JP2013146710A - 精密ろ過膜用半透膜支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】半透膜溶液が非塗布面に裏抜けせず、半透膜と半透膜支持体との接着性、及び半透膜支持体と樹脂フレームとの接着性が良好な精密ろ過膜用半透膜支持体を提供する。
【解決手段】半透膜の塗布面と非塗布面とを有する精密ろ過膜用半透膜支持体において、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする精密ろ過膜用半透膜支持体。
【選択図】なし
【解決手段】半透膜の塗布面と非塗布面とを有する精密ろ過膜用半透膜支持体において、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする精密ろ過膜用半透膜支持体。
【選択図】なし
Description
本発明は、精密ろ過膜用半透膜支持体に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液ろ過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面(以下、「塗布面」という)に半透膜が設けられた形態で使用されている。
これら半透膜の使用形態の一つに、膜分離活性汚泥処理法が挙げられる。膜分離活性汚泥処理法は、有機性汚水の処理に際し、処理水質が安定していることや、維持管理が容易なことから広く普及している。膜分離活性汚泥処理法では、汚水中の夾雑物を除去した後、生物処理槽(曝気槽)で活性汚泥により汚水中の有機物質を分解除去し、生物処理槽に浸漬設置した浸漬型膜分離装置で混合液を固液分離し、透過した膜ろ液を処理水として放流する。こうした膜分離装置中の半透膜として、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を膜成分とした精密ろ過膜が一般的に使用されている。こうした膜分離装置中の膜分離部は、ポリプロピレンやアクリロニトリル・スチレン・ブタジエン(ABS)樹脂等からなる樹脂フレームに、半透膜を設けた半透膜支持体を接着・固定している。接着・固定には加熱融着処理が行われるのが一般的である。しかしながら、従来の半透膜支持体はこれら樹脂フレームへの接着を考慮しておらず、接着性に劣り、フレームと半透膜支持体とが簡単に剥がれてしまう問題や、使用中に半透膜支持体がフレームから脱落するといった問題が生じている。
精密ろ過膜用半透膜支持体に要求される性能としては、樹脂フレームとの接着性以外に、塗布面の平滑性に優れ、製膜後の半透膜における凹凸が少ないこと、半透膜溶液が非塗布面(塗布面の反対側の面)に裏抜けしないこと、半透膜と半透膜支持体との接着性が良好であること、半透膜の塗布前後でカールや半透膜支持体の収縮が少ないこと等が挙げられる。
上記問題を解決するために、太い繊維を使用した表面粗度の大きな表面層(太い繊維層)と細い繊維を使用した緻密な構造の裏面層(細い繊維層)との二重構造を基本とした多層構造の不織布よりなる半透膜支持体(例えば、特許文献1参照)が提案されている。該構成とすることで、半透膜と半透膜支持体との接着性を良好に保つことは可能であるが、半透膜溶液の非塗布面への裏抜けが発生し、半透膜成分が樹脂フレームとの接着性を阻害するという問題が生じている。
特定の複屈折と熱収縮応力とを持つポリエステル系繊維を用いた不織布からなる半透膜支持体(例えば、特許文献2参照)、特定の抄紙流れ方向と幅方向の引張強度比を有する半透膜支持体(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。しかしながら、精密ろ過膜用で使用した場合、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣っている。
ポリエステル繊維からなる主体繊維と、芯鞘型ポリエステル複合繊維からなるバインダー繊維とを特定の割合で配合した半透膜支持体(例えば、特許文献4参照)が提案されている。該構成の半透膜支持体は、地合、強度に優れるものの、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣っている。
本発明の課題は、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けせず、半透膜と半透膜支持体との接着性、及び半透膜支持体と樹脂フレームとの接着性が良好な精密ろ過膜用半透膜支持体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
(1)半透膜の塗布面と非塗布面とを有する精密ろ過膜用半透膜支持体において、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする精密ろ過膜用半透膜支持体、
(2)塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであり、非塗布面の主体繊維の平均繊維径が塗布面よりも3.0〜10.0μm小さい精密ろ過膜用半透膜支持体、
(3)非塗布面のバインダー繊維配合率が、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高い精密ろ過膜用半透膜支持体、
(4)非塗布面がポリプロピレン繊維を1〜50質量%含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
(5)バインダー繊維として、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維を含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
(6)バインダー繊維として、さらに未延伸ポリエステル繊維を含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
を見いだした。
(1)半透膜の塗布面と非塗布面とを有する精密ろ過膜用半透膜支持体において、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする精密ろ過膜用半透膜支持体、
(2)塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであり、非塗布面の主体繊維の平均繊維径が塗布面よりも3.0〜10.0μm小さい精密ろ過膜用半透膜支持体、
(3)非塗布面のバインダー繊維配合率が、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高い精密ろ過膜用半透膜支持体、
(4)非塗布面がポリプロピレン繊維を1〜50質量%含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
(5)バインダー繊維として、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維を含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
(6)バインダー繊維として、さらに未延伸ポリエステル繊維を含有する精密ろ過膜用半透膜支持体、
を見いだした。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体は、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする。該構成とすることで、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けせず、半透膜と半透膜支持体との接着性、及び半透膜支持体と樹脂フレームとの接着性が良好な精密ろ過膜用半透膜支持体を生み出すことが可能となった。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体は、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、好ましくは45.0〜65.0g/m2であり、より好ましくは50.0〜65.0g/m2である。本発明における吸水度(以下、「吸水度」と略す場合がある)は、水の接触時間が15秒のときの値である。塗布面の吸水度が40.0g/m2より小さいと、半透膜溶液の半透膜支持体への浸透が少なくなり、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣る。70.0g/m2より大きいと、半透膜溶液の半透膜支持体への浸透が多くなり、裏抜けが発生する。非塗布面の吸水度は、塗布面よりも10.0g/m2以上小さく、好ましくは15.0g/m2以上小さく、より好ましくは20.0g/m2以上小さい。塗布面と非塗布面の吸水度の差が10.0g/m2より小さいと、半透膜溶液の裏抜けが発生する。非塗布面の吸水度は、あまり小さすぎると、半透膜溶液の半透膜支持体厚み方向の浸透が起こりにくくなり、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣る場合や、樹脂フレームと半透膜支持体を熱接着した際の接着性が劣る場合がある。非塗布面の吸水度は、好ましくは5.0g/m2以上であり、より好ましくは10.0g/m2以上であり、特に好ましくは20.0g/m2以上である。
本発明において、吸水度を上記範囲に規定する方法としては、塗布面、非塗布面の繊維配合を変更する方法、原布製造後、後工程の熱カレンダー処理時の処理条件を変更する方法等が挙げられる。吸水度のコントロールのしやすさ、製造安定性から、塗布面、非塗布面の繊維配合を変更する方法を行うのが好ましい。繊維配合を変更する方法としては、例えば、使用する主体繊維の平均繊維径を変更する方法、バインダー繊維の配合率を変更する方法、ポリオレフィン繊維等の疎水性繊維を配合する方法等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。塗布面と非塗布面の繊維配合を変更する場合、半透膜支持体は2層以上の構成となる。
使用する主体繊維の平均繊維径を変更する方法としては、塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであり、非塗布面の主体繊維の平均繊維径が塗布面よりも3.0〜10.0μm小さいことが好ましい。主体繊維の平均繊維径を上記範囲とすることで、吸水度を本発明の範囲に規定することが行いやすくなる。塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0μmより小さいと、塗布面の吸水度が40.0g/m2より小さくなりやすく、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣りやすい。平均繊維径が22.0μmより大きいと、塗布面の吸水度が70.0g/m2よりも大きくなりやすく、塗布面の平滑性に劣りやすく、半透膜溶液の裏抜けが発生する場合がある。塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径は、より好ましくは15.0〜20.0μmであり、さらに好ましくは15.0〜18.0μmである。
非塗布面の主体繊維の平均繊維径は塗布面より小さいことが、塗布面及び非塗布面の吸水度を本発明の範囲内に規定し、半透膜と半透膜支持体の接着性を確保しつつ、半透膜溶液の裏抜け防止の観点より好ましい。塗布面と非塗布面の平均繊維径の差が3.0μmより小さいと、非塗布面の吸水度を塗布面よりも10.0g/m2以上小さくすることが難しくなりやすい。塗布面と非塗布面の平均繊維径の差が10.0μmより大きいと、非塗布面の吸水度を塗布面よりも10.0g/m2以上小さくしやすいが、半透膜溶液の半透膜支持体厚み方向への浸透が少なくなりやすく、半透膜と半透膜支持体との接着性が劣りやすい。また、半透膜支持体と樹脂フレームとの加熱接着性も低下しやすい。塗布面と非塗布面の平均繊維径の差は、より好ましくは4.0〜8.0μmであり、さらに好ましくは4.0〜7.0μmである。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体は、3層以上の層構成であっても良い。3層以上の構成の場合も、塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであり、非塗布面の主体繊維の平均繊維径が塗布面よりも3.0〜10.0μm小さいことが好ましいが、塗布面と非塗布面以外の中間層では、塗布面から非塗布面に向かって順次主体繊維の平均繊維径が小さくなっていく構成であることが好ましい。
本発明において、主体繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体繊維としては、合成繊維を含有する。例えば、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ナイロン等のポリアミド系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系等の繊維が挙げられる。これらの中で、耐熱性の高いポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維が好ましく、特にポリエステル繊維が好ましい。また、本発明の目的を妨げない範囲で、合成繊維以外に半合成繊維を添加することもできる。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等が挙げられる。
本発明において、主体繊維の平均繊維径は以下の式で求められる。Nは、正の整数である。
平均繊維径=(主体繊維1の繊維径(μm)×主体繊維1の質量%+主体繊維2の繊維径(μm)×主体繊維2の質量%+主体繊維3の繊維径(μm)×主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの繊維径(μm)×主体繊維Nの質量%)/(主体繊維1の質量%+主体繊維2の質量%+主体繊維3の質量%+・・・+主体繊維Nの質量%)
主体繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、さらに好ましくは4〜6mmである。主体繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、表面平滑性のために、繊維分散性等の他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
吸水度を本発明の範囲に規定する方法として、バインダー繊維の配合率を変更する方法が挙げられる。本発明において、バインダー繊維は水中で膨潤・溶解等すること又は乾燥工程での熱により溶融することで、軽度の接着性を発現し、抄紙工程中で主体繊維との接着に関与し、湿紙強度の向上、次工程の乾燥工程への移行を可能にするために使用される。本発明において、非塗布面のバインダー繊維配合率が、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高いことが好ましい。該構成とすることで、非塗布面の吸水度を塗布面よりも10.0g/m2以上小さくし、半透膜と半透膜支持体との接着性を確保しつつ、半透膜溶液の裏抜けを防止しやすくなる。本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体は、原布製造後、熱カレンダー等の熱圧工程を行って製造されるが、熱圧工程時にバインダー繊維は溶融し、部分的にフィルム化するものと考えられる。非塗布面のバインダー繊維配合率を高くすることで、フィルム化するバインダー繊維量が増え、非塗布面の吸水度が塗布面よりも小さくなるものと考えられる。
非塗布面のバインダー繊維配合率は、塗布面よりも2質量%以上高いことが好ましく、4質量%以上高いことがより好ましく、6質量%以上高いことが特に好ましい。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体が3層以上の層構成の場合も、非塗布面のバインダー繊維配合率が、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高いことが好ましいが、塗布面と非塗布面以外の中間層では、塗布面から非塗布面に向かって順次バインダー繊維配合率が高くなっていく構成であることが好ましい。
バインダー繊維としては、芯鞘型(コアシェルタイプ)、並列型(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割型等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。
本発明において、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維を含有すると好ましい。該芯鞘型複合繊維を使用した場合、原布製造後、さらに熱カレンダー等の熱圧工程を経る場合、付与する温度が鞘部の融点近傍と比較的低温で済み、製造された精密ろ過膜用半透膜支持体の強度に優れ、吸水度のコントロールも行いやすい。鞘部の融点が160℃より高いと、湿式抄造法で製造した際の湿紙強度、乾燥後の原布の強度に劣る場合がある。また、鞘部の融点が120℃より低いと、半透膜塗工及びそれに続く凝固浴への浸積時に、半透膜支持体の幅の収縮、皺の発生が起こりやすくなる。鞘部の融点は、125〜160℃であることがより好ましく、135〜155℃であることがさらに好ましく、145〜155℃であることが特に好ましい。本発明における融点は、示差走査熱量測定装置にて、昇温速度10.0℃/分の条件で測定した際に得られるDSC曲線において、鞘部に該当する融解ピークのピーク温度を指す。
鞘部の素材は特に限定されず、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物(共重合ポリエステル系ポリマー)、ポリオレフィン系共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができ、好ましくは非晶性あるいは結晶性の共重合ポリエステル系ポリマー、及びHDPE等のポリオレフィン系ポリマーである。芯部はポリエステル繊維の中でも延伸ポリエステル繊維であることが好ましい。芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維の配合量は、各層に対し、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜45質量%であり、特に好ましくは15〜40質量%である。配合量が5質量%未満であると、配合した効果が小さくなりやすく、50質量%より多いと、吸水度が小さくなりすぎ、半透膜と半透膜支持体との接着性が低下しやすく、また、樹脂フレームとの加熱接着性も低下しやすい。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体において、各層がバインダー繊維として、さらに未延伸ポリエステル繊維を含有すると好ましい。未延伸ポリエステル繊維を併用することにより、湿式抄造法で製造した際の湿紙強度及び乾燥後の原布の強度をいっそう向上させることができる。未延伸ポリエステル繊維の配合率が少ないと、湿式抄造法で製造した際の湿紙強度及び乾燥後の原布の強度の向上が小さくなりやすい。多すぎると、熱圧工程を経た後の半透膜支持体の強度が劣りやすい。芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維と未延伸ポリエステル繊維との配合率は質量基準で100:0〜10:90の範囲が好ましく、より好ましくは90:10〜20:80の範囲であり、特に好ましくは80:20〜30:70の範囲である。未延伸ポリエステル繊維の融点は210℃以上であると好ましい。
バインダー繊維の繊維径は特に限定されないが、好ましくは5.0〜30.0μmであり、より好ましくは7.0〜25.0μmであり、さらに好ましくは10.0〜20.0μmである。また、主体繊維と異なる繊維径であることが好ましく、特に、主体繊維よりも細い繊維径であることが好ましい。主体繊維と繊維径が異なることで、バインダー繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たす。さらに、ヤンキードライヤー、熱風乾燥において、バインダー繊維の軟化温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程では、半透膜支持体表面の平滑性をも向上させることができる。
バインダー繊維の繊維長は、特に限定されないが、繊維長が20mmを超えた場合、地合が悪化する傾向がある。バインダー繊維の断面形状は円形及びT型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も含有することが可能である。
本発明の主体繊維とバインダー繊維の含有比率は、質量基準で、10:90〜90:10の範囲が好ましく、より好ましくは30:70〜80:20の範囲であり、特に好ましくは50:50〜75:25の範囲である。主体繊維の含有比率が10質量%を下回る場合、ろ過膜の透過流束が低下する場合がある。主体繊維の含有比率が90質量%を超えると、半透膜支持体の機械的強度が低下して、破れやすくなる場合がある。
吸水度を本発明の範囲に規定する方法として、ポリオレフィン繊維等の疎水性繊維を配合する方法が挙げられる。本発明において、非塗布面にポリオレフィン繊維等の疎水性繊維を含有させると、含有させてない塗布面よりも、非塗布面の吸水度を低くすることが容易となり、吸水度を本発明の範囲に規定しやすくなる。また、非塗布面にポリオレフィン繊維を配合した場合、半透膜支持体と樹脂フレームとの加熱接着性も向上する。ポリオレフィン繊維の中でも、ポリプロピレン繊維は融点が160℃前後とポリオレフィン繊維の中では高く、原布製造後の熱圧工程で繊維の形態を保持しやすく、製造安定性に優れている。
ポリプロピレン繊維としては、ポリプロピレンの単独繊維、ポリプロピレンとポリプロピレン繊維以外の合成繊維からなる複合繊維等が挙げられる。ポリプロピレンの複合繊維の具体例としては、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリエステル(芯)とポリプロピレン(鞘)の組み合わせ等が挙げられる。これらの中で、ポリプロピレンの単独繊維が好ましい。本発明において、ポリプロピレンの単独繊維は主体繊維に該当する。
非塗布面におけるポリプロピレン繊維の含有量は1〜50質量%であることが好ましい。好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量である。ポリプロピレン繊維の含有量は1質量%より少ないと、添加した効果が小さくなりやすく、50質量%より多いと、非塗布面の吸水度が小さくなりすぎ、半透膜溶液の半透膜支持体厚み方向の浸透が少なくなりやすく、半透膜と半透膜支持体との接着性が劣りやすい。
本発明の半透膜支持体の製造方法について説明する。本発明の半透膜支持体は、乾式法、湿式抄造法によりシート(原布)が製造されるが、湿式抄造法を用いることが好ましい。
湿式抄造法では、まず、主体繊維、バインダー繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調製されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機を用いることができる。これらの抄紙機は、単独でも使用できるし、同種又は異種の2機以上の抄紙機がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。本発明の半透膜支持体は2層以上を積層した不織布であるが、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方のシート(原布)を形成した後に、該シート(原布)の上に繊維を分散したスラリーを流延する方法のいずれでも良い。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、シート(原布)を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることを言う。ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて乾燥を行う場合、本発明の半透膜支持体の塗布面を熱ロールと接触させることが、半透膜の平滑性向上、非塗布面の樹脂フレームとの接着性向上の点で好ましい。熱ロールの表面温度は、90〜160℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cm、特に好ましくは150〜700N/cmである。
本発明の半透膜支持体において、シート(原布)製造後、さらに熱ロールによって熱圧工程を経ることが好ましい。熱圧加工装置(カレンダー装置)のロール間をニップしながら、湿式抄紙法で製造されたシート(原布)を通過させて熱圧加工を行う。ロールの組み合わせとしては、2本の金属ロール、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとコットンロール等が挙げられる。2本のロールは、一方あるいは両方を加熱する。熱ロールの表面温度、ロール間のニップ圧力、加工速度を制御することによって、所望の半透膜支持体を得る。
熱圧工程に用いるロールの表面温度は、示差熱分析によって測定した主体繊維の融点より低く、バインダー繊維の融点又は軟化点に対して−50℃〜+10℃であることが好ましく、−30℃〜±0℃がより好ましい。ロールの表面温度を、シートに含まれるバインダー繊維の融点又は軟化温度より50℃を超えて低くすると、毛羽立ちが発生しやすくなる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。一方、ロールの表面温度を、10℃を超えて高くすると、金属ロールに繊維の溶融分が付着して、半透膜支持体が不均一になる場合があり、均一な厚みの半透膜が得難くなる。
ロールのニップ圧力は、好ましくは190〜3000N/cmであり、より好ましくは390〜2000N/cmである。加工速度は、好ましくは4〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/min、特に好ましくは15〜70m/minである。熱ロールによる熱圧工程は2回以上行うことも可能であり、その場合、直列に配置された2組以上の上記のロール組み合わせを使用しても良いし、1組のロール組み合わせを用いて、2回加工しても良い。必要に応じて、シート(原布)の表裏を逆にしても良い。
精密ろ過膜用半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、好ましくは20〜150g/m2であり、より好ましくは40〜130g/m2であり、特に好ましくは50〜120g/m2である。20g/m2未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150g/m2を超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体が2層以上を積層した不織布である場合、塗布面の坪量は、好ましくは10〜140g/m2であり、より好ましくは30〜120g/m2であり、特に好ましくは40〜110g/m2である。非塗布面の坪量は、好ましくは10〜100g/m2であり、より好ましくは20〜80g/m2であり、特に好ましくは30〜70g/m2である。本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体が3層以上を積層した不織布である場合、中間層を構成する各層の坪量は、全体の坪量が20〜150g/m2となるように適宜調整される。中間層の坪量は、10〜100g/m2であることが好ましく、より好ましくは15〜80g/m2であり、特に好ましくは20〜60g/m2である。
また、半透膜支持体の密度は、好ましくは0.25〜0.90g/cm3であり、より好ましくは0.30〜0.80g/cm3であり、特に好ましくは0.35〜0.70g/cm3である。半透膜支持体の密度が0.25g/cm3未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。一方、0.90g/cm3を超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、50〜300μmであることが好ましく、70〜250μmであることがより好ましく、90〜200μmであることがさらに好ましい。半透膜支持体の厚みが300μmを超えると、ユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。一方、50μm未満の場合、十分な引張強度が得られず、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1)
半透膜支持体の塗布面として、主体繊維(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)を65:25:10の配合率で水に混合分散し、撹拌装置を有するストックタンクに貯蔵した。次いで、非塗布面として、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)を25:40:25:10の配合率で水に混合分散し、塗布面用の分散液とは別に、撹拌装置を有するストックタンクに貯蔵した。傾斜ワイヤー抄紙機と円網抄紙機とのコンビネーションマシンを用いて、塗布面を傾斜ワイヤー抄紙機で、非塗布面を円網抄紙機で、乾燥質量で各面とも40g/m2の抄き合わせ湿紙を形成した後、塗布面が表面温度140℃のヤンキードライヤーに接触するように熱圧乾燥し、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。
半透膜支持体の塗布面として、主体繊維(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)を65:25:10の配合率で水に混合分散し、撹拌装置を有するストックタンクに貯蔵した。次いで、非塗布面として、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)を25:40:25:10の配合率で水に混合分散し、塗布面用の分散液とは別に、撹拌装置を有するストックタンクに貯蔵した。傾斜ワイヤー抄紙機と円網抄紙機とのコンビネーションマシンを用いて、塗布面を傾斜ワイヤー抄紙機で、非塗布面を円網抄紙機で、乾燥質量で各面とも40g/m2の抄き合わせ湿紙を形成した後、塗布面が表面温度140℃のヤンキードライヤーに接触するように熱圧乾燥し、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。
得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、各加熱金属ロール温度150℃、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例1の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は14.4μmである。
(実施例2)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)15部に変更して、実施例2の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)15部に変更して、実施例2の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
(実施例3)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例3の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例3の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
(実施例4)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)40部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)25部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール温度を各々150℃、153℃とし、塗布面が150℃のロールに接触するようにシートを通し、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例4の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は15.5μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)40部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)25部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール温度を各々150℃、153℃とし、塗布面が150℃のロールに接触するようにシートを通し、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例4の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は15.5μmである。
(実施例5)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径6.8μm、繊維長5mm)65部に変更して、実施例5の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は6.8μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径6.8μm、繊維長5mm)65部に変更して、実施例5の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は6.8μmである。
(実施例6)
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)25部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)40部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例6の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は14.4μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)25部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)40部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例6の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は14.4μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
(実施例7)
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)35部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)30部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)65部に変更して、実施例7の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は21.4μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)35部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)30部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)65部に変更して、実施例7の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は21.4μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
(実施例8)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)55部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)65部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール温度を各々147℃、150℃とし、塗布面が147℃のロールに接触するようにシートを通し、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例8の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は13.2μm、非塗布面の平均繊維径は7.4μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)55部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)65部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、加熱金属ロール温度を各々147℃、150℃とし、塗布面が147℃のロールに接触するようにシートを通し、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例8の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は13.2μm、非塗布面の平均繊維径は7.4μmである。
(実施例9)
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)40部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)25部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例9の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は15.5μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)40部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)25部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)10部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)55部に変更して、実施例9の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は15.5μm、非塗布面の平均繊維径は8.2μmである。
(実施例10)
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)20部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)45部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)15部に変更して、実施例10の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は19.7μm、非塗布面の平均繊維径は16.3μmである。
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)20部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)45部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)15部に変更して、実施例10の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は19.7μm、非塗布面の平均繊維径は16.3μmである。
(実施例11)
実施例1において、非塗布面を、主体繊維(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)60部、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)30部、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)10部に変更して、実施例11の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
実施例1において、非塗布面を、主体繊維(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)60部、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)30部、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)10部に変更して、実施例11の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
(実施例12)
実施例1において、非塗布面を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)12.5部、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)27.5部、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)10部に変更して、実施例12の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.4μmである。
実施例1において、非塗布面を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径12.4μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)12.5部、バインダー繊維1(延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維、繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)27.5部、バインダー繊維2(未延伸ポリエステル繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)10部に変更して、実施例12の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.4μmである。
(実施例13)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)63部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)2部に変更して、実施例13の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は17.6μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)63部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)2部に変更して、実施例13の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は17.6μmである。
(実施例14)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)45部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)20部に変更して、実施例14の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は18.8μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)45部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)20部に変更して、実施例14の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は18.8μmである。
(実施例15)
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)18部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)47部に変更して、実施例15の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は20.5μmである。
実施例1において、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)18部、主体繊維2(ポリプロピレン繊維、繊維径21.6μm、繊維長5mm)47部に変更して、実施例15の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は20.5μmである。
(実施例16)
実施例2において、塗布面及び非塗布面のバインダー繊維を、延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維(繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)35部に変更して、実施例16の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
実施例2において、塗布面及び非塗布面のバインダー繊維を、延伸ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の芯鞘型複合繊維(繊維径10.0μm、繊維長5mm、鞘部融点150℃)35部に変更して、実施例16の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
(実施例17)
実施例2において、塗布面及び非塗布面のバインダー繊維を、未延伸ポリエステル繊維(繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)35部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、各加熱金属ロール温度を195℃、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例17の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
実施例2において、塗布面及び非塗布面のバインダー繊維を、未延伸ポリエステル繊維(繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点230℃)35部に変更して、抄き合わせ坪量80g/m2のシートを得た。得られたシートを、2つの加熱金属ロールからなるカレンダー装置を用いて、各加熱金属ロール温度を195℃、圧力785N/cm、加工速度15m/minの条件で熱圧加工し、実施例17の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は11.2μmである。
(比較例1)
実施例8において、各加熱金属ロール温度を150℃とし、比較例1の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は13.2μm、非塗布面の平均繊維径は7.4μmである。
実施例8において、各加熱金属ロール温度を150℃とし、比較例1の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は13.2μm、非塗布面の平均繊維径は7.4μmである。
(比較例2)
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)15部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)65部に変更して、比較例2の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は23.0μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
実施例1において、塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径24.7μm、繊維長5mm)50部、主体繊維2(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)15部に変更し、非塗布面の主体繊維を、主体繊維1(延伸ポリエステル繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)65部に変更して、比較例2の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は23.0μm、非塗布面の平均繊維径は17.5μmである。
(比較例3)
実施例4において、各加熱金属ロール温度を150℃とし、比較例3の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は15.5μmである。
実施例4において、各加熱金属ロール温度を150℃とし、比較例3の半透膜支持体を得た。この半透膜支持体の塗布面の平均繊維径は17.5μm、非塗布面の平均繊維径は15.5μmである。
実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して、以下の評価を行い、結果を表2に示した。
試験1(厚さ)
JIS P8118に準じ、厚さを測定した。
JIS P8118に準じ、厚さを測定した。
試験2(半透膜滲み込み)
一定のクリアランスを有するコンマコーターを用いて、半透膜支持体の塗布面にポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−N−ジメチルアセトアミド溶液(濃度:26%)を塗布し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の表面にPVDF膜を形成させ半透膜を作製し、半透膜の断面SEM写真を撮影して、PVDFの半透膜支持体への滲み込み度合いを評価した。
一定のクリアランスを有するコンマコーターを用いて、半透膜支持体の塗布面にポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−N−ジメチルアセトアミド溶液(濃度:26%)を塗布し、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の表面にPVDF膜を形成させ半透膜を作製し、半透膜の断面SEM写真を撮影して、PVDFの半透膜支持体への滲み込み度合いを評価した。
◎:PVDFが半透膜支持体の中心付近までしか滲み込んでいない。非常に良好なレベル。
○:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ていない。良好なレベル。
△:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に一部滲み出ている。実用上、使用可能レベル。
×:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ている。実用上、使用不可レベル。
○:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ていない。良好なレベル。
△:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に一部滲み出ている。実用上、使用可能レベル。
×:PVDFが半透膜支持体の非塗布面に滲み出ている。実用上、使用不可レベル。
試験3(半透膜接着性)
試験2で作製した半透膜接着性について、作製1日後、半透膜と半透膜支持体とをその界面で剥がれるようにゆっくりと引き剥がし、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
試験2で作製した半透膜接着性について、作製1日後、半透膜と半透膜支持体とをその界面で剥がれるようにゆっくりと引き剥がし、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
◎:半透膜と半透膜支持体の接着性が非常に高く、剥離できない。非常に良好なレベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜と半透膜支持体とが接着はしているが、全体的に剥離しやすい。実用上、下限レベル。
×:半透膜塗布後の水洗又は乾燥工程で剥離が発生する。使用不可レベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜と半透膜支持体とが接着はしているが、全体的に剥離しやすい。実用上、下限レベル。
×:半透膜塗布後の水洗又は乾燥工程で剥離が発生する。使用不可レベル。
試験4(樹脂フレーム接着性)
試験2で得られた半透膜が塗布された半透膜支持体をABS樹脂からなる樹脂フレームに、非塗布面が対向するように載せ、200℃に加熱したヒートシーラーを半透膜が塗布された半透膜支持体側から3秒間接触させ、加熱接着した。加熱接着1日後、半透膜支持体と樹脂フレームとをその界面で剥がれるようにゆっくりと引き剥がし、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
試験2で得られた半透膜が塗布された半透膜支持体をABS樹脂からなる樹脂フレームに、非塗布面が対向するように載せ、200℃に加熱したヒートシーラーを半透膜が塗布された半透膜支持体側から3秒間接触させ、加熱接着した。加熱接着1日後、半透膜支持体と樹脂フレームとをその界面で剥がれるようにゆっくりと引き剥がし、剥離するときの抵抗度合いで判断した。
◎:半透膜支持体と樹脂フレームとの接着性が非常に高く、剥離できない。非常に良好なレベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜支持体と樹脂フレームとは接着はしているが、全体的に剥離しやすい。あるいは、半透膜支持体と樹脂フレームとの接着は問題ないが、半透膜のひび割れ、半透膜支持体からの脱落が認められる。実用上、下限レベル。
×:簡単に剥離する。あるいは半透膜支持体と樹脂フレームとの接着はするが、半透膜のひび割れ、半透膜支持体からの脱落が酷く、使用不可レベル。
○:部分的に剥離しやすい所が存在する。良好なレベル。
△:半透膜支持体と樹脂フレームとは接着はしているが、全体的に剥離しやすい。あるいは、半透膜支持体と樹脂フレームとの接着は問題ないが、半透膜のひび割れ、半透膜支持体からの脱落が認められる。実用上、下限レベル。
×:簡単に剥離する。あるいは半透膜支持体と樹脂フレームとの接着はするが、半透膜のひび割れ、半透膜支持体からの脱落が酷く、使用不可レベル。
実施例1〜17の精密ろ過膜用半透膜支持体は、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度を40.0〜70.0g/m2とし、非塗布面の該吸水度を塗布面よりも10.0g/m2以上小さくすることで、半透膜溶液が非塗布面に裏抜けせず、半透膜と半透膜支持体との接着性及び半透膜支持体と樹脂フレームとの接着性が良好であり、実用上優れた特性を示した。実施例1、6〜11の比較より、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が45.0〜65.0g/m2である実施例1、9〜11は、半透膜の滲み込み、半透膜と半透膜支持体の接着性がともに良好であり、好ましい。実施例1〜3の比較より、非塗布面の吸水度が塗布面の吸水度よりも15.0g/m2以上小さい実施例2、3は半透膜の滲み込みが少なく良好であり、好ましい。
吸水度を上記範囲にコントロールする方法としては、実施例1〜3、6、7、9、10、12、16、17のように、塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径を14.0〜22.0μmとし、非塗布面の主体繊維の平均繊維径を塗布面よりも3.0〜10.0μm小さくする方法、実施例11、12のように、非塗布面のバインダー繊維配合率を、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高くする方法、実施例13〜15のように、非塗布面にポリプロピレン繊維を1〜50質量%含有させる方法が、安定な製造条件を選択でき、半透膜の滲み込み、半透膜と半透膜支持体の接着性、樹脂フレーム接着性のバランスが良好であり、好ましい。実施例4及び5は、塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであるが、塗布面と非塗布面との主体繊維の平均繊維径の差が上記範囲に入っていない。塗布面と非塗布面の平均繊維径の差が10.0μmよりも大きい実施例5は、半透膜と半透膜支持体との接着性、樹脂フレーム接着性がやや劣っている。塗布面と非塗布面の平均繊維径の差が3.0μmよりも小さい実施例4、塗布面の平均繊維径が14.0μmより小さい実施例8は、2つの金属ロール温度を異なる温度に設定することで、吸水度を規定範囲にコントロールし、特性バランスを良好に保つことができるが、安定生産性はやや劣っている。
これに対し、塗布面の吸水度が40g/m2より小さい比較例1は、半透膜と半透膜支持体との接着性に劣る。塗布面の吸水度が70.0g/m2より大きい比較例2、塗布面の吸水度が40.0〜70.0g/m2であるが、塗布面と非塗布面との吸水度の差が10.0g/m2より小さい比較例3は、半透膜の滲み込みが大きく、実用上不可レベルであった。
試験5(引張強さ)
実施例2、16、17の半透膜支持体の流れ方向について、JIS P8113に準じ、熱圧加工前の原布の引張強さを測定した。熱圧加工前の原布の引張強さは、0.1kN/m以上が実用上の下限であり、0.5kN/m以上あれば良好である。
実施例2、16、17の半透膜支持体の流れ方向について、JIS P8113に準じ、熱圧加工前の原布の引張強さを測定した。熱圧加工前の原布の引張強さは、0.1kN/m以上が実用上の下限であり、0.5kN/m以上あれば良好である。
実施例2、16、17の比較より、バインダー繊維として、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120℃以上160℃以下である芯鞘型複合繊維を含有する実施例2、16は、未延伸ポリエステル繊維のみの実施例17に比べ、カレンダー温度を低く設定でき、吸水度を本発明の範囲にコントロールしやすく、半透膜と半透膜支持体との接着性、樹脂フレームとの接着性が良好となり、好ましい。実施例2と16の比較より、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120℃以上160℃以下である芯鞘型複合繊維と未延伸ポリエステル繊維を併用した実施例2は、該芯鞘型複合繊維を単独で配合した実施例16に比べ、原布の引張強度が強く、熱圧加工時の原布のハンドリング性に優れ、好ましい。
本発明の精密ろ過膜用半透膜支持体は、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液ろ過に代表される医療用、海水の淡水化や半導体洗浄用の超純水製造等の前処理、膜分離活性汚泥処理等の分野で利用することができる。特に、膜分離活性汚泥処理法で好ましく利用することができる。
Claims (6)
- 半透膜の塗布面と非塗布面とを有する精密ろ過膜用半透膜支持体において、塗布面のJIS P8140で規定されるコッブ法による吸水度が40.0〜70.0g/m2であり、非塗布面の該吸水度が塗布面よりも10.0g/m2以上小さいことを特徴とする精密ろ過膜用半透膜支持体。
- 塗布面で使用される主体繊維の平均繊維径が14.0〜22.0μmであり、非塗布面の主体繊維の平均繊維径が塗布面よりも3.0〜10.0μm小さい請求項1記載の精密ろ過膜用半透膜支持体。
- 非塗布面のバインダー繊維配合率が、塗布面のバインダー繊維配合率よりも高い請求項1記載の精密ろ過膜用半透膜支持体。
- 非塗布面がポリプロピレン繊維を1〜50質量%含有する請求項1記載の精密ろ過膜用半透膜支持体。
- バインダー繊維として、芯部がポリエステル繊維であり、かつ鞘部の融点が120〜160℃である芯鞘型複合繊維を含有する請求項3記載の精密ろ過膜用半透膜支持体。
- バインダー繊維として、さらに未延伸ポリエステル繊維を含有する請求項5記載の精密ろ過膜用半透膜支持体。
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JP2017121606A (ja) * | 2016-01-07 | 2017-07-13 | 三菱製紙株式会社 | 膜分離活性汚泥処理用半透膜用支持体及び濾過膜 |
WO2021248464A1 (zh) * | 2020-06-12 | 2021-12-16 | 前沿新材料研究院(深圳)有限公司 | 用作水处理膜支撑层的无纺布及其制备方法以及水处理膜 |
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- 2012-01-23 JP JP2012010887A patent/JP2013146710A/ja active Pending
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