JP2016166276A - ポリアミド樹脂中空成形体 - Google Patents

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巌生 加藤
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照章 佐久間
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Hiroshi Tsukahara
浩 塚原
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Abstract

【課題】十分な機械的性質を有するとともに、成形体の表面外観及び内面平滑性に優れるポリアミド樹脂中空成形体を提供する。
【解決手段】本発明に係るポリアミド樹脂中空成形体は、25質量%以上85質量%以下の(A)ポリアミド樹脂と、15質量%以上75質量%以下の(B)ガラス繊維と、を含むポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド樹脂中空成形体であって、前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)ガラス繊維の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂中空成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的性質、熱的性質及び耐油性に優れているため、自動車や電気・電子製品等の部品に広く用いられている。特に、ポリアミド樹脂にガラス繊維を配合した強化ポリアミド樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性等が大きく向上するため、軽量化及び工程の合理化等の観点から、従来金属製であった部品を強化ポリアミド樹脂製とすることも可能であり、自動車部品等に好適に用いられている。そして、これらの部品は、顧客要求の満足を得るため、デザインや信頼性という観点から、部品の外観が良好であることが望まれている。
しかしながら、ガラス繊維強化ポリアミドはガラス繊維が成形体表面に露出しやすく、特に大型部品の表面や中空部を有する成形体の表面及び内面では、それが顕著に起こる。そのため、機械的特性の改善や成形体外観を改善すべく、これまでに様々な手法が提案されている。
例えば、成形体の強度・剛性と成形外観を同時に改善する目的で、ポリアミド樹脂とガラス繊維とを特定の範囲でブレンドし、かつ樹脂組成物中のガラス繊維の平均長及び繊維長の標準偏差を特定の範囲にあるように制御したポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、中空部を有する成形体の内面平滑性を改善する目的で、樹脂組成物中のガラス繊維において、0.5mm以上と比較的長い繊維長のガラス繊維の割合を規定した樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭63−156856号公報 特許第3683080号明細書
しかしながら、特許文献1〜2に記載の技術では、ポリアミド樹脂の自動車部品等への適用に際してより高度に求められる機械的強度を確保しつつ、成形体の表面外観及び内面平滑性を満足する成形体を得ることはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、十分な機械的性質を有するとともに、成形体の表面外観及び内面平滑性に優れるポリアミド樹脂中空成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、特定の組成を有するポリアミド樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
25質量%以上85質量%以下の(A)ポリアミド樹脂と、15質量%以上75質量%以下の(B)ガラス繊維と、
を含むポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド樹脂中空成形体であって、
前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)ガラス繊維の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上である、
ポリアミド樹脂中空成形体。
[2]
前記(A)成分が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T及びポリアミド6I並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
[3]
前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)成分の重量平均繊維長が、100μm以上500μm以下である、[1]又は[2]に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
[4]
前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)成分の数平均繊維長Z(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(Z/Y)が、1.2以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミド樹脂中空成形体。
[5]
前記(B)成分が、数平均繊維長1.5mm以上9mm以下のチョップドストランドと、数平均繊維長1mm以下のミルドファイバーとの混合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアミド樹脂中空成形体。
[6]
前記(B)成分100質量%に対する前記チョップドストランドの割合が50質量%を超える、[5]に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
本発明によれば、十分な機械的性質を有するとともに、成形体の表面外観及び内面平滑性に優れるポリアミド樹脂中空成形体とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は本発明の例示であり、本発明は以下の内容に限定されない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体は、25質量%以上85質量%以下の(A)ポリアミド樹脂と、15質量%以上75質量%以下の(B)ガラス繊維と、を含むポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド樹脂中空成形体である。さらに、本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)ガラス繊維の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)は1.6以上である。このような構成を有するため、本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体は、十分な機械的性質を有するとともに、成形体の表面外観及び内面平滑性に優れる。
[ポリアミド樹脂組成物]
本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、25質量%以上85質量%以下の(A)ポリアミド樹脂と、15質量%以上75質量%以下の(B)ガラス繊維と、を含む。さらに、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物中におけるガラス繊維の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上である。このように構成されているため、本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、十分な機械的性質を発揮するだけでなく、成形体外観に優れており、中空部分成形体としたときの内面平滑性にも優れたものとなる。
なお、本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド樹脂の配合量は、外観の観点から25質量%以上であり、強度・剛性の観点から85質量%以下である。以上のような観点から、40質量%以上75質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以上75%以下である。
また、本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物中の(B)ガラス繊維の配合量は、優れた強度・剛性を確保する観点から15質量%以上であり、射出成形時における流動性や成形体表面の外観の観点から75質量%以下である。以上のような観点から、25質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以上40%以下である。
<(A)成分>
本実施形態における(A)ポリアミド樹脂としては、ポリマーの繰り返し構造中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、特に限定されるものではない。
上記(A)成分としては、上記のとおり特に限定されるものではないが、例えば、ラクタム類の開環重合で得られるポリアミド、ジアミンとジカルボン酸とを縮合することで得られるポリアミド、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド等が挙げられる。ポリアミド樹脂の重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合及びこれらを組み合わせた方法等を用いることができる。また、重縮合に用いることができる上記化合物を重合反応器内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも用いることができる。
本実施形態において、ラクタム類としては、特に限定されないが、例えば、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
本実施形態において、ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンが適用できる。より詳細には、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
本実施形態において、ジカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸が適用できる。より詳細には、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,1,3−トリデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられる。
本実施形態において、アミノカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸等が挙げられる。
また、上記ポリアミドとしては、特に限定されないが、例えば、ラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸及び/又はω−アミノカルボン酸を、単独又は二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類も使用できる。
さらに、本実施形態における(A)成分としては、ラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸及び/又はω−アミノカルボン酸を重合反応器内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、その後、押出機等で高分子量化した共重合ポリアミドも使用できる。
本実施形態における(A)成分として、好ましい具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12,ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミドMXD(m−キシリレンジアミン)6、ポリアミド6T及びポリアミド6I並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合体からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。これらのポリアミドは、優れた機械強度の観点から好ましい。
また、これらのポリアミド樹脂を2種類以上用いて、押出機等でさらに共重合化したポリアミド類も使用することができる。
上記の中で、より具体的な好ましいポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、ポリアミド6/12/6T、ポリアミド66/12/6T、ポリアミド6/12/6I、ポリアミド66/12/6I、及びポリアミド9Tから選ばれる1種以上が挙げられる。さらにこれらの中でも、強度・耐熱性・耐久性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、PA66/6T及びPA66/6Iから選ばれる1種以上がより好ましい。
<(B)成分>
本実施形態における(B)ガラス繊維としては、ポリアミド樹脂中空成形体における重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上であれば、特に限定されず、ポリアミド樹脂と通常併用されているものを用いることができる。「ポリアミド樹脂中空成形体における」とは、上記(A)成分と(B)成分と必要に応じてその他の成分とが本実施形態のポリアミド樹脂組成物を構成し、さらにポリアミド樹脂中空成形体とした後の(B)成分を対象として、X/Y比を特定することを意味する。すなわち、本実施形態のポリアミド樹脂組成物に添加される前の(原料としての)ガラス繊維を対象として測定されるX/Y比が上記を満たしている必要はなく、ポリアミド樹脂組成物として添加され、さらにポリアミド樹脂中空成形体とした後の(B)成分が上記範囲を満たせばよい。上記(B)成分が含まれていることにより、本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体は、本実施形態所望の強度・剛性を発現することができる。
なお、(B)ガラス繊維の平均繊維径は、特に限定されず、適宜に公的なものを用いることができる。例えば、平均繊維径が5μm以上30μm以下のチョップドストランド、ロービング、ミルドファイバー等、様々な形態のガラス繊維を使用することができる。
ポリアミド樹脂中空成形体の強度・剛性と表面外観及び内面平滑性のバランスを保つ観点から、チョップドストランドとミルドファイバーの併用が好ましい。同様の観点から、ガラス繊維100質量%に対し、チョップドストランドの割合が50質量%を超えることがより好ましい。
本実施形態における(B)ガラス繊維は、重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上である。ガラス繊維の繊維長は、ポリアミド樹脂中空成形体を、例えば650℃の電気炉内で、当該ポリアミド樹脂中空成形体中に含まれる樹脂成分のみを燃焼させた後、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて任意に選んだガラス繊維500本の長さを測定して特定することができる。
重量平均繊維長、中央値D50、数平均繊維長は、下記式により求められる。なお、式中のiは測定した各ガラス繊維の長さLを小さい順に並べたときの順番であり、250番目となる繊維長(L250)と251番目となる繊維長(L251)とする。
重量平均繊維長(X)=Σ(Li 2)/ΣLi
中央値D50(Y)=(L250+L251)/2
数平均繊維長(Z)=Σ(Li)/500
(B)ガラス繊維の重量平均繊維長(X)と中央値D50(Y)の比「X/Y」は、ポリアミド樹脂中空成形体の強度・剛性と外観及び内面平滑性のバランスを保つ観点から、1.6以上であり、1.9以上が好ましく、1.9以上2.5以下がより好ましい。一方で、上記X/Y比が1.6に満たない場合、ポリアミド樹脂中空成形体の強度・剛性と外観及び内面平滑性のバランスを損ねることとなる。
(B)ガラス繊維の重量平均繊維長(X)は、ポリアミド樹脂中空成形体の強度・剛性と外観のバランスを保つ観点から、100μm以上500μm以下であることが好ましい。
(B)ガラス繊維の数平均繊維長(Z)と中央値D50(Y)の比「Z/Y」は、ポリアミド樹脂中空成形体の強度・剛性と外観及び内面平滑性のバランスを保つ観点から、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.3以上1.5以下がさらに好ましい。
上述のような本実施形態所望の範囲にガラス繊維の繊維長及び中央値を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、押出機にて混練する際に、1)チョップドストランドをトップフィードとサイドフィードに分割して投入する方法、2)一度ポリアミドとチョップドストランドを混練したポリアミド樹脂組成物をトップフィード、チョップドストランドをサイドフィードに投入し、2段階で押出混練する方法、3)チョップドストランドとミルドファイバーを併用し、サイドフィードからチョップドストランド、トップフィードからミルドファイバーを投入する方法、4)チョップドストランドとミルドファイバーを併用し、2か所のサイドフィードからそれぞれを投入する方法、5)チョップドストランドとミルドファイバーを併用し、両方をトップフィード又はサイドフィードから投入する方法などが挙げられる。上記の中でも、4)チョップドストランドとミルドファイバーを併用し、2か所のサイドフィードからそれぞれを投入する方法は、ガラス繊維長の制御のしやすさの観点から好ましい。なお、本実施形態における上記したX、Y、Zの値の制御については、特に限定されるものではないが、例えば、後述する実施例のB1、B2をブレンドすることで適宜調整することができる。例えば、B1の含有比率をB2の含有比率よりも多くすることでX/Y及びZ/Yの値を増加させることができる。
(A)ポリアミド樹脂と混練する原料としての(B)ガラス繊維は、優れた機械強度及び外観の両立の観点から、数平均繊維長が1.5mm以上9mm以下のチョップドストランドと、数平均繊維長が1mm以下のミルドファイバーとの混合物であることが好ましい。さらに、上記チョップドストランドの割合は、機械強度の観点から、ガラス繊維100質量%に対し、50質量%を超えることが好ましく、70質量%を超えることがさらに好ましい。
(B)ガラス繊維は、集束剤やシラン系カップリング剤を付着させたものが好ましい。集束剤やシラン系カップリング剤の種類は限定されず、公知の物を用いることができる。これによりポリアミド樹脂とガラス繊維との接着力をより向上させることができる傾向にある。
上記集束剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタン系ポリマー、無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体、アクリル酸系共重合体等が挙げられる。
上記シラン系カップリング剤としては、特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
<その他の成分>
本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物には、必要に応じ本実施形態の目的を損なわない範囲において、種々の添加剤を配合することができる。具体的には、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤;トリアゾール系等の紫外線吸収剤;銅化合物、リン化合物等の熱安定剤;マンガン化合物等の光劣化防止剤;ポリエステル系やグリセリン系等の可塑剤;ステアリン酸金属塩等の高級脂肪酸金属塩等の滑剤;モンタン酸金属塩等の離型剤;タルク等の核剤;水酸化マグネシウム、ポリリン酸メラミン等の難燃剤;カーボンブラック等の着色用顔料;銅フタロシアニン誘導体等の着色用染料等を添加することもできるし、他の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
上記添加剤を配合する方法としては、特に限定されず、例えば、ポリアミド樹脂の重合時に添加する方法や、二軸押出機で溶融混練する際に溶融状態のポリアミド樹脂中に添加する方法等が挙げられる。
ブレンド可能な他の熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、通常ポリアミド樹脂にブレンドされる熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
[ポリアミド樹脂組成物の製造方法]
本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B’)数平均繊維長が1.5mm以上9mm以下のチョップドストランドと数平均繊維長が1mm以下のミルドファイバーとの混合物であるガラス繊維と、を当該(A)成分25質量%以上85質量%以下、当該(B)成分15質量%以上75質量%以下の割合で溶融混練する工程を含む方法により製造することができる。また、前記ポリアミド樹脂組成物中における上記(B)成分の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)の比(X/Y)が1.6以上となるように調整することが好ましい。このような製造方法によれば、十分な機械的性質を確保するだけでなく、成形体の表面外観に優れるうえ、中空成形体としたときの内面平滑性に優れるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂及び(B)ガラス繊維の他、必要に応じて各種の添加剤を混合し、溶融混練することで製造することもできる。その際の配合、混合及び混練方法やそれらの順序は特に限定されず、種々公知の技術を適用して製造することができる。例えば、通常用いられる混合機や混練機によって製造できる。
上記混合機としては、特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダー等を用いることができる。混練機としては、単軸又は二軸の押出機を用いることができる。必要に応じて、バッチ式の混合機や複数の搬送ライン、定量フィーダー等の連続式混合機等を用いてもよい。
[ポリアミド樹脂中空成形体の製造方法]
本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物を成形してポリアミド樹脂中空成形体とする際の製造方法は、特に限定されず、例えば、ポリアミド樹脂組成物を含むペレットを押出機により製造し、このペレットを圧縮成形、射出成形、押出成形等により任意の形状に成形して所望の樹脂製品とすることができる。
より詳細なポリアミド樹脂中空成形体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、球体等の固体を注入して成形体内部を通過させる方法や、水等の液体を用いるウォーターアシスト成形、窒素等の気体を用いるガスアシスト射出成形等が挙げられる。このような流体アシスト成形によって中空部分がある成形体を成形する場合、内面平滑性を向上させることができるので、特に有用である。
上記固体を注入して成形体内部を通過させる方法としては、例えば、次のような手順で行うことができる。まず、型キャビティ内の一端にフローティングコア(例えば球体のもの)をあらかじめ設置しておき、フローティングコアを押える方向に中空成形体の所要量よりやや多い程度の量の溶融樹脂(本実施形態におけるポリアミド樹脂組成物の溶融物)を、ショートショット法またはフルショット法により射出する。次いで、射出された溶融樹脂の中心部が溶融状態にある間に、加圧流体によってフローティングコアを押す。そうすると、フローティングコアが、比較的粘度の低い溶融樹脂中心部を押し出すと共に型キャビティ内面に溶融樹脂を押しつけながら、型キャビティの他端の排出口まで移動する。その結果、中空部の寸法が均一で内面が滑らかな中空成形体を得ることができる。
また、上記フローティングコアの形状としては、円形断面の空洞を形成する場合にあっては、例えば、円錐形、砲弾形、半球形等とすることができる。多次元形状を形成する上では、球体であることが好ましい。また、フローティングコアの材料としては、金属や、成形材料と同一の熱可塑性樹脂等を用いることができる。なお、フローティングコアの材料としては、硬質で耐熱性を有するものが好ましく、例えば、銅、黄銅、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム等が挙げられる。また、成形材料と同一の熱可塑性樹脂はリサイクルの点から好ましい。
上記加圧流体としては、特に限定されないが、清浄で適切な温度のものであることが好ましく、例えば、空気、窒素ガス等の気体、水、油等の液体を用いることができる。
上記ガスアシスト射出成形としては、特に限定されないが、例えば、次の4法のいずれかにより行うことができる。すなわち、型キャビティを満たすのに不十分な量の溶融樹脂を注入した後、(1)ガス体を圧入する、(2)ガス体を圧入した後、更に溶融樹脂を注入する、(3)溶融樹脂を注入しつつガス体を圧入する、(4)溶融樹脂を注入しつつガス体を圧入した後、更に溶融樹脂を注入する、等の方法が挙げられる。
上記流体アシスト成形の好ましい具体例としては、次のような手順で行う方法を挙げることができる。まず、最低肉厚5mm以上の3次元形状のキャビティを有する金型に、溶融したポリアミド樹脂組成物を射出成形し、一定時間後に溶融樹脂の射出動作を停止し、金型表面を固化させる。次いで、一定時間後に加圧流体注入部から加圧流体として水又は圧縮窒素ガス等をキャビティ内の溶融樹脂中に注入し、樹脂内部に中空部を形成させ、加圧流体の圧力を保持し、キャビティ内の樹脂を冷却、固化させる。その後、中空部内の加圧流体を大気中に開放し、金型を型開きして中空成形体を金型から取り出す。
[ポリアミド樹脂中空成形体の用途等]
本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体は、幅広い分野及び用途に用いることができ、強度及び剛性に加えて、高い外観性が求められる自動車用部品や家具用部品等に好適である。上記した中でも中空部分がある成形体の場合、その内面平滑性が求められる自動車部品等には特に好適である。本実施形態の成形体としては、特に限定されないが、例えば、アウターハンドル、アウタードアハンドル、ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、ルームミラーアーム、サンルーフデフレクター、ラジエーターファン、ラジエーターグリル、ベアリングリテーナー、コンソールボックス、サンバイザーアーム、スポイラー、スライドドアレールカバー、冷却パイプ等のパイプ類、アクセルペダル等のペダル類、机及び椅子の脚、座受け、肘掛け、車椅子部品、ドアハンドル、手摺り、浴室等の握り棒、窓用ノブ、グレーティング材等といった工業用成形体及び雑貨用成形体として好ましく利用できる。
本実施形態のポリアミド樹脂中空成形体の形状としては、少なくとも、入口部分と当該入口部分に連結する出口部分を有する中空構造であれば特に限定されず、種々の形態に成形することができる。
本実施形態において、ポリアミド樹脂中空成形体が中空の3次元形状の成形体であって、断面の樹脂部/中空部の面積比が1/3〜1/30であることが好ましく、より好ましくは1/5〜1/30である。このような面積比を有する場合、ポリアミド樹脂中空成形体の入口部分と出口部分の圧力損失を効果的に低減できる傾向にある。なお、上記の「断面」とは、ポリアミド樹脂中空成形体の長さ方向に対して略垂直の面で切断したときの断面を意味する。
また、本実施形態において、ポリアミド樹脂中空成形体が中空の3次元形状の成形体であって、上述したウォーターアシスト法により成形されたものである場合、水が通り抜けた中空部内面の中心線平均粗さRaが35ミクロン以上であることが好ましい。また、上記中空部内面の最大高さRmaxが250ミクロン以上であることが好ましい。なお、上記の中心線平均粗さRa及び最大高さRmaxについては、ポリアミド樹脂中空成形体の軸線に沿って鋸等で2つに切断し、表面粗さ計(例えば、ミツトヨ(株)社製、サーフテスト 形式SJ−400等)を用い、測定長1cmで、異なる5点を対象とし、そのうちの最大表面粗さ(Rmax)及び中心線平均粗さRaを測定するものとすることができる。
以下の実施例により本実施形態をさらに詳しく説明するが、本実施形態発明は以下の
実施例により何ら限定されるものではない。実施例及び比較例に用いた原材料、測定方法
及び製造方法を以下に示す。
<原材料>
(A)ポリアミド樹脂
A1:ポリアミド66
実施例、ならびに比較例で用いたポリアミド66は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を300℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたポリアミド66の98%硫酸相対粘度はJIS−K6920に準じて測定した結果、2.7であった。
A2:ポリアミド610
実施例で用いたポリアミド610樹脂は以下の方法で重合した。ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の当モル塩を投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を280℃とし反応させた。水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたポリアミド610の相対粘度はJIS−K6920に準じて測定した結果、2.5であった。
(B)ガラス繊維
B1:日東紡績(株)社製、商品名「CS3J‐454」のチョップドストランドを使用した。数平均繊維長は3mmであり、平均繊維径は11μmであった。
B2:カット長0.1mm、平均繊維径11μmであり、アミノシラン処理を施したミルドファイバーを使用した。
B3:カット長0.3mm、平均繊維径11μmであり、アミノシラン処理を施したミルドファイバーを使用した。
(C)着色剤
以下のものを使用した。
C1:ニグロシン 商品名「ヌビアンブラック(登録商標)PA−9801(オリヱント化学(株)社製)」
C2:カーボンブラック 商品名「三菱(登録商標)カーボンブラック#960(三菱化学(株)社製)」
<ポリアミド樹脂中空成形体中のガラス繊維の平均繊維長の測定>
上記A〜C成分を含むポリアミド樹脂中空成形体を準備し、650℃の電気炉内で当該ポリアミド樹脂中空成形体中に含まれる樹脂成分のみを燃焼させた後、光学顕微鏡下(倍率:対物レンズ4倍)で観察し、画像解析装置を用いて任意に選んだガラス繊維500本の長さを測定した。
重量平均繊維長、中央値D50、数平均繊維長、標準偏差は、下記式により求めた。なお、測定した各ガラス繊維の長さを小さい順に並べたとき、250番目となる繊維長(L250)と251番目となる繊維長(L251)とする。上記結果を表1に示す。
重量平均繊維長(X)=Σ(Li2)/ΣLi
中央値D50(Y)=(L250+L251)/2
数平均繊維長(Z)=Σ(Li)/500
<機械的性質の評価:曲げ弾性率、曲げ強度の測定>
射出成形機(スクリュー径40mm、日精樹脂工業社製、FN−3000)を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、射出圧力65MPa、射出時間25秒、冷却時間15秒、スクリュー回転数200rpmの成形条件にて、ISO 3167に準じた多目的試験片A形を成形し、曲げ試験用試験片を切削加工した。得られた試験片は、ISO 178に準じて、オートグラフ(島津製作所社製、AG−5000D形)で、クロスヘッドスピード2mm/分、周囲温度23℃の条件下で曲げ弾性率、曲げ強度の測定を行った。上記結果を表1に示す。
<成形体外観の評価>
射出成形機(スクリュー径40mm、日精樹脂工業社製、FN−3000)を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、射出圧力65MPa、射出時間25秒、冷却時間15秒、スクリュー回転数200rpmの成形条件にて、平板プレート(60×90×3mm)を得た。得られた平板プレートの外観を以下の基準により評価した。上記結果を表1に示す。
◎:ガラス等の浮きが無く、表面に光沢があるもの
○:表面光沢は無いがガラス等の浮きは無いもの
△:若干ガラス等の浮きがあるもの
×:ガラスの浮きが激しいもの
<中空成形体の圧力損失評価>
射出成形体を成形するための金型に設けられたキャビティの形状を、直径21mm、長さ500mmの円筒形とした。加熱シリンダーに備えられたホッパーに投入した。成形条件は以下のとおりとした。
射出成形機設定温度:290℃、金型温度:80℃
射出圧力:1200kgf/cm2
射出率:70cc/秒
射出開始後1.4秒後に溶融樹脂の射出動作を停止し、その後、0.6秒後に加圧流体注入部から初期圧力7kgf/cm2の圧縮窒素ガスを加圧流体として注入し、さらに注入開始から0.9秒後に加圧流体注入部から初期圧力200kgf/cm2の水を加圧流体としてキャビティ内の溶融樹脂中に注入し、樹脂内部に中空部を形成した。加圧流体の圧力を35秒間保持し、キャビティ内の樹脂を冷却、固化させた。その後、中空部内の加圧流体を開放し、金型を型開きして中空成形体を金型から取り出した。
中空成形体を十分に冷却した後、当該中空成型体の端部を全長500mmになるように鋸にて円筒形の射出成形体の断面に沿って切断し、その端部の入口側と出口側に圧力計を取り付けて、中空成形体に10cc/秒の水が流れるときの圧力損失を評価した。圧力損失の評価は、入口側と出口側の圧力計のゲージ圧の差を測定した。なお、上記測定に際しては、同じ組成の成形体を5つ作成し、それらの各圧力損失を測定し、得られた5つの値の中の最大値をその実施例(又は比較例)の圧力損失とした。上記結果を表1に示す。
[実施例1〜9、比較例1〜6]
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、さらに6番目のバレルに下流側第一供給口、9番目のバレルに下流側第二供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。該二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを290℃、吐出量25kg/時間及びスクリュー回転数を下記表1に記載の数値に設定した。かかる条件下で、下記表1の上部に記載された割合となる様に、上流側供給口より上記のポリアミド樹脂(PA)、CuI及びKIをそれぞれ供給し、下流側第一供給口より(B2)を、下流側第二供給口より(B1)を供給した。そして、これらを溶融混練することで樹脂組成物のペレットを製造した。得られた樹脂組成物のペレットの水分が800ppm以下になるように乾燥した後、上述の各種成形及び評価を行った。これらの評価(計数)結果などを同表1に記載した。なお、表1中のA成分とB成分はA成分及びB成分の合計質量に対する含有率(質量%)で示している。また、表1中のC成分はA成分及びB成分の合計質量を100としたときの質量部数で示している。
Figure 2016166276
ポリアミド樹脂中空成形体のX/Yが1.6以上である実施例1〜9は、曲げ弾性率・曲げ強度、表面外観、中空成形体の圧力損失がいずれもバランスよく優れているものと認められた。このように、本実施例のポリアミド樹脂中空成形体は、機械的性質に優れるだけでなく、成形体の表面外観や中空部の内面平滑性にも優れることが確認された。一方で、比較例1〜6のいずれもが、曲げ弾性率・曲げ強度、表面外観、中空成形体の内面平滑性のバランスが悪いものと評価された。
本発明に係るポリアミド樹脂中空成形体は、機械的性質及び成形体外観に優れ、中空部分の内面の粗さを低下させることができるため、種々の自動車部品や家具用部品等をはじめとする幅広い分野、用途に用いることができ、産業上大いに有用である。

Claims (6)

  1. 25質量%以上85質量%以下の(A)ポリアミド樹脂と、15質量%以上75質量%以下の(B)ガラス繊維と、
    を含むポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド樹脂中空成形体であって、
    前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)ガラス繊維の重量平均繊維長X(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(X/Y)が1.6以上である、
    ポリアミド樹脂中空成形体。
  2. 前記(A)成分が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T及びポリアミド6I並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
  3. 前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)成分の重量平均繊維長が、100μm以上500μm以下である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
  4. 前記ポリアミド樹脂中空成形体における前記(B)成分の数平均繊維長Z(μm)と中央値D50(Y)(μm)との比(Z/Y)が、1.2以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
  5. 前記(B)成分が、数平均繊維長1.5mm以上9mm以下のチョップドストランドと、数平均繊維長1mm以下のミルドファイバーとの混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
  6. 前記(B)成分100質量%に対する前記チョップドストランドの割合が50質量%を超える、請求項5に記載のポリアミド樹脂中空成形体。
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