JP2016141249A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐偏摩耗性能を維持しつつ雪路性能やウェット性能を向上させる。【解決手段】トレッド部2に、タイヤ周方向に並ぶ踏面が六角形状のミドルブロック15が形成された重荷重用空気入りタイヤ1である。ミドル主溝4は、ミドル主溝4の両側の溝縁4eと接することなくタイヤ周方向と平行にミドル主溝4内をタイヤ周方向に連続するミドル主溝直線領域11を含む。ショルダー主溝3は、ショルダー主溝3の両側の溝縁3eと接することなくタイヤ周方向と平行にショルダー主溝内をタイヤ周方向に連続するショルダー主溝直線領域10を含む。ミドル主溝直線領域11のタイヤ軸方向の幅Wbは、ショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waよりも小である。【選択図】図1

Description

本発明は、耐偏摩耗性能、雪路性能、及び、ウェット性能を向上させた重荷重用空気入りタイヤに関する。
トレッド部に、主溝と横溝とで区分された複数のブロックを有するブロックパターンの重荷重用空気入りタイヤが知られている。このようなブロックパターンは、各ブロックに、ヒールアンドトウ摩耗等の偏摩耗が生じやすい。耐偏摩耗性能を向上させるために、例えば、主溝や横溝の溝容積を小さくしてブロックのパターン剛性を高めた重荷重用空気入りタイヤが提案されている。
しかしながら、上述のような重荷重用空気入りタイヤは、横溝による雪柱せん断力や主溝による排水性能が低下する傾向がある。このため、上記のような重荷重用空気入りタイヤは、ウェット性能や雪路性能が低下するという問題があった。
特開2012−51504号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ミドル主溝、ショルダー主溝、及び、ミドル陸部を改善することを基本として、耐偏摩耗性能、ウェット性能、及び、雪路性能を向上させた重荷重用空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、最もトレッド端側でタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびるショルダー主溝と、前記ショルダー主溝とタイヤ軸方向の内側で隣接してタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびるミドル主溝と、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝との間に、タイヤ軸方向の幅が増減を繰り返しながらタイヤ周方向にのびるミドル陸部とが形成された重荷重用空気入りタイヤであって、前記ミドル陸部は、前記ミドル主溝がタイヤ軸方向外側に凸となる頂部と前記ショルダー主溝がタイヤ軸方向内側に凸となる頂部とを継ぐ複数本のミドル横溝によって、タイヤ周方向に並ぶ踏面が六角形状のミドルブロックに区分され、前記ミドル主溝は、前記ミドル主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行に前記ミドル主溝内をタイヤ周方向に連続するミドル主溝直線領域を含み、前記ショルダー主溝は、前記ショルダー主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行に前記ショルダー主溝内をタイヤ周方向に連続するショルダー主溝直線領域を含み、前記ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅は、ショルダー前記主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも小さいことを特徴とする。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、前記トレッド部には、タイヤ赤道上をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる1本のセンター主溝と、前記センター主溝と前記ミドル主溝とを継ぐセンター横溝と、前記ショルダー主溝と前記トレッド端とを継ぐショルダー横溝とが設けられ、前記センター横溝の溝幅は、前記ミドル横溝の溝幅よりも小さく、前記ショルダー横溝の溝幅は、前記ミドル横溝の溝幅よりも大きいのが望ましい。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、前記ミドル横溝の溝深さが、前記ショルダー主溝の溝深さよりも小さいのが望ましい。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、前記ミドル横溝の溝幅が、前記ショルダー主溝の溝幅よりも大きいのが望ましい。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、前記ミドル横溝が、一対のミドル横溝壁を有し、前記各ミドル横溝壁の傾斜角度は、6〜18度であるのが望ましい。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、前記ミドルブロックのタイヤ周方向の最大長さLMとタイヤ軸方向の最大幅WMとの比であるブロック縦横比LM/WMが、1.9〜2.5であるのが望ましい。
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、ミドル陸部のタイヤ軸方向の幅が最小となる位置にミドル横溝が設けられることによって、踏面が六角形状のミドルブロックが形成される。このようなミドルブロックは、タイヤ軸方向の幅がタイヤ周方向の中央部分から両端部に向かって小さくなるため、ブロックの両端部は、ブロックの踏み込み時及び蹴り出し時に適度に変形することにより、路面に対する滑りが抑制される。これにより、ミドルブロックの両端部に作用する摩耗エネルギーが低減される。
ミドル主溝は、ミドル主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行にミドル主溝内をタイヤ周方向に連続するミドル主溝直線領域を含んでいる。ショルダー主溝は、ショルダー主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行にショルダー主溝内をタイヤ周方向に連続するショルダー主溝直線領域を含んでいる。このようなミドル主溝直線領域及びショルダー主溝直線領域は、各主溝内の水や雪の流れの抵抗を小さく維持するので、これら水や雪を回転方向の後着側へスムーズに排出させる。
一般に、直進走行時、タイヤ軸方向内側の陸部は、タイヤ軸方向外側の陸部よりも大きな接地圧が作用するので、タイヤ軸方向内側の陸部は、路面に対するタイヤ周方向の滑りが生じ易い。また、摩耗エネルギー(摩耗量)は、おおよそ、滑り量と押圧力(接地圧)との積に大きく起因する。このため、ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅をショルダー主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも小とすることにより、ミドル主溝近傍の陸部のタイヤ周方向剛性を、ショルダー主溝近傍の陸部のタイヤ周方向剛性よりも大きくすることができる。これにより、ミドル主溝近傍の陸部の路面に対する滑りが、ショルダー主溝近傍の陸部の路面に対する滑りよりも抑制される。従って、直進走行時、ミドル主溝の両側の陸部とショルダー主溝の両側の陸部とに作用する摩耗エネルギーが均等に近づくので、耐偏摩耗性能が向上する。
また、ミドルブロックの踏面の下の水膜及びミドル横溝内の水や雪は、旋回走行時、大きな横力によって、タイヤ軸方向外側により多く流れる。このため、ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅をショルダー主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも小とする、即ち、ショルダー主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅をミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも大とすることにより、ショルダー主溝を介して、水や雪をスムーズに排出することができる。このため、ウェット性能や雪路性能が大きく向上する。
以上のように、本発明の重荷重用空気入りタイヤは、ミドルブロックの踏面を六角形状に設定するとともに、ミドル主溝及びショルダー主溝に直線領域を設け、ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅をショルダー主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも小とすることで、耐偏摩耗性能、ウェット性能、及び、雪路性能を向上させることができる。
本発明の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。 図1の右側のミドル陸部及びショルダー陸部の拡大図である。 図1のセンター陸部の拡大図である。 図1の右側のミドル陸部及びショルダー陸部の拡大図である。 図1のA−A断面図である。 図1のセンター陸部の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の一実施形態を示す重荷重用空気入りタイヤ1のトレッド部2の展開図が示される。本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、例えばトラック・バス等用として好適に利用される。
図1に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる主溝が設けられている。
本実施形態の主溝は、最もトレッド端Te側に配される一対のショルダー主溝3、3、前記ショルダー主溝3とタイヤ軸方向の内側で隣接する一対のミドル主溝4、4、及び、タイヤ赤道C上に設けられる1本のセンター主溝5を含んでいる。
前記「トレッド端」Teは、外観上、明瞭なエッジによって識別しうるときには当該エッジとする。しかしながら、エッジが識別不能の場合には、正規リムにリム組みされかつ正規内圧を充填した無負荷である正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤの各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
図2は、図1の右側のショルダー主溝3及びミドル主溝4の拡大図である。図2に示されるように、ショルダー主溝3は、ジグザグ状にのびている。本実施形態のショルダー主溝3は、タイヤ周方向に対して一方側(図2では右下)に傾斜するショルダー第1部分3Aと、タイヤ周方向に対して他方側(図2では左下)に傾斜するショルダー第2部分3Bとを交互に含んでいる。このようなショルダー主溝3は、タイヤ軸方向成分を有しているので、雪路性能を向上し得る。ショルダー第1部分3A及びショルダー第2部分3Bのタイヤ周方向に対する角度θ1が過度に大きい場合、ショルダー主溝3の排水抵抗が大きくなりウェット性能が悪化するおそれがある。このためショルダー主溝3の角度θ1は、好ましくは、1〜7度である。
ショルダー主溝3は、タイヤ軸方向外側へ凸となるジグザグの頂部3hと、タイヤ軸方向内側へ凸となるジグザグの頂部3kとを有している。タイヤ軸方向外側へ凸となるジグザグの頂部3hは、ショルダー第1部分3Aとショルダー第2部分3Bとの交差位置であって、タイヤ軸方向外側へ凸となる部分である。タイヤ軸方向内側へ凸となるジグザグの頂部3kは、ショルダー第1部分3Aとショルダー第2部分3Bとの交差位置であって、タイヤ軸方向内側へ凸となる部分である。
本実施形態のショルダー第1部分3Aのタイヤ周方向長さは、ショルダー第2部分3Bのタイヤ周方向長さと同じである。このようなショルダー主溝3は、ショルダー第1部分3A及びショルダー第2部分3Bの両側の陸部のパターン剛性を均等化するので、摩耗を均一に近づける。なお、ショルダー第1部分3Aとショルダー第2部分3Bとは、異なるタイヤ周方向の長さであっても良い。
ショルダー主溝3は、ショルダー主溝3の両側の溝縁3e、3eと接することなくタイヤ周方向と平行にショルダー主溝3内をタイヤ周方向に連続するショルダー主溝直線領域10を有している。ショルダー主溝直線領域10は、図2に示されるように、ショルダー主溝3のタイヤ軸方向内側の溝縁3iのタイヤ軸方向外端を継ぐ内側仮想線10iよりもタイヤ軸方向外側であって、ショルダー主溝3のタイヤ軸方向外側の溝縁3eのタイヤ軸方向内端を継ぐ外側仮想線10eよりもタイヤ軸方向内側の領域である。このようなショルダー主溝直線領域10は、ショルダー主溝3内の水や雪の流れの抵抗を小さく維持するので、これら水や雪を回転方向の後着側へスムーズに排出させる。
ショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waが大きい場合、ショルダー主溝3の両側の陸部のパターン剛性が低下するおそれがある。このため、ショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waは、トレッド幅TWの2%〜8%が望ましい。
ショルダー主溝3の溝幅W1は、特に限定されるものではないが、上述の作用を効果的に発揮させるため、例えば、トレッド幅TWの3.5%〜10%である。
本実施形態のミドル主溝4は、ジグザグ状にのびている。このようにミドル主溝4は、タイヤ軸方向成分を有しているので、雪柱せん断力を発揮する。
ミドル主溝4は、本実施形態では、タイヤ周方向に対して一方側に傾斜するミドル第1部分4Aと、ミドル第1部分4Aとは逆向きに傾斜するミドル第2部分4Bとを交互に含んでいる。これにより、ミドル主溝4は、ミドル第1部分4Aとミドル第2部分4Bとの交差位置でタイヤ軸方向外側へ凸となるジグザグの頂部4hと、ミドル第1部分4Aとミドル第2部分4Bとの交差位置でタイヤ軸方向内側へ凸となるジグザグの頂部4kとを有している。
本実施形態のミドル第1部分4Aのタイヤ周方向長さは、ミドル第2部分4Bのタイヤ周方向長さと同じである。これにより、ミドル第1部分4A及びミドル第2部分4Bの両側の陸部のパターン剛性を均等化するので、摩耗を均一に近づける。なお、ミドル第1部分4Aとミドル第2部分4Bとは、異なるタイヤ周方向の長さであっても良い。
ミドル主溝4は、ミドル主溝4の両側の溝縁4i、4eと接することなくタイヤ周方向と平行にミドル主溝4内をタイヤ周方向に連続するミドル主溝直線領域11を有している。ミドル主溝直線領域11は、ミドル主溝4のタイヤ軸方向内側の溝縁4iのタイヤ軸方向の外端を継ぐ内側仮想線11iよりもタイヤ軸方向外側であって、ミドル主溝4のタイヤ軸方向外側の溝縁4eのタイヤ軸方向の内端を継ぐ外側仮想線11eよりもタイヤ軸方向内側の領域である。このようなミドル主溝直線領域11は、ミドル主溝4内の水や雪の流れの抵抗を小さく維持するので、これら水や雪を回転方向の後着側へスムーズに排出する。
一般に、タイヤ軸方向内側の陸部は、タイヤ軸方向外側の陸部よりも直進走行時、大きな接地圧が作用するので、タイヤ軸方向内側の陸部は、タイヤ軸方向外側の陸部よりも路面に対するタイヤ周方向の滑りが生じ易い。また、摩耗エネルギー(摩耗量)は、おおよそ、滑り量と押圧力(接地圧)との積に大きく起因する。このため、ミドル主溝直線領域11のタイヤ軸方向の幅Wbをショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waよりも小とすることにより、ミドル主溝4近傍の陸部のタイヤ周方向剛性を、ショルダー主溝3近傍のタイヤ周方向剛性よりも大きくすることができる。これにより、ミドル主溝4近傍の陸部の路面に対する滑りが、ショルダー主溝3近傍の陸部の路面に対する滑りよりも抑制される。従って、直進走行時、ミドル主溝4の両側の陸部とショルダー主溝3の両側の陸部とに作用する摩耗エネルギーが均等に近づくので、耐偏摩耗性能が向上する。
また、旋回走行時、タイヤ軸方向外側へ大きな横力が作用するので、陸部の下の水膜は、タイヤ軸方向内側よりもタイヤ軸方向外側に、より多く流れる。このため、ミドル主溝直線領域11のタイヤ軸方向の幅Wbをショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waよりも小とする、即ち、ショルダー主溝直線領域10のタイヤ軸方向の幅Waをミドル主溝直線領域11のタイヤ軸方向の幅Wbよりも大きくすることにより、ショルダー主溝3によって多くの水や雪がスムーズに排出される。このため、ウェット性能や雪路性能が向上する。このような観点より、ミドル主溝直線領域11の幅Wbは、好ましくは、トレッド幅TWの0.5%〜4.5%である。
特に限定されるものではないが、上述の作用を効果的に発揮させるため、ミドル主溝4の溝幅W2は、好ましくは、トレッド幅TWの1.0%〜6.0%である。
ミドル主溝4のタイヤ周方向に対する角度θ2は、ショルダー主溝3の角度θ1よりも大きいのが望ましい。ミドル主溝4の両側の陸部には、ショルダー主溝3の両側の陸部よりも、直進走行時、大きな接地圧が作用するので、ミドル主溝4の雪柱せん断力を大きくすることで、とりわけ、直進走行時の雪路性能を向上することができる。なお、ミドル主溝4の角度θ2が過度に大きい場合、排水抵抗が大きくなり、ウェット性能が悪化するおそれがある。従って、ミドル主溝4の角度θ2は、好ましくは、2〜8度である。
図3は、図1のセンター主溝5の拡大図である。図3に示されるように、センター主溝5は、ジグザグ状にのびている。本実施形態のセンター主溝5は、タイヤ周方向に対し一方側に傾斜する第1傾斜部5Aと、第1傾斜部5Aとは逆向きかつ第1傾斜部5Aのタイヤ周方向に対する角度よりも小さな角度で傾斜する第2傾斜部5Bとを含んでいる。第1傾斜部5Aと第2傾斜部5Bとは、交互に設けられている。タイヤ周方向に対する角度の大きい第1傾斜部5Aは、強固な雪柱を形成する。小さな角度の第2傾斜部5Bは、その両側の陸部のタイヤ周方向剛性を大きく維持する。
センター主溝5は、タイヤ軸方向一方側(図3では右側)へ凸となる頂部5hと、タイヤ軸方向他方側(図3では左側)へ凸となる頂部5kとを有している。タイヤ軸方向一方側へ凸となる頂部5hは、第1傾斜部5Aと第2傾斜部5Bとの交差位置でタイヤ軸方向一方側へ凸となる部分である。タイヤ軸方向他方側へ凸となる頂部5kは、第1傾斜部5Aと第2傾斜部5Bとの交差位置でタイヤ軸方向他方側へ凸となる部分である。
第1傾斜部5Aのタイヤ周方向に対する角度θ3は、好ましくは、4〜13度である。第2傾斜部5Bのタイヤ周方向に対する角度θ4は、好ましくは、1〜9度である。第1傾斜部5Aの角度θ3が13度を超える場合、又は、第2傾斜部5Bの角度θ4が9度を超える場合、センター主溝5のジグザグの頂部5h、5k近傍の陸部の剛性が過度に低下するおそれがある。また、第1傾斜部5Aの角度θ3が4度未満の場合、又は、第2傾斜部5Bの角度θ4が1度未満の場合、各傾斜部5A、5Bの軸方向成分が小さくなり、雪柱せん断力が低下するおそれがある。
センター主溝5は、本実施形態では、センター主溝5の両側の溝縁5e、5eと接することなくタイヤ周方向と平行にセンター主溝内をタイヤ周方向に連続する直線領域を有していない。即ち、センター主溝5は、両側の溝縁5e、5eがタイヤ軸方向で重なる重なり部kを有している。このような重なり部kは、直進走行時の接地圧による、センター主溝5近傍の陸部のタイヤ周方向剛性をより大きく維持する。従って、直進走行時、最も大きな接地圧の作用するタイヤ赤道C近傍の陸部の路面に対する滑りが大きく抑制される。本実施形態の重なり部kは、タイヤ赤道Cを含んでいる。
このように、本実施形態では、ショルダー主溝直線領域の幅Waをミドル主溝直線領域の幅Wbよりも大きくし、センター主溝5には、センター主溝直線領域を設けないことにより、ショルダー主溝3、ミドル主溝4、及び、センター主溝5の両側の陸部の摩耗エネルギーを均等に近づけることができる。従って、これら各陸部の摩耗が均等に近づくことになるので、耐偏摩耗性能が大きく向上する。なお、このような観点より、センター主溝5には、ミドル主溝4のミドル主溝直線領域11よりもタイヤ軸方向の幅の小さいセンター主溝直線領域(図示省略)が設けられても良い。
上述の作用を効果的に発揮させるため、センター主溝5の溝幅W3は、好ましくは、トレッド幅TWの0.5%〜3%である。
各主溝3乃至5の溝深さ(図示省略)については、慣例に従って種々定めることができる。各主溝3乃至5の溝深さは、例えば、10〜16.5mmが望ましい。
図1に示されるように、このような各主溝3乃至5によって、トレッド部2には、各一対のミドル陸部6、6、ショルダー陸部7、7、及び、センター陸部8、8が設けられている。
ミドル陸部6は、ショルダー主溝3とミドル主溝4との間に形成されている。ショルダー陸部7は、ショルダー主溝3とトレッド端Teとの間に形成されている。センター陸部8は、センター主溝5とミドル主溝4との間に形成されている。
図4に示されるように、ミドル陸部6は、本実施形態では、ショルダー主溝3及びミドル主溝4のジグザグ位相が約半ピッチずれることによって、タイヤ軸方向の幅がタイヤ周方向に増減を繰り返している。即ち、ミドル陸部6は、タイヤ軸方向の幅が最大となる最大幅部6Aと、タイヤ軸方向の幅が最小となる最小幅部6Bとをタイヤ周方向に交互に有している。最大幅部6Aは、ミドル主溝4の内側の頂部4kとショルダー主溝3の外側の頂部3hとを継ぐ部分である。最小幅部6Bは、ミドル主溝4の外側の頂部4hとショルダー主溝3の内側の頂部3kとを継ぐ部分である。
ミドル陸部6は、ミドル陸部6の最小幅部6Bをのびるミドル横溝13がタイヤ周方向に複数本設けられている。ミドル横溝13は、大きなタイヤ軸方向成分を有するので雪路性能を向上させる。また、より大きな接地圧が作用する最小幅部6Bに設けられたミドル横溝13は、強固な雪柱を形成し得る。
ミドル横溝13は、直線状にのびている。これにより、ミドル横溝13の両側のミドル陸部6の剛性が高く確保されて、強固な雪柱を形成することができる。
ミドル横溝13は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。このようなミドル横溝13は、タイヤ周方向成分を有するので、タイヤの転動を利用して、ミドル横溝13内の雪や水を両側の主溝3、4に排出し得る。
ミドル横溝13のタイヤ軸方向に対する角度θ5が大きい場合、ミドル横溝13近傍のミドル陸部6の剛性が低下するおそれがある。このため、ミドル横溝13のタイヤ軸方向に対する角度θ5は、4〜14度が望ましい。
ミドル横溝13の溝幅W4は、ショルダー主溝3の溝幅W1(図2に示す)よりも大であるのが望ましい。一般に、車両は、旋回走行よりも、直進走行の機会が大きい。このため、ミドル陸部6の踏面の下の水膜は、ミドル横溝13により多く排出されるので、ミドル横溝13の溝幅W4を大きくすることにより、優れたウェット性能を発揮することができる。ミドル横溝13の溝幅W4が過度に大きい場合、ミドル陸部6のタイヤ周方向剛性が低下するおそれがある。このため、ミドル横溝13の溝幅W4は、好ましくは、ショルダー主溝3の溝幅W1の1.05〜1.15倍である。
ミドル横溝13の溝深さD1(図5に示す)は、ショルダー主溝3の溝深さ(図示省略)よりも小であるのが望ましい。上述の通り、車両は、旋回走行よりも、直進走行の機会が大である。このため、ミドル陸部6のタイヤ周方向の剛性を、タイヤ軸方向の剛性よりも大きく確保して、タイヤ周方向の力による摩耗とタイヤ軸方向の力による摩耗を均一に近づけることができる。ミドル横溝13の溝深さD1がショルダー主溝3の溝深さよりも過度に小である場合、ミドル横溝13の溝容積が小さくなり、雪柱せん断力や排水効果が小さくなるおそれがある。このため、ミドル横溝13の溝深さD1は、好ましくは、ショルダー主溝3の溝深さの68〜84%である。
図5は、図1のA−A断面図である。図5に示されるように、ミドル横溝13は、溝底13sからタイヤ半径方向外側にのびる一対のミドル横溝壁13e、13eを有している。ミドル横溝壁13eの傾斜角度αは、好ましくは6〜18度である。このようなミドル横溝壁13eは、ミドル横溝13による雪柱を断面視、略三角形状にするので、強固な雪柱を形成することができる。ミドル横溝壁13eの傾斜角度αが過度に大きい場合、溝深さが小さくなるので、大きな雪柱せん断力を生成できないおそれがある。また、ミドル横溝壁13eの傾斜角度αが小さい場合、溝底13sとミドル横溝壁13eとのなす角度が大きくなり、ミドル横溝13内の雪が目詰りを起こしやすくなり、雪路性能が悪化するおそれがある。
図4に示されるように、ミドル陸部6は、ミドル横溝13によって、タイヤ周方向に並ぶ踏面が六角形状のミドルブロック15に区分される。このようなミドルブロック15のタイヤ軸方向の幅W10は、タイヤ周方向の中央部分15cから両端部15tに向かって小さくなる。このため、ミドルブロック15の両端部15tは、ミドルブロック15の踏み込み時及び蹴り出し時に適度に変形することにより、路面に対する滑りが制抑される。これにより、ミドルブロック15の両端部15tに作用する摩耗エネルギーが低減されるので、耐摩耗性能が大きく向上する。なお、「六角形状」とは、厳密な六角形である必要はなく、ミドルブロック15のタイヤ周方向の中央部分15c側から両端部15t側に向かって、ミドルブロック15のタイヤ軸方向の幅W10が小さくなっていれば良い。
本実施形態のミドルブロック15は、その踏面15nに、溝やサイプが設けられていないプレーン状のブロックである。このようなミドルブロック15は、大きな剛性を有するので、偏摩耗が抑制される。
ミドルブロック15のタイヤ周方向の最大長さLMとタイヤ軸方向の最大幅WMとの比であるミドルブロック縦横比(LM/WM)は、1.9〜2.5であるのが望ましい。これにより、ミドルブロック15のタイヤ周方向剛性が高められるとともに、ミドル横溝13の溝幅W4が確保されて、雪路性能を維持することができる。
ショルダー陸部7は、本実施形態では、ジグザグ状のショルダー主溝3によって、タイヤ軸方向の幅がタイヤ周方向に増減を繰り返している。即ち、ショルダー陸部7は、タイヤ軸方向の幅が最大となる最大幅部7Aと、タイヤ軸方向の幅が最小となる最小幅部7Bとをタイヤ周方向に交互に有している。最大幅部7Aは、ショルダー主溝3の内側の頂部3kとトレッド端Teとを継ぐ部分である。最小幅部7Bは、ショルダー主溝3の外側の頂部3hとトレッド端Teとを継ぐ部分である。
ショルダー陸部7は、ショルダー陸部7の最小幅部7Bをのびるショルダー横溝17がタイヤ周方向に複数本設けられている。このようなショルダー横溝17は、ショルダー主溝3内の雪やショルダー横溝17内の雪をスムーズにトレッド端Teの外側に排出し得る。
本実施形態のショルダー横溝17は、ショルダー内側部17Aと、ショルダー内側部17Aよりもタイヤ軸方向外側に配されるショルダー外側部17Bとを含んでいる。ショルダー内側部17Aは、ショルダー主溝3からタイヤ軸方向外側に等幅でのびショルダー陸部7内で終端している。ショルダー外側部17Bは、ショルダー内側部17Aとトレッド端Teとを継ぎかつ溝幅がタイヤ軸方向外側に漸増している。このようなショルダー外側部17Bは、さらに排雪性能を向上する。
ショルダー横溝17の溝幅W5は、ミドル横溝13の溝幅W4よりも大であるのが望ましい。これにより、ミドル陸部6よりも大きな横力が作用するショルダー陸部7において、旋回走行時、ショルダー主溝3内の水を、よりスムーズにトレッド端Teの外側へ排出できる。ショルダー横溝17の溝幅W5は、好ましくは、ミドル横溝13の溝幅W4の105%〜125%である。ショルダー横溝17の溝幅W5は、本実施形態では、ショルダー横溝17の長手に亘る平均の溝幅である。
ショルダー横溝17のタイヤ軸方向に対する角度θ6は、ミドル横溝13の角度θ5よりも小さいのが望ましい。これにより、より大きな横力が作用するショルダー陸部7のタイヤ軸方向の剛性を、ミドル陸部6のタイヤ軸方向の剛性よりも高めることができるので、ミドル陸部6とショルダー陸部7との摩耗を均一に近づけることができる。このため、ショルダー横溝17の角度θ6は、5度以下が望ましい。
本実施形態のショルダー陸部7は、ショルダー横溝17によって、タイヤ周方向に並ぶ踏面が五角形状のショルダーブロック19に区分されている。このようなショルダーブロック19のタイヤ軸方向の幅W11は、タイヤ周方向の中央部分19cから両端部19t、19tに向かって小さくなるため、ミドルブロック15と同様に路面に対する滑りを制抑する効果を発揮する。
本実施形態のショルダーブロック19は、その踏面19nに、溝やサイプが設けられていないプレーン状のブロックである。このようなショルダーブロック19は、大きな剛性を有するので、偏摩耗が抑制される。
ショルダーブロック19のタイヤ周方向の最大長さ(LS)とタイヤ軸方向の最大幅(WS)との比であるショルダーブロック縦横比(LS/WS)は、ミドルブロック縦横比(LM/WM)よりも小であるのが望ましい。トレッド部2のプロファイル等に基づき、直進走行時では、ミドルブロック15の接地圧は、ショルダーブロック19の接地圧よりも一般的に大きい。そして、ブロック縦横比は、ブロックの全体的なタイヤ周方向剛性と相関を有しており、縦横比が大きいブロックほど、大きなタイヤ周方向剛性を持つ。従って、ショルダーブロック縦横比をミドルブロック縦横比よりも小と規定することで、接地圧分布に応じたブロックのタイヤ周方向剛性を調整することができる。このため、ミドルブロック15とショルダーブロック19との間で、ヒールアンドトウ摩耗等の摩耗差を小さくすることができる。また、ショルダーブロック19は、ミドルブロック15よりも大きな横力が作用する。そして、ブロック縦横比が小さいブロックほど、大きなタイヤ軸方向剛性を持つ。このため、ショルダーブロック19において発生し易い肩落ち摩耗等を減らすことができる。上述の作用を効果的に発揮させる観点より、ショルダーブロック縦横比(LS/WS)は、1.3〜1.9が望ましい。
図6に示されるように、センター陸部8は、本実施形態では、センター主溝5及びミドル主溝4のジグザグ位相が約半ピッチずれることによって、タイヤ軸方向の幅がタイヤ周方向に増減を繰り返している。即ち、センター陸部8は、タイヤ軸方向の幅が最大となる最大幅部8Aと、最小となる最小幅部8Bとをタイヤ周方向に交互に有している。最大幅部8Aは、ミドル主溝4のジグザグの外側の頂部4hと、この頂部4hに隣接するセンター主溝5のジグザグの頂部5h又は5kとを継ぐ部分である。最小幅部8Bは、ミドル主溝4のジグザグの内側の頂部4kと、この頂部4kに隣接するセンター主溝5のジグザグの頂部5h又は5kとを継ぐ部分である。
センター陸部8は、センター陸部8の最小幅部8Bをのびるセンター横溝21がタイヤ周方向に複数本設けられている。センター横溝21は、大きなタイヤ軸方向成分を有するので、雪柱せん断力を発揮する。センター横溝21は、より大きな接地圧が作用する最小幅部8Bに設けられているので強固な雪柱を形成し得る。
センター横溝21は、直線状にのびている。これにより、センター横溝21のタイヤ周方向の両側のセンター陸部8の剛性が高くなるので、ヒールアンドトウ摩耗を抑制することができる。なお、センター横溝21は、ジグザグ状でも良い。
センター横溝21は、タイヤ軸方向に対して傾斜している。このようなセンター横溝21は、タイヤ周方向成分も有するので、タイヤの転動を利用して、センター横溝21内の雪を両側の主溝3、4に排出し得る。
センター横溝21は、第1傾斜部5Aとタイヤ軸方向に対し同じ向きに傾斜している。これにより、第2傾斜部5Bよりも大きい角度の第1傾斜部5A内の雪が、タイヤの転動によって、センター横溝21を介してスムーズにミドル主溝4側へ排出することができる。このため、雪路性能がさらに向上する。
センター横溝21の角度θ7は、ミドル横溝13の角度θ5(図4に示す)よりも大きいのが望ましい。一般的に、旋回走行時に生じる横力は、タイヤ軸方向外側の陸部ほど大きく作用するので、センター陸部8とミドル陸部6との摩耗差を小さくするには、ミドル陸部6のタイヤ軸方向の剛性をセンター陸部8のタイヤ軸方向の剛性よりも大きくすることが望ましい。このため、センター横溝21のタイヤ軸方向に対する角度θ5は、5〜15度が望ましい。
センター横溝21の溝幅W6は、ミドル横溝13の溝幅W4(図4に示す)よりも小であるのが望ましい。これにより、ミドル陸部6よりも大きな接地圧が作用するセンター陸部8において、センター陸部8のタイヤ周方向剛性を大きく維持することができる。これにより、センター陸部8とミドル陸部6とに生じる摩耗を均一に近づけることができる。センター横溝21の溝幅W6が、ミドル横溝13の溝幅W4よりも過度に小さい場合、センター横溝21の溝容積が小さくなり、とりわけ、直進走行時のウェット性能や雪路性能が悪化するおそれがある。このため、センター横溝21の溝幅W6は、好ましくは、ミドル横溝13の溝幅W4の45%〜65%である。センター横溝21は、本実施形態では、等幅で形成されている。
センター陸部8は、センター横溝21によって、タイヤ周方向に並ぶ踏面が六角形状のセンターブロック23に区分されている。このようなセンターブロック23のタイヤ軸方向の幅W12は、タイヤ周方向の中央部分23cから両端部23tに向かって小さくなるため、センターブロック23の両端部23tは、センターブロック23の踏み込み時及び蹴り出し時に適度に変形することにより、路面に対する滑りが制抑される。これにより、センターブロック23の両端部23tに作用する摩耗エネルギーが低減されるので、耐偏摩耗性能が大きく向上する。なお、「六角形状」とは、ミドルブロック15の場合と同様に定義される。
センターブロック縦横比(LC/WC)は、ミドルブロック縦横比(LM/WM)よりも大であるのが望ましい。センターブロック縦横比(LC/WC)は、センターブロック23のタイヤ周方向の最大長さ(LC)とタイヤ軸方向の最大幅(WC)との比である。即ち、トレッド部2のプロファイル等に基づき、直進走行時では、センターブロック23の接地圧がミドルブロック15の接地圧よりも一般的に大きい。そして、縦横比は、ブロックの全体的なタイヤ周方向剛性と相関を有しており、縦横比が大きいブロックほど、大きなタイヤ周方向剛性を持つ。従って、センターブロック縦横比をミドルブロック縦横比よりも大と規定することにより、接地圧分布に応じたブロックのタイヤ周方向剛性を調整することができる。これにより、センターブロック23とミドルブロック15との間で、とりわけ、ヒールアンドトウ摩耗の摩耗差を無くし均一摩耗に近づけることができる。上述の作用を効果的に発揮させる観点より、センターブロック縦横比(LC/WC)は、2.0〜2.6が望ましい。
センターブロック23には、本実施形態では、センター主溝5とミドル主溝4との間を継ぐオープンタイプのセンターサイプ25が設けられている。このようなセンターサイプ25は、排水し難いタイヤ赤道上のセンターブロック23の踏面の水膜を吸収するのでウェット性能を向上し得る。
センターサイプ25は、センター横溝21と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。これにより、センターブロック23のタイヤ周方向の剛性をタイヤ軸方向に沿って均等に確保することができるので、センターサイプ25の両側のセンターブロック23の摩耗の差を小さくすることができる。また、このようなセンターサイプ25は、センターブロック23のタイヤ周方向のブロック縁23e、23eの接地時、サイプの壁面を閉じる向きに変形するので、センターブロックの剛性を高く確保しうる。このような作用を一層高めるため、センターサイプ25は、センター横溝21と同じ角度で傾斜するのが望ましい。
以上、本発明の重荷重用空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。
図1の基本パターンを有するサイズ275/80R22.5のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの耐偏摩耗性能、ウェット性能、及び、雪路性能がテストされた。各試供タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
トレッド幅TW:231mm
各主溝の溝深さ:16.5mm
各主溝の角度θ1乃至θ4:一定
各横溝のタイヤ周方向ピッチ:一定
センター主溝のセンター主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅:Wc(図示省略)
テスト方法は、次の通りである。
<耐偏摩耗性能>
各テストタイヤが、下記の条件で、10屯積み2−D車の全輪に装着され、テストドライバーが、上記車両を乾燥アスファルト路面のテストコースを60000km走行させた。そして、後輪のセンターブロック、ミドルブロック及びショルダーブロックのタイヤ周方向両側の摩耗量の差、及び、タイヤ軸方向両側の摩耗量の差が測定された。測定は、各ブロックについて、タイヤ周方向に略等ピッチな8個のブロックが用いられた。結果は、全測定値の平均値で表示している。数値が小さいほど良好である。
リム(全輪):7.50×22.5
内圧(全輪):900kPa
積載荷重:5トン(荷台前方に積載)
<雪路性能・ウェット性能>
テストドライバーが、上記車両を、圧雪路面のテストコース又は水深6mmの水たまりを設けたウェットアスファルト路面のテストコースを走行させた。そして、このときのハンドル安定性、トラクション及びグリップ等に関する走行特性がテストドライバーの官能により評価された。結果は、実施例1を100とする評点で表示している。数値が大きいほど良好である。テストドライバーが顕著な性能差を認めるものについては、10ポイントの差が付され、明らかな性能差を認めるものについては、5ポイントの差が付された。3ポイント以下の差のものは、同乗者が気付き難い程度の差である。数値が大きいほど、良好である。
テストの結果が表1に示される。
Figure 2016141249
Figure 2016141249
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて耐偏摩耗性能、雪路性能及びウェット性能がバランス良く向上していることが確認できる。また、タイヤサイズを変化させてテストを行ったが、このテスト結果と同じであった。
1 重荷重用空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 ショルダー主溝
3e ショルダー主溝の溝縁
4 ミドル主溝
4e ミドル主溝の溝縁
10 ショルダー主溝直線領域
11 ミドル主溝直線領域
15 ミドルブロック
Wa ショルダー主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅
Wb ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅

Claims (6)

  1. トレッド部に、最もトレッド端側でタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびるショルダー主溝と、前記ショルダー主溝とタイヤ軸方向の内側で隣接してタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびるミドル主溝と、前記ミドル主溝と前記ショルダー主溝との間に、タイヤ軸方向の幅が増減を繰り返しながらタイヤ周方向にのびるミドル陸部とが形成された重荷重用空気入りタイヤであって、
    前記ミドル陸部は、前記ミドル主溝がタイヤ軸方向外側に凸となる頂部と前記ショルダー主溝がタイヤ軸方向内側に凸となる頂部とを継ぐ複数本のミドル横溝によって、タイヤ周方向に並ぶ踏面が六角形状のミドルブロックに区分され、
    前記ミドル主溝は、前記ミドル主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行に前記ミドル主溝内をタイヤ周方向に連続するミドル主溝直線領域を含み、
    前記ショルダー主溝は、前記ショルダー主溝の両側の溝縁と接することなくタイヤ周方向と平行に前記ショルダー主溝内をタイヤ周方向に連続するショルダー主溝直線領域を含み、
    前記ミドル主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅は、ショルダー前記主溝直線領域のタイヤ軸方向の幅よりも小さいことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部には、タイヤ赤道上をタイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる1本のセンター主溝と、前記センター主溝と前記ミドル主溝とを継ぐセンター横溝と、前記ショルダー主溝と前記トレッド端とを継ぐショルダー横溝とが設けられ、
    前記センター横溝の溝幅は、前記ミドル横溝の溝幅よりも小さく、
    前記ショルダー横溝の溝幅は、前記ミドル横溝の溝幅よりも大きい請求項1記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. 前記ミドル横溝の溝深さは、前記ショルダー主溝の溝深さよりも小さい請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  4. 前記ミドル横溝の溝幅は、前記ショルダー主溝の溝幅よりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  5. 前記ミドル横溝は、一対のミドル横溝壁を有し、前記各ミドル横溝壁の傾斜角度は、6〜18度である請求項1乃至4のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  6. 前記ミドルブロックのタイヤ周方向の最大長さLMとタイヤ軸方向の最大幅WMとの比であるブロック縦横比LM/WMは、1.9〜2.5である請求項1乃至5のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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