JP2013139030A - 半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法 - Google Patents

半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法 Download PDF

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一弘 小森
Masatoshi Midorikawa
正敏 緑川
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光男 吉田
Kazuhiko Takayama
和彦 高山
Hitoshi Fujiki
均 藤木
Tsunekatsu Takeuchi
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Abstract

【課題】本発明の課題は、半透膜溶液の塗布適性、表面平滑性、非塗布面同士の接着性に優れた半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】半透膜の塗布面と非塗布面とを有する半透膜支持体において、該塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mである半透膜支持体及び該半透膜支持体を製造するための半透膜支持体の製造方法において、熱圧加工処理装置のロールの少なくとも一方が加熱され、ニップ通過時間が0.10×10−2〜12.00×10−2secである半透膜支持体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面(以下、「塗布面」という)に半透膜が設けられた形態で使用されている。
半透膜支持体に半透膜に設けられた形態は、上述したポリスルホン系樹脂等の合成樹脂を有機溶媒に溶解し、半透膜溶液を調製した後、この半透膜溶液を半透膜支持体上に塗布する方法が広く用いられている。そして、効率的に濾過を行うために、スパイラル型の半透膜エレメントが形成され、更に、半透膜モジュールが組み立てられる(例えば、特許文献1参照)。
高い濾過流束と濾過性能を得るためには、半透膜表面に凹凸が少なく、半透膜形成時の横方向湾曲やシワの発生がなく、半透膜支持体上に半透膜が均一な厚みで設けられる必要がある。そのため、半透膜支持体の塗布面には、優れた平滑性が必要とされる。そして、良好な濾過性能を得るためには、半透膜と半透膜支持体との接着性にも優れている必要がある。また、半透膜モジュールを組み立てる際に、接着剤を使って、塗布面とは反対面(以下、「非塗布面」という)同士を貼り合わせる工程があるため、この非塗布面同士の接着性に優れていることも要求されている。更に、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けしないことが要求されている。裏抜けが発生すると、半透膜の厚みが不均一になる、非塗布面同士の接着性が低下するという問題が発生するからである。
半透膜支持体として、主体繊維とバインダー繊維とを含有してなり、湿式抄造法で製造され、熱圧処理された不織布が提案されている。例えば、太い繊維を使用した表面粗度の大きな表面層(太い繊維層)と細い繊維を使用した緻密な構造の裏面層(細い繊維層)との二重構造を基本とした多層構造の不織布よりなる半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、太い繊維層を塗布面とし、細い繊維層を非塗布面とした半透膜支持体、細い繊維層を太い繊維層で挟み込み、塗布面と非塗布面の両方を太い繊維層とした半透膜支持体が記載されている。しかしながら、塗布面において、太い繊維を使用しているため、半透膜と半透膜支持体との接着性は向上するものの、平滑性が低いという問題があった。また、前者では、非塗布面に細い繊維を使用しているため、非塗布面同士の接着性が良くないという問題もあった。
引張応力が掛かった際の寸法安定性を向上させ、塗布面が平滑で、裏抜けがなく、半透膜の付着性に優れた半透膜支持体として、特定の複屈折と熱収縮応力とを持つポリエステル系繊維を用いた不織布からなる半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3の半透膜支持体は、引張応力や熱による繊維の部分的な伸縮不均一による不織布の不均一性を改良するには効果があるが、塗布面の平滑性には更なる改良が必要である。
半透膜と半透膜支持体の接着性を良くすること及び裏抜け防止を目的として、半透膜支持体の通気度やポアサイズを調整する方法が提示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、このJIS L1096に準拠した通気度は、半透膜支持体の片面から半透膜支持体内部を通過して別の片面へ透過する空気の量をもとに算出されており、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを正確に反映しているものではない。そのため、特許文献4で示された範囲の通気度を有する半透膜支持体に半透膜溶液を塗布した場合、半透膜支持体非塗布面まで半透膜溶液が裏抜けしてしまい、半透膜支持体非塗布面同士を貼り付けて半透膜モジュールを作製した場合に、接着力が低下し、濾過性能が著しく低下するという問題が発生する場合がある。また、半透膜支持体の通気性を低くする方法として、半透膜支持体を構成する繊維の繊維径を小さくする方法が提案されているが、この場合も、非塗布面の平滑性も高くなり、非塗布面同士の接着性が低下するという問題があった。
また、特許文献4では、JIS K3832に準拠したバブルポイント法による平均ポアサイズは、表面張力既知の液体を満たした半透膜支持体の下面より気体を加圧状態で噴出させ、半透膜支持体の上面に気体が通過したときの気体の圧力変化からポアサイズを求める方法であるが、これについても、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを正確に反映しているものではない。よって、特許文献4で示されている範囲のポアサイズを有する半透膜支持体に半透膜溶液を塗布した場合、裏抜けを完全に防ぐことは困難であった。
また、半透膜と半透膜支持体の接着性及び、非塗布面同士の接着性を両立することを目的に、塗布面と非塗布面の平滑性の比を調整する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、JIS P8119に準拠したベック平滑度は、ガラス製の標準面を半透膜支持体表面に所定の圧力で押し当て、その間を所定の圧力差で一定の空気量が抜けるのに要する時間を測定する方法であり、これについても、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを、正確に反映していない場合があった。
特開2001−252543号公報 特開平4−21526号公報 特許第3153487号公報 特開2002−95937号公報 国際公開第2011/049231号パンフレット
本発明の課題は、半透膜溶液が裏抜けせず、非塗布面同士の接着性に優れ、均一な厚みの半透膜を得ることができる半透膜支持体及び半透膜支持体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
1)半透膜の塗布面と非塗布面とを有する半透膜支持体において、該塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mであることを特徴とする半透膜支持体。
2)上記1)記載の半透膜支持体を製造するための半透膜支持体の製造方法において、二つのロールの組合せからなり、少なくとも一方のロールが加熱されたロールであるロールニップを有する熱圧処理装置を、シートが通過する熱圧加工処理を少なくともひとつ含み、シートが該ロールニップを通過する総時間(総ニップ通過時間)が0.10×10−2〜12.00×10−2secであることを特徴とする半透膜支持体の製造方法、
3)熱圧加工処理時に、該シートがロールニップを通過する前又は後で、該シートが加熱されたロールに接触し、該シートが熱ロールに接触する総時間(総熱ロール接触時間)と総ニップ通過時間の合計時間が、0.10×10−2〜6.00secである2)記載の半透膜支持体の製造方法、
4)加熱されたロールの温度が、バインダー繊維の融点又は軟化点に対して−50℃〜+10℃である上記2)又は3)記載の半透膜支持体の製造方法、
5)シートが、主体繊維として繊維径の異なる2種以上の繊維を含有し、かつ、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が10μm以下であり、かつ、主体繊維の平均繊維径が20μm以下である湿式抄造されたシートである上記2)〜4)のいずれかに記載の半透膜支持体の製造方法、
を見出した。
本発明の半透膜支持体は、塗布面と非塗布面とを有する半透膜支持体において、該塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mであることを特徴としていることから、非塗布面の接着性に優れた半透膜支持体を生み出すことが可能となった。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、二つのロールの組合せからなり、少なくとも一方のロールが加熱されたロールであるロールニップを有する熱圧処理装置を、シートが通過する熱圧加工処理を少なくともひとつ含み、シートが該ロールニップを通過する総時間(総ニップ通過時間)が0.10×10−2〜12.00×10−2secであることにより、塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mである半透膜支持体が得られ易くなる。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、熱圧加工処理時に、該シートがロールニップを通過する前又は後で、該シートが加熱されたロールに接触し、該シートが熱ロールに接触する総時間(総熱ロール接触時間)と総ニップ通過時間の合計時間が、0.10×10−2〜6.00secであることにより、塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mである半透膜支持体をより得られ易くすることができる。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、加熱されたロールの温度が、バインダー繊維の融点又は軟化点に対して−50℃〜+10℃であることにより、均一な半透膜を得ることができる。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、シートが、主体繊維として繊維径の異なる2種以上の繊維を含有し、かつ、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が10μm以下であり、かつ、主体繊維の平均繊維径が20μm以下である湿式抄造されたシートを熱圧加工処理することが好ましく、繊維径の異なる2種以上の主体繊維が絡み合って形成された繊維ネットワークによって、塗布面に複雑で微細な凹凸が生じるため、半透膜と半透膜支持体との剥離強度を向上させることができる。また、この繊維ネットワークによって、塗布面の平滑性も向上させることができ、均一な半透膜を得ることができる。
熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図。
本発明の半透膜支持体におけるコブ法吸水度は、JIS P8140−1976に準拠し、純水を試料として30sec接触させたときの吸水量を測定して得られる値である。本発明における検討の結果、コブ法吸水度を測定することにより、半透膜を製造する際の半透膜溶液の裏抜けをより正確に把握することが可能となり、コブ法吸水度が11.0〜40.0g/mの範囲にある半透膜支持体を使用する場合、半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜支持体の非塗布面同士の良好な接着性が得られ、かつ、接着性に優れた半透膜が得られることが明らかとなった。
本発明において、半透膜支持体塗布面のコブ法吸水度は11.0〜40.0g/mであり、好ましくは、13.0〜35.0g/mであり、更に好ましくは、15.0〜30.0g/mである。コブ法吸水度が11.0g/m未満の場合、半透膜溶液の支持体繊維間へのアンカー効果が少なく、半透膜は半透膜支持体から容易に剥離し、均一な半透膜が得られにくくなり、良好な濾過性能を得難くなる。また、コブ法吸水度が40.0g/mを超える場合、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けが発生しやすく、非塗布面同士の接着性が低下し、モジュールにした後、良好な接着性が得られず、結果として、良好な濾過性能を得難くなる。
本発明において、半透膜支持体のコブ法吸水度を11.0〜40.0g/mの範囲にする方法として、
a)半透膜支持体を構成する主体繊維の繊維径を調節する、
b)シートへの熱圧加工処理の際の総ニップ通過時間を調節する、
c)シートへの熱圧加工処理の際の総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間を調節する、
d)半透膜支持体抄紙後、熱圧加工処理の際のロール表面温度を調整する、
を、適宜単独又は組み合わせた方法を挙げることができる。
本発明において、主体繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体繊維としては、合成繊維を含有する。例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系などの繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましく使用される。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
本発明の半透膜支持体において、主体繊維として、繊維径の異なる2種以上の繊維を含有することが好ましい。繊維径の異なる2種以上の主体繊維が絡み合って形成された繊維ネットワークによって、塗布面に複雑で微細な凹凸が生じるため、半透膜と半透膜支持体との接着性を向上させることができる。また、この繊維ネットワークによって、塗布面の平滑性も向上させることができ、均一な半透膜を得ることができる。主体繊維として、繊維径が1種の繊維を含有させ、バインダー繊維として、繊維径の異なる2種以上の繊維を含有させた場合、バインダー繊維は乾燥工程や熱圧加工処理によって軟化又は溶融するため、半透膜と半透膜支持体との接着性を向上させるための繊維ネットワークに寄与することができない。
主体繊維の平均繊維径は、2.0〜20.0μmが好ましく、5.0〜20.0μmがより好ましい。また、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が10.0μm以下の場合、塗布面の平滑性をより高めることができ、膜の厚みが均一な半透膜が得られ易くなる。主体繊維の平均繊維径が2.0μm未満の場合、非塗布面同士の接着性が悪化する場合がある。主体繊維の繊維径が20.0μmを超える場合、半透膜支持体の表面に毛羽が立ちやすく、均一な厚みの半透膜が得難くなる。
本発明において、主体繊維の平均繊維径は以下の式で求められる。Nは、正の整数である。
平均繊維径=(主体繊維1の繊維径(μm)×主体繊維1の質量%+主体繊維2の繊維径(μm)×主体繊維2の質量%+主体繊維3の繊維径(μm)×主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの繊維径(μm)×主体繊維Nの質量%)/(主体繊維1の質量%+主体繊維2の質量%+主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの質量%)
主体繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、更に好ましくは4〜6mmである。繊維長が1mm未満の場合、抄紙工程にて繊維の三次元ネットワークが形成されにくく、抄紙ワイヤーからの剥離性が悪化するおそれがある。一方、繊維長が12mmを超える場合、繊維同士の絡まりや、縺れの発生により、半透膜支持体の均一性や半透膜の平滑性に悪影響を及ぼすおそれがある。主体繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、塗布面平滑性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
本発明の半透膜支持体は、バインダー繊維を含有しているが、バインダー繊維の軟化点又は溶融温度(融点)以上まで温度を上げる工程を半透膜支持体の製造工程に組み入れることで、バインダー繊維が半透膜支持体の機械的強度を向上させる。例えば、半透膜支持体を湿式抄造法で製造し、その後の乾燥工程でバインダー繊維を軟化又は溶融させることができる。なお、主体繊維は、バインダー繊維と異なり、乾燥工程において、バインダー能を発現しない繊維である。
バインダー繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組合せ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組合せ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー繊維の繊維径は、主体繊維と異なっていることが好ましいが、特に限定されない。主体繊維と繊維径が異なることで、バインダー繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体繊維と細径繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たし、更に、ヤンキードライヤー、熱風乾燥において、バインダー繊維の軟化温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程においては、半透膜支持体塗布面の平滑性をも向上させることができる。
バインダー繊維の繊維長は、特に限定されないが、繊維長が20mmを超えた場合、地合が悪化する傾向がある。バインダー繊維の断面形状は円形及びT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有することが可能である。
本発明の主体繊維とバインダー繊維の含有比率は、質量基準で、10:90〜90:10が好ましい。主体繊維の含有比率が10質量%を下回る場合、濾過膜の透過流束が低下する場合がある。主体繊維の含有比率が90質量%を超えると、半透膜支持体の機械的強度が低下して、破れやすくなる場合がある。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、スパンボンド、メルトブロー、エアレイド等の乾式法又は湿式抄造法により製造されたシートを使用することができる。特に、湿式抄造法によりシートが形成されることが好ましい。
湿式抄造法では、まず、主体繊維、バインダー繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調整されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網を有する抄紙機を用いることができる。シートは、これらの抄紙網を単独で有する抄紙機で製造された単層シートであっても良いし、同種又は異種の抄紙網をオンラインで複数組み合わせて有しているコンビネーション抄紙機によって製造された多層構造のシートであっても良い。また、シートが2層以上の多層構造のシートである場合には、コンビネーション抄紙機により、各々の抄紙網で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法で製造されたシートの他に、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法で製造されたシートであっても良い。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、シートを得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃が更に好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
本発明の半透膜支持体は、熱圧加工処理装置のロール間をニップしながら、シートを通過させて熱圧加工処理を行う。ロールの組合せとしては、金属ロール/金属ロール、金属ロール/弾性ロールが挙げられる。弾性ロールとしては、樹脂ロール、コットンロール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一方あるいは両方のロールを加熱することができる。更に、必要に応じて、熱ロールニップへの通過回数を2回以上にしても良いし、熱ロールに接触する面が変わるように、シートの表裏を逆にして、2回以上通過させても良い。
図1〜図5は、本発明において、熱圧加工で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態の例を表した概略図である。図1〜図5は、一例であり、これらに限定されるものではない。図1〜図5において、金属ロールは横縞模様、弾性ロールは点模様、金属、弾性のいずれのロールでも良い場合は斜線模様である。金属ロール、弾性ロールのいずれも加熱ロールとして使用できるが、好ましくは、金属ロール、樹脂ロールを加熱ロールとして使用する。より好ましくは、金属ロールを加熱ロールとして使用する。
図1(A)は、2本の金属ロールの組合せである。図1(B)も、2本の金属ロールの組合せであるが、ロールニップの前後で通過するシートが金属ロールに接するように通紙されている。図1(C)は、3本の金属ロールが垂直方向に組み合わされており、シートは、上のロールに抱かれるようにして、上と真ん中のロールとの間の第一のロールニップを通過した後、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第二のロールニップを通過している。図1の(D)は、金属ロール、弾性ロール、金属ロールが垂直方向に組み合わせられており、シートは、上のロールに抱かれるようにして、上と真ん中のロールとの間の第一のロールニップを通過した後、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第二のロールニップを通過している。
図2の(E)では、2本の金属ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続して設置されている。図2(F)は、2本の金属ロールからなる第一のロールニップと金属ロールと弾性ロールからなる第二のロールニップとが連続で設置されている。図2(G)は、金属ロールと弾性ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続で設置されていて、第一のロールニップで金属ロールに接した面が、第二のロールニップでは弾性ロールに接するように通紙されている。
図3(H)及び図3(I)は、2本の金属ロールからなる第一のロールニップと金属ロールと弾性ロールからなる第二のロールニップとが連続で設置されている。図3(H)では、第一のロールニップを通過したシートは、弾性ロールに添った状態で第二のロールニップを通過し、その後、金属ロールを抱くように通紙されている。図3(I)では、第一のロールニップを通過したシートは、金属ロールに添った状態で第二のロールニップを通過し、その後、弾性ロールを抱くように通紙されている。図3(J)及び図3(K)は、金属ロールと弾性ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続で設置されている。図3(J)では、第一のロールニップを通過したシートは、弾性ロールに添った状態で第二のロールニップを通過し、その後、金属ロールを抱くように通紙されている。また、第一のロールニップで金属ロールに接した面が、第二のロールニップでも金属ロールに接するように通紙されている。図3(K)では、第一のロールニップを通過したシートは、金属ロールに添った状態で第二のロールニップを通過し、その後、弾性ロールを抱くように通紙されている。また、第一のロールニップで金属ロールに接した面が、第二のロールニップでは弾性ロールに接するように通紙されている。
図4(L)及び図4(M)では、金属ロール、金属又は弾性ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続で設置されている。図4(L)では、上の金属ロールに添った状態で第一のロールニップを通過したシートは、下の金属又は弾性ロールを抱くように通紙され、その後、第二のロールニップを通過している。図4(M)では、上の金属ロールに添った状態で第一のロールニップを通過したシートは、下の金属又は弾性ロールを抱くように通紙され、その後、金属又は弾性ロールに添った状態で第二のロールニップを通過し、その後、金属ロールを抱くように通紙されている。
図5(N)では、金属ロール、金属又は弾性ロール及び金属又は弾性ロールが垂直方向に組み合わせられた第一の装置と、金属又は弾性ロール、弾性ロール及び金属又は弾性ロールが垂直方向に組み合わせられた第二の装置とが、連続で設置されている。シートは、第一の装置において、上と真ん中のロールとの間の第一のロールニップを通過した後、第二の装置において、上と真ん中のロールとの間の第二のロールニップを通過し、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第三のロールニップを通過し、下のロールに抱かれるように通紙されている。図5(O)及び(P)では、金属又は弾性ロール、金属ロール及び金属又は弾性ロールが垂直方向に組み合わせられた第一及び第二の装置が、連続で設置されている。図5(O)では、シートは、第一の装置において、上のロールに抱かれるようにして、上と真ん中のロールとの間の第一のロールニップを通過し、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第二のロールニップを通過した後、第二の装置において、ニップ圧力の掛かっていない上と真ん中のロールとの間を通過し、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第三のロールニップを通過し、下のロールに抱かれるように通紙されている。図5(P)では、シートは、第一の装置において、上のロールに抱かれるようにして、上と真ん中のロールとの間の第一のロールニップを通過し、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第二のロールニップを通過した後、第二の装置において、上と真ん中のロールとの間の第三のロールニップを通過し、真ん中のロールに抱かれ、真ん中と下のロールとの間の第四のロールニップを通過し、下のロールに抱かれるように通紙されている。
図6(Q)では、金属ロールと金属又は弾性ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続で設置されていて、第一のロールニップで金属ロールに接した面が、第二のロールニップでは金属又は弾性ロールに接するように通紙されている。なお、第一ロールニップにおいて、シートを金属ロールに一定距離抱かせた上で、シートを金属ロールから離すことなくニップした後、第二ロールニップにおいても、シートを金属ロールに一定距離抱かせてから、シートを金属ロールから離すことなくニップするように通紙されている。図6(R)では金属ロールと金属又は弾性ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続で設置されていて、第一のロールニップで金属ロールに接した面が、第二のロールニップでは金属又は弾性ロールに接するように通紙されている。なお、第一ロールニップにおいて、シートを金属ロールに抱かせずにニップした後、シートを金属ロールから離すことなく一定距離抱かせた上で、第二ロールニップにおいても、シートを金属ロールに抱かせずにニップした後、シートを金属ロールから離すことなく一定距離抱かせるように通紙されている。
熱圧加工処理においては、ロールの表面温度、ロール間のニップ圧力、シートの加工速度、加圧時間を制御することによって、所望の半透膜支持体を得ることができるが、半透膜支持体のコブ法吸水度を好適な範囲とするには、実際にシートへ圧力が加わる時間である「総ニップ通過時間」の制御が重要となる。総ニップ通過時間は0.10×10−2〜12.00×10−2secであり、好ましくは、0.20×10−2〜10.00×10−2secであり、更に好ましくは、0.25×10−2〜3.00×10−2secである。総ニップ通過時間が0.10×10−2secより短いと、コブ法吸水度が40.0g/mを超える場合があり、総ニップ通過時間が12.00×10−2secを超えると、コブ法吸水度が11.0g/m未満となる場合がある。なお、ひとつのロールニップにおけるニップ通過時間(sec)は、ニップ幅(mm)を加工速度(m/min)で除した値(min)を秒単位に換算した値として示される。ニップ幅bは下式(Herz式)で定義される。
b(mm)=2×{4P/π×1/(1/r1+1/r2)}1/2×{(1−v1)/E1+(1−v2)/E2}1/2
上式中のPはロール間のニップ圧力(N/cm)、r1及びr2はロールニップを構成するロールの半径、E1及びE2はロールの弾性率、v1及びv2はロールのポアソン比を示す。一般的な熱圧加工条件であるロール表面温度、ロール間のニップ圧力、加工速度に加え、ロール半径やロール弾性率を適正化することによって、好適なコブ法吸水度を有する半透膜支持体を実現することができる。なお、本発明において、「総ロールニップ時間」は、二つのロールの組合せからなり、少なくとも一方のロールが加熱されたロールであるロールニップを通過する総時間であり、ロールニップの通過を2回以上行う場合には、各ロールのニップ通過時間を足し算した和として得られ、これを0.10×10−2〜12.00×10−2secの範囲に調整する。
半透膜支持体のコブ法吸水度を好適な範囲とするには、「総ニップ通過時間」の調整だけではなく、熱ロールがシートへ熱を与える総時間である「総熱ロール接触時間」と「総ニップ通過時間」との合計時間を調整することが好ましい。「熱ロール」とは、ロールニップを構成するロールのうち、加熱されたロールである。「総熱ロール接触時間」とは、シートが熱ロールに直接接触する時間の総合計である。熱ロール接触時間には、ニップ通過時間は含まれない。
総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間は、0.10×10−2〜6.00×secが好ましく、0.10×10−2〜5.00secがより好ましく、1.00×10−2〜2.00secが更に好ましい。総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間が0.10×10−2secより短いと、コブ法吸水度が40.0g/mを超える場合がある。総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間が6.00secを超えると、コブ法吸水度が11.0g/m未満となる場合がある。
ひとつのロールニップにおいて、「熱ロール接触時間」(sec)は、シートが熱ロールに接触する「熱ロール接触距離」l(mm)を「加工速度」(m/min)で除した値(min)を秒単位に換算した値として示される。本発明では、シートがロールニップでニップされる前後にシートを熱ロールへ接触させる場合がある。シートを熱ロールへ接触させてからニップするまでの「ニップ『前』熱ロール接触距離」と、ニップ後にシートが熱ロールから離れるまでの「ニップ『後』熱ロール接触距離」について、図1〜5を用いて説明する。図1〜5において図示されている「ニップ前熱ロール接触距離」と「ニップ後熱ロール接触距離」は、それぞれの熱ロールにおける円周の1/2であるが、図1〜5は一例であり、シートを熱ロールへ接触させる距離と方法は、これらに限定されるものではない。ひとつのロールニップにおける「熱ロール接触距離」l(mm)は、「ニップ前熱ロール接触距離」(mm)と「ニップ後熱ロール接触距離」(mm)の合計距離である。図1〜5において、ニップ前後にシートを熱ロールへ接触させる場合の「熱ロール接触距離」l(mm)は、下式で示される。
l(mm)=(r3×2×π)/2+(r4×2×π)/2
上式中のr3及びr4は、それぞれ、ロールニップ前後に接触した熱ロールのロール半径(mm)を示す。なお、熱ロールへの接触を伴うロールニップへの通過が1回である場合、このひとつのロールニップにおける「熱ロール接触時間」が「総熱ロール接触時間」となるが、熱ロールへの接触を伴うロールニップの通過を2回以上行う場合には、各ロールニップにおける「熱ロール接触時間」を足した和が「総熱ロール接触時間」である。そして、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間との合計時間を0.10×10−2〜6.00secの範囲に調整することが好ましい。
熱圧加工に用いるロールの表面温度は、バインダー繊維の融点又は軟化点に対して−50℃〜+10℃であることが好ましく、−30℃〜±0℃がより好ましい。ロール温度の表面温度を、シートに含まれるバインダー繊維の融点又は軟化温度より50℃を超えて低くすると、毛羽立ちが発生しやすくなる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。一方、ロールの表面温度を、10℃を超えて高くすると、金属ロールに繊維の溶融分が付着して、半透膜支持体が不均一になる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。なお、繊維の融点又は軟化点は、DSC(示差走査熱量計)によって、温度範囲25〜300℃、昇温速度10℃/minの条件で測定して求めた。
ロールのニップ圧力は、好ましくは190〜3000N/cmであり、より好ましくは390〜2000N/cmである。加工速度は、好ましくは5〜200m/minであり、より好ましくは10〜100m/minである。
ロールニップを構成する2本のロールの半径は同一でも、異なっていても良い。ロール半径は50〜1500mmが好ましく、より好ましくは100〜800mmである。ロール半径が50mm未満の場合、所望の厚みが得られにくくなり、一方、ロール半径が1500mmを超えると、表面温度のコントロールが困難になる。
ロールの弾性率は、4kN/cm〜22000kN/cmが好ましく、200kN/cm〜21000kN/cmが好ましい。ロールの弾性率が4kN/cm未満だと、ロール表面が変形して所望の厚みが得られにくくなり、一方、弾性率が22000kN/cmを超えると、ロール表面が硬すぎてシートがシワになるおそれがある。
本発明の半透膜支持体は、各層の繊維配合が同一である多層構造であっても良く、繊維配合の異なる層が積層されてなる多層構造であっても良い。この場合、各層の坪量が下がることにより、スラリーの繊維濃度を下げることができるため、シートの地合が良くなり、その結果、塗布面の平滑性や均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。更に、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上する。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20〜150g/mが好ましく、より好ましくは50〜100g/mである。20g/m未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.50〜1.00g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.60〜0.90g/cmである。半透膜支持体の密度が0.50g/cm未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、1.00g/cmを超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜のライフが短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、60〜150μmであることが好ましく、70〜130μmであることがより好ましく、80〜120μmであることが更に好ましい。半透膜支持体の厚みが150μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、60μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜のライフが短くなる場合がある。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を20質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m、主体繊維の質量平均繊維径9.2μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.89mm、加工速度20m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、上の金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例2)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(E)に示すような、2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、両金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.89mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、上の金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例3)
実施例1で湿式抄造したシートを、図4(M)に示すような、2本の金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅0.85mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例4)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(B)に示すような、2本の金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)の組合せのカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.51mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例5)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅5.75mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例6)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率600kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅3.74mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例7)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率240kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅9.73mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例8)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率240kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅9.73mm、加工速度10m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例9)
実施例1で湿式抄造したシートを、図4(M)に示すような、金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径150mm、弾性率440kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力1000N/cm、ニップ幅2.81mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例1)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(B)に示すような、2本の金属ロール(半径120mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.46mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例2)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(E)に示すような、2本の金属ロール(半径200mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、両金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.59mm、加工速度80m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例3)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率220kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅10.16mm、加工速度10m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例10)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維配合を繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量75g/m、主体繊維の質量平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(B)に示すような2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)の組合せのカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力1600N/cm、ニップ幅1.26mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例11)
実施例10で湿式抄造したシートを、図4(M)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率260kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅9.35mm、加工速度60m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例12)
実施例10で湿式抄造したシートを、図4(M)に示すような、金属ロール(半径200mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径200mm、弾性率440kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を245℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅2.90mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。第一及び第二ロールニップの総ニップ通過時間は1.16×10−2secであった。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例13)
実施例10で湿式抄造したシートを、図2(E)に示すような、2本の金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.51mm、加工速度60m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、上の金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例14)
実施例10で湿式抄造したシートを、図5(P)に示すような、2本の金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一から第四のロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一から第四のロールニップとも、両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.51mm、加工速度60m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例4)
実施例10で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径600mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径600mm、弾性率240kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2000N/cm、ニップ幅10.72mm、加工速度10m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例5)
実施例10で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、2本の金属ロール(半径200mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなるカレンダー装置を用いて、両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力500N/cm、ニップ幅0.47mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、上の金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(比較例6)
実施例10で湿式抄造したシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径600mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径600mm、弾性率260kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅10.80mm、加工速度10m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例15)
傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機のコンビネーションマシンを用いて、2層構造のシートを製造した。繊維配合を繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を20質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、傾斜ワイヤー式抄紙機でZ面層の湿紙を形成した。繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を20質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網抄紙機でY面層の湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、Z面層とY面層の坪量比が1:1で、総坪量75g/m、主体繊維の質量平均繊維径12.6μmのシートを得た。なお、Y面がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
得られたシートを、図2(F)に示すような2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)の組合せ第一ロールニップと、樹脂ロール(半径450mm、弾性率300kN/cm、ポアソン比0.33)と金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一ロールニップの両金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.89mm、加工速度30m/minの条件で加工した後、第二ロールニップの金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅8.72mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例16)
主体繊維として、繊維配合を繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径24.7μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を60質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量75g/m、主体繊維の質量平均繊維径23.0μmのシートを得た。
得られたシートを、図2(G)に示すような、金属ロール(半径200mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径200mm、弾性率440kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅4.81mm、加工速度60m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例17)
実施例10で湿式抄造したシートを、図4(M)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率260kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力2200N/cm、ニップ幅9.35mm、加工速度50m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例18)
実施例10で湿式抄造したシートを、図2(E)に示すような、金属ロール(半径150mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を200℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅0.51mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例19)
実施例1で湿式抄造したシートを、図6(Q)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅5.75mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
(実施例20)
実施例1で湿式抄造したシートを、図6(R)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm、ポアソン比0.30)と樹脂ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm、ポアソン比0.33)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されているカレンダー装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度を230℃とし、ニップ圧力800N/cm、ニップ幅5.75mm、加工速度30m/minの条件で加工し、半透膜支持体を得た。なお、最初に金属ロールに触れる面を非塗布面とした。
実施例及び比較例における総ニップ通過時間、総熱ロール接触時間、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間との合計時間を表1〜7に示し、実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して以下の物性測定試験及び評価試験を行った結果を表1〜13に示した。
試験1(坪量)
JIS P8124に準拠して、坪量を測定した。
試験2(厚さ)
JIS P8118に準拠して、厚さを測定した。
試験3(コブ法吸水度)
JIS P8140−1976に準拠して、コブ法吸水度を測定した。なお、純水を試料とし、試料との接触時間は30secとした。
試験4(通気度)
通気性試験機(カトーテック株式会社製、商品名:KES−F8−AP1)を使用して、JIS L1096に示す方法で測定を行った。
試験5(平均ポア径)
PMI社製、商品名:パームポロメーターCFP−1500Aを用いて、JIS K3832、ASTM F316−86、ASTM E1294−89に準拠して測定を行い、平均ポア径を測定した。
試験6(半透膜溶液裏抜け)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン(SIGMA−ALDRICH Corporation製、質量平均分子量M<35,000、数平均分子量M<16,000、商品番号428302)のDMF溶液(濃度:22質量%)を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン膜を形成させて半透膜を作製し、半透膜の断面SEM写真を撮影して、ポリスルホンの半透膜支持体への滲み込み度合いを評価した。
◎:ポリスルホンが半透膜支持体の中心付近までしか滲み込んでいない。非常に良好なレベル。
○:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ていない。良好なレベル。
△:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に一部滲み出ている。実用上、使用可能レベル。
×:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ている。実用上、使用不可レベル。
試験7(半透膜接着性)
試験1で作製した半透膜に関して、ポリスルホン樹脂からなる半透膜と半透膜支持体間の接着度合いを、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
◎:半透膜と半透膜支持体の接着性が非常に高く、剥離できない。非常に良好なレベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜と半透膜支持体とが接着はしているが、全体的に剥離しやすい。実用上、下限レベル。
×:半透膜塗工後の水洗又は乾燥工程で剥離が発生する。使用不可レベル。
試験8(半透膜厚み均一性)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン(SIGMA−ALDRICH Corporation製、重量平均分子量M<35,000、数平均分子量M<16,000、商品番号428302)のDMF溶液(濃度:18%)を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体塗布面表面に厚み50μmのポリスルホン膜を形成させ、断面SEM写真を撮影した。その後、SEM写真で任意の場所10点における半透膜の厚みを測定し、その厚みの最大部分から最小部分の厚みの差(μm)を求めた。この差が8μm以内であれば許容範囲である。
試験9(非塗布面剥離強度)
試験1で半透膜を作製した半透膜支持体の非塗布面同士の間に、加温して溶融させた酢酸ビニル系接着剤を塗布して、直ぐに加圧して接着させた。接着後、サンプルを幅25mm、長さ200mmに裁断し、引張試験機(商品名:STA−1150テンシロン引張試験機、オリエンテック社製)を使用し、剥離角度180度、剥離速度100mm/minで接着部の剥離テストを行い、非塗布面剥離強度を評価した。
◎:剥離強度が極めて高く、半透膜支持体層内部で剥離が起こっている。
○:剥離強度が高く、接着剤と半透膜支持体間で部分的に剥離が起こっているが、大部分の剥離は半透膜支持体層内部で剥離が起こっている。
△:剥離強度がやや高く、接着剤と半透膜支持体間での剥離が起こっているが、半透膜支持体層内部でも剥離が確認される。実用上、下限レベル。
×:剥離強度が低く、全体的に接着剤と半透膜支持体の間で剥離が起こっている。使用不可レベル。
実施例1〜20の半透膜支持体は、半透膜の塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mであり、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性、半透膜厚み均一性、非塗布面接着性の評価において、実用上使用可能なレベルを達成した。
これに対して、コブ法吸水度が本発明の特定要件を満たさない比較例1〜6の半透膜支持体は、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性、半透膜厚み均一性、非塗布面剥離強度を同時に満たすものではなかった。コブ法吸水度が40.0g/mを超える比較例1、2及び5では、半透膜溶液の裏抜けが著しく劣り、非塗布面剥離強度を悪化させる結果となった。一方、コブ法吸水度が11.0g/m未満の比較例3、4及び6では、半透膜接着性が著しく低い結果となった。
実施例1〜20を比較すると、半透膜の塗布面表面のコブ法吸水度が13.0〜35.0g/mであることがより好ましく、コブ法吸水度が13.0g/m未満である実施例8及び17では、半透膜接着性がやや劣る結果となった。また、コブ法吸水度が35.0g/mを超えている実施例13では、半透膜溶液の裏抜けがやや劣る結果となった。
実施例及び比較例の比較から、総ニップ通過時間が0.10×10−2〜12.00×10−2secである実施例1〜20では、半透膜の塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mであり、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性、半透膜厚み均一性、非塗布面接着性の評価において、実用上使用可能なレベルを達成した。総ニップ通過時間が0.10×10−2sec未満である比較例1、2及び5では、コブ法吸水度が40.0g/mを超え、半透膜溶液の裏抜けが著しく劣り、非塗布面剥離強度を悪化させる結果となった。総ニップ通過時間が12.00×10−2sec超である比較例3、4及び6では、コブ法吸水度が11.0g/m未満であり、半透膜接着性が著しく低い結果となった。
実施例1〜20を比較すると、総ニップ通過時間が0.20×10−2〜10.00×10−2secである実施例1〜3、5〜7、9〜12、14〜20がより好ましく、総ニップ時間が0.20×10−2secより短い実施例4及び13では、コブ法吸水度が35.0g/mを超え、その他の実施例に比べ、半透膜溶液の裏抜けと非塗布面剥離強度がやや劣る結果となった。一方、ニップ通過時間が10.00×10−2secを超える実施例8は、コブ法吸水度が13.0g/m未満となり、その他の実施例に比べ、半透膜接着性がやや劣る結果となった。
実施例1〜20を比較すると、総ニップ通過時間は0.10×10−2〜12.00×10−2secの範囲であるものの、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間が6.00secを超える実施例17では、半透膜接着性がやや劣る結果になり、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間は0.10×10−2〜6.00secであることが好ましいことがわかる。また、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間は0.10×10−2〜5.00secであることがより好ましく、総熱ロール接触時間と総ニップ通過時間の合計時間が5.00secを超える実施例11及び12では、コブ法吸水度が15.0g/m未満となったため、半透膜接着性がやや劣る結果となった。
ロール温度の表面温度を、シートに含まれるバインダー繊維の融点又は軟化温度より50℃を超えて低くした実施例3、10℃を超えて高くした実施例12では、その他の実施例に比べ、半透膜厚み均一性がやや劣る結果となった。また、主体繊維の平均繊維径が20μmを超える実施例16でも、その他の実施例に比べ、半透膜厚み均一性がやや劣る結果となった。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。

Claims (5)

  1. 半透膜の塗布面と非塗布面とを有する半透膜支持体において、該塗布面表面のコブ法吸水度が11.0〜40.0g/mであることを特徴とする半透膜支持体。
  2. 請求項1記載の半透膜支持体を製造するための半透膜支持体の製造方法において、二つのロールの組合せからなり、少なくとも一方のロールが加熱されたロールであるロールニップを有する熱圧処理装置を、シートが通過する熱圧加工処理を少なくともひとつ含み、シートが該ロールニップを通過する総時間(総ニップ通過時間)が0.10×10−2〜12.00×10−2secであることを特徴とする半透膜支持体の製造方法。
  3. 熱圧加工処理時に、該シートがロールニップを通過する前又は後で、該シートが加熱されたロールに接触し、該シートが熱ロールに接触する総時間(総熱ロール接触時間)と総ニップ通過時間の合計時間が、0.10×10−2〜6.00secである請求項2記載の半透膜支持体の製造方法。
  4. 加熱されたロールの温度が、バインダー繊維の融点又は軟化点に対して−50℃〜+10℃である請求項2又は3記載の半透膜支持体の製造方法。
  5. シートが、主体繊維として繊維径の異なる2種以上の繊維を含有し、かつ、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が10μm以下であり、かつ、主体繊維の平均繊維径が20μm以下である湿式抄造されたシートである請求項2〜4のいずれかに記載の半透膜支持体の製造方法。
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