WO2017134779A1 - 窒化アルミニウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜の形成方法、及び、電極材料 - Google Patents

窒化アルミニウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜の形成方法、及び、電極材料 Download PDF

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Abstract

本発明は、導電性、耐腐食性などの化学的安定性、及び、熱伝導特性に優れた窒化アルミニウム薄膜を提供することを目的とする。本発明の窒化アルミニウム薄膜は、少なくとも、窒素及び酸素を含有する窒化アルミニウム薄膜であって、非結晶状態であり、かつ、導電性を有することを特徴とする。

Description

窒化アルミニウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜の形成方法、及び、電極材料
 本発明は、導電性を有する窒化アルミニウム薄膜、窒化アルミニウム薄膜の形成方法、及び、電極材料に関する。
 現在、電池用電極やエレクトロルミネッセンス素子等に、金属材料が使用されている。また、金属材料をより化学的に安定材料として活用するために、例えば、金属材料表面の温度を、420~590℃と高温の状態に保ちながら、窒素(窒素イオン)を含むプラズマにより処理を行い、窒化物層を形成し、耐蝕性や絶縁性に優れた材料を提供する方法が開示されている(特許文献1)。
 特に、電極等に使用される金属材料として、軽量化や加工性、経済性にも優れる点から、アルミニウム材料が使用されている。しかし、一般に、アルミニウム材料は、耐薬品性などが不足する問題を有しているため、このアルミニウム材料の表面に、化学的に非常に安定な窒化アルミニウム(AlN)膜を形成することにより、耐薬品性だけでなく、絶縁性、熱伝導性などを付与することができる。
特開2006-257466号公報
 しかし、アルミニウム材料のように融点の低い金属材料では、特許文献1のように、高温状態でのプラズマ処理を適切に行うことができず、問題を有している。
 また、窒化アルミニウム膜は、通常、絶縁性を有するため、導電性を必要とする電極等に使用する際に不向きとなる。
 そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、下記窒化アルミニウム薄膜を見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明の窒化アルミニウム薄膜は、少なくとも、窒素及び酸素を含有する窒化アルミニウム薄膜であって、非結晶状態であり、かつ、導電性を有することを特徴とする。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜は、膜厚方向の抵抗が、10Ω以下であることが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記窒化アルミニウム薄膜をアルミニウム基材上に形成する方法であって、窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスの混合ガスを、プラズマに調製する工程と、前記アルミニウム基材上に、660℃以下の雰囲気下で、前記プラズマを照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成する工程を含むことが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記混合ガス中の窒素と酸素の混合体積割合(酸素/窒素)が、0を超える値であることが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記プラズマを照射する際のプラズマ出力が、3kW/cm以下であることが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記プラズマを照射する際の圧力が、1MPa以下であることが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、大気圧プラズマ装置(たとえば、グロー放電プラズマ装置、コロナ放電プラズマ装置、バリア放電プラズマ装置、及び、マイクロ波プラズマ装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置からなる群より選択される少なくとも1種の大気圧プラズマ装置)により、プラズマを調製することが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記アルミニウム基材(板状、箔状、及び、粒子状)上の窒化アルミニウム薄膜の厚さが、5000nm以下であることが好ましい。
 本発明の電極材料は、前記窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を有することが好ましい。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜は、導電性、耐腐食性などの化学的安定性、及び、熱伝導特性に優れているため、蓄電デバイスならびに電池デバイスの電極材料、半導体発光デバイスならびにパワー電源デバイスの電極材料および構成層、MOSFETデバイスの電極材料ならびに構成層、医療用基材、及び、腐食防食膜などの分野において、有用なものとなる。
プラズマ処理装置の概略図 プラズマ出力と窒化アルミニウム薄膜の膜厚の関係を示したグラフ Working Distanceと窒化アルミニウム薄膜の膜厚との関係を示したグラフ 耐腐食性評価後の窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材、及び、表面処理なしのアルミニウム基材の膜厚方向の抵抗との関係を示したグラフ プラズマ出力と窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗との関係を示したグラフ 窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材試料の抵抗測定装置の概略図 プラズマ照射時間と窒化アルミニウム薄膜の膜厚との関係を示したグラフ プラズマ照射時間と窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗との関係を示したグラフ プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の薄膜X線回折図形(X線入射角が0.5°及び2.0°の場合) 大気圧プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の薄膜X線回折図形 プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材のX線蛍光スペクトル 大気圧プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材のX線蛍光スペクトル 大気圧プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向(両端間)の抵抗とアルミニウム基材温度の関係 大気圧プラズマ処理した窒化アルミニウム薄膜の膜厚とアルミニウム基材温度の関係
 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<窒化アルミニウム薄膜の形成方法>
 本発明の窒化アルミニウム薄膜の形成方法は、前記窒化アルミニウム薄膜をアルミニウム基材上に形成する方法であって、窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスの混合ガスを、プラズマに調製する工程と、前記アルミニウム基材上に、660℃以下の雰囲気下で、前記プラズマを照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成する工程を含むことが好ましい。本発明においては、プラズマ照射を660℃以下の雰囲気下で実施することが可能であるため、設備費用の軽減や、作業工程の削減、作業性の向上、及び、環境に優しい等などの点から、有用である。また、660℃以下の雰囲気下でのプラズマ処理を行うことにより、高温雰囲気下でプラズマ処理を行う場合のように、結晶状態の窒化アルミニウム薄膜ではなく、非結晶状態の窒化アルミニウム薄膜が得られることが推測される。また、詳細な理由は明らかではないが、窒化アルミニウム薄膜中に少なくとも酸素を含むことにより、これが不純物となり、窒化アルミニウム薄膜自体に、導電性が付与されるものと推測される。
 より具体的な窒化アルミニウム薄膜の形成方法としては、以下の(i)~(iv)の工程を含むことが好ましい。これらの工程により得られる窒化アルミニウム薄膜(不動態層)は、非結晶状態であり、かつ、導電性を有するものが得られる。
 (i)アルミニウム基材を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去する工程。
 (ii)窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスの混合ガスを調製する工程。
 (iii)前記混合ガスを、プラズマに調製する工程。
 (iv)前記アルミニウム基材上に、660℃以下の雰囲気下で、前記プラズマを照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成する工程。
 以下に、各工程(i)~(iv)について、詳細に説明する。
 (i)アルミニウム基材をアルカリ水溶液に浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去する工程
 アルミニウム基材は、通常、表面に酸化被膜(不動態)を形成することが知られているが、この酸化被膜が存在するとアルミニウム基材表面に、窒化アルミニウム薄膜を形成することが難しくなる。そこで、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ水溶液に、アルミニウム基材を浸漬することにより、前記酸化被膜を除去することができる。前記アルカリ水溶液として、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液を使用する場合、濃度としては、好ましくは、0.2~10質量%、より好ましくは、0.5~5質量%に調整し、浸漬時間としては、好ましくは、1分以上、より好ましくは、2~20分である。
 (ii)窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスの混合ガスを調製する工程
 本発明において使用される混合ガスは、窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスをプラズマに調製できるものであれば、特に制限なく使用できるが、前記混合ガス中の窒素と酸素の混合体積割合(酸素/窒素)が、0を超える値であることが好ましく、より好ましくは、0.01~0.5であり、更に好ましくは、0.02~0.3である。前記混合割合であると、660℃以下の雰囲気下におけるプラズマ照射により、非結晶状態の窒化アルミニウム薄膜を得ることができ、かつ、導電性も付与できるため、好ましい態様となる。
 また、窒化アルミニウム(AlN)薄膜中の、窒素(元素)のアルミニウム(元素)に対する割合を1以下(好ましくは1未満)とすることで、窒化アルミニウムの化学量論組成が、窒素(元素):アルミニウム(元素)が、1:1から外れることにより、窒化アルミニウム薄膜自体の膜厚方向の抵抗が低くなり、これにより、窒化アルミニウム薄膜の膜厚方向の抵抗が10Ω以下の低抵抗の導電性を有する窒化アルミニウム薄膜を形成することができる。このようにして、アルミニウム基材の表面に窒化アルミニウム薄膜を形成することによって、アルミニウム基材表面の酸化による酸化被膜の生成を抑制し、不動態層として窒化アルミニウム薄膜の表面で、電解重合により形成される導電性高分子層との接触抵抗を著しく低減し、導電性に優れた電極材料を得ることができ、好ましい態様となる。なお、前記割合を1以下とするためには、前記混合ガス中の窒素と酸素の混合体積割合(酸素/窒素)を変えるなどの方法により、実施することができる。
 前記プラズマに含まれる窒素及び酸素以外であっても、本発明の窒化アルミニウム薄膜の特性を悪化させない範囲であれば、その他の元素を含んでもよい。但し、ホウ素などのように、毒性の強い元素については、環境上の観点より、使用しないことが好ましい。例えば、炭素を含む二酸化炭素などの無機系、及び、有機系低分子等を含んでもよい。これらは、窒化アルミニウム薄膜において不純物として作用し、導電性を付与するのに役立つため、有効である。
 (iii)前記混合ガスを、プラズマに調製する工程
 前記混合ガスを、プラズマに調製する工程において用いられるプラズマ処理装置(一般的なプラズマ処理装置を使用可能)を図1に示す。プラズマ処理装置の構成は、プロセスチャンバー、真空引きライン、ガス導入ライン、プラズマ放電電極、及び、プラズマ放電用直流電源からなる。
 なお、前記プロセスチャンバー内の圧力としては、特に制限されないが、たとえば、1MPa以下が好ましく、より好ましくは、1Pa~0.2MPaであり、更に好ましくは、1~30Paであり、特に好ましくは、2~20Paである。
 プラズマ照射工程は、真空ポンプを用いて、図1中のプロセスチャンバー内を真空状態した後、窒素ガス、及び、少なくとも酸素ガスを含むドーパントガスをプロセスチャンバー内に導入し、全体真空度範囲を前記範囲(例えば、2~20Pa)に設定した後、直流電源を用いて、プラズマ放電電極に印加電圧(0.3~5.0kVが好ましく、より好ましくは、0.5~3.0kV)、及び、印加電流(3~100mAが好ましく、より好ましくは、5~30mA)を印加することで、導入ガスのプラズマを生成する。
 (iv)前記アルミニウム基材上に、660℃以下の雰囲気下で、前記プラズマを照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成する工程
 通常の窒化アルミニウム薄膜の調製方法としては、たとえば、スパッタリング法、CVD法では、耐腐食性を有する窒化アルミニウム薄膜を形成することができる。ただし、これらの方法では、耐腐食性とともに、導電性を有する窒化アルミニウム薄膜を形成することは困難である。また、従来、プラズマ処理する際のアルミニウム基材表面の温度を高温に保持しなければならない。
 しかし、本発明においては、上記調製方法のいずれかを使用し、かつ、プラズマ処理する際のアルミニウム基材表面の温度を、好ましくは、660℃以下、より好ましくは、300℃以下、更に好ましくは、100℃以下、特に好ましくは、10~80℃、最も好ましくは、15~50℃の雰囲気下に設定することにより、非結晶状態で、かつ、導電性を有する窒化アルミニウム薄膜を得ることができ、好まし態様となる。
 なお、前記窒化アルミニウム薄膜は、少なくとも窒素や酸素を含む放電プラズマ(単に「プラズマ」という。)中で、アルミニウム基材に正の電圧を印加して、アルミニウム基材の表面にプラズマを照射(注入)することによって形成することができる。アルミニウム基材への正の電圧としては、好ましくは、0.3~5.0kVであり、より好ましくは、0.4~3.0kVであり、更に好ましくは、0.5~2.5kVである。
 前記プラズマを照射する際のプラズマ出力としては、好ましくは、3kW/cm以下であり、より好ましくは、0.5W/cm~2kW/cmであり、更に好ましくは、1W/cm~1.5kW/cmである。前記プラズマ出力に調整することにより、非結晶状態で、かつ、導電性を有する窒化アルミニウム薄膜を得ることができ、好まし態様となる。
 また、前記プラズマを照射する際のプラズマ照射時間としては、好ましくは、0秒を超え、10時間以下であり、より好ましくは、1秒~8時間であり、更に好ましくは30秒~6時間であり、特に好ましくは、1分~5時間であり、最も好ましくは、10分~1時間である。
 また、前記プラズマ照射工程において、低圧(真空など)ではなく、大気圧近傍で、大気圧プラズマ装置(たとえば、グロー放電プラズマ装置、コロナ放電プラズマ装置、バリア放電プラズマ装置、及び、マイクロ波プラズマ装置、電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置からなる群より選択される少なくとも1種の大気圧プラズマ装置)を用いて、プラズマを生成・照射することも可能である。大気圧近傍(好ましくは、大気圧)で、大気圧プラズマ装置を用いることで、低圧でのプラズマ照射工程を行う場合と比較して、製造ラインや運転コストなどの経済性においても、特に、有用である。
 例えば、マイクロ波プラズマ装置を用いるマイクロ波プラズマ照射工程においては、前記プロセスチャンバー内の圧力として、特に制限はされないが、経済性の観点から、マイクロ波プラズマを用いて、大気圧近傍で実施することが、より好ましい態様となる。
 具体的なマイクロ波プラズマ照射工程の条件としては、たとえば、窒素ガス、及び、少なくとも酸素ガスを含むドーパントガスを、大気圧近傍で、プロセスチャンバーに導入し、マイクロ波発生装置(周波数は1GHz~10GHzが好ましく、より好ましくは、2GHz~3GHz、更に好ましくは、2.3GHz~2.6GHz)を用いて、導入ガスを振動させ、プラズマを生成させ、照射することができる。この工程を用いることにより、低圧の場合と比較して、大気圧近傍であっても、プラズマ照射を実施することができ、製造ラインや運転コストなどの経済性においても、有用である。
 また、前記マイクロ波プラズマ照射工程におけるプラズマ出力としては、0.5W/cm~2kW/cmで実施することができ、プラズマ処理する際のアルミニウム基材表面の温度としては、660℃以下(好ましくは、100℃以下、より好ましくは、20℃~50℃)の低温雰囲気下で、かつ、大気圧近傍であっても、プラズマ照射が可能となり、一般的なプラズマ照射工程(高温雰囲気下、低圧条件)と比較して、製造ラインや運転コスト等の経済性においても、有用である。
 プラズマ照射時間としては、好ましくは、1秒~10時間であり、より好ましくは、1分~5時間であり、更に好ましくは、30秒~3時間であり、特に好ましくは、1分~2時間である。
<アルミニウム基材>
 前記アルミニウム基材は、特に限定されるものではないが、一般的に集電体用途で使用されるアルミニウム箔などを用いることができる。なお、アルミニウム基材の純度が低いほど、リチウムイオン二次電池や、電気二重層キャパシタの集電体として用いた場合、充放電時にアルミニウム基材の腐食量が多くなり、また、表面抵抗が増加し、電極寿命の低下や、電池特性の低下が生じる恐れがある。そのため、アルミニウム基材の純度としては、たとえば、99.0質量%以上が好ましく、より好ましくは99.5質量%以上であり、更に好ましくは99.9質量%以上である。また、アルミニウム基材とは、特に形状は制限されないが、たとえば、板状、箔状、及び、粒子状等の形状を含むものを意味する。
 前記アルミニウム基材の厚さは、特に限定されるものではないが、5~100μmであることが好ましく、より好ましくは、10~50μmである。前記アルミニウム基材の厚さであれば、製造工程中において、アルミニウム基材の破断などが生じる恐れがなく、質量や製造コストの点などからも、好ましい。
<窒化アルミニウム薄膜>
 本発明の窒化アルミニウム薄膜は、少なくとも、窒素及び酸素を含有する窒化アルミニウム薄膜であって、非結晶状態であり、かつ、導電性を有することを特徴とする。本発明の窒化アルミニウム薄膜は、強酸や強アルカリ、食塩水などに侵されない優れた耐腐食性(化学的安定性)を有する不動態層である。また、前記窒化アルミニウム薄膜は、非結晶状態であるため、詳細な理由は明らかではないが、導電性を有し、更に、アルミニウム基材の表面に、不動態層として窒化アルミニウム薄膜を形成することによって、前記窒化アルミニウム薄膜の表面において、電解重合により形成される導電性高分子層との接触抵抗を著しく低減し、導電性に優れた電極材料を得ることができ、好ましい態様となる。
 前記窒化アルミニウム(AlN)薄膜の厚みは、5000nm以下であることが好ましく、より好ましくは、30~1500nmであり、更に好ましくは、30~1000nmであり、特に好ましくは、50~600nmである。
 前記窒化アルミニウム(AlN)薄膜の厚みは、窒素、酸素を含むドーパントガスなどのガス体積割合や、プラズマ出力、プラズマ照射時間、アルミニウム基材とプラズマの照射口までの距離(この距離をWorking Distanceとする)などによっても、制御することが可能である。
 前記窒化アルミニウム(AlN)薄膜の膜厚方向の抵抗としては、好ましくは、10Ω以下、より好ましくは、0.1~10Ω、更に好ましくは、0.2~3Ωである。前記範囲内であれば、いわゆる導電性を示し、通常の窒化アルミニウム膜のように絶縁性を示すものではないため、電極等に使用でき、好ましい態様となる。
<電極材料>
 本発明の電極材料は、前記窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を有することが好ましい。前記導電性を有する窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を有することにより、窒化アルミニウム薄膜と導電性高分子層が一体化した電極材料を得ることができ、蓄電デバイスなどの電池デバイス等の集電体に使用でき、有用である。
<導電性高分子>
 前記窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を構成する単量体(導電性高分子単量体)としては、電解重合法に用いられる電解液に含まれるものであり、電解重合法による酸化により、高分子化して導電性を示す化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、前記単量体としては、ピロール、チオフェン、アニリン、フェニレン等の環式化合物、及びそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体が挙げられる。その中でもピロール、チオフェン、アニリン等の複素五員環式化合物及びその誘導体が好ましく、特に、ピロールやアニリン、それらの誘導体を含む導電性高分子の場合、製造が容易であり、導電性高分子として化学的に安定であるため好ましい。上記モノマーは2種以上併用することができる。
<電解質アニオン(ドーパント)>
 前記電解重合法の際に、前記単量体と共に電解液に配合される電解質アニオン(ドーパント)としては、電解重合に用いられる溶媒中で溶解する化合物であれば特に限定されるものではない。前記電解質アニオンを構成するものとしては、例えば、ハロゲン、ハロゲン酸、硝酸、硫酸、ヒ酸、アンチモン酸、ホウ酸、リン酸、カルボン酸、スルホン酸、スルホイミド、スルホメチド等の誘導体や色素化合物が挙げられる。また、前記電解質アニオンを構成するものとしては、具体的には、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、ベンジルエチル-[4'-(4''-(ベンジルエチルアミノ)-ジフェニルメチレン)-2',5-シクロヘキサジエニリデン]アンモニウム-2'''、3、3'''-トリスルホン酸、3-ヒドロキシ-4-[2-スルホ-4-(4-スルホフェニルアゾ)フェニルアゾ]-2,7-ナフタレンジスルホン酸を例示することができる。これらと共に、対イオンを伴う塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、ヨードニウム塩等の誘導体が挙げられる。更に詳しくは、前記塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、1,3-ジメチルイミダゾリウム塩、4-イソプロピル4’-メチルジフェニルヨードニウム塩を例示することができる。前記電解質アニオンを構成するものの中でも、フッ素原子を含有するもの(支持電解質)を使用することが好ましく、アルキル化されたスルホニル基を有する化合物及びその誘導体がより好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(もしくはビス(トリフルオメタンスルホニル)イミドイオン)や、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含む支持電解質を用いることが更に好ましい。また、上記支持電解質は2種以上併用することができる。なお、前記支持電解質が電離することにより、前記電解質アニオンを生成することができ、前記電解質アニオンが、本発明で使用される導電性高分子層中に、ドーパントとして、作用することになる。また、前記電解質に加えて、イオン性液体等も配合することができる。
 前記トリフルオロメタンスルホン酸イオンは、化学式CFSO で表される化合物である。また、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、ホウ素、リン、アンチモン及びヒ素等の中心原子に複数のフッ素原子が結合をした構造を有している。中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンとしては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF )、及びヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )を例示することができる。前記中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、1種類のアニオンを用いても良く、複数種のアニオンを同時に用いても良く、さらには、トリフルオロメタンスルホン酸イオンと複数種の中心原子に対しフッ素原子を複数含むアニオンとを同時に用いても良い。
 前記電解質アニオンは、電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、電解液中に0.1~35質量%含まれるのが好ましく、1~20質量%含まれるのがより好ましい。前記範囲内において、前記支持電解質を用いて電解重合を行うことにより、蓄電デバイスにおいて、容量密度に優れた導電性高分子層を得ることができる。
<その他の添加剤>
 前記電解重合法に用いられる電解液には、前記単量体や電解質アニオン(ドーパント)(もしくは支持電解質)のほかに、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミド、フェノール性水酸基含有化合物、イオン性液体などのその他の添加剤を配合することができる。
<電解液の溶媒>
 前記電解重合時の電解液に含まれる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記電解重合により得られる導電性高分子を蓄電デバイスに使用する場合、その容量密度を30Ah/kg以上に容易に調整するため、前記電解質アニオン(ドーパント)(もしくは支持電解質)以外に、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合あるいは官能基を含む有機化合物及び/またはハロゲン化炭化水素を電解液の溶媒として含むことが好ましく、更に好ましくは、エステル結合をもつ溶媒を1種類以上含むことが、有効である。これらの溶媒を2種以上併用することもできる。また、水単独での溶媒とすることも可能であり、水とその他溶媒を混合しても使用することができる。
 前記有機化合物としては、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸nブチル、酢酸-t-ブチル、1,2-ジアセトキシエタン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジル-2-エチルへキシル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、1-ブタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、及びアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを例示することができる。なお、前記有機化合物は、前記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち、2つ以上の結合あるいは官能基を任意の組み合わせで含む有機化合物であってもよい。それらは、例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-フェノキシエタノールなどである。
 また、前記ハロゲン化炭化水素としては、炭化水素中の水素が少なくとも1つ以上ハロゲン原子に置換されたもので、電解重合条件で液体として安定に存在することができるものであれば、特に限定されるものではない。前記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンを挙げることができる。前記ハロゲン化炭化水素は、1種類のみを前記電解液中の溶媒として用いることもできるが、2種以上併用することもできる。また、前記ハロゲン化炭化水素は、上記有機化合物と混合して用いてもよく、有機溶媒との混合溶媒を前記電解液中の溶媒として用いることもできる。
<作用電極(集電体)>
 前記導電性高分子層を得るためには、重合作用電極として、前記アルミニウム基材表面に、窒化アルミニウム薄膜を有するものを用いることができる。通常使用される窒化アルミニウム膜は絶縁性であるため、窒化アルミニウム膜を有する電極上で、電解重合により、導電性高分子層を形成した電極材料を、一次電池用電極、二次電池用電極、キャパシタ用電極、太陽電池用電極、及び、エレクトロルミネッセンス素子等に使用したい場合に、窒化アルミニウム膜が絶縁性を有すると、電解重合自体が十分に実施できない恐れがある。しかし、本発明における前記窒化アルミニウム薄膜を有する前記アルミニウム基材は、導電性を有するため、重合用作用電極として、使用が可能であり、有用である。前記重合作用電極の形状としては特に制限されなく、容易に導電性高分子層を形成できる。特に、蓄電デバイスや、その他、無機系および有機系太陽電池デバイス、トランジスターなどの電子デバイスとして使用する場合には、前記アルミニウム基材(AlやAl合金等)のように、比重の小さいものは、重合用作用電極としてだけではなく、直接、導電性高分子層を有する電極材料(集電体、集電極)に適用することができる。
<電解重合条件>
 前記導電性高分子層は、導電性高分子単量体を公知の電解重合法を用いることにより得ることができ、定電位法、定電流法及び電気掃引法のいずれをも用いることができる。例えば、前記電解重合法の条件としては、電流密度0.01~20mA/cm2、重合時間0.4~100時間、反応温度-70~80℃で行うことができ、良好な膜質の導電性高分子を得るために、電流密度0.1~5mA/cm、重合時間1~20時間、反応温度-40~40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が-30~30℃の条件であることがより好ましい。
<蓄電デバイス>
 本発明の前記窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を有する電極材料は、蓄電デバイスに使用することができる。前記蓄電デバイスには、電極を構成する集電体などや、前記電極を正極または負極の電極自体のいずれか一方に用いることができ、前記電極を正極に用いることが好ましく、前記電極を負極及び正極に用いることがより好ましい。前記電極を正極に用いた場合には、前記蓄電デバイスは、リチウムイオン電池、リチウム電池、レドックスキャパシタ、電気二重層キャパシタ等となるため、高い容量密度を得ることができる。
 前記蓄電デバイスは、電解質を含むことになるが、前記電解質は、公知の電解質を使用することができ、前記電解重合時に使用する電解質アニオン(ドーパント)として機能し得るアニオンを含むものであれば、特に限定されるものではなく、前記電解重合時に使用する電解液を用いることができる。前記電解液に含まれる溶媒は、特に限定されるものではなく、水、もしくは極性有機溶媒を用いることができる。前記極性有機溶媒は、化学的に安定であり、電気化学反応の反応場として用いることができるものであれば、特に限定されるものではなく、前記電解重合時に使用する電解液の溶媒などを例示することができる。前記極性有機溶媒としては、電解液のイオン伝導度が大きいために、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトンが好ましい。なお、前記集電体に使用する金属種等に合わせて、使用する溶媒を選択する。
 以下に、本発明の実施例等を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
 (1)アルミニウム基材(JIS合金識別名:A1N30H、アルミニウム含量:99.3質量%、厚さ:30μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、プロセスチャンバーに導入し、プラズマ出力を制御して、プラズマを生成した。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力3W/cmで、30分間照射し、前記アルミニウム基材上に、厚み140nmの窒化アルミニウム薄膜を形成し、重合作用電極とした。
 (4)続いて、重合溶媒として、水を用いて、モノマーであるアニリン(和光純薬工業社製)0.5mol/L、支持電解質として、硫酸(和光純薬社製)1.0mol/Lを溶解し、重合電解液とした。
 (5)前記重合作用電極(集電体)、及び、対極として、金属板(例えば、ニッケル板。以下同様。)を組み合わせて、重合セルを作製し、ここに前記重合電解液を満たして、前記重合作用電極上に、電流密度4mA/cm、25℃で、電解重合して、ポリアニリン膜(膜厚:190μm)を成膜した。
 (6)得られたポリアニリン膜を有する重合作用電極(窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材)を水洗し、ポリアニリン膜、及び、窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材から形成される電極材料を作製した。
(実施例2)
 (1)アルミニウム基材(株式会社ニラコ社製、製品名:純アルミニウムシート、アルミニウム含量:99.99質量%、厚さ:500μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、プロセスチャンバーに導入し、プラズマ出力を制御してプラズマを生成する。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力3W/cmで、30分間照射し、前記アルミニウム基材上に、厚み140nmの窒化アルミニウム薄膜を形成し、重合作用電極とした。
 (4)続いて、重合溶媒として、水を用いて、モノマーであるアニリン(和光純薬工業社製)0.5mol/L、支持電解質として、硫酸(和光純薬社製)1.0mol/Lを溶解し、重合電解液とした。
 (5)前記重合作用電極(集電体)、及び、対極として、金属板を組み合わせて、重合セルを作製し、ここに前記重合電解液を満たして、前記重合作用電極上に、電流密度4mA/cm、25℃で、電解重合して、ポリアニリン膜(膜厚:190μm)を成膜した。
 (6)得られたポリアニリン膜を有する重合作用電極(窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材)を水洗し、ポリアニリン膜、及び、窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材から形成される電極材料を作製した。
(実施例3)
 (1)アルミニウム基材(大和物産株式会社製、製品名:アルミホイル、厚さ:12μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、プロセスチャンバーに導入し、プラズマ出力を制御して、プラズマを生成した。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力3W/cmで、30分間照射し、前記アルミニウム基材上に、厚み140nmの窒化アルミニウム薄膜を形成し、重合作用電極とした。
 (4)続いて、重合溶媒として、水を用いて、モノマーであるアニリン(和光純薬工業社製)0.5mol/L、支持電解質として、硫酸(和光純薬社製)1.0mol/Lを溶解し、重合電解液とした。
 (5)前記重合作用電極(集電体)、及び、対極として、金属板を組み合わせて、重合セルを作製し、ここに前記重合電解液を満たして、前記重合作用電極上に、電流密度4mA/cm、25℃で、電解重合して、ポリアニリン膜(膜厚:190μm)を成膜した。
 (6)得られたポリアニリン膜を有する重合作用電極(窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材)を水洗し、ポリアニリン膜、及び、窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材から形成される電極材料を作製した。
(実施例4)
 (1)アルミニウム基材(JIS合金識別名:A1N30H、アルミニウム含量:99.3質量%、厚さ:30μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、プロセスチャンバーに導入し、プラズマ出力を制御して、プラズマを生成した。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力2W/cmで、30分間照射し、前記アルミニウム基材上に、厚み110nmの窒化アルミニウム薄膜を形成し、重合作用電極とした。
 (4)続いて、重合溶媒として、水を用いて、モノマーであるアニリン(和光純薬工業社製)0.5mol/L、支持電解質として、硫酸(和光純薬工業社製)1.0mol/Lを溶解し、重合電解液とした。
 (5)前記重合作用電極(集電体)、及び、対極として、金属板を組み合わせて、重合セルを作製し、ここに前記重合電解液を満たして、前記重合作用電極上に、電流密度4mA/cm25℃で、電解重合して、ポリアニリン膜(膜厚:190μm)を成膜した。
 (6)得られたポリアニリン膜を有する重合作用電極(窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材)を水洗し、ポリアニリン膜、及び、窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材から形成される電極材料を作製した。
(実施例5)
 (1)アルミニウム基材(JIS合金識別名:A1N30H、アルミニウム含量:99.3質量%、厚さ:30μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、プロセスチャンバーに導入し、プラズマ出力を制御して、プラズマを生成した。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力4W/cmで、30分間照射し、前記アルミニウム基材上に、厚み260nmの窒化アルミニウム薄膜を形成し、重合作用電極とした。
 (4)続いて、重合溶媒として、水を用いて、モノマーであるアニリン(和光純薬工業社製)0.5mol/L、支持電解質として、硫酸(和光純薬工業社製)1.0mol/Lを溶解し、重合電解液とした。
 (5)前記重合作用電極(集電体)、及び、対極として、金属板を組み合わせて、重合セルを作製し、ここに前記重合電解液を満たして、前記重合作用電極上に、電流密度4mA/cm、25℃で、電解重合して、ポリアニリン膜(膜厚:190μm)を成膜した。
 (6)得られたポリアニリン膜を有する重合作用電極(窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材)を水洗し、ポリアニリン膜、及び、窒化アルミニウム薄膜を有するアルミニウム基材から形成される電極材料を作製した。
(実施例6)
 (1)アルミニウム基材(JIS合金識別名:A1N30H、アルミニウム含量:99.3質量%、厚さ:30μm)を5質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、前記アルミニウム基材表面に形成された酸化被膜(不動態)を除去した。
 (2)窒素、及び、ドーパントガス(酸素ガス:21vol%、二酸化炭素ガス:0.04vol%)の混合ガス (窒素:ドーパントガス(混合比)=3.7:1)(窒素:酸素=1:0.27)を、アルミニウム基材上に導入し、プラズマ出力を制御して、プラズマを生成した。
 (3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、大気圧雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:3mm)をプラズマ出力213W/cmで、i)2分、ii)5分、iii)10分、及び、iv)30分のプラズマ照射時間で照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成した(窒化アルミニウム薄膜の膜厚については、表1中のi)~iv)を参照)。
 また、大気圧雰囲気下でのプラズマ照射時間と窒化アルミニウム薄膜の膜厚と関係を図7に示した。なお、図7中のプラズマ照射時間は、2分、5分、10分、及び、30分の場合をプロットした。
 図7の結果より、プラズマ照射時間により、形成した窒化アルミニウム薄膜の膜厚を制御できることが確認できた。
 また、大気圧雰囲気下でのプラズマ照射時間と膜厚方向の抵抗との関係を図8に示した。なお、図8中のプラズマ照射時間は、0分、2分、5分、10分、及び、30分の場合をプロットした。
 図8の結果より、プラズマ照射時間により膜厚方向の抵抗を制御できることが確認できた。
(実施例7)
 実施例4の(1)~(3)において、(3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、圧力0.2Pa雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:26mm)をプラズマ出力2W/cmで、30分のプラズマ照射時間で照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜(膜厚:110nm)を形成した以外は、実施例4と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成した。なお、実施例4の(4)~(6)は実施しなかった。つまり、ポリアニリン膜の形成は行わなかった。
 薄膜X線回折測定により、図9の結果において、アルミニウム基材の回折ピークは確認されたが、窒化アルミニウム薄膜に基づく回折ピークは認められず、つまり、結晶構造を形成していないことが確認され、非結晶構造を形成していることが確認できた。
(実施例8)
 実施例6の(1)~(3)において、(3)前記アルミニウム基材上に、温度25℃、大気圧雰囲気下で、前記プラズマ(アルミニウム基材とプラズマ照射口までの距離:3mm)をプラズマ出力1.2kW/cmで、10分のプラズマ照射時間で照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜(膜厚:1910nm)を形成した以外は、実施例6と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成した。
 薄膜X線回折測定により、図10の結果において、アルミニウム基材の回折ピークは確認されたが、窒化アルミニウム薄膜に基づく回折ピークは認められず、つまり、結晶構造を形成していないことが確認され、非結晶構造を形成していることが確認できた。
(実施例9)
 実施例7と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成した。
 X線光電子分光法によるアルミニウム基材上の窒素分析の評価により、図11の結果において、アルミニウム基材表面に存在する窒化アルミニウム薄膜(層)に由来するN1sピーク((c):Al-N)、及び、N1sピーク((d):Al-N-O)が確認できた。
(実施例10)
 実施例8と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成した。
 X線光電子分光法によるアルミニウム基材上の窒素分析の評価により、図12の結果において、アルミニウム基材表面に存在する窒化アルミニウム薄膜(層)に由来する大きなN1sピーク((c):Al-N)、及び、N1sピーク((d):Al-N-O)が確認できた。特に、大気圧雰囲気下でプラズマ処理(大気圧マイクロ波プラズマ処理)を行うことにより、詳細は明らかではないが、窒素ラジカルの生成量が多くなり、真空度0.2Paの実施例9に比べて、アルミニウム基材表面の窒化領域が大きいことが確認できた。
(実施例11)
 実施例8において、アルミニウム基材温度を25℃だけでなく、100℃、200℃、300℃、470℃と変化させた以外は、実施例8と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成したサンプルを調製した。
 これらサンプルについて、膜厚方向(両端間)の抵抗評価により、図13において、アルミニウム基材の温度を低温(25℃)から高温(470℃)まで変化させた場合に、徐々に膜厚方向(両端間)の抵抗値が低下することが確認できた。これは、高温になることにより、アルミニウム基材中のアニオン元素の欠落濃度が上昇したことによるものと推測される。
(実施例12)
 実施例8において、アルミニウム基材温度を25℃だけでなく、100℃、200℃、300℃、470℃と変化させた以外は、実施例8と同様の方法にて、アルミニウム基材上に、窒化アルミニウム薄膜を形成したサンプルを調製した。
 これらサンプルについて、窒化アルミニウム薄膜の厚みを測定したところ、図14において、低温域(25~100℃付近)において、窒化アルミニウム薄膜の厚みの大きな増大は認められなかったが、高温域(およそ100℃以上)では、窒化アルミニウム薄膜の厚みの増大が認められた。これは、窒素ラジカルとアルミニウムの反応速度の増加に基づくものと推測される。
(評価方法)
<窒化アルミニウム薄膜の厚みに関連する評価>
 (1)窒化アルミニウム薄膜の厚み測定
 実施例で得られた窒化アルミニウム薄膜の膜厚は、紫外可視分光光度計(V-660紫外可視分光光度計、反射測定ユニット、JASCO社製)を用いて測定した反射スペクトルを測定し、窒化アルミニウムの屈折率により、膜厚を測定した(表1参照)。
 (2)プラズマ出力における窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響
 上記(1)と同様に、プラズマ照射(Working Distanceを全て26mm一定)により得られた窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚は、紫外可視分光光度計(V-660紫外可視分光光度計、反射測定ユニット、JASCO社製)を用いて、測定および評価を行った。その結果を図2に示した。
 なお、図2(グラフ)において、プラズマ出力が3W/cm(実施例1~3)、2W/cm(実施例4)、4W/cm(実施例5)についてプロットし、更に、プラズマ出力に対する窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響を確認するため、その他のプラズマ出力に対する窒化アルミニウム薄膜の膜厚もプロットした。
 図2の結果より、プラズマ出力による窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響として、プラズマ出力の増加と共に、窒化アルミニウム薄膜の膜厚が増加した。この結果から容易にプラズマ出力を制御することにより、窒化アルミニウム薄膜の膜厚を制御できることが確認できた。
 (3)Working Distanceにおける窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響
 実施例で、プラズマ照射により得られた窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材について、上記(1)と同様に、反射スペクトルを用いて、窒化アルミニウム薄膜の膜厚を測定および評価を行った。その結果を図3に示した。
 なお、図3(グラフ)において、プラズマ出力が3W/cm(実施例1~3)について、Working Distanceを0mm、15mm、26mmに対する窒化アルミニウム膜厚をプロットし、更に、プラズマ出力を、5W/cm、及び、7W/cmに変え、Working Distanceを0mm、15mm、26mmに対する窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響を確認するため、その他のプラズマ出力に対する窒化アルミニウム薄膜の膜厚もプロットした。
 図3の結果より、Working Distanceによる窒化アルミニウム薄膜の膜厚への影響として、プラズマ出力が3W/cmの場合、Working Distanceの増加と共に、窒化アルミニウム薄膜の膜厚が減少することが確認できた。これは、Working Distanceの増加とともに、窒化アルミニウムの生成に重要な窒化ラジカル濃度が減少したためであると推測される。
 また、プラズマ出力が5W/cm以上(5W/cm、及び、7W/cm)の場合、Working Distanceの増加と共に、窒化アルミニウム薄膜の膜厚が増加することが確認できた。これは、5W/cm以上のプラズマ出力において、Working Distanceの減少に伴い、窒素ラジカルのプラズマ中での運動エネルギーが高くなり、窒化アルミニウム薄膜の形成に使用される窒素ラジカル濃度が減少したためと推測される。
 以上のことから、各プラズマ出力において、Working Distanceによって窒化アルミニウム薄膜の膜厚を容易に制御することが可能となることが確認できた。
<結晶構造の評価>
(薄膜X線回折測定)
 X線回折測定では、X線回折装置(RINT2500型、理学電気株式会社製)を用いて評価した。X線源にCukαを用いて、X線出力は、管電圧40kV、管電流100mAで行い、回折線の測定範囲(走査軸;2θ)は、20°から70°とした。また、X線の入射角0.5°及び2.0°で測定する薄膜X線測定モードで行った(図9及び図10参照)。なお、図9及び図10中のAl(111)、Al(200)、Al(220)の回折線に関して、アルミニウムによることが記載されている文献として、Phys. Status Solidi A,1992,130,,273-292,Popovic S., Grzeta B., Ilakovac V., Kroggel R., Wendrock G., Loffler H.が挙げられる。
<耐腐食性>
(耐アルカリ性、耐食塩水性、及び、耐酸性)
 プラズマ照射により得られた窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の耐腐食性を評価するために、下記の3種類の溶液中に、窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材、及び、表面処理を施さないアルミニウム基材を3時間、浸漬し、強アルカリ性溶液、アルカリ性水溶液、強酸性溶液、及び、食塩水に対する窒化アルミニウム薄膜の膜厚方向の抵抗への影響を図4に示した。なお、耐腐食性が、実用上問題のないレベルの場合を○として評価した(表1参照)。
 なお、図4(グラフ)において、実施例1~3の窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材(図4中の前方の棒グラフ)、及び、表面処理を施さないアルミニウム基材(比較例、図4中の後方の棒グラフ)に関して、膜厚方向の抵抗を(Ω)を測定した(表1参照)。
 また、実施例4~6についても、同様の評価を行った(図示せず、評価結果は表1を参照)。
 浸漬溶液A:強アルカリ性溶液(30mmol/L)[LiOH(関東化学株式会社製)、及び、メタノール(関東化学株式会社製)を含む溶液(pH12.4)]
 浸漬溶液B:アルカリ性水溶液(20vol%)[ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社製)、及び、メタノール(関東化学株式会社製)を含む水溶液(pH11)]
 浸漬溶液C:食塩水(1mol/L)[NaCl(関東化学株式会社製)]
 浸漬溶液D:強酸性溶液、硫酸(1mol/L)[HSO(和光純薬工業社製)]
 図4の結果より、表面処理施さない(表面処理なしの)アルミニウム基材(比較例)と比較して、実施例1~3により得られた窒化アルミニウム/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗は、浸漬溶液A、B、C、及び、Dに浸漬したが、大きな変化は確認されなかった。これらの結果から、実施例で得られた窒化アルミニウム薄膜は、耐アルカリ性、耐酸性、及び、耐食塩水性に優れていることが確認できた。また、耐腐食性試験については、ポリアニリン重合前の窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材で行った。
<導電性>
(膜厚方向の抵抗(両端間の抵抗))
 実施例により得られた窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗を、電極プローブ(面積;1cm)を用いて、図6に示すように接触させて、LCRメータ(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3522)により抵抗を測定し、導電性の評価を行った。その結果を図5、及び、表1に示した。
 図5(グラフ)において、プラズマ出力が3W/cm(実施例1~3)、2W/cm(実施例4)、4W/cm(実施例5)についてプロットし、更に、プラズマ出力に対する窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗の影響を確認するため、その他のプラズマ出力に対する窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗もプロットした。なお、ここでのプラズマ照射する際のWorking Distanceは、全て26mm一定で行った。
 図5の結果より、窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗への影響として、プラズマ出力が4.5W/cm付近を下回る場合では、窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗が低いものとなり、一方、プラズマ出力が4.5W/cm付近を上回る場合では、窒化アルミニウム薄膜/アルミニウム基材の膜厚方向の抵抗が急減に増加が認められた。この原因については、プラズマ出力と共に、窒素ラジカル生成濃度の増加することから、膜厚方向の抵抗が増加したものと推測される。
 また、実施例6のi)~iv)についても、抵抗を測定し、導電性の評価を行った(図8、及び、表1参照)。
<X線光電子分光法によるアルミニウム基材上の窒素分析>
 X線光電子分光法による窒素分析には、島津製作所-KRATOS製のAXIS-ULTRA DLDを用いて評価した。X線源を単色化Alkα線(1484.6eV)とし、X線出力を75Wとした。また測定分析時の真空度は、10-8Torr以下で、Binding Energy範囲を392eV~405eVとして、N1sの分析を行なった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 注)表1及び表2中の単位以外の(-)は、評価を実施していないことを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 上記表1及び表2の結果より、全ての実施例において、結晶性が、非結晶状態であり、耐腐食性に優れ、窒化アルミニウム薄膜上での導電性高分子層の調製が可能であり、膜厚方向の抵抗値が小さく、導電性を示すことが確認できた。
 本発明の窒化アルミニウム薄膜は、導電性及び耐腐食性に優れるため、リチウムイオン二次電池の集電体・リチウムイオンキャパシタの集電体・導電性高分子アルミ電解コンデンサの集電体などの電池やキャパシタの蓄電デバイス部品、フレキシブル回路基板などの電子部品、燃料電池の隔壁、太陽電池の電極材料、水電解電極、電気めっき用電極やその他電極(例えば、有機太陽電池用など)、導電性高分子の重合時の作用極と対極、導電性高分子アクチュエータの補助電極、導電性高分子アクチュエータの作用極の基材及び対極、機構部品(電磁波シールド、アンテナなど)、フィラー用材料、熱交換器用冷却フィン、半導体発光デバイス、パワー電源デバイス、MOSFETデバイス、医療用基材、及び、腐食防食膜などへの使用に有用である。
 A:窒素ガス
 B:酸素ガス(ドーパントガス)
 C:空気(ドーパントガス)
 1:ガス導入ライン
 2:直流電源
 3:正の電圧(+)
 4:負の電圧(-)
 5:プラズマ放電電極
 6:プラズマ照射口
 7:プラズマ
 8:アルミニウム基材
 9:Working Distance
 10:サンプル固定台
 11:プロセスチャンバー
 12:真空引きライン
 13:ロータリーポンプ
 14:LCRメータ
 15:電極
 16:窒化アルミニウム薄膜
 17:膜厚方向の抵抗(測定)(a):X線入射角(0.5°)(b):X線入射角(2.0°)(c):Al-NによるN1sピーク(d):Al-N-OによるN1sピーク

Claims (9)

  1. 少なくとも、窒素及び酸素を含有する窒化アルミニウム薄膜であって、非結晶状態であり、かつ、導電性を有することを特徴とする窒化アルミニウム薄膜。
  2. 膜厚方向の抵抗が、10Ω以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム薄膜。
  3. 請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム薄膜をアルミニウム基材上に形成する方法であって、窒素、及び、少なくとも酸素を含むドーパントガスの混合ガスを、プラズマに調製する工程と、前記アルミニウム基材上に、660℃以下の雰囲気下で、前記プラズマを照射し、前記アルミニウム基材上に窒化アルミニウム薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  4. 前記混合ガス中の窒素と酸素の混合体積割合(酸素/窒素)が、0を超える値であることを特徴とする請求項3に記載の窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  5. 前記プラズマを照射する際のプラズマ出力が、3kW/cm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  6. 前記プラズマを照射する際の圧力が、1MPa以下であることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  7. 大気圧プラズマ装置により、プラズマを調製することを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載の窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  8. 前記アルミニウム基材上の窒化アルミニウム薄膜の厚さが、5000nm以下であることを特徴とする請求項3~7のいずれかに記載の窒化アルミニウム薄膜の形成方法。
  9. 請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム薄膜上に導電性高分子層を有することを特徴とする電極材料。
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