JP2011171093A - 面発光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】面発光体の光取り出し効率を大幅に向上するとともに、耐久性が改良され、フレキシブル性を有する面発光体を提供する。
【解決手段】マトリックス樹脂と、少なくとも1種の磁化率異方性粒子とを含有する光取り出し層を有する面発光体であって、該磁化率異方性粒子の長軸が、該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする面発光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種ディスプレイ、表示装置および照明等に用いられる面発光体に関する。更に詳しくは、磁化率異方性粒子を膜厚方向に配向させた光取り出し層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子等の面発光体に関するものである。
各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明等の光源として用いられる面発光体は、高輝度、高効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有することから、近年注目されている。このような面発光体の中でも、有機材料を用いて正負の各極からの電気エネルギーによって発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、薄膜型の完全固体素子であり、省スペースである等の理由から、特に注目されている。
しかしながら、有機EL素子のような薄膜から構成される面発光素子の場合、発光体薄膜層の屈折率と発光した光が出射する際に通過する媒質との屈折率により決まる光の出射角が臨界角以上となる発光では、全反射して内部に閉じ込められ、導波光として失われる。その結果、指向性がない発光層の発光は、前面に出てくる光以外は失われることとなり、光の取り出し効率(発光したエネルギーに対して基板の外に出てくるエネルギーの割合)が低くなるという問題がある。
古典光学に基づいた多重反射から導き出される前方向への光取り出し効率(発光効率)は1/(2n)で近似でき、発光層の屈折率nでほぼ決まってしまう。発光層の屈折率を約1.7とすると、単純に前記有機EL部からの発光効率は約20%となる。残りの光は、発光層の面積方向へ伝搬するか(横方向への霧散)、発光層を挟んで透明電極と相対する金属電極で消失する(後方向への吸収)。換言すると、有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せない。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
このような現象を回避し、光取り出し効率を向上させる工夫として、マトリックス中に光を散乱させる粒子を含有させた光散乱層を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような等方的な散乱では、十分に光を取り出すことはできていない。また、ファイバー形状の屈折率の異なる部分をフィルム面にほぼ垂直に形成した異方性光散乱フィルムにより出射光を制御する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法は視野角の拡大を意図したものであって、光の取り出し量を増加する効果は示されていない。さらに、この方法では、干渉により特定波長の入射光の透過率が高くなることから、正面方向と斜め方向で観察される光スペクトルが異なり、観察角度による色味の変化が生じるため、面発光体の光取り出し層としては好ましくない。
一方、磁化率異方性を有する粒子を、磁場を用いてフィルム面に平行に配向させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この開示されている方法は、粒子の配向によって生じる偏光特性を利用した位相差フィルムに関するものである。また、磁気異方性を有する着色顔料をフィルム面に垂直に配向させる方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)が、これは顔料の配向による色調変化を利用した意匠性フィルムに関するものである。
特開2004−303724号公報 特開2003−84107号公報 特開2007−24949号公報 特開2008−18393号公報
上述したような従来の各技術では、光取り出し効率はまだ不十分であり、さらなる向上が求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上するとともに、耐久性が改良され、フレキシブル性を有する面発光体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、磁化率異方性粒子の長軸を膜厚方向に配向させた樹脂層を光取り出し層として用いることにより有機EL等の面発光体の光取り出し効率が大幅に向上し、さらにこの光取り出し層によって、発光層への圧力ダメージが緩和されて耐久性が向上するという驚くべき効果を有すことを見出した。
従って、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.マトリックス樹脂と、少なくとも1種の磁化率異方性粒子とを含有する光取り出し層を有する面発光体であって、該磁化率異方性粒子の長軸が、該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする面発光体。
2.前記光取り出し層の光線透過率が、下記式を満たすことを特徴とする前記1記載の面発光体。
(粒子配向後の光取り出し層の光線透過率)/(粒子配向前の光取り出し層の光線透過率)>1.1
3.前記光取り出し層に磁場を印加して、前記磁化率異方性粒子の長軸を、膜厚方向に配向させたことを特徴とする前記1または2に記載の面発光体。
4.前記光取り出し層と、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、および対向電極が積層されたことを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の面発光体。
本発明により、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上するとともに、圧力耐性が向上し、フレキシブル性を有する面発光体を提供することができた。
本発明に係る光取り出し層の構成の一例を示す断面図である。 本発明に係る光取り出し層の形成プロセスの一例を示す工程フロー図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明は、光取り出し層を有する面発光体に関する。
本発明でいう面発光体とは、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明等に利用される面内がほぼ均一な光量で発光する発光体をいう。本発明の面発光体は、平面上または直線状にLED等の点発光素子を複数個並べ、拡散板や導光板により面発光させたものであっても良いが、光源自体が面発光素子であることが好ましく、面発光素子としては、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、および対向電極が順次積層された有機EL素子であることが特に好ましい。
本発明でいう光取り出し層とは、該面発光体の光源から光の出射する最表面の間のいずれかに、出射光量を増大する目的で形成された層をいう。したがって、例えば、有機EL素子を光源とした場合には、透明導電層の有機エレクトロルミネッセンス層と反対側の表面から、面発光体の出射側最表面の間に形成された、光透過性を有する層である。
本発明に係る光取り出し層は、可視光の吸収が小さい、無色または白色の層であることが好ましく、その光線透過率が50%以上、100%以下、さらには70%以上、100%以下が好ましい。また、光取り出し層の膜厚は1.0μm以上、20μm以下であることが好ましく、2.0μm以上、10μm以下がより好ましい。光取り出し層の膜厚が1.0μm以上であれば、入射光の光路変化が十分で、光取り出し層として十分に機能し、20μm以下の膜厚であれば、光の吸収による効率低下を抑制することができ好ましい。
本発明においては、本発明に係る光取り出し層が磁化率異方性粒子を含有し、該磁化率異方性粒子の長軸が該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする。
このように、光取り出し層の膜厚方向に配向した磁化率異方性粒子により、光取り出し層にほぼ垂直に入射した光は散乱を生じずに透過し、それ以外の角度での入射光については、該磁化率異方性粒子の表面で反射もしくは散乱してから出射することになる。本発明においては、大きな入射角で、通常では出射不可能な光の反射、散乱を、光取り出し層の膜厚方向に配向した磁化率異方性粒子によりうまく制御することで、光取り出しの大幅な向上を可能にした。また、光取り出し層が外部から圧力を受けた際に、膜厚方向に配向した該磁化率異方性粒子がずれて圧力を緩和するために、発光層へのダメージを低減する効果が生じると推察される。
本発明においては、本発明に係る磁化率異方性粒子の長軸が、光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とするが、本発明でいう磁化率異方性粒子の長軸が膜厚方向に配向するとは、図1に示すように、基材1上に形成した光取り出し層4の膜厚方向に対して、マトリックス樹脂2中に存在する磁化率異方性粒子3が、長軸方向が平行に並ぶことである。
本発明においては、光取り出し層の粒子配向前後での光線透過率が、(粒子配向後の光取り出し層の光線透過率)/(粒子配向前の光取り出し層の光線透過率)>1.1の関係を満たすことが好ましい。磁化率異方性粒子が配向化工程により、光取り出し層の膜厚方向に所望の条件で配向している場合には、上記で規定する条件を満足することになる。
本発明において、磁化率異方性粒子の配向の確認は、SEM画像の観察により行うことができる。
本発明でいう膜厚方向に配向するとは、具体的には、SEM画像で膜厚方向に対して微粒子50個の長軸の中心線のズレを測定し、その最大平均角度が±30度以内である場合をいい、特に±15度以内であることが好ましい。±30度以下であれば、光取り出しの効果を十分に発現させることができ好ましい。
以下、本発明の面発光体の各構成要素の詳細について説明する。
〔磁化率異方性粒子〕
本発明に係る磁化率異方性粒子とは、質量磁化率が10−6/kg以下で、反磁性の材料で構成され、かつ磁気異方性を有するものであれば、特に限定はない。
本発明に係る磁化率異方性粒子は、磁気異方性を有する点から、組成的な異方性(結晶、非晶の分布等)、形状的な異方性をもつものが好ましく、特に形状的な異方性を有するものが好ましい。形状としては、異方性のより大きい方が磁場配向に有利なため、針状、板状、棒状であることが好ましく、特に光の反射面積(光取り出し効率)の点から板状が好ましい。
本発明に係る磁化率異方性粒子は、アスペクト比(長軸/短軸比)が5〜50、好ましくは10〜30である。アスペクト比が5以上であれば、磁化率の大きさにもよるが、より配向させるのに適度な大きさの磁場で対応でき、生産効率の点で有利である。一方、アスペクト比が50以下であれば、粒子の大きさにもよるが、適度な長さの長軸を有する磁化率異方性粒子が光取り出し層の膜厚方向に配向するため、膜厚を過度に厚くすることを抑制でき、光取り出し効率の点で有利となり好ましい。
本発明におけるアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡を用いて、磁化率異方性粒子を撮影することで得られる二次元視野像において、任意に50個選択した磁化率異方性粒子の一番長い部位を長軸とし、この長軸と直交する軸で一番長い部位を短軸とした平均値を求め、長軸/短軸によって算出することができる。
本発明に係る磁化率異方性粒子は、長軸の長さが0.5〜10μm、好ましくは0.5〜2.5μmであることが好ましい。長軸の長さが0.5μm以上であれば、磁化率の大きさにもよるが、配向させるのに適度な大きな磁場で十分であり、生産効率の点で有利である。一方、10μm以下であれば、磁化率異方性粒子の大きさにもよるが、光取り出し層の膜厚が過度の厚くなることを抑制でき、光取り出し効率の点で有利になり好ましい。
本発明に係る磁化率異方性粒子の長軸の長さと、光取り出し層の膜厚は、上記のように強く性能に影響する。好ましくは、磁化率異方性粒子の平均長軸長さ/光取り出し層の平均膜厚が0.1〜0.7の範囲であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜0.5である。磁化率異方性粒子の平均長軸長さ/光取り出し層の平均膜厚が0.1以上であれば、素材構成にもよるが、光が微粒子をより多く反射しなければならなくなることを抑制でき、光取り出し効率の点で有利になり好ましい。一方、0.7以下であれば、磁化率異方性粒子の長軸が、光取り出し層の膜厚方向にスタック状態になり、圧力耐性が維持される点で好ましい。
本発明に係る磁化率異方性粒子を構成する組成としては、無機系粒子、有機系粒子、いずれも使用することができるが、光の単位面積当たり反射率(光取り出し効率)の点から、無機系粒子の方が好ましい。
無機系粒子としては、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫及びアンチモンから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることが好ましく、具体例としては、Si0、ZrO、TiO、Al(アルミナ)、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。また、合成マイカ(雲母)、カオリン(AlSi(OH))なども使用することができる。上記の中で好ましくは、反射率等の点から、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、アルミナが好ましく、特に好ましくは酸化チタン、アルミナ、合成マイカである。
これらの無機系粒子は、表面に光の反射率を向上させる目的で、他の組成を修飾することもできる。例えば、酸化チタンでコーティングされたマイカやアルミナ、アルミニウム等の金属でコーティングされたマイカ等である。
無機系粒子の具体的な商品例としては、合成マイカとしては、トピー工業(株)PDM−5B、コープケミカル(株)ミクロマイカMK−100、ソマシフME−100、MEE−100等があげられる。針状酸化チタンとしては石原産業(株) FTLシリーズ、TTOシリーズ、針状及び板状酸化アルミナでは河合石灰工業(株)のセラシュールシリーズ、板状シリカとしては、メルク社製のColorstreamシリーズ等が挙げられる。
これら針状、板状微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。また本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機系粒子、有機系粒子を混合して使用することもできる。
〔樹脂材料〕
本発明に係る光取り出し層を形成するマトリックス樹脂としては、上述した磁化率異方性粒子の配向が可能であれば特に制限はないが、層形成時の経済性および利便性を考えた場合、硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化性樹脂としては、紫外線照射、電子線照射あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、本発明に係る磁化率異方性粒子と未硬化の状態で混合させた後、樹脂を硬化させることによって透明な樹脂組成物を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の照射を受けて硬化する活性光線硬化性樹脂であってもよいし、加熱処理によって硬化する熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、下記に列記する様な種類の樹脂を好ましく使用することができ、その中でも、特にアクリル系樹脂を好ましく用いることができる。
(シリコーン樹脂)
珪素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合(−Si−O−)を主鎖としているポリマーであるシリコーン樹脂としては、例えば、特開平6−9937号公報に記載されている所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能である。
熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂は、加熱による連続的加水分解−脱水縮合反応によって、シロキサン結合骨格による三次元網状構造となるものであれば特に制限はなく、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示し、一度硬化すると加熱により再軟化し難い性質を有する。このようなポリオルガノシロキサン樹脂としては、下記一般式(A)で表される構成単位を含み、その形状は鎖状、環状、網状形状のいずれであってもよい。
一般式(A)
((R)(R)SiO)
上記一般式(A)において、R及びRは各々同種または異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、R及びRとして、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。
及びRは、水酸基及びアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)におけるnは、50以上の整数を示す。
(エポキシ樹脂)
本発明に適用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−シクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂(例えば、国際公開第2004/031257号参照)を使用することができ、その他、スピロ環を含有したエポキシ樹脂や鎖状脂肪族エポキシ樹脂等も使用することができる。その際、オキセタン樹脂を併用、または単独で用いてもよい。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂の原料成分としては、例えば、1)エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、あるいは、2)ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
本発明では、これらのうち3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び3官能以上の多官能性ウレタンアクリレート系化合物を用いることが好ましい。
(アリルエステル化合物を含有する樹脂)
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(例えば、特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(例えば、特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(例えば、特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(例えば、特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(例えば、特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(例えば、特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
また、本発明に係るマトリックス樹脂として、上記樹脂材料中に無機ナノ粒子が分散されたナノコンポジット材料等の有機無機複合材料を用いることもできる。
〔磁場配向プロセス〕
本発明に係る光取り出し層は、如何なるプロセスで設置されてもよいが、下記の記載の工程に従って形成されることが好ましい。
図2は、本発明に係る光取り出し層の形成プロセスの一例を示す工程フロー図である。
本発明に係る光取り出し層の形成プロセスとしては、主に、光取り出し層形成工程A、磁化率異方性粒子の配向化工程B、膜固化工程C、及び乾燥工程Dから構成されている。
図2において、11はロール状の基板1を搬出するための巻だしロールであり、12は基板1上に光取り出し層形成塗布液を付与するための湿式の塗布コーターであり、磁化率異方性粒子の配向化工程Bには磁化率異方性粒子を所望の方向に配向させるための磁石(N極)13Nと磁石(S極)13Sとが、基板1を挟んで対向する位置に配置されている。14は、基板1上に付与された光取り出し層4を硬化するために、活性光線を照射するための光照射装置である。乾燥工程Dには、基板1を挟んで対向する位置に、一対の乾燥装置15が配置され、上記の形成プロセスを経て、光取り出し層4を形成した基板1は、巻き取りロール部16に巻き取られる。
図2に記載の1)では、光取り出し層形成工程A→磁化率異方性粒子の配向化工程B→膜固化工程C→乾燥工程Dの順で光取り出し層4を形成する。また2)に示す様に、磁化率異方性粒子の配向化工程Bと同時に膜固化工程Cを行う方法として、光取り出し層形成工程A→磁化率異方性粒子の配向化工程B+膜固化工程C→乾燥工程Dの順で光取り出し層4を形成してもよい。3)では、光取り出し層形成工程A→磁化率異方性粒子の配向化工程B→乾燥工程D→膜固化工程Cの順で光取り出し層4を形成する。
次いで、図2に記載の各工程の詳細について説明する。
(光取り出し層の形成工程A)
本発明において、光取り出し層形成工程Aでは、調製された光取り出し層形成用塗布液を基板1上に、塗布コーター12を用いて塗布して光取り出し層4を形成する。ここで塗布する際に用いる基板1には、後述する様な透明基材を使用することができる。塗布方法としては、ロッドコート法、ナイフコート法、押出法、カーテン法等の一般的に知られている湿式塗布手段を用いることができる。また、マトリックス樹脂として、紫外線または可視光硬化樹脂を使用する場合は、当然ながら、セーフライト等で遮光した状態で塗布することが好ましい。以上のようにして塗設された光取り出し層4は、次工程である配向化工程Bに供される。
(磁化率異方性粒子の配向化工程B)
磁化率異方性粒子の配向化工程Bでは、光取り出し層4に磁場を印加することにより、光取り出し層に含まれる微粒子を、図1に模式図で示した様に一方向に配向させる。磁化率異方性粒子の長軸を膜厚方向に配向させるためには、磁化率異方性粒子の磁化の正負によって磁場の印加方向を便宜調整する必要がある。磁場の強度は、磁化率異方性粒子の平均粒径及び磁化率にもよるが、微粒子が配向するのに足りる程度の磁場を印加すればよい。例えば、2〜10Tの磁場強度で配向できる微粒子の異方性磁化率と粒径の関係を理論上計算すると、異方性磁化率Δχaが10−6オーダーでは粒径が50〜200nm、異方性磁化率Δχaが10−7オーダーでは粒径が100〜500nmである。
磁場配向し得る磁性微粒子の平均粒径の三乗と磁場強度の二乗は反比例の関係にあるので、より小さな粒径の磁性微粒子を配向させたければ、磁場強度を高くするか、あるいは磁化率の異方性が大きい粒子を選べばよい。磁化率異方性粒子を所望の方向に配向させるための磁場発生装置には、磁石(N極)13Nと磁石(S極)13Sとを、基板1を挟んで対向する位置に配置し、磁場を与えることにより行うことができ、永久磁石や電磁石を用いることができるが、より強力な磁場を得るためには超電導マグネットも用いることができる。
以上のようにして磁性微粒子が配向された光取り出し層4は、直ちに次工程である膜固化工程Cまたは乾燥工程Dに供され、微粒子の配向を固定することが好ましい。なお、配向化工程Bから膜固化工程Cまたは乾燥工程Dにまで至る間は、磁場の印加を継続することが望ましい。特に配向化工程Bから膜固化工程Cにまで至る間で磁場を印加させれば、磁性微粒子の配向が緩和するのを防止できる。一方、配向化工程Bと膜固化工程C・乾燥工程Dが別であれば、光取り出し層4を磁場から取り出して直ちに可視光または紫外線光を照射して膜硬化する、または乾燥することで粒子の緩和を最小限にとどめることができる。
(膜固化工程C)
膜固化工程Cでは、光取り出し層中のマトリックス樹脂を固化することにより、マトリックス樹脂中に微粒子を固定化する。具体的には、配向工程Bを経た光取り出し層4に、光照射装置14により可視光または紫外線光を照射してマトリックス樹脂を硬化させる。マトリックス樹脂が可視光硬化型樹脂の場合は可視光を照射し、マトリックス樹脂が紫外線硬化型樹脂の場合は紫外線光を照射する。これにより、流動状態であったマトリックス樹脂が硬化されて、塗布液が固化される。これに伴って、マトリックス樹脂中の磁性微粒子が、配向状態を保ったまま固定化される。この膜固化工程Cは、図2の2)に示す様に、上記磁化率異方性粒子の配向化工程Bと同一工程で行っても良い。
(乾燥工程D)
乾燥工程Dでは、光取り出し層4中のマトリックス樹脂を、乾燥装置1を用いて乾燥させることにより、マトリックス樹脂中に微粒子を固定化、及び膜中の溶媒を蒸発させる。これに伴って、光取り出し層4がマトリックス樹脂中の磁性微粒子が、配向状態を保ったまま固定化される。
〔光取り出し層の位置〕
本発明において、上記方法に従って形成された本発明に係る光取り出し層は、面発光体の構成部材として使用することができる。本発明に係る光取り出し層が使用される場所は特に限定されず、例えば、透明基材上に本発明に係る光取り出し層を形成したフィルムを、面発光体の出射側表面に貼合して光取り出しシートとして使用したり、本発明に係る光取り出し層を形成した透明基板として有機EL素子等の形成に使用したりできる。また、有機EL素子上に上述の工程により光取り出し層を形成することもできる。
光取り出しシートとして使用する場合においても、本発明に係る光取り出し層の形成面を面発光素子側にしても出射側にしても良く、オイルや接着剤を用いて密着させて使用することも、わざと空気を混入させて使用することもできる。
一方、透明基板として使用する場合には、本発明に係る光取り出し層を形成した面を発光側、出射側どちらの面に使用しても良く、例えば、光取り出し層側に有機EL素子のような薄膜発光層を形成する場合には、光取り出し層の上にハードコート材料等の樹脂層を形成して平滑化して使用することもできる。
〔透明基材〕
本発明に用いられる透明基材としては、高い光透過性を有していれば、特に制限はない。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への膜形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から、透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明で透明基材として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明において、透明樹脂フィルムの屈折率は、1.50以上であることが好ましく、さらに1.60以上、1.80以下であることが好ましい。
本発明において、透明樹脂フィルムの厚さは、50μm以上、250μm以下であることが好ましく、さらに75μm以上、200μm以下であることが好ましい。
本発明に用いられる透明基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については、従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。樹脂フィルムには、マイクロレンズ状の凹凸構造の形状や、光散乱機能を付与する目的でフィラーを含有してもよく、そのフィラーの粒径は0.1〜10μm程度が好ましい。また、透明基材の両面または片面に、バリアコート層や、ハードコート層が予め形成されていてもよい。
バリアコート層やハードコート層を設ける場合、透明基材との屈折率が大きいと、界面反射による光取り出しの劣化が生じてしまうため、バリアコート層およびハードコート層の屈折率は、透明樹脂フィルムの屈折率と同じかやや低いものであることが好ましい。例えば、ハードコート層として、平均粒子径が1nm以上400nm以下の微粒子を含有した樹脂を用いても良く、透明樹脂中にその樹脂よりも屈折率が高い微粒子を、平均粒子径が1〜400nmで分散することにより、所望とする屈折率の透明なハードコート層を得ることができる。
次いで、本発明の面発光体の一例である有機EL素子の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する内容は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
〔有機EL素子〕
発明に係る有機EL層(以下、有機EL素子ともいう)の好ましい層構成の例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層で発生した光が外部へ出射されるためには、陽極または陰極の少なくとも一方が透明であることが必要であるが、本発明においては、透明導電層を主に陽極として使用することが好ましい。発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
(透明導電層)
本発明に係る有機EL素子における透明導電層としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が、透明導電層を形成する電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。本発明においては、透明導電層は陽極として用いられることが好ましい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
また、この透明導電層には、金属ナノワイヤを用いることもできる。金属ナノワイヤを用いる場合、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
金属ナノワイヤの金属組成としては、特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。
また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが二種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
(発光層)
発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層としては、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。また、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
個々の発光層の膜厚としては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
次に、発光材料について説明する。
発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
燐光発光材料とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光材料の発光の原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
有機EL素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号明細書、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号明細書、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号明細書、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
(中間層)
各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。
非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。非発光性の中間層の膜厚としては1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性または同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
また、一方では、正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
(注入層:電子注入層、正孔注入層)
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
(阻止層:正孔阻止層、電子阻止層)
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(対向電極)
対向電極としては、前記透明導電層に対向する電極をいう。本発明においては、透明導電層を主に陽極として使用するため、対向電極としては以下に示す陰極を用いることができる。陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
〔面発光体の作製方法〕
本発明の面発光体は、透明基材上に、本発明に係る光取り出し層と、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、及び対向電極を順次形成することにより作製できる。
(透明導電層の形成)
透明基材上に、所望の電極物質を用いて透明導電層を形成することができる。例えば、電極物質としてITO(すずを添加した酸化インジウム)を用いる場合には、蒸着やスパッタリング等の方法により透明導電層を形成することができる。また、金属ナノワイヤや導電性ポリマーあるいは透明導電性金属酸化物を含む材料を、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いて透明導電層を形成することもできる。
生産性の改善、平滑性や均一性などの電極品質の向上、環境負荷軽減の観点から、金属ナノワイヤを含有する透明導電層を塗布法や印刷法などの液相成膜法により形成することが好ましい。塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。なお、必要に応じて、密着性・塗工性を向上させるための予備処理として、離型性基材表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すことができる。
(有機エレクトロルミネッセンス層の形成)
陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層の全部または一部からなる、透明導電層と陰極の間に形成された層を有機エレクトロルミネッセンス層という。この有機エレクトロルミネッセンス層の作製方法の一例として、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層からなる有機エレクトロルミネッセンス層の作製法について説明する。
透明導電層を形成した透明基材上に、有機EL層の構成材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
(陰極の形成)
上記の有機エレクトロルミネッセンス層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設ける。
以上の工程により、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス層が得られる。本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス層の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
〔用途〕
本発明の面発光体は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《磁化率異方性粒子の準備》
磁化率異方性粒子1)板状アルミナ:長軸/短軸=2/0.08μm AR(アスペクト比)=25
磁化率異方性粒子2)板状アルミナ:長軸/短軸=2/0.04μm AR=50
磁化率異方性粒子3)板状アルミナ:長軸/短軸=5/0.07μm AR=71
磁化率異方性粒子4)針状アルミナ:BMB(河合石灰工業社製)1.0/0.5μm AR=2
磁化率異方性粒子5)針状TiO:ST−485SA15(チタン工業社製) 長軸/短軸=0.15/0.015μm AR=10
磁化率異方性粒子6)針状TiO:FTL−100(石原産業社製)を振動ミルで粉砕 長軸/短軸=0.6/0.1μm AR=6
磁化率異方性粒子7)針状TiO:FTL−100(石原産業社製) 長軸/短軸=1.7/0.13μm AR=13
磁化率異方性粒子8)針状TiO:FTL−200(石原産業社製) 長軸/短軸=2.9/0.21μm AR=14
磁化率異方性粒子9)マイカ:PDM−5B(トピー工業社製) 長軸/短軸=5.2/0.17μm AR=30
磁化率異方性粒子10)マイカ:PDM−800(トピー工業社製) 長軸/短軸=12/0.8μm AR=15
〈比較粒子〉
比較粒子1)球状シリカHS−301(アドマテックス) 2.4μm AR=1
《光取り出し層の作製》
〔光取り出し層1の作製〕
マトリックス樹脂である東洋インキ製造社製のUV硬化性モノマー溶液 リオデュラスTYT65−01(表中にはTYT65と略記)中に、比較粒子1であるアドマテックス社製の球状シリカ粒子HS−301(平均粒径2.4μm)を、上記UV硬化性モノマー量に対し10体積%で添加した後、超音波分散して光取り出し層塗布液1を調製した。この光取り出し層塗布液1を、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと略記)フィルム(帝人デュポン社製)の片面に、図2の1)に示す工程フローに従って、塗布、磁場の印加、硬化、乾燥を行い、乾燥膜厚が4μmの光取り出し層を形成した。この時、フィルム表面に垂直な方向に5Tの磁場を印加した試料と、磁場の印加を行わなかった試料の2種を作製し、それぞれ光取り出し層1、光取り出し層1Bとした。
得られた各試料の光線透過率を、日本電色工業(株)製のNDH5000を用いて測定し、光取り出し層1の測定値を、磁場を印加していない光取り出し層1Bの値で除し、粒子の配向前後の光線透過率比を求めた結果、1.0であった。
〔光取り出し層2の作製〕
光取り出し層1の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、比較粒子1に代えて、磁化率異方性粒子としてチタン工業製の針状酸化チタン粒子ST−485SA15(磁化率異方性粒子5、平均長軸径0.15μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層2と、磁場を印加しない光取り出し層2Bを、それぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層1と同様に、配向前後の光線透過率比を求めた。さらに、磁場を印加した光取り出し層2のフィルム面に垂直な断面を作製し、SEM観察により粒子の配向度(膜厚方向からの最大ずれ角度)を測定した。
〔光取り出し層3の作製〕
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−100(平均長軸径1.7μm)をディスク型振動ミルで粉砕して形成した平均長軸径0.6μm、平均アスペクト比6の針状酸化チタン粒子(磁化率異方性粒子6)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層3と、磁場を印加しない光取り出し層3Bをそれぞれ膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層4の作製〕
上記光取り出し層3の作製において、光取り出し層の乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層4と、磁場を印加しない光取り出し層4Bを、それぞれ乾燥膜厚1.5μmで形成して作製した。得られた試料を光取り出し層3と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層5の作製〕
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−100(磁化率異方性粒子7、平均長軸径1.7μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層5と、磁場を印加しない光取り出し層5Bを、それぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層6の作製〕
上記光取り出し層5の作製において、磁場を印加する際に、フィルム表面と平行な方向に5Tの磁場を印加した以外は同様にして、光取り出し層6を膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料の光線透過率と粒子の配向度を同様に測定した後、光取り出し層5Bの測定値で除して配向前後の光線透過率比を求めた。
〔光取り出し層7の作製〕
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−200(磁化率異方性粒子8、平均長軸径2.9μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層7と、磁場を印加しない光取り出し層7Bをそれぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層8の作製〕
水酸化アルミニウムを出発原料とし、予めボールミル等で粉砕することにより、平均粒子径が1.0μmに粒度調整を行った。これと水を混合し50質量%のスラリーを調製した。このスラリー中にリン酸水溶液を水酸化アルミニウムに対してリン酸イオンとして5.0×10−3モル添加した。昇温速度0.5℃/分で600℃、15MPaで3時間保持を行った。容器冷却後、生成物を純水で水洗、濾過を充分に行い、100℃の乾燥機で12時間乾燥して、平均粒子径2.0μm、平均厚み0.08μm、アスペクト比25の板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)を得た。
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、上記調製した板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層8と、磁場を印加しない光取り出し層8Bをそれぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた各試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層9の作製〕
光取り出し層8の作製に用いた板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)の調製において、昇温速度を変化することにより、平均粒子径2.0μm、平均厚み0.04μm、アスペクト比50の板状アルミナ粒子2(磁化率異方性粒子2)を調製した。
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、上記調製した板状アルミナ粒子2(磁化率異方性粒子2)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層9と、磁場を印加しない光取り出し層9Bをそれぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた各試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層10の作製〕
JSR社製のUV硬化性モノマー溶液Z7501(表にはZ7501と略記)中に、河合石灰工業社製の針状アルミナ粒子BMB(磁化率異方性粒子4、平均粒径1.0μm)を上記UV硬化性モノマー量に対し10体積%で添加した後、超音波分散して塗布液を調製した。この塗布液を、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)の片面に、図2の2)に示す工程フローで、塗布、磁場の印加/硬化、乾燥を行い、乾燥膜厚が10μmの光取り出し層を形成した。この時、フィルム表面に垂直な方向に5Tの磁場を印加した試料と、磁場の印加を行わなかった試料を作製し、それぞれ光取り出し層10、光取り出し層10Bとした。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層11〜13の作製〕
光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、磁化率異方性粒子1(板状アルミナ粒子1)を用い、UV硬化性モノマー量に対する添加量を、それぞれ5、10、20体積%にした以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層11、12、13と、磁場を印加しない光取り出し層11B、12B、13Bをそれぞれ乾燥膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた各試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層14の作製〕
上記光取り出し層13の作製において、磁場を印加する際に、フィルム表面と平行な方向に5Tの磁場を印加した以外は同様にして、光取り出し層14を膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた試料の光線透過率と粒子の配向度を同様に測定した後、光取り出し層13Bの測定値で除して配向前後の光線透過率比を求めた。
〔光取り出し層15の作製〕
上記光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、磁化率異方性粒子2(板状アルミナ粒子2)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層15と、磁場を印加しない光取り出し層15Bをそれぞれ膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層16の作製〕
光取り出し層8の作製に用いた板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)の調製において、昇温速度と保持時間を変化することにより、平均粒子径5.0μm、平均厚み0.07μm、アスペクト比71の板状アルミナ粒子3(磁化率異方性粒子3)を得た。
光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、上記調製した磁化率異方性粒子3(板状アルミナ粒子3)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層16と、磁場を印加しない光取り出し層16Bをそれぞれ膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層17の作製〕
上記光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、トピー工業社製の合成マイカ粒子PDM−5B(磁化率異方性粒子9)を用い、仕上がり乾燥膜厚が15μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層17と、磁場を印加しない光取り出し層17Bを作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層18の作製〕
上記光取り出し層17の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子9に代えて、トピー工業社製の合成マイカ粒子PDM−800(磁化率異方性粒子10)に変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層18と、磁場を印加しない光取り出し層18Bをそれぞれ乾燥膜厚15μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔光取り出し層19の作製〕
上記光取り出し層18の作製において、仕上がり乾燥膜厚が22μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層19と、磁場を印加しない光取り出し層19Bをそれぞれ膜厚22μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
以上に係るより得られた各光取り出し層の構成及び測定した特性値を表1に示した。
Figure 2011171093
《面発光体の作製》
〔面発光体1の作製〕
(ITO導電層の形成)
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、上記作製した光取り出し層1を形成したフィルムを基板とし、光取り出し層1を形成していない面側にITO(インジウムチンオキシド)を厚さ100nmとなる条件で製膜してパターニングしてITO導電性層の形成を行った後、このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(正孔注入層の形成)
この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥して、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
(正孔輸送層の形成)
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920に準拠した測定法で測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥して正孔輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
〈正孔輸送層用塗布液〉
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製)
0.5g
(発光層の形成)
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。尚、下記発光層組成物のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
〈発光層用塗布液〉
酢酸ブチル 100g
H−A 1.0g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
(電子輸送層の形成)
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
〈電子輸送層用塗布液〉
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
Figure 2011171093
(電子注入層の形成)
次いで、電子輸送層まで設けた基板を大気曝露せずに、蒸着器に移動し、4×10−4Paまで減圧した。尚、フッ化カリウムおよびアルミニウムをそれぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着器に取り付けておいた。
先ず、フッ化カリウムの入った抵抗加熱ボートに通電して加熱し、基板上にフッ化カリウムからなる電子注入層を3nm設けた。
(陰極の形成)
続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる膜厚100nmの陰極を設け、得られた有機EL素子1を面発光体1とした。
〔面発光体2の作製〕
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、特開2003−84107号公報を参考にして、ポラロイド社製のホログラム用感光材料DMP−128を塗布した後、マスクを用いて紫外光をパターン照射し、膜厚方向に屈折率の異なる部分が形成された異方性光散乱フィルム(光取り出し層Aと称す)を形成した。このフィルムの感光材料を塗布していない面上に、面発光体1の作製方法と同様にして有機EL層を形成し、得られた有機EL素子2を面発光体2とした。
〔面発光体3〜11の作製〕
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、表2に記載の各光取り出し層を形成したフィルムを基板とし、光取り出し層を形成していない面側に、上記面発光体1の作製と同様の方法で有機EL層を形成し、得られた各有機EL素子を面発光体3〜11とした。
〔面発光体12〜22の作製〕
両面に屈折率が1.5のハードコート層が形成された厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)基板上に、面発光体1の作製方法と同様にして有機EL層を形成した。
次いで、上記有機EL層を形成した試料と、表2に記載の各光取り出し層を組み合わせて、面発光体12〜22を作製した。具体的には、上記作製した有機EL素子を構成する透明基板の有機EL層を形成したのとは反対の面と、各光取り出し層を形成していない基材面とを、接着剤を用いて貼付して、各面発光体を作製した。
《面発光体の評価》
〔光取り出し効率の測定〕
上記作製した面発光体1〜22に対し、2.5mA/cm定電流を流したときの外部取り出し量子効率(%)を、不活性ガス雰囲気下で測定した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。以上により得られた面発光体1の量子効率を100としたときの相対値を求めた。数値が大きいほど外部光取り出し効率に優れていることを表す。
〔視野角による色ずれ耐性の評価〕
作製した各面発光体を、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)にセットして発光させて、法線方向と法線方向に対する角度45度での輝度と分光スペクトルを測定し、波長620nmの赤色、波長525nmの緑色、波長458nmの青色における配光輝度特性を求めた。法線方向における赤色、緑色、青色の正面輝度をそれぞれ1にした場合において、上記の法線方向に対して45度傾斜した方向における赤色、緑色、青色のそれぞれの相対輝度を求め、下記の基準に従って視野角による色ずれ耐性を評価した。
◎:得られた相対輝度値が0.95以上、1.05未満である
○:得られた相対輝度値が0.9以上、0.95未満、または1.05以上、1.10未満である
×:得られた相対輝度値が0.9未満、または1.10以上である
〔圧力耐性の評価〕
作製した各面発光体を、机上に出射面側を表にして並べた後、重さ1kgの球形の重りを1mの高さから面発光体上に5回落下した。その後、各面発光体に2.5mA/cm定電流を流したときの発光状態を目視で観察し、下記の基準に従って圧力耐性を評価した。
4:輝点、黒点の発生がなく、安定した発光が見られる
3:輝点あるいは黒点がみられるが、安定した発光が見られる
2:輝点あるいは黒点がみられ、発光輝度が不安定である
1:全く発光しない
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2011171093
表2に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなる面発光体は、光取り出し効率が高く、視野角による色ずれが小さく、しかも加圧に対する耐久性に優れていることが分かる。
実施例2
LED素子を縦に3列、横に4列、計12個並べた上にアクリル製の拡散板を設置した面発光体を用意し、その出射面側にPETフィルム上に光取り出し層13を有するフィルムを貼付したところ、本発明の光取り出し層によって該面発光体の輝度が増加することを確認した。
1 基材
2 マトリックス樹脂
3 磁化率異方性粒子
4 光取り出し層
11 巻だしロール
12 塗布コーター
13N 磁石(N極)
13S 磁石(S極)
14 光照射装置
15 乾燥装置
16 巻き取りロール
A 光取り出し層形成工程
B 配向化工程
C 膜固化工程
D 乾燥工程

Claims (4)

  1. マトリックス樹脂と、少なくとも1種の磁化率異方性粒子とを含有する光取り出し層を有する面発光体であって、該磁化率異方性粒子の長軸が、該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする面発光体。
  2. 前記光取り出し層の光線透過率が、下記式を満たすことを特徴とする請求項1記載の面発光体。
    (粒子配向後の光取り出し層の光線透過率)/(粒子配向前の光取り出し層の光線透過率)>1.1
  3. 前記光取り出し層に磁場を印加して、前記磁化率異方性粒子の長軸を、膜厚方向に配向させたことを特徴とする請求項1または2に記載の面発光体。
  4. 前記光取り出し層と、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、および対向電極が積層されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面発光体。
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