JP4792662B2 - 多孔性シートの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を延伸することで得られる多孔性シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
貫通孔を有する多孔性シートは、医療用、工業用の分離膜や、電池セパレータ用、電解コンデンサー用のセパレータ等の様々な用途に使用されている。特に熱可塑性繊維からなる多孔性シートは、不織布を延伸することで貫通孔が容易に得られることからセパレータだけでなく、紙おむつ等の衛生材料用途にも好ましく利用されている。しかしながら、多孔性シートは孔のサイズを減少させる必要から高倍率で延伸されているので、多孔性シートの引張破壊伸びが非常に小さく、製品への加工時に破断が生じ易いなどの欠点を有しており、改良すべき余地が残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、引張破壊伸びが大きく、高伸度の多孔性シート、及び延伸倍率、溶融温度などの加工条件を変更するだけで複雑な製造工程を伴わずに多孔性シートの平均孔径を幅広く選択することができる高伸度の多孔性シートの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、以下の構成を採用することにより、所期の目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
(1)融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を圧密して得られるシートであって、シートの平均孔径が0.01〜100μmであり、引張破壊伸びが40%以上である多孔性シート。
(2)熱可塑性樹脂Aがポリプロピレンであり、熱可塑性樹脂Bがポリエチレンである前記(1)項記載の多孔性シート。
(3)熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがポリエチレンである前記(1)項記載の多孔性シート。
(4)融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体をY℃以上X℃未満の溶融温度で加熱し、加圧処理を行い、厚み方向に圧密させてシートとし、Y℃以下の延伸温度で少なくとも一軸方向に該シートを延伸することを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の多孔性シートの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔性シートは、熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を圧密して得られるシートである。また、本発明の多孔性シートは、シートの平均孔径が0.01〜100μmであり、引張破壊伸びが40%以上である。本発明の多孔性シートは、0.01〜100μmの平均孔径を選択して製造できるため、種々の分野の用途に柔軟に対応が可能である。また、40%以上の引張破壊伸びを有することで、よじれ、捻れ、伸び等の変形が製品への加工時に生じた場合であっても、破れが生じにくい。引張破壊伸びは40〜150%の範囲が好ましく、60〜100%の範囲であることが加工のし易さからより好ましい。
【0006】
本発明に用いられる熱接着性複合繊維は、融点差を有する少なくとも2種類の熱可塑性樹脂である融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される複合繊維である。熱可塑性樹脂の融点差(X−Y)は、10℃以上であることが好ましく、より好ましくは15℃以上である。なお、複合繊維が良好な熱接着性を有するためには、熱可塑性樹脂Aを繊維形成成分として用い、熱可塑性樹脂Bを接着成分として用いて、熱可塑性樹脂Bが繊維表面の長さ方向に連続して露出し、同時に熱可塑性樹脂Aを被覆する構造の複合繊維とすることが好ましい。熱接着性複合繊維の複合形態としては、同心鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、海島型及び中空型などの形態が例示できる。また、その形状は、円形断面だけでなく異形断面でもよい。熱接着性の点を考慮すれば、同心鞘芯型、偏心鞘心型及び並列型の複合形態を有する複合繊維が好ましい。なかでも同心鞘芯型構造の熱接着性複合繊維は安定した熱接着性を有していることからより好ましい。なお、本発明に用いられる熱接着性複合繊維は、前記複合形態が製造できる紡糸口金と、複合紡糸装置、延伸装置等を必要に応じて使用して製造することができる。
【0007】
本発明に用いられる複合繊維が、融点X℃の熱可塑性樹脂Aを芯成分とし、融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bを鞘成分とする同心鞘芯型複合繊維の場合には、熱可塑性樹脂Aの重量比:熱可塑性樹脂Bの重量比を、25:85〜85:25の範囲とすることが好ましく、30:70〜70:30の範囲とすることがより好ましい。熱可塑性樹脂Bの重量比が25を大幅に下回ると、鞘成分の量が不足して芯成分の繊維長さ方向に沿った全面を被覆しない場合があり、その場合には不織繊維集合体を完全に熱圧着させ形成させたシートが得られにくくなる。逆に熱可塑性樹脂Bの重量比が85を大幅に上回ると、得られるシートの強力を維持する芯成分の量が不足するために、シートの腰がなくなる傾向にある。
【0008】
熱接着性複合繊維に用いられる熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとの組み合わせは、Y℃以上、X℃未満の範囲の温度で熱処理し、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を熱圧着等により圧密してシート化できる組み合わせであれば問題なく利用できる。例えば、熱可塑性樹脂B/熱可塑性樹脂Aでその組み合わせを表わすと、高密度ポリエチレン/プロピレン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン/プロピレン共重合体、低密度ポリエチレン/プロピレン共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/プロピレン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリエチレンテレフタレート、プロピレン単独重合体/ポリエチレンテレフタレート、各種のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低融点熱可塑性ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、各種のポリエチレン/ナイロン6、各種のポリプロピレン/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステル等のいずれかから選ばれた組み合わせを挙げることができる。
【0009】
これらの中では、ポリオレフィン同士であるポリプロピレンとポリエチレンとからなる組合せが、熱接着性、耐薬品性、及び軽量性の点から好ましく、ポリプロピレンは、ポリオレフィンの中でも耐熱性が高く、煮沸等の高温環境下でも耐えうることから分離膜やセパレーターとして好適であり、特に好ましい。その組み合わせとしては、低密度ポリエチレン/プロピレン単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレン/プロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン/プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体/プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン二元共重合体/プロピレン単独重合体が例示できる。また、ポリオレフィンとポリエステルからなる組合せ、特にポリエチレンとポリエステルとからなる組み合わせが熱接着性の点から好ましい。その組み合わせとしては、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートが例示できる。
【0010】
本発明に用いられるポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体を挙げることができる。さらにこれら共重合体は2種類以上の混合物であってもよい。また、これらの共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体のいずれであってもよい。なお、プロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数2〜12のα−オレフィン等が例示でき、さらにこれらを併用して使用してもよい。また、ポリプロピレンとしてプロピレン単独重合体を使用した場合には、通常、融点のピークは162℃付近である。しかし、プロピレンとエチレンとの2元系ランダム共重合体や、プロピレンとエチレン、ブテンとの3元系ランダム共重合体を使用した場合には、融点のピークは製造条件により調節できるため、必要に応じて120〜162℃の融点範囲を有するポリプロピレンを任意に選択し使用することができる。また、メルトフローレート(MFR:JIS K7210 表1中の条件14に準拠して測定した値)が2〜150g/10分の範囲のポリプロピレンが繊維化に適しており好ましい。
【0011】
本発明に用いられるポリエチレンとしては、エチレン単独重合体、エチレンとエチレン以外のモノマーとの二元以上の共重合体を挙げることができる。さらにこれら共重合体は2種類以上の混合物であってもよい。また、これらの共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体のいずれであってもよい。エチレン以外のモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数3〜12のα−オレフィンだけでなく、酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、一酸化炭素等が例示でき、さらにこれらを併用して使用してもよい。エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの具体的な共重合体としては、密度が0.910〜0.925g/cm3の低密度ポリエチレン、密度が0.926〜0.940g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン、密度が0.941〜0.980g/cm3の高密度ポリエチレンを挙げることができる。特にメルトフローレート(MI:JIS K 7210 表1中の条件4に準拠して測定した値)が2〜100g/10分の範囲のポリエチレンが繊維化に適しており好ましい。
【0012】
さらに、本発明に用いられるポリプロピレン、ポリエチレンは、改質物であってもよい。例えば、ポリプロピレンを使用する場合、改質剤として有機シラン系化合物または不飽和カルボン酸もしくはその誘導体を用いることができる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸及びノルボルネンジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水テトラヒドロフタル酸及び無水ノルボルネンジカルボン酸等の不飽和カルボン酸無水物が例示できる。なかでも、実用性能において最も優れているマレイン酸及び無水マレイン酸が好ましい。なお、本発明において改質物を使用する場合には、使用される改質物の改質率、例えばポリプロピレンを無水マレイン酸改質する際のグラフト率は、通常は1〜10%であることが望ましい。
【0013】
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートは、市販または工業的に利用されている通常のポリエチレンテレフタレートのうち、特に繊維用として市販されているポリエチレンテレフタレートが利用でき、具体的には固有粘度が0.50から1.20の範囲のポリエチレンテレフタレートが好ましく利用できる。
【0014】
熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bには、一般に使用されている酸化防止剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。また、該熱可塑性樹脂の軟化温度の低下や柔軟性の向上のために、シングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレン−プロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体を熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bに添加してもよい。
【0015】
本発明では不織繊維集合体として、ウェブ、不織布を用いることができる。本発明に用いられるウェブは、目的、用途、熱接着性複合繊維の繊維長、繊度に応じた製造方法によって得られる。熱接着性複合繊維の繊維長が20〜125mmの場合には、カード機またはランダムウエバー法によってウェブを製造できる。このとき、繊維長を25〜75mmとすることで、カード通過性を良好にし、さらに良好な地合いのウェブとすることができる。また、該複合繊維の繊維長が3〜20mmの場合には、エアレイ法、抄紙法によってウエブを製造できる。なお、これらの製造方法に適する繊度は、1〜35dtexである。また、熱接着性複合繊維が長繊維の場合には、メルトブロー法、スパンボンド法、及びフラッシュスパン法等の方法により、紡糸で直接にウェブを製造できる。これらの製造方法に適する繊度は、0.8〜11.0dtexであり、より好ましくは、1.7〜5.5dtexである。また、本発明に用いられる不織布は、前記ウェブに熱圧着法、熱風加熱法、高圧水柱流絡合法、ニードルパンチ法等の加工を施すことにより製造できる。なお、不織繊維集合体は、熱接着性複合繊維だけでなく、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば他の繊維が混綿や混紡されていてもよい。また、不織繊維集合体としては、運搬性、易加工性、目付の均一性の点から、ウェブよりも不織布を使用することがより好ましい。
【0016】
以下に、本発明の多孔性シートの製造方法を詳細に説明する。
【0017】
融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を作製する。なお、市販の不織布を使用してもよい。
不織布繊維集合体を熱圧着しシートを得る。具体的には、不織布繊維集合体をY℃以上X℃未満の溶融温度で熱風により加熱し、熱可塑性樹脂Bを溶融軟化させ、その後に、一対のロール間で冷却と同時に加圧し厚み方向に圧密させてシートとする方法が例示できる。また、別の製造方法としては、不織繊維集合体を熱板により加熱し、熱可塑性樹脂Bを溶融軟化させ一対の冷却板で押圧し冷却する方法が例示できる。なお、不織繊維集合体を溶融軟化させる温度は、熱接着性複合繊維を構成する熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以上、熱可塑性樹脂Aの融点温度X℃未満で行うとよい。熱接着性複合繊維を構成する熱可塑性樹脂Aの融点以上で熱圧着させた場合には、シート中の該複合繊維が繊維形状を留めずに、その特性を失う恐れがある。また、熱接着性複合繊維を構成する熱可塑性樹脂Bの融点Y℃未満で熱圧着させた場合には、シートに穴あきが発生する恐れがある。
【0018】
次に得られたシートをY℃以下の温度で予熱した後またはY℃以下の延伸温度で一軸方向または二軸方向に該シートを延伸し、多孔性シートとする。この多孔化のための延伸法は、シート及びフィルムなどを延伸する際に採用されている一般的な延伸法により行うことができる。シートの延伸においては、一軸延伸のみならず、同時及び逐次二次延伸も適用できる。上記一軸延伸を適用する場合には、上記シートを、熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以下、速度0.01〜100m/minで1倍〜5倍に延伸すればよい。上記同時二軸延伸を適用する場合には、熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以下で、上記シートを、一方向に速度0.01〜100m/minで1倍〜5倍、この方向の90°の方向に速度0.01〜100m/minで1倍〜5倍に、同時に延伸すればよい。また、上記逐次二軸延伸を適用する場合には、上記シートを、熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以下、速度0.01〜100m/minで1倍〜5倍に延伸し、さらに上記延伸方向に対して90°の方向に、熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以下、速度0.01〜100m/minで1倍〜5倍に延伸すればよい。なお、延伸温度は、熱可塑性樹脂Bの融点Y℃以下が好ましい。熱可塑性樹脂Bの融点Y℃を超えた温度で延伸を行うと、延伸物の表面上体が毛羽立つことから平滑性に乏しくなる傾向がある。また、延伸倍率は1倍〜5倍が好ましく、5倍を大幅に超えると、延伸物の表面上体が毛羽立ち、同様に平滑性に乏しくなる傾向がある。
【0019】
本発明の多孔性シートには、複雑な製造工程を伴わずにシートへの加工条件、延伸加工条件を変更するだけで、0.01〜100μmの範囲の平均孔径を幅広く選択することができる。例えば、平均孔径が小さい多孔性シートを得るためには、シートへの加工条件の一つである加工温度を熱可塑性樹脂Aの融点X℃近傍とし、他の加工条件として、延伸温度、延伸倍率条件を低くするとよい。逆に、平均孔径が大きい多孔性シートを得るには、シートへの加工条件の一つである加工温度を熱可塑性樹脂Bの融点Y℃近傍とし、延伸温度を熱可塑性樹脂Bの融点Y℃近傍にし、延伸倍率条件を高くするとよい。
【0020】
本発明の多孔性シートは、必要に応じてその表面に界面活性剤等の表面処理剤を塗布してもよい。また、多孔性シートは単層で用いるだけでなく、2層以上の積層体、他の不織布、半透膜と重層した積層体として使用できる。さらに多孔性シートはフラットシートとして利用するだけでなく、筒状に巻き付けて利用してもよく、スリットを行いテープとして利用してもよい。用途としては、バッテリーセパレータなどのセパレータ用途だけでなく、筒状フィルター、ワインドフィルターなどの用途にも利用できる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における測定方法及び評価法は、下記方法により実施した。
【0022】
(1)空隙率:次式により算出した。
空隙率=空隙容積/シート全容積×100
=(含水重量−絶乾重量)×水の比重/シート全容積×100
(2)平均孔径および最大孔径(μm):ASTM F316−86およびASTM E128に基づいて、Perm−Porometer(PORUS MATERIALs INC.製)バブルポイント法にて測定し、測定から得られた平均流量細孔径を平均孔径値とし、最大細孔径を最大孔径値とした。
(3)表面性:延伸後のシートの表面状態を目視にて判断した。
(4)融点(℃):DSC測定装置(セイコー電子製SSC−5000)を用い、温度範囲40℃〜300℃、昇温速度20℃/分の条件にて測定し、吸熱ピークのトップを求め、融点とした。
(5)引張破壊強さ(MPa)及び引張破壊伸び(%):JIS K7127「プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」、1号試験片に従って引張破壊強さ及び引張破壊伸びを測定した。
【0023】
実施例1
多孔性シートの材料の不織繊維集合体として、融点が162℃のポリプロピレンを芯成分、融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分とし、鞘芯の重量比が50%/50%、単糸繊度が2.4dtexの複合長繊維からなる目付80g/m2の複合スパンボンド不織布を用い、これを溶融温度140℃で加熱し、溶融軟化させ、続いて、表面温度50℃に設定した一対の冷却ロール間を加圧下で、速度5m/minで通過させることで、0.1mmのシートとした。さらに得られたシートを100℃で120秒間予熱した後に、パンタグラフ式二軸延伸機を用いて、延伸温度100℃、速度3m/minで2.5倍に一軸延伸し、シートとした。
得られた多孔性シートを用いて、所定の試験方法に準処して平均孔径、最大孔径、引張破壊伸び等を測定し、また、目視により表面状態を観察した。これらの評価結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
溶融温度160℃で加熱し、1.2倍に一軸延伸する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0025】
実施例3
溶融温度160℃で加熱し、2.5倍に一軸延伸する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0026】
実施例4
溶融温度160℃で加熱し、3.5倍に一軸延伸する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0027】
実施例5
多孔性シートの材料の不織繊維集合体として、融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分、融点が121℃の直鎖状低密度ポリエチレンを鞘成分とし、鞘芯の重量比が50%/50%、単糸繊度が2.6dtexの複合長繊維からなる目付80g/m2の複合スパンボンド不織布を用い、これを溶融温度160℃で加熱すること以外は、実施例1に準拠してシートを製造した。これらの評価結果を表1に示す。
【0028】
比較例1
溶融温度100℃で加熱し(鞘成分に用いた直鎖状低密度ポリエチレンの融点121℃)する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0029】
比較例2
溶融温度180℃で加熱し(芯成分に用いたポリプロピレンの融点162℃)する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0030】
比較例3
多孔性シートの材料の不織繊維集合体として、融点が162℃のポリプロピレン100%で構成されている目付80g/m2のレギュラースパンボンド不織布を用い、溶融温度162℃で加熱する以外は実施例1と同様の加工条件でシートを製造した。同様に評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明の多孔性シートは、従来品と比べて引張破断伸びが大きく、高伸度であることから、2次加工を行う際の応力により破れにくいため、バッテリーセパレータ等の用途に好ましく利用できる。また、本発明の多孔性シートの製造方法を用いることで、延伸倍率、溶融温度などの加工条件を変更するだけで複雑な製造工程を伴わずに、平均孔径を0.01〜100μmと幅広く選択することができ、種々の分野に簡便に対応できる多孔性シートを提供することが可能である。
Claims (3)
- 融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体を圧密して得られるシートであって、シートの平均孔径が0.01〜100μmであり、引張破壊伸びが40%以上である多孔性シートの製造方法であって、融点X℃の熱可塑性樹脂Aと融点Y℃(X>Y)の熱可塑性樹脂Bとから構成される熱接着性複合繊維からなる不織繊維集合体をY℃以上X℃未満の溶融温度で加熱し、加圧処理を行い、厚み方向に圧密させてシートとし、100℃以上、Y℃以下の延伸温度で少なくとも一軸方向に該シートを延伸することを特徴とする多孔性シートの製造方法。
- 熱可塑性樹脂Aがポリプロピレンであり、熱可塑性樹脂Bがポリエチレンである請求項1記載の多孔性シートの製造方法。
- 熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがポリエチレンである請求項1記載の多孔性シートの製造方法。
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