JP2016215621A - 硬化物からなる構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】単一のインクを用いる硬化物であって延伸性、打ち抜き加工性および強度を両立した性能を得ることができる構造体の提供。【解決手段】表面に凸な「島」部を形成する硬化物(A)11と「海」部を形成する硬化物(B)12とからなる「海島」構造の構造体であって、SPMによる弾性率測定において硬化物(A)11の弾性率及び硬化物(B)12の弾性率が式(1)で示される関係を満たす構造体。硬化物(A)の弾性率>硬化物(B)の弾性率・・・(1)式(2)で表される弾性率比が2.0以上である構造体。弾性率比=硬化物(A)の弾性率/硬化物(B)の弾性率・・・(2)【選択図】図1

Description

本発明は、硬化物からなる構造体およびその形成方法に関する。
従来より、硬化型インクは、塗料、コーティングや接着剤などに用いられてきた。硬化型インクには、活性エネルギー線硬化型インク、熱硬化型インク、2液硬化型インクなどがあり、中でも活性エネルギー線硬化型インクは、活性エネルギー線照射後、瞬時に硬化するというメリットがあり、近年使用量が増加している。
最近では、産業用途として、加工を施す基材に対しても、活性エネルギー線硬化型インクを用いて印刷を施す用途が増加している。そのため、活性エネルギー線硬化型インクによって得られる画像(硬化物)に対して、加工性(延伸性、打ち抜き加工性など)が求められている。また、建材に用いる場合、日光により窓際部の温度が高くなったり、夏などには窓を開けていた場合でも室内の温度は40℃を超えたりすることがあり、印刷物上にものを置いていた場合、その跡が印刷物に残ることがある。そのため、一定の温度域までの硬度(強度)が求められる。
しかし、従来の活性エネルギー線硬化型インクによる硬化物は、固くて延びない、あるいは延びるが柔らかい特性を示す場合が多い。例えば、単官能の光重合性化合物を非常にリッチに配合したインクに関する発明が為されている(特許文献1参照)。しかし、上記のように単に延伸性が高いだけのインクを用いて印刷物を形成した場合、硬度(強度)が得られない。
それを解決するために、例えば、ガラス転移点の高い単官能モノマーを用いることで常温での硬度と高温での延伸性を両立するインク組成物が提案されている(特許文献2参照)。しかし、硬度と延伸性の両立性を向上させるためにガラス転移温度を上げすぎると打ち抜き加工性が低下するという欠点がある。
また、打ち抜き加工性に優れる硬化物においては延伸性が低いことが多く、打ち抜き加工部には多官能モノマーを多く配合したインクを、延伸加工部には多官能モノマーを少なく配合したインクを、それぞれ打ち抜き加工部と延伸加工部を分けて塗工することで両立性を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、単一のインクによる硬化物では打ち抜き性や延伸性などの加工性と、強度の両立に限界があり、それぞれの加工部を分けて塗工すると膜として均一な性能が得られない。そこで、上記特性を兼ね備え、膜として均一な性能を得られる材料の速やかな提供が望まれている。
本発明は、打ち抜き加工性、延伸性および強度、を兼ね備えた硬化物からなる構造体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の硬化物からなる構造体は、以下に記載するとおりの構造体である。
表面に凸な「島」部を形成する硬化物(A)と「海」部を形成する硬化物(B)とからなる「海島」構造の構造体であって、
SPMによる弾性率測定において前記硬化物(A)の弾性率及び前記硬化物(B)の弾性率が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする構造体。
硬化物(A)の弾性率 > 硬化物(B)の弾性率 ・・・(1)
本発明によると、打ち抜き加工性、延伸性および強度を兼ね備えた硬化物からなる構造体を提供することができる。
硬化物(A)と硬化物(B)の「海島」構造を示す概略図である。 印刷パターンの一例である正三角格子(六方格子)を示す概略図である。 構造体の計測部位を示す概略図である。 硬化物の形成装置(インクジェット記録装置)の一例を示す概略図である。
(硬化物からなる構造体)
本発明の硬化物からなる構造体は、2種類以上の硬化型インクを硬化させて得られるものであり、後述する特定の構造を有する。この構造体は、これまで困難であった、打ち抜き加工性、延伸性および強度を両立することが可能であり、インクジェットなどにより基材の表面に吐出されたインクを活性エネルギー線などにより硬化することができる。
本発明の硬化物からなる構造体は、「海島」構造を有しており、「島」部として表面に凸な構造を持つ高硬度な硬化物(A)を有し、「海」部として低硬度な硬化物(B)を有する。高硬度な硬化物(A)が表面に凸であるため、低硬度な硬化物(B)は表面で物体と接することがなく、硬化物(A)による強度、硬度、耐ブロッキング性などが得られる。また、硬化物(A)同士が互いに連結しないことから、延伸性や打ち抜き加工性は硬化物(B)の物性に依存する。その結果、打ち抜き加工性、延伸性、強度を両立する構造体が得られ、さらに好ましい条件がそろうと、さらに耐ブロッキング性、硬度を両立する構造体が得られる。
前記構造体としては、任意の基材上に形成されてなることができ、膜として得ることができる。
<硬化物(A)と硬化物(B)>
硬化物(A)が硬化物(B)より高硬度であればよく、SPM(Scanning Probe Microscope:走査型プローブ顕微鏡)による弾性率測定において、硬化物(A)の弾性率及び前記硬化物(B)の弾性率が下記式(1)の関係を満たしていればよい。
硬化物(A)の弾性率 > 硬化物(B)の弾性率 ・・・(1)
弾性率の絶対値に特に制限はなく、前記関係性であれば硬化物(A)と硬化物(B)のそれぞれ優れた特性を発揮できる。
硬化物(A)の弾性率は0.5GPa以上であることが好ましく、1.0GPa以上であることがより好ましい。硬化物(B)の弾性率は用途に応じて適宜設定することができる。
なお、個々の「島」部を形成する硬化物(A)は互いに同一の材料である必要はなく、「島」はそれぞれ異なる硬化物A1、硬化物A2・・・硬化物Anから形成されていても良い。
また、「海」部についても同様にそれぞれ異なる硬化物B1、硬化物B2・・・硬化物Bnから形成されていても良い。
また、本発明の構造体は部分的に前記式(1)の関係を満たさない領域があってもよい。
すなわち、構造体に前記式(1)の関係を満たさない領域があっても、構造体として低硬度な硬化物(B)は表面で物体と接することがなく、硬化物(A)による強度、硬度、耐ブロッキング性などが得られるという効果を奏している場合は、その構造体は本発明の構造体に含まれる。
硬化物(A)は、表面に凸な形状をしている必要があり、接触角が大きいことが好ましく、30度以上、さらには45度以上あることが好ましい。硬化物(B)の形状としては、特に制限はないが、表面が物体に触れにくいという観点から平滑であることが好ましい。
<SPMによる弾性率測定>
SPMによる弾性率測定とは、走査型プローブ顕微鏡を使用した弾性率測定であり、プローブにより微小領域の弾性率を測定することができ、硬化物(A)、硬化物(B)それぞれの弾性率を測定することができる。
<「海島」構造>
「海島」構造とは、互いに連結せずかつ表面に凸な硬化物(A)の「島」部と、「島」部より低い高さに硬化物の表面がある硬化物(B)の「海」部を有する構造である。
連結せずとは、硬化物(A)からなる「島」が互いに独立しており、硬化物(B)を「海」とした「海島」構造を形成していることを意味する。必ずしも全ての「島」が独立している必要はなく、一部の「島」は連結していても良い。「島」が互いに連結していない状態が好ましく、その状態であれば方向性に制限なく延伸性を得ることができるが、一部連結していてもその連結方向と直交方向に延伸させることができる。
表面に凸とは硬化物(B)の高さ(表面)よりも硬化物(A)の高さが高いことを意味しており、形状などに制限はない。硬化物(A)が表面に凸な構造であれば特に制限はないが、硬化物(A)の頂点の位置と、硬化物(A)が硬化物(B)と接する部分の位置との高低差が、1μm以上であることがより好ましい。1μm以上あれば、上部からの物体の接触に対し、硬化物(A)が多少凹んでも硬化物(B)が物体と接しにくく、強度、耐ブロッキング性、硬度が得られやすい。
硬化物(A)の高さとしては、特に制限はなく、硬化物(A)からなる「島」の大きさ、接触角などによるが、インクジェットによる吐出を想定した場合、通常2〜30pL程度の滴が作製できることから、5μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がさらに好ましい。硬化物(B)の高さとしては、前記高低差以外に特に制限はなく、基材のコーティングや画像品質などの用途を満たすことができる厚みであればよい。
さらには、図1に示すように、いずれかの硬化物(A)に対して隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形の中で最も短い辺を切断して得られた断面において、断面方向から観察した際に、硬化物(B)の高さが、硬化物(A)の重なってみえる点の高さ以下であることが好ましい。斜め上部方向からの物体の接触に対しても、硬度を発揮することができる。
また、本発明においては硬化物(A)が周期性のあるパターンを示す格子を形成していることが好ましい。硬化物(A)が格子を形成している場合、前記隣の硬化物(A)の頂点とは、例えば格子が長方形であれば4つが隣の頂点とし、格子が長方形でなく三角形などであれば6つが隣り合うとする。前記隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形とは、例えば隣の頂点が4つの場合は四角形とする。隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形の中で最も短い辺を切断して得られる断面において、断面方向から観察した際に、硬化物(B)の高さが、隣り合う硬化物(A)の重なってみえる点の高さ以下であればよく、すなわち、上部から観察した際に断面に垂直方向に11と11’が重なっていればよい。このような状態にあるとき、断面に垂直方向に奥行きのある物体が斜め上部方向から物体が膜に接しても硬化物(B)と接することがなく、硬化物(A)としての硬度が発揮される。
さらには、任意の向きに対して硬度を発揮するためには、硬化物(A)の任意の頂点を結んだ辺を切断して得られた断面において、断面方向から観察した際に、硬化物(B)の高さが、硬化物(A)の重なってみえる点の高さ以下であることが好ましいと考えられるが、硬化物(A)の滴の基材との接触角によるが、硬化物(A)同士が重なり連なってしまう可能性が高い。硬化物(A)が互いに連結せず独立して上記構造を形成するためには基材との接触角が著しく高い必要があるが、その場合硬化物(B)と基材との密着性が著しく低下すると考えられる。
硬化物(A)の頂点に対して隣の頂点を結んだ多角形の中で最も短い辺を切断して得られた断面において、断面方向から観察した際に、隣り合う硬化物(A)の重なってみえる滴の間の角度が大きいことが好ましく、90度以上であることが好ましい。前記角度が大きいほど、物体を膜に接触させて横方向に滑らせても引っかかりが少なく、より硬度が発揮されやすくなる。
<印刷パターン>
印刷パターンとしては、特に制限はなく、ランダムでもよい。ある程度の密度があれば、硬度、耐ブロッキング性、強度が改善される。硬度については、接触する物体の大きさにもよるが、硬化物(A)同士の間隔が狭い印刷パターンが好ましく、正三角格子(六方格子)状の印刷パターンが好ましい。正三角格子(六方格子)状であるとは図2のように格子形状が正三角形に近い形状であれば特に制限はないが、格子の各辺が均等に近く、格子角が60度に近いほどよい。このような状態であれば、物体が硬化物(B)に接触しにくくなり、硬化物(A)の硬度が発揮されやすくなる。
また、硬化物(A)の頂点間距離としては、硬化物(A)の大きさに依存するため特に制限はないが、短いほど、小さな物体に対して硬化物(B)に接触しにくくなるため、短いほどよい。1mm以下が好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。インクジェット吐出であれば滴のサイズから0.03〜0.1mmがさらに好ましい。
(活性エネルギー線硬化型インク)
前記硬化物を形成するためのインクとしては、特に制限はないが、硬化速度、硬化前の安定性の観点から活性エネルギー線硬化型インクが好ましい。活性エネルギー線硬化型インクとは、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)により重合反応を生起し、硬化するインクであり、単官能モノマーや多官能モノマー、重合開始剤等を含むことができる。硬化物(A)と硬化物(B)を形成させるための活性エネルギー線硬化型インクをそれぞれ準備する必要がある。
<硬化物(A)のための活性エネルギー線硬化型インク>
前記硬化物(A)としては、硬化物(B)より高硬度であればよく、硬化物(A)を形成するための活性エネルギー線硬化型インクとしては、特に制限はない。活性エネルギー線硬化型インクとしては、多官能モノマーが多く含まれているほど、硬度、耐ブロッキング性、強度の観点から好ましく、モノマーとして多官能モノマーを50質量%以上含むことが好ましい。また、活性エネルギー線硬化型インクは基材表面に吐出されたインク滴が表面に凸な形状をしていることが好ましく、基材に対して表面張力の高いインクであることが好ましい。
<硬化物(B)のための活性エネルギー線硬化型インク>
前記硬化物(B)としては、硬化物(A)より低硬度であればよく、硬化物(B)を形成するための活性エネルギー線硬化型インクとしては、特に制限はない。活性エネルギー線硬化型インクとしては、延伸性の観点から単官能モノマーが含むことが好ましく、モノマーとして単官能モノマーを70質量%以上含むことが好ましい。また、打ち抜き加工性の観点から硬化物のガラス転移温度が高すぎないことが好ましい。
硬化物(B)の形状としては、表面が物体に触れにくいという観点から平滑であることが好ましく、活性エネルギー線硬化型インクは表面張力が低いことが好ましく、界面活性剤を含んでいることが好ましい。
<単官能モノマー>
単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<多官能モノマー>
多官能モノマーとは、2つ以上の活性エネルギー線重合性の官能基を有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α、β、γ線、X線などが挙げられる。電子線やα、β、γ線、X線など非常に高エネルギーな光源を使用する場合においては、重合開始剤を使用せずとも重合反応を進めることができる。紫外線照射を用いる場合には光重合開始剤を含有することで重合反応を開始することができる。
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、例えば、分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開
始剤、光カチオン開始剤などが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、及びビニルエーテル化合物は、カチオン重合性も有することが知られているが、前記光カチオン重合開始剤は一般に高価であるだけでなく、光を照射しない状態においてもわずかに強酸を発生させるため、画像形成装置内のインク供給経路において耐酸性を持たせるなどの特別な配慮が必要となる。そのため、インクジェット塗工かつ紫外線照射による硬化の場合、分子開裂型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤の使用が好ましい。
前記分子開裂型光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素引抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエイト、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
<重合促進剤>
重合促進剤としてアミン化合物を前記光重合開始剤と併用することもできる。
前記アミン化合物としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸−2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどが挙げられる。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、例えば、着色剤、重合禁止剤、界面活性剤、光増感剤、希釈溶剤、顔料分散剤などが挙げられる。
<着色剤>
前記着色剤としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。なお、インクの物理特性などを考慮して必要に応じて種々の無機顔料や有機顔料が使用できる。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法又はチャネル法で製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー顔料としては、Pig.Yellow系の顔料、例えば、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー180などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、Pig.Red系の顔料、例えば、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド184、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
シアン顔料としては、Pig.Blue系の顔料、例えば、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、バットブルー4、バットブルー60などが挙げられる。
白色顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイなどが挙げられる。
<重合禁止剤>
前記重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、p−ベンゾキノン、ジ−t−ブチルジフェニルアミン、9,10−ジ−n−ブトキシシアントラセン、4,4’−〔1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイルビス(オキシ)〕ビス〔2,2,6,6−テトラメチル〕−1−ピペリジニルオキシなどが挙げられる。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えば、高級脂肪酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙
げられる。
<希釈溶剤>
前記活性エネルギー線硬化型インクは、希釈溶剤を含んでもよいが、インクジェット用インクとして用いる場合は、希釈溶剤を含まないことが好ましい。インクジェットインクが無溶剤であることにより、インク膜中に揮発性の有機溶媒の残留が無いことや、印刷現場の安全性が得られ、環境汚染のないこと、また、ヘッド上でのインクの乾燥が起こらずプリンターの保守が容易であることなどが挙げられる点から好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクの粘度は、25℃から60℃の範囲において、3mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、7mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記25℃での粘度及び60℃での粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計、VISCOMETER TV−22により、恒温循環水の温度を25℃及び60℃に設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。25℃という温度は一般的な室温環境を想定したものであって、25℃から60℃という温度は、例えば、リコープリンティングシステムズ株式会社製GEN4など、加温可能な市販のインクジェット吐出ヘッドの仕様を想定したものである。
硬化物(A)を形成するための活性エネルギー線硬化型インクとしては、表面に凸な滴を形成するために、25℃における表面張力は、30mN/m以上が好ましく、35mN/m以上がより好ましい。硬化物(B)を形成するための活性エネルギー線硬化型インクとしては、平滑性を得るために、30mN/m以下であることが好ましい。
前記表面張力は、静的表面張力計(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z型)を使用し、25℃で測定することができる。
(硬化物の形成方法)
本発明の硬化物の形成方法は、硬化物(A)を形成するためのインク滴を基材上に吐出する硬化物(A)インク吐出工程と、硬化物(A)硬化工程と、硬化物(B)を形成するためのインクを基材上に吐出する硬化物(B)インク吐出工程と、硬化物(B)硬化工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<インク吐出工程>
前記インク吐出手段としては、種々の吐出手段を採用することができるが、インクジェット印刷であることが好ましい。インクジェット印刷ではインク滴をインクジェット記録方式により基材の表面に吐出させることで実施される。
前記インクジェットによるインク吐出手段としては、例えば、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。
前記オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式、などが
挙げられる。
硬化物(A)は、表面に凸な形状をしていることが好ましく、インクジェットによる吐出であれば、任意の印刷パターンで表面に凸な液滴の硬化物を形成させることができる。硬化物(B)の形状としては、表面が物体に触れにくいという観点から平滑であることが好ましく、硬化物(A)の隙間を埋めるために、インクジェット吐出により隙間に滴を重ねて平滑化させた後、硬化させることが好ましい。
<基材>
本発明の硬化物の形成方法において用いることができる前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、プラスチック、金属、セラミック、ガラス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。
これらの中でも、加工性の観点からプラスチック基材が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、その他のポリエステル、ポリアミド、ビニル系材料、アクリル樹脂、又はこれらを複合した材料からなるプラスチックフィルムやプラスチック成型物などが挙げられる。
これらの中でも、硬化物(A)の基材に対する接触角の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンがさらに好ましい。
<硬化工程及び硬化手段>
前記硬化工程は、前記基材の表面に吐出されたインクを硬化させる工程であり、硬化手段により行われる。
硬化方法としては、活性エネルギー線照射による光重合、熱による熱重合、二液混合による重合、溶媒乾燥による固化などが挙げられる。これらの中でも、活性エネルギー線による硬化が、硬化速度、硬化前の安定性、インクジェット適性の面から好ましい。
前記硬化手段としては、例えば、紫外線照射装置、電子線照射装置、赤外線照射装置、加熱装置、乾燥装置などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程及びその他の手段としては、例えば、搬送工程及び搬送手段、制御工程及び制御手段などが挙げられる。
ここで、図4に、本発明の硬化物の形成方法に用いられる本発明の硬化物の形成装置の一例(インクジェット記録装置)の概略図を示す。
図4では、印刷ユニット3は、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの収容手段と、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを、インクジェット記録方式により基材としての基材の表面に吐出させて画像を形成する手段とを有する。印刷ユニット3より、基材として被印刷基材供給ロール1から供給された被印刷基材2(例えば、図3において、左から右へ搬送される)に、インクが吐出される。硬化物(A)を形成するためのインクは、例えば3aなどの前方の印刷ユニットから吐出され、その後、インクを硬化するための紫外線光源(活性エネルギー線などの、硬化用光源)4aなどから、光照射(UV光)して硬化し、硬化物(A)を形成する。その後、硬化物(B)を形成するためのインクは、例えば前記印刷ユニットよりも後方の印刷ユニット(3b、3c、3d)から吐出され、インク滴を重ねて平滑化させた後、紫外線光源4dなどで硬化する。その後、被印刷基材2は、加工ユニット5、印刷物巻取りロール6へと搬送される。
印刷ユニット3a、3b、3c、3dは、インク吐出部分においてはインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。
先に印刷する色の印刷面積が大きい場合又は搬送速度が遅い場合、基材温度が上昇することがある。そのため、必要に応じて、基材保持部分(図3における、被印刷基材2の上側又は下側の部分)に、接触又は非接触により基材を室温程度に冷却する機構を設けてもよい。
被印刷基材2としては、紙、フィルム、金属又はこれらの複合材料等を用いることができる。図4では、被印刷基材2がロール状である場合を示しているが、シート状であってもよい。更に、片面印刷だけが可能である構成であってもよく、両面印刷可能な構成にしてもよい。
(成型加工品)
本発明の成型加工品は、基材上に、本発明の前記構造体が塗工されたものを、打ち抜き加工や延伸加工などの成形加工したものであり、表面に加飾を施したものを含む。
前記成型加工品は、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメータや操作部のパネルなど加工、加飾することが必要な用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるもの
ではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜4)
−活性エネルギー線硬化型インクの作製−
インクとして、下記の3種類のインク1、インク2、インク3を準備した。
<インク1>
DPCA60(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を35部、ジエチレングリコールジアクリレートを55部、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量10000)を10部、光重合開始剤2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オンを10部配合させて、[インク1]を得た。
<インク2>
アクリロイルモルホリンを30部、ベンジルアクリレートを58部、ノナンジオールジアクリレートを2部、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量10000)を10部、光重合開始剤2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オンを10部配合させて、[インク2]を得た。
<インク3>
アクリロイルモルホリンを58部、ベンジルアクリレートを30部、ノナンジオールジアクリレートを2部、2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量10000)を10部、光重合開始剤2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オンを10部配合させて、[インク3]を得た。
硬化物(A)として用いるインク(A)には硬化物(A)と(B)を見分けるために、カーボンブラックを1部添加してブラックインクとした。カーボンブラックとしては、三菱化学社製カーボンブラック#10に対して日本ルーブリゾール社製高分子分散剤S32000を3:1の質量比で含む状態として配合量を示した。
硬化物(B)として用いるインク(B)には平滑性を付与するために、界面活性剤BYK−UV3510を0.3部追加した。
<インク物性と単体塗膜物性>
次に、各インクの単体の活性エネルギー線硬化物について、以下のようにして、ガラス転移温度、弾性率、鉛筆硬度を測定した。結果は表1のようになった。
Figure 2016215621
<表面張力の測定>
表面張力については、静的表面張力計(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z型)を使用し、25℃で静的表面張力を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
各インクをポリプロピレン基材上にワイヤーバーにて膜厚18〜20μmで塗工し、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射させ、硬化物膜を得た。得られた硬化物膜を剥離し、DMA(動的粘弾性)測定を行い、得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)のピーク温度をガラス転移温度とした。前記DMA装置としてはSII製DMS6100を用い、10mm幅、長さ40mmのサンプルを作り、チャック間距離20mmとして、サンプルの設置を行い、周波数1Hz、温度域30℃〜130℃、昇温速度1℃/min、振幅10μmの測定条件で測定を行った。測定温度域に明確なピークがない場合は、観測不可とした。
<鉛筆硬度>
各インクをポリプロピレン基材上にワイヤーバーにて膜厚9〜10μmで塗工し、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射させ、硬化物膜を得た。鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った。装置としては、COTEC株式会社製ひっかき鉛筆硬度 TQC WWテスター(荷重750g専用)を用い、鉛筆は塗面に対して角度45°、荷重750gで押すように取り付ける。0.5〜1mm/sの速度で試験を行った。
<弾性率測定>
SPM(走査型プローブ顕微鏡)を使用した弾性率測定により、硬化物(A)部分と硬化物(B)部分のそれぞれについて弾性率を測定した。前記装置としては、Bruker AXS製Dimenstion Iconにて、測定モードPeakForce、カンチレバーOMCL−AC240TS−C3にて測定を行った。
−構造体の作製−
得られた各インクをGEN4ヘッド(リコープリンティングシステムズ社製)搭載のインクジェット吐出装置により、表2に示すパターンに従い、硬化物(A)用インクをポリプロピレン基材(東洋紡株式会社製P2161)上に吐出した。吐出の直後、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射させ、硬化物(A)の印刷パターンを得た。その後、硬化物(B)用インクを硬化物(A)の隙間に吐出し、滴を一滴ずつは硬化させずに滴を重ねて平滑化させた後、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光量1,500mJ/cm2で紫外線を照射させ、硬化物を得た。
次に、得られた各硬化物について、以下のようにして、延伸性、打ち抜き加工性、強度、耐ブロッキング性、鉛筆硬度を評価した。また、構造については図3のように断面画像から計測した。結果を表3に示した。
<延伸性>
延伸性は60℃破断伸び(引張り試験)で評価した。作製した前記硬化物について、引張り試験機(オートグラフ AGS−5kNX、株式会社島津製作所製)を用い、引張り速度:20mm/min、温度60℃、サンプル:JIS K6251 ダンベル状(6号)の条件で測定し、(引張り試験後の長さ−引張り試験前の長さ)/(引張り試験前の長さ)の比で延伸性を表した。前記延伸性は50%以上が好ましく、さらには100%以上がより好ましく、さらには200%以上がより好ましい。
[評価基準]
◎:200%以上
○:100%以上200%未満
△:50%以上100%未満
×:50%未満
<打ち抜き性>
作製した前記硬化物をパンチ(株式会社ライオン事務機製、No.150)で打ち抜
き、その裁断面の状態をマイクロスコープ(東海産業株式会社製、ポケット・メジャリン
グ・マイクロスコープ25倍)で確認し、下記基準で打ち抜き加工性を評価した。
[評価基準]
○:裁断面での硬化物の割れが全くないもの
△:裁断面での硬化物の割れが一部見られるもの
×:裁断面での硬化物の割れ・剥がれが激しいもの
<硬化物の強度>
前記硬化物上に強度試験治具と重りをセットし、70℃の恒温槽に入れ、1日放置させる。治具と重りを取り除き、変形の有無を確認した。重り重量/治具と硬化物との接触面積=1MPaとした。
強度治具によって起こった変形から70℃における硬化物の強度を評価した。
[評価基準]
○:治具の形跡が見られない。
△:治具による凹みが見られる。
×:治具による凹みが基材まで達した。(硬化物部分が貫通)
<耐ブロッキング性>
得られた硬化物のフィルム2枚を硬化物面が向かい合わせになるように重ね、50℃オーブンにて500g/cmの圧力をかけながら、10時間保持した後、剥がしたときの剥がれ方を観察した。
[評価基準]
○:硬化物が基材フィルムから剥離しない。
×:硬化物が基材フィルムから剥離する。
<鉛筆硬度>
鉛筆硬度試験は、JIS K5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った。装置としては、COTEC株式会社製ひっかき鉛筆硬度 TQC WWテスター(荷重750g専用)を用い、鉛筆は塗面に対して角度45°、荷重750gで押すように取り付ける。0.5〜1mm/sの速度で試験を行った。図1の線26の方向を0度として、0度、30度、45度の3方向からの鉛筆硬度を行った。
[評価基準]
○:硬度H以上
△:硬度BからF
×:硬度2B以下
Figure 2016215621
Figure 2016215621
実施例1から7はいずれも、延伸性、打ち抜き性、強度に良好な結果を示した。実施例1から6は同じインク条件であり、より好ましい吐出条件においては、さらに耐ブロッキング性や鉛筆硬度も向上している。
比較例1から4はインクを変更している。比較例1は延伸性が劣り、比較例2では強度が劣る。比較例3では比較例1と比較例2の劣る機能がそれぞれ発揮され延伸性と強度の両方において劣る結果となった。比較例4では延伸性と強度を両立するインクを使用しており、ガラス転移温度が高く、打ち抜き加工性が劣る。
1 被印刷基材供給ロール
2 被印刷基材
3、3a、3b、3c、3d 印刷ユニット
4a、4b、4c、4d 紫外線光源
5 加工ユニット
6 印刷物巻取りロール
11 硬化物(A)
11’ 隣の硬化物(A)
12 硬化物(B)
13 基材
21 硬化物(A)の高さ
22 硬化物(A)の重なってみえる点の高さ
23 硬化物(B)の高さ
24 硬化物(A)の重なってみえる「島」間の角度
25 隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形
26 断面
27 接触角
28 格子長(硬化物(A)の頂点間距離)
29 島直径
30 基材面直径
特許第5265916号公報 特開2007‐56232号公報 特開2012‐219212号公報

Claims (17)

  1. 表面に凸な「島」部を形成する硬化物(A)と「海」部を形成する硬化物(B)とからなる「海島」構造の構造体であって、
    SPMによる弾性率測定において前記硬化物(A)の弾性率及び前記硬化物(B)の弾性率が下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする構造体。
    硬化物(A)の弾性率 > 硬化物(B)の弾性率 ・・・(1)
  2. SPMによる弾性率測定において、下記式(2)で表される弾性率比が2.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
    弾性率比 = 硬化物(A)の弾性率/硬化物(B)の弾性率 ・・・(2)
  3. 硬化物(A)の頂点の位置と、硬化物(A)が硬化物(B)と接する部分の位置との高低差が、1μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造体。
  4. 硬化物(A)に対して隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形の中で最も短い辺を切断して得られた断面において、断面方向から観察した際に、硬化物(B)の高さが、硬化物(A)の重なってみえる点の高さ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造体。
  5. 硬化物(A)に対して隣の硬化物(A)の頂点を結んだ多角形の中で最も短い辺を切断して得られた断面において、断面方向から観察した際に、隣り合う硬化物(A)の重なってみえる滴の間の角度が90度以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
  6. 硬化物(A)の印刷パターンが六方格子状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかにの構造体。
  7. 硬化物(A)の基材との接触角が45度以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の構造体。
  8. 活性エネルギー線硬化物からなる構造体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の構造体。
  9. 硬化物(A)がインクジェットにより吐出されたインク滴を活性エネルギー線によって硬化して得られる硬化物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の構造体。
  10. 硬化物(A)の頂点間距離が0.03〜0.1mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の構造体。
  11. 硬化物(A)の高さが5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の構造体。
  12. 構造体が膜であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の構造体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の構造体を延伸加工してなる成形加工品。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の構造体を打ち抜き加工してなる成形加工品。
  15. 硬化物(A)を形成するためのインク滴を互いに連結しない状態で基材上に吐出する硬化物(A)インク吐出工程と、
    吐出された硬化物(A)インクを硬化して硬化物(A)とする硬化物(A)形成工程と、
    硬化物(B)を形成するためのインクを硬化物(A)の高さを超えないように基材上の硬化物(A)間の隙間に吐出する硬化物(B)インク吐出工程と、
    吐出された硬化物(B)インクを硬化して硬化物(B)とする硬化物(B)形成工程と、を少なくとも含み、
    前記硬化物(A)インク及び前記(B)インクとして、SPMによる弾性率測定において前記硬化物(A)の弾性率及び硬化物(B)の弾性率が下記式(1)の関係を満たすような活性エネルギー硬化型インクを用いることを特徴とする構造体の形成方法。
    硬化物(A)の弾性率 > 硬化物(B)の弾性率 ・・・(1)
  16. 表面張力35N/m以上の活性エネルギー硬化型のインク(A)と、表面張力30N/m以下の活性エネルギー硬化型のインク(B)とからなり、
    光量1500mJ/cmのUV照射を行い硬化させたインク(A)の硬化物(A)の弾性率及びインク(B)の硬化物(B)の弾性率が、SPMによる弾性率測定において、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするインクセット。
    硬化物(A)の弾性率 > 硬化物(B)の弾性率 ・・・(1)
  17. 下記式(2)で表される弾性率比が2.0以上となることを特徴とする請求項16に記載のインクセット。
    弾性率比 = 硬化物(A)の弾性率/硬化物(B)の弾性率 ・・・(2)
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