JP7436023B2 - ポリアミドイミド溶液および多孔質ポリアミドイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリアミドイミド溶液および多孔質ポリアミドイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリアミドイミド(PAI)フィルム形成用のPAI溶液およびこれを用いた多孔質PAIフィルムの製造方法に関するものである。
多孔質PAIフィルムは、その優れた耐熱性と高い気孔率を利用して、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で利用されている。この多孔質PAIフィルムを製造する方法として、例えば、特許文献1には、PAIに対する貧溶媒を含有するPAI溶液をポリエステル(PET)フィルム等の基材上に塗膜、乾燥する際に、貧溶媒の作用を利用して塗膜中で相分離を起こさせて多孔質のPAI被膜を形成させる方法(乾式法)が提案されている。このような乾式法により、多孔質PAIフィルムを得る方法は、基材上に形成された塗膜を乾燥するだけで多孔質PAIフィルムを得ることができるので、優れた方法である。
しかしながら、特許文献1に開示されたPAI溶液をPETフィルムに連続的に塗布、乾燥して、長尺の多孔質PAIフィルムからなるロールサンプルを得ようとした場合、乾燥工程で、PETフィルムと多孔質PAI被膜とが剥離してしまうことがあった。 従い、安定的に多孔質PAIフィルムを生産するには、乾燥の際に、PETフィルムと多孔質PAI被膜との密着性を十分に保ったうえで、多孔質PAI被膜を容易に剥離できるようにすることが必要であった。
特許第6175517号公報
本発明は上記課題を解決するものであり、PAI溶液をPETフィルムに連続的に塗布、乾燥して、長尺の多孔質PAIフィルムからなるロールサンプルを得ようとした場合であっても十分な密着性が確保できる多孔質PAIフィルム形成用PAI溶液およびこれを用いた多孔質PAIフィルムの製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、界面活性剤を特定量配合したPAI溶液を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
ここで、界面活性剤とは、1分子中に、親水性基と疎水性基とを有する化合物をいう。
本発明は下記を趣旨とするものである。
<1> PAIと、界面活性剤と、含窒素極性溶媒と、PAIに対する貧溶媒とからなるPAI溶液であって、界面活性剤含有量がPAIに対して、1~25質量%であることを特徴とする多孔質PAIフィルム形成用PAI溶液。
<2> 前記PAI溶液を基材上に塗布、乾燥し、次いで基材上に形成された多孔質PAI被膜を基材から剥離することを特徴とする多孔質PAIフィルムの製造方法。
本発明のPAI溶液を用いることにより、基材とPAI塗膜との密着性を十分に向上させたうえ、剥離性の良好なPAI被膜とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明はPAI溶液およびこれを用いた多孔質PAIフィルムの製造方法に関するものである。
PAIは、主鎖にイミド結合とアミド結合の両方を有する耐熱性高分子であり、例えば、原料であるトリカルボン酸成分とジアミン成分との重縮合反応を行うことにより得ることができる。
PAIのトリカルボン酸成分は、1分子あたり3個のカルボキシル基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環または脂肪族環を有する有機化合物であって、当該3個のカルボキシル基のうち、少なくとも2個のカルボキシル基が酸無水物形態を形成し得る位置に配置されたものである。トリカルボン酸成分は芳香族トリカルボン酸成分および脂環族トリカルボン酸成分を包含する概念で用いるものとする。
芳香族トリカルボン酸成分として、例えば、ベンゼントリカルボン酸成分、ナフタレントリカルボン酸成分が挙げられる。
ベンゼントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
ナフタレントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,3-ナフタレントリカルボン酸、1,6,7-ナフタレントリカルボン酸、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
脂環族トリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸、1,2,3-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-デカヒドロナフタレントリカルボン酸、1,2,5-デカヒドロナフタレントリカルボン酸ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
トリカルボン酸成分の中では、芳香族トリカルボン酸成分が好ましい。
芳香族トリカルボン酸成分の中では、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。
トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。トリカルボン酸成分は、その一部がピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、またはビフェニルテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸成分で置換されたものを用いてもよい。
PAIのジアミン成分は、1分子あたり2個の1級アミノ基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環または脂肪族環を有する有機化合物である。ジアミン成分は芳香族ジアミン成分および脂環族ジアミン成分を包含する概念で用いるものとする。
芳香族ジアミン成分の具体例として、例えば、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、m-フェニレンジアミン(MDA)、p-フェニレンジアミン、4,4′-ジフェニルメタンジアミン(DMA)、ジフェニルスルホン-4,4′-ジアミン、ジフェニル-4,4′-ジアミン、o-トリジン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、ならびにこれらのジイソシアネート誘導体が挙げられる。
脂環族ジアミン成分の具体例として、例えば、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ならびにこれらのジイソシアネート誘導体が挙げられる。
ジアミン成分の中では、芳香族ジアミン成分が好ましい。
芳香族ジアミン成分の中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。
ジアミン成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
PAIは、通常、200℃以上のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSC(示差熱分析)により測定された値を用いている。
PAIの中でも、力学的特性や耐熱性に優れた芳香族PAIが好ましい。芳香族PAIとは、前記した芳香族トリカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との重縮合反応を行うことにより得ることができるものである。芳香族PAIは、熱可塑性であっても非熱可塑性であってもよいが、前記したガラス転移温度を有する芳香族PAIを好ましく用いることができる。
本発明のPAI溶液は、溶媒として、PAIを溶解することができる含窒素極性溶媒を含有することが必要である。含窒素極性溶媒としては、アミド系溶媒、尿素系溶媒を用いることができる。アミド系溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)が挙げられる。尿素系溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素、ジメチルエチレン尿素が挙げられる。含窒素極性溶媒は、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、NMPおよびDMAcが好ましい。含窒素極性溶媒は、必要に応じて、他の溶媒を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
本発明のPAI溶液は、溶媒として、PAIに対して貧溶媒となる溶媒を含有することが必要である。ここで貧溶媒とは、PAIに対する25℃での溶解度が1質量%以下である溶媒をいう。
このような貧溶媒としては、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒を用いることができる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(TRGM)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGM)等の溶媒を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、TRGMおよびTEGMが好ましく用いられ、TEGMが特に好ましい。エステル系溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。アルコール系溶媒としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、 トリプロピレングリコール(TPG)、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテルを挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 これら貧溶媒は、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、TRGM、TEGM、TPGが好ましいく、TEGMが特に好ましい。
含窒素極性溶媒と貧溶媒との質量比率(貧溶媒の質量/含窒素極性溶媒の質量)は、10/90~95/5とすることが好ましく、20/80~90/10とすることがより好ましい。
このようにすることにより、高い気孔率を有する多孔質PAIとすることができる。
なお、この質量比率は、用いる溶媒の種類に応じて、適宜設定することができる。
例えば、貧溶媒としてTEGMまたはTRGMを用いた場合は、含窒素極性溶媒との質量比率を60/40~90/10とすればよい。また、貧溶媒としてTPGを用いた場合は、含窒素極性溶媒との質量比率を10/90~50/50とすればよい。
本発明のPAI溶液には、基材との密着性を高めるために、界面活性剤を含有させることが必要である。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤(以下、「FS」と略記することがある)、シリコーン系界面活性剤(以下、「PSI」と略記することがある)、これら以外の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。FSの具体例としては、メガファックF-251、F-253、F-551、F-554、F-555、F-563、DS-21(DIC社製の商品名)、フロラードFC4430、FC4432(住友スリーエム社製の商品名)等を挙げることができる。PSIの具体例としては、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6028、KF-640、642、643、KP341、X-70-092、X-70-093(信越化学工業社製の商品名)、SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、DC-190(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の商品名)等を挙げることができる。FS、PSI以外の非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独または混合して用いることができる。これらの界面活性剤の中では、FSまたはPSIが好ましい。なお、界面活性剤は、通常、塗膜表面の状態を改善するために塗液に少量配合して用いられるものであり、このような界面活性剤を塗液に比較的多量に配合することにより塗膜と基材との密着性の向上を図るという手法は、従来知られておらず、本発明における知見をもって嚆矢とするものである。
本発明のPAI溶液においては、基材とPAI塗膜との良好な密着性を確保するために、界面活性剤をPAIに対して、1~25質量%配合することが必要であり、3~15質量%配合することが好ましい。界面活性剤の配合量が1質量%未満だと十分な密着性が確保できないことがあり、界面活性剤の配合量が25質量%超だと得られる多孔質PAIフィルムに界面活性剤が残留することがある。
本発明のPAI溶液は、例えば、以下のような方法で得ることができる。すなわち、固体状のPAIと界面活性剤とを前記溶媒に溶解せしめてPAI溶液とする。固体状のPAIとしては、例えば、市販のPAI粉体(例えば、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製トーロン4000Tシリーズ、トーロン4000TF、トーロンAI-10シリーズ等)を利用することができる。固体状のPAIを用いることにより、本発明のPAI溶液を容易に得ることができる。
本発明のPAI溶液を得るには、前記したような固体状のPAIを用いて製造する方法が好ましいが、原料である前記トリカルボン酸成分および前記ジアミン成分を略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中で重合反応させて得られる溶液も用いることができる。
本発明のPAI溶液のPAI固形分濃度としては、PAI溶液に対して、3~30質量%とすることが好ましく、5~25質量%とすることがより好ましい。
本発明のPAI溶液には、必要に応じて、シランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PAI溶液に、PAI以外のポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明のPAI溶液を用い、乾式多孔化プロセスにより多孔質PAIフィルムを製造することができる。すなわち、本発明のPAI溶液を、基材の表面に塗布し、80~200℃、好ましくは100~160℃で、10~60分乾燥することにより、高気孔率の多孔質PAIフィルムを形成することができる。その後、これらの基材から多孔質PAIフィルムを剥離して多孔質PAIフィルム単体とすることができる。また、基材上に形成された多孔質PAIフィルムは、基材から剥離することなく、基材と積層一体化して使用することもできる。なお、多孔質PAIフィルムは、耐熱性に優れるので、前記乾燥後、200℃以上の温度、例えば300℃程度で熱処理を行ってもよい。
基材としては、例えば、金属箔、金属線、ガラス板、熱可塑性樹脂フィルム(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)、ポリイミド等の熱硬化性樹脂フィルム、各種織物、各種不織布等を挙げることができる。前記金属としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等を用いることができる。基材は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。これらの中で、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが特に好ましい。PETフィルムはコロナ放電処理等の表面処理が行われていていることが好ましい。これら基材への塗液の塗布方法としては、ディップコータ、バーコータ、スピンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等を用い、連続式またはバッチ式で塗布することができる。
本発明のPAI溶液から得られるPAI塗膜は、基材と十分に密着しているにも拘わらず、基材からPAI被膜を剥離する際には、容易にこれを剥離して、多孔質PAIフィルムとすることができる。PAI被膜を基材から剥離する際の剥離強度は、0.01N/cm以上、1N/cm以下とすることが好ましく、0.03N/cm以上、0.5N/cm以下とすることがより好ましい。このようにすることにより、良好な密着性と剥離性とを同時に確保することができる。なお、剥離強度は,JIS K 6854-1に基づき、90度剥離試験を行うことにより確認することができる。
前記製造方法により得られた多孔質PAIフィルムの気孔率は、40~95体積%であることが好ましく、45~90体積%であることがより好ましい。多孔質PAIフィルムの気孔率は、多孔質PAIフィルムの見掛け密度と、多孔質PAIフィルムを構成するPAIの真密度(比重)とから算出される値である。詳細には、気孔率(体積%)は、多孔質PAIフィルムの見掛け密度がA(g/cm)、PAIの真密度がB(g/cm)の場合、次式により算出される。
気孔率(体積%)=(1-(A/B))×100
多孔質PAIフィルムの厚みに制限はないが、1~300μmであることが好ましい。
以上述べた如く、本発明のPAI溶液から容易に多孔質PAIフィルムが得られる。この多孔質PAIフィルムは、良好な力学的特性と耐熱性とを有しているので、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ等に利用することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
TACと、DADEおよびMDAとを共重合(共重合モル比:DADE/MDA=7/3)して得られるPAI粉体(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製トーロン4000T、ガラス転移温度280℃)10gと、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SH-193)1gを、NMP29gとTEGM60gとからなる混合溶媒に、30℃で溶解して、PAIの固形分濃度が対PAI溶液に対し10質量%である均一なPAI溶液を得た。
この溶液を、表面がコロナ放電処理されたPETフィルム(ユニチカ社製:厚み100μm)上に塗布後、25℃で、130℃で30分乾燥後、PETフィルムから塗膜を剥離することにより、厚みが90μm、気孔率が82体積%の多孔質PAIフィルムを得た。
多孔質PAI被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
ここでは、剥離強度が0.03N/cm以上、0.5N/cm未満の場合を密着性が「極めて良好」、0.01N/cm以上、0.03N/cm未満の場合を密着性が「良好」、乾燥の際、PAI塗膜がPETフィルムから剥離してしまった場合または密着性が0.01N/cm未満の場合、「不良」とした。
<実施例2>
SH-193の配合量を0.6gとしたPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<実施例3>
SH-193の配合量を0.3gとしたPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<実施例4>
界面活性剤としてDIC社製メガファックF-555を使用し、その配合量を0.3gとしたPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<実施例5>
PAI粉体として、TACと、DMAとを重合して得られるPAI粉体(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製トーロンAI-10、ガラス転移温度272℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成した。この溶液から、実施例1と同様にして多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<実施例6>
PAI粉体として、TACと、DMAとを重合して得られるPAI粉体(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製トーロンAI-10、ガラス転移温度272℃)を用い、界面活性剤としてF-555を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成した。この溶液から、実施例1と同様にして多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<実施例7>
基材としてコロナ放電処理をしていないPETフィルム(ユニチカ社製:厚み100μm)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、多孔質PAI被膜を得た。この被膜のPETフィルムに対する密着性評価結果を表1に示した。
<比較例1>
SH-193の配合量を0.05gとしたPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得ようとしたが、乾燥過程で塗膜が剥離してしまったので、密着性は「不良」であった。
<比較例2>
界面活性剤としてF-555を使用し、配合量を0.05gとしたPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得ようとしたが、乾燥過程で塗膜が剥離してしまったので、密着性は「不良」であった。
<比較例3>
SH-193を配合量していないPAI溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得ようとしたが、乾燥過程で塗膜が剥離してしまったので、密着性は「不良」であった。
<比較例4>
ポリオルガノシロキサンとしてポリエーテル変性されていないポリオルガノシロキサン(信越化学工業社製KF-54)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成した。実施例1と同様にして、多孔質PAI被膜を得ようとしたが、乾燥過程で塗膜が剥離してしまったので、密着性は「不良」であった。なお、このポリオルガノシロキサンは界面活性剤ではない。
実施例で示した様に、本発明のPAI溶液を用いることにより、乾式多孔化プロセスにおいて、基材との良好な密着性を確保することができる。
Figure 0007436023000001
本発明のPAI溶液を用いて得られた多孔質PAIフィルムは、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で有用である。

Claims (2)

  1. ポリアミドイミドと、界面活性剤と、含窒素極性溶媒と、ポリアミドイミドに対する貧溶媒とからなるポリアミドイミド溶液であって、界面活性剤含有量がポリアミドイミドに対して、1~25質量%であることを特徴とする多孔質ポリアミドイミドフィルム形成用ポリアミドイミド溶液。
  2. 請求項1記載のポリアミドイミド溶液を基材上に塗布、乾燥し、次いで基材上に形成された多孔質ポリアミドイミド被膜を基材から剥離することを特徴とする多孔質ポリアミドイミドフィルムの製造方法。
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