JP2005017606A - 熱現像感光材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】残色性の少ない、膜面状の均一性に優れた熱現像感光材料を提供すること。
【解決手段】支持体の一方の面側に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さらに支持体の他方の面側であるバック面側に少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光性層が、等電点が5.0以上9.5以下であるゼラチンを少なくとも1種含有し、かつ前記バック面側の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像感光材料(以下、単に「感光材料」と称する場合がある)に関し、特に、医療診断用、工業診断用、工業写真用、印刷用、COM用として好適な熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療診断用フィルム分野や写真製版フィルム分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度及び鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用フィルム及び写真製版用フィルムとして熱現像感光材料に関する技術が必要とされている。これら熱現像感光材料によれば、溶液系の処理化学薬品を必要とせず、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般の画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、特に医療診断用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質な画像が要求される。
写真感光材料には、フィルター、ハレーション防止や、イラジエーション防止の目的で、染料を添加することが普通である。
それら染料は、画像露光時において機能し、現像処理時に完全に除去され、画像形成後においてその染料の可視域の吸収による画像の着色がないようにするのが通常である。
【0004】
従来の湿式現像処理では、処理液中に染料を感光材料から溶出除去することが比較的容易であった。しかし、熱現像のような乾式現像処理では、それは困難である。そこで、熱現像処理の熱によって染料を消色させる方法がすでに提案されている。例えば、塩基プレカーサーの融点を制御し、熱現像時に発生する塩基により、染料を消色する技術などである(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この技術は、感光材料をさらに迅速に熱現像処理したいというユーザーの要求に対して、染料の消色が不十分であり、処理後の熱現像感光材料において、染料の残色が発生するという欠点を有していた。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−352626号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の第1の目的は、熱現像において鮮鋭性を向上させるための染料が迅速に消色する熱現像感光材料を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、熱現像後の画像において上記染料を含有する面側の膜の均一性の良好な熱現像感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体の一方の面側に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さらに、支持体の他方の面側であるバック面側に少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、前記非感光性層が、等電点が5.0以上9.5以下であるゼラチンを少なくとも1種含有し、かつ前記バック面側の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることを特徴とする熱現像感光材料、
<2> 前記バック面側に、熱現像処理により消色される染料を少なくとも1種含有することを特徴とする熱現像感光材料、
<3> 前記バック面側に、塩基プレカーサーを含有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の熱現像感光材料、
<4> 前記ゼラチンが、酸処理ゼラチンであることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<5> 少なくとも前記非感光性層、及び該非感光性層の隣接層の一つを形成するための塗布液が、不揮発性のアルカリ及び揮発性の酸、又は前記アルカリと前記酸とからなる塩を含有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の熱現像感光材料である。
<6> 前記バック面側の膜面pH値が、6.7以上9.0以下であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
【0007】
本発明は、上記のように、前記支持体の他方の面側であるバック面側の非感光性層が、等電点が5.0以上9.5以下であるゼラチンを少なくとも1種含有し、かつバック面側の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることを特徴とする熱現像感光材料である。バック面側に特定のゼラチンを含有させ、かつバック面の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることが、消色性及び膜均一性の改良という本発明の課題解決に極めて重要であることを、本発明者らは見出した。
【0008】
以下に、本発明に至るまでの経緯を説明する。
従来、ゼラチン含有の非感光性層を形成するための塗布液は、保存安定性を考慮し、pHが低く設定されていた。しかしながら、添加する消色染料、及び塩基プレカーサーの構造から、完成された塗布膜pH値が低い場合には、染料の消色開始までの誘導期が長く、残色しやすいという問題があることがわかった。
一方、本発明者は、塗布膜pH値を高くすることを意図し、検討したところ、塗布液pH値が高すぎる場合には、支持体上に塗布された液膜が、膜の乾燥に至るまでに不安定なため、塗布膜にむらができやすいという問題があることも見出した。熱現像感光材料においては、現像液処理による膨潤がないため、製造時の膜厚のわずかな不均一性が、光源によっては、干渉色のムラとなって発現し、画像診断の妨げになりかねない。熱現像感光材料において、塗布膜の均一性は、極めて重要な性能の一つである。
【0009】
そこで本発明者は、鋭意検討の末、等電点が5.0以上9.5以下のゼラチンを用いることによって、膜面pH値を6.5以上10.0以下と、塗布液pHを高く調製すると、消色性が著しく良好で、かつ膜の均一性を高く保つことができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像感光材料は、支持体の一方の面側に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さらに、支持体の他方の面側であるバック面側に少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、
前記非感光性層が、等電点が5.0以上9.5以下であるゼラチンを少なくとも1種含有し、かつ前記バック面側の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることを特徴とする。
【0011】
1.バック面
まずは、画像形成層の反対側に設けられるバック面について説明する。
本発明にかかる特定のゼラチンが含有される非感光性層は、支持体上において、画像形成層の反対側(即ち、バック面側)に設けられる。該非感光性層としては、フィルター層、アンチハレーション層、表面保護層、等のいかなる非感光性層であってもよいが、後述する熱現像に熱現像処理により消色される染料、及び/又は、塩基プレカーサーを含有する層と同一の層であることが好ましい。
【0012】
<ゼラチン>
本発明における特定のゼラチンについて説明する。
本発明における特定のゼラチンの等電点は、5.0以上9.5以下である。ゼラチンの等電点は、基本的には熱現像感光材料に要求される性能によって決まる。本発明における塗布液pHの範囲では、等電点が高すぎると、塗布液が凝集するおそれがある。等電点が低すぎると、塗布膜の不均一性が増し、染料の消色を阻害するという問題がある。これらの問題を回避する必要性から、本発明における特定のゼラチンの等電点は、5.0以上9.5以下であり、好ましくは5.5以上8.5以下であり、特に好ましくは6.0以上8.0以下である。
【0013】
前記特定のゼラチンの等電点の測定は、等電点電気泳動法(Maxey, C. R(1976;Phitogr.Gelatin 2,Editor Cox,P.J.Academic,London,Engl.参照)や、あるいは写真用ゼラチン試験法(パギィ法)第7版(写真用ゼラチン試験法合同審議会、1992年10月発行)に記載されたように、1質量%ゼラチン溶液をカチオン及びアニオン交換樹脂の混晶カラムに通したあとのpHを測定することで実施することができる。
前記特定のゼラチンとしては、石灰処理されたゼラチンや、酸処理されたゼラチン、その他のゼラチンの官能基を化学修飾して等電点を制御したゼラチンが挙げられる。
【0014】
本発明における好ましい特定のゼラチンの一つとしては、酸処理ゼラチンが挙げられる。これは、一般的に石灰処理ゼラチンよりも酸処理ゼラチンの等電点が高いためである。
酸処理ゼラチンを得るには、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸等の酸、或いはその混合液のような希薄酸溶液に、豚皮や骨、ゼラチンを浸漬することで処理することが一般的であるが、特に等電点を制御する目的のために、水酸化カルシウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液による浸漬処理と前述の酸性溶液による浸漬処理を併用することが好ましい。具体的なゼラチンの製法は、アーサー・ヴァイス著「ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン」(アカデミック・プレス、1964年発行)に記載されている。
本発明において好ましく用いることができる酸処理ゼラチンとしては、例えば、950ゼラチン(新田ゼラチン社製;等電点7.0)、PSゼラチン(ニッピ社製;等電点9.0)、ABAゼラチン(ニッピ社製;等電点6.6)として市販されているものが挙げられる。
【0015】
本発明においては、前記酸処理ゼラチンの他、カルボン酸基を減じて等電点を上げる観点から、エステル化ゼラチン(メチルエステル化など)、アミド化ゼラチン(エチルアミド化など)、コハク化ゼラチンも好ましく用いることができる。
エステル化については、H.Fraenkel−Conrat,H.S.Olcott,J.Biol.Chem.,161,259(1945)記載の塩酸−メタノール法、J.Bello,BioChem.Biophys.Acta.,20,456(1956)記載の塩化チオニル−メタノール法、A.W.Kenchington,Biochem.J.,68,458(1958)記載の硫酸−メタノール法、E.Kein,E.Moioar,E.Roche,J.Photogr.Sci.,19,55(1971)記載の塩酸−メタノール法等が挙げられる。アミド化については、D.G.Hoare,D.E.Koshland Jr.,J.Am.Chem.Soc.,88,2057(1966)に記載されている水溶性カルボジイミドを使用したアミド化ゼラチン等が挙げられる。
【0016】
本発明における特定のゼラチンの物理性としては、等電点が上記範囲内であることが必須であるが、それ以外の好ましい物理性を以下に示す。
ゼリー強度(パギィ法により定義される)は、200g以上350g以下が好ましく、250g以上350g以下がより好ましい。具体的には、写真用ゼラチン試験法(パギィ法)第7版(写真用ゼラチン試験法合同審議会、1992年10月発行)に記載されたように、ブルーム式ゼリー強度計、又はテクスチャーアナライザーを用いて測定することができる。
粘度(パギィ法により定義される)は、20mp以上120mp以下が好ましく、35mp以上90mp以下であることがより好ましい。
透過率(パギィ法により定義される)は、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
電導度(パギィ法により定義される)は、800μs/cm以下が好ましく、400μs/cm以下がより好ましく、200μs/cm以下が最も好ましい。
pH値(パギィ法により定義される)は、4.0以上7.0以下が好ましく、5.0以上6.5以下がより好ましい。
【0017】
非感光性層に含まれるゼラチンは、非感光性層中の全バインダーの50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。非感光性層が多層で形成されている場合には、これら全層中に含まれるバインダーに対して、全層中のゼラチン含有量が50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。特に好ましくは、ゼラチン含有量が、60質量%以上90質量%である。
本発明の熱現像感光材料は、非感光性層の全ゼラチン塗布量が、画像形成面を形成する層の全ゼラチン塗布量に対して0.5倍以上1.5倍以下であることが好ましい。更に、0.7倍以上1.3倍以下であることが好ましい。
ここで、非感光性バック面層が多層で構成される場合には、多層全てに含まれる全ゼラチンの単位面積あたりの質量を「非感光性バック面の全ゼラチン塗布量」とする。同様に、画像形成面が多層で形成される場合にも、多層全てに含まれる全ゼラチンの単位面積あたりの質量を「画像形成面の全ゼラチン塗布量」とする。
【0018】
また、非感光性バック面のゼラチン塗布量が1.0g/m以上3.0g/m以下以下であることが好ましく、更に1.5g/m以上3.0g/m以下であることが好ましい。非感光性バック面層が多層よりなる場合には、全層中のゼラチンを合算した塗布量が前記範囲内にあることが好ましい。
【0019】
本発明において、熱消色性の染料、及び/又は、塩基プレカーサーを含有する層に前記特定のゼラチンを含有させる場合、該ゼラチンの1m当たりの塗布量としては、0.01g以上2.0g以下が好ましく、0.1g以上1.0g以下がより好ましく、0.2g以上0.5g以下が特に好ましい。
【0020】
本発明においては、前記特定のゼラチンを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記特定のゼラチンと、他のゼラチンと、を併用してもよい。
【0021】
<ゼラチンと併用できるポリマー>
本発明においては、前記非感光性層のバインダーとして、ゼラチン以外のポリマーを前記ゼラチンと併用することができる。
ゼラチン以外のポリマーとしては、ガラス転移温度(以下、Tgと略する場合あり)が−10℃以上120℃以下であるポリマーが好ましい。ポリマーは、透明又は半透明で、一般に無色であることが好ましい。ガラス転移温度が−10℃以上120℃以下のポリマーとして好ましくは、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
【0022】
本発明においてはバック面層に含有されるポリマーは、熱消色性の染料の残色性が良好であるという点で、ポリマーラテックスであることが好ましい。
特に分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0023】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。また、架橋性のポリマーラテックスは特に好ましく使用される。
【0024】
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。
【0025】
・B−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
・B−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
・B−3;−MMA(63)−EA(35)−AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
・B−4;−St(67)−Bu(30)−DVB(0.5)−HEMA(2.5)のラテックス(架橋性,Tg14℃)
・B−5;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
・B−6;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg18℃)
・B−7;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
・B−8;−St(74)−Bu(23)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg31℃)
・B−9;−St(77.5)−Bu(19.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg40℃)
・B−10;−St(81.3)−Bu(15.7)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg50℃)
・B−11;−St(84.8)−Bu(12.2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg60℃)
・B−12;−St(88)−Bu(9)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg70℃)
・B−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
・B−14;−St(57)−MMA(9)−BA(28)−HEHA(4)−AA(2)のラテックス(Tg50℃)
【0026】
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA;エチルアクリレート、BA;ブチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート、Et;エチレン,IA;イタコン酸。
【0027】
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
【0028】
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0029】
本発明のバック面層に用いられるポリマーラテックスとしては、スチレンを含有し、スチレンのモノマー単位の共重合体に占める割合が40質量%以上99質量%以下であることがより好ましく、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%以上99質量%以下であることが好ましい。また、本発明において、ポリマーラッテクスはアクリル酸又はメタクリル酸などの親水性基を有するモノマーをスチレンとブタジエンの和に対して1質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、より好ましくは2質量%以上10質量%以下含有する。
【0030】
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のB−4〜B−13、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
【0031】
本発明のバック面層に含まれるガラス転移温度が−10℃以上120℃以下であるポリマーは、非感光性バック面層中のゼラチンに対して、5質量%以上50重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは10質量%以上40重量%以下である。
ここで、非感光性バック面層が多層構造の場合には、多層全てに含まれる該ポリマーの総質量と多層全てに含まれるゼラチンの総質量をもって算出される。
また、非感光性バック面層が多層からなる場合には、ゼラチンに対するポリマー含有率が、支持体から遠いバック面層よりも、支持体に近いバック面層で大きいことが好ましい。
【0032】
本発明では、ゼラチンと併用するポリマーのガラス転移温度は、−10℃以上120℃以下であることが好ましく、−5℃以上80℃であることがより好ましく、−5℃以上50℃以下であることが特に好ましい。
【0033】
ポリマーは必要に応じて2種以上を共重合して用いても良い。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲に入ればよい。
【0034】
本発明においては、ゼラチンと併用されるポリマーは、25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーであることが、熱消色性の染料の残色性が良好であり、好ましい。より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、更に0.02質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0035】
前記ポリマーは、バック面層以外にも、(1)保護層、(2)中間層、(3)下塗り又はアンダーコート層に添加することも可能である。
【0036】
<膜面pH>
次に膜面pHについて説明する。
本発明の熱現像感光材料の膜面pHは、構成する塗布液の少なくとも一つに、アルカリや酸を用いて調整することができる。アルカリとして例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、フタル酸、サリチル酸、カプロン酸、アジピン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、デカン酸、アスコルビン酸、シクロヘキサンカルボン酸、桂皮酸、3,4−ジメチル安息香酸、フェニル酢酸、マロン酸、テレフタル酸、2−エチルヘキサン酸、α−メチル桂皮酸、p−クロロ安息香酸、マンデル酸、エリソルビン酸、酒石酸、プロピオン酢酸性ポリマーを挙げることができる。上記のアルカリ、及び酸は、単独で用いても良いし、併用しても良い。また、上記のアルカリと酸との塩として添加しても良い。
また、これらアルカリ、又は酸を添加する方法は特に制限は無いが、塗布液調整時に行うのが、容易な方法である。
【0037】
塗布液のpHは特に問わないが、当該塗布液を用いて形成した後の膜面pHが、本発明のかかる範囲となることが必要である。
一方、塗布液の状態では、保存安定性の観点から、pHが低いことが好ましい。しかし、消色性及び耐水性の観点から、形成された膜面のpHは、6.5以上10.0以下でなければならない。
そこで、少なくとも非感光性層、及びその隣接層の塗布液の1つに蟻酸や酢酸、プロピオン酸等の揮発性の弱酸と、不揮発性のアルカリとを併用することが好ましい。塗布液のpHは6.5以下であっても、塗布乾燥時に揮発性の弱酸が膜から除去され、形成された膜面pHは、6.5〜10.0に調整することができる。揮発性の酸と不揮発性のアルカリとの併用の代わりに、揮発性の酸と不揮発性のアルカリとからなる塩を用いても良い。
揮発性の酸として、好ましくは、酢酸が挙げられ、不揮発性のアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
塗布液に揮発性の酸と不揮発性のアルカリ、又はこれらの塩を添加した場合の塗布液の好ましいpHの範囲は、5.0以上7.0以下であり、より好ましくは、5.5以上6.5以下である。
【0038】
ここで、本発明における膜面pHとは、バック面側の各層を全て塗布し完成させた後に、下記の方法により測定したpH値をいう。
膜面pHの測定方法は、バック面が塗布・乾燥を経て形成された後、その試料の2cmに3mlの蒸留水を滴下し、暗室で25℃90%RH.の雰囲気中に30分放置した後、pH計を膜の表面にあて、2分後に示すpH値を測定した。東亜電波工業株式会社製のガラス電極式水素イオン濃度計を用い、ガラス電極はGST−5213Fを使用した。
本発明において、熱現像感光材料のバック面側の膜面pH値は、6.5以上10.0以下であるが、6.7以上9.0以下が好ましく、6.7以上8.5以下が特に好ましい。
【0039】
<熱消色性の染料>
本発明の熱現像感光材料においては、少なくとも1種の熱現像処理により消色される染料(以下、単に「熱消色性の染料」と称する場合がある)をバック面側に含有させることが好ましい。
【0040】
本発明の熱現像感光材料では、アンチハレーション層を画像形成層に対して光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましい。特に、非感光性層に前述の熱消色性の染料と、塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。
【0041】
本発明において熱消色性の染料とは、フィルター用、又はイラジエーション防止用、又はハレーション防止用等の光学的機能に用いられる染料を指し、固体微粒子状の染料であることが好ましい。また、本発明で用いられる熱消色性の染料は、熱現像処理に対して非消色の染料と併用してもよい。
【0042】
熱消色性の染料は、非感光性バック面層や画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り又はアンダーコート層に添加することができる。本発明においては、少なくともバック面側のいずれかの層に、熱消色性の染料を含有させることが好ましい。
前記熱消色性の染料は、1種類又は2種類以上を添加することも可能である。また、熱消色性の染料を含有する層が多層存在する場合には、それぞれの層において、異なる種類の熱消色性の染料を添加しても良く、また同種の熱消色性の染料を添加しても良い。
【0043】
1)形状
本発明において、前記熱消色性の染料が固体微粒子状である場合の固体微粒子数としては、熱現像感光材料の感光製層側を脱膜した上で、光学顕微鏡により任意の0.1mm平方の単位面積について、透過像又は反射像を写真撮影し、投影面積の円相当径が1μm以上の個数を計測する。このとき、投影面積の円相当径が1μm以上の個数としては、100個以下が好ましく、より好ましくは50個以下、特に好ましくは25個以下である。
【0044】
また、前記熱消色性の染料が固体微粒子状である場合、固体微粒子のサイズの体積加重平均としては、1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6μm以下であり、特に好ましくは0.3μm以下である。
このとき、粒子サイズの体積加重平均の算出方法としては、染料分散物を試料として、メッシュ上に乾固させ、カーボン蒸着を施した上で、適当な斜度をかけ、電子顕微鏡写真を撮影し、染料粒子個々の球相当径と粒子体積を求め、粒子サイズの体積加重平均を算出する。このとき、粒子が重なり合った可能性のあるものに付いては、1個として計測する。母集団の粒子個数は500〜1000個程度がよい。
【0045】
2)添加量
前記熱消色性の染料の添加量としては、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を超える量で使用する。該光学濃度は、0.15以上2以下であることが好ましく、0.2以上1以下であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m以上1g/m以下程度である。
また、熱現像後においては、染料の消色によって、光学濃度は0.1以下であることが好ましい。
【0046】
3)好ましい熱消色性の染料
本発明において好ましい熱消色性の染料について詳細に説明する。
前記熱消色性の染料としては、特に塩基により消色可能な染料又はその塩(以下、「消色染料」と呼ぶことがある)が好ましく用いられる。好ましくは下記一般式(1)で表されるシアニン染料又はその塩である。
【0047】
【化1】
Figure 2005017606
【0048】
一般式(1)中、Rは電子求引性基を表し、Rは水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−NR、−OR又はSRを表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表し、Rは脂肪族基を表し、L、L及びLは、それぞれ独立に、置換されていてもよいメチンであって、メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z及びZは、それぞれ独立に5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環及びその縮合環は置換基を有していてもよい。mは、0、1、2又は3を表す。
【0049】
一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。一般式(1)中、Rは電子求引性基を表し、その程度としてはハメットの置換基定数σm(例えばChem.Rev.,91,165(1991).に記載されている)が0.3以上1.5以下のものが好ましく、−C(=O)R11、−SOpR12で表される置換基、シアノ基が挙げられ、−C(=O)R11が好ましい。R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、−OR13、−SR13又はNR1314を表し、R12は脂肪族基、芳香族基、−OR13、又はNR1314を表し、pは1又は2を表す。ここでR13、R14はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、又は芳香族基であるか、あるいはR13とR14とが結合して含窒素複素環を形成する。Rとして更に好ましくは−C(=O)R11であり、そのうちR11が−OR13又はNR1314のものがより好ましく、感光材料の保存性の点で−NR1314が最も好ましい。
【0050】
一般式(1)における「脂肪族基」とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基を意味する。本発明ではアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が更に好ましい。環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基が好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜15であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、アルキル基と同様である。
【0051】
一般式(1)におけるアルケニル基及びアルキニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜15であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分及び置換アルキニル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基及びアルキニル基と同様である。
【0052】
一般式(1)におけるアラルキル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜15であることが更に好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分は、アラルキル基と同様である。
【0053】
一般式(1)における「芳香族基」とは、アリール基又は置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましく、6〜15であることが更に好ましい。置換アリール基のアリール部分は、アリール基と同様である。
【0054】
上述した各基が有してもよい置換基には特に制限はない。例えばカルボキシル基(塩になっていてもよい)、スルホ基(塩になっていてもよい)、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数2〜20のスルホニルカルバモイル基(例えばメタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜20のアシルスルファモイル基(例えばアセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜20の鎖状又は環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、シクロヘキシル、トリフルオロメチル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、ベンジル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えばビニル、アリル)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br)、炭素数0〜20のアミノ基(例えば無置換のアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、炭素数1〜20のアミド基(例えばアセトアミド、ベンズアミド、4−クロロベンズアミド)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、ベンゾイミダゾール−2−オンカルバモイル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−カルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、3−ベンゾイルアミノフェニル)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜20のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル)、炭素数1〜20のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20のウレイド基(例えばメチルウレイド、フェニルウレイド)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素環基(複素環として例えば5−エトキシカルボニルベンゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホラン環、フラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリミジン環、フタルイミド環、テトラクロロフタルイミド環、ベンゾイソキノリンジオン環)などを挙げることができる。
【0055】
一般式(1)において、Rは水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りである。Rは水素原子又は脂肪族基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数が1〜15のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0056】
一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−NR、−OR又はSRである。R及びRはそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基又は芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りである。R及びRは、水素原子又は脂肪族基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基又は置換アラルキル基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基又はアラルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
【0057】
一般式(1)において、Rは脂肪族基である。脂肪族基の定義は前述した通りである。Rは、置換アルキル基であることが好ましい。合成が容易との観点では、Rは、−CHRと同じ定義を有する置換アルキル基であることが特に好ましい。
【0058】
一般式(1)において、L、L及びLは、それぞれ独立に、置換されていてもよいメチンである。メチンの置換基の例としては、ハロゲン原子、脂肪族基及び芳香族基が含まれる。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りである。メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複素環よりも、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環は、6員環又は7員環であることが好ましく、シクロヘプテン環又はシクロヘキセン環であることがさらに好ましい。メチンは、無置換であるか、あるいはシクロヘプテン環又はシクロヘキセン環を形成することが特に好ましい。
【0059】
一般式(1)において、Z及びZは、それぞれ独立に5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子団である。含窒素複素環の例としては、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、ピロリン環、イミダゾール環及びピリジン環などが含まれる。6員環よりも5員環の方が好ましい。含窒素複素環には、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)が縮合していてもよい。含窒素複素環及びその縮合環は置換基を有していてもよい。置換基は前で定義した通りである。一般式(1)において、mは、0、1、2又は3である。
【0060】
一般式(1)で表されるシアニン染料は、アニオンと塩を形成して用いることが好ましい。一般式(1)で表されるシアニン染料が置換基として、カルボキシルやスルホのようなアニオン性基を有する場合は、染料が分子内塩を形成することができる。それ以外の場合は、シアニン染料は、分子外のアニオンと塩を形成することが好ましい。アニオンは一価又は二価であることが好ましく、一価であることがさらに好ましい。アニオンの例には、ハロゲンイオン(Cl、Br、I)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、1,5−ジスルホナフタレンジアニオン、PF 、BF 及びClO が含まれる。好ましいシアニン染料は、下記一般式(1a)で表される。
【0061】
【化2】
Figure 2005017606
【0062】
一般式(1a)において、R21、R22、R23、R24、R25、L21、L22、L23及びmは、それぞれ一般式(1)におけるR、R、R、R、R、L、L、L及びmと同義である。
【0063】
また、一般式(1a)において、Y21及びY22は,それぞれ独立に、−CR2627、−NR26−、−O−、−S−又はSe−である。R26及びR27は、それぞれ独立に水素原子又は脂肪族基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。脂肪族基はアルキル基又は置換アルキル基であることが特に好ましい。
【0064】
一般式(1a)において、ベンゼン環Z21及びZ22には、さらに他のベンゼン環が縮合していてもよい。ベンゼン環Z21、Z22及びそれらの縮合環は置換基を有していてもよい。置換基は前で定義した通りである。
【0065】
一般式(1a)において、mは、0、1、2又は3である。一般式(1a)で表されるシアニン染料は、アニオンと塩を形成して用いることが好ましい。塩の形成については、一般式(1)で説明した通りである。
【0066】
以下に、塩基により消色可能な染料又はその塩の具体例〔(1)〜(43)〕を示すが、これらに限定されるものではない。
【0067】
【化3】
Figure 2005017606
【0068】
【化4】
Figure 2005017606
【0069】
【化5】
Figure 2005017606
【0070】
【化6】
Figure 2005017606
【0071】
【化7】
Figure 2005017606
【0072】
【化8】
Figure 2005017606
【0073】
【化9】
Figure 2005017606
【0074】
【化10】
Figure 2005017606
【0075】
【化11】
Figure 2005017606
【0076】
【化12】
Figure 2005017606
【0077】
熱消色性の染料の塗布量は、0.001g/m以上1.0g/m以下が好ましく、更に好ましくは、0.01g/m以上0.1g/m以下である。
【0078】
<塩基プレカーサー>
本発明において、前記熱消色性の染料を非感光性バック面層に添加した場合には、塩基プレカーサーを含有することが好ましい。
本発明において使用することのできる塩基プレカーサーには様々な種類があるが、消色反応は加熱条件下で実施するため、加熱により塩基を生成(又は放出)する種類のプレカーサーを用いるのが好ましい。加熱により塩基を生成する塩基プレカーサーとしては、カルボン酸と塩基との塩からなる熱分解型(脱炭酸型)塩基プレカーサーが代表的である。脱炭酸型塩基プレカーサーを加熱すると、カルボン酸のカルボキシル基が脱炭酸反応し、有機塩基が放出される。カルボン酸としては、脱炭酸しやすいスルホニル酢酸やプロピオール酸を用いる。スルホニル酢酸及びプロピオール酸は、脱炭酸を促進する芳香族性を有する基(アリール基や不飽和複素環基)を置換基として有することが好ましい。スルホニル酢酸塩の塩基プレカーサーについては特開昭59−168441号公報に、プロピオール酸塩の塩基プレカーサーについては特開昭59−180537号公報にそれぞれ記載がある。
【0079】
脱炭酸型塩基プレカーサーの塩基側成分としては、有機塩基が好ましく、アミジン、グアニジン又はそれらの誘導体であることがさらに好ましい。有機塩基は、二酸塩基、三酸塩基又は四酸塩基であることが好ましく、二酸塩基であることがさらに好ましく、アミジン誘導体又はグアニジン誘導体の二酸塩基であることが最も好ましい。
【0080】
アミジン誘導体の二酸塩基、三酸塩基又は四酸塩基のプレカーサーについては、特公平7−59545号公報に記載がある。グアニジン誘導体の二酸塩基、三酸塩基又は四酸塩基のプレカーサーについては、特公平8−10321号公報に記載がある。
【0081】
アミジン誘導体又はグアニジン誘導体の二酸塩基は、(A)二つのアミジン部分又はグアニジン部分、(B)アミジン部分又はグアニジン部分の置換基及び(C)二つのアミジン部分又はグアニジン部分を結合する二価の連結基からなる。(B)の置換基の例には、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及び複素環残基が含まれる。二個以上の置換基が結合して含窒素複素環を形成してもよい。(C)の連結基は、アルキレン基又はフェニレン基であることが好ましい。
【0082】
以下に、アミジン誘導体又はグアニジン誘導体の二酸塩基プレカーサーの例(BP−1〜BP−39)を示す。
【0083】
【化13】
Figure 2005017606
【0084】
【化14】
Figure 2005017606
【0085】
【化15】
Figure 2005017606
【0086】
【化16】
Figure 2005017606
【0087】
【化17】
Figure 2005017606
【0088】
【化18】
Figure 2005017606
【0089】
【化19】
Figure 2005017606
【0090】
本発明おける塩基プレカーサーの使用量(モル)としては、前記熱消色性の染料の使用量(モル)に対して、1〜100倍であることが好ましく、3〜30倍であることがさらに好ましい。
また、前記塩基プレカーサーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
<融点降下剤>
本発明においては、塩基プレカーサーと混合すると3℃以上30℃以下の範囲で該塩基プレカーサーの融点を降下させる物質(以下、「融点降下剤」と呼ぶ)を用いることが好ましい。
これは、塩基プレカーサーとの混合物の融点が、塩基プレカーサー単独の融点よりも3℃以上30℃以下の範囲で低くなるもので、3〜20℃低くなるものがより好ましく、5〜15℃低くなるものが更に好ましい。
塩基プレカーサーと融点降下剤との粉末を混合するか、又は分散物を混合室温乾燥させ、そのサンプルについて示差走査熱量測定(DSC)などを行えば、融点の変化が観察できる。融点降下剤は2種類以上を同時に併用してもよい。
【0092】
また、融点降下剤は、1種類の化合物で融点を3℃(deg)以上30℃以下の範囲で降下させる物質でもよく、2種類以上の化合物を用いることではじめて融点を3℃以上30℃以下の範囲で降下させることになる場合でもよい。
【0093】
その添加方法は、塩基プレカーサーとの混合物の共分散物として添加することが好ましく、特に固体微粒子分散物として添加することが好ましい。この場合の微粒子の平均粒径は0.03μm以上0.3μm以下であることが好ましい。
【0094】
本発明においては、塩基により消色可能な染料又はその塩、及び塩基プレカーサーを含有する非感光性層を設け、該層に隣接する非感光性層に融点降下剤を含有させることが、感光材料の残色が少ないという点で好ましい。
また、本発明においては、塩基により消色可能な染料又はその塩、塩基プレカーサー、及び第一の融点降下剤を含有する非感光性層を設け、該層に隣接する非感光性層に第二の融点降下剤を含有させることが、感光材料の残色が少ないという点で好ましい。
【0095】
本発明において、好ましい融点降下剤について、詳述する。
好ましい融点降下剤としては下記一般式(M1)〜(M3)で表される化合物が挙げられる。
【0096】
【化20】
Figure 2005017606
【0097】
一般式(M1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。ただし、R11及びR12の少なくともいずれかは芳香族基又は複素環基である。
【0098】
一般式(M1)で表される化合物について詳細に説明する。
一般式(M1)における「脂肪族基」とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基を意味する。本発明ではアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基及び置換アラルキル基が更に好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
【0099】
一般式(M1)におけるアルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜15であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、アルキル基と同様である。
【0100】
一般式(M1)におけるアルケニル基及びアルキニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜15であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分及び置換アルキニル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基及びアルキニル基と同様である。
【0101】
一般式(M1)におけるアラルキル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜15であることが更に好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分は、アラルキル基と同様である。
【0102】
一般式(M1)における「芳香族基」とは、単環もしくは縮合環のアリール基で、置換基を有していてもよい。アリール基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましく、6〜15であることが更に好ましい。置換アリール基のアリール部分は、アリール基と同様である。例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。
【0103】
一般式(M1)における「複素環基」とは、5員又は6員の、複素環又は置換複素環基を意味する。置換複素環基の複素環部分は、複素環基と同様である。
【0104】
一般式(M1)における複素環基の例としては、複素環としてピロール、インドール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、インドリジン、キノリン、カルバゾール、フェノチアジン、インドリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキサジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、テトラゾール、オキサゾール、クマリン、及びクロマンなどを挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
【0105】
上述した各基が有してもよい置換基は、カルボキシル基及びカルボキシル基の塩以外であれば特に制限はない。置換基としては例えば、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数2〜20のスルホニルカルバモイル基(例えばメタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜20のアシルスルファモイル基(例えばアセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜20の鎖状又は環状のアルキル基(例えばメチル、エチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、ベンジル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えばビニル、アリル)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えばF、Cl、Br)、炭素数0〜20のアミノ基(例えば無置換のアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、炭素数1〜20のアミド基(例えばアセトアミド、ベンズアミド)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−カルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、3−ベンゾイルアミノフェニル)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜20のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル)、炭素数1〜20のスルホニル基(例えばメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜20のウレイド基(例えばメチルウレイド、フェニルウレイド)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素環基(例えば5−エトキシカルボニルベンゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホラン環、フラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリミジン環)などを挙げることができる。
【0106】
一般式(M1)におけるR11としては、芳香族基が好ましく、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。
【0107】
一般式(M1)におけるR12としては、芳香族基及び複素環基が好ましく、R12が芳香族基である場合には、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。R11又はR12が脂肪族基の場合、アラルキル基が好ましい。
【0108】
以下に一般式(M1)で表される化合物の具体例(M1−1〜M1−17)を示すが、これらに限定されるものではない。
【0109】
【化21】
Figure 2005017606
【0110】
【化22】
Figure 2005017606
【0111】
好ましい融点降下剤として本発明に用いることができる一般式(M2)で表される化合物について説明する。
【0112】
【化23】
Figure 2005017606
【0113】
一般式(M2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に芳香族基又は複素環基を表し、Xは、スルホニル基及びカルボキシ基以外の連結基を表す。
【0114】
一般式(M2)における「芳香族基」とは、前述した一般式(M1)の「芳香族基」と同義である。また、「複素環基」も、前述した一般式(M1)の「複素環基」と同義である。
【0115】
上述した各基が有してもよい置換基については、前述した一般式(M1)の「各基が有してもよい置換基」と同義である。
一般式(M2)は、一般式(M1)を含まない。Xで表される連結基としては、2価の連結基が好ましく用いられるが、3価以上の連結基の場合にはR21及びR22とは独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基から選ばれる置換基を有することができる。具体的な連結基の例としては、−C(=O)−、−OC(=O)O−、−SO−、炭素数1から3の置換又は無置換のメチレン鎖、−C(=O)−C(=O)−、−C(OH)−C(=O)−、−S−、−O−及び以下に示すものなどを挙げることができる。
【0116】
【化24】
Figure 2005017606
【0117】
一般式(M2)におけるR21としては、芳香族基が好ましく、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。
【0118】
一般式(M2)におけるR22としては、芳香族基が好ましい。R22が芳香族基である場合には、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。
またR21及びR22が脂肪族基である場合、アラルキル基が好ましい。
また、R21及びR22の置換基は互いに結合してXとともに環を形成してもよい。
【0119】
以下に一般式(M2)で表される化合物の具体例(M2−1〜M2−16)を示すが、これらに限定されるものではない。
【0120】
【化25】
Figure 2005017606
【0121】
【化26】
Figure 2005017606
【0122】
好ましい融点降下剤として本発明に用いることができる一般式(M3)で表される化合物について説明する。
【0123】
【化27】
Figure 2005017606
【0124】
一般式(M3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に芳香族基又は複素環基を表す。但し、一般式(M3)で表される化合物は、カルボキシル基又はカルボキシル基の塩を置換基として有しない。
【0125】
一般式(M3)における「芳香族基」とは、前述した一般式(M1)の「芳香族基」と同義である。また、「複素環基」も、前述した一般式(M1)の「複素環基」と同義である。
【0126】
上述した各基が有してもよい置換基については、前述した一般式(M1)の「各基が有してもよい置換基」と同義である。
【0127】
一般式(M3)におけるR31としては、芳香族基が好ましく、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。
【0128】
一般式(M3)におけるR32としては、芳香族基が好ましい。R32が芳香族基である場合には、置換アリール基の置換基としてより好ましいものとしては、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、ハロゲン原子が挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、スルホニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子が更に好ましく、置換もしくは無置換のアルキル基、スルホニル基、ハロゲン原子が最も好ましい。
【0129】
一般式(M3)で表される化合物の好ましい具体例(M3−1〜M3−14)を示すが、これらに限定されるものではない。
【0130】
【化28】
Figure 2005017606
【0131】
【化29】
Figure 2005017606
【0132】
一般式(M1)〜一般式(M3)で表される化合物の融点は、塩基プレカーサーと同じ又はそれよりも高いものが好ましく、70℃以上400℃以下の融点を有するものがより好ましく、100℃以上300℃以下の融点を有するものが更に好ましい。
【0133】
本発明において、一般式(M1)〜一般式(M3)で表される化合物の総使用量は、塩基プレカーサー100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましい。
【0134】
また、一般式(M1)〜一般式(M3)で表される化合物は、染料消色後の画像のバックグラウンドに残留するので400nmから700nmに吸収極大を有したり、熱現像感光材料中で実質的に問題となる吸収を与えたりしないものが好ましい。また、400nm以下の吸収も熱現像感光材料中で実質的に問題となる吸収を与えたりしないものが好ましい。
【0135】
<マット剤>
本発明においては、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号[0126]〜[0127]に記載されている。マット剤の塗布量は、好ましくは1mg/m以上400mg/m以下、より好ましくは5mg/m以上300mg/m以下である。
【0136】
本発明におけるマット剤の形状は、定型、不定形のいずれでもよいが、好ましくは定型であり、球形が好ましく用いられる。平均球形は0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上8.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以上6.0μm以下の範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでもよいが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以上が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙及び板紙のベック試験器による平滑度試験方法」及びTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
【0137】
本発明におけるバック層のマット度としては、ベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
【0138】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0139】
<着色剤>
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m〜1g/mの範囲で添加され、添加する層としては画像形成層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特願2002−96797号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、乳剤面側の非感光性層又はバック面側に添加することがより好ましい。
【0140】
2.画像形成層面
次に、画像形成層面側について説明する。
本発明の熱現像感光材料は、非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀(触媒活性量の光触媒)及び還元剤を含有し、また、これらを少なくとも一層の画像形成層に含有することが好ましい。該画像形成層は、さらにバインダー(一般に合成ポリマー)を含有する。更にヒドラジン化合物(超硬調化剤)や色調調整剤(銀の色調を制御する)を含むことが好ましい。本発明においては複数の画像形成層を設けてもよい。例えば、階調の調節を目的として、高感度画像形成層と低感度画像形成層とを熱現像感光材料に設けることができる。高感度画像形成層と低感度画像形成層との配列の順序は、低感度画像形成層を支持体側に配置しても、高感度画像形成層を支持体側に配置してもよい。
【0141】
熱現像感光材料は一般に、画像形成層に加えて非感光性層を有する。非感光性層は、その配置から(1)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる保護層、(2)複数の画像形成層の間や、画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(3)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(4)前述のバック層(バック層、又は必要に応じて設けられるバック保護層を含む)に分類できる。フィルター層は、(1)又は(2)の層として感光材料に設けられる。アンチハレーション層は、(3)又は(4)の層として感光材料に設けられる。
本発明は、上記(4)の態様において、前記特定のゼラチンを非感光性層に含有させたことを特徴するものある。
【0142】
非感光性層は、前述した染料を含む層、すなわちフィルター層やアンチハレーション層に加えて、表面保護層のような別の機能層として設けてもよい。
以下、画像形成層の組成について説明する。
【0143】
<非感光性有機銀塩>
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀及びこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
【0144】
また、ステアリン酸銀含有率が1モル%以下であることが好ましい。前記ステアリン酸含有率を1モル%以下とすることにより、Dminが低く、高感度で画像保存性に優れた有機酸の銀塩が得られる。前記ステアリン酸含有率としては、0.5モル%以下が好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。
【0145】
さらに、有機酸の銀塩としてアラキジン酸銀を含む場合は、アラキジン酸銀含有率が6モル%以下であることが、低いDminを得ること及び画像保存性の優れた有機酸の銀塩を得る点で好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。
【0146】
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5未満の短針状、直方体、立方体又はジャガイモ状の不定形粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像時のカブリが少ないという特徴を有している。特に、長軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
【0147】
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
【0148】
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は1以上9以下であることが好ましく、より好ましくは1以上6以下、さらに好ましくは1以上4以下、最も好ましくは1以上3以下である。
【0149】
前記球相当直径を0.05μm以上1μm以下とすることにより、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる。前記球相当直径としては、0.1μm以上1μm以下が好ましい。本発明において、球相当直径の測定方法は、電子顕微鏡を用いて直接サンプルを撮影し、その後、ネガを画像処理することによって求められる。
前記リン片状粒子において、粒子の球相当直径/aをアスペクト比と定義する。リン片状粒子のアスペクト比としては、感光材料中で凝集を起こしにくく、画像保存性が良好となる観点から、1.1以上30以下であることが好ましく、1.1以上15以下がより好ましい。
【0150】
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
【0151】
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
【0152】
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
【0153】
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%以上30モル%以下の範囲が好ましく、更に2モル%以上20モル%以下、特に3モル%以上15モル%以下の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0154】
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m以上5.0g/m以下が好ましく、より好ましくは0.3g/m以上3.0g/m以下、さらに好ましくは0.5g/m以上2.0g/m以下である。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m以下、より好ましくは1.6g/m以下であることが好ましい。本発明の好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
【0155】
<還元剤>
本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
【0156】
【化30】
Figure 2005017606
【0157】
一般式(R)において、R11及びR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12及びR12’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基又はCHR13−基を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。X及びX’は各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
【0158】
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11及びR11
11及びR11’は各々独立に置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等があげられる。
【0159】
2)R12及びR12’、X及びX
12及びR12’は、各々独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な置換基であり、X及びX’も各々独立に、水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
【0160】
3)L
Lは、−S−基又はCHR13−基を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
【0161】
4)好ましい置換基
11及びR11’として好ましくは炭素数3〜15の2級又は3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11及びR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
【0162】
12及びR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
及びX’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
【0163】
Lは、好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基である。
【0164】
13が水素原子である場合、R12及びR12’は、好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基である場合、R12及びR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級又は2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12及びR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’及びR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
【0165】
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0166】
【化31】
Figure 2005017606
【0167】
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号に記載された化合物である。
本発明において還元剤の添加量は0.1g/m以上3.0g/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m以上1.5g/m以下で、さらに好ましくは0.3g/m以上1.0g/m以下である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%以上50モル%以下含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%以上30モル%以下であり、10モル%以上20モル%以下で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
【0168】
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
【0169】
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm以上1000ppm以下の範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上2μm以下の微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
【0170】
<現像促進剤>
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特開2002−278017号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%以上20モル%以下の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%以上10モル%以下の範囲で、より好ましくは1モル%以上5モル%以下の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物又は乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物及び特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系又はナフトール系の化合物がより好ましい。
【0171】
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)及び(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
−NHNH−Q
(式中、Qは炭素原子で−NHNH−Qと結合する芳香族基、又はヘテロ環基を表し、Qはカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、又はスルファモイル基を表す。)
【0172】
一般式(A−1)において、Qで表される芳香族基又はヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
【0173】
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及びアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びアシルオキシ基を挙げることができる。
【0174】
で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0175】
で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Qで表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0176】
で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Qで表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
【0177】
で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Qで表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQで表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0178】
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Qとしては5〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、及びこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Qはカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
【0179】
一般式(A−2)
【0180】
【化32】
Figure 2005017606
【0181】
一般式(A−2)においてRはアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R、Rはそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。RとRは互いに連結して縮合環を形成してもよい。
は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。Rは好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。Rは水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基又はアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はRと同様である。Rがアシルアミノ基である場合RはRと連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
【0182】
一般式(A−2)においてRとRが互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、Rはカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。Rはアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
【0183】
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0184】
【化33】
Figure 2005017606
【0185】
<水素結合性化合物>
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)又はアミノ基(−NHR、Rは水素原子又はアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基又はアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
【0186】
【化34】
Figure 2005017606
【0187】
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基又はアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
【0188】
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0189】
【化35】
Figure 2005017606
【0190】
水素結合性化合物の具体例は上述の他に、欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特開2002−318431号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1モル%以上200モル%以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以上150モル%以下の範囲で、さらに好ましくは20モル%以上100モル%以下の範囲である。
【0191】
<ハロゲン化銀>
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることができる。その中でも臭化銀、ヨウ臭化銀及びヨウ化銀が好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0192】
2)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、及び米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
【0193】
3)粒子サイズ
感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同面積の円像に換算したときの直径をいう。
【0194】
4)粒子形状
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における{111}面と{100}面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
【0195】
5)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属又は金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属又は金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10−9モル以上1×10−3モル以下の範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
【0196】
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)4−、[Fe(CN)3−、[Ru(CN)4−、[Os(CN)4−、[Co(CN)3−、[Rh(CN)3−、[Ir(CN)3−、[Cr(CN)3−、[Re(CN)3−などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
【0197】
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン及びリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
【0198】
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
【0199】
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10−5モル以上1×10−2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10−4モル以上1×10−3モル以下である。
【0200】
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感及びテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、又は化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
【0201】
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
【0202】
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
【0203】
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)4−)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
【0204】
6)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜1,000,000のゼラチンを使用することが好ましい。また、ゼラチンの置換基をフタル化処理することも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
【0205】
7)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特開2001−272747号、特開2001−290238号、特開2002−23306号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する前までの時期である。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10−6モル以上1モル以下が好ましく、さらに好ましくは10−4モル以上10−1モル以下である。
【0206】
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
【0207】
8)化学増感
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感されていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物、例えば、特開平7−128768号等に記載の化合物等を使用することができる。特に本発明においてはテルル増感が好ましく、特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
【0208】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、上記カルコゲン増感と組み合わせて、あるいは単独で金増感法にて化学増感されていることが好ましい。金増感剤としては、金の価数が+1価又は+3価が好ましく、金増感剤としては通常用いられる金化合物が好ましい。代表的な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858637号、特開2002−278016号に記載の金増感剤も好ましく用いられる。
【0209】
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられる硫黄、セレン及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−8モル以上10−2モル以下、好ましくは10−7モル以上10−3モル以下程度を用いる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10−7モル以上ら10−3モル以下、より好ましくは10−6モル以上5×10−4モル以下である。
本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5以上8以下、pAgとしては6以上11以下、温度としては40℃以上95℃以下程度である。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0210】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、還元剤を用いることが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でも良い。また、乳剤のpHを7以上又はpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
【0211】
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
【0212】
本発明の熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1〜5から選ばれる化合物である。
【0213】
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。
(タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成過程を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ5)
X−Yで表される化合物においてXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物。
【0214】
上記タイプ1及びタイプ3〜5の化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。タイプ1〜4の化合物はより好ましくは「2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物」である。
【0215】
タイプ1〜5の化合物について詳細に説明する。
タイプ1の化合物において「結合開裂反応」とは具体的に炭素−炭素、炭素−ケイ素、炭素−水素、炭素−ホウ素、炭素−スズ、炭素−ゲルマニウムの各元素間の結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がさらにこれらに付随してもよい。タイプ1の化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)の電子を放出し得る化合物である。
【0216】
タイプ1の化合物のうち好ましい化合物は一般式(A)、一般式(B)、一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される。
【0217】
一般式(A)
【化36】
Figure 2005017606
【0218】
一般式(B)
【化37】
Figure 2005017606
【0219】
一般式(A)においてRED11は1電子酸化され得る還元性基を表し、L11は脱離基を表す。R112は水素原子又は置換基を表す。R111は炭素原子(C)及びRED11と共に、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体、もしくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成し得る非金属原子団を表す。
【0220】
一般式(B)においてRED12は1電子酸化され得る還元性基を表し、L12は脱離基を表す。R121及びR122は、それぞれ水素原子又は置換基を表す。ED12は電子供与性基を表す。一般式(B)においてR121とRED12、R121とR122、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0221】
これら一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物は、RED11又はRED12で表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にL11又はL12を結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得る化合物である。
【0222】
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)
【化38】
Figure 2005017606
【0223】
一般式(1)においてZは窒素原子及びベンゼン環の2つの炭素原子と共に6員環を形成し得る原子団を表し、R、R、RN1はそれぞれ水素原子又は置換基を表し、Xはベンゼン環に置換可能な置換基を表し、mは0〜3の整数を表し、Lは脱離基を表す。一般式(2)においてED21は電子供与性基を表し、R11、R12、RN21、R13、R14はそれぞれ水素原子又は置換基を表し、X21はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m21は0〜3の整数を表し、L21は脱離基を表す。RN21、R13、R14、X21及びED21は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(3)においてR32、R33、R31、RN31、R、Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、L31は脱離基を表す。但しRN31がアリール基以外の基を表す時、R及びRは互いに結合して芳香族環を形成する。
【0224】
これら化合物は1電子酸化された後、自発的にL、L21、又はL31を結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を2つ以上、好ましくは3つ以上放出し得る化合物である。
【0225】
以下、先ず一般式(A)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(A)においてRED11で表される1電子酸化され得る還元性基は、後述するR111と結合して特定の環形成をし得る基であり、具体的には次の1価基から環形成をするのに適切な箇所の水素原子1個を除いた2価基が挙げられる。例えば、アルキルアミノ基、アリールアミノ基(アニリノ基、ナフチルアミノ基等)、ヘテロ環アミノ基(ベンズチアゾリルアミノ基、ピロリルアミノ基等)、アルキルチオ基、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基、アリール基(フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基(5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子のうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環で、その具体例としては、例えばテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環、インドリン環、インドール環、インダゾール環、カルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ベンゾチアゾリン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、メチレンジオキシフェニル環等が挙げられる)である(以後、便宜上RED11は1価基名として記述する)。RED11は置換基を有していてもよい。
【0226】
本発明において置換基とは、特に説明がない限り、以下の基から選ばれる置換基を意味する。ハロゲン原子、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基又はその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基又はその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0227】
RED11として好ましくは、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、さらに好ましくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール基(特にフェニル基)である。これらが置換基を有する時、置換基として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基である。
但しRED11がアリール基を表す時、アリール基は少なくとも1つの「電子供与性基」を有していることが好ましい。ここに「電子供与性基」とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チアゾリル基、ベンズチアゾリル基、インダゾリル基など)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、インドリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基などで環状のアミノ基とも呼べる基)である。ここで活性メチン基とは2つの「電子求引性基」で置換されたメチン基を意味し、ここに「電子求引性基」とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
【0228】
一般式(A)においてL11は、具体的にはカルボキシ基もしくはその塩、シリル基、水素原子、トリアリールホウ素アニオン、トリアルキルスタニル基、トリアルキルゲルミル基、又はCRC1C2C3基を表す。ここにシリル基とは具体的にトリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、トリアリールシリル基などを表し、任意の置換基を有していてもよい。
【0229】
11がカルボキシ基の塩を表すとき、塩を形成するカウンターイオンとしてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられ、好ましくはアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり、アルカリ金属イオン(特にLi、Na、Kイオン)が最も好ましい。
【0230】
11が−CRC1C2C3基を表す時、ここにRC1、RC2、RC3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基を表し、これらが互いに結合して環状構造を形成していてもよく、さらに任意の置換基を有していてもよい。但し、RC1、RC2、RC3のうち1つが水素原子もしくはアルキル基を表す時、残る2つが水素原子もしくはアルキル基を表すことはない。RC1、RC2、RC3として好ましくは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基(特にフェニル基)、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ヒドロキシ基で、具体的にその例を挙げると、フェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、メチルチオ基、フェニルチオ基、フェノキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。またこれらが互いに結合して環状構造を形成する場合の例としては1,3−ジチオラン−2−イル基、1,3−ジチアン−2−イル基、N−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル基、N−ベンジル−ベンゾチアゾリジン−2−イル基などが挙げられる。
−CRC1C2C3基が、RC1、RC2、RC3についてそれぞれ上述した範囲内で選択された結果として、一般式(A)からL11を除いた残基と同じ基を表す場合もまた好ましい。
【0231】
一般式(A)においてL11は、好ましくはカルボキシ基又はその塩、及び水素原子である。より好ましくはカルボキシ基又はその塩である。
【0232】
11が水素原子を表す時、一般式(A)で表される化合物は、分子内に内在する塩基部位を有していることが好ましい。この塩基部位の作用により、一般式(A)で表される化合物が酸化された後、L11で表される水素原子が脱プロトン化されて、ここからさらに電子が放出されるのである。
【0233】
ここに塩基とは、具体的に約1〜約10のpKaを示す酸の共役塩基である。例えば含窒素ヘテロ環類(ピリジン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、チアゾール類など)、アニリン類、トリアルキルアミン類、アミノ基、炭素酸類(活性メチレンアニオンなど)、チオ酢酸アニオン、カルボキシレート(−COO)、サルフェート(−SO )、又はアミンオキシド(>N(O)−)などが挙げられる。好ましくは約1〜約8のpKaを示す酸の共役塩基であり、カルボキシレート、サルフェート、又はアミンオキシドがより好ましく、カルボキシレートが特に好ましい。これらの塩基がアニオンを有する時、対カチオンを有していてもよく、その例としてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。これら塩基は、任意の位置で一般式(A)で表される化合物に連結される。これら塩基部位が結合する位置としては、一般式(A)のRED11、R111、R112の何れでもよく、またこれらの基の置換基に連結していてもよい。
【0234】
一般式(A)においてR112は水素原子又は炭素原子に置換可能な置換基を表す。但しR112がL11と同じ基を表すことはない。
112は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基(フェニル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基など)、ヒドロキシ基、アルキルチオ基(メチルチオ基、ブチルチオ基など)、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル基、アルキルアミノ基である。
【0235】
一般式(A)においてR111が形成する環状構造とは、5員もしくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造で、ここにヒドロ体とは、芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)に内在する炭素−炭素2重結合(又は炭素−窒素2重結合)が部分的に水素化された環構造を意味し、テトラヒドロ体とは2つの、ヘキサヒドロ体とは3つの、オクタヒドロ体とは4つの、炭素−炭素2重結合(又は炭素−窒素2重結合)が水素化された構造を意味する。水素化されることで芳香族環は、部分的に水素化された非芳香族の環構造となる。
具体的には、ピロリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、ピラゾリジン環及びオキサゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラリン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、及びテトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環、オクタヒドロフェナントリジン環等が挙げられる。これらの環構造は任意の置換基を有していてもよい。
【0236】
111が形成する環状構造としてさらに好ましくは、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロピリミジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロカルバゾール環であり、特に好ましくは、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロキノキサリン環であり、最も好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環である。
【0237】
一般式(B)においてRED12、L12は、それぞれ一般式(A)のRED11、L11に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。但し、RED12は下記の環状構造を形成する場合以外は1価基であり、具体的にはRED11で記載した1価基名の基が挙げられる。R121及びR122は一般式(A)のR112に同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。ED12は電子供与性基を表す。R121とRED12、R121とR122、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
【0238】
一般式(B)においてED12で表される電子供与性基とは、RED11がアリール基を表すときの置換基として説明した電子供与性基と同じものである。ED12として好ましくはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、及びこれら電子供与性基で置換されたフェニル基であり、さらにヒドロキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、及びこれら電子供与性基で置換されたフェニル基(例えばp−ヒドロキシフェニル基、p−ジアルキルアミノフェニル基、o,p−ジアルコキシフェニル基等)がより好ましい。
【0239】
一般式(B)においてR121とRED12、R122とR121、又はED12とRED12とは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここで形成される環状構造とは、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、5員〜7員環の単環又は縮合環で、置換もしくは無置換の環状構造である。R121とRED12とが環構造を形成するとき、その具体例としては、一般式(A)においてR111が形成する環状構造の例として挙げたものに加えて、ピロリン環、イミダゾリン環、チアゾリン環、ピラゾリン環、オキサゾリン環、インダン環、モルホリン環、インドリン環、テトラヒドロ−1,4−オキサジン環、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−オキサジン環、テトラヒドロ−1,4−チアジン環、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−チアジン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環等が挙げられる。ED12とRED12とが環構造を形成するとき、ED12は好ましくはアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を表し、形成される環構造の具体例としては、テトラヒドロピラジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロイソキノリン環などが挙げられる。R122とR121とが環構造を形成するとき、その具体例としてはシクロヘキサン環、シクロペンタン環などが挙げられる。
【0240】
次に一般式(1)〜(3)について説明する。
一般式(1)〜(3)においてR、R、R11、R12、R31は、一般式(A)のR112と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。L、L21、L31は、一般式(A)のL11について説明した中で具体例として挙げた基と同じ脱離基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。X、X21で表される置換基としては、一般式(A)のRED11が置換基を有する時の置換基の例と同じであり、好ましい範囲も同じである。m、m21は好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0241】
N1、RN21、RN31が置換基を表す時、置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、これらはさらに任意の置換基を有していてもよい。RN1、RN21、RN31は水素原子、アルキル基又はアリール基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましい。
【0242】
13、R14、R33、R、Rが置換基を表す時、置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基などである。
【0243】
一般式(1)においてZが形成する6員環は、一般式(1)のベンゼン環と縮合した非芳香族のヘテロ環であり、具体的には縮合するベンゼン環も含めた環構造としてテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環であり、好ましくはテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環である。これらは置換基を有していてもよい。
【0244】
一般式(2)においてED21は、一般式(B)のED12と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。
【0245】
一般式(2)においてRN21、R13、R14、X21及びED21のいずれか2つは、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここでRN21とX21が結合して形成される環状構造とは、好ましくはベンゼン環と縮合した5員〜7員の非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であって、その具体例としては、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環、2,3−ジヒドロ−5,6−ベンゾ−1,4−チアジン環などが挙げられる。好ましくはテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環である。
【0246】
一般式(3)においてRN31がアリール基以外の基を表す時、R及びRは互いに結合して芳香族環を形成する。ここに芳香族環とはアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)及び芳香族ヘテロ環基(例えばピリジン環基、ピロール環基、キノリン環基、インドール環基など)であり、アリール基が好ましい。該芳香族環基は任意の置換基を有していてもよい。
一般式(3)においてR及びRは、互いに結合して芳香族環(特にフェニル基)を形成する場合が好ましい。
【0247】
一般式(3)においてR32は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アミノ基などであり、ここにR32がヒドロキシ基を表す時、同時にR33が「電子求引性基」を表す場合も好ましい例の1つである。ここに「電子求引性基」とは、先に説明したものと同じであり、アシル基、アルコシキカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基が好ましい。
【0248】
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物において「結合開裂反応」とは炭素−炭素、炭素−ケイ素、炭素−水素、炭素−ホウ素、炭素−スズ、炭素−ゲルマニウムの各元素間の結合の開裂を意味し、炭素−水素結合の開裂がこれに付随してもよい。
【0249】
タイプ2の化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上(好ましくは2〜6つ、より好ましくは2〜4つ)有する化合物である。より好ましくは2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物である。吸着性基の数は、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4が良い。吸着性基については後述する。
【0250】
タイプ2の化合物のうち好ましい化合物は一般式(C)で表される。
【0251】
一般式(C)
【化39】
Figure 2005017606
【0252】
ここに一般式(C)で表される化合物は、REDで表される還元性基が1電子酸化された後、自発的にLを結合開裂反応により離脱することで、これに伴いさらに電子を1つ放出し得る化合物である。
【0253】
一般式(C)においてREDは一般式(B)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。Lは一般式(A)のL11について説明したのと同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。なおLがシリル基を表す時、該化合物は分子内に、2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物である。R21、R22は水素原子又は置換基を表し、これらは一般式(A)のR112と同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。REDとR21とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0254】
ここで形成される環構造とは、5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、非芳香族の炭素環又はヘテロ環であり、置換基を有していてもよい。但し該環構造が、芳香族環又は芳香族ヘテロ環のテトラヒドロ体、ヘキサヒドロ体もしくはオクタヒドロ体に相当する環構造であることはない。環構造として好ましくは、芳香族環又は芳香族ヘテロ環のジヒドロ体に相当する環構造で、その具体例としては、例えば2−ピロリン環、2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,4−ジヒドロピリジン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、ベンゾ−α−ピラン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などが挙げられ、好ましくは2−イミダゾリン環、2−チアゾリン環、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、ベンゾオキサゾリン環、1,2−ジヒドロピリジン環、1,2−ジヒドロキノリン環、1,2−ジヒドロキナゾリン環、1,2−ジヒドロキノキサリン環などであり、インドリン環、ベンゾイミダゾリン環、ベンゾチアゾリン環、1,2−ジヒドロキノリン環がより好ましく、インドリン環が特に好ましい。
【0255】
次にタイプ3の化合物について説明する。
タイプ3の化合物において「結合形成過程」とは炭素−炭素、炭素−窒素、炭素−硫黄、炭素−酸素などの原子間結合の形成を意味する。
【0256】
タイプ3の化合物は好ましくは、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続いて分子内に共存する反応性基部位(炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位)と反応して結合を形成した後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得ることを特徴とする化合物である。
【0257】
さらに詳細に述べるとタイプ3の化合物は、1電子酸化されて生成するその1電子酸化体(カチオンラジカル種、又はそこからプロトンの脱離により生成する中性のラジカル種)が、同じ分子内に共存する上記反応性基と反応し、結合を形成して、分子内に新たに環構造を有するラジカル種を生成する。そしてこのラジカル種から、直接もしくはプロトンの脱離を伴って、2電子目の電子が放出される特徴を有している。
そしてさらにタイプ3の化合物の中には、そうして生成した2電子酸化体がその後、ある場合には加水分解反応を受けた後に、またある場合には直接プロトンの移動を伴なう互変異性化反応を起して、そこからさらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出する場合がある。あるいはまたこうした互変異性化反応を経由せずに直接2電子酸化体から、さらに1電子以上、通常2電子以上の電子を放出する能力を有しているものも含まれる。
【0258】
タイプ3の化合物は好ましくは、一般式(D)で表される。
【0259】
一般式(D)
【化40】
Figure 2005017606
【0260】
一般式(D)においてREDは1電子酸化され得る還元性基を表し、YはREDが1電子酸化された後に反応する反応性基部位を表し、具体的には炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位を含む有機基を表す。LはREDとYとを連結する連結基を表す。
【0261】
REDは一般式(B)のRED12と同義の基を表し、好ましくはアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基(特に含窒素ヘテロ環基が好ましい)であり、さらに好ましくはアリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリール基、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基であり、このうちヘテロ環基に関しては、テトラヒドロキノリン環基、テトラヒドロキノキサリン環基、テトラヒドロキナゾリン環基、インドリン環基、インドール環基、カルバゾール環基、フェノキサジン環基、フェノチアジン環基、ベンゾチアゾリン環基、ピロール環基、イミダゾール環基、チアゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾイミダゾリン環基、ベンゾチアゾリン環基、3,4−メチレンジオキシフェニル−1−イル基などが好ましい。
REDとして特に好ましくはアリールアミノ基(特にアニリノ基)、アリール基(特にフェニル基)、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基である。
【0262】
ここでREDがアリール基を表す時、アリール基は少なくとも1つの「電子供与性基」を有していることが好ましい。「電子供与性基」は先に説明したものと同じである。
【0263】
REDがアリール基を表す時、そのアリール基の置換基としてより好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、さらに好ましくはアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキルアミノ基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0264】
で表される炭素−炭素2重結合部位を含む有機基(例えばビニル基)が置換基を有するとき、その置換基として好ましくは、アルキル基、フェニル基、アシル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などであり、ここに電子供与性基として好ましくは、アルコキシ基、ヒドロキシ基(シリル基で保護されていてもよく、例えばトリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基などが挙げられる)、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、スルホンアミド基、活性メチン基、メルカプト基、アルキルチオ基、及びこれら電子供与性基を置換基に有するフェニル基である。
【0265】
なおここで炭素−炭素2重結合部位を含む有機基が置換基としてヒドロキシ基を有する時、Yは右記部分構造:>C=C(−OH)−を含むことになるが、これは互変異性化して右記部分構造:>CH−C(=O)−となっていても良い。さらにこの場合に、該C炭素に置換する置換基が電子求引性基である場合もまた好ましく、この場合Yは「活性メチレン基」又は「活性メチン基」の部分構造を有することになる。このような活性メチレン基又は活性メチン基の部分構造を与え得る電子求引性基とは、上述の「活性メチン基」の説明の中で説明したものと同じである。
【0266】
で表される炭素−炭素3重結合部位を含む有機基(例えばエチニル基)が置換基を有するとき、その置換基としてはアルキル基、フェニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、電子供与基などが好ましい。
【0267】
が芳香族基部位を含む有機基を表す時、芳香族基として好ましくは電子供与性基を置換基として有するアリール基(特にフェニル基が好ましい)又はインドール環基で、ここに電子供与性基として好ましくは、ヒドロキシ基(シリル基で保護ざれていてもよい)、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、活性メチン基、スルホンアミド基、メルカプト基である。
【0268】
がベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基部位を含む有機基を表す時、ベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基として好ましくはアニリン構造を部分構造として内在するもので、例えば、インドリン環基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン環基、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン環基、4−キノロン環基などが挙げられる。
【0269】
で表される反応性基としてより好ましくは、炭素−炭素2重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基を含む有機基である。さらに好ましくは、炭素−炭素2重結合部位、電子供与性基を置換基として有するフェニル基、インドール環基、アニリン構造を部分構造として内在するベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環基である。ここに炭素−炭素2重結合部位は少なくとも1つの電子供与性基を置換基として有することがより好ましい。
【0270】
で表される反応性基が、これまでに説明した範囲から選択された結果として、REDで表される還元性基と同じ部分構造を有する場合もまた、一般式(D)で表される化合物の好ましい例である。
【0271】
は、REDとYとを連結する連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NR−、−C(=O)−、−SO−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Lで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。Lで表される連結基は、RED及びYで表される基の任意の位置で、それぞれの任意の1個の水素原子と置換する形で、連結され得る。
の好ましい例としては、単結合、アルキレン基(特にメチレン基、エチレン基、プロピレン基)、アリーレン基(特にフェニレン基)、−C(=O)−基、−O−基、−NH−基、−N(アルキル基)−基、及びこれらの基の組み合わせからなる2価の連結基が挙げられる。
【0272】
で表される基は、REDが酸化されて生成するカチオンラジカル種(X・)、又はそこからプロトンの脱離を伴って生成するラジカル種(X・)と、Yで表される反応性基とが反応して結合形成する際、これに関わる原子団が、Lを含めて3〜7員の環状構造を形成しうることが好ましい。この為にはラジカル種(X・又はX・)、Yで表される反応性基、及びLが、3〜7個の原子団で連結されていることが好ましい。
【0273】
次にタイプ4の化合物について説明する。
タイプ4の化合物は還元性基の置換した環構造を有する化合物であり、該還元性基が1電子酸化された後、環構造の開裂反応を伴ってさらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出しうる化合物である。ここで言う環構造の開裂反応とは、下記で表される形式のものを意味する。
【0274】
【化41】
Figure 2005017606
【0275】
式中、化合物aはタイプ4の化合物を表す。化合物a中、Dは還元性基を表し、X、Yは環構造中の1電子酸化後に開裂する結合を形成している原子を表す。まず化合物aが1電子酸化されて、1電子酸化体bを生成する。ここからD−Xの単結合が2重結合になると同時にX−Yの結合が切断され開環体cが生成する。あるいはまた1電子酸化体bからプロトンの脱離を伴ってラジカル中間体dが生成し、ここから同様に開環体eを生成する経路をとる場合もある。このように生成した開環体c又はeから、引き続きさらに1つ以上の電子が放出される点にこれらの化合物の特徴がある。
【0276】
タイプ4の化合物が有する環構造とは、3〜7員環の炭素環又はヘテロ環であり、単環もしくは縮環の、飽和もしくは不飽和の非芳香族の環を表す。好ましくは飽和の環構造であり、より好ましくは3員環あるいは4員環である。好ましい環構造としてはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アジリジン環、アゼチジン環、エピスルフィド環、チエタン環が挙げられる。より好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、オキシラン環、オキセタン環、アゼチジン環であり、特に好ましくはシクロプロパン環、シクロブタン環、アゼチジン環である。環構造は任意の置換基を有していても良い。
【0277】
タイプ4の化合物は好ましくは一般式(E)又は(F)で表される。
【0278】
一般式(E)
【化42】
Figure 2005017606
【0279】
一般式(F)
【化43】
Figure 2005017606
【0280】
一般式(E)及び一般式(F)においてRED41及びRED42は、それぞれ一般式(B)のRED12と同義の基を表し、その好ましい範囲もまた同じである。R40〜R44及びR45〜R49は、それぞれ水素原子又は置換基を表す。一般式(F)においてZ42は、−CR420421−、−NR423−、又はO−を表す。ここにR420、R421は、それぞれ水素原子又は置換基を表し、R423は水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
【0281】
一般式(E)及び一般式(F)においてR40及びR45は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、水素原子、アルキル基、アリール基がより好ましい。R41〜R44及びR46〜R49として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
【0282】
41〜R44は、これらのうち少なくとも1つがドナー性基である場合と、R41とR42、あるいはR43とR44がともに電子求引性基である場合が好ましい。より好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基である場合である。さらに好ましくはR41〜R44の少なくとも1つがドナー性基であり且つ、R41〜R44の中でドナー性基でない基が水素原子又はアルキル基である場合である。
【0283】
ここで言うドナー性基とは、「電子供与性基」、又は少なくとも1つの「電子供与性基」で置換されたアリール基である。ドナー性基として好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、少なくとも1つの電子供与性基で置換されたフェニル基が用いられる。より好ましくはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(インドール環、ピロール環、カルバゾール環など)、電子供与性基で置換されたフェニル基(3つ以上のアルコキシ基で置換されたフェニル基、ヒドロキシ基又はアルキルアミノ基又はアリールアミノ基で置換されたフェニル基など)が用いられる。
特に好ましくは、アリールアミノ基、窒素原子を環内に少なくとも1つ含む5員の、単環もしくは縮合環の、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(特に3−インドリル基)、電子供与性基で置換されたフェニル基(特にトリアルコキシフェニル基、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基で置換されたフェニル基)が用いられる。
【0284】
42として好ましくは、−CR420421−又はNR423−であり、より好ましくは−NR423−である。R420、R421は好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。R423は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基を表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基である。
【0285】
40〜R49及びR420、R421、R423の各基が置換基である場合には、それぞれ総炭素数が40以下のものが好ましく、より好ましくは総炭素数30以下で、特に好ましくは総炭素数15以下である。またこれらの置換基は互いに結合して、あるいは分子中の他の部位(RED41、RED42あるいはZ42)と結合して環を形成していても良い。
【0286】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物においてハロゲン化銀への吸着性基とは、ハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基である。但し、本発明におけるタイプ2の化合物においては、吸着性基としてスルフィド基は含まれない。
【0287】
吸着性基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基は、5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基で、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズチアゾール環基、ベンズオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていてもよく、この様なヘテロ環基の例としてはイミダゾリウム環基、ピラゾリウム環基、チアゾリウム環基、トリアゾリウム環基、テトラゾリウム環基、チアジアゾリウム環基、ピリジニウム環基、ピリミジニウム環基、トリアジニウム環基などが挙げられ、中でもトリアゾリウム環基(例えば1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート環基)が好ましい。アリール基としてはフェニル基又はナフチル基が挙げられる。アルキル基としては炭素数1〜30の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li、Na、K、Mg2+、Ag、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
【0288】
吸着性基としてのメルカプト基は、さらにまた互変異性化してチオン基となっていてもよく、具体的にはチオアミド基(ここでは−C(=S)−NH−基)、及び該チオアミド基の部分構造を含む基、すなわち、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基などが挙げられる。ここで環状の例としてはチアゾリジン−2−チオン基、オキサゾリジン−2−チオン基、2−チオヒダントイン基、ローダニン基、イソローダニン基、チオバルビツール酸基、2−チオキソ−オキサゾリジン−4−オン基などが挙げられる。
【0289】
吸着性基としてチオン基とは、上述のメルカプト基が互変異性化してチオン基となった場合を含め、メルカプト基に互変異性化できない(チオン基のα位に水素原子を持たない)、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
【0290】
吸着性基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、‘−S−’基又は‘−Se−’基又は‘−Te−’基又は‘=N−’基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンズイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンズセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンズテルルアゾール基などが挙げられる。好ましくは前者である。
【0291】
吸着性基としてスルフィド基とは、‘−S−’の部分構造を有する基すべてが挙げられるが、好ましくはアルキル(又はアルキレン)−S−アルキル(又はアルキレン)、アリール(又はアリーレン)−S−アルキル(又はアルキレン)、アリール(又はアリーレン)−S−アリール(又はアリーレン)の部分構造を有する基である。さらにこれらのスルフィド基は、環状構造を形成していてもよく、また−S−S−基となっていてもよい。環状構造を形成する場合の具体例としてはチオラン環、1,3−ジチオラン環又は1,2−ジチオラン環、チアン環、ジチアン環、テトラヒドロ−1,4−チアジン環(チオモルホリン環)などを含む基が挙げられる。スルフィド基として特に好ましくはアルキル(又はアルキレン)−S−アルキル(又はアルキレン)の部分構造を有する基である。
【0292】
吸着性基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。但し、該カチオン性基が色素構造を形成する原子団(例えばシアニン発色団)の一部となることはない。ここにアンモニオ基とは、トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリールアンモニオ基、アルキルジアリールアンモニオ基などで、例えばベンジルジメチルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、フェニルジエチルアンモニオ基などが挙げられる。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。好ましくはピリジニオ基及びイミダゾリオ基であり、特に好ましくはピリジニオ基である。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよいが、ピリジニオ基及びイミダゾリオ基の場合、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などが挙げられ、ピリジニオ基の場合、置換基として特に好ましくはフェニル基である。
【0293】
吸着性基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着性基は任意の置換基を有していてもよい。
【0294】
なお吸着性基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書4〜7頁に記載されているものが挙げられる。
【0295】
本発明において吸着性基として好ましいものは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
【0296】
これらの化合物のうち、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する化合物もまた特に好ましい化合物である。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。この様な化合物の例としては、以上述べてきたメルカプト基もしくはチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えば環形成チオアミド基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヘテロ環メルカプト基など)を分子内に2つ以上有する化合物であってもよいし、また吸着性基の中で、2つ以上のメルカプト基又はチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えばジメルカプト置換含窒素へテロ環基)を、1つ以上有していてもよい。
【0297】
2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素へテロ環基など)の例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−オキサゾール基、2,7−ジメルカプト−5−メチル−s−トリアゾロ(1,5−A)−ピリミジン、2,6,8−トリメルカプトプリン、6,8−ジメルカプトプリン、3,5,7−トリメルカプト−s−トリアゾロトリアジン、4,6−ジメルカプトピラゾロピリミジン、2,5−ジメルカプトイミダゾールなどが挙げられ、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が特に好ましい。
【0298】
吸着性基は一般式(A)〜(F)及び一般式(1)〜(3)のどこに置換されていてもよいが、一般式(A)〜(D)においてはRED11、RED12、RED、REDに、一般式(E)、(F)においてはRED41、R41、RED42、R46〜R48に、一般式(1)〜(3)においてはR、R、R11、R12、R31、L、L21、L31を除く任意の位置に置換されていることが好ましく、さらに一般式(A)〜(F)全てでRED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。
【0299】
分光増感色素の部分構造とは分光増感色素の発色団を含む基であり、分光増感色素化合物から任意の水素原子又は置換基を除いた残基である。分光増感色素の部分構造は一般式(A)〜(F)及び一般式(1)〜(3)のどこに置換されていてもよいが、一般式(A)〜(D)においてはRED11、RED12、RED、REDに、一般式(E)、(F)においてはRED41、R41、RED42、R46〜R48に、一般式(1)〜(3)においてはR、R、R11、R12、R31、L、L21、L31を除く任意の位置に置換されていることが好ましく、さらに一般式(A)〜(F)全てでRED11〜RED42に置換されていることがより好ましい。好ましい分光増感色素は、典型的にカラー増感技法で用いられる分光増感色素であり、例えばシアニン色素類、複合シアニン色素類、メロシアニン色素類、複合メロシアニン色素類、同極のシアニン色素類、スチリル色素類、ヘミシアニン色素類を含む。代表的な分光増感色素は、リサーチディスクロージャー、アイテム36544、1994年9月に開示されている。前記リサーチディスクロージャー、もしくはF.M.HamerのThe Cyanine dyes and Related Compounds (Interscience Publishers, New yprk,1964)に記載される手順によって当業者は、これらの色素を合成することができる。さらに特開平11−95355号(米国特許6,054,260号)の明細書7〜14頁に記載された色素類が全てそのまま当てはまる。
【0300】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物は、その総炭素数が10〜60の範囲のものが好ましい。より好ましくは15〜50、さらに好ましくは18〜40であり、特に好ましくは18〜30である。
【0301】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物は、これを用いたハロゲン化銀写真感光材料が露光されることを引き金に1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子、あるいはタイプによっては2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、その1電子目の酸化電位は、約1.4V以下が好ましく、さらには1.0V以下が好ましい。この酸化電位は、好ましくは0Vより高く、より好ましくは0.3Vより高い。従って酸化電位は、好ましくは約0〜約1.4V、より好ましくは約0.3〜約1.0Vの範囲である。
【0302】
ここに酸化電位は、サイクリックボルタンメトリーの技法で測定でき、具体的には試料をアセトニトリル:水(0.1Mの過塩素酸リチウムを含む)=80%:20%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、ガラス状のカーボンディスクを動作電極に用い、プラチナ線を対電極に用い、そしてカロメル電極(SCE)を参照電極に用いて、25℃で、0.1V/秒の電位走査速度で測定したものである。サイクリックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対SCEをとる。
【0303】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに1電子を放出する化合物である場合には、この後段の酸化電位は、好ましくは−0.5V〜−2Vであり、より好ましくは−0.7V〜−2Vであり、さらに好ましくは−0.9V〜−1.6Vである。
【0304】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物が1電子酸化され、引き続く反応の後、さらに2電子以上の電子を放出し、酸化される化合物である場合には、この後段の酸化電位については特に制限はない。2電子目の酸化電位と3電子目以降の酸化電位が明確に区別できない点で、これらを実際に正確に測定し区別することは困難な場合が多いためである。
【0305】
次にタイプ5の化合物について説明する。
タイプ5の化合物はX−Yで表され、ここにXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物である。この様なタイプ5の化合物が酸化された時の反応は、以下の式で表すことができる。
【0306】
【化44】
Figure 2005017606
【0307】
タイプ5の化合物は好ましくはその酸化電位が0〜1.4Vであり、より好ましくは0.3V〜1.0Vである。また上記反応式において生成するラジカルX・の酸化電位は−0.7V〜−2.0Vであることが好ましく、−0.9V〜−1.6Vがより好ましい。
【0308】
タイプ5の化合物は、好ましくは一般式(G)で表される。
【0309】
一般式(G)
【化45】
Figure 2005017606
【0310】
一般式(G)においてREDは還元性基を表し、Lは脱離基を表し、R及びR00は水素原子又は置換基を表す。REDとR、及びRとR00とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。REDは一般式(C)のREDと同義の基を表し、その好ましい範囲も同じである。R及びR00は一般式(C)のR21及びR22と同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。但しR及びR00が、水素原子を除いて、Lと同義の基を表すことはない。REDとRとは互いに結合して環構造を形成していてもよく、ここに環構造の例としては、一般式(C)のREDとR21が連結して環構造を形成する場合と同じ例が挙げられ、その好ましい範囲も同じである。RとR00とが互いに結合して形成される環構造の例としては、シクロペンタン環やテトラヒドロフラン環などが挙げられる。一般式(G)においてLは、一般式(C)のLと同義の基であり、その好ましい範囲も同じである。
【0311】
一般式(G)で表される化合物は分子内にハロゲン化銀への吸着性基、もしくは分光増感色素の部分構造を有していることが好ましいが、Lがシリル基以外の基を表す時、分子内に吸着性基を同時に2つ以上有することはない。但しここで吸着性基としてのスルフィド基は、Lに依らず、これを2つ以上有していてもよい。
【0312】
一般式(G)で表される化合物が有するハロゲン化銀への吸着性基としては、本発明におけるタイプ1〜4の化合物が有していてもよい吸着性基と同じものがその例として挙げられるが、さらに加えて、特開平11−95355号の明細書4〜7頁に「ハロゲン化銀吸着基」として記載されているもの全てが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
一般式(G)で表される化合物が有していてもよい分光増感色素の部分構造とは、本発明におけるタイプ1〜4の化合物が有していてもよい分光増感色素の部分構造と同じであるが、同時に特開平11−95355号の明細書7〜14頁に「光吸収性基」として記載されているもの全てが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0313】
以下に本発明におけるタイプ1〜5の化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0314】
【化46】
Figure 2005017606
【0315】
【化47】
Figure 2005017606
【0316】
【化48】
Figure 2005017606
【0317】
【化49】
Figure 2005017606
【0318】
本発明におけるタイプ1〜4の化合物は、それぞれ特願2002−192373号、特願2002−188537号、特願2002−188536号、特願2001−272137号、特願2002−192374号において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許出願明細書に記載した具体的化合物例もまた、本発明におけるタイプ1〜4の化合物の具体例として挙げることができる。また本発明におけるタイプ1〜4の化合物の合成例も、これら特許に記載したものと同じである。
【0319】
本発明におけるタイプ5の化合物の具体例としては、さらに特開平9−211769号(28〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物の例が、そのまま挙げられる。
【0320】
本発明におけるタイプ1〜5の化合物は感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
【0321】
本発明におけるタイプ1〜5の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0322】
本発明におけるタイプ1〜5の化合物は、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10−9〜5×10−1モル、更に好ましくは1×10−8〜5×10−2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
【0323】
10)ハロゲン化銀の複数併用
本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
【0324】
11)塗布量
感光性ハロゲン化銀の添加量は、感材1m当たりの塗布銀量で示して、0.03g/m以上0.6g/m以下であることが好ましく、0.05g/m以上0.4g/m以下であることがさらに好ましく、0.07以上0.3g/m以下であることが最も好ましく、有機銀塩1モルに対しては、感光性ハロゲン化銀は0.01モル以上0.5モル以下が好ましく、より好ましくは0.02モル以上0.3モル以下、さらに好ましくは0.03モル以上0.2モル以下である。
【0325】
12)感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
【0326】
13)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳‘液体混合技術’(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0327】
<バインダー>
本発明の画像形成層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒又はエマルションから被覆形成してもよい。
【0328】
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、10℃以上70℃以下であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
【0329】
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
【0330】
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
【0331】
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、画像形成層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに画像形成層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶又は分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
【0332】
ここでいう前記ポリマーが可溶又は分散可能である水系溶媒とは、水又は水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
【0333】
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
【0334】
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0335】
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
【0336】
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
【0337】
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態又はミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm以上50000nm以下、好ましくは5nm以上1000nm以下の範囲で、より好ましくは10nm以上500nm以下の範囲、さらに好ましくは50nm以上200nm以下の範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
【0338】
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラッテクスは特に好ましく使用される。
【0339】
(ラテックスの具体例)
好ましいポリマーラテックスの具体例としては、前述のゼラチンと併用可能なポリマーラテックスを挙げることができる。これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
【0340】
(好ましいラテックス)
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体についても、前述のゼラチンと併用可能なポリマーで説明したものと同様である。また、本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
【0341】
本発明の感光材料の画像形成層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
【0342】
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。画像形成層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
【0343】
また、このような画像形成層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
【0344】
本発明の画像形成層の全バインダー量は、好ましくは0.2g/m以上30g/m以下、より好ましくは1g/m以上15g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上10g/m以下の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0345】
<好ましい塗布液の溶媒>
本発明において感光材料の画像形成層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
【0346】
<かぶり防止剤>
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについては、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−31644号及び特開2001−33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
【0347】
<ポリハロゲン化合物>
以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。
本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z)(Z)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Z及びZはハロゲン原子を表し、Xは水素原子又は電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくはアリール基又はヘテロ環基である。
一般式(H)において、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of MedicinalChemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。電子求引性基として特に好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基で、なかでもカルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−又はSO−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO−であり、特に好ましくは−SO−である。nは、0又は1を表し、好ましくは1である。
【0348】
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
【0349】
【化50】
Figure 2005017606
【0350】
上記以外の本発明の好ましいポリハロゲン化合物としては特開2001−31644号、同2001−56526号、同2001−209145号に記載の化合物が挙げられる。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10−4モル以上1モル以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10−3モル以上0.5モル以下の範囲で、さらに好ましくは1×10−2モル以上0.2モル以下の範囲で使用することが好ましい。
本発明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
【0351】
<その他のかぶり防止剤>
その他のカブリ防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
【0352】
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては画像形成層を有する面の層に添加することが好ましく、画像形成層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、画像形成層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10−6モル以上2モル以下が好ましく、1×10−3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
【0353】
<その他の添加剤>
1)メルカプト、ジスルフィド、及びチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特開2002−303954号、特開2002−303951号等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
【0354】
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム及びテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン及び2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸又は4メチルフタル酸との組み合わせである。
【0355】
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の画像形成層に用いることのできる可塑剤及び潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
【0356】
4)染料、顔料
本発明の画像形成層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
【0357】
5)超硬調化剤
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特開2000−284399公報の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
【0358】
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有することが好ましい。
【0359】
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。
五酸化二リンが水和してできる酸又はその塩の使用量(感光材料1mあたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m以上500mg/m以下が好ましく、0.5mg/m以上100mg/m以下がより好ましい。
本発明の還元剤、水素結合性化合物、現像促進剤及びポリハロゲン化合物は固体分散物として使用することが好ましく、これらの固体分散物の好ましい製造方法は特開2002−55405号に記載されている。
【0360】
<塗布液の調製及び塗布>
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
【0361】
<層構成及び構成成分>
本発明の画像形成層は、支持体上に一又はそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤及びバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤及び他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩及び感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層又は両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0362】
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m以上4.0g/m以下が好ましく、0.3g/m以上2.0g/m以下がより好ましい。
【0363】
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m当たり)としては0.3g/m以上5.0g/m以下が好ましく、0.3g/m以上2.0g/m以下がより好ましい。
【0364】
2)硬膜剤
本発明の画像形成層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
【0365】
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
【0366】
3)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特願2001−242357号及び特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001−242357号及び特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1mg/m以上100mg/m以下の範囲で、より好ましくは0.3mg/m以上30mg/m以下の範囲、さらに好ましくは1mg/m以上10mg/m以下の範囲である。特に特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01mg/m以上10mg/m以下の範囲が好ましく、0.1mg/m以上5mg/m以下の範囲がより好ましい。
【0367】
4)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnOが好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnOに対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnOが好ましい。異種原子の添加量は0.01〜30mol%の範囲が好ましく、0.1から10mol%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m以上1000mg/m以下の範囲で、より好ましくは10mg/m以上500mg/m以下の範囲、さらに好ましくは20mg/m以上200mg/m以下の範囲である。本発明の帯電防止層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
【0368】
5)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に画像形成層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5wt%以下であることが好ましい。
【0369】
6)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、画像形成層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
【0370】
7)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、又は米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN&HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、又はスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号及び英国特許第837,095号に記載の方法により2層又はそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
【0371】
本発明における画像形成層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における画像形成層塗布液は剪断速度0.1S−1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S−1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
【0372】
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70〜90℃、加熱時間が2〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
【0373】
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
【0374】
8)包装材料
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率及び/又は水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m・day以下である。水分透過率は10g/atm・m・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m・day以下である。
該酸素透過率及び/又は水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
【0375】
9)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
【0376】
多色カラー熱現像感光材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各画像形成層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
多色カラー熱現像感光材料の場合の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
【0377】
3.画像形成方法
1)露光
赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーである。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。
一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
【0378】
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、好ましくは100〜140℃、さらに好ましくは110〜130℃である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、より好ましくは3〜30秒、さらに好ましくは5〜25秒、7〜15秒が特に好ましい。
【0379】
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
【0380】
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号および特開2002−287668号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。このような迅速現像処理のためには高感度で、環境温度の影響を受けにくい本発明の熱現像感光材料−2を組み合わせて使用することが好ましい。
【0381】
3)システム
露光部及び熱現像部を備えた医療用のレーザーイメージャーとしては富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DPL及びDRYPIX7000を挙げることができる。FM−DPLに関しては、Fuji Medical Review No.8,page 39〜55に記載されており、それらの技術は本発明の熱現像感光材料のレーザーイメージャーとして適用することは言うまでもない。また、DICOM規格に適応したネットワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が提案した「AD network」の中でのレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
【0382】
(本発明の用途)
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
【0383】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0384】
(実施例1)
<PET支持体の作製>
1)製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
【0385】
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cmで巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
【0386】
2)表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/mの処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
【0387】
3)下塗り
1)下塗層塗布液の作製
Figure 2005017606
【0388】
Figure 2005017606
【0389】
Figure 2005017606
【0390】
2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(画像形成層面)に上記下塗り塗布液処方▲1▼をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲2▼をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7ml/mになるように塗布して180℃で5分間乾燥し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方▲3▼をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/mになるように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
【0391】
<バック層>
1)バック層塗布液の調整
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)
塩基プレカーサー化合物1を、2.4kg、及び界面活性剤(商品名:デモールN、花王(株)製)288g、ジフェニルスルホン750g、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩1.0g及び蒸留水を加えて総量を8.0kgに合わせて混合し、混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いてビーズ分散した。分散方法は、混合液をを平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−2にダイアフラムポンプで送液し、内圧50hPa以上の状態で、所望の平均粒径が得られるまで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における450nmにおける吸光度と650nmにおける吸光度の比(D450/D650)が3.0まで分散した。得られた分散物は、塩基プレカーサーの濃度で25重量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにろ過(平均細孔径:3μmのポリプロピレン製フィルター)を行って実用に供した。
【0392】
(染料固体微粒子分散液1の調製)
シアニン染料化合物−1を6.0kg及びp−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0kg、花王(株)製界面活性剤デモールSNB0.6kg、及び消泡剤(商品名:サーフィノール104E、日信化学(株)製)0.15kgを蒸留水と混合して、総液量を60kgとした。混合液を横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)を用いて、0.5mmのジルコニアビーズで分散した。
分散物は、分光吸収測定を行って該分散物の分光吸収における650nmにおける吸光度と750nmにおける吸光度の比(D650/D750)が5.0以上であるところまで分散した。得られた分散物は、シアニン染料の濃度で6質量%となるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルターろ過(平均細孔径:1μm)を行って実用に供した。
【0393】
2)ハレーション防止層塗布液−1の調製
容器を40℃に保温し、等電点4.8のゼラチン(新田ゼラチン(株)製810ゼラチン)36g、ベンゾイソチアゾリノン0.1g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液3.0ml、上記染料固体微粒子分散液1を36g、上記塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を65g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液40ml、SBRラテックス(スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体;重量比68.3/28.7/3.0)10質量%液160g、を混合した。塗布直前にN,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)4質量%水溶液145mlを混合し、完成液量855mlのハレーション防止層塗布液−1とした。完成液のpHは、6.30であった。
【0394】
3)バック面保護層塗布液−1の調製
容器を40℃に保温し、等電点4.8のゼラチン(宮城化学工業(株)製PZゼラチン)42g、ベンゾイソチアゾリノン0.21g、水を加えてゼラチンを溶解させた。さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液1.4ml、単分散ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8.5μm、粒径標準偏差0.4)0.93g、流動パラフィンの10%乳化物を3g、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンの10%乳化物を7g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液10ml、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム3質量%水溶液20ml、フッ素系界面活性剤(F−1)2質量%溶液を2.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)2質量%溶液を2.4ml、エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比96.4/3.6)ラテックス20質量%液30gを混合した。完成液量950mlのバック面保護層塗布液−1とした。完成液のpHは、6.30であった。
【0395】
4)バック層の塗布
上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液−1をゼラチン塗布量が0.52g/mとなるように、またバック面保護層塗布液−1をゼラチン塗布量が1.78g/mとなるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層−1を作製した。
【0396】
<画像形成層、中間層、及び表面保護層>
1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
《ハロゲン化銀乳剤1の調製》
蒸留水1421mlに1質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリウム15.3gとヨウ化カリウム0.8gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウム44.2gとヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で20分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液C及び溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
【0397】
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10−5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10−4モル加えて91分間熟成した。その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合計として1.2×10−3モル加え、1分後にN,N’−ジヒドロキシ−N’’,N’’−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10−3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10−3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1を作製した。
【0398】
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率は、クベルカムンク法を用いて80%と求められた。
【0399】
《ハロゲン化銀乳剤2の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を47℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水にて容量400mlに希釈することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤2の調製を行った。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。更に、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり1.1×10−4モル、分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として7.0×10−4モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールを銀1モルに対して3.3×10−3モル及び1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを銀1モルに対して4.7×10−3モル添加に変えた以外は乳剤1と同様にして分光増感、化学増感及び5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤粒子は、平均球相当径0.080μm、球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であった。
【0400】
《ハロゲン化銀乳剤3の調製》
ハロゲン化銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を27℃に変更する以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤3の調製を行った。又はロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/分散を行った。分光増感色素Aと分光増感色素Bのモル比で1:1を固体分散物(ゼラチン水溶液)として添加量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計として6×10−3モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10−4モルに変え、テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5×10−4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルあたり2×10−3モルを添加したこと以外は乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。ハロゲン化銀乳剤3の乳剤粒子は、平均球相当径0.034μm、球相当径の変動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であった。
【0401】
《塗布液用混合乳剤Aの調製》
ハロゲン化銀乳剤1を70質量%、ハロゲン化銀乳剤2を15質量%、ハロゲン化銀乳剤3を15質量%溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10−3モル添加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。
さらに「1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物」として、化合物1と20と26をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10−3モルになる量を添加した。
【0402】
2)脂肪酸銀分散物の調製
《脂肪酸銀分散物Aの調製》
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Aを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Aの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Aのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Aの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0403】
ベヘン酸ナトリウム溶液Aを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
【0404】
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μm、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト比5.2、平均球相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん片状の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0405】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kg及び水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0406】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1260kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0407】
《脂肪酸銀分散物Bの調製》
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
【0408】
<脂肪酸銀分散物Bの調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液Bの全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液Bのみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液Bの添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
【0409】
ベヘン酸ナトリウム溶液Bを添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
【0410】
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kg及び水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
【0411】
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
【0412】
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤―1(2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0413】
《還元剤−2分散物の調製》
還元剤―2(6,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジメチル−2,2’−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤―2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0414】
4)水素結合性化合物−1分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物―1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0415】
5)現像促進剤−1分散物の調製
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0416】
6)現像促進剤−2及び色調調整剤−1の分散物調製
現像促進剤−2及び色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
【0417】
7)ポリハロゲン化合物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が26質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0418】
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0419】
8)フタラジン化合物−1溶液の調製》
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgとフタラジン化合物―1(6−イソプロピルフタラジン)の70質量%水溶液14.28kgを添加し、フタラジン化合物―1の5質量%溶液を調製した。
【0420】
9)メルカプト化合物の調製)
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
【0421】
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
【0422】
10)顔料−1分散物の調製
C.I.Pigment Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを添加し良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調製して顔料−1分散物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子は平均粒径0.21μmであった。
【0423】
11)SBRラテックス液の調製
SBRラテックスは以下により調整した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し、窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのNaOHとNHOHを用いてNaイオン:NH イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
【0424】
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)であった。
【0425】
2.塗布液の調整
1)画像形成層塗布液−1の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物A1000g、水135ml、顔料−1分散物35g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物19g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物58g、フタラジン化合物−1溶液162g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−1分散物75g、還元剤−2分散物75g、水素結合性化合物−1分散物106g、現像促進剤−1分散物4.8g、メルカプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A118gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
【0426】
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ32、35、33、26、17[mPa・s]であった。
【0427】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.32mgであった。
【0428】
2)画像形成層塗布液−2の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物B1000g、水135ml、顔料−1分散物36g、有機ポリハロゲン化合物−1分散物25g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物39g、フタラジン化合物−1溶液171g、SBRラテックス(Tg:17℃)液1060g、還元剤−2分散物153g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤A140gを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で40[mPa・s]であった。
Haake社製RheoStress RS150を使用した38℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ30、43、41、28、20[mPa・s]であった。
【0429】
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.30mgであった。
【0430】
3)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物163g、青色染料化合物−1(日本化薬(株)製:カヤフェクトターコイズRNリキッド150)水溶液33g、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩5質量%水溶液27ml、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、8.9ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
【0431】
4)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水840mlに溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を46ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を5.4mlを加えて混合し、塗布直前に4質量%のクロムみょうばん40mlをスタチックミキサーで混合したものを塗布液量が26.1ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
【0432】
5)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン100g、ベンゾイソチアゾリノン10mgを水800mlに溶解し、流動パラフィン乳化物を流動パラフィンとして8.0g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比57/8/28/5/2)ラテックス19質量%液180g、フタル酸15質量%メタノール溶液40ml、フッ素系界面活性剤(F−1)の1質量%溶液を5.5ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の1質量%水溶液を5.5ml、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム塩の5質量%水溶液を28ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.5μm)21gを混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/mになるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
【0433】
3.熱現像感光材料の作製
1)熱現像感光材料−101の作製
バック層を塗布したバック面とは反対の面に、下塗り面から画像形成層塗布液−1、中間層塗布液、表面保護層第1層塗布液、表面保護層第2層塗布液の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作製した。このとき、画像形成層と中間層の塗布液は31℃に、表面保護層第一層の塗布液は36℃に、表面保護層第二層の塗布液は37℃に温度調整した。
画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0434】
ベヘン酸銀 5.42
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.12
ポリハロゲン化合物−2 0.25
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.70
還元剤−1 0.40
還元剤−2 0.40
水素結合性化合物−1 0.58
現像促進剤−1 0.02
メルカプト化合物−1 0.002
メルカプト化合物−2 0.012
ハロゲン化銀(Agとして) 0.10
【0435】
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
塗布はスピード160m/minで行い、コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mmとし、減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定した。支持体は塗布前にイオン風にて除電した。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却した後、無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥させた。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿した後、膜面を70〜90℃になるように加熱した。加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が100秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
【0436】
2)熱現像感光材料−102〜107の作製
(ハレーション防止層塗布液−2〜3の調製)
ハレーション防止層塗布液−1の調製において使用したゼラチンを、表1に示すゼラチンに変更し、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液の添加量を調整して、完成液pHを6.30に調整した以外は、同様の方法で、ハレーション防止層塗布液−2〜3を作製した。ここで、等電点が7.0のゼラチンは、950ゼラチン(新田ゼラチン社製)、等電点が6.6のゼラチンは、ABAゼラチン(ニッピ社製)を使用した。
【0437】
(バック面保護層塗布液−2〜5の調製)
バック面保護層塗布液−1の調整において、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液の添加量を変更し、表1に示す完成液pHに調整した以外は、同様の方法で、バック面保護層塗布液−2〜3を作製した。
また、バック面保護層塗布液−1の調整において、バック面保護層塗布液−4は、表―1に示す等電点の異なるゼラチンに変更し、さらに1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液の添加量を変更し、表1に示す完成液pHに調整した以外は、同様の方法で、バック面保護層塗布液−4を作製した。ここで、等電点が7.0のゼラチンは、950ゼラチン(新田ゼラチン社製)を使用した。
さらに、バック面保護層塗布液−1の調整において、バック面保護層塗布液−5は、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに1mol/lの無水酢酸ナトリウム水溶液を14ml添加し、完成液pHを6.20に調整した以外は、同様の方法で、バック面保護層塗布液−5を作製した。
【0438】
(熱現像感光材料−102〜107の作製)
熱現像感光材料−101のバック層の塗布において、ハレーション防止層塗布液−1及びまたバック面保護層塗布液−1を用いたところを、ハレーション防止層塗布液−2〜3のいずれか、及びバック面保護層塗布液−2〜5のいずれかに変更し、表1に示す組み合わせにした以外は、熱現像感光材料−101と同様の方法で、熱現像感光材料−102〜107を作製した。
【0439】
3)熱現像感光材料−201〜207の作製
熱現像感光材料−101〜107の各々に対して、画像形成層塗布液−1を画像形成層塗布液−2に変更した他は、熱現像感光材料−101〜107の各々と同様にして熱現像感光材料−201〜207を作製した。
このときの画像形成層の各化合物の塗布量(g/m)は以下の通りである。
【0440】
ベヘン酸銀 5.27
顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036
ポリハロゲン化合物−1 0.14
ポリハロゲン化合物−2 0.28
フタラジン化合物−1 0.18
SBRラテックス 9.43
還元剤−2 0.77
水素結合性化合物−1 0.28
現像促進剤−1 0.019
現像促進剤−2 0.016
色調調整剤−1 0.006
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.13
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
【0441】
【化51】
Figure 2005017606
【0442】
【化52】
Figure 2005017606
【0443】
【化53】
Figure 2005017606
【0444】
【化54】
Figure 2005017606
【0445】
【化55】
Figure 2005017606
【0446】
4.写真性能の評価
1)膜面pHの測定
上記により得られた熱現像感光材料の2cmに対し、3mlの蒸留水を滴下し、暗室で25℃90%RH.の雰囲気中に30分放置した後、pH計を膜の表面にあて、2分後に示すpH値を測定した。東亜電波工業株式会社製のガラス電極式水素イオン濃度計を用い、ガラス電極はGST−5213Fを使用した。測定結果を表1に示す。
2)準備
得られた試料は半切サイズ(43cm長×35cm巾)に切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
3)包装材料
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μm
酸素透過率:0.02ml/atm・m・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m・25℃・day
【0447】
4)感光材料の露光・現像
熱現像感光材料−101〜108は富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP L(最大60mW(IIIB)出力の660nm半導体レーザー搭載)にて露光・熱現像(112℃−119℃−121℃−121℃に設定した4枚のパネルヒータで合計24秒)し、得られた画像の評価を濃度計を用いて行った。
熱現像感光材料−201〜208は線速度39.2mm/秒に改造した富士メディカルドライレーザーイメージャーDRYPIX7000にて露光・熱現像(107℃−121℃−121℃に設定した3枚のパネルヒータで合計10秒)し、得られた画像の評価を濃度計を用いて行った。
【0448】
5)写真性能の評価
<残色性の評価>
得られた画像において、Dmin部(最小濃度部)の染料の残色性は、画像形成層側面を脱膜し、バック面側の600nm光学濃度を測定し、さらに支持体のみの光学濃度を差し引いて残色の濃度を求めた。熱現像感光材料−101の残色を100とし、他の感光材料の残色を相対値で表した。その評価結果を表1に示す。
画像診断する上で、残色の相対濃度30以上は、問題レベルであった。
【0449】
<膜の均一性の評価>
熱現像処理後の各感光材料のアンチハレーション層を有する側(バック面側)の膜の均一性について官能評価した。評価の基準は以下の通りであり、その評価結果を表1に示す。
−評価基準−
◎:3波長蛍光灯光源下で反射光沢の干渉色によって、膜の不均一性は見られず、一様であり、非常に好ましいレベル。
○:3波長蛍光灯光源下で反射光沢の干渉色によって、膜の不均一性が若干あるが、好ましいレベル。
△:3波長蛍光灯光源下で反射光沢の干渉色によって、膜の不均一性を目視で確認できるが、実用上問題のないレベル。
×:3波長蛍光灯光源下で反射光沢の干渉色によって、膜の不均一性が著しく、実用上問題があるレベル。
【0450】
【表1】
Figure 2005017606
【0451】
表1の結果から、本発明の熱現像感光材料−105〜108、−205〜208は、残色性が少なく、膜の均一性も殆どなく、優れていることがわかる。特に、熱現像時間の少ない熱現像感光材料−200系において、本発明の残色の改善効果が極めて大きくなった。また、ハレーション防止層塗布液、及びバック面保護層塗布液に、水酸化ナトリウムの添加量を増やして添加し、膜面pHが11の試料を作製しようとしたが、硬膜剤がゼラチンと塗布液中で反応し、増粘が激しく、塗布することができなかった。
【0452】
実施例2
(塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(b),(c)の調製)
実施例1における塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製で、塩基プレカーサー化合物1を使用したところを、表2に示す塩基プレカーサー化合物に変更した以外は同様にして、塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(b)〜(c)を調製した。
【0453】
(染料固体微粒子分散液−2〜4の調製)
実施例1における染料固体微粒子分散液1の調製で、シアニン染料化合物−1を使用したところを、表2に示すシアニン染料化合物に変更した以外は同様にして、染料固体微粒子分散液−2〜−4を調製した。
【0454】
(熱現像感光材料−301〜305の作製)
実施例1の熱現像感光材料−208において、染料固体微粒子分散液1、及び塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)を用いたところを、表2に示す染料固体微粒子分散液、及び塩基プレカーサーの固体微粒子分散液に変更した以外は同様にして、ハレーション防止層塗布液を調製した。画像形成層側は、熱現像感光材料−208と同様に作製した。
【0455】
作製した熱現像感光材料−301〜305の評価を、実施例1と同様の方法で行なった。感光材料の露光及び現像は、実施例1の熱現像感光材料−208と同じ方法により行なった。
結果を表2に示す。
【0456】
【表2】
Figure 2005017606
【0457】
表2に示すように、ハレーション防止層の染料及び塩基プレカーサーを変更しても、本発明にかかる特定のゼラチンを使用し、本発明における膜面pHに設定することで、消色性及び膜の均一性に優れた熱現像感光材料となった。
【0458】
【発明の効果】
本発明により、残色性の少ない、膜の均一性に優れた熱現像感光材料が提供される。

Claims (6)

  1. 支持体の一方の面側に、非感光性銀源、感光性ハロゲン化銀、及び還元剤を含有し、さらに、支持体の他方の面側であるバック面側に少なくとも一層の非感光性層を有する熱現像感光材料であって、
    前記非感光性層が、等電点が5.0以上9.5以下であるゼラチンを少なくとも1種含有し、かつ前記バック面側の膜面pH値が、6.5以上10.0以下であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 前記バック面側に、熱現像処理により消色される染料を少なくとも1種含有することを特徴とする熱現像感光材料。
  3. 前記バック面側に、塩基プレカーサーを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記ゼラチンが、酸処理ゼラチンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  5. 少なくとも前記非感光性層、及び該非感光性層の隣接層の一つを形成するための塗布液が、不揮発性のアルカリ及び揮発性の酸、又は前記アルカリと前記酸とからなる塩を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱現像感光材料。
  6. 前記バック面側の膜面pH値が、6.7以上9.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像感光材料。
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