JP2016172841A - 活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた延伸性と強度を兼ね備えた硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。【解決手段】活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性化合物を含有し、活性エネルギー線硬化型組成物によりポリカーボネート基材(厚み100μm)上に平均厚み10μmの塗膜を形成し、塗膜に光量1,500mJ/cm2の活性エネルギー線照射を行い、それを3回繰り返して硬化させた3層の硬化物が、下記1)と2)の条件を満たす。1)引張り試験機を用いて基材と硬化物を共に延伸し、引張り速度20mm/min、温度180℃で延伸した場合、硬化物の延伸性=(引張試験後の長さ)/(引張試験前の長さ)が1.1以上である。2)硬化物のガラス転移温度が50℃以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、硬化物の製造方法、硬化物の製造装置、組成物収容容器、硬化物及び成形加工品に関する。
近年、活性エネルギー線硬化型インクには、建材や加飾印刷などにもインクジェット方式で印刷可能であること、また、それらの成形のために熱をかけて延伸可能であること等、様々な特性が望まれている。
従来の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクによる硬化膜は、塗膜硬度が高いため、印刷後に延伸加工等の加工が行われると、硬化膜が基材の変形に追従できずに、印刷物の延伸性が低く、所望の加工を行うことができない。これを解決するために、例えば、1官能性の光重合性化合物を非常にリッチに配合したインクに関する発明が為されている(特許文献1参照)。しかし、単に延伸性が高いだけのインクを用いて印刷物を形成した場合、他の特性、例えば強度や硬度が犠牲になってしまう。特許文献2には、延伸性の高い第一のインクと、第一のインクよりもガラス転移温度の高い第二のインクを用いた印刷方法に関する発明が為されている(特許文献2参照)。
しかしながら、優れた延伸性と強度を兼ね備えた硬化物を得ることができないという問題がある。
本発明の一態様は、上記従来技術が有する問題に鑑み、優れた延伸性と強度を兼ね備えた硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物であって、前記活性エネルギー線硬化型組成物によりポリカーボネート基材(厚み100μm)上に平均厚み10μmの塗膜を形成し、該塗膜に光量1,500mJ/cmの活性エネルギー線照射を行い、それを3回繰り返して硬化させた3層の硬化物が、下記1)と2)の条件を満たす。
1)引張り試験機を用いて基材と硬化物を共に延伸し、引張り速度20mm/min、温度180℃で延伸した場合、前記硬化物の延伸性=(引張試験後の長さ)/(引張試験前の長さ)が1.1以上である。
2)前記硬化物のガラス転移温度が50℃以上である。
本発明の一態様によれば、優れた延伸性と強度を兼ね備えた硬化物を得ることが可能な活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
インクカートリッジの一例を示す概略図である。 図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。 インクジェット吐出装置の一例を示す概略図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、光重合性化合物を少なくとも含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものであり、その用途としては後述するとおりであり、特に限定されないが、インクやインクジェット用インクとして好適なものである。
<延伸性>
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、これを基材上に吐出し、平均厚み10μmの塗膜を形成し、該塗膜に光量1,500mJ/cmの活性エネルギー線照射を行い、硬化させ、それを3回繰り返した3層の硬化物を基材と共に引張り試験機を用いて、引張り速度20mm/min、温度180℃で延伸した場合の延伸性(引張試験後の長さ)/(引張試験前の長さ)が1.1以上であり、好ましくは1.5以上である。
前記基材としては、ポリカーボネートフィルム(PC)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロン100FE2000マスキング、厚み100μm)を用いる。
<硬化物のガラス転移温度、貯蔵弾性率>
上記のようにして得られたポリプロピレン基材上の硬化物を、幅10mm、長さ40mmで切り取って、ゆっくり剥がし、DMS6100(SII社製)を用いて、測定を行った。測定条件は、チャック間距離20mmで、測定周波数1Hz、測定温度域30℃〜130℃、昇温速度1℃/minで行った。
得られたプロファイルから、Tanδのピークトップ温度を求め、ガラス転移温度とした。また、90℃におけるE'を読み取った。
請求項1で定義した硬化物を得るためには、強度と延伸性を両立させるために、Tgが高い1官能性のモノマーと、Tgが低い1官能性のモノマーをバランスよく配合させる事が望ましい。特には、請求項5で規定するように、Tgが高い1官能性のモノマーを1官能性のモノマーに対して半分以上配合すると、より強度が向上した硬化物を得ることができる。
ここで硬化物のガラス転移温度が50℃以上であれば、常温状態で硬化物はガラス状態であり、強度は向上する。硬化物のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上である。さらに、硬化物の90℃における貯蔵弾性率が0.85〜10MPaであった場合、硬化物の弾性が向上するため、強度がより優れる。
<ホモポリマーのガラス転移温度>
ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)とは、ホモポリマーの硬化物のガラス転移温度を指し、ここでTgは、カタログ値がある場合はその値を採り、カタログ値がない場合、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定した。
−ガラス転移温度(Tg)測定法−
1官能性のモノマーの重合は、一般的な溶液重合法により行った。
A:1官能性のモノマーの10質量%トルエン溶液
B:重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(5質量%)
前記Aと前記Bとを窒素パージして試験管に封入し、60℃の温浴で振とう6時間を行いポリマーを合成した。その後、前記1官能性のモノマーが可溶で前記ポリマーが不溶な溶媒(例えば、メタノール、石油エーテル等)に再沈殿させ、濾過してポリマーを取り出した。得られたポリマーをDSC測定に供した。前記DSC装置としては、Seiko Instruments社製DSC120Uを用い、測定温度は30℃〜300℃、昇温速度は1分間に2.5℃で測定した。
−ホモポリマーが90℃以上であり、重合性エチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物−
前記第1のモノマーとしては、前記モノマーの単独重合体のガラス転移温度(Tg)が90℃以上であれば特に制限はないが、ホモポリマーのTgが90℃以上の1官能性の反応性化合物を用いると、十分な強度が得られやすい。これらのモノマーは目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環状構造を有するモノマーが好ましい。
前記環状構造を有するモノマーとしては、例えば、イソボルニル環を有するイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル環を有するアダマンチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。前記環状構造を有するモノマーをインク成分中に配合すると、硬化させた硬化物の強度や剛性を持たせることができる。
−1官能性の反応性化合物−
前記1官能性の反応性化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、β−カルボキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N−ビニルホルムアミド、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−多官能性の反応性化合物−
前記多官能の反応性化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2官能性以上5官能性以下のモノマーが好ましく、2官能性のモノマーがより好ましい。
−多官能性の反応性化合物−
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクは、前記光重合性化合物以外にも、更に不飽和炭素−炭素結合を2個以上もつ多官能性の反応性化合物を含有することが好ましい。
前記多官能性の反応性化合物としては、例えば、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオール(メタ)アクリレート、メチロール−トリシクロデカン(メタ)ジアクリレート、CN9005、CN9007、CN9009、CN9011、CN9018、CN9028、CN9178、CN9290、CN9783、CN9893、CN902、CN973、CN977、CN978、CN992、CN994、CN999、CN9167、CN9782、CN9783、日本合成化学工業社製のUV−3000B,UV−3200B、UT−5454、UT−5449、UV−3300B、UV−6640Bなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、直鎖状の構造を持つ1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートが好ましい。
前記ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、又はポリエチレングリコール(600)ジアクリレートは、以下の化学式で表される。
*ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート
CH=CH−CO−(OC−OCOCH=CH(n≒4)
*ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート
CH=CH−CO−(OC−OCOCH=CH(n≒9)
*ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート
CH=CH−CO−(OC−OCOCH=CH(n≒14)
−オリゴマー−
前記多官能性の重合性化合物としてオリゴマーを用いても良い。多官能性のオリゴマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレタンオリゴマーを用いることが好ましい。前記ウレタンオリゴマーとしては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、日本合成化学社製のUV−2000B、UV−2750B、UV−3000B、UV−3010B、UV−3200B、UV−3300B、UV−3700B、UV−6640B、UV−8630B、UV−7000B、UV−7610B、UV−1700B、UV−7630B,UV−6300B、UV−6640B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7630B、UV−7640B、UV−7650B、UT−5449、UT−5454;巴工業社製のCN929、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN963E80、CN963J85、CN965、CN965A80、CN966A80、CN966H90、CN966J75、CN968、CN981、CN981A75、CN981B88、CN982、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN983、CN985B88、CN9001、CN9002、CN9788、CN970A60、CN970E60、CN971、CN971A80、CN972、CN973A80、CN973H85、CN973J75、CN975、CN977C70、CN978、CN9782、CN9783、CN996、CN9893;ダイセル・サイテック社製のEBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、KRM8200、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、KRM7735、KRM8296、KRM8452、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL9270、EBECRYL8311、EBECRYL8701などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、不飽和炭素−炭素結合が2個〜5個のものが好ましく、優れた打ち抜き加工性の点から、不飽和炭素−炭素結合が2個であるものがより好ましい。
前記ウレタンオリゴマーの重量平均分子量としては、5,000以上13,000以下が好ましく、10,000以上13,000以下がより好ましい。前記重量平均分子量が5,000以上であるとより好ましい延伸性が得られ、13,000以下であると、粘度としてインクジェット適正がより高くなるためである。
前記不飽和炭素−炭素結合を2個以上もつ多官能性の反応性化合物の含有量は、光重合性化合物全量に対して、5質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が、5質量%以上であると、好ましい強度が得られ、40質量%以下であると、好ましい延伸性が得られる。
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、及びビニルエーテル化合物は、カチオン重合性も有することが知られているが、前記光カチオン重合開始剤は一般に高価であるだけでなく、光を照射しない状態においてもわずかに強酸を発生させるため、インクジェット吐出装置内のインク供給経路において耐酸性を持たせるなどの特別な配慮が必要となる。そのため、インクジェット吐出装置を構成する部材の選定に制約が生じる。これに対して、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクでは、安価で強酸を発生しない光重合開始剤を使用することができるので、インクを安価に製造することができ、インクジェット吐出装置の部材選定も容易となる。もちろん、電子線やα、β、γ線、X線など非常に高エネルギーな光源を使用する場合においては、重合開始剤を使用せずとも重合反応を進めることができるが、これは従前より一般的に公知のことであり、本発明では特に詳細に説明しない。
前記光重合開始剤としては、例えば、分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤などが挙げられる。
前記分子開裂型光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素引抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエイト、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
<<重合促進剤>>
前記重合促進剤としてアミン化合物を前記光重合開始剤と併用することもできる。
前記アミン化合物としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどが挙げられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、着色剤、重合禁止剤、界面活性剤、光増感剤、極性基含有高分子顔料分散剤などが挙げられる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、公知の染料や顔料を用いることができ、前記顔料としては無機顔料又は有機顔料を使用することができる。なお、インクの物理特性などを考慮して必要に応じて種々の無機顔料や有機顔料が使用できる。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャネル法で製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー顔料としては、Pig.Yellow系の顔料、例えば、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、Pig.Red系の顔料、例えば、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
シアン顔料としては、Pig.Blue系の顔料、例えば、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60などが挙げられる。
白色顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイなどが挙げられる。
<<重合禁止剤>>
前記重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,2'−ジヒドロキシ−3,3'−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチルジフェニルアミン、9,10−ジ−n−ブトキシシアントラセン、4,4'−〔1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイルビス(オキシ)〕ビス〔2,2,6,6−テトラメチル〕−1−ピペリジニルオキシなどが挙げられる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクは、無溶剤であることが好ましい。
前記「無溶剤である」とは、例えば、エーテル、ケトン、芳香族、キシレン、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、モノエチルエーテル、γ−ブチルラクトン、乳酸エチル、シクロヘキサンメチルエチルケトン、トルエン、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の公知の各種の溶剤を含まないことを意味する。
前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクが無溶剤であることにより、インク膜中に揮発性の有機溶媒の残留が無いことや、印刷現場の安全性が得られ、環境汚染のないこと、また、ヘッド上でのインクの乾燥が起こらずプリンターの保守が容易であることなどが挙げられる点から好ましい。
(組成物収容容器)
本発明の組成物収容容器は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器である。これにより、例えば、組成物がインクである場合におけるインク交換などの作業において、インクに直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、またインクへのごみ等の異物混入を防止できる。インク収容容器としては、例えば、インクカートリッジ、インクタンクなどが挙げられる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成された袋などを有するものなどが好適である。
前記組成物収容容器としてのインクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。図1はインクカートリッジのインク袋241の一例を示す概略図であり、図2は図1のインク袋241をカートリッジケース244内に収容したインクカートリッジ200を示す概略図である。
図1に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、該インク袋中に残った空気を排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容し、インクカートリッジ200としてインクジェット吐出装置に着脱可能に装着して用いる。
前記インクカートリッジは、本発明のインクジェット吐出装置に着脱可能とすることが好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
(硬化物の製造装置)
本発明の硬化物の製造装置は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する手段と、吐出物を硬化させるために活性エネルギー線を照射する硬化手段とを備える。本発明の硬化物製造装置がインクジェット吐出装置である場合、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物としてのインクを充填した収容容器と、インク吐出手段と、硬化手段とを有することが好ましく、必要に応じて、その他の手段を更に有してなる。
<インク吐出手段>
前記インク吐出手段は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクをインクジェット記録方式により基材の表面に吐出させる手段である。
前記インク吐出手段としては、例えば、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。
前記オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマル方式又は静電方式、などが挙げられる。
<<基材>>
本発明の硬化物の製造方法において用いることができる前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、プラスチック、金属、セラミック、ガラス又はこれらの複合材料などが挙げられる。
これらの中でも、前記インクは光照射により直ちに硬化する点から、非浸透性の基材が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、その他のポリエステル、ポリアミド、ビニル系材料、又はこれらを複合した材料からなるプラスチックフィルムやプラスチック成型物がより好ましい。
前記基材としてポリカーボネート、ABSを用いる時には、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンが、前記ポリカーボネートの溶解性が高いので好ましい。前記基材としてアクリルを用いる時には、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが、アクリルの溶解性が高いので好ましい。
<硬化手段>
前記硬化手段は、前記基材の表面に吐出された前記インクに活性エネルギー線を照射して硬化させる手段である。
前記硬化手段としては、例えば、紫外線照射装置などが挙げられる。
<その他の手段>
前記その他の手段としては、例えば、搬送手段、制御手段などが挙げられる。
次に、図3を参照して、本発明の硬化物の製造装置としてのインクジェット吐出装置についてより詳細に説明する。図3に、前記インクジェット吐出装置の印刷機構を説明するための、印刷ユニット周辺の構成例の概略図を示す。
図3では、印刷ユニット3(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の印刷ユニット3a、3b、3c、3dからなる)は、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクの収容手段と、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを、インクジェット記録方式により基材としての被記録媒体の表面に吐出させて画像を形成する手段とを有する。印刷ユニット3の各々により、被記録媒体として被印刷基材供給ロール1から供給された被印刷基材2(例えば、図3において、左から右へ搬送される)に、インクが吐出される。インクは、通常、各色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の印刷毎に吐出される。その後、インクを硬化するための紫外線光源(活性エネルギー線などの、硬化用光源)4a、4b、4c、4dから、光照射(UV光)して硬化し、カラー画像を形成する。その後、被印刷基材2は、加工ユニット5、印刷物巻取りロール6へと搬送される。
印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、インク吐出部分においてはインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。
先に印刷する色の印刷面積が大きい場合又は搬送速度が速い場合、基材温度が上昇することがある。そのため、必要に応じて、基材保持部分(図3における、被印刷基材2の上側又は下側の部分)に、接触又は非接触により基材を室温程度に冷却する機構を設けてもよい。
被印刷基材2としては、紙、フィルム、金属又はこれらの複合材料等を用いることができる。図3では、被印刷基材2がロール状である場合を示しているが、シート状であってもよい。更に、片面印刷だけが可能である構成であってもよく、両面印刷可能な構成にしてもよい。
(硬化物)
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させてなり、例えば、前記インクジェット吐出装置を用いて得られた画像に対して、その後、紫外線を照射する。これにより、基材上の塗膜は速やかに硬化して、硬化物が得られる。
(成形加工品)
本発明の成形加工品は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物を成形加工したことを特徴とする。
前記成形加工品は、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなどの用途に好適に使用される。
(用途)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などに応用することが可能である。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができ、例えば、立体造形法の1つである粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして、また、活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、硬化させたものを順次積層して立体造形を行うマテリアルジェット法や、活性エネルギー線硬化型組成物の貯留プールに活性エネルギー線を照射して所定形状の硬化層を形成し、これを順次積層して立体造形を行う光造形法などにおける立体物構成材料として活用することができる。なお、このような活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知の光造形装置を使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の吐出手段や活性エネルギー線照射手段を少なくとも備えるものを使用することができる。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物としてインクジェット用インクを作製し、これを評価した実施例について詳細に記載する。
(実施例1〜7、及び比較例1〜3)
−活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクの作製−
下記表1、表2に記載の原料を順次攪拌しながら添加した。1時間の攪拌のあと、溶解残りがないことを確認し、メンブランフィルターでろ過を行い、ヘッド詰まりの原因となる粗大粒子を除去し、実施例1〜7及び比較例1〜3の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを作製した。なお、表1、表2中における、光重合性化合物、着色剤、及び光重合開始剤の数値は「質量部」を示す。
次に、作製した各活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを用い、以下のようにして、各硬化物を作製した。
<硬化物の作製>
得られた各活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクをGEN4ヘッド(リコープリンティングシステムズ社製)搭載のインクジェット吐出装置により、平均厚みが10μmになるようにポリカーボネート基材(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロン100FE2000マスキング、厚み100μm)上に吐出した。吐出の直後、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光量1,500mJ/cmで紫外線を照射させ、各硬化物を得た。
得られた各硬化物について、以下のようにして、延伸性、硬化物のガラス転移温度、硬化物の貯蔵弾性率、強度を評価した。結果を表1〜表2に示した。
評価方法
<延伸性>
前記活性エネルギー線硬化型インクジェット用インクを基材上に吐出し、平均厚み10μmの塗膜を形成し、該塗膜に光量1,500mJ/cmの活性エネルギー線照射を行い硬化させ、それを3回繰り返した3層の硬化物を、引張り試験機を用いて、引張り速度20mm/min、温度180℃で延伸し、延伸性=(引張試験後の長さ)/(引張試験前の長さ)を評価した。
前記基材としては、ポリカーボネートフィルム(PC)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロン100FE2000マスキング、厚み100μm)を用いた。
<硬化物のガラス転移温度、貯蔵弾性率>
上記のようにして得られたポリプロピレン基材上の硬化物を、幅10mm、長さ40mmで切り取って、ゆっくり剥がし、DMS6100(SII社製)を用いて、測定を行った。測定条件は、チャック間距離20mmで、測定周波数1Hz、測定温度域30℃〜130℃、昇温速度1℃/minで行った。
得られたプロファイルから、Tanδのピークトップ温度を求め、ガラス転移温度とした。また、90℃におけるE'を読み取った。
<硬化物の強度>
前記硬化物上に強度試験治具と重りをセットし、60℃の恒温槽に入れ、1日放置させた。この時、重り重量/治具と硬化物との接触面積=1MPaとした。治具と重りを取り除き、目視で、硬化物表面の治具の跡の有無を観察し、確認した。下記の判定基準で強度を評価した。
◎:分銅の跡無し
○:分銅の跡はあるが、基材までは達しない
×:分銅が基材まで達している
実施例及び比較例で使用した材料の詳細については以下の通りである。
<光重合性化合物>
・ジシクロペンテニル(日立化成社製/FA−511AS):
ホモポリマーのガラス転移温度120℃
・イソオクチルアクリレート(大阪有機化学工業社製/IOAA):
ホモポリマーのガラス転移温度−58℃
・ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製/HEA):
ホモポリマーのガラス転移温度−15℃
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製/A−HD−N)
・ポリエステル系ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製/UV−3000B)
<光重合開始剤>(すべてIrg.819:DETX=6:2で配合)
・Irg.819:
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
(BASF社製/Irgacure.819)
・DETX:
2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製/KAYACURE DETX−S)
<カーボンブラック>
三菱化学社製カーボンブラック#10に対して日本ルーブリゾール社製高分子分散剤S32000を3:1の質量比で含む状態として配合量を示した。
Figure 2016172841
Figure 2016172841
1 被印刷基材供給ロール
2 被印刷基材
3、3a、3b、3c、3d 印刷ユニット
4a、4b、4c、4d 紫外線光源
5 加工ユニット
6 印刷物巻取りロール
国際公開第2007/013368号 特開2013−22932号公報

Claims (15)

  1. 重合性化合物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物であって、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物によりポリカーボネート基材(厚み100μm)上に平均厚み10μmの塗膜を形成し、該塗膜に光量1,500mJ/cmの活性エネルギー線照射を行い、それを3回繰り返して硬化させた3層の硬化物が、下記1)と2)の条件を満たすことを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
    1)引張り試験機を用いて基材と硬化物を共に延伸し、引張り速度20mm/min、温度180℃で延伸した場合、前記硬化物の延伸性=(引張試験後の長さ)/(引張試験前の長さ)が1.1以上である。
    2)前記硬化物のガラス転移温度が50℃以上である。
  2. 前記硬化物の90℃における貯蔵弾性率が0.85〜10MPaであることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 前記硬化物のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記重合性化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、重合性のエチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記重合性化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が10℃以下であり、重合性のエチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  6. 前記重合性化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が90℃以上であり、重合性のエチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物を、重合性のエチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物の総量に対して、60質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  7. 前記重合性化合物は、重合性のエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する多官能性の反応性化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  8. 前記重合性化合物は、重合性のエチレン性不飽和二重結合を1個有する1官能性の反応性化合物の含有量が60質量%以上95質量以下であり、前記多官能性の反応性化合物が5質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  9. インクであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  10. インクジェット用インクであることを特徴とする請求項9に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  11. 請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により被記録媒体の表面に吐出させるインク吐出工程と、
    前記被記録媒体の表面に吐出した活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程と、
    を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
  12. 請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容する手段と、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により被記録媒体の表面に吐出させる手段と、
    前記被記録媒体の表面に吐出した活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる手段とを備えることを特徴とする硬化物の製造装置。
  13. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容してなることを特徴とする組成物収容容器。
  14. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
  15. 請求項14に記載の硬化物を延伸加工してなることを特徴とする成形加工品。
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