JP2017047333A - 半透膜支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】半透膜塗布後にピンホール等の欠点の少ない半透膜支持体を提供する。【解決手段】主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、小口径通気度の平均値が0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であることを特徴とする半透膜支持体。ここで、小口径通気度:小口径通気孔を設置した通気性試験機で測定した通気抵抗を、JIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算して得られた通気度。小口径通気度の平均値:幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度の算術平均値。Xは正の整数。小口径通気度の最大値−最小値:10箇所における小口径通気度の最大値−最小値【選択図】なし
Description
本発明は、半透膜支持体に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面(以下、「半透膜塗布面」という)に半透膜が設けられた形態で使用されている。
半透膜支持体に要求される性能としては、半透膜が均一に形成されること(半透膜均一性)、半透膜にピンホール等の欠点の発生が少ないこと(ピンホール抑制能)等が挙げられる。半透膜均一性やピンホール抑制能のために、半透膜支持体の通気性を制御することが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、半透膜支持体を構成する不織布のフラジール形通気度(JIS L 1079(1966))が0.2〜10.0cm3/cm2・sであることが必要であると記載されている。そして、通気度が0.2cm3/cm2・s未満であると、半透膜を形成するための半透膜液が低濃度、低粘度であっても、不織布中に充分に浸透せず、膜が不織布に強固に接着しなくなり、一方、通気度が10.0cm3/cm2・sを超えると、半透膜液が高濃度、高粘度であっても、不織布の裏面にまで滲出し易くなり(裏抜けが生じやすくなり)、その際に不織布の空隙内に存在する空気を巻き込んで膜構造にピンホールが発生し易くなることが記載されている。
特許文献2には、合成樹脂細繊維からなる主体繊維とバインダー繊維とからなり、抄紙後加熱加圧処理して製造される不織布である半透膜支持において、フラジール形通気度(JIS L 1096)が0.5〜7.0cm3/cm2・sであることが好ましいことが記載されている。そして、半透膜支持体の通気度が0.5cm3/cm2・s以下である場合、半透膜液の半透膜支持体への浸透が妨げられて、投錨効果による半透膜と半透膜支持体との接着強度を低下させるという問題が生じやすく、逆に、半透膜支持体の通気度が7.0cm3/cm2・s以上である場合、半透膜液の半透膜支持体への浸透が多すぎて、部分的に半透膜液が裏抜けするという問題が生じやすくなることが記載されている。
特許文献3には、半透膜支持体の通気度(JIS L 1913)としては、0.1〜5cm3/cm2・sであることが好ましいことが記載されている。そして、0.1cm3/cm2・s未満では、通気度が低すぎて膜が不織布に接着しにくくなり加工性が低下するおそれがあり、逆に、通気度が5cm3/cm2・sを超えた場合、半透膜液が不織布の裏面にまで滲出しやすくなり、膜構造にピンホールが発生しやすくなるおそれがあることが記載されている。
JIS L 1079(1966)、JIS L 1096及びJIS L 1913におけるフラジール形法で使用されるフラジール形試験機の口径直径は70mmである。フラジール形試験機は、不織布、織物、編物等の布帛の平面全体における平均的な通気性を数値化することを目的としており、口径直径70mmという大きな測定面積で測定する。このフラジール形試験機で測定した通気度が特定の数値範囲内であっても、半透膜にピンホールが形成されてしまう場合があった。
本発明の課題は、半透膜塗布後にピンホール等の欠点の少ない半透膜支持体を提供することにある。
上記課題は、下記手段によって解決された。
(1)主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、小口径通気度の平均値が0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であることを特徴とする半透膜支持体。
小口径通気度:小口径通気孔(通気穴面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を設置した通気性試験機で測定した通気抵抗を、JIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算して得られた通気度。
小口径通気度の平均値:幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度の算術平均値。Xは正の整数である。
小口径通気度の最大値−最小値:上記10箇所における小口径通気度の最大値−最小値
小口径通気度:小口径通気孔(通気穴面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を設置した通気性試験機で測定した通気抵抗を、JIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算して得られた通気度。
小口径通気度の平均値:幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度の算術平均値。Xは正の整数である。
小口径通気度の最大値−最小値:上記10箇所における小口径通気度の最大値−最小値
本発明において、半透膜支持体における小口径通気度の平均値が0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であることによって、半透膜塗布後にピンホール等の欠点の少ない半透膜支持体を提供することができる。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で使用することができる。半透膜としては、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂等の合成樹脂で構成された半透膜が挙げられる。半透膜用支持体の片面(半透膜塗布面)に、半透膜の原料となる合成樹脂を溶かした半透膜液が塗布され、凝固浴中でゲル化された後に水洗されて、微多孔膜が形成され、半透膜用支持体の半透膜塗布面に半透膜が設けられた複合体の形態(濾過膜)となる。
従来、半透膜に発生するピンホールは、半透膜支持体に存在する空隙部に半透膜液が落ち込むことによって、その部分がピンホールになると考えられてきた。しかし、多くのピンホール発生箇所の半透膜支持体を調査した結果、ピンホール発生部の半透膜支持体には、陥没、切れ目、空洞等の空隙部が無く、逆に目が詰まった、フィルム化に近い状態になっていることが確認できた。
本発明の半透膜支持体は、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる。目が詰まった、フィルム化に近い状態は、半透膜支持体中のバインダー合成繊維の溶融が進行している箇所(溶融箇所)であると考えられる。この溶融箇所に半透膜液を塗布した際に、溶融箇所と半透膜液間に残存する気泡が、凝固・水洗工程において半透膜支持体の裏面側に抜けることができず、半透膜側に向かって抜けようとするために、ピンホールが発生すると考えられる。溶融箇所は、主体繊維の隙間を溶融したバインダーによって埋められてフィルム化したような状態になっていることが、膜成分塗布時に残存した気泡が脱気できない理由と考えられる。
図1は、ピンホールが発生した濾過膜の表面に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。ピンホール発生部の半透膜が薄くなり、透けて見えることが分かる。
図2は、図1のピンホール発生部に関して、半透膜支持体から半透膜表面を剥離して、半透膜支持体に接していた面から、半透膜のピンホール発生部に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。ピンホール発生部には、半透膜成分が無く、透過光が入っていることが分かる。また、ピンホール発生部以外の部分には微小な気泡が見える。このことから、ピンホールは、大きな気泡で且つ半透膜支持体側に脱気できない場合に発生すると考えられる。
この溶融箇所におけるフィルム化したような状態を数値化することができれば、ピンホール発生を未然に防ぐことができる。ピンホールが発生しにくい半透膜支持体を得るために、半透膜支持体の通気性を制御することは、以前より行われている。通気性としては、主にJIS L 1079(1966)、JIS L 1096、JIS L 1913等に規定されているフラジール形法で測定されるフラジール通気度が使用される。フラジール形法で使用されるフラジール形試験機の口径直径は70mmである。フラジール形試験機は、不織布、織物、編物等の布帛の平面全体における平均的な通気性を数値化することを目的としているため、このように、口径直径70mmという大きな測定面積で測定する。そのため、フラジール形試験機を使用した場合には、ピンホールの原因となっている溶融箇所の存在有無を把握することは困難である。
本発明において、小口径通気度測定に用いる装置として、例えば、カトーテック社製の通気性試験機(KES−F8−AP1)を使用することができる。そして、小口径通気孔(通気穴の断面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を用いる。本願発明における小口径通気度は、口径直径8.94mmという小さな測定面積毎の通気性を数値化したものであり、ピンホールの原因となっている、溶融箇所の存在有無を、フラジール形試験機よりも正確に把握することができる。
図3は、幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度を測定したときの、第1分割域〜第X分割域における小口径通気度を示したグラフである(X=6)。各分割域における10箇所の小口径通気度の振れが大きいことが分かる。
図4は、図3と同じ半透膜支持体に関して、各分割域の中心部分において、フラジール形試験機(口径直径70mm)を用いて測定したフラジール通気度を示したグラフである。一つの分割域で一つのフラジール通気度を測定していて、小口径通気度と比較して、分割領域毎のフラジール通気度の振れは小さく、安定していることが分かる。
すなわち、幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度を測定した際に、ピンホールが発生した濾過膜の半透膜を溶剤で除去した後の半透膜支持体では、小口径通気度の振れが大きく、ピンホールは、この中の小口径通気度の低い部分で発生していることが分かった。本発明によれば、小口径通気度が口径直径8.94mmという小さな測定面積毎の通気性を数値化したものであることから、ピンホールの原因となっている、溶融箇所の存在有無を、フラジール形試験機よりも正確に把握することができる。そして、小さな測定面積毎の通気性を管理することによって、通気性不良部分を減らすことが可能となり、ピンホールの発生を抑制することが可能となった。
小口径通気度の測定は、例えば幅が106cmの半透膜支持体の場合には、幅106cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体に対し、幅方向の両端各3cmを除いて、残りの幅100cmを10cm毎に10分割し(X=10)、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度を測定する。幅が31cmの半透膜支持体の場合には、幅31cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体に対し、幅方向の両端各0.5cmを除いて、残りの幅30cmの半透膜支持体の小口径通気度を測定する。図5は、幅31cmの半透膜支持体の小口径通気度を測定する箇所を具体的に示した図である。幅方向の両端0.5cm幅を除いて、残る幅30cm、長さ10cmの半透膜支持体を、幅方向10cm毎に均等に3分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度を測定する。
本発明の半透膜支持体は、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体であり、小口径通気度の平均値が0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であることを特徴とする。小口径通気度の平均値は、0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、好ましくは、0.3〜4.0cm3/cm2・sであり、より好ましくは、0.4〜3.0cm3/cm2・sである。小口径通気度の平均値が0.3cm3/cm2・s未満の場合、半透膜液を半透膜支持体に塗布する際に、半透膜液の半透膜支持体内部への浸透度合いが低く、半透膜と半透膜支持体間のアンカー効果が得られずに、半透膜剥離という問題が起こる。一方、5.0cc/cm2・sを超えた場合、半透膜液が半透膜支持体内部への浸透しすぎてしまい、半透膜支持体の裏面にまで半透膜液が達する「裏抜け」が起こり、半透膜塗布面側に十分な量の半透膜が形成されず、膜性能の低下を招く。
本発明において、小口径通気度の最大値−最小値は、3.0cm3/cm2・s以下であり、より好ましくは、2.5cm3/cm2・s以下であり、より好ましくは2.0cm3/cm2・s以下である。小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・sを超えた場合には、その分割域における小口径通気度の振れが大きいために、バインダー合成繊維の溶融によるフィルム化が局地的に起こっている可能性が高く、フィルム化が起こっていると考えられる小口径通気度の低い部分で、気泡が半透膜支持体の裏面側にスムーズに抜けることができず、ピンホールが発生する確率が高くなる。
小口径通気度の平均値及び小口径通気度の最大値−最小値によって、熱圧加工によるバインダー合成繊維の溶融度合い、バインダー合成繊維による目詰まり度合いが均一且つ適正な度合いになっているかを把握できる。
半透膜支持体の小口径通気度の平均値を0.3〜5.0cm3/cm2・sにする方法としては、主体合成繊維の繊維径の選定、主体合成繊維とバインダー合成繊維の配合比率の調整、熱ロールによる熱圧加工条件の調整等が挙げられる。また、半透膜支持体の小口径通気度の最大値−最小値を3.0cm3/cm2・s以下にする方法としては、熱ロールによる熱圧加工時の熱ロール温度をバインダー合成繊維の融点より低くする方法、熱圧加工時のニップ圧力を低くする方法、熱ロール、樹脂ロール、コットンロールの組み合わせ等が重要となる。また、熱圧加工時の加工速度をコントロールすることによって、バインダー合成繊維の溶融度合いをある程度調整することもできる。また、バインダー合成繊維の配合率を下げることによっても調整することができる。
本発明において、主体合成繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール(polychlal)系、フェノール系等の繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましい。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
主体合成繊維の繊維径は、特に限定しないが、30μm以下である。好ましくは2〜25μmであり、より好ましくは5〜20μm、更に好ましくは7〜20μmである。2μm未満の場合、小口径通気度の最大値−最小値は小さくなるものの、半透膜液が半透膜支持体に浸透し難くなり、半透膜と半透膜支持体の接着性が悪くなる場合がある。主体合成繊維の繊維径が30μmを超えると、小口径通気度の平均値が5.0cm3/cm2・sを超える場合や、所望の半透膜の厚みを得るためには、大量の半透膜液が必要となるという問題が発生する場合や、半透膜液の裏抜けが発生する場合がある。また、不織布の表面に、主体繊維が立ちやすくなり、半透膜を貫通して半透膜の性能が低下する場合がある。
主体合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、更に好ましくは4〜7mmである。主体合成繊維の断面形状は円形が好ましく、湿式抄造工程における水への分散前の繊維における断面アスペクト比(繊維断面長径/繊維断面短径)は、1.0〜1.2未満であることが好ましい。繊維断面アスペクト比が1.2以上になると、繊維分散性が低下する場合や、繊維の絡まりやもつれの発生によって、不織布の均一性や半透膜塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。ただし、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、表面平滑性のために、繊維分散性等の他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
主体合成繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、200〜2000であることが好ましく、より好ましくは200〜1500であり、更に好ましくは280〜1000である。アスペクト比が200未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落する場合や、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化する場合がある。一方、2000を超えた場合、繊維の三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維の絡まりやもつれの発生によって、不織布の均一性や半透膜塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対する主体合成繊維の含有量は、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましく、60〜75質量%が更に好ましい。主体合成繊維の含有量が40質量%未満の場合、通液性が低下する恐れがある。また、90質量%を超えた場合、強度不足により破れる恐れがある。
本発明の半透膜支持体は、バインダー合成繊維を含有している。バインダー合成繊維の軟化点又は溶融温度(融点)以上まで温度を上げる工程を、半透膜支持体の製造方法に組み入れることで、バインダー合成繊維が半透膜支持体の強度を向上させることができる。この温度を上げる工程において、主体合成繊維は軟化又は溶融しにくく、断面形状が変化することはあるものの、繊維としての形状が損なわれることがなく、主体繊維として、半透膜支持体の骨格を形成する。例えば、不織布を湿式抄造法で製造した後の乾燥工程や熱カレンダー処理の際に、バインダー合成繊維を軟化又は溶融させることができる。
バインダー合成繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー合成繊維の繊維径は特に限定されないが、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmであり、更に好ましくは7〜12μmである。また、主体合成繊維と異なる繊維径であることが好ましく、特に、主体合成繊維よりも細い繊維径であることが好ましい。主体合成繊維と繊維径が異なることで、バインダー合成繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体合成繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たす。更に、バインダー合成繊維の軟化温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程では、半透膜支持体表面の平滑性をも向上させることができ、該工程では加圧が伴っているとより効果的である。
バインダー合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、更に好ましくは4〜7mmである。バインダー合成繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、半透膜塗布面の平滑性、非塗布面同士の接着性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
バインダー合成繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、200〜2000であることが好ましく、より好ましくは200〜1500であり、更に好ましくは300〜1000である。アスペクト比が200未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落する恐れや、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化する恐れがある。一方、2000を超えた場合、バインダー合成繊維は三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維が絡まる恐れや、もつれの発生によって、不織布の均一性や半透膜塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対するバインダー合成繊維の含有量は、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、25〜40質量%が更に好ましい。バインダー合成繊維の含有量が10質量%未満の場合、強度不足により破れる恐れがある。また、60質量%を超えた場合、通液性が低下する恐れや、熱圧加工時にフィルム化が進む恐れがある。
本発明の半透膜支持体の製造方法について説明する。本発明の半透膜支持体は、湿式抄造法によってシートが作製された後に、このシートが熱ロールによって熱圧加工される。
湿式抄造法では、まず、少なくとも主体合成繊維とバインダー合成繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調製されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙方式としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式を用いることができる。これらの抄紙方式の群から選ばれる少なくとも一つの抄紙方式を有する抄紙機、これらの抄紙方式の群から選ばれる同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用することができる。また、2層以上の多層構造の不織布を製造する場合には、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法等を用いることができる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することによって、シートを得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃が更に好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
次に、熱ロールによる熱圧加工について説明するが、本発明は下記のものに特定されない。シート熱圧加工装置(カレンダー装置)のロール間をニップしながら、シートを通過させて熱圧加工を行う。ロールの組み合わせとしては、2本の金属ロール、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとコットンロール等が挙げられる。2本のロールは、一方又は両方を加熱して、熱ロールとして使用する。その際に、熱ロールの表面温度、ロール間のニップ圧力、シートの加工速度を制御することによって、所望の半透膜支持体を得る。熱ロールの表面温度は、好ましくは150〜260℃であり、より好ましくは180〜240℃である。ロールのニップ圧力は、好ましくは190〜1800N/cmであり、より好ましくは390〜1500N/cmである。加工速度は、好ましくは4〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。熱ロールによる熱圧加工は2回以上行うことも可能であり、その場合、直列に配置された2組以上の上記のロール組み合わせを使用しても良いし、1組のロール組み合わせを用いて、2回加工しても良い。必要に応じて、シートの表裏を逆にしても良い。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20〜150g/m2が好ましく、より好ましくは50〜100g/m2である。20g/m2未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150g/m2を超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.5〜1.0g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.6〜0.95g/cm3である。半透膜支持体の密度が0.5g/cm3未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、1.0g/cm3を超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、50〜150μmであることが好ましく、60〜130μmであることがより好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。半透膜支持体の厚みが150μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、50μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロール(JR)と樹脂ロール(弾)の組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度225℃、ニップ圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、連続して、シートの第1ステージの加熱金属ロールに接した面が第2ステージの樹脂ロールに接するように、第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール表面温度225℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。
(実施例2)
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、230℃に変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
第1ステージの加熱金属ロール、第2ステージの加熱金属ロールの温度をそれぞれ230℃、230℃に変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例3)
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例4)
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長10mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長10mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例5)
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例6)
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長10mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長10mmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例7)
主体合成繊維1(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、主体合成繊維2(延伸ポリエステル系繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を35:35:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
主体合成繊維1(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、主体合成繊維2(延伸ポリエステル系繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を35:35:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、両加熱金属ロール表面温度225℃、圧力1000N/cm、加工速度40m/minの条件で熱圧加工し、半透膜支持体を得た。
(比較例1)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長10mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を50:50の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長10mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を50:50の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/m2のシートを得た。
得られたシートを、第1ステージの加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、両加熱金属ロール表面温度235℃、圧力1000N/cm、加工速度30m/minの条件で熱圧加工し、半透膜支持体を得た。
(比較例2)
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長10mmに変えた以外は、比較例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を、延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長10mmに変えた以外は、比較例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(比較例3)
主体合成繊維を延伸ポリエステル系繊維、繊維径24.7μm、繊維長10mmに変えた以外は、比較例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
主体合成繊維を延伸ポリエステル系繊維、繊維径24.7μm、繊維長10mmに変えた以外は、比較例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して、以下の測定及び評価を行い、結果を表1に示した。
測定1(小口径でのフラジール通気度の平均値)
小口径通気孔(通気穴の断面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を設置したカトーテック社製の通気性試験機(KES−F8−AP1)で通気抵抗を測定し、その通気抵抗値をJIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算し、小口径通気度を得た。
小口径通気孔(通気穴の断面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を設置したカトーテック社製の通気性試験機(KES−F8−AP1)で通気抵抗を測定し、その通気抵抗値をJIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算し、小口径通気度を得た。
幅106cmの半透膜支持体から、幅106cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体に対し、幅方向の両端各3cmを除いて、残りの幅100cmを10cm毎に均等に10分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度を測定し、10箇所の小口径通気度の算術平均値を「小口径通気度の平均値」とした。結果を表2に示す。
JIS L 1913:2010における通気性のフラジール形法の定義では、圧力差125Paになった時、そこを通過する流量をQとして、通気度を定義する。
通気量(通気度):Q=(cm3/cm2・s)
試験1で使用したKES−F8−AP1通気性試験機では、一定の流量V(m3/m2・s)を通し、この時の圧力差△P(KPa)を測定し、下記式から、通気抵抗R(KPa・s/m)を求める。
R=△P/V
圧力差が125Pa=0.125KPaである時の流量を求める。
KES−F8−AP1通気性試験機のシリンダー内の直径は4cmであり、その断面積は4πcm2であり、ピストン運動のスピードは2cm/sであるから、体積は4πcm2×2cm/sec=8πcm3/sである。
小口径通気孔における通気穴の直径は8.94mm(半径4.47mm)であり、その断面積は0.2πcm2である。
Qは単位面積当たり、単位時間当たりの流量であるから、
Q=(8πcm3/sec)/(0.2πcm2)=40(cm3/cm2・s)
Q=(8πcm3/sec)/(0.2πcm2)=40(cm3/cm2・s)
流量V(m3/m2・s)と単位を合わせると、次の式になる。
V=40(cm3/cm2・s)=40cm/s=0.4(m3/m2・s)
V=40(cm3/cm2・s)=40cm/s=0.4(m3/m2・s)
よって、通気抵抗Rは、下式で表される。
R=△P/V=0.125/0.4(KPa・s/m)
Q=K/Rとし、Kを定数とすると、Kは次式から125となる。
K=RQ=0.125/0.4(KPa・s/m)×40(cm3/cm2・s)=125
よって、Q=125/Rとなり、この式を使用して、通気性試験機で測定された通気抵抗Rの値から通気量(通気度)Qを求めた。
測定2(小口径通気度の最大値−最小値)
測定1において測定した、各分割域における10箇所の小口径通気度の最大値−最小値を「小口径通気度の最大値−最小値」とした。結果を表3に示す。
測定1において測定した、各分割域における10箇所の小口径通気度の最大値−最小値を「小口径通気度の最大値−最小値」とした。結果を表3に示す。
試験1(ピンホール評価)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の半透膜塗布面にポリスルホン樹脂のDMF溶液(濃度:18%)を塗工し、凝固、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の片面にポリスルホン膜を形成させて半透膜を作製し、各分割域において、幅10cm、長さ10cmの正方形内に存在するピンホールの個数を倍率10倍のルーペで観察して計測した。結果を表4に示す。
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の半透膜塗布面にポリスルホン樹脂のDMF溶液(濃度:18%)を塗工し、凝固、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の片面にポリスルホン膜を形成させて半透膜を作製し、各分割域において、幅10cm、長さ10cmの正方形内に存在するピンホールの個数を倍率10倍のルーペで観察して計測した。結果を表4に示す。
ピンホールの個数
0個:良好なレベル
1個:問題が発生する可能性があるレベル
2個以上:問題が発生するレベル
0個:良好なレベル
1個:問題が発生する可能性があるレベル
2個以上:問題が発生するレベル
実施例1〜7の半透膜支持体は、小口径通気度の平均値)の結果が0.3〜5.0cm3/cm2・sで、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であるため、ピンホールが少なく、良好な結果が得られた。
これに対し、比較例1〜3の半透膜支持体は、バインダー合成繊維の配合比率が高く、熱圧加工時の加熱金属ロール温度が高いため、バインダー合成繊維の局地的なフィルム化が起こり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・sを超えた。その結果、ピンホールが発生した。特に、比較例3の半透膜支持体は、主体合成繊維の繊維径が24.7μmと太いために、地合いが悪く、小口径通気度の最大値−最小値が4.0cm3/cm2・sを超えたため、ピンホールが2個以上発生する分割域が存在し、問題が発生するレベルとなった。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。
Claims (1)
- 主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、小口径通気度の平均値が0.3〜5.0cm3/cm2・sであり、小口径通気度の最大値−最小値が3.0cm3/cm2・s以下であることを特徴とする半透膜支持体。
小口径通気度:小口径通気孔(通気穴面積0.2πcm2、口径直径8.94mm)を設置した通気性試験機で測定した通気抵抗を、JIS L 1913:2010通気性のフラジール形法に換算して得られた通気度。
小口径通気度の平均値:幅「10×X」cm、長さ10cmに切り出した半透膜支持体を、幅方向に均等にX分割し、各分割域の長さ方向の中心線上において、幅方向に連続する、直径8.94mmの測定領域10箇所の小口径通気度の算術平均値。Xは正の整数である。
小口径通気度の最大値−最小値:上記10箇所における小口径通気度の最大値−最小値
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JP2018130689A (ja) * | 2017-02-17 | 2018-08-23 | 三菱製紙株式会社 | 半透膜支持体 |
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