JP2016162403A - ポリイミドを貼り合わせ接着層とする光学部材 - Google Patents
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Abstract
Description
タッチパネルにおける透明電極が形成されたガラス板又はフィルムと、ガラス又は樹脂製の透明保護板との貼り合わせに両面粘着シートを用いる技術がある(特許文献1)。しかしながら、両面粘着シートを用いると、貼り合せ時に気泡が入り易いとの問題があった。
これ以外にも、上記の貼り合わせに際して、ラジカル重合性の光硬化性樹脂組成物を塗布する方法(特許文献2)、カチオン重合性の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法(特許文献3)、ラジカル重合性の光硬化性樹脂組成物を塗布し、光照射により硬化させた後に熱硬化させる方法(特許文献4)等が提案されている。
例えば、光硬化性樹脂組成物を塗布した後に重合させた場合は、硬化ムラが起こり易いという問題があった。また、光を照射するために、光学基材の選択の幅が狭くなるという問題があった。
光照射工程と熱硬化工程を含む場合は、工程が煩雑となるという問題があり、更に光照射後の塗布層を熱硬化すると着色する傾向にあるため、性能が著しく低下するという問題があった。
本発明は、上記に説明した問題点に鑑みてなされたものであり、塗布層の硬化ムラがなく、熱硬化した後の黄色度が低く、耐熱性及び耐薬品性に優れる塗布層を貼り合せ層とする、光学部材を提供することを目的とする。
20μm膜厚での全光線透過率が70%以上であり、黄色度が20以下であるポリイミドと、
第二の光学基材と、
をこの順で積層してなる光学部材。
[2] 前記ポリイミドの10μm膜厚における残留応力が50MPa〜−50MPaである、[1]に記載の光学部材。
[3] 前記ポリイミドが、
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを重合させてポリイミド前駆体を得た後にイミド化して得られ、
該ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも一方がケイ素含有化合物を含み、
該ケイ素基含有化合物の量が、前記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の総質量を基準として0.1質量%〜50質量%である、[1]又は[2]に記載の光学部材。
[5] 前記ポリイミドが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(CHDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、及び9,9’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(BPAF)からなる群より選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物を重合させてポリイミド前駆体を得た後にイミド化して得られるものである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学部材。
[7] 前記第二の光学基材が、ディスプレイ本体である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学部材。
工程1:第一の光学基材に対して、ポリイミド前駆体を含有する熱硬化型樹脂組成物を塗布して、塗布層を形成する工程、
工程2:前記塗布層が形成された第一の光学基材を、該塗布層のポリイミド前駆体のイミド化率が30%〜100%となるまで加熱硬化する工程、及び
工程3:前記工程2で得られた光学基材上の硬化層に、第二の光学基材を加熱により貼り合せる工程。
本発明の実施の形態に係るポリイミドは、膜厚が20μmにおける全光線透過率が70%以上であり、黄色度が20以下である。
本発明の実施の形態に係る全光線透過率および黄色度は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本発明の実施の形態に係るポリイミドの全光線透過率が70%以上であれば、該ポリイミドを接着層として光学部材とした際に、十分な透過率を有する。その中で、ポリイミドの全光線透過率は、75%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
本発明の実施の形態に係るポリイミドの黄色度が20以下であれば、該ポリイミドを接着層として光学部材とした際に、十分な性能を発揮し得る。その中で、ポリイミドの黄色度は、18以下がより好ましく、15以下が特に好ましい。
本発明の実施の形態に係るポリイミドは、10μm膜厚における残留応力が50MPa〜−50MPaであることが好ましい。この値が50MPa〜−50MPaの範囲となることにより、該ポリイミドを接着層として光学基材を貼り合せた後に、塗布層と光学基材との剥がれが少なくなる傾向にある。本発明の実施の形態に係るポリイミドにおける残留応力は、30MPa〜−30MPaがより好ましく、25MPa〜−25MPa以下が特に好ましい。
本発明の実施の形態に係るポリイミドの残留応力は、後述する実施例の方法によって測定することができる。
前記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物としては、公知のものを用いることができる。
前記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも一方は、ケイ素基含有化合物を含むことが好ましい。該ケイ素基含有化合物の含有割合は、前記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の総質量を基準として、0.1質量%〜50質量%であることが好ましい。
ポリイミドを得るためのモノマーがケイ素基含有化合物を含むことにより、該ポリイミドを接着層として貼り合せる際に、硬化ムラが出来難い傾向にあるため好ましい。
好ましい態様において、ケイ素基含有化合物は、一般式(1)で表されるシリコーン化合物である。
一般式(1)において、L1、L2、及びL3は、それぞれ独立に、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基、酸エステル基、酸ハライド基、ヒドロキシ基、エポキシ基、又はメルカプト基であり、ただし、L1、L2、及びL3のうち2つはアミノ基であるか、又は酸無水物構造を有する基である。
L1及びL2が酸無水物構造を有する基である化合物の具体例としては、例えば、X22−168AS(信越化学製、数平均分子量1,000)、X22−168A(信越化学製、数平均分子量2,000)、X22−168B(信越化学製、数平均分子量3,200)、X22−168−P5−8(信越化学製、数平均分子量4,200)、DMS−Z21(ゲレスト社製、数平均分子量600〜800)等が挙げられる。
好ましい態様において、本開示の各式において、R3及びR4は、残留応力、コストの観点から、それぞれ独立に、炭素数1〜3の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の一価の芳香族炭化水素基である。或いは、本開示の各式において、R3及びR4の一部は、耐熱性、残留応力の観点から、フェニル基であることが好ましい。
ケイ素基含有化合物は、ジアミン化合物であることが好ましい。
重合原料に含まれるテトラカルボン酸二無水物(ただし、上記ケイ素基含有化合物がテトラカルボン酸二無水物である場合を除く)としては、具体的には、炭素数が8〜36の芳香族テトラカルボン酸二無水物、及び炭素数が6〜36の脂環式テトラカルボン酸二無水物から選択される化合物が、黄色度の低減及び全光線透過率の向上の観点から好ましい。
6FDA、ODPA及びBPADAが、黄色度の低下、複屈折率の低下、及び機械伸度向上の観点で;
BPDAが、残留応力の低減、黄色度の低下、複屈折率の低下、耐薬品性の向上、Tg向上、及び機械伸度向上の観点で;
CHDAが、残留応力の低減及び黄色度の低下の観点で、
それぞれ好ましい。これらの中でも、高耐薬品性、高Tg及び低CTEを発現する強直構造のBPDAと、
黄色度及び複屈折率が低い、6FDA、ODPA、及びCHDAからなる群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物と、
を組み合わせて使用することが、高耐薬品性、残留応力低下、黄色度低下、複屈折率の低下、及び、全光線透過率の向上の観点から好ましい。
本実施の形態におけるポリイミド前駆体は、その性能を損なわない範囲で、上述のテトラカルボン酸二無水物に加えて、機械伸度の向上、ガラス転移温度の向上、黄色度の低減等の性能を調整する目的で、ジカルボン酸を共重合してポリアミド成分を導入することにより、熱硬化膜をポリアミドイミドとすることもできる。そのようなジカルボン酸として、芳香環を有するジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸が挙げられ、特に、黄色度の低減及び全光線透過率の向上の観点から、炭素数が8〜36の芳香族ジカルボン酸、及び炭素数が6〜34の脂環式ジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1つの化合物が好ましい。
ジアミン化合物としては、例えば2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBとも記す)、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(又は3,3’−)ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−(又は3,3’−)ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ベンゾフェノンジアミン、3,3’−ベンゾフェノンジアミン、4,4’−ジ(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ジ(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,6,6’−テトラトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス{(4−アミノフェニル)−2−プロピル}1,4−ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、
好ましい態様において、樹脂前駆体は、一部イミド化されていてもよい。
本発明の実施の形態では、前述したポリイミド前駆体又は前駆体混合物と、溶媒とを含有する、樹脂組成物を提供する。樹脂組成物は、典型的にはワニスである。
より好ましい態様としては、樹脂組成物は、カルボン酸成分及びジアミン成分を、溶媒、例えば有機溶媒に溶解して反応させ、樹脂前駆体の一態様であるポリイミド前駆体及び溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液として製造することができる。ここで、反応時の条件は、特に限定されないが、例えば、反応温度は−20℃〜150℃、反応時間は2時間〜48時間である。ケイ素基含有化合物の反応を十分に進めるために、120℃において30分程度の加熱を行うことが好ましい。反応は、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の実施の形態に係るポリイミド前駆体を含有する樹脂組成物は、熱硬化型の樹脂組成物であることが好ましい。該熱硬化型樹脂組成物には、性能に悪影響を与えない範囲で、添加剤を含むことができる。本発明の実施の形態に係る添加剤としては、例えば、架橋剤、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。
特に、ケイ素基含有化合物を添加することにより、貼り合せに必要な熱及び/又は圧力を低減することができるため好ましい。
L1、L2、及びL3がヒドロキシ基である化合物の具体例としては、KF−6000(信越化学製、数平均分子量900)、KF-6001(信越化学製、数平均分子量1,800)、KF−6002(信越化学製、数平均分子量3,200)、KF−6003(信越化学製、数平均分子量5,000)等が挙げられる。
L1、L2、及びL3がエポキシ基である化合物の具体例としては、例えば、両末端エポキシタイプである、X22−163(信越化学製、数平均分子量400)、KF-105(信越化学製、数平均分子量980)、X22−163A(信越化学製、数平均分子量2,000)、X22−163B(信越化学製、数平均分子量3,500)、X22−163C(信越化学製、数平均分子量5,400);両末端脂環式エポキシタイプである、X22−169AS(信越化学製、数平均分子量1,000)、X22−169B(信越化学製、数平均分子量3,400);側鎖両末端エポキシタイプである、X22−9002(信越化学製、官能基当量5,000g/mol)等が挙げられる。
L1、L2、及びL3がメルカプト基である化合物の具体例としては、例えばX22−167B(信越化学製、数平均分子量3,400)、X22−167C(信越化学製、数平均分子量4,600)等が挙げられる。
次に本実施の形態に係るポリイミド前駆体の合成方法に関して説明する。例えば、本実施の形態に係るポリイミド前駆体が、例えばブロック1及びブロック2のような2つのブロックから構成されている場合、各ブロックに対応するポリイミド前駆体を別々に調製しておき、その後で両者を混合して縮合反応に付すことにより、本実施の形態に係るポリイミド前駆体を得ることができる。ここで両ブロックを縮合反応に付すことができるように、片方のブロックのポリイミド前駆体の末端基をカルボン酸にした場合には、他方のブロックのポリイミド前駆体の末端基はアミノ基になるようにする等、それぞれ原料のモル比、例えばテトラカルボン酸二無水物及びジアミンのモル比を調節することが好ましい。この方法によると、より好ましい完全なブロック性を有するポリイミド前駆体を合成することができる。
本発明の実施の形態に係る第一の光学基材としては、タッチパネルセンサーであることが好ましい。
本発明の実施の形態に係る第二の光学基材としては、ディスプレイ本体であることが好ましい。
工程1:第一の光学基材に対して、ポリイミド前駆体を含有する熱硬化型樹脂組成物を塗布して、塗布層を形成する工程、
工程2:該塗布層が形成された第一の光学基材を、該塗布層のポリイミド前駆体のイミド化率が30%〜100%となるまで加熱硬化する工程、及び
工程3:前記工程2で得られた光学基材上の硬化層に、第二の光学基材を加熱により貼り合せる工程。
以下それぞれを説明する。
前記工程2における塗布層のイミド化率が30%〜100%となるまで加熱硬化する工程における加熱温度は、イミド化率が所望の割合になれば限定されない。この中で、100℃以上500℃以下が好ましく、200℃以上450℃以下がより好ましく、250℃以上400以下が特に好ましい。
前記工程2における加熱の際の雰囲気は、窒素等の不活性雰囲気下でも、空気雰囲気下でも実施することができる。この中で、塗布層の黄色度の観点から、不活性雰囲気下で実施することが好ましい。加熱硬化を実施するオーブン中の酸素濃度は、1,000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
前記工程2における加熱硬化の時間は、前記イミド化率が所望の割合になれば限定されない。例えば、1分以上600分以下で実施される。
なお、イミド化率の測定は、後述する実施例に記載に方法によって算出することができる。
前記工程3における加熱工程は、工程2で加熱硬化して得られた塗布層と、他の光学基材とを貼り合せることのできる条件であれば限定されない。具体的には、例えば、工程2に記載の加熱条件と同様の条件で実施される。
本実施の形態に係る塗布層の厚さは、特に限定されず、5μm〜200μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmである。
実施例及び比較例における各種評価は次のとおりに行った。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたもの
検量線:スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)及びUV‐2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
ケイ素基含有モノマー濃度は、樹脂前駆体を合成する際に使用したケイ素基含有モノマー、多価カルボン酸又はその誘導体、及びジアミン化合物それぞれの質量を用いて、下記式から算出した。
ケイ素基含有モノマー濃度(%)=ケイ素基含有モノマー質量/
(ケイ素基含有モノマーの質量+多価カルボン酸又はその誘導体の質量+ジアミン化合物の質量)×100
各実施例又は比較例で得られたポリイミド前駆体組成物を、スピンコーター(MIKASA製)を用いて無アルカリガラス基板(厚さ0.7mm)上に塗工し、室温において5分間〜10分間レベリングを行った後、縦型キュアオーブン(光洋リンドバーグ社製、型式名VF−2000B)中、窒素雰囲気下で280℃において60分間加熱して組成物の塗布層を得た。加熱後の組成物塗布層の膜厚は20μmとした。
室温まで冷却した塗布層付ガラス基板の塗布層側に、もう1枚の無アルカリガラス基板(厚さ0.7mm)を貼り合せ、再び縦型キュアオーブン中、350℃において60分間キュア(硬化処理)することにより、貼りあわせ光学部材を作製した。
前記光学部材を作製した後に、塗布層の硬化ムラの具合を目視で観察した。目視観察により、硬化ムラが観察されないものを○(良好)、硬化ムラが観察されたものを×(不良)とした。
厚み20μmの樹脂フィルムを、日本電色工業(株)製(Spectrophotometer:SE600)にてD65光源を用い、黄色度(YI値)及び全光線透過率を測定した。
なお、樹脂フィルムの厚みが20μmではない場合には、該フィルムの測定値に対して厚み換算を行うことにより、厚み20μmにおける黄色度及び全光線透過率を知ることができる。
残留応力測定装置(テンコール社製、型式名FLX−2320)を用いて予め「反り量」を測定しておいた厚み625μm±25μmの6インチシリコンウェハ上に、各実施例又は比較例で得られたポリイミド前駆体組成物をスピンコーターにより塗布し、100℃にて10分間プリベークした後、縦型キュア炉(光洋リンドバーグ社製、型式名VF−2000B)を用いて、窒素雰囲気下、350℃1時間の加熱硬化処理を施し、硬化後膜厚10μmの樹脂膜のついたシリコンウェハを作製した。このウェハの反り量を前述の残留応力測定装置を用いて再度測定し、シリコンウェハと樹脂膜との間に生じた残留応力を評価した。
無アルカリガラス基板上に、各実施例又は比較例で得られたポリイミド前駆体組成物をスピンコーターにより塗布し、窒素雰囲気下、350℃において60分間キュアした後に剥離することにより、厚み20μmの樹脂フィルム片を得た。該樹脂フィルム片を室温のNMP中に30分間浸漬し、イオン交換水で洗浄した後、フィルム表面を顕微鏡で観察した。この時にクラック又は膨潤が観察された場合は耐薬品性×(不良)、これらのいずれも観察されなかった場合は耐薬品性○(良好)とした。
イミド化率の算出を、IR(Thermo Scientific社製)により行った。具体的には、上記の光学部材の作製方法と同様にして作製したフィルムについて赤外分光分析を行い、1,380cm−1付近のピーク高さを1,500cm−1付近のピーク高さで割ることにより、イミド化率を求めた。
ここで、イミド化率は、キュア温度を450℃にした他は上記の光学部材の作製方法と同様にして作製したフィルムのイミド化率を100%とし、キュアしていないフィルムのイミド化率を0として作成した検量線を用いて算出した。
オイルバスを備えた撹拌棒付き3Lセパラブルフラスコに、窒素ガスを流通しながら、NMP1,000gを加え、更にジアミンとして3,3−(ジアミノジフェニル)スルホン232.4gを撹拌しながら加え、続いてテトラカルボン酸二無水物として4,4’−オキシジフタル酸二無水物310.2gを加えた後、室温で30分撹拌した。これを50℃に昇温し、12時間撹拌した。次いでここに、ケイ素基含有ジアミンとして両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学社製:X22−1660B−3、数平均分子量4,400、)105.6gをNMP298gに溶解したものを、滴下漏斗を使用して滴下した。系内温度を80℃に昇温して1時間撹拌した後、オイルバスを外して室温に戻すことにより、透明なポリアミド酸のNMP溶液(ワニス)を得た。ここでの組成及び得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)を表1に示す。また、上述のようにして評価したフィルムの試験結果を表2に示す。
前記ポリアミド酸のNMP溶液を、前記光学部材の作製方法にて光学部材を作製した。
なお、上記光学部材中のポリイミドのイミド化率は100%であった。
上記実施例1において、ジアミン、テトラカルボン酸無水物、及びケイ素基含有ジアミンの種類及びそれらの添加質量を、それぞれ表1に記載したとおりに変更した他は実施例1と同様の操作を行って、それぞれワニスを得た。
ここで、表1に示すNMPの添加量は、最終的にワニスに含まれるNMPの総量を示し、ケイ素基含有ジアミンを希釈する298gのNMPを含んだ質量である。ここで得られたポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)を、それぞれ表1に合わせて示した。
なお、これらの上記光学部材中のポリイミドのイミド化率は、いずれも100%であった。
ポリウレタンアクリレート(商品名:UV−3000B、日本合成化学工業社製)50g、イソボルニルアクリレート(商品名:IBXA、大阪有機化学工業社製)30g、光重合開始剤(商品名:IRGACURE184、BASF社製)3gを混合し、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を、MIKASA製スピンコーターを用いて無アルカリガラス基板上に塗布し、もう1枚の無アルカリガラス基板を貼り合せた後にUVの照射を行った。
4,4−DAS:4,4−(ジアミノジフェニル)スルホン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
1660B−3:X22−1660B−3(商品名)、信越化学社製、両末端アミン変性メチルフェニルシリコーンオイル
Claims (8)
- 第一の光学基材と、
20μm膜厚での全光線透過率が70%以上であり、黄色度が20以下であるポリイミドと、
第二の光学基材と、
をこの順で積層してなる光学部材。 - 前記ポリイミドの10μm膜厚における残留応力が50MPa〜−50MPaである、請求項1に記載の光学部材。
- 前記ポリイミドが、
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを重合させてポリイミド前駆体を得た後にイミド化して得られ、
該ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも一方がケイ素含有化合物を含み、
該ケイ素基含有化合物の量が、前記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の総質量を基準として0.1質量%〜50質量%である、請求項1又は2に記載の光学部材。 - 前記ポリイミドが、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種を含むジアミン化合物を重合させてポリイミド前駆体を得た後にイミド化して得られるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材。
- 前記ポリイミドが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(CHDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TAHQ)、及び9,9’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(BPAF)からなる群より選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物を重合させてポリイミド前駆体を得た後にイミド化して得られるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材。
- 前記第一の光学基材が、タッチパネルセンサーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材。
- 前記第二の光学基材が、ディスプレイ本体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材。
- 下記工程1〜3を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法;
工程1:第一の光学基材に対して、ポリイミド前駆体を含有する熱硬化型樹脂組成物を塗布して、塗布層を形成する工程、
工程2:前記塗布層が形成された第一の光学基材を、該塗布層のポリイミド前駆体のイミド化率が30%〜100%となるまで加熱硬化する工程、及び
工程3:前記工程2で得られた光学基材上の硬化層に、第二の光学基材を加熱により貼り合せる工程。
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