JP2014187165A - 太陽電池の製造方法及び太陽電池製造装置 - Google Patents

太陽電池の製造方法及び太陽電池製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】異方性エッチング実施のために用いるアルカリ溶液の交換時期を最適化し、高い光電変換効率を与える太陽電池を得ること。
【解決手段】シリコン(111)基板をエッチング液に浸漬させ、引き上げた基板の平均面粗さが0.5nm以上であればエッチング液を交換することを特徴とする。従って、製造される太陽電池の{111}面の荒れが低減し、その荒れに起因する非晶質シリコン層の欠陥発生や、エピタキシャル層形成が抑制される。その結果、基板―非晶質層界面及び膜中の欠陥が低減し、光電変換素子のVoc、FFが向上する。
【選択図】図4

Description

本発明は、太陽電池の製造方法及び太陽電池製造装置にかかり、特に、反射防止構造を構成する凹凸部(テクスチャ)を有する太陽電池用基板の製造方法に関する。
入射した光を光電変換部で電気に変換する太陽電池では、表面での光反射率が大きいと太陽電池内部に入射する光が減少して、得られる電力も少なくなる。したがって、太陽電池の光電変換効率を高めるには、表面での光反射率を低減し、より多くの光を取り込むことが重要となる。光反射率の低減には、例えば太陽電池の表面に反射防止膜を設けることが有効である。
しかし、反射防止膜を用いても入射光の数%の反射による損失が生じるため、反射防止膜に加え、さらに太陽電池の表面にテクスチャと呼ばれる微小な凹凸部を形成して、光閉じ込め効果による反射率低減を図っている。
例えば、単結晶シリコンは、アルカリ溶液を用いて異方性エッチングを行うことで、テクスチャとしてランダムなピラミッド形状の凹凸部を容易に形成することができる。これらの方法によって、凹凸部における多重散乱による光閉じ込め効果で、太陽電池の表面での光反射率を大幅に低減することが可能である。
従来、単結晶シリコン基板などの結晶系シリコン基板を用いる太陽電池では、シリコン(100)基板の表面を、異方性エッチングによって、エッチングすることにより、{111}面に起因したピラミッド状の凹凸部を形成する。
一方、単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン層或いは微結晶シリコン層を堆積し、pn接合を形成したヘテロ接合型太陽電池技術が開示されている(特許文献1)。しかし、このようなヘテロ構造においては、ヘテロ接合界面に欠陥が多く発生し、生成したキャリアが再結合されてしまうため、高い変換効率が得られないという問題があった。そこで、単結晶シリコン基板と非晶質シリコン層との間に薄い真性非晶質シリコン層を挟み、ヘテロ接合界面での欠陥を低減した構造の太陽電池技術が開示されている(特許文献2)。
しかし、特許文献2のような太陽電池構造でも、テクスチャ表面を構成する{111}面が原子レベルで平坦でない形状のため、基板上に製膜される非晶質シリコン層に欠陥が発生したり、部分的に結晶を含むエピタキシャル層が形成されたりすることが確認されている。
この{111}面の表面粗さを左右する因子の1つに、異方性エッチングの際に用いるアルカリ溶液(以下、エッチング液と呼ぶ)中の各成分の濃度がある。エッチング液は通常数回に渡り繰り返し使用されるものであるが、使用回数が増えるにつれて、シリコン基板との反応により各成分の濃度が変化していき、形成される{111}面の表面粗さは大きくなり、結果として、非晶質シリコン層の欠陥発生やエピタキシャル層の増加につながる。
したがって、エッチング液はある程度使用したところで新しいものに交換する必要がある。エッチング液交換のタイミングを判定する方法として、エッチング液の各成分の濃度を吸光度測定により明らかにする技術が開示されている(特許文献3)。
特開昭59−175170号公報 特公平7−95603号公報 特開平6−280054号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、エッチング液に含まれる成分によっては、濃度を測定する上で用いる吸光の波長領域が、他の成分の波長領域と重なってしまう場合があり、その場合には、正確に濃度を測定することが困難となる。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、{111}面の平均面粗さからエッチング液の各成分の濃度変化を間接的に検知して、エッチング液交換のタイミングを最適化し、高い光電変換効率を与えることの可能な、テクスチャ付きの太陽電池用基板を用いた太陽電池の製造方法及び太陽電池造装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる太陽電池の製造方法は、テクスチャ構造を形成する工程が、アルカリ性溶液からなるエッチング液を用いて結晶系シリコン基板の表面に凹凸部を形成する異方性エッチング工程と、異方性エッチング工程後に、原子間力顕微鏡を用いて前記凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する工程と、表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えないものであるか否かを判断する工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、テクスチャとしての凹凸部を有する結晶系基板の{111}表面粗さが小さくなり、それに起因する非晶質シリコン層の欠陥発生や、エピタキシャル層形成が抑制される。その結果、テクスチャ基板―非結晶性シリコン膜界面及び膜中の欠陥が低減し、太陽電池の開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)などのセル特性が向上するという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1による太陽電池の概略構成を示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1の太陽電池用基板(n型単結晶シリコン基板)表面の拡大斜視図である。 図3−1は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図3−2は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図3−3は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図3−4は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図3−5は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図3−6は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造方法を示す断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1の太陽電池の製造工程を示すフローチャートを示す図である。 図5は、本発明の実施の形態1の太陽電池製造装置を示す図である。
以下に、本発明にかかる太陽電池の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による太陽電池製造方法で形成された太陽電池の概略構成を示す断面図である。この太陽電池は、比抵抗が1〜10Ω・cmで、(100)で構成される結晶配向面を主面(第1の面1A)とし、厚みが50μm以上300μm以下のn型単結晶シリコン基板1を用いたものである。このn型単結晶シリコン基板1は、図2に斜視図を示すように、表面に、異方性エッチングにより形成されたテクスチャ(凹凸部1T)が加工されている。異方性エッチングに用いるエッチング液は、シリコン(111)基板を異方性エッチングした場合に、その基板の{111}面の平均面粗さが0.5nm以下であることを満たすように調整されているものである。
ここで、上記平均面粗さは、原子間力顕微鏡で測定することによって得られる。ミラー指数{111}の結晶格子面である{111}面とは、ミラー指数(111)の結晶格子面と等価な面群を指し、ミラー指数(−111)、(1−11)、(−1−11)の結晶格子面等を挙げることができる。本実施の形態における原子間力顕微鏡測定は、チップ先端半径が10nm以下で、高さが約10μm以上のプローブを使用して、単結晶シリコン基板{111}表面を測定した。測定に際しては、シリコン(111)基板表面の500nm×500nm領域を走査して{111}面におけるステップ部の高さhの測定を行い、その平均値を算出した。
凹凸加工されたn型単結晶シリコン基板1の第1の面1Aおよび第2の面1Bの両側の表面に、厚さがそれぞれ約5nmのi型非晶質シリコン層2a、2bが形成されている。i型非晶質シリコン層2a上には厚さが約5nmのp型非晶質シリコン層3が製膜されている。p型非晶質シリコン層3が形成されている第1の面1A側と反対側である第2の面1Bに形成された、i型非晶質シリコン層2b上には厚さが約5nmのn型非晶質シリコン層4が製膜されている。ここで、i型非晶質シリコン層2a、2bは、基板表面の界面準位を低減するのに作用する。また、n型非晶質シリコン4は、裏面電極付近でのキャリア再結合を防ぎ、発生したキャリアを効率良く捕獲するためのBSF(Back Surface Field)層であるが、これらi型非晶質シリコン層2a、2b、及び、n型非晶質シリコン4は必ずしも形成されなければいけないわけではない。また、テクスチャ構造については受光面側のみに形成してもよい。
さらに、p型非晶質シリコン層3、及び、n型非晶質シリコン層4上に厚みが約70nmの透光性電極5a、5bが形成されている。そして、透光性電極5a上には、銀(Ag)からなる厚みが約50μmの集電電極6aが、前記透光性電極5b上には銀(Ag)からなる厚みが約40μmの集電電極6bが形成されている。
次に、本発明の実施の形態1による結晶系シリコン太陽電池の製造方法について説明する。図3−1〜図3−6は、本発明の実施の形態1の結晶系シリコン太陽電池の製造方法の手順を示す断面図である。図4は、本発明の実施の形態1の結晶系シリコン太陽電池の製造方法の手順を示すフローチャートである。図5は、本実施の形態1で用いられる太陽電池用基板製造装置としてのエッチング装置を示す概略図である。このエッチング装置ではシリコン(111)基板をモニタ基板Mとして用いている。
製造方法の説明に先立ち、エッチング装置について簡単に説明する。図5は、本実施の形態1の太陽電池を製造するための太陽電池製造装置のテクスチャ形成に用いられる、エッチング装置100を示す図である。ここでは120枚のn型単結晶シリコン基板1をカセットKにセットして、エッチング槽22に浸漬するが、ここではテクスチャを構成する凹凸は微細であるため図示を省略する。このエッチング装置100は、シリコン(111)基板をモニタ基板Mとして用いるとともに、原子間力顕微鏡を用いて凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する測定部と、表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えないものであるか否かを判断部と、を含む。
本実施の形態の異方性エッチングを実現するためのエッチング装置100は、エッチング槽22と、エッチング液24を供給する供給管23と、該エッチング槽22に供給管23からエッチング液24を供給し、オーバーフローさせる、排出部25とが接続されている。供給管23の上流にはエッチング液生成部31が接続されている。エッチング槽22内に底面内に沿って配置されたエッチング液供給管23には供給孔26が複数個上向きに開けられている。さらに、凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する原子間力顕微鏡33を備えた測定部34が設けられ、エッチング槽22のエッチング液24の状況を、エッチング槽22の外部でモニタできるようになっている。エッチング液生成部31と測定部34は判断部35および信号線36を介して接続されている。この判断部35ではモニタ基板Mの{111}面の平均面粗さが0.5nm以下であるか否かを判断する。そしてこの判断結果を、信号線36を介して制御部32に伝達し、制御部32でエッチング液生成部31への支持データを作製し、エッチング液24の生成及びエッチング槽22への供給を制御するものである。
まず、結晶系基板として主面の結晶面方位が<100>であるn型単結晶シリコン基板1を用意する(図3−1)。n型単結晶シリコン基板1は、所望の濃度のn型にドープされた単結晶シリコンインゴットからマルチワイヤーソーでスライスして形成したものである。
ここで、基板としては、n型単結晶シリコン基板1を用いるが、通常、引き上げにより得られたインゴットをスライスすることにより切り出されたものであるため、表面に自然酸化膜、および構造的欠陥、金属等による汚染をはらんでいる。このため、ここで用いられるn型単結晶シリコン基板1に対して洗浄および、ダメージ層エッチングを行う(S1001)。
n型単結晶シリコン基板1に対し、洗浄、ダメージ層エッチングを行った後、n型単結晶シリコン基板1内の不純物を除去するためにゲッタリングを行う(S1002)。ゲッタリング工程では、処理温度1000℃程度のリンの熱拡散により形成されたリンガラス層に不純物を偏析させ、リンガラス層をフッ化水素等でエッチングする。
次に、テクスチャ形成に先立ち、エッチング液の交換の必要性を検討する。テクスチャの作製は、異方性エッチングにより行われる。異方性エッチングでは、例えば、有機物を適量含むアルカリ溶液をn型単結晶シリコン基板1の表面に供給する。アルカリ溶液としては、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液や水酸化カリウム(KOH)水溶液などを用いる。これらの水溶液の濃度は、添加する有機物の種類に依存して適宜変更されるが、例えばアルカリ濃度は、1重量%以上10重量%以下が好ましく、有機物としては例えばイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコールやスルホン酸、エステルが用いられる。また、面内均一なテクスチャ形成を可能とするために、界面活性剤などを添加してもよい。さらにまた、面内均一性の良好なテクスチャ形成のためには、エッチング時のこれらの水溶液の温度は、70℃以上90℃以下とすることが好ましい。基板全面へのテクスチャ形成は、20〜40分程度のエッチング形成を実施すればよい。本実施の形態では浸漬法によるエッチング処理を実施したが、エッチング中はエッチング溶液を攪拌しても良く、凹凸部形成は光入射側だけでもよい。
シリコン(111)基板に対し異方性エッチングを施した場合、既にエッチング速度の極めて遅い{111}面が表面の大部分を占めているため、巨視的には変化は見られない。しかしながら、われわれが鋭意検討した結果、微視的には平均面粗さの増加を生じ、この増加量はエッチング液の使用回数と比例することを見出した。
この傾向はシリコン(100)基板においても同様であり、シリコン(111)基板の平均面粗さを著しく増加させるエッチング液にてテクスチャを形成すると、テクスチャ斜面の表面粗さが増大し、その結果、基板―非結晶性シリコン膜界面、及び、膜中の欠陥が増加し、セル特性を低下させる原因となる。
そこで、テクスチャ形成時と同様の条件で、シリコン(111)基板に異方性エッチングを施した後、その平均面粗さを測定し(S1003)、その値が0.5nmを超えている場合(S1004=NO)には、そのエッチング液の使用を中止し、エッチング液を交換して(S1005)、新たなエッチング液を使用することとする。一方ステップS1003de測定した値が0.5nm以下である場合(S1004=YES)には、そのままエッチングを続行する(S1003,1004,1005)。
ここで、実際の製造工程に用いるシリコン(100)基板でなく、シリコン(111)基板をエッチング液の状態判定のために用いた理由は、シリコン(111)基板は異方性エッチングを施しても巨視的には平坦性を保つため、これをモニタ基板Mとして用いることで、平均面粗さの測定がより簡便であるためである。
次に、n型単結晶シリコン基板1の受光面である第1の面1A側および裏面側である第2の面1Bの表面に対して異方性エッチングを施し、n型単結晶シリコン基板1の第1の面1Aおよび第2の面1Bにテクスチャを作製する(図3−2:S1006)。
アルカリ性溶液によりn型単結晶シリコン基板1の表面を異方性エッチングすると、エッチングの速度の速い{100}面などでエッチングが進み、エッチング速度の極めて遅い{111}面からなるピラミッド状の凹凸部が形成され、エッチングの進行が遅くなる。そのためピラミッド状の凹凸部1Tは、結晶面が{111}である斜面によって構成される。
ここで厳密に言うと、{100}面や{110}面などのエッチング速度と{111}面のエッチング速度の比は無限大ではないため、{111}面で形成されるテクスチャの凹部角度は理論値の70.5°よりも大きく、本実施の形態で述べる{111}面は略{111}面のことを意味する。
一方、凹凸部1T形成前に、エッチングムラを抑制するために、基板に洗浄を施したが、この工程は省略してもよい。さらに、スライス時の基板表面のダメージ層を酸またはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングで除去する工程を実施したが、この工程についても省略してもよい。加えてダメージ層除去工程後に、基板内不純物のゲッタリング処理を施すと性能向上に望ましいが、実施しなくてもよい。
このようにしてテクスチャ(凹凸部1T)を形成した後、テクスチャの形成されたn型単結晶シリコン基板1表面に付着した有機物汚染や金属汚染を洗浄により除去する(S1007)。対象とする汚染物を除去できれば、洗浄方法として、例えば、オゾン水洗浄やRCA洗浄によって基板表面を清浄化する方法が挙げられる。
金属汚染量と総有機物汚染量は、テクスチャ形成面の表面粗さにも関係すると考えられることから、より平滑なテクスチャ表面を得るためにもできればテクスチャエッチング工程に先立ち、洗浄工程により金属汚染と総有機物汚染とを低減するのが望ましい。
次に、図3−3に示すように、n型単結晶シリコン基板1の片面にi型非晶質シリコン層2a、p型非晶質シリコン層3をこの順番で化学気相成長(CVD)法を用いて形成する(S1008,1009)。i型非晶質シリコン層2a、p型非晶質シリコン層3のそれぞれの層厚は5nmである。本実施の形態では層厚は5nmとしたが、層の形成条件によっては3nm以上10nm以下の範囲の層厚でもよい。CVD法としてはプラズマCVD法、熱CVD法などを用いることが望ましい。光電変換層であるn型単結晶シリコン基板1に対して十分な内蔵電界を発生させるためには、p型非晶質シリコン層3のバンドギャップ、活性化エネルギーはそれぞれ1.7eV以上、0.4eV以下であることが必要である。なおi型非晶質シリコン層2aの代わりに、i型非晶質炭化シリコン層、i型非晶質酸化シリコン層或いはそれらを積層した多層膜を用いてもよい。またp型非晶質シリコン層3の代わりにp型非晶質炭化シリコン層、p型非晶質酸化シリコン層、p型微結晶シリコン層或いはそれらを積層した多層膜などを用いてもよい。
n型単結晶シリコン基板1の片面にi型非晶質シリコン層2a、p型非晶質シリコン層3を形成した後、図3−4に示すように、n型単結晶シリコン基板1の反対側にi型非晶質シリコン層2b、n型非晶質シリコン層4をこの順番でCVD法を用いて形成する(S1010,1011)。i型非晶質シリコン層2b、n型非晶質シリコン層4それぞれの層厚は5nmである。本実施の形態では層厚は5nmとしたが、層の形成条件によっては3nm以上20nm以下の範囲の層厚でも構わない。ここでも、CVD法としてはプラズマCVD法、熱CVD法などを用いることが望ましい。
光電変換層であるn型単結晶シリコン基板1に対して十分な内蔵電界を発生させるためには、n型非晶質シリコン層4のバンドギャップ、活性化エネルギーはそれぞれ1.7eV以上、0.3eV以下であることが必要である。なおi型非晶質シリコン層2bの代わりに、i型非晶質炭化シリコン層、i型非晶質酸化シリコン層或いはそれらを積層した多層膜を用いてもよい。またn型非晶質シリコン層4の代わりにn型非晶質炭化シリコン層、n型非晶質酸化シリコン層、n型微結晶シリコン層或いはそれらを積層した多層膜などを用いてもよい。
n型単結晶シリコン基板1の片面にi型非晶質シリコン層2b、n型非晶質シリコン層4を形成した後、i型非晶質シリコン層2bとn型単結晶シリコン基板1の界面欠陥低減のため、不活性ガス或いは不活性ガスで希釈した水素ガス中で熱アニール処理を施してもよい。アニール温度は200℃以下が望ましい。
熱アニール処理の後、図3−5に示すように、p型非晶質シリコン層3、n型非晶質シリコン層4の上に透光性電極5a、5bをスパッタ法或いは蒸着法で形成する(S1012)。透光性電極5a、5bの膜厚は反射率低減の観点から、約70nmが望ましい。透光性電極材料としては酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)或いは、酸化インジウム(In2O3:Indium Oxide)を用いる。また透光性電極の抵抗率は低いことが望ましいが、導電性を担うキャリア密度が高いと光吸収率が増加してしまう。そのため透光性電極として用いた材料は高移動度でなければならない。70nmの層厚で十分低い抵抗率を達成するために移動度は100cm/Vs以上が望ましい。なお下層の透光性電極材料としてアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)などを添加した酸化亜鉛(ZnO:Zinc Oxide)を用いてもよい。
透光性電極5a、5bを形成した後、図3−6に示すように、透光性電極5a、5b上にAgで構成される集電電極6a、6bをスクリーン印刷法で形成する(S1013)。集電電極6aを構成しているグリッド電極の幅は遮光を押さえるため狭いほどよいが、抵抗が増加してしまう。従って集電電極6aは幅が狭く、層厚が大きいことが望ましい。本実施の形態では幅を70μm、層厚を50μmとした。集電電極6bを構成しているグリッド電極の幅はコスト低減のため狭いほどよいが、透光性電極5bを構成する透光性導電膜とのコンタクト抵抗が増加してしまう。従って集電電極6bは、幅が狭く、透光性電極5bとのコンタクト抵抗の増加がほとんどないことが望ましい。本実施の形態では幅を100μm、層厚を40μmとした。なおスクリーン印刷法の他に、メッキ法などで集電電極を形成してもよく、Agの代わりにアルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)などを用いてもよい。集電電極の印刷後、200℃以下で焼成する。
本発明の実施の形態1において、用いるエッチング液のそれまでの使用回数のみが異なり、他の製造工程は同様な3つの太陽電池セルのセル特性と、それらの製造の際に同時に異方性エッチングしたシリコン(111)基板の平均面粗さを表1に示す。ここで、エッチング液のそれまでの使用回数は、実施例が一番少なく、比較例1、比較例2の順に多い。
Figure 2014187165
各エッチング液によりエッチングされたシリコン(111)基板の平均面粗さは、実施例が一番小さく、比較例1、比較例2の順に大きかった。また、同エッチング液にて製造された太陽電池セルのセル特性は、実施例が最も良好で、比較例1、比較例2の順に悪かった。
このように、あるエッチング液を用いる場合に、シリコン(111)基板を異方性エッチングした際に得られる平均面粗さと、同じエッチング液を用いて製造された太陽電池セルのセル特性は相関するため、エッチング後のシリコン(111)基板の平均面粗さが0.5nm以下となるようなエッチング液を使用した太陽電池では、それを満たさないエッチング液を用いた場合と比べ、Voc及びFFが向上する。
本実施の形態によれば、凹凸部を形成する工程が、エッチング工程後に、原子間力顕微鏡を用いて前記凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する工程と、表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えないものであるか否かを判断する工程とを含むようにしている。このように、表面粗さを測定し、Raの値が0.5nmを超えない場合は、エッチング液をそのまま用いてテクスチャ形成を行うことで、Voc及びFFを向上させることが可能となる。
加えて、エッチング液中の金属汚染量を抑えるのは有効であり、また、テクスチャ形成後の洗浄処理は、ヘテロ接合型太陽電池の特性向上において非常に重要である。これは{111}面の荒れとは別に、基板表面での表面再結合を抑制するという観点からも重要である。そしてこの洗浄工程においても、洗浄液中の金属汚染が多いと、形成されたテクスチャ{111}表面が荒れていく可能性が考えられる。最良の状態にするためには、洗浄工程においても、処理液中に金属汚染が低いことが、基板表面を清浄に保ち、平滑なテクスチャを形成する上で極めて重要である。
なお、結晶系半導体基板としては、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板などの結晶シリコン基板の他、シリコンカーバイド基板などのシリコン化合物基板をはじめとする結晶シリコン系基板などにも適用可能である。真性または各導電型の非晶質シリコン層についても、非晶質炭化シリコン膜、非晶質酸化シリコン膜などの非晶質シリコン層の他、微結晶シリコン系薄膜、多結晶シリコン系薄膜などの結晶系薄膜にも適用可能である。
また、実施の形態1の太陽電池用基板は、特に、結晶系半導体基板上に非晶質薄膜などを形成したいわゆるヘテロ接合型太陽電池における、エピタキシャル成長層の異常成膜防止に有効である。一方、結晶系半導体基板表面から拡散により接合を形成する、拡散型太陽電池の場合、受光面側にSiNなどのパッシベーション膜を形成する際にも、欠陥が形成されるのを防ぐことができるなど、実施の形態1の太陽電池用基板は他の構造の太陽電池にも有効である。
以上のように、本発明にかかる太陽電池用基板は、ピラミッド型のテクスチャ構造を有して低光反射率および高光電変換効率を有する太陽電池の実現に適している。
1 n型単結晶シリコン基板、2a,2b i型非晶質シリコン層、3 p型非晶質シリコン層、4 n型非晶質シリコン層、5a,5b 透光性電極、6a,6b 集電電極、M モニタ基板、22 エッチング槽、23 供給管、24 エッチング液、25 排出部、26 供給孔、31 エッチング液生成部、32 制御部、33 原子間力顕微鏡、34 測定部、35 判断部、36 信号線、K カセット、100 エッチング装置。

Claims (4)

  1. 第1導電型の結晶系シリコン基板表面にテクスチャ構造を形成する工程と、
    前記結晶系シリコン基板表面に第2導電型の半導体層を形成する工程とを含む太陽電池の製造方法であって、
    前記テクスチャ構造を形成する工程が、
    アルカリ性溶液からなるエッチング液を用いて前記結晶系シリコン基板の表面に凹凸部を形成する異方性エッチング工程と
    前記異方性エッチング工程後に、原子間力顕微鏡を用いて前記凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する工程と、
    表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えないものであるか否かを判断する工程とを含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記異方性エッチング工程は、
    {111}面を主面とするシリコン基板からなるモニタ基板を前記エッチング液に浸漬し、前記モニタ基板の表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えているか否かを判断する工程と、
    前記判断する工程で平均面粗さRaが0.5nmを超えていると判断された場合は、前記エッチング液を交換する工程を含む請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 第1導電型の結晶系シリコン基板表面にテクスチャ構造を形成するテクスチャ形成装置と、
    前記結晶系シリコン基板表面に第2導電型の半導体層を形成する半導体層形成装置とを含む太陽電池製造装置であって、
    前記テクスチャ形成装置が、
    アルカリ性溶液を用いて前記結晶系シリコン基板の表面に凹凸を形成するエッチング部と、
    原子間力顕微鏡を用いて前記凹凸部の側面の{111}面粗さを測定する測定部と、
    表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えないものであるか否かを判断する判断部とを含むことを特徴とする太陽電池製造装置。
  4. 前記エッチング部は、
    {111}面を主面とするシリコン基板からなるモニタ基板を有し、
    前記エッチング液に浸漬し、前記モニタ基板の表面ラフネスの平均面粗さRaが0.5nmを超えているか否かを判断し、
    前記判断部で平均面粗さRaが0.5nmを超えていると判断された場合は、前記エッチング液を交換するように構成された請求項3に記載の太陽電池製造装置。
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