JP2016222912A - 芳香族アミド系高分子溶液および多孔質芳香族アミド系フィルム - Google Patents

芳香族アミド系高分子溶液および多孔質芳香族アミド系フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】凝固液を使用することなく、耐熱性に優れ、かつ気孔率が高く、良好な力学的特性を有する多孔質フィルムが得られる芳香族アミド系高分子溶液を提供する。
【解決手段】
アミド系溶媒とアルコール系溶媒とからなる混合溶媒を含有する芳香族アミド系高分子溶液であって、前記芳香族アミド系高分子は、イミド結合を含有しており、 前記アルコール系溶媒は、沸点が200℃以上であり、その含有量が、全溶媒質量に対し、10質量%以上、50質量%未満であることを特徴とする芳香族アミド系高分子溶液。
【選択図】図1

Description

本発明は、芳香族アミド系高分子溶液およびこれから得られた多孔質芳香族アミド系高分子フィルムに関するものである。
芳香族アミド系高分子からなる多孔質フィルムは、その優れた耐熱性と高い気孔率を利用して、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で素材等として利用されている。
この多孔質フィルムを製造する方法として、アミド系溶媒とアルコール系溶媒とを溶媒として含有する芳香族アミド系高分子溶液を、基材上に塗布して得られる塗膜を、水やアルコール系溶媒等の貧溶媒からなる凝固液に浸漬して相分離を誘起せしめ、その後、水洗、乾燥することにより、多孔質芳香族ポリアミドフィルムを製造する方法が知られている。(特許文献1、2) 多孔質芳香族アミド系高分子製造の際、このような凝固液を使用すると、水、アミド系溶媒、アルコール系溶媒等を含む大量の廃液が発生し、環境適合性の観点から問題があった。従い、このような凝固液を使用しなくても多孔質フィルムが得られる芳香族アミド系高分子溶液が求められていた。
特開2013−069582号公報 特開2013−163806号公報 国際公開第2014/106954号
このような問題点を解決するための方法として、特許文献3には、ポリアミドイミド等のイミド系高分子と、これに対する良溶媒であるアミド系溶媒および貧溶媒であるエーテル系溶媒からなる溶液を用い、この溶液を基材に塗布して乾燥することにより多孔質のイミド系高分子被膜を形成させる方法が開示されている。この方法は、環境適合性の良好な優れた方法であるが、高気孔率とするには、比較的多くの高価な貧溶媒(エーテル系溶媒)を用いなければならないという問題があった。
そこで本発明は、前記課題を解決するものであって、凝固液を使用することなく、耐熱性に優れ、気孔率が高く、良好な力学的特性を有する多孔質フィルムが得られ、かつ貧溶媒使用量の少ない芳香族アミド系高分子溶液およびこの溶液から得られる多孔質芳香族アミド系高分子の提供を目的とする。
本発明者らは、特定の組成とした芳香族アミド系高分子と特定の溶媒とからなる溶液とすることにより前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
アミド系溶媒とアルコール系溶媒とからなる混合溶媒を含有する芳香族アミド系高分子溶液であって、前記芳香族アミド系高分子は、イミド結合を含有しており、 前記アルコール系溶媒は、沸点が200℃以上であり、その含有量が、全溶媒質量に対し、1質量%以上、50質量%未満であることを特徴とする芳香族アミド系高分子溶液。
本発明の溶液から、低温での簡単なプロセスで容易に多孔質芳香族アミド系高分子フィルムを得ることができる。得られた多孔質フィルムは、耐熱性に優れ、気孔率が高く、良好な力学的特性を有するので、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で好適に使用することができる。
実施例1で得られた多孔質PAIフィルムの断面SEM像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、芳香族アミド系高分子溶液およびこれから得られる多孔質芳香族アミド系高分子フィルムに関するものである。
本発明の溶液は、溶質として、主鎖中にイミド結合ユニットを有する芳香族アミド系高分子を用いる。 ここで、アミド系高分子とは、主鎖中に40モル%以上のアミド結合に由来する構成ユニット(但し、全構成ユニットを100モル%とする)を有する有機高分子を言う。 これら芳香族アミド系高分子の中で、イミド結合に由来する構成ユニットを有する芳香族ポリアミドを好ましく用いることができる。 イミド結合ユニットの導入量は、アミド結合に由来する構成ユニットに対し、60モル%以上、120モル%以下とすることが好ましく、80モル%以上、110モル%以下とすることがより好ましい。 これらの中でも、例えば、原料であるトリカルボン酸成分とジアミン成分との重縮合反応を行うことにより得られる芳香族ポリアミドイミド(以下、「PAI」と略記することがある) を、好ましく用いることができる。 PAIは、主鎖中に50モル%のアミド結合(但し、全構成単位を100モル%とする)を有し、かつイミド結合ユニットの導入量が、アミド結合に由来する構成ユニットに対し、100モル%の有機高分子である。このように、溶質を、イミド結合ユニットを有する芳香族アミド系高分子とすることにより、凝固液を用いることなく、多孔質芳香族アミド系高分子フィルムを得ることが可能となる。
PAIのトリカルボン酸成分は、1分子あたり3個のカルボキシル基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環を有する有機化合物であって、当該3個のカルボキシル基のうち、少なくとも2個のカルボキシル基が酸無水物形態を形成し得る位置に配置されたものである。
芳香族トリカルボン酸成分として、例えば、ベンゼントリカルボン酸成分、ナフタレントリカルボン酸成分が挙げられる。
ベンゼントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
ナフタレントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,3−ナフタレントリカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
芳香族トリカルボン酸成分の中では、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。
トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、トリカルボン酸成分は、その一部がテレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の成分で置換されたものを用いてもよい。
PAIのジアミン成分は、1分子あたり2個の1級アミノ基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環を有する有機化合物である。
芳香族ジアミン成分の具体例として、例えば、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、m−フェニレンジアミン(M
DA)、p−フェニレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(DMA)、4,4′−ジフェニルエーテルジアミン、ジフェニルスルホン−4,4′−ジアミン、ジフェニルー4,4′−ジアミン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、ならびにこれらのジイソシアネート誘導体が挙げられる。
芳香族ジアミン成分の中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。
芳香族ジアミン成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
PAIは、通常、200℃以上のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSC(示差熱分析)により測定された値を用いている。
PAIは、熱可塑性であっても非熱可塑性であってもよいが、前記したガラス転移温度を有する芳香族PAIを好ましく用いることができる。
本発明の溶液は、溶媒として、アミド系溶媒とアルコール系溶媒とからなる混合溶媒を用いる。 アミド系溶媒は溶質である芳香族アミド系高分子の良溶媒である。 ここで、良溶媒とは、溶質に対する25℃での溶解度が、1質量%以上である溶媒を言う。
一方、アルコール系溶媒は、溶質である芳香族アミド系高分子の貧溶媒である。 ここで、貧溶媒とは、溶質に対する25℃での溶解度が、1質量%未満である溶媒を言う。
本発明で用いられるアミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP 沸点:202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc 沸点:166℃)が挙げられる。アミド系溶媒は、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、NMPが好ましい。
本発明で用いられるアルコール系溶媒は沸点が200℃以上のものであり、前記アミド系溶媒よりも沸点が高いものを用いることが好ましい。 また、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。アルコール系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃) トリプロピレングリコール(TPG 沸点:273℃)、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:242℃)、トリエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 これらの中でも、TPGが好ましい。
本発明で用いられる混合溶媒中におけるアルコール系溶媒の含有量は、全溶媒質量に対し、1質量%以上、50質量%未満であり、5質量%以上、30質量%以下とすることがより好ましい。 溶媒組成を前記のようにすることにより、芳香族アミド系高分子溶液から得られる塗膜を乾燥して固化させる際に、塗膜中に残存するアルコール系溶媒(貧溶媒)の作用により、効率よく相分離が起こり、高い気孔率を有する芳香族アミド系高分子フィルムを得ることができる。 ここで、乾燥温度としては、通常200℃以下である。また、溶液中における芳香族アミド系高分子の固形分濃度は、通常、溶液質量に対し、5質量%以上、40質量%以下である。
混合溶媒には、他の溶媒を含有させることができる。この際の好ましい溶媒としては、エーテル系溶媒が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:215℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)等の溶媒を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、トリエチレングリコールジメチルエーテルおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDM)が好ましい。
本発明の溶液は、例えば、以下のような製造方法で製造することができる。すなわち、固体状のPAIを前記混合溶媒に溶解せしめてPAI溶液とする。固体状のPAIとしては、例えば、市販のPAI粉体(例えば、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロン4000Tシリーズ、トーロン4000TF、トーロンAI−10シリーズ等)を利用することができる。固体状のPAIを用いることにより、本発明の組成としたPAI溶液を容易に得ることができる。
PAI溶液を得るには、前記したような固体状のPAIを用いて製造する方法が好ましいが、原料である前記芳香族トリカルボン酸成分および前記ジアミン成分(各種ジアミンもしくはそのジイソシアネート誘導体)を略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中で重合反応させて得られる溶液も用いることができる。また、アミド系溶媒中のみで重合反応して溶液を得た後、これにアルコール系溶媒を加える方法や、アルコール系溶媒中のみで重合反応して懸濁液を得た後、これにアミド系溶媒を加える方法で、PAI溶液を得ることもできる。
本発明の芳香族アミド系高分子溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤や有機シランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、芳香族アミド系高分子以外の他のポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明の多孔質芳香族アミド系高分子フィルムは、例えば、前記PAI溶液を用いて、低温乾式多孔化プロセスにより製造することができる。すなわち、前記PAI溶液を、基材の表面に塗布し、80〜200℃、好ましくは100〜160℃で、10〜60分乾燥することにより、気孔率が20〜90体積%の多孔質PAIフィルムを形成することができる。その後、これらの基材から多孔質PAIフィルムを剥離して多孔質PAIフィルム単体とすることができる。また、基材上に形成された多孔質PAIフィルムは、基材から剥離することなく、基材と積層一体化して使用することもできる。なお、多孔質PAIフィルムは、耐熱性に優れるので、前記乾燥後、200℃以上の温度、例えば300℃程度で熱処理を行ってもよい。
前記基材としては、例えば、金属箔、金属線、ガラス板、熱可塑性樹脂フィルム(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)、ポリイミド等の熱硬化性樹脂フィルム、各種織物、各種不織布等が挙げられる。前記金属としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等を用いることができる。基材は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。これら基材への塗液の塗布方法としては、ディップコータ、バーコータ、スピンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等公知の方法を用い、連続式またはバッチ式で塗布することができる。
前記製造方法により得られた多孔質芳香族アミド系高分子フィルムの気孔率は、20〜90体積%であることが好ましく、40〜80体積%であることがより好ましく、45〜75体積%であることがさらに好ましい。気孔率がこのように設定された多孔質芳香族アミド系高分子フィルムは、良好な力学的特性と優れた多孔性とが同時に確保されるので、前記した用途に幅広く利用することができる。
多孔質芳香族アミド系高分子フィルムの気孔率は、多孔質PAIフィルムの見掛け密度と、多孔質PAIフィルムを構成するPAIの真密度(比重)とから算出される値である。詳細には、気孔率(体積%)は、多孔質PAIフィルムの見掛け密度がA(g/cm)、PAIの真密度がB(g/cm)の場合、次式により算出される。
気孔率(体積%) = 100−A*(100/B)
多孔質芳香族アミド系高分子フィルムの気孔の平均孔径は、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。ここで、平均孔径は、フィルム断面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を倍率1000〜20000倍で取得することにより確認することができる。
形成される気孔は、連続気孔であっても、独立気孔であってもよい。また、フィルム表面には気孔が形成されていてもいなくてもよい。
多孔質芳香族アミド系高分子フィルムの厚みに制限は無いが、通常、1〜300μmであり、5〜200μmが好ましい。
なお、多孔質芳香族アミド系高分子フィルムの気孔率や平均孔径は、本発明の溶液中の混合溶媒(アミド系溶媒とアルコール系溶媒)の種類や配合量を選ぶことにより、調整することができる。
以上述べた如く、本発明の芳香族アミド系高分子溶液から容易に多孔質芳香族アミド系高分子フィルムが得られる。この溶液からは、貧溶媒を含む凝固液を用いることなく、環境適合性が良好なプロセスで、多孔質芳香族アミド系高分子フィルムが得られる。得られた多孔質芳香族アミド系高分子フィルムは、高い気孔率と良好な力学的特性を有する。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。 なお本発明は実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
TACと、DADEおよびMDAとを共重合(共重合モル比:DADE/MDA=7/3)して得られるPAI粉体(ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロン4000T−HV、ガラス転移温度280℃)を、NMPと、TPGとからなる混合溶媒(質量比 NMP/TPG=75/25)に、30℃で溶解して、PAIの固形分濃度が12質量%の均一なPAI溶液を得た。
この溶液を、アルミ箔(厚み200μm)上に塗布し、130℃で30分乾燥後、アルミ箔から塗膜を剥離することにより、厚みが100μmの多孔質PAIフィルムを得た。この多孔質PAIフィルムは強靭であり、その気孔率は48体積%、平均孔径は9μm(フィルム断面のSEM像をもとに算出)であった。
<実施例2>
PAI粉体として、TACと、MDAとを重合して得られるPAI粉体(ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロンAI−10、ガラス転移温度272℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、この溶液から、実施例1と同様の条件で多孔質PAIフィルムを得た。この多孔質PAIフィルムは強靭であり、その気孔率は53体積%、平均孔径は6.5μmであった。
<実施例3>
溶媒として、NMPと、TPGと、TEGDMとからなる混合溶媒(質量比 NMP/TPG/TEGDM=75/20/5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、この溶液から、実施例1と同様の条件で多孔質PAIフィルムを得た。この多孔質PAIフィルムは強靭であり、その気孔率は58体積%、平均孔径は5.9μmであった。
<実施例4>
溶媒として、NMPと、TPGとからなる混合溶媒(質量比 NMP/TPG=90/10)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、この溶液から、実施例1と同様の条件で多孔質PAIフィルムを得た。この多孔質PAIフィルムは強靭であり、その気孔率は51体積%、平均孔径は4.6μmであった。
<実施例5>
溶媒として、NMPと、TPGとからなる混合溶媒(質量比 NMP/TPG=95/5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、この溶液から、実施例1と同様の条件で多孔質PAIフィルムを得た。この多孔質PAIフィルムは強靭であり、その気孔率は26体積%、平均孔径は5.6μmであった。
<比較例1>
アルコール系溶媒として、エチレングリコール(沸点:197℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてPAI溶液を得ようとしたが均一な溶液を得ることができなかった。
<比較例2>
アルコール系溶媒の含有比率を対混合溶媒比で55質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてPAI溶液を得ようとしたが、均一な溶液を得ることができなかった。
<比較例3>
アルコール系溶媒の含有比率を対混合溶媒比で75質量%としたこと以外は、実施例2と同様にしてPAI溶液を得ようとしたが、均一な溶液を得ることができなかった。
<比較例4>
特開2013−163806号公報 (特許文献2)実施例2の記載に従って、芳香族アミド系高分子溶液を作成した。すなわち、MDAと、イソフタル酸クロライドとを重合して得られるポリアミド粉体を、DMAcと、TPGとからなる混合溶媒(質量比 DMAc/TPG=50/50)に、30℃で溶解して、ポリアミドの固形分濃度が10質量%の均一なポリアミド溶液を得た。ここで、前記ポリアミドは、イミド結合ユニットを含有しない芳香族アミド系高分子である。
この溶液から、実施例1と同様して多孔質フィルムを作成したところ、得られたフィルムの気孔率は10体積%以下であった。
<比較例5>
溶媒として、DMAcと、TPGとからなる混合溶媒(質量比 DMAc/TPG=75/25)を用いたこと以外は、比較例4と同様にして、ポリアミドの固形分濃度が10質量%の均一なポリアミド溶液を得た。この溶液から、実施例1と同様して多孔質フィルムを作成したところ、得られたフィルムの気孔率は10体積%以下であった。
実施例で示したように、本発明の芳香族アミド系高分子溶液から得られた多孔質芳香族アミド系高分子フィルムは、力学的特性に優れ、かつ気孔率(20体積%以上)は高いものであり、前記した用途で好適に使用できるものであることが判る。これに対し、比較例で示したように、従来から知られている芳香族アミド系高分子溶液では、塗膜を乾燥するだけでは、高い気孔率を有する多孔質フィルムを得ることは難しいことが判る。
本発明の芳香族アミド系高分子溶液から、簡単なプロセスで容易に多孔質芳香族アミド系高分子フィルムを得ることができる。得られた多孔質フィルムは、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で有用である。

Claims (3)

  1. アミド系溶媒とアルコール系溶媒とからなる混合溶媒を含有する芳香族アミド系高分子溶液であって、前記芳香族アミド系高分子は、主鎖中にイミド結合ユニットを有しており、 前記アルコール系溶媒は、沸点が200℃以上であり、その含有量が、全溶媒質量に対し、1質量%以上、50質量%未満であることを特徴とする多孔質フィルム形成用芳香族アミド系高分子溶液。
  2. 気孔率が20〜90体積%、平均孔径が0.1〜20μmの多孔質芳香族アミド系高分子フィルムであって、前記芳香族アミド系高分子が、ポリアミドイミドからなり、このポリアミドイミドのジアミン成分が、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミンから選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする多孔質芳香族アミド系高分子フィルム。
  3. ポリアミドイミドのジアミン成分が、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルと、m−フェニレンジアミンとを含むことを特徴とする請求項2記載の多孔質芳香族アミド系高分子フィルム。
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