JP2017220274A - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージ - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージ Download PDF

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Abstract

【課題】厚み斑が非常に良好な二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いたデータストレージを提供すること。【解決手段】フィルム長手方向の厚みのデータをフーリエ変換したとき、周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑(最大厚みと最小厚みの差)が0.3μm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、データストレージなどの塗布型磁気記録テープのベースフィルムとして、好ましく用いることが可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、比較的安価で、優れた機械的特性を有することから、従来磁気記録テープのベースフィルムに用いられてきた。近年、磁気記録テープはクラウドコンピューティングやICT(Information and Communication Technology :情報通信技術)におけるバックアップ用途、アーカイブ用途として、信頼性の高い記録媒体としてその需要が高まっている。また、ビッグデータの取り扱いにより、保存すべきデータ量が飛躍的に増加しているため、信頼性が高く、かつ高密度な記録技術が追求されている。磁気記録テープのベースフィルムに対しても、高密度化の要求に対応するため、磁性層塗布厚みの薄膜化に対応した、平滑で均一な表面に対する追求が行われている。
このためには、極めてミクロな領域での平滑性パラメータを定義し、その解決手段を考案することで、平滑性を極限まで追及し、達成すべく検討が行われてきた。例えば特許文献1においては、突起の配列を規則的に配列することで、平滑性の新しい定義や解決手段を提唱してきた。
特開2016−16657号公報
「平滑で均一な」表面を極限追求した先には、ベースフィルムに存在する、周期性を持った厚み斑を平坦にすることが、磁性層塗布厚みの薄膜化による、高密度な記録媒体を製造するための課題となった。このため、本発明における課題は、磁性層塗布厚みの薄膜化に対応できるような、厚み均一性の良好な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明では、フィルムの、長周期を有する厚みプロファイルを判定し、この結果をもとにした最適な厚み制御が施されたフィルムを提供する。すなわち、フィルム長手方向の厚みのデータをフーリエ変換したとき、周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑(最大厚みと最小厚みの差)が0.3μm以下である磁気材料用ポリエステルフィルムであることを特徴とする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁性層塗布時膜厚みの特異的な変動が少ないため、磁性層塗布厚みの薄膜化に対応でき、高容量型のデータストレージ用途として信頼性の高いフィルムを提供することができる。
以下、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの一実施形態について説明する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム長手方向の厚みについて、測定された厚みのデータをフーリエ変換し、周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑(最大厚みと最小厚みの差)が0.3μm以下であることを特徴とする。これにより薄膜化が進む磁性層の加工において、塗布抜け(ドロップアウト)の発生を抑え、磁気記録時のエラー発生率を抑制することが可能となる。測定手法については後述する。
更に好ましくは、フィルム長手方向の厚み斑について、周波数が5Hz以上11Hz以下の領域にはピークが実質的に存在しないことである。このことにより、磁性層塗布における膜厚制御が安定化される。また、フィルム長手方向の厚み斑について、周波数が1Hz以上20Hz以下におけるピーク数が4以下であることにより、磁性層塗布膜厚を検出し、塗布量を補正する頻度が減るためさらに良好な塗布状態を得られる。
本発明においてポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
さらに、ポリエステルが実質的に線状である範囲内で3官能以上の多官能化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸などを共重合してもよく、また単官能化合物、例えばo−ベンゾイル安息香酸、ナフトエ酸等を添加反応させてもよい。また、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルやポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルやポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルなどを共重合してもよい。
ポリエステルは2種以上のものをブレンドしてもよく、例えば50質量%以上がポリエステルであれば、ポリエステル以外のものをブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール中、25℃で測定)は、製膜性、溶融押出時の分解性等の観点から、下限値は好ましくは0.55dl/g、より好ましくは0.6dl/g、最も好ましくは、下限値は0.7dl/gである。固有粘度が0.55dl/gより低いと、ポリエーテルイミドとの溶融混練性が低下する。また上限値は、好ましくは2dl/g、より好ましくは1.4dl/g、最も好ましくは1.0dl/gである。固有粘度が2.0dl/gを超えると、押出時の負荷が増え、せん断発熱による分解が起こり、粗大突起を形成することがある。
また、ポリエステルには、フィルム層表面の突起高さや表面粗さを適正化させるために、不活性粒子を含有させることができる。
この不活性粒子については、好ましくは数平均粒子径0.1〜5μmのもの、より好ましくは0.3〜3μmのものを用いる。数平均粒子径の異なる粒子を添加してもよい。
含有せしめる不活性粒子の数平均粒子径が0.1μm未満であると、十分な滑り性が得られないためフィルムを巻き取ることが困難となることがある。また、5μmを超えると、フィルムの延伸工程で破れが発生し生産性が低下することがある。
不活性粒子の種類としては、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの1種もしくは2種以上を選択して用いることもできる。
これらの不活性粒子は、ポリエステル重合工程の段階で添加することにより、不活性粒子含有ポリマーを準備することができる。例えば、ポリエステルのグリコール成分であるエチレングリコールのスラリーとし、重縮合前のエステル交換後、あるいはエステル化後のオリゴマーの段階で不活性粒子含有スラリーを添加し、引き続き、重縮合反応を行うことで、不活性粒子含有ポリマーを得ることができる。
その後、必要に応じてチップを適宜混合した後、真空乾燥機により、チップ中の水分を除去する。その後押出機で溶融して押出した後、ギアポンプで溶融ポリマーを一定の吐出量にする。その後フィルターで濾過を行う。
濾過後の溶融樹脂は、スリット状のダイ(口金)から吐出して、シート状に成型する。このシート状物を表面温度20〜50℃のキャスティングドラムに巻付け冷却固化し、未延伸(未配向)フィルムとする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、縦および横方向の両方向において、所望の高い機械特性を得るため、延伸を行うことが好ましい。
延伸方式としては、同時二軸または逐次二軸延伸のいずれでもよい。該未延伸シートをフィルムの長手方向および幅方向に延伸、熱処理して、フィルムを得る。好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式がより好ましい。縦延伸機におけるロール延伸工程は、長手方向に特異的な厚み斑を生じさせる要因となることが多く、ロールの回転速度、ロール間の回転速度差、縦延伸機と横延伸機間での張力コントロール変動により、本願における厚みデータをフーリエ変換して得た厚み斑を制御するには、ロール延伸工程を含まない、同時二軸延伸方式を用いるのが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを逐次二軸延伸にて延伸する際は、長手方向への延伸は、ロール間ドローによる延伸を縦延伸機にて実施し、幅方向に延伸する際は、テンター方式にて横延伸機にて実施することが好ましい。
縦延伸工程は、未延伸フィルムを、搬送ロールにて予熱し、80℃以上130℃未満の延伸温度まで加熱した後、ロール間ドローにより長手方向に延伸する。延伸温度が80℃未満であると、延伸時にフィルムが破断しやすくなり、130℃以上では、十分な縦配向を得られず、強度が低下することがある。また、搬送途中のフィルムが粘着やすくなる結果、固有振動数を持った厚み斑が発生することがある。延伸倍率は、2.5倍以上7.0倍未満が好ましい。延伸倍率が2.5未満であると強度が低下し、7.0倍以上であると延伸時にフィルムが破断しやすくなる。また、縦延伸速度は1,000%/分〜200,000%/分であることが望ましい。
かかる長手方向に延伸された一軸延伸フィルムを、横延伸機にて80℃以上120℃未満で3倍以上6倍未満で幅方向に延伸し、二軸延伸(二軸配向)フィルムとする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行なってもよいし、同時2軸にて延伸してもよい。
更に、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行なうが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は通常150℃以上245℃未満の任意の温度とすることができるが、通常1〜60秒間行なうことが好ましい。熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。また、熱処理後は熱処理温度より0〜150℃低い温度で幅方向に0〜10%弛緩させる。
熱処理後のフィルムは、例えば中間冷却ゾーンや除冷ゾーンを設け、寸法変化率や平面性を調整することができる。また特に、特定の熱収縮性を付与するために、熱処理時あるいはその後の中間冷却ゾーンや除冷ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に弛緩してもよい。
延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品(エッジを切り取った後の巻き取りフィルムロール)を得る。該搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、厚みの調整に必要なデータを得ることや、欠点検出器による異物検知を、専用の測定装置により実施する。
中間製品はスリット工程により適切な幅にスリットして巻き取り、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムが得られる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、A面とB面からなる2層以上の構成を有していることが好ましい。層の数は3層でも4層以上でもよいが、層が3層以上になった際、平滑性とハンドリング性および、回収原料を中間層に入れることによる低コスト化をバランス良く実現させることができるので望ましい。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気記録層が年々薄膜化していく磁気記録テープ用途として好適である。特に塗布型磁気記録テープ用途に好適である。また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムからなる磁気記録テープは、磁性層の塗布抜けによるエラーを抑制できる観点から、データストレージとして用いるのに良好である。
以下に、評価に関する測定方法を述べる。
[厚み斑の判定と測定]
(1)厚みの測定とピーク判定
電子マイクロメーター(アンリツ電機社製 K306C)から出力された厚みのアナログ信号を、データロガー(グラフテック株式会社製 midi LOGGER GL820)で蓄積した後、デジタル変換してコンピュータへ取り込んだ。 測定条件は、測定長:200m、フィルム送り速度:3m/分、測定間隔:3.921秒、測定点数:1,020点である。
次に上記の方法により取り込んだデータを、表計算ソフトに入力し、その厚みデータについてフーリエ変換を実施した。この際、流れ方向の変数として、フィルムの製膜速度と測定時の搬送速度から換算した製膜時間(秒)を取り、周波数(Hz)に対する強度分布を得た。次に、この強度分布のうち、ピーク強度が70以上のものを「ピーク」と判定した。
(2)周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑の測定
前項にて判定したピークのうち、周波数が2Hz未満の範囲に存在するものに関し、おのおのの判定ピークに対する周波数の値を、フィルム流れ方向の周期(これを厚み斑判定区間と称する)に換算する。例えば、1Hzのピークが検出された際には、1秒間にフィルムが流れた長さを計算して、フィルム流れ方向の周期(厚み斑判定区間)とする。この周期(厚み斑判定区間)の2分の1の区間を基準として、その区間での最大厚みと最小厚みとの差を計算して、厚み斑R1とした。例えば、周期が60mであれば、その2分の1の、30mとなる。その後、先述の2分の1の区間である30mを厚み斑判定区間とし、この厚み斑判定区間の始点を、測定間隔0.175秒ごとに、流れ方向にずらし、30m区間での厚み斑を測定した。この厚み斑判定区間での最大厚みと最小厚みとの差を計算して、厚み斑R2とした。これら厚み斑判定を測定長全長にわたって、2分の1区間の終点が測定長の終値になるまで実施した。最終的に周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑を得る際には、これら演算で得られた厚み斑のうちの最大値を用いた。
次に、評価用磁気テープの調製方法を述べる。
1m幅にスリットしたフィルム(すなわち支持体)を張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A面)に下記組成の磁性塗料及び非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層を磁性塗料で塗布厚0.2μmとし、下層を非磁性塗料で塗布厚0.9μmとした。)し、磁気配向させ、100℃にて乾燥させた。次いで、反対側の表面(B面)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×10N/mでカレンダー処理した後、テープ原反として巻き取った。このテープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットしてパンケーキとし、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで評価用のカセットテープとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
[Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)]
[長軸長:0.09μm、軸比:6、保持力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁比:146Am/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m/g、X線粒径:15nm]
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートL)
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
[塗布性の評価]
上記にて作製したカセットテープについて、塗布ムラ又は塗布抜けを、塗布後の欠点検出器で確認した上で、市販のデータストレージドライブの容量が、非圧縮時で25TBのものを用いて24時間走行させ、磁性層の剥がれを確認して下記の基準によりテープの磁性層の塗布性を評価した
S:ムラ、塗布抜け及び剥がれが全く無く、塗布性良好である
A:ムラ、塗布抜け及び剥がれがほぼ無く、塗布性に問題ない
B:ムラ、塗布抜け及び剥がれが時々発生し、塗布性に若干問題あり
C:ムラ、塗布抜け及び剥がれが頻発しており、塗布性に問題あり。
(実施例1)
(1)PETペレットの作成
(PETペレットXの作成)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム・4水和物0.1質量部及び三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出させつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルを5質量%含むエチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下するため、余剰のエチレングリコールを留出させながら、反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにして、エステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後に、反応内容物を重合装置へ移行した。反応内容物の移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分間とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合反応を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした。)を示した。そこで反応系を窒素パージして常圧に戻すことで重縮合反応を停止させ、反応物を冷水にストランド状に吐出させてから直ちにこれをカッティングして、固有粘度0.62のPETペレットXを得た。
(PETペレットYの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒径0.2μm、体積形状係数f=0.51、体積平均粒径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1重量%シリカを含有するPETペレットYを得た
(PETペレットZの作成)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、前記にて調製したPETペレットXを98質量部と、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を10質量%含有する水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ(0.3)を得た。また、280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、前記にて調製したPETペレットXを98質量部と、平均径0.1μmの球状架橋ポリスチレン粒子を10質量%含有する水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去し、平均径0.1μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ(0.1)を得た。さらに、280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、前記にて調製したPETペレットXを98質量部と、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を10質量%含有する水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持して水分を除去し、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ(0.8)を得た。
(ブレンドチップ(I)の作成)
また、温度300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、前記にて得られたPETペレットXの50質量部とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI「Ultem1010」のペレット50質量部とを供給し、スクリュー回転数を毎分300回転として溶融押出してストランド状に吐出させて温度25℃の水で冷却した後、直ちにこれをカッティングしてブレンドチップ(I)を得た。
(2)二軸配向ポリエステルフィルムの製造
押出機E、F2台を用い、295℃に加熱された押出機Eには、PETペレットXを91質量部、PETペレットYを3質量部、ブレンドチップ(I)6質量部を調合後、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、PETペレットX67質量部と、PETペレットYを15質量部、PETペレットZ(0.3)12質量部とブレンドチップ(I)6質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層すべくTダイ中でこれらを合流させ(積層厚み比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながらB面側がキャストドラムに接触するように密着冷却固化させ、積層未延伸フィルムを得た。
この積層未延伸フィルム同時2軸延伸テンターに導き、温度90℃にて、長さ方向及び幅方向について同時に、それぞれ3.50倍及び3.60倍延伸した(最初の横延伸区間の、フィルム幅伸長率は30.2%であり、延伸速度は4,727%/分)。この延伸工程における昇温速度は1℃/秒以下とした。続いて、冷却工程を経ることなく、温度190℃で長さ方向及び幅方向について同時に、それぞれ1.20倍及び1.37倍(2番目の横延伸区間の、フィルム幅伸長率は14.5%、)に再延伸した。全延伸区間における延伸倍率は、縦4.20倍、横4.96倍(全延伸区間の、フィルム幅伸長率は22.1%)であったため、横延伸パターンはオニオン延伸である。その後、温度215℃で5.5秒間熱処理後、温度160度で幅方向に1.75%の弛緩処理を行った。その後、25℃にて均一に冷却し、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
巻取りは安定し、巻乱れのない中間製品を採取できた。該中間製品より、製品幅にスリットし、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製品ロールを採取した。製品は、シワや巻ズレなどの発生無く、良好な巻姿であった。
また、表面の評価特性に関し、中間製品より採取したサンプルを、先述の方法により、厚み測定を実施した。周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑は、1つあり、0.1Hzにて0.08μmであり、塗布性は「S」であった。エラーレートの評価結果は「S」であった。
(実施例2)
実施例1の二軸配向ポリエステルフィルムの製造にて、逐次2軸延伸プロセスを用い、縦延伸は温度90℃にて4.20倍、幅方向には温度90℃にて4.96倍、その他条件は実施例1と同様に行い、厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。表面の評価特性に関し、中間製品より採取したサンプルを、先述の方法により、厚み測定を実施した。周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑は0.1Hzにて1つあり、0.14μmであり、塗布性は「A」であった。エラーレートの評価結果は「A」であった。
(比較例1)
実施例2の実施形態にて、実施例2と同じ製膜条件であるが、逐次二軸延伸において、縦延伸の延伸温度を120℃まで上げて厚さ5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑は1.4Hzにて1つあり、0.50μmであった磁性層の塗布結果は、塗布抜けが頻発し「C」と評価した。エラーレートの評価結果は「C」であった。
Figure 2017220274
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにより、データストレージなどの塗布型磁気記録テープのベースフィルムとして、好ましく用いることが可能な二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することが可能となる。また、他の用途では、離型フィルム用途などの平滑性の極限を求められる用途に最適に用いることができる。

Claims (5)

  1. フィルム長手方向の厚みのデータをフーリエ変換したとき、周波数が2Hz未満の範囲における厚み斑(最大厚みと最小厚みの差)が0.3μm以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. フィルム長手方向の厚み斑について、周波数が5Hz以上11Hz以下の領域にはピークが実質的に存在しない、請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. フィルム長手方向の厚み斑について、周波数が1Hz以上20Hz以下におけるピーク数が4以下である、請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. 同時二軸延伸フィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 磁気記録テープのベースフィルムとして用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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