JP4967853B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薄い厚みのポリイミドフィルムの製造方法に関する。
耐熱性および各種物性の優れた芳香族ポリイミドフィルムを、磁気記録媒体、印刷回路基板用フィルムなどの用途に利用する為に、基体となる芳香族ポリイミドフィルムの表面に、接着性の付与、適度な凹凸の形成などを行う手段として、溶媒を含有する自己支持性フィルム上に、ポリアミック酸含有溶液、カップリング剤含有溶液、フィラー含有液等を塗布したのち、加熱処理することによって自己支持性フィルムおよび塗工層の溶媒を除去するとともにイミド化する方法がある。
特許文献1には、塗布液に芳香族ポリアミック酸を25℃で2wt%以上溶解することのない貧溶媒10〜60wt%と芳香族ポリアミック酸を25℃で20wt%以上溶解する良溶媒90から40wt%とからなる混合溶媒を用いることが提案されている。
日本国特許第2727185号公報
ポリイミドフィルムの表面処理を行う一つの方法として自己支持性フィルムに、溶媒(そのまま、表面処理剤又は充填剤を配合)、ポリアミック酸溶液(そのまま、表面処理剤又は充填剤を配合)を塗布して加熱する方法が行われている。
自己支持性フィルムを用いて、塗布液を塗布する場合には、塗布時、塗布後、又は加熱後にフィルムが薄くなるほど亀裂(ソルベントクレージング)が発生することがある。
本発明の目的は、厚みの薄い自己支持性フィルムに溶媒やポリアミック酸溶液を塗布して得られる、塗布により亀裂が生じないポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。
本発明では、ソルベントクレージングは、自己支持性フィルムが塗布液の溶媒により、部分的に溶解されたり又は部分的にひずみが生じるなど、塗布溶媒によりフィルムの脆化部分に力が作用する時に生じるものと考える。
本発明では、以下を調節若しくは選択することによりポリアミック酸の反応溶媒などの有機溶液を塗布しても、塗布による亀裂の発生しない厚みの薄いポリイミドフィルムを、容易に製造することができることを見出した。
1)自己支持性フィルムの溶解時間、さらに必要に応じて自己支持性フィルムを製造するためのポリアミック酸溶液のポリマー濃度、イミド化触媒の配合量、ポリアミック酸溶液の薄膜の加熱乾燥温度、有機溶液塗布前の自己支持性フィルムのイミド化率と溶媒含量のいずれか1つ以上を調節すること、或いは配合するイミド化触媒を選択すること。
2)自己支持性フィルムを製造するためのポリアミック酸溶液のポリマー濃度、配合するイミド化触媒の配合量、ポリアミック酸溶液の薄膜の加熱乾燥温度、有機溶液塗布前の自己支持性フィルムのイミド化率と溶媒含量を調節すること、さらに必要に応じてイミド化触媒を選択こと。
本発明の第一は、自己支持性フィルムの少なくとも片面に有機溶液を塗布し、その後塗布した自己支持性フィルムを加熱炉にて加熱してイミド化する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムの製造法であり、
自己支持性フィルムは、イミド化触媒をポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.02〜0.5モル配合したポリアミック酸溶液の薄膜を加熱乾燥して得られ、かつ溶解時間が40秒以上であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造法に関する。
本発明の第二は、自己支持性フィルムの少なくとも片面に有機溶液を塗布し、その後塗布した自己支持性フィルムを加熱炉にて加熱してイミド化する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムの製造法であり、
自己支持性フィルムは、イミド化触媒をポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.02〜0.5モル配合したポリマー濃度が15〜25質量%のポリアミック酸溶液の薄膜を140〜170℃の温度範囲で加熱乾燥して得られ、イミド化率が5〜40%で、溶媒含量が20〜40質量%のフィルムであることを特徴とするポリイミドフィルムの製造法に関する。
本発明の第三は、自己支持性フィルムの少なくとも片面に有機溶液を塗布し、その後塗布した自己支持性フィルムを加熱炉にて加熱してイミド化する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムの製造法であり、
自己支持性フィルムは、イミド化触媒をポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.02〜0.5モル配合したポリマー濃度が15〜25質量%のポリアミック酸溶液の薄膜を140〜170℃の温度範囲で加熱乾燥して得られ、イミド化率が5〜40%で、溶媒含量が20〜40質量%で、溶解時間が40秒以上のフィルムであることを特徴とするポリイミドフィルムの製造法に関する。
(自己支持性フィルムの溶解時間:有機溶液を塗布する前の自己支持性フィルムを10cm角切り出し、支持体に接触指定内面を上にしてガラスヌッチェにセットし、ガラスヌッチェに塗布溶媒50mlを添加して、自己支持性フィルムに亀裂が入り塗布溶媒が通過するまでの時間を測定し、その測定時間を自己支持性フィルムの溶解時間とする。)
本発明では、以下の好ましい態様を示すことが出来、これらの態様を適宜選択することが好ましい。これらの態様は複数組み合わせることができる。
1)ポリアミック酸は、酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンとを含む成分より得られること。
2)塗布する有機溶液は、ポリアミック酸の有機溶媒を含むこと。
3)イミド化触媒は、イミダゾール類であること。
4)ポリアミック酸溶液は、脱水剤をポリアミック酸のアミック酸1モルに対して0.1モル以下の範囲で含むこと。
59ポリイミドフィルムの製造法は、熱イミド化によるポリイミドフィルムの製造法であること。
本発明のポリイミドフィルム製造方法により、ポリアミック酸の反応溶媒などの有機溶液を塗布しても、塗布による亀裂の発生しない厚みの薄いポリイミドフィルムを、容易に製造することができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造法より製造されるポリイミドフィルムは、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材、液晶ディスプレー用、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー用、電子ペーパー用、太陽電池用などのベース基材、磁気テープなどのテープ基材などとして用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造法において、
ポリアミック酸溶液の自己支持性フィルムの片面または両面に有機溶液を塗布した後、必要であれば塗布した溶液の一部又は全部を加熱やガスの吹きつけなどにより除去した後、加熱、イミド化してポリイミドフィルムを製造することができる。
ポリアミック酸溶液の自己支持性フィルムは、ポリイミドを与えるポリイミド前駆体であるポリアミック酸の有機溶媒に、イミド化触媒と、必要であれば有機リン化合物、充填剤などを加えた後、支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)にまで加熱して製造することができる。
本発明の製造法では、脱水剤を含まないポリアミック酸溶液、又は脱水剤をポリアミック酸のアミック酸1モルに対してモル比で好ましくは0.1モル以下、より好ましくは0.08モル以下、さらに好ましくは0.05モル以下含むポリアミック酸溶液を用いることが出来、脱水剤の一部はポリアミック酸のアミノ末端の封止に用いられるためである。
脱水剤は、例えば、有機カルボン酸無水物、N,N’−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、及びチオニルハロゲン化物などが挙げられる。
有機カルボン酸無水物として、例示すると、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、及びこれらの分子間無水物、有機カルボン酸無水物の混合物を含む。
脱水剤は、イミド化触媒に記載の成分を含まない。
ポリアミック酸としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとから製造されるものが好ましく、特にプリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材、液晶ディスプレー用、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー用、電子ペーパー用、太陽電池用などのベース基材として使用されている成分より構成されているものが好ましい。
中でも、(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン、p−トリジン、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾールなどのアミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾール類及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
特に酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン、又はp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル(例えば、PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。)、
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物(例えば、s−BPDA/PMDA(モル比)は0/100〜90/10であることが好ましい)と、p−フェニレンジアミン、又はp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル(例えば、PPD/DADE(モル比)は90/10〜10/90であることが好ましい。)、
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル(例えば、PPD/DADE(モル比)は90/10〜10/90であることが好ましい。)、
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さい、難燃性に優れるために好ましい。
酸成分として、上記の他に、本発明の特性を損なわない範囲で公知の酸二無水物、好ましくは芳香族酸二無水物を用いることが出来、公知の酸二無水物としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、などを挙げることができ、これらは単独で又は2種以上用いることができる。
ジアミン成分として、上記の他に、本発明の特性を損なわない範囲で公知のジアミン、好ましくは芳香族ジアミンを用いることが出来、公知のジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、o−トリジンスルホンなどを挙げることができ、これらは単独で又は2種以上用いることができる。
ポリアミック酸の合成は、有機溶媒中で、好ましくは10〜80℃で0.5〜50時間、略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとをランダム重合またはブロック重合することによって達成される。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリイミド前駆体を合成しておき、各ポリアミック酸溶液を一緒にした後反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリアミック酸溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
塗布用のポリイミド前駆体溶液は、公知の方法で塗布できるものであればよく、例えば
フィルム形成性を有し、加熱後、自己支持性フィルムに密着しているものであればよい。
塗布用のポリイミド前駆体溶液は、自己支持性フィルム用のポリイミド前駆体溶液を希釈して用いることが出来、また自己支持性フィルム用のポリイミド前駆体溶液よりポリマー濃度を下げて重合して用いることが出来、或いは得られる溶液粘度を塗布可能な粘度に調整して用いることが出来、好ましくはポリマー濃度が5〜6質量%であり、回転粘度(30℃)が0.05〜0.15ポイズであるポリイミド前駆体(イミド化率:5%以下)溶液を用いることが好ましい。
ポリアミック酸溶液のポリマー濃度、重合度、溶液粘度などは、ポリアミック酸溶液を平滑な表面を有する支持体表面に流延、好ましくは連続的に流延して、さらに必要に応じて単層の押出形成用ダイスが設置された製膜装置などを使用して連続的に流延して、ポリアミック酸溶液の薄膜を形成し、その薄膜を加熱乾燥して自己支持性フィルムを形成できるポリアミック酸溶液であればどのようなものでも、適宜選択して用いることが出来る。
ポリアミック酸溶液のポリマー濃度としては好ましくは10〜30質量%、より好ましくは12〜27質量%、さらに好ましくは13〜25質量%、さらに好ましくは15〜25質量%、特に好ましくは15〜23質量%であるポリアミック酸溶液を用いることが、生産性・ハンドリングのために好ましい。
ポリアミック酸溶液の溶液粘度は、30℃で測定した回転粘度が、好ましくは100〜10000ポイズ、より好ましくは500〜8000、さらに好ましくは1000〜7000、特に好ましくは1500〜6500ポイズ程度のものであることが、このポリアミック酸溶液を取り扱う作業性の面、自己支持性フィルムへの溶媒の塗布によって裂け難くなるから好ましい。
ポリアミック酸溶液の有機溶媒としては、ポリアミック酸を溶解する溶媒を用いることが出来、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN−オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−イミダゾール、5−メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、3,5−ジメチルピリジン、3,4−ジメチルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−n−プロピルピリジンなどの置換ピリジン類、イソキノリンなどを好適に使用することができ、特にイミダゾール類を用いることが好ましい。
ポリアミック酸溶液は、イミド化触媒をアミド酸中のアミド基1モルに対して0.02〜0.5モル、好ましくは0.03〜0.4モル、より好ましくは0.04〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル配合したポリアミック酸溶液を用いることが、本発明の製造法を行うために好ましい。
有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミンとしてはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
充填剤としては、フィルム製造時の易滑性、ロール巻き取り巻きだしの易滑性、加熱の熱伝導性、機械的特性の向上などを可能にするものであればよく、無機微粒子である、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機充填剤、ポリイミド微細繊維、ポリイミド粒子、ポリアミド微細繊維、ポリアミド粒子などの有機充填剤などを挙げることができる。これらの充填剤は二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの充填剤を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
充填剤としては、本発明を損なわない範囲の粒子径や平均粒径であればよく、平均粒径は好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μmのものを用いることが出来る。
ポリアミック酸溶液の自己支持性フィルムは、上記のようなイミド化触媒を含むポリアミック酸の有機溶媒溶液、あるいはこれに有機リン含有化合物、充填剤などを加えたポリアミック酸溶液組成物を、単層又は多層の押出形成用ダイスが設置された製膜装置などを使用して支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)、例えば支持体上より剥離することができる程度であり、温度100〜180℃、好ましくは110〜170℃、より好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは130〜170℃、さらに好ましくは140〜170℃、特に好ましくは140〜160℃で、好ましくは2〜60分間程度、より好ましくは3〜30分間程度、さらに好ましくは4〜20分間程度、キャスティング炉の内部などで加熱して製造することができる。特にキャスティング炉の内部などでの加熱温度は、160℃以下を選択することにより、容易にイミド化の進行を抑制している自己支持性フィルムを得るために好ましい。
支持体としては、例えばステンレス基板、ステンレスベルト、耐熱性の樹脂ベルトなどが使用される。
支持体上より剥がした自己支持性フィルムは、以下の特性を少なくとも1つ有することが好ましい。
1)溶媒含量が、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは17〜40質量%、さらに好ましくは20〜35質量%、特に好ましくは20〜33質量%程度含むもの、
2)イミド化率が、好ましくは5〜40%、より好ましくは6〜38%、さらに好ましくは7〜35%、特に好ましくは9〜33%程度のもの。
さらに支持体上より自己支持性フィルムを剥がして、剥離された自己支持性フィルムの片面または両面に、有機溶液をほぼ均一に、好ましくは均一にきれいに塗布する必要がある。そのため自己支持性フィルムは、フィルムの片面または両面に有機溶液をほぼ均一に、好ましくは均一にきれいに塗布できるフィルムであり、このような状態のフィルムが得られるようにポリアミック酸溶液、加熱温度や加熱時間などの加熱条件を適宜選択する必要がある。
自己支持性フィルムは、自己支持性フィルムの溶解時間、さらに必要に応じて自己支持性フィルムを製造するためのポリアミック酸溶液のポリマー濃度、イミド化触媒の配合量、ポリアミック酸溶液の薄膜の加熱乾燥温度、有機溶液塗布前の自己支持性フィルムのイミド化率と溶媒含量のいずれか1つ以上を調節すること、或いは配合するイミド化触媒を選択することにより、力学的性質が十分となり、自己支持性フィルムの上面に溶媒などをきれいに塗布しやすくなり、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察されないために好ましい。
自己支持性フィルムの溶解時間は、好ましくは35秒以上、より好ましくは40秒以上、さらに好ましくは45秒以上、特に好ましくは55秒以上程度のもの、が好ましい。自己支持性フィルムの溶解時間は、塗布する有機溶液で測定する。
また自己支持性フィルムは、以下の1)から5)の条件を適宜調整又は調節することにより、力学的性質が十分となり、自己支持性フィルムの上面に溶媒などをきれいに塗布しやすくなり、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察されないために好ましい。
1)イミド化触媒をポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.02〜0.5モル、好ましくは0.03〜0.4モル、より好ましくは0.04〜0.3モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モル配合すること。
2)ポリマー濃度が15〜25質量%、好ましくは15〜23質量%のポリアミック酸溶液を用いること。
3)140〜170℃、好ましくは140〜160℃の温度範囲で加熱乾燥すること。
4)イミド化率が、好ましくは5〜40%、より好ましくは6〜38%、さらに好ましくは7〜35%、特に好ましくは9〜33%程度であること。
5)溶媒含量が、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは17〜40質量%、さらに好ましくは20〜35質量%、特に好ましくは20〜33質量%程度であること。
本発明においては、自己支持性フィルムの片面または両面に塗布する有機溶液としては、フィルムの表面改質など、塗布する目的に応じて適宜選択して用いることができる。
塗布する有機溶液としては、上記のポリアミック酸溶液の有機溶媒の他に、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系或いは脂環系炭化水素類、エーテル類などの有機溶媒を挙げることが出来、これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、水が少量含有しても良い。
塗布する有機溶媒としては、有機溶媒のみ、表面処理剤を含有する有機溶媒、充填剤を含有する有機溶媒、表面処理剤と充填剤とを含有する有機溶媒、ポリアミック酸などのポリイミド前駆体溶液のみ、表面処理剤を含有するポリアミック酸などのポリイミド前駆体溶液、充填剤を含有するポリアミック酸などのポリイミド前駆体溶液、表面処理剤と充填剤とを含有するポリアミック酸などのポリイミド前駆体溶液など、を挙げることができる。
塗布溶液に含まれる表面処理剤、充填剤、又はポリアミック酸などのポリイミド前駆体の種類や濃度は、フィルムの使用目的に応じて適宜選択して用いることができる。
中でも塗布液に含まれる有機溶媒は、ポリアミック酸溶液の溶媒を含むもの、好ましくはポリアミック酸溶液の溶媒からなるものに適用することができる。
本発明においては、このようにして得られた自己支持性フィルムの片面または両面に、有機溶液を塗布する温度としては、適宜選択すればよく、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃さらに好ましくは20〜25℃の範囲で行うことが好ましい。
自己支持性フィルムの片面に有機溶液を塗布する溶液及び塗布量としては、使用する目的に応じて適宜選択することができ、例えば自己支持性フィルムの支持体と接していた側の面、或いはその反対側の面ともに、1〜50g/mが好ましく、2〜30g/mがさらに好ましく、3〜20g/mが特に好ましい。塗布液及び塗布量は、両方の面が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
表面処理剤としては、シランカップリング剤、ボランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アルミニウム系キレート剤、チタネート系カップリング剤、鉄カップリング剤、銅カップリング剤などの各種カップリング剤やキレート剤などの接着性や密着性を向上させる処理剤を挙げることが出来る。特に表面処理剤としては、シランカップリング剤を用いる場合に優れた効果が得られる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤などより選ばれる少なくとも1成分を用いることができる。
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[β−(フェニルアミノ)−エチル]−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤が好ましい。また、加水分解しやすいので、アルコキシ基としてメトキシ基を含むシランカップリング剤が好ましい。カップリング剤としては、特にN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
自己支持性フィルムへの有機溶液の塗布は、塗布、塗工、吹き付け、浸漬など公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げることができる。
本発明においては、次いで、有機溶液を塗布した自己支持性フィルムを、加熱乾燥処理して、塗布した溶媒の一部又は全部を予め除去して、その後の高温化での加熱イミド化を行うことが出来る。
塗布した自己支持性フィルムの塗布した溶媒を予め除去する加熱乾燥処理は、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下の条件で行うことが好ましい。
塗布した自己支持性フィルム又は塗布し乾燥させた自己支持性フィルムの加熱処理は、最初に約100〜400℃の温度においてポリマーのイミド化および溶媒の蒸発・除去を約0.05〜5時間、特に0.1〜3時間で徐々に行うことが適当である。特に、この加熱処理は段階的に、約100〜170℃の比較的低い温度で約0.5〜30分間第一次加熱処理し、次いで170〜220℃の温度で約0.5〜30分間第二次加熱処理して、その後、220〜400℃の高温で約0.5〜30分間第三次加熱処理することが好ましい。必要であれば、400〜550℃の高い温度で第四次高温加熱処理してもよい。また、250℃以上の連続加熱処理においては、ピンテンタ、クリップ、枠などで、少なくとも長尺の固化フィルムの長手方向に直角の方向の両端縁を固定して加熱処理を行うことが好ましい。
本発明により得られるポリイミドフィルムの厚みは、5〜20μm、好ましくは6〜18μm、より好ましくは7〜17μm、さらに好ましくは10〜15μm、特に好ましくは10〜14μmの製造に本発明を適用した場合、より顕著に本発明の効果を得ることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造法より製造されるポリイミドフィルムは、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材、液晶ディスプレー用、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー用、電子ペーパー用、太陽電池用などのベース基材として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(評価方法)
1.自己支持性フィルムの溶解時間の測定法:図1(a)から図1(c9に測定法の模式図を示す。(測定環境:温度23℃、湿度60%)
図1(a)から図1(b)、図1(c)の順で作業を行う。
まず図1(a)に示す、溶液を塗布する前の自己支持性フィルムを10cm角切り出して測定試料1を作成し、測定試料1の支持体に接触していない側(1a)を上にしてガラス漏斗2とガラスヌッチェ3の間に液が漏れでないようにしてセットする。測定試料1の支持体に接触している側を記号(1b)として表す。
次に、図1(b)に示す、ポリイミド前駆体溶液の溶媒4(N,N−ジメチルアセトアミド)50mlをガラス漏斗2の内面に沿わして素早く加え、加えたと同時に時間計測を開始する。
図1(c)に示す、測定試料1に亀裂が入り始め、ポリイミド前駆体溶液の溶媒4が測定試料1の亀裂部(11)より最初の1滴(12)が落下するまでの時間を測定し、その測定時間を自己支持性フィルムの溶解時間とする。
2.自己支持性フィルムのイミド化率の測定法:自己支持性フィルムのイミド化率は、IR(ATR)で測定し、自己支持性フィルムとフルキュア品(400℃で30分間でイミド化したもの)との振動帯ピーク面積の比を利用して、イミド化率を算出することができる。振動帯ピークとしては、イミドカルボニル基の対称伸縮振動帯やベンゼン環骨格伸縮振動帯を利用する。
イミド化を完結させたフィルムにおいて、イミド基に対応する1747〜1798cm−1のピークを基準にベースラインを引き、このイミド基ピークの面積とベンゼン環に対応する1432〜1560cm−1の面積の比率を算出する。次にイミド化率を求めたい自己支持性フィルムを同様の手法で比率を算出して、イミド化完結フィルムに対する自己支持性フィルムのイミド化率を算出する。
3.自己支持性フィルムの溶媒含量の測定法:測定対象のフィルムを400℃で30分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから数式1に従って算出した値である。
Figure 0004967853
4.フィルムの厚みの測定法:得られたフィルムの膜厚を打点膜厚計にて測定した。
5.ポリアミック酸溶液の回転粘度の測定法:Brookfield社製Programmable DV−II・B型粘度計を用いて、温度30℃で測定した。
(塗布溶液の作成:塗布溶液A)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、ついで、2,3、3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを加え、30℃で重合反応させて、ポリマー濃度が5質量%のポリアミック酸のDMAc溶液を得た。
(実施例1)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ついでパラフェニレンジアミンを加え、30℃で10時間重合反応させて、ポリマー濃度が18質量%、回転粘度が1600ポイズのポリアミック酸のDMAc溶液を得た。このポリアミック酸のDMAc溶液へイミド化触媒である1,2−ジメチルイミダゾールをポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.05モル加え30℃でさらに2時間攪拌させた。
このポリアミック酸溶液をTダイ金型のスリットから連続的に、キャスティング・乾燥炉の平滑な支持体に押し出し、平滑な金属支持体上に薄膜を形成した。この薄膜を150℃で5分間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率17.5%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は64秒であり、溶媒含量は24.6%であった。
この自己支持性フィルムの両面に塗布溶液A(25g/m)を塗布し、その後加熱イミド化を行い、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
(実施例2)
表1に示す触媒の添加量で行った以外は、実施例1と同様に実施して自己支持性フィルムを得、塗布溶液A(25g/m)を塗布し、加熱イミド化後、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率30.7%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は600秒以上であり、溶媒含量は22.1%であった。
(実施例3)
表1に示す触媒の添加量と加熱温度で行った以外は、実施例1と同様に実施して自己支持性フィルムを得、塗布溶液A(25g/m)を塗布し、加熱イミド化後、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率13.6%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は280秒であり、溶媒含量は26.2%であった。
(実施例4)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミドを加え、ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ついでパラフェニレンジアミンを加え、30°で10時間重合反応させて、ポリマー濃度が18wt%、回転粘度が5700ポイズのポリアミック酸を得た。このポリアミック酸へイミド化触媒である1,2−ジメチルイミダゾールをアミック酸中のアミド基1モルに対して0.05mol加え30℃でさらに2時間攪拌させた。
このポリアミック酸溶液をTダイ金型のスリットから連続的に、キャスティング・乾燥炉の平滑な支持体に押し出し、平滑な金属支持体上に薄膜を形成した。この薄膜を140℃で5分間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率9.7%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は82秒であり、溶媒含量は30.2%であった。
この自己支持性フィルムの両面に塗布溶液A(25g/m)を塗布し、その後加熱イミド化処理を行い、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
(実施例5)
表1に示す加熱温度で行った以外は、実施例4と同様に実施して自己支持性フィルムを得、塗布溶液A(25g/m)を塗布し、加熱イミド化後、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率17.5%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は294秒であり、溶媒含量は26.1%であった。
(実施例6)
表1に示す触媒の添加量で行った以外は、実施例4と同様に実施して自己支持性フィルムを得、塗布溶液A(25g/m)を塗布し、加熱イミド化後、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率18.7%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は368秒であり、溶媒含量は25.4%であった。
(実施例7)
表1に示す触媒の添加量と加熱温度で行った以外は、実施例4と同様に実施して自己支持性フィルムを得、塗布溶液A(25g/m)を塗布し、加熱イミド化後、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率31.1%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は600秒以上であり、溶媒含量は21.7%であった。
(実施例8)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミドを加え、ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ついでパラフェニレンジアミンを加え、30℃で10時間重合反応させて、ポリマー濃度が18wt%、回転粘度が1800ポイズのポリアミック酸を得た。このポリアミック酸へイミド化触媒である1,2−ジメチルイミダゾールをポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.1mol加え30℃でさらに2時間攪拌させた。
このポリアミック酸溶液をTダイ金型のスリットから連続的に、キャスティング・乾燥炉の平滑な支持体に押し出し、平滑な金属支持体上に薄膜を形成した。この薄膜を157℃で5分間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率7.4%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は50秒であり、溶媒含量は30.1%であった。
この自己支持性フィルムの両面に塗布溶液A(25g/m)を塗布し、その後加熱イミド化処理を行い、厚み7.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
(実施例9)
重合槽に所定量のN,N−ジメチルアセトアミドを加え、ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ついでパラフェニレンジアミンを加え、30℃で10時間重合反応させて、ポリマー濃度が18wt%、回転粘度が1800ポイズのポリアミック酸を得た。このポリアミック酸へイミド化触媒である1,2−ジメチルイミダゾールをポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.05mol加え30℃でさらに2時間攪拌させた。
このポリアミック酸溶液をTダイ金型のスリットから連続的に、キャスティング・乾燥炉の平滑な支持体に押し出し、平滑な金属支持体上に薄膜を形成した。この薄膜を157℃で5分間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率6.8%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は50秒であり、溶媒含量は31.0%であった。
この自己支持性フィルムの両面に塗布溶液A(25g/m)を塗布し、その後加熱イミド化処理を行い、厚み9μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムは、亀裂もクラックもなかった。
(比較例1)
表1に示す加熱処理の温度(130℃)とした以外は実施例1と同様の実施を行い、自己支持性フィルムを得た。
この自己支持性フィルムの両面に塗布溶液A(25g/m)を塗布したところ、フィルムに時折、亀裂又はクラックが入った。その後加熱イミド化処理を行い、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの一部に、亀裂又はクラックがあった。
この自己支持性フィルムは、支持体と接触していない側(気体側)のイミド化率9.1%であった。自己支持性フィルムのDMAcの溶解時間を測定し結果は22秒であり、溶媒含量は31.7%であった。
Figure 0004967853
自己支持性フィルムの溶解時間の測定手順を説明する模式図である。
符号の説明
1:溶液を塗布する前の自己支持性フィルムを10cm角切り出して測定試料、
1a:自己支持性フィルムの支持体と接しない側の面、
1b:自己支持性フィルムの支持体と接した側の面、
2:ガラス漏斗、
3:ガラスヌッチェ、
4:ポリイミド前駆体溶液の溶媒、
11:測定試料1の亀裂部、
12:測定試料1の亀裂部より落下する溶媒の最初の1滴。

Claims (6)

  1. 自己支持性フィルムの少なくとも片面に有機溶液を塗布し、その後塗布した自己支持性フィルムを加熱炉にて加熱してイミド化する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムの製造法であり、
    自己支持性フィルムは、イミド化触媒をポリアミック酸中のアミック酸1モルに対して0.02〜0.5モル配合したポリマー濃度が15〜25質量%のポリアミック酸溶液の薄膜を140〜170℃の温度範囲で加熱乾燥して得られ、イミド化率が5〜40%で、溶媒含量が20〜40質量%で、溶解時間が40秒以上のフィルムであり、
    前記有機溶液は、ポリアミック酸および有機溶媒を含むポリイミド前駆体溶液である
    ことを特徴とするポリイミドフィルムの製造法。
    (自己支持性フィルムの溶解時間:有機溶液を塗布する前の自己支持性フィルムを10cm角切り出し、支持体に接触指定内面を上にしてガラスヌッチェにセットし、ガラスヌッチェに前記有機溶媒50mlを添加して、自己支持性フィルムに亀裂が入り塗布溶媒が通過するまでの時間を測定し、その測定時間を自己支持性フィルムの溶解時間とする。)
  2. 前記有機溶媒は、ポリアミック酸を溶解する溶媒であり、前記溶媒はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジエチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上である請求項1記載のポリイミドフィルムの製造法。
  3. ポリアミック酸は、酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンとを含む成分より得られることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルムの製造法。
  4. イミド化触媒は、イミダゾール類であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造法。
  5. ポリアミック酸溶液は、脱水剤をポリアミック酸のアミック酸1モルに対して0.1モル以下の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造法。
  6. ポリイミドフィルムの製造法は、熱イミド化によるポリイミドフィルムの製造法であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造法。
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