JP2009061373A - 分離膜支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有する分離膜支持体を提供する。
【解決手段】熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布を積層してなる分離膜支持体。好ましくは、前記熱可塑性連続フィラメントが、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型フィラメントである。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなる、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜を支持する支持体に関するものである。
近年の水処理には多くの場合において膜技術が適用されている。例えば浄水場には精密ろ過膜または限外ろ過膜が、海水淡水化には逆浸透膜が、半導体製造用水、ボイラー用水、医療用水、ラボ用純水などには逆浸透膜やナノろ過膜が用いられ、さらに下廃水処理には精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法も適用されている。
これらの分離膜は、その形状から平膜と中空糸膜に大別されるが、主に合成重合体から形成される平膜は分離機能を有する膜単体では機械的強度に劣るため、一般に不織布や織布等の支持体と一体化して使用されることが多い。
一般に分離機能を有する膜と支持体は、不織布や織布等の上に分離機能を有する膜の原料となる高分子溶液を流延し、固着させる方法や、逆浸透膜等の半透膜においては、不織布や織布等の上に高分子溶液を流延し支持層を形成させた後に、支持層上に半透膜を形成させる方法等により一体化される。したがって、支持体となる不織布や織布等には、高分子溶液を流延した際に過浸透により裏抜けしたり、膜物質が剥離したり、さらには支持体の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがない、優れた製膜性が要求される。
また、高圧下で使用されることが多い逆浸透膜などの半透膜の場合は特に、支持体には高い機械的強度、寸法安定性が要求される。
このような分離膜支持体およびその製造方法として、太い繊維を使用した目開きおよび表面粗度の大きな表面層と、細い繊維を使用した目開きが小で緻密な構造を有する裏面層との二重構造を基本とした多層構造体の不織布よりなることを特徴とする分離膜支持体や(特許文献1参照)、半透膜形成用重合体溶液を流延し、膜形成を行うための不織布からなる半透膜支持体において、該不織布が、通気度が5〜50cc/cm/secの低密度層と、通気度が0.1cc/cm/sec以上で5cc/cm/sec未満の高密度層とを積層一体化した二層構造の不織布であり、全体としての通気度が0.1cc/cm/sec〜4.5cc/cm/secであることを特徴とする半透膜支持体が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの支持体は短繊維からなるため毛羽立ちにより膜の不均一化や欠点が発生する恐れがあり、さらには不織布の強度についてなんら記載がない、または詳しい記載がないため、支持体として十分な機械的強度、寸法安定性が得られないという問題があった。
また、このような分離膜支持体およびその製造方法として、5%伸長時の縦方向(MD)および横方向(CD)の裂断長の平均値が4.0km以上であり且つ通気度が0.2〜10.0cc/cm・秒である不織布からなることを特徴とする半透膜支持体が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、該支持体は抄紙法によって製造された不織布であり、特徴とする機械的強度を得るためには、溶融紡糸した後に温水浴中で延伸し、引き続いて緊張熱処理および/または弛緩熱処理を行うなどによって、不織布を構成するポリエステル繊維の複屈折を極めて大きくし、また熱収縮応力を特定の範囲にするなど、製造上コスト高になり、さらに短繊維からなるため毛羽立ちにより膜の不均一化や欠点が発生する恐れがあるという問題があった。
特公平4−21526号公報 特公平5−35009号公報 特許第3153487号公報
本発明は、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなり、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有する分離膜支持体を提供することを目的とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布が2〜5層に積層されてなることを特徴とする分離膜支持体。
(2)積層される長繊維不織布の少なくとも1層がスパンボンド不織布であることを特徴とする前記(1)に記載の分離膜支持体。
(3)積層後の両面が平滑であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の分離膜支持体。
(4)熱可塑性連続フィラメントは、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した芯鞘型繊維であり、いずれの重合体もポリエステル系重合体であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離膜支持体
熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布を2〜5層に積層されてなる分離膜支持体とすることにより、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有する分離膜支持体を得ることが可能となる。
本発明の分離膜支持体は、その表面上に分離機能を有する膜(分離膜)を形成させる支持体である。
本発明の分離膜支持体は、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布を2〜5層に積層してなることが重要である。本発明者らは、短繊維不織布を用いたときにしばしば起こる高分子溶液流延時の不均一化や膜欠点の原因について検討した結果、短繊維不織布の毛羽立ちが一因であり、長繊維不織布を用いることによりこの問題を解決できることをつきとめた。すなわち、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また該長繊維不織布を積層して使用することにより、地合いの均一性が向上するだけでなく、層間が存在することにより、高分子溶液流延時の過浸透が抑制され裏抜けがより少なく、製膜性に優れた分離膜支持体を得ることができる。さらに、本発明は熱可塑性連続フィラメントより構成されるため、短繊維不織布、特に繊維長の短い抄紙不織布に比べ機械的強度が高く、分離膜支持体、特に使用時に高い圧力がかけられる半透膜支持体として優れた耐久性を発現することができる。
本発明の分離膜支持体を構成する長繊維不織布は、スパンボンド法によって製造したスパンボンド不織布やメルトブロー法によって製造したメルトブロー不織布等、を積層して構成される。尚、不織布の製法は熱可塑性連続フィラメントより構成されていれば特に限定はされないが、機械的強度、寸法安定性により優れることからスパンボンド不織布であることが好ましい。
本発明の分離膜支持体は、長繊維不織布が積層されてなることが重要である。長繊維不織布を積層して使用することにより、地合いが均一となるだけでなく、層間が存在することにより、高分子溶液流延時の過浸透を抑制することで裏抜けがより少なくなり、分離膜支持体として好適に使用できるものとなる。長繊維不織布の積層数としては、2〜5層であることが必要であり、2層以上であれば、単層時に比べて地合いが向上し、十分な均一性が得られ、5層以下であれば、積層時にシワが入ること、また層間の剥離を抑制することが出来る。
積層不織布の組み合わせの形態としては、例えば、2層のスパンボンド不織布からなる積層不織布や、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層不織布等、が挙げられるが、上記した通り、機械的強度、寸法安定性の面から、少なくとも1層はスパンボンド不織布であることが好ましい。
積層不織布の表面は、少なくとも製膜する側は、製膜性の点から平滑であることが好ましい。本発明で言う平滑な面とは、彫刻ロール等による意図的な凹凸が無い表面であることを指し、例えばフラットロール等により、処理された表面を意味するものである。
長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントは、単一成分からなる熱可塑性連続フィラメントでも、複数成分からなる複合型熱可塑性連続フィラメントでもかまわないが、本発明の分離膜支持体においては、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布からなることが好ましい。高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配することにより、熱圧着により長繊維不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着するため、毛羽立ちによる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、このような複合型熱可塑性連続フィラメントを用いることにより、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着することに加え、混繊型に比べその接着点の数も多くなるため、分離膜支持体、特に使用時に高い圧力がかけられる半透膜支持体として用いた際の寸法安定性、耐久性につながる。高融点重合体と低融点重合体の融点差が10℃以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、140℃以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。該高融点重合体と該低融点重合体の融点差のより好ましい範囲は20〜120℃であり、さらに好ましい範囲は、30〜100℃である。
また、本発明の分離膜支持体において、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布からなる場合の該高融点重合体の融点は、本発明の分離膜支持体上に分離膜を形成した際に製膜性が良好であり耐久性に優れる分離膜を得ることができればなんら限定されるところではないが、160〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点重合体の融点が160℃以上であれば、長繊維不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、分離膜または流体分離素子製造時に熱が加わる工程を通過したとしても形態安定性に優れ、320℃以下であれば、長繊維不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。該高融点重合体の融点のより好ましい範囲は170〜300℃であり、さらに好ましい範囲は180〜280℃である。
複合型熱可塑性連続フィラメントにおける低融点重合体の占める割合については、分離膜支持体に適した長繊維不織布を得ることができればなんら限定されるところではないが、10〜70wt%であることが好ましく、15〜60wt%であることがより好ましく、20〜50wt%であることがさらに好ましい。低融点重合体の占める割合が10wt%以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、70wt%以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。
複合型熱可塑性連続フィラメントの複合形態については、分離膜支持体に適した長繊維不織布を得ることができればなんら限定されるところではないが、例えば同心芯鞘型、偏心芯鞘型、海島型等が挙げられ、さらにそのフィラメント断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面、中空断面等が挙げられる。なかでも熱圧着により、フィラメント同士を強固に接着させることができ、さらには得られる分離膜支持体の厚さを低減し、流体分離素子としたときのユニットあたりの分離膜面積を増大させられることから、複合形態については同心芯鞘型を、フィラメント形状としては円形断面や扁平断面を用いることが好ましい。
本発明において長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの原料については、分離膜支持体に適した長繊維不織布を得ることができれば特に限定されない。例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等、なんら限定されるところではないが、より機械的強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性等の耐久性に優れた分離膜支持体を得ることができることから、ポリエステル系重合体であることが好ましい。本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルであり、酸性分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができ、また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。また高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントとする場合の高融点および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)についても、分離膜支持体に適した長繊維不織布を得ることができればなんら限定されるところではないが、低融点重合体及び高融点重合体のいずれもポリエステル系重合体であることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂等の組み合わせが挙げられ、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられる。
さらに、用済み後に分離膜支持体を廃棄する際、廃棄が容易であり環境負荷が小さいことから、生分解性樹脂も長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの原料として好ましく用いられる。本発明で用いられる生分解性樹脂の例としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂等が挙げられ、なかでも、石油資源を枯渇させない植物由来の樹脂であり、力学特性や耐熱性も比較的高く、製造コストの低い生分解性樹脂として近年脚光を浴びている、でんぷんの発酵で得られる乳酸を原料としたポリ乳酸樹脂は、不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。本発明で用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
なお、本発明の分離膜支持体を構成する長繊維不織布には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤や艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、親水剤等を添加してもよい。特に長繊維不織布の熱圧着成形の際、熱伝導性を増すことで長繊維不織布の接着性を向上させる効果がある酸化チタン等の金属酸化物や、熱圧着ロールとウエブ間の離型性を増すことで接着安定性を向上させる効果があるエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミド、および/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを添加することが好ましい。これら各種の添加剤は、熱可塑性連続フィラメント中に存在させてもよいし、その表面に存在させてもよい。
熱可塑性連続フィラメントの繊度は、0.1〜3.0dtexであることが好ましく、0.3〜2.5dtexであることがより好ましく、0.5〜2.0dtexであることがさらに好ましい。長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの繊度が、0.1dtex以上であれば、長繊維不織布製造時に紡糸性が低下することが少なく、また分離膜支持体の通気性を維持できるため高分子溶液流延時の膜剥離等が少なく良好な製膜性を得ることができる。一方、該長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの繊度が、3.0dtex以下であれば、分離膜支持体を高密度化できるため高分子溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができる。
また、積層する各長繊維不織布の繊度は、0.1〜3.0dtexの範囲内であれば、層によって異なる繊度であっても何ら問題なく、例えば、長繊維不織布の2枚積層により構成される分離膜支持体では、一方の長繊維不織布の繊度を1.0dtexとし、もう一方の長繊維不織布の繊度を3.0dtexとすることも可能であり、これらは、適宜、製品設計に応じて決定されるものである。ここで、長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの繊度は後記実施例(3)に記載の方法により測定したものをいう。
本発明の分離膜支持体の目付は、20〜150g/mであることが好ましく、30〜120g/mであることがより好ましく、40〜90g/mであることがさらに好ましい。該分離膜支持体の目付が、20g/m以上であれば、高分子溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、機械的強度、耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、分離膜支持体の目付が、150g/m以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。積層する各長繊維不織布の目付については、最終的な分離膜支持体の目付が20〜150g/mの範囲であれば、何ら制限されるものではなく、例えば目付10g/mの3枚積層、30g/mの2枚積層等、製品設計に応じて、適宜、決定されるものである。ここで、分離膜支持体の目付は後記実施例(4)に記載の方法により測定したものをいう。
本発明の分離膜支持体の厚さは、0.03〜0.20mmであることが好ましく、0.04〜0.16mmであることがより好ましく、0.05〜0.12mmであることがさらに好ましい。分離膜支持体の厚さが、0.03mm以上であれば、高分子溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、機械的強度、耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、分離膜支持体の厚さが、0.20mm以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。ここで、分離膜支持体の厚さは後記実施例(5)に記載の方法により測定したものをいう。
本発明の分離膜支持体を構成する長繊維不織布の製造方法は、支持体上に分離膜を形成した際に製膜性が良好であり耐久性に優れる分離膜を得ることができればなんら限定されるところではないが、スパンボンド法やメルトブロー法が用いられる。中でも機械的強度が優れることから、スパンボンド法を用いることが好ましい。また本発明で重要となる積層方法としては、スパンボンド法で仮接着状態の不織布を作製し、後加工でスパンボンド不織布の仮接着同士を接着させる方法や、接着したスパンボンド不織布同士を接着物資により貼り合わせる等が挙げられるが、加工性と厚さの低減が容易であることから、前者が好ましい方法である。
スパンボンド法の場合は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集してウエブとし、さらに連続的に熱圧着、絡合等を施すことにより一体化してシートとなす、いわゆるスパンボンド法により製造することができるが、構成する繊維をより高度に配向結晶化させるため、紡糸速度は2000m/分以上であることが好ましく、3000m/分以上であることがより好ましく、4000m/分以上であることがさらに好ましい。熱可塑性連続フィラメントを芯鞘型等の複合形態する場合は、通常の複合方法を採用することができる。
熱圧着の方法としては、製膜性を向上させ、且つ毛羽立ちを抑制する点で、平滑な表面を有することが好ましいことから、上下1対のフラットロールにより熱圧着し一体化することが好ましい。また長繊維不織布表面の繊維の融着を抑え、形態を保持することで、分離膜支持体として使用した際に分離膜の剥離を抑制する投錨効果を得られることから、加熱した金属製ロールと非加熱の弾性ロールによる熱圧着方式も好ましく用いられる。弾性ロールとしては、ペーパー、コットン、アラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、硬質ゴム等の樹脂製ロール等が挙げられるが、なんら限定されるところではない。
仮接着状態で不織布を採取する場合については、積層時の熱圧着時に不織布をより高密度化できることから、充填密度を0.1〜0.3とすることが好ましい。その際、加熱したフラットロールの温度は長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの融点より180〜60℃低いことが好ましく、160〜80℃低いことがより好ましく、140〜100℃低いことがさらに好ましい。高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントの場合は、該低融点重合体の融点より180〜60℃低いことが好ましく、160〜80℃低いことがより好ましく、140〜100℃低いことがさらに好ましい。複合形態が芯鞘型である場合についても、前記条件が好ましく適用できるものである。線圧は100kg/cm以下であることが好ましく、80kg/cm以下であることがより好ましく、60kg/cm以下であることがさらに好ましい。
一方、接着状態で不織布を採取する場合については、加熱したフラットロールの温度を長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの融点より80〜20℃低いことが好ましく、70〜30℃低いことがより好ましい。また、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントの場合は、該低融点重合体の融点より80〜20℃低いことが好ましく、70〜30℃低いことがより好ましい。複合形態が芯鞘型である場合についても、前記条件が好ましく適用できるものであるフラットロールの線圧としては、50kg/cm以上であることが好ましく、100kg/cm以上であることがさらに好ましい。
メルトブロー法の場合は、溶融した熱可塑性重合体に加熱高速ガス流体を吹き当てることにより該熱可塑性重合体を引き伸ばして極細繊維化し、捕集して不織布とする、いわゆるメルトブロー法により製造することができる。
積層方法については、例えば、上記の手段で採取した仮接着状態のスパンボンド不織布2〜5層を積層する場合、重ね合わせた後、上下1対のフラットロール、または加熱した金属製ロールと非加熱の弾性ロールで熱圧着する方法が好ましく用いることができる。この時の加熱したロールの温度は、長繊維不織布を構成する熱可塑性フィラメントの融点より80〜20℃低いことが好ましく、70〜30℃低いことがより好ましい。また、高融点重合体の周りに該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型熱可塑性連続フィラメントの場合は、該低融点重合体の融点より80〜20℃低いことが好ましく、70〜30℃低いことがより好ましい。ロールの線圧としては、50kg/cm以上であることが好ましく、100kg/cm以上であることがさらに好ましい。
また、仮接着状態のスパンボンド不織布2層の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層方法としては、上記方法により、得た仮接着状態のスパンボンド不織布2層の間に、別ラインで製造したメルトブロー不織布を挟むように重ね合わせた後、上記した仮接着状態のスパンボンド不織布2層を積層した条件と同条件にて熱圧着する方法や、一連の捕集コンベア上部に配されたスパンボンド用ノズル、メルトブロー用ノズル、スパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化されたウエブを順に捕集、積層し、上記した積層時の条件にて熱圧着する方法が好ましく用いることができる。さらには、一連の捕集コンベア上部に配されたスパンボンド用ノズル、メルトブロー用ノズル、スパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化されたウエブを順に捕集、積層し、該積層ウエブを、捕集コンベア上に設置された熱ロールと該コンベア間で熱圧着し仮接着状態のシートを製造し巻き取った後に、上記した積層時の条件にて熱圧着する方法も好ましく用いることができる。
さらに接着されたスパンボンド不織布を積層加工する場合については、例えば、上記の手段で採取した接着した状態のスパンボンド不織布2層の層間に接着物質を配し積層する方法が挙げられる。接着物質としては、低融点重合体からなる粉末、不織布、フィルム等の他、のり、バインダー、接着樹脂、エマルジョンなどが例示されるが、特に限定されるものではない。
本発明の分離膜とは、上記の分離膜支持体の上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜であり、例として、精密ろ過膜、限外ろ過膜や、ナノろ過膜、逆浸透膜等の半透膜が挙げられる。その製造方法としては、上記の分離膜支持体の少なくとも片方の表面上に、高分子溶液を流延して分離機能を有する膜を形成させ分離膜とする方法が好ましい。また、分離膜が半透膜の場合は、分離機能を有する膜を支持層と半透膜層を含む複合膜とすることも好ましい形態である(この場合、支持層は分離機能を有していなくてもかまわない。)。
分離膜支持体に流延する高分子溶液は、膜となったときに分離機能を有するものであればなんら限定されるところではないが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロースなどの溶液が好ましく用いられ、なかでも特に、化学的、機械的、熱的安定性の点でポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンの溶液がより好ましく用いられる。溶媒は、膜形成物質に応じて、適宜選定することができる。また、分離膜が支持層と半透膜層を含む複合膜の場合の半透膜として、多官能酸ハロゲン化物と多官能アミンとの重縮合などによって得られる架橋ポリアミド膜などが好ましく用いることができる。
本発明の流体分離素子とは、取り扱いを容易にするため上記の分離膜を筐体に納めた流体分離素子であり、その形態についてはなんら限定されるところではないが、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型、スパイラル型等が挙げられ、なかでも特に、分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた、スパイラル型が好ましく用いられる。そして、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜ユニットとすることができる。
以下、実施例に基づき本発明につき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、前記した分離膜支持体、該分離膜支持体を構成する長繊維不織布、および該長繊維不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの各特性値、および下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
(2)固有粘度IV
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは以下の方法で測定した。
オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを下記式により求めた。
η=η/η=(t×d)/(t×d
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η:オルソクロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
:オルソクロロフェノールの密度(g/cm
ついで、相対粘度ηから下記式、
IV=0.0242η+0.2634
により固有粘度IVを算出した。
(3)繊度(dtex)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を、ポリマーの密度で補正し、小数点以下第二位を四捨五入して求めた。
(4)目付(g/m
30cm×50cmの不織布を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
(5)厚さ(mm)
JIS L 1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向1mあたり等間隔に10点を0.01mm単位で測定、その平均値の小数点以下第三位を四捨五入した。
(6)5%伸長時応力(N/5cm)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmのサンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第1位を四捨五入した値を縦方向(MD)と横方向(CD)の5%伸長時応力とした。
(実施例1)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度140℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex、目付35g/m、厚さ0.15mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布を2枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度170℃に加熱し、線圧170kg/cmでさらに熱圧着し、目付70g/m、厚さ0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:220N/5cm、CD:120N/5cmであった。
(実施例2)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度130℃、線圧40kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex、目付30g/m、厚さ0.13mmのスパンボンド不織布を製造した。
また、上記製造方法においてライン速度のみを変更し、単繊維繊度が1.2dtex、目付40g/m、厚さ0.17mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布をそれぞれ1枚ずつ2枚に重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度170℃に加熱し、線圧170kg/cmで、30g/mがスチールロール側となるよう調整して、熱圧着し、目付70g/m、厚さ0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:226N/5cm、CD:122N/5cmであった。
(実施例3)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した共重合成分としてイソフタル酸を10モル%含有し、融点が211℃であるポリブチレンテレフタレート樹脂を、それぞれ295℃と260℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を鞘成分とし、口金温度295℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度130℃、線圧50kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.3dtex、目付30g/m、厚さ0.13mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布を3枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度160℃に加熱し、線圧170kg/cmでさらに熱圧着し、目付90g/m、厚さ0.12mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:231N/5cm、CD:124N/5cmであった。
(実施例4)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を、295℃で溶融し、口金温度300℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4000m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度200℃、線圧40kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が2.1dtex、目付40g/m、厚さ0.18mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布を2枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度230℃に加熱し、線圧170kg/cmでさらに熱圧着し、目付80g/m、厚さ0.11mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:245N/5cm、CD:128N/5cmであった。
(実施例5)
重量平均分子量が15万でQ値(Mw/Mn)が1.51、融点が168℃であるポリ(L−乳酸)樹脂を、230℃で溶融し、口金温度235℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4300m/分で紡糸して円形断面フィラメントとし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集したウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度110℃、線圧30kg/cmの条件で熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.1dtex、目付40g/m、厚さ0.16mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布を2枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度150℃に加熱し、線圧150kg/cmでさらに熱圧着し、目付80g/m、厚さ0.11mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:200N/5cm、CD:70N/5cmであった。
(実施例6)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度190℃、線圧60kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.2dtex、目付40g/m、厚さ0.05mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布に接着物質として、粒径が80μm以下(平均粒径40μm)で、融点が約100℃のポリエステル粉末(株式会社エムス昭和電工製のGriltexD 1395E P1)を、10g/m散布し、粉末を散布した面に同様のスパンボンド不織布を重ね合わせた。重ね合わせた不織布の両面に170℃に加熱した板を押しあて、層間の接着物質を溶融し接着させ、目付:90g/m、厚さ0.11μmの分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:280N/5cm、CD:150N/5cmであった。
(実施例7)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.65、融点260℃であり、酸化チタンを0.3wt%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IV0.66、イソフタル酸共重合率10モル%、融点230℃であり、酸化チタンを0.2wt%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と280℃で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、口金温度300℃、芯:鞘=80:20の重量比率で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対のフラットロールでフラットロール表面温度140℃、線圧40kg/cmで熱圧着し、構成フィラメントの単繊維繊度が1.4dtex、目付20g/m、厚さ0.10mmのスパンボンド不織布を製造した。
得られたスパンボンド不織布を5枚重ね合わせ、上側がスチールロール、下側が樹脂製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度170℃に加熱し、線圧180kg/cmでさらに熱圧着し、目付100g/m、厚さ0.13mmのスパンボンド不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:261N/5cm、CD:142N/5cmであった。
Figure 2009061373
得られた分離膜支持体の特性は、表1に示したとおりであるが、実施例1〜6の分離膜支持体は、ガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製のUdel(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド溶液(キャスト液)を50μmの厚みで、室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温で浸漬して5分間放置することによってポリスルホン製の分離膜を形成したところ、いずれも分離膜支持体の裏側平面よりキャスト液が内面にあり裏抜けがなく、また剥離、膜の不均一化ピンホール欠点等はいずれもなく、製膜性は良好であった。また実施例1〜7の分離膜支持体は5%伸長時応力がMD及びCDのいずれも50N/5cm以上であり、機械的強度に優れるものであった。
(比較例1)
繊度が1.0dtex、長さが10mmの延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維と、繊度が1.7dtex、長さが10mmの延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維と、繊度が1.2dtex、長さが5mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート短繊維を、水中においてそれぞれ20:40:40の重量比率で混合した後、十分に分散し、繊維濃度0.05%の水性スラリーを調整した。これを円網抄紙機に送り、抄造後に温度120℃のヤンキードライヤーで乾燥して巻き取って、抄造ウエブを製造した。上記で得られた抄造ウエブを上側がスチールロール、下側がコットン製ロールの1対のフラットロールを用い、上側のスチールロールのみを温度150℃に加熱し、線圧150kg/cmで熱圧着し、目付80g/m、厚さ0.11mmの抄紙不織布を製造し、分離膜支持体を得た。得られた分離膜支持体の5%伸長時応力は、MD:180N/5cm、CD:40N/5cmであった。
得られた分離膜支持体の特性は、表1に示したとおりであるが、比較例1の分離膜支持体は、ガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製のUdel(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド溶液(キャスト液)を50μmの厚みで、室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温で浸漬して5分間放置することによってポリスルホン製の分離膜を形成したところ、分離膜支持体の裏側平面よりキャスト液が内面にあり裏抜けはなかったが、分離膜表面から分離膜支持体繊維が飛び出した状態となる膜欠点が見られた。また比較例1の分離膜支持体は5%伸長時応力(CD)が50N/5cm未満であり、機械的強度についても劣るものであった。

Claims (4)

  1. 熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布が2〜5層に積層されてなることを特徴とする分離膜支持体。
  2. 積層される長繊維不織布の少なくとも1層がスパンボンド不織布であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜支持体。
  3. 少なくとも片面が平滑であることを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜支持体。
  4. 熱可塑性連続フィラメントは、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した芯鞘型繊維であり、いずれの重合体もポリエステル系重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜支持体。
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