JP2014049245A - 透明電極、表示デバイス、エレクトロルミネッセンスデバイス、発光素子デバイス - Google Patents

透明電極、表示デバイス、エレクトロルミネッセンスデバイス、発光素子デバイス Download PDF

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靖久 市橋
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Abstract

【課題】
自発光型のディスプレイとしてエレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)の製造などに用いられる光取り出し効率が高くかつ生産性の高い透明電極を提供すること。
【解決手段】
支持体と、無機化合物粒子及び該無機化合物粒子に結合しているポリマーを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、透明導電性膜と、を備え、前記有機無機複合膜の空隙率が、3〜90体積%である、透明電極。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機無機複合膜を備える透明電極、並びに、それを備える表示デバイス、エレクトロルミネッセンスデバイス及び発光素子デバイスに関する。
近年、自発光型のディスプレイとしてエレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)が高画質や省電力の点で注目されている。しかしながら、自発光型の素子では、発光効率の改良とともに発光面からいかに効率よく光を取り出すかが重要である。
発光素子の内部で発生した光が発光素子の外部へ取り出される取り出し率ηは、古典光学の法則により、屈折率nの媒体中から屈折率1.0の空気中に出射される際の全反射の臨界角θcで決まる。屈折の法則からこの臨界角θcは次の式(1)で与えられる。
sinθc=1/n (1)
そして取り出し率ηは、屈折率nの媒体から空気中へ通過する光量と発生した全光量(媒体と空気の界面で全反射される光量と空気中へ通過する光量の和)の比から次の式(2)で求められる。
η=1−(n−1)1/2/n (2)
ここで、媒体の屈折率nが1.5より大きい場合には次の近似式(3)を用いることができるが、媒体の屈折率nが1.0に極めて近い場合は上記の式(2)を用いる必要がある。
η=1/(2n) (3)
また、例えば図5に示す有機EL素子30において、発光層33や陽極32の厚みは光の波長より短いので、ガラス板31の屈折率が主として取り出し率ηに寄与することになる。そしてガラスの屈折率nは一般に1.45〜1.6程度であるので、(3)式から、取り出し率ηは約0.2(約20%)になる。残りの約80%はガラス板31と空気の界面の全反射によって導波光として失われているものである。
そのため、光取り出し効率を上げる方法として、例えば、公知例として特許文献1及び2並びに非特許文献1では、有機EL素子においてシリカエアロゲルによる低屈折率層(1.01〜1.3)を作製導入しており、基板と発光層の間に低屈折率層を設けることにより、フォトルミネセンス発光強度が約2倍向上することが示されている。しかしながら、シリカエアロゲルの作製は、高圧容器中で液化炭酸ガス存在下、80℃、16MPaで超臨界乾燥を行うなど複雑な工程を含み、生産のスループットを考えた場合、実用的ではない。
他の公知例の非特許文献2では、有機EL素子において、ガラス基板上で透明電極の下部にあたる領域に、シリコン窒化膜SiNを設け、ガラス基板とSiN膜の境界に深さ70−400nmで200−900nm周期のパターンを設けたフォトニック結晶をベースとして、光取り出し効率の改善を試みている。その結果、パターン溝の深さを深くすることにより光取り出し効率が向上でき、光り取り出しを50%増大できることが示されている。しかし、工程は複雑であり、生産のスループットを考えた場合、やはり実用的ではない。
特開2001−202827号公報 特開2007−180037号公報
T.Tutsui et al. Advanced Materials、 WILEY−VCH Verlag GmbH、13巻、15号、2001年、p.1149−1152 Yong−Jae Lee, et al. Appl.Phys.Lett、American Institute of Physics、82巻、21号、2003年、p.3779−3780
本発明の主な目的は、光取り出し効率の高いエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイを効率よく生産するための透明電極を提供することにある。
本発明は、以下のものに関する。
[1]支持体と、
無機化合物粒子及び該無機化合物粒子に結合しているポリマーを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、
透明導電性膜と、を備え、
前記有機無機複合膜の空隙率が、3〜90体積%である、透明電極。
[2]前記無機化合物粒子が、数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成している、[1]に記載の透明電極。
[3]前記無機化合物粒子と前記ポリマーとが、下記式1で表される構造を有するカップリング剤を介して結合している、[1]又は[2]に記載の透明電極。
X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
[式中、Xは、重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。]
[4]前記ポリマーの分子量分布が2.3以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の透明電極。
[5]前記透明導電性膜が、インジウムスズ酸化物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の透明電極。
[6]前記支持体が、樹脂フィルム又はガラス基板である、[1]〜[5]のいずれかに記載の透明電極。
[7]前記複合体層の屈折率が、1.05〜1.35である、[1]〜[6]のいずれかに記載の透明電極。
[8]粘着剤又は接着剤を含有する接続層を更に備える、[1]〜[7]のいずれかに記載の透明電極。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の透明電極を備える、表示デバイス。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の透明電極を備える、エレクトロルミネッセンスデバイス。
[11][1]〜[8]のいずれかに記載の透明電極を備える、発光素子デバイス。
本発明によれば、有機無機複合膜を備える透明電極により、光取り出し効率の高い自発光型のディスプレイとしてエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイを効率よく生産できる。
本実施の形態に係る透明電極の模式断面図である。 本実施の形態に係る別の透明電極の模式断面図である。 無機化合物粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。 原材料の数珠状無機化合物粒子のTEM写真である。 本実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式断面図である。 本実施の形態に係る有機EL素子の一例を示す模式断面図である。 本実施の形態に係る実施例の有機EL素子の模式断面図の一例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の透明電極は、支持体と、無機化合物粒子及び該無機化合物粒子に結合しているポリマーを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、透明導電性膜と、を備える。また、本実施の形態において、有機無機複合膜の空隙率は、3〜90体積%である。
[支持体]
本実施の形態に係る支持体は、特に限定されるものではないが、表示装置等への適用を考慮すると、全光線透過率が90%以上であり、且つ、ヘーズが2%以下である、透明性の支持体の使用が好ましい。
本実施の形態に係る支持体がフィルムの場合、その厚みは、特に限定されるものではないが、強度と重さとのバランスを考慮すると、好ましくは20μm〜1mm、より好ましくは75μm〜200μmである。
本実施の形態に係る支持体がフィルムの場合、その材質は、特に限定されるものではないが、軽量で破損しにくいことから、樹脂製のフィルムを選択することが好ましい。中でも、光学特性に優れるという観点から、例えば、TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)をはじめとするセルロースフィルム、PETフィルム(ポリエチレンテレフタラートフィルム)、(メタ)アクリルフィルム、環状ポリオレフィンフィルム(COPフィルム)、PPフィルム(ポリプロピレンフィルム)、ポリカーボネート(PC)フィルム等が好適である。中でも、TACフィルム、PETフィルム、(メタ)アクリルフィルム、COPフィルムが好ましく、より好ましくは、TACフィルムと(メタ)アクリルフィルムである。
上記セルロースフィルムの原料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等があげられる。これらの中でも、光学特性と入手のし易さの観点から、TACが特に好ましい。TACフィルムの市販品の例としては、富士フイルム株式会社製の「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカミノルタ株式会社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルフィルムの原料としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用できる。例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。具体例としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の「アクリペットVH」や「アクリペットVRL20A」、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
また(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載のものが挙げられる。
上記COPフィルムの原料としては、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載の、環状ポリオレフィン樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体、及び、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びに、それらの水素化物などが挙げられる。環状ポリオレフィン樹脂の市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製の「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の「アートン」、TOPAS Advanced Polymers GmbH社製の「TOPAS」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」が挙げられ、これらをフィルム化して使用しても良い。
本実施の形態に係る支持体は、フィルム以外にガラス基板でもよく、その場合の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.2mm〜10mm、より好ましくは0.7mm〜2mmである。
支持体がフィルムの場合、その表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド皮膜によるバリア層が形成されていても良い。
バリア層が形成された支持体(フィルム)の物性は、特に限定されるものではないが、デバイスの長期信頼性の観点から、好ましい水蒸気透過度(40℃、90%RH)は、0.01g/m・day・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更に、酸素透過度(20℃、100%RH)が10−2g/m/day以下、水蒸気透過度が10−3g/m/day以下であることが好ましい。
上記バリア層を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に、膜の脆弱性を改良するため、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については、特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
上記バリア層の形成方法は、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
また、本実施の形態に係る支持体は、ガラスからなるガラス基板等であってもよい。
[(A)無機化合物粒子]
無機化合物とは、有機化合物以外の化合物であり、具体的には、一部の炭素化合物を除き、炭素以外の元素で構成される化合物を指す。
無機化合物を構成する元素としては、例えば、周期律表1〜16族の元素が挙げられる。この元素は、特に限定されるものではないが、周期律表2〜14族に属する元素が好ましい。その具体例としては、2族元素(Mg、Ca、Ba等)、3族元素(La、Ce、Eu、Ac、Th等)、4族元素(Ti、Zr、Hf等)、5族元素(V、Nb、Ta等)、6族元素(Cr、Mo、W等)、7族元素(Mn、Re等)、8族元素(Fe、Ru、Os等)、9族元素(Co、Rh、Ir等)、10族元素(Ni、Pd、Pt等)、11族元素(Cu、Ag、Au等)、12族元素(Zn、Cd等)、13族元素(Al、Ga、In等)、及び14族元素(Si、Ge、Sn、Pb等)が挙げられる。
これら元素を含む無機化合物としては、例えば、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩等)、一酸化炭素、二酸化炭素及び二硫化炭素等の陰性の元素と上記元素とから形成される化合物、並びに、青酸、青酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩及び炭化物などの塩が挙げられる。
炭素化合物のうち、例外的に無機化合物に分類されるものには、例えば、ダイヤモンド、ロンズデーライト、グラファイト、グラフェン、フラーレン類(バックミンスターフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等)、ガラス状炭素、カルビン、アモルファス炭素、カーボンナノフォームなど炭素の同素体等が挙げられる。
1つの無機化合物粒子は、上記元素のうち1種又は2種以上の含んでいてもよい。複数種の元素は、粒子中に均一に存在していても、偏在していてもよく、ある元素の化合物の粒子の表面が、別の元素の化合物によって被覆されていてもよい。これら無機化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
無機化合物粒子(特に球状粒子)の大きさは、特に限定されるものではないが、平均粒径(粒子の外径の平均値)は好ましくは1〜200nmである。平均粒径が200nmより大きいと、有機無機複合体を光学材料として使用したときに、光の散乱などの問題が発生し易くなる傾向があり、平均粒径が1nm未満であると、無機化合物粒子を構成する物質固有の特性が変化する可能性がある。また、無機化合物粒子間の空隙を効果的に形成することが困難になる。同様の観点から、無機化合物粒子の平均粒径はより好ましくは1〜150nm、更に好ましくは10〜100nmである。無機化合物粒子の平均粒径が10〜70nmであることが好ましく、10〜60nmであることが更に好ましい。無機化合物粒子の平均粒径の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。
無機化合物粒子の形状や結晶形は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、結晶状、鱗片状、柱状、管状、繊維状、中空状、多孔質状、数珠状等、様々な形状であってよい。中でも、空隙を効果的に形成できる構造という観点から、中空、数珠状、又は球状が好ましい。
無機酸化物粒子としては、炭素以外の元素、例えば、Si、Zr、Ti、Ar、Sn、Ca、Ba等の酸化物から形成された粒子であれば、特に限定されるものではないが、入手のし易さの観点から、SiO、ZrO、TiO、Al、BaTiO、及びCaCOが好ましく、特に好ましくは、SiOである。無機化合物には、単独の無機化合物だけではなく、複数の無機化合物からなる複合物も含まれる。具体的には、例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(インジウムスズ酸化物、ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、「ZrO粒子又はTiO粒子表面が、SiOやAlで被覆された無機酸化物粒子」、「ZrO、SiO及びSnOの複合無機酸化物粒子」等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる無機化合物粒子として、数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成する無機化合物粒子(以下、「数珠状無機化合物粒子」という。)を用いることもできる。
数珠状無機化合物粒子は、粒子が数珠状に連結及び/又は分岐した形状を持つ。具体的には例えば、図4に示すように、球状のコロイダルシリカが数珠状に連結した鎖状の構造を有するもの、及び連結したコロイダルシリカが分岐したもの(以下、「数珠状シリカ」という。)などを挙げることができる。上記数珠状シリカは球状シリカの一次粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子−粒子間を結合させたものである。少なくとも3個以上、更に好ましくは5個以上、より好ましくは7個以上の一次粒子が連結されている。数珠状無機化合物粒子は、数珠状に連結した一次粒子が分岐したものも包含する。数珠状無機化合物粒子をSEM、及びTEM等の電子顕微鏡を用いて倍率50,000〜100,000倍で観察したとき、視野に存在する粒子のうち、単独の球状粒子ではなく上記鎖状の構造を有する、及び分岐した構造を有する形態で存在している粒子の数が、少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90〜100%の範囲にある。
数珠状無機化合物粒子は、その立体的な障害により、他の数珠状無機化合物粒子が空間を密に占めることができず、その結果、より空隙率の高い膜を容易に形成できるため、特に好ましい。更には、上述の数珠状無機化合物粒子のようなL/Dが大きな無機化合物粒子を使用した場合、無機含有量によっては膜表面に凹凸構造が形成されるため、蓮の葉の表面を水滴が転がるのと同様の優れた撥水性を発現するため、特に好ましい。
無機化合物粒子間の空隙を効果的に形成できれば、円形度0.5〜1の無機化合物粒子を使用しても良い。均一性維持の観点から、この円形度は、より好ましくは0.7〜1、更に好ましくは0.85〜1である。円形度の測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
無機化合物粒子の空洞率は、特に限定されるものではないが、透明性と屈折率制御の容易性の観点から、粒子内の空洞率が5〜80%である無機化合物粒子を使用しても良い。
空洞率が5体積%未満であると、屈折率制御効果が小さく、80体積%を超えると、例えば、中空粒子の場合、外殻厚みが薄くなることで強度が低くなり、加工の際に破損する可能性がある。一方、空洞率が5〜80体積%であると、屈折率制御能に優れる。同様の観点から、この空洞率は、より好ましくは10〜60体積%、更に好ましくは15〜40体積%である。空洞率は「空洞率(体積%)=(空洞部分の体積)/(粒子全体の体積)×100」で表され、空洞率の測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
これらの無機化合物粒子の場合、無機化合物粒子間の空隙に加えて、無機化合物粒子内にも空洞が存在する。そのため、より屈折率の低い有機無機複合膜が得られる点で好ましい。無機化合物粒子の形態は、特に限定されるものではないが、屈折率制御の観点から、管状粒子、中空粒子、多孔質粒子が好ましく、特に好ましくは中空粒子と多孔質粒子である。中でも、入手のし易さの観点から、球状中空シリカ粒子と多孔質シリカが好ましい。
上記中空粒子の外殻厚みは特に限定されるものではないが、屈折率と成膜性のバランスの観点から、好ましくは1〜30nm、更に好ましくは5〜20nm、特に好ましくは7〜12nmである。
中空粒子の屈折率は、特に限定されるものではないが、屈折率制御効果が得られやすいことから、1.05〜1.4程度であることが好ましい。屈折率設計と成膜性のバランスの観点から、より好ましくは1.1〜1.35、更に好ましくは1.15〜1.3である。
[(B)ポリマー]
有機無機複合体を構成するポリマーは、その少なくとも一部は、無機化合物粒子の表面に、後述のカップリング剤(重合開始基を有するカップリング剤)を介して結合している。無機化合物粒子とポリマーとの結合は、結合の強さの観点から、共有結合であることが好ましい。このポリマーは、1種又は2種以上のラジカル重合性モノマーをモノマー単位として含んでいる。また、有機無機複合体は、異なるモノマー単位から構成される複数種のポリマーを含有していてよい。
<カップリング剤>
本実施形態におけるカップリング剤は、無機化合物粒子表面と、上述の有機ポリマーとを連結するために用いられる化合物である。このカップリング剤は、重合開始基と、無機化合物粒子表面と反応して結合を生成する官能基とを有する化合物であれば、特に限定されるものではない。このときの無機化合物粒子表面は、無機化合物そのものから形成されていてもよいし、表面処理されていてもよい。ここでいう表面処理とは、化学反応、熱処理、光照射、プラズマ照射、放射線照射等により、無機化合物粒子表面を官能基により修飾することである。
カップリング剤を、無機化合物粒子表面と結合させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機化合物粒子表面の水酸基とカップリング剤とを反応させる方法や、無機化合物粒子表面の表面処理により導入された官能基とカップリング剤とを反応させる方法がある。無機化合物粒子に結合したカップリング剤に、更にカップリング剤を反応させて、複数のカップリング剤を連結することも可能である。また、カップリング剤の種類によっては、水や触媒を併用してもよい。
カップリング剤が有する官能基は、特に制限はないが、例えば無機化合物粒子表面の水酸基との反応により結合を生成する場合には、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基、シラノール基、アミノ基、ホスホニウム基及びスルホニウム基等が挙げられる。中でも、反応性と、酸残存量や着色とのバランスの観点から、好ましいのは、イソシアネート基、クロロシリル基、アルコキシシリル基及びシラノール基であり、更に好ましくは、クロロシリル基及びアルコキシシリル基である。
カップリング剤の官能基数は、特に限定されるものではないが、1官能又は2官能であることが好ましく、特に好ましくは1官能である。官能基が2個以上存在すると、カップリング剤の縮合物(副生物)が生成し、その除去が困難になる。また、有機無機複合膜中に未反応の官能基が残存するため、加熱乾燥、加熱加工する工程などによってはアルコールや水などを生成し、膜が発泡する要因となる。また、無機化合物粒子が凝集する要因にもなりうる。
カップリング剤が有する重合開始基は、重合開始能を有する官能基であれば、特に限定されるものではない。例えば、後述のニトロキシド媒介ラジカル重合(以下、「NMP」という。)、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」という。)、可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、「RAFT」という。)に用いられる重合開始基が挙げられる。
NMPにおける重合開始基は、ニトロキシド基が結合している基であれば、特に限定されるものではない。
ATRPにおける重合開始基は、典型的には、ハロゲン原子を含む基である。ハロゲン原子の結合解離エネルギーが低いことが好ましい。例えば、3級炭素原子に結合したハロゲン原子、ビニル基、ビニリデン基及びフェニル基等の不飽和炭素−炭素結合に隣接する炭素原子に結合したハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基及びスルホニル基等のヘテロ原子含有共役性基に直接結合するか又はこれらに隣接する原子に結合したハロゲン原子が導入された基が、好ましい構造として挙げられる。より具体的には、下記一般式(1)で表される有機ハロゲン化物基、及び、一般式(2)で表されるハロゲン化スルホニル基が好適である。
式(1)及び(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキルアリール基を示し、Zはハロゲン原子を示す。
式(1)の重合開始基は、下記一般式(3)に示されるように、カルボニル基を有するものであってもよい。式(3)中、R、R及びZは、式(1)中のR、R及びZと同義である。
式(3)の重合開始基の具体例を下記化学式に示す。
RAFTにおける重合開始基は、一般的なラジカル重合開始基であれば、特に限定されるものではない。また、RAFT剤として機能するイオウ原子を含有する基を重合開始基として使用することもできる。重合開始基の例としては、トリチオカーボネート、ジチオエステル、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、チオウラン、チオ尿素、ジチオオキサミド、チオケトン及びトリスルフィドが挙げられる。
カップリング剤は、下記式1で表される構造を有することが好ましい。
X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
式1中、Xは、上述の重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。
好適なカップリング剤の具体例としては、以下のようなシラン化合物がある。
・3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(Cas番号:370870−81−8)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(ジクロロメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:1057260−39−5)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:688359−84−4)
・3−(メトキシジメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:531505−27−8)
・3−(ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:1186667−60−6)
・3−(トリメトキシシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:314021−97−1)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−86−6)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)メチルジエトキシシラン(Cas番号:1186667−65−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリエトキシシリル)プロピル エステル(Cas番号:880339−31−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(クロロジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:438001−36−6)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:663174−64−9)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(メトキシジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:861807−46−7)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−85−5)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)トリエトキシシラン(Cas番号:1233513−06−8)
上記ポリマーの重合形態は、特に限定されるものではないが、例えば、ホモポリマー、周期共重合ポリマー、ブロック共重合ポリマー、ランダム共重合ポリマー、グラジエント共重合ポリマー、テーパード共重合ポリマー又はグラフト共重合ポリマーが挙げられる。中でも、Tgや屈折率等の物性制御の観点から、共重合ポリマーが好ましい。
上記ポリマーは、汎用有機溶媒に対する溶解性や熱分解抑制の観点から、アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のホモポリマー又は共重合ポリマーであることが好ましい。
ラジカル重合性のモノマーは、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」という。)、又は可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、「RAFT」という)で重合可能であることが好ましい。
上記モノマーとしては、例えば、エチレン、「ブタ−1,3−ジエン、2−メチルブタ−1,3−ジエン、2−クロロブタ−1,3−ジエンのようなジエン類」、「スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−アミノスチレンなどのスチレン類」、「アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸アミド、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、アクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、アクリル酸1H,1H−ヘプタフルオロブチル、アクリル酸2−イソシアナトエチル、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどのアクリル酸エステル類」、「メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、メタクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロペンチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類」、「アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、アクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体」、「酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類」、「ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類」、「ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾル、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物」、「アリルアルコール、塩化アリル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなアリル化合物」、「フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ素アルキル基を有する化合物」、「アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−グリシジルスチレン等の官能性モノマー類」、「アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ジアクリル酸無水物、ジアクリル酸1,2−エタンジイル、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、ジビニルベンゼンなどの反応性二重結合を二つ以上有する化合物」などが挙げられる。中でも、コーティング膜や成形体の透明性を特に重視する場合は、スチレン類、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを選択することが好ましい。
上記モノマーの中でも、屈折率制御や撥水性/撥油性の付与を目的とする場合、フッ素を含有するモノマーを少なくとも1種以上選択することが好ましく、入手が容易であることから、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、及びメタクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルが更に好ましい。
フッ素を含有しないモノマーとしては、入手が容易であることから、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの使用が好ましく、中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル及びメタクリル酸ブチルから選ばれるモノマーが好ましい。
以下に、好ましいモノマーの具体例を化学式で示す。
上記ポリマーは、有機無機複合体を架橋させる目的で、架橋性官能基を有していても良い。架橋性官能基の種類は、特に限定されるものではないが、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基や、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基等)などが好ましい。
本実施形態に用い得る反応性二重結合は、後述する紫外線光等の活性光線の照射によりラジカルを発生する化合物(光ラジカル開始剤)から重合反応を開始して、硬化することができる不飽和結合のことをいう。反応性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基(アクリロイル基又はメタクリロイル基)中の炭素−炭素二重結合が好ましい。
反応性二重結合をポリマー中に導入する方法としては、反応性二重結合を二つ以上有する化合物をモノマーとして使用してポリマーを合成する方法、官能基を有するモノマーからポリマーを合成した後に、反応性二重結合を有する化合物をその官能基に付加させる方法等が挙げられる。
反応性二重結合を二つ以上有する化合物としては、限定されるものではないが、有機ポリマーを合成する際にゲル化等の問題を抑制できる、反応性の異なる二つ以上の二重結合を有する化合物が好ましい。中でも入手が容易な点からアクリル酸アリルがより好ましい。
反応性二重結合を有する化合物をポリマーに付加させる手法としては、ポリマー中の官能基と反応性二重結合を有する化合物中の官能基を反応させることが好ましい。ポリマー中又は反応性二重結合を有する化合物中の官能基としては、水酸基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基等の官能基が好ましい。これらの官能基の組み合わせとしては、例えば、水酸基−カルボキシル基、アミノ基−カルボキシル基、アミド基−カルボキシル基、アルコキシシリル基−カルボニル基、イソシアネート基−水酸基、エポキシ基−水酸基、アルコキシシリル基−水酸基、アミド基−水酸基、エポキシ基−アミノ基等が挙げられる。
反応性二重結合を有し、かつ水酸基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコールモノビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルカルボン酸ビニルエステル、ヒドロキシブチルカルボン酸ビニルエステル、((ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メトキシ)酢酸ビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルカルボン酸アリルエステル、ヒドロキシブチルカルボン酸アリルエステル、((ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メトキシ)酢酸アリルエステル等のヒドロキシアルキルカルボン酸アリルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などが好ましい。
反応性二重結合を有し、かつアルコキシシリル基を有する化合物としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテルなどが好ましい。
反応性二重結合を有し、かつカルボキシル基(開環してカルボキシル基となるものを含む)をを有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸などが好ましい。アミノ基を有する化合物としては、アミノプロピルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル等が好ましい。
反応性二重結合を有し、かつイソシアネート基を有する化合物としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクリロイルメチル)エチルイソシアネート、メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等が好ましい。
反応性二重結合を有し、かつエポキシ基含を有する化合物としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルカルボン酸ビニルエステル、グリシジルアリルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等が好ましい。
特に限定されるものではないが、架橋性官能基としてイソシアネート基を導入する場合、重合反応の容易さと官能基の反応性の観点から、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、及び2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート等をモノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成する手法が好ましい。更に、(メタ)アクリル酸2−イソシアナトエチル等を、モノマー単位の一つとして使用してポリマーを合成し、得られたポリマー中のイソシアネート基と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を反応させることで、架橋性官能基として、(メタ)アクリロイル基を導入することも可能である。
架橋性官能基として、(メタ)アクリロイル基を導入する場合、重合反応の容易さと官能基の反応性の観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをモノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成した後に、ポリマー中の水酸基と2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を反応させる手法がより好ましい。
また架橋性官能基として、環状エーテル基(エポキシ基等)を導入する場合、重合反応の容易さの観点から、グリリジル(メタ)アクリレートを、モノマー単位の一つとして使用することでポリマーを合成する手法が好ましい。
上記ポリマーの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、鎖状、分岐鎖状、ラダー型、スター型が挙げられる。その他、任意の置換基等を導入し、分散性や相溶性を向上させることも可能である。
上記ポリマーの分子量は、特に限定されるものではないが、その数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、好ましくは4000〜500000g/mol、より好ましくは8000〜200000g/mol、更に好ましくは10000〜100000g/molである。Mnが4000g/mol未満であると、無機化合物粒子の凝集が起こり易くなる傾向があり、更に、無機化合物粒子の周りに形成されるポリマー層の厚みが薄くなることで膜の形状を保つことが困難になる。500000g/molを超えると、無機化合物粒子としての特性が発現されにくくなったり、有機無機複合体間の空隙率が低下したりする傾向がある。
上記ポリマーの分子量分布は、質量平均分子量(以下、「Mw」という。)とMnより、Mw/Mnにより求められる。ここでいうMn及びMwは、後述の実施例において詳細に説明されるように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリメタクリル酸メチル換算の値である。
本実施形態において、有機無機複合体に含まれるポリマーの分子量分布は2.3以下である。無機化合物粒子の分散性、空隙制御、あるいは成膜性の観点から、ポリマーの分子量(鎖長)が揃っていること、つまり、分子量分布が1に近い値であることが好ましい。係る観点から、分子量分布は、好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.0〜2.1、さらに好ましくは1.0〜1.9、特に好ましくは1.0〜1.8である。
重合反応において、連鎖移動反応や二分子停止反応などが起こった場合には、分子量分布が2.3より大きくなる。その場合、フリーポリマーが生成する、あるいは、無機化合物粒子が凝集するなどの不具合が生じる。また、本実施形態の有機無機複合膜においては、無機化合物粒子に結合したポリマーが主にバインダーとして機能するため、ポリマーの分子量が揃った、より均一なシェル層を形成することが、自己成膜性の観点からも極めて重要である。
[有機無機複合体]
有機無機複合体のガラス転移温度(以下、Tgという。)は、特に限定されるものではないが、べたつきを抑制しつつ、良好な成膜性を付与できるという理由から、−10〜180℃であることが好ましく、より好ましくは0〜160℃、更に好ましくは20〜150℃、特に好ましくは40〜120℃である。
有機無機複合体のハロゲン含有量(臭素及び塩素の合計量)は特に限定されるものではないが、成膜性が良好であるという理由から、当該有機無機複合体の全質量を基準として、0.001〜2.5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜1.5質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
有機無機複合体の銅含有量は、特に限定されるものではないが、着色を抑制するため、0.2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.02質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下である。
有機無機複合体におけるフッ素含有量は、特に限定されるものではないが、汎用有機溶媒への分散性と、屈折率制御効果、撥水/撥油性、透明性とのバランスを考慮すると、当該有機無機複合体の全質量を基準として0〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは、5〜40質量%である。
有機無機複合体における無機化合物粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、屈折率制御の観点から、好ましくは50〜96質量%、より好ましくは60〜93質量%、更に好ましくは70〜90質量%、特に好ましくは75〜87質量%である。また、屈折率制御と成膜性や成形性の観点から、無機化合物粒子の含有量は、有機無機複合体の全体積を基準として好ましくは35〜94体積%、より好ましくは45〜88体積%、更に好ましくは55〜83体積%、特に好ましくは62〜78体積%である。
[有機無機複合体の製造方法]
本実施形態に係る有機無機複合体は、例えば、無機化合物粒子の表面に、重合開始基を有するカップリング剤を結合させる工程と、重合開始基により開始されるラジカル重合により上記ポリマーを形成させる工程と、必要に応じて上記ポリマーに反応性二重結合を有する化合物を付加させる工程と、を備える方法により得ることができる。
無機化合物粒子とカップリング剤との反応により、無機化合物粒子の表面にカップリング剤が導入された表面改質無機化合物粒子無機化合物粒子が得られる。無機化合物粒子とカップリング剤との反応は、これらが分散又は溶解する反応液中で行うことができる。この時、反応液を加熱してもよい。カップリング剤との反応後、又は、カップリング剤と同時に疎水化剤を加え、反応しても良い。無機粒子表面の残留水酸基と反応するものであれば、疎水化剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMS)、ジメチルエチルクロロシラン、クロロジメチルプロピルシラン、ブチルクロロジメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、ベンジルクロロジメチルシラン、クロロジメチル(3−フェニルプロピル)シラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられる。
ラジカル重合としては、生成するポリマーの分子量分布を小さくすることができる点で、リビングラジカル重合(以下、「LRP」という。)を選択することが好ましい。LRPとしては、NMP、ATRP及びRAFTがある。一般的に、この中でも、重合開始剤の汎用度、適用可能なモノマーの種類の多さ、重合温度等の点から、ATRPが特に好ましい。また、本発明の有機無機複合体においては、無機化合物粒子に結合していないフリーのポリマーの生成を抑制する必要があり、この観点からも、重合制御が容易なATRPが特に好ましい。
ラジカル重合の方式は特に限定されず、例えば、塊状重合法又は溶液重合法を選択できる。更に、生産性や安全性の観点から、懸濁重合、乳化重合、分散重合、シード重合等の方式を採用してもよい。
重合温度は、特に限定されるものではなく、重合方法及びモノマー種に応じ、適宜、選択することができる。例えばATRPやRAFTの場合、重合温度は好ましくは−50℃〜200℃、更に好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜130℃である。モノマーがアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを含む場合、50〜130℃で重合を行うと、比較的短時間で精密重合することができる。
重合時間は、特に制限されるものではなく、重合方法やモノマー種に応じ、適宜、選択することができるが、例えば、0.5〜48時間とすることができる。重合時間がこの範囲内にあると、有機無機複合体における無機化合物粒子の含有量が好ましいものとなり、有機無機複合体間に空隙を十分に形成することができ、均一な膜の形成が容易となり、その膜強度が十分なものになり易い傾向にある。同様の観点から、重合時間は、1〜24時間とすることがより好ましい。
重合反応は、無溶媒で行っても、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒を使用する場合、表面改質無機化合物粒子の分散性と、重合触媒の溶解性とが良好な溶媒が好ましい。溶媒は単独で用いても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジアセトンアルコール、アニソール、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、エタノール、1−ブタノール、t−ブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル、酢酸セロソルブ、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル、オクタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、n−ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサン1,6−ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、ミネラルスピリット、水等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、モノマー100質量部に対し、0〜2000質量部が好ましく、より好ましくは0〜1000質量部である。溶媒量が少ないと、反応速度が大きい傾向にあり有利であるが、モノマー種や重合条件によっては、重合溶液粘度が高くなる傾向にある。また、溶媒量が多いと、重合溶液粘度が低くなるが、反応速度が低下するため、適宜、配合比率を調整するのが好ましい。
重合反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。触媒の種類は、特に限定されるものではないが、重合方法やモノマー種等により、任意の触媒を適宜、使用すればよい。例えば、ATRPの場合、触媒の種類は、一般的に知られている各種のものの中から、重合方式等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、Cu(0)、Cu、Cu2+、Fe、Fe2+、Fe3+、Ru2+又はRu3+を含む金属触媒を使用できる。中でも、分子量や分子量分布の高度な制御を達成するためには、特にCuを含む1価の銅化合物及び0価の銅が好ましい。その具体例としては、Cu(0)、CuCl、CuBr等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、重合開始基1モルに対して、通常0.01〜100モル、好ましくは0.01〜50モル、更に好ましくは0.01〜10モルである。
金属触媒は、通常、有機配位子と併用される。金属への配位原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。中でも、窒素原子、リン原子が好ましい。有機配位子の具体例としては、2,2’−ビピリジン及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(以下、「Me6TREN」という。)、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類の重合を行う場合は、PMDETA、Me6TREN、2,2’−ビピリジン及びその誘導体の1つである4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ジピリジン(以下、「dNbpy」という。)が好ましい。有機配位子の具体例を下記化学式に示す。
金属触媒と有機配位子とは、別々に添加して重合系中で混合してもよいし、予め混合してからそれらを重合系中へ添加してもよい。特に、銅化合物を使用する場合は、前者の方法が好ましい。
重合反応において、上記に加え、添加剤を必要に応じて使用することができる。添加剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、分散剤・安定剤、乳化剤(界面活性剤)等が挙げられる。
分散剤・安定剤は、その機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤(界面活性剤)は、その機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
ポリマーに反応性二重結合を有する化合物を付加させる工程としては、ラジカル重合により得られた有機無機複合体を含有する重合溶液に、反応性二重結合を有する化合物を導入して、そのまま反応を行ってもよいし、洗浄精製した有機無機複合体を再度、有機溶媒中に分散させてから反応を行ってもよい。
ポリマー中の官能基と、反応性二重結合を有する化合物の官能基との反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。
官能基同士の反応中に、反応性二重結合がラジカル反応してゲル化することを抑制するために、反応液に重合禁止剤を導入してもよい。
上述の製造方法であれば、特に限定されるものではないが、以下に代表的な製造方法を示す。
[有機無機複合体の製造方法1:不連続工程による製造方法]
(1)無機化合物粒子の分散液に、重合開始基を有するカップリング剤を加え、所定の温度で反応させ、更に疎水化剤を加えて反応し、表面改質無機化合物粒子の分散液を得る。
(2)室温まで冷却後、上記分散液を所定の溶媒で洗浄し、遠心分離等で固形分を分離・乾燥し、表面改質無機化合物粒子を得る。
(3)上記表面改質無機化合物粒子を、重合溶媒に分散させた後、ラジカル重合性モノマーと触媒を加え、所定の条件で反応し、前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーを形成させ、有機無機複合体1を得る。必要に応じ、(4)の反応を行う。
(4)室温まで冷却後、前記有機無機複合体1の反応液に、重合禁止剤を加え、更に反応性二重結合を含む官能基を有する化合物と触媒を加え、所定の条件で反応させた後、溶媒で洗浄し、有機無機複合体2を得る。
[有機無機複合体の製造方法2:連続工程による製造方法]
(1)無機化合物粒子の分散液に、重合開始基を有するカップリング剤を加え、所定の温度で反応させ、更に疎水化剤を加えて反応し、表面改質無機化合物粒子の分散液を得る。
(2)室温まで冷却後、ラジカル重合性モノマーと触媒を加え、所定の条件で反応し、前記重合開始基により開始されるリビングラジカル重合により、前記無機化合物粒子に結合しているポリマーを形成させ、有機無機複合体1を得る。必要に応じ、(3)の反応を行う。
(3)室温まで冷却後、前記有機無機複合体1の反応液に、重合禁止剤を加え、更に反応性二重結合を含む官能基を有する化合物と触媒を加え、所定の条件で反応させた後、溶媒で洗浄し、有機無機複合体2を得る。
[コーティング材]
本実施形態の有機無機複合膜を形成するためのコーティング材は、前記有機無機複合体を含むものであれば、特に限定されるものではなく、その形態は液体でも固体でも良いが、好ましくは液体である。中でも、有機無機複合体を有機溶媒に分散させたものが好ましい。
コーティング材に使用する有機溶媒は、特に限定されるものではないが、上述の有機無機複合体の分散性が良好で、比較的安全性が高く、汎用的な有機溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても、複数を混合して使用しても構わない。成膜性と安全性の観点から、有機溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルを100とした場合に、好ましくは10〜600、更に好ましくは20〜200である。同様の観点から、有機溶媒の沸点は好ましくは75〜200℃、更に好ましくは90〜180℃である。これらは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
有機溶媒の例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−n−ブトキシエタノール(n−ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノ―tert−ブチルエーテル(t−ブチルセロソルブ)、1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノエチルエーテル)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(メチルメトキシブタノール)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール(メトキシベンゼン)、ベンゾトリフルオリド、シクロヘキサン、ヘキサン、ミネラルスピリッド、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)、酢酸2−エトキシエチル(酢酸セロソルブ)、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸 3−メトキシ−3−メチルブチル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン(NMP)、ピリジン、1,4−ジオキサン、クロロホルム等が挙げられる。
更に必要に応じ、光重合開始剤、架橋剤、フリーポリマー、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素等を加えても良い。
本実施の形態の光重合開始剤とは、活性光線の照射により、組成物を重合させるものであれば、特に限定されるものではないが、光ラジカル開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤の3つに大別できる。
光ラジカル開始剤としては、活性光線又は放射線の照射によりラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。このような光ラジカル開始剤を用いることにより、活性光線又は放射線の照射により発生したラジカルにより、前記有機ポリマー中の反応性二重結合の重合反応が生起され、有機無機複合体を硬化することができる。
このような光ラジカル開始剤としては、アセトフエノン類、ベンゾイン類、ベンゾフエノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類、オキシムエステル類などが用いられる。光ラジカル開始剤の具体例としては、2,2’−ジエトキシアセトフエノン、p−ジメチルアセトフエノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフエニルケトン、1−ヒドロキシジメチルフエニルケトン、2−メチル−4’−メチルチオ−2−モリホリノプロピオフエノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフエニル)−ブタノン1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、α−ヒドロキシアセトフエノン、α−アミノアセトフエノンなどのアセトフエノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ペンゾインイソプロビルエーテル、ベンジルジメチルレタールなどのベンゾイン類、ペンゾフエノン、2,4’−ジクロロベンゾフエノン、4,4’−ジクロロベンゾフエノン、p−クロロベンゾフエノンなどのペンゾフエノン類、1,2−オクタンジオンー1−[4−(フェニルチオ)−2−(0−ペンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0一アセチルオキシム)等のオキシムエステル類などがある。これらの光ラジカル開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
光酸発生剤とは、活性光線又は放射線の照射により、酸を発生する化合物であり、例えば、スルホン酸誘導体、オニウム塩類、カルボン酸エステル類が挙げられる。
スルホン酸誘導体としては、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体などのイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。具体的には、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、ベンゾイントシラート、1、2−ジフェニル−2−ヒドロキシプロピルトシラート、1、2−ジ(4−メチルメルカプトフェニル)−2−ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6−ジニトロフェニルメチルトシラート、オルト−ニトロフェニルメチルトシラート、パラ−ニトロフェニルトシラートなどを挙げることができる。
カルボン酸エステルとしては、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1、8−ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネートなどを挙げることができる。
オニウム塩としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6−)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、過塩素酸イオン(ClO4−)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CFSO3−)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3−)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等のアニオンを有するスルホニウム塩またはヨードニウム塩を使用することができる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアシルネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトイルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサヘキサフルオルアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、10−メチルフェノキサチイニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアトレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアトレニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
ヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ビススクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
その他のオニウム塩としては、芳香族ジアゾニウム塩を使用することができ、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなどを使用することができる。
商業的に入手できるオニウム塩としては、サンエイドSI−60、SI−80、SI−100、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−L110、SI−L147(以上、三新化学工業(株)製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、旭電化工業(株)製)、Irgacure 261、Irgacure250(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DS−100、DS−101、DAM−101、DAM−102、DAM−105、DAM−201、DSM−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、PI−105、NDI−105、BENZOIN TOSYLATE、MBZ−101、MBZ−301、PYR−100、PYR−200、DNB−101、NB−101、NB−201、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、IBPF、IBCF(三和ケミカル(株)製)CD1012(サートマー社製)、IBPF、IBCF(以上、三和ケミカル(株)製)、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−109(以上、みどり化学(株)製)、UVE1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、RHODORSIL−PI2074(ローディア社製)、WPI−113、WPI−116(和光純薬(株)製)等を挙げることができる。また、J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1473−1482(1993), J. Polymer Science:Part A:polymer Chemistry,Vol.31, 1483−1491(1993)において記述されている方法により製造できるジアリールヨードニウム塩を使用することもできる。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用することも良い。
光塩基発生剤とは、例えば、非環状のアシルオキシイミノ化合物、非環状のカルバモイルオキシム化合物、カルバモイルヒドロキシルアミン化合物、カルバミン酸化合物、ホルムアミド化合物、アセトアミド化合物、カルバメート化合物、ベンジルカルバメート化合物、ニトロベンジルカルバメート化合物、スルホンアミド化合物、イミダゾール誘導体化合物、アミンイミド化合物、ピリジン誘導体化合物、α−アミノアセトフェノン誘導体化合物、4級アンモニウム塩誘導体化合物、α−ラクトン環誘導体化合物、アミンイミド化合物、フタルイミド誘導体化合物などを用いることができる。なかでも比較的アミンの発生効率が高いアシルオキシイミノ化合物が好ましい。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて使用することも良い。
本実施の形態における硬化剤とは、樹脂組成物を硬化させるために用いられる物質であり、環状エーテル基と反応可能であれば、特に限定されるものではなく、後述の硬化促進剤との併用が好ましい。
硬化剤としては、例えば、酸無水物系化合物、アミン系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等が挙げられ、中でも、酸無水物系化合物が好ましく、カルボン酸無水物がより好ましい。
また、ここで言う酸無水物系化合物には脂環式酸無水物が含まれ、カルボン酸無水物の中でも脂環式カルボン酸無水物が好ましい。これらの物質は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤の具体例としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、又はビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類若しくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾール、3フッ化硼素−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。
脂環式カルボン酸無水物の具体例としては、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、「4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30」、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、「メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物/ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物」等が挙げられる。
また、脂肪族酸無水物の具体例としては、例えば、テトラプロペニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物、2,5−ジケトテトラヒドロフラン等が挙げられる。
本実施の形態における硬化促進剤とは、硬化反応の促進を目的に使用される硬化触媒を意味し、単独で用いても、複数を組み合わせて使用してもよい。硬化促進剤は、特に限定されるものではないが、3級アミン類及びその塩を選択することが好ましい。
硬化促進剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1)3級アミン類:ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等、
(2)イミダゾール類:2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1')〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物等、
(3)有機リン系化合物:ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニル等、
(4)4級フォスフォニウム塩類:ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムo,o−ジエチルフォスフォロジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラッフェニルボレート等、
(5)ジアザビシクロアルケン類:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7及びその有機酸塩等、
(6)有機金属化合物:オクチル酸亜鉛、アクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体等、
(7)4級アンモニウム塩類:テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等、
(8)金属ハロゲン化合物:三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニル等のホウ素化合物;塩化亜鉛、塩化第二錫等。
架橋剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、(メタ)アクリロイル基を複数個有する化合物が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を分子内に2個有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイル基を分子内に3個有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキル基を有するトリ(メタ)アクリレート;グリセロールプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキレンエーテル基を有するトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなど複素環を含有するトリ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイル基を分子内に4個以上有する(メタ)アクリレート架橋剤としては、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの複数の分岐状アルキル基を有するポリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの複数の分岐状アルキル基と水酸基とを有するポリ(メタ)アクリレートなどが例示される。これらの(メタ)アクリル酸エステル系架橋剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
後述の通り、有機無機複合膜を形成するためのコーティングの手法は、特に限定されるものではないが、大面積にコーティング可能であることや設備コストの抑制が可能であるため、ウエットコート法を採用することが望ましい。そのためには、コーティング材は、上述の有機無機複合体を溶媒に分散させた液体であることが好ましい。
コーティング材における固形分濃度(フリーポリマーを含む有機無機複合体の濃度)は、特に限定されるものではないが、分散性と成膜性のバランスから、コーティング材全体質量を基準として、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。固形分濃度は、有機無機複合体をそのまま直接希釈して調整してもよいし、希薄溶液をエバポレーター等で濃縮して調製してもよい。
[有機無機複合膜]
本実施形態の有機無機複合膜は、有機無機複合体を含み、上記要件を満たす膜であれば、特に限定されるものではない。本発明において「膜」とは、厚みが限定されるものではなく、支持基盤上に形成されたものでもよく、単体で構造を形成しているものであってもよい。
本発明において「空隙」の用語は、膜を形成している隣り合う2個以上の有機無機複合体無機化合物粒子同士の間に形成されたミクロボイドのことを意味する。「空洞」の用語は、無機化合物粒子自体の内部に形成された空孔を意味し、「空隙」とは区別される。
空隙の大きさは、特に限定されるものではないが、光を散乱しない大きさであることが好ましい。つまり、空隙を有する膜であっても、光学的あるいは巨視的には均一な膜とみなすことができる。このため、膜のみかけ体積を基準とする空隙の割合、すなわち空隙率は、膜を形成している有機無機複合体と、空隙の体積平均に基づいて算出することができる。
有機無機複合体間に形成された空隙の割合(空隙率)は、当該有機無機複合膜の体積を基準として3〜90体積%であり、より好ましくは10〜85%、さらに好ましくは20〜80%である。空隙率が3体積%未満であると、膜の低屈折率化の効果が小さくなる傾向がある。また、空隙率が90体積%を超えると、膜強度が低下して脆くなるという傾向がある。
有機無機複合膜の屈折率は、特に限定されるものではないが、後述の方法で測定され、表示装置の品位向上の観点から1.05〜1.35であることが好ましく、より好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.25以下、特に好ましくは1.2以下である。屈折率が1.35より大きいと、積層体を表示装置へ組み込んでも、目視では品位の向上が視認できない可能性がある。
有機無機複合膜の最小反射率は、特に限定されるものではないが、後述の方法で測定され、反射率抑制の観点から1.5%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下である。
本実施形態の有機無機複合膜は、上述のコーティング材を、後述の手法でコーティングして形成した膜であることが好ましい。一般的には、基材上(例えば、PETフィルム、TACフィルム、ガラス、アクリル・ポリカーボネート等の樹脂素材、金属、シリコンウエハ、LED、半導体、CD、DVD等、若しくは種々のハードコート層)に、数nm〜数cmの厚みで形成する。
コーティングの手法としては、「蒸着、スパッタリング、イオンプレーディング等のドライコーティング法」や、「印刷、スリットコート、バーコート、アプリケーター塗工、スピンコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート等のウエットコーティング法」等が、一般的に知られている。また上述の方法以外に、「フィルム成形、ラミネート成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、回転成形、押出成形、延伸成形等の成形加工法」を応用し、基材の上に、有機無機複合膜を形成する手法もある。これらの手法は、単独でも、複数を組み合わせて使用することも可能である。
「フリーポリマー」とは、無機化合物粒子に結合していないポリマーを意味する。硬化物においては、硬化物を形成する組成物であって、硬化反応前に無機化合物粒子に結合していないポリマー、あるいは低分子量の有機化合物も含まれる。つまり、フリーポリマーは、有機無機複合体無機化合物粒子同士の間に形成される空隙を埋める化合物を意味する。フリーポリマーの測定方法については、後述の実施例において詳細に説明される。
本実施形態における、無機化合物粒子に結合していないフリーポリマーの割合は、後述の方法で求められ、無機化合物量に対して効果的に空隙を形成させるという観点から、その割合は好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。上述したように、フリーポリマーの割合が30質量%以上になると、フリーポリマーが構造体中で均一に分散しないために安定的に製造することが困難になるばかりでなく、有機無機複合体無機化合物粒子間に形成される空隙を、フリーポリマーが埋めるため、空隙率が低下してしまう。空隙の屈折率は、1.00で、膜を形成する材料と比較すると、極めて小さな値である。そのため、わずかな空隙率の差で、屈折率が大きく変化するため、フリーポリマー量を制御し、効果的に均一な空隙を形成させることが好ましい。
本実施の形態における有機無機複合膜の硬化としては、特に限定されるものではないが、エネルギー線硬化又は熱硬化が好ましく、特に好ましくは光硬化である。光硬化の手法は、特に限定されるものではなく、通常、活性光線の刺激により重合開始剤が分解することで重合開始種が発生し、対象物質の重合性官能基を重合するという経過を辿る。
光硬化とは、活性光線(紫外線、近紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線等)を照射することで硬化物を得る方法であり、活性光線の種類としては、特に限定されるものではないが、好ましくは紫外線又は可視光線、より好ましくは紫外線である。
光硬化の中でも、光ラジカル重合タイプは、反応性二重結合の反応性が高く、短い時間で架橋させられる等の利点から、より好ましい。
上述の光ラジカル重合による架橋に加え、カチオン重合、加熱による架橋反応、有機ポリマーと反応し得る官能基を有する化合物との混合による架橋反応などを組み合わせて用いてもよい。有機無機複合体の架橋は、例えば、有機無機複合体のポリマー中に少なくとも1つの反応性二重結合を有する場合、光ラジカル開始剤から発生したラジカルにより反応性二重結合から重合反応を開始し、ポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間に結合を形成させることにより行うことができる。また、架橋剤を含む場合、架橋剤によりポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間に結合を形成させることにより行うことができる。なお、ポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間の結合は、異なる有機無機複合体のポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間での結合が好ましいが、同一の有機無機複合体のポリマー間、又はポリマーと無機化合物粒子との間での結合もあり得る。
活性光線の発生源は、特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、UVランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、ヘリウムネオンレーザ、クリプトンイオンレーザ、各種半導体レーザ、YAGレーザ、エキシマーレーザー、発光ダイオード、CRT光源、プラズマ光源、電子線照射器等の各種光源等が挙げられる。
照射光強度は、使用する光源の波長などに応じて異なるが、通常、数mW/cm〜10W/cmの範囲である。照射光強度は、好ましくは、数10mW/cm〜5W/cm程度の範囲内である。照射量は、反応性二重結合の感度、コーティング膜の厚みや温度などに応じて適宜設定される。
ここで、熱硬化とは、熱による化学反応により分子間に3次元の架橋結合を生じさせることで硬化させる方法である。熱硬化の方法としては、特に限定されるものではないが、硬化剤や硬化促進剤を使用して熱硬化させる方法、又は、熱カチオン重合開始剤を用いて熱硬化させる方法を選択するのが好ましく、中でも、硬化剤や硬化促進剤を使用して熱硬化させる方法がより好ましい。
本実施形態に係る有機無機複合膜は、優れた透明性と光学特性を有しており、その指標である、厚み方向の全光線透過率は、特に限定されるものではないが、好ましくは85〜100%、より好ましくは88〜100%、更に好ましくは90〜100%である。同様に、ヘーズの値は、特に限定されるものではないが、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%、更に好ましくは0〜2%である。
[有機無機複合膜の製造方法]
本実施形態に係る有機無機複合膜の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下に代表的な製造方法を示す。
[有機無機複合膜の製造方法1:硬化処理無し]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
[有機無機複合膜の製造方法2:光硬化(光ラジカル硬化)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、光ラジカル開始剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜に活性光線を照射し、有機無機複合体を架橋させ(光硬化)、有機無機複合膜を得る。
[有機無機複合膜の製造方法3:光硬化(光カチオン硬化)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、光酸発生剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜に活性光線を照射し、有機無機複合体を架橋させ(光硬化)、有機無機複合膜を得る。
[有機無機複合膜の製造方法4:熱硬化(硬化剤及び硬化促進剤による架橋)]
(1)有機無機複合体に、有機溶媒、硬化剤、硬化促進剤を加えて分散し、コーティング材を得る。
(2)コーティング材を基板上に塗布し、塗布されたコーティング材から有機溶媒を除去することにより有機無機複合膜を形成させる。
(3)更に、有機無機複合膜を所定時間加熱し、有機無機複合体を架橋させ(熱硬化)、有機無機複合膜を得る。
[透明電極]
本実施の形態に係る透明電極は、支持体と、有機無機複合膜と、透明導電性膜と、を備える。ここで透明導電性膜は、透明性を有する導電性の膜であれば、その種類、構成、用途等は特に限定されるものではないが、有機EL素子の陽極として従来から用いられるものを、好適に使用できる。
透明導電性膜の形成に用いる薄膜材料は特に制限されず、例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(インジウムスズ酸化物、ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、InO、In、ZnO、SnO、PbO、CdO、グラフェン、BP、BN、AlN、CaN、TaN、Au、Ag、CuI、Alが添加されたZnO(ZAO)、Gaが添加されたZnO(GZO)、カーボンナノチューブ(CNT)、後述の導電性高分子等が好ましく用いられる。中でも、導電性と入手のし易さの観点から、ITO、ATO、ZnO、グラフェン、導電性高分子が好ましく、より好ましくはITO、ZnO、グラフェンであり、特に好ましくはITOである。これらは、単独で用いても、複数を組み合せて使用しても良い。
導電性高分子は、導電性を示す高分子であれば特に限定されず、例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体等が挙げられる。中でも、ポリチオフェン誘導体が好ましく、より好ましくは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を添加したPEDOT(PEDOT:PSS)である。
透明導電性膜の形成方法としては、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗工法などがあげられる。上記の材料の種類および必要とする膜厚に応じて適宜に方法を採用することができる。
透明導電性膜は、その表面抵抗値を1×10Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするのが好ましい。
適性な表面抵抗値が得られるものであれば、透明導電性膜の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜150nm、より好ましくは15〜100nm、更に好ましくは20〜35nmである。透明導電性膜の好ましい膜厚は、デバイスにより異なり、具体例としては、TFT−LCDでは100nm以下、カラーフィルターでは150nm以下である。
本実施の形態の透明電極は、上記要件を満たすものであれば、特に限定されるものではないが、有機無機複合膜と透明導電性膜の間に、他の透明フィルム基材、粘着層又は接着層などを設けてもよい。
本実施の形態の透明電極の好ましい積層例を以下に示し、その模式断面図を図1および図2に示す。
(1)支持体/有機無機複合膜/透明導電性膜(図1に相当)
(2)支持体/有機無機複合膜/接続層/透明フィルム/透明導電性膜(図2に相当)
図1に示す透明電極10は、支持体11と有機無機複合膜12と透明導電性膜13とがこの順で積層された構成を有する。また、図2に示す透明電極20は、支持体21と、有機無機複合膜22と、粘着層又は接着層である接続層23と、透明フィルム24と、透明導電性膜25とがこの順で積層された構成を有する。
[透明電極の製造方法]
本実施の形態の透明電極の製造方法は、特に限定されるものではないが、好ましい具体例を、以下に示す。これらの製造方法は、単独でも、組み合わせて使用することも可能である。
(製法1:有機無機複合膜が成形により得られる透明電極の製造方法)
本実施の形態に係る有機無機複合膜は、上述の有機無機複合体を所定の形状に成形し、製造することができる。成形方法は特に限定されないが、通常は、温度、圧力、光(可視光、紫外線、赤外線、近赤外線等)、電子線、プラズマ、衝撃波等の刺激を、有機−無機複合体に与え、所望の形状に成形するのが一般的である。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形等、一般のポリマー材料の成形法を採用することができる。また、その形状も、何ら限定されるものではなく、例えば、ブロック状、ペレット状、板状、フィルム状等、様々な形態をとり得る。また成形時に、溶媒、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素、無機粒子、硬化剤、硬化促進剤、酸発生剤、カチオン発生剤等を加えて成形用組成物を準備し、これを成形することは、何ら制限されない。
本実施の形態の透明電極は、成形で得られた上記有機無機複合膜を、支持体の上に接着し、さらに透明導電性膜を生成させることで製造することができる。本実施の形態に係る透明導電性膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。
また、支持体の上で、前記有機無機複合体を成形しながら、一体成形し、接続層を介して透明フィルムに積層された透明導電性膜を積層させることも可能である。
(製法2:有機無機複合膜がコーティングにより得られる透明電極の製造方法)
本実施の形態の有機無機複合膜は、上述の有機無機複合体を含むコーティング材を、コーティングし、製造することができる。
[接続層]
本実施形態に係る透明電極は、粘着剤又は接着剤を含有する層である接続層を有していてもよい。接続層としては、粘着剤を含有し、粘着性を付与する層である粘着層が挙げられる。また、接続層としては、接着剤を含有し、接着性を付与する層である接着層も例示できる。
[粘着層]
本実施の形態に係る粘着層とは、粘着性を付与する層であれば、特に限定されるものではないが、表示装置への使用を前提とする場合は、透過光を妨げないことが好ましい。具体的に要求される好ましい特性としては、例えば、Hazeが低い、入射光の散乱が少ない、光学等方性、長期信頼性等が挙げられる。
上記粘着層のガラス転移温度(以下、Tgと言う。)は、熱変動による積層体の歪み緩和の観点から、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは−20℃以下である。
また上記粘着層は、積層する光学部材界面での化学結合が無い、あるいは弱いため、後述の接着層と比較して、積層体や表示装置製造時のリワーク性に優れている。
粘着層を形成する粘着剤の種類は、特に限定されず、例えば、溶剤型粘着剤、非水系エマルジョン型粘着剤、水系粘着剤、ホットメルト粘着剤等が挙げられる。これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
上記粘着剤としては、粘着性を示す物質であれば、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとする、任意のものを選択できる。
またフィルム等に対し、適切な粘着特性を示し、且つ、透明性に優れることから、アクリル酸エステル(共)重合体を含む、粘着剤が好ましく用いられる。
上記アクリル酸エステルの中でも、粘着性とTgのバランスの観点から、アクリル酸ブチル(nBA)、アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、アクリル酸イソノニルが好ましく、より好ましくは、nBA、HEAであり、特に好ましくは、nBAである。
上記アクリル酸エステルに共重合するコモノマーは、特に限定されるものではないが、凝集力向上の観点から、酢酸ビニル(VA)、アクリロニトリル(AN)、アクリルアミド、スチレン(St)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)等が好適である。
また粘着性・接着性向上の観点から、上記アクリル酸エステルに、官能性モノマーを共重合させても良い。官能性モノマーは、官能基を持つモノマーであれば、特に限定されるものではないが、共重合性と粘着性・接着性の観点から、アクリル酸(AA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリルアミド、メタクリル酸グリシジル(GMA)、アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル等が好ましく、より好ましくは、アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチルである。
上記アクリル酸エステル共重合体の中でも、入手のし易さや取扱いの観点から、nBA/AAの共重合体や、nBA/AA/HEAの共重合体が好ましい。
上記粘着層の形態は、特に限定されず、液体、フィルム状、シート状等任意のものを選択できる。
上記粘着層の付設方法は、特に限定されず、例えば、有機溶媒や水等の適宜な分散媒媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた、粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で、付設面に直接付設する方法や、保護フィルム上に粘着層を形成してそれを付設面に移着する方式などがあげられる。また市販の粘着フィルムや粘着シートを使用しても良い。
[接着層]
本実施の形態に係る接着層とは、接着性を付与する層であれば、特に限定されるものではないが、表示装置への使用を前提とする場合は、透過光を妨げないことが好ましい。具体的に要求される好ましい特性としては、例えば、Hazeが低い、入射光の散乱が少ない、光学等方性、長期信頼性等が挙げられる。
上記接着層を形成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、硬化型接着剤が挙げられる。硬化型接着剤の代表例としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
熱硬化型接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂およびポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂系接着剤が挙げられる。
湿気硬化型接着剤の具体例としては、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤(特に、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤)が好ましい。湿気硬化型接着剤は、空気中の水分や被着体表面の吸着水、水酸基やカルボキシル基等の活性水素基等と反応して硬化するので、接着剤を塗工後、放置することによって自然に硬化させることが可能であり、操作性に優れる。更に硬化のための加熱が不要であり、加熱収縮の心配が無く、積層する光学フィルム等が極めて薄い場合であっても、積層時の割れ等が防止できる。尚、上記イソシアネート樹脂系接着剤とは、ポリイソシアネート系接着剤、ポリウレタン樹脂接着剤の総称である。
上記硬化型接着剤は、例えば、市販の接着剤を使用してもよく、上記の各種硬化型樹脂を溶媒に溶解または分散し、硬化型樹脂接着剤溶液(または分散液)として調製してもよい。用いられる溶媒としては、硬化型樹脂の種類に応じて任意の適切な溶媒が採用され得る。具体例としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で使用しても、複数を組み合せて使用しても良い。
上記接続層には、例えば、天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着剤層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有させ、光拡散性付与しても良い。
また上記接続層は、異なる組成又は種類を使用して、重畳層として付設することができる。また積層体を構成する各層、つまり、支持体、有機無機複合膜、光学部材等の片面に設けても、両面に設けても良い。
上記接続層の厚みは、使用目的や接着力などに応じて、適宜設定できる。具体的には、接続層の厚みは、好ましくは20nm〜50μm、さらに好ましくは100nm〜10μm、更に好ましくは500nm〜5μmである。
<有機EL素子>
本実施の形態に係る有機EL素子は、発光する化合物(発光材料)を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子である。
本実施の形態の有機EL素子の、層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(1)陽極/発光層/電子輸送層/陰極(図5)
(2)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極(図6)
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極(図7)
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極(図8)
(5)陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極(図9)
図5は、本実施形態に係る有機EL素子の一例(1)を示す模式断面図である。有機EL素子30は、支持体31の一面上に陽極32が設けられた透明電極36を備え、透明電極36の陽極32上に、発光層33、電子輸送層34及び陰極35がこの順で積層された構成を有する。
図6は、本実施形態に係る有機EL素子の一例(2)を示す模式断面図である。有機EL素子40は、支持体41の一面上に陽極42が設けられた透明電極47を備え、透明電極47の陽極42上に、正孔輸送層43、発光層44、電子輸送層45及び陰極46がこの順で積層された構成を有する。
図7は、本実施形態に係る有機EL素子の一例(3)を示す模式断面図である。有機EL素子50は、支持体51の一面上に陽極52が設けられた透明電極58を備え、透明電極58の陽極52上に、正孔輸送層53、発光層54、正孔阻止層55、電子輸送層56及び陰極57がこの順で積層された構成を有する。
図8は、本実施形態に係る有機EL素子の一例(4)を示す模式断面図である。有機EL素子60は、支持体61の一面上に陽極62が設けられた透明電極69を備え、透明電極69の陽極62上に、正孔輸送層63、発光層64、正孔阻止層65、電子輸送層66、電子注入層(陰極バッファー層)67及び陰極68がこの順で積層された構成を有する。
図9は、本実施形態に係る有機EL素子の一例(5)を示す模式断面図である。有機EL素子70は、支持体71の一面上に陽極72が設けられた透明電極80を備え、透明電極80の陽極72上に、正孔注入層(陽極バッファー層)73、正孔輸送層74、発光層75、正孔阻止層76、電子輸送層77、電子注入層(陰極バッファー層)78及び陰極79がこの順で積層された構成を有する。
なお、図5〜9では図示を省略したが、本実施の形態の有機EL素子においては、支持体と陽極との間に有機無機複合膜が設けられている。
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
<発光層>
本実施の形態に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。上記発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
また、発光層の数が4層より多い場合には、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あっても良く、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の作製法は、均一な薄膜を形成できる方法であれば、特に限定されるものではないが、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。また発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましい。
各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。また発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させても良い。
上記ホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましく、単独で用いても、複数種を併用しても良い。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混合することが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
上記ホスト化合物は、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でも良い。またホスト化合物は、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、且つ、Tgが高い化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
次に、本実施の形態に係る発光材料について説明する。
本実施の形態に係る発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等とも言う。)を用いる。
本実施の形態に係る燐光発光材料は励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義される。
燐光発光材料の発光原理としては、エネルギー移動型と、キャリアトラップ型の2種が知られている。
上記燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から、適宜選択して用いることができる。
上記燐光発光材料としては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、より好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、特に好ましくはイリジウム化合物である。
本発明の有機EL素子には、蛍光発光体を用いることもできる。
蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、例えば、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができる。例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
<中間層>
本実施の形態の非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
非発光性の中間層の膜厚としては1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、上記発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
<注入層:電子注入層(陰極バッファー層)、正孔注入層(陽極バッファー層)>
本実施の形態の有機EL素子では、必要に応じ注入層を設けても良い。
上記注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがあり、上記の陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させても良い。
公知の正孔注入層(陽極バッファー層)としては、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例としては、例えば、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
公知の電子注入層(陰極バッファー層)としては、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記注入層(バッファー層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
<阻止層:正孔阻止層、電子阻止層>
本実施の形態の有機EL素子には、阻止層が設けられていても良い。
上記阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものであり、例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁ページに記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等が挙げられる。
上記正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ、正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。
また上記正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、上記電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ、電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を、必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
<正孔輸送層>
本実施の形態に係る有機EL素子の正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであれば、有機物、無機物のいずれであっても良く、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、p型正孔輸送材料を用いることもできる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
<電子輸送層>
本実施の形態に係る有機EL素子の電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であっても良い。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
<封止>
本実施の形態に係る有機EL素子を実装する際は、封止処理を施しても良い。封止に用いられる手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属板、フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造をもたせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
<保護膜、保護板>
本実施の形態に係る有機EL素子には、有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けても良い。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。
<陰極>
本実施の形態に係る有機EL素子の陰極としては、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が好適に用いられる。上記電極物質としては、Na、Na−K合金、Al、Mg、Li、Mg/Cu混合物、Mg/Ag混合物、Mg/Al混合物、Mg/In混合物、Al/Al2O混合物、In、Li/Al混合物、希土類金属等が挙げられる。
陰極の作製法は、特に限定されないが、均一な薄膜が得やすいことから、蒸着やスパッタリング等が好ましい。
[表示デバイス]
本実施形態に関わる表示デバイスは、上述の透明電極を備えている表示デバイスであれば、特に限定されない。
表示デバイスとは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)、レーザーディスプレイ、ノートパソコン、外部コンピューター用モニター、携帯電話の表示部、PDA、スマートフォン、コンソール、デジタルサイネージ、タッチパネルディスプレイなど、表示部を伴う、非常に多くの電子装置に使用されるが、これに限定されるものではない。
[液晶ディスプレイ(LCD)]
本実施の形態の液晶表示装置(LCD)の形態は、特に限定されるものではないが、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持しているものが好ましい。更に光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に1枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されていても良い。
本発明の積層体が、反射防止機能付偏光板の場合は、液晶セルが、ツイステットネマチックモード(TNモード)、スーパーツイステットネマチックモード(STNモード)、バーティカルアライメントモード(VAモード)、インプレインスイッチングモード(IPSモード)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセルモード(OCBモード)であることが好ましい。
(TNモード)
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されている。
(STNモード)
STNモードの液晶セルでは、電圧無印加時において液晶分子の並びのねじれ角が、180〜270°にねじれ配向し、これにより印加電圧の僅かな差によって大きな配向変化を実現できる。
(VAモード)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、次の(1)〜(4)が含まれる。
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル
(4)SURVAIVALモードの液晶セル
(IPSモード)
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式である。
(OCBモード)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
[プラズマディスプレイパネル(PDP)]
本実施の形態のプラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
またPDPの前面に、前面板を配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
[エレクトロルミネッセンスデバイス]
本実施形態に関わるエレクトロルミネッセンスデバイスは、上述の透明電極を備えている発光型の電子デバイスであり、有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子を含む。
エレクトロルミネッセンスデバイスは、発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト、看板広告、光記録媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信用の装置の光源、光センサーなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
[有機ELディスプレイ]
有機ELディスプレイは、各画素ごとに、発光素子が構成されている。その発光素子は、例えば、金属等の陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITO等の陽電極、そしてガラス基板や透明な光学フィルムからなる。
上記のようなサンドイッチ構造はヘテロ構造と呼ばれ、電子と正孔をそれぞれ別の層に閉じ込めることによって効率的な反応を起こすことができる。各層の材料にはジアミン、アントラセン、金属錯体などの有機物が使用されている。
電極間の各層の厚さは数nmから数百nmであり、一般的には、全体で1μm以下の厚さである。また基板もフレキシブルなプラスチック等を利用することにより、フレキシブルディスプレイの製造も可能である。
有機ELディスプレイは、駆動方式によりアクティブマトリクス型(AM−OLED、アモレッド)とパッシブマトリクス型(PM−OLED)に大別され、カラー化方式では、3色方式、色変換方式、カラーフィルター方式の3種に分類される。
[発光素子デバイス]
本実施形態に関わる発光素子デバイスは、上述の透明電極を備えている発光素子デバイスである。
発光素子デバイスとは、例えば、順方向に電圧をかけた際に発光する半導体素子である発光ダイオード(LED)、あるいは、半導体レーザーなど発光素子を含むデバイスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
[タッチパネル]
本実施の形態の積層体は、タッチパネルに組み込むことも可能である。
タッチパネルとは、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置と、タッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置である。
タッチパネルは、銀行など金融機関ATM、自動販売機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルオーディオプレーヤー、携帯ゲーム機、コピー機、ファックス、カーナビなど、デジタル情報機器等に組み込まれ、使用することが可能である。
タッチパネルを、構造で分類すると、外付型と内蔵型に大別され、内蔵型は更に、インセル型とオンセル型に分類される。
また方式で分類すると、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式等に分類される。
上記構造と方式の組み合わせから、アウトセル型静電容量式、カバーガラス一体型静電容量式、インセル型静電容量式、オンセル型静電容量式、シングルタッチ抵抗膜式、シングルタッチ抵抗膜式等が市場に流通している。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本実施の形態をより具体的に説明した実施例を例示する。ただし、本発明はその要旨を超えない限りにおいて以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性の評価は以下の手順で行った。
<無機化合物粒子の形状の観察>
(1)0.1gの有機無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機無機複合体を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、「HR−STEM」ともいう。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の透過モードで観察し、撮影を行った。ただし、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個について形状を観察した。
<粒子空隙率>
上記の形状観察で、無機化合物粒子の中に空隙が観察された場合は、下記式に従って、無機化合物粒子の粒子空隙率を算出した。
粒子空隙率(%)=(無機化合物粒子中の空隙部分の体積)/(無機化合物粒子全体の体積)×100
<無機化合物粒子の円形度>
(1)0.1gの有機無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、HR−STEMの透過モードで観察し、撮影を行った。ただし、無機化合物粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、無機化合物粒子(粒子の外径)の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、無機化合物粒子200個各々の円形度を求めた。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長) ・・・(10)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
(5)200個の無機化合物粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機化合物粒子の円形度とした。
<無機化合物粒子のL/D>
(1)0.1gの有機無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機無機複合体を、HR−STEMの透過モードで観察し、撮影を行った。ただし、無機化合物粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)上記HR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、無機化合物粒子200個各々の外径の、「最大長」及び「最小幅」を算出した。図3は、各無機化合物粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。図3に示されるように、「最大長」とは、HR−STEM像における無機化合物粒子の周上の任意の2点間の距離の最大値を指し、「最小幅」とは、無機化合物粒子が最大長を示す方向に対して垂直な方向における無機化合物粒子の幅を指す。ここで、無機化合物粒子に分岐が確認された場合は、分岐部分は計算に使用せず、幹となる部分だけを計算に用いた。
(5)求められた最大長L及び最小幅Dを下記式に代入して、無機化合物粒子200個各々のL/Dを求めた。
L/D=(最大長)/(最小幅) ・・・(11)
(6)200個の無機化合物粒子のL/Dのうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機化合物粒子のL/Dとした。
<無機化合物粒子の平均粒径>
(7)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個について、各々の粒子の外径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(8)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「無機化合物粒子の平均粒径」とした。
<中空粒子の外殻厚み>
(9)上記(1)〜(3)と同様の方法で撮影されたHR−STEM像を、上記画像解析ソフトによって処理し、中空粒子200個について、各々の中空粒子の内径の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(10)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を「中空粒子の平均内径」とした。
(11)上記で求めた、無機化合物粒子の平均粒径と、中空粒子の平均内径より、中空粒子の外殻厚みを以下の式に従って、算出した。
中空粒子の外殻厚み=(無機化合物粒子の平均粒径−中空粒子の平均内径)/2 ・・・(12)
<中空粒子の空洞率>
(12)次いで、上記中空粒子の平均内径から、以下の式に従って、中空粒子の内腔半径aを求めた。
中空粒子の内腔半径a=中空粒子の平均内径/2 ・・・(13)
(13)上記無機化合物粒子の平均粒径から、以下の式に従って、無機化合物粒子の半径bを求めた。
無機化合物粒子の半径b=無機化合物粒子の平均粒径/2 ・・・(14)
(14)上記(12)〜(13)で求めた、中空粒子の内腔半径a、及び、無機化合物粒子の半径bを、以下の式に代入し、無機化合物粒子の空洞率を求めた。
空洞率(%)=(4πa/3)/(4πb/3)×100 ・・・(15)
<無機化合物粒子の屈折率>
無機化合物粒子の屈折率は、標準屈折液(Cargill社製)を使用して、以下の方法により求めた。ただし、所望の屈折率の標準屈折液が入手出来ない場合は、屈折率既知の試薬で代用した。
(1)無機化合物粒子の分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させた。
(2)これを120℃の真空乾燥機で乾燥し、粉末にした。
(3)屈折率既知の標準屈折液を、2〜3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合した。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を無機化合物粒子の屈折率とした。
<表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量の測定>
表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量を、燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で求めた。
(1)サンプルを酸素気流中で、石英燃焼管を使用して燃焼させ、発生したガスを、吸収液(3%過酸化水素水)に吸収させた。
(2)吸収液を適宜希釈し、吸収液中の臭素イオンと塩素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。
(3)測定された臭素イオン及び塩素イオンの合計量から、表面改質無機化合物粒子の質量に対する、臭素イオン及び塩素イオンの合計量を、ハロゲン含有量として求めた。
<ポリマーの比重>
ASTM D792に準じて測定した。
<ポリマーの分子量及び分子量分布>
ポリマーの分子量及び分子量分布を、「分解法」又は「添加法」により求めた。成膜性有機無機複合体が、トルエンに対して易分散の場合は「分解法」で測定を行い、難溶性の場合は「添加法」で測定した。
[分解法]
(前処理)
無機化合物粒子に結合したポリマーの分子量測定のための前処理として、以下の手順に従って、有機無機複合体に対してふっ化水素酸処理(以下、「HF処理」ともいう。)を施した。
(1)テフロン(登録商標)製回転子を入れたテフロン(登録商標)製、又は、任意の樹脂製容器に、2mLのトルエン(和光純薬工業株式会社製)と、15mgの相間移動触媒(Aldrich社製、「Alquat336」)を加え、攪拌して、相間移動触媒がトルエンに溶解した溶液を得た。
(2)溶液に有機−無機複合体のサンプル200mgを加え、攪拌により溶解させた。
(3)得られた溶液に、更に、2mLのふっ化水素酸(和光純薬工業株式会社製、濃度:46〜48%)を加え、室温で24時間攪拌して、無機化合物粒子からポリマーを分離した。
(4)上記溶液を、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の水溶液によって中和した。この時、相分離が悪い場合は、さらにトルエン2mLを加えて遠心分離した溶液を使用してもよい。
(分子量測定)
上記前処理で得られたサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(分子量分布)
ポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を以下の式に代入して、ポリマーの分子量分布を求めた。
分子量分布=Mw/Mn ・・・(12)
[添加法]
以下の方法で前処理を行い、「分子量測定」と「分子量分布」は、上述の「分解法」と同様の方法で求めた。
(前処理)
以下の手順に従って、無機化合物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量分布」を求めた。分子量測定用サンプルとして、実施例とは別に、重合開始剤を添加した状態で有機無機複合体を合成し、重合開始剤の添加により副生するポリマーを測定し、これを無機化合物粒子に結合したポリマーの「分子量」と「分子量分布」とみなした。
(1)分子量測定用サンプルの合成
(1−1)実施例と同様の方法で、有機無機複合体の原料を配合した。
(1−2)上記溶液に、モノマー:重合開始剤=100:(0.01〜0.25)(mol比)となるように、重合開始剤を外割で加えた。重合開始剤は、実施例の重合液中の臭素含有量に対し、約10〜20%の臭素含有量となるように配合した。
・重合開始剤:2−ブロモイソ酪酸エチル(EBIB):Aldrich社製
(1−3)上記溶液に触媒溶液を加え、実施例と同様の方法で、測定用サンプル(有機−無機複合体と副正ポリマーの混合物)を重合した。
(1−4)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(1−5)残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返し、残った沈殿物を、実施例と同様の方法で乾燥した。
(2)上記(1)で得られた、分子量測定用サンプル1gに、10mLの溶媒(例えば、MIBK)を加え、24時間攪拌した。
(3)上記溶液に適量のTHFを加え、更に1時間攪拌した溶液を、遠心分離した。
(4)上述の「分解法」と同様の方法で、遠心分離後の上澄み液を測定し、「分子量」と「分子量分布」を求めた。
<有機無機複合体の「無機化合物粒子に結合しているポリマー」の量>
(1)サンプル瓶に10gの有機無機複合体をはかりとり、MIBKを加えて100mLとした後、回転子を入れて、内容物をスターラーで24時間攪拌した。
(2)別のサンプル瓶に、10mLの上記溶液をはかりとり、THFを加えて100mLに希釈後、回転子を入れて、内容物をスターラーで、更に24時間攪拌した。
(3)上記溶液を遠沈管に移し、遠心分離機で、6600rpmで30分間処理した。
(4)遠心分離後の上澄み液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行い、有機−無機複合体におけるフリーポリマーを測定した。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の、ピークトップ分子量(Mp)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(5)上記で得られた、Mp>800のピークを、フリーポリマーとして定量した。定量の際には、Mpが最も近い「定量標準物質」を下記から選択して検量線を作成し、定量標準物質換算で、有機無機複合体中のフリーポリマーの量(質量%)を算出した。またピークが複数ある場合は、それらの合計量を求め、フリーポリマーの量(質量%)とした。
(5−1)定量標準物質:ポリメタクリル酸メチル(創和科学株式会社製)
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA850(Mp=860)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA2K(Mp=2,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA7K(Mp=7,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA11K(Mp=11,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA21K(Mp=20,850)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA30K(Mp=33,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA45K(Mp=46,300)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA85K(Mp=87,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA110K(Mp=107,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA190K(Mp=185,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA225K(Mp=240,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA320K(Mp=322,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA680K(Mp=670,000)」
(6)有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)の測定
熱重量測定装置により、以下の条件で有機無機複合体を加熱したときの質量減量(質量%)をn=3で測定し、その平均値を「有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物粒子に結合しているポリマー及びフリーポリマー)」とした。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
(7)上記で得られた「フリーポリマーの量(質量%)」と、「有機−無機複合体中のポリマー量(無機化合物粒子に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)」から、下記式に従って「無機化合物粒子に結合しているポリマーの量(質量%)」を算出した。
無機化合物粒子に結合しているポリマーの量(質量%)=(A−B)/A×100 ・・・(13)
ここで、A:有機無機複合体中のポリマー量(無機化合物粒子に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)、B:フリーポリマーの量(質量%)である。
<有機無機複合体のTgの測定>
示差走査熱量測定装置(DSC)により、以下の条件で有機無機複合体のTgを求めた。
・装置:PerkinElmer社製、「Diamond DSC」
・温度プログラム:−40℃スタート→20分間保持→20℃/分で昇温→200℃
<有機無機複合体のハロゲン含有量の測定>
有機無機複合体のハロゲン含有量は、前述の「表面改質無機化合物粒子のハロゲン含有量の測定」と同様の方法で求めた。
<有機無機複合体のフッ素含有量の測定>
燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で、フッ素含有量を求めた。
(1)サンプルを酸素気流下で、石英燃焼管を使用して燃焼させた。このとき、サンプルは必要に応じ、溶解及び/又は希釈してから使用してもよい。
(2)燃焼により発生したガスを、氷冷した吸収液(0.2%NaOH水溶液)に吸収させた。
(3)吸収液を適宜希釈し、吸収液中のフッ素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。測定されたフッ素イオンの量から、有機無機複合体の質量に対するフッ素イオンの量をフッ素含有量として求めた。
<有機無機複合体の無機化合物粒子含有量の測定>
熱重量測定装置により、以下の条件で有機無機複合体を加熱したときの質量減量を求めた。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
測定をn=3で行い、それらの平均値を有機無機複合体の無機化合物粒子含有量とした。質量%及び体積%の値を下記のように算出した。
(1)質量%
測定された質量減量(質量%)を以下の式に代入し、無機化合物粒子の含有量(質量%)を算出した。
無機化合物粒子含有量(質量%)=100−質量減量(質量%)
(2)体積%
(2−1)ポリマーの質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を、ポリマーの質量(mg)とみなし、その値を下記式に代入して、ポリマーの体積(μL)を算出した。
ポリマーの体積(μL)={ポリマーの質量(mg)}/{ポリマーの比重}
(2−2)無機化合物粒子の質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を下記式に代入して、無機化合物粒子の質量(mg)を算出した。
無機化合物粒子の質量(mg)=試料量(mg)−質量減量(mg)
無機化合物粒子の質量を下記式に代入して、無機化合物粒子の体積(μL)を算出した。
無機化合物粒子の体積(μL)={無機化合物粒子の質量(mg)}/{無機化合物粒子の密度(g/cm)}
(2−3)無機化合物粒子含有量(体積%)の算出
上記のようにして得られた値を下記式に代入して、無機化合物粒子含有量(体積%)を算出した。
<コーティング材の作製>
有機無機複合体に、任意の溶媒を加え、室温で24時間攪拌処理を行い、有機無機複合体の溶媒分散液を調製したものを、コーティング材とした。なお、必要に応じ、超音波処理やエバポレーターによる濃縮処理を加えた。
<コーティング材の固形分濃度>
以下の手順で、コーティング材の固形分濃度を求めた。
(1)秤量瓶に、コーティング材をはかりとり、内容物の質量(質量A)を記録した。
(2)内容物の流動性が無くなるまで、窒素気流下で、上記秤量瓶を風乾した。
(3)上記秤量瓶を、105℃、真空下で、24時間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで冷却した。
(4)秤量瓶の質量をはかり、内容物の質量(質量B)を記録した。
(5)以下の式により、固形分を求めた。
固形分(質量%)=(質量B)/(質量A)×100
<有機無機複合膜の屈折率>
以下の条件で、有機無機複合膜の屈折率を測定した。
・装置:Metricon社製、「MODEL 2010 PRISM COUPLER」
・モード:シングルフィルムモード
・測定波長:633nm
・屈折率が低く、Metricon社製の装置で測定できない場合は、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製)で測定を行った。
<有機無機複合膜の空隙率>
有機無機複合膜の空隙率は、以下の計算屈折率と、実測した屈折率から算出した。
[計算屈折率の算出]
得られた有機無機複合体の計算屈折率を求めるためにMaxwell−Garnettの式を用いた。ポリマーの屈折率は、有機無機複合体中のポリマーと同組成のポリマーを合成し、その屈折率を測定することにより求めた。無機化合物粒子の屈折率として、「無機化合物粒子の屈折率」の項に記載した方法により測定した屈折率の値を使用し、無機化合物粒子の体積分率として、「有機無機複合体の無機化合物粒子含有量の測定」の項に記載した方法により測定した無機化合物粒子含有量(体積%)を100で割った値を使用した。
〔Maxwell−Garnettの式〕
(n −n )/(n +2n )=q(n −n )/(n +2n
・・・(15)
ただし、式(15)中、nは有機無機複合体の計算屈折率、nはポリマーの屈折率、nは無機化合物粒子の屈折率、qは無機化合物粒子の体積分率をそれぞれ表す。
[有機無機複合膜の空隙率の算出]
空隙を有する有機無機複合膜の実測屈折率は、有機無機複合体の屈折率と体積分率との積に、空隙(空気の屈折率1.00)の屈折率と体積分率との積を加算した値になる。そのため、空隙率は、下記の式で計算した。有機無機複合体の計算屈折率n、及び、有機無機複合膜の実測屈折率nを以下の式に代入し、空隙率を求めた。
空隙率(%)=(n−n)/(n−1)×100 ・・・(16)
式(16)中、nは有機無機複合体の計算屈折率、nは有機無機複合膜の実測屈折率をそれぞれ表す。
<有機EL素子の光取出し向上率>
後述の方法で作製した、有機EL素子を、積分球内に取り付け、10A/mの電流密度を与えて発光させ、積分球内に備えた検出器により、素子から外部へ取り出された光子数を測定した。電流値と検出した光子数から外部量子効率を求め、比較例1(有機EL素子W)を100%とした場合の相対値を、光取り出し効率(%)として算出した。
<原材料>
実施例及び比較例で使用した原材料の内容を以下の(1)〜(12)に示す。
(1)無機化合物粒子溶液
(1−1)数珠状シリカ溶液A
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MEK−ST−UP」
・20質量%数珠状シリカ粒子/MEK溶液
・空洞率:0%
・屈折率:1.45
・球状のシリカが数珠状に連結して形成された長鎖の構造。図2に数珠状無機化合物粒子のTEM写真を示す。
(1−2)数珠状シリカ溶液B
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MIBK−ST−UP」
・20質量%数珠状シリカ粒子/MIBK溶液
・空洞率:0%
・屈折率:1.45
(1−3)中空シリカ溶液C
・商品名:日揮触媒化成株式会社製、「スルーリア2320」
・20質量%中空シリカ粒子/MIBK溶液
・平均粒径48nm、外殻厚み8.5nm
・空洞率:27%
・屈折率:1.30
・L/D:1.1
(2)シラン化合物
(2−1)3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(以下、「BPS」という。)
公知の方法(特開2006−063042号公報等)を参考に、下記化学式(10)で表されるBPSを合成した。

(2−2)(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(以下、「BIDS」という。)
公知の方法(特開2006−257308号公報)に従って、下記化学式(11)で表されるBIDSを合成した。

(2−3)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」という。):東京化成工業株式会社製
(3)重合触媒
(3−1)臭化銅(I)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(3−2)臭化銅(II)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(4)配位子
(4−1)N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。):Aldrich社製
(5)モノマー
以下の(5−7)〜(5−10)以外のモノマーは、アルミナカラムを通じて重合禁止剤を除去した後、1時間以上窒素バブリングして、脱酸素処理を行ってから使用した。アルミナカラムが使用できない場合は、蒸留等の公知の方法で、重合禁止剤を除去してもよい。
(5−1)メタクリル酸メチル(以下、「MMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−2)メタクリル酸エチル(以下、「EMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−3)メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチル(以下、「TFEMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−4)メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−5)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−6)2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート((以下、「AOI」ともいう。):昭和電工株式会社
(5−7)2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」ともいう。):昭和電工株式会社
(5−8)アクリル酸n−ブチル(以下、「nBA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−9)アクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(5−10)アクリル酸(以下、「AA」ともいう。):東京化成工業株式会社製
(6)溶剤等
(6−1)メタノール:和光純薬工業株式会社製
(6−2)メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−3)メチルエチルケトン(以下、「MEK」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−4)テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−5)ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−6)n−メチルピロリドン(以下、「NMP」という。):和光純薬工業株式会社製
(6−7)ヘキサン:和光純薬工業株式会社製
(6−8)シクロヘキサノン:和光純薬工業株式会社製
(6−9)メチルセロソルブ:和光純薬工業株式会社製
(6−10)イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。):和光純薬工業株式会社製
(7)メタノール−水混合溶液
(7−1)メタノール−水混合溶液−1:77容量%のメタノールと、23容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(7−2)メタノール−水混合溶液−2:80容量%のメタノールと、20容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(8)重合開始剤
(8−1)2−ブロモイソ酪酸エチル(以下、「EBIB」ともいう。):Aldrich社製
(8−2)アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」ともいう。):和光純薬工業株式会社製
(9)付加反応触媒
・ジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDLと言う。):和光純薬工業株式会社製
(10)重合禁止剤
・2,6−ジ−tert−ブチルフェノール:東京化成工業株式会社製
(11)光ラジカル開始剤
(11−1)1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184):BASF社製
(11−2)2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907):BASF社製
(12)光酸発生剤
・CPI−100P(商標名):サンアプロ株式会社製
<表面改質無機化合物粒子−1の合成(BPS改質数珠状シリカ粒子A1の合成)>
以下の手順に従って、BPS改質数珠状シリカ粒子A1(BPSが表面に結合した、数珠状シリカ粒子A1)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に86容量%の数珠状シリカ溶液Aを導入し、更に、7容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で7容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液−2に投入、混合し、静置後、上澄み液を廃棄した。
(8)沈殿物に窒素を吹き込み、残留する液体を揮発させた後、少量のTHFを加え、攪拌により沈殿物をTHFに溶解させた。
(9)上記溶液をメタノールに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(10)残った沈殿物にメタノールを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を10回繰り返した。
(11)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質20nm球状シリカ粒子を得た。
(13)ハロゲン含有量は、2.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機化合物粒子−2の合成(BPS改質数珠状シリカ粒子A2の合成)>
配合量を以下のように変更した以外は、上述の<表面改質無機化合物粒子−1の合成>と同様の方法で、BPS改質数珠状シリカ粒子A2を合成した。
配合量:数珠状シリカ溶液(92.7容量%)、BPS(0.2容量%)、HMDS(7.1容量%)
ハロゲン含有量は、0.18質量%であった。
<表面改質無機化合物粒子−3の合成(BPS改質50nm中空シリカ粒子の合成)>
中空シリカ溶液C(平均粒径48nm)(86容量%)、BPS(7容量%)、HMDS(7容量%)に、配合量を変更し、上記表面改質無機化合物粒子−1の合成と同様の方法で、BPS改質50nm中空シリカ粒子(BPSが表面に結合した、50nm中空シリカ粒子)を合成した。
BPS改質50nm中空シリカ粒子のハロゲン含有量は、1.0質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
[製造例1:数珠状SiO−g−p(TFEMA−co−HEMA)]
有機無機複合体Aを、表1の配合に従って、以下の手順で製造した。各成分の濃度は、全成分の合計量を基準とした数値である。得られた有機無機複合体Aの評価結果を表3に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、60℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質50nm中空シリカ粒子を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りの溶媒(MIBK)を導入して攪拌後、超音波洗浄機で10分間処理した後、更にモノマー(TFEMA及びHEMA)を導入し、60℃のオイルバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を20分間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、メタノール(メタノールのみで固形分が析出しにくい場合は、ヘキサンを使用しても良い。)に投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、メタノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(10)上記固形物を、真空下、80℃で24時間乾燥させて、有機無機複合体Aを得た。
(11)有機無機複合体AのTgを上述の方法で測定したところ、82℃であった。
(12)有機無機複合体Aのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、0.5質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(13)有機無機複合体Aのフッ素含有量を、上述の方法で測定したところ、20質量%であった。
(14)有機無機複合体Aを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、Mn=12,900、Mw=21,900、Mw/Mn=1.70(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機化合物粒子に結合していることがわかった。
(15)有機無機複合体Aのフリーポリマー量を測定したところ、フリーポリマーは3質量%であった。
(16)有機無機複合体Aの無機化合物粒子含有量を上述の方法で測定したところ、無機化合物粒子含有量は、52質量%及び46体積%であった。評価結果を、表3に示す。
[製造例2:数珠状SiO−g−p(EMA/HEMA/AOI)、光ラジカル硬化]
有機無機複合体Bを、表1及び表2の配合に従って、以下の手順で製造した。評価結果を、表3に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBr加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKを窒素下で導入し、溶液を攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、40℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質数珠状シリカA2粒子を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒を導入し、5時間攪拌した後、EMAとHEMAのモル比が50/50で、全モノマー重量が、表面改質無機粒子に対して約78質量%(EMAモノマーとHEMAモノマー)になるようにモノマーを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を22時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MIBKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(9)表2の配合に従って、残った沈殿物に重合禁止剤と溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(10)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、AOIと言う。)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとAOIの付加反応を行なった。
(11)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(12)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEK/メタノール混合溶媒(容量比で、MEK:メタノール=1:1で混合)を加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(13)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体Bを得た。
(14)有機無機複合体Bを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=63,200であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=2.00(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機化合物粒子に結合していることがわかった。
(15)有機無機複合体Bのフリーポリマー量を測定したところ、0質量%であった。評価結果を、表3に示す。
[製造例3:数珠状SiO−g−p(MMA/HEMA/AOI)、光ラジカル硬化]
以下の手順に従って、BIDS改質数珠状シリカ粒子/MIBK溶液(BIDSが表面に結合した、数珠状シリカ粒子/MIBK溶液)を合成し、連続して、表2の配合に従って、有機無機複合体Cを製造し、評価した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に98.9容量%の数珠状シリカ溶液B(「MIBK−ST−UP」)を導入し、更に、0.1容量%のBIDSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを110℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら24時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で1.0容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却したものを、BIDS改質数珠状シリカ溶液とした。一部を洗浄乾燥し、ハロゲン含有量を測定したところ、0.1質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(6)引き続き、表1の配合に従って、80℃で2時間重合した後、室温まで冷却し、重合液とした。
(7)更に引き続き、表2の配合に従って、60℃で6時間、付加反応を行い、室温まで冷却した。
(8)上記反応液を、製造例2と同様の方法で洗浄・乾燥し、有機無機複合体Cを得た。評価結果を表3に示す。
[製造例4:数珠状SiO−g−pGMA、光カチオン硬化]
有機無機複合体Bを、表1の配合に従って、以下の方法で製造し、評価した。得られた有機無機複合体Dの評価結果を表3に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBr及びCuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、溶液を攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、50℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、BPS改質数珠状シリカ粒子A1を投入した。
(4)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMEK溶媒を導入し、超音波洗浄機で10分間処理した後、GMAモノマーを導入し、50℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を7時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(8)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体を得た。
(10)有機無機複合体を構成するポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=38,300であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.91(≦2.3)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機化合物粒子に結合していることがわかった。
(11)有機無機複合体のフリーポリマー量を測定したところ、フリーポリマーは0質量%であった。評価結果を、表3に示す。
[製造例5](低屈折率コーティング材A及び有機無機複合膜A)
以下の手順で、低屈折率コーティング材Aと有機無機複合膜A(評価用サンプル)を作製し、評価した結果を、表4に示す。
(1)10質量%の製造例1の有機無機複合体Aに、MEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
(2)上記溶液に、MEK:シクロヘキサノンが8:2(容積比)となるように、シクロヘキサノンを加えて混合したものを、低屈折率コーティング材Aとした。
(3)低屈折率コーティング材Aを、PETフィルムの易接着層側に、バーコーターでコーティングし、風乾後、熱風乾燥機で80℃、1分間乾燥し、有機無機複合膜Aを作製した。
(4)上述の方法で、有機無機複合膜Aを評価したところ、屈折率は1.33、空隙率は9体積%であった。評価結果を、表4に示す。
[実施例1]
製造例5に記載の低屈折率コーティング材Aを使用し、以下の手順で、透明電極と有機EL素子を作製し、評価した。
<透明電極の作製>
製造例5の低屈折率コーティング材Aを使用し、有機無機複合膜の厚みが約1μmになるように、以下の手順で作製した。
(1)支持体(PETフィルム)の易接着層側に、上記低屈折率コーティング材を、ワイヤーコーターでコーティングし、風乾した後、更に熱風乾燥機で80℃、2分間乾燥し、支持体と有機無機複合膜からなる積層体を得た。
・PETフィルム:東洋紡績株式会社製、「コスモシャインA4100」(厚み100μm)
(2)上記(1)の積層体の有機無機複合膜の上に、図1の構成となるように、反応スパッタリング法で、導電性膜(ITO膜)を形成し、透明電極Aとした。条件は以下の通り。
・スパッタリングガス:アルゴンガス80%と酸素ガス20%からなる混合ガス。
・圧力:0.53Pa(4×10−3Torr)
・ターゲット:酸化インジウム90重量%−酸化スズ10重量%の焼結体
・導電性膜の厚み:25nm
<有機EL素子の作製>
上記透明電極Aを使用して、以下の手順で、図10の構成で、有機EL素子を作製し、評価した結果を表5に示す。但し、下記正孔注入層〜電子注入層までの各層の厚みの合計が、約100nmとなるように形成した。なお、図10の有機EL素子90は、支持体91の一面上に有機無機複合膜92及び陽極93が設けられた透明電極99を備え、透明電極99の陽極93上に、正孔輸送層94、発光層95、電子輸送層96、電子注入層97及び陰極98がこの順で積層された構成を有し、陽極93と陰極98とが直流電源100に連結されている。
(1)上記透明電極A(図10の99)の上に、Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine(株式会社同仁化学研究所製、以下、α−NPDと言う。)を蒸着し、正孔輸送層(図10の94)を形成した。
(2)上記正孔輸送層の上に、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(株式会社同仁化学研究所製、以下、Alqと言う。)を蒸着し、発光層(図10の95)及び電子輸送層(図10の96)を形成した。
(3)上記電子輸送層の上に、LiFを蒸着し、電子注入層(図10の97)を形成した。
(4)上記電子注入層の上に、厚みが約100nmとなるようにAlを蒸着し、陰極(図10の98)を形成し、有機EL素子Aを作製した。
(5)上記有機EL素子Aを、上述の方法で評価した結果を、表5に示す。基準となる比較例1の有機EL素子Xと比較して、光取出し効率が、有意に向上することがわかった。
[製造例6](低屈折率コーティング材B及び有機無機複合膜B)
以下の手順で、低屈折率コーティング材B、有機無機複合膜B(評価用サンプル)を作製し、評価した結果を、表4に示す。
(1)10質量%の製造例2の有機無機複合体Bに、0.1質量%の光ラジカル開始剤(イルガキュア184とイルガキュア907を、4:1の質量比で混合したもの)を加え、更にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
(2)上記溶液に、MEK:シクロヘキサノンが8:2(容積比)となるように、シクロヘキサノンを加えて混合したものを、低屈折率コーティング材Bとした。
(3)低屈折率コーティング材Bを、バーコーターでコーティング、風乾し、熱風乾燥機で80℃×1分間乾燥後、窒素下で積算光量500mJ/cmでUV照射して有機無機複合膜Bを作製し、実施例1と同様の方法で評価した結果を、表4に示す。
[実施例2]
<透明電極の作製>
製造例6の低屈折率コーティング材Bを使用し、有機無機複合膜の厚みが約1μmになるように、以下の手順で作製した。
(1)実施例1と同じ、支持体(PETフィルム)の易接着層側に、上記低屈折率コーティング材を、ワイヤーコーターでコーティングし、風乾した後、更に熱風乾燥機で80℃、1分間乾燥し、更に窒素下で積算光量500mJ/cmでUV照射して、支持体と有機無機複合膜からなる積層体を得た。
(2)上記積層体を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、透明電極を作製した。
<有機EL素子の作製>
上記透明電極を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、有機EL素子Bを作製し、評価した結果を、表5に示す。基準となる比較例1の有機EL素子Xと比較して、光取出し効率が、有意に向上することがわかった。
[製造例7](低屈折率コーティング材C及び有機無機複合膜C)
以下の手順で、低屈折率コーティング材C、有機無機複合膜C(評価用サンプル)を作製し、評価した結果を、表4に示す。
(1)10質量%の製造例3の有機無機複合体Cに、0.1質量%の光ラジカル開始剤(イルガキュア184とイルガキュア907を、4:1の質量比で混合したもの)を加え、更にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
(2)上記溶液に、MEK:メチルセロソルブが5:5(容積比)となるように、メチルセロソルブを加えて混合したものを、低屈折率コーティング材Cとした。
(3)低屈折率コーティング材Cを使用し、製造例6と同様の方法で、有機無機複合膜Cを作製し、実施例1と同様の方法で評価した結果を、表4に示す。
[実施例3]
<透明電極の作製>
比較例6の低屈折率コーティング材のBの代わりに、製造例7の低屈折率コーティング材Cを使用した以外は、実施例2と同様の方法で、透明電極を作製した。
<有機EL素子の作製>
上記透明電極を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、有機EL素子Cを作製し、評価した結果を、表5に示す。基準となる比較例1の有機EL素子Xと比較して、光取出し効率が、有意に向上することがわかった。
[製造例8](低屈折率コーティング材D及び有機無機複合膜D)
以下の手順で、低屈折率コーティング材D、有機無機複合膜D(評価用サンプル)を作製し、評価した結果を、表4に示す。
(1)10質量%の製造例4の有機無機複合体Dに、0.2質量%の光酸発生剤を加え、更にMEKを加えて100質量%とし、混合攪拌した。
(2)上記溶液に、MEK:メチルセロソルブが5:5(容積比)となるように、メチルセロソルブを加えて混合したものを、低屈折率コーティング材Dとした。
(3)低屈折率コーティング材Dを使用し、空気下でUV照射した以外は、製造例6と同様の方法で、有機無機複合膜Dを作製し、実施例1と同様の方法で評価した結果を、表4に示す。
[実施例4]
<透明電極の作製>
比較例6の低屈折率コーティング材のBの代わりに、製造例8の低屈折率コーティング材Dを使用し、空気下でUV照射した以外は、実施例2と同様の方法で、透明電極を作製した。
<有機EL素子の作製>
上記透明電極を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、有機EL素子Dを作製し、評価した結果を、表5に示す。基準となる比較例1の有機EL素子Xと比較して、光取出し効率が、有意に向上することがわかった。
[比較例1]
実施例1の有機無機複合膜を作製しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、有機EL素子Xを作製し、評価した結果を表5に示す。
[比較製造例1]
表1及び2の配合に従って、以下の手順で、フリーラジカル重合による有機無機複合体αを合成した。得られた有機無機複合体αを、製造例1と同様の方法で評価した。評価結果を表8に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、AIBNを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、攪拌したものを、触媒溶液とした。
(2)冷却管を接続し、回転子を入れた別のシュレンクフラスコに、CPS改質20nm球状シリカ粒子を投入した。
(3)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(4)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒を導入し、5時間攪拌した後、MMAとHEMAのモル比が90/10で、全モノマー重量が、表面改質無機粒子に対して78質量%(MMAモノマーとHEMAモノマー)になるようにモノマーを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(5)更に、上記で調製した触媒溶液を、窒素下で導入後、反応液を6時間攪拌し、重合反応を行った。
(6)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離して、静置した。
(7)静置後、上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MIBKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(8)残った沈殿物に2、6−ジ−tert−ブチルメチルフェノールとMEK溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(9)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、MOIと言う。)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとMOIの付加反応を行なった。
(10)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(11)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(12)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、有機無機複合体αを得た。
(13)ポリマーの分子量は、有機無機複合体αがゲル化したため完全に溶解しなかったが、溶解成分のみを測定したところ分子量分布は2.3より大きかった。その有機無機複合体αを使用し、上述の方法で、コーティング液を調整した結果、明らかに溶解していない凝集物が沈殿していた。このコーティング液から得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集が見られ、微白濁を呈していた。得られた有機無機複合膜の評価結果を表5に示す。
[比較製造例2]
無機化合物粒子を配合せずに、表1及び2の配合に従って、重合反応を行い、p(MMA−co−HEMA)共重合ポリマーを合成し、製造例3と同様に、反応性二重結合を有する化合物を付加させた。得られた有機ポリマーとBPS改質数珠状シリカ粒子A1の混合コーティング膜を作成し、製造例3と同様の方法で評価した。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、CuBrを加え、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMEKを窒素下で導入し、攪拌した。
(2)上記溶液に、PMDETAを加え、40℃で攪拌したものを、触媒溶液とした。
(3)回転子を入れたシュレンクフラスコを、内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した後、少量のMIBKとEBIBを窒素下で導入し、攪拌したものを、重合開始剤溶液とした。
(4)回転子を入れた、別のシュレンクフラスコに、冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(5)フラスコに、窒素下で残りのMIBK溶媒、MMAモノマーとHEMAを導入し、80℃のオイスバスに浸し、攪拌した。
(6)更に、上記で調製した触媒溶液と重合開始剤溶液を、窒素下で導入後、反応液を10時間攪拌し、重合反応を行った。
(7)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(8)残った沈殿物に、ヘキサンを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返した。
(9)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、沈殿物「p(MMA−co−HEMA)」を得た。
(10)残った沈殿物に2、6−ジ−tert−ブチルメチルフェノールとMEK溶媒を加えて、溶液が透明になるまで攪拌を行なった。
(11)次いで、溶液を60℃に加熱した後、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)とDBTDLを加えて、6時間攪拌し、HEMAとAOIの付加反応を行なった。
(12)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、ヘキサンに投入して攪拌し、静置した。沈殿物が沈みにくい場合は、遠心分離で分離を行なった。
(13)上澄み液を廃棄した後、残った沈殿物に、MEKを加えて再分散させた後、ヘキサンを加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に2回繰り返し、最後にヘキサンで洗浄し、上澄み液を廃棄することで未反応のモノマーを除去した。
(14)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、風乾することにより、液体を揮発させ、フリーポリマー「p(MMA/HEMA/AOI)」を得た。
(15)ポリマーの数平均分子量(Mn)を上述の方法で測定したところ、Mn=61,200であった。更に、分子量分布(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.85(≦2.3)であった。評価結果を、表3に示す。
(16)上記ポリマーに、無機含量が90質量%になるようにBPS改質数珠状シリカ粒子A1を加えて、実施例3と同様の方法で、有機ポリマーとBPS改質数珠状シリカ粒子A1の混合物で、有機無機複合膜を作成し、上述の方法で評価した結果を、表4に示す。
[比較例2]
製造例2の有機無機複合体Bの代わりに、比較製造例2の組成物を使用した以外は、実施例2と同様の方法で、透明電極、有機EL素子Yを作製し、評価した結果を、表5に示す。上記実施例と比較して、品位が劣っていることがわかった。
[比較製造例3]
表1及び2に従い、重合停止時間を14時間とした以外は、製造例2と同様の方法で有機無機複合体βを、製造し、評価した結果を、表3に示す。また、得られた有機無機複合膜の評価結果を、表4に示す。
[比較例3]
製造例2の有機無機複合体Bの代わりに、比較製造例3の有機無機複合体βを使用した以外は、実施例2と同様の方法で、透明電極、有機EL素子Zを作製し、評価した結果を、表5に示す。光取出し効率は基準となる比較例1と同等であり、所望の効果は得られなかった。
[比較製造例4]
表1及び2に従い、重合停止時間を15分とした以外は、製造例2と同様の方法で、有機無機複合体γを製造し、評価した。得られた有機無機複合体γの無機含量は96質量%であり、外観を目視で確認したところ、微白濁を呈していた。評価結果を、表3に示す。また、得られた有機無機複合膜が脆く、破損してしまい、屈折率等の評価ができなかった。評価結果を表4に示す。
[比較例4]
製造例2の有機無機複合体Bの代わりに、比較製造例4の有機無機複合体γを使用したが、膜が破損してしまい、透明電極、有機EL素子の作製ができなかった。
本発明の透明電極は、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)の製造用として有用なものである。
10…透明電極、11…支持体、12…有機無機複合膜、13…透明導電性膜、20…透明電極、21…支持体、22…有機無機複合膜、23…接続層、24…透明フィルム、25…透明導電性膜、30…有機EL素子、31…支持体、32…陽極、33…発光層、34…電子輸送層、35…陰極、36…透明電極、40…有機EL素子、41…支持体、42…陽極、43…正孔輸送層、44…発光層、45…電子輸送層、46…陰極、47…透明電極、50…有機EL素子、51…支持体、52…陽極、53…正孔輸送層、54…発光層、55…正孔阻止層、56…電子輸送層、57…陰極、58…透明電極、60…有機EL素子、61…支持体、62…陽極、63…正孔輸送層、64…発光層、65…正孔阻止層、66…電子輸送層、67…電子注入層、68…陰極、69…透明電極、70…有機EL素子、71…支持体、72…陽極、73…正孔注入層、74…正孔輸送層、75…発光層、76…正孔阻止層、77…電子輸送層、78…電子注入層、79…陰極、80…透明電極、90…有機EL素子、91…支持体、92…有機無機複合膜、93…陽極、94…正孔輸送層、95…発光層、96…電子輸送層、97…電子注入層、98…陰極、99…透明電極、100…直流電源。

Claims (11)

  1. 支持体と、
    無機化合物粒子及び該無機化合物粒子に結合しているポリマーを含む有機無機複合体を含有する有機無機複合膜と、
    透明導電性膜と、を備え、
    前記有機無機複合膜の空隙率が、3〜90体積%である、透明電極。
  2. 前記無機化合物粒子が、数珠状に連結した複数の一次粒子を含む鎖状の構造を形成している、請求項1に記載の透明電極。
  3. 前記無機化合物粒子と前記ポリマーとが、下記式1で表される構造を有するカップリング剤を介して結合している、請求項1又は2に記載の透明電極。
    X−Si(R1)(R2)(R3) ・・・(式1)
    [式中、Xは、重合開始基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、R3は、炭素原子数が1〜10のアルコキシ基、水素原子、水酸基又はハロゲン原子である。]
  4. 前記ポリマーの分子量分布が2.3以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明電極。
  5. 前記透明導電性膜が、インジウムスズ酸化物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明電極。
  6. 前記支持体が、樹脂フィルム又はガラス基板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明電極。
  7. 前記複合体層の屈折率が、1.05〜1.35である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明電極。
  8. 粘着剤又は接着剤を含有する接続層を更に備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明電極。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明電極を備える、表示デバイス。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明電極を備える、エレクトロルミネッセンスデバイス。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明電極を備える、発光素子デバイス。
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