JP2016145300A - 多孔質ポリアミドイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

多孔質ポリアミドイミドフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、高気孔率であり、かつ微細な気孔が形成された多孔質ポリアミドイミドフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】<1>乾式多孔化プロセスで得られる多孔質ポリアミドイミドフィルムであって、オキシアルキレンユニットを含むポリアミドイミドからなり、気孔率が20体積%以上、95体積%以下、平均気孔径が10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする多孔質ポリアミドイミドフィルム。<2>オキシアルキレンユニットを含むポリアミドイミドと、その良溶媒と貧溶媒とを含む溶液を基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することを特徴とする前記多孔質ポリアミドイミドフィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質ポリアミドイミド(以下、「PAI」と略記することがある)フィルムおよびその製造方法に関するものである。
ポリイミド系の多孔質フィルムは、その優れた耐熱性と高い気孔率を利用して、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で利用されている。ポリイミド系の多孔質フィルムの中で、フィルムや被膜を成形する際、高温を必要としないPAIについては、この多孔質PAIフィルムを製造する方法として、PAI溶液を基材上に塗布することにより形成されたPAI塗膜を、PAIの貧溶媒を含む凝固液に浸漬して、相分離を誘起せしめ多孔質化を図る方法(以下、「湿式相分離プロセス」と略記することがある)が知られている(特許文献1〜3)。この方法は、多孔質PAIフィルムを製造する際に使用する凝固浴から貧溶媒を含む廃液が多量に発生するために、環境適合性において問題があった。 また、湿式相分離プロセスでは、均一で微細な気孔を有する多孔質PAIは得られていなかった。
そこで、この基材上に形成されたPAI塗膜を、乾燥または熱処理するだけで、気孔を形成させ、多孔質PAI被膜やフィルムを製造する方法が提案されている。 例えば、特許文献4、5には、特定の溶媒を含有するPAI溶液を、銅線やアルミ条等の基材上に塗布後、500℃程度の高温で熱処理することによって、多孔質PAI被膜やフィルムを得る方法が提案されている。これらの方法は、高温での溶媒の分解と揮発に起因する発泡現象を利用して多孔質PAI被膜を得ようとするものである。 しかしながら、このような発泡PAIフィルムは、気孔率が低く、かつ独立気孔が多いため透過性の低いものであった。また、フィルム表面に気孔を形成させることは困難であった。従い、高い透過性が要求されるリチウム二次電池用セパレータやフィルタ等の用途に利用することは困難であった。
このような発泡現象を利用する方法に対し、特許文献6には、特定の溶媒を含有するPAI溶液をリチウム二次電池の電極上に塗布し、これを200℃以下の温度で乾燥することにより、多孔質PAI被膜を形成させる方法が開示されている。 この方法(以下、「乾式相分離プロセス」と略記することがある)は、塗膜を乾燥するのみで多孔質被膜が得られるので、湿式相分離プロセスで必要な凝固浴が不要となる。そのため、多孔質PAIフィルム製造の際、凝固浴から廃液が発生しないので、環境適合性の観点から、優れた方法である。
特開2000−288370号公報 特開2003−313356号公報 特開2004−315660号公報 特開2013−187029号公報 特開2013−210493号公報 国際公開2014/106954号明細書
しかしながら、特許文献6に記載された方法で得られる多孔質PAI被膜の平均気孔径は数μmレベルであり、平均気孔径が1μm以下の微細な気孔を有する多孔質PAIフィルムを得ることは容易ではなかった。
そこで本発明は、前記課題を解決するものであって、気孔率が高く、かつ微細な気孔を有する多孔質PAIフィルムおよび環境適合性に優れた多孔質PAIフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、PAIの化学構造を特定のものとした上で、多孔質PAIフィルムの気孔率と平均気孔径を規定することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
<1> 乾式多孔化プロセスで得られる多孔質PAIであって、オキシアルキレンユニットを含むPAI(以下、「PAI−OA」と略記することがある)からなり、気孔率が20体積%以上、95体積%以下、平均気孔径が10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする多孔質PAIフィルム。
<2> PAI―OAと、その良溶媒と貧溶媒とを含む溶液を基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することを特徴とする多孔質PAIフィルムの製造方法。
本発明の多孔質PAIフィルムは、耐熱性に優れ、気孔率が高く、透過性に優れ、かつ気孔の優れた均一性に基づく良好な力学的特性を有するので、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は多孔質PAIフィルム、およびその製造方法に関するものである。
PAIは、主鎖にイミド結合とアミド結合の両方を有する高分子であり、固有粘度が0.5dl/g以上であり、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上であるものが、耐熱性や強度の点で好ましい。PAIは、例えば、原料であるトリカルボン酸成分とジアミン成分との重縮合反応を行うことにより得ることができる。 本発明で用いられるPAIの製造方法に制限は無いが、トリカルボン酸無水物のモノクロライドとジアミンを用いる酸クロリド法やトリメリット酸無水物とジイソシアネートを用いるイソシアネート法等が挙げられ、プロセス簡便性の観点からは、イソシアネート法が好ましい。イソシアネート法によるPAIの製造条件等は公知であり、例えば、特許文献1〜3に記載の方法を参照することができる。
PAIのトリカルボン酸成分は、1分子あたり3個のカルボキシル基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環または脂肪族環を有する有機化合物であって、当該3個のカルボキシル基のうち、少なくとも2個のカルボキシル基が共に酸無水物形態を形成し得る位置に配置されたものである
芳香族トリカルボン酸成分として、例えば、ベンゼントリカルボン酸成分、ナフタレントリカルボン酸成分が挙げられる。
ベンゼントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
ナフタレントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,3‐ナフタレントリカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
脂環族トリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−デカヒドロナフタレントリカルボン酸、1,2,5−デカヒドロナフタレントリカルボン酸ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
トリカルボン酸成分の中では、芳香族トリカルボン酸成分が好ましい。
芳香族トリカルボン酸成分の中では、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。
トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。トリカルボン酸成分は、その一部がピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、またはビフェニルテトラカルボン酸等の成分で置換されたものを用いてもよい。
本発明で用いられるPAI(PAI−OA)は、その主鎖中にオキシアルキレンユニットを含むものである。PAI―OAは、例えば、前記トリカルボン酸成分の一部をグリコール成分で置き換え、これを共重合することにより得ることができる。 グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールやジカルボン酸の1種又は2種以上と前記グリコールの1種又は2種以上とから合成される末端水酸基のポリエステル等が挙げられる。
グリコール成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。また、その分子量は200以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましい。 共重合比は全酸成分を100モル%としたときに0.1〜30モル%であることが好ましく、0.5〜10モル%であることがより好ましい。このようにすることにより、平均孔径が1μm以下の多孔質PAIフィルムとすることができる。
PAIのジアミン成分は、1分子あたり2個の1級アミノ基(その誘導体を含む)有する有機化合物である。
ジアミン成分の具体例として、例えば、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、m−フェニレンジアミン(MDA)、p−フェニレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(DMA)、4,4′−ジフェニルエーテルジアミン、ジフェニルスルホン−4,4′−ジアミン、ジフェニルー4,4′−ジアミン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ならびにこれらのジイソシアネート誘導体が挙げられる。
ジアミン成分として、オキシエルキレンユニットを有するジアミン(その誘導体を含む)も用いることができる。これらのジアミンとしては、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル等が挙げられる。これらのジアミンを共重合することによっても、PAI―OAを得ることができる。共重合比は全ジアミン成分を100モル%としたときに2〜30モル%であることが好ましい。
ジアミン成分の中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。
ジアミン成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の多孔質PAIフィルムの気孔率は、20体積%以上であり、30体積%以上が好ましく、40体積%以上であることがより好ましい。 また、本発明の多孔質PAIフィルムの気孔率は、95体積%以下であり、80体積%以下が好ましく、70体積%以下であることがより好ましい。本発明の気孔率は以下の式を用いて算出された値を用いることができる。
気孔率(体積%)= 100−100×(W/D)/(S×T)
式中のSは多孔質PAIフィルムの面積、Tはその厚み、Wはその質量、Dは対応する非多孔質PAIフィルムの密度を示す。
多孔質PAIフィルムの気孔の平均気孔径は、10nm以上、1000nm以下であり、100nm以上、500nm以下であることがより好ましい。平均気孔径は、多孔質PAIフィルム断面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を倍率5000〜20000倍で取得することにより確認することができる。なお、多孔質PAIフィルムの気孔は、連続気孔であっても、独立気孔であってもよい。
本発明の多孔質PAIフィルムは、例えば、以下に示す乾式多孔化プロセスにより製造することができる。すなわち、PAI−OAと、その良溶媒と貧溶媒とを含む溶液を基材上に塗布後、乾燥することにより、製造することができる。
ここで、良溶媒とは、溶媒質量に対する溶質(PAI−OA)の25℃での溶解度が、1質量%以上の溶媒を言い、貧溶媒とは、前記溶解度が1質量%未満の溶媒を言う。 良溶媒としては、アミド系溶媒、尿素系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。また、尿素系溶媒の具体例としては、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、ジメチルエチレン尿素、ジメチルプロピレン尿素等が挙げられる。これらの中で、NMPおよびDMAcが好ましい。貧溶媒としては、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、エーテル系溶媒が好ましい。 エーテル系溶媒としては、例えば、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ペンタグライム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、トリグライムおよびテトラグライムが好ましい。
貧溶媒は、良溶媒よりも沸点が高いものを用いることが好ましく、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。 混合溶媒中における貧溶媒の配合量としては、混合溶媒質量に対し、30〜90質量%とすることが好ましく、40〜80質量%とすることがより好ましい。このようにすることにより、乾式多孔化プロセスにおける乾燥工程において、効率よく相分離が起こり、高い気孔率を有する多孔質PAIフィルムを得ることができる。
PAI―OA溶液としては、トリカルボン酸成分(前記置換されたグリコール成分を含む)とジアミン成分とを略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中、100〜250℃の温度で重合反応させて得られる溶液を用いることができる。
PAI―OA溶液は、良溶媒中で重合反応して溶液を得た後、これに貧溶媒を加える方法や、貧溶媒中で重合反応して懸濁液を得た後、これに良溶媒を加える方法で、得ることもできる。
PAI―OA溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤、シランカップリング剤、孔径調整剤(フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等のアルカリ金属塩)のような公知の添加物を添加してもよい。また、必要に応じて、PAI溶液に、PAI以外の他の高分子を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
PAI―OA溶液を、基材の表面に塗布し、乾燥することにより、乾式多孔化プロセスによる本発明の多孔質PAIフィルムを形成させることができる。 その後、基材から多孔質PAIフィルムを剥離して多孔質PAIフィルム単体とすることができる。また、基材上に形成された多孔質PAIフィルムは、基材から剥離することなく、基材と積層一体化して使用することもできる。
前記乾燥工程で、塗膜に含まれる溶媒を揮発させることにより相分離を誘起させて多孔質PAI被膜が形成される。乾燥温度の上限値に制限は無いが、200℃以下とすることが好ましく、180℃以下とすることがより好ましい。 乾燥温度の下限値にも制限は無いが、100℃以上とすることが好ましい。 なお、乾燥の際、加湿雰囲気で乾燥を行うこともできる。 また、多孔質PAIフィルムは、耐熱性に優れるので、乾燥後、200℃以上の温度、例えば300℃程度で熱処理を行ってもよい。
前記基材としては、例えば、金属箔、金属線、ガラス板、熱可塑性樹脂フィルム(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等)、ポリイミド等の熱硬化性樹脂フィルム、各種織物、各種不織布等が挙げられる。前記金属としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等を用いることができる。基材は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。これら基材への塗液の塗布方法としては、ディップコータ、バーコータ、スピンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等を用い、連続式またはバッチ式で塗布することができる。
多孔質PAIフィルムの厚みに制限はないが、通常1〜1000μm程度であり、10〜500μm程度が好ましい。
以上述べた如く、本発明の多孔質PAIフィルムは、高い気孔率を有し、かつ平均気孔径が極めて小さいので、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で好適に使用することができる。なお、前記気孔率や平均気孔径は、オキシアルキレンユニットを含むPAIの化学構造およびPAI―OA溶液中の溶媒(良溶媒および貧溶媒)の種類や配合量を選ぶことにより、多孔質PAIフィルムが適用される用途に応じて、適宜設定することができる。また、本発明の多孔質PAIフィルム製造方法は、乾式多孔化プロセスに基づくので、気孔形成の際、貧溶媒を含む凝固浴からの廃液が発生しない。従い、環境適合性が良好であり、しかも、プロセスが極めて簡単である。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、TMA:0.96モル、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI):1モル、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000):0.04モル 、NMPを投入して攪拌した。 得られた溶液を、200℃に昇温して7時間反応後、冷却することにより、オキシテトラメチレンユニットが導入されたPAI溶液を得た。(PAI固形分濃度:35質量%、PAI固有粘度が0.98dl/g) この溶液に、PAIに対し貧溶媒となるテトラグライムを加え、均一なPAI溶液(A−1)を得た。 この溶液の固形分濃度は約11質量%、 テトラグライムの質量比率は、混合溶媒(NMPとテトラグライム)に対し、70質量%であった。 A−1を、アルミニウム箔(厚み:150μm)上に、ドクターブレードを用いて塗布し、120℃で20分、160℃で10分乾燥することにより、アルミ箔上に積層された厚み35μmの多孔質PIフィルム(P−1)を得た。 P−1の気孔率は65体積%であり、平均気孔径320nmの均一な気孔が形成されていた。
<実施例2>
ポリテトラメチレングリコールをポリエチレングリコール(分子量2000)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAI溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み30μmの多孔質PIフィルム(P−2)を得た。
P−2の気孔率は62体積%であり、平均気孔径250nmの均一な気孔が形成されていた。
<実施例3>
TMAの使用量を0.98モルとし、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)の使用量を0.02モルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAI溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み32μmの多孔質PIフィルム(P−3)を得た。P−3の気孔率は68体積%であり、平均気孔径480nmの均一な気孔が形成されていた。
<比較例1>
TMAの使用量を1モルとし、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み35μmの多孔質PIフィルム(P−4)を得た。P−3の気孔率は72体積%であったが、平均気孔径は2500nmであった。
<比較例2>
混合溶媒(NMPとテトラグライム)中のテトラグライムの質量比率を、10質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI溶液を作成し、実施例1と同様にしてアルミ箔上に積層された厚み35μmの多孔質PIフィルム(P−5)を得た。P−5の気孔率は1体積%未満であった。
実施例で示した様に、PAI−OAを用いた本発明のP−1〜3は、平均気孔径が1000nm以下の気孔が均一に形成されていることが判る。 これに対し、比較例のP−4は、相当量の気孔は形成されていても、平均気孔径が1000nm以下という微細な気孔は形成されていないことが判る。また、比較例のP−5は、殆ど気孔が形成されていないことが判る。
平均気孔径が1000nm以下の微細な気孔が多数形成された本発明の多孔質PIフィルムは、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆等の産業用材料、医療材料の素材等に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 乾式多孔化プロセスで得られる多孔質ポリアミドイミドフィルムであって、オキシアルキレンユニットを含むポリアミドイミドからなり、気孔率が20体積%以上、95体積%以下、平均気孔径が10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする多孔質ポリアミドイミドフィルム。
  2. オキシアルキレンユニットを含むポリアミドイミドと、その良溶媒と貧溶媒とを含む溶液を基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することを特徴とする請求項1記載の多孔質ポリアミドイミドフィルムの製造方法。
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