JP2016128539A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法及びポリアリーレンスルフィド - Google Patents

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Abstract

【課題】有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるポリアリーレンスルフィド(PAS)の製造方法において、高重合度のPASを高収率で得ることができ、かつ廃棄処理等の負担が大きい副生成物の発生を効果的に減少できるPASの製造方法;及び高重合度のPASを提供すること。
【解決手段】以下の工程1〜3:
(1)有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する仕込み工程;(2)該仕込み混合物を170-280℃で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;並びに、(3)該プレポリマーを含有する反応系を245-290℃で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程;を含むPASの製造方法であって、相分離状態の反応系に多官能化合物を添加する前記のPASの製造方法:並びに、該方法により製造される溶融粘度(310℃、せん断速度1216sec−1)が0.1-8000Pa・sのPAS。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを、相分離重合工程を含む重合方法によって重合させるポリアリーレンスルフィドの製造方法及びポリアリーレンスルフィドに関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」ということがある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」ということがある。)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックである。PASは、押出成形、射出成形、圧縮成形などの一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において汎用されている。
PASの代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ということがある。)等の有機アミド溶媒中で、硫黄源と、p−ジクロロベンゼン(以下、「pDCB」ということがある。)等のジハロ芳香族化合物とを重合反応させる方法が知られている。
PASの用途の拡大、特に溶融加工による成形品用途の普及に伴い、製品特性や成形性等に優れるPASとして、例えば高重合度のPAS、具体的には高溶融粘度のPASが求められるようになってきた。分子中に3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物の存在下に重合反応させることにより得られるPASを含有する耐有機溶剤性に優れるPAS組成物(特許文献1)や、前記のポリハロ芳香族化合物の存在下に重合反応させることにより得られる、紡糸、延伸特性等に優れる分岐状PAS(特許文献2)が知られている。特許文献1及び2においては、ポリハロ芳香族化合物を重合反応の開始段階または前段重合工程において含有させるものとしている。
一方、PASの需要の拡大に伴って、PASの製造に際しての収率向上も求められている。特許文献3として、相分離重合工程後、重合反応系内の液相に、ジハロ芳香族化合物、トリハロ芳香族化合物等の芳香族化合物を加える工程、及び前記の液相を冷却する工程を備えることにより、溶融粘度を高水準に保持しつつ、高収率で粒状PASを得るPASの製造方法が開示されている。特許文献3には、具体例として、ジハロ芳香族化合物であるpDCBを、後段重合終了後(相分離工程後)に、NMP100モルに対して1.3モル添加し、次いで温度260℃から220℃まで0.8℃/分の冷却速度に制御して徐冷し、その後温度制御することなく室温付近まで冷却する方法が記載されている。
特許文献3にはまた、収率の向上に伴って、オリゴマーや微粉状PASの如き廃棄物を減量できることも開示されている。環境問題に対する関心が高まるもと、PASの製造方法としては、高重合度のPASの収率を更に向上させるとともに、産業廃棄物として無害化処理するために多くの費用と工程とを費やす必要がある、オリゴマーや微粉状PAS等の副生成物の発生を更に効果的に減少することができる方法が求められていた。
したがって、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるPASの製造方法において、高重合度のPASを高収率で得ることができ、かつ廃棄処理等の負担が大きい副生成物の発生を効果的に減少できるPASの製造方法を提供することが求められていた。
国際公開第2009/125556号 国際公開第2011/125480号 国際公開第2010/013545号
本発明の課題は、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるPASの製造方法において、高重合度のPASを高収率で得ることができ、かつ廃棄処理等の負担が大きい副生成物の発生を効果的に減少できるPASの製造方法、並びに高重合度のPASを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、PASの重合反応に伴って生成する副生成物のうち、その微小さ(400メッシュのスクリーンを通過する大きさである。)の故に取扱い性が悪い超微粉体状の副生成物が、種々のオリゴマー成分等を含有し組成が複雑であるために、廃棄処理等に当たり無害化するのに一層大きな費用と工程とを要するものであることに着目した。更に研究を進めた結果、本発明者らは、超微粉体状の副生成物に含有されるオリゴマー成分の一部を選択的に高重合度のPASに変化させることにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の工程(1)〜(3):
(1)有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する仕込み工程;
(2)該仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;並びに、
(3)該プレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程;
を含むPASの製造方法であって、相分離状態の反応系に多官能化合物を添加することを特徴とする前記のPASの製造方法;並びに、該方法により製造される溶融粘度(310℃、せん断速度1216sec−1)が0.1〜8,000Pa・sのPASが提供される。
本発明によれば、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるPASの製造方法において、高重合度のPASを高収率で得ることができ、かつ廃棄処理等の負担が大きい副生成物の発生を効果的に減少できるPASの製造方法、並びに高重合度のPASを提供することができるという効果が奏される。
1.硫黄源
本発明では、硫黄源として、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物の一方または両方を含有するものを使用することが好ましい。硫黄源としては、硫化水素も使用することができる。すなわち、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH)に硫化水素を吹き込むことにより、アルカリ金属水硫化物(例えば、NaSH)やアルカリ金属硫化物(例えば、NaS)を生成させることができる。硫黄源としては、アルカリ金属水硫化物または該アルカリ金属水硫化物を主成分として含有する硫黄源がより好ましい。
アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。アルカリ金属水硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手できる点で、水硫化ナトリウム及び水硫化リチウムが好ましい。本発明で使用するアルカリ金属水硫化物の中には、少量のアルカリ金属硫化物が含有されていてもよい。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、またはこれらの2種以上の混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。アルカリ金属硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手可能であって、かつ取り扱いが容易であることなどの観点から、硫化ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属硫化物は、アルカリ金属水硫化物中に副生物として含有されているもののほか、一般に、水和物として市販されているものも使用することができる。アルカリ金属硫化物の水和物としては、例えば、硫化ナトリウム9水塩、硫化ナトリウム5水塩などが挙げられる。
アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との総モル量が、PASの製造に直接関与する硫黄源(「仕込み硫黄源」または「有効硫黄源」ということがある。)のモル量となる。また、この総モル量は、仕込み工程に先立って脱水工程を配置する場合には、脱水工程後の硫黄源のモル量になる。
2.アルカリ金属水酸化物
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、工業的に安価に入手可能なことから、水酸化ナトリウム(NaOH)が好ましい。
3.ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、ジハロ芳香族化合物における2個のハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。ジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいジハロ芳香族化合物は、ハロゲン原子が塩素原子であるp−ジハロベンゼン、すなわちp−ジクロロベンゼン(pDCB)である。
4.分子量調節剤、分岐・架橋剤
生成されるPASに特定構造の末端を形成したり、または重合反応や分子量を調節したりするために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することもできる。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物として、好ましくはトリハロベンゼンが挙げられる。
5.有機アミド溶媒
本発明では、脱水反応及び重合反応の溶媒として、非プロトン性極性有機溶媒である有機アミド溶媒を用いる。有機アミド溶媒は、高温でアルカリに対して安定なものが好ましい。有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機アミド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、N−アルキルカプロラクタム化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。
6.重合助剤
本発明では、重合反応を促進させ、高重合度のPASを短時間で得るなどの目的のために、必要に応じて各種重合助剤を用いることができる。重合助剤としては、一般にPASの重合助剤として公知の有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、リン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。重合助剤の使用量は、用いる化合物の種類により異なるが、硫黄源(仕込み硫黄源)1モル当たり、一般に0.01〜10モルとなる範囲である。
7.相分離剤
本発明では特に、PASの重合工程において、重合反応を促進させて、高重合度のPASを短時間で得る観点から、反応混合物中に相分離剤を含有させる。すなわち、本発明のPASの製造方法は、相分離剤の存在下で行うPASの製造方法である。相分離剤は、重合反応がある程度進行した反応混合物(液相)をポリマー濃厚相(溶融PAS相)とポリマー希薄相(有機アミド溶媒相)の2相に液−液相分離させるために用いられる。相分離剤としては、一般にPASの相分離剤として公知のものを使用することができ、例えば、有機カルボン酸金属塩、有機スルホン酸金属塩、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸アルカリ金属塩、アルコール類、パラフィン系炭化水素類、及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。相分離剤は、単独で使用するだけでなく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。相分離剤の中でも、水、または、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、安息香酸リチウム等の有機カルボン酸金属塩、或いは、これらの組合せが好ましく、相分離剤の使用量は、用いる化合物の種類によって異なるが、有機アミド溶媒1kgに対し、通常0.01〜20モル、好ましくは0.1〜15モルの範囲内である。
相分離剤は、重合反応の初期から反応混合物中に存在させることができるが、重合反応の途中で添加してもよい。本発明においては、後段重合工程において、反応系内がポリマー濃厚相とポリマー希薄相とに相分離した状態で重合反応を継続する。
8.脱水工程
本発明のPASの製造方法においては、仕込み工程に先だって、脱水工程を配置して反応系内の水分量を調節することが好ましい。すなわち、硫黄源は、水和水(結晶水)などの水分を含んでいることが多い。硫黄源及びアルカリ金属水酸化物を水性混合物として使用する場合には、媒体として水を含有している。硫黄源とジハロ芳香族化合物との重合反応は、重合反応系に存在する水分量によって影響を受ける。したがって、重合反応系内の水分量を調節する脱水工程を配置することが好ましい。
脱水工程は、望ましくは不活性ガス雰囲気下で、有機アミド溶媒、硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物等)、硫黄源がアルカリ金属水硫化物を含む場合は更にアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、反応させることにより、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する。脱水工程は、通常反応缶内で行われ、留出物の系外への排出は、一般に反応缶外への排出により行われる。脱水工程で脱水されるべき水分とは、脱水工程で仕込んだ各原料が含有する水和水、水性混合物の水媒体、各原料間の反応により副生する水などである。
各原料の反応缶内への投入は、一般に、約20℃から約300℃、好ましくは約20℃から約200℃の温度範囲内で行われる。各原料の投入順序は、順不同でよく、また、脱水操作途中で各原料を追加投入してもよい。脱水工程では、媒体として有機アミド溶媒を用いる。脱水工程で使用する有機アミド溶媒は、重合工程で使用する有機アミド溶媒と同一のものであることが好ましく、工業的に入手が容易であることからN−メチル−2−ピロリドン(NMP)がより好ましい。有機アミド溶媒の使用量は、反応缶内に投入する硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg程度である。
脱水操作は、反応缶内へ原料を投入した後、前記各成分を含有する混合物を、通常300℃以下、好ましくは100〜250℃の温度範囲内で、通常15分間から24時間、好ましくは30分間〜10時間、加熱することにより行われる。
脱水工程では、加熱により水及び有機アミド溶媒が蒸気となって留出する。したがって、留出物には、水と有機アミド溶媒とが含まれる。留出物の一部は、有機アミド溶媒の系外への排出を抑制するために、系内に環流してもよいが、水分量を調節するために、水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する。
脱水工程では、硫黄源に起因する硫化水素が揮散する。すなわち、脱水工程において、前記混合物を加熱するとき、加熱によって硫黄源と水とが反応して、硫化水素とアルカリ金属水酸化物とが生成し、気体の硫化水素が揮散する。例えば、アルカリ金属水硫化物1モルと水1モルとが反応すると、硫化水素1モルとアルカリ金属水酸化物1モルとが生成する。水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出するのに伴い、揮散した硫化水素も系外に排出される。
脱水工程で系外に揮散する硫化水素によって、脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源の量は、投入した硫黄源の量よりも減少することとなる。アルカリ金属水硫化物を主成分とする硫黄源を使用すると、脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源の量は、投入した硫黄源のモル量から系外に揮散した硫化水素のモル量を差し引いた値と実質的に等しくなる。脱水工程後に系内に残存する混合物中の硫黄源を「有効硫黄源」と呼ぶことができる。この有効硫黄源は、仕込み工程とその後の重合工程における「仕込み硫黄源」に該当する。
脱水工程後の有効硫黄源は、アルカリ金属水硫化物及び/又はアルカリ金属硫化物等を含有する混合物であり、その具体的な形態については、特に限定されない。従来、有機アミド溶媒中でアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物とを加熱すると、in situ で反応してアルカリ金属硫化物が生成することが知られており、脱水工程においてアルカリ金属水酸化物を添加すると、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との反応によりアルカリ金属硫化物が生成していると推察される。
先に説明したように、脱水工程で最初に投入した硫黄源の量は、硫化水素の系外への揮散によって、脱水工程後に減少するから、系外に揮散した硫化水素の量に基づいて、脱水工程後に系内に残存する混合物中に含まれる硫黄源(有効硫黄源)の量を定量することが必要である。
脱水工程では、水和水や水媒体、副生水などの水分を必要量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、有効硫黄源1モル当たり、好ましくは0〜2モル、より好ましくは0.5〜2モル、更に好ましくは1〜1.8モルになるまで脱水することが望ましい。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、重合工程に先立つ仕込み工程において水を添加して所望の水分量に調節することができる。
アルカリ金属硫化物は、水との平衡反応によりアルカリ金属水酸化物を生成する。アルカリ金属水硫化物を主成分とする硫黄源を用いるPASの製造方法では、少量成分であるアルカリ金属硫化物の量を考慮して、有効硫黄源1モルに対するアルカリ金属水酸化物の仕込み量のモル比を算出する。また、アルカリ金属硫化物の場合、脱水工程で硫化水素が系外に揮散すると、揮散した硫化水素の2倍モルのアルカリ金属水酸化物が生成するので、脱水工程で系外に揮散した硫化水素の量も考慮して、有効硫黄源1モルに対するアルカリ金属水酸化物の仕込み量のモル比を算出する。
脱水工程においては、有機アミド溶媒、及び硫黄源、所望により更に硫黄源1モル当たり通常0.7〜1.05モル、多くの場合0.75〜1モルのアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出することが好ましい。なお、硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が小さすぎると、脱水工程で揮散する硫化水素の量が多くなり、仕込み硫黄源量の低下による生産性の低下を招いたり、脱水後に残存する仕込み硫黄源に過硫化成分が増加したりすることによる異常反応、生成されるPASの品質低下が起こりやすくなることがある。硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質が増大することがある。
脱水工程を行う装置は、通常後続する重合工程に用いられる重合槽(反応缶)と同じであるが、異なる装置でもよい。また、装置の材質は、チタンのような耐食性材料が好ましい。脱水工程では、通常、有機アミド溶媒の一部が水と同伴して反応缶外に排出される。
9.仕込み工程
仕込み工程では、有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物、所望により更にアルカリ金属水酸化物を含有する仕込み混合物を調製する。一般に、仕込み工程の前に脱水工程を配置することが多いため、仕込み工程での各成分量の調整は、脱水工程で得られた混合物中の各成分の量を考慮して行う。
仕込み工程において、硫黄源1モル当り、通常0.9〜1.5モル、好ましくは0.95〜1.2モル、より好ましくは0.99〜1.1モル、更に好ましくは1.00〜1.08モルのジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する。
仕込み工程において、硫黄源1モル当り、通常0〜2モル、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.6〜1.8モルの水を含有する仕込み混合物を調製する。
仕込み工程において、有機アミド溶媒は、硫黄源1モル当り、通常0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgを含有する仕込み混合物を調製する。有機アミド溶媒の量は、上記範囲内であれば、後に説明する重合工程の途中でその量を変化させてもよい。
所望によっては、仕込み工程において、硫黄源1モル当り、通常0.85〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、より好ましくは0.95〜1.09モル、更に好ましくは0.98〜1.06モルのアルカリ金属水酸化物を含有する仕込み混合物を調製する。硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比が大きすぎると、有機アミド溶媒の変質を増大させたり、重合時の異常反応や分解反応を引き起こしたりすることがある。前段重合工程では、硫黄源1モル当たりのアルカリ金属水酸化物のモル比を上記範囲内とすることにより、重合反応を安定的に実施し、高品質のPASを得ることが容易になる場合がある。
仕込み混合物の各成分の量比(モル比)の調整は、通常、脱水工程で得られた混合物中に、硫黄源以外の成分を添加することにより行う。例えば、脱水工程で得られた混合物中のアルカリ金属水酸化物や水の量が少ない場合には、仕込み工程でこれらの成分を追加する。ジハロ芳香族化合物は、仕込み工程で添加する。これにより仕込み混合物が調製される。
10.重合工程
本発明では、少なくとも前段重合工程と後段重合工程の2つの重合工程により重合反応を行う。すなわち、本発明における重合工程は、該仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;及び、該プレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程を含む。前段重合工程及び後段重合工程のそれぞれの重合反応時間は、一般に10分間〜72時間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間である。前段重合工程及び後段重合工程は、それぞれ温度条件を段階的に変化させたり、水やアルカリ金属水酸化物を分割して添加したりする複数の工程から構成されていてもよい。
前段重合工程では、通常、生成するポリマーを含む各成分が均一に溶解した反応系での重合反応が行われる。後段重合工程では、相分離剤の存在下で、ポリマー濃厚相とポリマー希薄相とに相分離した状態で重合反応が継続される。一般に、攪拌下に重合反応が行われるため、実際には、有機アミド溶媒(ポリマー希薄相)中に、ポリマー濃厚相が液滴として分散した状態で相分離重合反応が行われる。相分離状態は、後段重合反応の進行につれて明瞭に観察されるようになる。
重合反応方式は、バッチ式、連続式、または両方式の組み合わせでもよい。バッチ式重合では、重合サイクル時間を短縮する目的のために、2つ以上の重合槽を用いる方式を用いてもかまわない。
10−1.前段重合工程
前段重合工程では、前記の仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる。生成されるプレポリマーのジハロ芳香族化合物の転化率は、好ましくは80〜99%、より好ましく85〜99%である。ジハロ芳香族化合物の転化率は、反応混合物中に残存するジハロ芳香族化合物の量をガスクロマトグラフィにより求め、その残存量とジハロ芳香族化合物の仕込み量と硫黄源の仕込み量に基づいて算出することができる。
前段重合工程では、前記の仕込み混合物を用いて重合反応を開始する。この条件が守られる限りにおいて、重合反応の途中で、水、アルカリ金属水酸化物、有機アミド溶媒の少なくとも1種の量を変化させてもよい。例えば、重合途中で水やアルカリ金属水酸化物を反応系に加えることができる。通常は、仕込み工程で調製した仕込み混合物を用いて前段重合工程における重合反応を開始し、かつ前段重合反応を終了させることが好ましい。
前段重合工程における重合反応は、好ましくは180〜270℃、より好ましくは190〜267℃の温度範囲内で行われる。重合反応を行う温度が低すぎると、重合速度が遅くなりすぎる。逆に、280℃を越える高温になると、生成PASと有機アミド溶媒が分解を起こしやすく、生成するPASの重合度が極めて低くなる。高分子量(高溶融粘度)のPASを得るには、前段重合工程における重合温度を200〜265℃の範囲内に制御することがより好ましい。
10−2.後段重合工程
続いて、後段重合工程において、先に説明した前段重合工程で生成したプレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する。後段重合工程での重合温度は、通常前段重合工程より高い温度であり、好ましくは250〜280℃、より好ましくは255〜275℃である。後段重合工程での重合温度が低すぎると、相分離状態を発現しないため高重合度のPASが得られにくい。重合温度が高すぎると、生成PASや有機アミド溶媒が分解するおそれがある。重合温度は、一定の温度に維持することができるが、必要に応じて、後段重合工程中に段階的にまたは連続的に昇温または降温してもよい。
相分離剤の存在により、後段重合工程においては、重合反応系(重合反応混合物)は、ポリマー濃厚相(有機アミド溶媒中のポリマー濃度が高い相)とポリマー希薄相(有機アミド溶媒中のポリマー濃度が低い相)に相分離する。相分離は、相分離剤の添加時期の調整や重合温度の調整等により、後段重合工程の途中で生じさせてもよい。
相分離剤としては、この技術分野で相分離剤として機能することが知られている物質を用いることができ、具体的には先に説明したとおりであり、その使用量も先に説明したとおりである。したがって、後段重合工程において添加する相分離剤としては、コストが安価で、後処理の容易な水が好ましい。
後段重合工程において、相分離剤として水を添加する方法を採用する場合、反応系内の水分量が、有機アミド溶媒1kg当たり、通常4モル超過20モル以下、好ましくは4.1〜14モル、より好ましくは4.2〜10モルとなるように、水の量を調整する。この水分量は、硫黄源1モル当たり、通常2モル超過10モル以下、好ましくは2.3〜7モル、より好ましくは2.5〜5モルとなる量に相当することが多い。
10−3.多官能化合物の添加
本発明のPASの製造方法は、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程(以下、「相分離状態の後段重合工程」ということがある。)において、多官能化合物を添加することを特徴とする。相分離状態の後段重合工程において添加する多官能化合物とは、通常は生長反応が困難とされる重合度数十程度のオリゴマーまたは異常末端を有する副反応生成物、更には前段重合工程において生成されるプレポリマーの末端構造と反応することが可能な官能基を分子中に複数、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3有する化合物を意味する。多官能化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能化合物としては、前記の機能を有する限り特に限定されるものではなく、例えば、従来PASの製造方法において分岐・架橋剤として使用される化合物などを採用することができる。具体的には、官能基としては、ハロゲン基、チオール基(「メルカプト基」ということもある。)、カルボキシル基及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である官能基が挙げられる。したがって、多官能化合物としては、ハロゲン基、チオール基、カルボキシル基及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である官能基を有する化合物が好ましく挙げられ、これらの官能基の1種または2種以上を分子中に複数有する化合物が挙げられる。なお、通常は相分離状態の後段重合工程の重合温度において、有機アミド溶媒に可溶性の化合物が好ましく採用される。
前記のオリゴマーまたは副反応生成物の末端構造、更にはプレポリマーとの反応性や得られるPASの重合度(溶融粘度)や収率等の観点から、多官能化合物が、ポリハロ芳香族化合物、芳香族チオール化合物、芳香族カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。具体的には、トリハロ芳香族化合物(より具体的には、1,2,4−トリクロロベンゼン等)等のポリハロ芳香族化合物;ジハロ芳香族化合物(より具体的には、p−ジクロロベンゼン等);2,4−ジクロロベンゼンチオール(「DCB−SH」または「DCBT」ということもある。)、4,4’−チオビスベンゼンチオール(「BTTB」ということもある。)等の芳香族チオール化合物などが挙げられる。特に好ましい多官能化合物は、1,2,4−トリクロロベンゼン(「TCB」ということもある。)である。
相分離状態の後段重合工程において添加する多官能化合物の量は、硫黄源100モルに対して、通常0.01〜2モル、好ましくは0.05〜1モル、より好ましくは0.07〜0.8モル、特に好ましくは0.08〜0.7モルである。硫黄源100モル当たりの多官能化合物の量が少なすぎると、PASの収率の向上がみられない。多官能化合物の量が多すぎると、生産コストの増大や、架橋反応の過度の進行により、物性の望ましくない著しい変化が生じることがある。
相分離状態の後段重合工程において多官能化合物を添加する時期は、後段重合工程において、反応系が相分離状態で重合反応を行う重合温度である245〜290℃の温度に到達し、かつ、反応系が相分離状態となった時期以後であって、相分離状態の後段重合工程が終了する以前であれば、特に制限されない。好ましくは、反応系に相分離剤を添加した後、重合温度である245〜290℃の温度に到達した時期の直後である。多官能化合物を相分離後に反応系に添加することにより、該多官能化合物が希薄相に存在している上記のオリゴマーなどの成分と選択的に反応し、これらの反応物が濃厚相に取り込まれることにより、収率を向上させることができる。
本発明において使用する多官能化合物を、相分離状態の後段重合工程より前、例えば前段重合工程において添加すると、硫黄源とジハロ芳香族化合物とが重合反応してプレポリマーを生成するときに、多官能化合物が反応してしまうことにより、分岐または架橋を有するプレポリマーが形成される割合が高くなるので、収率の向上がみられず、物性も著しく変化する。他方、多官能化合物を、相分離状態の後段重合工程が終了した後に添加すると、既に重合反応が高水準で進行してしまっているため、十分な多官能化合物の反応時間を確保できず、PASの収率向上の効果が小さくなってしまうことが多い。
本発明で、相分離状態の後段重合工程において多官能化合物を添加することにより、高重合度のPASの収率が増大する効果が奏される理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように推察される。すなわち、重合生成物のうち、400メッシュ(目開き径38μm)のスクリーンを通過する超微粉体状の副生成物は、環状オリゴマー、低分子オリゴマー、異常末端を有するオリゴマー等の多様な成分を含有する。このうち、通常は生長反応が困難とされる重合度が数十程度の低分子オリゴマーや、異常末端を有するオリゴマー(以下、単に「オリゴマー等」ということがある。)は、相分離重合に際して、生成ポリマー希薄相中にほとんどが存在しているので、添加される多官能化合物と該希薄相中で選択的に反応することによりオリゴマー等が高分子量化して、所望の重合度を有するPASに転化することが可能となるものと推察される。すなわち、相分離状態の希薄相に、上記のオリゴマー等を選択的に存在させることにより、多官能化合物との反応が、効率よく生起され、進行する結果、所望の重合度を有するPASが得られるようになるものと考えられる。なお、前記の超微粉体状の副生成物に含有されている環状オリゴマーは化学的に安定であり、再結合反応を可能とすることは困難であると推定される。これらの機構により、本発明のPASの製造方法によれば、重合反応終了後に回収される重合反応生成物において、PASポリマーの収率が向上するとともに、超微粉体の重合反応生成物の割合が減少するものと推察される。本発明のPASの製造方法によれば、400メッシュ(目開き径38μm)のスクリーンを通過する(「400メッシュパス」ということもある。)超微粉体状の副生成物は、通常7%以下であり、好ましくは6.8%以下、より好ましくは6.6%以下とすることができる。
11.後処理工程及び回収工程
本発明のPASの製造方法において、重合反応後の後処理工程及び回収工程は、常法によって行うことができる。例えば、相分離状態の後段重合工程を含む重合反応の終了後、反応混合物を冷却することにより、粒状のポリマー生成物を含むスラリーが得られる。冷却した生成物スラリーをそのまま、または水などで希釈してから、濾別し、洗浄・濾過を繰り返して乾燥することにより、PASを回収することができる。
本発明の製造方法によれば、粒状のPASポリマーを生成させることができるため、例えばスクリーンを用いて篩分する方法により、粒状PASポリマーを、反応液から分離し、副生物やオリゴマーなどから容易に分離することができる。生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。具体的には、100メッシュ(目開き径150μm)のスクリーンにより分離される(「100メッシュオン」ということもある。)粒状PASポリマーを製品PASとすることができる。
上記濾別(篩分)後、重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類(例えば、アセトン)、アルコール類(例えば、メタノール)等の有機溶媒でPASを洗浄することが好ましい。高温水などでPASを洗浄してもよい。また、生成PASを、酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
また、前記の100メッシュ(目開き径150μm)のスクリーンを通過する(「100メッシュパス」ということもある。)生成物についても同様の洗浄等の処理を行い、更に400メッシュ(目開き径38μm)のスクリーンを使用して篩分することにより分離される(「400メッシュオン」ということもある。)、100メッシュパス400メッシュオンの微粉体と、400メッシュパスの超微粉体とを回収する。本発明によれば、微粉体及び超微粉体、中でも超微粉体の生成量が減少するので、産業廃棄物の減少による環境問題への寄与及び産業廃棄物処理費用の低減という効果も奏される。
12.ポリアリーレンスルフィド
本発明のPASの製造方法によれば、100メッシュオンとして通常85%以上、更には87%以上、所望によっては88%、更には90%以上の高い収率で粒状PASを得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、相分離状態の後段重合工程において多官能化合物を添加することにより、相分離状態の後段重合工程において多官能化合物を添加しない場合と比較して、0.5%以上の収率の向上、反応条件や多官能化合物の選択によっては1%以上、更には2%以上の収率の向上を実現することができる。さらに、この場合、先に説明したように、400メッシュパスの超微粉体状の副生成物を7%以下とすることができ、すなわち、本発明によれば、100メッシュオンが85%以上であり、かつ、400メッシュパスの超微粉体状の副生成物が7%以下であるPASの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によれば、温度310℃、せん断速度1,216sec−1で測定した溶融粘度が通常0.1〜8,000Pa・s、好ましくは1〜800Pa・s、より好ましくは5〜400Pa・s、更に好ましくは10〜300Pa・sの高重合度のPASを高い収率で得ることができる。本発明の製造方法によれば、所望により、PASの溶融粘度を25Pa・s以上或いは50Pa・s以上、更には60Pa・s以上とすることも可能である。また、本発明の製造方法により得られるPASは、平均粒径が通常120〜1,500μm、好ましくは150〜1,200μm、より好ましくは200〜1,000μmの粒状PASであるため、取扱い性にも優れ、広範な用途に使用することができ、所望によっては平均粒径が400μm以上の粒状PASとすることも可能である。
本発明の製造方法により得られるPASは、そのまま、または酸化架橋させた後、単独で、または所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂を配合し、種々の形状の射出成形品やシート、フィルム、繊維、パイプ等の押出成形品に成形することができる。本発明の製造方法により得られたPASは、色調が良好である。また、本発明の製造方法により得られたPASのコンパウンドは、揮発分の発生量が少なく、揮発分の抑制が期待される電子機器などの分野にも好適である。PASとしては、PPSが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各種特性や物性等の測定方法は、次のとおりである。
(1)収率
ポリマーの収率は、脱水工程後の反応缶中に存在する有効硫黄源の全てがポリマーに転換したと仮定したときのポリマー質量(理論量)を基準値とし、この基準値に対する実際に回収したポリマー質量の割合(質量%)を算出した。
(2)溶融粘度
ポリマーの溶融粘度は、乾燥ポリマー約20gを用いて、東洋精機製キャピログラフ1−Cを使用して測定した。この際、キャピラリーは、1mmφ×10mmLのフラットダイを使用し、設定温度は、310℃とした。ポリマー試料を装置に導入し、5分間保持した後、せん断速度1,216sec−1での溶融粘度(以下、「MV」と表記することがある。)を測定した(単位:Pa・s)。
(3)平均粒径
ポリマーの平均粒径は、100メッシュ(目開き径150μm)オンのポリマー粒子について、更に使用篩として、7メッシュ(目開き径2,800μm)、12メッシュ(目開き径1,410μm)、16メッシュ(目開き径1,000μm)、24メッシュ(目開き径710μm)、32メッシュ(目開き径500μm)、60メッシュ(目開き径250μm)及び80メッシュ(目開き径180μm)を使用する篩分法により測定した。
(4)微粉体及び超微粉体の回収量
回収工程において、100メッシュ(目開き径150μm)のスクリーンを通過する生成物について、更に400メッシュ(目開き径38μm)のスクリーンを使用して篩分することにより、100メッシュパス400メッシュオンの微粉体と、400メッシュパスの超微粉体とを回収し、その量を測定した。
[実施例1]
1.脱水工程:
硫黄源として、水硫化ナトリウム(NaSH)水溶液を用いた。チタン製20リットルオートクレーブ(反応缶)に、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略記)6,000g、62.42質量%の水硫化ナトリウム水溶液2,001g、73.58質量%の水酸化ナトリウム水溶液1,210gを投入した。水硫化ナトリウムと硫化ナトリウムとからなる硫黄源を「S」と表記すると、水酸化ナトリウム/硫黄源(NaOH/S)のモル比(モル/モル)は0.998であった。
反応缶内を窒素ガスで置換した後、約3時間かけて、撹拌機の回転数250rpmで撹拌しながら、徐々に200℃まで昇温して、水(HO)1,050g、NMP791g、及び硫化水素(HS)13.38g(0.39モル)を留出させた。
2.仕込み工程:
脱水工程の後、反応缶を温度150℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(以下、「pDCB」と略記する。)3,353g、NMP2,999g、純度97%水酸化ナトリウム4g、及び水201gを加えて仕込み混合物を調製したところ、缶内の温度は140℃に低下した。缶内のNMP/Sの比率(g/モル)は375であり、pDCB/S(モル/モル)は1.04であり、HO/S(モル/モル)は1.58であり、かつ、NaOH/S(モル/モル)は1.06であった。
3.重合工程:
(前段重合工程)
反応缶に備え付けた撹拌機を250rpmで回転して仕込み混合物を撹拌しながら220℃まで昇温し、次いで260℃まで90分間かけて昇温し重合反応させた。前段重合工程終了時におけるpDCBの転化率は、90%であった。
(後段重合工程及び多官能化合物の添加)
その後、撹拌機の回転数を400rpmに上げ、撹拌を続けながら、水446gを圧入し〔缶内の合計水量/NMPは7.2(モル/kg)であり、缶内の合計水量/有効Sは2.71(モル/モル)であった。〕、次いで、缶内の内容物を温度265℃まで昇温したところ、相分離状態となった。直ちに多官能化合物であるトリクロロベンゼン(TCB)21.0g〔TCB/S100モル=0.5(モル)〕、NMP219gを添加した後、温度265℃を維持して2時間重合反応させた。
4.後処理工程:
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、反応液を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分した。分離したポリマーについて、アセトンにより2回洗浄し、水洗を3回行った後、0.3%酢酸水洗を行い、さらに水洗を4回行って洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーは、105℃で13時間乾燥した。このようにして得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が109Pa・sで、平均粒径が971μmであり、PASポリマーの収率は92.4%であった。また、回収された微粉体は2.3%であり、同じく超微粉体は5.4%であった。
[実施例2]
相分離状態の後段重合工程において、TCB4.0g〔TCB/S100モル=0.1(モル)〕を添加したことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が33Pa・sで、平均粒径が410μmであり、ポリマーの収率は88.5%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、5.0%及び6.5%であった。
[実施例3]
相分離状態の後段重合工程において、多官能化合物であるTCBに代えて、DCB−SH19.6g〔DCB−SH/S100モル=0.5(モル)〕を添加したことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が77Pa・sで、平均粒径が580μmであり、ポリマーの収率は90.1%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、4.4%及び5.5%であった。
[実施例4]
相分離状態の後段重合工程において、多官能化合物であるTCBに代えて、BTTB5.5g〔BTTB/S100モル=0.1(モル)〕を添加したことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が28Pa・sで、平均粒径が407μmであり、ポリマーの収率は92.9%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、1.2%及び5.9%であった。
[比較例1]
相分離状態の後段重合工程において、多官能化合物であるTCBを添加しなかったことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が32Pa・sで、平均粒径が389μmであり、ポリマーの収率は88.0%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、4.4%及び7.6%であった。
[比較例2]
相分離状態の後段重合工程において多官能化合物であるTCBを添加するのに代えて、仕込み工程においてTCB21.1g〔TCB/S100モル=0.5(モル)〕を添加したこと、及び、p−DCB添加量を3,577g(pDCB/S(モル/モル)は1.112)に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が28Pa・sで、平均粒径が412μmであり、ポリマーの収率は89.0%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、3.5%及び7.5%であった。
[比較例3]
TCB12g〔TCB/S100モル=0.3(モル)〕を添加したこと、及び、p−DCB添加量を3,524g〔pDCB/S(モル/モル)は1.095〕に変更したことを除いて、比較例2と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が20Pa・sで、平均粒径が367μmであり、ポリマーの収率は89.7%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、1.8%及び8.5%であった。
[比較例4]
相分離状態の後段重合工程において、多官能化合物であるTCBを添加しなかったこと、及び、仕込み混合物の調製において、p−DCB添加量を3,287g〔pDCB/S(モル/モル)は1.02〕に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、重合工程及び後処理工程を実施して、粒状PASポリマーを得た。得られた粒状PASポリマーは、溶融粘度が105Pa・sで、平均粒径が901μmであり、ポリマーの収率は90.2%であった。また、回収された微粉体及び超微粉体はそれぞれ、0.8%及び9.0%であった。
実施例1〜4及び比較例1〜4について、多官能化合物の種類及びその添加時期と添加量、PASポリマー収率、溶融粘度(MV)及び平均粒径、並びに、微粉体及び超微粉体の回収量を表1に示す。
Figure 2016128539
表1から、以下の工程(1)〜(3):(1)有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する仕込み工程;(2)該仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;並びに、(3)該プレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程;を含むPASの製造方法であって、相分離状態の反応系に多官能化合物を添加する実施例1〜4のPASの製造方法によれば、PASポリマーの収率が88%を超え、かつ、MVが25Pa・s以上の高重合度で、平均粒径が400μm以上である粒状PASポリマーが得られるとともに、超微粉体が7%以下と減少していることが分かった。特に、多官能化合物としてTCBを0.5モル/S100モル添加する実施例1や、多官能化合物としてBTTBを0.1モル/S100モル添加する実施例4によれば、PASポリマーの収率が92%を超え、他方、超微粉体が6%以下であることから、相分離状態の後段重合工程において添加する多官能化合物の種類や添加量を選択することによって、オリゴマーを高分子量化させ収率を一層向上させたり、超微粉体の生成量を一層減少できることが分かった。
これに対して、多官能化合物の添加を行わなかった比較例1及び4においては、400メッシュパスの超微粉体(超微粉体状の副生成物)が7.6%及び9.0%と多量に生成していることが分かった。また、多官能化合物の添加を、相分離状態の後段重合工程ではなく、前段重合工程において行った比較例2及び3では、超微粉体が7.5%及び8.5%と比較例1と同程度またはそれ以上と多量に生成しており、多官能化合物の添加による効果が奏されていないことが分かった。
本発明のPASの製造方法によれば、微粉体状の重合生成物に含有される、通常生長反応が困難な重合度数十程度のオリゴマーや異常末端を有するオリゴマーなどが、後段重合工程で添加される多官能化合物の存在によって、相分離状態の生成ポリマー希薄相中において、再結合反応により高分子量化し、所望の重合度を有するPASに転化することが可能となったものと推察され、また、その結果、産業廃棄物として処理することが必要な超微粉体状の副生成物が減少し、PASポリマーの収率が向上したものと推察される。
本発明は、以下の工程(1)〜(3):
(1)有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する仕込み工程;
(2)該仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;並びに、
(3)該プレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程;
を含むPASの製造方法であって、相分離状態の反応系に多官能化合物を添加することを特徴とする前記のPASの製造方法であることによって、
有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させるPASの製造方法において、高重合度のPASを高収率で得ることができ、かつ廃棄処理等の負担が大きい副生成物の発生を効果的に減少できるPASの製造方法;並びに高重合度のPASを提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (12)

  1. 以下の工程(1)〜(3):
    (1)有機アミド溶媒、硫黄源、水、及びジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する仕込み工程;
    (2)該仕込み混合物を170〜280℃の温度で重合反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率が50%以上のプレポリマーを生成させる前段重合工程;並びに、
    (3)該プレポリマーを含有する反応系を245〜290℃の温度で、相分離状態で重合反応を継続する後段重合工程;
    を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法であって、
    相分離状態の反応系に多官能化合物を添加することを特徴とする前記のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 硫黄源が、アルカリ金属硫化物またはアルカリ金属水硫化物の一方または両方を含有する請求項1記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  3. 仕込み工程の前に、有機アミド溶媒、硫黄源、及びアルカリ金属水酸化物を含有する混合物を加熱して、該混合物を含有する系内から水を含む留出物の少なくとも一部を系外に排出する脱水工程を配置する請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 仕込み工程において、硫黄源1モル当り0.95〜1.2モルのジハロ芳香族化合物を含有する仕込み混合物を調製する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  5. 仕込み工程において、硫黄源1モル当り0.5〜2モルの水を含有する仕込み混合物を調製する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  6. 仕込み工程において、硫黄源1モル当り0.95〜1.09モルのアルカリ金属水酸化物を含有する仕込み混合物を調製する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  7. 硫黄源100モル当り、0.01〜2モルの多官能化合物を添加する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  8. 多官能化合物が、ハロゲン基、チオール基、カルボキシル基及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である官能基を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  9. 多官能化合物が、ポリハロ芳香族化合物、芳香族チオール化合物、芳香族カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  10. 相分離剤が、有機カルボン酸金属塩、有機スルホン酸金属塩、アルカリ金属ハライド、アルカリ土類金属ハライド、芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸アルカリ金属塩、アルコール類、パラフィン系炭化水素類、及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  11. 100メッシュオンが85%以上、かつ、400メッシュパスの超微粉体状の副生成物が7%以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法により製造される温度310℃及びせん断速度1216sec−1で測定した溶融粘度が0.1〜8,000Pa・sのポリアリーレンスルフィド。

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