JP6596196B2 - 多孔質膜製造用ワニスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の多孔質膜製造用ワニスは、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂(A)、微粒子(B)、並びに、アルキレンオキサイド鎖を有するケイ素原子及び/又はフッ素原子含有界面活性剤(C)を含有する。本発明の多孔質膜製造用ワニスは、上記のとおり、特定の界面活性剤を含有させることにより、はじきを生じにくい未焼成複合膜を与えることができる。
本発明の多孔質膜製造用ワニスに用いる樹脂(A)は、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂(以下、「ポリイミド系樹脂」と総称することがある。)である。
本発明で用いるポリアミド酸としては、任意のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合して得られるものが、特に限定されることなく使用できる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの使用量は特に限定されないが、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、ジアミンを0.50〜1.50モル用いるのが好ましく、0.60〜1.30モル用いるのがより好ましく、0.70〜1.20モル用いるのが特に好ましい。
これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。溶剤の使用量に特に制限はないが、生成するポリアミド酸の含有量が5〜50質量%とするのが望ましい。
ポリアミド酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明に用いるポリイミドは、その構造や分子量が限定されることはなく、公知のものが使用できる。ポリイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。また、本発明の多孔質膜製造用ワニスが溶剤を含有するものである場合、使用する溶剤に溶解可能な可溶性ポリイミドが好ましい。
ポリイミド及びそのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明に用いるポリアミドイミドは、その構造や分子量に限定されることなく、公知のものが使用できる。ポリアミドイミドについて、側鎖にカルボキシ基等の縮合可能な官能基又は焼成時に架橋反応等を促進させる官能基を有していてもよい。また、本発明の多孔質膜製造用ワニスが溶剤を含有するものである場合、使用する溶剤に溶解可能な可溶性ポリアミドイミドが好ましい。
ポリアミドイミドは、上記ポリマー、原料モノマー、オリゴマー又は前駆体の何れの場合であっても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明の多孔質膜製造用ワニスは、更に、微粒子(B)を含有する。
本発明で用いられる微粒子(B)の材質は、後に樹脂−微粒子複合膜から除去可能なものであれば、特に限定されることなく公知のものが採用可能である。本発明のワニスが溶剤を含有するものである場合、使用する溶剤に不溶であってよい。
使用する微粒子(B)の平均粒径は、例えば、100〜2000nmであることが好ましく、100〜1000nmがより好ましい。これらの条件を満たすことで、微粒子を取り除いて得られる多孔質膜の孔径を揃えることができるため、セパレータに印加される電界を均一化できる点で、好ましい。
微粒子(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
樹脂(A)と微粒子(B)との合計に対する微粒子(B)の含有量は、上限値としては、95体積%が好ましく、90体積%がより好ましく、下限値としては、65体積%が好ましく、70体積%がより好ましく、72体積%が更に好ましい。上記微粒子の含有量の上限が上記範囲内であると、微粒子同士が凝集しにくく、また、表面にひび割れ等が生じにくいため、安定して電気特性の良好な多孔質膜を形成することができる。
なお、本明細書及び本特許請求の範囲において、体積%及び体積比は、25℃における値である。また、上記樹脂(A)の量は、樹脂(A)の固形分の量である。
本発明の多孔質膜製造用ワニスは、更に、アルキレンオキサイド鎖を有するケイ素原子及び/又はフッ素原子含有界面活性剤(C)(以下、単に「界面活性剤(C)」ということがある。)を含有する。本発明の多孔質膜製造用ワニスは、界面活性剤(C)を含有するものであることにより、はじきを生じにくい未焼成複合膜を与えることができる。
本発明に用いる界面活性剤(C)は、フッ素系界面活性剤(C1)及びポリシロキサン系界面活性剤(C2)よりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
Rfとしてのフッ素化アルキル基としては、炭素数1〜3であることが好ましく、炭素数1又は2であることが特に好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(フッ素化アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基(パーフルオロアルキル基)が最も好ましい。
R11としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R12としては、メチレン基、エチレン基が好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R13としては、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
nとしては、1〜40が好ましく、3〜35がより好ましく、3〜9及び15〜25が更に好ましい。
mとしては、1が好ましい。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「ポリシロキサン系界面活性剤」とは、Si−O結合の繰返しからなる主鎖を有する界面活性剤を意味する。
アルキレンオキサイド鎖を有するポリシロキサン系界面活性剤(C2)は、下記一般式(C2−11)で表される繰返し単位と、下記一般式(C2−12)で表される繰返し単位とを有する、アルキレンオキサイド鎖含有ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤(C2−1)(以下、単に「ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤(C2−1)」ということがある。)を含むことが好ましい。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられ、これらのうち直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、デシル基がより好ましい。
R3としては、上述のように−O−R−(Rは上述のとおり直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。)で表されるアルキレンオキサイド鎖を少なくとも1つ有する基であれば特に限定されず、例えば、上記アルキレンオキサイド鎖を2つ以上有する場合、各アルキレンオキサイド鎖におけるRは、相互に同じであってもよいし、異なってもよい。
−R4−O−(R5−O)p−R6 (C2−12−1)
[式(C2−12−1)中、R4及びR5は独立に炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、R6は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、pは0〜10の整数である。]
R5としては、炭素原子数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、n−トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、i−トリメチレン基(−CH2CH(CH3)−)がより好ましく、エチレン基、i−トリメチレン基が更に好ましい。
R6としては、炭素原子数1〜7の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状のアルキル基が更に好ましい。
pとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましい。
但し、ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤(C2−1)を含有させることによる効果が充分に得られるためには、上記2種の繰返し単位を主成分とすることが好ましく、主鎖の少なくとも一方の末端が下記一般式(C2−10)で表されるものであることがより好ましく、主鎖の両方の末端が下記一般式(C2−10)で表されるものであることが更に好ましい。
ここで「主成分」とは、上記2種の繰返し単位の割合が、(C2−1)成分を構成する全繰返し単位の合計に対して50モル%以上であることを意味し、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。
熱分解点が上記範囲内であると、未焼成複合膜においてはじきを生じにくい状態を、後述のベーク工程を終えるまで保持することができ、はじきを最小限に抑えた多孔質膜を得ることができる。
熱分解点は、熱分析装置TG/DTA6200(製品名、Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定される、質量が減少した温度(℃)を示す。
本発明の多孔質膜製造用ワニスは、更に、溶剤(D)を含有するものであってもよい。溶剤(D)としては、ポリイミド系樹脂を溶解することができ、微粒子を溶解しないものが好ましい。このような溶剤としては、特に限定されず、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる溶剤として例示したもの等が挙げられる。
溶剤(D)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明では、ワニス中の微粒子(B)を均一に分散することを目的に、微粒子(B)とともに更に分散剤を添加してもよい。分散剤を添加することにより、樹脂(A)と微粒子(B)とを一層均一に混合でき、更には、未焼成複合膜等における微粒子(B)を均一に分布させることができる。その結果、最終的に得られる多孔質膜の表面に稠密な開口を設け、かつ、表裏面を効率よく連通させることが可能となり、多孔質膜の透気度を向上することができる。更に、分散剤を添加することにより、本発明の多孔質膜製造用ワニスの乾燥性が向上しやすくなり、また、形成された未焼成複合膜の基板等からの剥離性が向上しやすくなる。
本発明の多孔質膜製造用ワニスの調製は、樹脂(A)を含み、微粒子(B)を分散したワニスを製造することにより行う。具体的には、本発明の多孔質膜製造用ワニスの調製は、例えば、微粒子(B)を予め分散した溶剤(D)と樹脂(A)とを任意の比率で混合する方法、微粒子(B)を予め分散した溶剤(D)中で樹脂(A)を重合する方法等により、行うことができる。後者の方法としては、例えば、微粒子(B)を予め分散した溶剤(D)中において、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを重合してポリアミド酸とするか、更にイミド化してポリイミドとする方法、ポリアミドイミドの原料モノマー(単量体成分)及び/又はそのオリゴマーを重合してポリアミドイミド前駆体(前駆体ポリマー)とするか、更にイミド化してポリアミドイミドとする方法等が挙げられる。
本発明の多孔質膜の製造方法は、本発明の多孔質膜製造用ワニスを用いて、未焼成複合膜を形成する未焼成複合膜形成工程と、上記未焼成複合膜をベークして樹脂−微粒子複合膜を得るベーク工程と、上記樹脂−微粒子複合膜から微粒子を取り除く微粒子除去工程と、を有する。
以下、本発明における未焼成複合膜の形成方法について説明する。未焼成複合膜形成工程においては、本発明の多孔質膜製造用ワニスを用いて、未焼成複合膜を形成する。その際、未焼成複合膜は、基板上に形成してもよいし、上記未焼成複合膜とは異なる支持体上に形成してもよい。未焼成複合膜は、例えば、基板上又は上記支持体上に、本発明の多孔質膜製造用ワニスを塗布することにより、形成することができる。
支持体上に未焼成複合膜を形成する場合、通常、該支持体上に多孔質膜が形成され、該支持体を剥離することなく多孔質膜と一体となった積層膜として使用することができる。支持体を用いる場合、基板上に支持体を載置した上に(即ち、基板及び支持体上に)未焼成複合膜を形成してもよいし、支持体によっては、基材を用いる必要がなく、支持体上に未焼成複合膜を形成できる場合もある。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「支持体」は、このように多孔質膜と一体化して積層膜を構成するものを意味し、この点で、原則として最終的に多孔質膜から剥離される基板とは区別される。
乾燥後、更に同様の多孔質膜製造用ワニスを用いて複数の層による未焼成複合膜を形成してもよい。なお、この場合、上層側に使用されるワニスには(C)成分が含まれていなくてもよい。
各未焼成複合膜の形成に用いられる多孔質膜製造用ワニスの組成又は組成中の(A)成分が同じである場合は、積層膜は実質1層(単層)となるが、本明細書においては積層膜という。
上記未焼成複合膜に加熱による後処理(ベーク)を行ってポリイミド系樹脂と微粒子とからなる複合膜(樹脂−微粒子複合膜)とする。上記未焼成複合膜形成工程において、支持体上に上記未焼成複合膜を形成した場合には、ベーク工程において、上記支持体も上記未焼成複合膜とともにベークすることとなる。
本工程におけるベークは、乾燥及び焼成を含む概念であり、用いる樹脂(A)の種類に応じて乾燥のみ又は乾燥及び焼成を行うことができ、具体的には、樹脂(A)としてポリイミド又はポリアミドイミドを用いる場合、焼成は特に行う必要がない。
ベーク工程において行う乾燥としては、例えば、基板上又は支持体上に本発明の多孔質膜製造用ワニスを塗布して未焼成複合膜を形成した場合、常圧又は真空下で50〜100℃(好ましくは0〜50℃)、より好ましくは常圧下60〜95℃(更に好ましくは65〜90℃)で乾燥することができる。
樹脂−微粒子複合膜から、微粒子(B)を適切な方法を選択して除去することにより、多孔質膜を再現性よく製造することができる。
多孔質膜において、界面活性剤(C)はベーク工程において熱分解していてもよく、従って、界面活性剤(C)が全く存在していない又は界面活性剤(C)の熱分解物が残存している状態であってよい。
本発明の多孔質膜の製造方法は、微粒子除去工程前に、樹脂−微粒子複合膜のポリイミド系樹脂からなる樹脂部分の少なくとも一部を除去するか、又は、微粒子除去工程後に多孔質膜の少なくとも一部を除去する樹脂除去工程を有する。微粒子除去工程前に、樹脂−微粒子複合膜の樹脂部分の少なくとも一部を除去することにより、続く微粒子除去工程で微粒子が取り除かれ空孔が形成された場合に、上記樹脂部分の少なくとも一部を除去しないものに比べて、最終製品の多孔質膜の開孔率を向上させることが可能となる。また、微粒子除去工程後に多孔質膜の少なくとも一部を除去することにより、上記多孔質膜の少なくとも一部を除去しないものに比べて、最終製品の多孔質膜の開孔率を向上させることが可能となる。
本発明の製造方法で作製することができる多孔質膜は、リチウムイオン電池のセパレータや燃料電池電解質膜、ガス又は液体の分離用膜、低誘電率材料として使用することが可能である。上記多孔質膜は、ニッケルカドミウム、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池用セパレータとして使用することが可能であるが、リチウムイオン二次電池用多孔質セパレータとして使用することが特に好ましい。特に、リチウムイオン電池のセパレータとして使用する場合、本発明に係る多孔質膜は均質な薄膜形成が可能なので、上記未焼成複合膜形成工程で未焼成複合膜を積層する場合も、本発明に係る多孔質膜製造用ワニスにより形成された面をリチウムイオン電池の負極面側とすることにより、電池性能を向上させることができる。
本発明の多孔質膜製造用ワニスを用いて得られる多孔質膜を使用することができる二次電池は、負極と正極との間に、電解液と該多孔質膜からなるセパレータとが配置される。
・アルキレンオキサイド鎖を有するフッ素系界面活性剤:ポリフォックスシリーズPF−656(オムノバ社製)
・高分子量ブロック共重合体(BYK−167;ビックケミー社製)
・変性ウレア(BYK−410;ビックケミー社製)
・ポリアミドイミド:重合成分として無水トリメリット酸及びo−トリジンジイソシアネートを含むポリアミドイミド(Mw:約3万)
・ポリアミド酸溶液:テトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)とジアミン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)との反応物(反応溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド)
・微粒子(1):平均粒径300nmの球状シリカ
・微粒子(2):平均粒径700nmの球状シリカ
・分散剤:ポリオキシエチレン二級アルキルエーテル系分散剤
・有機溶剤(1):N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチル−2−ピロリドン(NMP)の混合溶剤
・有機溶剤(2):DMAcとγ−ブチロラクトン(GBL)の混合溶剤
なお、上記分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値である。
ポリアミドイミド6.25質量%、微粒子(1)18.75質量%、フッ素系界面活性剤(固形分に対し0.02質量%)、分散剤(シリカに対し0.5質量%)、及び有機溶剤(1)を混合・撹拌して、ポリアミドイミドとシリカとの体積比を34:66(質量比は25:75)とした、固形分濃度25質量%(溶剤組成質量比はDMAc:NMP=7:3)のポリアミドイミド含有ワニスを調製した。
[多孔質膜の作製]
上記のポリアミドイミド含有ワニスを、PETフィルム(基材)上にアプリケーターを用い未焼成複合膜を形成した。100℃で5分間ベークしたのち、基材から未焼成複合膜を剥離して樹脂−微粒子複合膜を得た。この樹脂−微粒子複合膜を、10%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去した後水洗・乾燥して、膜厚10μmのポリアミドイミド多孔質膜を得た。
[ケミカルエッチング]
TMAHの2.38質量%水溶液をメタノール50質量%水溶液で1.04%となるように希釈して、アルカリ性のエッチング液を作成した。このエッチング液に、上記のポリアミドイミド多孔質膜を80秒間浸漬してポリアミドイミド表面の一部を除去した。
(透気度)
ケミカルエッチング後の多孔質膜を5cm角に切り出して、透気度測定用のサンプルとした。ガーレー式デンソメーター(東洋精機社製)を用いて、JIS P 8117に準じて、100mlの空気が上記サンプルを通過する時間を測定した。
その結果、上記ポリアミドイミド多孔質膜の透気度は64.8秒であった。
ケミカルエッチング後の多孔質膜を1cm×5cmの大きさに切り出して短冊状のサンプルを得た。このサンプルの破断時の応力(MPa)を、RTC−1210A TENSILON(ORIENTEC社製)を用いて評価した。
その結果、上記ポリアミドイミド多孔質膜の引張強度は23.8MPaであった。
ケミカルエッチング後の多孔質膜から、IEC450規格に従った形状のダンベル型試験片を打ち抜いて、引張伸度測定用の試験片を得た。得られた試験片を用いて、チャック間距離20mm、引張速度2mm/分の条件で、万能材料試験機(TENSILON、オリエンテック社製)によって、多孔質膜の破断伸度を測定した。
その結果、上記ポリアミドイミド多孔質膜の伸度は18.4%であった。
界面活性剤を用いないこと以外は調製例1と同様にして、比較用ポリアミドイミド含有ワニスを得て、実施例1と同様にして、PETフィルム(基材)上にアプリケーターを用いて膜厚10μmで塗布した。その結果、図1の写真に示されるように、はじきが発生してしまい、また、基材に密着して剥離できず、無理に剥離しようとすると、はじきの箇所から裂けてしまった。
(1)第一のワニス
(多孔質膜製造用ワニス)
微粒子(1)、ポリアミド酸溶液(ポリアミド酸濃度18.9質量%)、表1記載の界面活性剤(固形分の0.02質量%)及び有機溶剤(2)を混合・撹拌して、ポリアミド酸と微粒子との体積比を22:78(質量比は15:85)とした、固形分濃度25質量%(溶剤組成質量比はDMAc:GBL=9:1)の第一のワニスを調製した。
(2)第二のワニス(上層用ワニス)
微粒子(1)を微粒子(2)に変更し、界面活性剤を添加せず、ポリアミド酸と微粒子との体積比を28:72(質量比は20:80)として、固形分濃度35質量%(溶剤組成質量比はDMAc:GBL=9:1)の第二のワニスを調製した。
[ポリイミド−微粒子複合膜(単層)の形成]
上記の第一のワニスをPETフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、70℃で5分間ベークして、膜厚約25μmの未焼成複合膜(単層)を形成した。
上記PETフィルムから上記未焼成複合膜を剥離した後、320℃で15分間熱処理を施し、イミド化を完結させて、ポリイミド−微粒子複合膜(単層)を得た。
上記の第一のワニスをPETフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、70℃で1分間プリベークして、膜厚約3μmの未焼成複合膜を成膜した。続いて、そのうえに第二のワニスを、アプリケーターを用い未焼成複合膜を形成した。70℃で5分間ベークして、膜厚25μmの未焼成複合膜(積層膜)を形成した。
上記PETフィルムから上記積層膜を剥離した後、320℃で15分間熱処理を施し、イミド化を完結させて、ポリイミド−微粒子複合膜(二層)を得た。
上記ポリイミド−微粒子複合膜(単層又は二層)を、10質量%HF溶液中に10分間浸漬することで、膜中に含まれる微粒子を除去して、多孔質ポリイミド膜(単層又は二層)を得た。
TMAHの2.38質量%水溶液をメタノール50質量%水溶液で1.04%となるように希釈して、アルカリ性のエッチング液を作成した。このエッチング液に、多孔質ポリイミド膜(単層又は二層)を80秒間浸漬してポリイミド表面の一部を除去した。
上記で得られた未焼成複合膜(単層及び二層)についてはじきの有無を下記に従って評価し、また、多孔質ポリイミド膜についてはケミカルエッチング後の多孔質膜の膜特性として透気度、引張強度及び引張伸度を上述の方法に従って評価した。単層と二層とはそれぞれ同等の結果であった。二層の結果を表1に示す。
得られた未焼成複合膜の表面(21cm×30cm)を目視で観察して、はじきの有無を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:はじきがない、又は、数点未満のはじきが観察された。
×:数点以上のはじきが観察された。
Claims (8)
- ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミドよりなる群から選択される少なくとも1つの樹脂(A)、微粒子(B)、並びに、アルキレンオキサイド鎖を有するケイ素原子及び/又はフッ素原子含有界面活性剤(C)を含有する多孔質膜製造用ワニスを用いて、未焼成複合膜を形成する未焼成複合膜形成工程と、
前記未焼成複合膜を乾燥のためのベークを経て樹脂−微粒子複合膜を得、前記乾燥のためのベークは常圧又は真空下で60〜100℃で行う、ベーク工程と、
前記樹脂−微粒子複合膜から微粒子を取り除く微粒子除去工程と、
を有し、
前記多孔質膜製造用ワニスは、前記微粒子(B)の含有量が前記樹脂(A)と前記微粒子(B)との合計に対して65体積%以上であり、
前記未焼成複合膜形成工程では、基板又は前記基板上の支持体に前記多孔質膜製造用ワニスを塗布する工程を含み、前記未焼成複合膜と前記基板との間、又は、前記支持体と前記基板との間に離型層がなく、
前記基板は、ポリエステル樹脂からなる基板であり、
前記乾燥のためのベーク後の、前記未焼成複合膜、又は、前記未焼成複合膜と前記支持体との積層膜を、前記基板から剥離する工程をさらに有する、表裏面が連通している多孔質膜の製造方法。 - 前記微粒子除去工程前に、前記樹脂−微粒子複合膜のポリイミド系樹脂からなる樹脂部分の少なくとも一部を除去する、及び/又は、前記微粒子除去工程後に多孔質膜の少なくとも一部を除去する樹脂除去工程をさらに有する、請求項1記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記多孔質膜は、厚さが10μm以下である、請求項1又は2に記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記多孔質膜製造用ワニスは、前記微粒子(B)の含有量が前記樹脂(A)と前記微粒子(B)との合計に対して95体積%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記界面活性剤(C)が、
下記一般式(C1−0)で表される基を含むアルキレンオキサイド鎖を有するフッ素系界面活性剤(C1)及び
アルキレンオキサイド鎖を有するポリシロキサン系界面活性剤(C2)
よりなる群から選択される少なくとも1つである界面活性剤(C)
である、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記フッ素系界面活性剤(C1)は、下記一般式(C1−1)で表される構造を有する化合物を含む、請求項5記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記アルキレンオキサイド鎖を有するポリシロキサン系界面活性剤(C2)は、下記一般式(C2−11)で表される繰返し単位と、下記一般式(C2−12)で表される繰返し単位とを有する、アルキレンオキサイド鎖含有ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤(C2−1)を含む、請求項5又は6記載の多孔質膜の製造方法。
- 前記樹脂(A)は、ポリアミドイミドである、請求項1〜7の何れかに記載の多孔質膜の製造方法。
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