JP2016215774A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】小型のステーを使用しながらヘッドレスト内の空間部を形成して、その空間部内にダイナミックダンパを配設した軽量なヘッドレストを備えた乗物用シートを提供する。【解決手段】シートバックの上部に設けられるヘッドレストは、ヘッドレストの骨格の一部を成す一対のステー31と、一対のステー31のそれぞれの一部を挟み込んで連結するとともに内部に空間部を形成して外周を接合された前記ヘッドレストの骨格の一部を成す前パネル32及び後パネル33と、前パネル32及び後パネル33と一対のステー31の一部とを覆うように形成されたパッドと、空間部の中に配設されたダイナミックダンパ10と、を備えている。【選択図】図6

Description

本発明は、自動車等の乗物に装着される乗物用シートに関するものである。
乗物用シートにおいて、車体から乗物用シートに伝達された振動をヘッドレスト内に備えられたダイナミックダンパに伝達して共振させることで、乗物用シートの振動をダイナミックダンパの振動に変換して乗物用シートの振動を抑えるものが知られている。特許文献1に記載の乗物用シートにおいては、ヘッドレストの内部に形成した空間部の中にダイナミックダンパを配置している。詳しくは、骨格部材であるステーに対して、内部に空間部を形成するケースとしてのパネル部材を取付け、パネル部材内の空間部に弾性部材を介して重錘を配置することによりダイナミックダンパを構成している。
特開2014−15076号公報
特許文献1に記載の技術においては、ヘッドレストの骨格部材であるステーとは別に内部に空間部を形成するパネル部材が必要であった。すなわち、ステーはヘッドレストの骨格をなす機能のみを担い、パネル部材は内部にダイナミックダンパを配置する空間部を形成してダイナミックダンパをステーに取付ける機能のみを担っている。これによって、ステーの小型化が図れず乗物用シートの軽量化を達成しにくいという問題があった。
かかる問題に鑑み本発明の課題は、小型のステーを使用しながらヘッドレスト内の空間部を形成して、その空間部内にダイナミックダンパを配設した軽量なヘッドレストを備えた乗物用シートを提供することにある。
本発明の第1発明は、乗物用シートであって、シートバックの上部に設けられるヘッドレストを有し、該ヘッドレストは、該ヘッドレストの骨格の一部を成す一対のステーと、該一対のステーのそれぞれの一部を前後又は上下から挟み込んで連結するとともに内部に空間部を形成して外周が接合され前記ヘッドレストの骨格の一部を成す一対のパネル部材と、該一対のパネル部材と前記一対のステーの一部とを覆うように形成されたクッション材と、前記空間部の中に配設されたダイナミックダンパと、を備えていることを特徴とする。
第1発明によれば、一対のパネル部材が、一対のステーのそれぞれの一部を挟み込んだ状態で外周が接合されることにより、一対のパネル部材と一対のステーとが一体となってヘッドレストの骨格を形成する。また、ダイナミックダンパは一対のパネル部材に挟まれて内部に形成された空間部に配設されることでヘッドレストの骨格に取付けられる。これによって、ステーの一部が一対のパネル部材で代替されステーの小型化が図れるので乗物用シートの軽量化を達成できる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ダイナミックダンパは重錘と、該重錘を拘持する弾性体を有し、該弾性体の一部が前記一対のパネル部材の少なくとも一つに取付けられていることを特徴とする。
第2発明によれば、ダイナミックダンパの重錘を拘持する弾性体の一部が一対のパネル部材の少なくとも一つに対して取付けられているので一対のパネル部材に対して重錘が振動しやすく乗物用シートの振動を効率よく抑えることができる。
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記一対のパネル部材は、金属板のプレス成形品であり、前記一対のパネル部材同士の接合は、溶接もしくはかしめによりなされていることを特徴とする。
第3発明によれば、パネル部材は金属板のプレス成形で製造できるとともに、パネル部材同士の外周の接合は、溶接もしくはかしめでなされているので生産性よく製造することができる。
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記一対のパネル部材は、一側部同士が連結されてインテグラルヒンジを形成した形態のプレス成形品を、前記インテグラルヒンジで折り重ねて接合したものであることを特徴とする。
第4発明によれば、一対のパネル部材同士の接合時における位置合わせが容易になるとともに、接合箇所をインテグラルヒンジの分少なくすることができるので生産性をより高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る乗物用シートの一部斜視図である。 上記実施形態のヘッドレストの斜視図である。 上記実施形態のシートバックの一部とヘッドレストの正面図である。 図3におけるIV−IV矢視線断面図である。 上記実施形態のヘッドレストのフレームにダイナミックダンパを取付けた状態の斜視図である。 上記実施形態のヘッドレストのフレームにダイナミックダンパを取付けた状態の分解斜視図である。 本発明の第2実施形態における、ステーにダイナミックダンパを取付けた状態を示す斜視図である。 上記実施形態のヘッドレストのパネル部材について、ステーに取付ける前の状態を示す斜視図である。
図1〜図6は、本発明の第1実施形態を示す。この実施形態は、自動車用シートに本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車用シートを自動車に取付けたときの自動車の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。本実施形態の自動車用シート1は、着座部となるシートクッション4と、背凭れとなるシートバック2と、頭部を支持するヘッドレスト3を備える。シートバック2は、その両サイドの下端部が、リクライナ7を介してシートクッション4の後端部に角度調整可能に連結されている。ここで、自動車用シート1が、特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。
図1に示すように、シートバック2とヘッドレスト3とシートクッション4は、それぞれ、骨格を成すフレーム2a、3a、4aと、クッション材であるパッド2b、3b、4bと、表皮材である表皮2c、3c、4cと、を有する。フレーム2a、3a、4a上にパッド2b、3b、4bが載置され、パッド2b、3b、4bは表皮2c、3c、4cで覆われている。シートバック2のフレーム2aは、左右一対のサイドフレーム2a1と、サイドフレーム2a1の上部間を連結するパイプ状のアッパフレーム2a2と、サイドフレーム2a1の下部間を連結するプレス板状のロアパネル2a3と、を有する。ここで、パッド3bが、特許請求の範囲の「クッション材」に相当する。
図1及び図3に示すように、アッパフレーム2a2には、一対の金属製で角筒状のブラケット2dが取付けられている。ブラケット2dには、樹脂製で略円筒状のサポート部材2eが挿入固定されている。サポート部材2eの一つには、ヘッドレスト3のシートバック2に対する高さを調整するためのストッパ2fが設けられている。
図5及び図6に示すように、ヘッドレスト3のフレーム3aは、円形断面のパイプ材から形成される一対のステー31と、ステー31の上端部を前後から挟み込んで一体化した前パネル32及び後パネル33と、を備えている。一対のステー31は、前パネル32と後パネル33により連結され、一体としてヘッドレスト3の骨格となるフレーム3aを構成している。
ステー31は、上下方向に延びる縦柱部31aと、縦柱部31aの上端から前方向かつヘッドレスト中央方向に向けて延びるパネル取付部31bと、を有している。縦柱部31aの下端部には、内部突起の規定に適合させるべくR形状部31cが設けられている。図3に示すように、縦柱部31aは、サポート部材2eに挿入されてシートバック2に取付けられる。ステー31の一つには複数の溝(図示せず)が形成されており、この溝とストッパ2fによってサポート部材2eに対してステー31が位置決めされる。これによりヘッドレスト3のシートバック2に対する高さが調整されうる。前パネル32と後パネル33が、特許請求の範囲の「パネル部材」に相当する。
図5及び図6に示すように、前パネル32と後パネル33は鋼板製のプレス成形部品で前後方向から見た外形が同一の略台形状をしている。前パネル32は、概略前方向に凸となるように膨らんだ半シェル状の形態をしており、後パネル33は、概略後方向に凸となるように膨らんだ半シェル状の形態をしている。前パネル32の後端部と後パネル33の前端部を合わせてシェル状とすると、前パネル32と後パネル33の間に後述するダイナミックダンパ10が配設される空間部34が形成される。前パネル32と後パネル33は、シェル状に合わせたとき、その合わせ面に対して略対称形状に形成されているので、代表として後パネル33についてその詳しい形状を説明する。
図6に示すように、後パネル33の左右端部には、断面がステー31の外径よりわずかに大きい内径の円弧状をした縦溝部33aが設けられている。縦溝部33aは、後パネル33が前パネル32とシェル状に合わされたとき、前パネル32の縦溝部とともにステー31のパネル取付部31bを挟み込んで、ステー31と、前パネル32及び後パネル33とを一体化するためのものである。縦溝部33aの外側端部には、前パネル32と溶接接合するためのフランジ部33bが設けられている。図4及び図6に示すように、後パネル33の上端部には、断面が略U字状の上横溝部33cが設けられている。上横溝部33cの下側の壁面33dは、後パネル33が前パネル32とシェル状に合わされたとき、前パネル32の上横溝部の下側の壁面とともに、後述するダイナミックダンパ10の一部を係止して取付けるためのものである。上横溝部33cの上側端部には、前パネル32と溶接接合するためのフランジ部33eが設けられている。フランジ部33bとフランジ部33eは、切れ目なく連続して設けられている。後パネル33の下端部の左右の縦溝部33aの間には、断面が略U字状の下横溝部33fが設けられている。下横溝部33fの上側の壁面33gは、後パネル33が前パネル32とシェル状に合わされたとき、前パネル32の下横溝部の上側の壁面とともに後述するダイナミックダンパ10の一部を係止して取付けるためのものである。下横溝部33fの下側端部には、前パネル32と溶接接合するためのフランジ部33hが設けられている。後パネル33の縦溝部33a、上横溝部33c、下横溝部33fに囲まれた中央部分には、後方に向って凸となる膨出部33iが形成されている。膨出部33iは、後パネル33が前パネル32とシェル状に合わされたとき、前パネル32の膨出部とともにダイナミックダンパ10が配設される空間部34を形成する。また、空間部34の周囲には、前パネル32と後パネル33が当接して、溶接が可能な領域が形成される。ダイナミックダンパ10の配設構造の詳細については、ダイナミックダンパ10の構造を説明してから後述する。
図6に示すように、ダイナミックダンパ10は、重錘6と、重錘6を前パネル32と後パネル33に対して揺動可能に弾性的に支持する弾性部材8と、を備えている。ここで、弾性部材8が、特許請求の範囲の「弾性体」に相当する。
重錘6は、鋼材などの金属製であって中実の略直方体形状の部品である。重錘6の材質は金属には限らないが、比重の大きさから金属を使用するのがダイナミックダンパ10を小型化するのに有効である。また、重錘6の形状は略直方体に限らず円盤状、多角柱状、球状等広範な形状を採りうる。
弾性部材8は、スチレン・ブタジエンゴムやエチレンプロピレンゴム製の部材で、ゴム成型用金型中に、重錘6をセットし金型内で加硫接着させて一体化する。図4及び図6に示すように、弾性部材8は、重錘6を覆う重錘被覆部8aと、重錘被覆部8aから上方向に延びる一対の上柱部8bと、重錘被覆部8aから下方向に延びる一対の下柱部8cと、を有する。重錘被覆部8aは、重錘6の上下左右の端部を覆って保持する部分で、図4に示すように、重錘6の上下左右の端部が重錘被覆部8a中に埋め込まれた状態で一体化されており、外れにくくなっている。上柱部8bは、横断面が四角形の柱状の形態をしており、その上端部には前後左右に張り出した鍔部8b1が設けられている。さらに、上柱部8bの鍔部8b1やや下には前後方向に貫通する貫通孔8b2が設けられている。下柱部8cは、横断面が四角形の柱状の形態をしており、その下端部には前後左右に張り出した鍔部8c1が設けられている。さらに、下柱部8cの鍔部8c1やや上には前後方向に貫通する貫通孔8c2が設けられている。なお、重錘6に対する弾性部材8の取付けは、一体成型に限らず、別に成形した弾性部材8をはめ込みやねじ止めのように機械的に取付けてもよいし、接着等によって取付けてもよい。また、弾性部材8の材質もゴムに限らず熱可塑性のエラストマー等の樹脂であってもよい。
図4及び図6を参照して、ダイナミックダンパ10の前パネル32と後パネル33に対する取付け構造及び取付け方について説明する。後パネル33の上横溝部33cの下側の壁面33dからやや下方には、左右方向中心線から等距離に一対の係止孔33jが設けられている。左右の係止孔33jの間隔は、ダイナミックダンパ10の一対の上柱部8bに設けられた貫通孔8b2間の距離と等しく設定されている。それぞれの係止孔33jの左右両側には前方に向かって突出する凸部33kが設けられている。係止孔33jを挟んだ凸部33k間の間隔は、上柱部8bの左右方向の幅よりわずかに大きく設定されている。また、後パネル33の下横溝部33fの上側の壁面33gからやや上方には、左右方向中心線から等距離に一対の係止孔33mが設けられている。左右の係止孔33mの間隔は、ダイナミックダンパ10の一対の下柱部8cに設けられた貫通孔8c2間の距離と等しく設定されている。それぞれの係止孔33mの左右両側には前方に向かって突出する凸部33nが設けられている。係止孔33mを挟んだ凸部33n間の間隔は、下柱部8cの左右方向の幅よりわずかに大きく設定されている。左右の係止孔33jと係止孔33mの間隔は、それぞれ、ダイナミックダンパ10の貫通孔8b2と貫通孔8c2間の距離よりやや大きく設定されている。これによって、後パネル33の左右の係止孔33jと係止孔33mを、それぞれ、ダイナミックダンパ10の左右の貫通孔8b2と貫通孔8c2に一致させると、ダイナミックダンパ10の上柱部8bと下柱部8cが伸張させられることになる。前パネル32にも、前パネル32と後パネル33をシェル状に合わせたとき、その合わせ面に対して後パネル33と対称の位置に係止孔、凸部が設けられている。
フレーム3aへのダイナミックダンパ10の取付け方法について説明する。図6において、後パネル33のフランジ部33b、33e、33hを上に向けた状態で支えるとともに、後パネル33に対して適正な位置に左右のステー31を支持する受け治具(図示せず)上に後パネル33と左右のステー31を配置する。このとき、受け治具からは、係止孔33jと係止孔33mに相当する位置に、外径が係止孔33jと係止孔33mよりわずかに小さい円柱状の位置決めピンが前パネル32との合わせ面に垂直に全部で4本立設されている。したがって、受け治具上に後パネル33を載置すると、後パネル33の係止孔33jと係止孔33mを通して4本の位置決めピンが上方に向って延びた状態になる。この状態で4本の位置決めピンが、ダイナミックダンパ10の貫通孔8b2と貫通孔8c2を通るようにダイナミックダンパ10を載置してセットする。すなわち、係止孔33jを通った2本の位置決めピンを、ダイナミックダンパ10の2つの貫通孔8b2に通し、係止孔33mを通った2本の位置決めピンを、ダイナミックダンパ10の2つの貫通孔8c2に通す。このとき、ダイナミックダンパ10の貫通孔8b2と貫通孔8c2の間の距離は、後パネル33の係止孔33jと係止孔33mの間の距離より短いので、弾性部材8の上柱部8bと下柱部8cには張力が印加された状態となる。この状態で、上柱部8bの鍔部8b1が後パネル33の上横溝部33cの下側の壁面33dに係止され、下柱部8cの鍔部8c1が後パネル33の下横溝部33fの上側の壁面33gに係止される。この上に、前パネル32を被せると、前パネル32の4つの係止孔を4本の位置決めピンが通るとともに、上柱部8bの鍔部8b1が前パネル32の上横溝部の下側の壁面に係止され、下柱部8cの鍔部8c1が前パネル32の下横溝部の上側の壁面に係止される。この状態で、前パネル32と後パネル33の外周フランジ部と、縦溝部33aと上横溝部33cの内側部分と、左右のステー31との接触部分とを溶接で固定したのち受け治具から取外す。このとき、ダイナミックダンパ10の上柱部8bの鍔部8b1と下柱部8cの鍔部8c1とは、それぞれ、前パネル32と後パネル33の上横溝部の下側の壁面と下横溝部の上側の壁面に係止されているので位置決めピンが外されても上柱部8bと下柱部8cに張力が印加された状態を保つ。また、上柱部8bは、凸部33kに挟まれて左右方向移動不能に支持され、下柱部8cは、凸部33nに挟まれて左右方向移動不能に支持される。これによって、ダイナミックダンパ10は、フレーム3aに対して上下左右前後のいずれの方向にも移動不能に支持される。
ヘッドレスト3の製造方法について説明する。ヘッドレスト3の外形に相当するキャビティを備えたウレタン発泡成形型に、上記のダイナミックダンパ10を取付けたフレーム3aに袋状に形成した表皮3cを被せた状態でセットする。表皮3cの中に発泡ウレタン原料を注入し、発泡成形完了後に脱型してヘッドレスト3を得る。発泡ウレタン原料の発泡成形中に、ダイナミックダンパ10は前パネル32と後パネル33によって形成された空間部34に配置され、前パネル32と後パネル33とはその外周部が溶接によってシールされているので発泡ウレタン原料が空間部34に侵入することが抑制されている。したがって、ダイナミックダンパ10が振動するのに十分な空間部34が確保される。
以上のように構成される実施形態は、以下のような作用効果を奏する。左右のステー31を前後から挟むように前パネル32と後パネル33を取付けることによってダイナミックダンパ10を配設する空間部34を形成できる。このとき、左右のステー31は、前パネル32及び後パネル33と一体となってヘッドレスト3の骨格としての機能を果たす。左右のステー31は、分割された状態で両者を上部において連結する部分が省かれており、これによって、ステーの小型化が図れ軽量化が達成できる。ダイナミックダンパ10は、重錘6に一体化された弾性部材8の上柱部8bと下柱部8cを前パネル32と後パネル33に取付けている。これによって、前パネル32と後パネル33に対して重錘6が振動しやすく自動車用シート1の振動を効率よく抑えることができる。さらに、前パネル32と後パネル33は金属板のプレス成形品であり、外周の接合は、溶接でなすことができるので生産性よく製造することができる。
図7及び図8に、本発明の第2実施形態を示す。上記第1実施形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態との違いは、前パネル35と後パネル36が、インテグラルヒンジ部37aで繋がり一枚のパネル37となっていることと、前パネル35と後パネル36の縦溝部と上横溝部の内側部分がかしめによって結合されている点である。前パネル35と後パネル36とは、第1実施形態と同様にシェル状に合わせたとき、その合わせ面に対して略対称形状に形成されているので、代表として後パネル36についてその形状を説明する。左右の縦溝部33aの内側には前パネル35との間でかしめ加工をするための円形の平坦部36aが上下方向に3つずつ並んで設けられている。この6つの平坦部36aは、それぞれ、前パネル35と後パネル36とがシェル状に合わされたとき、前パネル35の平坦部と当接するように構成されている。この状態で各平坦部に対してかしめ加工をすることにより前パネル35と後パネル36とが結合される。パネル37が、前パネル35と後パネル36の合わせ面を平面状にしてプレス成形される。このパネル37の後パネル36部分を第1実施形態と同様に受け治具上に載置し、ダイナミックダンパ10と左右のステー31を配置する。この状態で、インテグラルヒンジ部37aをヒンジとして前パネル35部分を折り返して後パネル36部分に重ね、6つの平坦部36aについてかしめ加工を施すとともに、外周のフランジ部33b、33hと、左右のステー31との接触部分とを溶接固定したのち受け治具から取外す。
以上のように構成される第2実施形態は、第1実施形態と同様に、左右のステー31を前後から挟むように前パネル35と後パネル36を取付けることによってダイナミックダンパ10を配設する空間部34を形成できる。このとき、左右のステー31は、前パネル35及び後パネル36と一体となってヘッドレスト3の骨格としての機能を果たす。左右のステー31は、分割された状態で両者を上部において連結する部分が省かれており、これによって、ステーの小型化が図れ軽量化が達成できる。また、前パネル35と後パネル36は、インテグラルヒンジ部37aによって繋がっているので、接合時における位置合わせが容易になる。さらに、前パネル35と後パネル36の外周の溶接箇所をインテグラルヒンジ部37aの分だけ少なくすることができるので生産性をより高めることができる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、ダイナミックダンパ10を前パネル35と後パネル36に取付けを、前パネル35と後パネル36の間に上柱部8bと下柱部8cの一部を挟み込むことにより行った。これに限らず、上柱部8bと下柱部8cの一部を前パネル35もしくは後パネル36に、はめ込みやビス止めのような機械的手段によって取付けてもよいし、接着等で取付けてもよい。
2.上記実施形態においては、弾性部材8の材料としてスチレン・ブタジエンゴムやエチレンプロピレンゴム等のゴム材料を適用したが、これに限らず、変性ポリプロピレン樹脂等の接着性を有する熱可塑性樹脂を用いることもできる。この場合、インジェクション成形により重錘6と一体成形することができる。一般に、変性ポリプロピレン樹脂の成形品はゴム材料の成形品より弾性率が高いので曲げ変形が容易になるように上柱部8b及び下柱部8cの断面形状を工夫して弱体化部を設ける等して変形しやすくしてもよい。
3.上記実施形態においては、弾性部材8の上柱部8bと下柱部8cは、それぞれ、2本ずつとして上下方向に平行に配置したが、これに限らず、1本あるいは3本以上の複数本としてもよいし、左右方向に配置してもよい。さらには、必ずしも相互に平行に配置する必要はない。
4.上記実施形態においては、前パネル32、35と後パネル33、36の外周部の結合を溶接によって行ったが、これに限らず、かしめで行ってもよい。
5.上記実施形態においては、前パネル32、35と後パネル33、36を縦溝部33aと上横溝部33cの内側部分(空間部34の外周部分)において、溶接又はかしめによって前パネル32、35と後パネル33、36を結合した。これに限らず、前パネル32、35と後パネル33、36の結合を外周部分のみで行ってもよい。
6.上記実施形態においては、本発明を自動車用シートに適用したが、これに限らず、鉄道車両、飛行機、船舶等のシートにも適用することができる。
1 自動車用シート(乗物用シート)
2 シートバック
3 ヘッドレスト
3b パッド(クッション材)
6 重錘
8 弾性部材(弾性体)
8b 上柱部
8c 下柱部
10 ダイナミックダンパ
31 ステー
32 前パネル(パネル部材)
33 後パネル(パネル部材)
34 空間部
35 前パネル(パネル部材)
36 後パネル(パネル部材)
37 パネル
37a インテグラルヒンジ部(インテグラルヒンジ)

Claims (4)

  1. 乗物用シートであって、
    シートバックの上部に設けられるヘッドレストを有し、該ヘッドレストは、該ヘッドレストの骨格の一部を成す一対のステーと、該一対のステーのそれぞれの一部を前後又は上下から挟み込んで連結するとともに内部に空間部を形成して外周が接合され前記ヘッドレストの骨格の一部を成す一対のパネル部材と、該一対のパネル部材と前記一対のステーの一部とを覆うように形成されたクッション材と、前記空間部の中に配設されたダイナミックダンパと、を備えている乗物用シート。
  2. 請求項1において、前記ダイナミックダンパは重錘と、該重錘を拘持する弾性体を有し、該弾性体の一部が前記一対のパネル部材の少なくとも一つに取付けられている乗物用シート。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記一対のパネル部材は、金属板のプレス成形品であり、前記一対のパネル部材同士の接合は、溶接もしくはかしめによりなされている乗物用シート。
  4. 請求項3において、前記パネル部材は、一側部同士が連結されてインテグラルヒンジを形成した形態のプレス成形品を、前記インテグラルヒンジで折り重ねて接合したものである乗物用シート。
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