JP2008170422A - 免疫学的測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は簡易、迅速、かつ高精度の免疫学的測定方法を提供することにある。
【解決手段】検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、および前記工程において生じた前記複合体に含まれる前記標識物質又は遊離の前記蛋白質(Y)に含まれる前記標識物質を測定する工程を含む分析対象物の免疫学的測定方法であって、前記標識物質を測定する工程が化学発光法によって行われ、該化学発光法は、化学発光により発生した光を少なくとも有機銀塩粒子、銀イオンのための還元剤及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱現像感光材料により感知し潜像を形成する工程、及び熱現像により可視化する工程を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、分析対象物を含む試料を、簡易、迅速、高精度で検知することができる免疫学的測定方法に関する。特に熱現像感光材料を用いて化学発光を高精度で検出する免疫学的測定方法に関する。
天然物、毒素、ホルモン、又は農薬等の生理活性物質又は環境汚染物質の中には、極微量で作用するものが非常に多い。従って、これらの物質の定性的及び定量的測定には、従来、高感度分析が可能な機器分析法が広く用いられてきた。しかし、機器分析法は、特異性が低く、試料の前処理工程を含め、分析に時間を要する上、操作が煩雑なため、近年要求されている迅速簡便測定目的には不都合である。一方、免疫学的測定法は、特異性も高く、操作も機器分析よりはるかに簡便であることから、生理活性物質又は環境汚染物質の測定分野に徐々に普及してきた。この中にはラテックス凝集法、RIA法あるいはEIA法(酵素免疫測定法)といった免疫学的測定法があるが、ラテックス凝集法は必ずしも測定の迅速簡便性あるいは検出感度を満たすものではなく、RIA法は標識物質に放射性同位元素を使用するので、特殊な環境が必要である。
酵素免疫測定法は、人体に対して危険性の少ない免疫測定法として開発され、種々の物質の測定系に利用されている。しかしながら、臨床化学分析においては、その測定対象が生体試料(主として血清、尿等)であり、その測定値は病態の診断又は経過観察等に用いられることが多く、そのためのより高感度及び高精度な測定の要求を比色法で完全に満足させることは難しい。この要求を満たすことを目的として化学発光酵素免疫法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。化学発光酵素免疫測定法は、酵素の触媒活性によって化学発光性物質が中間体を経て励起状態となり、この状態から基底状態に戻る際に放出される発光量を測定して酵素活性を定量し、この酵素活性と相関性を有する測定対象物質の量を定量する方法である。この方法においては、化学反応により化学発光性物質を発光させるため光源が不要であり、光源に起因するバックグラウンドの上昇等がないため測定の高感度化が可能である。
しかしながら、ウイルスのような増殖する分析対象物の場合、より早い段階、すなわち少ないウイルス量での検出が必要であり、さらに高感度な検出方法が望まれていた。また発光を測定するための検出装置が必要であり、より簡便方法が望まれていた。
特開2000−146968号公報
本発明は、分析対象物を含む試料を、簡易、迅速、高精度で検知することができる免疫学的測定方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
<1> 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、および前記工程において生じた前記複合体に含まれる前記標識物質又は遊離の前記蛋白質(Y)に含まれる前記標識物質を測定する工程を含む分析対象物の免疫学的測定方法であって、前記標識物質を測定する工程が化学発光法によって行われ、該化学発光法は、化学発光により発生した光を少なくとも有機銀塩粒子、銀イオンのための還元剤及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱現像感光材料により感知し潜像を形成する工程、及び熱現像により可視化する工程を有することを特徴とする免疫学的測定方法。
<2> 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)および検体中の分析対象物を特異的に認識し得る標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yの複合体を形成させる工程、および前記工程において生じた前記複合体に含まれる前記標識物質又は遊離の前記蛋白質(Y)に含まれる前記標識物質を測定する工程を有する分析対象物の免疫学的測定方法であって、前記標識物質を測定する工程が化学発光法よって行われ、該化学発光法は、化学発光により発生した光を少なくとも有機銀塩粒子、銀イオンのための還元剤及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱現像感光材料により感知し潜像を形成する工程、及び熱現像により可視化する工程を有することを特徴とする免疫学的測定方法。
<3> 前記熱現像感光材料が造核剤を含むことを特徴とする<1>または<2>に記載の免疫学的測定方法。
<4> 前記熱現像感光材料が前記有機銀塩の溶剤を含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<5> 前記有機銀塩がカルボン酸銀もしくは含窒素複素環銀塩を含有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<6> 前記有機銀塩の相転位温度が40℃以上100℃以下である事を特徴とする<5>に記載の免疫学的測定方法。
<7> 前記標識物質が、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<8> 前記標識物質を測定する工程において、化学発光材料として、ルミノール誘導体、ジオキセタン誘導体、アクリジニウム誘導体、過シュウ酸エステル誘導体、またはルシフェリン誘導体を用いることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<9> 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が抗体であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<10> 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする<9>に記載の免疫学的測定方法。
<11> 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が不溶性担体に坦持されていることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の免疫学的測定方法。
<12> 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)、および検体中の分析対象物を特異的に認識することができ、かつ標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yの複合体を形成させる工程を含む免疫学的測定方法であって、前期標識物質が少なくとも有機銀塩及び銀イオンのための還元剤を含有する熱現像材料の現像を促進する物質であり、前記熱現像材料を用いて前記複合体を検出することを特徴とする免疫学的測定方法。
<13> 前記熱現像材料が前記有機銀塩の溶剤を含むことを特徴とする<12>に記載の免疫学的測定方法。
<14> 前記有機銀塩がカルボン酸銀もしくは含窒素複素環銀塩を含有することを特徴とする<12>又は<13>に記載の免疫学的測定方法。
<15> 前記有機銀塩の相転位温度が40℃以上100℃以下である事を特徴とする<14>に記載の免疫学的測定方法。
本発明により、試料中に含まれる分析対象物を、簡易、迅速、高精度で検知することができる免疫学的測定方法が提供される。特に熱現像材料を用いて高精度で検出する免疫学的測定方法が提供される。
本発明によれば化学発光酵素反応を感光性の熱現像材料で検知することができる。また、免疫反応で現像を促進する物質を固定化して非感光性熱現像材料で検知することもできる(免疫反応現像促進法)。まず、化学発光酵素反応について述べる。
本発明によれば、化学発光酵素反応で発生した光を熱現像感光材料で感知し、これを熱現像することにより増幅し、従来光学機器では検知が困難であった極微量の光を高精度で検知できる。従来の湿式ハロゲン化銀感光材料を用いて検知する測定方法の場合、現像液による現像、定着液による未現像ハロゲン化銀の除去、水洗および乾燥の工程が必要で、迅速性と簡便性に欠ける上、工程の煩雑さ、これらの処理液の管理の煩わしさがあった。さらに、熱現像感光材料による化学発光の検知工程と湿式現像処理工程をコンパクトに一体化することが困難であり、それぞれが独立した工程で行われるためさらに迅速性に欠ける問題があった。さらに、検知工程から現像処理工程の間に極微量の光情報が消失されるために精度が低下する問題もあった。本発明における熱現像感光材料を用いた測定方法では、光を検知した後、そのまま直ちに加熱するだけであり、光検知工程、現像工程をコンパクトに一体化することが容易であり、迅速性及び精度の向上が可能である。さらには、現像された画像情報を必要によっては光学濃度計によって測定し数値化する工程を一体化することも可能である。
本発明の化学発光酵素測定方法は、特に酵素免疫反応の検出方法として有用である。
本発明の化学発光酵素免疫測定法は、抗原抗体反応により測定すべき物質(抗原)を酵素標識した免疫複合体として捕捉する免疫反応段階、生成した該免疫複合体をその分子中に存在する標識酵素を用いる化学発光反応段階および該発光を増幅検出する工程とからなる。
以下、本発明の化学発光酵素免疫測定法について説明する。
本発明の化学発光酵素免疫測定法は、抗原抗体反応により測定すべき分析対象物を酵素標識した免疫複合体として捕捉する免疫反応段階と、生成した該免疫複合体をその分子中に存在する標識酵素を用いる化学発光法により測定する化学発光反応段階と該化学発光を熱現像感光材料を用いて検出することからなる。これらの方法はいずれも公知のものを適宜適用することが可能であり、例えばイムノアッセイに関する総説としては、「The Immunoassay Handbook Third edition」(Elsevier, 2005年)を参照することができ、化学発光に関する文献としては「ルミネッセンスの測定と応用」((株)NTS、1990年)を参照することができ、これらの文献に記載されているものを用いることができる。
化学発光酵素免疫測定法に用いられる酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼ等が挙げられる。これらのなかで、取り扱い易さ、入手し易さ等の点でアルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼが好適に用いられる。
また、ペルオキシダーゼを標識物質として抗体、核酸等を標識して種々の物質を定量する場合には、特に限定されるものではないが、ペルオキシダーゼとして、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が好ましく用いられる。
化学反応により化学発光性物質を発光させる化合物は、標識酵素の触媒活性によって化学発光性物質が中間体を経て励起状態となり、この状態から基底状態に戻る際に放出される発光量を測定できる化合物であり、ルミノール誘導体、ジオキセタン誘導体、アクリジニウム誘導体、過シュウ酸エステル誘導体、またはルシフェリン誘導体が好ましい。また、化学発光増強剤(エンハンサー)を添加することも可能であり、この場合、化学発光の強度または持続性が向上する効果が得られる。酵素にアルカリフォスファターゼ、化学発光性物質にジオキセタン化合物を各々用いる化学発光系で高感度に定量することも可能である。
免疫反応段階を構成する抗原抗体反応の方法は任意であり、光照射下で反応させて得られる化学発光試薬を用いることができるものであれば、いずれの方法も採用することができる。
本発明における抗体と結合した標識と遊離の標識の識別は、従来公知のいずれの手段も利用することが出来る。例えば、抗体と結合した標識と遊離の標識を分離していずれか一方を取り出す方法、あるいは抗体との結合による標識の発光性の変化を利用して非分離のまま検知する方法が知られている。抗体と結合した標識と遊離の標識を分離する手段として、比重差を利用した遠心分離、溶解度差を利用して沈降法、磁気を利用した分離法などがある。
本発明においては、分離を容易にするために分析対象物を特異的に認識する蛋白質の少なくとも一方を反応溶液に対して不溶性である坦体に担持することが好ましい。本発明の化学発光酵素免疫測定法に用いられる不溶性担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライド等の高分子化合物、その他、ガラス、金属、磁性粒子及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。また、不溶性担体の形状としては、例えば、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、マイクロプレート、試験管等の種々の形状で用いることができる。
さらに、これら不溶性担体への抗原又は抗体の固定化方法は任意であるが、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法等を用いることができる。
また、本発明の化学発光酵素免疫測定法において用いられる抗体類(第一の蛋白質(X)、第二の蛋白質(Y)は、分析対象によって適当なものを適宜用いることができる。ここで、抗体類としてモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれを使うことも可能であり、その形態としては全抗体又はF(ab’)、Fab等の断片を用いることができる。また、抗体の起源は任意であるが、マウス、ラット、兎、羊、山羊、鶏等に由来する抗体が好適に用いられる。第一の蛋白質および第二の蛋白質の両方または一方がモノクローナル抗体であること、又はF(ab’)またはF(ab’)であることが好ましい。
本発明の抗体とタンパク質との結合及び化学発光反応は、通常緩衝液中で行なわれる。ここに用いる緩衝液としては、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液等を任意に用いることができる。これらの緩衝液の濃度は1mM〜1Mの範囲で用いるのが望ましい。また、反応時に界面活性剤、キレート剤等の添加剤を任意に用いることができる。
本発明の化学発光酵素免疫測定法における化学発光反応の発光量の測定は発光光度計を用いて測定することができる。その際に、発光量測定の開始点及び積算時間は任意であるが、発光量が安定し且つ発光量の濃度依存性の高い時間を選択することが望ましい。例えば、測定開始点は試薬混合後0〜1時間、好ましくは0〜30分、特に好ましくは0〜15分であり、測定の積算時間は1秒〜1分、好ましくは1〜30秒、特に好ましくは1〜10秒である。
本発明においては、化学発光を増幅検出する工程では熱現像感光材料を用いて、光情報が画像情報に変換される。得られた画像を視覚的判断もしくは光学濃度的による数値データとして得ることが出来る。
本発明においては、造核現像を利用することによりさらに増幅率を高めて検出感度を高めることができる。造核現像は、光の検知したハロゲン化銀粒子の現像を引き金として、周辺の光を感知しなかったハロゲン化銀の現像を可能にするものである。従って、造核現像によれば極微量の光であっても高濃度の画像として高精度で検知することができるので本発明においては特に好ましく用いられる。本発明においては、造核現像は造核剤を用いることにより好ましく行われる。
次に免疫反応現像促進法について述べる。本発明の免疫反応現像促進法においては、少なくとも有機銀塩及び銀イオンのための還元剤を含有する熱現像材料を用いる。有機銀塩と還元剤は下述するとおりである。免疫反応現像促進法における標識物質は現像を促進する物質であり、好ましくは現像中心を形成する物質(現像中心形成剤)を放出しうる物質(基質)に作用して、現像中心形成剤を放出する能力を有する。すなわち、免疫反応で分析対象物と固定化した標識物質により基質より放出された造核剤の如き、現像中心形成剤が感材中で現像中心を形成し、熱現像により高感度に免疫反応を検出できる。本発明における蛋白質Xは熱現像感光材料の表面に固定してもよい。例えば表面層のバインダーとして用いられるゼラチンに固定化することができる。標識法としては例えば、SH基を有するFab’を用いたヒンジ法が挙げられる。
現像中心形成剤としては、ハロゲン化銀写真化学の分野で造核剤として知られている化合物が挙げられる。
化学発光酵素免疫測定法又は免疫反応現像促進法に用いられる造核剤の詳細は、「The Theory of the Photographic Proces(第4版)」(T.H.James編,1977年 Macmillan 社刊,P.393〜395)に記載されており、具体例としては、
1) 環状及び非環状のチオカルボニル基を有する化合物(例えば、チオ尿素、ジチオカルバメイト、トリチオカルボネート、ジチオエステル、チオアミド、ローダニン、チオヒダントイン、チオセミカルバジドおよびそれらの誘導体など)
2) 環状及び非環状のチオエーテル基を有する化合物(例えば、スルフィド、ジスルヘイド、ポリスルフィドなど)
3) その他の含硫化合物(例えば、チオ硫酸、チオ燐酸、及びそれから誘導される化合物など)
4) 含窒素還元性化合物(例えば、ヒドラジン、ヒドラゾン、アミン、ポリアミン、環状アミン、ヒドロキシルアミン、四級アンモニウム塩誘導体など)
5) 還元性化合物(例えば、アルデヒド、スルフィン酸、エンジオール、金属ヒドリド化合物、アルキルメタル、芳香族化合物のジヒドロ体、活性メチレン化合物など)
6) 金属借体(例えば、配位子に硫黄を有する四配位Ni(II)錯体、Fe(II)錯体など)
7) アセチレン化合物
8) その他(ホスホニウム塩など)
これらの化合物例を好ましい順序に応じてならべると、4,5,6が最も好ましい化合物であり、次に好ましくは1,2,7そして3である。
本発明に用いられる特に好ましい化合物の一般式および具体例としては、次のものがある。
式中、Zは5ないし6員の複素環を形成するに必要な非金属原子群を表わし、Zは置換基で置換されていてもよい。Rは脂肪族基であり、Rは水素原子、脂肪族基または芳香族基である。R及びRは置換基で置換されていてもよい。但し、R、R及びZで表わされる基のうち、少なくとも一つは、アリキニル基、アシル基、ヒドラジン基またはヒドラゾン基を含むか、またはRとRとで6員環を形成し、ジヒドロピリジニウム骨格を形成する。さらにR、R及びZの置換基のうち少なくとも一つは、
を有してもよい。ここでXはハロゲン化銀への吸着促進基であり、Lは二価の連結基である。
Yは電荷バランスのための対イオンであり、nは0または1であり、mは0または1である。
更に詳しく説明すると、Zで完成される複素環は、例えばキノリニウム、ベンソチアゾリウム、ベンズイミダゾリウム、ピリジニウム、チアゾリニウム、チアゾリウム、ナフトチアゾリウム、セレナゾリウム、ベンゾセレナゾリウム、イミダゾリウム、テトラゾリウム、インドレニウム、ピロリニウム、アクリジニウム、フエナンスリジニウム、イソキノリニウム、オキサゾリウム、ナフトオキサゾリウム及びベンズオキサゾリウム核があげられる。Zの置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、カルボキシル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、ウレイド基、ウレタン基、炭酸エステル基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、またはイミノ基などがあげられる。Zの置換基としては、例えば上記置換基の中から少なくとも1個選ばれるが、2個以上の場合は同じでも異なっていてもよい。また上記置換基はこれらの置換基でさらに置換されていてもよい。
更にZの置換基としては、適当な連結基Lを介してZで完成される複素環四級アンモニウム基を有してもよい。この場合はいわゆるダイマーの構造を取る。
Zで完成される複素環としては、好ましくはキノリニウム、ベンゾチアゾリウム、ベンズイミダゾリウム、ピリジニウム、アクリジニウム、フエナンスリジニウム、及びイソキノリニウム核があげられる。更に好ましくはキノリニウム、ベンゾチアゾリウム、ベンズイミダゾリウムであり、より好ましくはキノリニウム及びベンゾチアゾリウムである。最も好ましくはキノリニウムである。
及びRの脂肪族基は、炭素数1〜18個の無置換アルキル基およびアルキル部分の炭素数が1〜18個の置換アルキル基である。置換基としては、Zの置換基として述べたものがあげられる。
で表わされる芳香族基は炭素数6〜20個のもので、例えばフエニル基、ナフチル基などがあげられる。置換基としてはZの置換基として述べたものがあげられる。
、R及びZで表わされる基のうち、少なくとも一つはアルキニル基、アシル基、ヒドラジン基、またはヒドラゾン基を有するか、またはRとRとで6員環を形成し、ジヒドロピリジニウム骨格を形成するが、これらはZで表わされる基への置換基として先に述べた基で置換されていてもよい。
ヒドラジン基としては、置換基としてなかでもアシル基やスルホニル基を有するものが好ましい。
ヒドラゾン基としては、置換基として脂肪族基や芳香族基を有するものが好ましい。
アシル基としては、例えばホルミル基や脂肪族もしくは芳香族ケトンが好ましい。
、RまたはZのいずれかが有するアルキニル置換基としては、これまで、すでに一部は述べられているが、更に詳しく説明すると、好ましくは炭素数2個〜18個のもので、例えばエチニル基、プロパルギル基、2−ブチニル基、1−メチルプロパルギル基、1,1−ジメチルプロパルギル基、3−ブチニル基、4−ペンチニル基などである。特にRがプロパルギル基である場合が最も好ましい。
更にこれらは、Zの置換基として述べた基で置換されていてもよい。その例としては、例えば、3−フエニルプロパルギル基、3−メトキシカルボニルプロパルギル基、4−メトキシ−2−ブチニル基などがあげられる。
、R及びZで表わされる基または環への置換基の少なくとも1つは、アルキニル基またはアシル基である場合、あるいはRとRとが連結してジヒドロピリジニウム骨格を形成する場合が好ましく、更にR、R及びZで表わされる基または環への置換基としてアルキニル基を少なくとも一つ含む場合が最も好ましい。
で表わされるハロゲン化銀への吸着促進基の好ましい例としては、チオアミド基、メルカプト基または5ないし6員の含窒素ヘテロ環基があげられる。
で表わされるチオアミド吸着促進基は、
で表わされる二価の基であり、環構造の一部であってもよいし、また非環式チオアミド基であってもよい。有用なチオアミド吸着促進基は、例えば米国特許4,030,925号、同4,031,127号、同4,080,207号、同4,245,037号、同4,255,511号、同4,266,013号、及び同4,276,364号、ならびに「Research Disclosure」第151巻No.15162(1976年11月)、及び同第176巻No.17626(1978年12月)に開示されているものから選ぶことができる。
非環式チオアミド基の具体例としては、例えばチオウレイド基、チオウレタン基、ジチオカルバミン基エステル基など、また環状のチオアミド基の具体例としては、例えば4−チアゾリン−2−チオン、4−イミダゾリン−2−チオン、2−チオヒダントイン、ローダニン、チオバルビツール酸、テトラゾリン−5−チオン、1,2,4−トリアゾリン−3−チオン、1,3,4−チアジアゾリン−2−チオン、1,3,4−オキサジアゾリン−2−チオン、ベンズイミダゾリン−2−チオン、ベンズオキサゾリン−2−チオン及びベンゾチアゾリン−2−チオンなどがあげられ、これらは更に置換されていてもよい。
のメルカプト基は、R、RまたはZで表わされる基に−SH基が直接結合した場合と、R、RまたはZで表わされる基への置換基に−SH基が結合した場合とがあり、結局、該メルカプト基は脂肪族メルカプト基、芳香族メルカプト基やヘテロ環メルカプト基(−SH基が結合した炭素原子の隣りが窒素原子の場合は、これと互変異性体の関係にある環状チオアミド基と同義であり、この基の具体例は上に列挙したものと同じである)が挙げられる。
で表わされる5ないし6員の含窒素ヘテロ環基としては、窒素、酸素、硫黄及び炭素の組合せからなる5員ないし6員の含窒素ヘテロ環があげられる。これらのうち、好ましいものとしては、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアジンなどがあげられる。これらはさらに適当な置換基で置換されていてもよい。置換基としては、Zの置換基として述べたものがあげられる。含窒素ヘテロ環として更に好ましくはベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾールであり、最も好ましくはベンゾトリアゾールである。
で表わされる二価の連結基としては、C、N、S、Oのうち少なくとも1種を含む原子又は原子団である。具体的には、例えばアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−NH−、−N=、−CO−、−SO−(これらの基は置換基をもっていてもよい)、等の単独またはこれらの組合せからなるものである。
電荷バランスのための対イオンYは、複素環中の四級アンモニウム塩で生じた正電荷を相殺することができる任意の陰イオンであり、例えば臭素イオン、塩素イオン、沃素イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、エチルスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、チオシアンイオンなどである。この場合nは1である。複素環四級アンモニウム塩がスルホアルキル置換基のような陰イオン置換基を含む場合は、塩はベタインの形をとることができ、その場合には対イオンは必要なく、nは0である。複素環四級アンモニウム塩が2個の陰イオン置換基、例えば2個のスルホンアルキル基を有する場合には、Yは陽イオン性対イオンであり、例えばアルカリ金属イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)やアンモニウム塩(トリエチルアンモニウムなど)などがあげられる。
一般式(N−I)で表わされる化合物の具体例としては、特開平1−317398号公報の7頁〜10頁に記載の化合物(1)〜(35)をあげることができる。
以上述べた化合物は、例えば(Research Disclosure)No.22534(1983年1月発行、50〜54頁)に引用された特許、及び米国特許第4,471,044号等に記載された方法及びその類似の方法で合成できる。
なお、本発明において使用される前記一般式(N−I)で表わされる造核剤は下記(1)〜(7)に示す態様をとることが特に好ましく、(7)の場合が最も好ましい。
(1) 置換基としてXで表わされるハロゲン化銀への吸着促進基を有する場合。
(2) 前記(1)において、Xで表わされるハロゲン化銀への吸着促進基がチオアミド基、ヘテロ環メルカプト基又はイミノ銀を生成する含窒素複素環よりなる場合。
(3) 前記(2)において、Zで完成される複素環がキノリニウム、イソキノリウム、ナフトピリジニウム、ベンゾチアゾリウムである場合。
(4) 前記(2)において、Zで完成される複素環がキノリニウムである場合。
(5) 前記(2)において、R、R又はZの置換基としてアルキニル基を有する場合。
(6) 前記(5)において、Rがプロパルギル基である場合。
(7) 前記(2)において、Xのチオアミド基として、チオウレタン基、またXのヘテロ環メルカプト基としてメルカプトテトラゾールである場合。
(8) 前記(6)において、RがZで完成される複素環と結合して環を形成する場合。
上記一般式(N−II)において、R21は脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表わし、R22は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアミノ基を表わし;Gはカルボニル基、スルホニル基、スルホキシ基、ホスホリル基、又はイミノメチレン基(HN=C<)を表わし;R23及びR24は共に水素原子か、あるいは一方が水素原子で他方がアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はアシル基のどれかひとつを表わす。ただしG、R23、R24及びヒドラジン窒素を含めた形でヒドラゾン構造(>N−N=C<)を形成してもよい。また以上述べた基は可能な場合は置換基で置換されていてもよい。
一般式(N−II)において、R21で表わされる脂肪族基は直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。
21で表わされる芳香族基としては、単環又は2環のアリール基であり、例えばフエニル基、ナフチル基があげられる。
23のヘテロ環としては、N、O、又はS原子のうち少なくともひとつを含む3〜10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、さらに他の芳香環もしくはヘテロ環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、例えばピリジル基、キノリニル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基などがあげられる。
21は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば以下のものがあげられる。これらの基は更に置換されていてもよい。
例えばアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルもしくはアリール基、置換アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基やカルボキシル基などである。
これらの基は可能なときは互いに連結して環を形成してもよい。
21として好ましいのは、芳香族基、芳香族ヘテロ環又はアリール置換メチル基であり、更に好ましくはアリール基である。
22で表わされる基のうち好ましいものは、Gがカルボニル基の場合には、水素原子、アルキル基(例えばメチル基、トリフルオロメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−メタンスルホンアミドプロピル基など)、アラルキル基(例えばo−ヒドロキシベンジル基など)、アリール基(例えばフエニル基、3,5−ジクロロフエニル基、o−メタンスルホンアミドフエニル基、4−メタンスルホニルフエニル基など)などであり、特に水素原子が好ましい。
またGがスルホニル基の場合には、R22はアルキル基(例えばメチル基など)、アラルキル基(例えばo−ヒドロキシフエニルメチル基など)、アリール基(例えばフエニル基など)または置換アミノ基(例えばジメチルアミノ基など)などが好ましい。
22の置換基としては、R21に関して列挙した置換基が適用できる他、例えばアシル基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルケニル基、アルキニル基やニトロ基なども適用できる。
これらの置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよい。また可能な場合は、これらの基が互いに連結して環を形成してもよい。
21又はR22、なかでもR21は、カプラーなどの耐拡散基、いわゆるバラスト基を含むのが好ましい。このバラスト基は炭素原子数8以上で、アルキル基、フエニル基、エーテル基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、スルホンアミド基、又はチオエーテル基などの一つ以上の組合わせからなるものである。
21又はR22は、一般式(N−II)で表わされる化合物がハロゲン化銀粒子の表面に吸着するのを促進する基
を有していてもよい。ここでXは前記一般記(N−I)におけるXと同義であり、好ましくはチオアミド基(チオセミカルバジド及びその置換体を除く)、メルカプト基、または5ないし6員の含窒素ヘテロ環基である。Lは二価の連結基を表わし、前記一般記(N−I)のLと同じ意味を表わす。mは0または1である。
更に好ましいXは、環状のチオアミド基(すなわちメルカプト置換含窒素ヘテロ環で、例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基など)、又は含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)の場合である。
23,R24としては水素原子が最も好ましい。
一般式(N−II)のGとしてはカルボニル基が最も好ましい。
また一般式(N−II)としては、ハロゲン化銀への吸着基を有するものがより好ましい。特に好ましいハロゲン化銀への吸着基は、先の一般記(N−I)で述べたメルカプト基、環状チオアミド基、およびウレイド基である。
一般式(N−II)で示される化合物の具体例としては、特開特開平1−317398号公報の12頁〜14頁に記載の化合物(36)〜(79)をあげることができる。
本発明で用いられる一般式(N−II)で表わされる化合物の合成法は、例えば「Research Disclosure」No.15162(1976年11月 76頁〜77頁)、同誌No.22534(1983年1月 50〜54頁)及び同誌No.23510(1983年11月 346頁〜352頁)に記載されている特許や米国特許第4,080,207号、同第4,269,924号、同第4,273,364号、同第4,278,748号、同第4,385,108号、同第4,459,347号、同第4,478,928号、同第4,560,638号、英国特許第2,011,391B号、及び特開昭60−179734号などを参照すればよい。
なお、前記一般式(N−II)で表わされる造核剤は下記(1)〜(7)に示す態様をとることがとくに好ましく、(7)に示す場合が最も好ましい。
(1) 置換基としてXで表わされるハロゲン化銀への吸着促進基を有する場合。
(2) 前記(1)においてXで表わされるハロゲン化銀への吸着促進基が複素環メルカプト基又はイミノ銀を形成する含窒素複素環である場合。
(3) 前記(2)において、G−R22で示される基がホルミル基である場合。
(4) 前記(3)において、R23及びR24が水素原子である場合。
(5) 前記(3)において、R21が芳香族基である場合。
(6) 前記(3)において、R21が置換基としてウレイド基を有する場合。
(7) 前記(2)において、Xで示される複素環メルカプト基が5−メルカプトテルラゾール又は5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールである場合。
その他、本発明で使用しうる造核剤の例を以下に示す。
次の一般式で示されるヒドラゾン化合物
(R,R,R:アルキル基、アリール基、ヘテロ基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、及びその誘導体、
例えば、2−(2−イソプロピリデンヒドラジノ)フエニルイソチオシアネートなどのたとえば、米国特許第3,227,552号、同第3,615,615号、特開昭52−3426号、特公昭51−1416号などに記載のヒドラゾン化合物がある。)や次の一般式で示されるアルデヒド化合物
(R:4−a、4−bのR、R又はRと同じものを表わす。)、
たとえば、次式で示される化合物、
などの、たとえば、特開昭47−9678号、特公昭52−19452号、同49−20088号、などに記載のアルデヒド化合物がある。
金属ヒドリド化合物
たとえば、特公昭45−28065号、米国特許3,951,665号及び同第3,804,632号、英国特許第821,251号などに記載の金属ヒドリド化合物がある。
ジヒドロ化合物
さらに本発明には、たとえば、米国特許第3,951,656号、ベルギー国特許第708,563号、西独特許第1,572,125号及び同第2,104,161号、英国特許第1,282,084号及び同第1,308,753号、西独公開特許第1,572,140号に記載のジヒドロ化合物を使用することができる。
本発明に用いられる基質は標識物質により特異的に接触される少なくとも一つの構造Aを介し、少なくとも一つの現像中心形成剤Bとを結合したものである。ここで構造AとBが直接または連結基を介して連結されても良い。
連結の際に要求される条件としては、(1)連結により酵素反応性が阻害されないこと、及び(2)写真活性が失われないことなどが挙げられる。写真活性が失われないことの中には、ハロゲン化銀と接触時、現像時等にその特性が回復するいわゆるプリカーサー体をも包含している。プリカーサー型連結基については、特開昭59−93442号、特開昭59−201057号、特開昭59−218439号、特開昭59−219741号、特開昭60−41034号、特開昭61−43739号、特開昭61−95346号に記載されている。連結基Dは、アミノ酸、ペプチド、ポリアミノ酸、単糖類、二糖類、多糖類(オリゴマー、ポリマー)、核酸塩基(ヌクレオシド、ヌクレオチド、ポリヌクレオシド、ポリヌクレオチドド)等を含んでいてもよい。
連結は、構造A上の官能基(たとえば、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、あるいは、これらの官能基と反応し得る基など)と、カブラセ剤構造B上の官能基(たとえば、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、あるいは、これらの官能基と反応し得る基など)を介して、行われる。これらの基は、それぞれの構造にあらかじめ存在していてもよいし、また、これらの基、もしくは、これらの基を含む化合物の化学反応による導入によって組み込まれてもよい。また、これらの官能基は、単独で用いられてもよく、また、併用されてもよい。
一方、上記の官能基と反応する基を有する化合物としては、次のものがある。すなわち、アルキルクロルホルメート類(例えば、ジエチルクロロホルメート、イソブチルクロロホルメートなど)、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなど)、イソシアネート類(例えば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなど)、チオイソシアネートなど)、ビニル化合物(例えば、ジビニルケトン、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルスルホンなど)、活性ハライド類(例えば、シアヌルクロリド、ムコハロゲン酸、ニトロフエニルクロリド、フエノール−2,4−ジスルホニルクロリドなど)、活性エステル類(例えば、p−トルエンスルホン酸サクシニルエステルなど)、
イミダゾール酸アミド類(例えば、カルボニルイミダゾール、スルホニルジイミダゾール、トリイミダゾリルホスフエイトなど)、ピリジニウム化合物(例えば、N−カルバモイルピリジニウム、N−カルバモイルオキシピリジニウムなど)、スルホン酸エステル類(例えば、アルカンスルホン酸エステルなど)、ビスマレイミド類(例えば、N,N’−(1,3−フエニレン)ビスマレイミドなど)、ジアゾニウム化合物(例えば、ビスジアゾベンチジンなど)、エポキシ化合物(例えば、ビスオキシランなど)、酸無水物、カルボン酸類、エチレンイミン類などである。
上記記載上、「カブラセ剤」の記載は本発明の現像中心形成剤に読み替えることができる。
本発明の基質は感材中に拡散できず、標識物質との反応により放出された化合物のみが感材中に拡散可能であることが好ましい。この場合には反応溶液中の未反応基質を分離する必要がなくなるからである。
本発明の標識物質としては酵素を用いることができる。
本発明に用いることのできる酵素は、たとえば、酵素反応における接触の様式に応じて、基質分子中の結合たとえばペプチド結合、エステル結合、リン酸エステル結合、グルコシド結合、酸アミド結合、などを水分子の付加により切断するいわゆる加水分解型酵素(たとえば、蛋白質分解酵素、核酸分解酵素、糖質分解酵素、エステル結合分解酵素、脂質分解酵素など)、基質中の特定の官能基を脱離させたり、他の基質を移すいわゆる脱離酵素及び転移酵素型酵素、基質との酸素の受けわたしなどに関与する電子伝達系酵素及び基質の酸化還元反応に関与する酸化還元酵素などである。
本発明の測定対象となる酵素の代表的具体的例は、たとえば、トリプシン、プラスミン、カリクレイン、トロンビン、キモトリプシン、ウロキナーゼ、カテプシン、ストレプトマイセン、アルカリプロテアーゼ、パパイン、フイシン、プロメライン、レニン、コラゲナーゼ、エラスターゼなどの蛋白質分解酵素、たとえば、ロイシンアミノペプチターゼ、アミノペプチターゼ、アシルアミノ酸遊離酵素、カルボキシペプチターゼ、ジペプチジル−ペプチダーゼなどのペプチド分解酵素、たとえば、リボヌクレアーゼA、リボヌクレアーゼT、デオキシリボヌクレアーゼA、エンドヌクレアーゼなどの核酸分解酵素、たとえば、アミラーゼ、リゾチーム、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダーゼ、ホスホリラーゼ、グルカナーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、アルギン酸リアーゼなどの糖質分解酵素(脱離型酵素を含む)、
たとえば、リパーゼ、ホスホリパーゼ、などの脂質分解酵素、トランスカルバオラーゼ、アミノトランスフエラーゼ、アシルトランスフエラーゼ、ホスホトランスフエラーゼなどの転移酵素、カルボキシリアーゼ、ヒドロリアーゼ、アンモニアリアーゼなどの脱離酵素等が、「酵素」(船津勝編・講談社刊・1977年)、「生化学データブック」(第一分冊)(日本生化学会編・東京化学同人1979年刊)及び「The Enzyme」Vol.III、IV及びV(Paul.D.Boyer他編・1971年・アカデミックプレス刊)などに記載されている。
(有機銀塩)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀及びこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
本発明における有機銀塩の別の態様は、メルカプト銀はメルカプト化合物の銀塩である。メルカプト化合物として好ましくは、脂肪族メルカプト、ヘテロ環メルカプトである。脂肪族メルカプトの場合、炭素数10以上30以下であることが好ましく、より好ましくは、炭素数10以上25以下の場合である。脂肪族の場合、直鎖、分岐いずれの場合でも良い。また、飽和、不飽和いずれも問わない。更に、無置換でも、置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、置換基は特に限定されないが、好ましくは、アルキル基である。
脂肪族メルカプトとして好ましくは、脂肪族がアルキル基の場合であり、更に好ましくは、炭素数10以上23以下のアルキル基である。これらは、置換・無置換、直鎖・分岐、いずれの場合をも含む。
代表的な脂肪族メルカプトの銀塩を次に挙げるが、これらの化合物に限定されることはない。例えば、炭素数10〜25のアルキルチオール等であり、好ましくは炭素数10〜23のアルキルチオールである。
ヘテロ環メルカプトの場合、ヘテロ環としては、含窒素ヘテロ環、含硫黄ヘテロ環、含酸素ヘテロ環、含セレンヘテロ環が好ましく、より好ましくは、含窒素ヘテロ環、含硫黄ヘテロ環、含酸素ヘテロ環である。含窒素ヘテロ環メルカプトとして代表的な化合物を以下に挙げるが、これらに限定されない。
・3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩。
・2−メルカプト−ベンズイミダゾールの銀塩。
・2−メルカプト−5−アミノチアゾールの銀塩。
・メルカプトトリアジンの銀塩。
・2−メルカプトベンゾオキサゾールの銀塩。
・米国特許第4,123,274号(ナイトほか)記載の化合物の銀塩(例えば1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩)チオン化合物の銀塩(例えば米国特許No.3,785,830(サリヴァンほか)に記載の3−(2−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩)。
含窒素ヘテロ環銀は含窒素ヘテロ環化合物の銀塩で、含窒素ヘテロ環化合物としては、アゾール類、オキサゾール類、チアゾール類、チアゾリン類、イミダゾール類、ジアゾール類、ピリジン類、インドリジン類及びトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくはインドリジン類、イミダゾール類及びアゾール類である。アゾール類として好ましくは、トリアゾール、テトラゾール、及びその誘導体である。更に好ましくは、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール及びその誘導体である。インドリジン類として好ましくはトリアザインドリジン誘導体が好ましい。
さらに代表的な含窒素ヘテロ環化合物を次に挙げるが、これらの化合物に限定されることはない。例えば、1,2,4−トリアゾール、又はベンゾトリアゾール及びその誘導体で、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾールが好ましい。さらに米国特許第4,220,709号(de Mauriac)に記載されているフェニルメルカプトテトラゾールのような1H−テトラゾール化合物、米国特許第4,260,677号(ウィンズローほか)に記載のイミダゾール及びイミダゾール誘導体等が挙げられ、ベンゾイミダゾール、ニトロベンゾイミダゾールが好ましい。トリアザインドリジン誘導体としては5−メチルー7−ヒドロキシ−1,3,5−トリアザインドリジンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
芳香族カルボン酸銀は芳香族カルボン酸の銀塩で芳香族カルボン酸としては置換、無置換のベンゼンカルボン酸であり、置換基に特に限定されない。好ましくは安息香酸及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体である。
多価カルボン酸銀は多価カルボン酸の銀塩で、低分子多価カルボン酸銀は式(I)で表される。
式(I)
C−L−CO
式(I)において、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、二価の複素環基、−C(=O)−、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、および−N(R)−から選ばれる二価の基、または、これらの基の組み合わせによる二価の複合基を表し、Lは更に置換基を有していても良い。
は水素原子又は置換基を表す。MおよびMは水素原子または対イオンを表し、MおよびMの少なくとも一方は、銀(I)イオンを表す。式(I)で表される化合物は、カルボキシル基またはその塩を更に有していても良い。
具体的な化合物としては、特開2003−330139号記載の段落番号0024〜0044の化学式番号2〜16が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好ましい低分子多価カルボン酸銀に用いるカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、シュウ酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又はナフタレンジカルボン酸である。特に好ましくはフタル酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、又はナフタレンジカルボン酸である。複数のカルボン酸に対して、少なくともひとつ以上が銀塩になっている。
高分子多価カルボン酸銀はカルボキシル基を有するモノマーより誘導される繰り返し単位を含有するポリマーの銀塩である。好ましくは式(II)で表される。
式(II)で、Aはカルボキシル基を含有するモノマーより誘導される繰り返し単位、BはA以外のエチレン性不飽和モノマーより誘導される繰り返し単位を表す。aは5質量%〜100質量%、bは0質量%〜95質量%の数値を表し、a+b=100質量%である。
さらに好ましくは、aは50質量%〜100質量%、bは0質量%〜50質量%で、a+b=100質量%である。
具体的には特開2003−330137号の段落番号0013〜0074に記載の内容である。
具体的なカルボン酸としては下記に示した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのカルボン酸を用いた銀塩が高分子多価カルボン酸銀で、一分子中に少なくとも一つ以上のカルボン酸銀を持っている。
上記の有機銀塩のうち、好ましい銀塩は、脂肪酸銀としてはベヘン酸銀、ステアリン酸銀、ラウリン酸銀、オレイン酸銀、リグノセリン酸銀、又はアラキジン酸銀である。メルカプト銀としては3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプト−ベンズイミダゾールの銀塩、又は2−メルカプト−5−アミノチアゾールの銀塩である。含窒素ヘテロ環銀としてはベンゾトリアゾール銀、メチルベンゾトリアゾール銀、ベンゾイミダゾール銀、ニトロベンゾイミダゾール銀、又は5−メチルー7−ヒドロキシ−1,3,5−トリアザインドリジン銀である。多価カルボン酸銀としてはフタル酸銀、コハク酸銀、アジピン酸銀、グルタル酸銀、又はナフタレンジカルボン酸銀である。高分子多価カルボン酸銀としては上記のP−1、3,5の銀塩である。
この中で特に好ましいのは、ベンゾトリアゾール銀、メチルベンゾトリアゾール銀である。
脂肪酸および脂肪族メルカプトの銀塩の合成方法は、通常の方法で調製することができ、例えば、水中で融点以上(一般的には10℃〜90℃)に加熱し溶融させ、水酸化ナトリウムを用いてナトリウム塩を調製し、そのナトリウム塩を硝酸銀と反応させ、脂肪族メルカプト銀塩の結晶が得られる。これらを適当な分散剤を用いて分散して分散物を調製することができる。この時に脂肪酸銀、脂肪族メルカプト銀塩の結晶を調製する時にゼラチン等の親水性コロイドを共存させ、脂肪酸銀、脂肪族メルカプト銀塩分散物を調製しても良い。これ以外の方法としては脂肪酸あるいは脂肪族メルカプトを反応容器に入れておき、そこに硝酸銀を添加して生成しても良い。
ヘテロ環メルカプトの銀塩および低分子多価カルボン酸銀も同様に調製することができる。それ以外の方法としては、例えば日本化学会編、実験化学講座第4版、22巻、1−43頁、193−227頁、ならびに、これらに記載された文献を参考にすれば、当業者であれば容易に製造できる。また、含窒素ヘテロ環化合物、ヘテロ環メルカプト化合物の銀塩の合成方法は特開平1−100177号に記載されている方法で製造することができる。高分子多価カルボン酸銀も上記と同様の方法で合成することができる。
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5未満の短針状、直方体、立方体又はジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のかぶりが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、熱現像感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、かぶりが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して熱現像感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%以上30モル%以下の範囲が好ましく、更に2モル%以上20モル%以下、特に3モル%以上15モル%以下の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
4)添加量
本発明における有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m以上5.0g/m以下が好ましく、より好ましくは0.3g/m以上3.0g/m以下、さらに好ましくは0.5g/m以上2.0g/m以下である。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m以下、より好ましくは1.6g/m以下であることが好ましい。本発明における好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
(銀イオンのための還元剤)
本発明の熱現像感光材料は銀イオンのための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)において、R11及びR11’は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12及びR12’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは、−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。X及びX’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
一般式(R)について詳細に説明する。
以下でアルキル基と称するとき、特に明記していない場合はシクロアルキル基もこれに含まれる。
1)R11及びR11
11及びR11’は各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり。アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
2)R12及びR12’、X及びX
12及びR12’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、X及びX’も各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシルアミノ基が挙げられる。
3)L
Lは−S−基又は−CHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、及び3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基などが挙げられる。
4)好ましい置換基
11及びR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、及び1−メチルシクロプロピル基などが挙げられる。R11及びR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、又は1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
12及びR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、及びメトキシエチル基などが挙げられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
及びX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、又は3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子又は2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、シクロヘキシル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’及びR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に、一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明における還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記以外の本発明における好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号、EP1278101A2号に記載された化合物である。
本発明において還元剤の添加量は0.1g/m以上3.0g/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m以上2.0g/m以下で、さらに好ましくは0.3g/m以上1.0g/m以下である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%以上50モル%以下含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%以上30モル%以下であり、10モル%以上20モル%以下で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でαメチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm以上1000ppm以下の範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上2μm以下の微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(造核剤)
本発明に用いることのできる造核剤について説明する。
造核剤としては、下記一般式(H)で表されるヒドラジン誘導体化合物、下記一般式(G)で表せるビニル化合物、下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物、式(A)、式(B)、一般式(C)で表される環状オレフィン化合物等が好ましい例として挙げられる。
一般式〔H〕において、式中、Aはそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基または−G−D基を、Bはブロッキング基を表し、A、Aはともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基またはオキザリル基を表す。ここで、Gは−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG)−基、−SO−基、−SO−基または−P(O)(G)−基を表し、Gは単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D)−基を表し、Dは脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のDが存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。Dは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。好ましいDとしては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアミノ基等が挙げられる。
一般式(H)において、Aで表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、及びベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、又はウレイド基等)で置換されていてもよい。
一般式(H)において、Aで表される芳香族基は、単環または縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環またはナフタレン環が挙げられ、Aで表される複素環基としては、単環または縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、及びフラン環が挙げられる。Aの芳香族基、複素環基及び−G−D基は置換基を有していてもよい。Aとして、特に好ましいものはアリール基及び−G−D基である。
また、一般式(H)において、Aは耐拡散基またはハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、及びアルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
一般式(H)において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
一般式(H)において、Bはブロッキング基を表し、好ましくは−G−D基であり、Gは−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG)−基、−SO−基、−SO−基または−P(O)(G)−基を表す。好ましいGとしては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、Gは単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D)−基を表し、Dは脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のDが存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。Dは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表し、好ましいDとしては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A、Aはともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、又はベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、またはオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
一般式(H)で表される化合物の具体例としては、特開平2002−131864号の化学式番号12〜化学式番号18のH−1〜H−35の化合物、化学式番号20〜化学式番号26のH−1−1〜H−4−5の化合物が上げられるが、これらに限定されるものではない。
これら本発明の一般式(H−1)〜(H−4)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同5,496,695号を参考にして合成することができる。
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
一般式(G)について説明する。一般式(G)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(G)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示においても同様である。
一般式(G)において、Xは電子求引性基を表し、Wは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、又はインモニウム基を表す。
Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5員〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、又はスルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、及びβ−ケトラクタム等が挙げられる。
一般式(G)について更に説明すると、Xの表す電子求引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、及びインモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、及びトリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、及びシアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、及びペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、及びベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子求引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩が挙げられる。
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
一般式(G)で表される化合物の具体例としては、特開平2002−131864号の化学式番号27〜化学式番号50の1−1〜92−7が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(P)において、Qは窒素原子または燐原子を表し、R、R、R及びRは、各々水素原子または置換基を表し、Xはアニオンを表す。尚、R〜Rは互いに連結して環を形成してもよい。
〜Rで表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、又はシクロヘキシル基等)、アルケニル基(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、又はスルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
〜Rが互いに連結して形成しうる環としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、及びテトラゾール環等が挙げられる。
〜Rで表される基はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R、R、R及びRとしては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
が表すアニオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
一般式(P)の構造として、特開平2002−131864号の段落番号0153〜段落番号0163に記載されている構造がさらに好ましい。
一般式(P)の具体的な化合物は、特開平2002−131864号の化学式番号53〜化学式番号62のP−1〜P−52、T−1〜T−18が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記4級オニウム化合物は公知の方法を参照して合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物はChemical Reviews、vol.55、p.335〜483に記載の方法を参考にできる。
次に式(A)および(B)で表される化合物について詳しく説明する。式(A)においてZは、−Y−C(=CH−X)−C(=O)−と共に5員〜7員の環構造を形成しうる非金属原子団を表す。Zは好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、および水素原子から選ばれる原子団で、これらの中から選ばれる数個の原子が、互いに単結合ないしは2重結合によって連結されて、−Y−C(=CH−X)−C(=O)−と共に5員〜7員の環構造を形成する。Zは置換基を有していてもよく、またZ自体が、芳香族もしくは非芳香族の炭素環、或いは芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環の一部であってもよく、この場合、Zが−Y−C(=CH−X)−C(=O)−と共に形成する5員〜7員の環構造は、縮環構造を形成することになる。
式(B)においてZは、−Y−C(=CH−X)−C(Y)=N−と共に5員〜7員の環構造を形成しうる非金属原子団を表す。Zは好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、および水素原子から選ばれる原子団で、これらの中から選ばれる数個の原子が、互いに単結合ないしは2重結合によって連結されて、−Y−C(=CH−X)−C(Y)=N−と共に5員〜7員の環構造を形成する。Zは置換基を有していてもよく、またZ自体が、芳香族もしくは非芳香族の炭素環、或いは芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環の一部であってもよく、この場合、Zが−Y−C(=CH−X)−C(Y)=N−と共に形成する5員〜7員の環構造は、縮環構造を形成することになる。
およびZが置換基を有する場合、その置換基の例としては、以下に挙げたものの中から選ばれる。即ち、代表的な置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
次にYについて説明する。式(B)においてYは水素原子または置換基を表すが、Yが置換基を表すとき、その置換基としては、具体的に以下の基が挙げられる。即ち、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、(アルキル、アリール、もしくはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキル、アリール、もしくはヘテロ環)チオ基等である。これら置換基は任意の置換基で置換されていてもよく、具体的にはZまたはZが有していてもよい置換基の例が挙げられる。
式(A)および式(B)において、XおよびXは、各々ヒドロキシ基(もしくはその塩)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、セチルオキシ基、t−ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p−t−ペンチルフェノキシ基、p−t−オクチルフェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基(例えばベンゾトリアゾリル−5−オキシ基、ピリジニル−3−オキシ基等)、メルカプト基(もしくはその塩)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、p−ドデシルフェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾイル−5−チオ基、2−メチル−1−フェニルトリアゾリル−5−チオ基、メルカプトチアジアゾリルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えばメチルアミノ基、プロピルアミノ基、オクチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(例えばアニリノ基、ナフチルアミノ基、o−メトキシアニリノ基等)、ヘテロ環アミノ基(例えばピリジルアミノ基、ベンゾトリアゾール−5−イルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ドデシルスルホンアミド基等)、またはヘテロ環基を表す。
ここでヘテロ環基とは、芳香族または非芳香族の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環の、置換もしくは無置換のヘテロ環基で、例えば、N−メチルヒダントイル基、N−フェニルヒダントイル基、スクシンイミド基、フタルイミド基、N,N’−ジメチルウラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、インダゾリル基、モルホリノ基、及び4,4−ジメチル−2,5−ジオキソ−オキサゾリル基等が挙げられる。
またここで塩とはアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、又はリチウム)もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)の塩、銀塩、あるいはまた4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウム塩、ジメチルセチルベンジルアンモニウム塩等)、4級ホスホニウム塩等を表す。式(A)および式(B)において、YおよびYは−C(=O)−または−SO−を表す。
式(A)および式(B)で表される化合物の好ましい範囲については、特開平11−231459号の段落番号0027〜段落番号0043に記載されている。式(A)および式(B)の具体的化合物例は、特開平11−231459号の表1〜表8の1〜110の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に本発明の一般式(C)で表される化合物について詳しく説明する。一般式(C)において、Xは酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を表す。Xが窒素原子の場合にはXとZの結合は単結合でも2重結合であってもよく、単結合の場合には窒素原子は水素原子あるいは任意の置換基を有していてもよい。この置換基としては例えばアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、又は活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及び(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基等が挙げられる。
は−C(=O)−、−C(=S)−、−SO−、−SO−、−C(=NR)−、−(R)C=N−で表される基を表す。ZはX,Yを含む5員〜7員環を形成しうる非金属原子団を表す。その環を形成する原子団は2〜4個の金属原子以外の原子からなる原子団で、これらの原子は単結合あるいは2重結合で結合されていてもよく、これらは水素原子あるいは任意の置換基(例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アミノ基、アルケニル基)を有していてもよい。ZがX、Yを含む5〜7員環を形成するとき、その環は飽和または不飽和のヘテロ環であり、単環であっても縮合環を有していてもよい。この場合の縮合環は、YがC(=NR)、(R)C=Nで表される基であるとき、RまたはRがZの有する置換基と結合して形成されるものであってもよい。
一般式(C)においてR,R,R,及びRは、それぞれ水素原子または置換基を表す。ただしRとRが互いに結合して環状構造を形成することはない。
,Rが1価の置換基を表す時、1価の置換基としては、以下の基が挙げられる。
例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環(ヘテロ環)基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、水酸基(ヒドロキシ基)またはその塩、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基またはその塩、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら置換基は、これら1価の置換基でさらに置換されていてもよい。
次にR、Rが置換基を表す時、置換基としてはハロゲン原子を除いてR、Rが有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。R、RはさらにZと連結して縮合した環を形成していてもよい。
次に一般式(C)で表される化合物のうち、好ましいものについて説明する。一般式(C)においてZは好ましくはX、Yとともに5員〜7員環を形成し、2個〜4個の炭素原子、窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子から選ばれる原子からなる原子団であり、ZがX、Yとともに形成するヘテロ環は好ましくは総炭素数3〜40の、より好ましくは3〜25の、最も好ましくは3〜20のヘテロ環であり、Zは好ましくは少なくとも1つの炭素原子を含む。
一般式(C)においてYとして好ましくは−C(=O)−,−C(=S)−,−SO−,−(R)C=N−であり、特に好ましくは−C(=O)−,−C(=S)−,−SO−であり、最も好ましくは−C(=O)−である。
一般式(C)においてR、Rが1価の置換基を表す場合には、R、Rで表される1価の置換基として好ましくは、総炭素数0〜25の以下の基、すなわちアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、イミド基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩、または電子求引性の置換基である。ここに電子求引性の置換基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことであり、具体的には、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、イミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(またはその塩)、飽和もしくは不飽和のヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基、またはこれら電子求引性基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの基は任意の置換基を有していてもよい。
一般式(C)においてR、Rが1価の置換基を表す場合には、さらに好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、イミド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩等である。一般式(C)においてR、Rは特に好ましくは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩等である。一般式(C)において最も好ましくはRとRのどちらか一方が水素原子で他方がアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩である。
一般式(C)においてRが置換基を表す場合には、好ましくは総炭素数1〜25のアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホスルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、及びアミノ基等が挙げられる。特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
一般式(C)においてRが置換基を表す場合には、好ましくは総炭素数1〜25のアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホスルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はヘテロ環チオ基等が用いられる。特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及びヘテロ環チオ基等が挙げられる。YがC(R)=Nを表すとき、X、Yの置換した炭素原子と結合するのはY中の炭素原子である。
一般式(C)の具体的な化合物は、特開平11−133546号記載の化学式番号6〜化学式番号18のA−1〜A−230で表されるが、これらの化合物に限定されない。
上記造核剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10−5モル〜1モル、好ましくは10−4モル〜5×10−1モルの範囲である。
上記造核剤の添加方法は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でαメチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体微粒子分散法としては、造核剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、造核剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
上記造核剤の中で、現像時間が20秒以下という迅速現像で処理される熱現像感光材料では、一般式(H)、(P)で表される化合物を使うことが好ましく、特に好ましくは一般式(H)で表される化合物が好ましい。
低かぶりが求められる熱現像感光材料では一般式(G)、(A)、(B)、(C)で表される化合物を使うことが好ましく、特に好ましくは、一般式(A),(B)で表される化合物である。また、種々の環境条件(温度、湿度)で使われた場合に環境条件に対する写真性能の変化が少ない熱現像感光材料には一般式(C)で表される化合物を使うことが好ましい。
上記造核剤の中で好ましい具体的化合物を下記に挙げるが、これらの化合物に限定されるものではない。
(現像促進剤)
本発明の熱現像感光材料には、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物が好ましく用いられる。また、特開2002−311533号、特開2002−341484号明細書に記載されたフェノール系の化合物も好ましい。特に特開2003−66558号明細書に記載のナフトール系の化合物が好ましい。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%以上20モル%以下の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%以上10モル%以下の範囲で、より好ましくは1モル%以上5モル%以下の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物又は乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、若しくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号、特開2002−278017号明細書に記載ヒドラジン系の化合物及び特開2003−66558号明細書に記載されているナフトール系の化合物がより好ましい。
本発明における特に好ましい現像促進剤は、下記一般式(A−1)及び(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
−NHNH−Q
式中、Qは炭素原子で−NHNH−Qと結合する芳香族基、又はヘテロ環基を表し、Qはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、又はスルファモイル基を表す。
一般式(A−1)において、Qで表される芳香族基又はヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、又はチオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及びアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びアシルオキシ基を挙げることができる。
で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、及びN−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、及び2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Qで表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、及びベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Qで表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、及びN−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Qで表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQで表される5員〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Qとしては5員〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、及びこれらの環がベンゼン環若しくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Qはカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
一般式(A−2)においてRはアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R、Rはそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。RとRは互いに連結して縮合環を形成してもよい。
は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、又はシクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、又は4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、又は2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。Rは好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、又はベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。Rは水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基又はアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はRと同様である。Rがアシルアミノ基である場合RはRと連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてRとRが互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、Rはカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。Rはアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明における現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)又はアミノ基(−NHR、Rは水素原子又はアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基又はアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、及び含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、及びホスホリル基などが挙げられ、置換基として好ましいのはアルキル基又はアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、及び4−アシルオキシフェニル基などが挙げられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、及び2−フェノキシプロピル基などが挙げられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、及び3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、及びベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、及びビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、及びN−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明における一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、熱現像感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。これらの化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明における一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明における一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明における一般式(D)の化合物は、還元剤に対して、1モル%以上200モル%以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以上150モル%以下の範囲で、さらに好ましくは20モル%以上100モル%の範囲である。
(ハロゲン化銀の説明)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀及びヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.03μm以上0.5μm以下、更に好ましくは0.05μm以上0.3μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第6族〜第13族の金属または金属錯体を含有することができる。より好ましくは、第6族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第6族〜第10族の金属又は金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、および鉄である。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モルから1×10−3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir(CN)3−、[Cr(CN)3−、[Re(CN)3−などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、又はアミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感及びテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、又は化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やかぶりの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10−6モル〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10−4モル〜10−1モルである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法若しくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価又は+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、又はピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特開2002−278016号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレン及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8モル以上10−2モル以下、好ましくは10−7モル以上10−3モル以下程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モル以上10−3モル以下、より好ましくは10−6モル以上5×10−4モル以下である。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、温度としては40℃〜95℃程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィン酸が好ましく、その他に塩化第一スズ、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、タイプ2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特開2004−239943号に記載の一般式(1)と同義)、または化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特開2003−245929号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
一般式(1)及び(2)中、RED、REDは還元性基を表す。Rは炭素原子(C)とREDとともに5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、もしくはヘキサヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。
、R、及びRは水素原子または置換基を表す。Lv、Lvは脱離基を表す。EDは電子供与性基を表す。
一般式(3)、(4)及び(5)中、Zは窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、及びR19は水素原子または置換基を表す。R20は水素原子または置換基を表すが、R20がアリール基以外の基を表すとき、R16、R17は互いに結合して芳香族環または芳香族ヘテロ環を形成する。R、R12はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m1は0〜3の整数を表し、m2は0〜4の整数を表す。Lv、Lv、及びLvは脱離基を表す。
一般式(6)および(7)中、RED、REDは還元性基を表す。R21〜R30は水素原子または置換基を表す。Zは−CR111112−、−NR113−、または−O−を表す。 R111、R112はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表す。R113は水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(8)中、REDは還元性基でありアリールアミノ基またはヘテロ環アミノ基を表す。R31は水素原子または置換基を表す。Xはアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。Lvは脱離基でありカルボキシ基もしくはその塩または水素原子を表す。
一般式(9)で表される化合物は脱炭酸を伴う2電子酸化が起こった後に、さらに酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は水素原子または置換基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のヘテロ環を形成する基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。一般式(9)中、R32、R33、Zは化学反応式(1)中のものと同義である。ZはC−Cとともに5員または6員の環状脂肪族炭化水素基またはヘテロ環基を形成する基を表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特開2004−245929号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特開2004−245929号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
一般式(10)中、REDは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはREDが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、またはベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。QはREDとYを連結する連結基を表す。
一般式(11)で表される化合物は酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は水素原子または置換基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のヘテロ環を形成する基を表す。ZはC=Cとともに5員または6員のアリール基またはヘテロ環基を形成する基を表す。ZはC−Cとともに5員または6員の環状脂肪族炭化水素基またはヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、またはカチオンを表す。一般式(11)中、R32、R33、Z、及びZは化学反応式(1)中のものと同義である。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、及び3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素またはリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)アンモニオ基など)または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、ホスホニオ基(トリアルキルホスホニオ基、ジアルキルアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基、アルキルジアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基、トリアリール(またはヘテロアリール)ホスホニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF 、PF 、及びPh等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオンまたはメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素またはリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素またはリンの4級塩構造を表す。Q、Qはそれぞれ独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、またはこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)または(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1または2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
以下にタイプ1、2で表される化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるわけではない。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、水、メタノール、又はエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9モル〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10−8モル〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
式(I) A−(W)n−B
式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg2+、Ag、又はZn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、“−S−”基又は“−Se−”基又は“−Te−”基又は“=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、及びベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO−、−O−、−S−、−NR−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでRは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、又はアリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150頁−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282頁−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5 ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0V〜約0.7Vの範囲である。
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
本発明における式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明における式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
以下に本発明における式(I)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
さらに欧州特許1308776A2号明細書p73〜p87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本発明における式(I)の化合物は、ハロゲン化銀画像形成層に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10−6モル以上1モル以下、好ましくは1×10−5モル以上5×10−1モル以下、さらに好ましくは1×10−4モル以上1×10−1モル以下である。
本発明における式(I)の化合物は、水、メタノール、又はエタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
11)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
12)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m以上0.6g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.4g/m以下であることがさらに好ましく、0.07g/m以上0.3g/m以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
13)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
ハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(バインダー)
1)画像形成層のバインダー
本発明における画像形成層のバインダーは、いかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
本発明では、画像形成層に併用できるバインダーのガラス転移温度は−20℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、0℃〜60℃であることがより好ましく、5℃以上40℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
《溶解度パラメータ》
本発明のバインダーの溶解度パラメータの好ましい範囲としては、7〜15(cal/cm1/2が好ましく、さらに好ましくは7.5〜13(cal/cm1/2であり、最も好ましくは8〜12(cal/cm1/2の範囲である。
溶解度パラメータ(SP値)の計算方法は「ポリマーハンドブック第4版John Wiley&Sons」VII680〜683に記載されている方法を用いる。溶解度パラメータ(SP値)とは凝集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積あたりの蒸発エネルギーを1/2乗したもので、単位体積あたりの極性の大きさを示す値である。
ポリマーの場合には、一般に次のSmallの式を用いて計算する。
主なポリマーの溶解度パラメータは同ポリマーハンドブック第4版のVII702〜711に記載されている。本発明においてはポリマーの溶解度パラメータを上記smallの式にHoyの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を用いた。
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましいことから、画像形成層のバインダーが水溶性もしくは水分散性バインダーを用いることが好ましい。
また水分散性バインダーの中でも25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。
ポリマーラテックスの最も好ましい形態としては、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものである。このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法やイオン交換する方法が挙げられる。
ここでいう水溶性もしくは水分散性ポリマーとは水系溶媒(水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したもの)に溶解するもしくは分散可能なポリマーのことである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、及びジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明におけるバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は、2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000以上1000000以下、好ましくは10000以上200000以下がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
(ラテックスの具体例)
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P−1;−MMA(55)−EA(42)−MAA(3)−のラテックス(分子量39000、Tg39℃、SP値=9.60)
P−2;−MMA(60)−2EHA(30)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量42000、Tg40℃、SP値=9.39)
P−3;−St(62)−Bu(35)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg5℃、SP値=9.35)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃、SP値=9.38)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃、SP値=9.39)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性、Tg23℃、SP値=9.41)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃、SP値=9.39)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性、Tg6℃、SP値=9.37)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg26℃、SP値=9.41)
P−10;−VC(35)−MMA(20)−EA(35)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量75000、Tg41℃、SP値=9.92)
P−11;−VDC(65)−MMA(25)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000、Tg12℃、SP値=10.04)
P−12;−EA(60)−MMA(30)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000、Tg16℃、SP値=9.65)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃、SP値=9.38)
P−14;−MMA(40)−EA(58)−AA(2)のラテックス(分子量43000、Tg18℃、SP値=9.67)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃、SP値=9.4、SP値=9.39)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃、SP値=9.38)
P−17;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃、SP値=9.04)
P−18;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃、SP値=9.13))
P−19;−St(50)−イソプレン(45)−AA(5)−のラテックス(架橋性,Tg1℃、SP値=8.96)
P−20;−St(40)−イソプレン(57)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg−17℃、SP値=8.83)
P−21;−St(30)−イソプレン(67)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg−30℃、SP値=8.73)
P−22;−St(70)−イソプレン(27)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg34℃、SP値=9.15)
P−23;−St(75)−イソプレン(22)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg44℃、SP値=9.20)
P−24;−St(61.3)−2,3−ジメチルブタジエン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃、SP値=9.04)
P−25;−St(61.3)−2−Cl−ブタジエン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃、SP値=9.04)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上、ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上、大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上、イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上、大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上、大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上、日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上、旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
(好ましいラテックス)
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のもしくはスチレン−イソプレン共重合体ラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。また、本発明におけるポリマーラッテクスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は前記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−9,15、16市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては前記のP−17〜P−23が挙げられる。
本発明の熱現像感光材料の画像形成層にはポリマーラテックスに加えて必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明における有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
本発明における画像形成層の全バインダー量は、好ましくは0.2g/m以上30g/m以下、より好ましくは1g/m以上15g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上10g/m以下の範囲である。本発明における画像形成層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
2)非感光性層のバインダー
本発明の熱現像感光材料の非感光性層に用いることのできるバインダーは、画像形成層に用いることのできるバインダーと同じバインダーが使用できるが、非感光性層では主バインダーとしては水溶性のバインダーを用いることが好ましい。主バインダーとは非感光性層中のバインダーの50%以上、好ましくは60%以上をしめるバインダーのことである。
非感光性層に用いることのできる水溶性の主バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、特にゼラチンもしくはポリビニルアルコールが好ましい。
(好ましい塗布液の溶媒)
本発明において熱現像感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤の説明)
本発明に用いることのできるかぶり防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で用いることができる好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明における好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0〜1を表し、Z及びZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子又は電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は窒素原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基(ピリジン、キノリン基等)である。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子、電子求引性基で置換されたアルキル基、電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基等があげられる。電子求引性基として特に好ましいのは、ハロゲン原子、カルバモイル基、アリールスルホニル基であり、特にカルバモイル基が好ましい。
Xは好ましくは電子求引性基である。好ましい電子求引性基は、ハロゲン原子、脂肪族・アリール若しくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリール若しくは複素環アシル基、脂肪族・アリール若しくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、さらに好ましくはハロゲン原子、カルバモイル基であり、特に好ましくは臭素原子である。
及びZは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−、−SO−、−C(=O)N(R)−、−SON(R)−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−、−C(=O)N(R)−であり、特に好ましくは−SO−、−C(=O)N(R)−である。ここでいうRとは水素原子、アリール基又はアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。
nは、0又は1を表し、好ましくは1である。
一般式(H)において、Qがアルキル基の場合、好ましいYは−C(=O)N(R)−であり、Qがアリール基又はヘテロ環基の場合、好ましいYは−SO−である。
一般式(H)において、該化合物から水素原子を取り去った残基が互いに結合した形態(一般にビス型、トリス型、テトラキス型と呼ぶ)も好ましく用いることができる。
一般式(H)において、解離性基(例えばCOOH基又はその塩、SOH基又はその塩、POH基又はその塩等)、4級窒素カチオンを含む基(例えばアンモニウム基、ピリジニウム基等)、ポリエチレンオキシ基、水酸基等を置換基に有するものも好ましい形態である。
以下に本発明における一般式(H)の化合物の具体例を示す。
上記以外の本発明に用いることができるポリハロゲン化合物としては、US3874946号、US4756999号、US5340712号、US5369000号、US5464737号、US6506548号、特開昭50−137126号、同50−89020号、同50−119624号、同59−57234号、特開平7−2781号、同7−5621号、同9−160164号、同9−244177号、同9−244178号、同9−160167号、同9−319022号、同9−258367号、同9−265150号、同9−319022号、同10−197988号、同10−197989号、同11−242304号、特開2000−2963、特開2000−112070、特開2000−284410、特開2000−284412、特開2001−33911、特開2001−31644、特開2001−312027号、特開2003−50441号明細書の中で当該発明の例示化合物として挙げられている化合物が好ましく用いられるが、特に特開平7−2781号、特開2001−33911、特開2001−312027号に具体的に例示されている化合物が好ましい。
本発明における一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4モル以上1モル以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3モル以上0.5モル以下の範囲で、さらに好ましくは1×10−2モル以上0.2モル以下の範囲で使用することが好ましい。
本発明において、かぶり防止剤を熱現像感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のかぶり防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はかぶり防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は熱現像感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、画像形成層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、及びチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951号等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体若しくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム及びテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体若しくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン及び2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸又は4メチルフタル酸との組み合わせである。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明においては膜物理性を改良するために公知の可塑剤、潤滑剤を使用することができる。特に、製造時のハンドリング性や熱現像時の耐傷性を改良するために流動パラフィン、長鎖脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル類等の潤滑剤を使用することが好ましい。特に低沸点成分を除去した流動パラフィンや分岐構造を有する分子量1000以上の脂肪酸エステル類が好ましい。
画像形成層及び非感光層に用いることのできる可塑剤及び潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117、特開2000−5137号、特開2004−219794号、特開2004−219802号、特開2004−334077号に記載されている化合物が好ましい。
4)染料、顔料、染料固定化剤
本発明における画像形成層及び非画像形成層には、色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止、ハレーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。染料としては金属フタロシアニン染料(特開2003−295388、特願2004−085655、特願2004−244080などに記載の染料)などが好ましく用いることができる。
5)造核促進剤
本発明における熱現像感光材料は、造核促進剤として五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩の使用量(熱現像感光材料1mあたりの塗布量)は感度やかぶりなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m以上500mg/m以下が好ましく、0.5mg/m以上100mg/m以下がより好ましい。
(塗布液の調製及び塗布)
本発明における画像形成層塗布液の調製温度は、30℃以上65℃以下が好ましく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
(層構成及び構成成分)
本発明における画像形成層は、支持体上に一又はそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤及びバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤及び他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩及び感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層又は両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各画像形成層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性若しくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)又は(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)又は(d)の層として熱現像感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明における表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいが、ポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m〜4.0g/mが好ましく、0.3g/m〜2.0g/mがより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m以上5.0g/m以下が好ましく、0.3g/m以上2.0g/m以下がより好ましい。
また、表面保護層には流動パラフィン、脂肪族エステル等の潤滑剤を使用することが好ましい。潤滑剤の使用量は1mg/m以上200mg/m以下の範囲で、好ましくは10mg/m以上150mg/m以下、より好ましくは20mg/m以上100mg/m以下の範囲である。
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができる。
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにするもしくは視感度の低い染料を用いることが好ましい。
画像形成後に染料を消色する方法としては、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
また露光波長においてシャープな吸収を持つ染料を用いることにより、視感度が低くかつ十分なアンチハレーション効果を得ることができる。このような染料を用いると、画像形成後に染料を消色させる必要がない。これらの技術については特開2003−262934、特願2004−085655に記載されている。
アンチハレーション染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m〜1g/m程度である。
これらの染料は2種以上の異なる染料を併用しても良い。
なお、染料を消色させる方法においては同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(deg)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
これらの染料はイラジエーション防止の目的で、画像形成層にも用いる事が好ましい。
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300nm〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m以上1g/m以下の範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580nm〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特開2003−295388号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、画像形成層面側の画像形成層、非感光層又はバック面側に添加することがより好ましい。
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む画像形成層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
バック層の層構成としては、染料を含有する層および保護層の2層で構成されるが、特願2004−382012に記載されているように、さらに染料を含有する層と支持体の間に塗布性を改良するための下塗り層を設ける事が好ましい。これらの2層もしくは3層を同時塗布し乾燥することが好ましい。
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は熱現像感光材料1m当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m以上400mg/m以下、より好ましくは5mg/m以上300mg/m以下である。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。
画像形成層面に用いるマット剤の球相当直径の体積加重平均は、0.3μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上7μm以下である事が更に好ましい。また、マット剤のサイズ分布の変動係数としては5%以上80%以下であることが好ましく、20%以上80%以下である事が更に好ましい。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。更に、画像形成層面のマット剤は平均粒子サイズの異なる2種以上のマット剤を用いることができる。その場合、平均粒子サイズのもっとも大きいマット剤と、もっとも小さいマット剤の粒子サイズの差は、2μm以上8μm以下であることが好ましく、2μm以上6μm以下であることが更に好ましい。
バック面に用いるマット剤の球相当直径の体積加重平均は、1μm以上15μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下である事が更に好ましい。また、マット剤のサイズ分布の変動係数としては3%以上50%以下であることが好ましく、5%以上30%以下である事が更に好ましい。更に、バック面のマット剤は平均粒子サイズの異なる2種以上のマット剤を用いることができる。その場合、平均粒子サイズのもっとも大きいマット剤と、もっとも小さいマット剤の粒子サイズの差は、2μm以上14μm以下であることが好ましく、2μm以上9μm以下であることが更に好ましい。
また、画像形成層面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙及び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」及びTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本発明において、マット剤は熱現像感光材料の最外表面層若しくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000−267226号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11−6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特開2000−19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本発明における画像形成層、保護層、バック層など各層には、硬膜剤を用いても良い。
硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)、77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特開2001−83679号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特開2003−057780号及び特開2003−149766号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特開2003−057780号及び特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は画像形成層面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減若しくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は画像形成層面、バック面それぞれに0.1mg/m〜100mg/mの範囲で、より好ましくは0.3mg/m〜30mg/mの範囲、さらに好ましくは1mg/m〜10mg/mの範囲である。特に特開2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01mg/m〜10mg/mの範囲が好ましく、0.1mg/m〜5mg/mの範囲がより好ましい。
9)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnOが好ましい。異種原子の添加量は0.01モル%〜30モル%の範囲が好ましく、0.1モル%〜10モル%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m〜1000mg/mの範囲で、より好ましくは10mg/m〜500mg/mの範囲、さらに好ましくは20mg/m〜200mg/mの範囲である。本発明における帯電防止層は、画像形成層面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130℃〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に画像形成層若しくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、又はスライドコーティングが好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号及び英国特許第837,095号に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
本発明における画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における画像形成層塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明における好ましいインライン混合機は、特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明における好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明における好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70℃〜90℃、加熱時間が2秒〜10秒の範囲である。本発明における好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
13)包装材料
本発明の熱現像感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、若しくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率及び/又は水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50mL/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは10mL/atm・m・day以下、さらに好ましくは1.0mL/atm・m・day以下である。水分透過率は10g/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m・day以下である。
該酸素透過率及び/又は水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
14)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、同2001−200414号、同2001−234635号、同2002−020699号、同2001−275471号、同2001−275461号、同2000−313204号、同2001−292844号、同2000−324888号、同2001−293864号、同2001−348546号、特開2000−187298号も挙げられる。
(熱現像方法)
本発明の熱現像感光材料の好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、より好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、より好ましくは3秒〜30秒、さらに好ましくは5秒〜25秒である。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2段〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化及び熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号及び特開2003−285455号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。
(化学発光の検知方法)
本発明における化学発光酵素測定方法における化学発光反応の発光量の測定は発光光度計のごとき装置を必要としない。本発明においては化学発光反応の発光は熱現像感光材料で検知し、その後熱現像することにより可視化し、視覚的に感知することができる。必要によっては光学濃度計により数値化することができる。
熱現像感光材料により検知する手段としては、例えば、(a)発光反応を生じる溶液を熱現像感光材料の表面に塗布する方法、(b)発光反応を生じる溶液を親水性メンブレン等に吸収させて、前記熱現像感光材料に密着させる方法、(c)基板上の親水性ゲル膜に発光反応を生じる溶液を滴下してゲルに吸収させ、その上に熱現像感光材料を密着させる方法などの手段がある。
(a)発光反応を生じる溶液を熱現像感光材料の表面に塗布する方法
発光反応を生じる溶液を調製後、一定量をピペット等により採取し、熱現像感光材料の上に滴下する。所定の時間が経過した後、熱現像感光材料を乾燥させて熱現像する。
(b)発光反応を生じる溶液を親水性メンブレン等に吸収させて、前記熱現像感光材料に密着させる方法
発光反応を生じる溶液を調製後、一定量をピペット等により採取し、一定面積の親水性メンブレン等の上に滴下し、該親水性メンブレン等に吸収させた後、熱現像感光材料に密着させる。所定の時間が経過した後、熱現像感光材料乾燥させて熱現像する。
(c)基板上の親水性ゲル膜に発光反応を生じる溶液を滴下してゲルに吸収させ、その上に熱現像感光材料を密着させる方法
基板としては、光反射性基板を用いるのが好ましい。例えば、光反射性顔料、例えば二酸化チタン、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素などの金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウムおよび珪酸カルシウムなどの塩類などを充填してプラスチックフィルム、これらの光反射性顔料を含む膜をコーテイングした材料、及び金属フィルム、例えばアルミニウム、銀、鉄およびアルミニウム合金などを用いることができる。
ゲルとしては、親水性ゲルが好ましく、例えばゼラチン、カゼイン、キトサンなどの天然物、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合物、エチルセルロース、メチルセルロース、CMCナトリウム塩、アクリル酸ポリマー、およびアクリル酸共重合ポリマーなどを用いることが出来る。
ゲルは、基板上に塗布もしくは印刷などの手段により設置される。好ましくは、滴下液が一定面積内に濃縮され、周囲に拡散しないことが好ましい。また発生した光が周辺に拡散せず、重ねられた熱現像感光材料に照射することが好ましい。
このためには、光反射性基板上に小さい窪み部を設け、その中にゲルを充填するのが好ましい。窪み部の形状、大きさ、設けられる数は任意であり、検知する分析対象物の種類、その含有量、発光材料の種類などによって種々である。また、熱現像感光材料での感知しやすさ、観察しやすさなどから、それぞれ好ましく設定される。
例えば、ルミノール発光体を用いた免疫学的検査においては、窪み部は、例えば充填されるゲル容積が1μL〜1mL程度が好ましく、より好ましくは5μL〜500μL程度である。窪み部は、容積が一定で有れば面積が小さい方がより発光した光の強度が高くなり、検出精度が向上する。基板の厚みにもよるが、熱現像感光材料で検知した画像を視覚的に観察し判定する上で、面積は0.1cm〜10cm、が好ましく、より好ましくは0.1cm〜1cmである。
窪み部は、熱現像感光材料上に複数設けても良い。複数設けられる窪み部は、同じ形状でも異なっても良い。また、該複数の窪み部の容積も同一でも異なっても良い。
また、発生した光を集光する機構を設けることが感度を高める上で好ましい。集光手段としては、例えば、光反射性基板にレンズ形状の窪みを設け、その中にゲルを充填する。レンズ形状は、重ねられる熱現像感光材料の画像形成層に焦点が一致するような形状とするのが好ましい。
発光反応を生じる溶液と熱現像感光材料の密着経時時間は任意であるが、発光量が安定し且つ発光量の濃度依存性の高い時間を選択することが望ましい。例えば、測定開始時間は試薬混合後0〜2時間、好ましくは0〜1時間、特に好ましくは0〜30分であり、密着経時時間は10秒〜2時間、好ましくは1分〜30分、特に好ましくは10秒〜10分である。
経時後メンブレンを除去し、熱現像感光材料を乾燥させて熱現像する。
熱現像感光材料の現像処理は加熱温度と時間を調整して行われる。好ましい加熱温度は40℃〜160℃であり、さらに60℃〜120℃が好ましい。好ましい加熱時間は1秒〜120秒であり、さらに3秒〜30秒が好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<熱現像感光材料の作製>
1.PET支持体の作製
厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の熱現像感光材料を塗布する側に、コロナ放電処理を施して支持体を作製した。
2.画像形成層、中間層、及び表面保護層
2−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mLに1質量%臭化カリウム溶液3.1mLを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5mL、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mLに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10mL添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8mL添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mLに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mLに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5mL加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素AのDMF/メタノール(1:4)溶液を銀1モル当たり増感色素として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mLを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10−3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を60℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mLに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mLに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素AのDMF/メタノール(1:4)溶液を銀1モル当たり増感色素として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.145μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。また、ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bをモル比で1:1含有する固体分散物(ゼラチン水溶液)を調製し、分光増感色素AのDMF/メタノール(1:4)溶液を銀1モル当たり増感色素として1.5×10−3モルを添加し、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり3.6×10−4モルに変えたこと以外はハロゲン化銀乳剤1と同様にして分光増感および化学増感を行い、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
《塗布液用混合乳剤の調製》
ハロゲン化銀乳剤1を10質量%、乳剤2を85質量%および乳剤3を5質量%の割合で混合し、さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水した
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル(株)製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96%、それ以外にリグノセリン酸が2%、アラキジン酸が2%、エルカ酸0.001%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。
このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a、b、cは本文の規定)。
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
還元剤−1(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。
こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバール<P−203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調整した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤分散物の調製
<現像促進剤−1分散物の調製>
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP−203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調整し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
現像促進剤−2の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%の分散液を得た。
6)ポリハロゲン化合物分散物の調製
<有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP−203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調整し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調整した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
7)フタラジン溶液の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP−203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、5質量%溶液を調製した。
8)造核剤X−1の固体微粒子分散物の調製
造核剤X−1を4kgに対して変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバール、PVA−217)を1kgと水36kgとを添加してよく混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型ビーズミル(アイメックス(株)製、UVM−2)にて13時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて硬調化剤の濃度が10質量%になるように調整し、硬調化剤の固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる硬調化剤の粒子は平均粒子サイズ0.33μm、最大粒子サイズ3.0μm以下、変動係数24%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
9)添加剤溶液の調製
<メルカプト化合物−1水溶液の調製>
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
<メルカプト化合物−2水溶液の調製>
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
<フタル酸水溶液の調製>
フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を調製した。
10)SBRラテックス液の調製
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/L、NaOH14.06mL、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mLに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NH イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30Sを使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)、pH8.4であった。
2−2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
脂肪酸銀分散物1000gに、水、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、SBRラテックス、還元剤−1分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、フタラジン溶液、メルカプト化合物−1水溶液、およびメルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前に塗布液用混合乳剤−Aを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し塗布した。
2)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水704mLに溶解し、ベンゾトリアゾール銀分散物Aを146g添加し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46mL、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mLを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mLをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が35mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
3)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4mL、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4mL、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23mL、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44mL、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mLを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3mL/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
2−3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料Aの作製
支持体から画像形成層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料Aを作製した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
・脂肪酸銀(銀として) 0.745
・ポリハロゲン化合物−1 0.14
・ポリハロゲン化合物−2 0.28
・フタラジン化合物−1 0.18
・SBRラテックス 9.43
・還元剤−1 0.77
・水素結合性化合物−1 0.112
・現像促進剤−1 0.019
・現像促進剤−2 0.016
・メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.12
2)熱現像感光材料Bの作製
支持体から画像形成層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料Bを作製した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
・脂肪酸銀(銀として) 0.805
・ポリハロゲン化合物−1 0.088
・ポリハロゲン化合物−2 0.088
・フタラジン化合物−1 0.18
・SBRラテックス 9.43
・還元剤−1 0.77
・水素結合性化合物−1 0.112
・現像促進剤−1 0.019
・現像促進剤−2 0.012
・メルカプト化合物−2 0.003
・ハロゲン化銀(Agとして) 0.060
・造核剤X−1 0.100
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
<ビオチン化抗体の調製>
抗CRP抗体(Fitzgerald社クローンNo.M701289 )のビオチン化は、市販のキット(Biotin Labeling kit−SH,同仁化学研究所社製)を用いて行った。
<磁気ビーズ標識抗体の調製>
ストレプトアビジンでコートされた磁気ビーズ(Ademtech SA社,粒径0.2μm)および先に調製したビオチン化抗CRP抗体を、結合バッファー(Tris−Clを5mM,EDTAを0.1mM,NaClを0.5mM含有)中で2時間時反応させることにより、磁気ビーズ標識抗CRP抗体を調製した。磁石による回収および洗浄を繰り返し、未結合の抗体を除去した後、非特異吸着防止のためBSAを用いてブロッキングを行った。
<ペルオキシダーゼ標識抗体の調製>
抗CRP抗体(Fitzgerald社クローンNo.M7111422)のペルオキシダーゼ標識は、市販のキット(Peroxidase Labeling kit−SH,同仁化学研究所社製)を用いて行った。
<CRPの検出>
ウェル状の反応容器(φ6.5mm×11.2mm(H))に、タンパク量として0.1ug/mL(1nM)の磁気ビーズ標識抗体溶液10μL、0.5ug/mL(1nM)のペルオキシダーゼ標識抗体溶液10μLおよび表1に記載の濃度のCRPを含む試料10μLを加え、37℃で30分間インキュベートした。形成された複合体を磁石により回収し、および0.05質量%のTween20(ICI Chemicals&Polymers社、ポリオキシエチレン(平均繰り返し単位20)モノラウリン酸塩)を含む生理食塩水を用いて洗浄を繰り返し行うことによって未結合のペルオキシダーゼ標識抗体を除去し、最終的に10μLになるように調製した。この後、ルミノール系の発光基質溶液および過酸化水素溶液(共にPIERCE社製,SuperSignal(登録商標)West Femto Maximum Sensitivity Substrate kit,発光波長425nm)をそれぞれ10μL添加し、発光反応を開始させた。
反応開始後すぐに、全反応溶液をマイクロピペットで熱現像感材AおよびB上に滴下し、滴下部をアルミ製の蓋で覆った。反応終了後、熱現像感材を120℃のプレートヒーターに14秒間密着させ、濃度変化を目視で観察し、CRPを添加しなかった場合のサンプルをコントロール試料として比較し、差が認められるかを評価した。また、測定法の比較としてウェルの発光をマイクロプレートリーダー(ARVOMX、パーキンエルマー社製)で行い、CRP濃度の測定可能領域を本発明と比較した。結果を表1に示した。
表1に示すように本発明によれば、特別な分光器を用いることなく、加熱のみで抗原の存在を検知できることがわかった。さらに、造核剤を用いた試料Bでは高精度で検出できることもわかった。
実施例2
<抗体固相化プレートの作製>
抗CRP抗体(Fitzgerald社、クローンNo.M701289 )を150mMのNaClを用いて10μg/mLに調製した。これを96ウェルマイクロプレート(NUNC社、Maxisorp)に100μLずつ添加し、室温で2時間インキュベートした。抗体溶液を除去した後、非特異吸着防止のためブロッキング剤として、1質量%のカゼインを含むPBS(pH7.4)を300μLずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。最後にブロッキング剤を除去することで、抗CRP抗体が固相化されたマイクロプレートを作製した。
<(1)CHM化アミラーゼの作製>
枯草菌(Bacillus subtilis)由来のα−アミラーゼ(Fluka社)5mgをpH6.3の0.1Mグリセロリン酸1mLに溶かし、[4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]スクシンイミドエステル(CHMS)(MP、Biomedicals Inc.)2mg/mLのDMF溶液100mLを加えて室温で、1時間反応させた。この反応液をセファデックスG−25カラム(MP、Biomedicals,Inc.)にアプライして、pH6.3の0.1Mグリセロリン酸を流して素通り分画を分取、4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸アミド化α−アミラーゼ(CHM化α−アミラーゼ)を得た。
<(2)抗CRP・マウスIgG F(ab’)の作製>
抗CRP・マウスIgG10mgを含む0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)2mLにパパイン300μgを加え、37℃で18時間撹拌した。0.1NのNaOHを加えてpHを6.0に調節したこの反応液を予め0.1Mリン酸緩衝溶液(1mMのEDTA含有、pH6.0)で緩衝化したAcA−44ゲルカラム(Sigma)にアプライし、上記のリン酸緩衝液で溶出した。分子量約10万付近に溶出されたピーク部分を集めて1mLに濃縮し、目的の抗CRP・マウスIgGF(ab‘)を得た
<(3)α−アミラーゼ標識抗体の調製>
(2)で調製した抗CRP・マウスIgGF(ab’)6mgを含む0.1M燐酸緩衝液(1mMのEDTA含有、pH6.0)1mLに、10mg/mLの2−メルカプトエチルアミン塩酸塩水溶液100μLを加え、37℃で90分間撹拌した。この反応液を予め0.1Mリン酸緩衝液(pH6.3)で緩衝化したセファデックスG−25カラムでゲル濾過して未反応の2−メルカプトエチルアミンを除去し、HS−Fab’を得た。これに(1)で調製したCHM化α−アミラーゼ2mgを加え、37℃で90分間反応させた。次にこの反応液を0.1M酢酸緩衝溶液(5mM塩化カルシウム含有、pH7.0)で緩衝化したAcA−34カラム(Sigma)でゲル濾過して分子量20万以上の分画を集め、これを濃縮して目的のα−アミラーゼ標識抗体を得た
<アミラーゼ活性測定用基質(ビオチン−G7PAP−造核剤の合成>
以下の合成経路によりα−アミラーゼ活性測定用基質を合成した。
<CRPの検出>
抗CRP抗体が固相化されたマイクロプレートに、0.5ug/mL(2.5nM)のα−アミラーゼ標識抗体溶液50μLおよび表2に記載の濃度のCRPを含む試料50μLを加え、37℃で30分間インキュベートした。反応溶液を除去した後、0.05質量%のtween20(登録商標ICI Chemicals & Polymers社)を含む生理食塩水を用いて洗浄を繰り返し行うことによって未結合のα−アミラーゼ標識抗体を除去した。この後、1.0x10−4Mのα−アミラーゼ基質(化合物(I))溶液(リン酸緩衝液(pH6.0)で調製)50μLを加え、37℃で30分間インキュベートした。
反応後の基質溶液50μLを、あらかじめ用意した0.5MのNaClを含む125mMピリジン酢酸溶液(pH6.0)で緩衝したアビジンアガロースゲルの小カラム(ゲル容量100μL、ビオチン結合能力0.5μg)にチャージし、さらに上記ピリジン酢酸溶液(pH6.0)50μLをカラム上端にのせ空気圧で液を溶出させ、余剰の基質を除去した溶液を回収した。回収した溶液30μLをマイクロピペットで実施例1で作製した熱現像感材AおよびB上に滴下した。反応終了後、熱現像感材を120℃のプレートヒーターに14秒間密着させ、濃度変化を目視で観察し、CRPを添加しなかった場合のサンプルをコントロール試料として比較し、差が認められるかを評価した。
結果を表2に示した。本発明の方法により、CRPが簡便に検出可能であることが分かる。

Claims (15)

  1. 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を作用させ、前記分析対象物および前記Yを含む複合体を形成させる工程、および前記工程において生じた前記複合体に含まれる前記標識物質又は遊離の前記蛋白質(Y)に含まれる前記標識物質を測定する工程を含む分析対象物の免疫学的測定方法であって、前記標識物質を測定する工程が化学発光法によって行われ、該化学発光法は、化学発光により発生した光を少なくとも有機銀塩粒子、銀イオンのための還元剤及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱現像感光材料により感知し潜像を形成する工程、及び熱現像により可視化する工程を有することを特徴とする免疫学的測定方法。
  2. 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)および検体中の分析対象物を特異的に認識し得る標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yの複合体を形成させる工程、および前記工程において生じた前記複合体に含まれる前記標識物質又は遊離の前記蛋白質(Y)に含まれる前記標識物質を測定する工程を有する分析対象物の免疫学的測定方法であって、前記標識物質を測定する工程が化学発光法よって行われ、該化学発光法は、化学発光により発生した光を少なくとも有機銀塩粒子、銀イオンのための還元剤及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有する熱現像感光材料により感知し潜像を形成する工程、及び熱現像により可視化する工程を有することを特徴とする免疫学的測定方法。
  3. 前記熱現像感光材料が造核剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の免疫学的測定方法。
  4. 前記熱現像感光材料が前記有機銀塩の溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  5. 前記有機銀塩がカルボン酸銀もしくは含窒素複素環銀塩を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  6. 前記有機銀塩の相転位温度が40℃以上100℃以下である事を特徴とする請求項5に記載の免疫学的測定方法。
  7. 前記標識物質が、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  8. 前記標識物質を測定する工程において、化学発光材料として、ルミノール誘導体、ジオキセタン誘導体、アクリジニウム誘導体、過シュウ酸エステル誘導体、またはルシフェリン誘導体を用いることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  9. 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が抗体であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  10. 前記抗体がモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項9に記載の免疫学的測定方法。
  11. 前記分析対象物を特異的に認識し得る蛋白質が不溶性担体に坦持されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の免疫学的測定方法。
  12. 検体または検体を含む試料に、検体中の分析対象物を特異的に認識し得る第二の蛋白質(X)、および検体中の分析対象物を特異的に認識することができ、かつ標識物質により修飾された第一の蛋白質(Y)を同時にまたは段階的に作用させ、前記X、前記分析対象物および前記Yの複合体を形成させる工程を含む免疫学的測定方法であって、前期標識物質が少なくとも有機銀塩及び銀イオンのための還元剤を含有する熱現像材料の現像を促進する物質であり、前記熱現像材料を用いて前記複合体を検出することを特徴とする免疫学的測定方法。
  13. 前記熱現像材料が前記有機銀塩の溶剤を含むことを特徴とする請求項12に記載の免疫学的測定方法。
  14. 前記有機銀塩がカルボン酸銀もしくは含窒素複素環銀塩を含有することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の免疫学的測定方法。
  15. 前記有機銀塩の相転位温度が40℃以上100℃以下である事を特徴とする請求項14に記載の免疫学的測定方法。
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