JP2016131196A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却器の端部に生じる反りを抑制し、絶縁樹脂シートの剥離や破壊が発生するおそれを低減させた半導体装置を提供する。【解決手段】本発明の半導体装置は、少なくとも1つの主面に放熱部材が接合された半導体素子を放熱部材の一部を露出させて第1の樹脂部材で封止した半導体モジュールと、放熱部材の露出部を含む半導体モジュールの放熱面に内側表面が接合される絶縁樹脂シートと、絶縁樹脂シートの半導体モジュールが接合されていない外側表面に内側表面が接合される冷却器とを備えている。少なくとも、半導体モジュールの側面、絶縁樹脂シートの側面、冷却器の側面、および冷却器の絶縁樹脂シートが接合されていない外側表面の一部は、第2の樹脂部材で覆われている。【選択図】図2A

Description

本発明は、半導体素子を封止した半導体モジュールと、当該半導体素子を冷却する冷却器とを備えた半導体装置に関する。
半導体装置として、半導体素子に、放熱部材、絶縁樹脂シート、および冷却器が、順に接合された構造が知られている。半導体素子および放熱部材は、樹脂部材で封止されて半導体モジュールとしてパッケージ化されている。例えば、特許文献1を参照。
特開2011−077464号公報
上記構造の半導体装置では、半導体モジュールに用いられた樹脂部材の線膨張係数と、冷却器の線膨張係数とが、異なる場合がある。半導体モジュールと冷却器との線膨張係数が異なると、半導体装置に冷熱ストレスが加わったときに半導体モジュールと冷却器との間で線膨張に差が生じる。この線膨張の差は、例えば高温状態から温度が低下していく過程で、冷却器の端部を外側(半導体モジュールが接合されていない面側)に反らせる原因になるおそれがある。冷却器の端部に反りが生じると、冷却器が絶縁樹脂シートと接合する境界部分に高い応力がかかる。このため、絶縁樹脂シートの剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みて、冷却器の端部に生じる反りを抑制し、絶縁樹脂シートの剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれを低減させた半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、少なくとも1つの主面に放熱部材が接合された半導体素子を放熱部材の一部を露出させて第1の樹脂部材で封止した半導体モジュールと、放熱部材の露出部を含む半導体モジュールの放熱面に内側表面が接合される絶縁樹脂シートと、絶縁樹脂シートの半導体モジュールが接合されていない外側表面に内側表面が接合される冷却器とを備え、少なくとも、半導体モジュールの側面、絶縁樹脂シートの側面、冷却器の側面、および冷却器の絶縁樹脂シートが接合されていない外側表面の一部が、第2の樹脂部材で覆われていることを特徴とする。
この本発明の半導体装置によれば、半導体モジュール、絶縁樹脂シート、および冷却器の側部に加え、冷却器の外側表面の一部も樹脂部材で一体的に覆っている。このため、半導体装置が高温から低温に遷移したときなどには、第2の樹脂部材が収縮する力が冷却器の外側表面にもかかる。よって、半導体モジュールと冷却器との間の線膨張差によって生じる冷却器の端部が外側に反ろうとする力を、抑制できる。これにより、冷却器の変形に伴う絶縁樹脂シートにかかる応力を、低減させることができる。従って、絶縁樹脂シートの剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれを低減できる。
以上述べたように、本発明の半導体装置によれば、冷却器の端部に生じる反りを抑制し、絶縁樹脂シートの剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれを低減できる。
本発明の一実施形態に係る半導体装置の外観平面を示す図 図1の半導体装置におけるA−A線断面を示す図 図1の半導体装置におけるB−B線断面を示す図 半導体装置を用いた連結構造例1の断面を示す図 半導体装置を用いた連結構造例2の断面を示す図 図4の連結構造例2に用いる半導体装置を含む単体構造の平面および断面を示す図 半導体装置の作用および効果を説明する図 半導体装置の作用および効果を説明する図 半導体装置の変形例を説明する図
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体装置の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る半導体装置は、冷却器の端部を樹脂部材で覆っている。例えば、半導体素子が封止された半導体モジュールの端部、絶縁樹脂シートの端部、および冷却器の端部を、一体的に樹脂部材で覆う。特に、冷却器の端部は、側面だけでなく外側表面(半導体モジュールが接合されていない表面)の一部も覆っている。この構造により、冷熱ストレスが加わって半導体モジュールと冷却器との間で線膨張に差が生じても、各端部を覆った樹脂部材によって冷却器の反りを抑制できる。これにより、絶縁樹脂シートにかかる応力を低減させることができる。従って、本発明に係る半導体装置は、絶縁樹脂シートの剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれを低減できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の単体構造の外観を概略的に示す平面図である。図2Aは、図1に示した半導体装置1におけるA−A線断面を概略的に示す図である。図2Bは、図1に示した半導体装置1におけるB−B線断面を概略的に示す図である。図3および図4は、本実施形態に係る半導体装置1を複数連結させて使用した連結構造例1および連結構造例2の断面を概略的に示す図である。図5は、図4に示した連結構造例2に用いられる半導体装置1を含む単体構造の平面および断面を示す図である。
[半導体装置の単体構造]
本実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子12、複数の放熱板13、複数の絶縁樹脂シート14、複数の冷却器15、一次成形樹脂部材16、二次成形樹脂部材17、および複数のリード端子20を備えている。半導体素子12の両主面には、それぞれ、放熱板13、絶縁樹脂シート14、および冷却器15が順に接合されている。以下、この接合の方向を「高さ方向」と表現し、高さ方向と直交する方向を「幅方向」と表現する。また、高さ方向および幅方向において、半導体素子12に向く側または近づく側を「内側」と、半導体素子12を背にする側または遠ざかる側を「外側」と、表現する。半導体素子12、複数の放熱板13、および複数のリード端子20の一方端は、一次成形樹脂部材16によって封止されて、半導体モジュール10としてパッケージ化されている。半導体モジュール10、絶縁樹脂シート14、および冷却器15は、端部(後述する)が二次成形樹脂部材17で覆われている。
なお、図1、図2A、および図2Bに示した半導体装置1の構造は一例である。よって、半導体装置1が備える冷却機構(放熱板13、絶縁樹脂シート14、冷却器15)は、半導体素子12の少なくとも一方の主面側にだけ設けられてもよい。また、半導体装置1における各構成の形状や配置(例えば、半導体モジュール10のパッケージ形状、冷却器15のフィンの数や形状、リード端子20の本数や位置など)も、本実施形態の図面によって限定されるものではない。
半導体素子12は、例えばパワートランジスタなどの、動作時に発熱する発熱性を持った半導体素子である。半導体素子12は、2つの主面を有する略四角平板の形状をしている。半導体素子12の各主面は、例えば半田などの接合部材やスペーサ部材などを介して、複数の放熱板13とそれぞれ接合されている。半導体素子12の端子は、図2Bの垂直断面視で示すように、導電性を有するリード端子20の一方端とボンディングワイヤーや半田などの接合部材で電気的に接続されている。リード端子20の他方端は、図示しない外部の回路基板と電気的に接続されている。
放熱板13は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの熱伝導性に優れた材料で構成される放熱部材である。放熱板13は、2つの表面および表面に接する4つの側面からなる略平板の形状をしている。放熱板13の内側表面は、半導体素子12の主面と接合されている。この放熱板13は、接合している半導体素子12で発生した熱を冷却器15に逃がす、いわゆるヒートスプレッダーとしての役割を有する。
一次成形樹脂部材16は、例えばエポキシ樹脂などの材料で構成される。一次成形樹脂部材16は、半導体素子12、半導体素子12の両主面に接合された複数の放熱板13、および半導体素子12に接続された複数のリード端子20の一方端を封止することで、半導体モジュール10を形成している。この際、放熱板13の外側表面(半導体素子12が接合されていない表面)は、一次成形樹脂部材16で覆われておらず、半導体モジュール10のパッケージ外部に露出している。この放熱板13の半導体モジュール10のパッケージ外部に露出している部分を、露出部という。この一次成形樹脂部材16を使用した封止には、例えば周知のトランスファーモジュール方式を用いることができる。
絶縁樹脂シート14は、例えば高い熱伝導性を有した熱硬化樹脂材料で構成される。絶縁樹脂シート14は、2つの表面および表面に接する4つの側面からなる略平板の形状をしている。この絶縁樹脂シート14は、放熱板13の表面よりも大きな表面を有している。絶縁樹脂シート14は、内側表面が放熱板13の露出部を覆うように、放熱板13の外側表面に接合される。具体的には、図2Aに示す垂直断面視のように、絶縁樹脂シート14の側面14sの位置を、放熱板13の側面13sの位置よりも、幅方向外側に設ける。なお、絶縁樹脂シート14の側面14sの位置は、半導体モジュール10の側面10sの位置と同じまたはそれより幅方向内側に設けられる。
絶縁樹脂シート14は、その高い熱伝導性によって放熱板13の熱を冷却器15に伝える役割を担う。加えて、絶縁樹脂シート14は、放熱板13と冷却器15とを電気的に絶縁する役割をも担う。高い熱伝導性を有した樹脂としては、高熱伝導セラミックを含有したアルミナ(Al)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)などを内部に充填した樹脂などが挙げられる。
冷却器15は、例えば銅やアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料で構成されるヒートシンクである。この冷却器15は、2つの表面および表面に接する4つの側面からなる略平板状の冷却天板15aと、略円柱状の複数の冷却フィン15fとで、構成される。複数の冷却フィン15fは、冷却天板15aの外側表面15r上の所定領域に、立設されている。所定領域は、外側表面15r上における、側面15sから予め定めた距離までの範囲を除いた領域である。冷却器15の冷却天板15aは、絶縁樹脂シート14と同じまたはそれ以上の大きさを有している。そして、冷却器15は、絶縁樹脂シート14を覆うようにして、冷却天板15aの内側表面(複数の冷却フィン15fが設けられていない表面)が、絶縁樹脂シート14の外側表面に接合される。
例えば、図2Aに示す垂直断面視では、冷却器15の側面15sの位置を、絶縁樹脂シート14の側面14sと同じ位置にしている。冷却器15は、その優れた熱伝導性によって、接合される半導体モジュール10(放熱板13)から絶縁樹脂シート14を介して伝わる熱を、半導体モジュール10の外部に放出させる役割を有する。
二次成形樹脂部材17は、例えばエポキシ樹脂などの材料で構成される。この二次成形樹脂部材17の線膨張係数は、半導体モジュール10に用いた一次成形樹脂部材16の線膨張係数および冷却器15の線膨張係数よりも大きい。二次成形樹脂部材17は、半導体モジュール10の端部、絶縁樹脂シート14の端部、および冷却器15の端部を、一体的に覆う形状で形成される。半導体モジュール10の端部には、側面10sが少なくとも含まれ、絶縁樹脂シート14の大きさに応じて放熱面の一部が含まれる。絶縁樹脂シート14の端部には、側面14sが含まれる。冷却器15の端部には、側面15sおよび外側表面15rの一部が少なくとも含まれ、絶縁樹脂シート14の大きさに応じて内側表面の一部も含まれる。
例えば、図2Aに示す垂直断面視では、半導体モジュール10の側面10sおよび放熱面の一部と、絶縁樹脂シート14の側面14sと、および冷却器15の側面15sおよび外側表面15rの一部とが、二次成形樹脂部材17で覆われている。冷却器15の外側表面15rは、冷却フィン15fが立設されていない平坦な部分が二次成形樹脂部材17で覆われている。
二次成形樹脂部材17の高さ方向は、冷却器15の冷却フィン15fを越えないように形成される。すなわち、図2Aの垂直断面視で示すように、冷却器15の外側表面15rを覆う部分の二次成形樹脂部材17の厚さh2は、冷却フィン15fの高さh1よりも薄くなっている(h1>h2)。また、二次成形樹脂部材17の幅方向は、図2Bの垂直断面視で示すように、複数のリード端子20の他方端が外部に突出する幅で形成されている。
[半導体装置の連結構造]
図3および図4に、3つの半導体装置1を高さ方向に連結させた構造の装置を例示する。このような連結構造は、例えば三相インバータ回路を構成する上下アーム用の半導体装置などに用いられる。図示するような連結構造では、冷却器15の放熱効率が低下する。このため、放熱効率を向上させるために、この連結構造の装置では、半導体装置1のリード端子が設けられていない側面に冷却水路30を設け、冷却水路30に冷却水を流して冷却器15(の複数の冷却フィン15f)を冷却している。
<連結構造例1>
図3に示す連結構造例1の装置は、まず、二次成形樹脂部材17で半導体モジュール10の端部、絶縁樹脂シート14の端部、および冷却器15の端部を一体的に覆った半導体装置1を、高さ方向に3つ連結させる。その後、次工程において、3つ連結させた半導体装置1を囲む外壁を、長手方向に冷却水路30を確保しつつ、三次成形樹脂部材19で形成する。これにより、図3に示す連結構造例1の装置が一括成形される。一括成形には、周知の方法を用いることができる。三次成形樹脂部材19は、二次成形樹脂部材17と同じ材料でも異なる材料でもよい。
<連結構造例2>
図4に示す連結構造例2の装置は、まず、二次成形樹脂部材17で半導体モジュール10の端部、絶縁樹脂シート14の端部、および冷却器15の端部を一体的に覆う工程において、半導体装置1の幅方向の周囲に外壁18を一緒に形成する。二次成形樹脂部材17と外壁18とは、半導体装置1のリード端子が設けられていない幅方向が冷却水路30の幅だけ離間している。この外壁18が形成された半導体装置1の外観平面図を図5(a)に、図5(a)におけるC−C線断面図5(b)に示す。外壁18の高さ方向の両面には、凹部18aが設けられている。外壁18は、二次成形樹脂部材17と同じ材料が好ましいが、異なる材料であってもよい。
次に、外壁18を有する半導体装置1を、高さ方向に3つ連結させる。その際、連結された2つの半導体装置1の外壁18間に形成される凹部18aの空間には、金属板21とシール部材22とが挿入される。金属板21は、半導体装置1の幅方向を囲む環状の部材であり、シール部材22が接触する位置に設けられる。この金属板21は、外壁18がクリープ変形した場合におけるシール性能の劣化を抑制する機能を有する。金属板21は、外壁18の連結時に凹部18aに挿入されてもよいし、外壁18を成形する際にインサート手法によって外壁18内に埋め込まれてもよい。シール部材22は、例えばパッキン(Oリングなど)やガスケットなどであり、金属板21に接触することで外壁18の隙間から冷却水が漏れることを防止する。これにより、図4に示す連結構造例2の装置が成形される。
なお、図3および図4の装置例では、冷却器15同士を接触させて連結しているが、冷却器15が離れていてもよい。また、図4で示した外壁18の凹部18aは、高さ方向の片面だけに設けてもよいし、また設けなくてもよい。また、図4で示した金属板21は、凹部18aによって形成される空間の、高さ方向上下の両方に設けられてもよい。
[半導体装置の作用および効果]
図6Aおよび図6Bを参照して、上述した本実施形態に係る半導体装置1の作用および効果を説明する。図6Aは、図2Aに示した半導体装置1のA−A線断面図における作用および効果を示す図である。図6Bは、図2Bに示した半導体装置1のB−B線断面図における作用および効果を示す図である。
図6Aの破線円Dを参照する。本実施形態に係る半導体装置1の構成によれば、半導体モジュール10の端部、絶縁樹脂シート14の端部、および冷却器15の端部を、二次成形樹脂部材17で一体的に覆っている。特に、冷却器15の端部としては、側面15sだけでなく第2の底面15rの一部も覆われている。また、二次成形樹脂部材17の線膨張係数(例えば30ppm/K)を、半導体モジュール10に用いた一次成形樹脂部材16の線膨張係数(例えば14ppm/K)および冷却器15の線膨張係数(例えば23ppm/K)よりも大きくしている。
このため、高温から低温に遷移したときなど、半導体モジュール10と冷却器15との間の線膨張差(実線矢印)によって、冷却器15の端部が高さ方向外側に反ろうとする力(点線矢印)が生じたとしても、線膨張が最も大きい二次成形樹脂部材17が収縮する力(白抜矢印)が働く。よって、二次成形樹脂部材17が収縮する力(白抜矢印)によって、冷却器15の端部が高さ方向外側に反ろうとする力(点線矢印)を抑制できる。これにより、冷却器15の変形に伴う絶縁樹脂シート14にかかる応力を、低減させることができる。従って、絶縁樹脂シート14の剥離や破壊(クラックなど)が発生するおそれを低減できる。よって、絶縁樹脂シート14の冷熱耐久性を向上させることができる。
図6Aの破線円Eを参照する。本実施形態に係る半導体装置1の構成によれば、絶縁樹脂シート14の側面14sと、冷却器15の側面15sおよび外側表面15rの一部とを、二次成形樹脂部材17で一体的に覆っている。このため、樹脂部材外の空間から絶縁樹脂シート14までの最短経路は、実線矢印の経路となる。よって、半導体装置1が冷却水を用いて冷却器15を冷却する構造(上記の連結構造など)に用いられるような場合、冷却水が絶縁樹脂シート14まで滲み込んで絶縁樹脂シート14が吸湿してしまうことを遅らせることができる。これにより、絶縁樹脂シート14の酸化を抑制でき、吸湿や熱に起因する接着強度の低下も抑制することができる。従って、絶縁樹脂シート14の冷熱耐久性を向上させることができる。
図6Aの破線円Fを参照する。本実施形態に係る半導体装置1の構成によれば、絶縁樹脂シート14の側面14sの位置を、放熱板13の側面13sの位置よりも、幅方向外側に設けている。このため、絶縁樹脂シート14と半導体モジュール10の一次成形樹脂部材16とが直接接着する領域(×印部)が生じる。よって、半導体装置1が冷却水を用いて冷却器15を冷却する構造(上記の連結構造など)に用いられるような場合、この直接接着する領域によって、放熱板13の側面13sまで冷却水が滲み込んで吸湿してしまうことを防止することができる(実線矢印)。これにより、絶縁樹脂シート14の剥離を防止することができる。従って、絶縁樹脂シート14の剥離を起因とする半田クラックを防止することができる。
図6Bの破線円Gを参照する。本実施形態に係る半導体装置1の構成によれば、半導体モジュール10の端部、絶縁樹脂シート14の端部、および冷却器15の端部を、二次成形樹脂部材17で一体的に覆っている。特に、冷却器15の端部としては、側面15sだけでなく第2の底面15rの一部も覆われている。このため、冷却器15とリード端子20との間の沿面距離は、二次成形樹脂部材17で覆わない構造での距離(点線矢印;例えば2.5mm)に比べて、二次成形樹脂部材17で覆った本構造の距離(実線矢印;例えば12mm)の方が長くなる。よって、半導体装置1の絶縁性能が向上する。また、二次成形樹脂部材17で沿面距離を確保できるため、二次成形樹脂部材17の形状を工夫すれば装置の小型化も可能である。
なお、発明者が行った冷熱耐久試験(−40℃⇔125℃)では、下記の表に示すように、本実施形態に係る半導体装置1の構造では、3000サイクル経過時に5つの試料(絶縁樹脂シート)にクラックの発生がなかったことを確認できた。
Figure 2016131196
また、本実施形態に係る二次成形樹脂部材17を用いた半導体装置1は、従来の二次成形樹脂部材17を用いない半導体装置と比べて、構造体積(体格)をおおよそ20%も低減できることが確認できた。
[半導体装置の変形例]
上述した半導体装置1の変形例を、図7を参照して幾つか説明する。この変形例は、冷却器15の形状に関わるものである。
<変形例1>
図7(a)に、変形例1による半導体装置2の構造断面を示す。この変形例1による半導体装置2では、上述した半導体装置1に比べて、冷却器15の端部がさらに幅方向外側に伸びている。図7(a)の例では、冷却器15の側部15sが半導体モジュール10の側部10sよりも外側に位置している。
この変形例1の構造によれば、二次成形樹脂部材17が冷却天板15aに接着する面積を、大きくすることができる。よって、冷却器15と二次成形樹脂部材17との接着性が向上する。
<変形例2>
図7(b)に、変形例2による半導体装置3の構造断面を示す。この変形例2による半導体装置3では、冷却器15に設けられた複数の冷却フィン15fのうち最も外側にある冷却フィン15fを、二次成形樹脂部材17で覆っている。この構造の場合、図7(b)に示すように、最も外側にある冷却フィン15fの高さh3は、二次成形樹脂部材17の外側表面15rの一部を覆う厚さh2よりも薄くする(h2>h3)。この冷却フィン15fおよび15fは、同じ工程で成形することができる。
この変形例2の構造によれば、二次成形樹脂部材17が冷却天板15aに接着する面積を、大きくすることができる。よって、冷却器15と二次成形樹脂部材17との接着性が向上する。また、樹脂外の空間から絶縁樹脂シート14までの最短経路を、上述した半導体装置1に比べて長くすることができる。よって、冷却水が絶縁樹脂シート14まで滲み込んで絶縁樹脂シート14が吸湿してしまうことを遅らせることができる。これにより、絶縁樹脂シート14の酸化を抑制でき、吸湿や熱に起因する接着強度の低下も抑制することができる。従って、絶縁樹脂シート14の冷熱耐久性を向上させることができる。
<変形例3>
図7(c)に、変形例3による半導体装置4の構造断面を示す。この変形例3による半導体装置4では、冷却器15に設けられた複数の冷却フィン15fのうち最も外側にある冷却フィン15fおよびその隣の2番目の冷却フィン15fを、二次成形樹脂部材17で覆っている。この構造の場合、図7(c)に示すように、最も外側および2番目にある冷却フィン15fおよび15fの高さh3は、二次成形樹脂部材17の外側表面15rの一部を覆う厚さh2よりも薄くする(h2>h3)。この冷却フィン15f、15f、および15fは、同じ工程で成形することができる。
この変形例3の構造によれば、この変形例2の構造の効果よりも、冷却器15と二次成形樹脂部材17との接着性、絶縁樹脂シート14の吸湿遅延、酸化抑制、接着強度、および冷熱耐久性を、さらに向上させることができる。
<変形例4>
図7(d)に、変形例4による半導体装置5の構造断面を示す。この変形例4による半導体装置5は、上記変形例3による半導体装置4において、冷却天板15aの厚みを、冷却フィン15fと冷却フィン15fとの間の箇所だけ薄くしている。
この変形例4の構造によれば、この変形例3の構造の効果よりも、冷却器15と二次成形樹脂部材17との接着性、絶縁樹脂シート14の吸湿遅延、酸化抑制、接着強度、および冷熱耐久性を、さらに向上させることができる。
<変形例5>
図7(e)に、変形例5による半導体装置6の構造断面を示す。この変形例5による半導体装置6では、上記変形例4による半導体装置5において、冷却天板15aの厚みを、冷却フィン15fと側面15sとの間の箇所をさらに薄くしている。
この変形例5の構造によれば、この変形例4の構造の効果よりも、冷却器15と二次成形樹脂部材17との接着性、絶縁樹脂シート14の吸湿遅延、酸化抑制、接着強度、および冷熱耐久性を、さらに向上させることができる。さらに、冷却フィン15fから側面15sまでの冷却天板15aの厚みを薄くしているので、絶縁樹脂シート14の端部にかかる応力を低減できる。
発明者が行った応力シミュレーションの結果では、冷却フィン15fから側面15sまでの冷却天板15aの厚みを薄くした変形例5の構造は、厚みが均一の冷却天板15aを用いた構造に比べて、絶縁樹脂シート14の端部にかかる応力をおおよそ59%も低減できることを確認できた(下記の表を参照)。
Figure 2016131196
本発明は、半導体素子を封止した半導体モジュールと、当該半導体素子を冷却する冷却器とを備えた半導体装置などに利用可能である。
1〜6 半導体装置
10 半導体モジュール
12 半導体素子
13 放熱板(放熱部材)
14 絶縁樹脂シート
15 冷却器(ヒートシンク)
16 一次成形樹脂部材
17 二次成形樹脂部材
18 外壁
18a 凹部
19 三次形成樹脂部材
20 リード端子
21 金属板
22 シール部材
30 冷却水路

Claims (1)

  1. 半導体装置であって、
    少なくとも1つの主面に放熱部材が接合された半導体素子を、当該放熱部材の一部を露出させて、第1の樹脂部材で封止した半導体モジュールと、
    前記放熱部材の露出部を含む前記半導体モジュールの放熱面に、内側表面が接合される絶縁樹脂シートと、
    前記絶縁樹脂シートの前記半導体モジュールが接合されていない外側表面に、内側表面が接合される冷却器とを備え、
    少なくとも、前記半導体モジュールの側面、前記絶縁樹脂シートの側面、前記冷却器の側面、および前記冷却器の前記絶縁樹脂シートが接合されていない外側表面の一部が、第2の樹脂部材で覆われていることを特徴とする、半導体装置。
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