JP2019055356A - 半透膜支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、半透膜形成後にピンホール等の欠点が少なく、同時に半透膜形成後に半透膜支持体が褐色に変色する現象が発生しにくい半透膜支持体を提供することにある。【解決手段】主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、ドープ浸透面積が1.3cm2〜3.0cm2であることを特徴とし、より好ましくは、内部結合強さが10mJ〜102mJである半透膜支持体。【選択図】なし

Description

本発明は、半透膜支持体に関する。
海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で、半透膜が広く用いられている。半透膜は、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の合成樹脂で構成されている。しかしながら、半透膜単体では機械的強度に劣るため、不織布や織布等の繊維基材からなる半透膜支持体の片面に半透膜が設けられた形態で使用されている。以下、半透膜支持体の半透膜が設けられる面を「塗布面」と称し、逆面を「非塗布面」と称する場合がある。
半透膜支持体に要求される性能としては、半透膜が均一に形成されること(半透膜均一性)、半透膜にピンホール等の欠点の発生が少ないこと(ピンホール抑制能)等が挙げられる。また、半透膜形成後に半透膜支持体が褐色に変色する現象(以下、該現象を「黄変」と称する場合がある)が発生しないこと等が挙げられる。半透膜均一性やピンホール抑制能のために、半透膜支持体の通気性を制御することが開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
特許文献1には、半透膜支持体を構成する不織布のフラジール形通気度(JIS L 1079−1966)が0.2〜10.0cm/cm・sであることが必要であると記載されている。そして、通気度が0.2cm/cm・s未満であると、半透膜を形成するための半透膜液が低濃度、低粘度であっても、不織布中に充分に浸透せず、膜が不織布に強固に接着しなくなり、一方、通気度が10.0cm/cm・sを超えると、半透膜液が高濃度、高粘度であっても、不織布の裏面にまで滲出し易くなり(裏抜けが生じやすくなり)、その際に不織布の空隙内に存在する空気を巻き込んで膜構造にピンホールが発生し易くなることが記載されている。
特許文献2には、合成樹脂細繊維からなる主体繊維とバインダー繊維とからなり、抄紙後加熱加圧処理して製造される不織布である半透膜支持体において、フラジール形通気度(JIS L 1096)が0.5〜7.0cm/cm・sであることが好ましいことが記載されている。そして、半透膜支持体の通気度が0.5cm/cm・s以下である場合、半透膜液の半透膜支持体への浸透が妨げられて、投錨効果による半透膜と半透膜支持体との接着強度を低下させるという問題が生じやすく、逆に、半透膜支持体の通気度が7.0cm/cm・s以上である場合、半透膜液の半透膜支持体への浸透が多すぎて、部分的に半透膜液が裏抜けするという問題が生じやすくなることが記載されている。
特許文献3には、半透膜支持体の通気度(JIS L 1913)としては、0.1〜5cm/cm・sであることが好ましいことが記載されている。そして、0.1cm/cm・s未満では、通気度が低すぎて膜が不織布に接着しにくくなり、加工性が低下するおそれがあり、逆に、通気度が5cm/cm・sを超えた場合、半透膜液が不織布の裏面にまで滲出しやすくなり、膜構造にピンホールが発生しやすくなるおそれがあることが記載されている。
JIS L 1079−1966、JIS L 1096及びJIS L 1913におけるフラジール形法で使用されるフラジール形試験機の口径直径は70mmである。フラジール形試験機は、不織布、織物、編物等の布帛の平面全体における平均的な通気性を数値化することを目的としており、口径直径70mmという大きな測定面積で測定する。このフラジール形試験機で測定した通気度が特定の数値範囲内であっても、半透膜にピンホールが形成されてしまう場合があった。
特許文献4には、少なくとも中間層にメルトブロン繊維層、及び該中間層の両側にスパンボンド繊維層を含む三層以上の積層乾式熱可塑性長繊維不織布であって、通気抵抗の平均値が2.0〜30.0kPa・s/mであり、且つ通気抵抗の平均値と標準偏差の差が0.6以下である複合膜支持体が記載されている。特許文献4では、測定面積0.2πcm(直径8.94mm)で測定可能なKES法による通気抵抗計を用いて、局所的なバラツキを検出している。そして、局所的に通気抵抗値が高く、密度が高い部分では、半透膜液と不織布界面付近に存在する気泡が塗布面とは反対の不織布層側に抜ききれずに塗布面近傍に滞留した状態で膜が形成されることがあるという課題を、微小領域での通気抵抗均一化を達成した複合膜支持体によって解決している。しかし、特許文献4では、黄変については何も記載されていない。
特許文献5では、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−2:2000「紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法」に準拠し、シートの横方向、つまり不織布製造時の幅方向(Cross Direction)の内部結合強度が0.4〜0.8N・mの範囲内である場合、半透膜の支持体への密着性が優れ、かつ半透膜の厚さ均一性が良好で、なおかつ塗工液の裏抜けのない半透膜支持体が得られることが記載されている。しかし、特許文献5では、ピンホール及び黄変については何も記載されていない。
特開平10−225630号公報 特開2002−95937号公報 特開2015−73946号公報 国際公開第2010/126113号パンフレット 特開2013−154304号公報
本発明の課題は、半透膜形成後にピンホール等の欠点が少なく、同時に半透膜形成後に半透膜支持体が褐色に変色する現象が発生しにくい半透膜支持体を提供することにある。
上記課題は、下記手段によって解決された。
(1)本発明に係る半透膜支持体は、主体合成繊維とバインダー繊維とを少なくとも含有しており、ドープ浸透面積が1.3cm〜3.0cmであることを特徴とする半透膜支持体。
ドープ浸透面積:ポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)16質量部を、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(試薬特級、純正化学社製)84質量部に加熱溶解したドープ液を、半透膜支持体の塗布面に、常温常湿下で0.025±0.005ミリリットル滴下し、120秒後にドープ液が半透膜支持体に浸透して広がった部位の長辺及び短辺から算出した楕円面積。
(2)上記(1)に記載の半透膜支持体において、内部結合強さが10mJ〜102mJであることを特徴とする半透膜支持体、
を見出した。
本発明において、半透膜支持体におけるドープ浸透面積が1.3cm〜3.0cmであることによって、半透膜塗布後にピンホール等の欠点の少ない、さらに、半透膜製膜後に黄変の少ない半透膜支持体を提供することができる。
ピンホールが発生した濾過膜の表面に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。 図1のピンホール発生部に関して、半透膜支持体から半透膜表面を剥離して、半透膜支持体に接していた面から、半透膜のピンホール発生部に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で使用することができる。半透膜としては、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂で構成された半透膜が挙げられる。半透膜用支持体の片面(塗布面)に、半透膜の原料となる合成樹脂を溶かした半透膜液が塗布され、凝固浴中でゲル化された後に水洗されて、微多孔膜が形成され、半透膜用支持体の塗布面に半透膜が設けられた複合体の形態(濾過膜)となる。
従来、半透膜に発生するピンホールは、半透膜支持体に存在する空隙部に半透膜液が落ち込むことによって、その部分にピンホールが生じると考えられてきた。しかし、多くのピンホール発生箇所の半透膜支持体を調査した結果、ピンホール発生部の半透膜支持体には、陥没、切れ目、空洞等の空隙部が無く、逆に目が詰まった、フィルム化に近い状態になっていることが確認できた。
本発明の半透膜支持体は、主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる。目が詰まった、フィルム化に近い状態は、半透膜支持体中のバインダー合成繊維の溶融が進行している箇所(溶融箇所)であると考えられる。この溶融箇所に半透膜液を塗布した際に、溶融箇所と半透膜液間に残存する気泡が、凝固・水洗工程において半透膜支持体の裏面側に抜けることができず、半透膜側に向かって抜けようとするために、ピンホールが発生すると考えられる。溶融箇所は、主体繊維の隙間を溶融したバインダーによって埋められてフィルム化したような状態になっていることが、膜成分塗布時に残存した気泡が脱気できない理由と考えられる。
図1は、ピンホールが発生した濾過膜の表面に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。ピンホール発生部の半透膜が薄くなり、透けて見えることが分かる。
図2は、図1のピンホール発生部に関して、半透膜支持体から半透膜表面を剥離して、半透膜支持体に接していた面から、半透膜のピンホール発生部に透過光を当てて撮影した顕微鏡写真である。ピンホール発生部には、半透膜成分が無く、透過光が入っていることが分かる。また、ピンホール発生部以外の部分には微小な気泡が見える。このことから、ピンホールは、大きな気泡で且つ半透膜支持体側に脱気できない場合に発生すると考えられる。
この溶融箇所におけるフィルム化度合いを数値化することができれば、ピンホールの発生を未然に防ぐことができる。鋭意検討の結果、ピンホールの発生は半透膜支持体と支持膜層を形成するドープ浸透性と関係が深いことが分かり、本発明に至った。半透膜支持体にドープ液を滴下したところ、ドープ液が広がりにくい(ドープ浸透性が悪い)半透膜支持体はピンホールが発生し易いことが分かった。このドープ浸透性は、半透膜支持体にポリスルホン等の支持膜層を形成する際に、半透膜支持体へのドープ液の浸透性の度合いを示すものである。半透膜支持体のフィルム化が大きい場合は、ドープ液が半透膜支持体に浸透することができず、浸透面積が小さくなる。
本発明におけるドープ浸透性は、ポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)16質量部%を、溶媒としてDMF84質量%に加熱溶解したドープ液を、常温常湿の条件下で0.025±0.005ミリリットル半透膜支持体の塗布面に滴下し、120秒後にドープ液が半透膜支持体に浸透して広がった部位の長辺及び短辺から算出した楕円面積を「ドープ浸透面積」として判断する。ドープ液を滴下してから120秒後に測長を行う。ドープ浸透面積が1.3cm〜3.0cmの場合、ピンホールの発生が少なく商品価値や性能の低下を招くことがない。好ましくは1.4cm〜2.7cm、更に好ましくは1.5cm〜2.5cmである。ドープ浸透面積が1.3cmより低い場合は、半透膜支持体のフィルム化により、半透膜支持体の内部に半透膜液が浸透せずに半透膜が剥離する、または、半透膜液の塗工時に脱気ができずにピンホールの発生確率が高まる。また、ドープ浸透面積が3.0cmより大きい場合は、半透膜支持体の内部に過剰に半透膜液が浸透し、半透膜支持体の非塗布面に半透膜液が染み出す「裏抜け」が生じてしまう。
半透膜支持体のドープ浸透面積を1.3cm〜3.0cmにする方法として、主体合成繊維の繊維径の選定、主体合成繊維とバインダー繊維の配合比率の調整、熱ロールによる熱圧加工条件の調整等が挙げられる。熱圧加工前の半透膜支持体原紙と熱ロールとの接触長さ、熱ロールによる熱圧加工時の熱ロール温度、熱圧加工時のニップ圧力の調整、熱ロール、樹脂ロール、コットンロールの組み合わせの最適化、熱圧加工時の加工速度をコントロールすることによって達成できる。
半透膜支持体においては、ピンホールによる欠点発生以外に、黄変による商品価値の低下及び性能低下を招く場合がある。黄変とは半透膜支持体に複合膜を形成する工程で起こるものである。複合膜の形成方法としては、[1]ポリマーコーティング法、[2]架橋型ポリマーコーティング法、[3]モノマー重合法がある。黄変は、この中の[3]モノマー重合法の一つである界面重合法において、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン系樹脂等の支持膜層を形成した後に、支持膜層の表面にポリアミド系樹脂の層を形成して複合膜とする工程において発生するものである。
界面重合法でポリアミド系樹脂の層を形成させる工程では、まず、半透膜支持体の塗布面に形成した支持膜層上に、アミン水溶液をコーティング法又は含浸法で付与して水相を形成する。次に、アミンの水相に酸クロライド等の酸塩化物有機溶媒溶液を付与して界面重合させる。黄変は、界面重合終了後に、余剰のアミンが水洗工程で除去できずに、半透膜支持体や複合膜に残留した場合に、アミンが褐色に変色して発生する現象である。
鋭意検討の結果、黄変を引き起こすアミンの残留は、半透膜支持体の内部結合強さと関係が深いことが分かり、本発明に至った。ドープ液を半透膜支持体に塗工した支持膜層上に、界面重合によりポリアミド系樹脂の層を形成した半透膜において、半透膜支持体の一定の内部結合強さの範囲外では、黄変が発生しやすいことが分かった。この内部結合強さは、半透膜支持体内部の繊維の結合強度に関係している。内部結合強さが大きいと、半透膜支持体の内部が緻密(空隙が小さい)であることを示し、内部結合強さが小さいと、半透膜支持体の内部が疎大(空隙が大きい)であることを示す。内部結合強さが大きいと、半透膜支持体の内部に部分的にしかドープ液が浸透できず、半透膜支持膜形成後に表面の凹凸が大きくなる。対して、内部結合強さが小さいと、半透膜支持体の内部にドープ液が過剰に浸透し、非塗布面への「裏抜け」が発生し、半透膜形成後に表面の凹凸が生じる。半透膜支持膜の表面の凹凸により、半透膜製膜時に用いるアミン水溶液が、半透膜支持膜の凹部に残留し、黄変が発生する。
ここで、内部結合強さとは、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−2:2000「紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法」に準拠し、紙及び板紙の内部結合強さを評価する試験機にて測定された数値である。
内部結合強さの測定に用いる装置として、例えば、熊谷理機工業社製インターナルボンドテスタを使用することができる。試験方法は、半透膜支持体の縦方向及び横方向について25.4mm角の試験片の両面に粘着テープを貼った試料を、装置の試料設置面に貼り、装置に貼りつけた試料の反対側にL字金具を貼り付け、L字金具をハンマーで衝撃を与え、試料とL字金具が共に剥離した際の強度を計測する。ここで、半透膜支持体の縦方向とは、不織布製造時の流れ方向(MD:Machine Direction)を意味し、半透膜支持体の横方向とは、不織布製造時の幅方向(CD:Cross Direction)を意味する。内部結合強さの測定は、縦方向及び横方向について各10点の測定を行い、それらの平均値を求めた。
本発明では、半透膜支持体の内部強度強さが10mJ〜102mJの範囲が好ましく、更に好ましくは20mJ〜82mJの範囲内である。内部結合強さが102mJより大きい場合、半透膜支持体の内部の空隙が緻密になり、半透膜液を半透膜支持体に塗工する際に、ドープ液の半透膜支持体への浸透度合いが低く、半透膜支持膜形成後に表面の凹凸が大きくなる。加えて、半透膜と半透膜支持体間のアンカー効果が得られずに、半透膜剥離という問題が起こる。一方、10mJより小さい場合、半透膜支持体の内部の空隙が疎大になり、半透膜液が半透膜支持体内部に浸透しすぎてしまい、半透膜支持体の裏面まで半透膜液が達する「裏抜け」が起こり、塗布面側に十分な量の半透膜が形成されず、膜性能の低下を招く。また、内部結合強さが弱いため、半透膜支持体の層間剥離が生じる可能性がある。
半透膜支持体の内部強度強さが10mJ〜102mJにする方法として、主体合成繊維の繊維径の選定、主体合成繊維とバインダー繊維の配合比率の調整、熱ロールによる熱圧加工条件の調整等が挙げられる。熱圧加工前の半透膜支持体原紙と熱ロールとの接触長さ、熱ロールによる熱圧加工時の熱ロール温度、熱圧加工時のニップ圧力の調整、熱ロール、樹脂ロール、コットンロールの組み合わせの最適化、熱圧加工時の加工速度をコントロールすることによって達成できる。
本発明において、主体合成繊維は、半透膜支持体の骨格を形成する繊維である。主体合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール(polychlal)系、フェノール系等の繊維が挙げられるが、耐熱性の高いポリエステル系の繊維がより好ましい。また、半合成繊維のアセテートやトリアセテートなどのセルロース誘導体、またはプロミックスや、再生繊維のレーヨン、キュプラ、リヨセル繊維、天然物由来のポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリ琥珀酸繊維等は性能を阻害しない範囲で含有しても良い。
主体合成繊維の繊維径は、特に限定しないが、30μm以下である。好ましくは2〜25μmであり、より好ましくは5〜20μm、更に好ましくは7〜20μmである。2μm未満の場合には、内部結合強さは102mJを超える場合や、半透膜液が半透膜支持体に浸透し難くなって半透膜と半透膜支持体の接着性が悪くなる場合がある。主体合成繊維の繊維径が30μmを超えると、ドープ浸透面積が3.0cmを超える場合や、所望の半透膜の厚みを得るために大量の半透膜液が必要となるという問題が発生する場合や、半透膜液の裏抜けが発生する場合がある。また、不織布の表面に、主体合成繊維が立ちやすくなり、半透膜を貫通して半透膜の性能が低下する場合がある。
主体合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、更に好ましくは4〜7mmである。主体合成繊維の断面形状は円形が好ましく、湿式抄造工程における水への分散前の繊維における断面アスペクト比(繊維断面長径/繊維断面短径)は、1.0〜1.2未満であることが好ましい。繊維断面アスペクト比が1.2以上になると、繊維分散性が低下する場合や、繊維の絡まりやもつれの発生によって、不織布の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。ただし、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、表面平滑性のために、繊維分散性等の他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
主体合成繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、200〜2000であることが好ましく、より好ましくは200〜1500であり、更に好ましくは280〜1000である。アスペクト比が200未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落する場合や、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化する場合がある。一方、2000を超えた場合、繊維の三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維の絡まりやもつれの発生によって、不織布の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対する主体合成繊維の含有量は、52〜90質量%が好ましく、55〜85質量%がより好ましく、60〜80質量%が更に好ましい。主体合成繊維の含有量が52質量%未満の場合、通液性が低下する恐れがある。また、90質量%を超えた場合、ドープ浸透面積が3.0cmを超える場合や、内部結合強さが10mJを下回る場合や、強度不足により破れる恐れがある。
本発明の半透膜支持体は、バインダー合成繊維を含有している。バインダー合成繊維の軟化点又は溶融温度(融点)以上まで温度を上げる工程を、半透膜支持体の製造方法に組み入れることで、バインダー合成繊維が半透膜支持体の強度を向上させることができる。この温度を上げる工程において、主体合成繊維は軟化又は溶融しにくく、断面形状が変化することはあるものの、繊維としての形状が損なわれることがなく、主体繊維として、半透膜支持体の骨格を形成する。例えば、不織布を湿式抄造法で製造した後の乾燥工程や熱圧加工の際に、バインダー合成繊維を軟化又は溶融させることができる。
バインダー合成繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維等の複合繊維、未延伸繊維等が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、半透膜支持体の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性バインダーは、半透膜支持体の乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。本発明においては、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ、ポリエステルの未延伸繊維を好ましく用いることができる。
バインダー合成繊維の繊維径は特に限定されないが、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmであり、更に好ましくは7〜12μmである。また、主体合成繊維と異なる繊維径であることが好ましく、特に、主体合成繊維よりも細い繊維径であることが好ましい。主体合成繊維と繊維径が異なることで、バインダー合成繊維は半透膜支持体の機械的強度を向上させる役割の他に、主体合成繊維と共に均一な三次元ネットワークを形成する役割も果たす。更に、バインダー合成繊維の軟化温度又は溶融温度以上まで温度を上げる工程では、半透膜支持体表面の平滑性をも向上させることができ、該工程では加圧が伴っているとより効果的である。
バインダー合成繊維の繊維長は、特に限定しないが、好ましくは1〜12mmであり、より好ましくは3〜10mmであり、更に好ましくは4〜7mmである。バインダー合成繊維の断面形状は円形が好ましいが、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、裏抜け防止、塗布面の平滑性、非塗布面同士の接着性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有できる。
バインダー合成繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は、200〜2000であることが好ましく、より好ましくは200〜1500であり、更に好ましくは300〜1000である。アスペクト比が200未満の場合は、繊維の分散性は良好となるが、抄紙の際に繊維が抄紙ワイヤーから脱落する恐れや、抄紙ワイヤーに繊維が刺さってワイヤーからの剥離性が悪化する恐れがある。一方、2000を超えた場合、バインダー合成繊維は三次元ネットワーク形成に寄与はするものの、繊維が絡まる恐れや、もつれの発生によって、不織布の均一性や塗布面の平滑性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の半透膜支持体に係わる不織布に対するバインダー合成繊維の含有量は、10〜48質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。バインダー合成繊維の含有量が10質量%未満の場合、ドープ浸透面積が3.0cmを超える場合や、内部結合強さが10mJを下回る場合や、強度不足により破れる恐れがある。また、48質量%を超えた場合、熱圧加工時にフィルム化が進み、ドープ浸透面積が1.3cmを下回る場合や、通液性が低下する恐れがある。
本発明の半透膜支持体の製造方法について説明する。本発明の半透膜支持体は、湿式抄造法によって原紙が作製された後に、この原紙が熱ロールによって熱圧加工される。
湿式抄造法では、まず、少なくとも主体合成繊維とバインダー合成繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調製されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙方式としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー式等の抄紙方式を用いることができる。これらの抄紙方式の群から選ばれる少なくとも一つの抄紙方式を有する抄紙機、これらの抄紙方式の群から選ばれる同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用することができる。また、2層以上の多層構造の不織布を製造する場合には、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方のシートを形成した後に、該シートの上に繊維を分散したスラリーを流延する方法等を用いることができる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することによって、原紙を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃が更に好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
次に、熱ロールによる熱圧加工について説明するが、本発明は下記のものに特定されない。熱圧加工装置(カレンダー装置)のロール間をニップしながら、原紙を通過させて熱圧加工を行う。ロールの組み合わせとしては、2本の金属ロール、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとコットンロール等が挙げられる。2本のロールは、一方又は両方を加熱して、熱ロールとして使用する。その際に、熱加工前の半透膜支持体原紙と熱ロールとの接触長さ、熱ロールの表面温度、ロール間のニップ圧力、加工速度を制御することによって、所望の半透膜支持体を得る。熱加工前の半透膜支持体原紙と熱ロールとの接触長さは、好ましくは0〜150cmであり、より好ましくは0〜120cmである。150cmを超える場合、ドープ浸透面積が1.3cm未満となる場合や内部結合強さが102mJを超える場合がある。熱ロールの表面温度は、好ましくは150〜260℃であり、より好ましくは180〜245℃である。150℃未満の場合、ドープ浸透面積が3.0cmを超える場合や、内部結合強さが10mJを下回る場合がある。
ロールのニップ圧力は、好ましくは190〜1800N/cmであり、より好ましくは390〜1500N/cmである。190N/cm未満の場合、ドープ浸透面積が3.0cmを超える場合や、内部結合強さが10mJを下回る場合がある。加工速度は、好ましくは4〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。4m/min未満の場合、ドープ浸透面積が1.3cmを下回る場合や、内部結合強さが102mJを超える場合がある。
熱ロールによる熱圧加工は2回以上行うことも可能であり、その場合、直列に配置された2組以上の上記のロール組み合わせを使用しても良いし、1組のロール組み合わせを用いて、2回以上加工しても良い。必要に応じて、原紙の表裏を逆にしても良い。半透膜支持体のドープ浸透面積を1.3cm〜3.0cmにするためのロールの組み合わせは、金属ロールと樹脂ロール、金属ロールとコットンロールが好ましい。
半透膜支持体の坪量は、特に限定しないが、20〜150g/mが好ましく、より好ましくは50〜100g/mである。20g/m未満の場合は、十分な引張強度が得られない場合がある。また、150g/mを超えた場合、通液抵抗が高くなる場合や厚みが増してユニットやモジュール内に規定量の半透膜を収納できない場合がある。
また、半透膜支持体の密度は、0.5〜1.0g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.6〜0.95g/cmである。半透膜支持体の密度が0.5g/cm未満の場合は、厚みが厚くなるため、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、1.0g/cmを超える場合は、通液性が低くなることがあり、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
半透膜支持体の厚みは、50〜150μmであることが好ましく、60〜130μmであることがより好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。半透膜支持体の厚みが150μmを超えると、ユニットに組み込める半透膜の面積が小さくなってしまい、結果として、半透膜の寿命が短くなってしまうことがある。一方、50μm未満の場合、十分な引張強度が得られない場合や通液性が低くなって、半透膜の寿命が短くなる場合がある。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。以下、特にことわりのないかぎり、実施例に記載される部及び比率は質量を基準とする。
(実施例1)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径11.8μm、繊維長5mm、融点260℃)を70:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量73g/mの原紙を得た。
得られた原紙を、第1ステージの加熱金属ロール(JR)と樹脂ロール(弾)の組み合わせのカレンダー装置を用いて、ニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを0cm、加熱金属ロール表面温度230℃、ニップ圧力850N/cm、加工速度40m/minの条件で熱圧加工し、連続して、原紙の第1ステージの加熱金属ロールに接した面が第2ステージの樹脂ロールに接するように、第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、ニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを37cm、加熱金属ロール表面温度240℃、圧力850N/cm、加工速度40m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。
(実施例2)
第1ステージ及び第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、それぞれ10cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例3)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、27cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例4)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ400N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、44cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例5)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、44cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例6)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、77cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例7)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径11.8μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を75:25に変え、第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ860N/cm、900N/cmに変え、第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、それぞれ235℃に変え、第1ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、60cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例8)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、860N/cm、900N/cmに変え、第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、それぞれ235℃に変え、第1ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、60cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例9)
第2ステージの加熱金属ロールの温度を235℃に変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例10)
第1ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを10cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例11)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を600N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを10cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例12)
実施例1に対し、第1ステージ及び第2ステージでの出し面を反対にし、第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cm、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、10cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例13)
主体合成繊維1(延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)、主体合成繊維2(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、主体合成繊維3(延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)を20:30:20:30の配合比率で水に混合分散し、円網抄紙機で湿紙を形成した後、表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量80g/mの原紙を得た。
得られた原紙を、第1ステージの加熱金属ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、ニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを120cm、両加熱金属ロール表面温度220℃、圧力1000N/cm、加工速度46m/minの条件で熱圧加工し、連続して、第2ステージの樹脂ロールと加熱金属ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、ニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを120cm、加熱金属ロール表面温度220℃、圧力1000N/cm、加工速度46m/minの条件で熱圧加工を行い、半透膜支持体を得た。
(実施例14)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cmに変え、第1ステージの加熱金属ロール温度を、240℃に変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、44cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例15)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ800N/cmに変え、第1ステージの加熱金属ロール温度を、240℃に変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、44cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例16)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ600N/cmに変え、第1ステージ及び第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、10cm及び44cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例17)
第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、225℃及び230℃に変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、10cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例18)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ800N/cmに変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、77cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例19)
主体合成繊維(延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径11.8μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を75:25に変え、第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ860N/cm、900N/cmに変え、第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、それぞれ245℃に変え、第1ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、60cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(実施例20)
主体合成繊維1(延伸ポリエステル系繊維、繊維径7.4μm、繊維長5mm)、主体合成繊維2(延伸ポリエステル系繊維、繊維径12.5μm、繊維長5mm)、主体合成繊維3(延伸ポリエステル系繊維、繊維径17.5μm、繊維長5mm)、バインダー合成繊維(未延伸ポリエステル系繊維、繊維径10.5μm、繊維長5mm、融点260℃)の配合比率を17:25:18:40に変え、第1ステージの両加熱金属ロール表面温度及び第2ステージの加熱金属ロール表面温度を、225℃に変え、第1ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、60cmに変えた以外は、実施例13と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(比較例1)
第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、225℃及び230℃に変え、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールと半透膜支持体原紙の接触長さを、0cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
(比較例2)
第1ステージ及び第2ステージのニップ圧力を、それぞれ860N/cm、900N/cmに変え、第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロール温度を、それぞれ245℃に変え、第1ステージのニップ前の加熱金属ロールとの接触長さを、60cmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で半透膜支持体を得た。
実施例及び比較例で得られた半透膜支持体に対して、加工条件を表1に、以下の測定及び評価を行い、結果を表2に示した。
測定1(ドープ浸透面積)
ポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)16質量部を溶媒としてDMF(試薬特級、純正化学社製)84質量部に加熱溶解し、ドープ液を調製した。マイクロピペットを用いて、常温常湿下で0.025±0.005ミリリットルのドープ液を半透膜支持体の塗布面に滴下し、120秒後にドープ液が半透膜支持体に浸透して広がった部位の最も長い直線(長辺)及び最も短い直線(短辺)から算出した楕円面積を「ドープ浸透面積」として判断する。幅15cm、長さ10cmの長方形内の任意の5箇所にドープ液を滴下し、ドープ浸透面積を算出し、平均値を算出した。結果を表2に示す。
測定2(内部結合強さ)
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−2:2000「紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法」に準拠し、熊谷理機工業社製インターナルボンドテスタを用い、半透膜支持体の縦方向(MD)及び横方向(CD)の内部結合強さの測定を行った。サンプルは、25.4mm角の試験片の両面に粘着テープを貼った試料を、装置の試料設置面に貼り、装置に貼りつけた試料の反対側にL字金具を貼り付け、L字金具をハンマーで衝撃を与え、試料とL字金具が共に剥離した際の強度を計測する。内部結合強さの測定は、縦方向及び横方向について各10点の測定を行い、それらの平均値を求めた。単位は、mJとする。結果を表2に示す。また、内部結合強さを半透膜支持体の縦方向及び横方向の総計の平均値としたのは、半透膜支持体の繊維配向により、縦方向及び横方向の内部結合強さにばらつきが生じる懸念があり、半透膜支持体内部の繊維の溶融状態を総合的に判断するためである。
評価1(ピンホール数)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)のDMF溶液(濃度:18質量%)を塗工し、凝固、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の片面にポリスルホン膜を形成させて半透膜を作製し、幅10cm、長さ10cmの正方形内に存在するピンホールの個数を倍率10倍のルーペで観察して計測した。結果を表2に示す。
ピンホールの個数
0個:良好なレベル。
1個:問題が発生する可能性があるが、実用上使用可能なレベル。
2個以上:問題が発生するレベル。
評価2(黄変の評価)
一定のクリアランスを有する定速塗工装置(商品名:Automatic Film Applicator、安田精機社製)を用いて、半透膜支持体の塗布面にポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)のDMF溶液(濃度:16質量%)を塗工し、凝固、水洗、乾燥を行い、半透膜支持体の片面に、ポリスルホン樹脂の支持膜層を形成させた。m−フェニレンジアミン及びラウリル硫酸ナトリウムがそれぞれ2質量%、0.1質量%になるように純水に混合溶解し、塗布面に含浸した。次に、酸クロライド(1,3,5−ベンゼントリカルボキシリックアシッドクロライド)をn−ヘキサンに0.1質量%になるように溶解した酸クロライド溶液を、半透膜支持体の塗布面に塗工した。酸クロライド溶液が蒸発した後に純水中で水洗を行い、温風乾燥機で乾燥してポリアミド樹脂の層を形成して複合膜を得た。複合膜の裏面(半透膜支持体の非塗布面)の色を観察して黄変を評価した。結果を表2に示す。
黄変の度合い
○:黄変が全くなく、良好なレベル。
△:僅かに黄褐色に変色している箇所がある。実用上使用可能なレベル。
×:ほぼ全面に黄褐色に変色している。実用上使用不可なレベル。
実施例1〜20の半透膜支持体は、ドープ浸透面積が1.3cm〜3.0cmであるため、ピンホールは少なく、良好な結果が得られた。
実施例1〜13の半透膜支持体の中で、実施例1〜8及び実施例13の半透膜支持体は、内部結合強さが20mJ〜82mJであったため、黄変が全くなく、良好な結果が得られた。実施例9〜12及び実施例14〜20の半透膜支持体は、内部結合強さが20mJ未満又は82mJ超であったため、黄変が僅かに発生していたが、実用上使用可能なレベルであった。
実施例1〜20の半透膜支持体に対し、比較例1の半透膜支持体は、ドープ浸透面積が3.1cmであり、第1ステージ及び第2ステージの加熱金属ロールの温度が低く、第2ステージのニップ前の加熱金属ロールとの接触長さが短いため、半透膜支持体に与える熱量が不足し、半透膜支持体の内部の溶着不良が生じたため、内部結合強さが2mJであった。その結果、ピンホールが発生した。さらに、ポリスルホン膜の成膜の際に、部分的に層間剥離が生じ、問題が発生するレベルであった。
比較例2の半透膜支持体は、ドープ浸透面積が1.1cmであり、かつ、内部結合強さが82mJを超えるため、黄変及びピンホールの発生により、実用上使用不可であった。
本発明の半透膜支持体は、海水の淡水化、浄水器、食品の濃縮、廃水処理、血液濾過に代表される医療用、半導体洗浄用の超純水製造等の分野で利用することができる。

Claims (2)

  1. 主体合成繊維とバインダー合成繊維とを少なくとも含有してなる不織布からなる半透膜支持体において、下記で定義されるドープ浸透面積が1.3cm〜3.0cmであることを特徴とする半透膜支持体。
    ドープ浸透面積:ポリスルホン(商品名:P−3500LCD MB−7、ソルベイ社製)16質量部を、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(試薬特級、純正化学社製)84質量部に加熱溶解したドープ液を、半透膜支持体の塗布面に、常温常湿下で0.025±0.005ミリリットル滴下し、120秒後にドープ液が半透膜支持体に浸透して広がった部位の長辺及び短辺から算出した楕円面積。
  2. 半透膜支持体において、内部結合強さが10mJ〜102mJであることを特徴とする請求項1に記載の半透膜支持体。
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