JP2019183153A - ポリイミドエアロゲルの製造方法 - Google Patents

ポリイミドエアロゲルの製造方法 Download PDF

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Kenta Shibata
健太 柴田
耕 竹内
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耕 竹内
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宗紀 山田
繁田朗
Akira Shigeta
朗 繁田
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Yoshiaki Echigo
良彰 越後
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Abstract

【課題】平均気孔径が500nm以下であるポリイミド(PI)エアロゲルを、簡単に製造する方法の提供。【解決手段】PIと、PIに対する良溶媒および貧溶媒と、PIの化学架橋剤と、からなる均一なPI溶液を、基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することにより、貧溶媒の作用による相分離現象を誘起せしめつつ、PIを化学架橋することを特徴とするPIエアロゲルの製造方法。PIには、PAI、PEI(ポリエステルイミド)等が含まれる。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリイミド(PI)エアロゲルの製造方法に関するものである。
PI多孔質フィルムは、その優れた耐熱性と高い気孔率を利用して、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆、スピーカ振動板等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で利用されている。PI多孔質フィルムの中で、フィルムや被膜を成形する際、高温を必要としないポリアミドイミド(PAI)については、この多孔質PAIフィルムを製造する方法として、特許文献1には、PAI溶液を基材上に塗布することにより形成されたPAI塗膜を、PAIの貧溶媒を含む凝固液に浸漬して、相分離を誘起せしめ多孔質化を図る方法が開示されている。また、特許文献2には、化学架橋剤を配合したPAI溶液を基材上に塗布することにより形成されたPAI塗膜を、PAIの貧溶媒を含む凝固液に浸漬して、相分離を誘起せしめ、未化学架橋の多孔質PAIフィルムとしたのち、これを熱処理してPAIを化学架橋することにより多孔質PAIフィルムとする方法が開示されている。これらの方法は、多孔質PAIフィルムを製造する際に使用する凝固浴から貧溶媒を含む廃液が多量に発生するために、環境適合性において問題があった。また、湿式相分離プロセスでは、均一で微細な気孔を有する多孔質PAIは得られていなかった。そこで、この基材上に形成されたPAI塗膜を、乾燥または熱処理するだけで、気孔を形成させ、多孔質PAI被膜やフィルムを製造する方法が提案されている。例えば、特許文献3、4には、PAIに対する良溶媒と貧溶媒とを含有するPAI溶液を基材上に塗布し、これを200℃以下の温度で乾燥することにより、多孔質PAI被膜を形成させる方法が開示されている。この方法は、塗膜を、低温で乾燥するのみで多孔質被膜が得られるので、湿式相分離プロセスで必要な凝固浴が不要となる。そのため、多孔質PAIフィルム製造の際、凝固浴から廃液が発生しないので、環境適合性の観点から、優れた方法である。
しかしながら、特許文献1〜4に記載された方法で得られる多孔質PAI被膜は、その気孔が微細なものであっても、平均気孔径は、500nm超であり、電気特性、断熱特性、力学的特性等がより優れた、平均気孔径が500nm以下の微細な気孔を有する多孔質PAIフィルムを得ることは容易ではなかった。
一方、平均気孔径が500nm以下の微細な気孔を有するPIフィルムを得る方法として、特許文献5〜7には、PIを、溶媒を含むゲル体とし、超臨界炭酸ガスによる抽出、凍結乾燥等の手法でゲル体から溶媒を除去することにより多孔質体とする方法が開示されている。また、特許文献8には、PI前駆体の良溶媒と、前記PI前駆体の貧溶媒と、イミド化触媒、および脱水剤を混合したゲル状組成物を、溶媒置換後、常圧乾燥することにより、多孔質体とする方法が開示されている。これらゲル体から得られる多孔質PIは、PIエアロゲルと呼ばれているものである。ここで、エアロゲル(「エーロゲル」ともいう)とは、例えば、特許第3703032号公報に定義されているように、「非常に多孔質で低密度の物質であり、ゲルを形成し、次いでそのゲルから、ゲル構造を大幅に維持しながら液体を除去することにより製造される」多孔質体をいう。
特開2009−073124号公報 特開2011−122124号公報 特許第6175517号公報 特開2016−145300号公報 特許第4338264号公報 特表2005−533893号公報 特表2016−522288号公報 特開2018−53099号公報
しかしながら、特許文献5〜8に記載された方法は、PIゲルを多孔質体とする際に200℃超の熱処理工程(イミド化工程)や溶媒置換等の複雑な工程が必要であった。また、超臨界炭酸ガスによる抽出、凍結乾燥等で、溶媒を除去するに際しては、複雑で高価な装置を必要とした。また、超臨界炭酸ガスによる抽出では、多量の炭酸ガスを用いるため、環境適合性にも問題があった。
そこで本発明は、前記課題を解決するものであって、簡単かつ環境適合性に優れたPIエアロゲルの製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、これと、特定の溶媒と、化学架橋剤とからなる溶液を、溶媒置換することなく、通常の乾燥で溶媒を除去することにより、PIエアロゲルが簡単に得られることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
PIと、PIに対する良溶媒および貧溶媒と、PIの化学架橋剤と、からなる均一なPI溶液を、基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することにより、貧溶媒の作用による相分離現象を誘起せしめつつ、PIを化学架橋することを特徴とするPIエアロゲルの製造方法。
本発明の製造方法により、超臨界炭酸ガスによる抽出、凍結乾燥等、特殊な方法を用いることなく、簡単にPIエアロゲルを得ることができる。この方法により得られたPIエアロゲルは、その平均気孔径が500nm以下であり、耐熱性に優れる。
実施例1で得られたPAIエアロゲル表面のSEM像(倍率は50000倍)である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造法においては、PIと、PIに対する良溶媒および貧溶媒と、PIの化学架橋剤と、からなる均一なPI溶液を用いる。
ここで、PIは、主鎖にイミド結合を有する耐熱性高分子であり、通常、モノマ成分であるジアミン成分と、テトラカルボン酸および/またはトリカルボン酸成分と、を重縮合することにより得られる。これらのPIには、PAI、PEI(ポリエステルイミド)等が含まれる。
PIとしては、後述するアミド系溶媒に可溶性であるPIを用いることが好ましい。
この場合、アミド系溶媒はPIの良溶媒として作用する。
本発明の製造方法においては、これらPIの中で、PAIが好ましく用いられる。
PAIは、原料であるトリカルボン酸成分とジアミン成分との重縮合物であり、溶媒に溶解した均一溶液として用いる。PAIのトリカルボン酸成分は、1分子あたり3個のカルボキシル基(その誘導体を含む)を有する有機化合物であって、当該3個のカルボキシル基のうち、少なくとも2個のカルボキシル基が酸無水物形態を形成し得る位置に配置されたものである。
トリカルボン酸成分として、例えば、ベンゼントリカルボン酸成分、ナフタレントリカルボン酸成分が挙げられる。
ベンゼントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
ナフタレントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,3−ナフタレントリカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドが挙げられる。
トリカルボン酸成分の中では、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。
トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、トリカルボン酸成分は、その一部がテレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の成分で置換されたものを用いてもよい。
PAIのジアミン成分は、1分子あたり2個の1級アミノ基(その誘導体を含む)を有する有機化合物である。
ジアミン成分の具体例としては、例えば、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、m−フェニレンジアミン(MDA)、p−フェニレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(DMA)、4,4′−ジフェニルエーテルジアミン、ジフェニルスルホン−4,4′−ジアミン、ジフェニルー4,4′−ジアミン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、およびこれらのジイソシアネート誘導体が挙げられる。
ジアミン成分の中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。
ジアミン成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
PAIは、通常、200℃以上のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSC(示差熱分析)により測定された値を用いている。
PAIは、熱可塑性であっても非熱可塑性であってもよいが、前記したガラス転移温度を有する芳香族PAIを好ましく用いることができる。
PAI溶液の溶媒は、PAIに対する良溶媒および貧溶媒からなる混合溶媒である。ここで、良溶媒とは、25℃において、PAIに対する溶解度が1質量%以上の溶媒をいい、貧溶媒とは、25℃において、PAIに対する溶解度が1質量%未満の溶媒をいう。貧溶媒は、良溶媒よりも高沸点であることが好ましい。また、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。
良溶媒としては、アミド系溶媒または尿素系溶媒が好ましく用いられる。アミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP 沸点:202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF 沸点:153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc 沸点:166℃)が挙げられる。また、尿素系溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素(TMU 沸点:177℃)、ジメチルエチレン尿素(沸点:220℃)が挙げられる。これらの良溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
貧溶媒としては、エーテル系溶媒が好ましく用いられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(G3 沸点:216℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(G4 沸点:275℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃) トリプロピレングリコール(沸点:273℃)、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:242℃)、トリエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)等の溶媒を挙げることができる。これらの貧溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。貧溶媒の配合量は、全溶媒量に対して15〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。このような溶媒組成とすることにより、後述する乾燥工程において、効率よく相分離が起こり、平均気孔径が500nm以下の微細な気孔を有するPAIエアロゲルが得られる。
PAI溶液は、前記した混合溶媒に加え、化学架橋剤を含有する。この化学架橋剤は、後述する乾燥工程で、PAIをゲル化させて化学架橋構造とする作用を有する。これらの化学架橋剤の含有量は、PAI固形分質量に対し、1〜50質量%とすることが好ましく、5〜30質量%とすることがより好ましい。
用いる化学架橋剤に制限はないが、ジアミン、トリアミン、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリカルボジイミド、ポリ無水マレイン酸共重合体、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。 これらは、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ジアミン、ポリカルボジイミドが好ましい。ジアミンの中では、オキシアルキレンユニットを有するジアミンやシロキサンユニットを有するジアミンを特に好ましく用いることができる。オキシアルキレンユニットを有するジアミンの具体例としては、例えば、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル(PEGME)、プロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル(PPGME)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、PEGME、PPGMEが好ましい。これらの化合物は市販品を利用することができる。
シロキサンユニットを有するジアミンの具体例としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等、および下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかで、下記一般式(1)において、R1およびR2がトリメチレン基、R3、R4、R5およびR6がメチル基、nは3〜100であるもの(以下、「DASM」と略記することがある)が好ましく、これらの中で、数平均分子量が、300〜5000のものがより好ましい。 これらのDASMは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。DASMとしては、信越化学社製、KF8010(数平均分子量860)、同X22−161A(数平均分子量1,600)、同X22−161B(数平均分子量3,000)、同KF8012(数平均分子量4,400)、東レダウコーニング製、BY16−835U(数平均分子量900)、チッソ社製、サイラプレーンFM3311(数平均分子量1000)等の市販品を用いることができる。

(ただし、式中nは1以上の整数を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なった、低級アルキレン基またはフェニレン基を示し、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ同一または異なった、低級アルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
ジアミンとしては、前記したPAIのジアミン成分として挙げたものも用いることができる。
ポリカルボジイミド(PCDI)は、分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、日清紡社製カルボジライトV−02−L2、同V−05等の市販品を用いることができる。
本発明の製造方法においては、例えば、前記したPAI溶液を、基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することにより、貧溶媒の作用による相分離現象を誘起せしめつつ、PAIを化学架橋することによりPAIエアロゲルを得ることができる。 具体的には、例えば、以下のような工程により、PAIエアロゲルを得ることができる。すなわち、固体状のPAIを前記混合溶媒に溶解せしめてPAI溶液とし、しかる後、この溶液に化学架橋剤を加え、60℃〜100℃程度に加熱することにより、PAIと化学架橋剤を一部反応させて、ゲル化させることなく高粘度化する。この溶液粘度(30℃)としては、1〜100Pa・sとすることが好ましく、5〜50Pa・sとすることがより好ましい。 このようにすることにより、塗工性が良好なPAI溶液とすることができる。なお、PAIの固形分濃度としては、溶液質量に対し、1〜20質量%とすることが好ましく、3〜15質量%とすることがより好ましい。
前記固体状のPAIとしては、例えば、市販のPAI粉体(例えば、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロン4000Tシリーズ、トーロン4000TF、トーロンAI−10シリーズ等)を利用することができる。
PAI溶液を得るには、前記したような固体状のPAIを用いて製造する方法が好ましいが、原料である前記芳香族トリカルボン酸成分および前記ジアミン成分(各種ジアミンもしくはそのジイソシアネート誘導体)を略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中で重合反応させて得られるPAI溶液も用いることができる。また、良溶媒中のみで重合反応して溶液を得た後、これに貧溶媒を加える方法や、貧溶媒中のみで重合反応して懸濁液を得た後、これに良溶媒を加える方法で、PAI溶液を得ることができる。
以上、PAI溶液について述べたが、本発明のPIエアロゲルの製造方法においては、PAI以外のPIとして、アミド系溶媒に可溶性のPIである、「ウルテム1000」(登録商標)」(サビック社製)、「マトリミド5218」(ハンツマン社製)等の市販品を用いることもできる。
本発明で用いられるPI溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤や有機シランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PI以外の他のポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
前記したPI溶液を、基材表面に塗布し、100〜200℃の温度、好ましくは120〜160℃の温度で乾燥を行うことにより相分離現象を誘起せしめつつ、PIを化学架橋することにより、微細な気孔を有するPIエアロゲルを得ることができる。この乾燥に際しては、超臨界炭酸ガスによる抽出、凍結乾燥による乾燥等の手法を併用してもよい。 また、塗布、乾燥の際、用いた貧溶媒の一部をエタノールやアセトン等の低沸点溶媒で、溶媒置換を行ってもよい。
基材へのPI溶液の塗布方法としては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法が採用でき、いずれの方法でもよい。塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等を用いる公知の方法で行うことができる。 基材としては、例えば、金属箔、金属線、ガラス板、熱可塑性樹脂フィルム(ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等融点または軟化点が300℃以下の熱可塑性樹脂フィルム)、ポリイミド等の熱硬化性樹脂フィルム、各種織物、各種不織布等が挙げられる。前記金属としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等を用いることができる。基材は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。
このようにして得られたPIエアロゲル表面の平均気孔径は、1nm以上、500nm以下とすることが好ましく、5nm以上、80nm以下がより好ましい。平均気孔径は、PIエアロゲル表面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を倍率50000倍で取得し、市販の画像処理ソフトで解析することにより確認することができる。
PIエアロゲルの気孔率は、20〜99体積%であることが好ましく、30〜98体積%であることがより好ましい。PIエアロゲルの気孔率は、PIエアロゲルの見掛け密度と、PIの真密度(比重)とから算出される値である。詳細には、気孔率(体積%)は、PI被膜の見掛け密度がA(g/cm)、PIの真密度がB(g/cm)の場合、次式により算出される。
気孔率(体積%) = 100−A*(100/B)
PIエアロゲルの厚みに制限はないが、通常、0.5〜1000μmであり、1〜200μmが好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
TACと、DADEおよびMDAと、を共重合(共重合モル比:DADE/MDA=7/3)して得られるPAI粉体(ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロン4000T−HV、ガラス転移温度280℃)を、NMPとG4とからなる混合溶媒(質量比 NMP/G4=30/70)に溶解して、PAIの固形分濃度が15質量%の均一なPAI溶液を得た。次に、このPAI溶液に、化学架橋剤として、PAI質量に対し24質量%相当のPPGME(ハンツマン社製ジェファーミンD2000)を添加し、攪拌下、80℃で1時間反応させて均一な溶液を得た。この溶液に、さらに、G4を加え、PAI固形分濃度が10質量%で、30℃での溶液粘度が15.8Pa・sであるPAI溶液(混合溶媒の質量比 NMP/G4=20/80)を得た。 次に、この溶液を基材上に塗布して、塗膜を130℃で10分、乾燥することにより、厚みが7μmで気孔率が41体積%のPAIエアロゲルを得た。このPAIエアロゲル表面の平均気孔径は、25nmであった。PAIエアロゲルの表面のSEM像を図1に示す。
<実施例2>
化学架橋剤として、DASM(信越化学社製 KF−8010)を用い、その使用量をPAI質量に対し12質量%としたこと以外は、実施例1と同様に行い、厚みが11μmで気孔率が53体積%のPAIエアロゲルを得た。このPAIエアロゲル表面の平均気孔径は、150nmであった。
<実施例3>
化学架橋剤として、8質量%相当のPPGME(ハンツマン社製ジェファーミンD2000)とPCDI(日清紡社製カルボジライトV−05)とを用い、その使用量をPAI質量に対し8質量%(PPGME)、12質量%(PPGME)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、厚みが14μmで気孔率が58体積%のPAIエアロゲルを得た。このPAIエアロゲル表面の平均気孔径は、320nmであった。
<比較例1>
化学架橋剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に行い、PAI固形分濃度が10質量%のPAI溶液(質量比:NMP/G4=20/80)を得た。 この溶液の粘度は、30℃で1.2Pa・sであった。このPAI溶液を用い、実施例1と同様にして、多孔質のPAI被膜を形成した。このPAIエアロゲル表面の平均気孔径は、2200nmであった。
実施例で示したように、本発明の製造方法によれば、平均気孔径が100nm以下のPAIエアロゲルを容易に得ることができる。これに対し、比較例で示したように、化学架橋剤を用いずに多孔質体を形成させた場合は、エアロゲルとはならず、平均気孔径が500nm以下の微細な気孔を有する多孔質体は得られないことが判る。
本発明の製造方法により、超臨界炭酸ガスによる抽出、凍結乾燥等、特殊な乾燥方法や溶媒置換等の複雑な方法を用いることなく、簡単にPAIエアロゲルを得ることができる。この方法により得られたPAIエアロゲルは、その平均気孔径が500nm以下であり、耐熱性に優れるので、電子材料や光学材料、リチウム二次電池用セパレータ、フィルタ、分離膜、電線被覆、スピーカ振動板等の産業用材料、医療材料の素材等の分野で好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. ポリイミド(PI)と、PIに対する良溶媒および貧溶媒と、PIの化学架橋剤と、からなる均一なPI溶液を、基材上に塗布後、200℃以下の温度で乾燥することにより、貧溶媒の作用による相分離現象を誘起せしめつつ、PIを化学架橋することを特徴とするPIエアロゲルの製造方法。
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