JP6337883B2 - 電子デバイス - Google Patents

電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP6337883B2
JP6337883B2 JP2015506809A JP2015506809A JP6337883B2 JP 6337883 B2 JP6337883 B2 JP 6337883B2 JP 2015506809 A JP2015506809 A JP 2015506809A JP 2015506809 A JP2015506809 A JP 2015506809A JP 6337883 B2 JP6337883 B2 JP 6337883B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
admittance
transparent conductor
light
conductive layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015506809A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014148512A1 (ja
Inventor
健 波木井
健 波木井
敏幸 木下
敏幸 木下
小島 茂
茂 小島
和央 吉田
和央 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Publication of JPWO2014148512A1 publication Critical patent/JPWO2014148512A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6337883B2 publication Critical patent/JP6337883B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • H10K50/816Multilayers, e.g. transparent multilayers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/01Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic
    • B32B15/017Layered products comprising a layer of metal all layers being exclusively metallic one layer being formed of aluminium or an aluminium alloy, another layer being formed of an alloy based on a non ferrous metal other than aluminium
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C5/00Alloys based on noble metals
    • C22C5/04Alloys based on a platinum group metal
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C5/00Alloys based on noble metals
    • C22C5/06Alloys based on silver
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2307/00Properties of the layers or laminate
    • B32B2307/20Properties of the layers or laminate having particular electrical or magnetic properties, e.g. piezoelectric
    • B32B2307/202Conductive
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2307/00Properties of the layers or laminate
    • B32B2307/40Properties of the layers or laminate having particular optical properties
    • B32B2307/412Transparent
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2457/00Electrical equipment

Description

本発明は、透明導電体、及び、この透明導電体を備える電子デバイスに関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度、高発光効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明光源等の面発光体として近年注目されている。
このような有機電界発光素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光は電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明導電体として構成される。
透明導電体としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料や、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った材料が検討されている(例えば、下記特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルのインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗を下げるために形成後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い厚さで導電性を確保する構成も提案されている(例えば、下記特許文献3参照)。
特開2002−15623号公報 特開2006−164961号公報 特開2009−151963号公報
しかしながら、銀とアルミニウムとを用いて構成された透明導電体であっても、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であった。
そこで本発明は、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明導電体を提供すること、およびこの透明導電体を用いることによって性能の向上が図られた電子デバイスを提供する。
本発明の透明導電体は、アドミッタンス調整層と、導電層とがこの順に積層されている。そして、導電層が、厚さ15nm以下の金属材料層と、Pt及びPdの少なくとも一方を含む白金族元素含有層とからなる。さらに、導電層のアドミッタンス調整層側の界面における波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iy、導電層のアドミッタンス調整層と反対側の界面における波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iyで表した場合に、x及びxの少なくとも一方が1.6以上である。
また、本発明の電子デバイスは、上記透明導電体を備える。
本発明の透明導電体によれば、白金族元素含有層に隣接して金属材料が形成された導電層を有するため、白金族元素と金属材料との相互作用が得られ、薄いながらも均一な厚さの導電層が得られる。
さらに、アドミッタンス調整層により導体層の光学アドミッタンスY及びYを調整することにより、透明導電体の光透過性を向上させることができる。
従って、透明導電体において、導電性の向上と光透過性の向上との両立が可能となる。また、この透明導電体を用いて、導電性と光透過性とに優れる電子デバイスを構成することができる。
本発明によれば、導電性と光透過性とに優れた透明導電体、及び、電子デバイスを提供することができる。
第1実施形態の透明導電体の概略構成を示す図である。 基材上に導電層を形成した場合のアドミッタンス軌跡を示す図である。 第1実施形態の透明導電体のアドミッタンス軌跡を示す図である。 第2実施形態の透明導電体の概略構成を示す図である。 第2実施形態の透明導電体のアドミッタンス軌跡を示す図である。 第3実施形態の有機電界発光素子の概略構成を示す図である。 実施例2で作製したボトムエミッション型の有機電界発光素子の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明導電体(第1実施形態)
2.透明導電体(第2実施形態)
3.有機電界発光素子(第3実施形態)
4.照明装置(第4実施形態)
〈1.透明導電体(第1実施形態)〉
本発明の第1実施形態について説明する。図1に、第1実施形態の透明導電体の概略構成図(断面図)を示す。
図1に示すように、透明導電体10は、アドミッタンス調整層12と、導電層15とを備える。導電層15は、金属材料層14と、この金属材料層14に隣接する白金族元素含有層13が設けられた構成である。また、白金族元素含有層13は、金属材料層14とアドミッタンス調整層12との間に挟まれた構成を有している。そして、アドミッタンス調整層12と、白金族元素含有層13及び金属材料層14からなる導電層15とを透明導電体10が、基材11上に形成されている。
つまり、透明導電体10は、基材11上に、アドミッタンス調整層12、白金族元素含有層13、及び、金属材料層14がこの順に積層された構成である。そして、導電層15において、白金族元素含有層13が、アドミッタンス調整層12と金属材料層14との間に挟持された構成である。
透明導電体10は波長400nm〜800nmの光の平均吸収率が15%以下、且つ、吸収率の最大値が25%以下であることが好ましい。
透明導電体10は、波長400nm〜800nmの光の平均吸収率が15%以下、好ましくは12%以下であり、さらに10%以下であることが好ましい。また、波長400nm〜800nmの光の吸収率の最大値は25%以下であり、好ましくは20%以下であり、さらに15%以下であることが好ましい。透明導電体10の光の吸収率は、導電層15のプラズモン吸収率や、各層を構成する材料の光吸収率を抑制することで、低減することができる。
また、透明導電体10の波長450nm〜800nmの光の平均透過率は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。一方、透明導電体10の波長500nm〜700nmの光の平均反射率は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。上記波長の光の平均透過率が50%以上であり、かつ平均反射率20%以下であると、高い透明性が要求される用途にも、透明導電体10を適用できる。
上記吸収率、平均透過率及び平均反射率は、透明導電体の正面に対して5°傾けた角度から測定光を透明導電体に入射させて測定される値である。吸収率、平均透過率及び平均反射率は、分光光度計で測定される。
また、透明導電体10の表面抵抗は、30Ω/sq.以下であることが好ましく、さらに好ましくは15Ω/sq.以下である。透明導電体10の表面抵抗値は、導電層15の厚み等によって調整できる。透明導電体10の表面抵抗値は、例えばJIS K7194、ASTM D257等に準拠して測定できる。また、市販の表面抵抗率計によっても測定できる。
以下に、本例の透明導電体10について、基材11、アドミッタンス調整層12、白金族元素含有層13、及び、導電層15の順に、詳細な構成を説明する。なお、本例の透明導電体10において、透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
[基材11]
透明導電体10が形成される基材11は、この上に形成される各種素子の支持材である。基材11は、可視光に対する透明性が高いことが好ましく、このような基材11としては、例えばガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。
基材11は、波長450〜800nmの光の平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。基材11の光の平均透過率が低いと、透明導電体全体の光の平均透過率が低下する。また、基材11の波長450〜800nmの光の平均吸収率は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。
基材11の平均透過率は、基材11の正面に対して、5°傾けた角度から測定光を入射させて測定した値である。一方、平均吸収率は、平均透過率と同様の方法で基材11の平均反射率を測定し、[平均吸収率=100−(平均透過率+平均反射率)]として算出される値である。平均透過率及び平均反射率は分光光度計で測定する。
基材11の屈折率は1.40〜1.95であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.70である。基材11の屈折率は、通常、基材11の材質によって定まる。基材11の屈折率は、波長510nmの光の屈折率であり、エリプソメーターで測定される。
基材11の厚みは、1μm〜20mmであることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmである。基材11の厚みが1μmより薄い場合には、基材11の強度が低くなり、基材11上に素子を形成する際に破損する可能性がある。また、基材11の厚みが厚すぎると、透明導電体の可撓性や光透過性が低下する原因となる場合がある。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、透明導電体10の積層構造との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて研磨等の物理的処理や、無機物又は有機物からなる被膜、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜及びハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m・24時間)以下のバリア性フィルム(バリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10−3ml/(m・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10−5g/(m・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、樹脂フィルムの劣化をもたらす水分や酸素等素子の浸入を抑制する機能を有する材料を用いる。例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。特に、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法を好ましく用いることができる。
[アドミッタンス調整層]
アドミッタンス調整層12は、透明導電体10の反射率や透過率等の光学特性、特に、導電層15の反射率を調整するために設けられる層である。アドミッタンス調整層12による透明導電体10のアドミッタンス調整に関しては、後述する。
アドミッタンス調整層12は、誘電性材料又は酸化物半導体材料を含む層であることが好ましい。アドミッタンス調整層12を構成する材料は、金属酸化物または金属硫化物であることが好ましい。金属酸化物又は金属硫化物の例には、酸化チタン(TiO:n=2.1〜2.4)、酸化インジウムスズ(ITO:n=1.9〜2.2)、酸化亜鉛(ZnO:n=1.9〜2.0)、硫化亜鉛(ZnS:n=2.0〜2.2)、酸化ニオブ(Nb:n=2.2〜2.4)、酸化ジルコニウム(ZrO:n=2.0.〜2.1)、酸化セリウム(CeO:n=1.9〜2.2)、五酸化タンタル(Ta:n=1.9〜2.2)、酸化錫(SnO:n=1.8〜2.0)等が含まれ、屈折率や生産性の観点からTiO、Nbであることが好ましい。アドミッタンス調整層12には、誘電性材料または酸化物半導体材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
アドミッタンス調整層12は、導電層15の設けられている側の反対側でアドミッタンス調整層12が接する層よりも高い屈折率を有することが好ましい。本例であれば、アドミッタンス調整層12は、透明導電体10が設けられている基材11よりも高い屈折率を有することが好ましい。
また、アドミッタンス調整層12の屈折率は、1.8以上であることが好ましく、より好ましくは2.1以上2.5以下である。後述するように、アドミッタンス調整層12の屈折率が1.8より高いと、透明導電体10の光透過性が高まりやすい。また、アドミッタンス調整層12の屈折率は、基材11の屈折率よりも、0.1〜1.1以上大きいことが好ましく、0.4〜1.0以上大きいことがより好ましい。アドミッタンス調整層12の屈折率は、波長510nmの光の屈折率であり、エリプソメーターで測定される。アドミッタンス調整層12の屈折率は、アドミッタンス調整層12を構成する材料や、アドミッタンス調整層12中の材料の密度等によって調整される。
アドミッタンス調整層12の厚みは、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは20〜80nmである。アドミッタンス調整層12の厚みが10nm未満であると、透明導電体10の光透過性を十分に高めることが難しい。一方、アドミッタンス調整層12の厚みが150nmを超えると、透明導電体10の透明性(反射防止性)が高まらない。アドミッタンス調整層12の厚みは、エリプソメーターで測定される。
アドミッタンス調整層12は、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等、一般的な気相成膜法で形成された層であり得る。アドミッタンス調整層12の屈折率(密度)が高まるとの観点から、電子ビーム蒸着法またはスパッタ法で形成された層であることが好ましい。電子ビーム蒸着法の場合は膜密度を高めるため、IAD(イオンアシスト)などのアシストがあることが望ましい。
[導電層]
導電層15は、導電層15を主として構成する金属材料層14と、この金属材料層14に隣接して設けられた白金族元素含有層13とから構成される。
導電層の吸収は、金属固有の吸収(以下、固有吸収)と、主に導電層の表面形状に起因するプラズモン吸収の2つの吸収の総計で決まる。固有吸収は導電層が薄いほど小さく、プラズモン吸収は表面が平滑なほど小さいため、導電層ができるだけ薄く、表面が平滑であることが、導電層の吸収を小さくする上で有効である。
導電層15のプラズモン吸収率は、波長400nm〜800nmの全範囲で20%以下であることが好ましい。さらに、導電層15のプラズモン吸収率は、15%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5%以下である。上記波長におけるプラズモン吸収率が大きいと、導電層15の光の透過率が低くなる。また、波長400nm〜800nmの一部にプラズモン吸収率が大きい領域があると導電層15の透過光が着色しやすくなる。
[白金族元素含有層]
白金族元素含有層13は、金属材料層14に隣接して設けられた白金(Pt)、及び、パラジウム(Pd)の少なくともいずれかを含む層である。また、本例では、白金族元素含有層13は、アドミッタンス調整層12上に直接形成されている層である。
アドミッタンス調整層12上に金属材料層14を形成する場合、アドミッタンス調整層12に付着した金属原子が表面拡散しながら、ある大きさの塊(核)を生成する。そして、この塊(核)の周囲に沿うように、初期の薄膜成長が進む。このため、形成初期の膜では、塊同士の間に隙間があり、導通しない。この状態からさらに塊が成長し、厚みが15μm程度になると、塊同士の一部が繋がり、かろうじて導通する。しかし、膜の表面がいまだ平滑ではなく、プラズモン吸収が生じやすい。
これに対し、予めアドミッタンス調整層12上に、白金(Pt)、及び、パラジウム(Pd)の少なくともいずれかを含む成長核を形成すると、金属材料層14を構成する金属材料が、アドミッタンス調整層12上を移動し難くなる。
また、PtやPdでは成長核同士の間隔を、原子が表面拡散して形成される塊同士の間隔よりも狭くすることができる。従って、この成長核を起点として膜が成長すると、厚みが薄くても平坦な膜となりやすい。つまり、厚みが薄くても導通が得られ、さらにプラズモン吸収の生じ難い金属材料層14を形成することができる。
上述の成長核は、アドミッタンス調整層12上を表面拡散し難い金属で形成する。このような金属としては、上述の白金(Pt)、パラジウム(Pd)単体、又は、Pt及びPdの少なくともいずれかを含む材料を用いることができる。Pt、及び、Pdは、これらの1種のみを用いてもよく、2種を組み合わせて用いてもよい。また、Pt、及び、Pdに加えて、例えば、金、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、アルミニウム、クロム、ニッケル等を含む合金を用いてもよい。
白金族元素含有層13は、アドミッタンス調整層12上で表面拡散し難く、かつ金属材料層14を構成する金属材料との親和性が高い必要がある。また、緻密で細かい成長核が得られることが好ましい。例えば、IADなどのアシストを用いて、成長する層を細かく砕きながら形成することで、所望の層(成長核)を得ることができる。
白金族元素含有層13を構成する層(成長核)の平均厚みは3nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1nm以下、さらに好ましくは単原子層である。層(成長核)の平均厚みは、形成速度及び形成時間により調整する。
また、白金族元素含有層13は、連続した均質な膜でもよく、白金族元素の層が形成されていない欠陥や空孔が形成された非連続部がある膜や、金属原子が互いに離間して分散された状態で付着している、いわゆる島状構造であってよい。好ましくは、金属原子が互いに離間して付着している状態である。
さらに、白金族元素含有層13のみによる単独層として形成されていてもよく、白金族元素含有層13上に形成される金属材料層14の金属材料と混在した層となっていてもよい。
白金族元素含有層13は、厚み3nm以下のPt、Pdを含む層(成長核)を、スパッタ法又は蒸着法を用いて形成することができる。或いは、Pt、Pdを含む層を形成し、この層をドライエッチングして、白金族元素の層(成長核)を残存させる方法により形成することができる。
スパッタ法としては、例えば、イオンビームスパッタ法や、マグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、2極スパッタ法、バイアススパッタ法等を用いることができる。スパッタ時間は、形成する白金族元素の層(成長核)の平均厚み、及び、形成速度に合わせて適宜選択する。スパッタ形成速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。
一方、蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等を用いることができる。蒸着時間は、形成する層(成長核)及び、形成速度に合わせて適宜選択される。蒸着速度は、好ましくは0.1〜15Å/秒であり、より好ましくは0.1〜7Å/秒である。
また、アドミッタンス調整層12上に白金族元素の層を形成した後、この層を所望の厚みまでドライエッチングする方法では、白金族元素の層の形成方法は特に制限されない。例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等の気相成膜法や、メッキ法等の湿式成膜法を用いることができる。形成する白金族元素の層の平均厚みは3〜15nmであることが好ましく、より好ましくは5〜10nmである。白金族元素の層の平均厚みが3nm未満であると、金属の量が少なく、十分な成長核が得られないおそれがある。
白金族元素の層のドライエッチング方法としては、エッチングガスやイオン、ラジカル等の物理的な衝突を伴うエッチング方法をいい、化学的な反応のみによってエッチングを行う反応性ガスエッチング等は含まない。このような物理的な衝突を伴うエッチング方法であれば特に制限されず、例えば、イオンビームエッチング、逆スパッタエッチング、プラズマエッチング等を用いることができる。
特にエッチング後の薄膜(成長核)に所望の凹凸を形成しやすいとの観点から、イオンビームエッチングが特に好ましい。
白金族元素含有層13を構成する層(成長核)が厚すぎると、成長核を形成しても、薄くかつ平滑な金属材料層14が得られ難い。さらに、この白金族元素含有層13の成長核を起点に形成される金属材料層14が厚くなる。白金族元素含有層13の成長核の平均厚みは、白金族元素の層の厚みと、白金族元素の層のエッチング厚みとの差から求める。白金族元素の層のエッチング厚みは、エッチングレートとエッチング時間との積である。エッチングレートは、別途ガラス基板上に作製した厚み50nmの白金族元素の層を同条件でエッチングし、エッチング後の光の透過率がガラス基板と同等になる(大凡厚み0nm)までの時間から求める。白金族元素含有層13の成長核の平均厚みは、ドライエッチングする時間で調整する。
[金属材料層]
金属材料層14は、白金族元素含有層13に隣接して形成された、金属材料からなる層である。
金属材料層14に含まれる金属は特に制限されず、例えば銀、銅、金、白金族、チタン、クロム等を用いることができる。金属材料層14は、これらの金属が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
金属材料層14は、固有吸収が小さく、かつ電気伝導率が大きいとの観点から、銀又は銀(Ag)を主成分として構成された層であることが好ましい。金属材料層14を構成する銀(Ag)を主成分とする合金としては、銀を50質量%以上含む合金であることが好ましい。銀を主成分とした合金としては、例えば、銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)等が挙げられる。
以上のような金属材料層14は、銀又は銀を主成分とする合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であってもよい。
このような金属材料層14の形成方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法等のウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスを用いる方法等が挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。また、金属材料層14は、白金族元素含有層13上に形成されることにより、形成後の高温アニール処理等がなくても十分な導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、形成後に高温アニール処理等を行ったものであってもよい。
金属材料層14は、厚さが3〜15nmの範囲にあることが好ましい。厚さが15nm以下、特に12nm以下であることにより、層の吸収成分又は反射成分が低く抑えられ、透明導電体の光透過率が維持されるため好ましい。また、金属材料層14は、少なくとも厚さが3nm以上あれば、透明導電体10の導電性が確保される。
さらに、透明導電体10の光透過性を阻害しないために、金属材料層14と白金族元素含有層13との合計の厚さが、15nm以下となるように金属材料層14の厚さを設定することが好ましく、特に合計の厚さを12nm以下とすることが好ましい。金属材料層14と白金族元素含有層13との合計の厚さが15nm以下では、層の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、透明導電体10の光透過率が維持されるため好ましい。さらに、金属材料層14と白金族元素含有層13との合計の厚さを12nm以下とすることにより、透明導電体10の光透過性がさらに向上する。
なお、以上のような、白金族元素含有層13、及び白金族元素含有層13に隣接して設けられた金属材料層14からなる導電体15は、金属材料層14の上部が保護膜で覆われていてもよく、別の導電性層が積層されていてもよい。この場合、透明導電体10の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び導電性層が光透過性を有することが好ましい。
[透明導電体の光学アドミッタンスについて]
次に、透明導電体10の光学アドミッタンスについて説明する。透明導電体10のアドミッタンス調整層12は、導電層15の固有吸収と反射率を調整する機能を有する。
ここで、透明導電体10の表面の反射率Rは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyと、透明導電体10表面の等価アドミッタンスYとから定まり、これらの関係は以下の式で表される。
Figure 0006337883
上記の式に基づけば、|y−Y|が0に近い程、反射率Rが低くなる。ここで、例えば、光が入射する媒質が空気であるとすると、空気の光学アドミッタンスyは1であることから、等価アドミッタンスYが1に近ければ近いほど、透明導電体10の反射率Rが低くなる。
また、別の例として、透明導電体10の上に有機EL層を積層した場合、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyは、有機EL層を構成する材料の屈折率で決まる値となる。例えば、有機EL層として、透明導電体10の上に屈折率1.8の有機材料を積層した構成の場合、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyは1.8となる。このため、等価アドミッタンスYが1.8に近ければ近いほど、透明導電体10の反射率Rが低くなる。
光学アドミッタンスYは、電場強度と磁場強度との比(H/E)から求められ、通常屈折率と同一である。等価アドミッタンスYは、透明導電体10を構成する各層の光学アドミッタンスYから求められる。例えば、透明導電体10が一層からなる場合には、透明導電体10の等価アドミッタンスYは、当該層の光学アドミッタンスYと等しくなる。
一方、透明導電体10が積層体である場合、1層目からx層目までの積層体の光学アドミッタンスY(E)は、1層目から(x−1)層目までの積層体の光学アドミッタンスYx−1(Ex−1x−1)と、特定のマトリクスとの積で表され;具体的には以下の式(1)または式(2)にて求められる。
・x層目が誘電性材料または酸化物半導体材料からなる層である場合
Figure 0006337883
上記式において、δ=2πnd/λであり、y=n(x層目の膜のアドミッタンス)、dはm層目の膜の厚みである。
・x層目が理想金属層である場合
Figure 0006337883
上記式において、γ=2πkd/λ、dはx層目の膜の厚み、kは膜の屈折率(虚部)である。
そして、x層目が最表層であるときの、透明支持材から最表層までの積層物の光学アドミッタンスYx(E)が、当該透明導電体10の等価アドミッタンスYとなる。
ここで、図2に基材11上に直接導電層15を形成した場合における、波長570nmのアドミッタンス軌跡を示す。また、図3に、基材11上にアドミッタンス調整層12を介して導電層15を形成した場合における、波長570nmのアドミッタンス軌跡を示す。
図2においては、導電層15の基材11側の界面の波長570nmの光学アドミッタンスを、Y=x+iyとする。一方、図3においては、導電層15のアドミッタンス調整層12側の波長570nmの光学アドミッタンスを、Y=x+iyとする。
さらに、図2及び図3において、導電層15の上記Yと反対側の界面の波長570nmの光学アドミッタンスを、Y=x+iyとする。このYが、透明導電体10の等価アドミッタンスYに相当する。なお、上記Yと反対側の界面とは、図2においては導電層15の基材11と反対側の界面、図3においては導電層15のアドミッタンス調整層12と反対側の界面である。
また、アドミッタンス軌跡を示すグラフにおいて、横軸(Re)は、光学アドミッタンスYを、[Y=x+iy]と表わしたときの実部、つまり当該式におけるxである。また、縦軸(IM)は、光学アドミッタンスの虚部、つまり当該式におけるyである。
図2に示すアドミッタンス軌跡では、アドミッタンス軌跡の始点の座標が、基材11の導電層15側の等価アドミッタンスYであり、アドミッタンス座標(x,y)である。また、導電層15の基材11と反対側の界面の等価アドミッタンスYがアドミッタンス座標(x,y)である。
図2では、基材上に直接導電層15を形成した場合を示しているため、導電層15の基材11側の等価アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)は、Yアドミッタンス座標(x,y)に一致する。
そして、このアドミッタンス軌跡の始点は、基材11の表面であるため、基材11側の等価アドミッタンスYが基材11の屈折率(例えば、n:1.5)に依存し、YとYのアドミッタンス座標(x,y)=(x,y)=(1.5,0)となる。
図3に示すアドミッタンス軌跡では、アドミッタンス軌跡の始点の座標が、基材11とアドミッタンス調整層12との界面の等価アドミッタンスYであり、アドミッタンス座標(x,y)=(1.5,0)となる。
そして、導電層15とアドミッタンス調整層12との界面の等価アドミッタンスYがアドミッタンス座標(x,y)である。導電層15のアドミッタンス調整層12と反対側の界面の等価アドミッタンスYがアドミッタンス座標(x,y)である。
図2及び図3において、アドミッタンス軌跡の終点の座標が、透明導電体10の等価アドミッタンスYである。透明導電体10の等価アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)と、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)との距離が、透明導電体10表面の反射率Rに比例する。つまり、等価アドミッタンスYの座標(x,y)と、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)との距離が近ければ近いほど、透明導電体10の反射率Rが小さくなる。
上述のように、透明導電体10の等価アドミッタンスYは、導電層15のアドミッタンス調整層12と反対側の界面の等価アドミッタンスYに等しい。従って、本例では、導電層15の等価アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)と、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)との距離が近ければ近いほど、透明導電体10の反射率Rが小さくなる。
例えば、光が入射する媒質が空気の場合には、空気の屈折率(n:1)から、光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)=(1,0)となる。また、有機EL素子のような有機層であれば、有機層の屈折率を例えばn=1.8とした場合、光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)=(1.8,0)となる。
従って、導電層15の等価アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)が、光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(1,0)や(1.8,0)に近づくほど、透明導電体10の反射率Rが小さくなる。
また、反射率Rと、等価アドミッタンスY、及び、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyとの関係式に基づけば、等価アドミッタンスYの座標(x,y)が、光が入射する媒質のアドミッタンス座標(x,y)より右側にあると、反射率Rが小さくなりやすい。従って、等価アドミッタンスYのx座標x、つまり、導電層15の等価アドミッタンスYのx座標xは、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのx座標xよりも大きいことが好ましい。
本実施形態の透明導電体10では、導電層15の両主面の波長570nmにおける光学アドミッタンスをY、Yとする。そして、光学アドミッタンスY=x+iyとし、光学アドミッタンスY=x+iyとした場合に、x及びxのうち、少なくともいずれか一方が1.6以上である。また、好ましくはx及びxの両方が1.6以上である。つまり、図3のアドミッタンス軌跡におけるY(x,y)、及び、Y(x,y)の少なくともいずれか一方の横軸座標が1.6以上である。その理由を以下に示す。
なお、透明導電体10の導電層15が複数の層から形成されている場合には、最もアドミッタンス調整層12側の層の導電層15の界面の光学アドミッタンスをY=x+iyとする。そして、最もアドミッタンス調整層12と反対側の層の導電層15の界面の光学アドミッタンスをY=x+iyとする。
従って、金属材料層14と白金族元素含有層13とからなる導電層15の場合には、アドミッタンス調整層12側の白金族元素含有層13の界面の光学アドミッタンスをY=x+iyとする。そして、アドミッタンス調整層12と反対側の金属材料層14の界面の光学アドミッタンスをY=x+iyとする。
導電層15を構成する金属材料は、一般的に光学アドミッタンスの虚部の値が大きく、金属材料を積層すると、アドミッタンス軌跡が縦軸(虚部)方向に大きく移動する。
例えば、アドミッタンス調整層12を設けずに、基材11上に直接導電層15を積層すると、上述の図2に示すように、アドミッタンス軌跡が、始点(x,y)である基材11のアドミッタンス座標(1.5,0)から、縦軸(虚部)方向にある(x,y)に大きく移動する。つまり、アドミッタンス座標の虚部の絶対値が非常に大きくなる。このように、アドミッタンス座標の虚部の絶対値が大きくなると、導電層15の光学アドミッタンスY(透明導電体10の等価アドミッタンスY)は、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)から遠ざかる方向に移動する。このため、導電層15の光学アドミッタンスYを、光が入射する媒質の光学アドミッタンスy、例えば、空気のアドミッタンス座標(1,0)や、有機材料のアドミッタンス座標(1.8,0)に近づけることが難しくなる。
また、導電層15の基材11側の界面のアドミッタンスYである、アドミッタンス軌跡の始点(x,y)が、基材11のアドミッタンス座標(1.5,0)から殆ど移動しない場合には、アドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になり難い。このように、アドミッタンス軌跡が、横軸を中心に線対称にならないと、他の波長(570nm以外)においても、アドミッタンス軌跡がぶれやすく、等価アドミッタンスYの座標が一定になりにくい。このため、反射防止効果が十分でない波長領域が生じやすい。
これに対し、図3に示す、基材11/アドミッタンス調整層12/導電層15をこの順に備える透明導電体10の波長570nmのアドミッタンス軌跡では、アドミッタンス調整層12により、導電層15のアドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)が、アドミッタンス軌跡の始点(x,y)から横軸(実部)及び縦軸(虚部)の正方向に大きく移動する。
特に、Yの実部の座標xを1.6以上とすると、アドミッタンス軌跡の円弧が大きくなり、導電層15のアドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)が、アドミッタンス軌跡の始点(x,y)から、虚部の正方向に大きく移動する。
つまり、導電層15によって、アドミッタンス軌跡が虚部の負方向に大きく移動しても、Yの虚部の絶対値|y|が大きくなり難い。さらに、導電層15のアドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になりやすい。このため、他の波長(570nm以外)においても、アドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称となりやすく、各波長の等価アドミッタンスYの座標がほぼ同一になる。つまり、いずれの波長においても、等価アドミッタンスYの値が、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)に近づきやすくなる。これはいずれの波長においても、十分な反射防止効果が得られることを示す。
導電層15として、金属材料を用いる場合には、導電層15において発生する光吸収には、2つの起源が考えられる。1つは金属材料本来の吸収であり、もう1つは導電層15の構造に起因するプラズモン吸収である。導電層15のアドミッタンスを高く保つことで金属材料本来の吸収を最小化することができる。
ここで、各層界面のアドミッタンスYと、各層に存在する電場強度Eとの間には、下記関係式が成り立つ。
Figure 0006337883
上記関係式に基づけば、アドミッタンスYが大きくなれば電場強度Eが小さくなり、電場損失(光の吸収)が抑制される。従って、アドミッタンス調整層12により、導電層15のアドミッタンスYの実部の座標xを1.6以上となるように調整すると、導電層15のアドミッタンスYが大きくなり、導電層15による光の吸収が少なくなる。
また、アドミッタンス調整層12により、導電層15のアドミッタンスYの実部の座標xを1.6以上に調整した場合にも、導電層15のアドミッタンスYが大きくなり、導電層15による光の吸収が少なくなる。また。導電層15のアドミッタンス軌跡がグラフの横軸を中心に線対称になりやすく、導電層15の電場が小さくなるため、導電層15による光の吸収が抑制される。
上述のように、x及びxは、少なくともどちらかが1.6以上7.0以下であることが好ましい。より好ましくは、x及びxが共に1.6以上7.0以下である。さらに好ましくは、x及び/又はxが、1.8以上5.5以下、さらに2.0以上3.0以下であることが好ましい。
また、x及びxのうち、特にxが1.6以上であることが好ましい。xは、アドミッタンス調整層12の屈折率や、アドミッタンス調整層12の厚み等によって調整される。この場合、xは1.3以上5.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.5以上3.5以下である。xは、導電層15を構成する材料の屈折率や、導電層15の厚み等によって調整される。
ここで、xとxとの差の絶対値|x−x|は1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以下であり、さらに好ましくは0.8以下である。また特に、導電層15のアドミッタンス軌跡と横軸との交点の座標Ycross(xcross,0)とした場合に|x−x|/xcrossが0.5より小さいことが好ましく、より好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは0.2以下である。
また、アドミッタンス軌跡をグラフの横軸を中心に線対称とするため、上記Yの虚部の座標yと、Yの虚部の座標yが、y×y<0を満たすことが好ましい。
また、さらに、等価アドミッタンスYの座標(x,y)と、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)との距離(|x−x|+|y−y|)は、0.9以下であることが好ましく、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
[透明導電体の効果]
以上のように構成された透明導電体10は、白金族元素含有層13に隣接させて金属材料層14が形成された、導電層15を設けた構成である。これにより、白金族元素含有層13に隣接させて金属材料層14を形成する際には、金属材料層14を構成する金属原子が白金族元素含有層13を構成するPtやPdと相互作用し、金属原子の白金族元素含有層13表面での拡散距離が減少し、金属材料の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer-Weber:VW型)での成長により島状に孤立し易い金属材料層14が、単層成長型(Frank-van der Merwe:FM型)の成長によって形成されるようになる。従って、薄いながらも、均一な厚さの導電層15が得られるようになる。
さらに、透明導電体10は、導電層15の界面の光学アドミッタンスYの実部x、光学アドミッタンスYの実部xが、アドミッタンス調整層12により、1.6以上となるように調整されている。このように、アドミッタンス調整層12により、導電層15の界面のアドミッタンスを調整することにより、透明導電体10の反射を抑制することができ、光透過性を向上させることができる。
以上の結果、光透過性を確保しつつ、導電性が確保された透明導電体10を得ることができる。このため、透明導電体10において、導電性の向上と、光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。
〈2.透明導電体(第2実施形態)〉
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4に、第2実施形態の透明導電体の概略構成図(断面図)を示す。図4に示すように、第2実施形態の透明導電体20は、アドミッタンス調整層12として、第1アドミッタンス調整層21と第2アドミッタンス調整層22とを備えることのみが、図1に示す第1実施形態の透明導電体10と異なる。以下、第1実施形態と同様の構成要素についての重複する詳細な説明は省略し、第2実施形態の透明導電体20の構成を説明する。
図4に示すように、透明導電体20は、アドミッタンス調整層12として第1アドミッタンス調整層21と第2アドミッタンス調整層22とを備え、さらに、導電層15とを備える構成である。
導電層15は、金属材料層14と、金属材料層14に隣接する位置に形成された白金族元素含有層13とからなる。つまり、導電層15において、白金族元素含有層13が、金属材料層14とアドミッタンス調整層12との間に挟まれた構成である。そして、第2アドミッタンス調整層22、第1アドミッタンス調整層21、白金族元素含有層13、及び、導電層15からなる透明導電体20が、基材11上に形成されている。
つまり、透明導電体20は、基材11上に、第2アドミッタンス調整層22、第1アドミッタンス調整層21、白金族元素含有層13、及び、金属材料層14がこの順に積層された構成であり、第1アドミッタンス調整層21と金属材料層14とに白金族元素含有層13が挟持された構成である。
第2実施形態の透明導電体20において、導電層15を構成する白金族元素含有層13及び金属材料層14は、上述の第1実施形態と同様の構成である。また、第1アドミッタンス調整層21は、上述の第1実施形態の透明導電体のアドミッタンス調整層と同様の構成とすることができる。このため、第1アドミッタンス調整層21、及び、この上に形成される導電層15、白金族元素含有層13、金属材料層14の構成は、詳細な説明を省略する。
[第2アドミッタンス調整層]
第2アドミッタンス調整層22は、アドミッタンス調整層12を構成する2層のうち、導電層15が形成されない側に設けられた層である。つまり、アドミッタンス調整層12では、導電層15が形成されている側に第1アドミッタンス調整層21が設けられ、導電層15が形成されている側と反対側に第2アドミッタンス調整層22が設けられている。
第2アドミッタンス調整層22は、第1アドミッタンス調整層21よりも低い屈折率を有す層である。特に、第2アドミッタンス調整層22は、第1アドミッタンス調整層21よりも、特に波長550nmにおける屈折率が0.2以上低いことが好ましい。この第2アドミッタンス調整層22としては、例えば、低い屈折率と、光透過性とを有する材料で構成される。例えば、フッ化マグネシウム(MgF:n=1.37)、フッ化リチウム(LiF:n=1.39)、フッ化カルシウム(CaF:n=1.43)、フッ化アルミニウム(AlF:n=1.38)等の光学フィルムに一般的に用いられる低屈折率材料やPoly(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropyl acrylate):n=1.38、Poly(2,2,3,3,4,4,4-heptafluorobutyl acrylate):n=1.38、Poly(2,2,3,3,4,4,4-heptafluorobutyl methacrylate):n=1.38、Poly(2,2,3,3,3-pentafluoropropyl acrylate):n=1.39、Poly(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropyl methacrylate):n=1.39、Poly(2,2,3,4,4,4-hexafluorobutyl acrylate):n=1.39、Poly(2,2,3,3,3-pentafluoropropyl methacrylate):n=1.40、Poly(2,2,2-trifluoroethyl acrylate):n=1.41、Poly(2,2,3,3-tetrafluoropropyl acrylate):n=1.42、Poly(2,2,3,3-tetrafluoropropyl methacrylate):n=1.42、Poly(2,2,2-trifluoroethyl methacrylate):n=1.42等のポリマー材料などが用いられる。
第2アドミッタンス調整層22の厚みは、40〜200nmであることが好ましく、より好ましくは50〜180nmである。アドミッタンス調整層12の厚みが40nm未満又は200nmを超えると、透明導電体20の光透過性を十分に高めることが難しい。アドミッタンス調整層12の厚みは、エリプソメーターで測定される。
[透明導電体10の光学アドミッタンスについて]
次に、透明導電体20の光学アドミッタンスについて説明する。
図5に、透明導電体20の波長570nmのアドミッタンス軌跡を示す。
導電層15の第1アドミッタンス調整層21側の界面の波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iyとし、導電層15の第1アドミッタンス調整層21と反対側の界面の波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iyとする。
導電層15の光学アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)が、透明導電体20の等価アドミッタンスYに相当する。
図5に示すアドミッタンス軌跡では、アドミッタンス軌跡の始点の座標が、基材11の導電層15側の等価アドミッタンスYであり、アドミッタンス座標(x,y)である。
そして、透明導電体20では、第1アドミッタンス調整層21よりも屈折率の低い第2アドミッタンス調整層22を備えることにより、アドミッタンス軌跡がアドミッタンス座標(x,y)から、横軸(実部)の負方向にある点Wに移動する。この移動した点Wは、第1アドミッタンス調整層21と第2アドミッタンス調整層22との界面の光学アドミッタンスに相当する。
さらに、図5に示すように、第1アドミッタンス調整層21を備えることにより、Yの実部の座標xが1.6以上となるように、透明導電体20のアドミッタンス軌跡を調整することができる。また、導電層15のアドミッタンス軌跡をグラフの横軸を中心に線対称に近付けることができる。
第1アドミッタンス調整層21による透明導電体20への作用は、上述第1実施形態で説明した透明導電体へのアドミッタンス調整層の作用と同様である。
上述のように、屈折率の低い第2アドミッタンス調整層22を備えることにより、アドミッタンス軌跡が、横軸(虚部)において負方向に移動する。負方向に移動する。このため、第2アドミッタンス調整層22を備えない上述の第1実施形態の場合に比べて、正方向にある導電層15の光学アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)、及び、光学アドミッタンスYのアドミッタンス座標(x,y)が、共に負方向に移動する。
この結果、導電層15の光学アドミッタンスYを、光が入射する媒質の光学アドミッタンスy、例えば、空気のアドミッタンス座標(1,0)や、有機材料のアドミッタンス座標(1.8,0)に近づけることできる。
従って、等価アドミッタンスYの値が、光が入射する媒質の光学アドミッタンスyのアドミッタンス座標(x,y)に近づきやすくなり、透明導電体20の反射率を低下させ、光透過性を向上させることができる。また、導電層15のアドミッタンスを高く保つことで金属材料本来の吸収を最小化することができる。
上述のように、アドミッタンス調整層12を複数層で形成する場合には、アドミッタンス調整層12を構成する材料や厚さを適宜組み合わせることにより、設計自由度が向上する。このため、アドミッタンス調整層を単層で形成する場合に比べて、導電層15の光学アドミッタンスY及びYの調整が容易になり、また、光学アドミッタンスY及びYを最適化できる範囲が広がる。
従って、アドミッタンス調整層12を、第1アドミッタンス調整層21と第2アドミッタンス調整層22のように複数の層から構成することで、透明導電体の光透過性を向上させることができる。
〈3.有機電界発光素子(第1実施形態:ボトムエミッション型)〉
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、電子デバイスの一例として、上述の第2実施形態の透明導電体を用いたボトムエミッション型の有機電界発光素子について説明する。図6に、本実施形態の有機電界発光素子の断面構成図を示す。以下にこの図に基づいて有機電界発光素子の構成を説明する。
[有機電界発光素子の構成]
図6に示す有機電界発光素子30は、透明基板である基材11上に設けられており、基材11側から順に、アノードとなる透明導電体20、発光機能層16、及びカソードとなる対向電極17が積層されている。このうち、透明導電体20として、上述の第1実施形態の透明導電体20が用いられている。このため有機電界発光素子30は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。
また、有機電界発光素子30の全体的な層構造は、上記に限定されることはなく、一般的な層構造であってもよい。ここでは、透明導電体20がアノード(すなわち陽極)側に配置され、主に導電層15の金属材料層14がアノードとして機能する一方、対向電極17がカソード(すなわち陰極)として機能する。
この場合、例えば発光機能層16は、アノードである透明導電体20の上部に[正孔注入層16a/正孔輸送層16b/発光層16c/電子輸送層16d/電子注入層16e]をこの順に積層した構成を例示できるが、このうち少なくとも有機材料を用いて構成された発光層16cを有する。正孔注入層16a及び正孔輸送層16bは、正孔輸送性と正孔注入性とを有する正孔輸送/注入層として設けられてもよい。電子輸送層16d及び電子注入層16eは、電子輸送性と電子注入性とを有する単一層として設けられてもよい。また、これらの発光機能層16のうち、例えば電子注入層16eは無機材料で構成されていてもよい。
また、発光機能層16は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層16cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の中間層を介して積層させて発光層ユニットとして形成されていてもよい。中間層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらにカソードである対向電極17も、必要に応じた積層構造であってもよい。このような構成において、透明導電体20と対向電極17とで発光機能層16が挟持されている部分のみが、有機電界発光素子30における発光領域となる。
また、以上のような層構成においては、透明導電体20の低抵抗化を図ることを目的とし、透明導電体20の導電層15に接して補助電極が設けられていてもよい。
以下、上述した有機電界発光素子30を構成するための主要各層の詳細を、基材11、透明導電体20、対向電極17、発光機能層16の発光層16c、発光機能層16の他の層、及び補助電極の順に説明する。その後、有機電界発光素子30の作製方法を説明する。
[基材]
基材11は、上述の図1に示す第1実施形態の透明導電体20が設けられる基材のうち、光透過性を有する透明な材料が用いられる。
[透明導電体(アノード側)]
透明導電体20は、上述の実施形態の透明導電体20であり、基材11側から、第2アドミッタンス調整層22、第1アドミッタンス調整層21、白金族元素含有層13、及び、導電層15がこの順に形成された構成である。ここでは特に、透明導電体20を構成する導電層15が実質的なアノードとなる。
[対向電極(カソード)]
対向電極17は、発光機能層16に電子を供給するためのカソードとして機能する導電層であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物、及びこれらの混合物が用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO、SnO等の酸化物半導体等が挙げられる。
対向電極17は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄層を形成させることにより作製することができる。また、対向電極17としてのシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましく、厚さは通常5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[発光層]
本実施形態の有機電界発光素子に用いられる発光層16cは、発光材料として例えば燐光発光化合物が含有されている。
この発光層16cは、電極又は電子輸送層16dから注入された電子と、正孔輸送層16bから注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層16cの層内であっても発光層16cにおける隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層16cとしては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層16c間には非発光性の中間層(図示せず)を有していることが好ましい。
発光層16cの厚さの総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い電圧で駆動することができることから1〜30nmである。なお、発光層16cの厚さの総和とは、発光層16c間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
複数層を積層した構成の発光層16cの場合、個々の発光層の厚さとしては、1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の厚さの関係については、特に制限はない。
以上のような発光層16cは、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により形成することができる。
また発光層16cは、複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)を同一発光層16c中に混合して用いてもよい。
発光層16cの構成として、ホスト化合物(発光ホストともいう)、発光材料(発光ドーパント化合物、ゲスト材料ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
(ホスト化合物)
発光層16cに含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに、燐光量子収率が0.01未満である化合物が好ましい。また、ホスト化合物は、発光層16cに含有される化合物の中で、層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子30を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)化合物が好ましい。ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
有機電界発光素子に適用可能なホスト化合物の具体例としては、特開2013−4245号公報の段落[0163]〜[0178]に記載の化合物H1〜H79を例示することができる。特開2013−4245号公報の段落[0163]〜[0178]に記載の化合物H1〜H79を本願明細書に組み込む。
また、その他の公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることもできる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(発光材料)
本実施形態の有機電界発光素子に用いることのできる発光材料としては、燐光発光性化合物(燐光性化合物、燐光発光材料ともいう)が挙げられる。
燐光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
上記燐光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本例において燐光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
燐光発光性化合物の発光の原理としては2種挙げられる。一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光性化合物に移動させることで燐光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型であり、もう一つは、燐光発光性化合物がキャリアトラップとなり、燐光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり燐光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、燐光発光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
燐光発光性化合物は、一般的な有機電界発光素子の発光層16cに使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物である。さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本実施形態の有機電界発光素子30においては、少なくとも一つの発光層16cに2種以上の燐光発光性化合物を含有していてもよく、発光層16cにおける燐光発光性化合物の濃度比が発光層16cの厚さ方向で変化していてもよい。
燐光発光性化合物は好ましくは発光層16cの総量に対し0.1体積%以上30体積%未満である。
有機エレクトロルミネッセンス素子に適用可能な燐光発光性化合物としては、特開2013−4245号公報の段落[0185]〜[0235]に記載の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される化合物、及び、例示化合物を好ましく挙げることができる。また、その他の例示化合物として、Ir−46、Ir−47、Ir−48、を以下に示す。特開2013−4245号公報の段落[0185]〜[0235]に記載の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される化合物、及び、例示化合物(Pt−1〜Pt−3、Os−1、Ir−1〜Ir−45)を本願明細書に組み込む。
Figure 0006337883
上記の燐光発光性化合物(燐光発光性金属錯体等ともいう)は、例えば、Organic Letters誌 vol.3 No.16 2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻 第8号 1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻 4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻第7号 1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻 第12号 3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻 1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻 695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
(蛍光発光材料)
蛍光発光材料としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[注入層:正孔注入層、電子注入層]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層16cの間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層16aと電子注入層16eとがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層16aであれば、アノードと発光層16c又は正孔輸送層16bの間、電子注入層16eであればカソードと発光層16c又は電子輸送層16dとの間に配置される。
正孔注入層16aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層16eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層16eはごく薄い層であることが望ましく、素材にもよるがその厚さは1nm〜10μmの範囲が好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層16bは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層16a、電子阻止層も正孔輸送層16bに含まれる。正孔輸送層16bは単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層16bは、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層16bの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層16bは、上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層16bの材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層16bのp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[電子輸送層]
電子輸送層16dは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層16e、正孔阻止層(図示せず)も電子輸送層16dに含まれる。電子輸送層16dは単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層16d、及び積層構造の電子輸送層16dにおいて発光層16cに隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層16cに伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層16dの材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層16dの材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されていても、電子輸送層16dの材料として好ましく用いることができる。また、発光層16cの材料としても例示されるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送層16dの材料として用いることができ、正孔注入層16a、正孔輸送層16bと同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層16dの材料として用いることができる。
電子輸送層16dは、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層16dの厚さについては特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層16dは上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、電子輸送層16dに不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。さらに電子輸送層16dには、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層16dのn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
また、電子輸送層16dの材料(電子輸送性化合物)としては、例えば、特開2013−4245号公報の段落[0057]〜[0148]に記載の一般式(1)、一般式(2)、及び、一般式(3)で表される化合物を用いることが好ましく、例示化合物1〜111が用いることができる。また、その他の例示化合物として、化合物112〜134を以下に示す。特開2013−4245号公報の段落[0057]〜[0148]に記載の一般式(1)、一般式(2)、及び、一般式(3)で表される化合物を、本願明細書に組み込む。
Figure 0006337883
Figure 0006337883
Figure 0006337883
[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上述のように有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層16dの機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層16dの構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層16cに隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層16bの機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層16bの構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
[補助電極]
補助電極は、透明導電体20の抵抗を下げる目的で設けられ、透明導電体20の導電層15に接して設けられる。補助電極を形成する材料は、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の抵抗が低い金属が好ましい。これらの金属は光透過性が低いため、光取り出し面からの発光光hの取り出しの影響のない範囲でパターン形成される。このような補助電極の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、印刷法、インクジェット法、エアロゾルジェット法などが挙げられる。補助電極の線幅は、光を取り出す開口率の観点から50μm以下であることが好ましく、補助電極の厚さは、導電性の観点から1μm以上であることが好ましい。
[封止材]
封止材は、有機電界発光素子30を覆うものであって、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤によって基材11側に固定されていてもよく、封止層であってもよい。この封止材は、有機電界発光素子30における透明導電体20及び対向電極17の端子部分を露出させる状態で、少なくとも発光機能層16を覆う状態で設けられている。また封止材に電極を設け、有機電界発光素子30の透明導電体20及び対向電極17の端子部分と、この電極とを導通させるように構成されていてもよい。
板状(フィルム状)の封止材としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板が挙げられ、これらの基板材料をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
なかでも、素子を薄型化できるということから、封止材として薄型のフィルム状にしたポリマー基板を好ましく使用することができる。
さらには、フィルム状としたポリマー基板は、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、以上のような基板材料は、凹板状に加工して封止材として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対してサンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状に形成される。
また、これに限らず、金属材料を用いてもよい。金属材料としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。このような金属材料は、薄型のフィルム状にして封止材として用いることにより、有機電界発光素子が設けられた発光パネル全体を薄型化できる。
また、このような板状の封止材を基材11側に固定するための接着剤は、封止材と基材11との間に挟持された有機電界発光素子30を封止するためのシール剤として用いられる。このような接着剤は、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、このような接着剤としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機電界発光素子30を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、室温から80℃までに接着硬化できる接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
封止材と基材11との接着部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、板状の封止材と基材11と接着剤との間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止材として封止層を用いる場合、有機電界発光素子30における発光機能層16を完全に覆い、かつ有機電界発光素子30における透明導電体20及び対向電極17の端子部分を露出させる状態で、基材11上に封止層が設けられる。
このような封止層は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機電界発光素子30における発光機能層16の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成されることとする。このような材料として、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機材料が用いられる。さらに封止層の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる層と共に、有機材料からなる層を用いて積層構造としてもよい。
これらの層の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[保護層、保護板]
尚、ここでの図示は省略したが、基材11との間に有機電界発光素子EL及び封止材を挟んで保護層若しくは保護板を設けてもよい。この保護層若しくは保護板は、有機電界発光素子ELを機械的に保護するためのものであり、特に封止材が封止層である場合には、有機電界発光素子ELに対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護層若しくは保護板を設けることが好ましい。
以上のような保護層若しくは保護板は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち特に、軽量かつ薄型化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[有機電界発光素子の作製方法]
ここでは一例として、図6に示す有機電界発光素子30の製造方法を説明する。
まず、基材11上に、第2アドミッタンス調整層22を90nm程度の厚さに形成する。次に、第1アドミッタンス調整層21を40nm程度の厚さに形成する。
次に、第1アドミッタンス調整層21上に、白金族元素含有層13を1nm程度形成し、その後、金属材料層14を3nm〜15nmとなるように形成する。白金族元素含有層13と金属材料層14は、上述の第1実施形態に記載の方法で形成することができる。以上により、アノード側の透明導電体20を基材11上に作製する。
第1アドミッタンス調整層21、第2アドミッタンス調整層22の形成は、蒸着法(EB法等)、スパッタリング法等があるが、緻密な層が得られやすい点から、イオンアシストEB蒸着法又はスパッタリング法が特に好ましい。
次にこの上に、正孔注入層16a、正孔輸送層16b、発光層16c、電子輸送層16d、電子注入層16eの順に形成し、発光機能層16を形成する。これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、スパッタ法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる形成方法を適用してもよい。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般に化合物を収蔵したボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、厚さ0.1μm〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
次に、カソードとなる対向電極17を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成方法によって形成する。この際、発光機能層16によって透明導電体20に対して絶縁状態を保ちつつ、発光機能層16の上方から基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。
これにより、有機電界発光素子30が得られる。また、その後には、有機電界発光素子30における透明導電体20及び対向電極17の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光機能層16を覆う封止材を設ける。この際、接着剤を用いて、封止材を基材11側に接着し、これらの封止材−基材11間に有機電界発光素子30を封止する。
以上により、基材11上に所望の有機電界発光素子30が得られる。このような有機電界発光素子30の作製においては、一回の真空引きで一貫して発光機能層16から対向電極17まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から基材11を取り出して異なる形成法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
このようにして得られた有機電界発光素子30に直流電圧を印加する場合には、アノードである導電層15を+の極性とし、カソードである対向電極17を−の極性として、電圧2V以上40V以下程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
なお、上述の実施形態では、第2実施形態の透明導電体をボトミエミッション型の有機電界発光素子に適用した構成について説明しているが、第1実施形態の透明導電体を用いて有機電界発光素子を構成することもできる。
さらに、これらの透明導電体が適用される有機電界発光素子は、ボトムエミッション型に限られず、例えば、対向電極側から光を取り出すトップエミッション型の構成や、両面から光を取り出す両面発光型の構成としてもよい。有機電界発光素子がトップエミッション型であれば、対向電極に透明な材料を用いると共に、透明導電体の基材に換えて反射性を有する不透明な基材を用い、発光光hを基板で反射させて対向電極側から取り出す構成としてもよい。また、有機電界発光素子が両面発光型であれば、対向電極に透明導電体と同様に透明な材料を用い、発光光hを両面から取り出す構成としてもよい。
また、ボトミエミッション型、トップエミッション型及び両面発光型の有機電界発光素子においても、上述の第3実施形態の有機電界発光素子のように、透明導電体をアノードとする構成以外にも、透明導電体をカソードとする構成にも適用可能である。
[有機電界発光素子の用途]
上述した各実施形態の有機電界発光素子は、上述したように面発光体であるため各種の発光光源として用いることができる。例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではなく、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
また、各実施形態の有機電界発光素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。この場合、近年の照明装置およびディスプレイの大型化にともない、有機電界発光素子を設けた発光パネル同士を平面的に接合する、いわゆるタイリングによって発光面を大面積化してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また異なる発光色を有する本発明の有機電界発光素子を2種以上使用することにより、カラーまたはフルカラー表示装置を作製することが可能である。
〈4.照明装置(第4実施形態)〉
[照明装置−1]
本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、電子デバイスの一例として上述の第3実施形態の有機電界発光素子を用いた照明装置について説明する。
本実施形態の照明装置に用いる有機電界発光素子は、上述した第3実施形態の構成の有機電界発光素子に共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機電界発光素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、有機電界発光素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機電界発光素子(白色有機電界発光素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させてもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有させてもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料の組み合わせや、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせでもよい。白色有機電界発光素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合してもよい。
このような白色有機電界発光素子は、各色発光の有機電界発光素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機電界発光素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば導電層を形成でき、生産性も向上する。
また、このような白色有機電界発光素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の有機電界発光素子の実施形態に記載の金属錯体、また公知の発光材料の中から任意の材料を選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機電界発光素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
[照明装置−2]
また、照明装置は、例えば有機電界発光素子を複数用いることにより、発光面を大面積化することもできる。この場合、基材上に有機電界発光素子を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであってもよく、この支持基板と、発光パネルの基材との間に有機電界発光素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と基材との間には接着剤を充填し、これによって有機電界発光素子を封止してもよい。尚、発光パネルの周囲には、透明導電体及び対向電極の端子を露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けてもよい。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[透明導電体の作製]
試料101〜114の各透明導電体を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。下記表1に、試料101〜114の各透明導電体の構成を示す。
[試料101,102の透明導電体の作製]
以下のようにして、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上に、下記表1に示すそれぞれの厚さで銀からなる導電層を形成した。
まず、PET製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる導電層をそれぞれの厚さで形成した。試料101では厚さ8nmで形成し、試料102では厚さ12nmで形成した。
[試料103の透明導電体の作製]
以下のようにして、PET製の基材上に、酸化インジウムスズ(ITO)からなるアドミッタンス調整層を40nmの厚さで形成し、この上部に銀からなる導電層を8nmの厚さで形成した。
まず、透明なPET製の基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダーに固定し、酸化インジウムスズ(ITO)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、市販の真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、酸化インジウムスズ(ITO)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で基材上に厚さ40nmのITOからなるアドミッタンス調整層を設けた。
次に、アドミッタンス調整層まで形成した基材を真空のまま真空蒸着装置の真空槽に移し、当該真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる導電層を形成し、アドミッタンス調整層とこの上部の導電層との積層構造からなる試料103の透明導電体を得た。
[試料104の透明導電体の作製]
アドミッタンス調整層を酸化チタン(TiO)で構成した以外は、上記試料103と同様の手順で試料104の透明導電体を得た。
[試料105の透明導電体の作製]
以下のようにして、PET製の基材上に、酸化インジウムスズ(ITO)からなるアドミッタンス調整層を40nmの厚さで形成した。さらに、この上部に導電層として、パラジウム(Pd)からなる白金族元素含有層(Pd層)を0.1nmの厚さで形成し、この上部に銀からなる金属材料層を6nmの厚さで形成した。
まず、PET製の基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダーに固定し、酸化インジウムスズ(ITO)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。次に、パラジウム(Pd)のターゲットをスパッタリング装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、ITOの入った加熱ボートに電子ビームを照射し加熱して、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で基板上に厚さ40nmのITOからなるアドミッタンス調整層を設けた。
続いて、アドミッタンス調整層まで形成した基板を真空のままスパッタリング装置の真空槽に移し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、Pdのターゲットに電圧を印加し、アドミッタンス調整層上にPdからなる白金族元素含有層を0.1nmの厚さで設けた。
次に、白金族元素含有層まで形成した基材を真空のまま真空蒸着装置の真空槽に移し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ6nmの銀からなる金属材料層を形成した。これにより、アドミッタンス調整層、及び、白金族元素含有層と金属材料層とからなる導電層がこの順に積層された試料105の透明導電体を得た。
[試料106の透明導電体の作製]
アドミッタンス調整層を酸化チタン(TiO)で構成した以外は、上記試料105と同様の手順で試料106の透明導電体を得た。
[試料107の透明導電体の作製]
アドミッタンス調整層を酸化ニオブ(Nb)で構成した以外は、上記試料105と同様の手順で試料107の透明導電体を得た。
[試料108の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを8nmで構成した以外は、上記試料105と同様の手順で試料108の透明導電体を得た。
[試料109の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを8nmで構成した以外は、上記試料106と同様の手順で試料109の透明導電体を得た。
[試料110の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを8nmで構成した以外は、上記試料107と同様の手順で試料110の透明導電体を得た。
[試料111の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを10nmで構成した以外は、上記試料107と同様の手順で試料111の透明導電体を得た。
[試料112の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを12nmで構成した以外は、上記試料107と同様の手順で試料112の透明導電体を得た。
[試料113の透明導電体の作製]
以下のようにして、PET製の基材上に、フッ化マグネシウム(MgF)からなる第2アドミッタンス調整層を180nmの厚さで形成し、この上部に酸化チタン(TiO)からなる第1アドミッタンス調整層を40nmの厚さで形成した。さらに、この上部に導電層として、パラジウム(Pd)からなる白金族元素含有層(Pd層)を0.1nmの厚さで形成し、この上部に銀からなる金属材料層を8nmの厚さで形成した。
まず、PET製の基材を市販の電子ビーム蒸着装置の基材ホルダーに固定し、フッ化マグネシウム(MgF)を加熱ボートに入れ、これらの基板ホルダーと加熱ボートとを電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。さらに、酸化チタン(TiO)を加熱ボートに入れ、当該電子ビーム蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、パラジウム(Pd)のターゲットをスパッタリング装置の真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。
次に、電子ビーム蒸着装置の真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、フッ化マグネシウム(MgF)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で基材上に厚さ180nmのフッ化マグネシウムからなる第2アドミッタンス調整層を設けた。
さらに、酸化チタン(TiO)の入った加熱ボートに電子ビームを照射して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で第2アドミッタンス調整層上に厚さ40nmの酸化チタンからなる第1アドミッタンス調整層を設けた。
続いて、第1アドミッタンス調整層まで形成した基材を真空のままスパッタリング装置の真空槽に移し、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、Pdのターゲットに電圧を印加し、第1アドミッタンス調整層上にPdからなる白金族元素含有層を0.1nmの厚さで設けた。
次に、白金族元素含有層まで形成した基材を真空のまま真空蒸着装置の真空槽に移し、当該真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ8nmの銀からなる金属材料層を形成した。これにより、第2アドミッタンス調整層、第1アドミッタンス調整層、及び、白金族元素含有層と金属材料層とからなる導電層がこの順に積層された試料113の透明導電体を得た。
[試料114の透明導電体の作製]
フッ化マグネシウム(MgF)からなる第2アドミッタンス調整層の厚さを90nmで構成し、酸化ニオブ(Nb)からなる第1アドミッタンス調整層を25nmの厚さで形成した以外は、上記試料113と同様の手順で試料114の透明導電体を得た。
[試料115の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを15nmで構成した以外は、上記試料107と同様の手順で試料115の透明導電体を得た。
[試料116の透明導電体の作製]
銀からなる金属材料層の厚さを16nmで構成した以外は、上記試料107と同様の手順で試料116の透明導電体を得た。
[実施例1の各試料の評価]
上記で作製した試料101〜116の各透明導電体の光学特性として、光学アドミッタンスの決定、吸収率(平均吸収率、最大吸収率、プラズモン吸収率:%)の測定を行った。
また、試料101〜116の各透明導電体について、可視光平均透過率(%)、及び、表面抵抗(Ω/sq.)を測定した。
光学アドミッタンスの決定、吸収率(%)、可視光平均透過率(%)、及び、表面抵抗(Ω/sq.)の測定は、以下のように行った。
[アドミッタンスの決定方法]
透明導電体を構成する各界面のアドミッタンスは、薄膜設計ソフトEssential Macleod Ver.9.4.375で算出した。なお、算出に必要な各層の厚みd、屈折率n、及び吸収係数kは、J.A.Woollam Co.Inc.製のVB−250型VASEエリプソメーターで測定した。
[平均吸収率、最大吸収率の測定方法]
透明導電体の正面に対して、5°傾けた角度から測定光(波長450nm〜800nmの光)を入射させ、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて、光の平均透過率及び平均反射率を測定した。そして、平均吸収率は、100−(平均透過率+平均反射率)の計算式より算出した。なお、測定光は、基材側から入射させた。
また、上記と同様の方法で波長450nm〜800nmの透過率及び反射率を測定した。そして、各波長における吸収率を100−(透過率+反射率)の計算式より算出し、得られた値の最大値を最大吸収率とした。
[プラズモン吸収率の測定方法]
導電層のプラズモン吸収率は、以下のように測定した。
まず、透明ガラス基板上に、パラジウムを真空デバイス社製のマグネトロンスパッタ装置(MSP−1S)を用いて基板上に0.2s(0.1nm)で形成した。パラジウムの平均厚みは、スパッタ装置のメーカー公称値の成膜速度から算出した。その後、パラジウムが付着した基板上にシンクロン製のBMC−800T蒸着機を用いて銀を20nm形成した。このときの抵抗加熱は210A、成膜レートは5Å/sとした。
得られた導電層の反射率及び透過率を測定し、吸収率=100−(透過率+反射率)として算出した。この導電層にはプラズモン吸収が無いと仮定し、実施例で作成した各試料の透明導電体の導電層の吸収率を測定したデータから差し引き、プラズモン吸収率を測定した。
光の透過率及び反射率は、日立株式会社製:分光光度計 U4100にて測定した。
[可視光平均透過率の測定方法]
光透過率の測定は、分光光度計(日立製作所製U−3300)を用い、測定光(波長450nm〜800nmの光)において、試料と同じ基材をベースラインとして光の平均透過率を測定した。
[表面抵抗の測定方法]
表面抵抗の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。
試料101〜116の構成、並びに、光学アドミッタンス、吸収率(%)、可視光平均透過率(%)、及び、表面抵抗(Ω/sq.)の測定結果を下記表1に示す。
Figure 0006337883
[実施例1の評価結果]
アドミッタンス調整層、及び、白金族元素含有層と金属材料層とからなる導電層がこの順に形成されている試料105〜116の透明導電体では、各吸収率が低く、可視光平均透過率、表面抵抗においても良好な結果が得られた。
試料101〜104では、白金族元素含有層としてPd層が形成されていないため、Pd層が形成された試料105〜116に比べ、導電層を構成するAg層の均一性が悪く、透明導電体の光吸収率が大きい。このため、可視光平均透過率、及び、表面抵抗も低下している。
また、試料101〜104の中では、アドミッタンス調整層を備える試料103及び試料104が、アドミッタンス調整層を備えない試料101に比べて、可視光平均透過率が向上している。この結果から、アドミッタンス調整層を備えることにより、透明導電体の光透過率が向上することがわかる。
試料105〜107と、試料108〜110とは、アドミッタンス調整層をそれぞれITO、TiO、Nbで構成し、金属材料層の厚さが異なる試料である。導電層の厚さが同じ試料では、光学アドミッタンスx及びxが大きくなると、透明導電体の光吸収率が低下している。特に、x及びxが1.8未満の試料105及び試料108に対し、x及びxが2.0以上の試料106、試料107、試料109及び試料110は、透明導電体の最大吸収率が低下している。
また、最もx及びxが大きい試料107及び試料110が、光吸収率が最も低い。このため、x及びxを大きくすることにより、透明導電体の光吸収率が低下することがわかる。
一方、可視光平均透過率では、x及びxがITOとNbの間の値であるTiOを用いた試料106及び試料109において、最もよい測定結果が得られた。
この結果から、x及びxが大き過ぎると、透明導電体の光吸収率をさげられるものの、導電層で反射が増加するため、結果的に透明導電体の可視光平均透過率を低下させる要因となると考えられる。
金属材料層の厚さを10nm、12nmとした試料111、試料112では、導電層の厚さが増加することにより、導電層の均質性等が向上するため、試料107や試料110に比べて、プラズモン吸収率が低下している。一方で、導電層の厚さが増加すると導電層自体の吸収が増加するため、透明導電体の可視光平均透過率では、試料110〜112に大きな変化はない。従って、導電層の厚さを8nm以上とすることにより、導電層の膜質が向上し、透明導電体の光透過率を向上させることができる。ただし、導電層の厚さが15nmより増加するとプラズモン吸収率の低下よりも、導電層自体の吸収が増加の方が大きくなるため、導電層の膜厚は15nm以下である必要がある。
アドミッタンス調整層を2層設けた試料113及び試料114は、同じ厚さの導電層を設けた試料109や試料110に比べて、平均吸収率が低下し、可視光平均透過率が向上している。このように、試料113及び試料114のように、アドミッタンス調整層を複数形成することにより、導体層の光学アドミッタンスを容易に調整することができる。そして、導体層の光学アドミッタンスを好ましく調整することにより、透明導電体の光透過率を向上させることができる。
[ボトムエミッション型の有機電界発光素子の作製]
実施例1で作製した透明導電体の試料101〜116を、アノードとして発光機能層の下部に設けたボトムエミッション型の有機電界発光素子(有機EL素子)の試料201〜216を作製した。図7を参照し、作製手順を説明する。尚、下記表2には、試料201〜216の有機電界発光素子に用いた透明導電体の構成を示している。各有機電界発光素子の試料201〜216には、試料番号の下2ケタが一致する実施例1の各試料101〜116の透明導電体を用いた。
[試料201〜216の有機電界発光素子の作製手順]
(透明導電体の形成)
先ず、試料201〜216の作製において、透明な無アルカリガラス製又はポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材31の上部に、各透明導電体32を形成した。各透明導電体32の形成は、実施例1の試料101〜116と同様の手順で行った。
(正孔輸送・注入層の形成)
まず、正孔輸送注入材料として下記構造式に示すα−NPDが入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送・注入層33を、透明導電体32上に形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、厚さ20nmとした。
Figure 0006337883
(発光層の形成)
次に、先に構造式を示したホスト材料H4の入った加熱ボートと、先に構造式を示した燐光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4と燐光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層34を、正孔輸送・注入層33上に形成した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:燐光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また厚さ30nmとした。
(正孔阻止層の形成)
次に、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層35を、発光層34上に形成した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、厚さ10nmとした。
Figure 0006337883
(電子輸送・注入層の形成)
その後、電子輸送材料として先に構造式を示した化合物10の入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、化合物10とフッ化カリウムとよりなる電子注入層と電子輸送層とを兼ねた電子輸送・注入層36を、正孔阻止層35上に形成した。この際、蒸着速度が化合物10:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また厚さ30nmとした。
(対向電極:カソードの形成)
以上の後には、発光機能層が形成された基材31を、真空蒸着装置の第2真空槽内に移送し、第2真空槽内を4×10−4Paまで減圧した後、第2真空槽内に取り付けられたアルミニウムの入った抵抗加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.3nm/秒で厚さ100nmのアルミニウムからなる対向電極37を形成した。この対向電極37は、カソードとして用いられる。以上により基材31上に、ボトムエミッション型の有機電界発光素子を形成した。
(素子の封止)
その後、有機電界発光素子を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材で覆い、有機電界発光素子を囲む状態で、透明封止材と基材31との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。透明封止材と基材31との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板(透明封止材)側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機電界発光素子を封止した。
尚、有機電界発光素子の形成においては、各層の形成に蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基材31における中央の4.5cm×4.5cmを発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。また、アノードである透明導電体32の導電層と、カソードである対向電極37とは、正孔輸送・注入層33から電子輸送・注入層36によって絶縁された状態で、基材31の周縁に端子部分を引き出された形状で形成した。
以上のようにして、基材31上に有機電界発光素子を設け、これを透明封止材と接着剤とで封止した試料201〜216の有機電界発光素子の各発光パネルを得た。これらの各発光パネルにおいては、発光層34で発生した各色の発光光hが、基材31側から取り出される。
[実施例2の各試料の評価]
試料201〜216で作製した有機電界発光素子について、駆動電圧(V)、及び、色度差(Δxy)を測定した。この結果を下記表2に合わせて示す。
[駆動電圧の測定方法]
駆動電圧の測定においては、各試料201〜216の有機電界発光素子の透明導電体32側(すなわち基材31側)での正面輝度が1000cd/mとなるときの電圧を駆動電圧として測定した。なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。得られた駆動電圧の数値が小さいほど、好ましい結果であることを表わす。
[色変化の測定方法]
色変化の測定においては、各試料201〜216の有機電界発光素子に2.5mA/cmの電流を加え、角度の異なる位置からCIE1931表色系における色度を測定した。この際、透明導電体32側の発光面に対する法線方向となる0°の位置と、垂直水平(上下左右)方向にそれぞれ45°の各位置とで色度を測定した。角度の異なる位置において測定した色度の差を、色変化(Δxy)として下記表2に示した。色変化は、色度の視野角特性を表し、数値が小さいほど好ましい結果となる。
試料201〜216の構成、並びに、駆動電圧(V)、及び、色度差(Δxy)の測定結果を下記表2に示す。
Figure 0006337883
[実施例2の評価結果]
アドミッタンス調整層、及び、白金族元素含有層と金属材料層とからなる導電層がこの順に形成された透明導電体を備える試料205〜216の有機EL素子では、駆動電圧、色変化共に良好な結果が得られた。
試料201〜204の有機EL素子では、導電層を12nm形成した試料202を除き、発光しなかった。また、試料202においても、色変化の測定結果が低く、十分な結果が得られなかった。
金属材料層を6nm形成した試料205〜207に比べると、金属材料層を8nm以上形成した試料208〜214では、駆動電圧が低く、色変化も小さい、良好な結果が得られた。
また、色変化の測定結果を見ると、アドミッタンス調整層としてTiOやNbを用いた試料206、試料207、試料209及び試料210では、アドミッタンス調整層としてITOを用いた試料205及び試料208に比べて、良好な結果が得られた。この結果から、アドミッタンス調整層としては、TiOやNbを用いることが好ましいと考えられる。
さらに、アドミッタンス調整層を2層設けた試料213及び試料214は、同じ厚さの導電層を設けた試料209や試料210に比べて、色変化の測定結果で良好な結果が得られた。つまり、試料213及び試料214のように、アドミッタンス調整層を複数形成することにより、導体層の光学アドミッタンスを調整することが可能となり、有機EL素子の光学特性を向上させることが可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,20,32・・・透明導電体、11,31・・・基材、12・・・アドミッタンス調整層、13・・・白金族元素含有層、14・・・金属材料層、15・・・導電層、16・・・発光機能層、16a・・・正孔注入層、16b・・・正孔輸送層、16c,34・・・発光層、16d・・・電子輸送層、16e・・・電子注入層、17,37・・・対向電極、21・・・第1アドミッタンス調整層、22・・・第2アドミッタンス調整層、30・・・有機電界発光素子、33・・・正孔輸送・注入層、35・・・正孔阻止層、36・・・電子輸送・注入層

Claims (9)

  1. 基材と、アドミッタンス調整層と導電層とがこの順に積層された透明導電体と、発光機能層と、対向電極とがこの順に積層された電子デバイスであって、
    前記導電層が、厚さ15nm以下の金属材料層と、前記アドミッタンス調整層側に形成された、前記金属材料層の成長核となるPt及びPdの少なくとも一方を含む白金族元素含有層とからなり、
    前記導電層の前記アドミッタンス調整層側の界面における波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iy、前記導電層の前記アドミッタンス調整層と反対側の界面における波長570nmの光学アドミッタンスをY=x+iy、で表した場合に、x及びxの少なくとも一方が1.6以上であり、
    前記光学アドミッタンスYのyと、前記光学アドミッタンスYのyとが、y×y<0の関係を満たす
    電子デバイス。
  2. 前記アドミッタンス調整層が、誘電体材料、又は、酸化物半導体材料を含有する請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記導電層のプラズモン吸収率が、波長400nm〜800nmの全範囲で15%以下である請求項1に記載の電子デバイス。
  4. 及びxが共に1.6以上である請求項1に記載の電子デバイス。
  5. 前記金属材料層が銀又は銀を主成分とする合金を含む請求項1に記載の電子デバイス。
  6. 前記アドミッタンス調整層が、TiO、又は、Nbを含む請求項1に記載の電子デバイス。
  7. 前記アドミッタンス調整層の屈折率が1.8以上2.5以下である請求項1に記載の電子デバイス。
  8. 前記アドミッタンス調整層が、第1アドミッタンス調整層と、第2アドミッタンス調整層とからなり、前記第1アドミッタンス調整層側に前記導電層が設けられている請求項1に記載の電子デバイス。
  9. 前記第1アドミッタンス調整層の屈折率が、前記第2アドミッタンス調整層の屈折率よりも0.2以上大きい請求項8に記載の電子デバイス。
JP2015506809A 2013-03-19 2014-03-18 電子デバイス Active JP6337883B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013057266 2013-03-19
JP2013057266 2013-03-19
PCT/JP2014/057403 WO2014148512A1 (ja) 2013-03-19 2014-03-18 透明導電体、及び、電子デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014148512A1 JPWO2014148512A1 (ja) 2017-02-16
JP6337883B2 true JP6337883B2 (ja) 2018-06-06

Family

ID=51580189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015506809A Active JP6337883B2 (ja) 2013-03-19 2014-03-18 電子デバイス

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9899624B2 (ja)
JP (1) JP6337883B2 (ja)
KR (1) KR101862915B1 (ja)
WO (1) WO2014148512A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT2984517T (pt) * 2013-04-10 2018-10-12 Saint Gobain Película em multicamadas com propriedades óticas eletricamente comutáveis
US9818976B2 (en) * 2014-05-13 2017-11-14 Apple Inc. Encapsulation layers with improved reliability
JP6487173B2 (ja) * 2014-10-08 2019-03-20 株式会社ジャパンディスプレイ 表示装置及びその製造方法
JP6056895B2 (ja) 2015-03-23 2017-01-11 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置
WO2017149772A1 (ja) * 2016-03-04 2017-09-08 パイオニア株式会社 発光装置および発光システム
US20190353321A1 (en) * 2018-05-15 2019-11-21 GM Global Technology Operations LLC Light guide with molded in graphic

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07105740A (ja) * 1993-10-08 1995-04-21 Mitsui Toatsu Chem Inc 透明導電性フィルム
JPH0973001A (ja) * 1995-07-06 1997-03-18 Sony Corp 反射防止膜
JP3034218B2 (ja) * 1997-03-25 2000-04-17 三井化学株式会社 透明積層体及びそれを用いた調光体及びディスプレイ用フィルター
JP3273744B2 (ja) 1997-03-26 2002-04-15 松下電工株式会社 スイッチング素子駆動回路
JPH11174993A (ja) * 1997-12-10 1999-07-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 透明導電膜付き基板およびそれを用いた平面型表示素子
JP2001179868A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nitto Denko Corp 透明積層体の製造方法
JP2002015623A (ja) 2000-04-27 2002-01-18 Mitsui Chemicals Inc 透明電極
JP2002170429A (ja) * 2000-11-29 2002-06-14 C Uyemura & Co Ltd 高密度触媒核分散層を有する基体並びに改質酸化亜鉛皮膜を有する導電性物品及びその作製方法
JP2003121603A (ja) * 2001-10-12 2003-04-23 Bridgestone Corp 反射防止フィルム
JP2004342375A (ja) * 2003-05-13 2004-12-02 Mitsui Chemicals Inc 発光体
US8568637B2 (en) * 2004-08-02 2013-10-29 Ramot At Tel-Aviv University Ltd. Method of forming a fiber made of peptide nanostructures
JP2006164961A (ja) 2004-11-09 2006-06-22 Ulvac Seimaku Kk 積層型透明電極層の製造方法及びこの方法に使用する積層型透明電極形成用の積層体
JP4802568B2 (ja) * 2004-11-30 2011-10-26 凸版印刷株式会社 反射防止積層体、光学機能性フィルタ、光学表示装置および光学物品
JP2009151963A (ja) 2007-12-19 2009-07-09 Institute Of Physical & Chemical Research 透明電極およびその製造方法
WO2014030324A1 (ja) * 2012-08-23 2014-02-27 コニカミノルタ株式会社 透明金属膜、及びその製造方法
WO2014064939A1 (ja) * 2012-10-24 2014-05-01 コニカミノルタ株式会社 透明導電体

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2014148512A1 (ja) 2017-02-16
US9899624B2 (en) 2018-02-20
US20160293880A1 (en) 2016-10-06
KR20150127106A (ko) 2015-11-16
KR101862915B1 (ko) 2018-05-30
WO2014148512A1 (ja) 2014-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4830374B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置及び照明装置
JP6337883B2 (ja) 電子デバイス
JP2007180277A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5664715B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2011132550A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5862665B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
WO2010084815A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP4962452B2 (ja) 面発光素子及び発光パネル
JP4978034B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6119606B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンスパネル及び有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法
JP6330803B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2010080271A (ja) 面発光パネル
WO2018116923A1 (ja) 透明電極及び電子デバイス
WO2013176069A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
WO2018083974A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、発光装置
WO2010084816A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2007221028A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2014109265A1 (ja) 透明電極、及び、電子デバイス
WO2014181695A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6252590B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP5895699B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2012234972A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2012169199A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2014189094A1 (ja) 透明電極の製造装置、及び、電子デバイスの製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171003

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6337883

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150