JP2016181629A - 太陽電池用シリコン基板の製造装置および製造方法 - Google Patents

太陽電池用シリコン基板の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、清浄性の高い表面を有する単結晶シリコン基板を作製でき、高い光電変換効率を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】第一主面と、第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を基板ホルダにより保持し、基板の表面処理を行うための太陽電池用シリコン基板の製造装置に関する。アルカリ性溶液と基板とを接触させて基板の表面に凹凸を形成するエッチング用バスと、溶液に溶解したオゾンにより、凹凸が形成された基板の表面を処理する処理用バスを有する。基板ホルダは、基板の側面が下側になるように基板を保持する底部を有し、底部は、基板の側面が露出するような開口部を有し、処理用バス内において、オゾンを供給する供給部を有し、処理用バス内に、基板が保持された基板ホルダを配置する配置手段を有する。供給部からオゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、開口部を通じて、基板の側面に直接接するように導入される。【選択図】 図1

Description

本発明は、太陽電池用シリコン基板の製造装置および製造方法に関する。
エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中、化石燃料に代わる代替エネルギーとして太陽電池が注目されている。結晶シリコン基板を備える結晶シリコン系太陽電池は、光電変換効率が高く、太陽光発電システムとして実用化されている。中でも、単結晶シリコン基板の表面に、単結晶シリコンとは異なるバンドギャップを有する導電型非晶質シリコン系層を有する結晶シリコン系太陽電池は、ヘテロ接合太陽電池と呼ばれている。
ヘテロ接合太陽電池等の結晶シリコン系太陽電池においては、光電変換効率を向上させるために、結晶シリコン基板の表面に、テクスチャと呼ばれる四角錘状(ピラミッド状)の凹凸構造が形成されることが多い。基板の表面にテクスチャが形成されていると、結晶シリコン基板に入射する光が散乱されるため、結晶シリコン基板内での光路長を大きくすることができる。
テクスチャが形成された後の基板上に真性シリコン系層や導電型シリコン系層等を形成する工程を経るが、シリコン基板表面の清浄度を高め、テクスチャ上に均一なシリコン系層を形成することなどによって変換効率の高い太陽電池を製造することができる。
結晶シリコン基板の表面を洗浄する方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、半導体インゴットをスライスして切り出された半導体基板をエッチングして基板表面にテクスチャを形成した後に、アンモニア、過酸化水素、及び純水の混合溶液及び、35% 塩酸、30% 過酸化水素、及び純水の混合溶液、フッ酸と硝酸の混合溶液で洗浄する方法が開示されている。上記洗浄法よりも、さらに洗浄効果を高める観点から、オゾンを用いて洗浄する方法が用いられている。
特許文献2には、半導体インゴットをスライスして切り出された半導体基板をエッチングして基板表面にテクスチャを形成した後の洗浄方法の一例として、連続的にオゾン水を供給し、オゾン水のオゾン濃度を一定とすることにより、オゾンの自己分解による洗浄効果の低下を補完して、洗浄効果を高めることが提案されている。また、特許文献2(図12参照)では、オゾン水浴中にオゾンガスを供給することにより、オゾン水のオゾン濃度を一定として、洗浄効果を高める方法も提案されている。
一方、特許文献3には、半導体基板をエッチングする際に用いる基板カセットの一例として、カセットと基板が接触する面積を低下させる凹凸部が設けられている基板カセットが記載されている。特許文献3では、底部に開口部が形成された基板カセットを用いることにより、エッチングする際の溶液が均一に基板に接触するため、エッチング処理を均一にする旨が記載されている。
また、特許文献4には、半導体インゴットをスライスして切り出された半導体基板のエッチング方法の一例として、基板を引き上げる期間の少なくとも一部の期間において、基板の下方から洗浄液中に、酸素や窒素等の気泡を供給する、基板洗浄方法が記載されている。
特開平11−233484号公報 特開2014−90087号公報 特開2012−15135号公報 特開2013−131693号公報
上述のとおり、ヘテロ接合太陽電池は、基板表面に真性の非晶質シリコン系層や導電型非晶質シリコン系層が製膜されており、シリコン系層製膜前の基板の表面状態は光電変換効率に影響を及ぼす。ヘテロ接合太陽電池においては、基板表面とシリコン系層との界面の特性が重要であり、他の結晶シリコン系太陽電池に比べて、基板表面の状態(基板表面の清浄性等)が光電変換効率に大きな影響を及ぼす。
本発明者らが、特許文献3に記載のように底部に開口部が形成された基板カセットを用いて、特許文献2のようなオゾン水中に、基板を保持し、供給部からのオゾン水を基板に直接接触しないように連続的に供給し続けたものの、充分な洗浄効果が得られず、基板面内における洗浄効果の均一性が悪くなるという問題が生じた。さらに、オゾン濃度を高く維持するためには高濃度かつ大流量のオゾン水を連続供給してオーバーフローさせる必要が有るが、大量のオゾン水廃液が生じ、廃液処理のコストや環境負荷が大きく、実用性が高いとは言い難い。またオゾン水中に窒素によるバブリングを、特許文献4のように基板の下側から基板に直接接するように行ったが、洗浄効果が十分でないことが明らかとなった。
また特許文献4においては、基板を引き上げる際の基板の貼りつきを防止するために、気泡を供給する旨の記載があるものの、オゾンガスを用いてオゾン処理を行う場合に生じる問題点については記載がない。したがって、結晶シリコン基板の表面を清浄化する方法には更なる改善の余地があると言える。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、清浄性の高い表面を有する結晶シリコン基板を作製する事ができ、ヘテロ接合太陽電池等の結晶シリコン系太陽電池に用いた場合に高い光電変換効率を有する太陽電池用シリコン基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を基板ホルダにより保持し、前記基板の表面処理を行うための太陽電池用シリコン基板の製造装置であって、アルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング用バスと、溶液に溶解したオゾンにより、前記凹凸が形成された基板の表面を処理する処理用バス、を有し、前記基板ホルダは、前記基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部を有し、前記底部は、前記基板の側面が露出するような開口部を有し、前記処理用バス内において、オゾンを供給する供給部を有し、前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置する配置手段を有し、前記前記供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入される、太陽電池用シリコン基板の製造装置に関する。
前記基板ホルダの底部は、前記基板の側面の50%以上100%未満が露出するような開口部を有することが好ましい。
前記基板ホルダは、前記底部と隣り合う第一側面部と第二側面部を有し、前記第一側面部および第二側面部は、各々前記基板の第一主面に対向する第一保持部および前記基板の第二主面に対向する第二保持部を有し、前記第一保持部および第二保持部により前記基板が保持されることが好ましい。
第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を基板ホルダにより保持し、前記基板の表面処理を行うための太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、エッチング用バス内においてアルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング工程と、処理用バス内において溶液に溶解したオゾンにより前記基板の表面を処理する基板処理工程と、をこの順に有し、前記基板ホルダは、前記基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部を有し、前記底部は、前記基板の側面が露出するような開口部を有し、前記基板処理工程において、前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置し、供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入されることが好ましい。
前記太陽電池用シリコン基板の製造装置を用いた太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、エッチング用バス内においてアルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング工程と、処理用バス内において溶液に溶解したオゾンにより前記基板の表面を処理する基板処理工程と、をこの順に有し、前記基板処理工程において、前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置し、前記供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入されることが好ましい。
前記オゾンとしてオゾンガスが用いられることが好ましい。
前記基板処理工程において、前記処理用バス内の溶液の温度が一定に保たれることが好ましい。前記基板処理工程において、前記処理用バス内の溶液の温度が15℃以上30℃以下を満たすことが好ましい。
前記エッチング工程の後、前記基板処理工程の前に、酸性薬液により前記基板の表面を処理する酸性処理工程を有することが好ましい。
前記基板処理工程の後、前記単結晶シリコン基板の第一主面上に、真性シリコン系層、導電型シリコン系層、および透明電極層をこの順に形成する工程を有することが好ましい。
前記太陽電池の製造方法により作製した太陽電池と、配線材と、を有する、太陽電池モジュールを製造することが好ましい。
本発明の太陽電池用シリコン基板の製造方法によれば、基板表面を均一に洗浄することができ、単結晶シリコン基板の表面の清浄性を高くすることができる。その結果、ヘテロ接合太陽電池等の結晶シリコン系太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
ヘテロ接合太陽電池の一例を示す模式的断面図である。 実施例で用いた太陽電池用シリコン基板の製造装置を示す模式図の一例である。 実施例で用いた基板ホルダの全体を示す模式図の一例である。 実施例で用いた基板ホルダを上側から見た際の模式図の一例である。 実施例で示した洗浄処理方法の一例である。 露出している基板の長さ及び基板の長さを示す模式図である。 実施例で用いた基板ホルダを上側から見た際の模式図の一例である。 実施例で作製した太陽電池用シリコン基板の表面のSEM写真である。 比較例1で作製した太陽電池用シリコン基板の表面のライフタイムマッピングである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2に示すように、本発明の太陽電池用シリコン基板の製造装置17について説明する。まず、第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を保持する基板ホルダ10を有する。
製造装置は、アルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング用バス11を有する。また製造装置は、溶液に溶解したオゾンにより、前記凹凸が形成された基板の表面を処理する処理用バス12を有する。
図3及び4に示すように、基板ホルダは、基板の側面が下側になるように基板を保持する底部13を有する。底部は、基板の側面が露出するような開口部14を有する。この際、基板の側面が下側になっていればよく、基板が垂直方向(水平面と基板の第一主面とのなす角が90度)でなく傾いていてもよい。
処理用バス12内において、オゾンを供給する供給部15を有し、処理用バス内に、基板が保持された基板ホルダを配置する配置手段16と、供給部15から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、開口部を通じて、基板の側面に直接接するように導入される。
[太陽電池用シリコン基板の製造方法]
以下、本発明の一実施形態を、図1に示す結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図を用いて説明する。図1に示す結晶シリコン系太陽電池はヘテロ接合太陽電池であり、第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板(一導電型単結晶シリコン基板1)の一方の主面(第一主面)に第1真性シリコン系層2、他方の主面(第二主面)に第2真性シリコン系層4が形成されている。第1真性シリコン系層2及び第2真性シリコン系層4のそれぞれの表面には、p型シリコン系層3及びn型シリコン系層5が形成されている。p型シリコン系層3及びn型シリコン系層5のそれぞれの表面には、第1透明導電層6及び第2透明導電層8が形成されている。少なくとも光入射側の透明導電層上には、集電極が形成される。図1においては、光入射側及び裏面側の両方に集電極7,9が形成されている。本明細書において、p型シリコン系層及びn型シリコン系層を特に区別しない場合には、「導電型シリコン系層」と表す。
まず、一導電型単結晶シリコン基板1について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有しており、導電性を有している。このような不純物を含有する導電型単結晶シリコン基板としては、Si原子に対して電子を導入する不純物(例えば、リン原子)を含有するn型単結晶シリコン基板と、Si原子に対して正孔を導入する不純物(例えば、ホウ素原子)を有するp型単結晶シリコン基板とがある。すなわち、本明細書における「一導電型」とは、n型又はp型のいずれか一方であることを意味する。
一導電型単結晶シリコン基板がヘテロ接合太陽電池に用いられる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合が逆接合であることが好ましい。光入射側のヘテロ接合が逆接合であれば、強い電場が設けられ、電子・正孔対を効率的に分離回収することができる。一方で、正孔と電子とを比較した場合、有効質量及び散乱断面積の小さい電子の方が、一般的に移動度が大きい。以上の観点から、一導電型単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。
n型単結晶シリコン基板が用いられる場合のヘテロ接合太陽電池の構成例としては、光入射側から、集電極7/透明導電層6/p型シリコン系層3/真性シリコン系層2/n型単結晶シリコン基板1/真性シリコン系層4/n型シリコン系層5/透明導電層8/集電極9をこの順に有するものが挙げられる。当該形態においては、n型シリコン系層(n層ともいう)側を裏面側とすることが好ましい。
単結晶シリコン基板は、例えばチョクラルスキー法等によって作製されたシリコンインゴットを、ワイヤーソー等を用いて所定の厚みにスライスすることにより作製される。
本発明の製造方法では、一導電型単結晶シリコン基板の表面にテクスチャ(凹凸)を形成するエッチング工程を有する。この際、エッチング用バス11に基板を配置してテクスチャを形成できる。表面にテクスチャを形成するためには、単結晶シリコン基板は、入射面が(100)面であるように切り出されていることが好ましい。これは、単結晶シリコン基板がエッチングされる場合に、(100)面と(111)面のエッチングレートが異なることを応用した異方性エッチングによって、容易にテクスチャ構造が形成されるためである。
テクスチャは、アルカリ及び異方性エッチング用添加剤を含むエッチング液(アルカリ性溶液)に単結晶シリコン基板を浸漬する異方性エッチングにより形成することができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。異方性エッチング用添加剤は、異方性エッチング時の反応中に発生する水素ガスが単結晶シリコン基板へ付着することを防ぐために添加されるものである。異方性エッチング用添加剤としては、表面張力を低下させる働きを有するものが好ましく用いられ、例えば、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)等のアルコール類や、界面活性剤等が挙げられる。
単結晶シリコン基板の表面にテクスチャ(凹凸)を形成した後、基板の表面に、オゾンを用いた清浄化処理(以下、基板処理工程ともいう)を行う。
なお、アルカリ溶液を用いて基板の表面に凹凸を形成するエッチング工程の後、オゾンによる基板処理工程を行う前に酸性薬液により中和処理を行うことが好ましい。中和処理によりエッチング工程で形成された高濃度のシリコン溶解生成物(ゲル)の層を溶解する事ができ、オゾン処理の効果を高める事が出来る。本明細書において、「基板の表面」とは、基板の第一主面、第二主面または側面のうちの少なくとも1つの表面を意味する。
本発明では、図2に示すように基板ホルダ10に単結晶シリコン基板を保持させ、前記基板ホルダを処理用バス12内に配置する配置手段16を有する。配置手段16により、処理用バス内において、溶液に溶解したオゾンに浸漬させる。そして、基板の側面に直接オゾンが接するように、供給部15から、オゾンとしてのオゾン水もしくはオゾンガスにより基板表面の処理を行う。この際、図4―Bに示すように、前記基板にオゾンが接触するように基板ホルダの底部13における開口部14からオゾンを導入する。
この際、溶液としては、純水や塩酸等の酸を含んだ酸性薬液などを用いることができ、事前にオゾンガスを導入してオゾン水としたものを使用しても良い。即ち、処理用バス内において、溶液としてオゾン水を用い、供給部からオゾンとしてオゾン水もしくはオゾンガスを導入させることもできる。
ここで、オゾンは、水中で容易に自己分解してその濃度が減少し、特に洗浄用バス内においてバス底部とくらべ上層部においては、オゾン水が分解し易いことから濃度が減少する傾向が確認されている。従って、基板表面を均一に処理するためには洗浄用バス内におけるオゾン濃度を均一にする必要がある。
一般的に、エッチング処理等の薬液処理時に、窒素等のガスによるバブリングを実施することでバス内における薬液濃度の均一化を行っている。本発明者らは、オゾン処理時に窒素バブリングを行うことを試みた。しかしながらこの場合、脱気が促進され、脱気効果によりバス内のオゾン水濃度の著しい低下が確認された。さらには、特許文献2のようにオゾン水を、基板と接触しないように連続的に導入し続けたところ、充分な洗浄効果が得られず、基板面内における洗浄効果の均一性が悪くなるという問題が生じた。
本発明では基板に接触するように、オゾンの供給を行うことでオゾン濃度を低下させることが無く、均一に基板表面を洗浄することができる。特に、オゾンガスを直接基板に接触するように供給することにより、より高い効果で基板表面を均一に洗浄することができる。
ここでオゾンによる洗浄とは、具体的にはオゾン処理により基板表面に酸化膜が形成されることを意味し、本発明のように、供給部から基板に直接接触するようにオゾン処理を行うことで、均一な膜厚で酸化膜を形成することができる。
ここで、特許文献2のように、供給部からオゾンとしてのオゾン水を、基板に直接接触しないように供給し、オゾン濃度を一定にする場合、基板にオゾンが直接接触しないため、洗浄効果が弱まり、充分な洗浄効果が得られないと考えられる。これに対し、本発明においては、オゾン水を用いた場合も、基板に直接接触するように供給するために、基板をより均一に洗浄できる。またオゾンガスによる基板の洗浄は、OHフリーラジカルが生じるため洗浄効果が高まるだけではなく、濃度を一定にするために大量のオゾン水を供給する必要がないため、生産性の観点からもより好ましい。
従来、基板のエッチング工程など、シリコン系層を形成する前までのシリコン基板の薬液による薬液処理は、複数の基板を基板ホルダに入れ、基板ホルダごと薬液処理用のバス内に浸して行われる。
本発明では、図3及び4に示すように、オゾン処理の際に基板を収納する基板ホルダ10として、前記基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部13を有し、前記底部に開口部14を有するものを用いる。開口部は、前記基板ホルダの底部側の前記基板の側面が露出するものを用いる。この際、基板の側面の50%以上100%未満が露出するものが好ましく、50〜95%が露出するものがより好ましい。前記基板の50%以上が開口するホルダを使用することでオゾンが基板の表面により接触しやすくなり、洗浄効果をより高める事が出来る。
また、前記基板の95%以下が開口する基板ホルダ、すなわち基板の側面の一部を下側から保持する底面13を有する基板ホルダを使用することで、基板を安定的に保持出来ると同時に、ホルダの耐性を高める事ができ、生産性が向上する。
ここで「基板側面のX%が露出する」とは、図5に示すように、基板ホルダを底面側から見たとき、(露出している基板の長さ/基板の長さ)×100=X%を意味する。例えば、基板が擬似四角形の場合、側面aが基板ホルダの底部側に配置された場合は、基板の長さとは、側面a’の長さを意味し、側面bが基板ホルダの底部側に配置された場合は、側面b’の長さを意味する。
上記基板ホルダは、基板処理工程の際に用いればよく、例えば基板処理工程前のエッチング工程では別のホルダに基板をセットしてエッチング工程を行った後、上記基板ホルダに配置して基板処理工程を行ってもよいが、生産性の観点から、基板の薬液処理(即ち、エッチング工程や、エッチング工程前の工程)において上記基板ホルダを用いることが好ましい。すなわち、真性シリコン系層を製膜する前までの薬液処理中で同じ基板ホルダを用いることが好ましい。上記基板ホルダは、基板の浮きを防止するためにホルダ上部に蓋を有していても良い。
図6に示すように前記基板ホルダは、前記底部13と隣り合う第一側面部と第二側面部を有し、前記第一側面部および第二側面部の各々に形成された第一保持部17および第二保持部18により前記基板が保持されることが好ましい。この場合、基板をより安定的に保持すると同時にオゾンとの接触機会が増えるためより高い洗浄効果を期待することができる。
また底部13は、断面が正方形や長方形であってもよく、円状であってもよいが、薬液の液流れ改善の点から、円状が好ましい。
オゾンの接触は、基板の側面だけではなく、第一主面及び第二主面にも接触する事が好ましい。中でもこの場合、オゾンガスバブルをウェハに直接接触させることで、OHフリーラジカルがウェハ近傍で発生し、高い洗浄効果が期待できる。
オゾンガスバブルの大きさは半径1μm〜2cmが好ましい。オゾンガスバブルの大きさを2cm以下とすることで基板表面とオゾンガスバブルの接触面積が増え、高い洗浄効果が期待できる。
なお、オゾン水を直接接するように供給する場合、オゾン水の供給量を0.03リットル/分以上10リットル/分以下とすることが好ましい。オゾン水の供給量を0.03リットル/分以上とすることで、供給されたオゾン水がウェハに到達することでウェハ近傍のオゾン濃度が高くなり、高い洗浄効果が期待できる。オゾン水の供給量を10リットル/分以下とすることで、供給されたオゾン水の圧力によるウェハの破損を防ぐ事ができる。
またオゾン処理を行う基板の凹凸の大きさが1〜5μmであることが好ましい。5μm以下とすることで、凹部までより均一にオゾンが到達しやすくなり、オゾンによる洗浄効果がより期待できる。中でも、オゾンガスを用いることにより、オゾンガスが凹部にもより到達しやすくなり、より洗浄効果が期待できる。
通常、エッチング工程において基板表面に凹凸を形成すると、基板側面にも凹凸が形成される。このような基板を用いてオゾン処理することで側面の凹凸にオゾンが接触する。基板凹凸の大きさが上記範囲を満たすことにより、オゾンの接触により生じうる破損等をより抑制することができる。また本発明のように基板に接触するようにオゾンを導入することにより、基板が大きい場合(例えば対角長さ190〜300mm)であっても、より均一に基板を洗浄することができる。
処理用バス内の溶液におけるオゾン濃度は、1〜50ppmが好ましく、5〜30ppmがより好ましく、10〜25ppmがさらに好ましい。オゾン濃度1ppm以上であると、清浄化の効果が充分に得られる。一方、オゾン濃度が50ppm以下であると、基板の表面に形成される酸化膜の膜厚が大きくなることがなく、真性シリコン系層によるパッシベーション効果等が得られやすい。また、オゾン処理後にフッ酸処理等を行って酸化膜を除去する場合でも、基板の表面がエッチングされにくく、テクスチャの谷部が過度に丸くなることがないため、反射率上昇による電流密度の低下を防止することができる。
本発明において溶液の温度は15〜30℃であることが好ましい。溶液の温度とは、オゾンを含む溶液の温度を意味する。15℃以上とすることで、オゾンによる基板処理効果が充分に得られる。一方、30℃以下とすることでオゾンの自己分解を抑制する事ができる。
オゾン処理の時間(例えば、基板の浸漬時間)は、オゾン濃度や温度等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、5〜30分間程度である。オゾン処理の時間とは、オゾンを含む溶液に基板を浸漬する時間を意味する。
オゾン処理の後、フッ酸(HF)等を用いて基板表面をエッチングすることが好ましく、フッ酸を用いたエッチング処理(以下、フッ酸処理ともいう)を行うことがより好ましい。フッ酸処理等により、基板表面の不純物を酸化膜ごと除去することができる。当該処理では、基板表面に形成された酸化膜がエッチングされるだけでなく、基板の表面がエッチングされる場合がある。
フッ酸処理は、フッ酸を含む溶液と単結晶シリコン基板とを接触させることによって行うことができる。フッ酸処理の方法としては、例えば、フッ酸を含む溶液に単結晶シリコン基板を浸漬する方法、フッ酸を含む溶液を単結晶シリコン基板の表面にスプレーする方法等が挙げられる。これらの中では、フッ酸を含む溶液に単結晶シリコン基板を浸漬する方法が好ましく、フッ酸水溶液に単結晶シリコン基板を浸漬する方法がより好ましい。
フッ酸処理を行う場合、酸化膜を除去する観点から、フッ酸濃度は、1〜10重量%が好ましく、1.5〜5重量%がより好ましく、2〜5重量%がさらに好ましい。フッ酸処理の温度は特に限定されず、例えば、20〜30℃程度である。フッ酸処理の時間は、例えば、1〜5分間程度である。
上記オゾン処理及び必要に応じてフッ酸処理等を行った後、一導電型単結晶シリコン基板のテクスチャ上に真性シリコン系層を製膜する。真性シリコン系層を製膜する前のテクスチャの大きさが5μm未満が好ましい。言い換えると、オゾン処理及び必要に応じてフッ酸処理等を行った後のテクスチャの大きさが5μm未満が好ましい。上記テクスチャの大きさは、4μm未満であることが好ましく、3.5μm未満であることがより好ましい。上記テクスチャの大きさの下限は、反射率が上昇しすぎない程度であればよく、例えば、1μm以上であればよい。
オゾン処理によって基板表面に形成される酸化膜の膜厚は、0.5〜4.5nm程度(通常は1.2nm程度)である。そのため、フッ酸等を用いて酸化膜を除去した後の凹部の曲率半径は、0.5〜4.5nm程度であると考えられる。つまり、この場合、テクスチャの凹部が過度に丸くなることはない。
テクスチャの凹部の曲率半径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて基板の断面形状を観察することによって特定することができる。テクスチャの凹部の観察像(TEM像)から、凹部近傍の形状を仮想円の弧で近似する。そのときの仮想円の半径を曲率半径とすればよい。なお、上記の仮想円は、断面の観察像の白黒2値化処理により境界を定め、凹部近傍の境界の座標に基づいて最小二乗法により中心座標及び半径を算出する方法により、決定できる。テクスチャの凹部の曲率半径に分布がある場合、20箇所で曲率半径を算出してその平均値を求め、この平均値をテクスチャの凹部の曲率半径とすればよい。
本発明においては、真性シリコン系層を製膜する前のテクスチャ(すなわち、オゾン処理及び必要に応じてフッ酸処理等を行った後のテクスチャ)の凹部の曲率半径は、5nm未満であることが好ましい。上記テクスチャの凹部の曲率半径は、3nm未満であることがより好ましく、2.5nm未満であることがさらに好ましい。凹部の曲率半径を5nm未満とすることで反射率の増加を抑制すると同時に、真性シリコン系層製膜時の凹部におけるエピタキシャル成長を抑制する事ができる。上記テクスチャの凹部の曲率半径の下限は特に限定されず、例えば、0.1nm以上であればよい。
単結晶シリコン基板のテクスチャは、充分な光散乱特性を得るために、図7に示すように連続的に形成されていることが好ましい。テクスチャが連続した形状になっていないと、光散乱特性が低下する傾向がある。ここで、連続とは、構造が実質的に平坦部を有することなく凸部が隣接している状態を意味する。
以上の工程により、単結晶シリコン基板の表面にテクスチャが形成された太陽電池用シリコン基板を製造することができる。
[太陽電池]
上述の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板を用いて、結晶シリコン系太陽電池を製造することができる。上記太陽電池用シリコン基板の表面の清浄度が高いため、キャリアの再結合を抑制でき、開放電圧及び曲線因子を向上させることができる。
中でも、上述の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板を用いて、ヘテロ接合太陽電池を製造することが好ましい。具体的には、上記太陽電池用シリコン基板の一主面上に、非晶質又は微結晶シリコン系層を製膜することが好ましく、上記太陽電池用シリコン基板の一主面上に、真性の非晶質又は微結晶シリコン系層を製膜することがより好ましい。
上記太陽電池用シリコン基板をヘテロ接合太陽電池に用いた場合、基板表面の清浄性が高いため、基板表面に存在する欠陥を少なくすることができる。さらに、基板表面とシリコン系層との界面の特性が改善されるため、真性シリコン系層によるパッシベーション効果等を向上させることができる。その結果、従来のシリコン基板を用いた場合よりも、開放電圧及び曲線因子を向上させることができる。このように、上記太陽電池用シリコン基板をヘテロ接合太陽電池に用いることで、変換効率の高い太陽電池を得ることができる。
以下、上記太陽電池用シリコン基板を用いた太陽電池の好適例として、ヘテロ接合太陽電池の構成及び製造方法について説明する。
図1に、ヘテロ接合太陽電池の一例を示す。図1に示すヘテロ接合太陽電池においては、一導電型単結晶シリコン基板1の一方の面に第1真性シリコン系層2、他方の面に第2真性シリコン系層4が形成されている。第1真性シリコン系層2及び第2真性シリコン系層4のそれぞれの表面には、p型シリコン系層3及びn型シリコン系層5が形成されている。p型シリコン系層3及びn型シリコン系層5のそれぞれの表面には、第1透明導電層6及び第2透明導電層8が形成されている。少なくとも光入射側の透明導電層上には、集電極が形成される。図1においては、光入射側及び裏面側の両方に集電極7,9が形成されている。
一導電型単結晶シリコン基板1としては、上述の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板が用いられている。一般的に単結晶シリコン基板は、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有しており、導電性を有している。このような不純物を含有する導電型単結晶シリコン基板としては、Si原子に対して電子を導入する不純物(例えば、リン原子)を含有するn型単結晶シリコン基板と、Si原子に対して正孔を導入する不純物(例えば、ホウ素原子)を有するp型単結晶シリコン基板とがある。すなわち、本明細書における「一導電型」とは、n型又はp型のいずれか一方であることを意味する。
このような一導電型単結晶シリコン基板がヘテロ接合太陽電池に用いられる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合が逆接合であることが好ましい。光入射側のヘテロ接合が逆接合であれば、強い電場が設けられ、電子・正孔対を効率的に分離回収することができる。一方で、正孔と電子とを比較した場合、有効質量及び散乱断面積の小さい電子の方が、一般的に移動度が大きい。以上の観点から、一導電型単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。
このようにn型単結晶シリコン基板が用いられる場合のヘテロ接合太陽電池の構成例としては、光入射側から、集電極7/透明導電層6/p型シリコン系層3/真性シリコン系層2/n型単結晶シリコン基板1/真性シリコン系層4/n型シリコン系層5/透明導電層8/集電極9をこの順に有するものが挙げられる。当該形態においては、n型シリコン系層(n層ともいう)側を裏面側とすることが好ましい。上述のとおり、光閉じ込めの観点から、単結晶シリコン基板の表面にはテクスチャ(凹凸構造)が形成されている。
単結晶シリコン基板1の表面にはシリコン系層が製膜される。シリコン系層の製膜方法としてはプラズマCVDが好ましい。シリコン系層の製膜には、原料ガスとして、SiH4、Si2H6等のシリコン含有ガス、又は、それらのガスとH2を混合したものが用いられる。p層又はn層を形成するためのドーパントガスとしては、B2H6又はPH3等が好ましく用いられる。この場合、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、ドーパントガスが予め原料ガスやH2などで希釈された混合ガスを用いることもできる。また、CH4、CO2、NH3、GeH4等の異種元素を含むガスを上記ガスに添加することにより、シリコン系層として、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、シリコンゲルマニウム等のシリコン合金層が製膜されてもよい。
上記の真性シリコン系層2,4は、実質的に真性なノンドープシリコン系薄膜である。真性シリコン系層2,4は、実質的にシリコン及び水素からなる真性水素化非晶質シリコンであることが好ましい。単結晶シリコン基板1表面に真性シリコン系層2,4が形成されることで、導電型シリコン層製膜時の単結晶シリコン基板への不純物拡散が抑制されつつ、単結晶シリコン基板表面のパッシベーションを有効に行うことができる。また、真性シリコン系層の膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができる。
本発明では、単結晶シリコン基板1として上述の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板が用いられているため、基板表面の清浄性が高く、基板表面に存在する欠陥が少ない。また、基板表面と真性シリコン系層との界面の特性に優れており、真性シリコン系層による良好なパッシベーション効果等を得ることができる。その結果、開放電圧及び曲線因子を向上させることができる。このようなパッシベーション効果等による変換効率の向上を考えた場合、本発明の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板は、基板表面に真性シリコン系層が形成されたヘテロ接合太陽電池に用いることが好ましい。
真性シリコン系層2,4の膜厚は、3nm〜16nmであることが好ましく、4nm〜14nmであることがより好ましく、5nm〜12nmであることがさらに好ましい。真性シリコン系層の膜厚が過度に小さいと、導電型シリコン系層3,5中の不純物原子の単結晶シリコン基板面への拡散や、単結晶シリコン基板表面のカバレッジ悪化に起因して、界面欠陥が増大する傾向がある。一方、真性シリコン系層の膜厚が過度に大きいと、高抵抗化や光吸収ロスの増大による変換特性の低下を招く場合がある。
本発明の製造方法においては、上記真性シリコン系に対して、水素を主成分とするガス雰囲気の中でプラズマ処理(水素プラズマ処理)を行うことが好ましい。具体的には、真性シリコン系層を製膜した後、導電型シリコン系層を製膜する前に、水素プラズマ処理を行う方法、真性シリコン系層の製膜を途中で一旦停止した後、水素プラズマ処理を行い、その後に製膜を再開する方法(導電側シリコン系層の製膜前にさらに水素プラズマ処理を行ってもよい)等が挙げられる。中でも、真性シリコン系層の製膜を途中で一旦停止した後、水素プラズマ処理を行い、その後に製膜を再開する方法が好ましい。この場合、水素プラズマ処理前後で製膜する真性シリコン系層の合計膜厚が上述した範囲(3〜16nm等)となるように、1〜10nmの膜厚で製膜した後、水素プラズマ処理を行い、1〜15nmの膜厚で製膜することが好ましく、合計膜厚の40〜60%の膜厚で製膜した後、水素プラズマ処理を行い、残りの膜厚で製膜することがより好ましい。
水素プラズマ処理の条件としては、例えば、基板温度100℃〜300℃、圧力20Pa〜2600Paが好ましい。水素プラズマ処理工程における高周波パワー密度や水素プラズマ処理時間は、本発明の効果が得られる範囲で適宜に設定し得る。
水素プラズマ処理工程における「水素を主成分とするガス雰囲気」とは、雰囲気中の水素濃度が70体積%以上であれば、窒素やヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが含まれていてもよく、微量のB2H6、PH3等のドーパントガスが微量に含まれていてもよい。一方、プラズマ処理工程においては、SiH4等の原料ガスがチャンバー内に導入されず、かつ真性シリコン系層の製膜に用いられた原料ガスがチャンバー内に残留していないことが好ましい。また、仮に水素プラズマ処理工程のガス雰囲気に原料ガスが含まれている場合であっても、プラズマ放電中に、シリコン系層が実質的に製膜されないことが好ましい。水素プラズマ処理工程における原料ガスの含有量の許容範囲は、他の製膜パラメータにも依存するが、体積比で、水素の1/100以下であることが好ましく、1/500以下であることがより好ましく、1/2000以下であることがさらに好ましい。
真性シリコン系層は、ノンドープ水素化非晶質シリコンであることが好ましいことは前述のとおりであるが、真性シリコン系層として非晶質シリコンが製膜された場合であっても、水素プラズマ処理によって、真性シリコン系層の一部が結晶化される場合がある。結晶化された成分の存在は、例えば高解像度の透過型電子顕微鏡(TEM)による試料の断面観察、X線回折法、ラマン散乱分光法などで確認することができる。
真性シリコン系層の形成と、水素プラズマ処理とは、同一の製膜チャンバー内で続けて行われることが好ましい。真性シリコン系を形成した後、水素プラズマ処理を開始する前には、一旦プラズマ放電が停止されることが好ましい。すなわち、プラズマ放電が停止された状態で原料ガスの供給が停止され、チャンバー内が水素を主成分とするガス雰囲気となった後に放電が再開されて、水素プラズマ処理が開始されることが好ましい。
上述した水素プラズマ処理は、テクスチャを形成し、オゾン処理を行った基板上に製膜した真性シリコン系層に対して行うことが好ましい。真性シリコン系層に対して水素プラズマ処理を行う場合、第1真性シリコン系層2及び第2真性シリコン系層4のいずれか一方に対して水素プラズマ処理を行ってもよく、第1真性シリコン系層2及び第2真性シリコン系層4の両方に対して水素プラズマ処理を行ってもよい。第1真性シリコン系層2及び第2真性シリコン系層4の両方に対して水素プラズマ処理を行う場合には、さらなる変換効率の向上効果が得られる。
第1真性シリコン系層2上には、p型シリコン系層3が形成される。p型シリコン系層は、p型水素化非晶質シリコン層、p型非晶質シリコンカーバイド層、p型酸化非晶質シリコン層等の非晶質シリコン系層であることが好ましい。非晶質シリコン系層は、微結晶シリコン系層に比して低パワー密度での製膜が可能であるため、不純物原子の単結晶シリコン基板面への拡散が抑制される。非晶質シリコン系層の中でも、不純物拡散の抑制や直列抵抗低下の観点では、p型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方で、p型非晶質シリコンカーバイド層あるいはp型酸化非晶質シリコン層はワイドギャップの低屈折率層として光学的なロスを低減できる点において好ましい。p型シリコン系層3の厚みは、3nm〜50nmの範囲が好ましい。
第2真性シリコン系層4上には、n型シリコン系層5が形成される。n型シリコン系層5は、n型非晶質シリコン系層あるいはn型微結晶シリコン系層の単層により構成されてもよく、複数層により構成されてもよい。n型シリコン系層5の厚みは、5nm〜50nmの範囲が好ましい。
n型非晶質シリコン系層としては、隣接層との良好な接合特性が得られやすいことから、n型水素化非晶質シリコン層やn型非晶質シリコンナイトライド層が好ましい。n型微結晶シリコン系層としては、例えばn型微結晶シリコン層、n型微結晶シリコンカーバイド層、n型微結晶シリコンオキサイド層が挙げられる。n層内部の欠陥の生成を抑制する観点からは、ドープ不純物以外の不純物が積極的に添加されていないn型微結晶シリコン層が好適に用いられる。一方で、n型微結晶シリコン系層としてn型微結晶シリコンカーバイド層や、n型微結晶シリコンオキサイド層を用いることで、実効的な光学ギャップを広げることができ、屈折率も低下することから、光学的なメリットが得られる。
p型シリコン系層3上及びn型シリコン系層5上には、それぞれ第1透明導電層6及び第2透明導電層8が形成される。第1及び第2透明導電層の膜厚は、透明性と導電性の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明導電層の役割は、集電極へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよい。一方で、透明性の観点から、厚すぎる透明導電層は、それ自身の吸収ロスのために透過率を減少させて、光電変換効率を低下させる原因となる場合がある。透明導電層としては、一般に、透明導電性金属酸化物、例えば酸化インジウムや酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタンやその複合酸化物などからなる薄膜が用いられる。中でも、酸化インジウムを主成分とするインジウム系複合酸化物が好ましい。高い導電率と透明性の観点からは、インジウム錫複合酸化物(ITO)が特に好ましく用いられる。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、いずれも公知の手法により製膜することができる。製膜方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法、熱CVD法、プラズマCVD法、分子線ビームエピタキシー(MBE)法やパルスレーザー堆積(PLD)法等が挙げられる。中でも、ITO等のインジウム系複合酸化物層の製膜には、スパッタリング法が好適に用いられる。透明導電層製膜時の基板温度は適宜設定すればよいが、200℃以下が好ましい。それ以上の高温となると、シリコン系層から水素が脱離して、ケイ素原子にダングリングボンドが発生し、キャリアの再結合中心となる場合がある。
透明導電層6,8上には、電流取り出しのための集電極7,9が形成される。集電極は、インクジェット、スクリーン印刷、導線接着、スプレー、めっき等の公知技術によって作製できる。スクリーン印刷法においては、金属粒子と樹脂バインダーからなる導電ペーストをスクリーン印刷によって印刷する方法が用いられる。めっき法においては、レジストを用いてパターン電極を形成する方法(例えば、特開昭60−66426号公報参照)、第一導電層上の絶縁層に開口部を形成し、この絶縁層の開口部を起点として、めっきにより第二導電層を析出させる方法(例えば、特許第5325349号公報参照)が用いられる。
いずれの方法で集電極を作製する場合であっても、小さいテクスチャが形成された基板を用いることにより、テクスチャ形状を受け継いだ透明導電層の上に集電極を一定の厚みで形成することができる。そのため、集電極の抵抗を低くすることができる。特に、めっき法により集電極を作製する場合、基板表面に大きいテクスチャが形成されていると、テクスチャの凹部におけるレジストや絶縁層の厚みが小さくなり、その部分に電極が析出されてしまう。これに対して、小さいテクスチャが形成された基板を用いると、このような問題は生じない。したがって、集電極の抵抗を低くすることができ、曲線因子を向上
させることが可能である。
少なくとも光入射側の集電極は、太陽電池への光入射面積を大きくするために、櫛形パターン等の形状にパターン化されていることが好ましい。光入射側と反対側の集電極は、パターン化されていてもよく、パターン化されていなくともよい。例えば、光入射側と反対側の金属電極が透明導電層上の略全面に形成されていてもよく、この場合は、金属電極層が、シリコン基板に吸収されなかった光がセル外に漏れることを抑止する反射層として作用し得る。また、透明導電層と集電極あるいは金属電極層との間に、反射層としてAgやAl等の金属層が形成されていてもよい。
以上のとおり、本発明の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板は、ヘテロ接合太陽電池に用いることで、ヘテロ接合太陽電池に特有の構成に起因する開放電圧及び曲線因子の向上効果が顕著となる。なお、本発明の製造方法により製造された太陽電池用シリコン基板は、ヘテロ接合太陽電池以外の結晶シリコン系太陽電池に用いてもよい。
結晶シリコン系太陽電池の構成としては、一導電型(例えばp型)結晶シリコン基板の一主面上に逆導電型(例えばn型)の拡散層を有し、拡散層上に集電極を有する構成が挙げられる。このような結晶シリコン系太陽電池は、一導電型層の裏面側にp+層等の導電型層を備えるのが一般的である。
上記のように製造された太陽電池は、実用に供するに際して、モジュール化されることが好ましい。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、集電極にタブ等のインターコネクタを介してバスバーが接続されることによって、複数の太陽電池が直列又は並列に接続され、封止材及びガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
膜厚は、断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。なお、TEM観察によって、真性シリコン系層と導電型シリコン系層との界面を識別することは困難である。そのため、これらの層の膜厚は、TEM観察から求められた各層の合計厚みと製膜時間の比から算出した。また、テクスチャが形成されたシリコン基板表面に形成された層については、テクスチャの斜面と垂直な方向を膜厚方向とした。太陽電池の光電変換特性は、ソーラーシミュレータを用いて評価した。
[実施例1]
実施例1では、以下の方法により太陽電池用シリコン基板を作製し、この基板を用いて、図1に模式的に示すヘテロ接合太陽電池を作製した。
入射面の面方位が(100)で、厚みが180μmのn型単結晶シリコン基板を用いた。底部に前記基板の30%が露出するような開口部を有する基板ホルダを使用し、図3及び5に示すように複数の基板を側面aが下側になるように、垂直にホルダに配置した。
前記基板の表面をアルカリ洗浄した後、80℃に保持された異方性エッチング液(KOH/イソプロピルアルコール=3/1(重量%比)水溶液)に30分間浸漬して、表面にテクスチャを形成した。超純水によるリンスが2回行われた後に65℃に保持された塩酸薬液に10分間浸漬して中和処理を行い、テクスチャ形成処理と同様に超純水によるリンスが2回行われた。
その後、溶液としてオゾンが溶解したオゾン水を含む処理用バス内に基板ホルダを配置し、前記底部の下側から前記基板にオゾンガスが直接接触するように、供給部からオゾンとしてオゾンガスを導入することで洗浄を行った(基板処理工程)。前記処理中はオゾンガスの供給を続け、10分間処理を行った。この際、オゾン水の濃度は15ppmであり、温度は25℃であった。その後、25℃に保持された2重量%のHF水溶液に2分間浸漬し、オゾン処理で基板表面に形成された酸化膜を除去した。
上記のように処理を行ったシリコン基板に形成されたテクスチャの表面形状を測定するため、原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)により40×40μm2のサイズでシリコン基板の表面観察を行った。
エッチングが終了した単結晶シリコン基板1がCVD装置へ導入され、一方の面(入射面側)に、第1真性非晶質シリコン層2が5nmの膜厚で製膜された。製膜条件は、基板温度が150℃、圧力120Pa、SiH4/H2流量比が3/10、高周波パワー密度が0.011W/cm2であった。第1真性非晶質シリコン層2上にp型非晶質シリコン層3が10nmの膜厚で製膜された。p型非晶質シリコン層3の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH4/希釈B2H6流量比が1/3、高周波パワー密度が0.011W/cm2であった。なお、上記希釈B2H6ガスとしては、H2によりB2H6濃度が5000ppmまで希釈されたガスが用いられた。
単結晶シリコン基板1の他方の面(裏面側)に、第2真性非晶質シリコン層4が5nmの膜厚で製膜された。第2真性非晶質シリコン層4の製膜条件は、第1真性非晶質シリコン層2の製膜条件と同一であった。第2真性非晶質シリコン層4上にn型非晶質シリコン層5が10nmの膜厚で製膜された。n型非晶質シリコン層5の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH4/希釈PH3流量比が1/2、高周波パワー密度が0.011W/cm2であった。なお、上記希釈PH3ガスとしては、H2によりPH3濃度が5000ppmまで希釈されたガスが用いられた。
p型非晶質シリコン層3上及びn型非晶質シリコン層5上のそれぞれに、第1透明導電層6及び第2透明導電層8として、インジウム錫複合酸化物(ITO)が100nmの膜厚で製膜された。ITOの製膜には、ターゲットとして酸化インジウムと酸化スズの焼結体(酸化錫含有量が5重量%)が用いられた。キャリアガスとしてアルゴンが100sccmで導入され、基板温度は室温、圧力0.2Pa、高周波パワー密度0.5W/cm2の条件で製膜が行われた。
上記の透明導電層6,8のそれぞれの表面に、集電極7,9として、銀ペーストがスクリーン印刷された。その後、銀ペーストを固化するために、150℃の大気下にて60分間加熱が行われて、櫛形の集電極が形成された。集電極の間隔は10mmとした。
[実施例2]
底部に前記基板の80%が露出するような開口部を有する基板ホルダを使用した以外は実施例1と同様に、ヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例3]
実施例3では、オゾン水の温度を10℃にした以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例4]
実施例4では、オゾン水の温度を15℃にした以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例5]
実施例5では、オゾン水の温度を30℃にした以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例6]
実施例5では、オゾン水の温度を40℃にした以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例7]
実施例7では、オゾン水を、供給部から基板の側面に直接接触するように、基板ホルダの開口部に供給した以外は実施例1と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[実施例8]
実施例8では、オゾン水を、供給部から基板の側面に直接接触するように、基板ホルダの開口部に供給した以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[比較例1]
比較例1では、基板に直接接触しないようにオゾンガスを供給した以外は実施例1と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[比較例2]
比較例2では、基板に直接接触しないようにオゾンガスを供給した以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[比較例3]
比較例3では、基板に直接接触しないようにオゾン水を連続的に供給した以外は実施例2と同様にヘテロ接合太陽電池を作製した。
[比較例4]
比較例4では、基板表面にテクスチャを形成した後、基板に直接接触しないように、オゾン水を連続的に供給し、オゾン水の供給と同時に、窒素を、供給部から、基板の側面に直接接触するように、基板ホルダの開口部に供給して10分間処理を行った。この際、窒素を供給する前のオゾン水の濃度は15ppmであり、処理温度25℃であった。それ以外は、実施例2と同様にして、ヘテロ接合太陽電池を作製した。
実施例1〜8及び比較例1〜4のヘテロ接合太陽電池の光電変換特性を、ソーラーシミュレータを用いて評価した結果を表1に示す。なお、表1においては、比較例1を基準値として規格化された光電変換特性(開放電圧、短絡電流、曲線因子及び変換効率)が示されている。
比較例1と実施例1、および比較例2と実施例2を各々比較した場合、実施例1、2では、比較例1、2に比べてヘテロ接合太陽電池の開放電圧及び曲線因子が向上した。一般に、酸化膜形成を含む洗浄処理により基板表面の清浄度を高めることで、基板表面におけるキャリアの再結合を抑制する事ができ、開放電圧及び曲線因子が向上する。
実施例1、2では、オゾンガスが基板に接触するように供給することで基板表面が均一に清浄化されており、汚染物質等が除去又は緩和されたためと考えられる。一方、比較例1、2では、ライフタイムマッピングにおいて全体的にライフタイムが低くなったと考えられ、比較例1においては、局所的にライフタイムが低い部分も確認された(図8参照)。これは供給されたオゾンが基板に直接接触しないため、テクスチャの山部と比べテクスチャの谷部の洗浄処理が充分にされていないことが原因だと考えられる。一方、実施例1、2ではオゾンを基板に接するように供給することで、オゾンガスバブリングにより洗浄用バス内のオゾン濃度を均一にできテクスチャ谷部まで洗浄が充分にされたと考えられる。
また実施例1と実施例2、および実施例7と8を各々比較すると、実施例2、8では、各々実施例1、7と比べて開放電圧及び曲線因子が向上した。これは、実施例2、8では基板用ホルダ底部の、基板保持部に対する開口部の面積が広いため、オゾンが基板に接触する機会が増え、洗浄効果が増したためと考えられる。一方、比較例1と2を比較すると、開口部の面積は比較例2の方が比較例1に比べて大きいものの、開放電圧及び曲線因子が向上しなかった。これは、オゾンガスを基板と接触するように供給していないため、開口部を広げても洗浄効果に変化が無かったためと考えられる。
実施例7及び実施例8と比較例3を比較すると、実施例7及び実施例8では、比較例3と比べて開放電圧及び曲線因子が向上した。これは、実施例7,8ではオゾン水が基板の側面に直接接触し洗浄効果が増したためと考えられる。
実施例2、8と比較例4とを比較すると、比較例4では、基板の側面に直接接触するように窒素ガスによるバブリングを行っているものの、実施例2,8と比べて開放電圧及び曲線因子が向上しなかった。これは、窒素バブリングによる攪拌効果により洗浄バス内のオゾン濃度が均一になっているものの、窒素バブリングによる脱気効果によりオゾン濃度が低下し洗浄効果が低下したためと考えられる。
また実施例1と実施例7、および実施例2と実施例8を各々比較すると、オゾンとしてオゾンガスを使用した実施例1,2は、オゾン水を使用した実施例7,8に比べて開放電圧及び曲線因子が向上し、これに伴い変換効率が向上した。これはオゾン水の供給に比べてオゾンガスバブルをウェハに直接接触させることで、ウェハ近傍のオゾン濃度が向上すると共に、ウェハ近傍でOHフリーラジカルが発生するため、基板の洗浄効果がより期待できたためと考えられる。
また実施例2〜6を比較すると、処理温度が10℃(実施例3)→15℃(実施例4)→25℃(実施例2)と温度が上がるにつれて開放電圧及び曲線因子が向上し、これに伴い変換効率が向上した。また25℃以上の場合、25℃(実施例2)→30℃(実施例5)→40℃(実施例6)と温度を上げるにつれて、開放電圧及び曲線因子が低下し、これに伴い変換効率が低下した。
以上より、処理温度は15℃以上30℃以下が好ましく、20℃以上25℃以下がより好ましと考えられる。
以上より、本発明のように、単結晶シリコン基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部を有し、前記基板の側面が露出するような開口部を底部に有する基板ホルダを用いて、前記基板の側面にオゾンガスが接触するように、前記底部の開口部からオゾンガスを導入することで光電変換特性を向上できることがわかった。
1 一導電型単結晶シリコン基板
2,4 真性シリコン系層
3 p型シリコン系層
5 n型シリコン系層
6,8 透明導電層
7,9 集電極
10 基板ホルダ
11 エッチング用バス
12 処理用バス
13 底部
14 開口部
15 供給部
16 配置手段
17 製造装置
18 第一保持部
19 第二保持部
20 オゾンガス

Claims (11)

  1. 第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を基板ホルダにより保持し、前記基板の表面処理を行うための太陽電池用シリコン基板の製造装置であって、
    アルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング用バスと、
    溶液に溶解したオゾンにより、前記凹凸が形成された基板の表面を処理する処理用バスと、を有し、
    前記基板ホルダは、前記基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部を有し、前記底部は、前記基板の側面が露出するような開口部を有し、
    前記処理用バス内において、オゾンを供給する供給部を有し、
    前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置する配置手段を有し、
    前記供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入される、太陽電池用シリコン基板の製造装置。
  2. 前記基板ホルダの底部は、前記基板の側面の50%以上100%未満が露出するような開口部を有する、請求項1に記載の太陽電池用シリコン基板の製造装置。
  3. 前記基板ホルダは、前記底部と隣り合う第一側面部と第二側面部を有し、
    前記第一側面部および第二側面部は、各々前記基板の第一主面に対向する第一保持部および前記基板の第二主面に対向する第二保持部を有し、
    前記第一保持部および第二保持部により前記基板が保持される、請求項1または2に記載の太陽電池用シリコン基板の製造装置。
  4. 第一主面と、前記第一主面に対向する第二主面と、第一主面と第二主面の間の側面とを有する単結晶シリコン基板を基板ホルダにより保持し、前記基板の表面処理を行うための太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、
    エッチング用バス内において、アルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング工程と、
    処理用バス内において、溶液に溶解したオゾンにより前記基板の表面を処理する基板処理工程と、をこの順に有し、
    前記基板ホルダは、前記基板の側面が下側になるように前記基板を保持する底部を有し、前記底部は、前記基板の側面が露出するような開口部を有し、
    前記基板処理工程において、前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置し、
    供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入される、太陽電池用シリコン基板の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用シリコン基板の製造装置を用いた太陽電池用シリコン基板の製造方法であって、
    エッチング用バス内においてアルカリ性溶液と前記基板とを接触させて前記基板の表面に凹凸を形成するエッチング工程と、
    処理用バス内において溶液に溶解したオゾンにより前記基板の表面を処理する基板処理工程と、をこの順に有し、
    前記基板処理工程において、前記処理用バス内に、前記基板が保持された基板ホルダを配置し、
    前記供給部から前記オゾンとしてのオゾンガスまたはオゾン水が、前記開口部を通じて、前記基板の側面に直接接するように導入される、太陽電池用シリコン基板の製造方法。
  6. 前記オゾンとしてオゾンガスが用いられる、請求項4または5に記載の太陽電池用結晶シリコン基板の製造方法。
  7. 前記基板処理工程において、前記処理用バス内の溶液の温度が一定に保たれる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記基板処理工程において、前記処理用バス内の溶液の温度が15℃以上30℃以下を満たす、請求項4〜7のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記エッチング工程の後、前記基板処理工程の前に、酸性薬液により前記基板の表面を処理する酸性処理工程を有することを特徴とする、請求項4〜8のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記基板処理工程の後、前記単結晶シリコン基板の第一主面上に、真性シリコン系層、導電型シリコン系層、および透明電極層をこの順に形成する工程を有する、請求項4〜9のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 請求項4〜10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法により作製した太陽電池と、配線材と、を有する、太陽電池モジュールの製造方法。
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