JP5833783B1 - ポリイミド粉体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハンドリング性が良好であり、汎用溶媒に可溶性のPI粉体およびその簡便かつ環境適合性に優れた製造方法を提供する。【解決手段】非多孔性、非結晶性、可溶性のポリイミド粉体であって、以下の特性を有することを特徴とするポリイミド粉体。1) BET法による比表面積が10m2/g以下である;2) X線回折スペクトルにおいて、結晶性散乱によるピークが観測されない;3) アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒から選ばれた少なくとも一種の溶媒に対し、1質量%以上の溶解度を有する。また、テトラカルボン酸、またはテトラカルボン酸ジエステルと、ジアミンとの塩からなる粉体に、溶媒を含有させた状態で、固相重合してポリイミド粉体を製造するに際し、前記溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上とすることを特徴とする前記ポリイミド粉体の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド(以下、「PI」と略記することがある)粉体およびその製造方法に関するものである。
耐熱性、力学的特性、寸法安定性等に優れたPI成形体を製造する方法として、PI粉体を利用する方法が知られている。PI粉体は、例えば、これを溶媒に溶解させてPI溶液とし、これを基材上に塗布、乾燥することにより、PIフィルムやPI被膜とする方法が知られている。また、PI粉末を、圧縮成形や射出成形等の方法を用いて成形体とする方法も知られている。これらPI粉体を製造する方法としては、PIのモノマ成分をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒に溶解させて溶液とし、これを加熱することにより、前記溶液中で相分離して析出したPIを、濾別して単離することにより、PI粉体を製造する方法が知られている。(例えば、特許文献1、2)
前記方法で得られたPI粉体はNMP等の汎用溶媒には不溶なので、例えばこの粉体を溶液状とすることはできなかった。従い、この粉体からフィルムや被膜を製造することは困難であった。また、貧溶媒による相分離を利用して得られた粉体であるので、粉体が多孔質構造を有するものであった。そのため、粉体の比表面積が大きくなり、粉体どうしの凝集等が起こりやすく、粉体のハンドリング性は良好なものではなかった。
前記したような汎用溶媒に不溶性のPI粉体に対し、汎用溶媒可溶性のPI粉体が知られている。これらのPI粉体は、これを溶媒に溶解させて溶液とし、これを基材上に塗布、乾燥後、基材から剥離することにより、PIフィルムとすることができる。また、基材から剥離することなく、基材上にPI被膜を形成させることができる。これらの可溶性PIは、一般に、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとをアミド系溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液にキシレン等の共沸溶媒を加え、加熱して、水を留去しつつイミド化反応を進め、PI溶液を得た後、これにアルコールや水等の貧溶媒を加えることにより、析出したPIを濾別、乾燥することにより製造されている。(例えば、特許文献3〜7)
前記方法で得られる可溶性PI粉体は、PI溶液に貧溶媒を加えることにより生ずる相分離を利用しているので、粉体が多孔質構造を有するものであった。そのため、粉体の比表面積が大きくなり、粉体どうしの凝集等が起こりやすく、粉体のハンドリング性は良好なものではなかった。また、重合を溶液状態で行うので、相当量の溶媒を必要とする上、PIを単離するために、更に大量の溶媒を使用することが必要であり、環境適合性の観点から、好ましい方法とは言えなかった。
前記したような問題に対応するために、PI粉体を固相重合で製造する方法が提案されている。例えば、特許文献6には、溶媒が共存しない状態で固相重合を行い、PI粉体を製造する方法が提案されている。さらに、特許文献7には、ナイロン塩型モノマを溶媒が共存しない状態で固相重合を行った後、続いて貧溶媒中で、固相重合温度より高い温度で懸濁重合することによりPI粉体を製造する方法が提案されている。(例えば、特許文献8,9)
しかしながら、公知の固相重合法で得られるPIはいずれも結晶性であるため、例えば、アミド系溶媒等の汎用溶媒には不溶であった。そのため、その適用範囲が著しく制限されていた。また、特許文献7で開示された方法は、固相重合法とはいえ、固相重合の際、生成するPIに対し大量の溶媒を必要とし、環境適合性が良好ではなかった。
そこで本発明は、上記課題を解決するものであって、アミド系溶媒等の汎用溶媒に対し可溶性であり、粉体としてのハンドリング性が良好なPI粉体およびその製造法の提供を目的とする。
PI粉体の特性を特定のものとすることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
<1> 非多孔性、非結晶性、可溶性のポリイミド粉体であって、以下の特性を有することを特徴とするポリイミド粉体。
1) BET法による比表面積が10m2/g以下である;
2) X線回折スペクトルにおいて、結晶性散乱によるピークが観測されない;
3) アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒から選ばれた少なくとも一種の溶媒に対し、1質量%以上の溶解度を有する。
<2> テトラカルボン酸、またはテトラカルボン酸ジエステルと、ジアミンとの塩からなる粉体に、溶媒を含有させた状態で、固相重合してポリイミド粉体を製造するに際し、前記溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上30質量%以下とすることを特徴とする前記ポリイミド粉体の製造方法。
<1> 非多孔性、非結晶性、可溶性のポリイミド粉体であって、以下の特性を有することを特徴とするポリイミド粉体。
1) BET法による比表面積が10m2/g以下である;
2) X線回折スペクトルにおいて、結晶性散乱によるピークが観測されない;
3) アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒から選ばれた少なくとも一種の溶媒に対し、1質量%以上の溶解度を有する。
<2> テトラカルボン酸、またはテトラカルボン酸ジエステルと、ジアミンとの塩からなる粉体に、溶媒を含有させた状態で、固相重合してポリイミド粉体を製造するに際し、前記溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上30質量%以下とすることを特徴とする前記ポリイミド粉体の製造方法。
本発明のPI粉体は、非結晶性であり、アミド系溶媒等の汎用溶媒に対し可溶性である。また、非多孔性であるので、凝集が起こりにくく、粉体としてのハンドリング性が良好である。このPI粉体から得られるPIフィルムは、優れた耐熱性と良好な力学的特性を有しているので、以下のような多様な用途で好適に用いることができる。すなわち、例えば、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、コンデンサー、FPC用のフィルム等の製造に用いられる。また、例えば、フッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品の製造に用いられる。また、パワートランジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー等のエナメルコーティング材の製造に用いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いられる。また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造にも用いられる。また、着色が少なく可視光線の透過性にも優れているので、光導波路、液晶用基板、液晶用配向膜、光学用部品保護膜などとしても用いられる。さらに、リチウム二次電池等の電極のバインダ等としても用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、PI粉体に関するものである。PIは、主鎖にイミド結合を有する耐熱性高分子であり、通常、モノマ成分であるジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを重縮合することにより得られる。これらのPIには、ポリイミド変性体であるポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等も含まれる。本発明のPIの分子量としては、重量平均分子量(Mw:高分子の分子量の指標の1つ)が10000以上であることが好ましく、20000以上であることがより好ましく、30000以上であることがさらに好ましい。このようにすることにより、本発明のPI粉体を溶媒に溶解させて溶液とし、前記した多様な用途に用いた際、溶液をキャストして得られるフィルムや被膜の良好な機械的特性を確保することができる。ここで、Mwは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を測定することにより確認することができ、以下の測定条件により測定された、ポリスチレン換算の値を用いることができる。
<GPC測定条件>
カラム:日立化成社製GL−S300MDT−5
溶離液:THF−DMF等量混合液(60mMリン酸、30mM臭化リチウムを含む)
温度:25℃
流量:1.0mL/分
検出器:示差屈折計
<GPC測定条件>
カラム:日立化成社製GL−S300MDT−5
溶離液:THF−DMF等量混合液(60mMリン酸、30mM臭化リチウムを含む)
温度:25℃
流量:1.0mL/分
検出器:示差屈折計
また、PIのガラス転移温度は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。ここで、ガラス転移温度は、DSC(示差熱分析)により測定された値を言う。このようにすることにより、本発明のPI粉体を溶媒に溶解させて溶液とし、前記した多様な用途に用いた際、溶液をキャストして得られるフィルムや被膜の良好な耐熱性を確保することができる。
本発明のPI粉体は、非結晶性のPIからなる。PIを非結晶性とすることにより、これを粉体とした場合、溶媒への溶解性を高めることができる。ここで、PIの非結晶性は、X線回折スペクトルを測定することにより確認することができる。 すなわち、広角X線回折法によりX線回折スペクトルを測定し結晶性散乱に由来するピ−クが検出されない場合、非結晶性と判定することができる。
本発明のPI粉体は、非多孔性のPIからなり、BET法による比表面積が10m2/g以下のものである。PI粉体の比表面積を10m2/g以下とすることにより、粉体どうしの凝集を防ぐことができるので、ハンドリング性が良好な粉体とすることができる。ここで比表面積は、BET法(Brunauer, EmmettおよびTellerにより導かれたBET式を用いる比表面積測定方法)により確認することできる。すなわち、PI粉体表面に窒素ガスを吸着させ、その吸着量からPI粉体の比表面積を求める。なお、本発明のPI粉体のハンドリング性をより良好にするためには、比表面積を5m2/g未満とすることが好ましく、3m2/g未満とすることがより好ましい。
本発明のPI粉体は可溶性PIからなる。ここで可溶性PIとは、25℃での溶媒に対するする溶解度が、1質量%以上のPIを言い、本発明のPI粉体は、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒から選ばれた少なくとも一種の溶媒に対し、可溶性である。このようにすることにより、本発明のPI粉体をアミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等の汎用溶媒に溶解させて得られる溶液を、前記した多様な用途に用いることができる。アミド系溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジグライム、トリグライム(TRGM)、テトラグライム、ペンタグライム、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。エステル系溶媒の具体例としては、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等が挙げられる。なお、本発明では、溶質に対し、25℃で、1質量%以上の溶解力を有する溶媒を、良溶媒と呼ぶ。従い、前記したアミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒は、本発明のPIに対する良溶媒である。
本発明のPI粉体は、例えば、固相重合法により得ることができる。ここで、固相重合法とは、テトラカルボン酸、またはテトラカルボン酸ジエステルと、略等モルのジアミンとの塩(以下、単に「塩」と略記することがある)からなる粉体を固体状態で重合反応を進める方法である。
本発明のPI粉体は、固相重合するに際し、塩の粉体に溶媒を含有させた状態で行い、しかも、この溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上30質量%以下とすることにより得ることができる。
本発明のPI粉体は、固相重合するに際し、塩の粉体に溶媒を含有させた状態で行い、しかも、この溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上30質量%以下とすることにより得ることができる。
固相重合においては、塩をこの塩の良溶媒に溶解して塩溶液を作成する。塩溶液の固形分濃度としては、通常、塩溶液の質量に対し50質量%〜70質量%程度である。ここで用いる良溶媒としては、前記したアミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒を用いることができる。なお、テトラカルボン酸ジエステルとは、テトラカルボン酸ジメチルエステル、テトラカルボン酸ジエチルエステル、テトラカルボン酸ジイソプロピルエステル等のジアルキルエステルを言う。
酸成分としては、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸(H−PMA)、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン(a−BPA)、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、4,4’−オキシジフタル酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6−FA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸、エチレングリコールビストリメリテート(TMEG)、ジエチレングリコールビストリメリテート、トリエチレングリコールビストリメリテート、テトラエチレングリコールビストリメリテート、ポリエチレングリコールビストリメリテート、エチレングリコールビストリメリットアミド、ジエチレングリコールビストリメリットアミド、トリエチレングリコールビストリメリットアミド、テトラエチレングリコールビストリメリットアミド、ポリエチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート、ジプロピレングリコールビストリメリテート、トリプロピレングリコールビストリメリテート、テトラプロピレングリコールビストリメリテート、ポリプロピレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリットアミド、ジプロピレングリコールビストリメリットアミド、トリプロピレングリコールビストリメリットアミド、テトラプロピレングリコールビストリメリットアミド、ポリプロピレングリコールビストリメリットアミド等のテトラカルボン酸、およびこれらのジエステルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、s−BPA、a−BPA、H−PMA、6−FAおよびこれらのジエステル等を好ましい例として挙げることができる。なお、過剰の酸成分と、ジアミンとから得られる末端がテトラカルボン酸のオリゴマもテトラカルボン酸として使用できる。
また、ジアミンとしては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(BAPP)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,6−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(6F−BAPP)、2−トリフルオロメチル−p−フェニレンジアミン、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、α,ω−ビス(2−アミノエチル) ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(BAPS)、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω− ビス(3−アミノプロピル)ポリメチルフェニルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、DADE、BAPP、6F−BAPP、BAPS等を好ましい例として挙げることができる。なお、酸成分と過剰のジアミンとから得られる末端がジアミンのオリゴマもジアミンとして使用できる。
次に、前記塩溶液の良溶媒を蒸発させ、固体状残渣とし、必要に応じ粉砕することにより、固相重合用のPI前駆体粉体を得る。ここで、前記塩溶液を固体状とするには、通常、良溶媒の含有量を塩の質量に対し30質量%以下とすることが必要である。前記PI前駆体粉体には、良溶媒を1質量%以上含有させた状態としておくことが好ましく、2質量%以上含有させた状態としておくことがより好ましい。 また、PI前駆体粉体の良溶媒の含有量は、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。PI前駆体粉体の平均粒径(レーザ回折法による体積基準の平均粒径)は、1〜1000μmとすることが好ましい。平均粒径が1μm未満では、固相重合の際、重合反応より早く溶媒の揮発が進む場合があり、高重合度のPI粉体を得ることが難しくなる。また平均粒径が1000μmを超えると、均一な固相重合反応が進行しないことがある。
固相重合反応は、前記PI前駆体粉体を加熱することにより行う。この重合反応の過程で、PI前駆体に含まれる溶媒の作用で、塩または生成するPIに対する可塑化効果が発現し、固相状態で重合反応が円滑に進行する。
加熱温度としては、100〜300℃の範囲が好ましく、120〜250℃がより好ましい。
加熱の際の雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
加熱に際しては、溶媒を揮発させないように、常圧下または加圧下で固相重合反応させることが好ましい。また、重合の際、PI前駆体や生成するPIにブロッキングが生じないように、撹拌下で固相重合反応を行ってもよい。なお、加圧下で反応させた場合は、重合反応終了後、放圧することにより反応容器中に残留している溶媒や重合反応の副生成物である水を除去して、平均粒径が1〜1000μmのPIの粉体を得ることができる。この平均粒径は、5〜500μmとすることが好ましく、10〜300μmとすることがより好ましい。
前記のようにして得られたPIの粉体は、これを窒素ガス気流中や減圧下でさらに加熱することにより、固相で重合反応をさらに進め、PIの分子量をさらに高めることができる。この際の加熱温度としては、200〜250℃が好ましい。得られたPI粉体中には、溶媒が残留していないことが好ましいが、PIの諸特性に影響を与えない程度の微量であれば残留していてもよい。
重合反応に際しては、無水フタル酸やアニリン等の末端封止剤を適宜用いることにより生成するPIの重合度を調整することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
6−FAのジメチルエステル1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、6F−BAPP1.0モル(ジアミン成分)とをDMAcに溶解し、固形分濃度が60質量%の塩溶液を得た。この溶液をガラス板にキャストして得られる塗膜を100℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをガラス板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が125μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、6質量%のDMAcを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、120℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、粒径が180μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は275℃、GPC法によるMwは46200)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。このPI粉体のBET法による比表面積は0.12m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
6−FAのジメチルエステル1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、6F−BAPP1.0モル(ジアミン成分)とをDMAcに溶解し、固形分濃度が60質量%の塩溶液を得た。この溶液をガラス板にキャストして得られる塗膜を100℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをガラス板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が125μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、6質量%のDMAcを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、120℃で1時間、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、粒径が180μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は275℃、GPC法によるMwは46200)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。このPI粉体のBET法による比表面積は0.12m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
[実施例2]
H−PMA1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、BAPP1.0モル(ジアミン成分)とをNMPに溶解し、固形分濃度が70質量%の塩溶液を得た。この溶液をガラス板にキャストして得られる塗膜を120℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをガラス板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が85μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、6質量%のNMPを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が95μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は257℃、GPC法によるMwは22800)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は0.48m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はNMPに対し、可溶性であり、固形分10質量%のNMP溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
H−PMA1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、BAPP1.0モル(ジアミン成分)とをNMPに溶解し、固形分濃度が70質量%の塩溶液を得た。この溶液をガラス板にキャストして得られる塗膜を120℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをガラス板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が85μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、6質量%のNMPを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が95μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は257℃、GPC法によるMwは22800)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は0.48m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はNMPに対し、可溶性であり、固形分10質量%のNMP溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
[実施例3]
s−BPA0.4モル、ODP0.6モルの混合物(テトラカルボン酸成分)とDADE1.0モル(ジアミン成分)とをGBLに溶解し、固形分濃度が65質量%の塩溶液を得た。この溶液をアルミ板にキャストして得られる塗膜を110℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをアルミ板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が52μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、9質量%のGBLを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、150℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が49μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は237℃、GPC法によるMwは46200)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は1.2m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はGBLに対し、可溶性であり、固形分10質量%のGBL溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
s−BPA0.4モル、ODP0.6モルの混合物(テトラカルボン酸成分)とDADE1.0モル(ジアミン成分)とをGBLに溶解し、固形分濃度が65質量%の塩溶液を得た。この溶液をアルミ板にキャストして得られる塗膜を110℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをアルミ板から剥離し、乳鉢で機械的に粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が52μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、9質量%のGBLを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、150℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が49μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は237℃、GPC法によるMwは46200)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は1.2m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はGBLに対し、可溶性であり、固形分10質量%のGBL溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
[実施例4]
a−BPA1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、アミン当量が422のBAPS0.6モルとBAPP0.4モルの混合物(ジアミン成分)とをTRGMに溶解し、固形分濃度が60質量%の塩溶液を得た。この溶液をアルミ板にキャストして得られる塗膜を110℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをアルミ板から剥離し、ジエットミル(高圧ジェット気流を用いた粉砕機)で粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が5.1μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、2質量%のTRGMを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、130℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が6.5μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は192℃、GPC法によるMwは38500)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は4.5m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はTRGMに対し、可溶性であり、固形分10質量%のTRGM溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
a−BPA1.0モル(テトラカルボン酸成分)と、アミン当量が422のBAPS0.6モルとBAPP0.4モルの混合物(ジアミン成分)とをTRGMに溶解し、固形分濃度が60質量%の塩溶液を得た。この溶液をアルミ板にキャストして得られる塗膜を110℃で乾燥して固体状の塩被膜を形成させた後、これをアルミ板から剥離し、ジエットミル(高圧ジェット気流を用いた粉砕機)で粉砕して、粒径(レーザ回折法に基づく体積基準の平均粒径)が5.1μmのPI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、2質量%のTRGMを含有していた。得られたPI前駆体粉体をアルミ製のバットに投入し、窒素ガス雰囲気下、130℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間処理して固相重合を行うことにより、平均粒径が6.5μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は192℃、GPC法によるMwは38500)を得た。粉体は、さらさらとしたものであり、粉体として良好な流動性、ハンドリング性を示した。粉体のBET法による比表面積は4.5m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はTRGMに対し、可溶性であり、固形分10質量%のTRGM溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmの強靭なPIフィルムを得ることができた。
[比較例1]
反応容器に、NMPと共に、DADE1.0モルを投入しDADEのNMP溶液を得た。 この溶液に、撹拌下、BPDA0.4モル、ODPA0.6モルを徐々に加え、50℃で4時間反応させて、ポリアミック酸のNMP溶液(固形分濃度15質量%)を得た。このポリアミック酸溶液にトルエンを添加して、固形分濃度を13質量%の溶液とした。この溶液を200℃に加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。その後、トルエンを留去して得られたポリイミド溶液を、撹拌下、大量の水中に投入して、ポリイミドの沈殿を生じせしめ、これを濾過、洗浄、解砕後、120℃で5時間乾燥することにより、平均粒径が2.3μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は235℃、GPC法によるMwは43600)を得た。この粉体は、実施例1〜3で得られた粉体と比較して、粉体としての流動性が悪く、ハンドリング性の良くないものであった。粉体のBET法による比表面積は18.2m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はNMPに対し、可溶性であり、固形分10質量%のNMP溶液を得ることができた。
反応容器に、NMPと共に、DADE1.0モルを投入しDADEのNMP溶液を得た。 この溶液に、撹拌下、BPDA0.4モル、ODPA0.6モルを徐々に加え、50℃で4時間反応させて、ポリアミック酸のNMP溶液(固形分濃度15質量%)を得た。このポリアミック酸溶液にトルエンを添加して、固形分濃度を13質量%の溶液とした。この溶液を200℃に加熱して、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら3時間イミド化反応を行った。その後、トルエンを留去して得られたポリイミド溶液を、撹拌下、大量の水中に投入して、ポリイミドの沈殿を生じせしめ、これを濾過、洗浄、解砕後、120℃で5時間乾燥することにより、平均粒径が2.3μmのPI粉体(DSC法によるガラス転移温度は235℃、GPC法によるMwは43600)を得た。この粉体は、実施例1〜3で得られた粉体と比較して、粉体としての流動性が悪く、ハンドリング性の良くないものであった。粉体のBET法による比表面積は18.2m2/gであり、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。また得られた粉体はNMPに対し、可溶性であり、固形分10質量%のNMP溶液を得ることができた。
[比較例2]
反応容器に、NMPと共に、DADE1.0モルを投入しDADEのNMP溶液を得た。この溶液に、撹拌下、PMDA1.0モルを徐々に加え、50℃で4時間反応させて、ポリアミック酸のNMP溶液(固形分濃度15質量%)を得た。このポリアミック酸溶液を、大量のアセトン中に投入して、ポリアミック酸の沈殿を生じせしめ、これを濾過、洗浄、解砕後、180℃で5時間乾燥することにより、平均粒径が7.3μmのポリイミド前駆体粉体を得た。さらにこの粉体を300℃で2時間熱処理して、平均粒径が7.9μmのPI粉体を得た。この粉体は、実施例3で得られた粉体と比較して、粉体としての流動性が悪く、ハンドリング性の良くないものであった。粉体のBET法による比表面積は13.8m2/gであり、X線測定の結果、結晶性散乱によるピークが検出され、結晶性であることが確認された。また得られた粉体は、NMP、DMAc、GBL、TRGMに対し不溶性であった。
反応容器に、NMPと共に、DADE1.0モルを投入しDADEのNMP溶液を得た。この溶液に、撹拌下、PMDA1.0モルを徐々に加え、50℃で4時間反応させて、ポリアミック酸のNMP溶液(固形分濃度15質量%)を得た。このポリアミック酸溶液を、大量のアセトン中に投入して、ポリアミック酸の沈殿を生じせしめ、これを濾過、洗浄、解砕後、180℃で5時間乾燥することにより、平均粒径が7.3μmのポリイミド前駆体粉体を得た。さらにこの粉体を300℃で2時間熱処理して、平均粒径が7.9μmのPI粉体を得た。この粉体は、実施例3で得られた粉体と比較して、粉体としての流動性が悪く、ハンドリング性の良くないものであった。粉体のBET法による比表面積は13.8m2/gであり、X線測定の結果、結晶性散乱によるピークが検出され、結晶性であることが確認された。また得られた粉体は、NMP、DMAc、GBL、TRGMに対し不溶性であった。
[参考例1]
実施例1で得られたPI前駆体粉体を、ジェットミルで再粉砕を行い、平均粒径が0.8μmの微粒化PI前駆体粉体を得た。 これを実施例1と同様にして固相重合を行うことにより、粒径が2.5μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は258℃、GPC法によるMwは9500)を得た。 このPI粉体のBET法による比表面積は8.2m2/gであり、ハンドリング性も良好であった。また、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmのPIフィルムを得ることができたが、このフィルムはやや脆弱なものであった。
実施例1で得られたPI前駆体粉体を、ジェットミルで再粉砕を行い、平均粒径が0.8μmの微粒化PI前駆体粉体を得た。 これを実施例1と同様にして固相重合を行うことにより、粒径が2.5μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は258℃、GPC法によるMwは9500)を得た。 このPI粉体のBET法による比表面積は8.2m2/gであり、ハンドリング性も良好であった。また、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmのPIフィルムを得ることができたが、このフィルムはやや脆弱なものであった。
[参考例2]
参考例1で得られた微粒化PI前駆体粉体を、90℃で2時間真空乾燥することにより、再乾燥PI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、0.7質量%のDMAcを含有していた。これを実施例1と同様にして固相重合を行うことにより、粒径が1.8μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は275℃、GPC法によるMwは5800)を得た。このPI粉体のBET法による比表面積は9.8m2/gであり、ハンドリング性も良好であった。 また、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmのPIフィルムを得ることができたが、このフィルムはやや脆弱なものであった。
参考例1で得られた微粒化PI前駆体粉体を、90℃で2時間真空乾燥することにより、再乾燥PI前駆体粉体を得た。このPI前駆体粉体は、塩の質量に対し、0.7質量%のDMAcを含有していた。これを実施例1と同様にして固相重合を行うことにより、粒径が1.8μmのPI体粉体(DSC法によるガラス転移温度は275℃、GPC法によるMwは5800)を得た。このPI粉体のBET法による比表面積は9.8m2/gであり、ハンドリング性も良好であった。 また、X線測定の結果、非結晶性であることが確認された。このPI粉体は、DMAcに対し、可溶性であり、固形分10質量%のDMAc溶液を得ることができた。この溶液をバーコーターでガラス板上に塗工した後、200℃の乾燥機中で溶媒を蒸発させ、PIの塗膜を作製した。その後、得られた塗膜をガラス板上より剥離することにより、厚み15μmのPIフィルムを得ることができたが、このフィルムはやや脆弱なものであった。
実施例で示した様に、本発明の固相重合法により得られるPI粉体は、さらさらとした粉体であるとともに、汎用溶媒であるアミド系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の汎用溶媒に可溶である。しかも、Tgが150℃以上と高く、かつMwが10000以上と言う高重合度を有するので、高い耐熱性と良好な機械的特性を有するPIフィルムや被膜を得ることができる。従い、前記した多様な用途で好適に用いることができる。また、本発明によるPI粉体の製造法によれば、簡単なプロセスで容易に溶解性の良好なPIを粉体として得ることができる。このプロセスでは、溶解用や再沈殿用の貧溶媒を大量に使用しないので、環境適合性に優れる。
本発明のPI粉体は、固相重合法で得られるものであるにも拘わらず、溶解性が良好である。また高い耐熱性と優れた機械的強度を有するので、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高密度磁気記録ベース、コンデンサー、FPC用のフィルム等の製造に用いられる。また、例えば、フッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品の製造に用いられる。また、パワートランジスターの絶縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製造に用いられる。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー等のエナメルコーティング材の製造に用いられる。また、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いられる。また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造にも用いられる。また、着色が少なく可視光線の透過性にも優れているので、光導波路、液晶用基板、液晶用配向膜、光学用部品保護膜などとしても用いられる。さらに、リチウム二次電池等の電極のバインダ等としても用いられる。
Claims (2)
- 非多孔性、非結晶性、可溶性のポリイミド粉体であって、以下の特性を有することを特徴とするポリイミド粉体。
1) BET法による比表面積が10m2/g以下である;
2) X線回折スペクトルにおいて、結晶性散乱によるピークが観測されない;
3) アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒から選ばれた少なくとも一種の溶媒に対し、1質量%以上の溶解度を有する。 - テトラカルボン酸、またはテトラカルボン酸ジエステルと、ジアミンとの塩からなる粉体に、溶媒を含有させた状態で、固相重合してポリイミド粉体を製造するに際し、前記溶媒を、前記塩および固相重合により生成するポリイミドの良溶媒とし、かつ溶媒含有量を、前記塩の質量に対し1質量%以上30質量%以下とすることを特徴とする請求項1記載のポリイミド粉体の製造方法。
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