JP2014100625A - 半透膜支持体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、半透膜の厚み均一性が高く、半透膜溶液塗工時の断紙やシワの発生がなく、半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜と半透膜支持体の接着性が高く、非塗布面同士の接着性が高い半透膜支持体を提供することである。
【解決手段】合成繊維からなる主体繊維とバインダー繊維を含有するシートを熱圧加工処理する該半透膜支持体の製造方法において、熱圧加工処理が金属ロール/弾性ロール又は金属ロール/金属ロールの組合せからなる熱ロールニップを該シートが通過する工程を含み、該組合せの少なくとも一方の金属ロールが加熱されてなり、該シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱された一方の金属ロールに該シートを接触させ、該シートが金属ロールからそのまま離れることなく、熱ロールニップを通過することを特徴とする半透膜支持体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半透膜支持体及びその製造方法に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面(以下、「塗布面」という)に半透膜が設けられた形態で使用されている。
半透膜支持体に半透膜が設けられた形態を作製するためには、上述したポリスルホン系樹脂等の合成樹脂を有機溶媒に溶解し、半透膜溶液を調製した後、この半透膜溶液を半透膜支持体上に塗布する方法が広く用いられている。そして、効率的に濾過を行うために、スパイラル型の半透膜エレメントが形成され、さらに、半透膜モジュールが組み立てられる(例えば、特許文献1参照)。
高い濾過流束と濾過性能を得るためには、半透膜表面に凹凸が少なく、半透膜形成時の横方向湾曲やシワの発生がなく、半透膜支持体上に半透膜が均一な厚みで設けられる必要がある。半透膜が均一な厚みで設けられるには、半透膜支持体の塗布面にケバが少ないことが必要とされる。そして、良好な濾過性能を得るためには、半透膜と半透膜支持体との接着性にも優れている必要がある。また、半透膜モジュールを組み立てる際に、接着剤を使って、塗布面とは反対面(以下、「非塗布面」という)同士を貼り合わせる工程があるため、この非塗布面同士の接着性に優れていることも要求されている。さらに、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けしないことが要求されている。裏抜けが発生すると、半透膜の厚みが不均一になる、非塗布面同士の接着性が低下するという問題が発生するからである。
半透膜支持体として、主体繊維とバインダー繊維とを含有し、湿式抄造法で製造され、熱圧加工処理された不織布が提案されている。例えば、太い繊維を使用した表面粗度の大きな表面層(太い繊維層)と細い繊維を使用した緻密な構造の裏面層(細い繊維層)との二重構造を基本とした多層構造の不織布よりなる半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、太い繊維層を塗布面とし、細い繊維層を非塗布面とした半透膜支持体、及び細い繊維層を太い繊維層で挟み込み、塗布面と非塗布面の両方を太い繊維層とした半透膜支持体が記載されている。しかしながら、塗布面において、太い繊維を使用しているため、半透膜と半透膜支持体との接着性は向上するものの、塗布面に太くて剛直なケバが多くなり、半透膜塗布時にケバが半透膜を突き破って半透膜が均一な厚みにならないという問題があった。ケバの発生を抑制するために熱圧加工時の圧力を上げた場合には、半透膜支持体の表面密度が上昇し過ぎ、半透膜と半透膜支持体の接着性が低下する場合があった。
半透膜と半透膜支持体の接着性を良くすること及び裏抜け防止を目的として、半透膜支持体のフラジール(FG)通気度やポアサイズを調整する方法が提示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このJIS L1096に準拠したFG通気度は、半透膜支持体の片面から半透膜支持体内部を通過して別の片面へ透過する空気の量をもとに算出されており、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを正確に反映しているものではない。そのため、特許文献4で示された範囲のFG通気度を有する半透膜支持体に半透膜溶液を塗布した場合、半透膜支持体非塗布面まで半透膜溶液が裏抜けしてしまい、半透膜支持体非塗布面同士を貼り付けて半透膜モジュールを作製した場合に、半透膜支持体の非塗布面同士の接着力が低下し、濾過性能が著しく低下するという問題が発生する場合があった。また、半透膜支持体の通気性を低くする方法として、半透膜支持体を構成する繊維の繊維径を小さくする方法が提案されているが、この場合は非塗布面の平滑性が高くなり、非塗布面同士の接着性が低下するという問題があった。
また、特許文献3におけるJIS K3832に準拠したバブルポイント法による平均ポアサイズは、表面張力既知の液体を満たした半透膜支持体の下面より気体を加圧状態で噴出させ、半透膜支持体の上面に気体が通過したときの気体の圧力変化からポアサイズを求める方法であるが、これについても、塗布面の表面に塗布された半透膜溶液の非塗布面への裏抜けを正確に反映しているものではない。よって、特許文献3で示されている範囲のポアサイズを有する半透膜支持体に半透膜溶液を塗布した場合、裏抜けを完全に防ぐことは困難であった。
半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜の厚みが均一になる程度に半透膜支持体の塗布面が平滑であり、半透膜の付着性に優れ、引張応力が掛かった際の寸法安定性を向上させた半透膜支持体として、5%伸長時の縦方向(MD)及び横方向(CD)の裂断長の平均値(以下「平均裂断長(5%伸長時)」という)が4.0km以上であり、FG通気度が0.20〜10.00cc/cm・秒である不織布からなる半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この半透膜支持体は、強度が高く、伸びが小さい不織布である。そのため、この半透膜支持体を作製するためには、複屈折(Δn)が高く、特定の熱収縮応力を有するポリエステル系繊維を用いる必要がある。また、裂断長を高めるためには、熱圧処理工程において、不織布に与える熱や圧力を高める必要があり、引張応力や熱による繊維の部分的な伸縮不均一による不織布の不均一性を改良する効果はあるものの、不織布の厚み方向全てに熱・圧力が過剰に加わってしまい、不織布に含まれるバインダー繊維が過剰に溶融して、空隙が減少し過ぎ、半透膜と半透膜支持体の接着性が低下する問題や、半透膜溶液塗工後に温水に浸漬させた場合に半透膜支持体が収縮してシワが発生する問題が残っていた。
半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜と半透膜支持体の接着性が高く、非塗布面同士の接着性も高く、半透膜溶液塗工後にシワが発生しない半透膜支持体を作製することを目的に、塗布面と非塗布面の平滑性の比を調整しつつ、半透膜支持体を構成する不織布の平均裂断長(5%伸長時)を4.0km未満とし、半透膜支持体を90℃湯浴に10分間浸した前後の横方向(CD)の加熱寸法変化率を−0.30〜+1.00%とした半透膜支持体が提案されている(例えば、特許文献5参照)。本提案内容に基づけば、半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜と半透膜支持体の接着性が高く、非塗布面同士の接着性も高く、半透膜塗工後にシワが発生しない半透膜支持体を得ることは可能であったが、熱圧加工条件によっては半透膜支持体の表面にケバが多くなって半透膜の厚みが不均一になる場合や、半透膜支持体の引張強度が低くなって、半透膜塗布前に半透膜支持体が断紙したり、シワが発生したりする場合があった。
特開2008−238147号公報 特公平4−21526号公報 特許第3153487号公報 特開2002−95937号公報 特開平10−225630号公報 国際公開第2011/049231号パンフレット
本発明の課題は、半透膜の厚み均一性が高く、半透膜溶液塗工時の断紙やシワの発生がなく、半透膜溶液の裏抜けがなく、半透膜と半透膜支持体の接着性が高く、非塗布面同士の接着性が高い半透膜支持体を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
1)合成繊維からなる主体繊維とバインダー繊維を含有するシートを熱圧加工処理する該半透膜支持体の製造方法において、熱圧加工処理が金属ロール/弾性ロール又は金属ロール/金属ロールの組合せからなる熱ロールニップを該シートが通過する工程を含み、該組合せの少なくとも一方の金属ロールが加熱されてなり、該シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱された一方の金属ロールに該シートを接触させ、該シートが金属ロールからそのまま離れることなく、熱ロールニップを通過することを特徴とする半透膜支持体の製造方法、
2)該シートが加熱された金属ロールに接触し、熱ロールニップを通過するまでの接触時間が0.10〜1.20秒である上記1)記載の半透膜支持体の製造方法、
3)熱ロールニップを通過する前に、該シートが接触する金属ロールの温度が、バインダー繊維の結着温度に対して−60〜−30℃である上記1)又は2)記載の半透膜支持体の製造方法、
4)主体繊維とバインダー繊維の割合が質量基準で60:40〜75:25である上記1)〜3)のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法、
5)該シートが、長網、円網、傾斜ワイヤーから選ばれる1種の抄紙網を有する抄紙機によって製造された単層シート、又は、前記抄紙網から選ばれる同種又は異種の抄紙網を複数組み合わせて有するコンビネーション抄紙機によって製造された多層構造のシートである上記1)〜4)のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法、
6)上記1)〜5)のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法によって製造されてなる半透膜支持体、
を見出した。
本発明の半透膜支持体の製造方法は、熱圧加工処理時に金属ロール/弾性ロール又は金属ロール/金属ロールの組合せからなる熱ロールニップを半透膜支持体のシートが通過する工程を含み、該組合せの少なくとも一方の金属ロールが加熱されてなり、該シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱されたどちらか一方の金属ロールに該シートを一定時間接触させ、該シートを金属ロールからそのまま離すことなく、熱ロールニップを通過させることを特徴としていることから、熱圧加工時の圧力を過剰に上げることなく、半透膜支持体表面のケバを著しく減少させることができるようになった。ケバを著しく減少させることができるようになったことにより、半透膜塗布時に半透膜の厚み均一性を高めることが可能となっただけでなく、熱圧加工時に圧力を過剰に上げなくてもケバを減少させることができるため、半透膜支持体の空隙が減少し過ぎることを防ぐことが可能になった。これにより、半透膜溶液が半透膜支持体に浸透しやすくなり、半透膜と半透膜支持体の接着性を高めることが可能となった。また、本発明により、半透膜支持体の引張強度も高めることができるようになったため、半透膜支持体の引張強度不足に起因する半透膜溶液塗工時の断紙やシワ発生を防ぐことが可能となった。
本発明の半透膜支持体の製造方法において、シートが加熱された金属ロールに接触し、熱ロールニップを通過するまでの接触時間が0.10〜1.20秒であることにより、引張強度が高くなって、半透膜溶液塗工時に半透膜支持体の断紙やシワが発生することを防ぐことが可能となるだけでなく、半透膜溶液を塗布する上で適正なFG通気度となることで、半透膜溶液の裏抜けを防ぐことができ、かつ、半透膜支持体表面のケバが著しく減少することで、半透膜の厚み均一性を向上させることが可能となる。
本発明の半透膜支持体の製造方法において、熱ロールニップを通過する前に、シートが接触する金属ロールの温度が、バインダー繊維の結着温度に対して−60〜−30℃であることにより、ケバの発生を抑制し、引張強度を高め、優れた平滑性を保ち、バインダー繊維の過剰溶融を防いで、半透膜支持体の空隙が減少し過ぎることを防ぎ、半透膜と半透膜支持体の接着性を高めることが可能となった。
さらに、主体繊維とバインダー繊維の割合が質量基準で60:40〜75:25であることにより、半透膜溶液が裏抜けしにくく、半透膜−半透膜支持体の接着性が高く、非塗布面同士の接着性にも優れた半透膜支持体を生み出すことが可能となった。
熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図である。 熱圧加工処理で使用されるロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図である。
本発明の半透膜支持体の製造方法は、熱圧加工処理時に金属ロール/弾性ロール又は金属ロール/金属ロールの組合せからなる熱ロールニップを半透膜支持体のシートが通過する工程を含み、該組合せの少なくとも一方の金属ロールが加熱されてなり、該シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱された金属ロール(以下、「熱ロール」と略記する場合がある)に該シートを一定時間接触させ、該シートを金属ロールからそのまま離すことなく、熱ロールニップを通過させることを特徴としている。該シートが加熱された金属ロールに接触し、熱ロールニップを通過するまでの接触時間(以下、「ニップ前金属ロール接触時間」と記す場合がある)は、好ましくは0.10〜1.20秒であり、より好ましくは0.20〜1.00秒であり、さらに好ましくは、0.30〜0.80秒である。ニップ前金属ロール接触時間が0.10秒よりも短い場合、引張強度が小さくなる場合や、FG通気度が高くなり過ぎる場合がある。引張強度の低下により、半透膜溶液塗工時に半透膜支持体の断紙やシワが発生しやすくなることがあり、FG通気度が高くなり過ぎることで、半透膜溶液の裏抜けが発生しやすくなることがある。また、ニップ前金属ロール接触時間が1.20秒を超えると、半透膜支持体表面のケバが著しく多くなる場合があるだけでなく、引張強度が著しく低下する場合や、FG通気度が高くなり過ぎる場合がある。ケバが多くなることにより、半透膜の厚み均一性が低下する場合があり、引張強度が低下することで、半透膜溶液塗工時に半透膜支持体の断紙やシワが発生しやすくなる場合があり、FG通気度が高くなり過ぎることで、半透膜溶液の裏抜けが発生しやすくなる場合がある。
本発明において、主体繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体繊維としては、合成繊維を使用することが好ましい。例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系等の繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましく使用される。ポリエステル系繊維としては、配向結晶化させた延伸ポリエステル繊維がより好ましく使用される。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
本発明の半透膜支持体において、主体繊維として、繊維径の異なる2種以上の繊維を含有することが好ましい。繊維径の異なる2種以上の主体繊維が絡み合って形成された繊維ネットワークによって、塗布面に複雑で微細な凹凸が生じるため、半透膜と半透膜支持体との接着性を向上させることができる。また、この繊維ネットワークによって、塗布面の平滑性も向上させることができ、均一な半透膜を得ることができる。主体繊維として、繊維径が1種の繊維を含有させ、バインダー繊維として、繊維径の異なる2種以上の繊維を含有させた場合、バインダー繊維は乾燥工程や熱圧加工処理によって軟化又は溶融するため、半透膜支持体の平滑性が高くなり過ぎることがあり、半透膜と半透膜支持体との接着性を向上させるための繊維ネットワークに寄与することができなくなる場合がある。
主体繊維の平均繊維径は、7.0〜20.0μmであることが好ましく、8.0〜16.0μmであることがより好ましい。また、少なくとも1種の主体繊維の繊維径が13.0μm以下の場合、塗布面の平滑性をより高めることができ、膜の厚みが均一な半透膜が得られ易くなる。主体繊維の平均繊維径が7.0μm未満の場合、半透膜溶液塗布面と支持体の剥離強度が低下する場合や、非塗布面同士の接着性が悪化する場合がある。主体繊維の平均繊維径が20.0μmを超える場合、半透膜支持体の表面の平滑性が失われて、均一な厚みの半透膜が得難くなるだけでなく、FG通気度が高くなり過ぎて、半透膜溶液塗工時に裏抜けが発生する場合がある。
本発明において、主体繊維の平均繊維径は以下の式で求められる。Nは、正の整数である。
平均繊維径=(主体繊維1の繊維径(μm)×主体繊維1の質量%+主体繊維2の繊維径(μm)×主体繊維2の質量%+主体繊維3の繊維径(μm)×主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの繊維径(μm)×主体繊維Nの質量%)/(主体繊維1の質量%+主体繊維2の質量%+主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの質量%)
主体繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、さらに好ましくは4〜6mmである。繊維長が1mm未満の場合、抄紙工程にて繊維の三次元ネットワークが形成されにくく、抄紙ワイヤーからの剥離性が悪化するおそれがある。一方、繊維長が12mmを超える場合、繊維同士の絡まりや縺れの発生により、半透膜支持体の均一性や半透膜の平滑性に悪影響を及ぼすおそれがある。主体繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、塗布面平滑性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
本発明の半透膜支持体は、バインダー繊維を含有しているが、バインダー繊維の軟化点又は溶融温度(融点)付近まで温度を上げる工程を半透膜支持体の製造工程に組み入れることで、バインダー繊維が半透膜支持体の機械的強度を向上させ、ケバの発生を抑制する。本発明において、バインダー繊維が軟化又は溶融して、バインダー能を発現する温度を「結着温度」と称する。例えば、半透膜支持体を湿式抄造法で製造し、その後の乾燥工程でバインダー繊維を軟化又は溶融させることができる。主体繊維は、バインダー繊維と異なり、乾燥工程において、バインダー能を発現しない繊維である。
バインダー繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組合せ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組合せ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組合せ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー繊維の繊維径は、主体繊維と異なっていることが好ましいが、特に限定されない。主体繊維と繊維径が異なることで、バインダー繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たし、さらに、ヤンキードライヤー、熱風乾燥において、バインダー繊維の軟化温度又は溶融温度付近まで温度を上げる工程においては、半透膜支持体塗布面の平滑性をも向上させることができる。
バインダー繊維の繊維長は、特に限定されないが、繊維長が20mmを超えた場合、地合が悪化する傾向がある。バインダー繊維の断面形状は円形及びT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有することが可能である。
本発明の主体繊維とバインダー繊維の含有比率は、質量基準で、60:40〜75:25であることが好ましく、65:35〜75:25であることがさらに好ましく、65:35〜70:30であることが特に好ましい。主体繊維の含有比率が60質量%を下回る場合、バインダー繊維が多くなり、FG通気度が低くなり、半透膜の接着性が低くなったり、非塗布面の接着性が低くなったりする場合がある。主体繊維の含有比率が75質量%を超えると、半透膜支持体の機械的強度が低下して、断紙しやすくなる場合や、シワが発生しやすくなる場合がある。また、FG通気度が高くなり、半透膜溶液が裏抜けしやすくなる場合がある。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、スパンボンド、メルトブロー、エアレイド等の乾式法又は湿式抄造法により製造されたシートを使用することができる。特に、湿式抄造法によりシートが形成されることが好ましい。
湿式抄造法では、まず、主体繊維、バインダー繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調製されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網を有する抄紙機を用いることができる。シートは、これらの抄紙網を単独で有する抄紙機で製造された単層シートであっても良いし、同種又は異種の抄紙網をオンラインで複数組み合わせて有しているコンビネーション抄紙機によって製造された多層構造のシートであっても良い。また、シートが2層以上の多層構造のシートである場合には、コンビネーション抄紙機により、各々の抄紙網で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法で製造されたシートの他に、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法で製造されたシートであっても良い。
抄紙網で製造された湿紙は、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、シートが得られる。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。熱ロールの表面温度が100℃を下回る場合、抄紙機で製造された湿紙の水分が十分に蒸発せず、シートの厚み均一性が悪くなる場合があり、熱ロールの表面温度が180℃を超える場合、抄紙機で製造された湿紙が熱ロールに貼り付いて、シートの地合が悪くなる場合がある。圧力は、好ましくは5〜100kN/mであり、より好ましくは10〜80kN/mである。圧力が5kN/mを下回る場合、抄紙機で製造された湿紙の水分が十分に抜けず、シートの厚み均一性が悪くなる場合があり、100kN/mを超える場合、抄紙機で製造された湿紙が熱ロールに貼り付いて、シートの地合が悪くなる場合がある。
本発明の半透膜支持体の製造方法では、熱圧加工処理装置の熱ロール間をニップしながら、湿式抄紙法で製造されたシートを通過させて熱圧加工処理を行う。熱ロールニップの組合せとしては、金属ロール/金属ロール、金属ロール/弾性ロールが挙げられる。弾性ロールとしては、樹脂ロール、コットンロール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの組合せにおいて、一方あるいは両方のロールを加熱して使用する。さらに、必要に応じて、熱ロールニップへの通過回数を2回以上にしても良いし、熱ロールに接触する面が変わるように、シートの表裏を逆にして、2回以上通過させても良い。ニップ前金属ロール接触時間は、シートがはじめて金属ロールに接触した後に熱ロールから離れずに第一ロールニップにおいてニップされるまでの時間とし、第二ロールニップ以後の全ての熱ロールへの接触時間の総和ではない。
図1及び図2は、本発明において、熱圧加工処理で使用される熱ロールの組合せ及び配置並びにシートの通紙状態を表した概略図であるが、図1及び図2は一例であり、これらに限定されるものではない。図1及び図2において、金属ロールは横縞模様、弾性ロールは点模様である。金属ロール、弾性ロールのいずれも熱ロールとして使用できるが、本発明においては、少なくとも一方の金属ロールを加熱して使用する。
図1の(A)では、金属ロールと弾性ロールからなる第一のロールニップと金属ロールと弾性ロールからなる第二のロールニップとが連続で設置されている。図1(B)は、金属ロールと弾性ロールからなる第一のロールニップと2本の金属ロールからなる第二のロールニップとが連続で設置されている。図1(C)は、2本の金属ロールからなる第一及び第二のロールニップが連続して設置されている。図2の(D)及び図2の(E)では、金属ロールと弾性ロールからなる第一のロールニップと金属ロールと弾性ロールからなる第二のロールニップとが連続で設置されている。
図1(A)及び図1(B)及び図1(C)では、第一ロールニップ前及び第二ロールニップ前にシートを熱ロールに接触させており、シートを熱ロールに接触させた後にそのままシートを熱ロールから離すことなくニップしている。図2(D)では、第一熱ロールニップ前及び第二熱ロールニップ前にシートを熱ロールに接触させておらず、第一熱ロールニップ後及び第二熱ロールニップ後にもシートを熱ロールに接触させていない。図2(E)では、第一熱ロールニップ前及び第二熱ロールニップ前にシートを熱ロールに接触させていないが、第一熱ロールニップ後及び第二熱ロールニップ後には、シートを熱ロールに接触させている。熱ロールニップ後にシートを熱ロールに接触させる時間は、ニップ前金属ロール接触時間に含めない。
熱圧加工処理においては、シートが熱ロールニップを通過する前のニップ前金属ロール接触時間、加熱された金属ロールの表面温度、熱ロールニップにおけるニップ圧力、加工速度を制御することによって、所望の半透膜支持体を得ることができるが、ニップ前金属ロール接触時間は、該シートを金属ロールに接触させる距離(以下、「ニップ前金属ロール接触距離」と記す場合がある)と加工速度より決定される。ニップ前金属ロール接触距離と加工速度は、特に限定されないが、加工速度は、好ましくは10〜100m/minであり、より好ましくは30〜60m/minである。加工速度が10m/minを下回ると、熱圧加工処理装置の速度調整が困難になり、半透膜支持体の加工速度にムラが発生して、半透膜支持体のFG通気度が熱圧加工時の進行方法に対して変動しやすくなり、安定したFG通気度を有する半透膜支持体を得にくくなって、半透膜溶液が裏抜けする場合がある。一方、加工速度が100m/minを超えると、幅方向の厚みプロファイルが悪化する場合があり、半透膜溶液塗工時にシワが発生する場合がある。
ニップ前金属ロール接触距離は、5〜120cmが好ましく、15〜60cmが特に好ましい。ニップ前金属ロール接触距離が5cm未満である場合、加工速度を30m/minより速くすると、ニップ前金属ロール接触時間が0.10秒よりも短くなり、FG通気度が大きくなり過ぎて、半透膜溶液塗工時に裏抜けが発生する場合がある。また、ニップ前金属ロール接触距離が120cmを超えると、加工速度を80m/minより大きくしなければ、ニップ前金属ロール接触時間が1.20秒よりも大きくなり、その結果ニップ前にシートへ熱が過剰に加わりやすくなって、バインダー繊維の結着能力が低下し、ケバが非常に多くなる場合がある。そのため、加工速度を80m/minよりも上げる必要があるが、加工速度が速いと、半透膜支持体の幅方向の厚みプロファイルが悪化しやすくなるため、熱圧加工処理後の半透膜支持体を巻き取る際に、巻きシワが発生する場合がある。
熱圧加工処理に用いる熱ロールニップにおけるニップ圧力は、好ましくは50〜250kN/mであり、より好ましくは70〜180kN/mである。
熱圧加工処理に用いる熱ロールの表面温度は、バインダー繊維の結着温度に対して−60〜−30℃であることが好ましく、−60〜−40℃であることがより好ましい。熱ロール温度の表面温度を、シートに含まれるバインダー繊維の結着温度より60℃を超えて低くすると、毛羽立ちが発生しやすくなる場合があり、均一な厚みの半透膜が得にくくなる。一方、熱ロールの表面温度を、結着温度より30℃低い温度を超えて高くすると、熱ロールに繊維の溶融分が付着して、半透膜支持体の表面が不均一になる場合があり、均一な厚みの半透膜が得にくくなる。なお、繊維の結着温度(軟化点又は融点)は、DSC(示差走査熱量計)によって、温度範囲25〜300℃、昇温速度10℃/minの条件で測定して求めた。
熱ロールニップを構成する2本のロールの半径は同一でも良いし、異なっていても良い。熱ロール半径は100〜2000mmが好ましく、より好ましくは200〜1500mmである。ロール半径が100mm未満の場合、所望の熱ロールへの接触時間が得られにくくなり、一方、ロール半径が2000mmを超えると、表面温度のコントロールが困難になる。
熱ロールの弾性率は、4〜22000kN/cmが好ましく、200〜21000kN/cmが好ましい。熱ロールの弾性率が4kN/cm未満だと、熱ロール表面が変形して所望の厚みの半透膜支持体が得られにくくなる。一方、弾性率が22000kN/cmを超えると、熱ロール表面が硬すぎてシートにシワが発生するおそれがある。
本発明の半透膜支持体は、各層の繊維配合が同一である多層構造であっても良く、繊維配合の異なる層が積層されてなる多層構造であっても良い。この場合、各層の坪量が下がることにより、スラリーの繊維濃度を下げることができるため、シートの地合が良くなり、その結果、塗布面の平滑性や均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。さらに、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上する。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20.0〜150.0g/mが好ましく、より好ましくは50.0〜100.0g/mである。20.0g/m未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150.0g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.50〜1.20g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.60〜1.00g/cmである。半透膜支持体の密度が0.50g/cm未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、1.20g/cmを超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜のライフが短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、60.0〜150.0μmであることが好ましく、70.0〜130.0μmであることがより好ましく、80.0〜120.0μmであることがさらに好ましい。半透膜支持体の厚みが150.0μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜のライフが短くなってしまうことがある。一方、60.0μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜のライフが短くなる場合がある。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(坪量)
JIS P8124に準拠して、坪量を測定した。
(厚さ)
JIS P8118に準じ、厚さを測定した。
(密度)
JIS P8124に準拠して求めた坪量をJIS P8118に準じて求めた厚さで除して算出した。
(引張強度)
JIS K7127に準拠して、半透膜支持体の引張強度を測定した。試験片形状は、試験片タイプ2を用い、試験片の幅は15mmとした。
(平滑性)
JIS P8119に準じ、ベック平滑度試験機を用いて測定した。
(FG通気度)
通気性試験機(カトーテック株式会社製、商品名:KES−F8−AP1)を使用して、JIS L1096に示す方法で測定を行った。
(半透膜溶液の塗工)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の半透膜塗布面にポリスルホン(SIGMA−ALDRICH Corporation製、重量平均分子量M<35,000、数平均分子量M<16,000、商品番号428302)のDMF溶液(濃度:18%)を塗工し、水洗、乾燥を行い、半透膜塗布面表面に厚み50μmのポリスルホン膜を形成させて半透膜を作製した。
(半透膜厚み均一性)
(半透膜溶液の塗工)で得られた半透膜の断面SEM写真を撮影した。その後、SEM写真で任意の場所10点における半透膜の厚みを測定し、その厚みの最大部分から最小部分の厚みの差(μm)を求めた。この差が8μm以内であれば許容範囲である。
(非塗布面接着性)
(半透膜溶液の塗工)で半透膜を作製した半透膜支持体の非塗布面同士の間に、加温して溶融させた酢酸ビニル系接着剤を塗布して、直ぐに加圧して接着させた。接着後、サンプルを幅25mm、長さ200mmに裁断し、引張試験機(商品名:STA−1150テンシロン引張試験機、オリエンテック社製)を使用し、剥離角度180度、剥離速度100mm/minで接着部の剥離テストを行い、非塗布面接着性を評価した。
◎:剥離強度が極めて高く、半透膜支持体層内部で剥離が起こっている。
○:剥離強度が高く、接着剤と半透膜支持体間で部分的に剥離が起こっているが、大部分の剥離は半透膜支持体層内部で剥離が起こっている。
△:剥離強度がやや高く、接着剤と半透膜支持体間での剥離が起こっているが、半透膜支持体層内部でも剥離が確認される。実用上、下限レベル。
×:剥離強度が低く、全体的に接着剤と半透膜支持体の間で剥離が起こっている。使用不可レベル。
(半透膜溶液裏抜け)
(半透膜溶液の塗工)で得られた半透膜の断面SEM写真を撮影して、ポリスルホンの半透膜支持体への滲み込み度合いを評価した。
◎:ポリスルホンが半透膜支持体の中心付近までしか滲み込んでいない。非常に良好なレベル。
○:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ていない。良好なレベル。
△:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に一部滲み出ている。実用上、下限レベル。
×:ポリスルホンが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ている。実用上、使用不可レベル。
(半透膜接着性)
(半透膜溶液の塗工)で得られた半透膜に関して、ポリスルホン樹脂からなる半透膜と半透膜支持体間の接着度合いを、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
◎:半透膜と半透膜支持体の接着性が非常に高く、剥離できない。非常に良好なレベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜と半透膜支持体とが接着はしているが、全体的に剥離しやすい。実用上、下限レベル。
×:半透膜溶液塗工後の水洗又は乾燥工程で剥離が発生する。使用不可レベル。
(半透膜溶液塗工前のシワ)
(半透膜溶液の塗工)において、シワの発生を目視で観察した。
半透膜溶液塗工前のシワ評価
○:ポリスルホン塗工前の段階でシワが発生していない。
×:ポリスルホン塗工前の段階でシワが発生している。
(実施例1)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73.5g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.10秒、熱ロールニップ後にシートを熱ロールに接触させる時間(以下、「ニップ後金属ロール接触時間」と記す場合がある)を0.00秒とした条件で加工し、実施例1の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例2)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例2の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例3)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.60秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例3の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例4)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間1.20秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例4の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例5)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(B)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一ロールニップと、2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)からなる第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例5の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例6)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(C)に示すような、2本の金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)からなる第一及び第二ロールニップが連続して設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例6の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(比較例1)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(D)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.00秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、比較例1の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(比較例2)
実施例1で湿式抄造したシートを、図2(E)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.00秒、ニップ後金属ロール接触時間0.30秒の条件で加工し、比較例2の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例7)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.05秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例7の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例8)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間1.50秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例8の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例9)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度200℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例9の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例10)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度230℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例10の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例11)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度195℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例11の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例12)
実施例1で湿式抄造したシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度235℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例12の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例13)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を55質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維25質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73.1g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例13の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例14)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を40質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維40質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73.3g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例14の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例15)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を60質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維20質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73.4g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例15の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例16)
主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を35質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維45質量%を水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73.8g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例16の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
(実施例17)
傾斜ワイヤーと円網のコンビネーション抄紙機を用いて、2層構造のシートを製造した。主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、傾斜ワイヤーで湿紙を形成した。
続いて、主体繊維として、繊維配合を繊維径7.9μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、繊維径12.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を50質量%、繊維径17.5μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル系繊維を10質量%、バインダー繊維として、繊維径10.5μm、繊維長5mm、結着温度260℃の未延伸ポリエステル系バインダー繊維30質量%を水に混合分散し、円網で湿紙を形成した後、二つの湿紙を抄き合わせ、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、傾斜ワイヤー層と円網層の坪量比が1:1で、総坪量73.5g/m、主体繊維の平均繊維径12.6μmのシートを得た。なお、傾斜ワイヤー層側がヤンキードライヤーに接するように熱圧乾燥した。
得られたシートを、図1(A)に示すような、金属ロール(半径450mm、弾性率21000kN/cm)と弾性ロール(半径450mm、弾性率250kN/cm)からなる第一のロールニップと第二のロールニップとが連続で設置されている熱圧加工処理装置を用いて、第一及び第二ロールニップとも、金属ロールの表面温度220℃、ニップ圧力100kN/m、ニップ前金属ロール接触時間0.30秒、ニップ後金属ロール接触時間0.00秒の条件で加工し、実施例17の半透膜支持体を得た。なお、第一ロールニップにおいて金属ロールに触れる面を半透膜溶液の塗布面とした。
実施例及び比較例の製造条件を表1及び2に示した。また、実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して、前述の評価を行い、結果を表3及び4に示した。
Figure 2014100625
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実施例1〜17では、シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱されたどちらか一方の金属ロールに接触させた後に、該シートが金属ロールから離れることなく、熱ロールニップを通過させていることから、半透膜溶液塗工前のシワの評価において、シワの発生がなく、半透膜溶液の裏抜けが少なく、実用上使用可能なレベルを達成した。これに対して、比較例1〜2では、シートが熱ロールニップを通過する前に、金属ロールにシートを接触させることなく、熱ロールニップを通過させているため、半透膜支持体の引張強度が低くなり過ぎ、半透膜溶液塗工前のシワの評価においてシワが発生しただけでなく、半透膜溶液の裏抜けが発生した。さらに、半透膜の裏抜けが発生したことで、半透膜の厚み均一性が劣るという結果となった。
実施例1〜8、17の比較から、ニップ前金属ロール接触時間が0.10〜1.20秒である実施例1〜6、及び17では、半透膜溶液塗工前のシワの評価において、シワの発生がなく、非塗布面接着性、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性の評価においても、実用上使用可能なレベルであった。対して、ニップ前金属ロール接触時間を0.10秒より小さくした実施例7では、FG通気度が高くなったため、半透膜溶液塗工後に裏抜けが一部発生し、実用上、下限レベルであった。対して、ニップ前金属ロール接触時間を1.20秒より大きくした実施例8では、FG通気度が高くなったため、半透膜溶液塗工後に裏抜けが一部発生しただけでなく、ケバが多くなったことにより、半透膜厚み均一性がやや劣り、実用上下限レベルであった。
実施例2、9〜12の比較から、熱ロールの温度が半透膜支持体に含まれるバインダー繊維の結着温度に対して−60〜−30℃である実施例2、9〜10では、半透膜溶液塗工前のシワの評価において、シワの発生がなく、非塗布面接着性、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性の評価においても、実用上使用可能なレベルであった。熱ロール温度の表面温度を、半透膜支持体に含まれるバインダー繊維の結着温度より60℃を超えて低くした実施例11では、熱圧加工処理時にバインダー繊維が十分に溶融せず、FG通気度が高くなったため、半透膜溶液塗工後に裏抜けが一部発生しただけでなく、半透膜厚み均一性がやや劣り、実用上下限レベルであった。また、熱ロール温度の表面温度を、半透膜支持体に含まれるバインダー繊維の結着温度より30℃低い温度を超えて高くした実施例12では、バインダーが溶融し過ぎてFG通気度が低くなり、半透膜溶液塗工時に半透膜溶液が支持体内部へ十分に浸透せず、非塗布面接着性、半透膜接着性がやや低くなり、実用上下限レベルであった。
実施例2、13〜16の比較から、主体繊維とバインダー繊維の含有比率が60:40〜75:25である実施例2、13〜14では、半透膜溶液塗工前のシワの評価において、シワの発生がなく、非塗布面接着性、半透膜溶液裏抜け、半透膜接着性の評価においても、実用上使用可能なレベルであった。半透膜支持体に含まれるバインダー繊維の配合率を25質量%未満とした実施例15では、FG通気度が高くなったため、半透膜溶液塗工後に裏抜けが一部発生しただけでなく、半透膜厚み均一性がやや劣り、実用上下限レベルであった。一方、半透膜支持体に含まれるバインダー繊維の配合率を40質量%よりも大きくした実施例16では、バインダー配合量が多いためにFG通気度が低くなり、半透膜溶液塗工時に半透膜溶液が支持体内部へ十分に浸透せず、半透膜接着性が低くなっただけでなく、非塗布面の平滑性が高くなったため、非塗布面同士の接着性がやや低くなり、実用上下限レベルであった。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。

Claims (6)

  1. 合成繊維からなる主体繊維とバインダー繊維を含有するシートを熱圧加工処理する該半透膜支持体の製造方法において、熱圧加工処理が金属ロール/弾性ロール又は金属ロール/金属ロールの組合せからなる熱ロールニップを該シートが通過する工程を含み、該組合せの少なくとも一方の金属ロールが加熱されてなり、該シートが熱ロールニップを通過する前に、加熱された一方の金属ロールに該シートを接触させ、該シートが金属ロールからそのまま離れることなく、熱ロールニップを通過することを特徴とする半透膜支持体の製造方法。
  2. 該シートが加熱された金属ロールに接触し、熱ロールニップを通過するまでの接触時間が0.10〜1.20秒である請求項1記載の半透膜支持体の製造方法。
  3. 熱ロールニップを通過する前に、該シートが接触する金属ロールの温度が、バインダー繊維の結着温度に対して−60〜−30℃である請求項1又は2記載の半透膜支持体の製造方法。
  4. 主体繊維とバインダー繊維の割合が、質量基準で60:40〜75:25である請求項1〜3のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法。
  5. 該シートが、長網、円網、傾斜ワイヤーから選ばれる1種の抄紙網を有する抄紙機によって製造された単層シート、又は、前記抄紙網から選ばれる同種又は異種の抄紙網を複数組み合わせて有するコンビネーション抄紙機によって製造された多層構造のシートである請求項1〜4のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の半透膜支持体の製造方法によって製造されてなる半透膜支持体。
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KR102013810B1 (ko) * 2018-02-22 2019-08-23 국일제지 주식회사 습식공정을 이용한 수처리 필터용 분리막 지지체 제조방법 및 이에 따라 제조된 분리막 지지체
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