JP2016123896A - 分離膜用補強不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きする分離膜補強不織布を提供すること。【解決手段】 本発明の分離膜用補強不織布は、三層構造を有する不織布からなり、両表面層は接着繊維として未延伸繊維を主体とし、該未延伸繊維が接着した層であり、両表面層間の中間層は延伸接着繊維を主体とし、該延伸接着繊維が接着した層である。不織布は接着していないレギュラー繊維を更に含んでいるのが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜等の分離膜を補強する不織布に関する。
例えば、半導体製品の洗浄用水や医薬品製造用水等を製造する場合に、精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜等の分離膜が使用されているが、このような分離膜は機械的強度に劣るため、不織布等の支持体によって、分離膜を補強している。例えば、特開2002−095937号公報(特許文献1)は、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維と未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維とを抄造した後、カレンダーにより加熱加圧した支持体を開示している。
このような支持体で補強した分離膜を使用することによって、各種汚染物質を分離することができるが、分離しているが故に、各種汚染物質が分離膜表面に堆積することとなる。このように各種汚染物質が堆積すると、分離膜の劣化や分離効率が低下するなどの弊害が生じるため、定期的に分離膜の洗浄を行っている。例えば、汚染物質が有機物の場合、苛性ソーダ水溶液や次亜塩素酸ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液によって洗浄を行っているが、特許文献1のような支持体はアルカリ溶液によって劣化しやすいため、支持体による補強作用が長続きしないものであった。
特開2002−095937号公報
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きする分離膜補強不織布を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は「三層構造を有する不織布からなり、両表面層は接着繊維として未延伸繊維を主体とし、該未延伸繊維が接着した層であり、両表面層間の中間層は延伸接着繊維を主体とし、該延伸接着繊維が接着した層であることを特徴とする、分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は「不織布は接着していないレギュラー繊維を更に含むことを特徴とする、請求項1記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は「延伸接着繊維が不織布全体の質量の50%よりも多く占めることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は「未延伸繊維と延伸接着繊維の合計が不織布全体の質量の60%よりも多く占めることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は「不織布はポリエステル系繊維のみから構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は「両表面層が同じ繊維配合からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は「不織布の通気度が20〜40cc/cm/sec.であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。」である。
本発明の請求項1にかかる分離膜用補強不織布は、中間層が延伸接着繊維を主体としているため、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きする分離膜補強不織布である。つまり、従来の補強不織布は未延伸繊維をバインダー繊維として使用しており、未延伸繊維はその結晶性が低いためか、耐アルカリ性が悪く、アルカリ溶液によって劣化しやすいものであったが、請求項1にかかる分離膜用補強不織布の中間層は延伸接着繊維を主体としているため、結晶性が高く、耐アルカリ性に優れている。
また、両表面層は接着繊維として未延伸繊維を主体としていることによって、製造時の毛羽立ちを抑えることができるため、分離膜と複合した際に分離膜を損傷することがない。
本発明の請求項2にかかる分離膜用補強不織布は、接着していないレギュラー繊維を含んでおり、適度な空隙を確保することができるため、補強した分離膜の適度な透水性を確保することができ、補強した分離膜の処理能力を高めることができる。
本発明の請求項3にかかる分離膜用補強不織布は、延伸接着繊維が不織布全体の質量の50%よりも多く占めているため、耐アルカリ性に優れ、補強作用が長続きする分離膜補強不織布である。
本発明の請求項4にかかる分離膜用補強不織布は、未延伸繊維と延伸接着繊維の合計が不織布全体の質量の60%よりも多く占めているため、補強作用が高く、使用による変形が小さい、補強した分離膜を製造することができる。
本発明の請求項5にかかる分離膜用補強不織布は、ポリエステル系繊維のみから構成されているため、耐熱性が高い。したがって、補強した分離膜をフレームに熱接着したとしても、繊維形態を保持して、分離膜を補強することができる。
本発明の請求項6にかかる分離膜用補強不織布は、両表面層が同じ繊維配合からなるため、一方の面側に湾曲することのない分離膜用補強不織布である。
本発明の請求項7にかかる分離膜用補強不織布は、通気度が20〜40cc/cm/sec.であるため、分離膜を構成する樹脂の浸透性に優れている。したがって、生産性良く補強した分離膜を製造することができる。
本発明の分離膜用補強不織布(以下、単に「補強不織布」と表記することがある)は、三層構造を有する不織布からなり、両表面層は接着繊維として未延伸繊維を主体とし、この未延伸繊維が接着した層である。この両表面層においては、接着繊維として未延伸繊維を主体としていることによって、毛羽立ちを抑えることができるため、分離膜と複合した際に、分離膜を損傷することのない補強不織布である。
このような未延伸繊維とは、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)を行っていないか、行ったとしても延伸繊維ほどの延伸倍率では延伸していない、分子配向や結晶化度合が低い繊維をいう。この未延伸繊維の構成樹脂は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂は耐熱性が高く、補強した分離膜をフレームに熱接着しても、繊維形態を保持して、分離膜を補強することができるため好適である。なお、未延伸繊維は1種類の樹脂から構成されている必要はなく、2種類以上の樹脂から構成されていても良い。
この未延伸繊維の繊度は特に限定するものではないが、強度の優れる補強不織布であることができるように、1dtex以上であるのが好ましく、3dtex以上であるのがより好ましく、4dtex以上であるのが更に好ましい。一方、後述のような好適な通気度であることができるように、10dtex以下であるのが好ましく、8dtex以下であるのがより好ましく、6dtex以下であるのが更に好ましい。また、未延伸繊維の繊維長は特に限定するものではないが、地合いの優れる補強不織布であることができるように、20〜110mmであるのが好ましく、30〜60mmであるのがより好ましい。
このような未延伸繊維は両表面層において、毛羽立ちを抑えることができるように、接着繊維として主体としている。つまり、両表面層各々において、接着繊維全体の50mass%以上を占めている。例えば、接着繊維として未延伸繊維に加えて延伸接着繊維を含んでいる場合、未延伸繊維と延伸接着繊維の総量の50mass%以上が未延伸繊維である。
なお、未延伸繊維を含めた接着繊維は、機械的強度の優れる補強不織布であることができるように、各表面層において、30mass%以上含まれているのが好ましく、40mass%以上含まれているのがより好ましく、60mass%以上含まれているのが更に好ましい。一方、接着繊維量が多くなると、通気度が低くなり、分離膜を構成する樹脂の浸透性が悪くなる傾向があるため、90mass%以下含まれているのが好ましく、80mass%以下含まれているのがより好ましく、70mass%以下含まれているのが更に好ましい。
本発明のおける補強不織布を構成する各表面層は、上述のような未延伸繊維以外に延伸接着繊維を含んでいることができる。このような延伸接着繊維を含んでいると、延伸接着繊維の結晶性が高いためか、耐アルカリ性を高めることができる。なお、延伸接着繊維は補強不織布を製造するために接着させる際に、毛羽立ちやすいが、上述のような未延伸繊維を接着繊維として主体とする表面層であるため、毛羽立ちを抑えることができ、分離膜の損傷を防止することができる。
このような延伸接着繊維は、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)を行った、分子配向や結晶化度合が高いとともに、繊維自身の融着によって、他の繊維と接着可能な繊維をいう。この延伸接着繊維の構成樹脂も、未延伸繊維と同様に、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂は耐熱性が高く、補強した分離膜をフレームに熱接着しても、繊維形態を保持して、分離膜を補強することができるため好適である。
なお、延伸接着繊維は接着しても繊維形態を維持し、機械的強度の優れる補強不織布とすることができるように、接着に関与する樹脂と接着に関与しない樹脂の2種類以上の樹脂から構成されているのが好ましい。例えば、2種類の樹脂から構成されている場合、高融点の樹脂を低融点の樹脂で被覆した芯鞘状の延伸接着繊維であると、機械的強度の優れる補強不織布とすることができるため、好適である。前述の通り、延伸接着繊維はポリエステル系樹脂から構成されているのが好ましいため、芯/鞘の組合せが、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート/ポリトリメチレンテレフタレートなどからなる芯鞘状の延伸接着繊維が好ましい。特に、繊維表面を構成する鞘成分が共重合ポリエステルからなると、エステル結合の比率が低く、また、ポリブチレンテレフタレートからなると、メチレン基数が多く、耐アルカリ性に優れているため、好適な芯鞘状の延伸接着繊維である。
この延伸接着繊維の繊度は特に限定するものではないが、強度の優れる補強不織布であることができるように、また、後述のような好適な通気度であることができるように、1dtex〜10dtexであるのが好ましく、1dtex〜3dtexであるのがより好ましい。また、延伸接着繊維の繊維長は特に限定するものではないが、地合いの優れる補強不織布であるように、20mm〜110mmであるのが好ましく、30mm〜60mmであるのがより好ましい。
このような延伸接着繊維は両表面層において含まれている必要はないが、耐アルカリ性をより高める場合には、いずれの表面層においても、5〜45mass%含まれているのが好ましく、10〜40mass%含まれているのがより好ましく、20〜35mass%含まれているのが更に好ましい。
なお、このように表面層において、延伸接着繊維を含んでいる場合、毛羽立ちを抑えることができるように、未延伸繊維は延伸接着繊維の質量の1.1倍以上含まれているのが好ましい。一方で、耐アルカリ性に優れるように、未延伸繊維は延伸接着繊維の質量の2倍以下含まれているのが好ましく、1.5倍以下含まれているのがより好ましい。
このように、両表面層は未延伸繊維を含んでおり、耐アルカリ性を更に高めたい場合には延伸接着繊維を含んでいるが、これら接着繊維が接着しているため、補強不織布は優れた機械的強度を有する。なお、一般的に、未延伸繊維の接着は繊維が変形し、繊維同士が密着することによる接着であり、延伸接着繊維の接着は繊維が溶融し、固化して、繊維同士が密着することによる接着である。
本発明の補強不織布の両表面層は、前述のような未延伸繊維を接着繊維として主体としており、場合によって延伸接着繊維を含んでいるが、これら繊維に加えて、接着していないレギュラー繊維を更に含んでいるのが好ましい。このレギュラー繊維が接着していないことによって、繊維形態を維持し、適度な空隙を確保でき、分離膜と複合した際の適度な通水性を確保できるためである。このように、「接着していない」とは、レギュラー繊維自体が融着又は圧着していないことを意味し、レギュラー繊維は未延伸繊維の圧着、延伸接着繊維の融着等によって、他の繊維と接着している。なお、「レギュラー繊維」とは、未延伸繊維とは異なり、紡糸工程とは別の延伸工程(例えば、流動延伸やネック延伸法等による延伸)により延伸した、分子配向や結晶化度合が高い繊維を意味する。
このレギュラー繊維の構成樹脂も、未延伸繊維と同様に、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂は耐熱性が高いため好適である。なお、レギュラー繊維は1種類の樹脂から構成されている必要はなく、2種類以上の樹脂から構成されていても良い。
このレギュラー繊維の繊度は特に限定するものではないが、適度な空隙を確保できるように、1dtex〜10dtexであるのが好ましく、1dtex〜5dtexであるのがより好ましく、1dtex〜3dtexであるのが更に好ましい。また、レギュラー繊維の繊維長は特に限定するものではないが、地合いの優れる補強不織布であるように、20mm〜110mmであるのが好ましく、30mm〜60mmであるのがより好ましい。
このようなレギュラー繊維の両表面層における含有量は適度な空隙を確保し、分離膜と複合した際の適度な通水性を保持できるように、10mass%以上であるのが好ましく、20mass%以上であるのがより好ましく、30mass%以上であるのが更に好ましい。一方で、レギュラー繊維量が多くても毛羽立ちやすい傾向があるため、70mass%以下であるのが好ましく、60mass%以下であるのがより好ましく、40mass%以下であるのが更に好ましい。
本発明の補強不織布を構成する両表面層は前述のような未延伸繊維を接着繊維として主体とし、未延伸繊維が接着している限り、両表面層は同じであっても、異なっていても良い。例えば、未延伸繊維構成樹脂の種類、未延伸繊維の繊度、未延伸繊維の繊維長、未延伸繊維の含有量、延伸接着繊維の有無、レギュラー繊維の有無、未延伸繊維と延伸接着繊維の組合せ、未延伸繊維とレギュラー繊維の組合せ、などの、少なくとも一点で、両表面層は相違していても良い。
しかしながら、両表面層が同じ繊維配合からなると、分離膜用補強不織布が一方の面側に湾曲しないため好適である。この「同じ繊維配合」とは、未延伸繊維構成樹脂が同じ(延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含んでいる場合には、これら繊維の構成樹脂の種類も同じ)で、未延伸繊維の含有比率が同じ(延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含んでいる場合には、これら繊維の含有比率も同じ)であることを意味し、未延伸繊維の繊度が異なっていても良い(延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含んでいる場合には、これら繊維の繊度が異なっていても良い)し、未延伸繊維の繊維長が異なっていても良い(延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含んでいる場合には、これら繊維の繊維長が異なっていても良い)し、繊維配向が異なっていても良い。
本発明の補強不織布は前述のような両表面層の間に中間層を有する三層構造を有する。この中間層は、延伸接着繊維を主体とし、この延伸接着繊維が接着した層であるため、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きする分離膜補強不織布である。
この中間層を構成する延伸接着繊維は、両表面層を構成することのできる延伸接着繊維と同様の繊維であることができ、中間層を構成する延伸接着繊維はポリエステル系樹脂からなるのが好ましい。また、接着に関与する樹脂と接着に関与しない樹脂の2種類以上の樹脂から構成されているのが好ましく、芯鞘状の延伸接着繊維であるのが好ましい。特には、繊維表面を構成する鞘成分がポリエステル共重合体又はポリブチレンテレフタレートからなる芯鞘状の延伸接着繊維が好ましい。更に、中間層を構成する延伸接着繊維の繊度は1dtex〜3dtexであるのが好ましく、繊維長は30mm〜60mmであるのが好ましい。
本発明の補強不織布の中間層は耐アルカリ性に優れるように、また、機械的強度に優れるように、延伸接着繊維を主体としているが、この「主体」とは、中間層の50mass%以上含まれていることを意味し、延伸接着繊維量が多い程、耐アルカリ性に優れるため、60mass%以上含まれているのが好ましく、70mass%以上含まれているのがより好ましい。
本発明の補強不織布の中間層は上述の通り、延伸接着繊維を主体とするものであるが、延伸接着繊維に加えて、両表面層を構成する未延伸繊維と同様の未延伸繊維を含むこともできる。未延伸繊維を含んでいることによって、補強不織布の機械的強度(引張り強さ、破断伸度、20%モジュラス強度など)を更に高めることができるため好適である。
この中間層を構成できる未延伸繊維も、ポリエステル系樹脂からなるのが好ましい。また、未延伸繊維の繊度は3dtex〜6dtexであるのが好ましい。更に、未延伸繊維の繊維長は特に限定するものではないが、30mm〜60mmであるのが好ましい。このような未延伸繊維は延伸接着繊維による耐アルカリ性を損なわないように、中間層中、50mass%以下含まれているのが好ましく、40mass%以下含まれているのがより好ましく、30mass%以下含まれているのが更に好ましい。
更に、本発明の補強不織布の中間層は、延伸接着繊維に加えて、両表面層を構成することができるレギュラー繊維と同様のレギュラー繊維を含むこともできる。このようなレギュラー繊維を含んでいることによって、適度な空隙を確保することができるため、分離膜と複合した際の適度な通水性を確保できる。
この中間層を構成できるレギュラー繊維もポリエステル系樹脂からなるのが好ましい。また、レギュラー繊維の繊度は1dtex〜3dtexであるのが好ましく、レギュラー繊維の繊維長は30mm〜60mmであるのが好ましい。このようなレギュラー繊維は延伸接着繊維による耐アルカリ性を損なわないように、50mass%以下含まれているのが好ましく、40mass%以下含まれているのがより好ましく、30mass%以下含まれているのが更に好ましい。
なお、前述の通り、レギュラー繊維は含まれているのが好ましいが、三層のうちのどの層に含まれていても良い。しかしながら、いずれの層にも含まれていると、補強不織布全体に適度な空隙を確保できるため、好適である。
本発明の補強不織布は前述のような両表面層と中間層とを有する三層構造を有するものであるが、耐アルカリ性に優れるように、延伸接着繊維が補強不織布全体の質量の50%よりも多いのが好ましい。延伸接着繊維が多い程、耐アルカリ性に優れているため、55%以上含まれているのが好ましく、60%以上含まれているのがより好ましい。
また、本発明の補強不織布は耐アルカリ性と補強作用に優れ、使用による変形が小さい、補強した分離膜を製造しやすいように、未延伸繊維と延伸接着繊維の合計が補強不織布全体の質量の60%よりも多いのが好ましい。未延伸繊維と延伸接着繊維の合計量が多い程、耐アルカリ性及び補強作用に優れているため、65%以上含まれているのが好ましく、70%以上含まれているのがより好ましく、75%以上含まれているのが更に好ましく、80%以上含まれているのが更に好ましい。
更に、本発明の補強不織布は耐熱性に優れているように、ポリエステル系繊維のみから構成されているのが好ましい。例えば、補強した分離膜をフレームに熱接着して使用する場合があるが、補強した分離膜を熱接着しても、補強不織布を構成する繊維がポリエステル系繊維のみから構成されていると、繊維形態を保持して、分離膜を補強することができるため好適である。
更に、本発明の補強不織布は分離膜と複合した際の適度な通水性を確保できるように、通気度が20〜40cc/cm/sec.であるのが好ましく、25〜35cc/cm/sec.であるのがより好ましい。この通気度は、JIS L 1913−2010[6.8.1(フラジール形法)]の値をいう。
本発明の補強不織布の目付は特に限定するものではないが、分離膜を補強するという点からは50g/m以上であるのが好ましく、60g/m以上であるのがより好ましく、70g/m以上であるのが更に好ましい。一方で、目付が高すぎると、分離膜を構成する樹脂の浸透性が悪くなる傾向があるため、120g/m以下であるのが好ましく、110g/m以下であるのがより好ましく、100g/m以下であるのが更に好ましい。この「目付」は、1mあたりの質量であり、JIS L 1085:1998 6.2 単位面積当たりの質量に規定する方法により得られる値である。
なお、補強不織布における各表面層の目付は、表面層を構成する未延伸繊維量が多くなると、耐アルカリ性が悪くなる傾向があるため、10〜40g/mであるのが好ましく、20〜30g/mであるのがより好ましい。
また、補強不織布の厚さは特に限定するものではないが、厚さが薄すぎても、厚すぎても、補強した分離膜を製造しにくくなる傾向があるため、0.10〜0.20mmであるのが好ましく、0.13〜0.16mmであるのがより好ましい。この「厚さ」はJIS B 7502:1994に規定されている外側マイクロメーター(0〜25mm)を用いた5N荷重時の測定を、無作為に選んだ10点について行い、その算術平均値をいう。
更に、補強不織布の見掛密度は特に限定するものではないが、見掛密度が低すぎると、機械的強度に劣る傾向があるため、0.40g/cm以上であるのが好ましく、0.50g/cm以上であるのがより好ましい。一方で、見掛密度が高すぎると、分離膜を構成する樹脂の浸透性が悪くなる傾向があるため、0.60g/cm以下であるのが好ましく、0.55g/cm以下であるのがより好ましい。なお、この「見掛密度」は前述の目付を厚さで除した値である。
更に、補強不織布の引張り強さは機械的強度に優れているように、たて方向、よこ方向ともに、40N/15mm幅以上であるのが好ましく、50N/15mm幅以上であるのがより好ましく、55N/15mm幅以上であるのが更に好ましい。この「引張り強さ」は、補強不織布から幅が15mm、長さが200mmの試料片を採取し、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン)を用い、試料片が破断するまでの最大荷重を測定する。この最大荷重の測定を3枚の試料片について行い、これら最大荷重を算術平均し、引張り強さとする。なお、測定はつかみ間隔100mm、引張速度200mm/分の条件で行う。
更に、補強不織布の引張り伸度は機械的強度に優れているように、たて方向、よこ方向ともに、30%以下であるのが好ましく、25%以下であるのがより好ましい。この引張り伸度(Sr、単位:%)は、前述の引張り強さの測定を行った時の、最大荷重時の試料片の伸び(Smax、単位:mm)[=(最大荷重時の長さ、単位:mm)−(つかみ間隔=100mm)]のつかみ間隔(100mm)に対する百分率をいう。つまり、次の式から得られる値である。この測定を3回行い、前記百分率の算術平均値を「引張り伸度」とする。
Sr=(Smax/100)×100=Smax
このような本発明の補強不織布は、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きするとともに、毛羽立ちが少なく、分離膜と複合しても、分離膜を損傷することがないものである。そのため、例えば、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、 逆浸透膜、イオン交換膜、ガス分離膜等の分離膜を補強する補強不織布として好適に使用することができる。
本発明の補強不織布の製造方法は特に限定するものではないが、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前述のような未延伸繊維及び延伸接着繊維を用意する。好ましくは、更に、前述のようなレギュラー繊維を用意する。なお、前述の通り、本発明の補強不織布はポリエステル系繊維のみから構成されているのが好ましいため、未延伸繊維、延伸接着繊維、レギュラー繊維のいずれも、ポリエステル系繊維であるのが好ましい。
次いで、接着繊維として未延伸繊維を主体とする、好ましくは延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含む繊維ウエブAを製造する。この繊維ウエブAは未延伸繊維(場合により延伸接着繊維も)を接着させることにより、一方の表面層Aを構成する。
また、接着繊維として未延伸繊維を主体とする、好ましくは延伸接着繊維及び/又はレギュラー繊維を含む繊維ウエブBを製造する。この繊維ウエブBは未延伸繊維(場合により延伸接着繊も)を接着させることにより、他方の表面層Bを構成する。この繊維ウエブBは繊維ウエブAと、未延伸繊維構成樹脂の種類が同じで、未延伸繊維の含有比率が同じであると、両表面層が同じ繊維配合からなる、一方の面側に湾曲しない補強不織布を製造することができるため好適である。
更に、延伸接着繊維を主体とする、好ましくは、未延伸繊維及び/又はレギュラー繊維を含む繊維ウエブCを製造する。この繊維ウエブCは延伸接着繊維を接着させることにより、中間層を構成する。
なお、前述の通り、延伸接着繊維は補強不織布全体の質量の50%よりも多くを占めているのが好ましいため、繊維ウエブA、繊維ウエブB、繊維ウエブCの合計質量の50%よりも多くの量を延伸接着繊維が占めるように、繊維ウエブA、繊維ウエブB、繊維ウエブCを製造するのが好ましい。
また、前述の通り、未延伸繊維と延伸接着繊維の合計が補強不織布全体の質量の60%よりも多くを占めるのが好ましいため、繊維ウエブA、繊維ウエブB、繊維ウエブCの合計質量の60%よりも多くの量を未延伸繊維と延伸接着繊維とが占めるように、繊維ウエブA、繊維ウエブB、繊維ウエブCを製造するのが好ましい。
なお、これら繊維ウエブA、B、Cは、例えば、カード法、エアレイ法などの乾式法、湿式法により形成できる。これらの中でも、乾式法によれば、機械的強度の優れる補強不織布を製造することができるため好適である。また、繊維ウエブA、B、Cはいずれも同じ方法で製造しても良いし、異なる方法で製造しても良いが、いずれの繊維ウエブA、B、Cも乾式法により形成すると、特に機械的強度に優れているため好適である。更に、各繊維ウエブA、B、Cにおける繊維の配向方向は同じであっても、異なっていても良く、特に限定するものではない。更に、各繊維ウエブA、B、Cの目付も特に限定するものではないが、前述の通り、各表面層の目付は10〜40g/mであるのが好ましいため、繊維ウエブA、Bの目付は10〜40g/mであるのが好ましい。
次いで、繊維ウエブA及び繊維ウエブBで繊維ウエブCを挟み込んで、三層構造を有する積層繊維ウエブを形成した後、未延伸繊維及び延伸接着繊維を接着させて、接着繊維として未延伸繊維を主体とし、この未延伸繊維が接着した両表面層と、延伸接着繊維を主体とし、この延伸接着繊維が接着した中間層の三層構造を有する補強不織布を製造することができる。本発明においては、接着させる際に生じやすい延伸接着繊維の張り付きを、未延伸繊維によって抑えることができるため、連続して安定生産することができる。
なお、未延伸繊維及び延伸接着繊維の接着方法は特に限定するものではないが、一般的に、未延伸繊維は繊維が変形し、繊維同士が密着することによる接着であり、延伸接着繊維の接着は繊維が溶融し、固化して、繊維同士が密着することによる接着であることから、加熱及び加圧を同時に、又は、加熱した後に加圧するのが好ましい。この加熱条件及び加圧条件は未延伸繊維及び延伸接着繊維が接着する条件であれば良く、使用する未延伸繊維及び延伸接着繊維の種類によって異なるため、特に限定するものではないが、加熱温度は、延伸接着繊維の接着成分(例えば、芯鞘型繊維の場合には鞘成分)の融点以上、未延伸繊維の融点未満であるのが好ましい。例えば、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(融点:260℃)と、鞘成分がポリブチレンテレフタレート(融点:224℃)からなる延伸接着繊維とから積層繊維ウエブが構成されている場合、224℃以上、260℃未満の温度で加熱するのが好ましい。このような加熱は、例えば、赤外線を照射する方法、オーブンによる方法、熱風を作用させる方法、超音波を照射する方法、レーザーを照射する方法、熱カレンダーを利用する方法、平板プレス装置を利用する方法などにより実施できる。
また、加圧は未延伸繊維が変形し、繊維同士が密着して接着できる条件であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を接着させる場合には、毛羽立たせることなく、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維で接着できるように、10〜60kg/cmで加圧するのが好ましい。このような加圧は、例えば、カレンダーを利用する方法、平板プレス装置を利用する方法などにより実施できる。
なお、本発明の補強不織布の通気度は20〜40cc/cm/sec.であるのが好ましいが、このような通気度は、例えば、未延伸繊維及び延伸接着繊維の接着条件、レギュラー繊維の配合量、未延伸繊維及び延伸接着繊維の配合量、目付、厚さなどを適宜調節することによって、得ることができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は次の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(東レ(株)製、トーレテトロン(登録商標)、T−211、繊度5.6dtex、繊維長38mm、融点:260℃)、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘成分が共重合ポリエチレンテレフタレート(融点:160℃)からなる芯鞘型延伸接着繊維(ユニチカエステル、T−7080、繊度2.2dtex、繊維長51mm)、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維(東レ(株)製、トーレテトロン(登録商標)、T−403、繊度1.45dtex、繊維長38mm、融点:260℃)を用意した。
次いで、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%、芯鞘型延伸接着繊維30mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維35mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:20g/m)を形成した。
また、前述と同じ、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%、芯鞘型延伸接着繊維30mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維35mass%とを混合し、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:10g/m)を形成した。
更に、前述と同じ、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維10mass%、芯鞘型延伸接着繊維80mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維10mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブC(目付:40g/m)を形成した。
続いて、前記クロス繊維ウエブAとランダム繊維ウエブBとの間にクロス繊維ウエブCを挟み込んで積層繊維ウエブを形成した後、温度210℃に設定した一対の加熱ロールによって、60kg/cm及び45kg/cmで加熱加圧し、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を変形させて圧着するとともに、芯鞘型延伸接着繊維を融着させて、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%及び芯鞘型延伸接着繊維30mass%が接着した両表面層と、芯鞘型延伸接着繊維80mass%及び未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維10mass%が接着した中間層からなる、三層構造を有する、毛羽立ちのない補強不織布を製造した。なお、補強不織布の物性は表1に示す通りであった。
(実施例2)
芯成分がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘成分がポリブチレンテレフタレート(融点:125℃)からなる芯鞘型延伸接着繊維(東レ(株)製、トーレテトロン(登録商標)、P071、繊度1.7dtex、繊維長44mm)を用意した。
また、実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維を用意した。
次いで、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%、芯鞘型延伸接着繊維20mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維45mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:20g/m)を形成した。
また、前述と同じ、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%、芯鞘型延伸接着繊維20mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維45mass%とを混合し、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:10g/m)を形成した。
更に、前述と同じ、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維15mass%、芯鞘型延伸接着繊維75mass%、及びポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維10mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブC(目付:40g/m)を形成した。
続いて、実施例1と同様に積層繊維ウエブを形成した後、加熱加圧して、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%及び芯鞘型延伸接着繊維20mass%が接着した両表面層と、芯鞘型延伸接着繊維75mass%及び未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維15mass%が接着した中間層からなる、三層構造を有する、毛羽立ちのない補強不織布を製造した。なお、補強不織布の物性は表1に示す通りであった。
(実施例3)
実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%と、ポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維65mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:30g/m)を形成した。
また、実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%と、ポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維65mass%とを混合し、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:10g/m)を形成した。
更に、実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維20mass%、実施例2と同じ芯鞘型延伸接着繊維50mass%、及び実施例1と同じポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維30mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブC(目付:30g/m)を形成した。
続いて、前記クロス繊維ウエブAとランダム繊維ウエブBとの間にクロス繊維ウエブCを挟み込んで積層繊維ウエブを形成した後、温度210℃に設定した一対の加熱ロールによって、60kg/cm及び45kg/cmで加熱加圧し、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を変形させて圧着するとともに、芯鞘型延伸接着繊維を融着させて、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%が接着した両表面層と、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維20mass%と芯鞘型延伸接着繊維50mass%が接着した中間層からなる、三層構造を有する毛羽立ちのない補強不織布を製造した。なお、補強不織布の物性は表1に示す通りであった。
(比較例1)
実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維20mass%、実施例2と同じ芯鞘型延伸接着繊維60mass%、及び実施例1と同じポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維20mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:10g/m)を形成した。
また、前記クロス繊維ウエブAと同じ繊維配合で、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:20g/m)を形成した。
更に、前記クロス繊維ウエブAと同様にして、クロス繊維ウエブC(目付:45g/m)を形成した。
続いて、前記クロス繊維ウエブAとランダム繊維ウエブBとの間にクロス繊維ウエブCを挟み込んで積層繊維ウエブを形成した後、温度210℃に設定した一対の加熱ロールによって、60kg/cm及び45kg/cmで加熱加圧し、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を変形させて圧着するとともに、芯鞘型延伸接着繊維を融着させて補強不織布を製造したが、毛羽立ちの多いものであった。なお、補強不織布の物性は表1に示す通りであった。
(比較例2)
実施例2と同じ芯鞘型延伸接着繊維80mass%、及び実施例1と同じポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維20mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:10g/m)を形成した。
また、前記クロス繊維ウエブAと同じ繊維配合で、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:20g/m)を形成した。
更に、前記クロス繊維ウエブAと同様にして、クロス繊維ウエブC(目付:40g/m)を形成した。
続いて、前記クロス繊維ウエブAとランダム繊維ウエブBとの間にクロス繊維ウエブCを挟み込んで積層繊維ウエブを形成した後、温度210℃に設定した一対の加熱ロールによって、60kg/cm及び45kg/cmで加熱加圧し、芯鞘型延伸接着繊維を融着させて補強不織布の製造を試みたが、毛羽立ちが著しく、使用に耐え得る補強不織布を得ることができなかった。
(比較例3)
実施例1と同じ未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維35mass%、実施例1と同じ芯鞘型延伸接着繊維30mass%、及び実施例1と同じポリエチレンテレフタレートレギュラー繊維35mass%とを混合し、カード機により開繊して、たて方向に配向したパラレル繊維ウエブを形成した後、クロスレイヤーにより繊維配向をたて方向に対して交差させて、クロス繊維ウエブA(目付:10g/m)を形成した。
また、前記クロス繊維ウエブAと同じ繊維配合で、ランダムカードにより開繊して、繊維がランダムに配向した、ランダム繊維ウエブB(目付:20g/m)を形成した。
更に、前記クロス繊維ウエブAと同様にして、クロス繊維ウエブC(目付:45g/m)を形成した。
続いて、前記クロス繊維ウエブAとランダム繊維ウエブBとの間にクロス繊維ウエブCを挟み込んで積層繊維ウエブを形成した後、温度210℃に設定した一対の加熱ロールによって、60kg/cm及び45kg/cmで加熱加圧し、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を変形させて圧着するとともに、芯鞘型延伸接着繊維を融着させて毛羽立ちのない補強不織布を製造した。なお、補強不織布の物性は表1に示す通りであった。
(耐アルカリ性の評価)
各補強不織布を15mm×150mmの長方形状にカットして、それぞれ試験片を調製した。その後、各試験片を濃度0.5wt%、温度70℃の水酸化ナトリウム水溶液中に、1日、3日、4日又は7日浸漬した後、たて方向における引張り強さを測定した。そして、浸漬後のたて方向における引張り強さ(Sa)の、初期(浸漬前)のたて方向における引張り強さ(Sb)に対する百分率を強度維持率(Sr)として算出し、耐アルカリ性を評価した。つまり、次の式により、強度維持率を算出した。
Sr=(Sa/Sb)×100
耐アルカリ性に優れている程、アルカリ溶液によって劣化していないため、強度維持率が高くなる。この結果は表1に示す通りであった。
Figure 2016123896
実施例2、3と比較例1、2との比較から、未延伸繊維を接着繊維として主体とする表面層であると、毛羽立ちがなく、分離膜と複合しても分離膜を損傷することがないものであると考えられた。
また、実施例1と比較例3との比較から、中間層が延伸接着繊維を主体としていることによって、耐アルカリ性に優れていることがわかった。そのため、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、補強作用が長続きする補強不織布であると考えられた。
更に、実施例2と実施例3との比較から、延伸接着繊維が補強不織布全体の質量の50%よりも多いと、より耐アルカリ性に優れるものであることがわかった。
本発明の補強不織布は、アルカリ溶液によって洗浄した場合であっても、アルカリ溶液によって劣化しにくく、補強作用が長続きするとともに、毛羽立ちが少なく、分離膜と複合しても、分離膜を損傷することがないものであるため、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、 逆浸透膜、イオン交換膜、ガス分離膜等の分離膜を補強する補強不織布として好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 三層構造を有する不織布からなり、両表面層は接着繊維として未延伸繊維を主体とし、該未延伸繊維が接着した層であり、両表面層間の中間層は延伸接着繊維を主体とし、該延伸接着繊維が接着した層であることを特徴とする、分離膜用補強不織布。
  2. 不織布は接着していないレギュラー繊維を更に含むことを特徴とする、請求項1記載の分離膜用補強不織布。
  3. 延伸接着繊維が不織布全体の質量の50%よりも多く占めることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の分離膜用補強不織布。
  4. 未延伸繊維と延伸接着繊維の合計が不織布全体の質量の60%よりも多く占めることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。
  5. 不織布はポリエステル系繊維のみから構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。
  6. 両表面層が同じ繊維配合からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。
  7. 不織布の通気度が20〜40cc/cm/sec.であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離膜用補強不織布。
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