JP2017047655A - 積層体 - Google Patents

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司 菅原
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Abstract

【課題】電池用途におけるシャットダウン特性が付与された、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含む積層体と、当該積層体の用途とを提供する。【解決手段】ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含む積層体において、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜に接するように、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜を積層する積層体。ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の膜厚は、0.01〜5.0μmが好ましく、その目付は、3×10−13g/m2以上が好ましい積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質膜の積層体に関する。
従来から、種々の多孔質膜がフィルタ等の用途で使用されている。また、近年、多孔質膜は、リチウム電池等の二次電池用のセパレータ用途への応用も進んでいる。
例えば、ポリイミドの多孔質膜の製造方法として、ポリアミド酸やポリイミドの溶液中にシリカ粒子を分散させたワニスを基板上に塗布した後、必要に応じて塗布膜を加熱してシリカ粒子を含むポリイミド膜を得、次いで、ポリイミド膜中のシリカをフッ化水素水で溶出除去し、多孔質化させる方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第5605566号公報
上述した多孔質ポリイミド膜は、耐熱性に優れ、且つ電極間の短絡を防ぐ機能に優れるセパレータとして種々利用されているが、更に種々の特性の付与が要求されている。
例えば、自動車に搭載されるリチウムイオン電池のように高容量の電池においては、安全性確保の目的で、電池が高温状態になった際に、電池内部の導通を遮断しその後の温度上昇を防止できるように、セパレータに対していわゆるシャットダウン特性の付与が要求されている。
本発明は、上記の状況に鑑みなされたものであり、電池用途におけるシャットダウン特性が付与された、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含む積層体と、当該積層体の用途とを提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含む積層体において、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜と、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜とを積層体中に含めることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜と、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜とを含む積層体である。
本発明によれば電池用途におけるシャットダウン特性が付与された、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜を含む積層体と、当該積層体の用途とを提供することができる。
実施例に係る積層体の加熱前の電子顕微鏡像を示す図である。 実施例に係る積層体の加熱後の電子顕微鏡像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪積層体≫
積層体は、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜と、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜とを含む。また、積層体は、好ましくは、ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜とポリフッ化ビニリデン多孔質膜とが接している接触面を1以上含む。
以下、「ポリイミド及び/又はポリアミドイミド」をPIとも記し、「ポリフッ化ビニリデン」をPVDFとも記し、「ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜」をPI多孔質膜とも記し、「ポリフッ化ビニリデン多孔質膜」をPVDF多孔質膜とも記す。
積層体に含まれる、PI多孔質膜の数と、PVDF多孔質膜の数とは、本発明の目的と阻害しない範囲で特に限定されない。積層体は、PI多孔質膜、及びPVDF多孔質膜以外のその他の多孔質膜を含んでいてもよい。その他の多孔質膜は、有機多孔質膜であっても、無機多孔質膜であってもよい。
積層体の、典型的な構成としては、PI多孔質膜の片面にPVDF多孔質膜が積層された2層構成、PI多孔質膜の両面にPVDF多孔質膜が積層された3層構成、及びPI多孔質膜/PVDF多孔質膜/PI多孔質膜の3層構成が挙げられる。積層体の構成はこれらの構成に限定されない。積層体は、4層以上を含む積層体であってもよい。またPI多孔質膜とPVDF多孔質膜との間に他の多孔質層を含んでいてもよい。
上記の積層体の構成としては、製造が容易である点から、PI多孔質膜の片面にPVDF多孔質膜が積層された2層構成、及びPI多孔質膜の両面にPVDF多孔質膜が積層された3層構成が好ましく、PI多孔質膜の片面にPVDF多孔質膜が積層された2層構成がより好ましい。
本願の明細書及び特許請求の範囲において、多孔質膜は、膜の一方の主面から他方の主面に向けて流体が流通可能であるように内部に複数の孔部を備える膜であり、当該孔部は好ましくは球形状である。前記孔部が球形状となる場合、本願の明細書及び特許請求の範囲において、織布や不織布のような繊維材料のみから構成される膜は、多孔質膜に含まれない。
PI多孔質膜及びPVDF多孔質膜は、それぞれ所望の空隙率を有し、後述するように、球状孔が相互に連通した構造(以下、連通孔と略称する)を有するのが好ましい。
孔の形状に関する球状は、真球状を含む概念であるが、必ずしも真球のみに限定されない。球状とは、実質的に真球状であればよく、孔部の拡大像を目視により確認した場合に略真球状と認識できる形状も、球状に含まれる。
具体的には球状孔では、孔部を規定する面が曲面であり、当該曲面により真球状又は略真球上の空孔が規定されていればよい。
なお、PI多孔質膜とPVDF多孔質膜とについて、空隙率や、連通孔を構成する球状孔の孔径は、同じであっても異なっていてもよい。
個々の球状孔は、典型的には、後述するPI−微粒子複合膜、又はPVDF−微粒子複合膜中に存在する個々の微粒子が後工程で除去されることにより形成される。また、連通孔は、後述する多孔質膜の製造方法において、PI−微粒子複合膜、又はPVDF−微粒子複合膜中にそれぞれ接して存在する複数の微粒子が、後工程で除去されることにより形成される。連通孔における球状孔が連通する箇所は、除去される前の複数の微粒子が互いに接触する箇所に由来する。
PI多孔質膜及びPVDF多孔質膜の開口部の直径は、100nm〜2000nmが好ましく、200〜1000nmがより好ましく、300〜900nmが更に好ましい。
開口部の直径は、連通孔を構成する球状孔の直径と同等又は略同等である。
多孔質膜は、多孔質膜を厚さ方向に貫通する、連通孔を流体の流路として内部に有する。これにより流体は、多孔質膜の一方の主面から、他方の主面へと透過できる。
また、積層体をフィルタとして用いる場合、流体は個々の球状孔を規定する曲面に接触しながら多孔質膜の内部を通過する。多孔質膜の内部における流体の接触面積は、球状孔からなる連通孔を備えることに起因してかなり広い。このため、流体を多孔質膜を含む積層体を通過させると、多孔質膜内の球状孔に、流体内に存在する微小な物質が吸着しやすいと考えられる。
PIが、融点を持たなかったり、500℃以上の熱分解温度を有していたり、一般的に極めて高い耐熱性を有するのに対して、PVDFの耐熱温度(融点)は約130〜約170℃と低い。
そのため、PVDF多孔質膜は、150℃前後で軟化又は溶融しはじめる。PVDF多孔質膜において、軟化又は溶融が生じると、PVDFの熱流動により連通孔が消失し、これによりPVDFの薄膜が形成される。よって、PI多孔質膜とPVDF多孔質膜を含む積層体が高熱下におかれた場合には、PVDFからなる薄膜により、PI多孔質膜の開口部を有する面が被覆されることで、PI多孔質膜が有する開口部がPVDFからなる薄膜で塞がれる。
つまり、PI多孔質膜とPVDF多孔質膜とを含む積層体が二次電池のセパレータとして用いられる場合には、電池内部の温度が高温になると、PVDF多孔質膜の軟化又は溶融により、PVDFからなる薄膜でポリイミド系多孔質膜の開口部が塞がれ、電池内での導通が遮断される。このため、上述の積層体は、二次電池における、いわゆるシャットダウン特性を備える。
積層体の膜厚は特に限定されない。セパレータとして使用される積層体の膜厚は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が特に好ましい。フィルタとして使用される積層体の膜厚は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましく、20μm以上150μm以下が特に好ましい。積層体の膜厚、及び積層体に含まれる各膜の膜厚は、例えばマイクロメータ等で複数の箇所の厚さを測定し平均することで求めたり、膜断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して平均することで求めたりすることができる。
積層体に含まれるPI多孔質膜、及びPVDF多孔質膜の膜厚は、積層体の用途に応じて適宜定められる。
典型的には、PI多孔質膜の膜厚は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が特に好ましい。
積層体が複数のPI多孔質膜を含む場合、積層体中の複数のPI多孔質膜の膜厚の合計は、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましい。
また、PVDF多孔質膜の膜厚は、0.01〜5.0μmが好ましく、0.1〜4μmがより好ましく、1〜3μmが特に好ましい。
PVDF多孔質膜の膜厚が上記範囲内であれば、積層体が高温にさらされた場合にPVDFが軟化、溶融し、PI多孔質膜の表面を被覆するPVDF被膜が速やかに形成される。このため、積層体が上記範囲内の膜厚のPVDF多孔質膜を含む場合、積層体に所望する程度のシャットダウン特性を付与しやすい。
積層体が複数のPVDF多孔質膜を含む場合、積層体中の複数のPVDF多孔質膜の膜厚の合計は、0.05〜15μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
PVDF多孔質膜の目付は、3×10−13g/m以上が好ましく、5×10−13g/m以上がより好ましい。PVDF多孔質膜の目付は、3×10−11gg/m以下であるのが好ましい。
PVDF多孔質膜の目付が上記範囲内であれば、所望の空隙率を有しながら強度を確保することができ、所望するシャットダウン特性を備える積層体を得やすい。
≪積層体の製造方法≫
積層体の製造方法は、積層体の層構成が前述の条件を満たすように積層体を製造できる方法であれば特に限定されない。例えば、それぞれ所望の膜厚を有する、PI多孔質膜と、PVDF多孔質膜と、任意にその他の多孔質膜とを、所望する層構成となるように順次ラミネートして、積層体を形成してもよい。
積層体の好適な製造方法としては、PI多孔質膜上か、PIと微粒子とを含有する複合膜(PI−微粒子複合膜)上に、PVDFと微粒子とを含有する複合膜(PVDF−微粒子複合膜)を形成する工程を含む方法が挙げられる。
積層体の特に好ましい製造方法としては、以下の第一の方法及び第二の方法あげられる。
第一の方法は、
PI多孔質膜製造用組成物を用いて基板上に未焼成複合膜を成膜する未焼成PI複合膜成膜工程と、未焼成PI複合膜を焼成してPI−微粒子複合膜を得る焼成工程と、PI−微粒子複合膜上に、PVDF多孔質膜製造用組成物を成膜して、PVDF−微粒子複合膜を形成する、PVDF−微粒子複合膜成膜工程と、PI−微粒子複合膜と、PVDF−微粒子複合膜とから微粒子を除去する、微粒子除去工程とを含む方法である。
第二の方法は、PI多孔質膜製造用組成物を用いて、基板上に未焼成PI複合膜を成膜する未焼成PI複合膜成膜工程と、未焼成PI複合膜を焼成してPI−微粒子複合膜を得る焼成工程と、PI−微粒子複合膜から微粒子を除去してPI多孔質膜を形成する第一微粒子除去工程と、PI多孔質膜上に、PVDF多孔質膜製造用組成物を成膜して、PVDF−微粒子複合膜を形成する、PVDF−微粒子複合膜成膜工程と、PVDF―微粒子複合膜から微粒子を取り除く第二微粒子除去工程とを含む方法である。
第一の方法では、微粒子除去工程で、互いに接するPI−微粒子複合膜と、PVDF−微粒子複合膜とを含む積層膜から、単一の工程(微粒子除去工程)で微粒子が除去される。
これに対し、第二の方法では、第一微粒子除去工程を経てPI−微粒子複合膜を得た後、第二微粒子除去工程によりPVDF−微粒子複合膜を形成している。
工程数が少ない点では、第一の方法が好ましく、PI−微粒子複合膜及びPVDF複合膜の双方において、微粒子を完全に除去しやすい点では第二の方法が好ましい。
以下、積層体の製造方法について、PI多孔質膜製造用組成物(以下PI用ワニスとも記す。)、PVDF多孔質膜製造用組成物(以下PVDF用ワニスとも記す。)と、第一の方法と、第二の方法とについて詳細に説明する。
<PI多孔質膜製造用組成物>
PI多孔質膜製造用組成物(PI用ワニス)は、ポリイミド又はポリアミドイミド、あるいはポリイミド、又はポリアミドイミドを生成し得る化合物を含有する。
ポリイミド、又はポリアミドイミドを生成し得る化合物は、ポリイミド、又はポリアミドイミド形成用の単量体であってもよく、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸や、ポリアミドイミド形成用の単量体の重合体であるポリアミドイミド前駆体であってもよい。
ポリイミド、又はポリアミドイミドを生成し得る化合物としては、ポリアミド酸と、重合体であるポリアミドイミド前駆体とが好ましい。
以上より、PI用ワニスは、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド前駆体、及びポリアミドイミドからなる群より選択される1種以上を含むのが好ましい。
以下、PI用ワニスに含まれる、必須又は任意の成分について説明する。
[ポリアミド酸]
ポリアミド酸としては、任意のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合して得られるものが、特に限定されることなく使用できる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミンを0.50〜1.50モル用いるのが好ましく、0.60〜1.30モル用いるのがより好ましく、0.70〜1.20モル用いるのが特に好ましい。
テトラカルボン酸二無水物は、従来からポリアミド酸の合成原料として使用されているテトラカルボン酸二無水物から適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であっても、脂肪族テトラカルボン酸二無水物であってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。テトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の好適な具体例としては、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2,6,6−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス無水フタル酸フルオレン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中では、価格、入手容易性等から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物が好ましい。また、これらのテトラカルボン酸二無水物は1種類を単独で又は二種以上混合して用いることもできる。
ジアミンは、従来からポリアミド酸の合成原料として使用されているジアミンから適宜選択することができる。ジアミンは、芳香族ジアミンであっても、脂肪族ジアミンであってもよいが、得られるポリイミド樹脂の耐熱性の点から、芳香族ジアミンが好ましい。これらのジアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジアミンとしては、フェニル基が1個あるいは2〜10個程度が結合したジアミノ化合物を挙げることができる。具体的には、フェニレンジアミン及びその誘導体、ジアミノビフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノジフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノトリフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノナフタレン及びその誘導体、アミノフェニルアミノインダン及びその誘導体、ジアミノテトラフェニル化合物及びその誘導体、ジアミノヘキサフェニル化合物及びその誘導体、カルド型フルオレンジアミン誘導体である。
フェニレンジアミンはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等であり、フェニレンジアミン誘導体としては、メチル基、エチル基等のアルキル基が結合したジアミン、例えば、2,4−ジアミノトルエン、2,4−トリフェニレンジアミン等である。
ジアミノビフェニル化合物では、2つのアミノフェニル基同士が結合している。例えば、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等である。
ジアミノジフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基が他の基を介してフェニル基同士で結合した化合物である。結合はエーテル結合、スルホニル結合、チオエーテル結合、アルキレン又はその誘導体基による結合、イミノ結合、アゾ結合、ホスフィンオキシド結合、アミド結合、ウレイレン結合等である。アルキレン結合の炭素原子数は1〜6程度である、アルキレン基の誘導体基は、1以上のハロゲン原子等で置換されたアルキレン基である。
ジアミノジフェニル化合物の例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)−2−ペンテン、イミノジアニリン、4−メチル−2,4−ビス(p−アミノフェニル)ペンタン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ジアミノジフェニルアミド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらの中では、価格、入手容易性等から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
ジアミノトリフェニル化合物は、2つのアミノフェニル基と1つのフェニレン基がいずれも他の基を介して結合した化合物である。他の基は、ジアミノジフェニル化合物と同様の基が選ばれる。ジアミノトリフェニル化合物の例としては、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン等を挙げることができる。
ジアミノナフタレンの例としては、1,5−ジアミノナフタレン及び2,6−ジアミノナフタレンを挙げることができる。
アミノフェニルアミノインダンの例としては、5又は6−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンを挙げることができる。
ジアミノテトラフェニル化合物の例としては、4,4’−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(p’−アミノフェノキシ)ビフェニル]プロパン、2,2’−ビス[p−(m−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン等を挙げることができる。
カルド型フルオレンジアミン誘導体は、9,9−ビスアニリンフルオレン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの炭素原子数は、例えば、2〜15程度がよい。脂肪族ジアミンの具体例としては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン等が挙げられる。
なお、これらのジアミンの水素原子がハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基等の群より選択される少なくとも1種の置換基により置換された化合物であってもよい。
ポリアミド酸を製造する手段に特に制限はなく、例えば、溶剤中で酸、ジアミン成分を反応させる方法等の公知の手法を用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、通常、溶剤中で行われる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に使用される溶剤は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを溶解させることができ、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンと反応しないものであれば特に限定されない。溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;乳酸エチル、乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート等のエーテル類;クレゾール類、キシレン系混合溶媒等のフェノール系溶剤が挙げられる。
これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤の使用量に特に制限はないが、生成するポリアミド酸の含有量が5〜50質量%とするのが望ましい。
これらの溶剤の中では、生成するポリアミド酸の溶解性から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、N,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性溶剤が好ましい。
重合温度は一般的には−10〜120℃、好ましくは5〜30℃である。重合時間は使用する原料組成により異なるが、通常は3〜24Hr(時間)である。
ポリアミド酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ポリイミド]
ポリイミドは、その構造や分子量が限定されることはなく、公知のものが使用できる。ポリイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。また、PI用ワニスが溶剤を含有するものである場合、使用する溶剤に溶解可能な可溶性ポリイミドが好ましい。
溶剤に可溶なポリイミドとするために、主鎖に柔軟な屈曲構造を導入するためのモノマーの使用、例えば、エチレジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂肪族ジアミン;2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、o−トリジン、m−トリジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等の芳香族ジアミン;ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミン等のポリオキシアルキレンジアミン;ポリシロキサンジアミン;2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、3,4,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等の使用が有効である。また、溶剤への溶解性を向上する官能基を有するモノマーの使用、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン等のフッ素化ジアミンを使用することも有効である。更に、上記ポリイミドの溶解性を向上するためのモノマーに加えて、溶解性を阻害しない範囲で、上記ポリアミド酸の欄に記したものと同じモノマーを併用することもできる。
ポリイミド及びそのモノマーの各々は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミドを製造する手段に特に制限はなく、例えば、ポリアミド酸を化学イミド化又は加熱イミド化させる方法等の公知の手法を用いることができる。そのようなポリイミドとしては、脂肪族ポリイミド(全脂肪族ポリイミド)、芳香族ポリイミド等を挙げることができ、芳香族ポリイミドが好ましい。芳香族ポリイミドとしては、式(1)で示す繰り返し単位を有するポリアミド酸を熱又は化学的な手段で閉環反応させることによって取得したもの、若しくは式(2)で示す繰り返し単位を有するポリイミド等が挙げられる。式中、Arはアリール基を示す。PI用ワニスが溶剤を含有するものである場合、これらのポリイミドは、次いで、使用する溶剤に溶解させるとよい。
[ポリアミドイミド及びポリアミドイミド前駆体]
ポリアミドイミドは、その構造や分子量に限定されることなく、公知のものが使用できる。ポリアミドイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。また、PI用ワニスが溶剤を含有するものである場合、使用する溶剤に溶解可能な可溶性ポリアミドイミドが好ましい。
ポリアミドイミドは、通常、(i)無水トリメリット酸等の1分子中にカルボキシル基と酸無水物基とを有する酸とジイソシアネートとを反応させて得られるもの、(ii)無水トリメリット酸クロライド等の上記酸の反応性誘導体とジアミンとの反応により得られる前駆体ポリマー(ポリアミドイミド前駆体)をイミド化して得られるもの等を特に限定されることなく使用できる。
上記酸又はその反応性誘導体としては、例えば、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライド等の無水トリメリット酸ハロゲン化物、無水トリメリット酸エステル等が挙げられる。
上記任意のジアミンとしては、前記ポリアミド酸の説明において例示したものと同様のものが挙げられ、また、ジアミノピリジン系化合物も用いることができる。
上記任意のジイソシアネートとしては、特に限定されず、例えば、上記任意のジアミンに対応するジイソシアネート化合物等が挙げられ、具体的には、メタフェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2′−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリアミドイミドの原料モノマーとしては、上記以外にも、特開昭63−283705号公報、特開平2−198619号公報に一般式として記載されている化合物を使用することもできる。また、上記(ii)の方法におけるイミド化は熱イミド化及び化学イミド化のいずれであってもよい。化学イミド化としては、ポリアミドイミド前駆体等を含むPI用ワニスを用いて形成した未焼成複合膜を、無水酢酸、あるいは無水酢酸とイソキノリンの混合溶媒に浸す等の方法を用いることができる。なお、ポリアミドイミド前駆体は、イミド化前の前駆体という観点では、ポリイミド前駆体ともいえる。
PI用ワニスに含有させるポリアミドイミドとしては、上述の(1)無水トリメリット酸等の酸とジイソシアネートとを反応させて得られるポリマー、(2)無水トリメリット酸クロライド等の上記酸の反応性誘導体とジアミンとの反応により得られる前駆体ポリマーをイミド化して得られるポリマー等であってよい。本明細書及び本特許請求の範囲において、「ポリアミドイミド前駆体」は、イミド化前のポリマー(前駆体ポリマー)を意味する。
ポリアミドイミド及びポリアミドイミド前駆体の各々は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリアミドイミドについて、上記ポリマー、原料モノマー、及びオリゴマーの各々は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[微粒子]
微粒子の材質は、PI用ワニスに含まれる溶剤に不溶で、後にPI−微粒子複合膜から除去可能であれば、特に限定されることなく公知の材質が採用可能である。例えば、無機材料としては、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、アルミナ(Al)等の金属酸化物、有機材料としては、高分子量オレフィン(ポリプロピレン,ポリエチレン等)、ポリスチレン、エポキシ樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリエーテル等の有機高分子微粒子が挙げられる。
具体的に微粒子としては、例えば、コロイダルシリカが挙げられる。中でも単分散球状シリカ粒子を選択する場合、均一な孔を形成できるために好ましい。
また、微粒子について、真球率が高く、粒径分布指数が小さいのが好ましい。これらの条件を備えた微粒子は、PI用ワニス中での分散性に優れ、互いに凝集しない状態で使用することができる。使用する微粒子の平均粒径は、例えば、100〜2000nmであることが好ましい。これらの条件を満たすことで、微粒子を取り除いて得られる多孔質膜の孔径を揃えることができるため、PI多孔質膜を含む積層体をセパレータとして使用する場合に、セパレータに印加される電界を均一化でき好ましい。
微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[溶剤]
溶剤としては、ポリアミド酸及び/又はポリイミドからなる樹脂を溶解することができ、微粒子を溶解しないものであれば、特に限定されず、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる溶剤として例示したものが挙げられる。溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[分散剤]
PI用ワニス中の微粒子を均一に分散することを目的に、微粒子とともに更に分散剤を添加してもよい。分散剤を添加することにより、微粒子をPI用ワニス中に一層均一に混合でき、更には、PI用ワニスを成膜した膜中で、微粒子を均一に分布させることができる。その結果、最終的に得られるPI多孔質膜の表面に稠密な開口を設け、且つ、表裏面を効率よく連通させることが可能となり、多孔質膜の透気度が向上する。更に、分散剤を添加することにより、PI用ワニスの乾燥性が向上しやすく、また、形成された未焼成複合膜の基板等からの剥離性が向上しやすい。
分散剤は、特に限定されることなく、公知のものを使用することができる。例えば、やし脂肪酸塩、ヒマシ硫酸化油塩、ラウリルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルサルフェート塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、イソプロピルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテルホスフェート塩等のアニオン界面活性剤;オレイルアミン酢酸塩、ラウリルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン界面活性剤;ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、アミドベタイン型活性剤、アラニン型活性剤、ラウリルイミノジプロピオン酸等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル等、ポリオキシアルキレン一級アルキルエーテル又はポリオキシアルキレン二級アルキルエーテルのノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、ソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等のその他のポリオキアルキレン系のノニオン界面活性剤;オクチルステアレート、トリメチロールプロパントリデカノエート等の脂肪酸アルキルエステル;ポリオキシアルキレンブチルエーテル、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、トリメチロールプロパントリス(ポリオキシアルキレン)エーテル等のポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記分散剤は、2種以上を混合して使用することもできる。
PI用ワニスにおいて、分散剤の含有量は、例えば、成膜性の点で、上記微粒子の質量に対し0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましく、0.1〜0.5質量%であることが更により好ましい。
<PVDF多孔質膜製造用組成物>
PVDF多孔質膜製造用組成物(PVDF用ワニス)は、PVDFと、微粒子とを溶剤に分散させ混錬し、PVDFを溶剤に溶解させることで調製することができる。
微粒子としては、PI用ワニスについて説明した微粒子を使用できる。微粒子は、PI用ワニスに含まれる微粒子と同じであっても異なっていてもよい。
ポリフッ化ビニリデンとしては、ホモポリマーであってもよいし、コポリマー(共重合体)であってもよい。共重合する構成単位としては、エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン又は六フッ化プロピレン等が挙げられ、質量平均分子量は、例えば1万〜500万程度である。
溶剤としては、上記含窒素極性溶剤の他、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン等の低級アルキルケトンや、リン酸トリメチル等が挙げられる。
また、PI用ワニスと同様、PVDF用ワニスにも分散剤を添加してよい。分散剤としては、PI用ワニスについて説明した分散剤を使用できる。
<第一の方法>
[未焼成PI複合膜成膜工程]
未焼成PI複合膜成膜工程では、例えば、基板上に上述したPI用ワニスを塗布し、常圧又は真空下で0〜100℃、好ましくは常圧10〜100℃で乾燥することにより、未焼成PI複合膜を形成することができる。基板としては、例えば、PETフィルム、SUS基板、ガラス基板等が挙げられる。
また、未焼成PI複合膜を基板から剥離する場合、膜の剥離性を更に高めるために、予め離型層を設けた基板を使用することもできる。基板に予め離型層を設ける場合は、PI用ワニスの塗布の前に、基板上に離型剤を塗布して乾燥あるいは焼き付けを行う。ここで使用される離型剤は、アルキルリン酸アンモニウム塩系、フッ素系又はシリコーン等の公知の離型剤が特に制限なく使用可能である。上記乾燥した未焼成PI複合膜を基板から剥離する際、未焼成PI複合膜の剥離面にわずかながら離型剤が残存するため、焼成中の変色や電気特性への悪影響の原因ともなるので、極力取り除くことが好ましい。離型剤を取り除くことを目的として、基板より剥離した未焼成PI複合膜を、有機溶剤を用いて洗浄する洗浄工程を導入してもよい。
一方、未焼成PI複合膜の成膜に、離型層を設けず基板をそのまま使用する場合は、上記離型層形成の工程や上記洗浄工程を省くことができる。また、未焼成複合膜の製造において、後述の焼成工程の前に、水を含む溶剤への浸漬工程、プレス工程、当該浸漬工程後の乾燥工程をそれぞれ任意の工程として設けてもよい。
[焼成工程]
未焼成PI複合膜に加熱による後処理(焼成)を行ってPIと微粒子とからなる複合膜(PI−微粒子複合膜)を形成する。焼成工程における焼成温度は、未焼成複合膜の構造や縮合剤の有無によっても異なるが、120〜450℃であることが好ましく、更に好ましくは150〜400℃である。また、微粒子に、有機材料を使用するときは、その熱分解温度よりも低い温度に設定する必要がある。焼成工程においてはイミド化を完結させることが好ましい。
焼成条件は、例えば、室温〜400℃までを3時間で昇温させた後、400℃で20分間保持させる方法や室温から50℃刻みで段階的に400℃まで昇温(各ステップ20分保持)し、最終的に400℃で20分保持させる等の段階的な乾燥−熱イミド化法を用いることもできる。基板上に未焼成PI複合膜を成膜し、上記基板から上記未焼成PI複合膜を一旦剥離する場合は、未焼成PI複合膜の端部をSUS製の型枠等に固定し変形を防ぐ方法を採ることもできる。
[PVDF−微粒子複合膜成膜工程]
前述のPVDF用ワニスをPI−微粒子複合膜上に塗布して、必要に応じて塗布から溶剤を除去することにより、PI−微粒子複合膜上にPVDF−微粒子複合膜が成膜される。
[微粒子除去工程]
以上のようにして形成された、PI−微粒子複合膜と、PVDF−微粒子複合膜とから、微粒子を適切な方法を選択して除去することにより、PI多孔質膜とPVDF多孔質膜とを含む積層体を再現性よく製造することができる。
微粒子の材質として、例えば、シリカを採用した場合、PI−微粒子複合膜、及びPVDF−微粒子複合膜を低濃度のフッ化水素水等により処理して、シリカを溶解除去することが可能である。
なお、微粒子が有機微粒子である場合、第一の方法では、PVDF−微粒子複合膜からも微粒子を除去するため、熱分解により有機微粒子の除去を行うことが困難である。
このため、微粒子が有機微粒子である場合、微粒子を溶解させるが、PI及びPVDFを溶解させない処理液を選択して、当該処理液による処理を行い、有機離微粒子を除去することができる。典型的には、処理液としては有機溶剤が使用される。有機微粒子が、酸又はアルカリに可溶である場合、酸性水溶液やアルカリ性水溶液も処理液として使用できる。
[樹脂除去工程]
第一の方法は、微粒子除去工程前に、PI−微粒子複合膜又はPVDF−微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、微粒子除去工程後にPI多孔質膜又はPVDF多孔質膜の少なくとも一部を除去する樹脂除去工程を有していてもよい。
微粒子除去工程前に、PI−微粒子複合膜又はPVDF−微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、微粒子除去工程後にPI多孔質膜又はPVDF多孔質膜の少なくとも一部を除去することにより、除去が行われない場合と比較し、最終製品である積層体において、PI多孔質膜及びPVDF多孔質膜の開孔率を向上させることが可能となる。
PI−微粒子複合膜又はPVDF−微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去する工程、又は、PI−微粒子複合膜又はPVDF−微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去する工程は、通常のケミカルエッチング法、物理的除去方法、又は、これらを組み合わせた方法により行うことができる。
ケミカルエッチング法としては、無機アルカリ溶液又は有機アルカリ溶液等のケミカルエッチング液による処理が挙げられる。無機アルカリ溶液が好ましい。無機アルカリ溶液として、例えば、ヒドラジンヒドラートとエチレンジアミンを含むヒドラジン溶液、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の溶液、アンモニア溶液、水酸化アルカリとヒドラジンと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを主成分とするエッチング液等が挙げられる。有機アルカリ溶液としては、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性溶液が挙げられる。
上記の各溶液の溶媒については、純水、アルコール類を適宜選択できる。また界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。アルカリ濃度は、例えば0.01〜20質量%である。
また、物理的な方法としては、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン等)、コロナ放電等によるドライエッチング、研磨剤(例えば、アルミナ(硬度9)等)を液体に分散し、これを芳香族ポリイミドフィルムの表面に30〜100m/sの速度で照射することで膜表面を処理する方法等が使用できる。
上記した方法は、微粒子除去工程前又は微粒子除去工程後のいずれのポリイミド除去工程及びポリフッ化ビニリデン除去工程にも適用可能であるので好ましい。
一方、微粒子除去工程後に行う樹脂除去工程にのみ適用可能な物理的方法として、対象表面を液体で濡らした台紙フィルム(例えばPETフィルム等のポリエステルフィルム)に圧着後、乾燥しないで又は乾燥した後、積層体を台紙フィルムから引きはがす方法を採用することもできる。液体の表面張力あるいは静電付着力に起因して、処理対象表面に存在する多孔質膜の表面層のみが台紙フィルム上に残された状態で、積層体が台紙フィルムから引きはがされる。
<第二の方法>
[未焼成PI複合膜成膜工程]
未焼成PI複合膜成膜工程は、第一の方法と同様である。
[焼成工程]
焼成工程では、第一の方法と同様である。焼成工程を経て、未焼成PI複合膜が、PI−微粒子複合膜には転化される。
[第一微粒子除去工程]
第一微粒子除去工程では、第一の方法における微粒子除去工程と同様の方法により、PI−微粒子複合膜から、微粒子が除去される。第一微粒子除去工程を経て、PI−微粒子複合膜からPI多孔質膜が生成する。
[PVDF−微粒子複合膜成膜工程]
前述のPVDF用ワニスがPI多孔質膜上に塗布されることの他は、第一の方法におけるPVDF−微粒子複合膜成膜工程と同様にして、PI多孔質膜上にPVDF−微粒子複合膜が成膜される。
[第二微粒子除去工程]
第二微粒除去工程では、第一の方法における微粒子除去工程と同様の方法により、PVDF−微粒子複合膜から、微粒子が除去される。第二微粒子除去工程を経て、PI多孔質膜上に、PVDF−微粒子複合膜からPVDF多孔質膜が生成する。
[樹脂除去工程]
第二の方法も、第一の方法と同様に樹脂除去工程を含んでいてもよい。
≪積層体の用途≫
以上説明した積層体の用途は、二次電池におけるセパレータ用途が好ましいが、セパレータ用途には限定されない。積層体は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池用のセパレータ、燃料電池電解質膜、ガス又は液体の分離用膜(フィルタ)、低誘電率材料として使用することが可能である。
積層体をフィルタとして用いる場合、異なる樹脂層を含むことで、吸着可能な異物の種類が互いの層で異なるため、不純物除去性能を向上させることができる。
また、フィルタにおいてPVDF多孔質膜が表面に存在する場合、積層体をフィルタとして用いて、液体や気体の分離を行うフィルターデバイスを作製する場合に、PVDFの摩擦係数が低いことによって、PVDF多孔質膜の加工・組立を行いやすい。
積層体は、ニッケルカドミウム、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池用セパレータとして使用することが可能であるが、リチウムイオン二次電池用多孔質セパレータとして使用することが特に好ましい。
積層体を電池のセパレータとして使用する場合、電池内が高温になった場合に、ポリフッ化ビニリデンが溶融することで積層体の表面又は内部において連通孔が塞がれ、電池内での導通が遮断される。
つまり、以上説明した積層膜からなるセパレータはいわゆるシャットダウン特性を備え、電池の安全性・信頼性を向上させる。
以下、以上説明した積層膜からなるセパレータを含む二次電池について説明する。
<二次電池>
二次電池は、負極と正極との間に、電解液と本発明に係る製造方法で作製した積層体からなるセパレータとが配置されることを特徴とする。
二次電池の種類や構成は、何ら限定されるものではない。正極とセパレータと負極とが順に積層された電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造となった構成であれば、ニッケルカドミウム、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等の公知の二次電池に、特に限定されることなく使用することができる。
二次電池の負極は、負極活物質、導電助剤及びバインダーからなる負極合剤が、集電体上に成形された構造をとることができる。例えば、負極活物質として、ニッケルカドミウム電池の場合は水酸化カドミウムを、ニッケル水素電池の場合は水素吸蔵合金を、それぞれ用いることができる。また、リチウムイオン二次電池の場合は、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料が採用できる。このような、活物質として、例えば、炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズ、ウッド合金等が挙げられる。
負極を構成する導電助剤は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えば、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。集電体には、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔等を用いることが可能である。
また、正極は、正極活物質、導電助剤及びバインダーからなる正極合剤が、集電体上に成形された構造とすることができる。例えば、正極活物質としては、ニッケルカドミウム電池の場合は水酸化ニッケルを、ニッケル水素電池の場合は水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケルを、それぞれ用いることができる。他方、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn0.5Ni0.5、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiMn、LiFePO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。導電助剤はアセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。集電体にはアルミ箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることが可能である。
電解液としては、例えば、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池の場合には、水酸化カリウム水溶液が使用される。リチウムイオン二次電池の電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した構成とされる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート等が挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
外装材は、金属缶又はアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本発明に係る製造方法で作製した多孔質ポリイミド膜からなるセパレータはいずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、下記の実施例に限定されるものではない。
以下に示すポリアミド酸溶液、有機溶剤、分散剤、微粒子、及びエッチング液を用いた。
・ポリアミド酸溶液:ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの反応物(固形分20質量%(有機溶剤:N,N−ジメチルアセトアミド))
・有機溶剤(1):N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
・有機溶剤(2):ガンマブチロラクトン
・分散剤:ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル系分散剤
・微粒子:シリカ:平均粒径300nmのシリカ
・エッチング液(1):メタノール:水(質量比3:7)の混合液のNaOH 1.1質量%溶液
[PI用ワニスの調製]
ポリアミド酸溶液に、シリカ分散液(シリカに対し0.5質量%の分散剤を含む)を添加し(固形分としてのポリアミド酸及びシリカの質量比=15.5:84.5)、更に有機溶剤(1)及び(2)を最終組成物全体における溶剤組成が有機溶剤(1):有機溶剤(2)=90:10となるようにそれぞれ追加した。得られた混合物を撹拌してPI用ワニスを調製した(固形分濃度25質量%)。なお、得られた組成物におけるポリアミド酸とシリカとの比率(ポリアミド酸:シリカ)は体積比として22:78、質量比として15.5:84.5であった。
[未焼成PI複合膜成膜工程]
PI用ワニスを、基材(PETフィルム)上にアプリケーターを用いて塗布して成膜した。90℃で5分間プリベークして、膜厚25μmの未焼成PI複合膜を製造した。
未焼成PI複合膜を水に3分間浸漬したのち、2本のロール間に未焼成PI複合膜を通して、未焼成PI複合膜をプレスした。
その際、ロール抑え圧は3.0kg/cm、ロール温度は80℃、未焼成PI複合膜の移動速度は0.5m/minであった。
プレス後、基材から未焼成PI複合膜を剥離して未焼成PI複合膜を得た。
[第一焼成工程]
未焼成PI複合膜を380℃で15分間加熱処理(焼成)することにより、イミド化させ、PI−微粒子複合膜を得た。
[PVDF−微粒子複合膜成膜工程]
ポリフッ化ビニリデン溶液(溶媒:NMP)に、シリカ分散液(シリカに対し0.5質量%の分散剤を含む)を加え(固形分としてのポリフッ化ビニリデン及びシリカの質量比=15.5:84.5)、更に有機溶剤(NMP)を追加し、撹拌してPVDF用ワニスを調製した(固形分25質量%)。なお、得られた組成物におけるPVDFとシリカとの比率(PVDF:シリカ)は、体積比として18:82、質量比として15.5:84.5であった。
PVDF用ワニスを、PI−微粒子複合膜上にアプリケーターを用いて塗布して成膜した。90℃で300秒間加熱して溶剤を除去し、更に、水に3分間浸漬したのち、2本のロール間に積層上の複合膜を通してプレスした。
その際、ロール抑え圧は3.0kg/cm、ロール温度は80℃、PVDF複合膜の移動速度は0.5m/minであった。結果、PI−微粒子複合膜上に、膜厚1μmのPVDF−微粒子複合膜を製造した。
[微粒子除去工程]
PI−微粒子複合膜とPVDF−微粒子複合膜とが積層された積層体を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した。微粒子の除去後、水洗及び乾燥を行い、PI多孔質膜とPVDF多孔質膜とが積層された積層体を得た。
[ケミカルエッチング]
エッチング液(1)に積層体を2分間浸漬して、ケミカルエッチングを行った。浸漬後、積層体を水洗、乾燥した。
[評価]
得られた積層体を200℃で10分間加熱した。加熱前及び加熱後の積層体の表面(ポリフッ化ビニリデン多孔質膜側)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。加熱前の積層体の表面のSEM画像を図1に示し、加熱後の積層体の表面のSEM画像を図2に示す。
図1と図2との比較から、実施例で得た積層体では、200℃での加熱によりPVDF多孔質膜の軟化・溶融が生じ、それにより形成されたPVDFの薄膜によりPI多孔質膜表面の開口部が塞がれていることが分かる。
つまり、図1及び図2から、実施例で得た積層体が、電池用のセパレータに要求される、高温での導通を遮断するシャットダウン特性を備えることが分かる。

Claims (10)

  1. ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜と、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜とを含む積層体。
  2. 前記ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜と、前記ポリフッ化ビニリデン多孔質膜とが接する接触面を1以上含む、請求項1に記載の積層体。
  3. ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の膜厚が、0.01〜5.0μmである、請求項1又は2記載の積層体。
  4. ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の目付が、3×10−13g/m以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の積層体。
  5. ポリイミド及び/又はポリアミドイミド多孔質膜上か、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドと微粒子とを含有する複合膜上に、ポリフッ化ビニリデンと微粒子とを含有する複合膜を形成する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
  6. 更に、微粒子を除去する工程を含む、請求項5記載の積層体の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体を含む、二次電池用セパレータ。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体を含む、フィルタ。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体を二次電池においてセパレータとして使用する方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体をろ過においてフィルタとして使用する方法。
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EP4064404A1 (en) * 2021-03-24 2022-09-28 Fujifilm Business Innovation Corp. Polyimide porous film, non-aqueous secondary battery separator, secondary battery, and method for manufacturing secondary battery

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