JP2011171093A - 面発光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マトリックス樹脂と、少なくとも1種の磁化率異方性粒子とを含有する光取り出し層を有する面発光体であって、該磁化率異方性粒子の長軸が、該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする面発光体。
【選択図】なし
Description
3.前記光取り出し層に磁場を印加して、前記磁化率異方性粒子の長軸を、膜厚方向に配向させたことを特徴とする前記1または2に記載の面発光体。
本発明に係る磁化率異方性粒子とは、質量磁化率が10−6m3/kg以下で、反磁性の材料で構成され、かつ磁気異方性を有するものであれば、特に限定はない。
本発明に係る光取り出し層を形成するマトリックス樹脂としては、上述した磁化率異方性粒子の配向が可能であれば特に制限はないが、層形成時の経済性および利便性を考えた場合、硬化性樹脂を用いることが好ましい。
珪素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合(−Si−O−)を主鎖としているポリマーであるシリコーン樹脂としては、例えば、特開平6−9937号公報に記載されている所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能である。
((R1)(R2)SiO)n
上記一般式(A)において、R1及びR2は各々同種または異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、R1及びR2として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。
本発明に適用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−シクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂(例えば、国際公開第2004/031257号参照)を使用することができ、その他、スピロ環を含有したエポキシ樹脂や鎖状脂肪族エポキシ樹脂等も使用することができる。その際、オキセタン樹脂を併用、または単独で用いてもよい。
アクリル系樹脂の原料成分としては、例えば、1)エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー、あるいは、2)ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(例えば、特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(例えば、特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(例えば、特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(例えば、特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(例えば、特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(例えば、特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
本発明に係る光取り出し層は、如何なるプロセスで設置されてもよいが、下記の記載の工程に従って形成されることが好ましい。
本発明において、光取り出し層形成工程Aでは、調製された光取り出し層形成用塗布液を基板1上に、塗布コーター12を用いて塗布して光取り出し層4を形成する。ここで塗布する際に用いる基板1には、後述する様な透明基材を使用することができる。塗布方法としては、ロッドコート法、ナイフコート法、押出法、カーテン法等の一般的に知られている湿式塗布手段を用いることができる。また、マトリックス樹脂として、紫外線または可視光硬化樹脂を使用する場合は、当然ながら、セーフライト等で遮光した状態で塗布することが好ましい。以上のようにして塗設された光取り出し層4は、次工程である配向化工程Bに供される。
磁化率異方性粒子の配向化工程Bでは、光取り出し層4に磁場を印加することにより、光取り出し層に含まれる微粒子を、図1に模式図で示した様に一方向に配向させる。磁化率異方性粒子の長軸を膜厚方向に配向させるためには、磁化率異方性粒子の磁化の正負によって磁場の印加方向を便宜調整する必要がある。磁場の強度は、磁化率異方性粒子の平均粒径及び磁化率にもよるが、微粒子が配向するのに足りる程度の磁場を印加すればよい。例えば、2〜10Tの磁場強度で配向できる微粒子の異方性磁化率と粒径の関係を理論上計算すると、異方性磁化率Δχaが10−6オーダーでは粒径が50〜200nm、異方性磁化率Δχaが10−7オーダーでは粒径が100〜500nmである。
膜固化工程Cでは、光取り出し層中のマトリックス樹脂を固化することにより、マトリックス樹脂中に微粒子を固定化する。具体的には、配向工程Bを経た光取り出し層4に、光照射装置14により可視光または紫外線光を照射してマトリックス樹脂を硬化させる。マトリックス樹脂が可視光硬化型樹脂の場合は可視光を照射し、マトリックス樹脂が紫外線硬化型樹脂の場合は紫外線光を照射する。これにより、流動状態であったマトリックス樹脂が硬化されて、塗布液が固化される。これに伴って、マトリックス樹脂中の磁性微粒子が、配向状態を保ったまま固定化される。この膜固化工程Cは、図2の2)に示す様に、上記磁化率異方性粒子の配向化工程Bと同一工程で行っても良い。
乾燥工程Dでは、光取り出し層4中のマトリックス樹脂を、乾燥装置1を用いて乾燥させることにより、マトリックス樹脂中に微粒子を固定化、及び膜中の溶媒を蒸発させる。これに伴って、光取り出し層4がマトリックス樹脂中の磁性微粒子が、配向状態を保ったまま固定化される。
本発明において、上記方法に従って形成された本発明に係る光取り出し層は、面発光体の構成部材として使用することができる。本発明に係る光取り出し層が使用される場所は特に限定されず、例えば、透明基材上に本発明に係る光取り出し層を形成したフィルムを、面発光体の出射側表面に貼合して光取り出しシートとして使用したり、本発明に係る光取り出し層を形成した透明基板として有機EL素子等の形成に使用したりできる。また、有機EL素子上に上述の工程により光取り出し層を形成することもできる。
本発明に用いられる透明基材としては、高い光透過性を有していれば、特に制限はない。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への膜形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から、透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
発明に係る有機EL層(以下、有機EL素子ともいう)の好ましい層構成の例を以下に示す。
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層で発生した光が外部へ出射されるためには、陽極または陰極の少なくとも一方が透明であることが必要であるが、本発明においては、透明導電層を主に陽極として使用することが好ましい。発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
本発明に係る有機EL素子における透明導電層としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が、透明導電層を形成する電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。本発明においては、透明導電層は陽極として用いられることが好ましい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
対向電極としては、前記透明導電層に対向する電極をいう。本発明においては、透明導電層を主に陽極として使用するため、対向電極としては以下に示す陰極を用いることができる。陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
本発明の面発光体は、透明基材上に、本発明に係る光取り出し層と、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、及び対向電極を順次形成することにより作製できる。
透明基材上に、所望の電極物質を用いて透明導電層を形成することができる。例えば、電極物質としてITO(すずを添加した酸化インジウム)を用いる場合には、蒸着やスパッタリング等の方法により透明導電層を形成することができる。また、金属ナノワイヤや導電性ポリマーあるいは透明導電性金属酸化物を含む材料を、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いて透明導電層を形成することもできる。
陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層の全部または一部からなる、透明導電層と陰極の間に形成された層を有機エレクトロルミネッセンス層という。この有機エレクトロルミネッセンス層の作製方法の一例として、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層からなる有機エレクトロルミネッセンス層の作製法について説明する。
上記の有機エレクトロルミネッセンス層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設ける。
本発明の面発光体は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
《磁化率異方性粒子の準備》
磁化率異方性粒子1)板状アルミナ:長軸/短軸=2/0.08μm AR(アスペクト比)=25
磁化率異方性粒子2)板状アルミナ:長軸/短軸=2/0.04μm AR=50
磁化率異方性粒子3)板状アルミナ:長軸/短軸=5/0.07μm AR=71
磁化率異方性粒子4)針状アルミナ:BMB(河合石灰工業社製)1.0/0.5μm AR=2
磁化率異方性粒子5)針状TiO2:ST−485SA15(チタン工業社製) 長軸/短軸=0.15/0.015μm AR=10
磁化率異方性粒子6)針状TiO2:FTL−100(石原産業社製)を振動ミルで粉砕 長軸/短軸=0.6/0.1μm AR=6
磁化率異方性粒子7)針状TiO2:FTL−100(石原産業社製) 長軸/短軸=1.7/0.13μm AR=13
磁化率異方性粒子8)針状TiO2:FTL−200(石原産業社製) 長軸/短軸=2.9/0.21μm AR=14
磁化率異方性粒子9)マイカ:PDM−5B(トピー工業社製) 長軸/短軸=5.2/0.17μm AR=30
磁化率異方性粒子10)マイカ:PDM−800(トピー工業社製) 長軸/短軸=12/0.8μm AR=15
〈比較粒子〉
比較粒子1)球状シリカHS−301(アドマテックス) 2.4μm AR=1
《光取り出し層の作製》
〔光取り出し層1の作製〕
マトリックス樹脂である東洋インキ製造社製のUV硬化性モノマー溶液 リオデュラスTYT65−01(表中にはTYT65と略記)中に、比較粒子1であるアドマテックス社製の球状シリカ粒子HS−301(平均粒径2.4μm)を、上記UV硬化性モノマー量に対し10体積%で添加した後、超音波分散して光取り出し層塗布液1を調製した。この光取り出し層塗布液1を、厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと略記)フィルム(帝人デュポン社製)の片面に、図2の1)に示す工程フローに従って、塗布、磁場の印加、硬化、乾燥を行い、乾燥膜厚が4μmの光取り出し層を形成した。この時、フィルム表面に垂直な方向に5Tの磁場を印加した試料と、磁場の印加を行わなかった試料の2種を作製し、それぞれ光取り出し層1、光取り出し層1Bとした。
光取り出し層1の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、比較粒子1に代えて、磁化率異方性粒子としてチタン工業製の針状酸化チタン粒子ST−485SA15(磁化率異方性粒子5、平均長軸径0.15μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層2と、磁場を印加しない光取り出し層2Bを、それぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層1と同様に、配向前後の光線透過率比を求めた。さらに、磁場を印加した光取り出し層2のフィルム面に垂直な断面を作製し、SEM観察により粒子の配向度(膜厚方向からの最大ずれ角度)を測定した。
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−100(平均長軸径1.7μm)をディスク型振動ミルで粉砕して形成した平均長軸径0.6μm、平均アスペクト比6の針状酸化チタン粒子(磁化率異方性粒子6)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層3と、磁場を印加しない光取り出し層3Bをそれぞれ膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層3の作製において、光取り出し層の乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層4と、磁場を印加しない光取り出し層4Bを、それぞれ乾燥膜厚1.5μmで形成して作製した。得られた試料を光取り出し層3と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−100(磁化率異方性粒子7、平均長軸径1.7μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層5と、磁場を印加しない光取り出し層5Bを、それぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層5の作製において、磁場を印加する際に、フィルム表面と平行な方向に5Tの磁場を印加した以外は同様にして、光取り出し層6を膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料の光線透過率と粒子の配向度を同様に測定した後、光取り出し層5Bの測定値で除して配向前後の光線透過率比を求めた。
上記光取り出し層2の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるTYT65−01中に添加する粒子を、磁化率異方性粒子5に代えて、石原産業製の針状酸化チタン粒子FTL−200(磁化率異方性粒子8、平均長軸径2.9μm)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層7と、磁場を印加しない光取り出し層7Bをそれぞれ乾燥膜厚4μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
水酸化アルミニウムを出発原料とし、予めボールミル等で粉砕することにより、平均粒子径が1.0μmに粒度調整を行った。これと水を混合し50質量%のスラリーを調製した。このスラリー中にリン酸水溶液を水酸化アルミニウムに対してリン酸イオンとして5.0×10−3モル添加した。昇温速度0.5℃/分で600℃、15MPaで3時間保持を行った。容器冷却後、生成物を純水で水洗、濾過を充分に行い、100℃の乾燥機で12時間乾燥して、平均粒子径2.0μm、平均厚み0.08μm、アスペクト比25の板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)を得た。
光取り出し層8の作製に用いた板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)の調製において、昇温速度を変化することにより、平均粒子径2.0μm、平均厚み0.04μm、アスペクト比50の板状アルミナ粒子2(磁化率異方性粒子2)を調製した。
JSR社製のUV硬化性モノマー溶液Z7501(表にはZ7501と略記)中に、河合石灰工業社製の針状アルミナ粒子BMB(磁化率異方性粒子4、平均粒径1.0μm)を上記UV硬化性モノマー量に対し10体積%で添加した後、超音波分散して塗布液を調製した。この塗布液を、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)の片面に、図2の2)に示す工程フローで、塗布、磁場の印加/硬化、乾燥を行い、乾燥膜厚が10μmの光取り出し層を形成した。この時、フィルム表面に垂直な方向に5Tの磁場を印加した試料と、磁場の印加を行わなかった試料を作製し、それぞれ光取り出し層10、光取り出し層10Bとした。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、磁化率異方性粒子1(板状アルミナ粒子1)を用い、UV硬化性モノマー量に対する添加量を、それぞれ5、10、20体積%にした以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層11、12、13と、磁場を印加しない光取り出し層11B、12B、13Bをそれぞれ乾燥膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた各試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層13の作製において、磁場を印加する際に、フィルム表面と平行な方向に5Tの磁場を印加した以外は同様にして、光取り出し層14を膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた試料の光線透過率と粒子の配向度を同様に測定した後、光取り出し層13Bの測定値で除して配向前後の光線透過率比を求めた。
上記光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、磁化率異方性粒子2(板状アルミナ粒子2)を用いた以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層15と、磁場を印加しない光取り出し層15Bをそれぞれ膜厚10μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
光取り出し層8の作製に用いた板状アルミナ粒子1(磁化率異方性粒子1)の調製において、昇温速度と保持時間を変化することにより、平均粒子径5.0μm、平均厚み0.07μm、アスペクト比71の板状アルミナ粒子3(磁化率異方性粒子3)を得た。
上記光取り出し層10の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子4に代えて、トピー工業社製の合成マイカ粒子PDM−5B(磁化率異方性粒子9)を用い、仕上がり乾燥膜厚が15μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層17と、磁場を印加しない光取り出し層17Bを作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層17の作製において、UV硬化性モノマー溶液であるZ7501中に添加する磁化率異方性粒子を、磁化率異方性粒子9に代えて、トピー工業社製の合成マイカ粒子PDM−800(磁化率異方性粒子10)に変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層18と、磁場を印加しない光取り出し層18Bをそれぞれ乾燥膜厚15μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
上記光取り出し層18の作製において、仕上がり乾燥膜厚が22μmになるように塗布条件を変更した以外は同様にして、磁場を印加した光取り出し層19と、磁場を印加しない光取り出し層19Bをそれぞれ膜厚22μmで形成した試料を作製した。得られた試料を光取り出し層2と同様に、配向前後の光線透過率比と、粒子の配向度を測定した。
〔面発光体1の作製〕
(ITO導電層の形成)
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、上記作製した光取り出し層1を形成したフィルムを基板とし、光取り出し層1を形成していない面側にITO(インジウムチンオキシド)を厚さ100nmとなる条件で製膜してパターニングしてITO導電性層の形成を行った後、このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥して、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920に準拠した測定法で測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥して正孔輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製)
0.5g
(発光層の形成)
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。尚、下記発光層組成物のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
酢酸ブチル 100g
H−A 1.0g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
(電子輸送層の形成)
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
次いで、電子輸送層まで設けた基板を大気曝露せずに、蒸着器に移動し、4×10−4Paまで減圧した。尚、フッ化カリウムおよびアルミニウムをそれぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着器に取り付けておいた。
続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる膜厚100nmの陰極を設け、得られた有機EL素子1を面発光体1とした。
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、特開2003−84107号公報を参考にして、ポラロイド社製のホログラム用感光材料DMP−128を塗布した後、マスクを用いて紫外光をパターン照射し、膜厚方向に屈折率の異なる部分が形成された異方性光散乱フィルム(光取り出し層Aと称す)を形成した。このフィルムの感光材料を塗布していない面上に、面発光体1の作製方法と同様にして有機EL層を形成し、得られた有機EL素子2を面発光体2とした。
厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)上に、表2に記載の各光取り出し層を形成したフィルムを基板とし、光取り出し層を形成していない面側に、上記面発光体1の作製と同様の方法で有機EL層を形成し、得られた各有機EL素子を面発光体3〜11とした。
両面に屈折率が1.5のハードコート層が形成された厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(帝人デュポン社製)基板上に、面発光体1の作製方法と同様にして有機EL層を形成した。
〔光取り出し効率の測定〕
上記作製した面発光体1〜22に対し、2.5mA/cm2定電流を流したときの外部取り出し量子効率(%)を、不活性ガス雰囲気下で測定した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。以上により得られた面発光体1の量子効率を100としたときの相対値を求めた。数値が大きいほど外部光取り出し効率に優れていることを表す。
作製した各面発光体を、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)にセットして発光させて、法線方向と法線方向に対する角度45度での輝度と分光スペクトルを測定し、波長620nmの赤色、波長525nmの緑色、波長458nmの青色における配光輝度特性を求めた。法線方向における赤色、緑色、青色の正面輝度をそれぞれ1にした場合において、上記の法線方向に対して45度傾斜した方向における赤色、緑色、青色のそれぞれの相対輝度を求め、下記の基準に従って視野角による色ずれ耐性を評価した。
○:得られた相対輝度値が0.9以上、0.95未満、または1.05以上、1.10未満である
×:得られた相対輝度値が0.9未満、または1.10以上である
〔圧力耐性の評価〕
作製した各面発光体を、机上に出射面側を表にして並べた後、重さ1kgの球形の重りを1mの高さから面発光体上に5回落下した。その後、各面発光体に2.5mA/cm2定電流を流したときの発光状態を目視で観察し、下記の基準に従って圧力耐性を評価した。
3:輝点あるいは黒点がみられるが、安定した発光が見られる
2:輝点あるいは黒点がみられ、発光輝度が不安定である
1:全く発光しない
以上により得られた結果を、表2に示す。
LED素子を縦に3列、横に4列、計12個並べた上にアクリル製の拡散板を設置した面発光体を用意し、その出射面側にPETフィルム上に光取り出し層13を有するフィルムを貼付したところ、本発明の光取り出し層によって該面発光体の輝度が増加することを確認した。
2 マトリックス樹脂
3 磁化率異方性粒子
4 光取り出し層
11 巻だしロール
12 塗布コーター
13N 磁石(N極)
13S 磁石(S極)
14 光照射装置
15 乾燥装置
16 巻き取りロール
A 光取り出し層形成工程
B 配向化工程
C 膜固化工程
D 乾燥工程
Claims (4)
- マトリックス樹脂と、少なくとも1種の磁化率異方性粒子とを含有する光取り出し層を有する面発光体であって、該磁化率異方性粒子の長軸が、該光取り出し層の膜厚方向に配向していることを特徴とする面発光体。
- 前記光取り出し層の光線透過率が、下記式を満たすことを特徴とする請求項1記載の面発光体。
(粒子配向後の光取り出し層の光線透過率)/(粒子配向前の光取り出し層の光線透過率)>1.1 - 前記光取り出し層に磁場を印加して、前記磁化率異方性粒子の長軸を、膜厚方向に配向させたことを特徴とする請求項1または2に記載の面発光体。
- 前記光取り出し層と、透明導電層、有機エレクトロルミネッセンス層、および対向電極が積層されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面発光体。
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