JP2011039375A - 光散乱基板、光散乱基板の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】規則的でなだらかなセル状の凹凸形状を持ち、その凹凸形状による光の集光性によって光取り出し効率を向上できる光散乱基板(光取り出しフィルム)とその製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】透明基板と、該透明基板の少なくとも一方の面に規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有し、該光散乱層は無機微粒子を含有した樹脂から構成されていることを特徴とする光散乱基板。
【選択図】なし
【解決手段】透明基板と、該透明基板の少なくとも一方の面に規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有し、該光散乱層は無機微粒子を含有した樹脂から構成されていることを特徴とする光散乱基板。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種ディスプレイ、バックライト、表示板、照明用光源等に用いられる光散乱基板とその製造方法及び該光散乱基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明等の光源として用いられる面発光体は、高輝度、高効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有することから、近年注目されている。このような面発光体の中でも、有機材料を用いて正負の各極からの電気エネルギーによって発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、薄膜型の完全固体素子であるため、省スペース等の理由から特に注目されている。
しかしながら、有機EL素子のような薄膜からなる面発光素子の場合、発光体薄膜層の屈折率と発光した光が出射する際に通過する媒質との屈折率により決まる光の出射角が、臨界角以上の発光である場合には、全反射して内部に閉じ込められ、導波光として失われる。その結果、指向性がない発光層の発光は、前に出てくる光以外は失われることとなり、光の取り出し効率(発光したエネルギーに対して基板の外に出てくるエネルギーの割合)が低くなるという問題がある。
古典光学に基づいた多重反射から導き出される前方向への光取り出し効率(発光効率)は1/2n2で近似でき、発光層の屈折率nでほぼ決まってしまう。発光層の屈折率を約1.7とすると、単純に前記有機EL素子からの発光効率は約20%となる。残りの光は、発光層の面積方向へ伝搬するか(横方向への霧散)、発光層を挟んで透明電極と相対する金属電極で消失する(後方向への吸収)。換言すると、有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことになる。
この光の取り出し効率を向上させる手段としては、例えば、透明基板表面に凹凸構造を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法や、基板と発光体の間に中間の屈折率を有する平坦層を導入する方法、反射防止膜を形成する方法、基板ガラス、透明電極層や発光層のいずれかの層間に回折格子を形成する方法などが考えられている。透明基板の表面に凹凸構造を形成する方法や回折格子を形成する構成においては、凹凸構造を形成する手段として、フォトリソグラフィの手法でエッチングにより凹凸構造を形成する方法や押し出し成型等の物理的に凹凸構造を形成する方法が一般的である。
その他の凹凸構造を形成する手段としては、液晶ディスプレイ等のチラツキを防止する防眩性のフィルムの作製する方法として、樹脂に粒径の大きな有機微粒子を含有させ、その表面張力を利用して対流を促し、凹凸を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
また、光取り出し効率を上げる方法として、透明基板と透明電極の間に高屈折率層を設け、高屈折率層および透明基板の其々光取り出し面側に不規則な凹凸構造を形成した光散乱層を有する方法も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、光取り出し向上の手段として、フォトリソグラフィの手法や押し出し成型を行った場合、形成できる凹凸形状は、柱状の複数の凸部が存在するような形状となる。この形状では、光出射方向に水平な面と平行な面しか存在しないため、光の入射方向によっては全反射が生じ、光取り出し効率向上の妨げとなる。また、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入する方法では、屈折率の異なる平滑な界面が存在することとなり、光の取り出し効率のさらなる向上が必要であった。
また、特許文献1に記載されている方法では、低透過率、低屈折率であるため、有機EL素子の光取り出し用途としては用いることが困難である。
また、特許文献2に記載されたような高屈折率層と不規則な凹凸構造を形成する方法では、凹凸構造が不規則であるため、光取り出し効率向上は不十分であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる光散乱基板、光散乱基板の製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。具体的には、規則的でなだらかなセル状の凹凸形状を持ち、その凹凸形状による光の集光性によって光取り出し効率を向上できる光散乱基板(光取り出しフィルム)とその製造方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.透明基板と、該透明基板の少なくとも一方の面に規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有し、該光散乱層は無機微粒子を含有した樹脂から構成されていることを特徴とする光散乱基板。
2.前記無機微粒子が、TiO2またはZrO2であることを特徴とする前記1に記載の光散乱基板。
3.前記無機微粒子の体積平均粒子径が、5nm以上、50nm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の光散乱基板。
4.前記透明基板の屈折率をn1とし、前記光散乱層の屈折率をn2としたとき、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の光散乱基板。
式(1)
0≦|n1−n2|≦0.1
5.前記1から4のいずれか1項に記載の光散乱基板を製造する光散乱基板の製造方法であって、光散乱層は、有機溶媒、無機微粒子及び硬化性モノマーを含む塗布液を該透明基板に塗布し、該塗布液を乾燥することで塗布層表面に、該規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を形成する工程と、該凹凸構造を形成した該塗布液に含まれる硬化性モノマーを硬化する工程を経て形成することを特徴とする光散乱基板の製造方法。
0≦|n1−n2|≦0.1
5.前記1から4のいずれか1項に記載の光散乱基板を製造する光散乱基板の製造方法であって、光散乱層は、有機溶媒、無機微粒子及び硬化性モノマーを含む塗布液を該透明基板に塗布し、該塗布液を乾燥することで塗布層表面に、該規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を形成する工程と、該凹凸構造を形成した該塗布液に含まれる硬化性モノマーを硬化する工程を経て形成することを特徴とする光散乱基板の製造方法。
6.前記1から4のいずれか1項に記載の光散乱基板を用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明により、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる光散乱基板、光散乱基板の製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。具体的には、規則的でなだらかなセル状の凹凸形状を持ち、その凹凸形状による光の集光性によって光取り出し効率を向上できる光散乱基板(光取り出しフィルム)とその製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、透明基板と、該透明基板の少なくとも一方の面に規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有し、該光散乱層は無機微粒子を含有した樹脂から構成されていることを特徴とする光散乱基板により、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる光散乱基板を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の光散乱基板、光散乱基板の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の詳細について説明する。
《光散乱基板》
本発明の光散乱基板は透明基板と光散乱層で構成され、光散乱層は少なくとも樹脂と無機微粒子と有機溶媒から構成される塗布液を用いて形成され、その表面にセル状の凹凸構造を有することを特徴とする。
本発明の光散乱基板は透明基板と光散乱層で構成され、光散乱層は少なくとも樹脂と無機微粒子と有機溶媒から構成される塗布液を用いて形成され、その表面にセル状の凹凸構造を有することを特徴とする。
〔セル状の凹凸構造〕
本発明に係る光散乱層は、有機溶媒等の蒸発により生じる対流により、比較的制御された間隔で規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造が形成されている。この凹凸構造は、セルの界面が凸部、セルの中心が凹部になっており、セルが全て独立していてもよいし、細長い凸部で連結されていてもよい。また、セルの表面形状は一般的には一様な六角形(ハニカム構造)であるが、特に限定されない。円形、六角形以外の多角形、楕円形であってもよい。また、必ずしも全てが一様である必要はなく、大きさが多少異なるセルが混在していても、また形状が多少歪んでいても構わない。断面形状はセル界面が凸部となる周期的でなだらかな傾斜面をもつ波形の凹凸形状である。このようにして形成するセル状の凹凸構造の個々の大きさは、材料、溶剤、基材等の選択、モノマー濃度、含有する無機微粒子の濃度、溶液のキャスト量、加湿条件、基板温度等を制御することにより変えることができる。凹凸構造の平均幅は特に限定されないが、光散乱性の観点から10〜100μmが好ましい。凹凸構造の平均高さは特に限定されず、光散乱層の膜厚および塗布液の粘度等により調節可能であるが、成形性の観点からは10〜500nmが好ましい。この凹凸構造はなだらかな傾斜面を持つため、全反射を抑制することにより光取り出し効率を向上することできる。
本発明に係る光散乱層は、有機溶媒等の蒸発により生じる対流により、比較的制御された間隔で規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造が形成されている。この凹凸構造は、セルの界面が凸部、セルの中心が凹部になっており、セルが全て独立していてもよいし、細長い凸部で連結されていてもよい。また、セルの表面形状は一般的には一様な六角形(ハニカム構造)であるが、特に限定されない。円形、六角形以外の多角形、楕円形であってもよい。また、必ずしも全てが一様である必要はなく、大きさが多少異なるセルが混在していても、また形状が多少歪んでいても構わない。断面形状はセル界面が凸部となる周期的でなだらかな傾斜面をもつ波形の凹凸形状である。このようにして形成するセル状の凹凸構造の個々の大きさは、材料、溶剤、基材等の選択、モノマー濃度、含有する無機微粒子の濃度、溶液のキャスト量、加湿条件、基板温度等を制御することにより変えることができる。凹凸構造の平均幅は特に限定されないが、光散乱性の観点から10〜100μmが好ましい。凹凸構造の平均高さは特に限定されず、光散乱層の膜厚および塗布液の粘度等により調節可能であるが、成形性の観点からは10〜500nmが好ましい。この凹凸構造はなだらかな傾斜面を持つため、全反射を抑制することにより光取り出し効率を向上することできる。
〔光散乱層〕
以下、本発明に係る光散乱層の構成要素の詳細について説明する。本発明に係る光散乱層は、樹脂と無機微粒子と有機溶媒から構成される塗布液を用いて形成される。
以下、本発明に係る光散乱層の構成要素の詳細について説明する。本発明に係る光散乱層は、樹脂と無機微粒子と有機溶媒から構成される塗布液を用いて形成される。
(無機微粒子)
本発明に係る光散乱層の形成に用いられる無機微粒子としては、光学素子として使用する波長領域において、吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。透明基板の屈折率をn1とし、無機微粒子を含む光散乱層の屈折率をn2としたとき、本発明における好ましい範囲である下記式(1)を持たすことができれば、無機微粒子の屈折率は特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.8以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
本発明に係る光散乱層の形成に用いられる無機微粒子としては、光学素子として使用する波長領域において、吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。透明基板の屈折率をn1とし、無機微粒子を含む光散乱層の屈折率をn2としたとき、本発明における好ましい範囲である下記式(1)を持たすことができれば、無機微粒子の屈折率は特に限定されないが、1.6以上であることが好ましく、1.8以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。
式(1)
0≦|n1−n2|≦0.1
本発明で用いることのできる無機微粒子の具体的な材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl2O4)等の粒子および複合粒子の中で、屈折率が1.6を満たすものが好ましい。これら無機微粒子のうち、安価であり、小粒径化が容易であることから、TiO2、ZrO2を用いることが特に好ましい。
0≦|n1−n2|≦0.1
本発明で用いることのできる無機微粒子の具体的な材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl2O4)等の粒子および複合粒子の中で、屈折率が1.6を満たすものが好ましい。これら無機微粒子のうち、安価であり、小粒径化が容易であることから、TiO2、ZrO2を用いることが特に好ましい。
本発明においては、無機微粒子の体積平均粒子径としては、高い透明性を保持でき光取り出し効率が向上する観点から、5nm以上、50nm以下であることが好ましい。ここで、体積平均粒子径とは、各無機微粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値をいう。
無機微粒子の調製方法としては、気相中で無機微粒子の原料を噴霧、焼成することにより微小な無機微粒子を得ることができる。更には、プラズマを用いて無機微粒子を調製する方法、原料固体をレーザー等でアブレーションさせ無機微粒子化する方法、蒸発させた金属ガスを酸化させて無機微粒子を調製する方法なども好適に用いることができる。また、液相中で調製する方法として、アルコキシドや塩化物溶液を原料としたゾル−ゲル法等を用い、ほぼ一次粒子として分散した無機微粒子分散液を調製することも可能である。あるは、溶解度の低下を利用した反応晶析法を用いて粒子径のそろった無機微粒子分散液を得ることが可能である。
液相で得られた無機微粒子においては、乾燥、焼成することが、無機微粒子の機能を安定に引き出すことができる観点から好ましい。乾燥には、凍結乾燥、噴霧乾燥、超臨界乾燥などの手段が適用可能であり、焼成は、単に雰囲気を制御しながら高温にするだけでなく、有機あるいは無機の焼結防止剤を用いて行うことが好ましい。
無機微粒子の樹脂に対する充填率については、特に制約は無いが、50nm以下の無機微粒子を樹脂に充填し、光学物性(屈折率)を変化させるには、ある程度の充填率が必要であることから、5体積%以上、さらには10体積%以上が好ましい。ここでいう無機微粒子の体積分率は、無機微粒子の比重をa、含有量をxグラム、作製された光散乱層材料の全体積樹脂をYミリリットルとした時、式(x/a)/Y×100で求められる。
無機微粒子の含有量の定量は、透過型電子顕微鏡(TEM)による半導体結晶像の観察(EDX等の局所元素分析により半導体結晶組成に関する情報も得ることが可能)、あるいは与えられた樹脂組成物が含有する灰分の元素分析により求まる所定組成の含有質量と該組成の結晶の比重とから算出することが可能である。
(表面処理剤)
本発明に係る無機微粒子では、樹脂と均一に混合する必要があることから、樹脂との親和力を高めるため、表面処理がなされていることが好ましい。表面処理剤の無機微粒子表面への導入方法としては、下記に示す方法を一例として挙げることができるが、それらに限るものではない。
本発明に係る無機微粒子では、樹脂と均一に混合する必要があることから、樹脂との親和力を高めるため、表面処理がなされていることが好ましい。表面処理剤の無機微粒子表面への導入方法としては、下記に示す方法を一例として挙げることができるが、それらに限るものではない。
A:物理吸着法(二次結合性の活性剤処理)
B:表面化学種の利用反応法(表面水酸基との共有結合)
C:活性種の表面導入と反応(ラジカル等の活性点導入とグラフト重合、高エネルギー線照射とグラフト重合)
D:樹脂コーティング法(カプセル化、プラズマ重合)
E:沈着固定化法(難溶性有機酸塩の沈着)
更に、表面処理剤の具体例を下記に示す。
B:表面化学種の利用反応法(表面水酸基との共有結合)
C:活性種の表面導入と反応(ラジカル等の活性点導入とグラフト重合、高エネルギー線照射とグラフト重合)
D:樹脂コーティング法(カプセル化、プラズマ重合)
E:沈着固定化法(難溶性有機酸塩の沈着)
更に、表面処理剤の具体例を下記に示す。
(1)シランカップリング剤
シランカップリング剤としては、シラノール基と粒子表面の水酸基との縮合反応や水素結合を利用する。例えば、ビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられ、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましく用いられる。
シランカップリング剤としては、シラノール基と粒子表面の水酸基との縮合反応や水素結合を利用する。例えば、ビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられ、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましく用いられる。
(2)その他カップリング剤
チタネート、アルミナート、ジルコネート系のカップリング剤も適用可能である。さらに、ジルコアルミネート、クロメート、ボレート、スタネート、イソシアネート等も使用可能である。ジケトン系のカップリング剤も使用可能である。
チタネート、アルミナート、ジルコネート系のカップリング剤も適用可能である。さらに、ジルコアルミネート、クロメート、ボレート、スタネート、イソシアネート等も使用可能である。ジケトン系のカップリング剤も使用可能である。
(3)表面吸着剤
表面吸着剤としては、アルコール、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、カルボン酸類、アミン類などが適用可能である。
表面吸着剤としては、アルコール、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、カルボン酸類、アミン類などが適用可能である。
(4)樹脂系表面処理
上記(1)〜(3)項に記載の添加剤を用いる方法で粒子表面に活性種を導入後、グラフト重合により表面にポリマー層を設ける方法や、あらかじめ合成したポリマー分散剤を粒子表面に吸着、結合させる方法がある。粒子表面により強固にポリマー層を設けるためにはグラフト重合が好ましく、特に高密度にグラフトさせることが好ましい。
上記(1)〜(3)項に記載の添加剤を用いる方法で粒子表面に活性種を導入後、グラフト重合により表面にポリマー層を設ける方法や、あらかじめ合成したポリマー分散剤を粒子表面に吸着、結合させる方法がある。粒子表面により強固にポリマー層を設けるためにはグラフト重合が好ましく、特に高密度にグラフトさせることが好ましい。
(樹脂成分)
本発明に係る光散乱層の形成に用いる樹脂としては、硬化性樹脂であれば特に制限はない。硬化性樹脂とは、紫外線及び電子線照射、あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、無機微粒子と未硬化の状態で混合させた後、硬化させることによって透明な樹脂組成物を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性光線照射を受けて硬化する活性光線硬化性樹脂であってもよいし、加熱処理によって硬化する熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、下記に列記したような種類の樹脂を好ましく使用することができ、特に好ましくはアクリル系樹脂を用いることができる。
本発明に係る光散乱層の形成に用いる樹脂としては、硬化性樹脂であれば特に制限はない。硬化性樹脂とは、紫外線及び電子線照射、あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、無機微粒子と未硬化の状態で混合させた後、硬化させることによって透明な樹脂組成物を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性光線照射を受けて硬化する活性光線硬化性樹脂であってもよいし、加熱処理によって硬化する熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、下記に列記したような種類の樹脂を好ましく使用することができ、特に好ましくはアクリル系樹脂を用いることができる。
〈1.シリコーン樹脂〉
珪素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合−Si−O−を主鎖としているポリマーであるシリコーン樹脂としては、所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能であり、例えば、特開平6−9937号公報等を参照することができる。
珪素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合−Si−O−を主鎖としているポリマーであるシリコーン樹脂としては、所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能であり、例えば、特開平6−9937号公報等を参照することができる。
熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂は、加熱による連続的加水分解−脱水縮合反応によって、シロキサン結合骨格による三次元網状構造となるものであれば特に制限はなく、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示し、一度硬化すると加熱により再軟化し難い性質を有する。このようなポリオルガノシロキサン樹脂は、下記一般式(A)で示す構造を構成単位として含み、その形状は鎖状、環状、網状形状のいずれであってもよい。
一般式(A)
((R1)(R2)SiO)n
上記一般式(A)において、R1及びR2は各々同種または異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、R1及びR2として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。R1及びR2は水酸基及びアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)において、nは50以上の整数を示す。
((R1)(R2)SiO)n
上記一般式(A)において、R1及びR2は各々同種または異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、R1及びR2として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。R1及びR2は水酸基及びアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)において、nは50以上の整数を示す。
ポリオルガノシロキサン樹脂は、通常、トルエン、キシレン、石油系溶剤のような炭化水素系溶剤、またはこれらと極性溶剤との混合物に溶解して用いられる。また、相互に溶解しあう範囲で組成の異なるものを配合して用いてもよい。
ポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、オルガノハロゲノシランの一種または二種以上の混合物を加水分解、乃至アルコリシスすることによって得ることができ、ポリオルガノシロキサン樹脂は一般にシラノール基またはアルコキシ基等の加水分解性基を含有し、これらの基をシラノール基に換算して1〜10質量%含有する。
これらの反応は、オルガノハロゲノシランを溶融し得る有機溶媒の存在下に行うのが一般的である。また、分子鎖末端に水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子を有する直鎖状のポリオルガノシロキサンをオルガノトリクロロシランと共加水分解して、ブロック共重合体を合成する方法によっても得ることができる。このようにして得られるポリオルガノシロキサン樹脂は一般に残存するHClを含むが、本実施形態の組成物においては、保存安定性が良好なことから、10ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを使用するのが良い。
〈2.エポキシ樹脂〉
本発明に適用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−シクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂(国際公開第2004/031257号参照)を使用することができ、その他、スピロ環を含有したエポキシ樹脂や鎖状脂肪族エポキシ樹脂等も使用することができる。その際、オキセタン樹脂を併用または単独で用いてもよい。
本発明に適用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−シクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂(国際公開第2004/031257号参照)を使用することができ、その他、スピロ環を含有したエポキシ樹脂や鎖状脂肪族エポキシ樹脂等も使用することができる。その際、オキセタン樹脂を併用または単独で用いてもよい。
〈3.アクリル系樹脂〉
本発明に適用可能なアクリル系樹脂の原料成分としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー。あるいは、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
本発明に適用可能なアクリル系樹脂の原料成分としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー。あるいは、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
本発明では、これらのうち3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び3官能以上の多官能性ウレタンアクリレート系化合物を用いることが好ましい。
〈4.アリルエステル化合物を含有する樹脂〉
本発明に適用可能なアリルエステル化合物を含有する樹脂としては、芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
本発明に適用可能なアリルエステル化合物を含有する樹脂としては、芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
(有機溶媒)
本発明に係る光散乱層は、上記説明した樹脂及び無機微粒子ともに、有機溶媒を含む塗布液を調製した後、透明基板上に該塗布液を塗設し、対流により塗膜表面を隆起させて膜表面において規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を形成する。この対流は、有機溶媒の蒸発乾燥と共に塗膜の表面付近が蒸発熱により冷却された結果、塗膜の上層と下層の間で限界以上の温度差が生じることによって発生する。または、有機溶媒の蒸発乾燥時の蒸発熱により温度及び濃度勾配が形成され、表面張力の分布が不均一になった結果、凹凸構造が生じる。そのため、溶液に含まれる成分の中でも有機溶媒は、安定的に対流を発生させるために必要不可欠である。有機溶媒としては、用いるモノマーと相溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、炭素数1〜4程度の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類などを選択することができる。
本発明に係る光散乱層は、上記説明した樹脂及び無機微粒子ともに、有機溶媒を含む塗布液を調製した後、透明基板上に該塗布液を塗設し、対流により塗膜表面を隆起させて膜表面において規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を形成する。この対流は、有機溶媒の蒸発乾燥と共に塗膜の表面付近が蒸発熱により冷却された結果、塗膜の上層と下層の間で限界以上の温度差が生じることによって発生する。または、有機溶媒の蒸発乾燥時の蒸発熱により温度及び濃度勾配が形成され、表面張力の分布が不均一になった結果、凹凸構造が生じる。そのため、溶液に含まれる成分の中でも有機溶媒は、安定的に対流を発生させるために必要不可欠である。有機溶媒としては、用いるモノマーと相溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、炭素数1〜4程度の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類などを選択することができる。
(光散乱層形成用塗布液の調製方法)
本発明に係る樹脂と無機微粒子と有機溶媒とを含む光散乱層形成用塗布液の調製にあたっては、はじめに無機微粒子を含有する未硬化の状態の樹脂組成物を調製する。
本発明に係る樹脂と無機微粒子と有機溶媒とを含む光散乱層形成用塗布液の調製にあたっては、はじめに無機微粒子を含有する未硬化の状態の樹脂組成物を調製する。
無機微粒子を含有する樹脂組成物は、有機溶媒に溶解した硬化性樹脂と、本発明に係る無機微粒子を混合する方法、あるいは硬化性樹脂の原料の一つであるモノマー溶液中に本発明に係る無機微粒子を添加、混合した後に重合して調製されても良い。また、モノマーが一部重合したオリゴマーや低分子量のポリマーを溶融し、そこに本発明に係る無機微粒子を添加、混合することで調製されても良い。
本発明においては、モノマー溶液中に無機微粒子を添加した後に重合させる方法が好ましく、特に、モノマーと無機微粒子を混合した高粘性の溶液を、冷却しながらシェアを与えて混合する方法が好ましい。この時、硬化性樹脂中への無機微粒子の分散が最適になるように粘度を調整することも重要である。粘度調整の方法としては、無機微粒子の粒子径、表面状態、添加量の調整や、有機溶媒や粘度調整剤の添加等が挙げられるが、無機微粒子はその構造により表面修飾が容易なことから、最適な混練状態を得ることが可能である。
シェアを与え複合化を行う場合、無機微粒子は粉体ないし凝集状態のまま添加することが可能である。あるいは、液中に分散した状態で添加することも可能である。液中に分散した状態で添加する場合は、混合後に脱気を行うことが好ましい。
液中に分散した状態で添加する場合、あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して添加することが好ましい。分散には各種分散機が使用可能であるが、特にビーズミルが好ましい。ビーズは各種の素材があるがその大きさは小さいものが好ましく、特に直径0.001〜0.5mmのものが好ましい。
本発明に係る無機微粒子は表面処理された状態で加えられることが好ましいが、表面処理剤と無機微粒子とを同時に添加し、硬化性樹脂との複合化を行うインテグラルブレンドのような方法を用いることも可能である。
また、対流に伴い隆起した表面凹凸形状を保持するために溶液の粘度は適度に高いのが好ましく、且つ対流が滞りなく流れるためには溶液の粘度は適度に低いのが好ましい。
〔透明基板〕
本発明の光散乱基板に適用する透明基板は、透明基板の屈折率をn1とし、光散乱層の屈折率をn2としたとき、本発明における好ましい範囲である前記式(1)(0≦|n1−n2|≦0.1)を満たすものであれば特に制限はない。具体的な透明基板としては、ガラスや透明樹脂フィルム等を用いることができ、柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いるのが好ましい。透明樹脂フィルムの屈折率は、1.60以上であることが好ましく、さらに1.70以上1.80以下であることが特に好ましい。
本発明の光散乱基板に適用する透明基板は、透明基板の屈折率をn1とし、光散乱層の屈折率をn2としたとき、本発明における好ましい範囲である前記式(1)(0≦|n1−n2|≦0.1)を満たすものであれば特に制限はない。具体的な透明基板としては、ガラスや透明樹脂フィルム等を用いることができ、柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いるのが好ましい。透明樹脂フィルムの屈折率は、1.60以上であることが好ましく、さらに1.70以上1.80以下であることが特に好ましい。
本発明に適用可能な透明樹脂フィルムの厚さは、50μm以上、250μm以下であることが好ましく、更には75μm以上、200μm以下であることが好ましい。
本発明に適用可能な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムを用いることが好ましく、特に延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが耐熱性の面で好ましい。
本発明に係る透明基板においては、例えば、透明樹脂フィルムを用いる際、その両面または片面にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層を設ける場合には、透明基板の屈折率n1は、ハードコート層の屈折率を示すものとする。したがって、ハードコート層の屈折率は透明樹脂フィルムの屈折率と同じかやや低いものとする。ハードコート層は平均粒子径が1nm以上、400nm以下の微粒子を含有した樹脂で構成されていてもよく、透明樹脂中にその樹脂よりも屈折率が高い微粒子を、平均粒子径が1〜400nmで分散することにより、所望の屈折率を有した透明なハードコート層を得ることができる。
〔光散乱層の形成〕
本発明においては、光散乱基板の光取り出し効率を向上させるため、光学特性上、光散乱層の屈折率n2と、透明基板の屈折率n1の差が小さくなるように調整することが好ましい。具体的には、本発明における光散乱層と透明基板との屈折率差の好ましい範囲は、0≦|n1−n2|≦0.1であり、更に好ましくは0≦|n1−n2|≦0.05である。
本発明においては、光散乱基板の光取り出し効率を向上させるため、光学特性上、光散乱層の屈折率n2と、透明基板の屈折率n1の差が小さくなるように調整することが好ましい。具体的には、本発明における光散乱層と透明基板との屈折率差の好ましい範囲は、0≦|n1−n2|≦0.1であり、更に好ましくは0≦|n1−n2|≦0.05である。
本発明の光散乱基板を構成する光散乱層は、前述の通り、無機微粒子と樹脂と有機溶媒を含有した塗布液を、透明基板片面もしくは両面に塗布をされることにより形成される。この光散乱層を形成する塗布液は、透明基板上にグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。
本発明においては、透明基材上に光散乱層塗布液を塗布した後、乾燥により有機溶媒を蒸発させ対流を誘発する。乾燥温度は、有機溶媒の沸点と同等もしくはそれ以上の高い温度に設定することが、より対流を誘発させることができる観点から好ましい。
本発明に係る光散乱層の膜厚は限定されないが、対流セルを発生させるため、さらに充分な耐久性、耐衝撃性、光学特性、および膜物性を付与する観点から、1μm〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、3μm〜10μmである。該光散乱層の膜厚は、透明基板の厚さより小さいことが光学特性上好ましい。
光散乱層として、紫外線硬化性樹脂を用いた場合、光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限無く使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。
《光散乱基板の有機エレクトロルミネッセンス素子への適用》
以下、上記説明した本発明の光散乱基板を有機エレクトロルミネッセンス素子へ適用する方法について説明する。
以下、上記説明した本発明の光散乱基板を有機エレクトロルミネッセンス素子へ適用する方法について説明する。
〔有機EL素子の作製方法〕
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、基材上に陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極を順次形成した有機EL素子の作製方法について説明する。
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、基材上に陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極を順次形成した有機EL素子の作製方法について説明する。
はじめに、基材として本発明の光散乱基板を用い、その上に導電性層を有する面発光体用基板の導電性層を陽極として形成する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の各有機化合物薄膜を形成させる。
ここで適用する光散乱基板の光散乱層の細胞(セル)状の凹凸構造形成面は、透明基板と空気との界面、もしくは透明基板と導電性層との界面、もしくはその両方の界面に存在する。どちらの界面においても光取り出し効率は向上するが、両面に形成した場合、より高い光取り出し効果を実現できる。また、光散乱層の屈折率n2と、透明基板の屈折率n1との屈折率差は、0≦|n1−n2|≦0.1の範囲であることが好ましいが、全反射を防ぐ目的から、光散乱層が透明基板と空気の界面に形成される場合はn2>n1、透明基板と導電性層の界面に形成される場合にはn1>n2の関係となることがより好ましい。
上記各層を形成する有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に、層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
これら各層を形成した後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製方法は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製する方法が好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、有機EL素子の構成要素について、更に説明する。
〔有機EL素子の基本構成〕
有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
(陽極:導電性層)
始めに、基材として本発明の光散乱基板を用い、その上に陽極として形成する導電性層を有する面発光体用基板について説明する。
始めに、基材として本発明の光散乱基板を用い、その上に陽極として形成する導電性層を有する面発光体用基板について説明する。
本発明の有機EL素子に適用可能な面発光体用基板には、導電性層を設けてもよい。用いられる導電性層の屈折率としては特に制限はないが、1.5以上、2.0以下であることが好ましく、さらに1.55以上1.85以下であることが特に好ましい。
本発明において、面発光体用基板には、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。本発明においては、この導電性層は陽極として用いられることが好ましい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィ法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
また、この透明電極に高い導電性を有しながら他の比較的低屈折率の樹脂等を併用することが可能であり、光散乱効果により光取り出し効率の向上が期待できる金属ナノワイヤを含有させてもよい。
本発明に金属ナノワイヤを用いる場合、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明において、金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。
また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが二種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明においては、金属ナノワイヤが互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを形成し、高い導電性を発現するとともに、金属ナノワイヤが存在しない導電ネットワークの窓部を光が透過することが可能となり、さらに、金属ナノワイヤの散乱効果によって、有機発光層部からの光を効率的に取り出すことが可能となる。電極部において金属ナノワイヤを有機発光層部に近い側に設置すれば、この散乱効果がより有効に利用できるのでより好ましい実施形態でとなる。また、金属ナノワイヤを搭載することで導電性の高い電極を塗布で完成させることが出来る。そのため、有機無機複合材料層表面に粒子による凹凸が存在してもその凹凸を緩和することが出来、発光体層にダメージを与える可能性を排除出来る。
本発明においては、透明電極、有機無機複合材料層、透明樹脂フィルムの屈折率や厚さのバランスを最適化することによって、従来から知られている光取り出し効率の向上だけでなく、微細な膜構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の、膜物性を大幅に向上させることができるものである。
(発光層)
本発明の有機EL素子を構成する発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明の有機EL素子を構成する発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層は、その構成には特に制限はなく、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。また、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
本発明において、発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、本発明でいうところの発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
個々の発光層の膜厚としては1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
発光層の形成には、発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
次に、発光材料について説明する。
本発明において、発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いる。
本発明において、燐光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の有機溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の有機溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光材料の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
(中間層)
本発明の有機EL素子において、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
本発明の有機EL素子において、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
非発光性の中間層の膜厚としては1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
本発明の有機EL素子において、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また、一方では正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(阻止層:正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(陰極)
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《用途》
本発明の光散乱基板を用いた面発光体及び発光パネルは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の光散乱基板を用いた面発光体及び発光パネルは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《有機EL素子の作製》
〔有機EL素子1の作製〕
[光散乱基板1の作製]
(光散乱層塗布液1の調製)
〈ジルコニア粒子ZrO2の調製〉
オキシ塩化ジルコニウム8水塩の2600gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水の340gを、純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
〔有機EL素子1の作製〕
[光散乱基板1の作製]
(光散乱層塗布液1の調製)
〈ジルコニア粒子ZrO2の調製〉
オキシ塩化ジルコニウム8水塩の2600gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水の340gを、純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
次いで、このジルコニア前駆体スラリーに、硫酸ナトリウム400gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた後、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、120℃にて24時間、乾燥させて固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢等により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子を調製した。TEM観察の結果、平均粒子径は20nmであった。XRDから粒子がZrO2結晶であることが確認された。
〈ジルコニア粒子に対する表面処理〉
上記のジルコニア粒子10gを、フェニルトリメトキシシラン(信越化学社製)2gと、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.1gを含むトルエン溶液100mlに加え、窒素下で0.03mmのジルコニアビーズを用いて分散しながら100℃まで加熱し、均一分散液を得た後、そのまま窒素下で5時間加熱還流して表面処理済ジルコニア粒子のトルエン分散液を得た。このジルコニア粒子の屈折率は2.1であった。
上記のジルコニア粒子10gを、フェニルトリメトキシシラン(信越化学社製)2gと、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.1gを含むトルエン溶液100mlに加え、窒素下で0.03mmのジルコニアビーズを用いて分散しながら100℃まで加熱し、均一分散液を得た後、そのまま窒素下で5時間加熱還流して表面処理済ジルコニア粒子のトルエン分散液を得た。このジルコニア粒子の屈折率は2.1であった。
なお、ジルコニア粒子の屈折率は、屈折率を調整した種々の溶媒に分散させて分散液の波長589nmの光線に対する吸光度を、島津製作所製分光光度計UV−3150を用いて測定し、その値が最小になる溶媒の屈折率を測定することにより、ジルコニア粒子の屈折率を決定した。
〈ジルコニア粒子を分散した光散乱層塗布液の調製〉
硬化性樹脂モノマー(フルオレンアクリレート;屈折率=1.50)と、上記表面処理済のジルコニア分散液を約40vol%で混合し、重合開始剤を添加して有機溶媒メチルエチルケトンに溶解して、ジルコニア粒子を分散した光散乱層塗布液1を調製した。
硬化性樹脂モノマー(フルオレンアクリレート;屈折率=1.50)と、上記表面処理済のジルコニア分散液を約40vol%で混合し、重合開始剤を添加して有機溶媒メチルエチルケトンに溶解して、ジルコニア粒子を分散した光散乱層塗布液1を調製した。
(光散乱基板の作製)
上記調製したジルコニア粒子を含有する樹脂組成物である光散乱層塗布液1を、ポリエチレンナフタレート基板(以下、PENと略記する、帝人社製、屈折率n1=1.76)の片面に乾燥膜厚5μmになるように塗布し、80℃のオーブンで1分間乾燥させ、紫外線を照射して硬化させることにより光散乱基板1を作製した。このとき、図1に示すように、光散乱層表面には規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造が形成された。凹凸の平均幅は50μm、平均高さは100nmであった。このとき、光散乱層表面観察には光学顕微鏡を用いた。また、光散乱層1の屈折率n2は1.75であった。
上記調製したジルコニア粒子を含有する樹脂組成物である光散乱層塗布液1を、ポリエチレンナフタレート基板(以下、PENと略記する、帝人社製、屈折率n1=1.76)の片面に乾燥膜厚5μmになるように塗布し、80℃のオーブンで1分間乾燥させ、紫外線を照射して硬化させることにより光散乱基板1を作製した。このとき、図1に示すように、光散乱層表面には規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造が形成された。凹凸の平均幅は50μm、平均高さは100nmであった。このとき、光散乱層表面観察には光学顕微鏡を用いた。また、光散乱層1の屈折率n2は1.75であった。
なお、光散乱層の屈折率は、下記の方法に従って測定した。光散乱層1を単独で塗設したサンプルを用い、分光光度計(日立製作所製U−4000型等)の分光反射率の測定結果から求めた。分光反射率の測定は、サンプルの裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面の光反射を防止し、5度正反射の条件で可視光領域(400〜700nm)で行った。
[有機EL素子の作製]
(ITO導電層の形成)
得られた光散乱基板1の光散乱層を形成した面とは反対の面上に、真空蒸着法にてITO(インジウムチンオキシド、屈折率1.85)を100nm製膜しパターニングを行ってITO導電性層を形成した。
(ITO導電層の形成)
得られた光散乱基板1の光散乱層を形成した面とは反対の面上に、真空蒸着法にてITO(インジウムチンオキシド、屈折率1.85)を100nm製膜しパターニングを行ってITO導電性層を形成した。
(正孔注入層の形成)
このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
(正孔輸送層の形成)
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥し正孔輸送層を設けた。別途用意した基板に同条件で塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥し正孔輸送層を設けた。別途用意した基板に同条件で塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
〈正孔輸送層用塗布液の調製〉
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製) 0.5g
(発光層の形成)
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板上に同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。尚、下記発光層組成物のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製) 0.5g
(発光層の形成)
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板上に同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。尚、下記発光層組成物のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
〈発光層用塗布液の調製〉
酢酸ブチル 100g
H−A 1g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
(電子輸送層の形成)
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
酢酸ブチル 100g
H−A 1g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
(電子輸送層の形成)
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
〈電子輸送層用塗布液の調製〉
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
(陰極の形成)
次いで、電子輸送層まで設けた基板を、大気曝露せずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。尚、フッ化カリウムおよびアルミニウムをそれぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着器に取り付けておいた。
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
(陰極の形成)
次いで、電子輸送層まで設けた基板を、大気曝露せずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。尚、フッ化カリウムおよびアルミニウムをそれぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着器に取り付けておいた。
先ず、フッ化カリウムの入った抵抗加熱ボートに通電し加熱し、基板上にフッ化カリウムからなる電子注入層を3nm設けた。続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる膜厚100nmの陰極を設けて、有機EL素子1を作製した。
〔有機EL素子2の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板の作製に用いる基板をポリエチレンナフタレート基板から無アルカリガラス(コーニング社製、屈折率n1=1.51)に変更した以外は同様にして、有機EL素子2を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板の作製に用いる基板をポリエチレンナフタレート基板から無アルカリガラス(コーニング社製、屈折率n1=1.51)に変更した以外は同様にして、有機EL素子2を作製した。
〔有機EL素子3の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、シリカ粒子(アドマテックス社製、平均粒径15nm、屈折率1.5)に変更した以外は同様にして、有機EL素子3を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、シリカ粒子(アドマテックス社製、平均粒径15nm、屈折率1.5)に変更した以外は同様にして、有機EL素子3を作製した。
〔有機EL素子4の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径40nmのジルコニア粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子4を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径40nmのジルコニア粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子4を作製した。
〔有機EL素子5の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径80nmのジルコニア粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子5を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径80nmのジルコニア粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子5を作製した。
〔有機EL素子6の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板の光散乱層を形成した面上にITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子6を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板の光散乱層を形成した面上にITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子6を作製した。
〔有機EL素子7の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、用いる光散乱基板の両面に光散乱層を形成し、その一方の面側に有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子7を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、用いる光散乱基板の両面に光散乱層を形成し、その一方の面側に有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子7を作製した。
〔有機EL素子8の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、酸化チタン粒子(テイカ社製、平均粒径20nm,屈折率2.2)に変更した以外は同様にして、有機EL素子8を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、酸化チタン粒子(テイカ社製、平均粒径20nm,屈折率2.2)に変更した以外は同様にして、有機EL素子8を作製した。
〔有機EL素子9の作製〕
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液の調製に用いた酸化チタン粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径40nmの酸化チタン粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子9を作製した。
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液の調製に用いた酸化チタン粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径40nmの酸化チタン粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子9を作製した。
〔有機EL素子10の作製〕
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液の調製に用いた酸化チタン粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径80nmの酸化チタン粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子10を作製した。
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液の調製に用いた酸化チタン粒子(平均粒径20nm)を、平均粒径80nmの酸化チタン粒子に変更した以外は同様にして、有機EL素子10を作製した。
〔有機EL素子11の作製〕
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板の光散乱層を形成した面上に有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子11を作製した。
上記有機EL素子8の作製において、光散乱基板の光散乱層を形成した面上に有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子11を作製した。
〔有機EL素子12の作製〕
上記有機EL素子1の光散乱基板1の作製において、光散乱層を形成した面とは反対側の面に、有機EL素子8の光散乱基板の作製と同様にして、酸化チタン粒子(テイカ社製、平均粒径20nm,屈折率2.2)を含む光散乱層を形成して、光散乱基板12を作製した。この光散乱基板12を用い、酸化チタン粒子を含む光散乱層上に、有機EL素子1の作製と同様にしてITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成して、有機EL素子12を作製した。
上記有機EL素子1の光散乱基板1の作製において、光散乱層を形成した面とは反対側の面に、有機EL素子8の光散乱基板の作製と同様にして、酸化チタン粒子(テイカ社製、平均粒径20nm,屈折率2.2)を含む光散乱層を形成して、光散乱基板12を作製した。この光散乱基板12を用い、酸化チタン粒子を含む光散乱層上に、有機EL素子1の作製と同様にしてITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成して、有機EL素子12を作製した。
〔有機EL素子13の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、スチレン粒子(積水化成品工業社製、平均粒径6μm、屈折率1.59)に変更した以外は同様にして、有機EL素子13を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を、スチレン粒子(積水化成品工業社製、平均粒径6μm、屈折率1.59)に変更した以外は同様にして、有機EL素子13を作製した。
〔有機EL素子14の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を除いた以外は同様にして、有機EL素子14を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱基板を構成する光散乱層塗布液1の調製に用いたジルコニア粒子を除いた以外は同様にして、有機EL素子14を作製した。
〔有機EL素子15の作製〕
上記有機EL素子1の作製において、光散乱層を設けず、ポリエチレンナフタレート基板上に直接、ITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子15を作製した。
上記有機EL素子1の作製において、光散乱層を設けず、ポリエチレンナフタレート基板上に直接、ITO導電性層他の有機EL素子の各層を形成した以外は同様にして、有機EL素子15を作製した。
〔光散乱基板の凹凸形状の有無の確認〕
上記有機EL素子1〜15の作製に用いた光散乱基板上において、形成した光散乱層の凹凸形状の有無を光学顕微鏡にて観察した結果、有機EL素子1〜14の作製に用いた光散乱基板上に、図1に示すような凹凸形状の存在を確認することができた。
上記有機EL素子1〜15の作製に用いた光散乱基板上において、形成した光散乱層の凹凸形状の有無を光学顕微鏡にて観察した結果、有機EL素子1〜14の作製に用いた光散乱基板上に、図1に示すような凹凸形状の存在を確認することができた。
《有機EL素子の評価》
〔光取り出し効率の測定〕
作製した各有機EL素子に対し、2.5mA/cm2の定電流を流したときの光取り出し量子効率(%)を不活性ガス雰囲気下で、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いて測定した。なお、光取り出し効率(%)は、有機EL素子14の測定値を100としたときの相対値として求め、得られた結果を表1に示す。
〔光取り出し効率の測定〕
作製した各有機EL素子に対し、2.5mA/cm2の定電流を流したときの光取り出し量子効率(%)を不活性ガス雰囲気下で、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いて測定した。なお、光取り出し効率(%)は、有機EL素子14の測定値を100としたときの相対値として求め、得られた結果を表1に示す。
表1に記載したように、無機微粒子を含有した樹脂により形成された規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有する光散乱基板を用いて作製した本発明の有機EL素子は、比較例に対し、光取りだし効率に優れていることが分かる。
Claims (6)
- 透明基板と、該透明基板の少なくとも一方の面に規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を有する光散乱層を有し、該光散乱層は無機微粒子を含有した樹脂から構成されていることを特徴とする光散乱基板。
- 前記無機微粒子が、TiO2またはZrO2であることを特徴とする請求項1に記載の光散乱基板。
- 前記無機微粒子の体積平均粒子径が、5nm以上、50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光散乱基板。
- 前記透明基板の屈折率をn1とし、前記光散乱層の屈折率をn2としたとき、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光散乱基板。
式(1)
0≦|n1−n2|≦0.1 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の光散乱基板を製造する光散乱基板の製造方法であって、光散乱層は、有機溶媒、無機微粒子及び硬化性モノマーを含む塗布液を該透明基板に塗布し、該塗布液を乾燥することで塗布層表面に、該規則的に区切られた細胞(セル)状の凹凸構造を形成する工程と、該凹凸構造を形成した該塗布液に含まれる硬化性モノマーを硬化する工程を経て形成することを特徴とする光散乱基板の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の光散乱基板を用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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WO2014189037A1 (ja) * | 2013-05-22 | 2014-11-27 | 三菱レイヨン株式会社 | 光取り出しフィルム及びその製造方法、並びに面発光体 |
EP2952938A4 (en) * | 2013-01-29 | 2016-04-06 | Fujifilm Corp | DECORATIVE LIGHTING FILM, DECORATIVE PRINTED LIGHTING MATERIAL AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF AND DECORATIVE LIGHTING TAG |
-
2009
- 2009-08-17 JP JP2009188313A patent/JP2011039375A/ja active Pending
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