JP2016192248A - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージ - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージ Download PDF

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Abstract

【課題】高密度な記録媒体を製造するために好適な、二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いたデータストレージを提供すること。【解決手段】A面及びB面を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、B面の表面について中心面から高さ50nmにおける突起間の平均距離が15.0μm以上25.0μm以下であり、B面の表面について中心面からスライスレベル高さ50nmにおける突起領域が10.0μm2以上45.0μm2以下であり、かつ、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での振幅強度が長手方向および幅方向いずれも10nm2以下である二軸配向積層ポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、データストレージなどの塗布型磁気記録テープのベースフィルムとして、好ましく用いることが可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージに関する。
ポリエステルフィルムは、比較的安価で、優れた機械的特性を有することから、従来磁気記録テープのベースフィルムに用いられてきた。この場合、ポリエステルフィルムには粗大な突起や欠点がない平坦な表面を有することが求められる。近年、磁気記録テープはクラウドコンピューティングやICT(Information and Communication Technology :情報通信技術)におけるバックアップ用途、アーカイブ用途として、その需要が高まっている。また、ビッグデータの取り扱いにより、保存すべきデータ量が飛躍的に増加しているため、信頼性が高く、かつ高密度な記録技術が追求されている。磁気記録テープのベースフィルムに対しても、高密度化の要求に対応するため、平滑で均一な表面に対する極限追求がされている。
特許文献1および特許文献2には、少なくとも磁性層を形成する側の表面を形成するA層および磁性層を形成しない側の表面を形成するB層に含有される粒子の、種類、粒子径や量を規定することにより、フィルム表面の地合(地肌指数)をある範囲に規制し、データテープなどの塗布型磁気テープのベースフィルムなどに適した二軸配向積層ポリエステルフィルムが開示されている。しかしながら、さらなる磁気記録容量の増大が要求される中、フィルムの平滑性の定義は見直す必要が生じている。磁気記録特性と、既存の平滑性定義パラメータとの相関が取れなくなったからである。
一方、表面の平滑性を定義する別の方法として、特許文献3に示すような、地合のうねり構造を規定したフィルムも従来開示されていた。具体的には、表面粗さの周波数解析による波長70μmでの強度を規定した二軸配向積層フィルムである。しかしながら、従来の、粒子処方による平滑で均一な表面に対する極限追求で行われる設計の範疇にとどまっており、平滑性が極限まで追求された後の状況において、高密度な磁気記録を行い高い電磁特性を得られるための要件としては完全ではなかった。
特開2014−22026号公報 特開2014−19138号公報 特開2012−119040号公報
上記状況に鑑み検討したところ、データストレージ用ベースフィルムにおいて、粒子処方や積層比などを最適化し、微小領域に関する高平滑化の設計を極限まで進めた結果、今まで顕在化していなかった新たな表面凹凸、特に表面に形成する突起の並び方や、突起以外の領域である地合の性状、あるいは振幅が、磁気テープの特性に寄与することが判明した。
近年、高密度記録を行うため、磁性体が微細化された結果、磁性粉一つあたりで磁気を保持できる能力(飽和磁気量)が低下していく傾向に有ることが解っている。このため、磁気記録媒体とヘッドとの間隙(ヘッドクリアランス)を狭めることで、飽和磁気量の低下を補完し、磁気記録を確実に行っている。この際、従来の表面設計の範疇では無かった長波長領域での振幅成分が、磁気記録媒体とヘッドとの間隙を適正に維持し、磁気記録の読み書きを確実に行うために重要であることが判明した。
またさらには、磁性層側とその反対側の面形態を、突起の並び方が均一なものとすることにより、微細レベルで見た際の、磁性層の均一性や、ヘッドクリアランスが担保され、従来に比べてさらに高密度な記録媒体を製造できることが判明した。本発明の目的は、このように高密度な記録媒体を製造するために好適な、二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いたデータストレージを提供することにある。
本発明では、均一な面性状を表す指標を再定義し、さらには、微細な表面設計の範疇では想定されることの無かった長周期の振幅強度を規定し、その規定を達成することによって、従来とは異なる表面形状を実現する手段を提供する。すなわち、本発明は、A面及びB面を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、B面の表面について中心面から高さ50nmにおける突起間の平均距離が15.0μm以上25.0μm以下であり、B面の表面について中心面からスライスレベル高さ50nmにおける突起領域が10.0μm以上45.0μm以下であり、かつ、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での振幅強度が長手方向および幅方向いずれも10nm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルムを特徴とする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、突起の並び方が均一で、極めて平坦な表面を有すため、優れた表面性を有し、ヘッドクリアランスの精度をより高めながらも、巻取りなどのハンドリング性が良好であるため、高容量型のデータストレージ用途として優れたフィルムを提供することができる。
以下、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの一実施形態について説明する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、A面及びB面を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、B面の表面について中心面から高さ50nmにおける突起間の平均距離が15.0μm以上25.0μm以下であり、B面の表面について中心面からスライスレベル高さ50nmにおける突起領域が10.0μm以上45.0μm以下でありかつ、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での振幅強度が長手方向および幅方向いずれも10nm以下であることを特徴とする。これは支持体(ベースフィルム)の高平滑化を極めた後に新たに現れた面形態を表現したものである。
B面の表面における中心面から高さ50nmにおける突起間の平均距離とは、フィルム表面に形成された突起に関し、その突起間の距離を平均化したものである。「突起」の認定方法は、測定方法とともに後述するが、スライスレベルを中心面からの高さ50nmとして規定した際の突起間の平均距離を規定することは、フィルム搬送時に、フィルムと搬送ロールの間、あるいはフィルム同士の空気を効率よく排除できるかの指標となり、本発明の範囲に制御することにより、搬送特性を良好にせしめることが可能となる。この突起間の平均距離は、さらに好ましくは15.0μm以上20.0μm以下であり、これによりフィルムと搬送ロールとの間、あるいはフィルム同士に均一な隙間が形成され、空気をより効率よく排除できる。また、均一な隙間を形成するためには、突起の山形状を規定することも重要であるため、本発明では、次に説明する「B面の表面について中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起領域」として規定している。
B面の表面について中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起領域とは、上述の「突起」の認定方法にて得た突起に関し、そのスライス面の面積を示す。
B面における突起は、B面が他の面(たとえばフィルムを巻き取った際のA面)と接した際の、B面地合面とA面との間に位置してスペーサーの役割を担う。このことは、巻き取りや搬送プロセスにおいて、空気抜けや摩擦をコントロールする役割があり、これにより、スリッターでの巻き取り時に、シワの混入や、空気抜け不良によるツブの混入を防止する。このため、この突起領域の面積を規定することで、フィルムを巻き取った際のエアー抜け性とフィルム表面の平滑性を両立させることが可能となる。この際、適切な突起領域(面積)の範囲は10.0μm以上45.0μm以下である。突起領域が10.0μmを下回ると、適切なエアー抜け性が達成できないことがある。また、この突起領域が45.0μmを超えると、非磁性塗料塗布時にベースフィルムへの定着性に影響を及ぼし、磁性層塗布時に、ムラ、塗布抜け及び剥がれなどの塗布不良が発生しやすくなる。突起領域の面積に関し、さらに好ましい範囲は20.0μm以上45.0μm以下である。
なお、上述した突起間の平均距離を本発明に示す範囲に制御することは、次に示す波長領域の振幅強度も抑制する効果もある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での長手方向および幅方向の振幅強度を共に10nm以下とすることで、ヘッドクリアランスの精度をより高めることが可能となり、その結果、高容量型のデータストレージ用途として優れたフィルムを提供することが可能となる。振幅強度に関し、さらに好ましくは5nm以下である。好ましい下限値としては0.5nmである。さらに好ましい下限値は0.8nmである。該振幅強度を、適正な範囲にコントロールするための手段は、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製法を説明する際に述べる。
次に、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを構成する原料(チップ)について述べる。
本発明においてポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
さらに、ポリエステルが実質的に線状である範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ酸等を添加反応させてもよい。また、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルやポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルなどを共重合してもよい。
ポリエステルは2種以上のものをブレンドしてもよく、例えば50質量%以上がポリエステルであれば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール中、25℃で測定)は、ポリエーテルイミドとの溶融混練性、製膜性、溶融押出時の分解性等の観点から、下限値は好ましくは0.55dl/g、より好ましい下限値は0.6dl/g、最も好ましい下限値は0.7dl/gである。固有粘度が0.55dl/gより低いと、ポリエーテルイミドとの溶融混練性が低下する。また上限値は、好ましくは2dl/g、より好ましい上限値は1.4dl/g、最も好ましい上限値は1.0dl/gである。固有粘度が2.0dl/gを超えると、押出時の負荷が増え、せん断発熱による分解が起こり、粗大突起を形成することがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエーテルイミドを含有していることが好ましい。ポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されない。例えば、米国特許第4141927号明細書、特許第2622678号公報、特許第2606912号公報、特許第2606914号公報、特許第2596565号公報、特許第2596566号公報、特許第2598478号公報のポリエーテルイミド、特許第2598536号公報、特許第2599171号公報、特開平9−48852公報、特許第2565556号公報、特許第2564636号公報、特許第2564637号公報、特許第2563548号公報、特許第2563547号公報、特許第2558341号公報、特許第2558339号公報、特許第2834580号公報に記載のポリマー等が挙げられる。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドが好ましく、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物が、ポリエステルとの相溶性、コスト、溶融成形性等の観点から最も好ましい。このポリエーテルイミドは、SABIC社製の「Ultem(登録商標)1000または5000シリーズ」で知られているものである。
ポリエーテルイミドの含有量は、フィルムの全質量中の0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、効果を発現させるためには、ポリエーテルイミドの含有量が0.5質量%以上であることが好ましく、ポリエーテルイミドが核となった内部異物を抑制するためには、ポリエーテルイミドの含有量は10質量%以下であることが好ましい。
ポリエーテルイミドはフィルム中において平均分散径が1nm以上50nm以下で分散していることが好ましい。平均分散径がこの範囲内であれば、強度や寸法安定性、寸法変化率のばらつきが抑制され、特性が大幅に向上したフィルムを得ることが可能となる。また、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での長手方向および幅方向の振幅強度(ウネリ)を所望の値に制御できる。平均分散径が50nmより大きくなるとポリイミドによるポリエステル分子の拘束力が低下するためガラス転移点が低下し、熱寸法安定性が低下し、寸法変化率のばらつきが大きくなる傾向がある。さらに、上述のウネリが増大する原因となる。さらに良好な物性を得るためには、平均分散径は20nm以下が好ましく、上記振幅強度(ウネリ)を制御する上で最も好ましくは10nm以下である。下限は好ましくは1nm以上である。
ポリエステル中に、ポリエーテルイミドを平均分散径が1nm以上50nm以下で分散させる方法(あるいは、相溶し含有させる方法)は、ポリエステルとポリエーテルイミドとを押出機に投入し、(1)スクリュー剪断速度を30秒−1以上、300秒−1未満、(2)押出温度を280℃以上、320℃以下、(3)ポリマーの吐出時間を30秒以上、10分以下に設定して、樹脂組成物を成形する。上記(1)については、押出機のスクリュー剪断速度(=πDN/h、D:スクリュー直径、N:スクリュー回転数、h:スクリュー計量部の溝深さ)は50秒−1以上、250秒−1未満がより好ましく、90秒−1以上、200秒−1未満に設定するのが、ポリエステルの熱分解抑止およびポリエステルとポリエーテルイミドの相溶化の観点から好ましい。フィルム中におけるポリエーテルイミドの平均分散経は、3nm以上5nm未満であることが好ましい。
ポリエステルまたはポリエーテルイミドの微分散化の促進と相溶化ならびに粗大分散物の低減の観点から、スクリューの長さと直径の比が20以上、好ましくは25以上の各種ミキシング型スクリューを使用することが好ましい。ミキシング型スクリューとは、ニーディングディスク、ロータ型などが適している。押出機は一軸でも二軸混練タイプのいずれでもよいが、高剪断・低発熱タイプのスクリューを使用することが有効で、二軸タイプが好ましく用いられる。また本発明では、ポリエステルとポリエーテルイミドの相溶化およびポリエステルの熱分解抑制の観点から、押出温度を290℃以上、320℃以下とするのが好ましい。また、ポリマーの吐出時間は1.5分以上、6分以下とするのがより好ましく、2分以上、5分以下に設定するのが最も好ましい。吐出時間は、フィーダー、ギアポンプの運転条件や押出機のスクリュー回転数を変更することにより適宜変更できる。ポリマーの吐出時間とは、押出機および単管、フィルター、口金も含めた押出工程の全容積Vをポリマーの吐出量Qで割った値V/Qである。吐出時間は、フィーダー、ギアポンプの運転条件や押出機のスクリュー回転数を変更することにより適宜変更できる。また本願において、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での長手方向および幅方向の振幅強度(ウネリ)を所望の値に制御するためには、上述の押出機、ギアポンプ、単管、フィルター、口金も含めた押出工程の各工程にて発生する固有振動数を適正化することも有効である。具体的には、各工程での固有振動数を測定し、その振動数が工程間で重複しないような制御を行うことである。
さらに、ポリエステル中にポリエーテルイミドを含有させる方法は、上記により得られた、ポリエステルにポリエーテルイミドが相溶した樹脂組成物を用いて製膜した、二軸延伸ポリエステルフィルムを回収した原料も、ポリエステル中にポリエーテルイミドが偏ることなく分散しているので、好ましく使用できる。この際も、回収原料中のポリエーテルイミドの含有量についても0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
この際、回収原料は、フィルムをグラインダー(クラッシャー)にて粉砕後にフレークを得て、必要に応じフレークを押固めた後、溶融し、目開きが10〜50μmのフィルターにて異物を除去後、口金より樹脂を吐出・冷却し、連続的に太い糸状に固化させた樹脂(ガット)を得た後、このガットを回転刃により切断し、回収原料を得ることが好ましい。
また、ポリエステルには、フィルム層表面の突起高さや表面粗さを適正化させるために、不活性粒子を含有させることができる。不活性粒子の種類としては、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの1種もしくは2種以上を選択して用いることもできる。
これらの不活性粒子は、ポリエステル重合工程の段階で添加することにより、不活性粒子含有ポリマーを準備することができる。例えば、ポリエステルのグリコール成分であるエチレングリコールのスラリーとし、重縮合前のエステル交換後、あるいはエステル化後のオリゴマーの段階で不活性粒子含有スラリーを添加し、引き続き、重縮合反応を行うことで、不活性粒子含有ポリマーを得ることができる。この不活性粒子については、好ましくは数平均粒子径0.1〜5μmのもの、より好ましくは0.3〜3μmのものを用いる。数平均粒子径の異なる粒子を添加してもよい。
含有せしめる不活性粒子の数平均粒子径が0.1μm未満であると、十分な滑り性が得られないためフィルムを巻き取ることが困難となることがある。また、5μmを超えると、フィルムの延伸工程で破れが発生し生産性が低下することがある。
本発明において、上述した突起間の平均距離を適正な値に制御する方法としては、用いる粒子の体積平均粒子径が0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましく、真円度が良好な粒子を用いることが好ましい。この真円度は、体積形状係数にて表すことができる。本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、フィルム内に添加する粒子の形状・粒子径分布については均一なものが好ましく、とくに粒子形状は球形に近いものが好ましい。体積形状係数は好ましくはf=0.3以上π/6以下であり、より好ましくはf=0.4〜π/6である。ここで、体積形状係数fは、次式で表される。
f=V/Dm
ここでVは粒子体積(μm)、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
なお、体積形状係数fは粒子が球のとき、最大のπ/6(=0.52)をとる。また、必要に応じて濾過などを行うことにより、凝集粒子や粗大粒子などを除去することが好ましい。このことから、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、フィルム内に添加する粒子は、乳化重合法で等で合成された、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好適に使用できるが、とくに架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン、さらに球状シリカなどは体積形状係数が真球に近く、粒径分布が極めて均一であり、均一にフィルム表面突起を形成する観点で好ましい。
また、複合層のサブ層厚みを適切な範囲に保つこと、具体的には、磁性層を塗布する平滑な面に相当する、A面を有する層(ここではA層と称する)に含有される不活性粒子の体積平均粒子径d(μm)と積層厚みt(μm)との関係t/dが0.5〜20であることが望ましい。
次に、これら原料(チップ)を用い、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを製造するための一実施形態について説明する。
ポリエステル重合工程を経た原料(チップ)は、その後、適宜混合した後、真空乾燥機により、チップ中の水分を除去する。その後押出機で溶融して押出した後、ギアポンプで溶融ポリマーを一定の吐出量にする。その後フィルターで濾過を行う。
濾過後の溶融樹脂は、スリット状のダイ(口金)から吐出して、シート状に成形する。このシート状物を表面温度20〜50℃のキャスティングドラムに巻付け冷却固化し、未延伸(未配向)フィルムとする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、縦および横方向の両方向において、所望の高い機械特性を得るため、延伸を行うことが好ましい。
延伸方式としては、同時二軸または逐次二軸延伸のいずれでもよいが、ロールが未延伸フィルムと接する機会の少ない、同時二軸延伸方式で延伸するほうが、上述の長波長領域(100μm以上1,000μm以下の領域)における長手方向および幅方向の振幅強度を所望の値に制御するうえで好ましい。該未延伸シートをフィルムの長手方向および幅方向に延伸、熱処理して、フィルムを得る。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを逐次二軸延伸にて延伸する際は、長手方向への延伸は、ロール間ドローによる延伸を縦延伸機にて実施し、幅方向に延伸する際は、テンター方式にて横延伸機にて実施することが好ましい。
縦延伸工程は、未延伸フィルムを、搬送ロールにて予熱し、80℃以上130℃未満の延伸温度まで加熱した後、ロール間ドローにより長手方向に延伸する。延伸温度が80℃未満であると、延伸時にフィルムが破断しやすくなり、130℃以上では、十分な縦配向を得られず、強度が低下することがある。延伸倍率は、2.5倍以上7.0倍未満が好ましい。延伸倍率が2.5倍未満であると強度が低下し、7.0倍以上であると延伸時にフィルムが破断しやすくなる。また、縦延伸速度は1,000%/分〜200,000%/分であることが望ましい。
かかる長手方向に延伸された一軸延伸フィルムを、横延伸機にて80℃以上120℃未満で3倍以上6倍未満で幅方向に延伸し、二軸延伸(二軸配向)フィルムとする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行なってもよいし、同時二軸にて延伸してもよいが、同時二軸延伸方式で延伸するほうが、上述の長波長領域(100μm以上1,000μm以下の領域)における長手方向および幅方向の振幅強度を所望の値に制御するうえで好ましい。
一方、逐次二軸延伸を採用する場合に用いるロールは、例えばキャストされた未延伸フィルムを縦延伸ロールにて昇温する時に、未延伸フィルムとロールとの微細な粘着による表面の凹凸が発生し、また、結晶化履歴の微少な違いにより、その後の横延伸時においての表面形成過程で微小なムラが生じることが多い。このムラは横延伸後の熱固定プロセス以降でほぼ確定する。これらは、ウネリ変動の悪化に寄与するため、本願におけるウネリ強度を制御する上では、フィルムを加熱するためのロールは、可能な限り少なくし、ロールとフィルムが粘着する機会を減らした方が好ましい。
また、同時二軸延伸における昇温過程において、上記結晶化履歴のムラを作らないためには、温度設定や延伸条件をおのおの調整することが好ましい。特には、延伸時の温度を90℃以上200℃以下に設定することが、表面形成初期過程における微小なムラを抑制できるので好ましい。また、延伸速度が1,000%/分以上200,000%/分以下とすることにより、延伸を均一に行うことができるため好ましい形態の表面形成が可能となる。また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおける横延伸については、横延伸区間、すなわち、横延伸が開始され終了するまでの、長手方向にフィルムが搬送され縦・横延伸される過程において、フィルムが横方向に伸張される度合いを、延伸区間内で調整することにより、表面形成過程で微小なムラを抑制することができるため、好ましい。具体的には、延伸パターンが「オニオン状」パターンであることが好ましい。次に、ここでいうところの「オニオン状」パターンについて述べる。
「オニオン状」パターンとは、横延伸における延伸区間、つまり横延伸が開始され終了するまでの、長手方向の区間内において、2回以上、横延伸倍率が異なる延伸区間があり、最初の延伸区間については、最初の延伸区間での、フィルム幅伸長率(後述する)が、全横延伸区間におけるフィルム幅伸長率よりも高く、かつ、その後の延伸倍率が異なる区間では、前の区間よりもフィルム幅伸長率が低くなるような延伸方式である。このため、ステンターのレールパターンを上部より俯瞰した際にオニオン(タマネギ)のごとく外側に膨らんだようなパターンを描く。この「オニオン」延伸パターンと、延伸時の昇温が、地合表面粗さ(Sabase)に対する効果を奏する。ここでいうところの「フィルム幅伸長率」とは、ステンターの各々の延伸区間におけるステンター内のフィルムが、長手方向1m進んだ際の、フィルム幅の伸長率を指す。ここでのフィルム幅とは、ステンター(STN)内のクリップ間距離と同じ値とする。具体的には、式1に示すとおりである。
フィルム幅伸長率=(各延伸区間終点のSTNレール幅−各延伸区間始点のSTNレール幅)/(各延伸区間終点の長手方向フィルム位置−各延伸区間始点の長手方向フィルム位置)×100 ・・・式1
なお、この「オニオン」延伸パターンは、ストレートパターンに近づくにつれ、B面の表面について中心面から高さ50nmにおける突起間の平均距離が広くなる傾向にある。
更に、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なうが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は通常150℃以上245℃未満の任意の温度とすることができるが、通常1〜60秒間行なうことが好ましい。熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。この際、本願における振幅強度(ウネリ)を制御することや、A面およびB面の地合を示すパラメータを達成するためには、熱処理温度を210℃以上220℃以下にて実施するのが好ましい。また、熱処理後は熱処理温度より0〜150℃低い温度で幅方向に0〜10%弛緩させる。この際、本願における振幅強度(ウネリ)を制御する上で、幅方向への弛緩率を0〜3%で行うことは、弛緩中のフィルムに緊張状態を維持することができるので好ましい範囲である。
熱処理後のフィルムは、例えば中間冷却ゾーンや除冷ゾーンを設け、寸法変化率や平面性を調整することができる。また特に、特定の熱収縮性を付与するために、熱処理時あるいはその後の中間冷却ゾーンや除冷ゾーンにて、長手方向および/または幅方向に弛緩してもよい。この際も上記の理由により、長手方向、幅方向共に弛緩率を0〜3%で行うことが好ましい。
熱処理後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品(エッジを切り取った後の巻き取りフィルムロール)を得る。該搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、厚みの調整に必要なデータを得ることや、欠点検出器による異物検知を、専用の測定装置により実施することも可能である。
また、フィルムを製造する工程において、延伸後フィルムの厚み斑の周波数解析結果を、各工程の固有振動数と照合した後に、各工程の固有振動数の組み合わせを調整することで、本願における振幅強度(ウネリ)を良好に制御することも可能である。
中間製品はスリット工程により適切な幅にスリットして巻き取り、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムが得られる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、A面とB面からなる2層以上の構成を有している。層の数は3層でも4層以上でもよいが、層が3層以上であれば、平滑性とハンドリング性および、回収原料を中間層に入れることによる低コスト化をバランス良く実現させることができるので望ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおけるA面は、例えば磁気記録材料用途においては、磁性層を塗布する面であることが望ましい。本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを、離型フィルムとして用いる場合は、A面に離型層を設け、部材を成型するために用いるのが望ましい。また、B面は、A面と比べ、粗面であることが、加工中や、巻取り工程において、エアーを適切に排除できるため好ましい。具体的には、B面の平均粗さ値(Sa)がA面の平均粗さ値(Sa)の1.5倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.7倍以上2.5倍以下が更に好ましい。この測定は、実施例にて後述する非接触光学式粗さ測定器を用いて行うことができる。
次に、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、表面性を表すうえで好ましく使用されるパラメータについての説明を行う。A面の表面については、以下の(A)〜(D)を全て満足する形態であることが、高密度記録用途として、さらに良好なものとなる。
(A)地合平均粗さ(Sabase)が2.5nm以下である。
(B)地合二乗平方根粗さ(Sqbase)が3.5nm以下である。
(C)地合最大高さ(Sybase)が22.0nm以下である。
(D)地合十点平均高さ(S10zbase)が20.0nm以下である。
なお、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて地合と表現しているものに関しては、表面形態測定器により計測した表面生データにおける突起部を、ソフトウェア上で除去した後の、残りの面に対し評価している。突起の認定は粒子閾値レベルにて行うが、表面生データにはデータの傾きやうねり、ノイズが含まれていることがあるため、傾き補正およびフィルタリング(メジアンフィルター)処理を行う。本願においては、これらの処理をデータの前処理と称する。
[A面の地合平均粗さ(Sabase)]
地合平均粗さ(Sabase)とは、上述のデータの前処理を行い、突起が存在する部分を除いたベース面に対する粗さを表す指標である。平均粗さ(Sa)はドイツ工業規格「DIN−4768」に準拠して求められる表面粗さパラメータである。より高密度化した磁気記録層において、磁気特性は、磁性層の微小領域での厚み斑が、ノイズの原因となり、この磁性層の厚み斑を良好にするためには、地合平均粗さを本願の範囲にてコントロールすることにより達成できる。近年の平滑なフィルムにおいて、突起は表面のごく一部を占めるに止まり、投影面積でみると僅かな領域を占めるのみとなっているため、突起領域を除いた平坦面(ベース面)の特性が、磁気特性に寄与する真の因子であるからである。また、磁気記録層の表面うねりを除去するための、カレンダー処理工程の機能も、該地合表面粗さをコントロールすることにより、担うことができる。さらには、磁性粉を積層する前の地ならしの具合を、地合平均粗さ(Sabase)にて表現し、その値を2.5nm以下とすることで、磁性粉の垂直配向をより規則正しく行うことができ、磁気特性を微小な領域においても、均一にすることができ、ひいては、高密度な磁気記録を、高い信頼性で行うことができる。
この地合平均粗さ(Sabase)は2.5nm以下であることが好ましく、より好ましくは、1.5nm以下であることが、高密度な磁気記録を高い信頼性で行うために好ましい。また、地合平均粗さ(Sabase)は0.5nm以上であることが、磁気記録層を塗布する際の、磁性粉の並びを均一にするうえで好ましい。
[地合二乗平方根粗さ(Sqbase)]
地合二乗平方根粗さ(Sqbase)は、RMS(Root Mean Square)ということもある。二乗平均平方根粗さ(Sq)はISO4287/1に基づいて求められる表面粗さパラメータである。この地合二乗平方根粗さ(Sqbase)は、地合粗さの標準偏差を表すものであり、高平滑な支持体(ベースフィルム)を設計する上での、磁気を均一に塗布するために用いる特性である。該パラメータは粒子の均一性や製膜工程における延伸の均一性、例えば、延伸前にフィルムを加熱する工程にて幅方向の温度ムラを抑制することや、延伸にロールを用いる際には、ロール表面の粗度を均質にするなどにより達成することができる。
この地合二乗平方根粗さ(Sqbase)は、3.5nm以下が好ましく、さらに好ましくは2.5nm以下である。また、磁気を均一に塗布する上では、地合二乗平方根粗さ(Sqbase)は、0.5nm以上であることが、磁気をフィルムに塗布する際の、磁気のなじみを良くするため好ましい。
[地合最大高さ(Sybase)]
地合最大高さ(Sybase)は、上述の地合二乗平方根粗さ(Sqbase)と同様に、地合の均一性を示す指標の一つであり、最大高さ(Sy)はISO4287/1に基づいて求められる表面粗さパラメータである。地合最大高さが高いほど、地合を形成する因子の中に、数々のイレギュラーな要件、例えば粗大粒子や粒子凝集、キャスト工程における静電印加ムラなどが入り込み、地合最大高さが高くなることもある。
この地合最大高さ(Sybase)は、上述のような理由で、粒子径が均一な粒子や、粒子凝集が発生しづらい粒子表面処理を行うことや、キャスト工程で静電印加を実施する際に、印加に用いる導電性ワイヤーと未延伸フィルムとのクリアランスを適宜調節すること、未延伸フィルムを加熱、延伸する工程にて、ロールを用いる際には、ロール表面に打痕や傷などのダメージが無きことが望ましい。該理由から、延伸にロールを用いない同時二軸延伸が更に望ましい。
また、この地合最大高さ(Sybase)は、22.0nm以下であることが、エラーレートを低減する上で好ましく、より好ましくは20.0nm以下である。好ましい下限値としては10.0nmである。さらに好ましい下限値は15.0nmである。
[地合十点平均高さ(S10zbase)]
地合十点平均高さ(S10zbase)は、地合平均粗さ(Sabase)と同義の指標であり、
二次元の規格を三次元に拡張して評価した十点平均高さを示す。十点平均高さ(Sz)は米国国家規格協会「ANSI B.46.1」に準拠して求められる表面粗さパラメータであり、高い方から5番目までの極大値の平均と低い方から5番目までの極小値の平均を足し合わせた高さと定義される。この地合十点平均高さ(S10zbase)も、地合平均粗さ(Sabase)と同様に、磁気記録層の厚み斑抑制によるノイズの抑制を行うための指標であり、例えば体積平均粒子径が0.1μm以上2.0μm以下である不活性粒子を用いて制御することができる。また、この地合十点平均高さ(S10zbase)は20.0n以下であることが好ましく、より好ましくは18.0nm以下が好ましい。好ましい下限値としては、10.0nmである。さらに好ましい下限値は15.0nmである。
[B面の地合表面について規定する各種パラメータ]
B面の地合表面は、支持体(ベースフィルム)の巻取り時に、A面側と接した際の、A面側に与えるダメージを緩和する役割を担っている。A面側は、B面側より平滑であり、また、磁性体を塗布する側にあり、これらは傷や打痕が入りやすい。巻取り時にA面側とB面側が接した際には、B面側に存在する突起部がA面のベース面や、磁性面と接することは勿論のこと、B面側の地合面もA面に接触する。これは、先にA面の地合平均粗さ(Sabase)の説明にて述べた、「突起は表面のごく一部を占めるに止まり、投影面積でみると僅かな領域を占めるのみとなっている」ことが、B面に対しても当てはまるためであり、B面の地合表面について規定する各種パラメータ(後述)も、上述のA面側のダメージに関係しているため考慮されるべきである。以下に、その詳細を説明する。なお、これら地合表面の規定もA面と同じく、表面形態測定器により計測した表面生データにおける突起部を、ソフトウェア上で除去した後の、残りの面に対して評価している。
[地合二乗平均平方根勾配(Sdqbase)]、[地合表面積比(Sdrbase)]
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB面の表面において、その平坦面の凹凸状態を数値化する指標として、地合二乗平均平方根勾配(Sdqbase)および地合表面積比(Sdrbase)が最適であることを見いだした。地合二乗平均平方根勾配(Sdqbase)とは対象領域内の表面の傾斜を示す指標である。表面に傾斜があるとSdqbaseは大きくなり完全に平坦な面では0となる。地合表面積比(Sdrbase)は、表面の高さZを考慮した表面の面積、すなわち「面をテクスチャマッピングした際の、テクスチャの表面積と、平坦なXY平面の面積の差」と、「平坦なXY平面の面積」との比であり、完全に平坦な表面に対しては、表面面積とXY平面の面積が等しいので分子が0となり、Sdrbase=0となる。
これら指標は、いずれも巻取り工程でのエアー抜けと、磁性層を塗布し巻き取った後に、B面の表面形態がA面に転写することを防止する効果をもっている。Sdqbaseは0.011以下が好ましく、より好ましくは0.008以下である。Sdrbaseは0.006%以下が好ましく、より好ましくは0.003%以下である。好ましいSdqbaseの下限値は0.003であり、さらに好ましいSdqbaseの下限値は0.005である。好ましいSdrbaseの下限値は0.001%であり、さらに好ましいSdrbaseの下限値は0.003%である。
該指標を本願の範囲にて行うには、平坦な面に傾斜を与える要因を、抑制することが、好ましい手段である。最も影響を及ぼすものは、表面に突起を付与する為に用いられる、粒子である。粒子は、体積平均粒径が0.5μm以下のものを用いることが好ましい。また、複合層のサブ層厚みを適切な範囲に保つこと、具体的には、磁性層を塗布する平滑な面に相当する、A面を有する層(ここではA層と称する)に含有される不活性粒子の体積平均粒子径d(μm)と積層厚みt(μm)との関係t/dが0.5〜20であることが望ましい。また、フィルムを製造する過程、とくに延伸のためにフィルムを加熱する工程では、フィルムの表面に接触するロールや装置が少ないことが、粘着による変形を防止するために好ましく、特には、加熱ロールを有さない同時二軸延伸装置を用いることが望ましい。
上述した本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気記録テープのベースフィルムとして用いられることが好ましい。また、表面に磁性層が形成されたデータストレージとして用いるのに良好である。表面の均一さは、冗長性を持たせたデータ保存形式において、重複するデータ(二重保存されたデータ)それぞれの再現性が担保されるためである。
なお、本発明は、データストレージなどの塗布型磁気記録テープのベースフィルムとして、好ましく用いることが可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することが可能となるが、上記で説明した表面性を満たすことにより、今後さらなる平滑化を要求される離型フィルム用途、特には積層セラミックスコンデンサ用途の離型フィルムなど、要求される表面粗さの数値の単位がnmを切る可能性があるような用途に関しても、「平滑性」の対比が可能となる(正確な評価が可能となる)ため、平滑性が極限まで求められる用途に最適に用いることができる。
以下に、表面特性に関する測定方法を述べる。
(1)中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起間の平均距離
非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μmで、場所をランダムに変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定する。得られた測定データについて、該粗さ測定器に内蔵された表面解析ソフトウェアMetroPro 8.1.3にて、カットオフ値をHigh Filter Wavelenを1.65μm、Low Filter Wavelenを50.00μmに設定する。Reference Band(帯域幅)を100nmに指定し、50nmのスライスレベルにおけるPeaksを突起個数として、次の式により突起間の平均距離を求め、10視野の平均値を計算した。
Figure 2016192248
(2)中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起領域
非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μmで、場所を変えてランダムに10視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定する。得られた測定データについて、該粗さ測定器に内蔵された表面解析ソフトウェアMetroPro 8.1.3にて、カットオフ値をHigh Filter Wavelenを1.65μm、Low Filter Wavelenを50.00μmに設定する。Reference Band(帯域幅)を100nmに指定し、算出されるPeak Areaの10視野の平均値を50nmのスライスレベルにおける突起領域とした。
(3)振幅強度
A.測定
非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、2.5倍対物レンズおよび0.5倍イメージズームを使用して測定面積5526μm×4123μm、測定プロファイル長103.2μmでフィルム表面の測定を行う。サンプルは、測定機のY軸が評価する測定方向となるようにセットして測定を行う。
B.パワースペクトル密度解析(PSD解析)
得られた3次元の測定プロファイルデータについて、表面解析ソフトウェアMetroPro 8.1.3を用い解析を行う。まず、均等間隔に40本(N=40)採取したY軸方向−高さ方向の2次元プロファイルに関し、1本ずつフーリエ変換を行い、パワースペクトル密度(Power Spectral Density:PSDと称する)を求める。この際の解析条件は、カットオフ値・・・High Filter Wavelenを66.00μm、Low Filter Wavelenを2000.00μmである。該解析結果として、空間周波数(単位:1/mm)に対するLog10(PSD)(単位:nm)が出力される。なお、空間周波数は整数値である。
該解析は、本発明のポリエステルフィルムを対象に、非接触光学式粗さ測定器で測定して得た、3次元情報を、データテープの長さ方向相当および、幅方向相当の成分に分解し、各々の表面形態(=高さ方向のプロファイル)との関係(2次元情報)を解析することで、データテープの特性を擬似的に評価することを目的としている。
C.データ変換
上記で得られたパワースペクトル密度解析結果に対し、本願の目的に沿ったデータ解析を行う為、下記の変換を行い、本発明にて定義するところの、「波長100μm以上1,000μm以下の領域での振幅強度」を求める。以下の変換は、表計算ソフトで実施する。a.パワースペクトル密度のデータ変換:離散した空間周波数(表面解析ソフトウェアMetroProにより自動割り当て)毎に得られたLog10(PSD)の逆対数をとり、PSDを算出後、該PSDのN=40の平均値を計算させ、この値をプロファイル長(103.2μm)で除した値を、振幅強度とする。単位は(nm)である。
b.空間周波数:空間周波数の逆数をとり、波長に換算する。
c.評価:おのおのの空間周波数における振幅強度の最大値を、波長100μm〜1,000μmの領域にて評価する。
(4)A面の地合平均粗さ(Sabase)、地合二乗平方根粗さ(Sqbase)、地合最大高さ(Sybase)、地合十点平均高さ(S10zbase
非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μmで、場所を変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定する。得られた測定データについて、イメージメトロロジー社製画像解析ソフトウェアSPIP6.2.8にて、傾き補正およびフィルタリング(メジアンフィルター)処理を行った後、粒子閾値レベルを10nmに設定して10nmを超えた突起を検出した。突起として検出された領域を無効とする設定をすることで、フィルム表面から突起を除去した状態の地合の形態を10視野の平均値にてSabase、Sqbase、SybaseおよびS10zbaseを評価した。
(5)B面の地合二乗平均平方根勾配(Sdqbase)、地合表面積比(Sdrbase
非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μmで、場所を変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定する。得られた測定データについて、イメージメトロロジー社製画像解析ソフトウェアSPIP6.2.8にて、傾き補正およびフィルタリング(メジアンフィルター)処理を行った後、粒子閾値レベルを10nmに設定して10nm以上を超えた突起を検出した。突起として検出された領域を無効とする設定をすることで、フィルム表面から突起を除去した状態の地合の形態を10視野の平均値にてSdqbaseおよびSdrbaseを評価した。
(6)原反の巻取り性評価
スリッターでの巻取り時における収率にて以下の基準にて判断する。
A:収率は85.0%以上100.0%以下で大変良好
B:収率70.0%以上85.0%未満で許容範囲内
C:収率70.0%未満であり、許容できない範囲の収率である。
(7)塗布性
[評価用磁気テープの調製]
1m幅にスリットしたフィルム(すなわち支持体)を張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A面)に下記組成の磁性塗料及び非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層を磁性塗料で塗布厚0.2μmとし、下層を非磁性塗料で塗布厚0.9μmとした。)し、磁気配向させ、100℃にて乾燥させた。次いで、反対側の表面(B面)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×10N/mでカレンダー処理した後、テープ原反として巻き取った。このテープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットしてパンケーキとし、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで評価用のカセットテープとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
[Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)]
[長軸長:0.09μm、軸比:6、保持力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁比:146Am/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m/g、X線粒径:15nm]
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
[塗布性の評価]
上記にて作製したカセットテープについて、塗布ムラ又は塗布抜けを目視で確認した上で、市販のデータストレージドライブの容量が、非圧縮時で6TBのものを用いて24時間走行させ、磁性層の剥がれを確認して下記の基準によりテープの磁性層の塗布性を評価した
S:ムラ、塗布抜け及び剥がれが全く無く、塗布性良好である
A:ムラ、塗布抜け及び剥がれがほぼ無く、塗布性に問題ない
B:ムラ、塗布抜け及び剥がれが時々発生し、塗布性に若干問題あり
C:ムラ、塗布抜け及び剥がれが頻発しており、塗布性に問題あり。
(8)エラーレート
上記で作製したカセットテープについて、市販のデータストレージドライブの容量が、非圧縮時で6TBのものを用いて23℃50%RHの環境で記録及び再生することでエラーレートの発生状況を評価した。エラーレートは、ドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)を用いて次式にて算出し、下記基準で評価した。下記基準のうち、Cが不合格となる。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
S:エラーレートが1.0×10−6未満
A:エラーレートが1.0×10−6以上、1.0×10−5未満
B:エラーレートが1.0×10−5以上、1.0×10−4未満
C:エラーレートが1.0×10−4以上
(実施例1)
(1)PETペレットの作成
(PETペレットXの作成)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム・4水和物0.1質量部及び三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出させつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルを5質量%含むエチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下するため、余剰のエチレングリコールを留出させながら、反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにして、エステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後に、反応内容物を重合装置へ移行した。反応内容物の移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分間とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合反応を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした。)を示した。そこで反応系を窒素パージして常圧に戻すことで重縮合反応を停止させ、反応物を冷水にストランド状に吐出させてから直ちにこれをカッティングして、固有粘度0.62のPETペレットXを得た。
(PETペレットYの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1重量%シリカを含有するPETペレットYを得た
(PETペレットZの作成)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、前記にて調製したPETペレットXを98質量部と、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を10質量%含有する水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ(0.3)を得た。また、平均径0.10μmの球状架橋ポリスチレン粒子を同一の製法にて添加しPETペレットZ(0.10)を得、平均径0.45μmの球状架橋ポリスチレン粒子を同一の製法にて添加しPETペレットZ(0.45)を得た。
(ブレンドチップ(I)の作成)
また、温度300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、前記にて得られたPETペレットXの50質量部とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI「Ultem1010」のペレット50質量部とを供給し、スクリュー回転数を毎分300回転として溶融押出してストランド状に吐出させて温度25℃の水で冷却した後、直ちにこれをカッティングしてブレンドチップ(I)を得た。
(2)二軸配向ポリエステルフィルムの製造
押出機E、F2台を用い、295℃に加熱された押出機Eには、PETペレットXを74質量部、PETペレットYを20質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX65質量部と、PETペレットYを21質量部、PETペレットZ(0.3)8質量部とブレンドチップ(I)6質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層すべくTダイ中でこれらを合流させ(積層厚み比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながらB面側がキャストドラムに接触するように密着冷却固化させ、積層未延伸フィルムを得た。
この積層未延伸フィルムを同時2軸延伸テンターに導き、温度90℃にて、長さ方向及び幅方向について同時に、それぞれ3.50倍及び3.60倍延伸した(最初の横延伸区間の、フィルム幅伸長率は30.2%であり、延伸速度は4,727%/分)。この延伸工程における昇温速度は1℃/秒以下とした。続いて、冷却工程を経ることなく、温度190℃で長さ方向及び幅方向について同時に、それぞれ1.20倍及び1.37倍(2番目の横延伸区間の、フィルム幅伸長率は14.5%、)に再延伸した。全延伸区間における延伸倍率は、縦4.20倍、横4.96倍(全延伸区間の、フィルム幅伸長率は22.1%)であったため、横延伸パターンはオニオン延伸である。その後、温度215℃で5.5秒間熱処理後、温度160度で幅方向に1.75%の弛緩処理を行った。その後、25℃にて均一に冷却し、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
巻取りは安定し、巻乱れのない中間製品を採取できた。該中間製品より、製品幅にスリットし、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製品ロールを採取した。製品は、シワや巻ズレなどの発生無く、良好な巻姿であった。
また、表面の評価特性に関し、中間製品より採取したサンプルを、上述の方法により、非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用いた測定を実施した。結果を表1に示す。各種の表面特性は所望の範囲を満たしていた。
(実施例2)
実施例1の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、押出機Eには、PETペレットXを88質量部、PETペレットYを6質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX67質量部と、PETペレットYを15質量部、PETペレットZ(0.3)12質量部とブレンドチップ(I)6質量部を調合した以外には、実施例1と同じ製膜条件にて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1の結果の通り、良好な巻き、塗布性、エラーレートの値となった。
(実施例3)
実施例2の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、押出機Eには、PETペレットXを88質量部、PETペレットYを6質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX67質量部と、PETペレットYを15質量部、PETペレットZ(0.45)12質量部とブレンドチップ(I)6質量部を調合した以外には、実施例1と同じ製膜条件にて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1の結果の通り、良好な巻き、塗布性は若干問題あったが合格レベル、エラーレートは良好な値となった。
(実施例4)
実施例2の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、オニオン延伸の条件を表1のように変更して厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。巻取りにてズレが発生したが巻きは許容範囲内、塗布性は良好で、エラーレートは良好な値となった。
(実施例5)
実施例2の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、押出機Eには、PETペレットXを88質量部、PETペレットYを6質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX67質量部と、PETペレットYを添加せず、PETペレットZ(0.1)12質量部とブレンドチップ(I)6質量部を調合した以外には、実施例1と同じ製膜条件にて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1の結果の通り、巻き、塗布性、エラーレートとも良好な値となった。
(実施例6)
実施例5と同じ処方にて、実施例4と同じオニオン延伸の条件にて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表1の結果の通り、実施例5と比べ巻きが悪化したが許容範囲内、塗布性は若干問題あったが合格レベル、エラーレートはBレベルとなった。
(比較例1)
実施例1の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、押出機E、F2台を用い、295℃に加熱された押出機Eには、PETペレットXを91質量部、PETペレットYを3質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX67質量部と、PETペレットYを15質量部、PETペレットZ(0.3)12質量部とブレンドチップ(I)6質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層すべくTダイ中でこれらを合流させ(積層厚み比E(A面側)/F(B面側)=5/4)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながらB面側がキャストドラムに接触するように密着冷却固化させ、積層未延伸フィルムを得た。その後の製造条件は実施例1と同様として、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。原反の巻きは許容レベル、塗布抜けが頻発し、エラーレートが不合格値となった。
(比較例2)
実施例1の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、押出機Eには、PETペレットXを94質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX88質量部と、PETペレットYを1質量部、PETペレットZ(0.3)5質量部とブレンドチップ(I)6質量部を調合した以外には、実施例1と同じ製膜条件にて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。原反の巻きで欠点発生率が高くなり、評価Cとした。塗布抜けが頻発し、エラーレートが不合格値となった。
(比較例3)
実施例1と同様な二軸配向ポリエステルフィルムの製造条件(レシピ)にて、長さ方向及び幅方向について同時に、それぞれ4.20倍及び2.40倍延伸した(最初の横延伸区間の、フィルム幅伸長率は16.3%、延伸速度は3,152%/分)。続いて、冷却工程を経ることなく、温度190℃で長さ方向及び幅方向について同時に、縦・横延伸をそれぞれ1.20倍及び2.07倍(2番目の横延伸区間の、フィルム伸長率は27.4%、延伸速度は2,502%/分)に再延伸した。全延伸区間における延伸倍率は、縦4.20倍、横4.96倍(全延伸区間の、フィルム幅伸長率は22.1%)であったため、横延伸パターンはオニオン延伸の逆のパターンである(非オニオン延伸と称す)。原反の巻きは許容範囲内であるものの欠点発生率が上がった。塗布ではムラ、塗布抜け及び剥がれが頻発しておりが多発したため評価Cとした。エラーレートは不合格値となった。
Figure 2016192248

Claims (5)

  1. A面及びB面を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、B面の表面について中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起間の平均距離が15.0μm以上25.0μm以下であり、B面の表面について中心面からのスライスレベル高さ50nmにおける突起領域が10.0μm以上45.0μm以下であり、かつ、A面における表面粗さの周波数解析による波長100μm以上1,000μm以下の領域での振幅強度が長手方向および幅方向いずれも10nm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. A面の表面について、以下の(A)〜(D)を全て満足する、請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    (A)地合平均粗さ(Sabase)が2.5nm以下である。
    (B)地合二乗平方根粗さ(Sqbase)が3.5nm以下である。
    (C)地合最大高さ(Sybase)が22.0nm以下である。
    (D)地合十点平均高さ(S10zbase)が20.0nm以下である。
  3. B面の表面について、以下の(E)、(F)のいずれも満足する、請求項1又は2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    (E)地合二乗平均平方根勾配(Sdqbase)が0.011以下である。
    (F)地合表面積比(Sdrbase)が0.006%以下である。
  4. 磁気記録テープのベースフィルムとして用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの表面に磁性層が形成されたデータストレージ。
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