JP2016192324A - 多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス、多孔質ポリアミドイミド膜並びにそれを用いたセパレータ及び二次電池 - Google Patents

多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス、多孔質ポリアミドイミド膜並びにそれを用いたセパレータ及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】透気性の高い多孔質ポリアミドイミド膜を製造するためのワニス、孔質ポリアミドイミド膜、多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータ及び二次電池を提供すること。【解決手段】ポリアミドイミド、シリカ粒子及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有するワニスを用いて多孔質ポリアミドイミド膜を形成する。前記リン酸エステル塩系界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びアルキルリン酸の群から選択される1種以上の酸性リン酸エステルのアミン塩であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス、多孔質ポリアミドイミド膜並びにそれを用いたセパレータ及び二次電池に関する。
近年、リチウムイオン電池のセパレータや燃料電池電解質膜、ガス又は液体の分離用膜、低誘電率材料等に、耐薬品性や耐熱性に優れた高分子からなる多孔質膜を適用する研究がなされている。
上記の耐薬品性や耐熱性に優れる高分子として、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド等がこれまで検討されている(特許文献1〜4参照)。また、これらを多孔質膜とする方法としては、例えば、特定の混合溶剤を用い多孔質化する方法(特許文献1)、親水性ポリマーを含む耐薬品性高分子から親水性ポリマーを取り除き多孔質化する方法(特許文献2)、シリカ粒子を含有する耐薬品性高分子からシリカ粒子を取り除き多孔質化する方法(特許文献3)、ポリマー溶液を基材上へ薄膜状に流延した後凝固させる相転換法(特許文献4)等が公知である。
特開2007−211136号公報 特開2000−044719号公報 特開2012−107144号公報 特開2005−162885号公報
上記高分子のうち、ポリアミドイミドは耐熱性に優れる一方、有機溶剤への溶解性が改善され加工性に優れるため、セパレータのマトリックスを構成する樹脂として有望である。しかしながら、ポリアミドイミド膜に対し、シリカ粒子を含有する耐薬品性高分子からシリカ粒子を取り除く方法を適用して多孔質膜を作製しようとすると、透気性の低い多孔質膜しか得られないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透気性の高い多孔質ポリアミドイミド膜を製造するためのワニス、多孔質ポリアミドイミド膜、多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータ及び二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、透気性の低い多孔質膜しか得られない原因が、ワニスを基材上に塗布乾燥して成膜を行う際、ポリアミドイミドと基材との相互作用が高いために、膜の基材側表面に樹脂リッチな層が形成される結果、多孔質膜を形成するためにシリカ粒子を取り除いても、多孔質膜の基材側表面に存在する開孔の数及び面積が不十分となる点にあるが、ワニス中にポリアミドイミド及びシリカ粒子と共にリン酸エステル塩系界面活性剤を含有させると、上記ワニスを塗布した基材と成膜後の膜との界面にシリカ粒子が配置しやすくなるため上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、ポリアミドイミド、シリカ粒子及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有する、多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニスである。
本発明の第二の態様は、マトリックス中に、ポリアミドイミド及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有する多孔質ポリアミドイミド膜である。
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様の多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータである。
本発明の第四の態様は、負極と正極との間に、電解液及び本発明の第三の態様の多孔質セパレータが配置された二次電池である。
本発明によれば、透気性の高い多孔質ポリアミドイミド膜を製造するためのワニス、多孔質ポリアミドイミド膜、多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータ及び二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の第一の態様である多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニスは、下記のポリアミドイミド、シリカ粒子及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有することを特徴とする。
<ポリアミドイミド>
本発明に用いるポリアミドイミドは、本発明に係るワニスに溶解可能な可溶性ポリアミドイミドであれば、その構造や分子量に限定されることなく、公知のものが使用できる。また、ポリアミドイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基を有していてもよい。
更に、本発明に用いるポリアミドイミドは、任意の無水トリメリット酸とジイソシアネートとを反応させて得られるものや、任意の無水トリメリット酸の反応性誘導体とジアミンとの反応により得られる前駆体ポリマーをイミド化して得られる従来公知のポリアミドイミドを特に限定されることなく使用できる。
上記無水トリメット酸又はその反応性誘導体としては、例えば、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライド等の無水トリメリット酸ハロゲン化物、無水トリメリット酸エステル等が挙げられる。
また、ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2′−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ジアミンは、従来からポリアミドイミドの合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。このジアミンは、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、得られるポリアミドイミドの耐熱性の点から、芳香族ジアミンが好ましい。これらのジアミンは、2種以上を組合せて用いてもよい。
上記芳香族ジアミンとしては、フェニル基が1個あるいは2〜10個程度が結合したジアミノ化合物を挙げることができる。具体的には、フェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、カルド型フルオレンジアミン誘導体である。
ここで、フェニレンジアミンは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等であり、フェニレンジアミン誘導体としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が結合したジアミン、例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,4−トリフェニレンジアミン等である。
ジアミノビフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基がフェニル基同士で結合したものである。例えば、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等である。
ジアミノジフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士で結合したものである。結合はエーテル結合、スルホニル結合、チオエーテル結合、アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合、アゾ結合、ホスフィンオキシド結合、アミド結合、ウレイレン結合等である。アルキレン結合は炭素数が1〜6程度のものであり、その誘導体基はアルキレン基の水素原子の1以上がハロゲン原子等で置換されたものである。
ジアミノジフェニル化合物の例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(p−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−2−ぺンテン、イミノジアニリン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)ペンタン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と一つのフェニレン基が何れも他の基を介して結合したものであり、他の基は、ジアミノジフェニル化合物と同様のものが選ばれる。ジアミノトリフェニル化合物の例としては、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。
ジアミノナフタレンの例としては、1,5−ジアミノナフタレン及び2,6−ジアミノナフタレンを挙げることができる。
アミノフェニルアミノインダンの例としては、5又は6−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンを挙げることができる。
ジアミノテトラフェニル化合物の例としては、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(m−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等を挙げることができる。
カルド型フルオレンジアミン誘導体の例としては、9,9−ビスアニリンフルオレン等を挙げることができる。
脂肪族ジアミンは、例えば、炭素数が2〜15程度のものがよく、具体的には、ペンタメチレンジアミン、へキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン等が挙げられる。
なお、これらのジアミンの水素原子がハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等の群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。
本発明で使用されるポリアミドイミドを製造する手段に特に制限はなく、例えば、有機溶剤中で上記した酸及びジアミン成分を反応させて前駆体ポリマーを得た後イミド化する等の公知の手法を用いることができる。また、前駆体ポリマーのイミド化には、熱イミド化及び化学イミド化の何れを使用してもよい。
<シリカ粒子>
本発明で用いられるシリカ粒子は、溶融シリカ、気相法シリカ、コロイダルシリカ等の公知のシリカ粒子を挙げることができる。なかでも単分散球状シリカ粒子を選択することが、ポリアミドイミド膜中に均一で微小な孔を形成するために好ましい。
上記シリカ粒子の粒径(平均直径)は小さいことが好ましく、100nm以上2000nm以下、より好ましくは300nm以上1000nm以下のものを用いることが好ましい。粒径がより小さいものを用いることで、得られる多孔質ポリアミドイミド膜表面の孔の開口割合を高く均一にすることができ、且つ、多孔質ポリアミドイミド膜全体の強度を高めることができる。
本発明で用いられるシリカ粒子は、ポリアミドイミド膜を成膜後選択的に除去できるため、該膜内部に互いに連結した多数の孔を設けることができる。シリカ粒子と後述のリン酸エステル塩系界面活性剤とを併用することで、特に、上記ワニスを塗布した基材とポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜(以下、単に複合膜ということもある。)との界面にシリカ粒子が配置するため、表裏面が連通し透気性の高い多孔質ポリアミドイミド膜を作成することができる。
また、上記シリカ粒子とは異なる、本発明のワニスに不溶で、成膜後選択的に除去可能な粒子を、更に添加して使用してもよい。このような粒子として、例えば、酸化チタン、アルミナ(Al)等の金属酸化物、高分子量オレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリスチレン、アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等)、エポキシ樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリエーテル等の有機高分子微粒子(樹脂微粒子)を挙げることができる。
<リン酸エステル塩系界面活性剤>
本発明者らは、ポリアミドイミド及びシリカ粒子を含有する多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス中にリン酸エステル塩系界面活性剤を含有させると、上記ワニスを塗布した基材と複合膜との界面にシリカ粒子が配置することを見出した。本発明のワニスは、リン酸エステル塩系界面活性剤が添加されることを特徴とする。使用されるリン酸エステル塩系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びアルキルリン酸からなる群から選択される1種以上の塩を含有することが好ましい。
具体的なリン酸エステル塩系界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤として従来から知られている酸性リン酸エステルと塩基性化合物との塩を用いることができ、代表例としては、下記の一般式(I)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、一般式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸、一般式(III)で表されるアルキルリン酸等の酸性リン酸エステル;
Figure 2016192324
[式中、Rはアルキル基、Rはメチレン基、イソプロピレン基等のアルキレン基、qはアルキレンオキシ基(−R−O−)の繰り返し単位数(重合度)、mは1又は2、nは1又は2で、m+n=3を示す]と、塩基性化合物とから形成されるリン酸エステル塩系界面活性剤を挙げることができる。
なかでも、上記リン酸エステルと塩を形成する塩基性化合物がアミン類であることが好ましく、その場合のアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類;メチルジエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン等のN−アルキル化アルカノールアミン類;モルホリン、ピリジン等の環状アミン類等を挙げることができる。酸性リン酸エステルは前記したアミンの1種又は2種以上と塩を形成していることができる。
本発明のワニスには、リン酸エステル塩系界面活性剤を、ワニス総量に対し、0.01質量%以上15質量%以下の割合で含有することがこのましく、0.5質量%以上10質量%以下の割合で含有していることがより好ましい。1.0質量%以上6.5質量%以下の割合で含有していることが、更に望ましい。ワニス中にリン酸エステル塩系界面活性剤が0.01質量%以上含まれれば、多孔質ポリアミドイミド膜の基材側の開口部を十分に開孔させて、膜の透気性を高めるうえでこのましい。ワニス中のリン酸エステル塩系界面活性剤が15質量%以下であれば、強度維持の点及び膜形成時の環境負荷が小さく好ましい。
本発明のワニスには、上記したポリアミドイミド、シリカ粒子及びリン酸エステル塩系界面活性剤のほかに、各成分の溶解性や分散性の向上、あるいは、ワニス粘度の調整のために有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;乳酸エチル、乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート等のエーテル類;クレゾール類等のフェノール系溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なかでも、前記含窒素極性溶剤とラクトン系極性溶剤の組み合わせが好ましい。有機溶剤の使用量に特に制限はないが、ポリアミドイミドの含有量が5質量%以上50質量%以下とするのが望ましい。
これらの有機溶剤中、ポリアミドイミドの溶解性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤を選択することが好ましい。また、成膜性等の観点から、γ−ブチロラクトン等のラクトン系極性溶剤を添加した混合溶剤としてもよく、有機溶剤全体に対し1質量%以上20質量%以下添加されていることが好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
本発明のワニスには、上記した成分のほかに、帯電防止、難燃性付与、低温焼成化、離型性、塗布性等を目的とし、帯電防止剤、難燃剤、化学イミド化剤、縮合剤、離型剤、表面調整剤、リン酸エステル塩系界面活性剤以外の界面活性剤等、適宜、公知の成分を必要に応じて含有させることができる。
[ワニスの製造]
ワニスは、予めポリアミドイミドを溶解した溶液中に、所定のシリカ粒子を分散することで製造できる。あるいは、シリカ粒子を予め分散した有機溶剤中で無水トリメリット酸とジイソシアネート又はジアミンとを重合してポリアミド酸とするか、更にイミド化してポリアミドイミドとすることで製造してもよい。このワニスにリン酸エステル塩系界面活性剤を加えて、最終的に、その粘度を0.3Pa・s以上1.5Pa・s以下とすることが好ましく、0.4Pa・s以上0.8Pa・s以下の範囲がより好ましい。ワニスの粘度がこの範囲内であれば、均一に成膜をすることが可能である。
本発明の第二の態様は、マトリックス中に、ポリアミドイミド及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有する多孔質ポリアミドイミド膜である。上記多孔質ポリアミドイミド膜は、上述した本発明の第一の態様の多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニスから、複合膜を製造した後、微粒子除去工程を経て製造される。微粒子除去工程の前に、焼成工程を加えてもよい。
[ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜の製造]
ポリアミドイミドとシリカ粒子とを含有する複合膜の成膜は、基材上へ上記のワニスを塗布し、常圧又は真空下で50℃以上100℃以下、好ましくは、より好ましくは常圧下60℃以上95℃以下、更に好ましくは65℃以上90℃以下で乾燥して行う。
基材は、フィルム又は板状のものが特に制限なく使用できる。基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、SUS、ガラス等が使用可能である。リン酸エステル塩系界面活性剤を含むため基材と複合膜との界面にシリカ粒子が配置しやすく、上記複合膜は剥離性が高い。そのため、必ずしも必要ではないが、複合膜の離形性を更に向上させるため、ワニスに内添型離型剤を加える、又は、成膜に用いる基材表面に離型層を設けてもよい。特に、ガラス基板を使用する場合には、離形性の面から離型層を設けることが好ましい。
ワニスに添加される内添型離型剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基等のフッ素含有基を有する界面活性剤、有機変性したシリコーン等を挙げることができる。
上記の離型層は、基材上に離型剤を塗布して乾燥あるいは焼き付けを行って作製することができる。ここで使用される離型剤には、離型油、防錆油、アルキルリン酸アンモニウム塩系、フッ素系又はシリコーン等の離型剤として知られる公知の物質が特に制限なく使用可能である。上記乾燥したポリアミドイミドと微粒子とを含有する複合膜を基材より剥離する際、複合膜の剥離面にわずかながら離型剤が残存する。この残存した離型剤は、多孔質膜表面の濡れ性や電気特性に大きく影響を及ぼすことがあるため、これを取り除いておくことが好ましい。
そこで、上記基材より剥離した複合膜を、有機溶剤等を用いて洗浄することが好ましい。洗浄の方法としては、洗浄液に複合膜を浸漬した後取り出す方法、シャワー洗浄する方法等の公知の方法から選択することができる。更に、洗浄後の複合膜を乾燥するために、洗浄後の複合膜を室温で風乾する、恒温槽中で適切な設定温度まで加温する等、公知の方法が制限されることなく適用できる。例えば、複合膜の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ることができる。
一方、複合膜の成膜に、離型層を設けず基材をそのまま使用する場合は、上記離型層形成の工程や複合膜の洗浄工程を省くことができる。また、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜を成膜した基材ごと、水等の液体に浸漬させてポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜の剥離を行ってもよい。液体に浸漬させることで、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜の基材からの剥離性がより高められるため好ましい。
[焼成工程]
上記乾燥後の複合膜に加熱による後処理(焼成)を行ってポリアミドイミドとシリカ粒子とからなる複合膜(ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜)とすることができる。ワニスにポリアミド酸が残存する場合、焼成工程においてイミド化を完結させることが好ましい。
焼成温度は、複合膜に含有されるポリアミドイミドの構造や縮合剤の有無によっても異なるが、120℃以上350℃以下であることが好ましく、更に好ましくは150℃以上300℃以下である。
焼成を行うには、必ずしも乾燥工程と明確に工程を分ける必要はなく、例えば、270℃で焼成を行う場合、室温〜270℃までを3時間で昇温させた後、270℃で20分間保持させる方法や室温から50℃刻みで段階的に270℃まで昇温(各ステップ20分保持)し、最終的に270℃で20分保持させる等の段階的な乾燥−熱イミド化法を用いることもできる。その際、複合膜の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ってもよい。
できあがったポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜の膜厚は、例えばマイクロメータ等で複数の箇所の厚さを測定し平均することで求めることができる。どのような平均膜厚が好ましいかは、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜又は多孔質ポリアミドイミド膜の用途によって異なる。例えば、セパレータ等に使用する場合は、1μm以上であればよく、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることが更に好ましい。また、フィルタ等のガス又は液体の分離用膜に使用する場合は、1μm以上であればよく、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上70μm以下であることが更に好ましい。
[微粒子除去(多孔化)工程]
ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜から、シリカ粒子を適切な方法を選択して除去することにより、微細孔を有する多孔質ポリアミドイミド膜を再現性よく製造することができる。例えば、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜を低濃度のフッ化水素水(HF)等により処理して、シリカ粒子を溶解除去することで、多孔質とすることが可能である。
[樹脂除去工程]
本発明の多孔質ポリアミドイミド膜の製造には、シリカ粒子除去工程前に、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜のポリアミドイミド樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、シリカ粒子除去工程後に多孔質ポリアミドイミド膜の少なくとも一部を除去する樹脂除去工程を有してもよい。
ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜のポリアミドイミドの樹脂部分の少なくとも一部を除去することにより、続く微粒子除去工程で微粒子が取り除かれ空孔が形成された場合に、これらのポリアミドイミドの樹脂部分を除去しないものに比べて、最終製品の多孔質ポリアミドイミド膜の開孔率を向上させることが可能となる。同様に、微粒子除去工程後に樹脂部分の少なくとも一部を除去することにより、除去しないものに比べて、最終製品の多孔質ポリアミドイミド膜の開孔率を向上させることが可能である。
なお、ワニス、ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜あるいは多孔質ポリアミドイミド膜中に本発明のリン酸エステル塩系界面活性剤を含有しない場合は、前記膜の基材側表面に形成された樹脂層が厚いため、最終製品の多孔質ポリアミドイミド膜の開孔率を向上することが困難となる。
上記のポリアミドイミド樹脂部分の少なくとも一部を除去する工程、あるいは、多孔質ポリアミドイミド膜の少なくとも一部を除去する工程は、通常のケミカルエッチング法若しくは物理的除去方法、又は、これらを組合せた方法により行うことができる。
ケミカルエッチング法としては、無機アルカリ溶液又は有機アルカリ溶液等のケミカルエッチング液による処理が挙げられる。無機アルカリ溶液が好ましい。無機アルカリ溶液として例えば、ヒドラジンヒドラートとエチレンジアミンを含むヒドラジン溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の溶液、アンモニア溶液、水酸化アルカリとヒドラジンと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを主成分とするエッチング液等が挙げられる。有機アルカリ溶液としては、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性溶液が挙げられる。
上記の各溶液の溶媒については、純水、アルコール類を適宜選択できる。また界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。アルカリ濃度は、例えば0.01〜20質量%である。
また、物理的な方法としては、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン等)、コロナ放電等によるドライエッチング、研磨剤(例えば、アルミナ(硬度9)等)を液体に分散し、これをポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜又は多孔質ポリアミドイミド膜の表面に30m/以上100m/s以下の速度で照射することでポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜又は多孔質ポリアミドイミド膜表面を処理する方法等が使用できる。
上記した方法は、シリカ粒子除去工程前又はシリカ粒子除去工程後のいずれのポリアミドイミド除去工程にも適用可能であるので好ましい。なお、シリカ粒子除去工程後にケミカルエッチング法を行う場合は、多孔質ポリアミドイミド膜の内部の連通孔(微粒子同士が接していた部分に形成される孔)の孔サイズを大きくすることにより、開孔率を向上させることができる。
[多孔質ポリアミドイミド膜]
上記本発明の製造方法で製造された多孔質ポリアミドイミド膜は、上述のケミカルエッチング法によらずとも、その開孔率をより一層高めることができるため、例えば、リチウムイオン電池のセパレータとして使用すると電池の内部を小さくでき好ましい。本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様の多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータである。
多孔質ポリアミドイミド膜の開孔率は、JIS P 8117に準拠し、厚さを25μmとして測定した場合のガーレー透気度、すなわち、100mLの空気が膜を透過する秒数を求めることで評価することができる。
本発明の多孔質ポリアミドイミド膜のガーレー透気度は、250秒以内が好ましく、200秒以内が更に好ましく、100秒以内であることが最も好ましい。低いほど好ましいので下限は特に設定されないが、多孔質ポリアミドイミド膜のハンドリング性を考慮すると例えば、30秒以上である。ガーレー透気度が250秒以内であれば、十分高いイオン透過性を示すためリチウムイオン電池のセパレータ用として好適である。
[多孔質ポリアミドイミド膜の用途]
本発明の多孔質ポリアミドイミド膜は、ニッケルカドミウム、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池、リチウム金属二次電池等の二次電池用セパレータとして使用することが可能であるが、リチウムイオン二次電池用多孔質セパレータとして使用することが特に好ましい。更に、本発明の製造方法で作製した多孔質ポリアミドイミド膜は、二次電池用のセパレータのほか、燃料電池電解質膜、ガス又は液体の分離用膜、低誘電率材料として使用することも可能である。
[二次電池]
本発明の第四の態様の二次電池は、負極と正極との間に、電解液及び本発明の第三の態様のセパレータが配置されることを特徴とする。
上記本発明の二次電池の種類や構成は、何ら限定されるものではない。正極とセパレータと負極が順に上記条件を満たすように積層された電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造となった構成であれば、ニッケルカドミウム、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等の公知の二次電池に、特に限定されることなく使用することができる。
本発明における二次電池の負極は、負極活物質、導電助剤及びバインダーからなる負極合剤が、集電体上に成形された構造をとることができる。例えば、負極活物質として、ニッケルカドミウム電池の場合は水酸化カドミウムを、ニッケル水素電池の場合は水素吸蔵合金を、それぞれ用いることができる。また、リチウムイオン二次電池の場合は、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料が採用できる。このような、活物質として、例えば、炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズ、ウッド合金等が挙げられる。
負極を構成する導電助剤は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えば、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。集電体には、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔等を用いることが可能である。
また、正極は、正極活物質、導電助剤及びバインダーからなる正極合剤が、集電体上に成形された構造とすることができる。例えば、正極活物質としては、ニッケルカドミウム電池の場合は水酸化ニッケルを、ニッケル水素電池の場合は水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケルを、それぞれ用いることができる。他方、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn0.5Ni0.5、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiMn、LiFePO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。導電助剤はアセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。集電体にはアルミ箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることが可能である。
電解液としては、例えば、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池の場合には、水酸化カリウム水溶液が使用される。リチウムイオン二次電池の電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した構成とされる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート等が挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
外装材は、金属缶又はアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本発明のセパレータはいずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下に示すポリアミドイミド、有機溶剤、界面活性剤、及びシリカ粒子を用いた。
・ポリアミドイミド:重合成分として無水トリメリット酸及びo−トリジンジイソシアネートを含むポリアミドイミド(Mw:約3万)(固形分15質量%、溶媒:N−メチルピロリドン(NMP))
・リン酸エステル塩系界面活性剤:ポリオキシプロピレングリコールリン酸エステルのモルホリン塩
・ポリオキシエチレン二級C12〜C14アルキルエーテル系分散剤
・フッ素含有アルキレンオキサイド:下記式(1)で表されるフッ素含有アルキレンオキサイド
Figure 2016192324


・シリカ粒子:(平均粒径)700nm
<実施例1〜5>
実施例1〜5の多孔質ポリアミドイミド膜を、下記の要領に従い製膜した。得られた多孔質ポリアミドイミド膜の特性を測定し表1に示した。
[ワニスの調製]
ポリアミドイミド15質量%NMP溶液に対し、樹脂に対し80質量%となるようにシリカ粒子を添加した。更に、上記シリカ粒子分散ポリアミドイミド溶液全質量に対し、0.5〜4質量%のリン酸エステル塩系界面活性剤を加えて製膜用の原液とした。樹脂とシリカ粒子のシリカ粒子分散ポリアミドイミド溶液全質量に対する割合は、25質量%とした。
[ポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜の成膜]
上記原液を、フィルムアプリケーターを使用してポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート上にキャストした。つづいて、90℃、5分間でベーク処理をし、PETフィルムから剥離した後、270℃で焼成を行い、膜厚約20μmのポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜を得た。PETフィルムからの剥離性は、いずれのポリアミドイミド−シリカ粒子も良好であった。
[多孔質ポリアミドイミド膜の形成]
上記で得たポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜を、10質量%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗及び乾燥を行い、空隙率80%の多孔質ポリアミドイミド膜を得た。
<比較例1>
界面活性剤を用いない以外は、実施例1と同様にしてワニスを製造し、多孔質ポリアミドイミド膜を製膜した。得られた多孔質ポリアミドイミド膜の特性を測定し、表1に示した。
<比較例2>
リン酸エステル塩系界面活性剤に代えて、ポリオキシエチレン二級C12〜C14アルキルエーテル系分散剤を1.0質量%添加した以外は、実施例1と同様にして多孔質ポリアミドイミド膜を製膜した。得られた多孔質ポリアミドイミド膜の特性を測定し表1に示した。
<比較例3>
リン酸エステル塩系界面活性剤に代えて、フッ素含有アルキレンオキサイドを2.0質量%添加した以外は、実施例1と同様にして多孔質ポリアミドイミド膜を製膜した。得られた多孔質ポリアミドイミド膜の特性を測定し表1に示した。
下記要領で、得られた多孔質ポリアミドイミド膜の膜物性を評価した。その結果を表1に記す。
[剥離性]
基板をSUS基板に変更した他は、上記方法と同様に作成したポリアミドイミド−シリカ粒子複合膜をSUS基板から剥がす際に、破損せずに剥がれたものを「○」、水に浸漬させても剥がれなかったものを「×」、剥がれたが一部破損したものを「△」とした。一般的に、フィルムのSUSからの剥離性は、PETからの剥離性とくらべて困難性が増す傾向にあるため、評価用基板の材質にSUSを採用することが、フィルムの剥離性評価に有効である。
[ガーレー透気度]
上記実施例1〜5及び比較例1〜3で得た多孔質ポリアミドイミド膜サンプルを、5cm角に切り出した。ガーレー式デンソメーター(東洋精機製)を用いて、JIS P 8117に準じて、100mlの空気が上記サンプルを通過する時間を測定した。
[引張強度及び破断伸度]
用意した各多孔質膜を3cm×3mmの大きさに切り出して短冊状のサンプルを得た。このサンプルの破断時の応力(MPa;引張強度)及び破断伸度(%GL)を、EZ Test(島津製作所社製)を用いて評価した。
[走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察]
上記で得られた実施例1〜5及び比較例1の多孔質ポリアミドイミド膜のPET基材側の表面を定法に従いSEMで観察した。PET基材側の表面を観察すると、多孔質ポリアミドイミド膜のPET基材側表面の開孔率が、リン酸エステル塩系界面活性剤の添加につれて増大することが観察された。

Figure 2016192324
表1から、ワニスにリン酸エステル塩系界面活性剤を添加した実施例1〜5の多孔質ポリアミドイミド膜の透気度は、界面活性剤を添加していない比較例1やその他の界面活性剤を添加した比較例2、3に比べて、より向上することを確認した。これらの結果を考慮すると、リン酸エステル塩系界面活性剤による透気度の向上が、多孔質ポリアミドイミド膜のPET側表面の開孔率が高まることによりものであることが推認できる。また、透気度が向上しても、膜の引張強度及び破断伸度は良好に維持されることが確認できた。
更に、表1によると、多孔質ポリアミドイミド膜の引張強度に与える、リン酸エステル塩系界面活性剤の添加の影響は小さく、本願発明の多孔質ポリアミドイミド膜が、従来の多孔質ポリアミドイミド膜と変わらず、各種電池用セパレータ、ガス又は液体の分離用膜、低誘電率材料等に使用可能であることが推認できる。

Claims (6)

  1. ポリアミドイミド、シリカ粒子及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有する、多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス。
  2. 前記リン酸エステル塩系界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びアルキルリン酸の群から選択される1種以上の酸性リン酸エステルのアミン塩である、請求項1に記載の多孔質ポリアミドイミド膜形成用ワニス。
  3. マトリックス中に、ポリアミドイミド及びリン酸エステル塩系界面活性剤を含有する多孔質ポリアミドイミド膜。
  4. 前記リン酸エステル塩系界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸及びアルキルリン酸の群から選択される1種以上の酸性リン酸エステルのアミン塩である、請求項3に記載の多孔質ポリアミドイミド膜。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の多孔質ポリアミドイミド膜を含む電池用多孔質セパレータ。
  6. 負極と正極との間に、電解液及び請求項5に記載の多孔質セパレータが配置された二次電池。
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