JP2016125948A - 粒子分散液、標的物質の検出に用いるためのキット、及び標的物質の検出方法 - Google Patents

粒子分散液、標的物質の検出に用いるためのキット、及び標的物質の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫凝集法による検体中の標的物質の検出を高感度化する新たな技術を提供する。【解決手段】ナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有する水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液であって、前記ナフタレン骨格を有する前記低分子化合物が、アセチルナフタレンであり、前記担体粒子が、標的物質と結合可能な物質が担持されたアリール基を有するモノマー成分に由来するラテックス粒子であり、前記担体粒子と、検体とを、前記低分子化合物の存在下で接触させる免疫凝集法により標的物質を検出する工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、粒子分散液、標的物質の検出に用いるためのキット、及び標的物質の検出方法に関する。
抗原抗体反応を利用した免疫凝集法が、臨床検査、生化学研究等の種々の分野で広く活用されている。とりわけ、ラテックス凝集法に代表される担体を用いる免疫凝集法は、担体を使用せずに凝集反応を検出する方法に比べて検出感度等が良好であるため、免疫凝集法の主流となっている。
しかしながら、免疫凝集法は、化学発光免疫測定法等の他の測定方法と比較すると検出感度が不充分であると指摘されることがある。
そのため、免疫凝集促進剤として、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子が用いられているが(特許文献1及び2)が、更なる検出感度の改善が望まれている。
特開平08−278308号公報 特開2003−294753号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、免疫凝集法による検体中の標的物質の検出を高感度化する新たな技術を提供することにある。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液中にナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有せしめ、これを用いて免疫凝集法による検出を行うことによって、検体中の標的物質の検出を高感度化できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔3〕を提供するものである。
〔1〕水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液であって、ナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有する、粒子分散液(以下、「本発明の粒子分散液」とも称する)。
〔2〕免疫凝集法による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットであって、上記〔1〕の粒子分散液を備える、キット(以下、「本発明のキット」とも称する)。
〔3〕免疫凝集法による検体中の標的物質の検出方法であって、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子と、検体とを、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の存在下で接触させる工程を含むことを特徴とする、検出方法(以下、「本発明の検出方法」とも称する)。
本発明によれば、免疫凝集法による検体中の標的物質の検出を高感度化できる。
〔粒子分散液〕
本発明の水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液は、ナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有するものである。
<ナフタレン骨格を有する低分子化合物>
ナフタレン骨格を有する低分子化合物は、ナフタレン骨格を有する非ビニル系低分子化合物の他、ナフタレン骨格を有するビニル系低分子化合物、当該化合物のオリゴマーを含む概念である。ナフタレン骨格を有する低分子化合物としては、アセチルナフタレン、ナフトアルデヒド、エチルナフタレン、プロピルナフタレン、ビニルナフタレン、(メタ)アクリル酸ナフチルが好ましい。アセチルナフタレンとしては、1−アセチルナフタレン、2−アセチルナフタレンが挙げられる。ナフトアルデヒドとしては、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒドが挙げられる。エチルナフタレンとしては、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレンが挙げられる。プロピルナフタレンとしては、1−プロピルナフタレン、2−プロピルナフタレンが挙げられる。ビニルナフタレンとしては、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンが挙げられる。(メタ)アクリル酸ナフチルとしては、(メタ)アクリル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチルが挙げられる。
これらの中でも、ナフタレン骨格を有する低分子化合物としては、検出感度の観点から、アセチルナフタレンが特に好ましい。
なお、本発明の粒子分散液は、ナフタレン骨格を有する低分子化合物のうち1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量は、検出感度、及び抗原抗体反応によるラテックス粒子の凝集能等の観点から、担体粒子固形分100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、保存安定性の観点や低含量で高感度化する観点等から、担体粒子固形分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。このような範囲とすることにより、検出感度の向上と保存安定性の改善を両立できる。
また、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量は、粒子分散液全量に対しては、好ましくは0.5×10-10質量%以上、より好ましくは1×10-10質量%以上、更に好ましくは0.5×10-8質量%以上、更に好ましくは1×10-8質量%以上、更に好ましくは1×10-7質量%以上、更に好ましくは1×10-6質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下、より好ましくは1×10-1質量%以下、更に好ましくは0.5×10-1質量%以下である。そして、粒子分散液を凝集試薬製造用粒子分散液とする場合は、1×10-10〜1×10-1質量%が好ましく、1×10-8〜0.5×10-1質量%がより好ましく、1×10-6〜0.5×10-1質量%が特に好ましい。一方、粒子分散液を凝集試薬とする場合は、0.5×10-10〜0.5×10-1質量%が好ましく、0.5×10-8〜1×10-2質量%がより好ましい。0.5×10-6〜0.5×10-2質量%が特に好ましい。
ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量は、例えば次の方法により測定することができる。すなわち、ナフタレン骨格を有する低分子化合物を含む粒子分散液を限外濾過することにより、分散媒成分を除去した後、粒子に吸着したナフタレン骨格を有する低分子化合物を、熱分析ガスクロマトグラフ/質量分析装置(PyGC/MS)(MS:JMS−600H(日本電子社製)、GC:Agilent6890N、パイオライザー:PY−2020D フロンティアラボ)を用いて、以下の条件で測定することで、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量を測定することができる。
(測定条件)
熱分解温度:600℃
カラム:SPB−5(SPELCO)
キャリアガス:He 1mL/min
<担体粒子>
担体粒子は、不溶性担体粒子であれば特に限定されないが、免疫ラテックス凝集測定に適したものとする観点から、ラテックス粒子が好ましい。
また、担体粒子としては、合成高分子系又は天然高分子系のポリマー粒子が好ましく、アリール基を有するモノマーを含むモノマー成分に由来するポリマー粒子がより好ましい。
アリール基を有するモノマー(以下、モノマー(a)とも称する)としては、フェニル基を有するモノマー、ナフチル基を有するモノマーが挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェニル基を有するモノマーとしては、スチレン系モノマーが好ましい。フェニル基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、アミノスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−ビニル安息香酸、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等が挙げられる。また、ナフチル基を有するモノマーとしては、ナフチル基を有する不飽和モノマーが好ましい。ナフチル基を有するモノマーの具体例としては、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、(メタ)アクリル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル等が挙げられる。
モノマー(a)の含有量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは90〜99.8質量%であり、特に好ましくは95〜99.5質量%である。
また、上記モノマー(a)以外のモノマー(以下、モノマー(b)とも称する)としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸モノマー又は不飽和無水カルボン酸モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジビニルベンゼンスルホン酸、2−メチルスチレンスルホン酸、4−メチルスチレンスルホン酸、これらの塩等の不飽和スルホン酸モノマー又はその塩;(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロプル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド4級塩、ダイアセトンアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド等の(メタ)アクリルアミドモノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリセロール(メタ)クリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー;アクロレイン等の不飽和アルデヒドモノマーの他、アリルアミン、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、モノマー(b)としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和無水カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー又はその塩が好ましい。なお、不飽和スルホン酸モノマーの塩は特に限定されるものではなく、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
モノマー(b)の含有量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0.2〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜5質量%である。
担体粒子の平均粒径は特に限定されないが、検出感度や製造コストの観点から、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.02〜0.75μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmである。本明細書において平均粒径は、体積平均粒径を意味し、実施例と同様にして測定した値を云うものとする。
担体粒子は、標的物質と結合可能な物質が担持されたものでも、標的物質と結合可能な物質が担持されていないものでもよい。標的物質と結合可能な物質としては、標的物質に対する抗原又は抗体が好ましい。例えば、レセプター、酵素、血中タンパク、感染症関連抗原、微生物、ウイルス、ホルモン、環境関係物質(例えば、環境ホルモン等)等の抗原や、これら抗原に対する抗体等が挙げられる。当該抗体は、特定の抗原に対する結合性を有すればよく、抗体のフラグメントも含まれる。
具体的には、抗アンチプラスミン抗体、抗Dダイマー抗体、抗FDP抗体、抗tPA抗体、抗トロンビン・アンチトロンビン複合体抗体、抗FPA抗体等の凝固線溶関連検査用抗体又はこれに対する抗原;抗BFP抗体、抗CEA抗体、抗AFP抗体、抗TSH抗体、抗フェリチン抗体、抗CA19−9抗体等の腫瘍関連検査用抗体又はこれに対する抗原;抗アポリポタンパク抗体、抗β2−ミクロブロブリン抗体、抗α1―ミクログロブリン抗体、抗免疫グロブリン抗体、抗CRP抗体等の血清蛋白関連検査用抗体又はこれに対する抗原;抗HCG抗体等の内分泌機能検査用抗体又はこれに対する抗原;抗ジゴキシン抗体、抗リドカイン抗体等の薬物分析用抗体又はこれに対する抗原;HBs抗原、HCV抗原、HIV−1抗原、HIV−2抗原、HTLV−1抗原、マイコプラズマ抗原、トキソプラズマ抗原、ストレプトリジンO抗原等の感染症関連検査用抗原又はこれに対する抗体;DNA抗原、熱変成ヒトIgG等の自己免疫関連検査用抗原又はこれに対する抗体等が挙げられる。なお、抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい。
なお、標的物質と結合可能な物質の担体粒子への担持は、疎水−疎水相互作用による物理吸着、水溶性カルボジイミド系縮合剤等を用いた化学結合等の常法に従って行えばよい。
また、担体粒子は、ブロッキング剤がコーティングされたものでもよい。ブロッキング剤は、非特異反応をブロッキングできるものであれば特に限定されないが、牛血清アルブミン等の生体由来の水溶性ポリマーや化学合成した水溶性ポリマー等が挙げられる。
なお、ブロッキング剤のコーティングは、ブロッキング剤を含む溶液中に粒子を分散させた後、遠心分離を行い、上澄み液を除去し再度粒子を水又は緩衝液により再分散させる等の常法に従って行えばよい。
担体粒子の含有量(固形分換算)は、粒子分散液全量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。そして、粒子分散液を凝集試薬製造用粒子分散液とする場合は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。一方、粒子分散液を凝集試薬とする場合は、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜2質量%が特に好ましい。
<水性媒体>
水性媒体は、担体粒子を分散できるものであればよいが、水を含むものが好ましい。水の含有量は、水性媒体全量に対して、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。
また、水性媒体は、グッド緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、アンモニア緩衝液等の緩衝液であってもよい。
なお、水性媒体は、水や緩衝液の他に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールを含んでいてもよい。
水性媒体の含有量は、粒子分散液全量に対して、50〜99.9質量%が好ましく、70〜99.9質量%がより好ましい。そして、粒子分散液を凝集試薬製造用粒子分散液とする場合は、80〜99.9質量%が更に好ましく、85〜99.9質量%が特に好ましい。一方、粒子分散液を凝集試薬とする場合は、95〜99.9質量%が更に好ましく、98〜99.9質量%が特に好ましい。
また、本発明の粒子分散液は、上記各成分の他に、界面活性剤、ブロッキング剤等を含んでいてもよい。
<pH>
本発明の粒子分散液の25℃におけるpHは、3.0〜12.0の範囲が好ましく、凝集試薬として使用するためのものである場合は、5.0〜9.0の範囲がより好ましい。
そして、後記実施例に記載のとおり、水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液中にナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有せしめ、これを用いて免疫凝集法による検出を行うことによって、検体中の標的物質の検出を高感度化できる。
したがって、本発明の粒子分散液は、凝集試薬として、或いは当該凝集試薬を製造するための素材(凝集試薬製造用粒子分散液)として有用である。なお、凝集試薬とは、免疫凝集法による検体中の標的物質の検出に使用される、粒子同士が凝集する際の濁度の変化量により、標的物質の量を定量する試薬を意味する。
本発明の粒子分散液を凝集試薬製造用粒子分散液とする場合、粒子分散液としては、保存安定性を考慮すると、標的物質と結合可能な物質が担持されていない担体粒子が担体粒子として分散したものが好ましい。一方、本発明の粒子分散液を凝集試薬とする場合、粒子分散液としては、標的物質との反応性を考慮すると、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子が担体粒子として分散したものが好ましい。
そして、本発明の粒子分散液は、免疫凝集比濁法用凝集試薬、当該凝集試薬を製造するための素材として特に有用である。
〔キット〕
本発明の免疫凝集法による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットは、上記粒子分散液を備えるものである。当該キットに具備される場合、粒子分散液としては、標的物質との反応性を考慮すると、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子が担体粒子として分散したものが好ましい。
本発明のキットは、上記粒子分散液(第2試薬とも称する)に加えて、ブロッキング剤及び免疫凝集促進剤から選ばれる1種以上を含有する試薬(第1試薬とも称する)を備えていてもよい。ブロッキング剤、免疫凝集促進剤としては、牛血清アルブミン等の生体由来の水溶性ポリマーや化学合成した水溶性ポリマー等が挙げられる。また、第1試薬は、上記と同様の水性媒体を含んでいてもよい。
また、本発明のキットは、上記第1試薬及び第2試薬の他に、陽性コントロール、陰性コントロール、血清希釈液等を備えていてもよい。陽性コントロール、陰性コントロールの媒体は、標的物質が含まれていない血清、生理食塩水の他、溶剤でもよい。当該溶剤としては上記水性媒体が挙げられる。
本発明のキットは、通常の免疫凝集法による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットと同様にして、標的物質の検出方法に使用できる。また、常法に従い標的物質の濃度も測定できる。
そして、本発明のキットは、免疫凝集比濁法用キットとして特に有用である。
〔検出方法〕
本発明の免疫凝集法による検体中の標的物質の検出方法は、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子と、検体とを、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の存在下で接触させる工程を含むことを特徴とするものである。本検出方法は、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の存在下で行う以外は、担体粒子と検体を混合する等、常法の検出方法と同様にして行えばよい。なお、ナフタレン骨格を有する低分子化合物としては、上記粒子分散液に含まれるものと同様のものが挙げられ、その使用量としては、上記粒子分散液における担体粒子固形分100質量部に対する含有量と同様の範囲が好ましい。
検体は、標的物質を含むもの又は標的物質を含む可能性があるようなものであればよく、具体的には、血清や血漿、尿、唾液等の各種生物学的液体サンプル、糞便や食品の検体粉砕物等が挙げられる。また、pH緩衝液、タンパク質、アミノ酸等で検体を希釈した検体希釈液でもよい。
担体粒子と検体との接触は、pH4〜10の範囲で行うのが好ましい。また、接触温度は通常25〜45℃の範囲であり、接触時間は通常1〜20分である。
また、担体粒子と検体との接触は、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の存在下で行われるものであるが、ナフタレン骨格を有する低分子化合物とともに溶剤を使用するのが好ましい。溶剤としては、水性媒体として例示したものの他、エタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル;ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせてもよい。
そして、上記担体粒子と検体との接触の結果として生じる凝集反応を光学的に検出することで、検体中の標的物質が検出され、更に標的物質の濃度も測定できる。凝集反応の光学的な検出は、散乱光強度、透過光強度、吸光度等を検出できる光学機器を用いて常法に従い行えばよい。本発明の検出方法は、免疫凝集比濁法による検出に特に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、粒子の平均粒径(体積平均粒子径)は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)にて測定した。
〔調製例1 ラテックス粒子の調製〕
冷却管、温度調節器及び攪拌装置を備えた1Lの4口フラスコに、水100質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部と、スチレン18質量部と、メタクリル酸2質量部を入れ、毎分200回転で攪拌しながら、過硫酸カリウム1質量部を水50質量部に溶解したものを加えた。温度が75℃になってから2時間反応を行ったのち、スチレン75質量部と、メタクリル酸5質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6質量部と、水200質量部からなる単量体エマルジョンを5時間掛けて滴下し、引き続き4時間重合を続け、重合体粒子の水分散液を得た。その後、この重合体粒子の水分散液を精製し、粒子の固形分を10質量%に調整した。この粒子水分散液をシード粒子水分散液(A)とする。シード粒子水分散液(A)に含まれるシード粒子の平均粒径は0.15μmであった。
上記シード粒子水分散液(A)100質量部(粒子固形分として10質量部、水として90質量部)を上記と同様の4つ口フラスコに入れ、毎分200回転で攪拌しながら75℃に上昇させ、過硫酸カリウム1.5質量部を水70質量部に溶解したものを投入し、スチレン89質量部と、メタクリル酸1質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2質量部と、水400質量部からなる単量体エマルジョンを5時間掛けて滴下し、その後3時間重合させた。
以上で得られた粒子をラテックス粒子(B)とする。ラテックス粒子(B)の平均粒径は約0.3μmであった。
〔調製例2 第1試薬の調製〕
牛血清アルブミン(BSA)0.1質量%含有10mM HEPES緩衝液(pH7.5)を作製した。これを「第1試薬」とする。
〔実施例1 第2試薬の調製(1)〕
調製例1で得られたラテックス粒子(B)を遠心分離、再懸濁にて精製し、粒子固形分濃度が10質量%となるように水に加えた。この粒子含有液1mLと、HEPES緩衝液(0.05M、pH7.5)9mLとを混合(粒子固形分濃度=1質量%)し、これに2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL(2−アセチルナフタレンが粒子固形分100質量部に対して0.1質量部となる量)添加した。この分散液を、第2試薬(凝集試薬)製造用分散液(C)とする。
上記第2試薬(凝集試薬)製造用分散液(C)に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(同仁化学社製)を、最終濃度が0.05質量%となるように添加した。更に、この粒子分散液に、抗CRP(C反応性蛋白)抗体(ウサギ)の10mg/mL水溶液を0.5mL加えて室温で3時間攪拌し、抗体を粒子の表面に結合させた。
その後、この粒子分散液にBSA1質量%水溶液を0.5mL加え、室温で10時間回転攪拌した後、15,000rpmにて15分間遠心分離し、粒子を沈殿として回収した。
次いで、HEPES緩衝液(0.05M、pH7.5)10mLに上記粒子を再懸濁させ、超音波で10分間分散させた。この懸濁液を再び15,000rpmにて15分間遠心分離し、粒子を沈殿として回収した後、上記再懸濁及び分散の操作をもう一度繰り返した。これに、BSA0.02質量%含有10mM HEPES緩衝液(pH7.5)を190mL加えて粒子固形分が0.05質量%となるように調整した後、超音波で10分間分散させ、0.8μmディスクフィルターに通した。
上記の操作により、BSAがブロッキング剤としてコーティングされた抗体結合ラテックス粒子の分散液を得た。これを「第2試薬(1)」とする。第2試薬(1)に含まれる2−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約0.1質量部であった。
〔実施例2 第2試薬の調製(2)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を5μL(粒子固形分100質量部対比で2−アセチルナフタレン0.5質量部)添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(2)を得た。第2試薬(2)に含まれる2−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約0.5質量部であった。
〔実施例3 第2試薬の調製(3)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を10μL(粒子固形分100質量部対比で2−アセチルナフタレン1.0質量部)添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(3)を得た。第2試薬(3)に含まれる2−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約1.0質量部であった。
〔実施例4 第2試薬の調製(4)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を20μL(粒子固形分100質量部対比で2−アセチルナフタレン2.0質量部)添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(4)を得た。第2試薬(4)に含まれる2−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約2.0質量部であった。
〔実施例5 第2試薬の調製(5)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を80μL(粒子固形分100質量部対比で2−アセチルナフタレン8.0質量部)添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(5)を得た。第2試薬(5)に含まれる2−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約8.0質量部であった。
〔実施例6 第2試薬の調製(6)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を、1−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液に替えた以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(6)を得た。第2試薬(6)に含まれる1−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約0.1質量部であった。
〔実施例7 第2試薬の調製(7)〕
実施例2において、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を、1−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液に替えた以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(7)を得た。第2試薬(7)に含まれる1−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約0.5質量部であった。
〔実施例8 第2試薬の調製(8)〕
実施例3において、2−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液を、1−アセチルナフタレン10質量%含有エタノール溶液に替えた以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(8)を得た。第2試薬(8)に含まれる1−アセチルナフタレンの含有量は、粒子固形分100質量部に対して約1.0質量部であった。
〔比較例1 第2試薬の調製(9)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、エタノールを20μL添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(9)を得た。
〔比較例2 第2試薬の調製(10)〕
実施例1において、2−アセチルナフタレン1質量%含有エタノール溶液を10μL添加する代わりに、ポリエチレングリコール(分子量:20000)5質量%含有水溶液を40μL(粒子固形分100質量部対比でポリエチレングリコール2.0質量部)添加した以外は同様に一連の操作を行い、第2試薬(10)を得た。
〔試験例1 ラテックス凝集反応の評価〕
免疫ラテックス凝集測定においては、日立7180型自動分析装置を使用した。測定波長は570nm、測定温度は37℃とした。生理食塩水(CRP抗原濃度0mg/dL)又はCRP抗原の生理食塩水希釈液(CRP抗原濃度:0.01mg/dL又は0.04mg/dL)を測定セルに3μL加えた後、調製例2で得た第1試薬150μLをセルに加えて均一攪拌した後、5分間保持した。
その後、実施例1で得た第2試薬(1)150μLをセルに加えて均一攪拌した後、50秒経過時の吸光度と200秒経過時の吸光度との差を計測した。
また、実施例1で得た第2試薬(1)を、第2試薬(2)〜(10)に変更する以外は上記と同様にして吸光度差の計測を行った。
試験結果を表1に示す。
〔試験例2 保存安定性試験〕
実施例1〜8で得た第2試薬(1)〜(8)を、第2試薬の調製から1週間25℃にて保管し、粒子の沈殿の有無を目視にて確認し、以下の基準で評価した。試験結果を表1に示す。
(評価基準)
○:粒子の沈殿が確認できなかった
×:粒子の沈殿が確認された
Figure 2016125948
表1に示す試験例1の結果から、ナフタレン骨格を有する低分子化合物が、ラテックス凝集反応を大きく促進させ、検出を高感度化できることがわかった。

Claims (13)

  1. 水性媒体を分散媒とする担体粒子の粒子分散液であって、ナフタレン骨格を有する低分子化合物を含有する、粒子分散液。
  2. 前記水性媒体が、水を含むものである、請求項1に記載の粒子分散液。
  3. 前記ナフタレン骨格を有する低分子化合物が、アセチルナフタレンである、請求項1又は2に記載の粒子分散液。
  4. 前記ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量が、担体粒子固形分100質量部に対して、0.01〜10質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  5. 前記ナフタレン骨格を有する低分子化合物の含有量が、担体粒子固形分100質量部に対して、0.01〜5質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  6. 前記担体粒子が、ラテックス粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  7. 前記担体粒子が、アリール基を有するモノマーを含むモノマー成分に由来するポリマー粒子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  8. 前記担体粒子が、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒子分散液。
  9. 前記標的物質と結合可能な物質が、標的物質に対する抗原又は抗体である、請求項8に記載の粒子分散液。
  10. 凝集試薬として使用するためのものである、請求項8又は9に記載の粒子分散液。
  11. 免疫凝集法による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットであって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粒子分散液を備える、キット。
  12. 免疫凝集法による検体中の標的物質の検出方法であって、標的物質と結合可能な物質が担持された担体粒子と、検体とを、ナフタレン骨格を有する低分子化合物の存在下で接触させる工程を含むことを特徴とする、検出方法。
  13. 前記ナフタレン骨格を有する低分子化合物が、アセチルナフタレンである、請求項12に記載の検出方法。
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