徴は、3つの細胞集団:アネキシンV陽性(アネキシンV+)、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)及びアネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)においてフローサイトメトリーにより定量され得る。細胞死の誘導は、負の対照抗体、(ヒト化、アイソタイプ適合抗体)又は非処置細胞で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによりもたらされる、ヒト腫瘍細胞における上記細胞集団の各々の2倍を超える増加によって定義される。
細胞死の別の指標は、いくつかの入手可能な尺度(DiO-C6若しくはJC1などの電位差測定蛍光色素又はMTT若しくはWST-1などのホルマザンベースアッセイ)の1つによって検定される腫瘍細胞によるミトコンドリア機能及び膜電位の喪失である。
本明細書で使用されるとき、用語「ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こす」とは、負の対照抗体、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによるミトコンドリア膜電位の統計的に有意な(p<0.05以上)低下を意味する。
細胞死の誘導とは、本明細書に開示される可溶性抗CD47抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はその抗原結合断片(並びに競合抗体及びその抗原結合断片)のいくつかが、補体又は他の細胞、例えば、限定されないが、T細胞、好中球、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、若しくは樹状細胞の参加なしに、細胞自律機構を介して癌細胞を殺傷する能力を指す。
本開示のヒト化又はキメラmAbのうち、ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導するものは、抗CD47mAbAd22(Pettersen et al.J.Immunol.166:4931-4942,2001;Lamy et al.J.Biol.Chem.278:23915-23921,2003);1F7(Manna and Frazier J.Immunol.170:3544-3553,2003;Manna and Frazier Cancer Res.64:1026-1036,2004);並びにMABL-1及び2(米国特許第7,531,643B2号明細書;米国特許第7,696,325B2号明細書;米国特許第8,101719B2号明細書)について報告されている知見と同様に、アネキシンV結合の増加をもたらす。
細胞生存能アッセイは、NCI/NIHガイダンスマニュアルに記載されており、これは、CD47抗体によって引き起こされる細胞死の誘導を評価するために使用することができる多様な細胞ベースのアッセイを記載している:“Cell Viability Assays”,Terry L Riss,PhD,Richard A Moravec,BS,Andrew L Niles,MS,Helene A Benink,PhD,Tracy J Worzella,MS,and Lisa Minor,PhD. Contributor Information、2013年5月1日出版。
hRBCとの結合
CD47は、ヒト赤血球(hRBC)に発現される(Brown.J CellBiol.111:2785-2794,1990;Avent.Biochem J.,(1988)251:499-505;Knapp.Blood,(1989)Vol.74,No.4,1448-1450;Oliveira et al.Biochimica et Biophysica Acta 1818:481-490,2012;Petrova P.et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271)。抗CD47mAbは、RBCに結合することがわかっており、そうしたものとして、以下:B6H12(Brown et al.J.Cell Biol.,1990,Oliveira et al.Biochimica et Biophysica Acta 1818:481-490,2012,Petrova P.et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271)、BRIC125(Avent.Biochem J.,(1988)251:499-505)、BRIC126(Avent.Biochem J.,(1988)251:499-505;Petrova P. et al. Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271)、5F9(Uger R.et al.Cancer Res 2014;74(19 Suppl):Abstract nr 5011,Liu et al.PLoS One.2015 Sep 21;10(9):e0137345;Sikic B.et al.J Clin Oncol 2016;34(suppl; abstract 3019))、米国特許出願公開第2014/0161799号明細書、国際公開第2014/093678号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0363442号明細書に開示される抗CD47抗体、並びにCC2C6(Petrova P.et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271,Uger R.et al.Cancer Res 2014;74(19 Suppl:Abstract nr 5011;Petrova et al. Clin Cancer Res 23:1068-1079,2017)が挙げられる。また、ヒトCD47に結合するSIRPα-Fc融合タンパク質は、他のヒト細胞と比較して、ヒトRBCには低い結合を有することもわかっている(Uger R.et al.Cancer Res 2014;74(19 Suppl):Abstract nr 5011)。RBCとの結合は、ただ1つのCD47結合アームを有する二重特異性抗体の作製によって低減することができる(Masternak et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 2482)。一部の抗CD47mAbは、カニクイザルに投与すると、RBCの減少を引き起こすことが判明したため(Mounho-Zamora B. et al.The Toxicologist, Supplement to Toxicological Sciences,2015;144(1):Abstract 596:127,Liu et al.PLoS One.2015 Sep 21;10(9):e0137345;Pietsch et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 2470)、CD47発現RBCに結合しない抗CD47mAbを同定することが極めて望ましい。
本明細書で使用されるとき、用語「赤血球(red blood cell(s))」及び「赤血球(erythrocyte(s))」は同意語であり、本明細書では置き換え可能に使用される。
本明細書で使用されるとき、用語「hRBCに対する低い結合」は、ヒト腫瘍細胞に関する見かけKdに比して10倍以上の、hRBCに対する抗CD47mAb結合の見かけKdを指し、ここで、腫瘍細胞は、OV10hCD47細胞(ヒトCD47を発現するヒトOV10卵巣癌細胞株)である。
本明細書で使用されるとき、用語「結合がない」又は「NB」は、50μg/ml以下の抗CD47mAb濃度でhRBCに対する測定可能な結合がないことを指す。
本明細書に記載される開示以前に、CD47を発現するヒトRBCに結合しない抗CD47mAbは、報告されていない。
本明細書に開示される抗CD47mAbの中には、ヒトRBCへの結合が低いか、又は検出可能な結合がないものもある。
ヒト内皮細胞及び他の正常ヒト細胞に対する結合
大部分の血液悪性疾患及び固形腫瘍上での発現/過剰発現(Willingham et al,Proc.Natl.Acad.Sci.2012)以外にも、CD47は、全てではないが多くの正常細胞型によっても発現され、そうしたものとして、限定されないが、RBC(前セクションを参照)、リンパ球及び単核細胞、内皮細胞、及び脳、肝、筋肉細胞並びに/又は組織が挙げられる(Brown et al,J.Cell Biol.1990;Reinhold et al,J.Cell Sci.1995;Matozaki et al,Cell 2009;Stefanidakis et al,Blood 2008;Xiao et al,Cancer Letters 2015)。この発現のために、一部の抗CD47mAbは、治療標的である癌細胞以外に、これらの正常細胞型/組織にも結合すると考えられる。従って、これらの正常細胞の一部に結合しないか、又はそれらに対する結合が低いか、何れかの抗CD47mAbを見出すことにより、これらの正常細胞に対する不要な潜在的作用を低減すると共に、より多くの利用可能な抗体を腫瘍細胞と結合させることが望ましい。
本明細書で使用されるとき、用語「限定はされないが、内皮細胞、上皮細胞、骨格筋細胞、末梢血単核細胞又はCD3+T細胞を含む、正常ヒト細胞に対する低い結合」は、ヒト腫瘍細胞に対する抗CD47mAb結合の見かけKdよりも10倍以上高い、これらの細胞に対する抗CD47mAb結合の見かけKdを指し、ここで、腫瘍細胞は、OV10hCD47細胞である。
本明細書で使用されるとき、用語「結合がない」又は「NB」とは、限定はされないが、30μg/ml以下の抗CD47mAb濃度で、内皮細胞、上皮細胞、骨格筋細胞、末梢血単核細胞又はCD3+T細胞を含む、正常ヒト細胞に対する測定可能な結合がないことを意味する。
RBCの凝集
赤血球(RBC)凝集又は血球凝集は、RBCが、RBC抗原に対する抗体及びCD47などの細胞表面タンパク質をはじめとする様々な物質とのインキュベーション後に、凝集する、又は互いに凝集するとき起こる同型相互作用である。多くの抗CD47抗体は、濃度依存的に、単離されたヒトRBCの血球凝集をインビトロで引き起こすことが報告されており、例えば、B6H12、BRIC126、MABL-1、MABL-2、CC2C6、及び5F9(Uger R.et al.Cancer Res 2014;74(19 Suppl):Abstract nr 5011、米国特許第9,045,541号明細書、Uno et al.Oncol Rep.17:1189-94,2007;Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004;Sikic B.et al.J Clin Oncol 2016;34(suppl;abstract 3019))が含まれる。この機能的効果は、インタクトな二価抗体によるRBCへの結合を必要とし、抗体断片、すなわち、F(ab’)又はsvFvの何れか(Uno et al.Oncol Rep.17:1189-94,2007;Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004)又はただ1つのCD47結合アームを有する二重特異性抗体(Masternak et al.Cancer Res 2015; 75(15 Suppl):Abstract nr 2482)を作製することにより低減若しくは排除することができる。細胞殺傷をはじめとするこれらの断片の他の機能的特性は、これらの断片において低下するか、又は保持されるかの何れかであることがわかっている(Uno et al.Oncol Rep.17:1189-94,2007;Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004)。マウス抗体2D3は、赤血球上のCD47に結合する抗CD47抗体の一例であるが、血球凝集を引き起こさない(米国特許第9,045,541号明細書、Petrova et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271)。
血球凝集は、SIRPα-Fc融合タンパク質を用いて、他の細胞ではなく、選択的にヒトRBCとの結合を低減することにより、低減/排除されることが立証されている(Uger R. et al.Blood 2013;122(21):3935)。さらに、マウス抗CD47mAb2A1及び2A1のヒト化バージョンは、CD47/SIRPαを阻止することが報告されているが、血球凝集活性を呈示しない(米国特許第9,045,541号明細書)。マウス抗ヒトCD47抗体の集団のうち少数(23のうち3つ)は、ヒトRBCの血球凝集を引き起こさないことが報告された(Pietsch E et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 2470)。従って、本明細書に記載される開示以前に、SIRPαD47結合を阻止し、RBCに対する検出可能な結合がないか、若しくは低く、且つ/又は血球凝集を引き起こさないCD47mAbを同定する必要があった。用語「凝集」は、細胞の凝集を指すが、用語「血球凝集」は、特定の細胞のサブセット、すなわち、RBCの凝集を指す。このように、血球凝集は、1タイプの凝集である。
本明細書で使用されるとき、用語「少ない血球凝集」は、洗浄したRBCアッセイにて1.85μg/ml超の抗CD47mAb濃度での測定可能なhRBCの凝集活性、及び1.85μg/ml以下の濃度で測定可能な活性がないことを意味する。
本明細書で使用されるとき、用語「検出可能な血球凝集がない」は、洗浄したRBCアッセイにて0.3pg/mL以上で、50μg/mL以下の抗CD47mAb濃度でhRBCの測定可能な凝集活性がないことを指す。
本明細書に記載される抗CD47の一部は、ヒトRBCの少ない血球凝集を引き起こすか、又は検出可能な血球凝集を引き起こさない。
免疫原性細胞死
免疫原性細胞死(ICD)の概念は、近年出現した。この形態の細胞死は、非免疫原性細胞死とは異なり、癌細胞由来の抗原に対する免疫応答を刺激する。ICDは、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン及びミトキサントロン)並びにオキサリプラチンなどの特定の化学療法薬により誘導されるが、シスプラチンやその他の化学療法薬では誘導されない。ICDはまた、ボルテゾミブ、強心性配糖体、光線力学療法及び放射線によっても誘導される(Galluzi et al.Nat.Rev.Immunol.17: 97-111,2016)。腫瘍細胞のICDに特有の特徴は、以下の通り、腫瘍細胞表面からの特定のリガンドの放出又は腫瘍細胞表面での曝露である:1)カルレティキュリンのアポトーシス促進性細胞表面曝露、2)アデノシン三リン酸(ATP)の分泌、3)高移動群ボックス1(HMGB1)の放出、4)アネキシンA1放出、5)1型インターフェロン放出及び6)C-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)放出。これらのリガンドは、内在性ダメージ関連分子パターン(DAMP)であり、細胞死関連分子(CDAM)を含む(Kroemer et al.Annu.Rev.Immunol.31:51-72,2013)。重要なことには、ICDの間に誘導されるこれらのリガンドの各々が、パターン認識受容体(PRR)と呼ばれる特定の受容体に結合し、これらが、抗腫瘍免疫応答に寄与する。ATPは、樹状細胞上のプリン受容体:PY2、Gタンパク質結合、2(P2RY2)及びPX2、リガンド依存性イオンチャネル、7(P2RX7)に結合して、それぞれ樹状細胞動員及び活性化を引き起こす。アネキシンA1は、樹状細胞上のホルミルペプチド受容体1(FPR1)に結合して、樹状細胞ホーミングを引き起こす。腫瘍細胞の表面上に発現されるカルレティキュリンは、樹状細胞上のLRP1(CD91)に結合して、樹状細胞による抗原取り込みを促進する。HMGB1は、樹状細胞上のトール様受容体4(TLR4)に結合して、樹状細胞成熟を引き起こす。ICDの構成要素として、腫瘍細胞は、I型インターフェロンを放出して、I型インターフェロン受容体を介したシグナル伝達、並びにエフェクターCXCL3+T細胞の動員を促進するCXCL10の放出をもたらす。総合すると、それぞれの受容体に対するこれらのリガンドの作用は、腫瘍中へのDCの動員、DCによる腫瘍抗原の貪食及びT細胞に対する最適な抗原提示を促進する。Kroemerらは、ICDにより誘発される前述のCDAMの正確な組合せが、抗腫瘍免疫応答の活性化を通常妨げている機構を解消し得ると提唱している(Kroemer et al.Annu Rev Immunol 31:51-72,2013;Galluzi et al.Nat.Rev.Immunol.17:97-111,2016)。ICD誘導様式によりインビトロで処置したマウス腫瘍細胞を同系マウスにインビボで投与すれば、これらは、メモリーを含め、抗腫瘍適応免疫応答をもたらす有効なワクチン接種を提供する。このワクチン接種効果は、これらの試験で使用されるマウスには完全な免疫系が欠如しているため、異種移植腫瘍モデルでは試験することができない。入手可能なデータは、化学療法薬又は放射線により誘導されるICD効果が、癌患者において適応抗腫瘍免疫応答を促進するであろうことを示している。以下にICDの構成要素についてさらに詳しく説明する。
2005年、アントラサイクリン化学療法薬にインビトロで応答して死滅した腫瘍細胞は、アジュバントの非存在下、インビボで投与されると有効な抗腫瘍免疫応答を引き起こしたと報告された(Casares et al.J.Exp.Med.202:16911701,2005)。この免疫応答は、同じ腫瘍の生存細胞による後の再攻撃からマウスを防御し、定着腫瘍の退縮を引き起こした。アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン及びイダルビシン)並びにミトマイシンCは、カスパーゼ活性化により腫瘍細胞のアポトーシスを誘導したが、アントラサイクリンによって誘導されるアポトーシスだけが、免疫原性細胞死を招いた。カスパーゼの阻害は、ドキソルビシンによって誘導される細胞死を阻害しなかったが、ドキソルビシンに応答して死滅する腫瘍細胞の免疫原性を抑制した。ドキソルビシンで処置されたアポトーシス腫瘍細胞により誘発される免疫応答における樹状細胞及びCD8+T細胞の主要な役割は、これらの細胞が欠失すると、免疫応答がインビボで消失したことの実証により証明された。
カルレティキュリンは、小胞体(ER)中の最も豊富なタンパク質の1つである。カルレティキュリンは、アントラサイクリンをはじめとする複数のICD誘導剤に応答して高速でER内腔から癌細胞表面へとアポトーシス促進的に移動することが明らかにされた(Obeid et al.Nat Med.13:54-61,2007;Kroemer et al.Annu.Rev.Immunol.31:51-72,2013)。カルレティキュリンの遮断又はノックダウンは、樹状細胞によるアントラサイクリン処置腫瘍細胞の食作用を抑制し、マウスにおけるそれらの免疫原性を消失させた。アントラサイクリン又はオキサリプラチンによりもたらされるカルレティキュリンの曝露は、ERストレス応答により活性化され、この応答は、PKR様ERキナーゼによる真核翻訳開始因子eIF2αのリン酸化を伴う。カルレティキュリンは、「イートミー(eat-me)」シグナル(Gardai et al.Cell 123:321-334,2005)としての重要な機能を有し、樹状細胞及びマクロファージ上のLRP1(CD91)に結合して、カルレティキュリン発現細胞が、CD47など、ドントイートミー(don’t eat me)シグナルを発現しない限り、カルレティキュリン発現細胞の食作用を引き起こす。カルレティキュリンはまた、抗原提示細胞上のCD91を介してシグナル伝達を行うことにより、炎症性サイトカインの放出を起こすと共に、Th17細胞応答をプログラムする。要約すると、免疫原性細胞死の一部として発現されるカルレティキュリンは、抗原提示細胞を刺激して、死滅細胞を貪食し、それらの抗原をプロセシングして、免疫応答をプライミングする。
カルレティキュリンのほかに、Erp57とも呼ばれるタンパク質ジスルフィド-イソメラーゼA3(PDIA3)も、ミトキサントロン、オキサリプラチンによる処置、及びUVC光線の照射後、ERから腫瘍細胞の表面に移動することがわかっている(Panaretakis et al.Cell Death Differ.15:1499-1509,2008;Panaretakis et al.EMBL J.28:578-590,2009)。アントラサイクリン、ドキソルビシン及びイダルビシンによる処置後、ヒト卵巣癌細胞株、原発性卵巣癌細胞、及びヒト前立腺癌細胞株は、細胞表面カルレティキュリン、HSP70及びHSP90を発現した(Fucikova et al.Cancer Res.71:4821-4833,2011)。HSP70及びHSP90は、抗原提示細胞上のPRR LRP1に結合し;PDIA3が結合するPRRは見出されていない(Galluzi et al.Nat.Rev.Immunol.17:97-111,2016)。
TLR4は、死滅腫瘍細胞のクロスプレゼンテーションのために必要であり、腫瘍抗原プロセシング及び提示を制御することが明らかにされた。TLR4に結合して、これを刺激することがわかっているタンパク質の中でも、HMGB1は、放射線照射又はドキソルビシンによりICDが誘導されたマウス腫瘍細胞によって唯一放出された(Apetoh et al.Nat.Med.13:1050-1059,2007)。マウス腫瘍細胞のドキソルビシン処置によるインビボ抗腫瘍免疫の極めて効率的な誘導は、HMGB1の阻害及びノックアウトTLR4による免疫応答の無効化によって実証される通り、HMGB1及びTLR4の存在を必要とした。これらの前臨床知見は、臨床的に意義がある。TLR4機能喪失型対立遺伝子を有する乳癌患者は、放射線療法及び化学療法の後、正常TLR4対立遺伝子を有する患者よりも急速に再発する。
Ghiringhelliらは、オキサリプラチン、ドキソルビシン及びミトキサントロンによりインビトロで処置されたマウス腫瘍細胞が、ATPを放出したこと、並びにATPが、樹状細胞上のプリン受容体:PY2、Gタンパク質結合、2(P2RY2)及びPX2、リガンド依存性イオンチャネル、7(P2RX7)に結合することを証明した(Ghiringhelli et al.Nat Med 15:1170-1178,2009)。ATPがDC上のP2RX7に結合すると、NOD様受容体ファミリー、ピリンドメイン含有3タンパク質(NLRP3)依存性カスパーゼ-1活性化複合体(インフラマソーム)をトリガーして、インターロイキン-1β(IL-1β)の分泌を可能にするが、これは、死滅腫瘍細胞によるインターフェロンγ産生CD8+T細胞のプライミングに不可欠である。従って、DCによるATP誘発性IL-1β産生は、免疫系が、免疫原性因子として特定の化学療法薬により誘導された細胞死を認識するための重要な因子の1つであると思われる。この論文はまた、TLR4アゴニストにおけるHMGB1もまた、DC中のNLRP3インフラマソームの刺激、及びIL-1βの分泌に寄与することを報告している。これらの前臨床結果は、臨床関連性を有することが証明されており;乳癌コホートにおいて、P2RX7機能喪失型対立遺伝子の存在は、無転移生存率に有意なマイナスの予後影響を有した。ATPがP2RY2に結合すると、腫瘍微小環境への骨髄細胞の動員を引き起こす(Vacchelli et al.Oncoimmunology 5:e1118600,2016)。
Michaudらは、化学療法誘導細胞死の免疫原性のためにオートファジーが必要であることを実証した(Michaud et al.Science 334:1573-1577,2011)。死滅腫瘍細胞からのATPの放出は、オートファジーを必要とし、オートファジーコンピテントであるが、オートファジー欠失ではないマウス腫瘍は、ICDを誘導する化学療法に応答して、樹状細胞及びTリンパ球を腫瘍微小環境中に誘引した。
Maらは、どのようにして化学療法誘導細胞死が、T細胞への効果的な抗原提示をもたらすのかという疑問に取り組んだ(Ma et al.Immunity 38:729-741,2013)。彼らは、特定の種類の腫瘍浸潤リンパ球で、CD11c+CD11b+Ly6Chi細胞が、アントラサイクリンによる抗癌免疫応答の誘導のために特に重要であることを見いだした。死滅癌細胞により放出されたATPは、骨髄細胞を腫瘍中に動員して、CD11c+CD11b+Ly6Chi細胞の局所分化を刺激した。これらの細胞は、腫瘍細胞抗原を捕捉し、呈示すると共に、ナイーブマウスへの養子免疫伝達後に、同じ細胞株の生存腫瘍細胞による攻撃に対して防御を付与する上で特に効果的であることが証明された。
アントラサイクリンは、TLR3の活性化後の腫瘍細胞によるI型インターフェロンの迅速な産生を刺激することがわかっている(Sistugu et al.Nat.Med.20:1301-1309,2014)。I型インターフェロンは、癌細胞上のIFN-α及びIFN-β受容体に結合して、オートクリン及びパラクリンシグナル伝達経路をトリガーし、これによりCXCL10放出をもたらす。Tlr3又はIfnarが欠如した腫瘍は、それぞれI型IFN又はCXCL10が供給されない限り、化学療法に応答することはできなかった。これらの前臨床知見は、臨床的意義を有する。I型IFN遺伝子発現シグネチャーにより、乳癌患者の独立したコホートにおいてアントラサイクリンベースの化学療法に対する臨床応答が予測された。
化学療法誘導性抗癌免疫応答に関与する樹状細胞上の別の受容体:ホルミルペプチド受容体-1が近年見出され、これは、アネキシンA1に結合する(Vacchelli et al.Science 350:972-978,2015)。Vacchelliらは、化学療法に対する応答にマイナスに作用する候補遺伝子異常を見出すためのスクリーンを設計した。彼らは、アジュバント化学療法を受けている乳癌及び大腸癌患者において低い無転移生存率及び全生存率と関連するホルミルペプチド受容体1(FPR1)をコードする遺伝子の機能喪失型対立遺伝子を見出した。アントラサイクリンの治療効果は、抗腫瘍免疫障害のために腫瘍担持Fpr1-/-マウスでは無効化された。FPR1-欠失DCは、死滅腫瘍細胞に接近しなかったため、抗腫瘍T細胞免疫を誘発することができなかった。2つのアントラサイクリン、即ち、ドキソルビシンとミトキサントロンは、FPR1の4つの既知リガンドの1つであるアネキシンA1の分泌を刺激した。FPR1とアネキシンA1は、死滅癌細胞とヒト又はマウス白血球同士の安定した相互作用を促進した。
アントラサイクリン、及びオキサリプラチン以外に、他の薬物が、免疫原性細胞死を誘導することが明らかにされている。臨床で使用されるジゴキシン及びジギトキシンを含む強心性配糖体も、腫瘍細胞の免疫原性細胞死の効果的な誘導剤であることが判明した(Menger et al.Sci Transl Med 4:143ra99,2012)。DAMP発現又は放出を誘導することが報告されている他の化学療法薬及び癌治療薬は、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、シクロホスファミド、パクリタキセル、ボリニスタット及びシスプラチンである(Garg et al.Front.Immunol.588:1-24,2015;Menger et al.Sci.Transl.Med.4:143ra99,2012;Martins et al.Oncogene 30:1147-1158,2011)。重要なことに、これらの結果は臨床的意義を有する。化学療法の間にジゴキシンを投与すると、乳癌、大腸癌、頭部及び頸部癌、並びに肝細胞癌を有する患者の全生存率に有意にプラスの影響をもたらしたが、肺癌及び前立腺癌患者の全生存率を改善することはできなかった。
抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブは、多様なB細胞悪性疾患の転帰を改善した。リツキシマブ(I型抗CD20mAbと呼ばれる)の成功は、オビヌツズマブ及びトシツモマブをはじめとするII型CD20mAbの開発につながった。Cheadleらは、抗CD20mAbによる免疫原性細胞死の誘導を検証した(Cheadle et al.Brit.J.Haematol.162:842-862,2013)。彼らは、オビヌツズマブ及びトシツモマブにより誘導される細胞死が、HMGB1、HSP90及びATPの放出を特徴とする免疫原性細胞死の1形態であることを見出した。I型抗CD20mAbは、HMGB1、HSP90及びATPの放出を起こさなかった。オビヌツズマブで処置したヒト腫瘍細胞株からの上清のインキュベーションは、ヒト樹状細胞の成熟をもたらしたが、これは、樹状細胞に対するHMGB1及びATPの以前記載されている作用と一致する。Cheadleらにより報告された結果とは対照的に、Zhaoらは、I及びII型抗CD20mAbの両方が、ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株からのHMGB1放出を増大したが、ATPの放出又はカルレティキュリンの細胞表面発現は引き起こさなかったと報告した(Zhao et al.Oncotarget 6:27817-27831,2015)。
抗CD47mAbに応答した、DAMPカルレティキュリン、ATP、HMGB1、アネキシンA1、I型インターフェロン放出、CXCL10、PDIA3、HSP70及び/又はHSP90の腫瘍細胞表面からの放出又は腫瘍細胞表面上の曝露は報告されていない。本明細書に開示されるように、抗CD47mAbは、上に挙げたDAMP(ICDの特徴)の腫瘍細胞表面からの放出又は腫瘍細胞表面上の曝露を引き起こし、これは予想外の結果である。これらのDAMPは、治療に有益な適応抗腫瘍免疫応答を促進することが予想される。DAMP放出/発現を引き起こす抗CD47mAbと、免疫原性細胞死効果をもたらす化学療法薬との組合せによって、何れか単独での場合よりも優れた治療利益が達成され得る。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞による細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こす」とは、負の対照抗体、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによるカルレティキュリン発現の統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、用語「の放出」は、分泌と同義であり、ATP、HMGB1、アネキシンA1、I型インターフェロン及びCXCL10の細胞外出現として定義される。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞によるアデノシン三リン酸の放出の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによって引き起こされる上清中のATPの統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞による高移動群ボックス1の放出の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによって引き起こされる上清中のHMGB1の統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞によるI型インターフェロンの放出の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによって引き起こされる上清中のI型インターフェロン又はI型インターフェロンmRNAの統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞によるC-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)の放出の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによって引き起こされる上清中のCXCL10又はCXCL10mRNAの統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞による細胞表面PDIA3発現の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによるPDIA3発現の統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞による細胞表面HSP70発現の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによるHSP70発現の統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
本明細書で開示されるように、「ヒト腫瘍細胞による細胞表面HSP90発現の増大を引き起こす」とは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体又は非処置で得られたバックグラウンドと比較して、可溶性抗CD47mAbによるHSP90発現の統計的に有意な増加(p<0.05以上)を意味する。
抗CD47mAb結合のpH依存性
特に血液コンパートメント中で、正常細胞に対するほとんどの抗体結合は、生理的pH(pH7.2~7.4)で起こる。従って、治療mAbの結合親和性は、通常、生理的pHのインビトロで評価される。しかし、腫瘍微小環境(TME)は、本質的により酸性であり、pH値は7.0未満である。これは、乳酸の生成及びATPの加水分解を招く低酸素症、嫌気的解糖を含むいくつかの違いに起因すると思われる(Tannock and Rotin,Cancer Res 1989;Song et al, Cancer Drug Discovery and Development 2006;Chen and Pagel,Advan Radiol 2015)。酸性pHは、侵入性、転移挙動、長期的オートファジー、化学療法薬に対する耐性並びに腫瘍微小環境における免疫細胞の効力低下を促進することにより、腫瘍に利点をもたらし得る(Estrella et al,Cancer Res 2013;Wojtkowiak et al,Cancer Res,2012;Song et al,Cancer Drug Discovery and Development,2006;Barar,BioImpacts,2012)。しかし、酸性pHで高い結合親和性の特性を有する抗CD47抗体を同定すれば、正常細胞と比較して酸性のTME内の腫瘍細胞上のCD47との結合を高めるという治療利点がもたらされるであろう。pH依存性を有する抗体は、抗体再利用を目的として、作製されている。しかし、酸性pHでの結合を増大するという特性を呈示するのとは対照的に、これらは、生理的pHでそれらの標的抗原と高い親和性で結合するが、酸性pHではその標的を放出する(Bonvin et al,mAbs 2015;Igawa and Hattori,Biochem biophys Acta 2014)。
本明細書で開示されるように、「生理的pHと比較して酸性pHでCD47に対し高い親和性を有する」とは、生理的pH(7.2~7.4)と比較してより酸性pH(<7.2)で5倍以上増大した見かけKdを指す。
機能的特性の組合せ
本明細書に記載される抗CD47抗体のいくつかの実施形態は、さらに、ヒトの治療での使用に提案される従来技術の抗CD47抗体により呈示されない特性の組合せも特徴とする。従って、本明細書に記載される抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大すると共に;
d.感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導すること
を特徴とする。
本明細書に記載される別の実施形態では、抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大し、
d.感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導すると共に;
e.ヒト赤血球(hRBC)の検出可能な凝集を引き起こさないこと
を特徴とする。
本明細書に記載されるさらに別の実施形態では、抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大し、
d.感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導すると共に;
e.ヒト赤血球(hRBC)の少ない凝集を引き起こすこと
を特徴とする。
本明細書に記載される別の実施形態では、抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に特異的に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大し、
d.感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導すると共に;
e.低いhRBC結合を有すること
を特徴とする。
本明細書に記載される別の実施形態では、抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大し、
d.ヒト赤血球(hRBC)の検出可能な凝集を引き起こさないと共に;
e.hRBCに対して最小結合を有すること
を特徴とする。
本明細書に記載される別の実施形態では、抗CD47抗体は、以下:
a.ヒトCD47に特異的に結合し、
b.ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し、
c.ヒト腫瘍細胞の食作用を増大し、
d.ヒト赤血球(hRBC)の検出可能な凝集を引き起こさないと共に;
e.低いhRBC結合を有すること
を特徴とする。
本明細書に記載される別の実施形態では、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、及びラットCD47に結合する。
本明細書に記載されるまた別の実施形態では、モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、非ヒト霊長類CD47にも特異的に結合し、ここで、非ヒト霊長類としては、限定されないが、カニクイザル、ミドリザル、アカゲザル及びリスザルが挙げられる。
本明細書に記載される一実施形態では、抗CD47モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、以下に挙げる特性の1つ又は複数をさらに有し得る:1)CD47の1種若しくは複数種のホモログと交差反応性を示す;2)CD47とそのリガンドSIRPα同士の相互作用を阻止する;3)ヒト腫瘍細胞の食作用を増大する;4)感受性ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導する;5)ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導しない;6)ヒト赤血球(hRBC)に対して低い結合、若しくは最小結合を有さない;7)hRBCに対して低い結合を有する;8)hRBCに対して最小結合を有する;9)hRBCの低い凝集を起こす;10)hRBCの検出可能な凝集を引き起こさない;11)一酸化窒素(NO)経路のTSP1阻害を逆転させる;12)NO経路のTSP1阻害を逆転させない;13)ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こす;14)ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こさない;15)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こす;16)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こさない;17)ヒト腫瘍細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)放出の増大を引き起こす;18)ヒト腫瘍細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)放出の増大を引き起こさない;19)ヒト腫瘍細胞による高移動群ボックス1(HMGB1)放出の増大を引き起こす;20)ヒト腫瘍細胞による高移動群ボックス1(HMGB1)放出の増大を引き起こさない;21)ヒト腫瘍細胞によるI型インターフェロン放出の増大を引き起こす;22)ヒト腫瘍細胞によるI型インターフェロン放出の増大を引き起こさない;23)ヒト腫瘍細胞によるC-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)放出の増大を引き起こす;24)ヒト腫瘍細胞によるC-X-Cモチーフケモカインリガンド10(CXCL10)放出の増大を引き起こさない;25)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼA3(PDIA3)発現の増大を引き起こす;26)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼA3(PDIA3)発現の増大を引き起こさない;27)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質70(HSP70)発現の増大を引き起こす;28)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質70(HSP70)発現の増大を引き起こさない;29)ヒト腫瘍細胞上の細胞表面熱ショックタンパク質90(HSP90)発現の増大を引き起こす;30)ヒト腫瘍細胞上での細胞表面熱ショックタンパク質90(HSP90)発現の増大を引き起こさない;31)限定はされないが、内皮細胞、骨格筋細胞、上皮細胞、及び末梢血単核細胞(例えば、ヒト大動脈内皮細胞、ヒト骨格筋細胞、ヒト微小血管内皮細胞、ヒト尿細管上皮細胞、ヒト末梢血CD3+細胞、及びヒト末梢血単核細胞)を含む、正常ヒト細胞に対して低い結合を有する;32)限定はされないが、内皮細胞、骨格筋細胞、上皮細胞、及び末梢血単核細胞(例えば、ヒト大動脈内皮細胞、ヒト骨格筋細胞、ヒト微小血管内皮細胞、ヒト尿細管上皮細胞、ヒト末梢血CD3+細胞、及びヒト末梢血単核細胞)を含む、正常ヒト細胞に対して低い結合を有さない;33)生理的pHと比較して酸性pHのヒトCD47に対し、より高い親和性を有する;34)生理的pHと比較して酸性pHのヒトCD47に対し、より高い親和性を有さない;並びに35)ヒト腫瘍細胞によるアネキシンA1放出の増大を引き起こす。
一部の実施形態では、以下:ヒトCD47に結合し;ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し;ヒト腫瘍細胞の食作用を増大すると共に;ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導するモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片が提供され、ここで、前記モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、細胞上のCD47に対してpH依存的結合を呈示する。他の実施形態では、本開示は、以下:ヒトCD47に結合し;ヒトCD47に対するSIRPαの結合を阻止し;ヒト腫瘍細胞の食作用を増大すると共に;ヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導するモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片が提供され、ここで、前記モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、正常細胞に対して低い結合を呈示する。一部の実施形態では、こうした抗体が結合し得る細胞は、本明細書に記載する任意の細胞型であってよい。他の実施形態では、本明細書に記載するモノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、本開示に記載される特徴の任意の組合せを呈示しうる。例えば、モノクローナル抗体は、pH依存的結合及び細胞に対する低い結合の両方を呈示し得る。これらの細胞は、内皮細胞、骨格筋細胞、上皮細胞、PBMC又はRBC(例えば、ヒト大動脈内皮細胞、ヒト骨格筋細胞、ヒト微小血管内皮細胞、ヒト尿細管上皮細胞、ヒト末梢血CD3+細胞、ヒト末梢血単核細胞若しくはヒトRBC)であってよい。こうした特徴は、個別に、又は本明細書に記載される任意の組合せで呈示されてもよい。本明細書で使用されるとき、本開示の抗体のpH依存的結合とは、抗体に対し特定のpHで改変された結合、例えば、酸性pHで高い結合親和性を呈示する抗体を指す。
CD47抗体
多くのヒトの癌は、CD47の細胞表面発現を上方調節するため、最も高いレベルのCD47を発現する癌が、最も攻撃的で、患者の致死率が最も高いと思われる。増大したCD47発現は、CD47担持細胞の食作用を妨げる阻害受容体であるSIRPαを介してマクロファージに「don’t eat me」シグナルを送ることにより、食作用によるクリアランスから癌細胞を保護すると考えられる(Oldenborg et al. Science 288:2051-2054,2000;Jaiswal et al.(2009)Cell 138(2):271-85l;Chao et al.(2010)Science Translational Medicine 2(63):63ra94)。従って、多くの癌によるCD47発現の増大は、癌に「利己主義」の口実を与え、これが、マクロファージ及び樹状細胞による食作用によるそれらのクリアランスを遅らせる。
CD47を阻止し、SIRPαとの結合を妨げる抗体は、マウス(異種移植片)腫瘍モデル中のヒト腫瘍において効果を示している。この特性を呈示するこうした阻止抗CD47mAbは、マクロファージによる癌細胞の食作用を増大し、これによって、腫瘍負荷を低減することができる(Majeti et al.(2009)Cell 138(2):286-99;米国特許第9,045,541号明細書;Willingham et al.(2012)Proc Natl Acad.Sci.USA 109(17):6662-6667;Xiao et al.(2015)Cancer Letters 360:302-309;Chao et al.(2012)Cell 142:699-713;Kim et al.(2012)Leukemia 26:2538-2545)。
抗CD47mAbはまた、インビボで腫瘍に対する適応免疫応答を促進することも明らかにされている(Tseng et al.(2013)PNAS 110(27):11103-11108;Soto-Pantoja et al.(2014)Cancer Res.74(23):6771-6783;Liu et al.(2015)Nat. Med.21(10):1209-1215)。
しかしながら、抗CD47mAbが形質転換細胞を攻撃することができる機構があり、それらは、癌の治療にまだ利用されていない。多くのグループが、特定の抗ヒトCD47mAbがヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導することを明らかにしている。抗CD47mAb Ad22は、複数のヒト腫瘍細胞株の細胞死を誘導する(Pettersen et al.J.Immunol.166:4931-4942,2001;Lamy et al.J.Biol.Chem.278:23915-23921,2003)。AD22は、早期のホスファチジルセリン曝露及びミトコンドリア膜電位の降下によって、急速なミトコンドリア不全及び急速な細胞死を誘導することがわかっている(Lamy et al.J.Biol.Chem.278:23915-23921,2003)。抗CD47mAb MABL-2及びその断片は、インビトロで、ヒト白血病細胞株の細胞死を誘導するが、正常細胞の細胞死は誘導せず、インビボ異種移植片モデルでは、抗腫瘍効果を有した(Uno et al. (2007)Oncol.Rep.17 (5):1189-94)。抗ヒトCD47mAb 1F7は、ヒトT細胞白血病(Manna and Frazier(2003)J.Immunol.170:3544-53)及び複数の乳癌(Manna and Frazier(2004)Cancer Research 64(3):1026-36)の細胞死を誘導する。1F7は、補体の作用、又はNK細胞、T細胞、若しくはマクロファージによる細胞媒介性殺傷なしで、CD47担持腫瘍細胞を殺傷する。その代わり、抗CD47mAb 1F7は、ミトコンドリアへの直接のCD47依存的攻撃を伴う非アポトーシス機構を介して作用し、その膜電位を放出させ、細胞のATP生成能力を破壊することにより、急速な細胞死を引き起こす。抗CD47mAb 1F7が、やはりCD47を発現する静止白血球を殺傷せず、形質転換により「活性化」される細胞だけを殺傷することは注目に値する。このように、正常な循環細胞(その多くが、CD47を発現する)は、殺傷を免れるが、癌細胞は、腫瘍傷害性CD47mAbにより選択的に殺傷される(Manna and Frazier(2003)J.Immunol.170:3544-53)。この機構は、単にCD47/SIRPα結合を阻止することによって食作用を起こす受動的機構とは対照的に、腫瘍細胞に対する率先した、選択的且つ直接的攻撃として考えることができる。重要なことには、mAb 1F7は、SIRPαとCD47の結合も阻止する(Rebres et al et al.J.Cellular Physiol.205:182-193,2005)ことから、2つの機構:(1)直接の腫瘍毒性、及び(2)癌細胞の食作用の発生によって作用することができる。両方の機能を達成することができる単一mAbは、CD47/SIRPα結合だけを阻止するものより優れていると考えられる。
癌の治療に抗CD47mAbを利用することができる別の機構は、抗腫瘍免疫応答の促進によるものである。抗CD47mAbが、腫瘍細胞にDAMPを放出させ、これが、DCの成熟、活性化及びホーミング、並びにT細胞の誘引を引き起こすという発見は、抗CD47mAb治療を、治療に望ましい抗腫瘍免疫応答の発生と関係付けるものである。抗CD47mAbは、これまでに、ATP、HMGB1、アネキシンA1、I型インターフェロン及びCXCL10の腫瘍細胞放出、並びにカルレティキュリン、PDIA3、HSP70及びHSP90の腫瘍細胞発現を引き起こすことが明らかにされている。
組織虚血期間の後、血流の開始は、「虚血再灌流傷害」若しくは「IRI」と呼ばれる損傷を引き起こす。IRIは、一定の時間にわたり血流を停止する必要があったためにIRIが起こる様々な外科的処置において、治療介入により血流が止められ、後に回復される外傷の様々な形態/原因において、並びに臓器移植、心臓/肺バイパス手術、切断身体部分の再付着、再建及び美容手術、並びに血流の停止及び再開を伴う他の状況などに必要な処置において、予後不良に寄与する。虚血自体は、様々な生理学的変化を引き起こし、それ自体で、最終的には細胞及び組織壊死、ひいては死を招く。再灌流は、活性酸素種の発生、血栓症、炎症及びサイトカイン媒介性損傷をはじめとする、それ自体の一連の損傷事象を引き起こす。TSP1-CD47系により制限される経路は、NO経路をはじめとする、IRIの損傷に取り組む上でまさに最も有益なものである。このように、本明細書に開示される抗体を用いるなどしてTSP1-CD47経路を阻止すれば、これらの内在性保護経路のより頑健な機能状態がもたらされるであろう。抗CD47mAbは、腎温虚血(Rogers et al.J Am Soc Nephrol.23:1538-1550,2012)、肝虚血再灌流傷害(Isenberg et al.Surgery.144:752-761,2008)、腎移植(Lin et al.Transplantation.98:394-401,2014;Rogers et al.Kidney Interantional.90:334-347,2016))及び脂肪肝をはじめとする肝移植(Xiao et al.Liver Transpl.21:468-477,2015;Xiao et al.Transplantation.100:1480-1489,2016)のげっ歯類モデルにおいて臓器損傷を軽減することが立証されている。さらに、抗CD47mAbは、肺動脈高血圧のモノクロタリンモデルにおいて、右心室収縮期圧及び右心室肥大の有意な軽減をもたらした(Bauer et al.Cardiovasc Res.93:682-693,2012)。皮膚弁モデルの研究は、抗CD47mAbを用いるなどしたCD47のモジュレーションが、TSP1媒介性CD47シグナル伝達を阻害することを証明した。これによって、NO経路の活性が増大し、IRIの軽減をもたらした(Maxhimer et al.Plast Reconstr Surg.124:1880-1889,2009;Isenberg et al.Arterioscler Throm Vasc Biol.27:2582-2588,2007;Isenberg et al. Curr Drug Targets.9:833-841,2008;Isenberg et al.Ann Surg.247:180-190,2008)
また、抗CD47mAbは、他の心血管疾患のモデルにおいて効果的であることもわかっている。圧負荷左心室心不全のマウス大動脈縮窄モデルにおいて、抗CD47mAbは、心筋肥大を軽減し、左心室線維症を低減し、左心室重量の増加を予防し、心室硬度を低下させると共に、圧容積ループプロフィールの変化を正常化した(Sharifi-Sanjani et al.J Am Heart Assoc.,2014)。抗CD47mAbは、複数のマウスモデルにおいて動脈硬化を改善した(Kojima et al.Nature.,2016)。
癌適用
限定されないが、下記を含む感受性血液癌及び固形腫瘍を有する患者に好ましくは非経口的に投与することができる癌治療薬として有効な抗CD47mAb及びその抗原結合断片が本明細書に開示される:全身性肥満細胞症、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、T細胞ALL、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄増殖性疾患/腫瘍、単球性白血病、及びプラズマ細胞白血病をはじめとする白血病;多発性骨髄腫(MM);ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(Waldenstrom’s Macroglobulinemia);ホジキンリンパ腫、並びに例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大病変(bulky diseases)NHLなどの非ホジキンリンパ腫をはじめとする、組織球性リンパ腫及びT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫を含むリンパ腫;卵巣癌、乳癌、子宮内膜癌、結腸癌(大腸癌)、直腸癌、膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌(非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌)、気管支癌、骨癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、肝細胞癌(肝臓癌、肝癌)、胆嚢癌、胆管癌、食道癌、腎細胞癌、甲状腺癌、頭部及び頚部の扁平上皮癌(頭部及び頚部癌)、精巣癌、内分泌腺癌、副腎腺癌、脳下垂体癌、皮膚癌、軟組織の癌、血管の癌、脳腫瘍、神経癌、眼の癌、髄膜癌、中咽頭癌、下咽頭癌、子宮頸癌、及び子宮癌、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、ガストリノーマ、神経芽細胞腫、骨髄異形成症候群などの固形腫瘍、並びに限定されないが、骨肉腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、胞巣状軟部肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、及び軟骨肉腫などの肉腫;並びに黒色腫。
癌の治療
当業者には公知のように、単剤療法又は処置が、疾患若しくは病状を治療する、又は治癒させる上で十分でない場合もあることから、癌治療には往々にして併用療法が使用される。従来の癌治療は、多くの場合、相加若しくは相乗効果を達成するための手術、放射線治療、細胞傷害性薬物の組合せの投与、並びにこれらのアプローチの何れか若しくは全部の組合せを含む。特に有用な化学療法及び生物学的療法の併用では、様々な作用機構を介して機能する薬物を使用して、癌細胞の制御若しくは殺傷を増大し、癌細胞の成長を制御する免疫系の能力を増大し、療法中の薬物耐性の可能性を低減すると共に、個々の薬物の低用量の使用を可能にすることによって、考えられる毒性の重複を最小限にする。
本方法に包含される併用療法に有用な抗癌、抗腫瘍、及び抗新生物薬のクラスは、例えば、以下:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Twelfth Edition(2010)L.L.Brunton,B.A.Chabner,and B.C.Knollmann Eds.,Section VIII,“Chemotherapy of Neoplastic Diseases”,Chapters 60-63,pp.1665-1770,McGraw-Hill,NYに開示されており、例えば、アントラサイクリン、白金、タキソール、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、及びアルキル化剤、天然産物、多種多様な薬剤、ホルモン及びアンタゴニスト、標的薬、モノクローナル抗体並びにその他のタンパク質治療薬が挙げられる。
上記に加えて、本開示の方法は、癌適用の治療に関し、手術、放射線により、及び/又は限定されないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸治療薬をはじめとする、腫瘍状態を治療するために通常使用されているか、若しくは現在開発中の化学小分子又は生物学的製剤を有効量で、そうした治療が必要な患者に投与することによって、患者を治療することをさらに含む。これは、本明細書に開示されるもの以外に、抗体及び抗原結合断片、サイトカイン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びmiRNAが挙げられる。
本明細書に開示され、請求される治療法は、本明細書に開示される抗体を単独で、及び/又は互いに組み合わせて、及び/又はCD47に結合する本開示のその抗原結合断片と一緒に、及び/又は適切な生物/治療活性を呈示する競合抗体と一緒に使用すること、並びに例えば最大の治療効果を達成するためのこれらの抗体化合物のあらゆる組合せの使用を含む。
さらに、本開示の治療方法は、これらの抗体、その抗原結合断片、競合抗体及びそれらの組合せと、具体的な適用について所望の治療効果を達成するために適切に組み合わせた(1)手術、放射線、抗腫瘍薬、抗悪性腫瘍薬、抗癌剤及びこれらの何れかの組合せから選択される何れか1種若しくは複数種の抗腫瘍薬治療、又は(2)何れか1種若しくは複数種の抗腫瘍生物剤、又は(3)当業者には明らかな(1)若しくは(2)の何れかの同等物との併用も包含する。
腫瘍抗原に対するT細胞応答に影響を与える共刺激若しくは阻害相互作用をモジュレートすることによって癌への免疫応答を増大する抗体及び小分子薬物(免疫チェックポイントの阻害剤及び共刺激分子のモジュレータなど)もまた、本開示に包含される併用療法に関して特に有利であり、このようなものとして、限定されないが、他の抗CD47抗体がある。CD47タンパク質に結合する治療薬、例えば、CD47に結合して、CD47及びSIRPα同士の相互作用を防止する抗体又は小分子の投与を患者に投与すると、食作用による癌細胞のクリアランスが起こる。CD47タンパク質に結合する治療薬は、限定はされないが、以下:CD70(クラスター分類70)、CD200(OX-2膜糖タンパク質、クラスター分類200)、CD154(クラスター分類154、CD40L、CD40リガンド、クラスター分類40リガンド)、CD223(リンパ球活性化遺伝子3、LAG3、クラスター分類223)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、GITR(TNFRSF18、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質、活性化誘導性TNFRファミリー受容体、AITR、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18)、CD28(クラスター分類28)、CD40(クラスター分類40、Bp50、CDW40、TNFRSF5、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、p50)、CD86(B7-2、クラスター分類86)、CD160(クラスター分類160、BY55、NK1、NK28)、CD258(LIGHT、クラスター分類258、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー14、TNFSF14、HVEML、HVEMリガンド、ヘルペスウイルスエントリーメディエータリガンド、LTg)、CD270(HVEM、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14、ヘルペスウイルスエントリーメディエータ、クラスター分類270、LIGHTR、HVEA)、CD275(ICOSL、ICOSリガンド、誘導性T細胞共刺激リガンド、クラスター分類275)、CD276(B7-H3、B7ホモログ3、クラスター分類276)、OX40L(OX40リガンド)、B7-H4(B7ホモログ4、VTCN1、Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害剤1)、GITRL(グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体-リガンド、グルココルチコイド誘導TNFRリガンド)、4-1BBL(4-1BBリガンド)、CD3(クラスター分類3、T3D)、CD25(IL2Rα、クラスター分類25、インターロイキン-2受容体α鎖、IL-2受容体α鎖)、CD48(クラスター分類48、Bリンパ球活性化マーカ、BLAST-1、シグナル伝達リンパ球活性化分子2、SLAMF2)、CD66a(Ceacam-1、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1、胆汁糖タンパク質、BGP、BGP1、BGPI、クラスター分類66a)、CD80(B7-1、クラスター分類80)、CD94(クラスター分類94)、NKG2A(ナチュラルキラー群2A、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーDメンバー1、KLRD1)、CD96(クラスター分類96、TActILE、T細胞活性化増大後期発現)、CD112(PVRL2、ネクチン、ポリオウイルス受容体関連2、ヘルペスウイルスエントリーメディエータB、HVEB、ネクチン-2、クラスター分類112)、CD115(CSF1R、コロニー刺激因子1受容体、マクロファージコロニー刺激因子受容体、M-CSFR、クラスター分類115)、CD205(DEC-205、LY75、リンパ球抗原75、クラスター分類205)、CD226(DNAM1、クラスター分類226、DNAX補助分子-1、PTA1、血小板及びT細胞活性化抗原1)、CD244(クラスター分類244、ナチュラルキラー細胞受容体2B4)、CD262(DR5、TrailR2、TRAIL-R2、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b、TNFRSF10B、クラスター分類262、KILLER、TRICK2、TRICKB、ZTNFR9、TRICK2A、TRICK2B)、CD284(トール様受容体-4、TLR4、クラスター分類284)、CD288(トール様受容体-8、TLR8、クラスター分類288)、TNFSF15(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー15、血管内皮細胞増殖因子、VEGI、TL1A)、TDO2(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ、TPH2、TRPO)、IGF-1R(1型インスリン様増殖因子)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、TMIGD2(貫膜及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質2)、RGMB(RGMドメインファミリー、メンバーB)、VISTA(T細胞活性化のV-ドメイン免疫グロブリン含有抑制物質、B7-H5、B7ホモログ5)、BTNL2(ブチロフィリン様タンパク質2)、Btn(ブチロフィリンファミリー)、TIGIT(Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、Vstm3、WUCAM)、シグレック(Siglec)(シアル酸結合Ig様レクチン)、ニューロフィリン(Neurophilin)、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体)、ILTファミリー(LIR、免疫グロブリン様転写物ファミリー、白血球免疫グロブリン様受容体)、NKGファミリー(ナチュラルキラー群ファミリー、C型レクチン貫膜受容体)、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子β)、STING経路(インターフェロン遺伝子経路の刺激因子)、アルギナーゼ(Arginase)(アルギニンアミジナーゼ、カナバナーゼ、L-アルギナーゼ、アルギニントランスアミジナーゼ)、EGFRvIII(上皮成長因子受容体変異体III)、及びHHLA2(B7-H7、B7y、HERV-H LTR結合タンパク質2、B7ホモログ7)のうち1つ又は複数の別の細胞標的に対する本明細書に開示の抗体、化学小分子若しくは生物学的製剤などの治療薬と併用され、また、以下:PD-1(プログラム細胞死タンパク質1、PD-1、CD279、クラスター分類279)、PD-L1(B7-H1、B7ホモログ1、プログラム細胞死リガンド1、CD274、クラスター分類274)、PD-L2(B7-DC、プログラム細胞死1リガンド2、PDCD1LG2、CD273、クラスター分類273)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4、CD152、クラスター分類152)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエータ、CD272、クラスター分類272)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO、IDO1)、TIM3(HAVCR2、A型肝炎ウイルス細胞受容体2、T細胞免疫グロブリンムチン-3、KIM-3、肝障害分子3、TIMD-3、T細胞免疫グロブリンムチン-ドメイン3)、A2Aアデノシン受容体(ADO受容体)、CD39(細胞外ヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1、クラスター分類39、ENTPD1)、並びにCD73(細胞外5’-ヌクレオチダーゼ、5’-ヌクレオチダーゼ、5’-NT、クラスター分類73)、CD27(クラスター分類27)、ICOS(CD278、クラスター分類278、誘導性T細胞共刺激因子)、CD137(4-1BB、クラスター分類137、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9、TNFRSF9)、OX40(CD134、クラスター分類134)、並びにTNFSF25(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー25)の阻害剤も、抗体、小分子、及びアゴニストを含め、本発明で特に考慮される。さらに別の薬剤として、IL-10(インターロイキン-10、ヒトサイトカイン合成阻害因子、CSIF)及びガレクチンがある。
YERVOY(登録商標)(イピリムマブ;Bristol-Meyers Squibb)は、承認された抗CTLA-4抗体の一例である。
KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)及びOPDIVO(登録商標)(ニボルマブ;Bristol-Meyers Squibb Company)は、承認された抗PD-1抗体の一例である。
TECENTRIQ(登録商標)(アテゾリズマブ;Roche)は、承認された抗PD-L1抗体の一例である。
BAVENCIO(登録商標)(アベルマブ(avelumab),Merck KGaA,Pfizer,and Eli Lilly and Company)は、承認された抗PD-L1抗体の一例である。
IMFINZI(登録商標)(デュルバルマブ:Medimmune/AstraZeneca)は、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)とPD-1及びCD80(B7.1)分子との相互作用を阻止する承認されたモノクローナル抗体の一例である。
マウス軽鎖可変ドメイン
マウス重鎖可変ドメイン
ヒト軽鎖可変ドメイン
ヒト重鎖可変ドメイン
ヒトIgG-Fc
ウサギIgG-Fc
キメラ及びヒト軽鎖
キメラ及びヒト重鎖
実施例2
CD47抗体の生成
本明細書に開示されるキメラ抗体は、ヒトκ又はヒトFcIgG1、IgG1-N297Q、IgG2、IgG4、IgG4 S228P、及びIgG4 PE定常ドメインとそれぞれ組み合わせた、マウス重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。これらは、分泌シグナルを組み込むように設計し、哺乳類発現系にクローニングした後、キメラ(マウス-ヒト)抗体を産生するようにCHO細胞にトランスフェクトした。キメラ変異体は、完全長IgG分子として発現させ、培地に分泌させた後、プロテインAを用いて精製した。
抗体をヒト化する複数の方法が当業者には周知である。本明細書に使用されるようなこうした方法の1つは、これまでに記載されている(Making and Using Antibodies a Practical Handbook,Second Edition,Ed.Matthew R.Kase,Chapter 15:Humanization of Antibodies,Juan Carlos Almagro et al.,CRC Press 2013)。このように、本明細書に開示されるヒト化抗体は、ヒトゲノムに由来するフレームワークを含む。この集団は、ヒト生殖細胞系配列に見出される多様性を含み、インビボで機能的に発現される抗体を産生する。マウス及びキメラ(マウス-ヒト)の軽鎖及び重鎖可変領域における相補性決定領域(CDR)が本明細書に記載されており、これらは、“Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains”,In:Antibody Engineering Lab Manual,eds.S.Duebel and R.Kontermann,Springer-Verlag,Heidelberg(2001))に開示されている一般に認められた法則により決定した。次に、ヒト軽鎖可変ドメインを設計した。続いて、ヒト化可変ドメインを分泌シグナル並びにヒトκ及びヒトFcIgG1、IgG1-N297Q、IgG2、IgG3、IgG4 S228P及びIgG4 PE定常ドメインと組み合わせて、哺乳類発現系にクローニングした後、ヒト化mAbを産生するようにCHO細胞にトランスフェクトした。ヒト化変異体は、完全長IgG分子として発現させ、培地に分泌させた後、プロテインAを用いて精製した。
アスパラギンをグルタミンに変更する重鎖297位の部位指定突然変異誘発によって、非グリコシル化バージョン(IgG1-N297Q)を作出した(ヒトFcIgG1-N297Q、配列番号54)。セリンをプロリンに変更し、これによりインビボFabアーム交換を防止するように、228位での部位指定突然変異誘発によって、IgG4変異体を作出した。Fabアーム交換を妨げると共に、Fcエフェクター機能をさらに低減するように、228位(セリンからプロリン)及び235位(ロイシンからグルタミン)での部位指定突然変異誘発によってIgG4二重突然変異体を作出した。ヒトIgG2、IgG3、IgG4 S228P、及びIgG4PE定常ドメインと同じフレーム内で重鎖可変ドメインをクローニングすることによって、IgG2、IgG3、IgG4 S228P、及びIgG4PEアイソタイプを構築した(ヒトFc-IgG2、配列番号56;ヒトFc-IgG3、配列番号57;ヒトFc-IgG4 S228P、配列番号59;ヒトFc-IgG4PE、配列番号60)。
実施例3
CD47モノクローナル抗体(mAb)の結合
本開示のキメラ(マウス-ヒト)及びヒト化抗体の結合は、ヒトCD47でトランスフェクトしたOV10細胞(OV10hCD47)又は新しく単離したヒト赤血球(hRBC)(その表面にCD47を展示する)を用いたELISAにより決定した(Kamel et al.(2010)Blood.Transfus.8(4):260-266)。
細胞表面ヒトCD47を発現するヒトOV10hCD47細胞によるセルベースELISAアッセイを用いて、VLX4、VLX8、及びVLX9キメラ(xi)並びにヒト化mAbの結合活性を決定した。10%熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;S01520)を含有するIMDM培地中で、OV10hCD47細胞を増殖させた。アッセイの1日前に、3×104個の細胞を96ウェルセルバインドプレート(Corning ♯3300,VWR ♯66025-626)にプレーティングして、アッセイ時に95~100%密集とした。細胞を洗浄し、様々な濃度の精製抗体を95%O2/5%CO2下、37℃で1時間IMDM中に添加しインキュベートした。次に、細胞を培地で洗浄し、培地で1/2500倍希釈したHRP標識二次抗ヒト抗体(Promega)と一緒に37℃でさらに1時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄してから、ペルオキシダーゼ基質3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを添加した(Sigma;カタログ#T4444)。0.7NまでのHClの添加によって反応を停止させた後、TecanモデルInfinite M200プレートリーダを用いて、450nMでの吸光度を決定する。ヒトOV10hCD47細胞に対するこれらのクローンの見かけ結合親和性を、非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)によって決定した。
また、hRBC上のヒトCD47に対するキメラ及びヒト化VLX4、VLX8、及びVLX9mAbの結合活性も、フローサイトメトリーを用いて決定した。健常なボランティアから血液を採取し、2.5mM EDTA(PBS+E)を含有するリン酸緩衝食塩水、pH7.2で、RBCを3回洗浄した。PBS+E中の様々な濃度のキメラ又はヒト化抗体と一緒に、hRBCを37℃で60分間インキュベートした。次に、細胞を常温PBS+Eで洗浄してから、PBS+E中のFITC標識ロバ抗ヒト抗体(Jackson Immuno Research Labs,West Grove,PA;Catalogue♯709-096-149)と一緒に氷上でさらに1時間インキュベートした。細胞をPBS+Eで洗浄し、C6 Accuri Flow Cytometer(Becton Dickinson)を用いて抗体結合を分析し、様々な抗体濃度で、蛍光強度中央値の非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)によって見かけ結合親和性を決定した。
VLX4キメラ(マウス-ヒト)mAbは全て、ヒトOV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモル(pM)範囲の見かけ親和性で結合した(表1)。
同様に、ヒト化VLX4mAbは、濃度依存的様式で(図1A及び図1B)ヒトOV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモルから低ナノモル範囲の見かけ結合親和性で結合した(表2)。
キメラVLX4mAbは全て、ヒトRBCと、ピコモル範囲の見かけKd値で結合し、これらは、ELISAによりOV10hCD47腫瘍細胞について得られたKd値と類似していた(表1)。
ヒト化VLX4mAb:VLX4hum_01 IgG1 N297Q、VLX4hum_02 IgG1 N297Q、VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_02 IgG4PE、VLX4hum_12 IgG4PE、及びVLX4hum_13 IgG4PEは、OV10hCD47腫瘍細胞について得られた値と類似するKd値で、ヒトRBCと結合したが、VLX4hum_06 IgG4PE及びVLX4hum_07 IgG4PEは、hRBCに対して低い結合を示した(図2A、図2B、及び表2)。VLX4 IgG4PEキメラmAbは、腫瘍及びRBC CD47の双方と、同様の見かけKd値で結合した(表1)ため、腫瘍細胞及びRBCに対するヒト化mAbの結合の差は予想外であった。
表1に示すように、VLX8キメラmAbは全て、濃度依存的様式で、ヒトOV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモル(pM)範囲の見かけ親和性で結合した。
同様に、ヒト化VLX8mAbは、濃度依存的様式で(図3A及び図3B)ヒトOV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモル範囲の見かけ親和性で結合した(表2)。
VLX8キメラmAbは全て、hRBCと、ピコモル範囲の見かけKd値で結合し、これらの値は、ELISAによりOV10hCD47腫瘍細胞について得られた見かけKd値と類似していた(表1)。
VLX8ヒト化mAb:VLX8hum_01 IgG4 PE、VLX8hum_02 IgG4 PE、VLX8hum_03 IgG4 PE、VLX8hum_04 IgG4 PE、VLX8hum_05 IgG4 PE、及びVLX8hum_06 IgG4 PE、VLX8hum_07 IgG4 PE、VLX8hum_08 IgG4 PE、VLX8hum_09 IgG4 PE、VLX8hum_11 IgG4 PE、VLX8hum_06 IgG2、VLX8hum_07 IgG2、VLX8hum_08並びにVLX8hum_09 IgG2 IgG2は、OV10hCD47腫瘍細胞について得られた値と類似するKd値で、ヒトRBCと結合したが、VLX8hum_10 IgG4PEは、hRBCに対し、より低い結合を示した(図4A、図4B、及び表2)。VLX8 IgG4PEキメラmAbは、腫瘍細胞及びRBC CD47の両方と、同様の見かけKd値で結合した(表1)ため、腫瘍細胞及びRBCに対するヒト化mAbの結合の差は予想外であった。
表1は、ヒトOV10hCD47細胞及びヒトRBCに対するVLX9キメラmAbの見かけ結合親和性を示す。キメラmAbは全て、OV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモル範囲の見かけ結合定数で結合した。同様に、ヒト化VLX9mAbは、濃度依存的様式で(図5A及び図5B)ヒトOV10hCD47腫瘍細胞と、ピコモルからナノモル範囲の見かけ親和性で結合した(表2)。
VLX9キメラmAbは全て、hRBCと、ピコモル範囲の見かけKd値で結合し、これらは、ELISAによりOV10hCD47腫瘍細胞について得られた見かけKd値と類似していた(表1)。キメラmAbとは対照的に、VLX9ヒト化mAb:VLX9hum_01 IgG2、VLX9hum_02 IgG2及びVLX9hum_07 IgG2は、ヒトRBCに対して低い結合を示した(図7、表2)。対照的に、ヒト化mAb:VLX9hum_03 IgG2、VLX9hum_04 IgG2、VLX9hum_05 IgG2、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2、VLX9hum_09 IgG2及びVLX9hum_10 IgG2は、5,000pM以下のRBCに対して測定可能な結合を全く示さなかった(表2)。VLX9 IgG2キメラmAbは全て、腫瘍及びRBC CD47の両方と、同様の見かけKd値で結合した(表1)ため、腫瘍細胞及びRBCに対するヒト化mAbの結合の差は予想外であった。
Jurkat野生型及びJurkatCD47ノックアウト(KO)細胞を用いて、CD47ヒト化mAbの特異的な結合が実証された。Jurkat野生型及びJurkatCD47 KO細胞を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;S01520)を含有するRPMI培地中で増殖させた。細胞を洗浄してから、1×104個の細胞を培地に再懸濁させ、5%CO2下、様々な濃度の抗体と一緒に37℃で1時間インキュベートした。次に、細胞を1×PBSで2回洗浄してから、5%CO2下、37℃で1時間かけて、二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG(H+L)FITC標識、Jackson Labs,109-095-003)中に1:1000で再懸濁させた。次に、細胞を1×PBSで2回洗浄してから、1×PBS中に再懸濁させた。フローサイトメトリーにより蛍光強度中央値を決定し、非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)によって見かけ結合親和性を決定した。
図6に示すように、VLX4hum_07 IgG4PE(図6A)及びVLX9hum_09 IgG2(図6B)は、CD47を発現するJurkat細胞と結合したが、Jurkat CD47KO細胞との結合は観察されない。
フローサイトメトリーを用いて、ヒト化VLX4、VLX8、及びVLX9mAbの異種間結合を決定した。リン酸緩衝食塩水、pH7.2、2.5mM EDTA(PBS+E)の溶液中の様々な濃度のヒト化抗体と一緒に、マウス、ラット、ウサギ又はカニクイザルRBCを37℃で60分間インキュベートした。次に、細胞を常温PBS+Eで洗浄してから、PBS+E中のFITC標識ロバ抗ヒト抗体(Jackson Immuno Research Labs,West Grove,PA;カタログ#709-096-149)と一緒に氷上でさらに1時間インキュベートした。細胞をPBS+Eで洗浄し、C6 Accuri Flow Cytometer(Becton Dickinson)を用いて抗体結合を分析した。
表3は、様々な抗体濃度で、蛍光強度中央値の非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)によって決定したマウス、ラット、及びカニクイザル由来のRBCに対するヒト化VLX4及びVLX8mAbの見かけ結合親和性を示す。このデータは、ヒト化VLX4及びVLX8mAbが、マウス、ラット、ウサギ(データを示していない)又はカニクイザルRBCと、ピコモルからナノモル範囲の見かけKd値で結合することを明らかにしている。
実施例4
表面プラズモン共鳴によって決定されるヒト化抗CD47mAbの結合
Biacore 2000上の表面プラズモン共鳴により、組換えヒトHis-CD47に対する可溶性抗CD47mAbの結合をインビトロで測定した。抗ヒトIgG(GE Lifesciences)は、フローセル1及び2上のCM5チップに連結したアミンである。HBS-EP
+泳動バッファー(pH7.2)で希釈したヒト化mAb:VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_08 IgG2又はVLX9hum_03 IgG2をフローセル2上で捕捉した。HBS-EP
+泳動バッファー(pH7.2)で希釈した0~1000nMHisタグ付きヒトCD47(Acro Biosystems)を用い、接触時間180秒及び解離時間300秒でマルチサイクルカイネティクスを測定した。結合曲線の速度論的解析のために、1:1結合モデルを使用した。VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2についての結合速度、解離速度及び解離定数を表4に示す。
実施例5
抗CD47mAbの異なる結合
本明細書に記載する一部の可溶性CD47抗体は、正常細胞に対し結合が異なることが明らかにされている。この選択性結合の更なる特性は、等しい親和性で正常細胞及び腫瘍細胞と結合するmAbと比較して、利点を有することが予想される。このような低い結合を有する抗CD47mAbは、記載されていない。
可溶性抗CD47mAbによる結合をインビトロで測定する。VLX4、VLX8、及びVLX9ヒト化mAbの結合活性は、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)、ヒト骨格筋細胞(SkMC)、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVEC-L)、ヒト尿細管上皮細胞(RTEC)、CD3+細胞又は末梢血単核細胞(PBMC)について、フローサイトメトリーによる結合アッセイを用いて決定した。HAEC、SkMC、HMVEC-L及びRTEC細胞は、Lonzaから購入し、製造者の推奨事項に従って培養した。アクターゼを用いて、付着細胞を培養フラスコから除去し、推奨培地に再懸濁させ、1×104個の細胞を様々な濃度の抗体と一緒に37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。非付着細胞の場合、1×104個の細胞を推奨培地に再懸濁させ、様々な濃度の抗体と一緒に37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。次に、細胞を1×PBSで2回洗浄してから、37℃、5%CO2で1時間かけて、二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG(H+L)-FITC標識、Jackson Labs,109-095-003)中に1:1000で再懸濁させた。
PBMCをフィコール勾配により単離し、PBSで希釈した様々な濃度の抗体の添加の直前に、製造者の推奨事項に従って、FcR遮断剤(Miltenyi Biotec)と一緒に4℃で10分間インキュベートした。FITC標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体と同時に添加したアロフィコシアニン(APC)標識抗CD3抗体(BD BioScience)を用いて、CD3細胞を検出した。細胞を1×PBSで2回洗浄し、抗体結合をフローサイトメトリーにより評価した。
図8Aに示すように、VLX4及びVLX8ヒト化mAbはHAEC細胞と結合したが、VLX9ヒト化mAbは、腫瘍細胞と比較して、HAECに対する結合が低いか、又は最小であった(表5)。VLX9ヒト化mAbはまた、腫瘍細胞に対する結合と比較して、SkMC細胞に対して低い結合(図8B)、HMVEC-L細胞に対して低いか、又は最小の結合(図8C)、RPTEC細胞に対して低い結合(図8D)を示した(表5)。VLX9ヒト化mAbの低い結合はまた、腫瘍細胞と比較して、CD3
+細胞(図8E)及びPBMC(図8F)に対しても観察された(表5)。この選択性結合は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
実施例6
ヒト化抗CD47mAbのpH依存的及び非依存的結合
本明細書に記載する一部の可溶性CD47抗体は、生理的pHと比較して、高い親和性で酸性pHの腫瘍細胞に結合することが明らかにされている。この付加的な特性は、一部には腫瘍微小環境の酸性性質のために、酸性及び生理的pHのいずれでもCD47に同様の親和性で結合するmAbと比較して、利点を有することが予想される(Tannock and Rotin,Cancer Res 1989;Song et al.Cancer Drug Discovery and Development 2006;Chen and Pagel,Advan Radiol 2015)。
固定化組換えヒトCD47及び細胞に発現されたヒトCD47に対する可溶性抗CD47mAbによる結合をインビトロで測定した。組換えCD47とのインビトロ結合のために、His-CD47(AcroBiosystems)を高結合マイクロタイタープレートに4℃で一晩吸着させた。ウェルを洗浄し、pH6又はpH8何れかのバッファーを含むウェルに様々な濃度の抗CD47mAbを添加した。ウェルを洗浄し、HRP標識二次抗体と一緒にpH6又はpH8で1時間インキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質を添加した。非線形フィットモデル(GraphPad Prism)を用いて、見かけ親和性を計算した。
Biacore 2000を用いた表面プラズモン共鳴によるpH依存的結合の分析のために、抗ヒトIgG(GE Lifesciences)は、フローセル1及び2上のCM5チップに連結したアミンである。Fcタグ付けヒトCD47(Acro Biosystems)をPBS-EP+泳動バッファー(pH7.5、6.5又は6.0)で希釈し、フローセル2上で捕捉した。PBS-EP+泳動バッファー(pH7.5、6.5又は6.0)で希釈した0~100nMのVLX8hum_11Fab又はVLX9hum_08Fabを用い、接触時間180秒及び解離時間300秒でマルチサイクルカイネティクスを測定した。結合曲線の速度論的解析のために、1:1結合モデルを使用した。
CD47を発現する細胞とのインビトロ結合のために、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;S01520)を含有するRPMI培地中でJurkat細胞を増殖させた。細胞を洗浄してから、2%FBSを添加したpH7.4又はpH6.5何れかのPBSに、1×104個の細胞を再懸濁させ、様々な濃度の抗体と一緒に37℃で1時間インキュベートした。次に、細胞を2回洗浄してから、37℃で1時間かけて、pH6又はpH8何れかの二次抗体(Alexa488で標識したヤギ抗ヒトIgG(H+L)、JacksonImmunoresearch)の1:1000で再懸濁させた。次に、細胞を2回洗浄した後、フローサイトメトリーにより蛍光強度中央値を決定した。非線形フィット(Prism GraphPadソフトウェア)によって見かけ結合親和性を決定した。
図9A及び図9Bに示すように、可溶性VLX9ヒト化mAb(VLX9hum_09 IgG2及びVLX9hum_04 IgG2)は、pH8.0よりも酸性のpH6.0において、より高い親和性でHis-CD47に結合した。VLX4hum_07 IgG4PE(図9C)又はVLX8hum_10 IgG4PE(図9D)のいずれも、pH依存的結合を示さなかった。加えて、マウスVLX9抗体、並びにアイソタイプIgG1、IgG2及びIgG4PE由来のヒトFcを含むVLX9キメラ抗体は、pH依存性を示さなかった(表6)が、IgG1、IgG2又はIgG4PEの何れかとしてのVLX9hum_04は、酸性pHで、His-CD47に対してより高い結合を示した(表7)。組換えヒトCD47に対する別のヒト化mAbの見かけ結合親和性を表8に示す。全てのヒト化VLX9がpH依存的結合を示したのに対して、VLX4及びVLX8ヒト化mAbは示さなかった。結合速度、解離速度及び解離定数に対するpHの作用を決定するために、pH6、pH6.5及びpH7.5で、ヒト化mAb:VLX8hum_11Fab断片及びVLX9hum_08FabについてBiacore分析を実施した。VLX9hum_08Fabは、pHが低下するにつれて増加するpH依存的結合を示したが、VLX8hum_11Fabは示さなかった。VLX8hum_11Fab及びVLX9hum_08Fabについての結合速度、解離速度及び解離定数を表9に示す。表10は、Jurkat細胞に発現されたCD47に対してVLX9hum_04 IgG2により呈示されるpH依存的結合を示す。VLX4hum_07 IgG4PEによってpH依存的結合は全く呈示されなかった。VLX9ヒト化mAbのこのpH依存性は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益をもたらす。
実施例7
CD47抗体は、CD47/SIRPα結合を阻止する
インビトロでCD47とSIRPαの結合に対するヒト化CD47mAbの作用を評価するために、CD47を発現するJurkat細胞への蛍光標識SIRPα-Fc融合タンパク質の結合を用いて、次の方法を使用した。
Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット(Invitrogen Cat No.A20186)を用いて製造者の明細書に従い、SIRPα-Fc融合タンパク質(R&D Systems,cat#4546-SA)を標識した。1.5×106個のJurkat細胞を、10%培地を含有するRPMI中のヒト化mAb(5μg/ml)、ヒト対照抗体、又は培地のみと一緒に37℃で30分インキュベートした。等量の蛍光標識SIRPα-Fc融合タンパク質を添加し、37℃でさらに30分間インキュベートした。細胞をPBSで1回洗浄し、Jurkat細胞に結合した標識SIRPα-Fcの量をフローサイトメトリーにより分析した。
図10に示すように、ヒト化VLX4、VLX8及びVLX9mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_10 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_03 IgG2、VLX9hum_06 IgG2及びVLX9hum_08 IgG2)は、Jurkat細胞に発現されたCD47と可溶性SIRPαの相互作用を阻止したが、ヒト対照抗体(CD47と結合しない)又は培地のみは、CD47/SIRPα相互作用を阻止しなかった。
実施例8
CD47抗体は、食作用を増大する
インビトロでマクロファージによる腫瘍細胞の食作用に対するキメラ(マウス-ヒト)及びヒト化VLX4、VLX8、及びVLX9CD47mAbの作用を評価するために、フローサイトメトリーを用いて、次の方法を使用した(Willingham et al.(2012)Proc Natl Acad Sci USA 109(17):6662-7及びTseng et al.(2013)Proc Natl Acad Sci USA 110(27):11103-8)。
ヒト由来のマクロファージを健常なヒト末梢血の白血球除去から取得し、AIM-V培地(Life Technologies)中に7~10日にわたってインキュベートした。インビトロ食作用アッセイの場合、96ウェルプレート内の100ulのAIM-V培地中にウェル当たり1×104細胞の濃度でマクロファージを再プレーティングし、24時間にわたって付着させた。一旦エフェクターマクロファージが培養皿に付着したら、標的ヒト癌細胞(Jurkat)を1μMの5(6)-カルボキシフルオレセイン二酢酸N-サクシニミジルエステル(CFSE;Sigma Aldrich)で標識してから、1mlのAIM-V培地中に5×104細胞の濃度で(5:1の標的:エフェクター比)マクロファージ培養物に添加した。標的とエフェクター細胞の混合直後に、VLX4、VLX8、及びVLX9CD47mAb(1μg/ml)を添加して、37℃で2~3時間インキュベートさせた。2~3時間後、全ての貪食されていない細胞を除去し、残った細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS;Sigma Aldrich)で3回洗浄した。次に、細胞をトリプシン処理し、微小遠心管中に収集して、100ngのアロフィコシアニン(APC)標識CD14抗体(BD Biosciences)中で30分間インキュベートし、1回洗浄してから、完全な食作用を示すCFSE+でもあるCD14+細胞のパーセンテージについてフローサイトメトリー(Accuri C6;BD Biosciences)により分析した。
図11に示すように、VLX4キメラmAb:VLX4 IgG1 xi、VLX4 IgG1 N297Q xi、VLX4 IgG4PE xi、及びVLX4 IgG4 S228P xiは、CD47/SIRPα相互作用を阻止することによってヒトマクロファージによるJurkat細胞の食作用を増大したが、この増大した食作用は、Fc機能とは独立している。
同様に、図12A及び図12Bに示すように、VLX4hum_01 IgG1、VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_06 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX4hum_12 IgG4PE、及びVLX4hum_13 IgG4PEは、CD47/SIRPα相互作用を阻止することによってヒトマクロファージによるJurkat細胞の食作用を増大した。この増大した食作用は、Fc機能とは独立している。
図13Aに示すように、VLX8キメラmAb:VLX8 IgG1 N297Q xi及びVLX8 IgG4PE xiは、CD47/SIRPα相互作用を阻止することによって、ヒトマクロファージによるJurkat細胞の食作用を増大した。この増大した食作用は、Fc機能とは独立している。
同様に、図13Bに示すように、VLX8hum_01 IgG4PE、VLX8hum_03 IgG4PE、VLX8hum_07 IgG4PE、VLX8hum_08 IgG4PE、及びVLX8hum_09 IgG4PE並びにキメラmAb:VLX8 IgG4PE xiは、CD47/SIRPα相互作用を阻止することによってヒトマクロファージによるJurkat細胞の食作用を増大した。
図14Aに示すように、VLX9 IgG1 N297Q xi、VLX9 IgG2 xi及びVLX9 IgG4PE xiキメラmAbは全て、CD47/SIRPα相互作用を阻止することによって、ヒトマクロファージによるJurkat細胞の食作用を増大した。この増大した食作用は、Fcエフェクター機能とは独立している。同様に、図14Bに示すように、ヒト化VLX9 IgG2mAb(VLX9hum_01~_10 IgG2)は全て、Jurkat細胞の食作用を増大した。
実施例9
可溶性CD47抗体による細胞死の誘導
一部の可溶性CD47抗体は、腫瘍細胞の選択的細胞死を誘導することがわかっている。この癌細胞に対する選択的毒性という追加的特性は、CD47へのSIRPαの結合を阻止するだけのmAbと比較して、利点を有すると考えられる。
可溶性抗CD47mAbによる細胞死の誘導は、インビトロで測定される(Manna et al.(2003)J.Immunol.107(7):3544-53,Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004),Pettersen et al.J.Immuno.162: 7031-7040,1999),Manna et al.Cancer Research,64:1026-1036,2004)。インビトロ細胞死アッセイのために、1×105個の形質転換ヒトT細胞(Jurkat細胞)を可溶性ヒト化VLX4、VLX8、及びVLX9CD47mAb(1μg/ml)と一緒に37℃で24時間インキュベートした。細胞死が起こると、ミトコンドリア膜電位が低下し、細胞膜の内葉が反転して、ホスファチジルセリン(PS)が曝露され、ヨウ化プロピジウム(PI)又は7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)が核DNAに組み込まれることが可能になる。これらの細胞の変化を検出するために、続いて、細胞を蛍光標識アネキシンV及びPI又は7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)(BD Biosciences)で染色した後、Accuri C6フローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて、シグナルを検出した。PS曝露の増加は、アネキシンVシグナルの増加率(%)を測定することにより決定し、細胞死率(%)は、PI又は7-AADシグナルの増加率(%)を測定することにより決定する。アネキシンV陽性(アネキシンV+)又はアネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞は、細胞死の早期に観察され、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)細胞は、死滅細胞である。治療目的のために重要なことに、これらのmAbは、腫瘍細胞の細胞死を直接誘導し、殺傷のために補体又は他の細胞(例えば、NK細胞、T細胞、若しくはマクロファージ)の介入を必要としない。このように、この機構は、他の細胞及びFcエフェクター機能の両者から独立している。従って、これらのmAbから作製される治療用抗体は、ADCC及びCDCなどのFcエフェクター機能を低減し、それによって、インタクトなFcエフェクター機能を有するヒト化mAbに共通する副作用の可能性を制限するように操作することができる。
図15A~図15Fに示すように、可溶性VLX4ヒト化mAbは、アネキシンV+(図15A及び図15D)、アネキシンV+/7-AAD-(図15B及び図15E)、又はアネキシンV+/7-AAD+(図15C及び図15F)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、PS曝露の増加及びJurkat細胞の細胞死を誘導した。ヒト化mAb:VLX4hum_01 IgG1、VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_02 IgG1、VLX4hum_02 IgG4PE、VLX4hum_06 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX4hum_12 IgG4PE、及びVLX4hum_13 IgG4PEは、PS曝露及び細胞死の増加を引き起こした。対照的に、ヒト化mAb:VLX4hum_08 IgG4PE及びVLX4hum_11 IgG4PEは、PS曝露及びJurkat細胞の細胞死の増加を引き起こさなかった。細胞死の誘導及び感受性癌細胞の食作用の促進は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
図16A~図16Fに示すように、可溶性VLX8キメラ及びヒト化mAbは、アネキシンV+(図16A、図16D)、アネキシンV+/7-AAD-(図16B、図16E)、又はアネキシンV+/7-AAD+(図16C、図16F)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を誘導した。キメラmAbであるVLX8 IgG1 N297Q xi及びVLX8 IgG4PE xi、並びにヒト化mAbであるVLX8hum_07 IgG4PE及びVLX8hum_08 IgG4PEは、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を引き起こした。対照的に、ヒト化mAb:VLX8hum_02 IgG4PE及びVLX8hum_04 IgG4PEは、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を引き起こさなかった。細胞死の誘導及び感受性癌細胞の食作用の促進は、癌の治療において追加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
図17A~図17Fに示すように、可溶性VLX9キメラ抗体は、アネキシンV+(図17A及び図17D)、アネキシンV+/7-AAD-(図17B及び図17E)、又はアネキシンV+/7-AAD+(図17C及び図17F)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を誘導した。キメラVLX9 IgG2ximAb並びにヒト化mAb:VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_07 IgG2、VLX9hum_08 IgG2、及びVLX9hum_09 IgG2は、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を誘導した。対照的に、ヒト化mAb:VLX9hum_01 IgG2、VLX9hum_02 IgG2、VLX9hum_03 IgG2、VLX9hum_04 IgG2、VLX9hum_05 IgG2及びVLX9hum_010 IgG2は、増大したPS曝露及びJurkat細胞の細胞死を引き起こさなかった。細胞死の誘導及び感受性癌細胞の食作用の促進は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。重要なことには、腫瘍細胞の細胞死を引き起こすキメラ及びヒト化mAbは、正常細胞の細胞死を起こさない。
実施例10
ヒト化抗CD47mAbにより引き起こされるダメージ関連分子パターン(DAMP)発現及び放出、ミトコンドリア脱分極並びに細胞死
ヒト化抗CD47mAbは、ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、以前記載されている(Manna and Frazier,2014 Journal of Immunology 170(7):3544-3553)通り、腫瘍細胞のミトコンドリア膜電位の喪失を誘導する能力を呈示することを実証する。
腫瘍細胞のミトコンドリア膜電位の喪失は、JC-1色素(Thermo;カタログ#M34152)を用いて決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用する。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイの場合、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中でラージ細胞を1×105細胞/mlの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。ミトコンドリア膜電位喪失の正の対照として、細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、PBSで2回洗浄してから、前述したJC-1色素と一緒に30分間インキュベートし、PBS中で1:2000希釈した。30分後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させた後、フローサイトメトリーにより、その蛍光発光を赤から緑にシフトする細胞のパーセントについて分析した(Accuri C6,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6で、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、腫瘍細胞においてミトコンドリア膜電位の喪失を誘導する。図18に示すように、抗CD47mAbで処置した全培養物において、ミトコンドリア膜脱分極を有する細胞のパーセントは、アイソタイプ対照と比較して、有意に高かった(p<0.05)。ミトコンドリア膜脱分極のこのような増加は、抗CD47キメラ又はヒト化抗体が、ヒト腫瘍細胞の細胞死を招くミトコンドリア脱分極を誘導することを実証している。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、例えば、Obeid et al.(2007)Nat.Med.13(1):54-61によって開示される通り、ドキソルビシン及びミトキサントロンなどの化学療法薬アントラサイクリンを用いて、これまでに記載されているように、腫瘍細胞の表面上に小胞体常在シャペロンであるカルレティキュリンを曝露する能力を呈示することを実証する。
カルレティキュリンの細胞表面曝露は、Alexa Fluor 647(Abcam;カタログ♯ab196159)に結合したカルレティキュリンに対するウサギモノクローナル抗体を用いて決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用する。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2、VLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。カルレティキュリン曝露の正の対照として、細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、PBSで2回洗浄してから、前述した抗カルレティキュリン抗体と一緒に30分間インキュベートし、PBS中で1:200希釈した。30分後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させた後、フローサイトメトリーにより、抗カルレティキュリン抗体シグナルの平均蛍光強度、並びに細胞表面カルレティキュリンに対して陽性染色する細胞のパーセントについて分析した(Accuri C6,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
図19に示すように、ヒト化抗体は、腫瘍細胞表面上のカルレティキュリンのアポトーシス促進性曝露を誘導した。全ての抗CD47mAb処置培養物中のカルレティキュリン陽性細胞のパーセントは、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上でのカルレティキュリン曝露のこの増加は、ヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導し、これが、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証している。
ヒト化抗CD47mAbは、タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼ3(PDIA3)発現の増大を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、例えば、Panaretakis et al.(2008)Cell Death & Differentiation 15:1499-1509によって開示される通り、ドキソルビシン及びミトキサントロンなどの化学療法薬アントラサイクリンを用いて、以前記載されているように、腫瘍細胞の表面上に小胞体常在シャペロンであるPDIA3を曝露する能力を呈示することを実証する。
PDIA3の細胞表面曝露は、FITC(Abcam;カタログ♯ab183396)に結合したPDIA3に対するマウスモノクローナル抗体を用いて決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest,カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。PDIA3曝露の正の対照として、細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。ラージ細胞を37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、PBSで2回洗浄してから、前述した抗PDIA3抗体と一緒に30分間インキュベートし、PBS中で1:200希釈した。30分後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させた後、フローサイトメトリーにより、抗PDIA3抗体シグナルの平均蛍光強度、並びに細胞表面カルレティキュリンに対して陽性染色する細胞のパーセントについて分析した(Accuri C6,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、腫瘍細胞表面上のPDIA3のアポトーシス促進性曝露を誘導する。図20に示すように、全ての可溶性抗CD47mAb処置培養物中のPDIA3陽性細胞のパーセントは、負の対照、ヒト化アイソタイプ適合抗体を用いて得られたバックグラウンドと比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上でのPDIA3曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導し、これが、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証している。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面HSP70発現の増大を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、例えば、Fucikova et al.(2011)Cancer Research 71(14):4821-4833によって開示される通り、ドキソルビシン及びミトキサントロンなどの化学療法薬アントラサイクリンを用いて、これまでに記載されているように、腫瘍細胞の表面上に小胞体常在シャペロンであるHSP70を曝露する能力を呈示することを実証する。
HSP70の細胞表面曝露は、フィコエリスリン(Abcam;カタログ♯ab65174)に結合したHSP70に対するマウスモノクローナル抗体を用いて決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。HSP70曝露の正の対照として、ラージ細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、PBSで2回洗浄してから、前述した抗HSP70抗体と一緒に30分間インキュベートし、PBS中で1:200希釈した。30分後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させた後、フローサイトメトリーにより、抗HSP70抗体シグナルの平均蛍光強度、並びに細胞表面カルレティキュリンについて陽性染色する細胞のパーセントについて分析した(Accuri C6,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、腫瘍細胞表面上のHSP70のアポトーシス促進性曝露を誘導した。図21に示すように、全ての抗CD47mAb処置培養物中のHSP70陽性細胞のパーセントは、アイソタイプ対照処置培養物で認められたものと比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上でのHSP70曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導し、これが、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証している。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面HSP90発現の増大を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、例えば、Fucikova et al.(2011)Cancer Research 71(14):4821-4833によって開示される通り、ドキソルビシン及びミトキサントロンなどの化学療法薬アントラサイクリンを用いて、これまでに記載されているように、腫瘍細胞の表面上に小胞体常在シャペロンであるHSP70を曝露することを実証する。
HSP90の細胞表面曝露は、フィコエリスリン(Abcam;カタログ♯ab65174)に結合したHSP70に対するマウスモノクローナル抗体を用いて決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイの場合、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。HSP90曝露の正の対照として、細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。ラージ細胞を37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、PBSで2回洗浄してから、前述した抗HSP70抗体と一緒に30分間インキュベートし、PBS中で1:200希釈した。30分後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBS中に再懸濁させた後、フローサイトメトリーにより、抗HSP70抗体シグナルの平均蛍光強度、並びに細胞表面カルレティキュリンに対して陽性染色する細胞のパーセントについて分析した(Accuri C6,Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、腫瘍細胞表面上のHSP90のアポトーシス促進性曝露を誘導した。図22に示すように、可溶性抗CD47mAb処置培養物中のHSP90陽性細胞のパーセントは、VLXhum_06 IgG2及びVLX4hum_01 IgG4PE(ns、有意ではない)を除き、負の対照である、ヒト化アイソタイプ適合抗体を用いて得られたバックグラウンドと比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上でのHSP90曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導し、これが、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証している。
ヒト化抗CD47mAbは、ATP放出の増大を引き起こす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、アントラサイクリン化学療法薬を用いて、これまでに記載されている(Martins et al.,2014 Cell Death and Differentiation 21:79-91)ように、腫瘍細胞からのアデノシン三リン酸(ATP)の放出増大を誘導することを実証する。
腫瘍細胞からのATPの放出は、定量的生物発光アッセイにより、製造者による記載(Molecular Probes;カタログ#A22066)の通りに決定する。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03)、並びに対照キメラ抗体は、10μg/mlの最終濃度で添加した。ATP放出の正の対照として、細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、無細胞上清を収集し、-80℃で保存した。全てのサンプルを収集した後、10μlの各サンプルを前述したATP定量キットにより検定した。実験値を標準曲線と比較することにより最終濃度を決定し、抗体処置に応答して腫瘍細胞により放出されるATPの濃度(μM)として表示した。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
ヒト化抗体は、腫瘍細胞からのATPの放出を増大した。図23に示すように、全ての抗CD47mAb処置培養物において放出されたATPの量は、アイソタイプ対照と比較して有意に増加した(p<0.05)。ATP放出のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からのATPの放出を誘導し、これが、そのコグネイトプリン受容体を介して樹状細胞の遊走を招き得ることを実証する。
ヒト化抗CD47mAbは、HMGB1放出を引き起こす
これらの実験では、本開示のヒト化抗CD47mAbが、化学療法薬、例えば、オキサリプラチン(Tesniere et al.,2010 Oncogene,29:482-491)及びミトキサントロン(Michaud et al.,2011 Science 334:1573-1577)を用いて、これまでに記載されているように、腫瘍細胞からの非ヒストンクロマチンタンパク質高移動群ボックス1(HMGB1)の放出を増大することを実証するものである。
腫瘍細胞からのHMGB1タンパク質の放出は、酵素イムノアッセイにより、製造者による記載(IBL International; Hamburg,Germany,カタログ#ST51011)の通りに決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイの場合、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
続いて、前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体を10μg/mlの最終濃度で添加する。HMGB放出の正の対照として、ラージ細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、無細胞上清を収集し、-80℃で保存した。全てのサンプルを収集した後、10μlの各サンプルを前述したHMGB1 ELISAにより検定した。実験値を標準曲線と比較することにより最終濃度を決定し、抗体処置に応答して腫瘍細胞により放出されるHMGB1の濃度(ng/ml)として記録した。結果は平均±SEMとして表し、GraphPad Prism 6により、ANOVAを用いて統計的有意性について解析した。
図24に示すように、ヒト化抗体は、腫瘍細胞からのHMGB1タンパク質の放出を増大した。全ての抗CD47mAb処置培養物において放出されたHMGB1タンパク質の量は、VLX9hum_06 IgG2(ns、有意ではない)を除き、アイソタイプ対照と比較して有意に増加した(p<0.05)。HMGB1放出のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からのDAMPの放出を誘導し、これが、樹状細胞の活性化を招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、CXCL10放出を引き起こす
これらの実験では、本開示のヒト化抗CD47mAbが、アントラサイクリン化学療法薬(Sistigu et al.,2014 Nat.Med.20(11):1301-1309)を用いて、これまでに記載されているように、ヒト腫瘍細胞からのケモカインリガンドCXCL10の産生及び放出を増大することを実証する。
腫瘍細胞からのCXCL10の放出は、酵素イムノアッセイにより、製造者による記載(R&D Systems;カタログ#DIP100)の通りに決定した。ヒトラージ(Raji)リンパ腫細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CCL-86)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。5%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイの場合、96ウェル組織培養プレートにおいて、5%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で平板培養した。
前述したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)、並びに対照キメラ抗体を10μg/mlの最終濃度で添加した。CXCL10放出の正の対照として、ラージ細胞を1μMの化学療法薬アントラサイクリンのミトキサントロンで処置した。細胞を37℃で24時間インキュベートした後、無細胞上清を収集し、-80℃で保存した。全てのサンプルを収集した後、10μlの各サンプルを前述したCXCL10 ELISAにより検定した。実験値を標準曲線と比較することにより最終濃度を決定し、抗体処置に応答して腫瘍細胞により放出されるCXCL10の濃度(pg/ml)として表示した。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、ヒト腫瘍細胞からのCXCL10の放出を誘導する。図25に示すように、全ての抗CD47mAb処置培養物において放出されたCXCL10の量は、アイソタイプ対照と比較して有意に増加した(p<0.05)。CXCL10放出のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からのCXCL10の放出を誘導することを実証し、腫瘍に対する免疫細胞の動員における役割を示唆している。
実施例11
ヒト化抗CD47mAbにより引き起こされるダメージ関連分子パターン(DAMP)発現及び放出、ミトコンドリア脱分極及び細胞死
これらの試験は、ヒトJurkat T ALL細胞株(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯TIB-152)を用いた以外は、実施例10に記載する通りに実施した。
ヒト化抗CD47mAbは、ミトコンドリア膜電位の喪失を引き起こす
図26に示すように、ヒト化mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)は、アイソタイプ対照と比較して、ミトコンドリア膜脱分極を有する細胞のパーセントの有意な増加(p<0.05)を引き起こした。ミトコンドリア膜脱分極のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部がヒト腫瘍細胞の細胞死を誘導することを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面カルレティキュリン発現の増大を引き起こす
図27に示すように、ヒト化抗体(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)は、腫瘍細胞表面上のカルレティキュリンのアポトーシス促進性曝露を誘導した。全ての抗CD47mAb処置培養物中のカルレティキュリン陽性細胞のパーセントは、VLX9hum_03 IgG2(ns)を除き、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上のカルレティキュリン曝露のこの増加は、ヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導して、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面PDIA3発現の増大を引き起こす
図28に示すように、可溶性抗CD47mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)で処置した培養物中のPDIA3陽性細胞のパーセントは、負の対照のヒト化アイソタイプ適合抗体を用いて得られたバックグラウンドと比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上のPDIA3曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導して、自然免疫細胞による腫瘍細胞の食作用及び腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面HSP70発現の増大を引き起こす
図29に示すように、抗CD47mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)で処置した培養物中のHSP70陽性細胞のパーセントは、アイソタイプ対照で処置した培養物で認められたものと比較して、有意に増加した(p<0.05)。抗CD47mAbの各々は、HSP70発現の統計的に有意な増大をもたらしたが、ミトキサントロンはもたらさなかった。細胞表面上のHSP70曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導して、腫瘍細胞の食作用及び自然免疫細胞による腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、細胞表面HSP90発現の増大を引き起こす
図30に示すように、可溶性抗CD47mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)で処置した培養物中のHSP90陽性細胞のパーセントは、負の対照のヒト化アイソタイプ適合抗体を用いて得られたバックグラウンドと比較して、有意に増加した(p<0.05)。細胞表面上でのHSP90曝露のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導して、腫瘍細胞の食作用及び自然免疫細胞による腫瘍抗原のプロセシングを招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、ATP放出の増大を引き起こす
図31に示すように、ヒト化抗CD47mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)処置培養物中の放出されたATPの量は、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05)。抗CD47mAbの各々は、HSP70発現の統計的に有意な増大をもたらしたが、ミトキサントロンはもたらさなかった(ns)。ATP放出のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からのATPの放出を誘導して、そのコグネイトプリン受容体を介した樹状細胞遊走を招き得ることを実証するものである。
ヒト化抗CD47mAbは、HMGB1放出の増大を引き起こす
図32に示すように、抗CD47mAb(VLX4hum_01 IgG4PE、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX8hum_11 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、VLX9hum_08 IgG2及びVLX9hum_03 IgG2)処置培養物中の放出されたHMGB1タンパク質のパーセントは、VLX4hum_01 IgG4PE(ns)を除き、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05)。HMGB1放出のこの増加は、キメラ又はヒト化抗体の一部が、腫瘍細胞からDAMPを誘導し、樹状細胞の活性化を招き得ることを実証するものである。
実施例12
ヒト化抗CD47mAbと化学療法薬の併用療法は、相加効果又は相乗効果をもたらす。
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、臨床的に関連する化学療法薬と組み合わせたとき、相加効果又は相乗効果をもたらして、ヒト腫瘍細胞の免疫原性細胞死を誘導することを実証する。
併用薬相加的/相乗的効果は、漸増濃度のヒト化抗CD47mAb:VLX4hum_07 IgG4PE及びドキソルビシン(Sigma,PHR1789)を組み合わせることによって決定した。ヒトJurkat細胞(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯TIB-152)又は十分なレベルのCD47を発現する他の細胞型を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mlの密度で平板培養した。
Jurkat細胞を、RPMI培地中の0.03~10μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.3~100nMのドキソルビシン単独、又は0.03~10μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.3~100nMのドキソルビシンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、細胞表面上のアネキシンV、7-AAD、ERストレスマーカカルレティキュリンを用いてホスファチジルセリンについて分析した。ATP放出の分析のために、上清を採取した(前述した通り)。結果は、平均±SEMとして表示する。
図33に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図34に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、V陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図35に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、カルレティキュリン陽性細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図36に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、ATP放出量に、相加効果又は相乗効果をもたらす。
実施例13
ヒト赤血球(hRBC)の血球凝集
B6H12、BRIC126、MABL1、MABL2、CC2C6、5F9をはじめとする、多くのCD47抗体は、インビトロ又はインビボで洗浄済RBCの血球凝集(HA)を引き起こすことがわかっている(Petrova P.et al.Cancer Res 2015;75(15 Suppl):Abstract nr 4271;米国特許第9,045,541号明細書;Uno et al.Oncol Rep.17:1189-94,2007;Kikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun.315:912-8,2004;Sikic B.et al.J Clin Oncol 2016;34(suppl;abstract 3019))。原則的にKikuchi et al.Biochem Biophys Res.Commun(2004)315:912-918により記載されるように、様々な濃度のキメラ及びヒト化VLX4、VLX8、及びVLX9mAbと一緒にhRBCをインキュベートした後、hRBCの血球凝集を評価した。健常なドナーから血液を採取し、PBS/1mM EDTA/BSAで希釈(1:50)した後、PBS/EDTA/BSAで3回洗浄した。等量の抗体(各75μl)と一緒にU底96ウェルプレートにhRBCを添加し、37℃で3時間、次に4℃で一晩インキュベートした。血球凝集を起こさない抗体の場合、堅いRBCペレットが観察され、血球凝集をもたらす抗体では、拡散して不明瞭なパターンが観察される。
図37A並びに表1及び2に示すように、VLX4hum_01 IgG1は、明らかなhRBCの血球凝集を引き起こしたが、ヒト化VLX4hum_01 IgG4PE mAbは起こさなかった(mAb濃度:50μg/ml~0.3ng/ml)。VLX4hum_01 IgG4PEによる検出可能な血球凝集の欠如は、癌の治療において付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
図37B並びに表1及び2に示すように、キメラ抗体VLX8 IgG4PE(xi)及びヒト化抗体VLX8hum_08 IgG4PE、VLX8hum_09 IgG4PE、及びVLX8hum_10 IgG4PEは、明らかなhRBCの血球凝集を引き起こしたが、VLX8ヒト化Ab:VLX8hum_01 IgG4PE、VLX8hum_02 IgG4PE、VLX8hum_03 IgG4PE及びVLX8hum_11 IgG4PEは、起こさなかった(mAb濃度:50μg/ml~0.3ng/ml)。
ヒト化抗体:VLX4hum_01 IgG4PE、VLX8hum_01 IgG4PE、VLX8hum_02 IgG4PE、VLX8hum_03 IgG4PE及びVLX8hum_11 IgG4PEによる検出可能な血球凝集の欠如は、癌の治療において付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
図38A及び図38Bに示すように、キメラ抗体VLX9 IgG2 xiは、hRBCの明らかな血球凝集を引き起こしたが、ヒト化VLX9mAbは、VLX9hum_07 IgG2を除いて、全て検出可能な血球凝集を引き起こさなかった(mAb濃度:50μg/ml~0.3pg/ml)。しかし、VLX9hum_07によって引き起こされた検出可能な血球凝集の量は、VLX9 IgG2キメラmAbと比較して低かった。この場合もまた、VLX9ヒト化mAbによる検出可能な血球凝集の欠如は、癌の治療において付加的な望ましい抗体特性及び治療利益の可能性をもたらす。
実施例14
インビボでの抗腫瘍活性
この実験の目的は、VLX4_07 IgG4 PE、VLX8_10 IgG4 PE及びVLX9hum_08 IgG2により例示されるVLX4、VLX8及びVLX9ヒト化抗体が、リンパ腫のマウス移植片モデルにおける腫瘍負荷をインビボで低減することを証明することであった。
5%CO2雰囲気内の10%ウシ胎仔血清(FBS;Omega Scientific;Tarzana,CA)を添加したRPMI-1640(Lonza;Walkersville,MD)中でラージ(Raji)ヒトバーキットリンパ腫細胞(ATCC ♯CCL-86,Manassas,VA)を維持した。培養物を組織培養フラスコ中で拡大した。
5~6週齢の雌NSG(NOD-Cg-PrkdcscidI12rgtm1Wjl/SzJ)をJackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から取得した。処置前に、マウスを順化させてから、特定の病原体フリー条件下でマイクロアイソレータケージ(Lab Products,Seaford,DE)内に収容した。マウスにはTeklad Global Diet(登録商標)2920x照射済実験動物試料(Envigo,Formerly Harlan;Indianapolis,IN)を給餌し、オートクレーブ処理済の水を無制限に供給した。手順は全て、動物実験ガイドライン(Institutional Animal Care and Use guidelines)に従って実施した。
5×106個のラージ(Raji)腫瘍細胞の懸濁液を含有する0.1mLの30%RPMI/70%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford,MA)混合物を雌NSGマウスの右脇腹に皮下接種した。接種から5日後、デジタルカリバーを用いて、腫瘍の短径及び長径を測定した。式:腫瘍体積(mm3)=(a×b2/2)(式中、「b」は、最小直径であり、「a」は、最大直径である)を使用して、腫瘍体積を計算した。31~74mm3の触知可能な腫瘍体積を有するマウスをランダムに8~10匹/グループに分け、この時点でVLX9hum_08又はPBS(対照)の投与を開始した。マウスは、5mg/kgの抗体5×/週の腹腔内注射により4週間にわたって処置した。腫瘍体積及び体重を週2回記録した。
図39に示すように、ヒト化VLX4hum_07 IgG4PEによる処置は、ラージ(Raji)腫瘍の腫瘍成長を有意に抑制し(p<0.05、二元ANOVA)、インビボでの抗腫瘍効果を示している。
図40に示すように、ヒト化抗CD47mAb、VLX8hum_10 IgG4PEによる処置は、ラージ(Raji)腫瘍の腫瘍成長を有意に抑制し(p<0.0001、二元ANOVA)、インビボでの抗腫瘍効果を示している。
図41に示すように、ヒト化抗CD47mAb、VLX9hum_08 IgG2による処置は、ラージ(Raji)腫瘍の腫瘍成長を有意に抑制し(p<0.05、二元ANOVA)、インビボでの抗腫瘍効果を示している。
実施例15
循環赤血球パラメータに対する作用
この実験の目的は、ヒトRBCにインビトロで結合しないVLX9ヒト化抗体(表2)(hum1017_08IgG2により例示)が、カニクイザルへの投与後、ヘモグロビン(Hg)又は循環RBCのいずれにも減少を引き起こさないことを立証することである。
雌チャイニーズカニクイザル(Charles River Laboratories,Houston,TX)2.5~3kgを動物実験ガイドライン(Institutional Animal Care and Use guidelines)に従って使用した。VLX9hum_08 IgG2又はビヒクル(PBS)を1日目に5mg/kgの用量で、18日目に15mg/kgの用量で、1時間の静脈内注入として投与した(3匹/グループ)。試験全体を通して、-7、-3(示していない)、投与前、3、8、12、18日目(投与前)、20、25、29、35及び41日目に血液パラメータを測定し、対照動物の平均値と比較/正規化した。VLX9hum_08 IgG2グループにおける0日目の処置前RBC及びHg値は対照グループより低かった。何れかの用量のVLX9hum_08 IgG2での処置後、対照グループと比較して、Hg(図42A)又はRBC数(図42B)にわずかな変化(<10%)があったが、これは、VLX9hum_08 IgG2が、カニクイザルに投与されると、RBC血液パラメータにわずかな減少をもたらすことを示している。
実施例16
CD47に対する抗体は、一酸化窒素シグナル伝達を調節する
CD47へのTSP1結合は、ヘテロ三量体Gタンパク質Giを活性化し、これは、細胞内環状AMP(cAMP)レベルの抑制をもたらす。さらに、TPS1/CD47経路は、あらゆる血管細胞中の一酸化窒素(NO)経路の有益な作用を妨害する。NO経路は、基質としてアルギニンを用いて生物活性ガスNOを生成する3つの一酸化窒素シンターゼ酵素(NOSI、NOSII及びNOSIII)の何れかから構成される。NOは、それが生成される細胞内又は隣接細胞中で作用して、メッセンジャー分子環状GMP(cGMP)を生成する酵素可溶性グアニリルシクラーゼを活性化することができる。NO/cGMP経路の適正な機能状態は、限定されないが、創傷、炎症、高血圧、代謝症候群、虚血、及び虚血再灌流傷害(IRI)から起こるストレスをはじめとするストレスから心血管系を保護する上で不可欠である。これらの細胞ストレスに関して、TPS1/CD47系によるNO/cGMP経路の阻害は、ストレスの作用を悪化させる。これは、cGMP及びcAMPの両方が、重要な保護の役割を果たす心血管系に特有の問題である。虚血及び再灌流傷害が、疾患、外傷、及び外科的処置の予後不良を引き起こすか、又はそれに寄与する多くの事例がある。
これらの実験の目的は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、例えば、Isenberg et al.(2006)J.Biol.Chem.281:26069-80により開示されるようにCD47に対するマウスモノクローナル抗体を用いて以前記載されている通り、NO刺激cGMP合成のTSP1媒介性阻害、或いは、NOシグナル伝達の他の下流マーカ又はNOシグナル伝達によって生じる作用、例えば、Miller et al.(2010)Br J.Pharmacol.159:1542-1547により以前記載されているように平滑筋細胞弛緩若しくは血小板凝集を逆転させる能力を示すことを証明することであろう。
使用される方法は、製造者により記載される(CatchPoint Cyclic-GMP Fluorescent Assay Kit,Molecular Devices,Sunnyvale,CA)ようにcGMPを測定するものであろう。Jurkat JE6.1細胞(ATCC、Manassas,VA;カタログ#TIB-152)又は培養して増殖させるとNO/cGMPシグナル伝達経路を保持し、しかもCD47のTSP1連結に対する頑健且つ再生可能な阻害応答を呈示する他の細胞型が使用される。細胞は、5%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLペニシリン、100μgmLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地中で細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させる。cGMPアッセイの場合、96ウェル組織培養プレートにおいて、5%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地中で細胞を1×105細胞/mLの密度で24時間にわたり増殖させた後、無血清培地に一晩移す。
実施例3に記載したCHO細胞への一過性トランスフェクションから精製した本明細書に開示のヒト化抗体、並びに対象キメラ抗体は、20ng/mlの最終濃度で添加し、その15分後に、0又は1μg/mlのヒトTSP1(Athens Research and Technology,Athens,GA,カタログ#16-20-201319)を添加する。さらに15分後、NO供与体であるジエチルアミン(DEA)NONOate(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI,Catalog♯82100)を1μMの最終濃度でウェルの半分に添加する。5分後、cGMPキットに供給された緩衝液で細胞を溶解させ、各ウェルのアリコートをcGMP含量についてアッセイする。
キメラ又はヒト化抗体の一部は、cGMPのTSP1阻害を逆転することが予想される。逆転は、完全(>80%)又は中程度(20%~80%)であり得る。cGMPのTSP1阻害のこの逆転は、それらがNOシグナル伝達を増大する能力を有することを示し、限定されないが、創傷、炎症、高血圧、代謝症候群、虚血、及び虚血再灌流傷害(IRI)に起因するものをはじめとするストレスから心血管系を保護する上での有用性を示唆する。また、別のアッセイ系、例えば、平滑筋細胞収縮も、キメラ又はヒト化抗体クローンの一部が、NOシグナル伝達の活性化によって生じる下流効果に対するTSPの阻害作用を逆転することを明らかにすると予想される。
実施例17
可溶性CD47抗体による細胞死及びDAMP発現の誘導
一部の可溶性CD47抗体は、腫瘍細胞の選択性細胞死を誘導することが明らかにされている。癌細胞に対する選択性傷害性というこの付加的な特性は、CD47とSIRPαの結合だけを阻止するmAbと比較して、利点を有すると考えられる。
可溶性抗CD47mAbによる細胞死の誘導をインビトロで測定する(Manna et al.J.Immunol.170:3544-3553,2003;Manna et al.Cancer Research,64:1026-1036,2004)。インビトロ細胞死アッセイのために、1×105個の形質転換ヒト卵巣細胞(OV90細胞、ATCC,Manassas,VA;カタログ♯CRL-11732)を、可溶性ヒト化抗CD47mAb、VLX4hum_07 IgG4PE(0.03~3μg/ml)、VLX9hum_06 IgG2 CD47(1~100μg/ml)、及びVLX8hum_11 IgG4PE(0.03~3μg/ml)と一緒に37℃で24時間インキュベートした。細胞死が起こると、ミトコンドリア膜電位が低下し、細胞膜の内葉が反転して、ホスファチジルセリン(PS)及びカルレティキュリンを細胞表面上に曝露し、ヨウ化プロピジウム(PI)又は7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)が核DNAに組み込まれることが可能になる。これらの細胞の変化を検出するために、続いて、細胞を蛍光標識アネキシンV及びPI又は7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)(BD Biosciences)で染色し、カルレティキュリンに対するウサギモノクローナル抗体をAlexa Flour 647(Abcam;カタログ#ab196159)に結合させ、Attuneフローサイトメータ(Life Technologies)を用いて、シグナルを検出した。PS曝露の増加は、アネキシンVシグナルの増加率(%)を測定することにより決定し、細胞死率(%)は、PI又は7-AADシグナルの増加率(%)を測定することにより決定する。アネキシンV陽性(アネキシンV+)又はアネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞は、細胞死の早期に観察され、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)細胞は、死滅細胞である。カルレティキュリン(CRT)曝露は、PI又は7-AADを取り込んでいないカルレティキュリン陽性細胞(カルレティキュリン+/7-AAD-)の増加率(%)を測定することにより決定される。治療目的のために重要なことは、これらのmAbが、腫瘍細胞の細胞死を直接誘導するため、殺傷のために補体又は他の細胞(例えば、NK細胞、T細胞、若しくはマクロファージ)の介入を必要としないことである。このように、この機構は、他の細胞及びFcエフェクター機能の両者から独立している。従って、これらのmAbから作製される治療用抗体は、ADCC及びCDCなどのFcエフェクター機能を低減し、それによって、インタクトなFcエフェクター機能を有するヒト化mAbに共通する副作用の可能性を制限するように操作することができる。
図43~図45に示すように、可溶性VLX4hum_07 IgG4PEヒト化mAbは、アネキシンV+/7-AAD-(図43)及びアネキシンV+/7-AAD+(図44)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、PS曝露の増加及びOV90細胞の細胞死の増大を誘導した。抗CD47抗体処置培養物中CRT+/7-AAD-(図45)である細胞のパーセントは、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05以上)。
図46~図48に示すように、可溶性VLX9hum_06 IgG2ヒト化mAbは、アネキシンV+/7-AAD-(図46)及びアネキシンV+/7-AAD+(図47)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、PS曝露の増加及びOV90細胞の細胞死の増大を誘導した。抗CD47抗体処置培養物中CRT+/7-AAD-(図48)である細胞のパーセントは、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05以上)。
図49~図51に示すように、可溶性VLX8hum_11 IgG4PEヒト化mAbは、アネキシンV+/7-AAD-(図49)及びアネキシンV+/7-AAD+(図50)である細胞の増加率(%)によって測定される通り、PS曝露の増加及びOV90細胞の細胞死の増大を誘導した。抗CD47抗体処置培養物中CRT+/7-AAD-(図51)である細胞のパーセントは、アイソタイプ対照と比較して、有意に増加した(p<0.05以上)。
細胞死の誘導、DAMP発現、及び感受性癌細胞の食作用の促進は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益をもたらす。細胞表面上のカルレティキュリン曝露の増大は、VLX4hum_07 IgG4PE、VLX9hum_06 IgG2、及びVLX8hum_11 IgG4PEヒト化抗CD47mAbが、腫瘍細胞からDAMPを誘導することを実証するものであり、このことは、腫瘍細胞の食作用及び自然免疫細胞による腫瘍抗原のプロセシングを刺激する上でのさらなる有用性を示唆している。
実施例18
ヒト化抗CD47mAb(VLX4hum_07 IgG4PE)と化学療法薬の併用療法は、相加効果又は相乗効果をもたらす
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、臨床的に関連する化学療法薬と組み合わせると、相加効果又は相乗効果をもたらして、ヒト腫瘍細胞の免疫原性細胞死を誘導することを実証する。
併用薬相加作用/相乗作用は、漸増濃度のヒト化抗CD47mAb:VLX4hum_07 IgG4PEと、ドキソルビシン(Sigma,PHR1789)、エピルビシン(Sigma,E9406)、ドセタキセル(Sigma,01885)、ゲムシタビン(Sigma,1288463)、イリノテカン(Sigma,I1406)、オキサリプラチン(Sigma,PHR1528)を組み合わせることによって決定した。ヒトOV10/315(Gao and Lindberg,Journal of Biological Chemistry,1996)を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mlの密度で平板培養した。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.05~0.42μMのドキソルビシン単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.05~0.42μMのドキソルビシンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、及び7-AADによりDNA曝露について分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図52に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図53に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.05~0.42μMのエピルビシン単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.05~0.42μMのエピルビシンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、及び7-AADによりDNA曝露について分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図54に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとエピルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図55に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとエピルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.002~0.135μMのドセタキセル単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.002~0.135μMのドセタキセルの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、及び7-AADによりDNA曝露について分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図56に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドセタキセルの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図57に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドセタキセルの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.003~0.3μMのゲムシタビン単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.003~0.3μMのゲムシタビンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、7-AAD、細胞表面上のERストレスマーカであるカルレティキュリンについて分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図58に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとゲムシタビンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図59に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとゲムシタビンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図60に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとゲムシタビンの一部の組合せは、カルレティキュリン陽性細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.63~51nMのイリノテカン単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.63~51nMのイリノテカンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、7-AAD、細胞表面上のERストレスマーカであるカルレティキュリンについて分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図61に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとイリノテカンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図62に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとイリノテカンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図63に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとイリノテカンの一部の組合せは、カルレティキュリン陽性細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
OV10/315細胞を、RPMI培地中の0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PE単独、0.65~52.8μMのオキサリプラチン単独、又は0.03~1μg/mlのVLX4hum_07 IgG4PEと0.65~52.8μMのオキサリプラチンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、及び7-AADによりDNA曝露について分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図64に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとオキサリプラチンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図65に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとオキサリプラチンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+/7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
実施例19
ヒト化抗CD47mAb(VLX9hum_06 IgG2)と化学療法薬の併用療法は、相加効果又は相乗効果をもたらす。
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、臨床的に関連する化学療法薬と組み合わせたとき、相加効果又は相乗効果をもたらして、ヒト腫瘍細胞の免疫原性細胞死を誘導することを実証する。
併用薬相加作用/相乗作用は、漸増濃度のヒト化抗CD47mAb:VLX9hum_06 IgG2と、ドキソルビシン(Sigma,PHR1789)を組み合わせることによって決定した。ヒトJurkat T ALL細胞株(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯TIB-152)を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mlの密度で平板培養した。
Jurkat細胞を、RPMI培地中の1~100μg/mlのVLX9hum_06 IgG2単独、0.005~0.42μMのドキソルビシン単独、又は1~100μg/mlのVLX9hum_06 IgG2と0.005~0.42μMのドキソルビシンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、7-AAD、細胞表面上のERストレスマーカであるカルレティキュリンについて分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図66に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図67に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図68に示すように、VLX4hum_07 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、カルレティキュリン陽性細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。
実施例20
ヒト化抗CD47mAb(VLX8hum_11 IgG4PE)と化学療法薬の併用療法は、相加効果又は相乗効果をもたらす。
これらの実験は、本開示のヒト化抗CD47mAbが、臨床的に関連する化学療法薬と組み合わせたとき、相加的又は相乗的活性をもたらして、ヒト腫瘍細胞の免疫原性細胞死を誘導することを実証する。
併用薬の相加作用/相乗作用は、漸増濃度のヒト化抗CD47mAb:VLX8hum_11 IgG4PEと、ドキソルビシン(Sigma,PHR1789)を組み合わせることによって決定した。ヒトJurkat T ALL細胞株(ATCC,Manassas,VA;カタログ♯TIB-152)を使用した。10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;カタログ#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で、細胞を1×106細胞/mL未満の密度で増殖させた。このアッセイのために、96ウェル組織培養プレートにおいて、10%(v/v)熱不活性化ウシ胎仔血清(BioWest;カタログ#S01520)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Sigma;#P4222)を含有するRPMI-1640培地中で細胞を1×105細胞/mlの密度で平板培養した。
Jurkat細胞を、RPMI培地中の0.03~3μg/mlのVLX8hum_11 IgG4PE単独、0.005~0.42μMのドキソルビシン単独、又は0.03~3μg/mlのVLX8hum_11 IgG4PEと0.005~0.42μMのドキソルビシンの組合せ用量応答マトリクスと一緒に37℃で24時間インキュベートした後、細胞を採取し、アネキシンVを用いてホスファチジルセリンについて、7-AAD、細胞表面上のERストレスマーカであるカルレティキュリンについて分析し、細胞上清をHMGB1放出について分析した。結果は、平均±SEMとして表示する。
図69に示すように、VLX8hum_11 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陰性(アネキシンV+/7-AAD-)細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図70に示すように、VLX8hum_11 IgG4PEとドキソルビシの一部の組合せは、アネキシンV陽性/7-AAD陽性(アネキシンV+7-AAD+)死滅細胞のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図71に示すように、VLX8hum_11 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、カルレティキュリン陽性細胞(カルレティキュリン+/7-AAD-)のパーセントに、相加効果又は相乗効果をもたらす。図72に示すように、VLX8hum_11 IgG4PEとドキソルビシンの一部の組合せは、HMGB1放出の量に相加効果又は相乗効果をもたらす。
実施例21
ヒト化抗CD47mAbのpH依存的及び非依存的結合
一部の可溶性抗CD47mAbは、生理的pHよりも高い親和性で、酸性pHの腫瘍細胞に結合することが明らかにされている。この付加的特性は、腫瘍微小環境が酸性であることから、酸性及び生理的pHの両方のCD47に同様の親和性で結合するmAbと比較して、利点を有すると考えられる(Tannock and Rotin,Cancer Res.1989;Song et al,Cancer Drug Discovery and Development 2006;Chen and Pagel,Advan.Radiol.2015)。
Biacore 2000上の表面プラズモン共鳴により、組換えFc-CD47に対する可溶性抗CD47mAbの結合をインビトロで測定した。抗ヒトIgG(GE Lifesciences)は、フローセル1及び2上のCM5チップに連結したアミンである。PBS-EP
+で希釈した組換えFc-CD47をフローセル1及び2上で捕捉した。HBS-EP
+泳動バッファー(pH7.5、7、6.5若しくは6)で希釈したヒト化mAb0から1000nM:VLX4hum_01 Fab、VLX8hum_11 Fab又はVLX9hum_08 Fabを用い、接触時間180秒及び解離時間300秒でマルチサイクルカイネティクスを測定した。結合曲線の速度論的解析のために、1:1結合モデルを使用した。VLX4hum_01 Fab、VLX8hum_11 Fab及びVLX9hum_08 Fabについての結合速度、解離速度及び解離定数を表7に示すが、これは、VLX9hum_08が、CD47へのpH依存的結合を有するのに対し、VLX4hum_01及びVLX8hum_11はそうではないことを実証するものである。このpH依存性は、癌の治療に付加的な望ましい抗体特性及び治療利益を付与する。
実施例22
ヒト異種移植片モデルにおけるインビボでの抗腫瘍活性
この実験の目的は、VLX8hum_10 IgG4PEにより例示されるVLX4、VLX8及びVLX9ヒト化抗体が、トリプルネガティブ乳癌のマウス異種移植片モデルにおいて腫瘍負荷をインビボで低減することを実証することである。
MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌細胞((カタログ#HTB-26(商標)Manassas,VA))を、5%CO2雰囲気内で、10%ウシ胎仔血清(FBS:Omega Scientific;Tarzana,CA)で補充したRPMI-1640(Lonza;Walkersville,MD)中に維持した。培養物を組織培養フラスコ内で増殖させた。
雌NSG(NOD-Cg-PrkdcscidI12rgtm1Wjl/SzJ)を5~6週齢でJackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から入手した。マウスを処置前に順応させ、特定の無菌条件下で、マイクロ隔離ケージ(Lab Products,Seaford,DE)内に収容した。マウスには、Teklad Global Diet(登録商標)2920x放射線実験動物飼料(Envigo,Formerly Harlan;Indianapolis,IN)を給餌し、オートクレーブ水を不断供給した。手順は全て、動物実験ガイドライン(Institutional Animal Care and Use guidelines)に従って実施した。
雌NSGマウスに、2×107個のMDA-MB-231腫瘍細胞の懸濁液を含む0.2mLの70%RPMI/30%Matrigel(商標)(BD Biosciences;Bedford,MA)混合物を乳腺脂肪体に同所接種した。接種から19日後、55~179mm3の触知可能な腫瘍体積を有する50匹のマウスをランダム均衡化により10匹ずつ5グループに分けた。式:腫瘍体積(mm3)=(a×b2/2)(式中、「b」は、最小直径であり、「a」は、最大直径である)を使用して、腫瘍体積を計算した。この時点で、VLX9hum_08又はPBS(対照)の投与を開始した。マウスは、腹腔内注射により15mg/kgの抗体5×/週で5週間にわたり処置した。腫瘍体積及び体重を週2回記録した。
図73に示すように、ヒト化VLX8hum_10 IgG4 PEによる処置は、MDA-MB-231腫瘍の腫瘍成長を有意に抑制し(p<0.05、ANOVA)、インビボでの抗腫瘍効果を実証している。